(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】通話装置およびインターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20240112BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240112BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H04M9/00 Z
H04R1/00 321
(21)【出願番号】P 2018186786
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-05-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鷲 哲平
(72)【発明者】
【氏名】野添 敏秀
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 一星
(72)【発明者】
【氏名】野上 貴洋
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】山中 実
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-184422(JP,A)
【文献】特開平3-112242(JP,A)
【文献】特開2016-63444(JP,A)
【文献】特表2004-511934(JP,A)
【文献】特開2007-116620(JP,A)
【文献】特開平11-68259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02, H04M 9/00, H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に表面実装されたマイクロホンと、
前記回路基板および前記マイクロホンを前記マイクロホンの受音側から覆う筐体と、
少なくとも一部が前記マイクロホンの受音側に配置され、前記マイクロホンの受音方向から見た場合、前記マイクロホンよりも面積が大きい振動部を有する防水体と、
前記マイクロホンまたは前記回路基板と、前記振動部との間に設けられ、前記マイクロホンと前記振動部との距離を規定する中間部材と、
を備え、
前記回路基板が前記筐体に固定されることにより、前記中間部材と前記防水体とが、前記筐体と前記回路基板との間に固定さ
れ、
前記中間部材は、円柱状の形状を有し、底面である第1面と、側面である第2面と、を有し、
前記筐体は、凹状のハウジング部を有し、
前記ハウジング部は、内底部と、前記内底部から前記回路基板側に突出する筒状の内側部とを有し、
前記ハウジング部の前記内底部は、前記振動部側に突出する円環状の突出部と、前記突出部の内側に設けられた筐体凹部と、前記突出部および前記内側部の間に設けられた環状凹部とを有し、
前記突出部の先端には、前記受音方向に垂直な第1筐体面が設けられ、
前記ハウジング部の前記内側部には、前記受音方向に沿った第2筐体面が設けられ、
前記防水体は、前記第1筐体面と、前記第1筐体面に対向する前記第1面との間に挟まれ、および、前記第2筐体面と、前記第2筐体面に対向する前記第2面との間に挟まれた状態で前記ハウジング部に収容される
通話装置。
【請求項2】
前記振動部は、前記マイクロホンまたは前記回路基板と、前記筐体との間に設けられている
請求項1に記載の通話装置。
【請求項3】
前記中間部材は、前記振動部の前記マイクロホン側に存在する第1の空間を規定する空洞部を有し、
前記筐体は、前記振動部の前記マイクロホンとは反対側に存在する第2の空間を規定する筐体凹部を有する
請求項1または2に記載の通話装置。
【請求項4】
前記防水体のうちの前記振動部の外側の環状領域は、前記筐体と前記中間部材とによって挟まれている
請求項1~3のいずれか1項に記載の通話装置。
【請求項5】
前記中間部材は、前記受音方向に沿った中間部材音孔を有し、
前記中間部材音孔は、前記回路基板を介してまたは前記回路基板を介さずに、前記マイクロホンに通じている
請求項1~
4のいずれか1項に記載の通話装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記受音方向に沿った筐体音孔を有し、
前記筐体音孔は、前記受音方向から見た場合に、前記中間部材音孔および前記振動部に重なっている
請求項
5に記載の通話装置。
【請求項7】
前記筐体音孔は、前記受音方向から見た場合に、前記振動部よりも面積が小さい
請求項
6に記載の通話装置。
【請求項8】
前記中間部材は、前記中間部材が前記回路基板に垂直な軸を中心に回転することを止める回転止め部を有している
請求項1~
7のいずれか1項に記載の通話装置。
【請求項9】
前記防水体は、シート状であり、
前記振動部は、前記受音方向に振動する
請求項1~
8のいずれか1項に記載の通話装置。
【請求項10】
前記振動部は、前記受音方向から見た場合に、円形状である
請求項1~
9のいずれか1項に記載の通話装置。
【請求項11】
前記筐体は、外部から浸入する水を排水する排水溝を有する
請求項1~
10のいずれか1項に記載の通話装置。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1項に記載の通話装置と、
前記通話装置と通信しかつ前記通話装置と異なる通話装置と
を備えるインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水性を有する通話装置、および、この通話装置を備えるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロホンを備える通話装置が知られている。この種の通話装置の一例として、特許文献1には、筐体(ケース)の内部にマイクロホンが設けられたハンズフリーインターホンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通話装置は、例えば、建物の玄関等に設置される。そのため、筐体の外部から雨水等が浸入し、筐体の内部に設けられたマイクロホンが作動しなくなることがある。そこで、マイクロホンを水から保護するために、筐体とマイクロホンとの間に防水体を設ける場合がある。しかしながらその場合、マイクロホンで収音すべき音が防水体で遮られるため、音を十分に収音できないという問題がある。
【0005】
本発明は、収音すべき音が防水体にて遮られることを抑制する通話装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る通話装置は、回路基板と、前記回路基板に表面実装されたマイクロホンと、前記回路基板および前記マイクロホンを前記マイクロホンの受音側から覆う筐体と、少なくとも一部が前記マイクロホンの受音側に配置され、前記マイクロホンの受音方向から見た場合、前記マイクロホンよりも面積が大きい振動部を有する防水体と、前記マイクロホンまたは前記回路基板と、前記振動部との間に設けられ、前記マイクロホンと前記振動部との距離を規定する中間部材と、を備え、前記回路基板が前記筐体に固定されることにより、前記中間部材と前記防水体とが、前記筐体と前記回路基板との間に固定され、前記中間部材は、円柱状の形状を有し、底面である第1面と、側面である第2面と、を有し、前記筐体は、凹状のハウジング部を有し、前記ハウジング部は、内底部と、前記内底部から前記回路基板側に突出する筒状の内側部とを有し、前記ハウジング部の前記内底部は、前記振動部側に突出する円環状の突出部と、前記突出部の内側に設けられた筐体凹部と、前記突出部および前記内側部の間に設けられた環状凹部とを有し、前記突出部の先端には、前記受音方向に垂直な第1筐体面が設けられ、前記ハウジング部の前記内側部には、前記受音方向に沿った第2筐体面が設けられ、前記防水体は、前記第1筐体面と、前記第1筐体面に対向する前記第1面との間に挟まれ、および、前記第2筐体面と、前記第2筐体面に対向する前記第2面との間に挟まれた状態で前記ハウジング部に収容される。
【0007】
本発明の一態様に係るインターホンシステムは、上記通話装置と、前記通話装置と通信しかつ前記通話装置と異なる通話装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の通話装置等によれば、収音すべき音が防水体にて遮られることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施の形態1に係る通話装置を示す図である。
【
図1B】実施の形態1に係る通話装置を組み立てて製作する様子を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る通話装置の収音部を示す分解斜視図である。
【
図3A】実施の形態1に係る通話装置の収音部を
図1Aに示すIII-III線で切断した場合の断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る通話装置の収音部を
図1Aに示すIV-IV線で切断した場合の断面図である。
【
図5】実施の形態1の変形例1に係る通話装置の収音部の断面図である。
【
図6】実施の形態1の変形例2に係る通話装置の斜視図である。
【
図7】実施の形態1の変形例2に係る通話装置を
図6に示すVII-VII線で切断した場合の断面図である。
【
図8】実施の形態2に係るインターホンシステムを示す模式図である。
【
図9】実施の形態2に係るインターホンシステムを構成する他の通話装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。また、各図に示されているZ方向は鉛直方向であり、X方向およびY方向は水平方向であり互いに直交している。
【0012】
(実施の形態1)
[1-1.通話装置の構成]
まず、本実施の形態の通話装置の概略構成について、
図1Aおよび
図1Bを参照しながら説明する。
【0013】
図1Aは、実施の形態1に係る通話装置1を示す図である。
図1Bは、通話装置1を組み立てて製作する様子を示す図である。
【0014】
通話装置1は、例えばインターホン玄関装置であり、集合施設の玄関に設置される。
図1Aに示すように、通話装置1は、操作受付部121と、通話部(125aおよび125b)と、制御部126と、通信部127とを備える。なお、通話装置1は、さらに撮像部および表示部を備えていてもよい。
【0015】
また、通話装置1は、
図1Bに示すように、筐体10と、筐体10の前面を覆う前面パネル60と、窓部81を有する化粧パネル80と、建物の壁等に固定される取付部材85とを備える。通話装置1は、例えば、前面パネル60が設けられた筐体10を取付部材85に取り付けた後、取付部材85および筐体10に化粧パネル80を被せることで製作される。前面パネル60は、化粧パネル80の窓部81にて露出している。
【0016】
図1Aに示すように、操作受付部121は、通話装置1と異なる他の通話装置(例えばインターホン親機)を呼び出すなどの操作を訪問者から受け付ける。操作受付部121は、例えばタッチパネルまたはテンキーなどのユーザインターフェースである。
【0017】
通話部は、他の通話装置を介して居住者と通話するための装置である。通話部は、訪問者が発する音を収音する2つの収音部125a、および、他の通話装置から送信された信号を音として出音する出音部125bによって構成される。例えば、各収音部125aはマイクロホンを有し、出音部125bはスピーカを有する。なお、通話装置1の前面パネル60には、音の入口となるパネル音孔63が設けられている。
【0018】
通信部127は、制御部126の指示に基づいて、他の通話装置を作動するための指令を他の通話装置に送信する。通信部127は、例えば、通信モジュールなどの通信回路である。
【0019】
制御部126は、通話装置1が備える各種構成要素を制御する。制御部126は、操作受付部121を介して訪問者による操作を受け付けた場合に、通信部127を介して他の通話装置を作動する。
【0020】
次に、通話装置1の収音部125aの概略構成について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
【0021】
図2は、通話装置1の収音部125aを示す分解斜視図である。
図3Aは、通話装置1の収音部125aを
図1Aに示すIII-III線で切断した場合の断面図である。
図3Bは、
図3Aに示す通話装置1の振動部51を示す拡大図である。
図4は、通話装置1の収音部125aを
図1Aに示すIV-IV線で切断した場合の断面図である。
【0022】
図2に示すように、通話装置1の収音部125aは、回路基板30と、マイクロホン20と、中間部材40と、防水体50と、筐体10とを備えている。筐体10は、凹状のハウジング部14を有し、中間部材40は、防水体50とともにハウジング部14に嵌め込まれる。回路基板30、マイクロホン20、中間部材40および防水体50は、筐体10の支柱19、押さえ付け部材71、および、ねじ等の締結部材72を用いて、筐体10に固定される。
【0023】
図3Aおよび
図4に示すように、通話装置1は、筐体10の外部表面を覆う前面パネル60を備えている。前面パネル60には、マイクロホン20の受音方向RSに沿って貫通するパネル音孔63が設けられている。また、筐体10には、受音方向RSに沿って貫通し、かつ、パネル音孔63に通じる筐体音孔13が設けられている。また、中間部材40には、受音方向RSに沿って貫通し、かつ、マイクロホン20に通じる中間部材音孔43が設けられている。マイクロホン20は、パネル音孔63、筐体音孔13、防水体50および中間部材音孔43を介して音を収音する。
【0024】
本実施の形態の防水体50は、マイクロホン20の受音方向RSから見た場合、マイクロホン20よりも面積が大きい振動部51を有している(
図1A参照)。この通話装置1では、振動部51の面積がマイクロホン20の面積よりも大きいので、振動部51に入力された音が必要以上に減衰することを抑制でき、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0025】
なお、振動部51は、
図3Bに示すように、防水体50の一部が筐体10と中間部材40とによって挟み込まれることで形成される。XZ平面において、筐体10と中間部材40とで、防水体50に対して接触している位置が異なる場合、例えば、より内側で接触している部分で囲まれた領域を振動部51としてもよい。
【0026】
次に、通話装置1の収音部125aの各構成について説明する。
【0027】
回路基板30は、例えば、樹脂材料またはセラミック材料によって形成される。回路基板30の一方主面31には、マイクロホン20に接続される配線等が形成されている。
【0028】
マイクロホン20は、直方体状であり、回路基板30の一方主面31に、はんだ等を用いて表面実装されている。マイクロホン20は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクロホンである。MEMSマイクロホンは、例えば、セラミック基板と、セラミック基板に実装されたMEMSチップと、MEMSチップを覆うようにセラミック基板に取り付けられたカバーとによって構成されている(図示省略)。カバーの天面には、前述したパネル音孔63、筐体音孔13、防水体50および中間部材40の中間部材音孔43を介して入った音を収音するマイク音孔23が設けられている。
【0029】
防水体50は、マイクロホン20の受音側に設けられている。防水体50は、シート状であり、例えば、厚みが10μm以上50μm以下である。防水体50は、水などの液体が透過しにくい樹脂によって形成されている。なお、防水体50は、液体が通過しにくい布または皮、あるいは、錆びにくい金属シートによって形成されていてもよい。
【0030】
防水体50は、パネル音孔63および筐体音孔13等から入った音によって振動する振動部51を有している。振動部51は、マイクロホン20と筐体10との間に設けられている。具体的には、振動部51は、中間部材音孔43と筐体音孔13との間に設けられ、受音方向RSに対して垂直に延びるように配置されている。この振動部51は、中間部材40が、防水体50とともに筐体10のハウジング部14に嵌め込まれ、防水体50の一部が中間部材40と筐体10とによって挟み込まれることで形成される。
【0031】
振動部51のマイクロホン20側(具体的にはマイク音孔23側)には、振動部51の一方主面を覆う第1の空間s1が存在している。また、振動部51のマイクロホン20とは反対側(具体的には筐体音孔13側)には、振動部51の他方主面を覆う第2の空間s2が存在している。
【0032】
中間部材40は、弾性を有する樹脂によって形成されている。中間部材40は、マイクロホン20と振動部51との間に設けられている。
【0033】
中間部材40は、円柱状の形状を有し、底面である第1面41と、側面である第2面42と、底面に背向する天面44とを有している。中間部材40の天面44には、マイクロホン20が収容される収容凹部46が設けられている。マイクロホン20は、回路基板30の一方主面31が中間部材40の天面44に当接させられることで、収容凹部46に収容される。本実施の形態の中間部材40は、マイクロホン20を収容することで、マイクロホン20と振動部51との距離を規定している。また、中間部材40の第1面41には、前述した第1の空間s1を規定する空洞部45が設けられている。すなわち空洞部45は、第1の空間s1を介して振動部51の一方主面を覆っている。
【0034】
中間部材40は、中間部材40が回路基板30に垂直な軸Y1を中心に回転することを止める回転止め部48を有している(
図3A参照)。この軸Y1は、筐体音孔13の軸と一致している。回転止め部48は、中間部材40の第2面42から外側に突出するように設けられている。回転止め部48は、中間部材40がハウジング部14に嵌め込まれる際、筐体10の切り欠き部18に挿入される。中間部材40は、回転止め部48が切り欠き部18によって規制されることで、軸Y1を中心に回転することを抑制される。
【0035】
筐体10は、回路基板30、マイクロホン20、中間部材40および防水体50を、マイクロホン20の受音側から覆っている。筐体10は、例えば、樹脂材料によって形成される。
【0036】
筐体10のハウジング部14は、内底部と、内底部から回路基板30側に突出する筒状の内側部とを有している。ハウジング部14の内底部は、振動部51側に突出する円環状の突出部16と、突出部16の内側に設けられた筐体凹部15と、突出部16および内側部の間に設けられた環状凹部17とを有している。筐体凹部15は、前述した第2の空間s2を規定している。すなわち、筐体凹部15は、第2の空間s2を介して振動部51の他方主面を覆っている。
【0037】
突出部16の先端には、受音方向RSに垂直な第1筐体面11が設けられている。ハウジング部14の内側部には、受音方向RSに沿った第2筐体面12が設けられている。
【0038】
ハウジング部14には、防水体50および中間部材40が収容される。その収容の際、防水体50は、振動部51の外側が受音方向RSに折り曲げられてハウジング部14に収容される。具体的には、防水体50は、第1筐体面11と、第1筐体面11に対向する第1面41との間に挟まれ、および、第2筐体面12と、第2筐体面12に対向する第2面42との間に挟まれた状態で収容される。
【0039】
また、防水体50のうち振動部51の外側の環状領域51aは、筐体10と中間部材40とによって挟まれている。具体的には、環状領域51aは、筐体10の第1筐体面11と中間部材40の第1面41とによって挟まれている。防水体50が、第1筐体面11と第1面41とによって挟まれることで、環状領域51aの内側に、前述した振動部51が形成される。
【0040】
このように本実施の形態では、中間部材40が、防水体50とともに筐体10のハウジング部14に嵌め込まれる。この嵌め込みによって、防水体50の一部が中間部材40と筐体10とによって挟み込まれ、振動部51が形成される。振動部51の一方主面側には第1の空間s1が形成され、他方主面側には第2の空間s2が形成され、振動部51は、受音方向RSに振動可能となっている。振動部51は、受音方向RSから見た場合に、円形状であり、マイクロホン20よりも面積が大きい。また、筐体音孔13は、受音方向RSから見た場合に、振動部51よりも面積が小さい。
【0041】
[1-2.効果など]
以上説明したように、本実施の形態に係る通話装置1は、回路基板30と、回路基板30に表面実装されたマイクロホン20と、回路基板30およびマイクロホン20をマイクロホン20の受音側から覆う筐体10と、少なくとも一部がマイクロホン20の受音側に配置された防水体50とを備えている。防水体50は、マイクロホン20の受音方向RSから見た場合、マイクロホン20よりも面積が大きい振動部51を有している。
【0042】
このように通話装置1では、振動部51の面積がマイクロホン20の面積よりも大きいので、振動部51に入力された音が必要以上に減衰することを抑制でき、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0043】
また、振動部51は、マイクロホン20または回路基板30と、筐体10との間に設けられていてもよい。
【0044】
これによれば、振動部51が筐体10よりもマイクロホン20または回路基板30側に位置するので、振動部51が筐体10外部の水に接触することを抑制し、振動部51の振動が減衰することを抑制できる。これにより、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0045】
通話装置1は、さらに、マイクロホン20または回路基板30と、振動部51との間に設けられ、マイクロホン20と振動部51との距離を規定する中間部材40を備えていてもよい。
【0046】
このように、通話装置1がマイクロホン20と振動部51との距離を規定する中間部材40を備えることで、マイクロホン20の収音品質のばらつきを抑制することができる。
【0047】
また、中間部材40は、振動部51のマイクロホン20側に存在する第1の空間s1を規定する空洞部45を有し、筐体10は、振動部51のマイクロホン20とは反対側に存在する第2の空間s2を規定する筐体凹部15を有していてもよい。
【0048】
このように、振動部51のマイクロホン20側に第1の空間s1が形成され、マイクロホン20とは反対側に第2の空間s2が形成されることで、振動部51の振動が阻害されることを抑制できる。これにより、振動部51に入力された音が減衰することを抑制でき、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0049】
また、防水体50のうちの振動部51の外側の環状領域51aは、筐体10と中間部材40とによって挟まれていてもよい。
【0050】
このように、振動部51の外側の環状領域51aを、筐体10と中間部材40とによって挟むことで、振動部51が振動する際のノードを形成することができる。これにより、振動部51に入力された音が減衰することを抑制でき、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0051】
また、筐体10は、受音方向RSに垂直な第1筐体面11と、受音方向RSに沿う第2筐体面12とを有し、中間部材40は、第1筐体面11に対向する第1面41と、第2筐体面12に対向する第2面42とを有し、防水体50は、第1筐体面11と第1面41との間、および、第2筐体面12と第2面42との間に挟まれていてもよい。
【0052】
このように、防水体50を、第1筐体面11と第1面41との間、および、第2筐体面12と第2面42との間に挟むことで、防水体50を確実に固定することができる。これにより、防水体50に入力された音が減衰することを抑制でき、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0053】
また、中間部材40は、受音方向RSに沿った中間部材音孔43を有し、中間部材音孔43は、回路基板30を介してまたは回路基板30を介さずに、マイクロホン20に通じていてもよい。
【0054】
これによれば、振動部51に入力された音を、中間部材音孔43を介してマイクロホン20に伝搬することができる。
【0055】
また、筐体10は、受音方向RSに沿った筐体音孔13を有し、筐体音孔13は、受音方向RSから見た場合に、中間部材音孔43および振動部51に重なっていてもよい。
【0056】
これによれば、筐体音孔13から振動部51に入力される音、また、振動部51を介して中間部材音孔43に入力される音が減衰することを抑制することができる。
【0057】
また、筐体音孔13は、受音方向RSから見た場合に、振動部51よりも面積が小さくてもよい。
【0058】
これによれば、振動部51が筐体10外部の水に接触することを抑制でき、振動部51の振動が減衰することを抑制できる。これにより、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0059】
また、中間部材40は、中間部材40が回路基板30に垂直な軸Y1を中心に回転することを止める回転止め部48を有していてもよい。
【0060】
このように、中間部材40の回転を規制することで、振動部51の振動を安定化させることができる。これにより、マイクロホン20の収音品質のばらつきを抑制することができる。
【0061】
また、防水体50は、シート状であり、振動部51は、受音方向RSに振動してもよい。
【0062】
このように、振動部51が受音方向RSに振動することで、振動部51に入力された音が必要以上に減衰することを抑制でき、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0063】
また、振動部51は、受音方向RSから見た場合に、円形状であってもよい。
【0064】
これによれば、振動部51にて良好な周波数特性を得ることができる。これにより、振動部51に入力された音が必要以上に減衰することを抑制でき、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0065】
[1-3.実施の形態1の変形例1]
次に、実施の形態1の変形例1に係る通話装置1Aの収音部125aの構成について、
図5を参照しながら説明する。実施の形態1の変形例1では、回路基板30が、マイクロホン20の受音側に設けられている例について説明する。
【0066】
図5は、変形例1に係る通話装置1Aの収音部125aの断面図である。
【0067】
図5に示すように、通話装置1Aの収音部125aは、マイクロホン20と、回路基板30と、中間部材40と、防水体50と、筐体10とを備えている。筐体10は、凹状のハウジング部14を有し、中間部材40は、防水体50とともにハウジング部14に嵌め込まれる。
【0068】
回路基板30は、マイクロホン20が実装される一方主面31と、一方主面31よりも振動部51側に位置する他方主面32とを有している。また、回路基板30には、回路基板30を貫通する基板音孔33が設けられている。基板音孔33は、第1の空間s1とマイクロホン20とが通じる位置に形成されており、受音方向RSから見た場合、振動部51と重なっている。
【0069】
マイクロホン20は、例えば、MEMSマイクロホンである。MEMSマイクロホンは、例えば、セラミック基板と、セラミック基板に実装されたMEMSチップと、MEMSチップを覆うようにセラミック基板に取り付けられたカバーとによって構成されている。MEMSチップは、パネル音孔63、筐体音孔13、防水体50、中間部材音孔43および基板音孔33を介してマイクロホン20に入った音を収音する。
【0070】
防水体50は、音によって振動する振動部51を有している。振動部51は、回路基板30と筐体10との間に設けられている。具体的には、振動部51は、基板音孔33と筐体音孔13との間に設けられ、受音方向RSに対して垂直に延びるように配置されている。この振動部51は、中間部材40が、防水体50とともに筐体10のハウジング部14に嵌め込まれ、防水体50の一部が中間部材40と筐体10とによって挟み込まれることで形成される。
【0071】
振動部51のマイクロホン20側(具体的には基板音孔33側)には、振動部51の一方主面を覆う第1の空間s1が存在している。また、振動部51の筐体10側(具体的には筐体音孔13側)には、振動部51の他方主面を覆う第2の空間s2が存在している。
【0072】
中間部材40は、回路基板30と振動部51との間に設けられている。中間部材40は、円筒状の形状を有し、底面である第1面41と、側面である第2面42と、底面に背向する天面44とを有している。中間部材40上には、回路基板30の他方主面32が中間部材40の天面44に当接するように、回路基板30が配置されている。中間部材40は、回路基板30とともに、マイクロホン20と振動部51との距離を規定している。中間部材40には、前述した第1の空間s1を規定する空洞部45が設けられている。
【0073】
筐体10のハウジング部14は、内底部と、内底部から回路基板30側に突出する筒状の内側部とを有している。ハウジング部14の内底部は、振動部51側に突出する円環状の突出部16と、突出部16の内側に設けられた筐体凹部15と、突出部16および内側部の間に設けられた環状凹部17とによって構成されている。筐体凹部15は、前述した第2の空間s2を規定している。
【0074】
突出部16の先端には、受音方向RSに垂直な第1筐体面11が設けられている。ハウジング部14の内側部には、受音方向RSに沿った第2筐体面12が設けられている。
【0075】
防水体50は、第1筐体面11と、第1筐体面11に対向する第1面41との間に挟まれ、および、第2筐体面12と、第2筐体面12に対向する第2面42との間に挟まれた状態で収容される。
【0076】
また、防水体50のうち振動部51の外側の環状領域51aは、筐体10と中間部材40とによって挟まれている。具体的には、環状領域51aは、筐体10の第1筐体面11と中間部材40の第1面41とによって挟まれている。防水体50が、第1筐体面11と第1面41とによって挟まれることで、環状領域51aの内側に、前述した振動部51が形成される。
【0077】
このように変形例1でも、中間部材40が、防水体50とともに筐体10のハウジング部14に嵌め込まれる。この嵌め込みによって、防水体50の一部が中間部材40と筐体10とによって挟み込まれ、振動部51が形成される。振動部51の一方主面側には第1の空間s1が形成され、他方主面側には第2の空間s2が形成され、振動部51は、受音方向RSに振動可能となっている。振動部51は、受音方向RSから見た場合に、円形状であり、マイクロホン20よりも面積が大きくなっている。通話装置1Aでも、振動部51の面積がマイクロホン20の面積よりも大きいので、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0078】
[1-4.実施の形態1の変形例2]
次に、実施の形態1の変形例2に係る通話装置1Bについて、
図6および
図7を参照しながら説明する。変形例2では、通話装置1Bの収音部125aが排水溝c1、c2を有している例について説明する。
【0079】
図6は、変形例2に係る通話装置1Bの斜視図である。
図7は、変形例2に係る通話装置1Bを
図6に示すVII-VII線で切断した場合の断面図である。
【0080】
図6に示すように、通話装置1Bは、操作受付部121と、通話部(125aおよび125b)と、制御部126と、通信部127とを備える。
【0081】
通話部は、訪問者が発する音を収音する2つの収音部125a、および、他の通話装置から送信された信号を音として出音する出音部125bによって構成される。各収音部125aを覆う前面パネル60には、複数のパネル音孔63が設けられている。
【0082】
各収音部125aには、外部から浸入する水を排出する排水溝c1が設けられている。排水溝c1は、パネル音孔63に接続されている。各排水溝c1は、
図6に示すように通話装置1Bの中央から外側、かつ、下側に向かって延びるように形成されている。
【0083】
また、
図7に示すように、筐体10には排水溝c2が設けられている。排水溝c2は、外部からパネル音孔63を介して浸入した水を排水する溝である。排水溝c2は、筐体音孔13および排水溝c1の両方を繋ぐように形成されている。
【0084】
実施の形態1の変形例2に係る通話装置1Bは、筐体10が、外部から浸入する水を排水する排水溝c2を有している。
【0085】
通話装置1Bが排水溝c2を有することで、通話装置1Bに水が浸入することを抑制することができる。これにより、振動部51が水に接触することを抑制し、振動部51の振動が減衰することを抑制できる。これにより、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制することができる。
【0086】
また、通話装置1Bでは、第2の空間s2の高さが、第1の空間s1の高さよりも低くてもよい。この構造によれば、第2の空間s2にて水が溜まることを抑制することができる。
【0087】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るインターホンシステムについて、
図8および
図9を参照しながら説明する。
図8は、実施の形態2に係るインターホンシステム100を示す模式図である。
【0088】
図8に示すように、インターホンシステム100は、集合施設H101に設けられている。集合施設H101は、住居またはオフィスなどの複数の施設101、201、301および共用スペースの一例である玄関を備えている。
【0089】
インターホンシステム100は、通話装置(インターホン玄関装置)1と、制御装置150と、通話装置1と異なる他の通話装置(インターホン親機)160a、160b、160cと、複数のインターホン子機170a、170b、170cとを備えている。以下、他の通話装置をインターホン親機と呼ぶ。
【0090】
制御装置150は、通話装置1と各インターホン親機160a~160cとの通信を制御する装置である。
【0091】
インターホン親機160a~160cのそれぞれは、各施設101~301内に設置されている。
【0092】
インターホン子機170a~170cは、ドアホンであり、各施設101~301の玄関に設置されている。例えば、インターホン子機170aは、インターホン親機160aに直接接続され、インターホン親機160aと通信可能である。
【0093】
図8では、インターホン親機160a~160cおよびインターホン子機170a~70cが3組だけ図示されているが、インターホンシステム100は、実際には、集合施設H101内の施設数に応じて複数組のインターホン親機およびインターホン子機を備える。また、
図8では、制御装置150に対して各インターホン親機160a~160cがダイレクトに接続されているが、それに限られず、制御装置150に接続される幹線に分岐器が配置され、分岐器から分岐された幹線に各インターホン親機160a~160cが接続されていてもよい。
【0094】
次に、インターホンシステム100のうちのインターホン親機160a~160cについて説明する。なお、通話装置1は、実施の形態1の通話装置1と同じ構成であるので説明を省略する。
【0095】
図9は、インターホンシステム100を構成する他の通話装置を示す図である。
図9では、他の通話装置であるインターホン親機160a~160cのうちインターホン親機160aを例に挙げて説明する。
【0096】
図9に示すように、インターホン親機160aは、通信部167と、制御部166と、通話部(164aおよび164b)と、入力受付部161とを備える。
【0097】
通信部167は、制御装置150から送信された作動指令を受信する。通信部167は、例えば、通信モジュールなどの通信回路である。
【0098】
入力受付部161は、訪問者に応答するための操作を受け付けるユーザインターフェースである。入力受付部161は、例えば、タッチパネルまたはハードウェアボタンである。
【0099】
制御部166は、通信部167を介して受け付けた指令に基づいて、通話部に呼出音を出音させる。制御部166は、例えば、マイクロコンピュータまたはプロセッサである。
【0100】
通話部は、通話装置1を用いて呼出操作を行った訪問者と通話するための装置である。通話部は、居住者が発する音を収音する収音部164a、および、制御装置150を介して通話装置1から送信された信号を音として出音する出音部164bを有する。収音部164aは、例えば、マイクロホンを含み、出音部164bは、例えば、スピーカを含む。収音部164aは、実施の形態1に示された収音部125aと同様の構成を備えていてもよい。
【0101】
このようにインターホンシステム100は、通話装置1およびインターホン親機160aを用いて、通話装置相手に音声を伝えることができる。
【0102】
実施の形態2に係るインターホンシステム100は、通話装置1と、通話装置1と通信しかつ通話装置1と異なる通話装置(例えば他の通話装置160a)とを備えている。
【0103】
このように、インターホンシステム100が上記通話装置1を備えることで、収音すべき音が防水体50にて遮られることを抑制するインターホンシステム100を提供することができる。
【0104】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態1、2について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0105】
上記実施の形態では、締結部材72が押さえ付け部材71を押圧することで、マイクロホン20、回路基板30、中間部材40、防水体50が筐体10に固定される例を示したが、固定のしかたとしてはそれに限られない。例えば、筐体10と異なる他の筐体が押さえ付け部材71を押圧することで、マイクロホン20、回路基板30、中間部材40、防水体50が筐体10に固定されてもよい。
【0106】
例えば上記実施の形態では、他の通話装置としてインターホン親機160aが例示されているが、他の通話装置は、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末やパーソナルコンピューターであってもよい。また、他の通話装置は、集合施設の管理人室等に設置される管理人室親機であってもよい。
【0107】
また、実施の形態2では、インターホンシステム100は、集合施設H101用のシステムであったが、戸建住宅用のシステムであってもよい。
【0108】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1、1A、1B 通話装置(インターホン玄関装置)
10 筐体
11 第1筐体面
12 第2筐体面
13 筐体音孔
15 筐体凹部
20 マイクロホン
30 回路基板
40 中間部材
41 第1面
42 第2面
43 中間部材音孔
45 空洞部
48 回転止め部
50 防水体
51 振動部
51a 環状領域
100 インターホンシステム
160a、160b、160c 他の通話装置(インターホン親機)
c1、c2 排水溝
RS 受音方向
s1 第1の空間
s2 第2の空間
Y1 軸