(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】糖鎖の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07H 15/203 20060101AFI20240112BHJP
C08B 13/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C07H15/203
C08B13/00
(21)【出願番号】P 2020020679
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】野上 敏材
(72)【発明者】
【氏名】濱多 智昭
(72)【発明者】
【氏名】酒井 啓
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165725(JP,A)
【文献】Org. Lett.,2015年,17,1525-1528
【文献】Org. Lett.,2013年,15,4520-4523
【文献】Org. Lett.,2011年,13,1544-1547
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される6単糖のうち1種類を選定し、これを活性化して-Xの部位が解離した式(2)で表される中間体カチオンあるいはその等価体を生成させ、同時に、式(2)で表される中間体カチオンのカチオン部位と、前記と同種の式(1)で表される6単糖のヒドロキシ基の部位とを結合させる工程を含
み、
前記同時にとは、中間体の蓄積を待つことなく、同一の反応場で前記式(1)で表される6単糖のヒドロキシ基の部位とを結合させる反応が滞りなく完結することであり、
前記同種の式(1)で表される6単糖とは、前記1種類を選定した式(1)で表される6単糖と、結合される式(1)で表される6単糖が、ヒドロキシ基またはヒドロキシ基を含む基について、同じ位置に同じ基を有し、かつ、Xが同じであることであり、
前記活性化が電気化学的な活性化である、糖鎖の製造方法。
【化1】
(式(1)および式(2)中、XはR
x-L-を表し、LはS、Se、Te、およびOのいずれかである。R
xはパラクロロフェニル基、パラフルオロフェニル基、パラメチルフェニル基、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、またはヘテロアリール基である。R
1はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基、またはメトキシ基であり、R
2はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシ基あるいは水素である。R
3はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、またはフタルイミド基である。2つのR
1、R
2、R
3のいずれか少なくとも1つはヒドロキシ基またはヒドロキシ基を含む基である。)
【請求項2】
前記電気化学的な活性化が、テトラブチルアンモニウムトリフラート、テトラエチルアンモニウムトリフラート、およびテトラプロピルアンモニウムトリフラートの少なくとも1種の存在下で行われる、請求項
1に記載の糖鎖の製造方法。
【請求項3】
前記電気化学的な活性化において、陽極側に上記式(1)で表される6単糖を添加し、陰極側に酸を添加する請求項
1または
2に記載の糖鎖の製造方法。
【請求項4】
前記活性化が、-120℃~-40℃の範囲で行われる、請求項1~
3のいずれか1項に記載の糖鎖の製造方法。
【請求項5】
合成される糖鎖が下記の式(a)または(b)で表される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の糖鎖の製造方法。
【化2】
(式(a)および式(b)中、R
1~R
3およびXは、式(1)または(2)で規定したものと同じである。nは0~10の整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖鎖の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
栄養補助食品(サプリメント)、医薬および農薬等に関する分野を中心に、オリゴ糖の立体選択性の高い合成方法が望まれている。
例えば、特許文献1、非特許文献1および非特許文献2には、電解液中で、電気化学的に糖供与体を酸化してグリコシル化反応を行うことを含む、オリゴ糖の製造方法が記載されている。具体的には、これらの文献に記載の方法は、テトラブチルアンモニウムトリフラート(Bu4NOTf)の存在下で、糖供与体を低温電解酸化することにより、グリコシル化反応の重要な中間体としてグリコシルトリフラートを生成および蓄積する。その後、その中間体と糖受容体をグリコシル化し、グリコシル化して得たオリゴ糖の前駆体を脱保護することを含む。そして、このような方法によれば、高い立体選択性でオリゴ糖を製造でき、さらに、自動合成にも有用である旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Toshiki Nokami, et al., Organic Letters, 2015, Vol. 17, No. 6, pp. 1525-1528
【文献】Toshiki Nokami, et al., Organic Letters, 2013, Vol. 15, No. 17, pp. 4520-4523
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の方法により、液相法によるオリゴ糖の合成において、立体選択されたオリゴ糖の収率が向上した。しかし、これらの従来技術では、活性化させた反応中間体を蓄積させた後、結合形成をする方法を採用している(例えば、特許文献1の段落0053、0056参照)。したがって、反応中間体の蓄積を待たなければならならず、反応に要する時間は長くなる。
そこで本発明は、糖鎖の製造方法において、活性化させた反応中間体の蓄積を待たずに、前記反応中間体と糖受容体とを連続的にグリコシル化することで、反応時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、以下の手段により解決された。
〔1〕式(1)で表される6単糖のうち1種類を選定し、これを活性化して-Xの部位が解離した式(2)で表される中間体カチオンあるいはその等価体を生成させ、同時に、式(2)で表される中間体カチオンのカチオン部位と、前記と同種の式(1)で表される6単糖のヒドロキシ基の部位とを結合させる工程を含む、糖鎖の製造方法。
【化1】
(式(1)および式(2)中、XはR
x-L-を表し、LはS、Se、Te、およびOのいずれかである。R
xはパラクロロフェニル基、パラフルオロフェニル基、パラメチルフェニル基、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、またはヘテロアリール基である。R
1はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基、またはメトキシ基である。R
2はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシ基あるいは水素である。R
3はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、またはフタルイミド基である。ただし、2つのR
1、R
2、R
3のいずれか一つはヒドロキシ基またはヒドロキシ基を含む基である。)
〔2〕前記活性化が電気化学的な活性化である、〔1〕に記載の糖鎖の製造方法。
〔3〕前記電気化学的な活性化が、テトラブチルアンモニウムトリフラート、テトラエチルアンモニウムトリフラート、およびテトラプロピルアンモニウムトリフラートの少なくとも1種の存在下で行われる、〔2〕に記載の糖鎖の製造方法。
〔4〕前記電気化学的な活性化において、陽極側に上記式(1)で表される6単糖を添加し、陰極側に酸を添加する〔2〕または〔3〕に記載の糖鎖の製造方法。
〔5〕前記活性化が、-120℃~-40℃の範囲で行われる、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の糖鎖の製造方法。
〔6〕R
2およびR
3の少なくとも一方は立体障害性基である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の糖鎖の製造方法。
〔7〕合成される糖鎖が下記の式(a)または(b)で表される、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の糖鎖の製造方法。
【化2】
(式(a)および式(b)中、R
1~R
3およびXは、式(1)または(2)で規定したものと同じである。nは0~10の整数である。)
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法により、糖鎖の製造方法において、活性化させた反応中間体の蓄積を待たずに、前記反応中間体と糖受容体とを連続的にグリコシル化することで、反応時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の糖鎖の製造方法の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の主要な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、明示した実施形態に限られるものではない。
【0010】
本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
【0012】
本明細書における基(原子団)の表記について、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有しないものと共に、置換基を有するものをも包含する意味である。例えば、単に「アルキル基」と記載した場合には、これは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)、および、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)の両方を包含する意味である。また、単に「アルキル基」と記載した場合には、これは、鎖状でも環状でもよく、鎖状の場合には、直鎖でも分岐でもよい意味である。これらのことは、「アルケニル基」、「アルキレン基」および「アルケニレン基」についても同義とする。
【0013】
本明細書において、Arはアリール基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基を、Meはメチル基を、Etはエチル基を、TfOまたはOTfはトリフラート基を、Bnはベンジル基を、Bzはベンゾイル基を、Acはアセチル基を、Phthはフタロイル基を、PhthNはフタルイミド基を、MOMはメトキシメチル基をそれぞれ示している。
【0014】
本発明の糖鎖の製造方法においては、下記式(1)で表される6単糖のうち1種類を選定する。
【化3】
式(1)中、XはR
x-L-を表し、LはS、Se、Te、およびOのいずれかである。これらの連結基は活性化されやすい。また、Sなどが糖の末端に残ることにより生成物の識別が容易になる。
R
xはパラクロロフェニル基、パラフルオロフェニル基、パラメチルフェニル基、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、あるいはヘテロアリール基である。
R
1はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基あるいはメトキシ基である。
R
2はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシ基あるいは水素である。R
3はベンゾイルオキシ基、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、またはフタルイミド基である。R
2とR
3はOHと反応しない基であることが好ましい。R
2とR
3の一方は、立体障害基が好ましい。
2つのR
1、R
2、R
3のいずれか一つはヒドロキシ基またはヒドロキシ基を含む基であり、なかでも、2つのR
1のいずれか一つがヒドロキシ基またはヒドロキシ基を含む基である態様が好ましく、2つのR
1のいずれか一つがヒドロキシ基である態様がより好ましい。ここでのヒドロキシ基を含む基としては、ヒドロキシアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)等が挙げられる。
【0015】
本発明においては、6単糖のうち1種類を選定する。このように同種の単糖を用いることにより、活性化と結合反応とを同時に進行させても適切な糖鎖が合成できる。また、特に単糖はXの部位が多糖に比べ格段に活性化されやすく、選択的に活性化される。一方、他の種類の6単糖が混在すると、所望のグルコシル化反応が進行しないことが懸念される。この理由としては、同種の化合物を選定しない場合、6単糖化合物の立体的な障害等により所望の重合反応が進行しないことが推定される。また、基質として1種類のものを選定する理由として、他の種類の6単糖が混在すると生成するオリゴ糖の精製が極めて困難になることが挙げられる。精製が極めて困難になれば、得られたオリゴ糖は混合物としてでしか使うことができず、商品としての価値も著しく損なわれる。また、以下の立体障害性基の利用も難しくなる。ここで他種の6単糖として、グルコースに対する、ガラクトースやグルコサミンが挙げられる。つまり、6単糖の母核に置換する置換基が異なる場合、特には極性のある置換基や立体障害性のある置換基を有するものは他種に該当する。換言すると、同種の6単糖とは、母核となる6員環が同一であることはもとより、置換基においても一致していることが好ましく、相違があっても比較的小さく非極性の置換基の範囲(例えば炭素数1~6のアルキル基、好ましくは炭素数1~3のアルキル基)の範囲であることが求められる。なお、本明細書において「立体障害性基」とは、その基の存在で立体的な制約を受け、反応により目的の化合物を得たり、逆に得られなくなったりする置換基である。炭素原子を含む置換基としていうと、立体障害性基の定義として炭素原子数4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることがより好ましい。上限は特にないが、50以下であることが実際的である。
【0016】
次に、活性化と結合反応とを同時に進行させるときの「同時に」の定義を確認する。本明細書において「同時に」とは、逐次に反応することを除外する意味であり、典型的には従来例のように中間体の蓄積を待って、次の反応に進むような態様を除外する意味である。換言すると、「同時に」とは、中間体の蓄積を待つ必要がなく、同一の反応場(反応溶媒等)で所望の反応が滞りなく完結することを意味する。具体的な時間でいうと、反応の間隔が10秒以下であることが好ましく、2秒以下であることがより好ましく、0.1秒以下であることがさらに好ましい。
【0017】
本発明の糖鎖の製造方法においては、上記で選定された1種類の6単糖を活性化して-Xの部位が解離した式(2)で表される中間体カチオンあるいはその等価体を生成させる。
【化4】
【0018】
式(2)中のR1~R3は式(1)と同義である。
【0019】
本発明において、中間体カチオンの等価体とは、グリコシルトリフラートあるいはグリコシルスルホニウムイオンを指すものとする。
【0020】
本発明において活性化の手法は特に限定されず、直接的が好ましいが、間接的(特定の物質を活性化させ、その活性化した物質が糖を活性化させる)であってもよい。また、試薬等による活性化であってもよい。このときの条件は、所定の化合物の存在下で陽極酸化する態様が挙げられる。
【0021】
ここで、本発明の製造方法の各ステップ(工程)について、図面を参照しながら一例を示す。ただし、これにより本発明が狭く解されるものではない。
【0022】
まず、陽極側に基質となる式(1)で表される6単糖、好ましくはチオグリコシド化合物を添加する。(
図1のステップS1)参照。
【0023】
本発明においては中でも、両極において、テトラアルキルアンモニウムトリフラート(例えばテトラブチルアンモニウムトリフラート(Bu4NOTf)、テトラエチルアンモニウムトリフラート(Et4NOTf))、およびテトラプロピルアンモニウムトリフラート(Pr4NOTf)の少なくとも1種の存在下で活性化が行われることが好ましい。テトラアルキルアンモニウムトリフラートの添加量は適宜調節すればよいが、両極合計で、チオグリコシドに対してモル比で0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。上限は特にないが5以下であることが実際的である(ステップS2を参照)。
【0024】
化学的に活性化するときの溶媒は適宜選定されればよいが、例えば、ジクロロメタンが挙げられる(ステップ3)。
【0025】
陰極には酸(特にはTfOH(トリフルオロメタンスルホン酸))を添加することが好ましい。酸の添加量は、式(1)で表される6単糖に対して、化学量論量(モル比)で、0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。上限は特にないが5以下であることが実際的である(ステップS4を参照)。
【0026】
電気化学的に活性化するときの温度は適宜選定されればよいが、-40℃以下であることが好ましく、-60℃以下であることがより好ましく、-70℃以下であることがさらに好ましい。下限値は特に制限されないが、-120℃以上であることが実際的である(
図1、ステップS5参照)。
電気化学的な活性化としては、上記のように、直接的に行うことが好ましいが、間接的であってもよい。電気化学的な活性化において印加する電気は直流であることが好ましい。通電する条件としては、2mA以上であることが好ましく、4mA以上であることがより好ましく、5mA以上であることがさらに好ましい。上限は特にないが、50mA以下であることが実際的である。
【0027】
反応の停止は常法によればよいが、例えば、昇温の後、アミン化合物(トリエチルアミン等)を添加して反応を停止する態様が挙げられる(
図1、ステップS6,S7参照)。このときの温度は特に限定されないが、反応時の温度より10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、25℃以上高いことが特に好ましい。上限は特にないが、常温にまで昇温する態様が挙げられる。
得られた生成物の処理も常法によればよいが、例えば、室温に昇温し水洗浄した後、乾燥する態様が挙げられる(
図1、ステップS8参照)。
【0028】
合成される糖鎖は特に限定されないが、下記の式(a)または(b)で表される糖鎖であることが好ましい。
【化5】
式中のR
1~R
3およびXは式(1)または(2)で規定したものと同じである。nは0~10の整数であり、0~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい。本発明においては、立体異性体(α型、β型)も1種類(異なる種)と解することが好ましく、基質となる6単糖においてもこれが揃ったものを用いることが好ましい。
【0029】
本発明の好ましい実施形態においては、下記のような利点および特徴がある。
1.反応時間が大幅に短縮される(脱保護工程や結合形成時間の確保が不要)
2.反応中間体の蓄積が不要(極低温は必ずしも必要としない)
3.末端の置換基(X)は選択的に活性化が可能
【実施例】
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
【0031】
実施例1
グルコサミン由来のチオグリコシド(下記式(A))を用い、下記式のとおり電解重合によりオリゴ糖を合成した。
【化6】
【0032】
ガラス隔膜付き電解セルの陽極側に上記式(A)のチオグリコシド(109mg,0.20mmol)、両極にBu4NOTf(テトラブチルアンモニウムトリフラート)(393mg,1.0mmol)を加え、減圧乾燥、Ar置換後、両極にジクロロメタン(塩化メチレン)を10mLずつ加えた。陰極にはTfOH(トリフルオロメタンスルホン酸)(18μL,0.20mmol)を加えた。続いて、低温バスにて電解セルを-70℃に冷却し、電解酸化(通電条件:8mA,21min,0.52F/mol)を行った。通電終了後-30℃まで昇温し、さらに1時間撹拌した。その後トリエチルアミン(0.3mL)を両極に加えて反応を停止し、室温まで昇温した。反応混合物を濃縮後、酢酸エチルにて希釈した上で分液ロートを用いて水洗浄を行った。得られた有機相に乾燥剤(Na2SO4)を加え脱水を行った。ろ過により乾燥剤を除去した後、減圧濃縮を行い、さらに真空乾燥を行った。得られた粗生成物(140mg)に対してMALDI-TOF-MS分析を行ったのち、ゲル浸透クロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)にて単離精製を行った。単離生成物に対して1HNMR測定、MALDI-TOF-MS測定を行い、収量はそれぞれ二糖(30mg,31%収率)、三糖(23mg,24%)、四糖(8.3mg,9%)、五糖(4.1mg,5%)、六糖(1.5mg,2%)であった。
【0033】
【0034】
以下に、上記二糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果とを示す。
【0035】
TLC (hexane/EtOAc 1:2): Rf 0.73
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.83 (m, 4 H), 7.71 (m, 4 H), 7.33 (m, 5 H), 7.29 (m, 4 H), 7.22 (d, J = 6.9 Hz, 2 H), 6.82 (pseudo-t , J = 8.6 Hz, 2 H), 5.67 (dd, J = 10.0, 8.9 Hz, 1 H), 5.57 (dd, J = 10.6, 8.9 Hz, 1 H), 5.50 (d, J = 10.6 Hz, 1 H), 5.45 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.54 (d, J = 11.8 Hz, 1 H), 4.49 (d, J = 11.8 Hz, 1 H), 4.37 (d, J = 11.8 Hz, 1 H), 4.32 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 4.15 (pseudo-t, J = 10.3 Hz, 1 H), 4.11 (dd, J = 10.7, 8.3 Hz, 1 H), 4.03 (pseudo-t, J = 9.2 Hz, 1 H), 3.81 (td, J = 9.2, 3.2 Hz, 1 H), 3.75 (dd, J = 10.0, 4.0 Hz, 1 H), 3.66 (dd, J = 10.0, 4.9 Hz, 1 H), 3.52 (dd, J = 9.8, 2.3 Hz, 2 H), 3.43-3.49 (m, 2 H),
2.98 (s, 1 H), 1.88 (s, 3 H), 1.82 (s, 3 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C52H47FN2KO14S [M+K]+, 1013; found 1013.
【0036】
【0037】
以下に、上記三糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果とを示す。
【0038】
TLC (hexane/EtOAc 1:2): Rf 0.60
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.81 (m, 6 H), 7.71 (m, 6 H), 7.33 (m, 5 H), 7.29 (m, 5 H), 7.22 (pseudo-t, J = 7.92 Hz, 5 H), 7.14 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 2 H), 7.01 (pseudo-t, J = 7.3 Hz, 1 H), 6.82 (pseudo-t, J = 8.6 Hz, 2 H), 5.58 (pseudo-t, J = 9.4 Hz, 1 H), 5.54 (td, J = 10.6, 1.6 Hz, 1 H), 5.51 (td, J = 10.6, 1.6 Hz, 1 H), 5.46 (d, J = 10.5 Hz, 1 H), 5.38 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 5.27 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.52 (d, J = 11.7 Hz, 1 H), 4.47 (d, J = 11.8 Hz, 1 H), 4.43 (d, J = 11.8 Hz, 1 H), 4.42 (d, J = 11.6 Hz, 1 H), 4.38 (d, J = 11.7 Hz, 1 H), 4.31 (d, J = 11.6 Hz, 1 H), 4.14 (m, 2 H), 4.07 (dd, J = 10.7, 8.3 Hz, 1 H), 4.02 (dd, J = 10.4, 8.2 Hz, 1 H), 3.98 (d, J = 9.4 Hz, 1 H), 3.79 (td, J = 9.2, 3.2 Hz, 1 H), 3.72 (dd, J = 9.9, 4.0 Hz, 1 H), 3.63 (dd, J = 9.9, 4.9 Hz, 1 H), 3.54 (d, J = 10.4 Hz, 1 H), 3.46 (dd, J = 10.7, 3.7 Hz, 1 H), 3.43 (d, J = 10.9 Hz, 2 H), 3.30 (dd, J = 11.2, 3.5 Hz, 1 H), 3.27 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1 H), 3.10 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 2.88 (d, J = 3.3 Hz, 1 H), 1.80 (s, 3 H), 1.71 (s, 3 H), 1.63 (s, 3 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C75H68FN3KO21S [M+K]+, 1436; found 1436.
【0039】
【0040】
以下に、上記四糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果とを示す。
【0041】
TLC (hexane/EtOAc 1:2): Rf 0.50
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.86 (m, 4 H), 7.80 (m, 3 H), 7.75 (m, 5 H), 7.71 (m, 2 H), 7.67 (m, 2 H), 7.30 (m, 12 H), 7.21 (m, 8 H), 7.10 (pseudo-t, J = 7.92 Hz, 5 H), 7.00 (pseudo-t, J = 7.9 Hz, 2 H), 6.94 (pseudo-t, J = 7.4 Hz, 1 H), 6.82 (pseudo-t, J = 8.7 Hz, 2 H), 6.70 (pseudo-t, J = 7.4 Hz, 1 H), 5.57 (dd, J = 10.1, 9.1 Hz, 1 H), 5.49 (dd, J = 10.7, 8.9 Hz, 1 H), 5.47 (dd, J = 9.0, 2.0 Hz, 1 H), 5.45 (dd, J = 8.9, 1.8 Hz, 1 H), 5.44 (d, J = 10.5 Hz, 1 H), 5.34 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 5.21 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 5.18 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.51 (d, J = 11.6 Hz, 1 H), 4.47 (d, J = 11.6 Hz, 1 H), 4.42 (dd, J = 11.8, 9.3 Hz, 3 H), 4.37 (d, J = 11.8 Hz, 1 H), 4.34 (d, J = 11.5 Hz, 1 H), 4.31 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.13 (d, J = 10.4 Hz, 1 H), 4.10 (d, J = 9.4 Hz, 1 H), 4.08 (d, J = 9.1 Hz, 1 H), 4.05 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 4.03 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 3.98 (m, 3 H), 3.77 (td, J = 9.2, 3.2 Hz, 1 H), 3.71 (dd, J = 9.8, 3.9 Hz, 1 H), 3.62 (dd, J = 9.8, 4.9 Hz, 1 H), 3.53 (d, J = 9.9 Hz, 1 H), 3.45 (dd, J = 9.9, 4.3 Hz, 2 H), 3.39 (td, J = 7.9, 3.7 Hz, 2 H), 3.25 (dd, J = 10.3, 2.6 Hz, 1 H), 3.23 (d, J = 4.7 Hz, 1 H), 3.22 (dd, J = 10.4, 2.8 Hz, 1 H), 3.01 (dd, J = 9.9, 1.5 Hz, 1 H), 2.85 (d, J = 3.1 Hz, 1 H), 2.79 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 1.87 (s, 3 H), 1.78 (s, 3 H), 1.73 (s, 3 H), 1.67 (s, 3 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C98H89FN4KO28S [M+K]+, 1859; found 1859.
【0042】
【0043】
以下に、上記五糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果とを示す。
【0044】
TLC (hexane/EtOAc 1:2): Rf 0.30
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.64-7.90 (m, 20 H), 7.25-7.35 (m, 17 H), 7.23 (d, J = 6.8 Hz, 2 H), 7.21 (d, J = 7.3 Hz, 2 H), 7.17 (d, J = 7.4 Hz 2 H), 7.09 (pseudo-t, J = 7.7 Hz, 2 H), 6.96 (pseudo-t, J = 7.7 Hz, 2 H), 6.92 (pseudo-t, J = 7.9 Hz, 2 H), 6.82 (pseudo-t, J = 8.6 Hz, 2 H), 6.64 (pseudo-t, J = 7.5 Hz, 1 H), 6.57 (pseudo-t, J = 7.4 Hz, 1 H), 5.56 (pseudo-t, J = 9.2 Hz, 1 H), 5.48 (dd, J = 11.0, 9.3 Hz, 1 H), 5.44 (d, J = 10.5 Hz, 2 H), 5.37 (dd, J = 10.7, 9.0 Hz, 1 H), 5.32 (d, J = 8.3 Hz, 1 H), 5.19 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 5.12 (dd, J = 10.1, 8.5 Hz, 2 H), 4.51 (d, J = 11.6 Hz, 1 H), 4.47 (d, J = 11.6 Hz, 1 H), 4.42 (d, J = 12.2 Hz, 3 H), 4.37 (d, J = 11.6 Hz, 1 H), 4.34 (d, J = 11.3 Hz, 2 H), 4.31 (d, J = 11.2 Hz, 1 H), 4.08 (pseudo-t, J = 9.2 Hz, 1 H), 4.04 (dd, J = 10.2, 8.5 Hz, 2 H), 3.91-4.01 (m, 4 H), 3.77 (td, J = 9.4, 3.3 Hz, 1 H), 3.70 (dd, J = 9.8, 3.8 Hz, 1 H), 3.63 (dd, J = 9.7, 4.8 Hz, 1 H), 3.52 (d, J = 10.0 Hz, 1 H), 3.43 (pseudo-t, J = 9.9 Hz, 2 H), 3.38 (dd, J = 8.3, 4.1 Hz, 2 H), 3.22 (dd, J = 9.5, 5.1, 1 H), 3.19 (dd, J = 13.1, 2.6 Hz, 1 H), 3.15 (dd, J = 10.3, 2.3 Hz, 1 H), 2.99 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 2.84 (d, J = 3.3 Hz, 1 H), 2.72 (d, J = 10.0 Hz, 1 H), 2.66 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 1.87 (s, 3 H), 1.78 (s, 3 H), 1.73 (s, 3 H), 1.70 (s, 3 H), 1.65 (s, 3 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C121H110FN5KO35S [M+K]+, 2282; found 2282.
【0045】
【0046】
以下に、上記六糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果を示す。
【0047】
TLC (hexane/EtOAc 1:2): Rf 0.23
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.63-7.90 (m, 24 H), 7.26-7.35 (m, 9 H), 7.21 (dd, J = 14.4, 7.2 Hz, 6 H), 7.15 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 6 H), 7.08 (pseudo-t, J = 7.8 Hz 2 H), 6.95 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 2 H), 6.90 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 2 H), 6.88 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 2 H), 6.81 (pseudo-t, J = 8.4 Hz, 2 H), 6.63 (pseudo-t, J = 7.2 Hz, 1 H), 6.54 (pseudo-t, J = 7.2 Hz, 1 H), 6.51 (pseudo-t, J = 7.2 Hz, 1 H), 5.55 (dd, J = 10.2, 9.0 Hz, 1 H), 5.48 (dd, J = 10.2, 9.0 Hz, 1 H), 5.44 (d, J = 10.2 Hz, 1 H), 5.43 (d, J = 10.2 Hz, 1 H), 5.42 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 5.36 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 5.35 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 5.32 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 5.19 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 5.12 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 5.10 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 5.07 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.50 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.46 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.42 (d, J = 11.4 Hz, 5 H), 4.37 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.35 (d, J = 12.6 Hz, 1 H), 4.34 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.33 (d, J = 10.8 Hz, 1 H), 4.30 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.12 ( pseudo-t, J = 10.2 Hz, 1 H), 4.08 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.89-4.05 (m, 9 H), 3.76 (td, J = 9.6, 3.6 Hz, 1 H), 3.61 (dd, J = 9.6, 4.8 Hz, 1 H), 3.52 (d, J = 10.2 Hz, 1 H), 3.43 (d, J = 9.6 Hz, 2 H), 3.38 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 4 H), 3.16-3.24 (m, 3 H), 3.08-3.15 (m, 3 H), 2.98 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 2.83 (d, J = 3.0 Hz, 1 H), 2.71 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 2.65 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 2.60 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 1.86 (s, 3 H), 1.78 (s, 3 H), 1.73 (s, 3 H), 1.71 (s, 3 H), 1.69 (s, 3 H), 1.64 (s, 3 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C144H131FN6KO42S [M+K]+, 2705; found 2705.
【0048】
実施例2
実施例1とは異なるグルコース由来のチオグリコシド(下記式(B))を用いて、下記式のとおり電解重合によりオリゴ糖を合成した。
【化12】
【0049】
ガラス隔膜付き電解セルの陽極側に上記式(B)のチオグリコシド(236mg,0.40mmol),両極にEt4NOTf(テトラエチルアンモニウムトリフラート)(558mg,2.0mmol)を加え、減圧乾燥、Ar置換後、両極にジクロロメタン(塩化メチレン)を20mLずつ加えた。陰極にはTfOH(トリフルオロメタンスルホン酸)(35.2μL,0.40mmol)を加えた。続いて、低温バスにて電解セルを-80℃に冷却し、電解酸化(通電条件:8mA,63min,0.79F/mol)を行った。通電終了後-50℃まで昇温し、さらに1時間撹拌した。その後トリエチルアミン(0.3mL)を両極に加えて反応を停止し、室温まで昇温した。反応混合物を濃縮後、酢酸エチルにて希釈した上で分液ロートを用いて水洗浄を行った。得られた有機相に乾燥剤(Na2SO4)を加え脱水を行った。ろ過により乾燥剤を除去した後、減圧濃縮を行い、さらに真空乾燥を行った。得られた粗生成物(230.9mg)に対してMALDI-TOF-MS分析を行ったのち、ゲル浸透クロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)にて単離精製を行った。単離生成物に対して1HNMR測定、MALDI-TOF-MS測定を行い、収量はそれぞれ二糖(28mg,15%収率),三糖(28mg,15%),四糖(22mg,12%),五糖(12mg,7%),六糖(8mg,5%)であった。
【0050】
【0051】
以下に、上記二糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果を示す。
【0052】
TLC (hexane/EtOAc 2:1): Rf 0.40
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.97-7.91 (m, 4 H), 7.59 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 1 H), 7.56 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 1 H), 7.45 (pseudo-t, J = 7.2 Hz, 2 H), 7.42 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 2 H), 7.39-7.24 (m, 12 H), 7.19-7.12 (m, 5 H), 7.12-7.08 (m, 4 H), 7.04 (dd, J = 12.0, 5.4 Hz, 2 H), 5.21 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 5.16 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 4.85 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.74 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.68 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.67 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.60-4.57 (m, 3 H), 4.42-4.38 (m, 2 H), 4.33 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.00 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.79 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.71 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.62 (dd, J = 10.8, 4.2 Hz, 1 H), 3.57 (dd, J = 9.6, 4.8 Hz, 1 H), 3.56-3.52 (m, 2 H), 3.48 (dd, J = 9.6, 6.0 Hz, 1 H), 3.37 (pseudo-t, J = 9.6, 6.0 Hz, 1 H), 3.30 (ddd, J = 9.6, 3.6, 1.2 Hz, 1 H), 3.06 (s, 1 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C60H57ClKO12S [M+K]+, 1075; found 1075.
【0053】
【0054】
以下に、上記三糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果を示す。
【0055】
TLC (hexane/EtOAc 2:1): Rf 0.33
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.91-7.87 (m, 5 H), 7.63 (pseudo-t, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.58 (pseudo-t, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.54 (pseudo-t, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.46 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 3 H), 7.43 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 3 H), 7.39 (pseudo-t, J = 7.8 Hz, 3 H), 7.35-7.13 (m, 19 H), 7.13-7.06 (m, 5 H), 7.06-7.01 (m, 5 H), 6.94-6.87 (m, 3 H), 5.22 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 5.15 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 5.10 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 4.89 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.86 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.73 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.67 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.62 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 4.58 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.56 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.53 (d, J = 3.6 Hz, 1 H), 4.52 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 4.49 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.43 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 4.42 (d, J = 10.2 Hz, 1 H), 4.41 (d, J = 4.2 Hz, 1 H), 4.24 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.12 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.08 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.91 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.79 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.65 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.60 (dd, J = 10.2, 4.8 Hz, 1 H), 3.57 (dd, J = 10.8, 3.6 Hz, 1 H), 3.53-3.46 (m, 4 H), 3.44 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.37 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 3.34 (dd, J = 9.6, 4.8 Hz, 1 H), 3.22 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.06 (s, 1 H), 2.93 (d, J = 9.6 Hz, 1 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C87H83ClKO18S [M+K]+, 1521; found 1521.
【0056】
【0057】
以下に、上記四糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果を示す。
【0058】
TLC (hexane/EtOAc 2:1): Rf 0.27
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.90-7.83 (m, 8 H), 7.63-7.59 (m, 2 H), 7.57-7.52 (m, 2 H), 7.47-7.36 (m, 9 H), 7.34-7.31 (m, 5 H), 7.29-7.23 (m, 6 H), 7.19-7.01 (m, 26 H), 6.98 (pseudo-t, J = 7.2 Hz, 1 H), 6.94-6.86 (m, 5 H), 5.23 (dd, J = 9.6, 8.4 Hz, 1 H), 5.15 (dd, J = 9.6, 8.4 Hz, 1 H), 5.09 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 5.08 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 4.91 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.86 (d, J = 12.6 Hz, 1 H), 4.85 (d, J = 12.6 Hz, 1 H), 4.73 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.67 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.62 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.58 (d, J = 12.6 Hz, 1 H), 4.55 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.54 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.51-4.47 (m, 3 H), 4.43-4.39 (m, 2 H), 4.37 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 4.34 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.19 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.12 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.07 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 4.00 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 3.97 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.87 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.79 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.62 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.60 (dd, J = 10.2, 4.8 Hz, 1 H), 3.54-3.44 (m, 6 H), 3.40-3.31 (m, 6 H), 3.19 (ddd, J = 9.6, 3.6, 1.2 Hz, 1 H), 3.07 (s, 1 H), 2.88-2.84 (m, 2 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C114H109ClKO24S [M+K]+, 1968; found 1968.
【0059】
【0060】
以下に、上記五糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果を示す。
TLC (hexane/EtOAc 1:1): Rf 0.83
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.90-7.81 (m, 10 H), 7.62-7.51 (m, 5 H), 7.45-7.36 (m, 11 H), 7.34-7.31 (m, 5 H), 7.28-7.23 (m, 6 H), 7.17-6.85 (m, 42 H), 5.23 (dd, J = 9.6, 7.8 Hz, 1 H), 5.17 (dd, J = 9.6, 7.8 Hz, 1 H), 5.09 (dd, J = 9.0, 7.8 Hz, 1 H), 5.08-5.05 (m, 2 H), 4.91 (d, J = 12.6 Hz, 1 H), 4.89 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.86 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.85 (d, J = 12.6 Hz, 1 H), 4.73 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.67 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.63 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.57 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.54 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.53 (d, J = 13.2 Hz, 1 H), 4.50 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.49 (d, J = 10.6 Hz, 1 H), 4.47 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.45-4.34 (m, 6 H), 4.27 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 4.19 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.13 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.08 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 4.02-3.92 (m, 5 H), 3.85 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.80 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.61 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.60 (d, J = 10.2 Hz, 1 H), 3.53-3.26 (m, 14 H), 3.18 (ddd, J = 9.6, 3.6, 1.2 Hz, 1 H), 3.06 (s, 1 H), 2.88 (dd, J = 9.6, 1.8 Hz, 1 H), 2.84-2.77 (m, 2 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C141H135ClKO30S [M+K]+, 2414; found 2413.
【0061】
【0062】
以下に、上記六糖について実施したNMR測定の結果とMSスペクトルの結果を示す。
TLC (hexane/EtOAc 1:1): Rf 0.76
<1H NMR (CDCl3, 600 MHz)化学シフト値>
7.90-7.80 (m, 12 H), 7.62-7.52 (m, 6 H), 7.45-7.36 (m, 13 H), 7.34-7.31 (m, 5 H), 7.28-7.23 (m, 6 H), 7.17-6.85 (m, 52 H), 5.23 (dd, J = 9.6, 7.8 Hz, 1 H), 5.17 (dd, J = 9.0, 7.8 Hz, 1 H), 5.12-5.04 (m, 4 H), 4.91 (d, J = 12.6 Hz, 1 H), 4.88 (d, J = 12.6 Hz, 1 H), 4.87 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.86 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.84 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.73 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.67 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.63 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 4.58-4.46 (m, 8 H), 4.43-4.33 (m, 6 H), 4.29-4.24 (m, 2 H), 4.18 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.13 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.08 (pseudo-t, J = 9.6 Hz, 1 H), 4.02 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 4.00-3.93 (m, 5 H), 3.85 (pseudo-t, J = 8.4 Hz, 1 H), 3.79 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.62-3.59 (m, 2 H), 3.53-3.26 (m, 18 H), 3.18 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.05 (s, 1 H), 2.88 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 2.82-2.75 (m, 2 H).
MS (MALDI) m/z calcd for C168H161ClFKO36S [M+K]+, 2860; found 2860.