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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】アスファルト改質材
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20240112BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20240112BHJP
   E01C 7/18 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C08L95/00
C08L9/06
E01C7/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020037454
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021138837
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390002185
【氏名又は名称】大成ロテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591063453
【氏名又は名称】日進化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 誠二郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 政樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸武
(72)【発明者】
【氏名】小柳 智子
(72)【発明者】
【氏名】焼山 明生
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-029839(JP,A)
【文献】特開2005-200645(JP,A)
【文献】特開2002-338813(JP,A)
【文献】特表2011-510101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/16
E01C 1/00 - 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトを改質するアスファルト改質材であって、
スチレン系エラストマ及び油を含む、アスファルトの改質材組成物と、
前記改質材組成物を被覆するとともにスチレン系エラストマのみからなる被覆材とを含み、
前記改質材組成物に含まれるスチレン系エラストマと、前記被覆材を構成するスチレン系エラストマとは同種である
アスファルト改質材。
【請求項2】
前記アスファルト改質材は前記改質材組成物を前記被覆材に収容した枕状である
請求項1に記載のアスファルト改質材。
【請求項3】
前記改質材組成物はゾル状である
請求項1又は2に記載のアスファルト改質材。
【請求項4】
プラントミックス用である
請求項1~の何れか1項に記載のアスファルト改質材。
【請求項5】
スチレン系エラストマを含むポリマー改質アスファルト又はストレートアスファルトへの混合用であって、
前記アスファルト改質材に含まれるスチレン系エラストマは、前記ポリマー改質アスファルトに含まれるスチレン系エラストマと同種である
請求項1~の何れか1項に記載のアスファルト改質材。
【請求項6】
前記改質剤組成物と前記被覆材とは別体の部材であり、
前記被覆材の厚さは0.1mm以上5mm以下である
請求項1~5の何れか1項に記載のアスファルト改質材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト改質材に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルトの改質技術として、特許文献1及び2に記載の技術が知られている。特許文献1には、アスファルトに対する溶解性が良好で、加工性及び貯蔵安定性等に優れるとともに、耐摩耗性、耐衝撃性、耐流動性などの物理的強度を更に向上可能なアスファルト改質材が記載されている(特に要約書参照)。特許文献2には、ポリエチレン製袋等に1~3kgの小口充填しておけば、アスファルトプラントで、アスファルトと骨材を混合して改質アスファルト合材を製造する際に、小口充填されたポリエチレン製袋等ごと、直接投入可能なアスファルト改質材が記載されている(特に段落0019参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-316437号公報
【文献】特開2005-62615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアスファルト改質材では、加工性、貯蔵安定性及び物理的強度が考慮されているにすぎず、柔軟性については考慮されていない。また、特許文献2に記載のアスファルト改質材に使用されるポリエチレンは柔軟性に寄与しない。従って、特許文献1及び2に記載の技術には、柔軟性向上のようなアスファルト混合物の高機能化という点で改善の余地がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、アスファルト混合物を高機能化可能なアスファルト改質材の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアスファルト改質材は、アスファルトを改質するアスファルト改質材であって、スチレン系エラストマ及び油を含む、アスファルトの改質材組成物と、前記改質材組成物を被覆するとともにスチレン系エラストマのみからなる被覆材とを含み、前記改質材組成物に含まれるスチレン系エラストマと、前記被覆材を構成するスチレン系エラストマとは同種である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アスファルト混合物を高機能化可能なアスファルト改質材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のアスファルト改質材の斜視図である。
図2】本実施形態のアスファルト改質材の側面図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4】本実施形態のアスファルト改質材の製造方法を示すフローチャートである。
図5A】本実施形態のアスファルト改質材の製造方法を示す工程図であって、スチレン系エラストマ及び油を混合する様子を示す図である。
図5B】本実施形態のアスファルト改質材の製造方法を示す工程図であって、一端を封止した筒状の被覆材に改質材組成物を収容する様子を示す図である。
図5C】改質材組成物の収容後の被覆材の他端を封止することで得られたアスファルト改質材の斜視図である。
図6】本実施形態のアスファルト改質材を使用したアスファルト混合物の製造方法を示すフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本発明は以下の内容及び図示の内容になんら限定されず、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形して実施できる。本発明は、異なる実施形態同士を組み合わせて実施できる。以下の記載において、異なる実施形態において同じ部材については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。また、同じ機能のものについては同じ名称を使用し、重複する説明は省略する。以下に示す断面図において、図示の簡略化のために、ハッチングの図示を省略することがある。
【0010】
図1は、本実施形態のアスファルト改質材1の斜視図である。アスファルト改質材1は、例えばポリマー改質アスファルト、ストレートアスファルト等のアスファルトへの混合により、アスファルトを改質するものである。改質は、通常、改質材組成物3及び被覆材4の両成分によって行われる。アスファルト改質材1の混合により、アスファルト混合物が得られる。
【0011】
アスファルト改質材1は、改質材組成物3(図3参照)を収容した被覆材4の左右両端に、封止部2を備える。封止部2は、例えば、封止部2を形成する前の開口5(図5B参照)を通じた改質材組成物3の収容後、開口5の部分で被覆材4を融着することで形成される。封止部2は、図示の例では左右2か所であるが、アスファルト改質材1の前周に亘って形成されてもよく、左右いずれか一方のみに形成されてもよい。
【0012】
アスファルト改質材1は改質材組成物3を被覆材4に収容した枕状である。アスファルト改質材1の形状について、図2を参照しながら説明する。
【0013】
図2は、本実施形態のアスファルト改質材1の側面図である。本明細書において枕状とは、左右の少なくとも一端に封止部2を備えるとともに、側面視で、アスファルト改質材1の中心P1,P2から左右それぞれの封止部2,2の位置A1,A2に向かって下る傾斜L1,L1,L2,L2を有する形状をいう。図示の例では、傾斜L1,L1,L2,L2は全て同じ形状を有するが、一部が異なっていてもよい。また、傾斜L1,L1,L2,L2は曲線に限られず、直線、又は曲線と直線との併存でもよい。さらに、中心P1,P2から位置A1,A2に向かって全区域で下る必要はなく、例えば同一高さの直線を含む等、中心P1,P2間の高さHが最大であればよい。
【0014】
アスファルト改質材1の左右方向の長さLは例えば5cm以上10cm以下である。アスファルト改質材1の上下方向の高さHは例えば1cm以上5cm以下である。アスファルト改質材1の幅(図1における前後方向長さ)は、例えば1cm以上5cm以下である。ただし、アスファルト改質材1の長さL、高さH及び幅は、これらの数値範囲に限定されるものではない。
【0015】
図3は、図1のA-A線断面図である。アスファルト改質材1は、アスファルトの改質材組成物3と、被覆材4とを備える。アスファルト改質材1が改質材組成物3及び被覆材4を備えることで、アスファルト改質材1を用いて得られるアスファルト混合物を高機能化できる。便宜上、被覆材4を初めに説明する。
【0016】
被覆材4は、改質材組成物3を被覆するとともにスチレン系エラストマを含んで構成される。被覆材4によって改質材組成物3を被覆することで、改質材組成物3の性状(例えばべたつき)等によって改質材組成物3単独での取り扱いが難しい場合でも、改質材組成物3の取り扱いを容易にできる。また、被覆材4がスチレン系エラストマを含むことで、改質材組成物3の性能への悪影響を小さくできる。
【0017】
被覆材4に含まれるスチレン系エラストマは、スチレン骨格を含む共重合体により構成されるエラストマであれば、特に制限はない。スチレン系エラストマは、例えば、スチレン骨格を含む熱可塑性エラストマであり、具体的には例えば、スチレンブタジエン系エラストマ(SBS)、スチレンブタジエンブチレン系エラストマ(SBBS)、スチレンイソプレン系エラストマ(SIS)、スチレンエチレンブチレン系エラストマ(SEBS)等である。スチレン系エラストマは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
【0018】
被覆材4の厚さは特に制限されないが、例えば0.1mm以上5mm以下にできる。また、被覆材4は、上記のように、改質材組成物3を収容した枕状である。被覆材4を枕状に構成することで、取り扱いを容易にできる。
【0019】
改質材組成物3は、被覆材4の内部に収容されるものである。改質材組成物3は、スチレン系エラストマ及び油を含むことが好ましい。スチレン系エラストマ及び油を含むことで、油によってスチレン系エラストマを膨潤できる。これにより、アスファルト改質材1をアスファルトに混合する際、スチレン系エラストマをアスファルトに溶解させ易くできる。また、油を含むことで改質材組成物3はべたつく傾向があるが、被覆材4による改質材組成物3の被覆により、アスファルト改質材1の取扱性を向上できる。
【0020】
改質材組成物3はスチレン系エラストマを含む。改質材組成物3に含まれるスチレン系エラストマは、具体的には例えば、上記の被覆材4に含まれるスチレン系エラストマの例示物を挙げることができる。なお、改質材組成物3に含まれるスチレン系エラストマは、被覆材4に含まれるスチレン系エラストマと同種でもよく、異なる種類でもよい。ただし、被覆材4は、改質材組成物3に含まれるスチレン系エラストマと同種のスチレン系エラストマを含むことが好ましい。このようにすることで、アスファルト改質材1をアスファルトに混合した際に、同種のスチレン系エラストマによって改質材組成物3によるアスファルト混合物性能の安定化を更に図ることができる。
【0021】
ここでいう同種とは、アスファルトへの混合後に生成するアスファルト混合物に大きな影響を及ぼさない程度の差異は許容することをいう。即ち、重合単位及びモノマーの重合順序が同じであれば「同種」との表現が使用可能である。
【0022】
改質材組成物3に含まれる油は、例えば芳香族重質鉱油である。また、改質材組成物3は、スチレン系エラストマ及び油以外にも、任意の改質材を含んでもよい。
【0023】
改質材組成物3はゾル状であることが好ましい。ゾルは、油にスチレン系エラストマをコロイド状に分散させた状態であり、流動性を有するものである。改質材組成物3がゾル状であっても、被覆材4によってゾル状の改質材組成物3を被覆できるとともに、改質材組成物3同士の意図しない接着(くっつき)、即ちブロッキングを抑制できる。
【0024】
アスファルト改質材1は、例えばプラントミックス用である。プラントミックス用のアスファルト改質材1の使用方法は、図6を参照しながら後記する。アスファルト改質材1がプラントミックス用であることで、アスファルト改質材1を用いた改質アスファルトのローリー運搬及び合材工場にて専用アスファルト貯蔵タンクの設置を不必要にできる。また、合材工場からアスファルト混合物を少量出荷でき、小規模現場でアスファルト混合物を使用できる。
【0025】
図4は、本実施形態のアスファルト改質材1の製造方法を示すフローチャートである。まず、例えばゾル状の改質材組成物3(図3参照)が調製される(ステップS1)。具体的には、改質材組成物3の原料同士を混合することで、改質材組成物3を調製できる。改質材組成物3の原料は、例えば、図3を参照しながら説明した改質材組成物3に含まれる成分であり、具体的には例えばスチレン系エラストマ、油等である。原料の使用量も、改質材組成物3における含有割合に応じて決定できる。
【0026】
図5Aは、本実施形態のアスファルト改質材1の製造方法を示す工程図であって、スチレン系エラストマ及び油を混合する様子を示す図である。原料の混合は、例えば、任意の混合機を使用できる。図5Aに示す例では、モータ10cによって回転される混練棒10bを容器10aに配置した混合機10が使用される。混合機10に例えばスチレン系エラストマ及び油を入れ、混練棒10bによって十分に混合することで、改質材組成物3を調製できる。原料の混合は、混合後に得られる改質材組成物3の性状がゾル状になる程度にまで十分に行うことが好ましい。
【0027】
図4に戻って、調製した改質材組成物3は、一端を封止した筒状の被覆材4に収容される(ステップS2)。ステップS2について、図5Bを参照しながら説明する。
【0028】
図5Bは、本実施形態のアスファルト改質材1の製造方法を示す工程図であって、一端を封止した筒状の被覆材4に改質材組成物3を収容する様子を示す図である。図示の例では、筒状の被覆材4の一端(左側端部)が封止され、一端側に封止部2が形成される。封止部2は、例えば、筒状の被覆材4の一端側を閉塞した後、閉塞させた部分を加熱して被覆材4を融着させることで形成できる。一方で、他端側(右側端部)には開口5が形成される。被覆材4は図示の形状を維持した状態で任意の支持機構(図示しない)によって支持される。そして、ステップS1で調製した改質材組成物3が、任意の注入機構(図示しない)によって開口5を通じ被覆材4に注入され、被覆材4の内部に収容される。
【0029】
改質材組成物3の収容量は特に制限されないが、被覆材4が破断せず、かつ、被覆材4の内部への気泡の混入量を少なくできる程度に密に収容することが好ましい。
【0030】
図4に戻って、改質材組成物3を収容した後の被覆材4の他端が封止される(ステップS3)。他端の封止により左右両端に封止部2が形成され、被覆材4の内部に改質材組成物3を収容したアスファルト改質材1が完成する(ステップS4)。
【0031】
図5Cは、改質材組成物3の収容後の被覆材4の他端を封止することで得られたアスファルト改質材1の斜視図である。上記のように、筒状の被覆材4の一端側(左側端部)には、改質材組成物3の収容前に形成された封止部2が形成される。一方で、筒状の被覆材4の他端側(右側端部)には、改質材組成物3の収容後に形成された封止部2が形成される。改質材組成物3の収容後に行う開口5(図5B参照)の封止は、一端側に形成された封止部2の形成と同様にして行うことができる。他端側の封止により、例えば枕状に形成されたアスファルト改質材1を製造できる。
【0032】
アスファルト改質材1は改質材組成物3及び被覆材4を備え、改質材組成物3は被覆材4によって被覆される。改質材組成物3は上記のように例えばスチレン系エラストマ及び油を含むため、べたつきがある。このため、改質材組成物3を剥き出しのまま運搬又は貯蔵しようとすると、別の改質材組成物3と付着し、改質材組成物3の取り扱いが困難になる。しかし、被覆材4によって改質材組成物3を被覆することで、改質材組成物3のべたつきに起因する改質材組成物3同士の付着を抑制できる。このため、アスファルト改質材1の取り扱い性を向上でき、例えば必要な量だけ任意にアスファルト改質材1を容易に使用できる。
【0033】
また、被覆材4は、スチレン系エラストマを含む。このため、アスファルト改質材1をアスファルトと混合した際、アスファルト混合物の柔軟性への被覆材4による悪影響が小さい。この結果、アスファルト混合物の高機能化を図ることができる。
【0034】
図6は、本実施形態のアスファルト改質材1を使用したアスファルト混合物の製造方法を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、アスファルト改質材1の使用方法を示すものでもある。アスファルト改質材1は、例えば、スチレン系エラストマを含むポリマー改質アスファルト又はストレートアスファルトへの混合用である。図示の例では、アスファルト改質材1は、スチレン系エラストマを含むポリマー改質アスファルトへの混合用として使用される。
【0035】
まず、ストレートアスファルトが準備される(ステップS11)。次いで、準備したストレートアスファルトに対し、第2改質材が混合される(ステップS12)。第2改質材は、アスファルト改質材1と区別するため、便宜的にアスファルト改質材1とは別の名称である。第2改質材は、図示の例ではスチレン系エラストマを含む。スチレン系エラストマの具体例は、上記のアスファルト改質材1に含まれるスチレン系エラストマの例示物(スチレンブタジエン系エラストマ等)を挙げることができる。ストレートアスファルトへの第2改質材の混合により、ポリマー改質アスファルトが調製される(ステップS13)。
【0036】
調製されたポリマー改質アスファルトに対し、骨材、及び、プラントミックス用としてアスファルト改質材1が混合される(ステップS14)。骨材は、アスファルト混合物の製造に使用可能な骨材であり、具体的には例えば砂、砂利等である。混合は、骨材及びアスファルト改質材1以外の任意の添加剤(改質材等)を併用して行ってもよい。混合は、例えば、加熱しながら任意の混合装置を用いて実行できる。
【0037】
アスファルト改質材1のポリマー改質アスファルトへの混合に際し、アスファルト改質材1に含まれるスチレン系エラストマは、被混合物であるポリマー改質アスファルトに含まれるスチレン系エラストマと同種である。ここでいう同種とは、上記改質材組成物3で説明した「同種」と同義である。従って、ポリマー改質アスファルトに含まれるスチレン系エラストマと同種のスチレン系エラストマを改質材組成物3に含むアスファルト改質材1が、ポリマー改質アスファルトに混合される。このようにすることで、アスファルト改質材1の含有物の種類を少なくできることから、安定した柔軟性向上効果が得られる。なお、改質材組成物3に含まれるスチレン系エラストマと、被覆材4に含まれるスチレン系エラストマとが異なる種類の場合、ポリマー改質アスファルトに含まれるスチレン系エラストマがアスファルト改質材1の一部である改質材組成物3又は被覆材4のいずれかと同種であれば、アスファルト改質材1に含まれるスチレン系エラストマが、ポリマー改質アスファルトに含まれるスチレン系エラストマと同種であるものとする。
【0038】
ポリマー改質アスファルトへの骨材及びアスファルト改質材1の混合によりアスファルト混合物が完成する(ステップS15)。例えば加熱して行われる混合により、ポリマー改質アスファルトに含まれるスチレン系エラストマと、アスファルト改質材1(中でも、好ましくは改質材組成物3及び被覆材4の双方)に含まれるスチレン系エラストマとは相溶する。これにより、アスファルト混合物の高機能化を図ることができる。
【0039】
製造されたアスファルト混合物は、アスファルトが持っている優れた応力緩和性及び変形追従性を低温域においても保持でき、また高温域における塑性変形抵抗性にも優れている。そのため、軽交通から重交通路線の目地部及びクラック上にオーバーレイをした際にリフレクションクラックの発生遅延が期待できるのでアスファルト舗装の長寿命化に寄与できる。
【符号の説明】
【0040】
1 アスファルト改質材
2 封止部
3 改質材組成物
4 被覆材
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6