(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】可搬型物品貯蔵装置および家電調理システム
(51)【国際特許分類】
F25D 23/12 20060101AFI20240112BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20240112BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240112BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20240112BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240112BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240112BHJP
【FI】
F25D23/12 R
F25D25/00 E
F25D23/00 307
F25D29/00 Z
F25D11/00 101B
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2020160440
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿田 健一
(72)【発明者】
【氏名】堀井 愼一
(72)【発明者】
【氏名】海藏 博之
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-336969(JP,A)
【文献】特開2004-138331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
A47J 27/00-27/13
A47J 27/20-29/06
A47J 33/00-36/42
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型物品貯蔵装置であって、
物品が収容される収容ケースと、
前記可搬型物品貯蔵装置
が外部機器に装着された状態で無線給電装置から受電する無線受電装置と、
前記無線受電装置にて受電した電力により駆動し、前記収容ケースに収容された物品に対して所定の作用を及ぼす機能装置と、
前記外部機器を識別する識別信号を取得する取得装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記取得装置により取得した前記識別信号に基づいて前記外部機器の種類を識別する機器識別部と、
前記機器識別部による識別結果に応じて前記機能装置の動作を制御する機能調整部と、
を有する、
可搬型物品貯蔵装置。
【請求項2】
前記可搬型物品貯蔵装置は、前記外部機器の1つである電磁調理器が発生させる磁気を通す磁気透過部を有し、
前記機能装置は、前記収容ケースに収容された物品の温度を調整する温調装置を有する、
請求項1に記載の可搬型物品貯蔵装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記機器識別部によって識別した前記外部機器が前記電磁調理器と異なれば、前記温調装置により前記温調装置を駆動させ、
前記機器識別部によって識別した前記外部機器が前記電磁調理器であれば、前記機能調整部により前記温調装置を駆動させない、
請求項2に記載の可搬型物品貯蔵装置。
【請求項4】
請求項1に記載の可搬型物品貯蔵装置と、
外部機器の1つであって、庫内に前記可搬型物品貯蔵装置が装着される装着位置、および、前記装着位置に設けられて無線により電力を供給する無線給電装置、を有する冷蔵庫と、
外部機器の他の1つである電磁調理器と、
を備える、家電調理システム。
【請求項5】
前記冷蔵庫および前記電磁調理器には、前記可搬型物品貯蔵装置を装着する位置を示す装着位置指示部が設けられている、
請求項4に記載の家電調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫の庫内に着脱することのできる可搬型物品貯蔵装置およびこれを備える家電調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷蔵庫の機能が多様化しており、様々の機能を拡張したり追加したりする技術が開発されている。例えば、庫内に着脱可能な製氷機ユニットやビールサーバーユニットを搭載した冷蔵庫などが提案されている。また、このような着脱可能なユニットへの電力供給として、無線給電方式を採用するものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示す冷蔵庫の場合、冷蔵庫本体に、電源部に接続された供給側無線給電装置が備えられ、庫内で可動な棚などの可動部品に受給側無線給電装置が内蔵されている。さらに、受給側無線給電装置には重量センサ等の機能部品が接続されている。そして、供給側無線給電装置から受給側無線給電装置を介して無線で得られた電力により、機能部品を動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載された冷蔵庫の可動部品は、あくまでも冷蔵庫内で可動に設けられている部品である。そのため、可動部品の使用用途が限られている。
【0006】
そこで本発明は、冷蔵庫等の外部機器に着脱可能であって、かつ、多用途に使用することができる可搬型物品貯蔵装置、並びに、この可搬型物品貯蔵装置を備える家電調理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る可搬型物品貯蔵装置は、物品が載置される収容ケースと、前記可搬型物品貯蔵装置が前記外部機器に装着された状態で無線給電装置から受電する無線受電装置と、前記無線受電装置にて受電した電力により駆動し、前記収容ケースに載置された物品に対して所定の作用を及ぼす機能装置と、前記外部機器を識別する識別信号を取得する取得装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記取得装置により取得した前記識別信号に基づいて前記外部機器の種類を識別する機器識別部と、前記機器識別部による識別結果に応じて前記機能装置の動作を制御する機能調整部と、を有する。
【0008】
これにより、種類の異なる複数の外部機器に対して着脱可能であって、装着した外部機器の種類に応じて機能装置の動作を制御可能な可搬型物品貯蔵装置を実現することができる。
【0009】
また、本発明に係る家電調理システムは、上記可搬型物品貯蔵装置と、外部機器の1つであって、庫内に前記可搬型物品貯蔵装置が装着される冷蔵庫と、外部機器の他の1つである電磁調理器と、を備える。
【0010】
これにより、冷蔵庫およびその他の外部機器に対して選択的に可搬型物品貯蔵装置を装着でき、かつ、装着された機器に応じて機能装置を制御することができる家電調理システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷蔵庫等の外部機器に着脱可能であって、かつ、多用途に使用することができる可搬型物品貯蔵装置、並びに、この可搬型物品貯蔵装置を備える家電調理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る家電調理システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、可搬型物品貯蔵装置の機能的構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、貯蔵装置を外部機器である冷蔵庫に装着して使用するときの態様を示す模式図である。
【
図4】
図4は、貯蔵装置を外部機器である電磁調理器に装着して使用するときの態様を示す模式図である。
【
図5】
図5は、貯蔵装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
本実施の形態に係る可搬型物品貯蔵装置は、物品が収容される収容ケースと、可搬型物品貯蔵装置が外部機器に装着された状態で無線給電装置から受電する無線受電装置と、無線受電装置にて受電した電力により駆動し、収容ケースに載置された物品に対して所定の作用を及ぼす機能装置と、外部機器を識別する識別信号を取得する取得装置と、制御装置と、を備え、制御装置は、取得装置により取得した識別信号に基づいて外部機器の種類を識別する機器識別部と、機器識別部による識別結果に応じて機能装置の動作を制御する機能調整部と、を有する。
【0014】
また、本実施の形態に係る可搬型物品貯蔵装置において、当該可搬型物品貯蔵装置は、外部機器の1つである電磁調理器が発生させる磁気を通す磁気透過部を有し、機能装置は、収容ケースに収容された物品の温度を調整する温調装置を有していてもよい。
【0015】
また、本実施の形態に係る可搬型物品貯蔵装置において、制御装置は、機器識別部によって識別した外部機器が電磁調理器と異なれば、温調装置により温調装置を駆動させ、機器識別部によって識別した外部機器が電磁調理器であれば、機能調整部により温調装置を駆動させないこととしてもよい。
【0016】
また、本実施の形態に係る家電調理システムは、上述した可搬型物品貯蔵装置と、外部機器の1つであって、庫内に可搬型物品貯蔵装置が装着される装着位置、および、装着位置に設けられて無線により電力を供給する無線給電装置、を有する冷蔵庫と、外部機器の他の1つである電磁調理器と、を備える。
【0017】
また、本実施の形態に係る家電調理システムにおいて、冷蔵庫および電磁調理器には、可搬型物品貯蔵装置を装着する位置を示す装着位置指示部が設けられていてもよい。
【0018】
以下、本実施の形態に係る可搬型物品貯蔵装置および家電調理システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
[家電調理システム]
図1は、本実施の形態に係る家電調理システムの構成を示す模式図である。この
図1に示すように、家電調理システム100は、収納ケース10の内部空間1aに食品等の物品を収容できる可搬型物品貯蔵装置(以下、「貯蔵装置」)1と、この貯蔵装置1を着脱可能な冷蔵庫2と、同様に貯蔵装置1を着脱可能な電磁調理器(IH調理器)3とを備えている。なお、電磁調理器3は、電磁誘導の原理により所定の容器にジュール熱等を生じさせ、その熱により内部の食品等を加熱する調理器である。
【0020】
貯蔵装置1は、全体的に直方体形状のボックス状を成して、物品の一例である食品13(
図1では、食品13が容器12に入れられた状態を図示)が収容される収容ケース10を備えている。収容ケース10はその正面に開閉可能なフタ11を有し、フタ11を開くことで内部空間1aにアクセスできる。なお、収容ケース10を構成する壁部およびフタ11は断熱構造を有しており、より具体的には合成樹脂製の二重壁の間に発泡材または真空断熱体などの断熱材を挟むなどして構成されている。
【0021】
冷蔵庫2は、正面が開放された断熱性の箱体から成る冷蔵庫本体20と、左右に開く冷蔵室用扉21,21と、製氷室用扉22、第1冷凍室用扉23、野菜室用扉24、および、第2冷凍室用扉25を備えている。更に、冷蔵室21aには複数の棚26が設置されると共に、冷蔵室21aの底面には貯蔵装置1が装着される配置位置(装着位置)P2が設けられている。また冷蔵庫2は背部に冷却システムを備えており、各室を所定の温度環境に調整することができる。なお、冷蔵庫2の構成はこれに限られず、各室の種類や数は任意であり、貯蔵装置1の配置位置P2も他の位置に設定してもよい。
【0022】
電磁調理器3は、
図1ではいわゆる卓上型を例示している。この電磁調理器3は、上面に鍋などの金属製の容器が載置される載置面31を有し、載置面31の手前には操作面32を有している。操作面32を操作すると、内部のコイルに高周波電流が通電して磁気が生成され、載置面31の直上に磁場が形成される。従って、載置面31内の所定の配置位置(装着位置)P3に置かれた容器は、この磁場(磁気)により生じるジュール熱で昇温し、内部の物品が加熱される。なお、電磁調理器3の構成はこれに限られず、システムキッチンに組み込まれるビルトイン型や、コンロ台に載置される据え置き型などでもよい。
【0023】
後述するように、貯蔵装置1を冷蔵庫2の所定の配置位置P2に装着(配置)すると、冷蔵庫2から無線により電力が供給される。貯蔵装置1は、この電力によりヒータ(温調装置)を駆動して、内部空間1aの温度を調整することができる。従って、収容した食品13に適した温度環境を内部空間1aに作ることができる。一方、貯蔵装置1を電磁調理器3の所定の配置位置P3に装着(配置)すると、内部空間1aに収容された容器12が、電磁調理器3が形成する磁場によって昇温し、容器12に入れられた食品13を加熱して調理することができる。
【0024】
このように、貯蔵装置1を外部機器の所定の配置位置に装着するため、各外部機器には装着位置指示部4が設けられている。
図1では、冷蔵庫2に設けられた装着位置指示部4として、貯蔵装置1の配置を物理的に規制する突起4aを例示している。この突起4aは、冷蔵室21aの底面に左右に間隔をあけて2つ突設されており、この2つの突起4aに案内されてその間の配置位置P2に貯蔵装置1が載置される。そして、この位置に貯蔵装置1を配置することで、貯蔵装置1はヒータの駆動電力を冷蔵庫2から受電することができる。
【0025】
また、電磁調理器3に設けた装着位置指示部4として、貯蔵装置1の配置を視覚的に示すべく、電磁調理器3の表面に描画された図形あるいは貼付されたシール等から成るマーク4bを例示している。マーク4bに合わせて貯蔵装置1を載置面31上の配置位置P3に配置することで、貯蔵装置1内に磁場を形成することができる。なお、このような突起4aおよびマーク4bは装着位置指示部4の一例であり、装着位置指示部4の構成はこれに限られない。
【0026】
また、冷蔵庫2および電磁調理器3についても、貯蔵装置1を着脱可能な外部機器の例であり、家電調理システム100を貯蔵装置1と共に構成する外部機器はこれらに限られない。
【0027】
[可搬型物品貯蔵装置]
次に、貯蔵装置1の機能的構成についてより詳しく説明する。
図2は、貯蔵装置1の機能的構成を示す模式図である。
図2に示すように、貯蔵装置1は、収容ケース10、無線受電装置50、制御装置51、センサ52、駆動装置53、ヒータ(温調装置)54、取得装置55、および、磁気透過部56を備えている。なお、貯蔵装置1のこれらの構成部品は、例えばボックス状のケーシングに収容されている。
【0028】
このうち無線受電装置50は、冷蔵庫2等の外部機器から無線により電力を受電する装置である。無線受電装置50は、例えばコイルを具備し、磁界結合方式あるいは磁界共鳴方式など、公知のワイヤレス給電方式に適合した構成を採用することができる。なお、貯蔵装置1は、外部機器から無線受電装置50を介して受電した電力を蓄えるためのバッテリーを備えていてもよい。
【0029】
制御装置51は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)及び各種メモリ等を備えている。また制御装置51は、無線受電装置50が受電した電力により、メモリに記憶されたプログラムに従って動作し、駆動装置53の動作制御等を行う。また、制御装置51は、取得装置55により取得した識別信号に基づいて外部機器の種類を識別する機器識別部51aと、機器識別部51aによる識別結果に応じて機能装置の動作を制御する機能調整部51bと、を有する。これらの機器識別部51aおよび機能調整部51bは、制御装置51がプログラムに従って動作することにより、制御装置51の機能的構成として実現されてもよい。
図2では、制御装置51がこれらの構成を機能的構成として備える例を模式的に示している。
【0030】
センサ52は、収容ケース10の内部空間1aの環境データを取得するものであり、例えば、温度センサ、湿度センサ、及びCO2センサのうち一又は複数を含む。このセンサ52が取得した環境データ(温度情報、湿度情報、CO2濃度情報)は、制御装置51へ送られる。
【0031】
駆動装置53は、ヒータ54を動作させるためのドライバであり、制御装置51からの制御信号に基づいて駆動する。ヒータ54は、機能装置としての温調装置の一例であり、収容ケース10の内部空間1aの温度を調整し、ここに収容された食品13の温度を調整することができる。なお、温調装置として、ヒータ54に替えて、あるいはヒータ54と共に、ペルチェ素子から成る電子冷却装置を具備してもよい。
【0032】
取得装置55は、外部機器を識別する識別信号を取得するデバイスであり、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、外部機器が、自身の識別情報を送信する識別信号送信部を備えている場合であれば、取得装置55は、この識別信号を受信する識別信号受信部として構成すればよい。また、貯蔵装置1を所定の外部機器に載置したときに、貯蔵装置1に設けた物理スイッチ(機械スイッチ等)が作動し、その作動信号が制御装置51へ入力されるようにしてもよい。これにより制御装置51は、作動信号の入力に基づき、所定の外部機器に載置されたことを判別できる。この場合、物理スイッチが取得装置55を成す。更に、ユーザが外部機器の識別情報を入力する操作を受け付けるインタエースを、取得装置55として設けてもよい。このインタフェースは、ユーザの手入力を受け付けるタッチパネルなどでもよいし、携帯型端末へのユーザの入力情報を無線通信により受信する通信部であってもよい。
【0033】
磁気透過部56は、収容ケース10の外部と内部空間1aとを仕切るようにして設けられ、耐熱結晶化ガラス等の透磁性の高い部材により構成されている。この磁気透過部56は平板状を成し、内部空間1aにその上面56aが露出している。従って、収容ケース10内において、磁気透過部56の上面56aに、食品13を入れた容器12を載置することができる。
【0034】
[貯蔵装置の使用態様]
次に、貯蔵装置1を冷蔵庫2あるいは電磁調理器3に装着して使用するときの態様について説明する。
図3は、貯蔵装置1を冷蔵庫2に装着して使用するときの態様を示す模式図である。
図3に示すように、冷蔵庫2は冷蔵室21aの底面に装着位置指示部4を成す2つの突起4aを有し、この間に貯蔵装置1が案内される(白抜き矢印A2)。これにより貯蔵装置1は、冷蔵庫2の所定の配置位置P2に配置される。
【0035】
また、冷蔵庫2の配置位置P2には、無線給電装置60が備えられている。無線給電装置60は、貯蔵装置1へ無線により電力を給電する装置であり、冷蔵庫2が備える本体電源装置62からの給電により駆動する。無線給電装置60は、例えばコイルを具備し、磁界結合方式あるいは磁界共鳴方式など、公知のワイヤレス給電方式に適合した構成を採用することができる。なお、この無線給電装置60は、配置位置P2に配置された状態の貯蔵装置1が有する無線受電装置50に対し、効率的に電力を供給できる構成及び配置を採用するのが好ましい。
【0036】
本実施の形態に係る冷蔵庫3は、自身の識別信号を送信する送信装置61を、配置位置P2の近傍に備えている。この送信装置61は冷蔵庫2が備える本体電源装置62からの給電により駆動して識別信号を送信する。なお、識別信号の送信は、貯蔵装置1の配置位置P2への配置を検出するセンサを設け、このセンサにより配置を検出したときに実行するようにしてもよい。あるいは、貯蔵装置1の有無にかかわらず所定の周期で間欠的に識別信号の送信を実行することとしてもよい。更には、冷蔵庫2の扉21が開かれてから所定時間だけ継続して、あるいは、扉21が開かれている間はずっと継続して、識別信号の送信を実行することとしてもよい。
【0037】
図4は、貯蔵装置1を電磁調理器3に装着して使用するときの態様を示す模式図である。
図4に示すように、電磁調理器3は載置面31に装着位置指示部4を成すマーク4bを有し、これに沿うようにして貯蔵装置1が配置位置P3に配置される(白抜き矢印A3)。
【0038】
電磁調理器3の配置位置P3には、磁気生成装置70が備えられている。磁気生成装置70は、コイル、インバータ回路、および制御回路等を備え、電磁調理器3が備える本体電源装置72からの給電により駆動して載置面31の直上に磁場を形成する。なお、この磁気生成装置70は、貯蔵装置1が配置位置P3に配置されたときに、貯蔵装置1が有する磁気透過部56に対向するよう配置されている。
【0039】
本実施の形態に係る電磁調理器3は、自身の識別信号を送信する送信装置71を、配置位置P3の近傍に備えている。この送信装置71は電磁調理器3が備える本体電源72からの給電により駆動して識別信号を送信する。なお、識別信号の送信は、貯蔵装置1の配置位置P3への配置を検出するセンサを設け、このセンサにより配置を検出したときに実行するようにしてもよいし、その他の方法により送信タイミングを制御してもよい。
【0040】
[可搬型物品貯蔵装置の動作]
次に、貯蔵装置1の動作について説明する。
図5は、貯蔵装置1の動作例を示すフローチャートである。
図5に示すように、貯蔵装置1は、はじめに外部機器の種類を判別するための識別信号を取得する(ステップS1)。この識別信号の取得は、上述したようにどのような態様によるものでもよいが、本実施の形態では一例として、冷蔵庫2の送信装置61または電磁調理器3の送信装置71から送られてくる識別信号を、貯蔵装置1の取得装置55を介して制御装置51が受信することで実現している。
【0041】
貯蔵装置1の制御装置51は機器識別部51aとして機能し、取得した識別信号に基づき、当該貯蔵装置1が装着されている外部機器の種別を判定する(ステップS2)。本実施の形態では制御装置51は、識別信号に基づいて、貯蔵装置1が冷蔵庫2に装着されているのか、あるいは、冷蔵庫2ではない外部機器(例えば、電磁調理器3)に装着されているのか、を判定する。
【0042】
その結果、貯蔵装置1が冷蔵庫2に装着されていると判定した場合(ステップS2:「冷蔵庫である」)、貯蔵装置1の制御装置51は機能調整部51bとして機能し、温調装置であるヒータ54を駆動して(ステップS3)、内部空間1aの温度を調整する。これにより、貯蔵装置1の内部空間1aは、収容ケース10に収容されている食品13にとって好適な温度環境を実現できる。
【0043】
一方、ステップS2の判定の結果、貯蔵装置1が冷蔵庫2に装着されているのではないと判定した場合(ステップS2:「冷蔵庫ではない」)、貯蔵装置1の制御装置51はヒータ54を駆動しない(ステップS4)。これにより、例えば貯蔵装置1が電磁調理器3に装着された場合は、ヒータ54によらず、電磁調理器3の磁気生成装置71を駆動して、発生した磁場により容器12を加熱し、内部の食品13を加熱等調理することができる。
【0044】
なお、上述した本実施の形態では、冷蔵庫2および電磁調理器3として、共に識別信号を送信する構成(送信装置61および送信装置71)を備えたものを例示したが、これに限られない。例えば、冷蔵庫2のみが送信装置61を備え、電磁調理器3は送信装置71を備えていなくてもよい。この場合、
図5のステップ2では、冷蔵庫2からの識別信号を受信したか否かを判断する。そして、識別信号を受信しない間はステップS4を実行して温調装置をオフとしておき、識別信号を受信したと判断すればステップ3を実行して温調装置をオンにすればよい。
【0045】
また、本実施の形態に係る貯蔵装置1では、収容ケース10が1つの内部空間1aを有する構成を例示したが、これに限られない。例えば、内部空間1aは複数の小空間に仕切られていてもよい。また、ヒータ54等の温調装置と磁気透過部56とは別の小空間に分けて設ける構成としてもよい。
【0046】
また、貯蔵装置1に設ける機能装置は、上述した温調装置に加え、あるいは温調装置に替えて、他の構成を採用してもよい。例えば、収容ケース10の内外を開閉可能なダンパー装置を側壁に設け、無線受電装置50が受電した電力により、制御装置51からの制御信号に基づいて開閉するようにしてもよい。これにより、冷蔵庫2の冷蔵室21aの冷気を、収容ケース10の内部空間1aに取り込むことができる。
【0047】
以上の説明から、当業者にとっては本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。したがって、以上の説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の形態を当業者に教示する目的で提供されたものである。ゆえに、本発明を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、冷蔵庫の庫内に着脱することのできる可搬型物品貯蔵装置およびこれを備える家電調理システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 可搬型物品貯蔵装置(貯蔵装置)
1a 内部空間
2 冷蔵庫
3 電磁調理器
4 装着位置指示部
10 収容ケース
50 無線受電装置
51 制御装置
54 ヒータ(温調装置,機能装置)
55 取得装置
56 磁気透過部
60 無線給電装置
70 磁気生成装置
100 家電調理システム
P2 配置位置(装着位置)
P3 配置位置(装着位置)