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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】カップ部を有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/00 20060101AFI20240112BHJP
   A41C 3/08 20060101ALI20240112BHJP
   A41C 3/12 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A41C3/00 A
A41C3/08
A41C3/12 A
A41C3/12 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021128496
(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公開番号】P2023023203
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2021-10-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131555
【氏名又は名称】株式会社シャルレ
(73)【特許権者】
【識別番号】390016850
【氏名又は名称】株式会社カドリールニシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩見 香
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 真智子
(72)【発明者】
【氏名】今井 きよみ
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】筑波 茂樹
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-179144(JP,A)
【文献】特開2002-13007(JP,A)
【文献】特開2020-50990(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159452(JP,U)
【文献】特開2005-23497(JP,A)
【文献】特開2002-194602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/00 - 3/14
A41C 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスト全体を包容する左右のカップ部、前記カップ部と一体となった肩紐部、前記カップ部及び前記肩紐部の表面を覆う表布、前記カップ部及び前記肩紐部の左右それぞれの胸前中央に配された一対の緊締帯、前記カップ部及び前記緊締帯と連結する伸縮性部材からなるカップ台部を少なくとも備えたカップ部を有する衣類であって、
前記カップ部の胸前中心側及び脇側の肌側には伸縮性部材からなる支持帯が縫着され、前記カップ台部に固定される前記カップ部の前記胸前中心側及び脇側の間には、前記支持帯を配置しない領域を設け、
前記カップ部の前記表布の伸長率は140%~220%、前記支持帯の伸長率は100%~180%、前記緊締帯の伸長率は50%~170%であり、かつ、
前記カップ部の前記表布、前記支持帯、及び前記緊締帯はこの順で伸長率が大きいことを特徴とする、カップ部を有する衣類。
【請求項2】
前記緊締帯は、胸前中央において左右が交差するように配されることを特徴とする、請求項1に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項3】
前記緊締帯は、前記肩紐部から前記カップ台部を結ぶ縦方向Vに伸縮し、左右のカップ部を結ぶ横方向Sには伸縮しない素材からなる請求項1又は2に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項4】
前記支持帯は、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向Vに伸縮する素材からなる請求項1乃至3のいずれかに記載のカップ部を有する衣類。
【請求項5】
前記表布は、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向V及び左右のカップ部を結ぶ横方向Sの両方向に伸縮する素材からなる請求項1乃至4のいずれかに記載のカップ部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカップ部を有する衣類に関し、より詳細には、就寝時に着用することでバストを保持し安定させ、乳房が縦方向や横方向へ流れて下垂の原因となることを防止する、カップ部を有する衣類に関する。
【0002】
<語句の定義>
本明細書において、「バスト」と「乳房」は同義的に使用され得る。
本明細書において、「下」とは着用者の胸部を基点にした腹部方向を意味する。
本明細書において、「上」とは着用者の胸部を基点にした頭部方向を意味する。
本明細書において、「縦」とは着用者の身体の丈方向を意味する。
本明細書において、「横」とは着用者の身体の幅方向を意味する。
本明細書において、「胸前中央」とは着用者の左右の乳房間の領域を意味する。
本明細書において、「地側」とは、地面の方向を意味する。
本明細書において、「天側」とは、天の方向を意味する。
本明細書において、「胸前中心側」とはカップ部を有する衣類の胸部中央の領域を意味する。
本明細書において、「脇側」とはカップ部を有する衣類の左右の脇方向の領域を意味する。
本明細書において、「ふらし構造」とは生地同士を縫い付けずに浮かしておく仕様方法を意味する。
【背景技術】
【0003】
従来から、睡眠時のバストの崩れは、乳房が下垂する原因の一つであることが知られており、就寝時に着用するブラジャー(以下、ナイトブラと称す。)は、日中の活動時に着用するブラジャーとは異なり、睡眠時のバストの形状を保持する目的で使用される。また、近年では、着け心地の快適さを追求したブラジャーや、自然なバスト形状を演出するブラジャーなどの人気が高まってきており、ナイトブラにおいても育乳やバストアップ機能よりも、快適な着用感でバストの形状を美しく維持するために、下垂防止などといったバストケア機能を求める人が多くなっている。
【0004】
特許文献1には、バストの保持安定性を保ちながら、バストの保形性を保つカップ部を有する衣類を提供することを目的としてなされた発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-90118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヌード状態のバストは、あらゆる方向に重力がかかり、乳房が上方向や横方向に流れて形が崩れる。さらに、バストの形が崩れたまま長時間放置すると、クーパー靭帯へ大きな負荷がかかり、伸びたり切れたりすることで、乳房の下垂を招く。
【0007】
日中の活動時に着用するブラジャーは、日常生活における、立つ、歩く、走るといった縦の動きに対応するために、ワイヤーや肩ひもを使ってバストを下から上に支える構造となっているものが多い。
一方、睡眠時は寝返り等により頻繁に姿勢が変化し、バストが縦方向や横方向など様々な方向に流れることから、体にフィットしていないブラジャーを着用していると、バストが流れて乳房が下垂する原因となる。
日中の活動時に着用するブラジャーにもバストを固定して動きに追随するものがあるが、締め付け感が強く就寝時に着用するブラジャーには不向きである。
【0008】
特許文献1のカップ部を有する衣類は、バストの保持安定性を保ちながら、バストの保形性を保つカップ部を有する衣類の提供を目的としているが、寝返り等で頻繁に姿勢が変化する睡眠時のバストを十分に保持するための機能を備えていない上に、衣類の部材同士の全ての端部が縫合されている訳ではなく、一部がふらし構造となっているため、睡眠時にバストを十分に保持できず、上下方向や横方向の崩れを防止することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、睡眠時に仰臥位や側臥位となることでバストの形状が崩れ、乳房の下垂に繋がる問題を解決するために、睡眠時のバストを継続的に適切な位置に保持し、乳房の下垂を防止するためのカップ部を有する衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、バスト全体を包容する左右のカップ部、前記カップ部と一体となった肩紐部、前記カップ部及び前記肩紐部の表面を覆う表布、前記カップ部及び前記肩紐部の左右それぞれの胸前中央に配された一対の緊締帯、前記カップ部及び前記緊締帯と連結する伸縮性部材からなるカップ台部を少なくとも備えたカップ部を有する衣類であって、
前記カップ部の胸前中心側及び脇側の肌側には伸縮性部材からなる支持帯が縫着され、前記カップ台部に固定される前記カップ部の前記胸前中心側及び脇側の間には、前記支持帯を配置しない領域を設け、
前記カップ部の前記表布の伸長率は140%~220%、前記支持帯の伸長率は100%~180%、前記緊締帯の伸長率は50%~170%であり、かつ、
前記カップ部の前記表布、前記支持帯、及び前記緊締帯はこの順で伸長率が大きいことを特徴とする、カップ部を有する衣類に関する。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記緊締帯は、胸前中央において左右が交差するように配されることを特徴とする、請求項1に記載のカップ部を有する衣類に関する。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記緊締帯は、前記肩紐部から前記カップ台部を結ぶ縦方向Vに伸縮し、左右のカップ部を結ぶ横方向Sには伸縮しない素材からなる請求項1又は2に記載のカップ部を有する衣類に関する。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記支持帯は、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向Vに伸縮する素材からなる請求項1乃至3のいずれかに記載のカップ部を有する衣類に関する。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記表布は、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向V及び左右のカップ部を結ぶ横方向Sの両方向に伸縮する素材からなる請求項1乃至4のいずれかに記載のカップ部を有する衣類に関する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、従来のカップ部を有する衣類と比較し、大きな面積の生地でバストを全方向から包み込むため、就寝時にバストが上方向や横方向に流れることを強力に防止することができる。
また、カップ部と一体となった肩紐部を有することから、肩紐が食い込むことなく、心地良い着用感で、バストを正しい位置に保持することができる。
さらに、伸縮性部材として、カップ部及び肩紐部の表面を覆う表布、胸前中央に配された緊締帯、及びカップ部の胸前中心側及び脇側の肌側に支持帯がしっかりと縫着されているため、ふらし構造等を採用しているカップ部を有する衣類と比較し、より強力にバストを保持することができる有利な効果を奏する。
【0016】
カップ部の表布の伸長率は140%~220%、支持帯の伸長率は100%~180%、緊締帯の伸長率は50%~170%であるため、着用者の様々な動きに柔軟に対応し、長時間快適な着心地を維持することができる有利な効果を奏する。
カップ部の表布、支持帯、及び緊締帯のそれぞれの伸長率は、表布が最大、かつ、緊締帯が最小であるため、3段階の伸び率の生地が組み合わさることで、カップ全体の段階的な圧力設計が可能となり、着用者の睡眠中におけるバストを強力かつ継続的に保持することができるため、本発明のカップ部を有する衣類の果たすべき目的を確実に達成することができる有利な効果を奏する。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、緊締帯は胸前中央において左右が交差するように配されているため、交差した左右の緊締帯により、左右それぞれのバストを独立して保持することができ、かつバスト上辺をしっかりと保持することで、上方にバストが流れることを防止できるという有利な効果を奏する。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、緊締帯は肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向Vに伸縮し、左右のカップ部を結ぶ横方向Sには伸縮しない素材であるため、着用者の様々な動きに柔軟に対応でき、乳房の上辺を保持してバストの形状が崩れることを防止することができる有利な効果を奏する。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、支持帯は、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向Vに伸縮する素材からなるため、乳房を強力に支持してバストの形状が崩れることを防止すると共に、長時間着用しても快適な着心地を維持することができる有利な効果を奏する。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、表布は、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向V及び左右のカップ部を結ぶ横方向Sの両方向に伸縮する素材からなるため、着用者の様々な動きに柔軟に対応し、長時間快適な着心地を維持することができる有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るブラジャーの正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るブラジャーの背面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るブラジャーの左カップ部に配置された支持帯の伸縮方向を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係るブラジャーに配置された緊締帯の伸縮方向を示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態に係るブラジャーの左カップ部表布の伸縮方向を示す概略図である。
図6】側臥状態のときにバストが流れる方向を示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態に係るブラジャーを着用し側臥位となったときにバストの流れを防止する支持帯の保持力を示す概略図である。
図8】本発明の一実施形態に係るブラジャー(肩紐タイプ)の正面図及び背面図である。(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
図9】本発明の一実施形態に係るブラジャー(丈長タイプ)の正面図及び背面図である。(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
図10】本発明の一実施形態に係るブラジャー(丈長及び肩紐タイプ)の正面図及び背面図である。(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
図11】本発明の一実施形態に係るブラキャミソールの正面図及び背面図である。(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
図12】本発明の一実施形態に係るブラキャミソール(肩紐タイプ)の正面図及び背面図である。(a)は正面図、(b)は背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るカップ部を有する衣類の好適な実施形態について、ブラジャーを例に、具体的な実施の形態に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(X)を正面から見た図である。
図1に示す実施形態は本発明をブラジャーに適用した場合を示しており、左右のカップ部(1A・1B)と支持帯(6)、左右のカップ部(1A・1B)間の胸前中央に緊締帯(5)及びカップ台部(3)を備えている。
【0024】
図1に示すように、本発明に係るカップ部を有する衣類の裏面には、左右のカップ部(1A・1B)の胸前中心側(7)及び脇側(8)に伸縮性部材からなる支持帯(6)が縫着されているため、睡眠中にかかる様々な力に対し強力にバストを保持することが可能となる。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(X)を背面から見た図である。
図2に示す実施形態はバック部(4)、左右の肩紐部(2)を有するが、これは実施の形態の1つに過ぎず、本発明のカップ部を有する衣類は、バック部(4)、肩紐部(2)のいずれか又は全てが備えられていない形態であってもよい。バック部(4)及び肩紐部(2)の形状および素材は、特に限定されず、一般的なブラジャーの一般的な形状および素材、例えばストラップ、紐、バンド、布地(例えばストレッチ素材の布地)であってもよい。
【0026】
本発明におけるカップ部を有する衣類の特徴は、支持帯(6)をふらし構造等ではなく、全て縫い付け構造としたことである。
開発過程の検討において、パーツ同士を縫着により結合させることで、ふらし構造と比較して、よりバストを強力に保持することが判ったためである。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(X)の左カップ部(1A)に配置された支持帯(6)の伸縮方向(V)を表している。
支持帯(6)は、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向(V)に伸縮し、伸長率が100%~180%であるため、着用者の様々な動きに柔軟に対応し、乳房を強力に支持してバストの形状が崩れることを防止すると共に、長時間着用しても快適な着心地を維持することが可能となる。
伸長率が100%~180%とは、例えば10cmの生地が20~28cmの範囲まで伸縮可能であることを表す。
【0028】
支持帯(6)の素材は、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向(V)に伸縮するものであれば特に限定されないが、左右のカップ部を結ぶ横方向(S)にも伸縮するものであればなお良い。例えば、パワーネット、サテンネット、ツーウェイトリコット、ベア天竺等の素材が好適に用いられるが、当業者に自明のものも当然用いられる。
【0029】
支持帯(6)は、左右両カップ部(1)の3分の1以上、4分の3以下の面積を覆うことが望ましい。
左右両カップ部(1)の6割前後を覆うサイズであれば、睡眠時にバスト形状の崩れを防止する支持帯(6)の機能が十分に発揮されるため好適である。さらに、支持帯(6)が乳房の大部分を包み込んで強力に保持する効果を奏し易いことからも好ましい。
【0030】
なお、カップ台部(3)に固定されるカップ部(1)の胸前中心側(7)及び脇側(8)の間に支持帯(6)を配置しない領域を設けたのは、着用者毎にバストの形状は様々であることから、あらゆるバストに適応することが出来るようにするためである。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(X)に配置された緊締帯(5)の伸縮方向を示している。
緊締帯(5)は、前記肩紐部から前記カップ台部を結ぶ縦方向(V)に伸縮し、左右のカップ部を結ぶ横方向(S)には伸縮しない素材からなり、緩やかに伸縮するやや肉厚で幅広の伸縮性部材が用いられている。
緊締帯(5)の素材は、少なくとも縦方向(V)に伸縮し、横方向(S)に伸縮しないものであれば特に限定されないが、ストレッチテープ等の素材が好適に用いられる。
【0032】
緊締帯(5)は、着用者の体型に合わせて伸び、バスト上辺をしっかりと保持する。
また、胸前中央において左右が交差するように配置することで、左右のバストを独立して保持することができるため、より強力にバストを支持する効果を奏し易いことからも好ましい。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(X)の左カップ部(1A)の表布(9)の伸縮方向(V・S)を示している。
本発明におけるカップ部を有する衣類は、カップ部(1)の生地が3重構造になっており、その表裏は素材自体に伸縮性のある生地で構成されている。
図5に示す、左カップ部(1A)の表布(9)には、少なくとも肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向(V)及び左右のカップ部を結ぶ横方向(S)の両方向に緩やかに伸縮し、伸長率が140%~220%である伸縮性部材が用いられる。着用者の様々な動きに柔軟に対応し、長時間快適な着心地を維持するために全方向に伸縮するものであればなお良く、例えば、ベア天竺等のニット素材が好適に用いられる。
【0034】
また、カップ部(1)の脇側(8)は、着用者の様々なカップサイズに適合しやすくするために緩やかに丸みのある角ハギとしても良く、この形状にすることでバストが横流れしにくくなるためより好ましい。
【0035】
図6のように、側臥位では下になる腕の方向により、地側の乳房は図6に示した矢印のように地側の肩の方向に流れる。このようにバストが下方に流れるために、左右のバストを独立して支持する必要がある。従って、バストを強力に支持するためには、左右のカップ部(1A・1B)に配置された緊締帯(5)が、非常に重要な役割を担う。
【0036】
図7は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(X)を着用し、側臥位となったときにバストの流れを防止する支持帯(6)の保持力を示している。
支持帯(6)は、立位時や仰臥位においては、肩紐部(2)からカップ台部(3)を結ぶ縦方向(V)に伸縮するが、側臥位においては図7に示すように、着用者にとって天側の肩の方向に対する力が働くことでバストを保持する。
また、図6で示した緊締帯(5)の機能に加え、図7に示す支持帯(6)の機能を組み合わせることで、より強力に左右のバストの形状を保持することができる。
【0037】
図8は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(肩紐タイプ)を表す正面図及び背面図である。
図9は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(丈長タイプ)を表す正面図及び背面図である。
図10は、本発明の一実施形態に係るブラジャー(丈長及び肩紐タイプ)を表す正面図及び背面図である。
図11は、本発明の一実施形態に係るブラキャミソールを表す正面図及び背面図である。
図12は、本発明の一実施形態に係るブラキャミソール(肩紐タイプ)を表す正面図及び背面図である。
本発明のカップ部を有する衣類は、カップ部(1)を有する衣類であれば特に限定されず、ブラジャーの他、ブラジャー(肩紐タイプ)、ブラジャー(丈長タイプ)、ブラジャー(丈長及び肩紐タイプ)、ブラキャミソール、及びブラキャミソール(肩紐タイプ)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係るカップ部を有する衣類は、就寝時に着用することで、睡眠時に様々な姿勢をとることで形状が崩れやすいバストを保持し、乳房が縦方向や横方向へ流れて下垂の原因となることを防止することから、睡眠時のバストを強力に支持し、乳房の下垂を防止することができるカップ部を有する衣類として、ブラジャーの他、ブラキャミソール、ロングブラジャー、カップ付きパジャマ、及びカップ付きインナー等に好適に使用され得る。
【符号の説明】
【0039】
X カップ部を有するブラジャー
1 カップ部
1A 左カップ部
1B 右カップ部
2 肩紐部
3 カップ台部
4 バック部
5 緊締帯
6 支持帯
7 胸前中心側
8 脇側
9 表布
V 肩紐部からカップ台部を結ぶ縦方向
S 左右のカップ部を結ぶ横方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12