(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/06 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B65H7/06
(21)【出願番号】P 2022570979
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048843
(87)【国際公開番号】W WO2022137540
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】高橋 仁
(72)【発明者】
【氏名】稲毛 徹
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169853(JP,A)
【文献】特開2012-068820(JP,A)
【文献】実開平05-068989(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00 - 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送するベース機搬送路と、前記ベース機搬送路で搬送される紙葉類を識別する識別部とを有するベース機と、
前記ベース機搬送路から延伸される延伸搬送路と、前記延伸搬送路から分岐する分岐搬送路と、前記分岐搬送路に接続され、前記識別部で識別後の紙葉類を集積させる複数の集積部とを有する増設ユニットと、
搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて紙葉類を前記複数の集積部のうちの何れか所定の集積部へ搬送する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記搬送異常が発生した際に、前記延伸搬送路で搬送中の紙葉類または前記分岐搬送路で搬送中の紙葉類を、紙葉類の集積がなされていない空の前記集積部へ搬送するように搬送先を切り換えることを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送異常が発生した際に、前記延伸搬送路で搬送中の紙葉類または前記分岐搬送路で搬送中の紙葉類を、紙葉類の集積がなされていない空の前記集積部が存在しない場合には、前記集積部の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換えることを特徴とする、請求項
1記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
紙葉類を搬送するベース機搬送路と、前記ベース機搬送路で搬送される紙葉類を識別する識別部とを有するベース機と、
前記ベース機搬送路から延伸される延伸搬送路と、前記延伸搬送路から分岐する分岐搬送路と、前記分岐搬送路に接続され、前記識別部で識別後の紙葉類を集積させる複数の集積部とを有する増設ユニットと、
搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて紙葉類を前記複数の集積部のうちの何れか所定の集積部へ搬送する制御部と、
を備え
、
前記増設ユニットを複数備えており、
前記制御部は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、該発生した搬送異常の場所よりも下流で搬送中の紙葉類および前記発生した搬送異常の場所よりも上流で搬送中の紙葉類について、個別に、前記所定の集積部へ搬送するか、又は別の前記集積部へ搬送するように搬送先を切り換えることを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項4】
紙葉類を搬送するベース機搬送路と、前記ベース機搬送路で搬送される紙葉類を識別する識別部とを有するベース機と、
前記ベース機搬送路から延伸される延伸搬送路と、前記延伸搬送路から分岐する分岐搬送路と、前記分岐搬送路に接続され、前記識別部で識別後の紙葉類を集積させる複数の集積部とを有する増設ユニットと、
搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて紙葉類を前記複数の集積部のうちの何れか所定の集積部へ搬送する制御部と、
前記延伸搬送路の終端の開口部から紙葉類を受け入れて集積させる終端集積部と、
を備え
、
前記制御部は、発生した前記搬送異常の場所が前記延伸搬送路でない場合には、前記延伸搬送路で搬送中の紙葉類を前記終端集積部へ搬送するように搬送先を切り換えることを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方の搬送速度を、搬送異常発生時以外の通常の計数時の搬送速度よりも低速に切り換えることを特徴とする、請求項1乃至
4の何れか一項記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
紙葉類を搬送するベース機搬送路と、前記ベース機搬送路で搬送される紙葉類を識別する識別部とを有するベース機と、
前記ベース機搬送路から延伸される延伸搬送路と、前記延伸搬送路から分岐する分岐搬送路と、前記分岐搬送路に接続され、前記識別部で識別後の紙葉類を集積させる複数の集積部とを有する増設ユニットと、
搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて紙葉類を前記複数の集積部のうちの何れか所定の集積部へ搬送する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、搬送異常が発生した後の異常復旧処理操作において、対象となる前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方に滞留した紙葉類を操作員が取り除き忘れた場合にも、当該対象となる前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方のリセット動作の際に、当該滞留した紙葉類の搬送先を切り換えることを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記延伸搬送路で搬送中の紙葉類または前記分岐搬送路で搬送中の紙葉類を、前記所定の集積部へ搬送し終えた後、該所定の集積部以外の前記集積部に正常に搬送した紙葉類の計数を確定することを特徴とする、請求項1乃至
6の何れか一項記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類処理装置においては、紙葉類を計数しつつその種別に応じて分類して複数の集積部に集積させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような紙葉類処理装置では、例えば搬送路上でジャム等の紙葉類の搬送異常が発生すると、その時点で全ての搬送路の搬送動作を一旦停止することになる。この状態で、操作者は、搬送路上に滞留した全ての紙葉類と複数の集積部の中の未確定の紙葉類とを全て取り除いて、これらを紙葉類処理装置の投入部にセットし直すことになる。よって、取り除くべき紙葉類の量が多く、取り除き作業が煩雑になってしまうという課題が存在した。
【0005】
本発明の目的は、搬送異常の発生時に、紙葉類の取り除き作業を容易とすることが可能な紙葉類処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1,第3,第4,第6の態様によれば、紙葉類を搬送するベース機搬送路と、前記ベース機搬送路で搬送される紙葉類を識別する識別部とを有するベース機を備える。前記ベース機搬送路から延伸される延伸搬送路と、前記延伸搬送路から分岐する分岐搬送路と、前記分岐搬送路に接続され、前記識別部で識別後の紙葉類を集積させる複数の集積部とを有する増設ユニットを備える。搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて紙葉類を前記複数の集積部のうちの何れか所定の集積部へ搬送する制御部を備える。
【0007】
本発明に係る第1の態様によれば、前記制御部が、前記搬送異常が発生した際に、前記延伸搬送路で搬送中の紙葉類または前記分岐搬送路で搬送中の紙葉類を、紙葉類の集積がなされていない空の前記集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0008】
本発明に係る第2の態様によれば、第1の態様は、前記制御部が、前記搬送異常が発生した際に、前記延伸搬送路で搬送中の紙葉類または前記分岐搬送路で搬送中の紙葉類を、紙葉類の集積がなされていない空の前記集積部が存在しない場合には、前記集積部の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換えてもよい。
【0010】
本発明に係る第3の態様によれば、前記増設ユニットを複数備えている。この場合、前記制御部は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、該発生した搬送異常の場所よりも下流で搬送中の紙葉類および前記発生した搬送異常の場所よりも上流で搬送中の紙葉類について、個別に、前記所定の集積部へ搬送するか、又は別の前記集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0011】
本発明に係る第4の態様によれば、さらに、前記延伸搬送路の終端の開口部から紙葉類を受け入れて集積させる終端集積部を備えている。この場合、前記制御部は、発生した前記搬送異常の場所が前記延伸搬送路でない場合には、前記延伸搬送路で搬送中の紙葉類を前記終端集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0012】
本発明に係る第5の態様によれば、第1乃至第4の何れか一態様は、前記制御部が、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方の搬送速度を、搬送異常発生時以外の通常の計数時の搬送速度よりも低速に切り換えてもよい。
【0013】
本発明に係る第6の態様によれば、前記制御部が、搬送異常が発生した後の異常復旧処理操作において、対象となる前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方に滞留した紙葉類を操作員が取り除き忘れた場合にも、当該対象となる前記延伸搬送路および前記分岐搬送路の少なくとも何れか一方のリセット動作の際に、当該滞留した紙葉類の搬送先を切り換える。
【0014】
本発明に係る第7の態様によれば、第1乃至第6の何れか一態様は、制御部が、前記延伸搬送路で搬送中の紙葉類または前記分岐搬送路で搬送中の紙葉類を、前記所定の集積部へ搬送し終えた後、該所定の集積部以外の前記集積部に正常に搬送した紙葉類の計数を確定してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紙葉類の取り除き作業を容易とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置の一の構成例を概略的に示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置を構成するベース機を概略的に示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置を構成可能な第1増設ユニットを概略的に示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置を構成可能な第2増設ユニットを概略的に示す正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置を構成可能な第3増設ユニットを概略的に示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置を構成可能な第4増設ユニットを概略的に示す正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置を構成可能な終端ポケットを概略的に示す正面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置の第2計数モードでの第1の異常時の操作表示部の表示内容を示す正面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置の第2計数モードでの第1の異常時の操作表示部の表示内容を示す正面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置の第2計数モードでの第1の異常時の操作表示部の表示内容を示す正面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置の第2計数モードでの第1の異常時の操作表示部の表示内容を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置を図面を参照して以下に説明する。
【0018】
図1に示すように、実施形態に係る紙葉類処理装置1は、ベース機2と、例えば複数種類の第1増設ユニット3(増設ユニット)~第4増設ユニット6(増設ユニット)と、終端ポケット7(集積部,終端集積部)と、が組み合わせられて構成されるものである。ここで、紙葉類処理装置1は、複数種類の第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の、数および種類のうちの少なくとも何れか一方を選択設定してベース機2および終端ポケット7に組み合わせて製造される。紙葉類処理装置1は、例えば、各種紙葉類の中の紙幣を処理する紙幣処理装置である。紙葉類処理装置1は、母体となるベース機2に、各種の第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の中からユーザー運用等により適宜選択されたものが連結され、ベース機2から最も離れた位置に終端ポケット7が連結されることによって構成される。むろん、ベース機2から最も離れた位置云々に関わらず終端ポケット7そのものを連結しない構成とすることも可能である。
【0019】
<ベース機2>
図2に示すように、ベース機2は、紙葉類Sを分類する紙葉類分類機であり、操作者により機外から投入された紙葉類Sに対して所定の分類処理を行う。例えば、操作者により機外から投入された紙葉類Sを識別し金種別に計数して金種別に分類する分類処理や、紙葉類Sの複数のバッチ処理の纏まりを、それぞれバッチ処理の纏まり毎に識別し計数してバッチ処理の纏まり毎に分けて集積させる分類処理を行う。
【0020】
ベース機2は、その機体の操作者側から見て右側の右側面11に設けられて右側面11および機体の操作者側の前面に連続して開口する投入部15と、同じく右側面11の投入部15よりも上方に設けられて機体の右側面11および前面に連続して開口するリジェクト部16とを有している。
【0021】
投入部15には、操作者によって機外から紙葉類Sが投入される。このとき、投入部15には、紙葉類Sが長辺を機体前後方向に沿わせ短辺を機体左右方向に沿わせた状態で上下に集積されて底面17上に載置される。投入部15は、このように装填された集積状態の紙葉類Sを最下のものから一枚ずつその短辺が搬送方向に沿うように移動させて機体左方に繰り出す。紙葉類Sは、
図1に示す紙葉類処理装置1内の全体において、長辺を機体前後方向に沿わせた姿勢のまま移動する。
【0022】
ベース機2は、投入部15に投入され投入部15から繰り出された紙葉類Sを受け取って搬送するベース機搬送路20を有している。ベース機搬送路20は、投入部15に接続され投入部15から繰り出された紙葉類Sを受け取って搬送する識別搬送部21を有している。ベース機2は、識別搬送部21に、識別搬送部21で搬送される紙葉類Sを識別する識別部22を有している。識別搬送部21は、投入部15から機体の右側面11とは反対の左側面24に向けて水平方向に延出した後、上方に延出している。識別部22は、識別搬送部21のこの水平方向に延出する部分に設けられている。
【0023】
ベース機搬送路20は、識別搬送部21の上端部から左側面24に向け延出して左側面24に開口する機外向搬送部28を有している。また、ベース機2は、識別搬送部21の上端部から右側面11に向け延出してリジェクト部16に接続されるリジェクト搬送部27を有している。識別搬送部21の上端位置には、識別搬送部21で搬送されてきた紙葉類Sを機外向搬送部28とリジェクト搬送部27とに振り分ける振分部30が設けられている。言い換えれば、振分部30は、識別搬送部21からの紙葉類Sの搬送先を機外向搬送部28とリジェクト搬送部27とに切り換える。機外向搬送部28およびリジェクト搬送部27は、紙葉類Sを識別搬送部21から受け取って搬送する。機外向搬送部28は、識別部22で計数対象として正常に識別できた紙葉類Sを識別搬送部21から受け入れてベース機2の機外に向け搬送する。リジェクト搬送部27は、識別部22で計数対象として正常に識別できなかった紙葉類Sを識別搬送部21から受け入れてリジェクト部16に向け搬送する。
【0024】
ベース機2は、リジェクト搬送部27の中間部から分岐する複数、具体的には3つの支流搬送部31~33を有している。ベース機2は、支流搬送部31の位置に、リジェクト搬送部27の紙葉類Sを、支流搬送部31と、リジェクト搬送部27の支流搬送部31よりもリジェクト部16側とに振り分ける振分部34を有している。また、ベース機2は、支流搬送部32の位置に、リジェクト搬送部27の紙葉類Sを、支流搬送部32と、リジェクト搬送部27の支流搬送部32よりもリジェクト部16側とに振り分ける振分部35を有している。また、ベース機2は、支流搬送部33の位置に、リジェクト搬送部27の紙葉類Sを、支流搬送部33と、リジェクト搬送部27の支流搬送部33よりもリジェクト部16側、すなわちリジェクト部16とに振り分ける振分部36を有している。
【0025】
リジェクト部16は、リジェクト搬送部27の末端から紙葉類Sが繰り出され、このように繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させる。言い換えれば、リジェクト部16は、リジェクト搬送部27で搬送されてきた紙葉類Sを機外に排除する。リジェクト部16は、具体的に、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類S以外の紙葉類Sを集積させる。よって、リジェクト搬送部27は、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類S以外の紙葉類Sを識別搬送部21から受け入れて搬送する。リジェクト搬送部27は、計数モードによっては、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sについても識別搬送部21から受け入れて搬送する。
【0026】
リジェクト部16は、底面37および壁面38と、リジェクト搬送部27から繰り出された紙葉類Sを壁面38に当接させて底面37に向け落下させる羽根車39とを有している。よって、リジェクト部16は、繰り出された紙葉類Sを上下に集積させて底面37上に載置させる。
【0027】
支流搬送部31~33は、何れもリジェクト搬送部27から下方に向けて分岐しており、これらに合わせて、これらの下側に複数具体的には三つの同形状の集積部41~43が、左右方向に並んで設けられている。集積部41~43は、ベース機2の機体の前面に開口している。支流搬送部31~33のうちの最も左側の支流搬送部31に、集積部41~43のうちの最も左側の集積部41が、中間の支流搬送部32に、中間の集積部42が、最も右側の支流搬送部33に、最も右側の集積部43が、それぞれ接続されている。集積部41~43は、識別部22の上方に設けられている。
【0028】
集積部41は、支流搬送部31から繰り出された紙葉類Sをベース機2の機体の前面から外部に取り出し可能となるように集積させる。集積部41は、水平に対し若干右下がりに傾斜する昇降可能な底板部45と、底板部45の右側で上方に延出する壁面46と、壁面46の上部に配置され支流搬送部31から繰り出された紙葉類Sを壁面46に当接させて底板部45に向け落下させる羽根車47とを有している。よって、集積部41に繰り出された紙葉類Sは、底板部45上で上下に集積されることになる。底板部45は、集積部41の紙葉類Sの集積量に応じて上下に移動する。
【0029】
集積部42,43も集積部41と同様の構造であり、集積部42は、支流搬送部32から繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させ、集積部43は、支流搬送部33から繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させる。集積部41~43は、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sを選別して集積させる。
【0030】
ベース機2は、投入部15を駆動する投入部駆動部(図示略)と、ベース機搬送路20を駆動するベース機搬送路駆動部(図示略)とが独立して設けられており、投入部15とベース機搬送路20とが個別に独立して動作可能となっている。
【0031】
ベース機2は、その機体の前面に、操作者により操作入力がなされると共に操作者に向け表示を行うタッチパネル式の操作表示部55を有している。また、ベース機2には、ベース機搬送路20の各部に、紙葉類Sを検知して計数しつつその搬送状態を検出する紙葉類検知センサ(図示略)が設けられている。これらの紙葉類検知センサは、紙葉類Sの搬送状態として、斜行、ニアフィードおよび重送の何れもなく搬送される正常搬送であるか、斜行、ニアフィードあるいは重送等があって搬送される異常搬送であるかを検出すると共に、紙葉類Sのジャム状態を検出する。すなわち、紙葉類検知センサは、異常搬送およびジャム発生を含む搬送異常の有無を検知する。
【0032】
紙葉類検知センサは、例えば、その検知部が、ベース機搬送路20で搬送中の紙葉類Sを間に通過させる発光部と受光部とを有する光透過型のセンサである。紙葉類検知センサは、発光部の発光中に受光部の受光量が第1所定値以下に下がると、この紙葉類検知センサの位置に紙葉類Sがあることを検出することになる。その際に、紙葉類検知センサは、この紙葉類Sを透過する光の透過量が第1所定値よりも小さい第2所定値以下であると、この紙葉類Sが重送であることを検出し、第2所定値より大きければ、この紙葉類Sが重送でないことを検出する。
【0033】
また、紙葉類検知センサは、紙葉類Sの搬送方向に見て左右一対の検知部を有しており、これら検知部による一の紙葉類Sの検知タイミングのずれが所定時間以上であると、この紙葉類Sが斜行であることを検出し、所定時間未満であると、この紙葉類Sが斜行でないことを検出する。
【0034】
また、紙葉類検知センサは、先行して検出した紙葉類Sと次に検出した紙葉類Sとの検出間隔が所定時間以下であると、これら紙葉類Sがニアフィードであることを検出し、所定時間を超えると、これら紙葉類Sがニアフィードでないことを検出する。
【0035】
また、紙葉類検知センサは、紙葉類Sを所定時間以上連続して検知すると、この紙葉類検知センサの位置で紙葉類Sの滞留すなわちジャムが発生したことを検出する。また、紙葉類検知センサは、紙葉類Sを検知すべきタイミングから所定時間経過しても紙葉類Sを検知しない場合は、この紙葉類検知センサの位置よりも上流側で紙葉類Sの滞留すなわちジャムの発生があったことを検出する。
【0036】
これらの紙葉類検知センサのうちの所定のものは、振分部30,34~36を切り換える際のタイミングセンサとしても用いられる。
【0037】
また、ベース機2は、内部に、識別部22の識別結果に基づいてリジェクト部16および集積部41~43に紙葉類Sを振り分ける等、投入部15、リジェクト部16、識別搬送部21、識別部22、リジェクト搬送部27、機外向搬送部28、振分部30、支流搬送部31~33、振分部34~36および集積部41~43等を制御するマスタ制御部56(制御部)が設けられている。マスタ制御部56は、ベース機2の全体を制御すると共に、
図1に示す第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のうちベース機2に連設されて同じ紙葉類処理装置1を構成するものにもインタフェースを介して通信可能に接続されて制御指令信号を出力する。
図2に示すように、ベース機2には、外部電源に接続されてベース機2の各部に給電する電源部57が設けられている。
【0038】
ベース機2は、その左側面24側に、
図1に示す第1増設ユニット3~第4増設ユニット6および終端ポケット7が択一的に隣接して連結可能である。
【0039】
<第1増設ユニット3>
図3に示すように、第1増設ユニット3は、機体の右側面61の上部に開口し、右側面61とは反対の左側面62に向け水平かつ直線状に延出して、左側面62の上部に開口する延伸搬送路64と、延伸搬送路64の左側面62側の中間位置から分岐して下方に延出する分岐搬送路65とを有している。第1増設ユニット3は、
図1に示すように、その右側面61を例えばベース機2の左側面24に重ねるようにしてベース機2に隣接して連結されると、延伸搬送路64がベース機2の機外向搬送部28から紙葉類Sを受け取って搬送する。言い換えれば、延伸搬送路64は、ベース機搬送路20から延伸されており、分岐搬送路65は、この延伸搬送路64から分岐している。
【0040】
図3に示すように、第1増設ユニット3は、延伸搬送路64で右側面61から左側面62に向け搬送される紙葉類Sを、分岐搬送路65と、延伸搬送路64の分岐搬送路65よりも左側面62側とに振り分ける振分部66を有している。
【0041】
分岐搬送路65は、紙葉類Sを延伸搬送路64の中間位置から受け取って下方に向け搬送する主搬送部70と、主搬送部70から分岐する3つの支流搬送部71~73とを有している。支流搬送部71~73は、機体上下方向に並んで配置されており、主搬送部70から右側面61に向けて分岐している。
【0042】
第1増設ユニット3は、支流搬送部71の位置に、主搬送部70の紙葉類Sを、支流搬送部71と、主搬送部70の支流搬送部71よりも支流搬送部72側とに振り分ける振分部74を有している。また、第1増設ユニット3は、支流搬送部72の位置に、主搬送部70の紙葉類Sを、支流搬送部72と、主搬送部70の支流搬送部72よりも支流搬送部73側とに振り分ける振分部75を有している。また、第1増設ユニット3は、支流搬送部73の位置に、主搬送部70の紙葉類Sを、支流搬送部73と、主搬送部70の支流搬送部73よりも延伸搬送路64とは反対側とに振り分ける振分部76を有している。
【0043】
第1増設ユニット3は、延伸搬送路64および分岐搬送路65のそれぞれの各部に、紙葉類Sを検知して計数しつつその搬送状態を検出する紙葉類検知センサが設けられている。これらの紙葉類検知センサは、ベース機2の紙葉類検知センサと同様であり、紙葉類Sの異常搬送の有無およびジャム発生の有無等を検出する。これらの紙葉類検知センサのうちの所定のものは、振分部66,74~76を切り換える際のタイミングセンサとしても用いられる。
【0044】
第1増設ユニット3は、延伸搬送路64を駆動する延伸搬送路駆動部(図示略)と、分岐搬送路65を駆動する分岐搬送路駆動部(図示略)とが独立して設けられている。言い換えれば、延伸搬送路64と分岐搬送路65とが個別に独立して搬送動作可能となっている。
【0045】
第1増設ユニット3は、支流搬送部71~73および主搬送部70の末端の右側に、複数具体的には四つの同形状の集積部81~84を有している。集積部81~84は、上下方向に並んで設けられている。集積部81~84は、それぞれが、分岐搬送路65から繰り出される紙葉類Sを受け入れて集積させる集積処理を行う。集積部81~84は、それぞれが、第1増設ユニット3の機体の前面に開口している。
【0046】
支流搬送部71~73のうちの最も上側の支流搬送部71に、集積部81~84のうちの最も上側の集積部81が、支流搬送部71の下側の支流搬送部72に、集積部81の下側の集積部82が、支流搬送部72の下側の支流搬送部73に、集積部82の下側の集積部83が、主搬送部70の末端に、最も下側の集積部84が、それぞれ繋がっている。
【0047】
紙葉類処理装置1が
図1に示す構成の場合、集積部81~84は、それぞれが、ベース機搬送路20での搬送中に識別部22で識別された後、延伸搬送路64および分岐搬送路65で搬送されて分岐搬送路65から繰り出される紙葉類Sを受け入れて集積させる。言い換えれば、第1増設ユニット3は、分岐搬送路65に接続されて識別部22で識別後の紙葉類Sを集積させる複数の集積部81~84を有している。
【0048】
図3に示すように、集積部81は、支流搬送部71から紙葉類Sが繰り出され、このように繰り出された紙葉類Sを第1増設ユニット3の機体の前面から外部に取り出し可能となるように集積させる。集積部81は、水平に対し若干右下がりに傾斜する底面88と、底面88の上側にこれと垂直に配置された左右に移動可能な壁板部89と、底面88の左部に配置され支流搬送部71から繰り出された紙葉類Sを底面88に当接させて壁板部89に向けて押し出す羽根車90とを有している。よって、集積部81に繰り出された紙葉類Sは、左右方向に集積されることになり、第1増設ユニット3の機体の前面の開口から前方に取り出される。壁板部89は、集積部81の紙葉類Sの集積量に応じて左右に移動する。
【0049】
集積部82~84も、集積部81と同様の構造であり、集積部82は、支流搬送部72から繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させ、集積部83は、支流搬送部73から繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させ、集積部84は、主搬送部70の末端から繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させる。
【0050】
第1増設ユニット3の内部には、
図2に示すベース機2に通信可能に接続されてそのマスタ制御部56から制御指令信号を受信して、この制御指令信号に基づいて第1増設ユニット3を制御するスレーブ制御部95(制御部)が
図3に示すように設けられている。また、第1増設ユニット3には、外部電源に接続されて第1増設ユニット3の各部に給電する電源部96が設けられている。
【0051】
第1増設ユニット3は、その右側面61側に、ベース機2および別の第1増設ユニット3を含む第1増設ユニット3~第4増設ユニット6が択一的に隣接して連結可能である。第1増設ユニット3は、そのベース機2とは反対側となる左側面62側に、別の第1増設ユニット3を含む他の第1増設ユニット3~第4増設ユニット6および終端ポケット7が択一的に隣接して連結可能である。
【0052】
<第2増設ユニット4>
図4に示すように、第2増設ユニット4は、機体の右側面101の上部に開口し、右側面101とは反対の左側面102に向け水平かつ直線状に延出して、左側面102の上部に開口する延伸搬送路104と、延伸搬送路104の左側面102側の中間位置から分岐して下方に延出する分岐搬送路105とを有している。第2増設ユニット4は、
図1に示すように、その右側面101を例えば第1増設ユニット3の左側面62に重ねるようにして第1増設ユニット3に隣接して連結されると、延伸搬送路104が第1増設ユニット3の延伸搬送路64から紙葉類Sを受け取って搬送する。言い換えれば、延伸搬送路104は、延伸搬送路64を介してベース機搬送路20から延伸されており、分岐搬送路105は、この延伸搬送路104から分岐している。
【0053】
図4に示すように、第2増設ユニット4は、延伸搬送路104で右側面101から左側面102に向け搬送される紙葉類Sを、分岐搬送路105と、延伸搬送路104の分岐搬送路105よりも左側面102側とに振り分ける振分部106を有している。
【0054】
分岐搬送路105は、紙葉類Sを延伸搬送路104の中間位置から受け取って下方に向け搬送する主搬送部110と、主搬送部110から分岐する支流搬送部111とを有している。支流搬送部111は、主搬送部110から右側面101に向けて分岐している。第2増設ユニット4は、支流搬送部111の位置に、主搬送部110の紙葉類Sを、支流搬送部111と、主搬送部110の支流搬送部111よりも延伸搬送路104とは反対側とに振り分ける振分部114を有している。
【0055】
第2増設ユニット4は、延伸搬送路104および分岐搬送路105のそれぞれの各部に、紙葉類Sを検知して計数しつつその搬送状態を検出する紙葉類検知センサが設けられている。これらの紙葉類検知センサは、ベース機2の紙葉類検知センサと同様であり、紙葉類Sの異常搬送の有無およびジャム発生の有無等を検出する。これらの紙葉類検知センサのうちの所定のものは、振分部106,114を切り換える際のタイミングセンサとしても用いられる。
【0056】
第2増設ユニット4は、延伸搬送路104を駆動する延伸搬送路駆動部(図示略)と、分岐搬送路105を駆動する分岐搬送路駆動部(図示略)とが独立して設けられている。言い換えれば、延伸搬送路104と分岐搬送路105とが個別に独立して搬送動作可能となっている。
【0057】
第2増設ユニット4は、支流搬送部111および主搬送部110の末端の右側に、複数具体的には二つの集積部121,122を有している。集積部121,122は、上下方向に並んで設けられている。集積部121,122は、それぞれが、分岐搬送路105から繰り出される紙葉類Sを受け入れて集積させる集積処理を行うもので、第2増設ユニット4の機体の前面に開口している。支流搬送部111に、集積部121,122のうちの上側の集積部121が、主搬送部110の末端に、下側の集積部122が、それぞれ繋がっている。
【0058】
紙葉類処理装置1が
図1に示す構成の場合、集積部121,122は、それぞれが、ベース機搬送路20での搬送中に識別部22で識別された後、延伸搬送路64,104および分岐搬送路105で搬送されて分岐搬送路105から繰り出される紙葉類Sを受け入れて集積させる。言い換えれば、第2増設ユニット4は、分岐搬送路105に接続されて識別部22で識別後の紙葉類Sを集積させる複数の集積部121,122を有している。
【0059】
図4に示すように、集積部121は、支流搬送部111から紙葉類Sが繰り出され、このように繰り出された紙葉類Sを第2増設ユニット4の機体の前面から外部に取り出し可能となるように集積させる。集積部121は、水平に配置される昇降可能な底板部126と、底板部126の左側にこれと垂直に配置された壁面127と、壁面127の上部に配置され支流搬送部111から繰り出された紙葉類Sを壁面127に当接させて底板部126に落下させる羽根車128とを有している。よって、集積部121に繰り出された紙葉類Sは、底板部126上で上下に集積されることになり、第2増設ユニット4の前面の開口から前方に取り出される。底板部126は、集積部121の紙葉類Sの集積量に応じて上下に移動する。
【0060】
集積部122も集積部121と同様の構造であり、集積部122は、主搬送部110の末端から繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させる。
【0061】
第2増設ユニット4の内部には、
図1に示すベース機2に通信可能に接続されてそのマスタ制御部56から制御指令信号を受信して、この制御指令信号に基づいて第2増設ユニット4を制御するスレーブ制御部135(制御部)が
図4に示すように設けられている。また、第2増設ユニット4には、外部電源に接続されて第2増設ユニット4の各部に給電する電源部136が設けられている。集積部121,122は、それぞれの紙葉類Sの集積可能量が、第1増設ユニット3の集積部81~84のそれぞれの紙葉類Sの集積可能量よりも多くなっている。
【0062】
第2増設ユニット4は、その右側面101側に、ベース機2および別の第2増設ユニット4を含む第1増設ユニット3~第4増設ユニット6が択一的に隣接して連結可能である。第2増設ユニット4は、そのベース機2とは反対側となる左側面102側に、別の第2増設ユニット4を含む第1増設ユニット3~第4増設ユニット6および終端ポケット7が択一的に隣接して連結可能である。
【0063】
<第3増設ユニット5>
図5に示すように、第3増設ユニット5は、機体の右側面141の上部に開口し、右側面141とは反対の左側面142に向け水平かつ直線状に延出して、左側面142の上部に開口する延伸搬送路144と、延伸搬送路144の左側面142側の中間位置から分岐して下方に延出する分岐搬送路145とを有している。
図1に示すように、第3増設ユニット5は、その右側面141を例えば第2増設ユニット4の左側面102に重ねるようにして第2増設ユニット4に隣接して連結されると、延伸搬送路144が、第2増設ユニット4の延伸搬送路104から紙葉類Sを受け取って搬送する。言い換えれば、延伸搬送路144は、延伸搬送路64,104を介してベース機搬送路20から延伸されており、分岐搬送路145は、この延伸搬送路144から分岐している。
【0064】
図5に示すように、第3増設ユニット5は、延伸搬送路144で右側面141から左側面142に向け搬送される紙葉類Sを、分岐搬送路145と、延伸搬送路144の分岐搬送路145よりも左側面142側とに振り分ける振分部146を有している。
【0065】
分岐搬送路145は、紙葉類Sを延伸搬送路144の中間位置から受け取って下方に向け搬送する主搬送部150と、主搬送部150から分岐する支流搬送部151,152とを有している。支流搬送部151,152は、主搬送部150から右側面141に向けて分岐している。第3増設ユニット5は、支流搬送部151の位置に、主搬送部150の紙葉類Sを、支流搬送部151と、主搬送部150の支流搬送部151よりも支流搬送部152側とに振り分ける振分部154を有している。また、第3増設ユニット5は、支流搬送部152の位置に、主搬送部150の紙葉類Sを、支流搬送部152と、主搬送部150の支流搬送部152よりも延伸搬送路144とは反対側とに振り分ける振分部155を有している。
【0066】
第3増設ユニット5は、延伸搬送路144および分岐搬送路145のそれぞれの各部に、紙葉類Sを検知して計数しつつその搬送状態を検出する紙葉類検知センサが設けられている。これらの紙葉類検知センサは、ベース機2の紙葉類検知センサと同様であり、紙葉類Sの異常搬送の有無およびジャム発生の有無等を検出する。これらの紙葉類検知センサのうちの所定のものは、振分部146,154,155を切り換える際のタイミングセンサとしても用いられる。
【0067】
第3増設ユニット5は、延伸搬送路144を駆動する延伸搬送路駆動部(図示略)と、分岐搬送路145を駆動する分岐搬送路駆動部(図示略)とが独立して設けられている。言い換えれば、延伸搬送路144と分岐搬送路145とが個別に独立して搬送動作可能となっている。
【0068】
第3増設ユニット5は、支流搬送部151,152および主搬送部150の末端の右側に、複数具体的には三つの同形状の集積部161~163を有している。集積部161~163は、上下方向に並んで設けられている。集積部161~163は、それぞれが、分岐搬送路145から繰り出される紙葉類Sを受け入れて集積させる集積処理を行うものである。集積部161~163は、それぞれが、第3増設ユニット5の機体の前面に開口している。
【0069】
支流搬送部151,152のうちの上側の支流搬送部151に、集積部161~163のうちの最も上側の集積部161が、下側の支流搬送部152に中間の集積部162が、主搬送部150の末端に、最も下側の集積部163が、それぞれ繋がっている。
【0070】
紙葉類処理装置1が
図1に示す構成の場合、集積部161~163は、それぞれが、ベース機搬送路20での搬送中に識別部22で識別された後、延伸搬送路64,104,144および分岐搬送路145で搬送されて分岐搬送路145から繰り出される紙葉類Sを受け入れて集積させる。言い換えれば、第3増設ユニット5は、分岐搬送路145に接続されて識別部22で識別後の紙葉類Sを集積させる複数の集積部161~163を有している。
【0071】
図5に示すように、集積部161は、支流搬送部151から紙葉類Sが繰り出され、このように繰り出された紙葉類Sを第3増設ユニット5の機体の前面から外部に取り出し可能となるように集積させる。集積部161は、水平に対し右下がりに傾斜する底面168と、底面168の上側にこれと垂直に配置された左右に移動可能な壁板部169と、底面168の左部に配置され支流搬送部151から繰り出された紙葉類Sを底面168に当接させて壁板部169に向けて押し出す羽根車170とを有している。よって、集積部161に繰り出された紙葉類Sは、左右方向に集積されることになり、第3増設ユニット5の前面の開口から前方に取り出される。壁板部169は、集積部161の紙葉類Sの集積量に応じて左右に移動する。
【0072】
集積部162,163も集積部161と同様の構造であり、集積部162は、支流搬送部152から繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させ、集積部163は、主搬送部150の末端から繰り出された紙葉類Sを外部に取り出し可能に集積させる。
【0073】
第3増設ユニット5の内部には、
図1に示すベース機2に通信可能に接続されてそのマスタ制御部56から制御指令信号を受信して、この制御指令信号に基づいて第3増設ユニット5を制御するスレーブ制御部175(制御部)が
図5に示すように設けられている。また、第3増設ユニット5には、外部電源に接続されて第3増設ユニット5の各部に給電する電源部176が設けられている。集積部161~163は、それぞれの紙葉類Sの集積可能量が、第1増設ユニット3の集積部81~84のそれぞれの紙葉類Sの集積可能量よりも多く、第2増設ユニット4の集積部121,122のそれぞれの紙葉類Sの集積可能量よりも少なくなっている。
【0074】
第3増設ユニット5は、その右側面141側に、ベース機2および別の第3増設ユニット5を含む第1増設ユニット3~第4増設ユニット6が択一的に隣接して連結可能である。第3増設ユニット5は、そのベース機2とは反対側となる左側面142側に、別の第3増設ユニット5を含む他の第1増設ユニット3~第4増設ユニット6および終端ポケット7が択一的に隣接して連結可能である。
【0075】
<第4増設ユニット6>
図6に示すように、第4増設ユニット6は、機体の右側面181の上部に開口し、右側面181とは反対の左側面182に向け水平かつ直線状に延出して、この左側面182の上部に開口する延伸搬送路184と、延伸搬送路184の左側面182側の中間位置から下方に延出する分岐搬送路185とを有している。第4増設ユニット6は、
図1に示すように、その右側面181を例えば第3増設ユニット5の左側面142に重ねるようにして第3増設ユニット5に隣接して連結されると、延伸搬送路184が、第3増設ユニット5の延伸搬送路144から紙葉類Sを受け取って搬送する。言い換えれば、延伸搬送路184は、延伸搬送路64,104,144を介してベース機搬送路20から延伸されており、分岐搬送路185は、この延伸搬送路184から分岐している。
【0076】
図6に示すように、第4増設ユニット6は、延伸搬送路184で右側面181から左側面182に向け搬送される紙葉類Sを、分岐搬送路185と、延伸搬送路184の分岐搬送路185よりも左側面182側とに振り分ける振分部186を有している。
【0077】
分岐搬送路185は、延伸搬送路184とは反対側が、紙葉類Sを所定枚数(100枚)ずつ集積させて結束する結束部189に繋がっている。
【0078】
分岐搬送路185は、紙葉類Sを延伸搬送路184の中間位置から受け取って下方に向け搬送する主搬送部190と、主搬送部190から分岐する支流搬送部191とを有している。支流搬送部191は、主搬送部190から右側面181に向けて分岐している。第4増設ユニット6は、支流搬送部191の位置に、主搬送部190の紙葉類Sを、支流搬送部191と、主搬送部190の支流搬送部191よりも延伸搬送路184とは反対側とに振り分ける振分部194を有している。
【0079】
第4増設ユニット6は、延伸搬送路184および分岐搬送路185のそれぞれの各部に、紙葉類Sを検知して計数しつつその搬送状態を検出する紙葉類検知センサが設けられている。これらの紙葉類検知センサは、ベース機2の紙葉類検知センサと同様であり、紙葉類Sの異常搬送の有無およびジャム発生の有無等を検出する。これらの紙葉類検知センサのうちの所定のものは、振分部186,194を切り換える際のタイミングセンサとしても用いられる。
【0080】
第4増設ユニット6は、延伸搬送路184を駆動する延伸搬送路駆動部(図示略)と、分岐搬送路185を駆動する分岐搬送路駆動部(図示略)とが独立して設けられている。言い換えれば、延伸搬送路184と分岐搬送路185とが個別に独立して搬送動作可能となっている。
【0081】
結束部189は、支流搬送部191および主搬送部190の末端の右側に、複数具体的には二つの施封集積部201,202(集積部)を有している。施封集積部201,202は、上下方向に並んで設けられている。施封集積部201,202は、それぞれが、分岐搬送路185から繰り出される紙葉類Sを受け入れて水平姿勢で鉛直方向に所定の結束単位枚数(具体的には100枚)整列させて集積させる整列集積処理を行う。支流搬送部191に、施封集積部201,202のうちの上側の施封集積部201が、主搬送部190の末端に、下側の施封集積部202が、それぞれ繋がっている。
【0082】
紙葉類処理装置1が
図1に示す構成の場合、施封集積部201,202は、それぞれが、ベース機搬送路20での搬送中に識別部22で識別された後、延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路185で搬送されて分岐搬送路185から繰り出される紙葉類Sを受け入れて集積させる。言い換えれば、第4増設ユニット6は、分岐搬送路185に接続されて識別部22で識別後の紙葉類Sを集積させる複数の施封集積部201,202を有している。
【0083】
図6に示すように、結束部189は、施封集積部201,202の右方に、施封集積部201,202から水平状態のまま右方に送り出された集積紙葉類Sを載置させて鉛直下方に下降搬送する下降搬送部204を有している。また、結束部189は、施封集積部202の下方に、下降搬送部204で下降搬送され下降搬送部204から水平状態のまま機体左方に送り出された集積紙葉類Sを結束テープで結束することにより、バラ紙葉類Sを所定の結束単位枚数だけ纏めて結束テープで一体化した小束紙葉類を作製する施封部205を有している。
【0084】
施封部205は、一束ずつ小束紙葉類を作成するもので、下降搬送部204から機体左方に送り出された集積紙葉類Sを上下から挟持してV字状に屈曲させる挟持部材207,208を有しており、挟持部材207,208で集積紙葉類Sを挟持しつつ、結束テープを周囲に巻き回して接着・切断した後、挟持部材207,208を結束テープから引き抜くことで小束紙葉類を作成する。
【0085】
さらに、結束部189は、施封部205の下方に、施封部205で作製された小束紙葉類を受け入れる引き出し式の収納庫211を有している。収納庫211は、第4増設ユニット6の機体の前面から引き出し可能となっている。つまり、収納庫211は、機体に押し込まれた状態で施封部205から小束紙葉類を受け入れることになり、その後、前面から引き出されることで、小束紙葉類が機外へ取り出し可能となる。施封集積部201,202の位置の第4増設ユニット6の機体の前面には、施封集積部201,202の端数紙葉類を機外に取り出し可能とするための扉216が設けられている。
【0086】
第4増設ユニット6の内部には、
図1に示すベース機2に通信可能に接続されてそのマスタ制御部56から制御指令信号を受信して、この制御指令信号に基づいて第4増設ユニット6を制御するスレーブ制御部225(制御部)が
図6に示すように設けられている。また、第4増設ユニット6には、外部電源に接続されて第4増設ユニット6の各部に給電する電源部226が設けられている。
【0087】
第4増設ユニット6は、その右側面181側に、ベース機2および別の第4増設ユニット6を含む第1増設ユニット3~第4増設ユニット6が択一的に隣接して連結可能である。第4増設ユニット6は、そのベース機2とは反対側となる左側面182側に、別の第4増設ユニット6を含む他の第1増設ユニット3~第4増設ユニット6および終端ポケット7が択一的に隣接して連結可能である。
【0088】
<終端ポケット7>
図7に示すように、終端ポケット7は、右側面231の上部に開口部230を有する。終端ポケット7は、開口部230から内部に繰り出された紙葉類Sを受け止めて水平姿勢で底面235上に鉛直方向に集積させて収容する収容ポケットである。終端ポケット7は、前面に、終端ポケット7に収容している紙葉類Sを外部に取り出し可能とするための開閉扉232を有している。
【0089】
終端ポケット7は、その右側面231側に、ベース機2および第1増設ユニット3~第4増設ユニット6が択一的に連結可能である。終端ポケット7は、その右側面231側にベース機2が隣接して連結された場合、開口部230が、
図2に示すベース機2の機外向搬送部28で搬送されてきた紙葉類Sを紙葉類処理装置1における搬送終端位置で受け入れて収容する。
【0090】
終端ポケット7は、その右側面231側に、第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の何れか一台が隣接して連結された場合、
図3~
図6に示す延伸搬送路64,104,144,184のうち、この終端ポケット7に隣接する増設ユニットの延伸搬送路で搬送されてきた紙葉類Sを、紙葉類処理装置1における搬送終端位置で開口部230を介して受け入れて収容する。
【0091】
<紙葉類処理装置1の全体構成>
【0092】
そして、紙葉類処理装置1は、複数種類の第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の中から必要な種類のものを必要な台数準備し、これらを設定された順番で、ベース機2に順次連設すると共に、ベース機2から最も離れた位置に終端ポケット7を連設することで製造される。つまり、ベース機2に第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のうちの選択設定された一台のみを隣接して連結すると共に終端ポケット7を連結することで紙葉類処理装置1としたり、ベース機2に第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のうちの選択設定された違う種類のものを複数台連結すると共に終端ポケット7を連結することで紙葉類処理装置1としたり、ベース機2に第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のうちの同じ種類のものを複数台連結すると共に終端ポケット7を連結することで紙葉類処理装置1としたり、ベース機2に第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のうちの同じ種類のものを複数台連結し、さらに違う種類のものを一台あるいは複数台連結すると共に終端ポケット7を連結することで紙葉類処理装置1としたり等、種々の組み合わせが可能となっている。つまり、一台のベース機2に、第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のうちの任意のものをそれぞれ任意の数組み合わせると共に終端ポケット7を組み合わせて、一台の紙葉類処理装置1を製造する。勿論、何れの組み合わせにおいても、ベース機2に第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の中から複数台連結する場合には、増設ユニットの配列の順番も選択設定することができる。また、紙葉類処理装置1は、終端ポケット7を備えない構成とすることも可能である。
【0093】
紙葉類処理装置1に、第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の少なくとも一台を含む場合は、何れの組み合わせにおいても、ベース機2のマスタ制御部56が、第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のスレーブ制御部95,135,175,225のうちの連結されたもののスレーブ制御部に通信ケーブル(図示略)を介して通信可能に接続されることになり、連結されたもののスレーブ制御部に制御指令信号を出力する。また、紙葉類処理装置1に、第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の少なくとも一台を含む場合は、何れの組み合わせにおいても、ベース機2の電源部57のオン/オフに連動して第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の電源部96,136,176,226のうちの連結されたものの電源部がオン/オフされる。
【0094】
例えば、
図1に示すように、ベース機2に一台の第1増設ユニット3を、ベース機2の左側面24に第1増設ユニット3の右側面61を当接させ、機外向搬送部28と延伸搬送路64とを紙葉類Sの受け渡しが可能に配置して、連結機構(図示略)で連結させる。また、この第1増設ユニット3に一台の第2増設ユニット4を、第1増設ユニット3の左側面62に第2増設ユニット4の右側面101を当接させ、延伸搬送路64と延伸搬送路104とを紙葉類Sの受け渡しが可能に配置して、連結機構(図示略)で連結させる。また、この第2増設ユニット4に一台の第3増設ユニット5を、第2増設ユニット4の左側面102に第3増設ユニット5の右側面141を当接させ、延伸搬送路104と延伸搬送路144とを紙葉類Sの受け渡しが可能に配置して、連結機構(図示略)で連結させる。また、この第3増設ユニット5に一台の第4増設ユニット6を、第3増設ユニット5の左側面142に第4増設ユニット6の右側面181を当接させ、延伸搬送路144と延伸搬送路184とを紙葉類Sの受け渡しが可能に配置して、連結機構(図示略)で連結する。また、この第4増設ユニット6に一つの終端ポケット7を、第4増設ユニット6の左側面182に終端ポケット7の右側面231を当接させ、延伸搬送路184から終端ポケット7内に紙葉類Sの受け渡しが可能に配置して、連結機構(図示略)で連結する。このようにして、一体の一台の紙葉類処理装置1を製造する。この場合、終端ポケット7は、延伸搬送路184の終端の開口部から紙葉類Sを受け入れて集積させることになる。
【0095】
この構成の場合、紙葉類処理装置1は、そのベース機2のマスタ制御部56が、ベース機2を制御するとともに、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175および第4増設ユニット6のスレーブ制御部225のそれぞれに制御指令信号を出力してこれらを制御する。
【0096】
第1増設ユニット3にはユニット局アドレス#1が、第2増設ユニット4にはユニット局アドレス#2が、第3増設ユニット5にはユニット局アドレス#3が、第4増設ユニット6にはユニット局アドレス#4が、それぞれ予め設定されている。
【0097】
そして、ベース機2のマスタ制御部56は、例えば第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対して必要とする通信を行う際には、ユニット局アドレス#1を指定して制御指令信号を送信することで通信を行う。このようにユニット局アドレス#1を指定した制御指令信号を受けると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95のみが自局宛の制御指令信号を受信したことを認識する。また、逆に、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95がベース機2のマスタ制御部56に対して必要とする通信を行う際には、ユニット局アドレス#1を付加して信号を送信することで通信を行う。このようにユニット局アドレス#1を指定した信号を受けると、ベース機2のマスタ制御部56のみが第1増設ユニット3のスレーブ制御部95からの信号を受信したことを認識する。
【0098】
この仕組みは、ベース機2のマスタ制御部56と第2増設ユニット4のスレーブ制御部135との間についても同様であり、ベース機2のマスタ制御部56と第3増設ユニット5のスレーブ制御部175との間についても同様であり、ベース機2のマスタ制御部56と第4増設ユニット6のスレーブ制御部225との間についても同様である。マスタ制御部56と複数のスレーブ制御部95,135,175,225との間において、このようなインタフェイスが成立する仕組みとなっている。
【0099】
紙葉類処理装置1は、そのベース機2のマスタ制御部56が、操作表示部55への設定入力に基づいて、分類した紙葉類Sの分類別の搬送先を、ベース機2の集積部41~43、第1増設ユニット3の集積部81~84、第2増設ユニット4の集積部121,122、第3増設ユニット5の集積部161~163、第4増設ユニット6の結束部189および終端ポケット7の何れにするかを設定する。
【0100】
マスタ制御部56は、投入部15によって識別搬送部21に紙葉類Sを一枚ずつ繰り出させ、識別搬送部21で搬送させて、識別部22によって識別させる。この識別部22の識別結果から、各紙葉類Sの搬送先を決定する。マスタ制御部56は、識別部22によって計数対象として正常に識別された紙葉類S以外の紙葉類Sを、識別搬送部21から、
図2に示す振分部30でリジェクト搬送部27に案内し、リジェクト搬送部27の末端からリジェクト部16に繰り出させる。また、マスタ制御部56は、識別部22の識別結果から、計数対象として正常に識別されて集積部41に搬送する種類の紙葉類Sを、識別搬送部21から振分部30でリジェクト搬送部27に案内し、リジェクト搬送部27から振分部34で支流搬送部31に振り分けて集積部41に繰り出させる。また、マスタ制御部56は、識別部22の識別結果から、計数対象として正常に識別されて集積部42に搬送する種類の紙葉類Sを、識別搬送部21から振分部30でリジェクト搬送部27に案内し、リジェクト搬送部27から振分部35で支流搬送部32に振り分けて集積部42に繰り出させる。また、識別部22の識別結果から、計数対象として正常に識別されて集積部43に搬送する種類の紙葉類Sを、識別搬送部21から振分部30でリジェクト搬送部27に案内し、リジェクト搬送部27から振分部36で支流搬送部33に振り分けて集積部43に繰り出させる。
【0101】
また、マスタ制御部56は、識別部22の識別結果から、計数対象として正常に識別されて、第1増設ユニット3の集積部81~84、第2増設ユニット4の集積部121,122、第3増設ユニット5の集積部161~163、第4増設ユニット6の結束部189の何れかに搬送する種類の紙葉類Sを、識別搬送部21から、振分部30で機外向搬送部28に案内し、機外向搬送部28で、
図1に示す第1増設ユニット3に向け搬送する。それと共に、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175および第4増設ユニット6のスレーブ制御部225に、この紙葉類Sに対する搬送先の識別情報を含む制御指令信号を出力する。
【0102】
第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、マスタ制御部56から受信した制御指令信号に基づいて第1増設ユニット3を制御する。例えば、
図3に示す延伸搬送路64における振分部66よりも右側面61側に設けられた所定の紙葉類検知センサ(図示略)で紙葉類Sを検知すると、この紙葉類Sに対する制御指令信号に、その搬送先として集積部81~84の何れかの指定が含まれる場合、延伸搬送路64、分岐搬送路65および振分部66,74~76を制御して、この紙葉類Sを集積部81~84の指定されたものに送り込む。他方、この所定の紙葉類検知センサで検知した紙葉類Sに対する制御指令信号に、搬送先として集積部81~84の何れの指定も含まれない場合、延伸搬送路64および振分部66を制御して、この紙葉類Sを
図1に示す第2増設ユニット4の延伸搬送路104に送り込む。
【0103】
よって、第1増設ユニット3は、延伸搬送路64が、ベース機2の識別部22で計数対象として正常に識別されて機外向搬送部28で搬送されてきた紙葉類Sを受け入れて、この第1増設ユニット3のベース機2とは反対側の機外に向けて搬送する。また、第1増設ユニット3は、分岐搬送路65が、延伸搬送路64から分岐して紙葉類Sを搬送する。第1増設ユニット3は、集積部81~84が、分岐搬送路65で搬送されてきた紙葉類Sを分類して集積させる。
【0104】
第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、マスタ制御部56から受信した制御指令信号に基づいて第2増設ユニット4を制御する。例えば、
図4に示す延伸搬送路104における振分部106よりも右側面101側に設けられた所定の紙葉類検知センサ(図示略)で紙葉類Sを検知すると、この紙葉類Sに対する制御指令信号に、その搬送先として集積部121,122の何れかの指定が含まれる場合、延伸搬送路104、分岐搬送路105および振分部106,114を制御して、この紙葉類Sを集積部121,122の指定されたものに送り込む。他方、この所定の紙葉類検知センサで検知した紙葉類Sに対する制御指令信号に、搬送先として集積部121,122の何れの指定も含まれない場合、延伸搬送路104および振分部106を制御して、この紙葉類Sを
図1に示す第3増設ユニット5の延伸搬送路144に送り込む。
【0105】
よって、第2増設ユニット4は、延伸搬送路104が、ベース機2の識別部22で計数対象として正常に識別されて機外向搬送部28で搬送されてきた紙葉類Sを受け入れて、この第2増設ユニット4のベース機2とは反対側の機外に向けて搬送する。また、第2増設ユニット4は、分岐搬送路105が、延伸搬送路104から分岐して紙葉類Sを搬送する。第2増設ユニット4は、集積部121,122が、分岐搬送路105で搬送されてきた紙葉類Sを集積させる。
【0106】
第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、マスタ制御部56から受信した制御指令信号に基づいて第3増設ユニット5を制御する。例えば、
図5に示す延伸搬送路144における振分部146よりも右側面141側に設けられた所定の紙葉類検知センサ(図示略)で紙葉類Sを検知すると、この紙葉類Sに対する制御指令信号に、その搬送先として集積部161~163の何れかの指定が含まれる場合、延伸搬送路144、分岐搬送路145および振分部146,154,155を制御して、この紙葉類Sを集積部161~163の指定されたものに送り込む。他方、この所定の紙葉類検知センサで検知した紙葉類Sに対する制御指令信号に、搬送先として集積部161~163の何れの指定も含まれない場合、延伸搬送路144および振分部146を制御して、この紙葉類Sを
図1に示す第4増設ユニット6の延伸搬送路184に送り込む。
【0107】
よって、第3増設ユニット5は、延伸搬送路144が、ベース機2の識別部22で計数対象として正常に識別されて機外向搬送部28で搬送されてきた紙葉類Sを受け入れて、この第3増設ユニット5のベース機2とは反対側の機外に向けて搬送する。また、第3増設ユニット5は、分岐搬送路145が、延伸搬送路144から分岐して紙葉類Sを搬送する。第3増設ユニット5は、集積部161~163が、分岐搬送路145で搬送されてきた紙葉類Sを分類して集積させる。
【0108】
第4増設ユニット6のスレーブ制御部225は、マスタ制御部56から受信した制御指令信号に基づいて第4増設ユニット6を制御する。例えば、
図6に示す延伸搬送路184における振分部186よりも右側面181側に設けられた所定の紙葉類検知センサで紙葉類Sを検知すると、この紙葉類Sに対する制御指令信号に、その搬送先として結束部189の指定が含まれる場合、延伸搬送路184、分岐搬送路185および振分部186,194を制御して、この紙葉類Sを施封集積部201,202のその時点で集積中のものに送り込む。他方、この所定の紙葉類検知センサで検知した紙葉類Sに対する制御指令信号に、搬送先として結束部189の指定が含まれない場合、延伸搬送路184および振分部186を制御して、この紙葉類Sを
図1に示す終端ポケット7に送り込む。
【0109】
第4増設ユニット6のスレーブ制御部225は、
図6に示す施封集積部201,202の一方に紙葉類Sを送り込み、この一方の集積枚数が結束単位枚数になると、他方に紙葉類Sを送り込むと共に、結束単位枚数の集積紙葉類Sを下降搬送部204で搬送し施封部205で結束させて、収納庫211に送り込む。
【0110】
よって、第4増設ユニット6は、延伸搬送路184が、
図1に示すベース機2の識別部22で計数対象として正常に識別されて機外向搬送部28で搬送されてきた紙葉類Sを受け入れて、この第4増設ユニット6のベース機2とは反対側の機外に向けて搬送する。また、第4増設ユニット6は、分岐搬送路185が、延伸搬送路184から分岐して紙葉類Sを搬送する。第4増設ユニット6は、結束部189が、分岐搬送路185で搬送されてきた紙葉類Sを結束させる。
【0111】
<制御内容:正常時>
ベース機2のマスタ制御部56は、投入部15に投入された紙葉類Sを1枚ずつ機内に取り込んで、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sを、その計数モードに対応して、例えば所定の集積部41~43に搬送して集積させる。また、計数対象として正常に識別された紙葉類S以外の紙葉類Sをリジェクト部16に搬送して集積させる。
【0112】
計数モードとは、予め複数備えられてマスタ制御部56の記憶部に記憶されている運用に係るモードであって、例えば、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sのうち、万円券、五千円券、千円券の紙葉類Sをベース機2の3つの集積部41~43に金種別に選別して集積させ、その他の紙葉類Sをリジェクト部16に集積するモードが第1計数モードとして設定されている。第1計数モードでは、例えば、万円券を集積部41に、五千円券を集積部42に、千円券を集積部43に、それぞれ集積させる設定となっている。
【0113】
また、例えば、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sのうち、万円券、五千円券、二千円券、千円券の紙葉類Sを第1増設ユニット3の4つの集積部81~84に金種別に選別して集積させ、その他の紙葉類Sをリジェクト部16に集積させるモードが第2計数モードとして設定されている。第2計数モードでは、例えば、万円券を集積部81に、五千円券を集積部82に、二千円券を集積部83に、千円券を集積部84に、それぞれ集積させる設定となっている。
【0114】
また、例えば、大量の紙葉類Sを計数する運用として、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sのうち、万円券を第2増設ユニット4の2つの集積部121,122に、五千円券、二千円券、千円券の紙葉類Sを第3増設ユニット5の3つの集積部161~163に金種別に選別して集積させ、その他の紙葉類Sをリジェクト部16に集積させるモードが第3計数モードとして設定されている。第3計数モードでは、例えば、五千円券を集積部161に、二千円券を集積部162に、千円券を集積部163に、それぞれ集積させる設定となっている。また、第3計数モードでは、万円券は、例えば、2つの集積部121,122のうちの集積部121に先に集積させ、集積部121が満杯になったら集積部122に集積させる設定となっている。
【0115】
また、例えば、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sのうち、万円券と千円券とを各々第4増設ユニット6の2つの施封集積部201,202に金種別に集積させた後、その下部に有る施封部205で施封して施封した小束を収納庫211へ収納するモードが第4計数モードとして設定されている。
【0116】
以上のように、操作員が操作表示部55で目的とする計数モードを選択して、投入部15に紙葉類Sを投入して計数することができるようになっている。
【0117】
また、集積部41~43,81~84,121,122,161~163および施封集積部201,202のそれぞれの入口にはカウントセンサ(図示略)が設けられている。ベース機2のマスタ制御部56は、カウントセンサを通過した紙葉類Sの枚数をカウントして、集積部41~43のそれぞれの集積枚数を確定検出する。第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、カウントセンサを通過した紙葉類Sの枚数をカウントして、集積部81~84のそれぞれの集積枚数を確定検出する。同様に、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、カウントセンサを通過した紙葉類Sの枚数をカウントして、集積部121,122のそれぞれの集積枚数を確定検出し、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、カウントセンサを通過した紙葉類Sの枚数をカウントして、集積部161~163のそれぞれの集積枚数を確定検出し、第4増設ユニット6のスレーブ制御部225は、カウントセンサを通過した紙葉類Sの枚数をカウントして、施封集積部201,202のそれぞれの計数枚数を確定検出する。
【0118】
また、集積部41~43,81~84,121,122,161~163および施封集積部201,202のそれぞれには、集積部残留センサ(図示略)が設けられており、第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のスレーブ制御部95,135,175,225は、対応する集積部残留センサが紙葉類Sを検知しているか否かによって、集積部41~43,81~84,121,122,161~163および施封集積部201,202のそれぞれについて、紙葉類Sが残留しているか否かを検出できるようになっている。また、スレーブ制御部95,135,175,225で検出したこれらの情報は、上述したインタフェイスによって、ベース機2のマスタ制御部56に送信されて、マスタ制御部56で一元管理されるようになっている。
【0119】
(第2計数モード:正常時)
次に、上記第2計数モードにおいて、紙葉類Sを計数する際のベース機2のマスタ制御部56および第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のスレーブ制御部95,135,175,225の制御の詳細について説明する。
【0120】
まず、操作員が投入部15に紙葉類Sを投入して操作表示部55の「計数」釦(図示略)を押下すると、マスタ制御部56は、これを認識して、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、これから第2計数モードで計数を行なう旨と、計数を開始する旨とを指示するコマンドを含む制御指令信号を送信して通知する。これを受けてスレーブ制御部95,135,175,225の全てが、これから第2計数モードで計数を行なうことを認識する。
【0121】
すると、スレーブ制御部95が、延伸搬送路64および分岐搬送路65の駆動を開始して、その旨を含む信号をマスタ制御部56へ送信して通知する。また、スレーブ制御部135が、延伸搬送路104および分岐搬送路105の駆動を開始して、その旨を含む信号をマスタ制御部56へ送信して通知する。また、スレーブ制御部175が、延伸搬送路144および分岐搬送路145の駆動を開始して、その旨を含む信号をマスタ制御部56へ送信して通知する。また、スレーブ制御部225が、延伸搬送路184および分岐搬送路185の駆動を開始して、その旨を含む信号をマスタ制御部56へ送信して通知する。
【0122】
続いて、マスタ制御部56は、ベース機2の投入部15およびベース機搬送路20を駆動して、投入部15の紙葉類Sを1枚ずつ機内に取り込ませて搬送させる。そして、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の識別搬送部21での搬送中に紙葉類Sを識別部22で識別させる。識別部22で識別された1枚目の紙葉類Sが、例えば計数対象として正常に識別された万円券であった場合には、この1枚目の紙葉類Sの情報に、万円券の金種情報を関連付けて記憶すると共に、その搬送先が第1増設ユニット3の集積部81である旨の搬送先情報も併せて関連付けて記憶する。
【0123】
また、マスタ制御部56は、次に識別部22で識別された2枚目の紙葉類Sが、例えば計数対象として正常に識別された五千円券であった場合には、この2枚目の紙葉類Sの情報に、五千円券の金種情報を関連付けて記憶すると共に、その搬送先が第1増設ユニット3の集積部82である旨の搬送先情報も併せて関連付けて記憶する。
【0124】
また、マスタ制御部56は、次に識別部22で識別された3枚目の紙葉類Sが、例えば計数対象として正常に識別された二千円券であった場合には、この3枚目の紙葉類Sの情報に、二千円券の金種情報を関連付けて記憶すると共に、その搬送先が第1増設ユニット3の集積部83である旨の搬送先情報も併せて関連付けて記憶する。
【0125】
また、マスタ制御部56は、次に識別部22で識別された4枚目の紙葉類Sが、例えば計数対象として正常に識別された千円券であった場合には、この4枚目の紙葉類Sの情報に、千円券の金種情報を関連付けて記憶すると共に、その搬送先が第1増設ユニット3の集積部84である旨の搬送先情報も併せて関連付けて記憶する。
【0126】
以上のようにして、マスタ制御部56は、投入部15から取り込まれた紙葉類Sの1枚ずつについて、識別部22での識別結果に基づいて、計数対象として正常に識別された紙葉類Sについては、上記のように当該識別された紙葉類Sの情報への金種情報および搬送先情報の関連付け処理を行いながら、この関連付け処理した結果を含む制御指令信号を、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して送信し通知する。
【0127】
つまり、識別部22で識別された1枚目の紙葉類Sが万円券であって、その搬送先が第1増設ユニット3の集積部81であること、次に識別部22で識別された2枚目の紙葉類Sが五千円券であって、その搬送先が第1増設ユニット3の集積部82であること、識別部22で識別された3枚目の紙葉類Sが二千円券であって、その搬送先が第1増設ユニット3の集積部83であること、識別部22で識別された4枚目の紙葉類Sが千円券であって、その搬送先が第1増設ユニット3の集積部84であること、というように、投入部15から取り込まれた紙葉類Sが、識別部22で計数対象として正常に識別される毎に、上記の関連付け処理した結果を、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して送信し通知する。
【0128】
また、マスタ制御部56は、このようにして識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sを、ベース機搬送路20で搬送させながら、振分部30の振り分け方向を識別搬送部21から機外向搬送部28に紙葉類Sを向わせる方向として、第1増設ユニット3の延伸搬送路64へ搬送する。このようにして、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sは、ベース機2から第1増設ユニット3へと受け渡される。
【0129】
なお、識別部22で、計数対象として正常に識別されなかった紙葉類Sについては、振分部30の振り分け方向を、識別搬送部21からリジェクト搬送部27に紙葉類Sを向わせる方向として、リジェクト部16に搬送して集積させる。
【0130】
そして、操作員は、投入部15に投入された紙葉類Sがなくなった際に、リジェクト部16に集積された紙葉類Sがあった場合には、その紙葉類Sを再度投入部15に投入して操作表示部55の「計数」釦(図示略)を押下する。すると、マスタ制御部56は、投入部15に投入された紙葉類Sを上記と同様に処理し、その際に、紙葉類Sが識別部22で計数対象として正常に識別されれば、この紙葉類Sを第1増設ユニット3へと搬送させる。
【0131】
第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、ベース機2の機外向搬送部28から延伸搬送路64に受け渡された紙葉類Sを、延伸搬送路64の振分部66よりも機外向搬送部28側に設けられた紙葉類検知センサ(図示略)で検知することになる。その際に、スレーブ制御部95は、上述したマスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、延伸搬送路64に搬送されてきた1枚目の紙葉類Sが万円券であり且つその搬送先が第1増設ユニット3の集積部81であることを認識する。このため、スレーブ制御部95は、この紙葉類Sについては、振分部66,74によって分岐搬送路65の主搬送部70および支流搬送部71で搬送させて集積部81へ集積させる。
【0132】
スレーブ制御部95は、同様に、延伸搬送路64に搬送されてきた2枚目の紙葉類Sが五千円券であり且つその搬送先が第1増設ユニット3の集積部82であることを認識する。このため、スレーブ制御部95は、この紙葉類Sについては、振分部66,74,75によって分岐搬送路65の主搬送部70および支流搬送部72で搬送させて集積部82へ集積させる。
【0133】
スレーブ制御部95は、同様に、延伸搬送路64に搬送されてきた3枚目の紙葉類Sが二千円券であり且つその搬送先が第1増設ユニット3の集積部83であることを認識する。このため、スレーブ制御部95は、この紙葉類Sについては、振分部66,74~76によって分岐搬送路65の主搬送部70および支流搬送部73で搬送させて集積部83へ集積させる。
【0134】
スレーブ制御部95は、同様に、延伸搬送路64に搬送されてきた4枚目の紙葉類Sが千円券であり且つその搬送先が第1増設ユニット3の集積部84であることを認識する。このため、スレーブ制御部95は、この紙葉類Sについては、振分部66,74~76によって分岐搬送路65の主搬送部70で搬送させて集積部84へ集積させる。
【0135】
以上のようにして、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、ベース機2から受け渡された紙葉類Sの全てについて、それぞれマスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて集積部81~84のうちの所定の集積部へ集積させる集積動作を行う。
【0136】
そして、ベース機2から受け渡された紙葉類Sの全てについての集積動作が終了すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、マスタ制御部56に対して、その旨の終了通知信号を送信し通知する。これを受けて、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、スレーブ制御部95が延伸搬送路64および分岐搬送路65の搬送動作を、スレーブ制御部135が、延伸搬送路104および分岐搬送路105の搬送動作を、スレーブ制御部175が、延伸搬送路144および分岐搬送路145の搬送動作を、スレーブ制御部225が、延伸搬送路184および分岐搬送路185の搬送動作を、それぞれ停止させる。
【0137】
続いて、マスタ制御部56は、操作表示部55に、計数処理が正常終了した旨と、識別部22の識別結果に基づいて、この計数処理で得た計数対象として正常に識別された紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細および合計金額とを表示させる。そして、操作員がその表示を確認して、操作表示部55の「完了」釦(図示略)を押下すると、マスタ制御部56は、この第2計数モードで行った計数取引処理を確定する。
【0138】
(第3計数モード:正常時)
次に、上記第3計数モードにおいて、紙葉類Sを計数する際のベース機2のマスタ制御部56および複数の第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のスレーブ制御部95,135,175,225の制御の詳細について説明する。
【0139】
まず、操作員が投入部15に紙葉類Sを投入して操作表示部55の「計数」釦(図示略)を押下すると、マスタ制御部56は、これを認識して、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、これから第3計数モードで計数を行なう旨と、計数を開始する旨とを指示するコマンドを含む制御指令信号を送信して通知する。これを受けてスレーブ制御部95,135,175,225の全てが、これから第3計数モードで計数を行なうことを認識する。
【0140】
すると、スレーブ制御部95が、延伸搬送路64および分岐搬送路65の駆動を開始して、その旨を含む信号をマスタ制御部56へ送信して通知する。また、スレーブ制御部135が、延伸搬送路104および分岐搬送路105の駆動を開始して、その旨を含む信号をマスタ制御部56へ送信して通知する。また、スレーブ制御部175が、延伸搬送路144および分岐搬送路145の駆動を開始して、その旨を含む信号をマスタ制御部56へ送信して通知する。また、スレーブ制御部225が、延伸搬送路184および分岐搬送路185の駆動を開始して、その旨を含む信号をマスタ制御部56へ送信して通知する。
【0141】
続いて、マスタ制御部56は、ベース機2の投入部15およびベース機搬送路20を駆動して、投入部15の紙葉類Sを1枚ずつ機内に取り込ませて搬送させる。そして、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の識別搬送部21での搬送中に紙葉類Sを識別部22で識別させる。識別部22で識別された1枚目の紙葉類Sが、例えば計数対象として正常に識別された万円券であった場合には、この1枚目の紙葉類Sの情報に、万円券の金種情報を関連付けて記憶すると共に、その搬送先が第2増設ユニット4の2つの集積部121,122である旨の搬送先情報も併せて関連付けて記憶する。
【0142】
また、マスタ制御部56は、次に識別部22で識別された2枚目の紙葉類Sが、例えば計数対象として正常に識別された五千円券であった場合には、この2枚目の紙葉類Sの情報に、五千円券の金種情報を関連付けて記憶すると共に、その搬送先が第3増設ユニット5の集積部161である旨の搬送先情報も併せて関連付けて記憶する。
【0143】
また、マスタ制御部56は、次に識別部22で識別された3枚目の紙葉類Sが、例えば計数対象として正常に識別された二千円券であった場合には、この3枚目の紙葉類Sの情報に、二千円券の金種情報を関連付けて記憶すると共に、その搬送先が第3増設ユニット5の集積部162である旨の搬送先情報も併せて関連付けて記憶する。
【0144】
また、マスタ制御部56は、次に識別部22で識別された4枚目の紙葉類Sが、例えば計数対象として正常に識別された千円券であった場合には、この4枚目の紙葉類Sの情報に、千円券の金種情報を関連付けて記憶すると共に、その搬送先が第3増設ユニット5の集積部163である旨の搬送先情報も併せて関連付けて記憶する。
【0145】
以上のようにして、マスタ制御部56は、投入部15から取り込まれた紙葉類Sの1枚ずつについて、識別部22での識別結果に基づいて、計数対象として正常に識別された紙葉類Sについては、上記のように当該識別された紙葉類Sの情報への金種情報および搬送先情報の関連付け処理を行いながら、この関連付け処理した結果を含む制御指令信号を、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して送信し通知する。
【0146】
つまり、識別部22で識別された1枚目の紙葉類Sが万円券であって、その搬送先が第2増設ユニット4の2つの集積部121,122であること、次に識別部22で識別された2枚目の紙葉類Sが五千円券であって、その搬送先が第3増設ユニット5の集積部161であること、次に識別部22で識別された3枚目の紙葉類Sが二千円券であって、その搬送先が第3増設ユニット5の集積部162であること、次に識別部22で識別された4枚目の紙葉類Sが千円券であって、その搬送先が第3増設ユニット5の集積部163であること、というように、投入部15から取り込まれた紙葉類Sが、識別部22で計数対象として正常に識別される毎に、この関連付け処理した結果を、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して送信し通知する。
【0147】
また、マスタ制御部56は、このようにして識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sを、ベース機搬送路20で搬送させながら、振分部30の振り分け方向を、識別搬送部21から機外向搬送部28に紙葉類Sを向わせる方向として、第1増設ユニット3の延伸搬送路64へ搬送する。このようにして、識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sは、ベース機2から第1増設ユニット3へと受け渡される。
【0148】
なお、識別部22で、計数対象として正常に識別されなかった紙葉類Sについては、振分部30の振り分け方向を、識別搬送部21からリジェクト搬送部27に紙葉類Sを向わせる方向として、リジェクト部16に搬送して集積させる。
【0149】
そして、操作員は、投入部15に投入された紙葉類Sがなくなった際に、リジェクト部16に集積された紙葉類Sがあった場合には、その紙葉類Sを再度投入部15に投入して操作表示部55の「計数」釦(図示略)を押下する。すると、マスタ制御部56は、投入部15に投入された紙葉類Sを上記と同様に処理し、その際に紙葉類Sが識別部22で計数対象として正常に識別されれば、この紙葉類Sを第1増設ユニット3へと搬送させる。
【0150】
第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、ベース機2の機外向搬送部28から延伸搬送路64に受け渡された紙葉類Sを、延伸搬送路64の振分部66よりも機外向搬送部28側に設けられた紙葉類検知センサ(図示略)で検知することになる。その際に、スレーブ制御部95は、上述したマスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、延伸搬送路64に搬送されてきた紙葉類Sは1枚目から最終枚目まで全ての搬送先が第2増設ユニット4または第3増設ユニット5であることを認識する。このため、スレーブ制御部95は、これら全ての紙葉類Sをそのまま延伸搬送路64で搬送させて順次、第2増設ユニット4の延伸搬送路104へと搬送させる。
【0151】
第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、第1増設ユニット3の延伸搬送路64から延伸搬送路104に受け渡された紙葉類Sを、延伸搬送路104の振分部106よりも延伸搬送路64側に設けられた紙葉類検知センサ(図示略)で検知することになる。その際に、スレーブ制御部135は、上述したマスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、延伸搬送路104に搬送されてきた1枚目の紙葉類Sが万円券であり且つその搬送先が第2増設ユニット4の集積部121,122であることを認識する。このため、スレーブ制御部135は、この紙葉類Sについては、振分部106,114によって分岐搬送路105の主搬送部110および支流搬送部111で搬送させて、まずは上段の集積部121へ集積させる。なお、その後も上段の集積部121に搬送される紙葉類Sがあって上段の集積部121が満杯になった際には、スレーブ制御部135は、その後の万円券の紙葉類Sについては、振分部106,114によって分岐搬送路105の主搬送部110で搬送させて、下段の集積部122へ集積させる。
【0152】
他方、スレーブ制御部135は、万円券以外の紙葉類Sについては、全ての紙葉類Sをそのまま延伸搬送路104で搬送させて順次、第3増設ユニット5の延伸搬送路144へと搬送させる。
【0153】
第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、第2増設ユニット4の延伸搬送路104から延伸搬送路144に受け渡された紙葉類Sを、延伸搬送路144の振分部146よりも延伸搬送路104側に設けられた紙葉類検知センサ(図示略)で検知することになる。その際に、スレーブ制御部175は、上述したマスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、延伸搬送路144に搬送されてきた1枚目の紙葉類Sが五千円券であり且つその搬送先が第3増設ユニット5の集積部161であることを認識する。このため、スレーブ制御部175は、この紙葉類Sについては、振分部146,154によって分岐搬送路145の主搬送部150および支流搬送部151で搬送させて、集積部161へ集積させる。
【0154】
また、スレーブ制御部175は、延伸搬送路144に搬送されてきた2枚目の紙葉類Sが二千円券であり且つその搬送先が第3増設ユニット5の集積部162であることを認識する。このため、スレーブ制御部175は、この紙葉類Sについては、振分部146,154,155によって分岐搬送路145の主搬送部150および支流搬送部152で搬送させて、集積部162へ集積させる。
【0155】
また、スレーブ制御部175は、延伸搬送路144に搬送されてきた3枚目の紙葉類Sが千円券であり且つその搬送先が第3増設ユニット5の集積部163であることを認識する。このため、スレーブ制御部175は、この紙葉類Sについては、振分部146,154,155によって分岐搬送路145の主搬送部150で搬送させて、集積部163へ集積させる。
【0156】
以上のようにして、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135と第3増設ユニット5のスレーブ制御部175とが、ベース機2から受け渡された紙葉類Sの全てについて、それぞれに対してマスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部121,122,161~163のうちの所定の集積部へ集積させる集積動作を行う。
【0157】
そして、ベース機2から第1増設ユニット3を介して受け渡された紙葉類Sの全てについての集積動作が終了すると、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135と第3増設ユニット5のスレーブ制御部175とが、マスタ制御部56に対して、その旨の終了通知信号を送信し通知する。これを受けて、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、スレーブ制御部95が延伸搬送路64および分岐搬送路65の搬送動作を、スレーブ制御部135が、延伸搬送路104および分岐搬送路105の搬送動作を、スレーブ制御部175が、延伸搬送路144および分岐搬送路145の搬送動作を、スレーブ制御部225が、延伸搬送路184および分岐搬送路185の搬送動作を、それぞれ停止させる。
【0158】
続いて、マスタ制御部56は、操作表示部55に、計数処理が正常終了した旨と、識別部22の識別結果に基づいて、この計数処理で得た計数対象として正常に識別された紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細および合計金額を表示させる。そして、操作員がその表示を確認して、操作表示部55の「完了」釦(図示略)を押下すると、マスタ制御部56は、この第3計数モードで行った計数取引処理を確定する。
【0159】
<制御内容:異常発生時>
以上においては、正常時の計数動作について説明したが、計数動作中には異常が発生する場合もある。その場合の制御詳細について以下に説明する。
【0160】
発生する異常は、これ以上対象となる搬送路の搬送動作を行なえず緊急停止(搬送路にブレーキをかけて即座に停止)を要する異常と、搬送路の搬送動作そのものは行える通常停止(搬送路上の紙葉類は搬送し終えた後に停止)で済む異常の2種類に大別できる。
【0161】
緊急停止を要する異常としては、搬送動作中に各搬送路のカバー(図示略)が開けられる異常や、紙葉類Sのジャムや、駆動部のモータ回転異常や振分部の動作切換不良の異常等が該当する。他方、通常停止で済む異常としては、紙葉類Sの重送や斜行等の搬送異常の発生や、紙葉類検知センサや集積部の満杯検知センサ等のセンサ異常検知や、投入部15での紙葉類Sの取込不良等が該当する。また、異常発生に係る要素として、異常が発生した場所が挙げられる。マスタ制御部56およびスレーブ制御部95,135,175,225は、この2つの要素に基づいて、異常発生後の制御を行うようになっている。
【0162】
(第2計数モードでの第1の異常)
第2計数モードでの第1の異常は、ベース機2の内部で生じた「緊急停止」を要する搬送異常である。
【0163】
第2計数モードでの第1の異常として、第2計数モードで計数動作中に、例えば、識別部22にて「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合の制御詳細について以下に説明する。
【0164】
上述した第2計数モードでの正常な計数動作中に、ベース機2の識別部22で識別した紙葉類Sが識別部22で滞留してしまう紙葉類Sのジャムが発生しことを識別部22が検出した場合、マスタ制御部56は、まずベース機2の投入部15の駆動を直ちに停止して投入部15による紙葉類Sの取込動作を停止させる。それと共に、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の搬送動作も直ちに停止させる。なお、その際に、ベース機搬送路20で搬送中の紙葉類Sがベース機2の左上部の振分部30の位置で停止してしまう虞がある場合には、マスタ制御部56は、直ちにではなく、若干の所定時間経過後にベース機搬送路20を停止させることによって、当該搬送中の紙葉類Sについては、振分部30を超えて第1増設ユニット3の延伸搬送路64へ受け渡すようにしても良い。
【0165】
ベース機搬送路20の搬送動作の停止後、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、ベース機2において「緊急停止」を要する異常が発生した旨と、延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185については「通常確定停止」させる旨とのコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。
【0166】
上記制御指令信号を受けて、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、第1増設ユニット3の延伸搬送路64上および分岐搬送路65上で搬送されている紙葉類Sがある場合には、当該紙葉類Sに対しては、継続して搬送動作を行いながら、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部81~84のうちの所定の集積部へ集積させる集積動作を行わせる。すなわち、ベース機2における異常発生時に、正常な第1増設ユニット3に既に受け渡されている紙葉類Sについては、そのまま正常時と同様に集積部81~84のうちの対応する集積部に集積させる。
【0167】
言い換えれば、スレーブ制御部95は、第2計数モードでの第1の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、識別部22にて「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて、延伸搬送路64および分岐搬送路65の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送し集積させる。
【0168】
なお、紙葉類Sが振分部30の位置で停止してしまうことを防止するためベース機2で若干の所定時間だけ継続して搬送動作を行う場合には、異常発生後、所定時間経過する前に、振分部30を超えて延伸搬送路64へ受け渡された紙葉類Sを延伸搬送路64における分岐搬送路65よりも機外向搬送部28側の所定の紙葉類検知センサで検知することになる。すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、当該紙葉類Sを第1増設ユニット3において継続して搬送すべき最後の紙葉類Sとみなして、この最後の紙葉類Sまで、集積部81~84のうちの対応する集積部へ集積させる集積動作を行わせる。
【0169】
そして、これらの集積動作が終了すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、その旨の信号をマスタ制御部56に送信し通知する。これを受けてマスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、スレーブ制御部95,135,175,225が、延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止させる。
【0170】
続いて、マスタ制御部56は、集積部81~84に正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。なお、マスタ制御部56は、集積部81~84に正常に搬送した紙葉類S以外の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0171】
そして、マスタ制御部56は、操作表示部55に、
図8に示すように、識別部22において紙葉類Sのジャム異常が発生した旨と、そのエラーコードと、各部の紙葉類検知センサ(図示略)の検知結果に基づいて検出される、紙葉類Sが残留して除去が必要な場所であるベース機搬送路20および識別部22(
図8における太線部分)とを表示させる。
【0172】
それと共に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、計数搬送済の集積部81~84に集積された紙葉類Sは計数確定済みである旨と、このように計数確定済みの紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細と合計金額とを表示させる。
【0173】
すると、操作員は、その旨を認識して異常復旧処理を開始する。まず、ベース機2のサイドカバー(図示略)を開けて識別部22およびベース機搬送路20を露出させて、識別部22に滞留したジャム紙葉類Sを取り除き、ベース機搬送路20の別の場所にも滞留した紙葉類Sがある場合には、その紙葉類Sを併せて取り除いた後、ベース機2のサイドカバー(図示略)を閉める。すると、マスタ制御部56は、
図9に示すように、操作表示部55に、ジャム異常が解消された旨と、操作表示部55の「リセット」釦の押下を促す表示と、「リセット」釦とを表示させる。これを見て、操作員は、操作表示部55の「リセット」釦を押下する。
【0174】
すると、マスタ制御部56は、振分部30を識別搬送部21からリジェクト搬送部27へ紙葉類Sを搬送させる向きとして、ベース機搬送路20を所定時間駆動して、ベース機搬送路20の紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送させるリセット動作を行う。すると、ベース機搬送路20に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合には、このリセット動作によって、当該紙葉類Sがリジェクト部16へ搬送される。そして、リジェクト部16へ搬送された紙葉類Sがある場合に、マスタ制御部56は、
図10に示すように、操作表示部55に、リジェクト部16の紙葉類Sを抜き取るように誘導する表示およびリジェクト部16の位置を示す表示(
図10における太線枠部分)を行わせる。
【0175】
そして、操作員がリジェクト部16の紙葉類Sを抜き取ったことをリジェクト部16の残留検知センサ(図示略)で検知すると、マスタ制御部56は、
図11に示すように、リセット処理すなわち異常復旧処理が全て終了したことを操作表示部55に表示させると共に、リジェクト部16から抜き取った紙葉類Sを投入部15に投入して継続計数が可能な旨の案内表示と、「継続計数」釦とを操作表示部55に表示させる。
【0176】
このように、第2計数モードでの正常な計数動作中に、識別部22で紙葉類Sのジャムが発生した場合でも、その下流側である、第1増設ユニット3で搬送中の紙葉類Sについては、それぞれに対してマスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて集積部81~84のうちの対応する集積部へ集積させる。このため、集積部81~84に集積された紙葉類Sは、計数確定済みとすることができる。
【0177】
以上において、操作員は、異常復旧処理の際に、異常が発生したベース機2の識別部22およびベース機搬送路20の紙葉類Sを取り除き、またリジェクト部16にも紙葉類Sがある場合には併せて取り除けば済む。すなわち、操作員は、第1増設ユニット3の集積部81~84、延伸搬送路64および分岐搬送路65にはアクセスする必要がなく、集積部81~84、延伸搬送路64および分岐搬送路65から紙葉類Sを取り除く必要がなくなる。このため、操作員の異常復旧処理の操作に係る負荷を軽減することができる。
【0178】
(第2計数モードでの第2の異常)
第2計数モードでの第2の異常は、ベース機2の内部で生じた「通常停止」で済む搬送異常である。
【0179】
第2計数モードでの第2の異常として、第2計数モードで計数動作中に、例えば、投入部15にて「通常停止」で済む紙葉類Sの取込不良が発生した場合の制御詳細について以下に説明する。
【0180】
上述した第2計数モードでの正常な計数動作中に、ベース機2の投入部15で取り込もうとした紙葉類Sについて取込不良が発生し、投入部15に滞留してしまった場合には、マスタ制御部56は、まず投入部15の駆動を直ちに停止して紙葉類Sの取込動作を停止させる。他方、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の搬送動作は停止させずに継続して搬送動作を行わせることになり、このようにベース機搬送路20で搬送中の紙葉類Sのうち識別部22で計数対象として正常に識別された紙葉類Sを全て第1増設ユニット3に受け渡す。他方、識別部22で計数対象として正常に識別されなかった紙葉類Sは、リジェクト部16に搬送する。
【0181】
また、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、ベース機2において「通常停止」を要する異常が発生した旨と、延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185を「通常確定停止」させる旨とのコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。それを受けて、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、異常発生後もベース機2から受け入れた紙葉類Sを含め、第1増設ユニット3の延伸搬送路64上および分岐搬送路65上で搬送されている紙葉類Sに対しては、継続して搬送動作を行いながら、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部81~84のうちの対応する集積部へ集積させる集積動作を行わせる。
【0182】
言い換えれば、スレーブ制御部95は、第2計数モードでの第2の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、投入部15にて「通常停止」で済む紙葉類Sの取込不良が発生した場合には、ベース機搬送路20、延伸搬送路64および分岐搬送路65の全ての搬送動作を直ちに停止させずに継続させて、ベース機搬送路20、延伸搬送路64および分岐搬送路65の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送し集積させる。
【0183】
そして、これらの集積動作が終了すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、その旨をマスタ制御部56に送信し通知する。これを受けてマスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、複数のスレーブ制御部95,135,175,225は、延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止させる。
【0184】
続いて、マスタ制御部56は、集積部81~84に正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。なお、マスタ制御部56は、集積部81~84に正常に搬送した紙葉類S以外の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0185】
すると、マスタ制御部56は、操作表示部55に、第2計数モードでの第1の異常時の
図8~
図11に示す表示に準じた表示を行わせる。すなわち、マスタ制御部56は、操作表示部55に、まず、投入部15で取込不良の異常が発生した旨と、そのエラーコードとを表示させる。それと共に、マスタ制御部56は、併せて、操作表示部55に、計数搬送済の集積部81~84に集積された紙葉類Sは計数確定済みである旨と、このように計数確定済みの紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細と合計金額とを表示させる。
【0186】
すると、操作員は、その旨を認識して異常復旧処理を開始する。操作員は、まず、ベース機2の正面カバー(図示略)を開けて投入部15を露出させて、投入部15に滞留した紙葉類Sを取り除く。そして、操作員は、ベース機2の正面カバー(図示略)を閉めて、操作表示部55の「リセット」釦(図示略)を押下する。
【0187】
このように、第2計数モードでの正常な計数動作中に、投入部15で紙葉類Sの取込不良が発生した場合でも、少なくともその下流側である、ベース機2のベース機搬送路20、第1増設ユニット3の延伸搬送路64および分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sを、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部81~84のうちの対応する集積部へ集積させる集積動作を行う。このため、集積部81~84に集積された紙葉類Sは計数確定済みとすることが可能となる。
【0188】
以上において、操作員は、異常復旧処理の際に、異常が発生したベース機2の投入部15の紙葉類Sを取り除き、またリジェクト部16にも紙葉類Sがある場合には併せて取り除けば良い。すなわち、操作員は、ベース機2のベース機搬送路20、第1増設ユニット3の集積部81~84、延伸搬送路64および分岐搬送路65にはアクセスする必要がなく、ベース機搬送路20、集積部81~84、延伸搬送路64および分岐搬送路65から紙葉類Sを取り除く必要がなくなる。このため、操作員の異常復旧処理の操作に係る負荷を軽減することができる。
【0189】
(第2計数モードでの第3の異常)
第2計数モードでの第3の異常は、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で生じた「緊急停止」を要する搬送異常である。
【0190】
第2計数モードでの第3の異常として、第2計数モードで計数動作中に、例えば、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合の制御詳細について以下に説明する。
【0191】
上述した第2計数モードでの正常な計数動作中に、第1増設ユニット3の延伸搬送路64における振分部66よりも機外向搬送部28側にて「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生したとする。すると、まず、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、それを検知して、マスタ制御部56に対して、第1増設ユニット3の延伸搬送路64における振分部66よりも機外向搬送部28側で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0192】
これを受けて、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、第1増設ユニット3の延伸搬送路64における振分部66よりも機外向搬送部28側で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した旨を通知し、第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して延伸搬送路64,104,144,184を「緊急停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知すると共に、分岐搬送路65,105,145,185を「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。また、マスタ制御部56は、ベース機2の投入部15の駆動を直ちに停止して投入部15による紙葉類Sの取込動作を停止する。
【0193】
なお、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の搬送動作については、振分部30の切り換え動作が間に合わず、ベース機搬送路20の紙葉類Sが、下流側の第1増設ユニット3へ受け渡される虞があると判断した場合には、ベース機搬送路20の搬送動作を直ちに停止する。これに対し、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sが、振分部30の切り換え動作が間に合ってリジェクト部16へ正常に搬送できると判断した場合に、マスタ制御部56は、リジェクト部16へ搬送先を切り換えてベース機搬送路20の全ての紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送し集積させる。
【0194】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、延伸搬送路64の搬送動作を直ちに停止させると共に、分岐搬送路65の搬送動作は継続させて搬送動作を行わせる。これにより、第1増設ユニット3は、分岐搬送路65上で搬送中の紙葉類Sについては、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部81~84のうちの対応する集積部へ集積させる集積動作を行う。
【0195】
言い換えれば、スレーブ制御部95は、第2計数モードでの第3の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合には、延伸搬送路64および分岐搬送路65のうちの一方である分岐搬送路65の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて分岐搬送路65の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0196】
そして、これらの集積動作が終了すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、その旨をマスタ制御部56に送信し通知する。これを受けてマスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、複数のスレーブ制御部95,135,175,225は延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止させる。
【0197】
続いて、マスタ制御部56は、集積部81~84に正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。なお、マスタ制御部56は、集積部81~84に正常に搬送した紙葉類S以外の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0198】
そして、マスタ制御部56は、操作表示部55に、第2計数モードでの第1の異常時の
図8~
図11に示す表示に準じた表示を行わせる。すなわち、マスタ制御部56は、操作表示部55に、まず、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で紙葉類ジャム異常が発生したことと、そのエラーコードと、各部の紙葉類検知センサ(図示略)の検知結果に基づいて検出される、紙葉類Sが残留して除去が必要な場所である延伸搬送路64とを表示させる。このとき、紙葉類Sが残留して除去が必要な場所にベース機2のベース機搬送路20も該当する場合、ベース機搬送路20も表示させる。
【0199】
それと共に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、併せて、計数搬送済の集積部81~84に集積された紙葉類Sは計数確定済みである旨と、このように計数確定済みの紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細と合計金額とを表示させる。
【0200】
すると、操作員は、その旨を認識して異常復旧処理を開始する。操作員は、第1増設ユニット3の上カバー(図示略)を開けて延伸搬送路64を露出させて、延伸搬送路64に滞留したジャム紙葉類を取り除き、延伸搬送路64の別の場所にも滞留した紙葉類Sがある場合には併せて取り除いて、上カバーを閉じる。また、除去が必要な紙葉類Sの場所としてベース機2のベース機搬送路20が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、ベース機2の正面カバー(図示略)を開けてベース機搬送路20を露出させて、ベース機搬送路20に滞留した紙葉類Sを取り除き、この正面カバーを閉じる。そして、操作表示部55の「リセット」釦(図示略)を押下する。
【0201】
すると、マスタ制御部56は、振分部30を識別搬送部21からリジェクト搬送部27へ紙葉類Sを搬送させる方向へ切り換えてベース機搬送路20をリジェクト部16へ搬送動作させるリセット動作を行う。そして、ベース機搬送路20に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合には、このリセット動作によって、当該紙葉類Sがリジェクト部16へ搬送されて集積される。そして、この際には、マスタ制御部56は、操作表示部55に、リジェクト部16の紙葉類Sを抜き取るように誘導表示を表示させる。
【0202】
また併せて、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、延伸搬送路64と分岐搬送路65とのリセット動作を行う。延伸搬送路64にて取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合に、スレーブ制御部95は、このリセット動作による搬送によって、集積部81~84の中に紙葉類Sが未集積である空の集積部がある場合には、当該取り除き忘れた紙葉類Sを全て、退避先として集積部81~84の中の空の集積部へ纏めて搬送するように、搬送先を切り換える。言い換えれば、延伸搬送路64に取り除き忘れた紙葉類Sは、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づく所定の搬送先ではなく、集積部81~84の中の退避先としての空の集積部に搬送される。
【0203】
すなわち、スレーブ制御部95は、搬送異常が発生した後の異常復旧処理操作において、対象となる延伸搬送路64に滞留した紙葉類Sを操作員が取り除き忘れた場合にも、当該対象となる延伸搬送路64および分岐搬送路65のリセット動作の際に、当該滞留した紙葉類Sの搬送先を、集積部81~84の中の退避先としての空の集積部に切り換える。
【0204】
また、このリセット動作の際に、集積部81~84の中に紙葉類Sが未集積である空の集積部がない場合には、スレーブ制御部95は、当該延伸搬送路64にて取り除き忘れた紙葉類Sを全て、退避先として集積部81~84の中で紙葉類Sの集積枚数が一番少ない集積部へ纏めて搬送するようにする。
【0205】
なお、例えば、当該紙葉類Sの退避先として、集積部81~84の中から予め所定の集積部、例えば集積部84を設定しておき、スレーブ制御部95が、延伸搬送路64および分岐搬送路65のリセット動作の際に、当該延伸搬送路64にて取り除き忘れた紙葉類Sを全て纏めて、この集積部84に搬送させて集積させるようにしても良い。
【0206】
そして、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、リセット動作が終了すると、延伸搬送路64にて取り除き忘れた紙葉類Sを集積部81~84のいずれかに退避させた場合には、退避先の集積部の情報をマスタ制御部56に送信し通知する。これを受けて、マスタ制御部56は、操作表示部55に、当該退避先の集積部の紙葉類Sを抜き取るように誘導表示を表示させる。この場合、マスタ制御部56は、この退避先の集積部の紙葉類Sは全て未確定とする。この退避先の集積部から抜き取られた紙葉類Sは、投入部15に再投入されることになり、異常復旧処理後の継続処理で再度識別され計数される。
【0207】
このように、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で紙葉類ジャム異常が発生した場合でも、少なくともその下流側である、第1増設ユニット3の分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sについては、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部81~84のうちの所定の集積部へ集積させる集積動作を行う。このため、集積部81~84のうち、取り除き忘れた紙葉類Sの退避先とされていない集積部に集積された紙葉類Sは計数確定済みとすることが可能となる。
【0208】
また、さらに、操作員の異常復旧処理の際に、延伸搬送路64にて取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合にも、当該紙葉類Sは、退避先として、集積部81~84のうちの空の集積部があればその集積部へ、空の集積部が無い場合には集積部81~84のうちの集積枚数が一番少ない集積部へ、あるいは集積部81~84のうちの予め設定された所定の集積部へ、纏めて搬送されて集積される。このため、操作員は、集積部81~84のうちの退避先以外の集積部および分岐搬送路65にはアクセスする必要がなく、退避先以外の集積部および分岐搬送路65から紙葉類Sを取り除く必要がなくなる。したがって、操作員の異常復旧処理の操作に係る負荷を軽減することができる。
【0209】
なお、異常復旧処理の際に延伸搬送路64にて取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合の当該紙葉類Sの退避先として、第2増設ユニット4の集積部121,122、第3増設ユニット5の集積部161~163および終端ポケット7のうちのいずれか一つの集積部、例えば集積部121としても良い。
【0210】
(第2計数モードでの第4の異常)
第2計数モードでの第4の異常は、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で生じた「通常停止」で済む搬送異常である。
【0211】
第2計数モードでの第4の異常として、第2計数モードで計数動作中に、例えば、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生した場合の制御詳細について以下に説明する。
【0212】
上述した第2計数モードでの正常な計数動作中に、第1増設ユニット3の延伸搬送路64における振分部66よりも機外向搬送部28側にて「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生したとする。すると、まず、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、それを検知して、マスタ制御部56に対して第1増設ユニット3の延伸搬送路64における振分部66よりも機外向搬送部28側で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0213】
ここで、紙葉類重送異常は、紙葉類Sが2枚または3枚重なって搬送されてしまう異常であるため、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づく所定の搬送先に正しく搬送できなくなってしまう可能性がある。また、重送が紙葉類2枚または3枚の何れが重なったものかが判定できないため、その後続で搬送される紙葉類Sについても、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づく所定の搬送先に正しく搬送できなくなってしまう可能性がある。但し、延伸搬送路64がジャム紙葉類で詰まった等の異常ではないので、搬送動作そのものは継続可能である。
【0214】
延伸搬送路64における振分部66よりも機外向搬送部28側で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生したことの通知を受けると、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、第1増設ユニット3の延伸搬送路64における振分部66よりも機外向搬送部28側で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0215】
また、マスタ制御部56は、第2増設ユニット4~第4増設ユニット6のスレーブ制御部135,175,225の全てに対して延伸搬送路104,144,184を「通常不確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知すると共に、分岐搬送路105,145,185を「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。
【0216】
また、マスタ制御部56は、ベース機2の投入部15の駆動を直ちに停止して投入部15による紙葉類Sの取込動作を停止させる。なお、ベース機搬送路20の搬送動作については、振分部30の切り換え動作が間に合わず、ベース機搬送路20の紙葉類Sが下流側の第1増設ユニット3へ受け渡される虞があると判断した場合には、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の搬送動作を直ちに停止させる。なお、これに対し、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sが、振分部30の切り換え動作が間に合ってリジェクト部16へ正常に搬送できると判断した場合に、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sをリジェクト部16に搬送し集積させる。
【0217】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、分岐搬送路65の搬送動作は継続して行い、分岐搬送路65上で搬送中の紙葉類Sについて、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部81~84のうちの対応する集積部へ集積させる集積動作を行わせる。
【0218】
なお、延伸搬送路64の搬送動作も継続して行うが、紙葉類重送異常が発生した紙葉類Sを含めて延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sについては、スレーブ制御部95は、退避先として集積部81~84の中に紙葉類Sが未集積である空の集積部がある場合には、当該紙葉類Sを全て、この空の集積部へ纏めて搬送するように、搬送先を切り換える。
【0219】
すなわち、スレーブ制御部95は、延伸搬送路64で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの紙葉類Sの集積がなされていない退避先としての空の集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。なお、スレーブ制御部95は、分岐搬送路65で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際においても、分岐搬送路65および延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの紙葉類Sの集積がなされていない退避先としての空の集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0220】
集積部81~84の中に、もし紙葉類Sが未集積である空の集積部がない場合には、スレーブ制御部95は、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを全て、退避先として集積部81~84の中の紙葉類Sの集積枚数が一番少ない集積部へ纏めて搬送する。すなわち、スレーブ制御部95は、「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84に紙葉類Sの集積がなされていない空の集積部が存在しない場合には、集積部81~84の中で一番集積枚数が少ない集積部を退避先として、この集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0221】
この場合、スレーブ制御部95は、延伸搬送路64で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、集積部81~84に空の集積部が存在しない場合には、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。また、スレーブ制御部95は、分岐搬送路65で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、集積部81~84に空の集積部が存在しない場合には、分岐搬送路65および延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0222】
ここで、例えば、当該紙葉類の退避先として、集積部81~84の中から予め所定の退避先の集積部、例えば集積部84を設定しておき、スレーブ制御部95が、当該紙葉類を全て纏めて集積部84に搬送して集積するようにしても良い。すなわち、スレーブ制御部95は、搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの予め設定された所定の集積部へ搬送するように搬送先を切り換えるようにしても良い。
【0223】
この場合、スレーブ制御部95は、延伸搬送路64で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84の中の所定の集積部、例えば集積部84へ搬送するように搬送先を切り換える。また、スレーブ制御部95は、分岐搬送路65で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sおよび延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84の中の所定の集積部、例えば集積部84へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0224】
言い換えれば、スレーブ制御部95は、第2計数モードでの第4の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で「通常停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64および分岐搬送路65の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0225】
そして、これらの集積動作が終了すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、その旨をマスタ制御部56に送信し通知する。これを受けてマスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、複数のスレーブ制御部95,135,175,225は延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止させる。
【0226】
続いて、マスタ制御部56は、集積部81~84のうちの延伸搬送路64の紙葉類Sの退避先としての集積部以外の集積部に正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。なお、マスタ制御部56は、集積部81~84のうちの延伸搬送路64の紙葉類Sの退避先としての集積部以外の集積部に正常に搬送した紙葉類S以外の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0227】
すると、マスタ制御部56は、操作表示部55に、第2計数モードでの第1の異常時の
図8~
図11に示す表示に準じた表示を行わせる。すなわち、マスタ制御部56は、操作表示部55に、まず、延伸搬送路64で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生し、搬送中の不確定の紙葉類Sを上述したように、集積部81~84の中の退避先の集積部へ集積した旨と、当該紙葉類Sを含む集積紙葉類Sを、この退避先の集積部から取り除く必要がある旨と、そのエラーコードと、各部の紙葉類検知センサ(図示略)の検知結果に基づいて検出される、ベース機搬送路20における紙葉類Sが残留して除去が必要な場所とを表示させる。
【0228】
それと共に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、併せて、計数搬送済の集積部81~84に集積された紙葉類Sは上記退避先の集積部の紙葉類Sを除いては計数確定済みである旨と、このように計数確定済みの紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細と合計金額とを表示させる。
【0229】
すると、操作員は、その旨を認識して異常復旧処理を開始する。操作員は、操作表示部55で誘導案内される、集積部81~84のうちの退避先の集積部の紙葉類Sを取り除く。また、除去が必要な紙葉類Sの場所としてベース機2のベース機搬送路20が操作表示部55に表示されていた場合には、操作員は、ベース機2の正面カバー(図示略)を開けてベース機搬送路20を露出させて、滞留した紙葉類Sを取り除く。さらに、リジェクト部16の紙葉類Sも取り除く誘導案内があった場合には、リジェクト部16の紙葉類Sも併せて取り除く。
【0230】
そして、操作員が「リセット」釦(図示略)を押下すると、マスタ制御部56は、ベース機2において、振分部30を識別搬送部21からリジェクト搬送部27へ紙葉類Sを搬送させる方向へ切り換えてベース機搬送路20でベース機搬送路20に滞留する紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送させるようにリセット動作を行う。これにより、もしベース機搬送路20に滞留する紙葉類Sがあった場合には、この滞留する全ての紙葉類Sがリジェクト部16へ搬送されて集積される。そして、この際には、マスタ制御部56は、操作表示部55に、リジェクト部16の紙葉類Sを抜き取るように誘導案内を表示させる。
【0231】
また、併せて、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、延伸搬送路64と分岐搬送路65のリセット動作を行う。
【0232】
以上のように、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で紙葉類重送異常が発生した場合でも、その下流側である、つまり第1増設ユニット3の分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sについては、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部81~84の中の所定の集積部へ集積させる。よって、集積部81~84のうち,延伸搬送路64の紙葉類Sの退避先以外の集積部に集積された紙葉類Sは計数確定済みとすることが可能となる。
【0233】
また、延伸搬送路64で紙葉類重送異常が発生した場合でも、延伸搬送路64の搬送動作を停止することなく搬送動作を継続させる。そして、延伸搬送路64の紙葉類Sを、退避先として集積部81~84の中に空の集積部があれば、この集積部に、空の集積部がない場合には、退避先として集積部81~84の中の紙葉類Sの集積枚数が一番少ない集積部へ、纏めて搬送されて集積される。あるいは、延伸搬送路64の紙葉類Sを、集積部81~84の中の退避先として予め設定された所定の集積部、例えば集積部84へ、纏めて搬送されて集積される。このため、操作員は、退避先以外の集積部、延伸搬送路64および分岐搬送路65にはアクセスする必要がなく、紙葉類Sを取り除く必要がなくなる。したがって、操作員の異常復旧処理の操作に係る負荷を軽減することができる。
【0234】
なお、延伸搬送路64で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、その退避先として、第2増設ユニット4の集積部121,122、第3増設ユニット5の集積部161~163および終端ポケット7のうちのいずれか一つの集積部、例えば集積部121としても良い。
【0235】
(第3計数モードでの第1の異常)
第3計数モードでの第1の異常は、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で生じた「緊急停止」を要する搬送異常である。
【0236】
第3計数モードでの第1の異常として、第3計数モードで計数動作中に、例えば、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合の制御詳細について以下に説明する。
【0237】
上述した第3計数モードでの正常な計数動作中に、第2増設ユニット4の延伸搬送路104における振分部106よりも延伸搬送路64側にて「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生したとする。すると、まず、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、それを検知して、マスタ制御部56に対して第2増設ユニット4の延伸搬送路104における振分部106よりも延伸搬送路64側で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0238】
これを受けて、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、第2増設ユニット4の延伸搬送路104における振分部106よりも延伸搬送路64側で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0239】
それと共に、マスタ制御部56は、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135に対しては、延伸搬送路104を「緊急停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知すると共に、分岐搬送路105を「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。
【0240】
また、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対しては、延伸搬送路64を「通常不確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知すると共に分岐搬送路65を「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。
【0241】
加えて、マスタ制御部56は、その他の第3増設ユニット5および第4増設ユニット6のスレーブ制御部175,225に対しては、延伸搬送路144,184と分岐搬送路145,185とを「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。
【0242】
また、マスタ制御部56は、ベース機2の投入部15の駆動を直ちに停止して投入部15による紙葉類Sの取込動作を停止する。なお、ベース機搬送路20の搬送動作については、振分部30の切り換え動作が間に合わず、下流側の第1増設ユニット3へ紙葉類Sが受け渡される虞があると判断した場合には、ベース機搬送路20の搬送動作を直ちに停止する。これとは逆に、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sが、振分部30の切り換え動作が間に合ってリジェクト部16へ正常に搬送できると判断した場合には、ベース機搬送路20にある全ての紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送して集積させる。
【0243】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、延伸搬送路64および分岐搬送路65の搬送動作は継続させて、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sは、いずれも空である集積部81~84のうちの退避先としての所定の集積部、例えば集積部84に集積させる。
【0244】
言い換えれば、スレーブ制御部95は、第3計数モードでの第1の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか退避先の所定の集積部へ搬送する。
【0245】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、延伸搬送路104の搬送動作を直ちに停止すると共に、分岐搬送路105の搬送動作は継続して行い、分岐搬送路105上で搬送中の紙葉類Sについて、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部121,122のうちの対応する集積部へ集積動作を行う。
【0246】
言い換えれば、スレーブ制御部135は、第3計数モードでの第1の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合には、延伸搬送路104および分岐搬送路105のうちの一方である分岐搬送路105の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて分岐搬送路105の紙葉類Sを複数の集積部121,122のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0247】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、延伸搬送路144上および分岐搬送路145上で搬送している紙葉類Sがある場合には、継続して搬送動作を行いながら、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部161~163のうちの対応する集積部へ集積動作を行う。
【0248】
言い換えれば、スレーブ制御部175は、第3計数モードでの第1の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合には、延伸搬送路144および分岐搬送路145の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路144および分岐搬送路145の紙葉類Sを複数の集積部161~163のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0249】
以上により、複数の第1増設ユニット3~第3増設ユニット5を備えている場合に、これらのスレーブ制御部95,135,175は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、発生した搬送異常の場所である第2増設ユニット4の延伸搬送路104よりも下流で搬送中の紙葉類Sについては、集積部161~163のうちの所定の集積部に搬送することになり、第2増設ユニット4の延伸搬送路104よりも上流で搬送中の紙葉類Sについては、集積部161~163とは別の、延伸搬送路104よりも上流側の集積部81~84のうちの所定の集積部に搬送することになる。すなわち、スレーブ制御部95,135,175は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、この発生した搬送異常の場所よりも下流で搬送中の紙葉類Sおよびこの発生した搬送異常の場所よりも上流で搬送中の紙葉類Sについて、個別に、所定の集積部へ搬送するか、又は別の集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0250】
そして、これら第1増設ユニット3~第3増設ユニット5のスレーブ制御部95,135,175は、各々の処理が終了すると、その旨の信号をマスタ制御部56に送信し通知する。これを受けて、マスタ制御部56は複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、複数のスレーブ制御部95,135,175,225は、延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止させる。
【0251】
続いて、マスタ制御部56は、集積部81~84のうちの延伸搬送路64の紙葉類Sの退避先としての集積部以外となる、集積部121,122,161~163に正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。なお、マスタ制御部56は、集積部121,122,161~163に正常に搬送した紙葉類S以外の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0252】
すると、マスタ制御部56は、操作表示部55に、第2計数モードでの第1の異常時の
図8~
図11に示す表示に準じた表示を行わせる。すなわち、マスタ制御部56は、操作表示部55に、まず、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で紙葉類ジャム異常が発生した旨と、そのエラーコードと、各部の紙葉類検知センサ(図示略)の検知結果に基づいて検出される、紙葉類Sが残留して除去が必要な場所とを表示させる。
【0253】
それと共に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、併せて、計数搬送済の集積部121,122および集積部161~163に集積された紙葉類Sは計数確定済みである旨と、このように計数確定済みの紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細と合計金額とを表示させる。
【0254】
すると、操作員は、その旨を認識して異常復旧処理を開始する。操作員は、第2増設ユニット4の上カバー(図示略)を開けて延伸搬送路104を露出させて、延伸搬送路104に滞留したジャム紙葉類Sを取り除き、延伸搬送路104の別の場所にも滞留した紙葉類Sがある場合には併せて取り除いて、この上カバーを閉じる。また、紙葉類Sの除去が必要な場所としてベース機2のベース機搬送路20が操作表示部55に表示されていた場合には、操作員はベース機2の正面カバー(図示略)を開けてベース機搬送路20を露出させて、滞留した紙葉類Sを取り除いて、この正面カバーを閉じる。また、リジェクト部16に紙葉類Sをリジェクトしている旨が操作表示部55に表示されていた場合には、操作員は、リジェクト部16から紙葉類Sを取り除く。また、集積部81~84のうちの退避先としての集積部に紙葉類Sを集積させている旨が操作表示部55に表示されていた場合には、操作員は、この集積部から紙葉類Sを取り除く。そして、操作表示部55の「リセット」釦(図示略)を押下する。
【0255】
すると、マスタ制御部56は、ベース機2において、振分部30を識別搬送部21からリジェクト搬送部27へ紙葉類Sを搬送させる方向へ切り換えて識別搬送部21の紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送させるリセット動作を行う。そして、ベース機搬送路20に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合には、このリセット動作によって、当該紙葉類Sがリジェクト部16へ搬送されて集積される。そして、この際に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、リジェクト部16の紙葉類Sを抜き取るように誘導する表示を行わせる。
【0256】
また併せて、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、延伸搬送路64および分岐搬送路65のリセット動作を行う。
【0257】
また併せて、マスタ制御部56は、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、延伸搬送路144および分岐搬送路145のリセット動作を行う。
【0258】
また併せて、マスタ制御部56は、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。この際に、もし延伸搬送路104に滞留する紙葉類Sがあった場合には、このリセット動作による搬送によって、集積部121,122の中に紙葉類Sが未集積である空の集積部がある場合には、スレーブ制御部175は、当該紙葉類Sを全て、集積部121,122の中の退避先としての空の集積部へ纏めて搬送するように、搬送先を切り換える。
【0259】
すなわち、スレーブ制御部135は、搬送異常が発生した後の異常復旧処理操作において、対象となる延伸搬送路104に滞留した紙葉類Sを操作員が取り除き忘れた場合にも、延伸搬送路104および分岐搬送路105のリセット動作の際に、当該延伸搬送路104に滞留した紙葉類Sの搬送先を、集積部121,122の中の退避先としての空の集積部に切り換える。
【0260】
なお、この際に、集積部121,122の中に紙葉類Sが未集積である空の集積部がない場合には、スレーブ制御部135は、当該延伸搬送路104に滞留した紙葉類Sを全て、退避先として集積部121,122の中で紙葉類Sの集積枚数が一番少ない集積部へ纏めて搬送するように搬送先を切り換える。
【0261】
さらには、例えば、当該延伸搬送路104に滞留した紙葉類Sの搬送変更先として、集積部121,122の中から退避先として予め所定の集積部、例えば集積部122を設定しておき、スレーブ制御部175が、当該紙葉類を全て纏めて、この集積部122に搬送させて集積させるようにしても良い。
【0262】
そして、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、リセット動作が終了すると、集積部121,122のうちの、延伸搬送路104に滞留した紙葉類Sの退避先となった集積部の情報をマスタ制御部56に送信し通知する。これを受けて、マスタ制御部56は、操作表示部55に、当該集積部の紙葉類Sを抜き取るように誘導表示を表示させる。この場合、マスタ制御部56は、集積部121,122のうちの、延伸搬送路104に滞留した紙葉類Sの退避先となった集積部の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0263】
このように、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で紙葉類ジャム異常が発生した場合でも、その下流側である、第2増設ユニット4の分岐搬送路105と、第3増設ユニット5の延伸搬送路144および分岐搬送路145とで搬送中の紙葉類Sは、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部121,122および集積部161~163のうちの対応する集積部へ集積される。このため、第2増設ユニット4の集積部121,122のうちの上記退避先以外の集積部および第3増設ユニット5の集積部161~163に集積された紙葉類Sは計数確定済みとすることが可能となる。
【0264】
また、さらに、操作員の異常復旧処理の際に、延伸搬送路104に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合にも、当該紙葉類Sは、集積部121,122のうち、空の集積部があればその集積部を退避先とし、空の集積部がない場合には集積枚数が一番少ない集積部を退避先とし、あるいは集積部121,122のうちの予め設定された所定の集積部を退避先として、纏めて搬送されて集積される。このため、操作員は、取り除き忘れた紙葉類Sの退避先以外の集積部および分岐搬送路105にはアクセスする必要がなく、紙葉類Sを取り除く必要がなくなる。したがって、操作員の異常復旧処理の操作に係る負荷を軽減することができる。
【0265】
また、さらにリセット動作の際に、もし延伸搬送路104に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合でも、当該紙葉類Sは、集積部121,122のうち上述した退避先の集積部へ搬送されて集積される。この点からも、操作員の異常復旧処理の操作に係る負荷を軽減することができる。
【0266】
なお、操作員の異常復旧処理の際に、延伸搬送路104に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合に、その退避先を終端ポケット7としても良い。
【0267】
(第3計数モードでの第2の異常)
第3計数モードでの第2の異常は、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で生じた「通常停止」で済む搬送異常である。
【0268】
第3計数モードでの第2の異常として、第3計数モードで計数動作中に、例えば、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生した場合の制御詳細について以下に説明する。
【0269】
上述した第3計数モードでの正常な計数動作中に、第2増設ユニット4の延伸搬送路104における振分部106よりも延伸搬送路64側で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生したとする。すると、まず、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、それを検知して、マスタ制御部56に対して第2増設ユニット4の延伸搬送路104における振分部106よりも延伸搬送路64側で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0270】
これを受けて、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、第2増設ユニット4の延伸搬送路104における振分部106よりも延伸搬送路64側で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0271】
また、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95と、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135と、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175とに対しては、分岐搬送路65,105,145を「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信して通知する。
【0272】
また、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95と、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135とに対しては、延伸搬送路64,104を「通常不確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信して通知する。
【0273】
また、マスタ制御部56は、第2増設ユニット4よりも下流側の第3増設ユニット5のスレーブ制御部175に対しては、延伸搬送路144を「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。
【0274】
また、マスタ制御部56は、ベース機2の投入部15の駆動を直ちに停止して投入部15の紙葉類Sの取込動作を停止する。なお、ベース機搬送路20の搬送動作については、振分部30の切り換え動作が間に合わず、下流側の第1増設ユニット3へ紙葉類Sが受け渡される虞があると判断した場合には、ベース機搬送路20の搬送動作を直ちに停止する。これとは逆に、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sが、振分部30の切り換え動作が間に合ってリジェクト部16へ正常に搬送できると判断した場合には、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送して集積させる。
【0275】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、延伸搬送路64の搬送動作を継続して搬送動作を行い、その下流側の第2増設ユニット4の延伸搬送路104へ紙葉類Sを受け渡す。
【0276】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、分岐搬送路105で搬送している紙葉類Sがある場合には、継続して搬送動作を行いながら、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部121,122のうちの所定の集積部へ集積させる。
【0277】
なお、延伸搬送路104の搬送動作も継続して行うが、当該紙葉類重送異常が発生した紙葉類Sおよび延伸搬送路64から受け渡される紙葉類Sを含めて延伸搬送路104で搬送される紙葉類Sは、不確定となるため、集積部121,122に紙葉類Sが未集積である空の集積部がある場合には、当該紙葉類Sを全て、集積部121,122のうちの退避先としての空の集積部へ纏めて搬送する。
【0278】
すなわち、スレーブ制御部95,135は、延伸搬送路104で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64,104で搬送中の紙葉類Sを退避させるため、集積部121,122のうちの紙葉類Sの集積がなされていない空の集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。なお、スレーブ制御部95,135は、分岐搬送路105で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際には、延伸搬送路64,104および分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sを退避させるため、集積部121,122のうちの紙葉類Sの集積がなされていない空の集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0279】
この際に、もし集積部121,122に退避先としての空の集積部がない場合に、スレーブ制御部135は、集積部121,122のうち紙葉類Sの集積枚数が一番少ない集積部を退避先としてこの集積部へ、延伸搬送路64,104で搬送中の紙葉類Sを纏めて搬送する。
【0280】
すなわち、スレーブ制御部135は、「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122に紙葉類Sの集積がなされていない空の集積部が存在しない場合には、集積部121,122の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0281】
具体的に、スレーブ制御部135は、延伸搬送路104で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、集積部121,122に空の集積部が存在しない場合には、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。また、スレーブ制御部135は、分岐搬送路105で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、集積部121,122に空の集積部が存在しない場合には、分岐搬送路105および延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0282】
あるいは、例えば、延伸搬送路104または分岐搬送路105で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際の紙葉類Sの退避先として、集積部121,122のうち所定の搬送先の集積部、例えば集積部122が設定されていて、当該紙葉類Sを纏めて集積部122に搬送して集積するようにしても良い。
【0283】
すなわち、スレーブ制御部135は、延伸搬送路104または分岐搬送路105で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122のうちの予め設定された所定の集積部へ搬送するように搬送先を切り換えるようにしても良い。
【0284】
具体的に、スレーブ制御部135は、延伸搬送路104で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122の中の所定の搬送先の集積部、例えば集積部122へ搬送するように搬送先を切り換える。また、スレーブ制御部135は、分岐搬送路105で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、分岐搬送路105および延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122の中の所定の搬送先の集積部、例えば集積部122へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0285】
以上により、スレーブ制御部95,135は、第3計数モードでの第2の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「通常停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路64,104および分岐搬送路105の全部の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64,104および分岐搬送路105の紙葉類Sを複数の集積部121,122のうちの何れか退避先の集積部へ搬送する。
【0286】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、延伸搬送路144上および分岐搬送路145上で搬送している紙葉類Sがある場合には、継続して搬送動作を行いながら、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部161~163のうちの対応する集積部へ集積動作を行う。
【0287】
言い換えれば、スレーブ制御部175は、搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、上流側の第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「通常停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路144および分岐搬送路145の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路144および分岐搬送路145の紙葉類Sを複数の集積部161~163のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0288】
以上により、複数の第1増設ユニット3~第3増設ユニット5を備えている場合に、スレーブ制御部95,135,175は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、発生した搬送異常の場所である第2増設ユニット4の延伸搬送路104よりも下流で搬送中の紙葉類Sについては、集積部161~163のうちの所定の集積部に搬送することになり、第2増設ユニット4の延伸搬送路104よりも上流で搬送中の紙葉類Sについては、集積部161~163とは別の集積部121,122のうちの所定の集積部に搬送することになる。すなわち、スレーブ制御部95,135,175は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、この発生した搬送異常の場所よりも下流で搬送中の紙葉類Sおよびこの発生した搬送異常の場所よりも上流で搬送中の紙葉類Sについて、個別に、所定の集積部へ搬送するか、又は別の集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0289】
そして、これらの集積動作が終了すると、第1増設ユニット3~第3増設ユニット5のスレーブ制御部95,135,175は、その旨をマスタ制御部56に送信し通知する。これを受けてマスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、複数のスレーブ制御部95,135,175,225は延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止させる。
【0290】
続いて、マスタ制御部56は、集積部121,122のうちの上記退避先の集積部以外の集積部と、集積部161~163とに正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。なお、マスタ制御部56は、集積部121,122のうちの上記退避先の集積部以外の集積部と集積部161~163とに正常に搬送した紙葉類S以外の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0291】
すると、マスタ制御部56は、操作表示部55に、第2計数モードでの第1の異常時の
図8~
図11に示す表示に準じた表示を行わせる。すなわち、マスタ制御部56は、操作表示部55に、まず、延伸搬送路104で「通常停止」を要する紙葉類重送異常が発生し、搬送中の不確定の紙葉類Sを上述したように退避先の集積部(例えば集積部122)へ集積した旨と、当該紙葉類Sを、この集積部から取り除く必要がある旨と、そのエラーコードと、各部の紙葉類検知センサ(図示略)の検知結果に基づいて検出される、紙葉類Sが残留して除去が必要な場所とを表示させる。
【0292】
それと共に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、計数搬送済の集積部161~163に集積された紙葉類Sおよび集積部121,122のうちの上記退避先の集積部以外の集積部(例えば集積部121)の紙葉類Sについては計数確定済みである旨と、このように計数確定済みの紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細と合計金額とを表示させる。
【0293】
すると、操作員は、その旨を認識して異常復旧処理を開始する。操作員は、操作表示部55で誘導案内される第2増設ユニット4の、集積部121,122のうちの上記退避先の集積部の紙葉類Sを取り除き、さらに操作表示部55でリジェクト部16の紙葉類Sも取り除く誘導案内があった場合にはリジェクト部16の紙葉類Sも併せて取り除く。また、紙葉類Sの除去が必要な場所としてベース機2のベース機搬送路20が操作表示部55に表示されていた場合には、操作員はベース機2の正面カバー(図示略)を開けてベース機搬送路20を露出させて、滞留した紙葉類Sを取り除いて、この正面カバーを閉じる。
【0294】
そして、操作員が操作表示部55の「リセット」釦(図示略)を押下すると、マスタ制御部56は、振分部30を識別搬送部21からリジェクト搬送部27へ紙葉類Sを搬送させる方向へ切り換えて識別搬送部21の紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送させるリセット動作を行う。そして、この際に、もしベース機搬送路20に滞留する紙葉類Sがあった場合には、この全ての紙葉類Sがリジェクト部16へ搬送されて集積される。そして、この際に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、リジェクト部16の紙葉類Sを抜き取るように誘導する案内を表示させる。
【0295】
また併せて、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は延伸搬送路64と分岐搬送路65とのリセット動作を行う。
【0296】
また併せて、マスタ制御部56は、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は延伸搬送路104と分岐搬送路105とのリセット動作を行う。
【0297】
また併せて、マスタ制御部56は第3増設ユニット5のスレーブ制御部175に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は延伸搬送路144と分岐搬送路145とのリセット動作を行う。
【0298】
このように、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で紙葉類重送異常が発生した場合でも、その下流側にある、第2増設ユニット4の分岐搬送路105と第3増設ユニット5の延伸搬送路144および分岐搬送路145とで搬送中の紙葉類Sについては、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部121,122および集積部161~163のうちの所定の集積部へ集積動作を行う。このため、第3増設ユニット5の集積部161~163に集積された紙葉類Sおよび第2増設ユニット4の集積部121,122の上記退避先以外の集積部に集積された紙葉類Sについては計数確定済みとすることが可能となる。したがって、操作員の異常復旧処理に係る操作負荷を軽減することができる。
【0299】
なお、延伸搬送路104で「通常停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64,104で搬送中の紙葉類Sの退避先を終端ポケット7とし、終端ポケット7に搬送しても良い。
【0300】
(第3計数モードでの第3の異常)
第3計数モードでの第3の異常は、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で生じた「緊急停止」を要する搬送異常である。
【0301】
第3計数モードでの第3の異常として、第3計数モードで計数動作中に、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合の制御詳細について以下に説明する。
【0302】
上述した第3計数モードでの正常な計数動作中に、第2増設ユニット4の分岐搬送路105の主搬送部110における振分部114よりも集積部122側で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生したとする。すると、まず、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、それを検知して、マスタ制御部56に対して第2増設ユニット4の分岐搬送路105の主搬送部110における振分部114よりも集積部122側で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0303】
これを受けて、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、第2増設ユニット4の分岐搬送路105の主搬送部110における振分部114よりも集積部122側で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0304】
また、マスタ制御部56は、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135に対しては、延伸搬送路104を「通常不確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知すると共に、分岐搬送路105を「緊急停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信して通知する。
【0305】
また、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対しては、延伸搬送路64を「通常不確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知すると共に、分岐搬送路65を「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信して通知する。
【0306】
また、マスタ制御部56は、その他の第3増設ユニット5および第4増設ユニット6のスレーブ制御部175,225に対しては、延伸搬送路144,184と分岐搬送路145,185とを「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。
【0307】
また、マスタ制御部56は、ベース機2の投入部15の駆動を直ちに停止して投入部15の紙葉類Sの取込動作を停止する。なお、ベース機搬送路20の搬送動作については、振分部30の切り換え動作が間に合わず、下流側の第1増設ユニット3へ紙葉類Sが受け渡される虞があると判断した場合に、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の搬送動作を直ちに停止する。これとは逆に、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sが、振分部30の切り換え動作が間に合ってリジェクト部16へ正常に搬送できると判断した場合に、マスタ制御部56は、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送して集積させる。
【0308】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、その搬送先を分岐搬送路65を介しての第1増設ユニット3のいずれも空の集積部81~84のうちの予め定められた退避先の集積部に切り換えて、この集積部に集積させる。
【0309】
言い換えれば、スレーブ制御部95は、第3計数モードでの第3の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で「緊急停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の退避先としての集積部へ搬送する。
【0310】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、分岐搬送路105の搬送動作を直ちに停止する。また、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sは、第2増設ユニット4の集積部121,122の何れへも搬送できない。このため、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sは、延伸搬送路144および分岐搬送路145を介して第3増設ユニット5の集積部161~163のうちの退避先の集積部に集積させる。なお、この際に、集積部161~163の中に空の集積部があれば、この集積部を退避先とし、集積部161~163の中に空の集積部がなければ、集積枚数の一番少ない集積部を退避先とする。あるいは、集積部161~163の中の予め設定された集積部、例えば集積部163を退避先とする。
【0311】
言い換えれば、スレーブ制御部135,175は、搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で「緊急停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路104,144および分岐搬送路145の全部の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて、延伸搬送路104の紙葉類Sを複数の集積部161~163のうちの何れか所定の退避先としての集積部へ搬送する。
【0312】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、延伸搬送路144および分岐搬送路145で搬送している紙葉類Sがある場合には、当該紙葉類Sに対しては、継続して搬送動作を行いながら、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部161~163のうちの所定の集積部へ集積動作を行う。
【0313】
言い換えれば、スレーブ制御部175は、搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で「緊急停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路144および分岐搬送路145の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路144および分岐搬送路145の紙葉類Sを複数の集積部161~163のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0314】
そして、これら第1増設ユニット3~第3増設ユニット5のスレーブ制御部95,135,175は、各々の処理が終了すると、その旨の信号をマスタ制御部56に送信し通知する。
【0315】
そして、これを受けて、マスタ制御部56は複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、複数のスレーブ制御部95,135,175,225は延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止する。
【0316】
続いて、マスタ制御部56は、集積部121,122と、集積部161~163のうちの延伸搬送路64,104の紙葉類Sの退避先の集積部以外の集積部とに正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。なお、マスタ制御部56は、集積部121,122と、集積部161~163のうちの退避先の集積部以外の集積部とに正常に搬送した紙葉類S以外の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0317】
すると、マスタ制御部56は、操作表示部55に、第2計数モードでの第1の異常時の
図8~
図11に示す表示に準じた表示を行わせる。すなわち、マスタ制御部56は、操作表示部55に、まず、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で紙葉類ジャム異常が発生した旨と、そのエラーコードと、各部の紙葉類検知センサ(図示略)の検知結果に基づいて検出される、紙葉類Sが残留してその除去が必要な場所とを表示させる。
【0318】
それと共に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、併せて、計数搬送済の集積部121,122に集積された紙葉類Sおよび集積部161~163のうちの上記取り除く必要がある紙葉類Sを受け入れた退避先の集積部の紙葉類Sを除いては計数確定済みである旨と、このように計数確定済みの紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細と合計金額とを表示させる。
【0319】
すると、操作員は、その旨を認識して異常復旧処理を開始する。操作員は、第2増設ユニット4の正面カバー(図示略)を開けて分岐搬送路105を露出させて、分岐搬送路105に滞留したジャム紙葉類を取り除き、分岐搬送路105の別の場所にも滞留した紙葉類Sがある場合には併せて取り除いて正面カバーを閉じる。また、紙葉類Sの除去が必要な場所としてベース機2のベース機搬送路20が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、ベース機2の正面カバー(図示略)を開けてベース機搬送路20を露出させて、ベース機搬送路20に滞留していた紙葉類Sを取り除き、正面カバーを閉じる。また、リジェクト部16にリジェクトされた紙葉類Sがある旨が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、リジェクト部16から紙葉類Sを取り出す。さらに、集積部81~84のうちの退避先としての所定の集積部に退避された紙葉類Sがある旨が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、この集積部から紙葉類Sを取り出す。さらに、集積部161~163のうちの退避先としての所定の集積部に退避された紙葉類Sがある旨が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、この集積部から紙葉類Sを取り出す。そして、操作表示部55の「リセット」釦(図示略)を押下する。
【0320】
すると、マスタ制御部56は、振分部30を識別搬送部21からリジェクト搬送部27へ紙葉類Sを搬送させる方向へ切り換えてベース機搬送路20の紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送させるリセット動作を行う。そして、ベース機搬送路20に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合には、このリセット動作によって、当該紙葉類Sがリジェクト部16へ搬送されて集積される。そして、この際に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、リジェクト部16の紙葉類Sを抜き取るように誘導する表示を行わせる。
【0321】
また併せて、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は延伸搬送路64と分岐搬送路65のリセット動作を行う。
【0322】
また併せて、マスタ制御部56は、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、延伸搬送路144と分岐搬送路145とのリセット動作を行う。
【0323】
また併せて、マスタ制御部56は、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。この際に、もし分岐搬送路105に滞留する紙葉類Sがあった場合には、この滞留する全ての紙葉類Sが集積部121,122のうちの予め設定された所定の退避先の集積部、例えば集積部122に搬送されて集積される。そして、この際に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、当該退避先の集積部122の紙葉類Sを抜き取るように誘導する案内を表示させる。この場合、マスタ制御部56は、この退避先の集積部122の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0324】
以上のように、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で紙葉類ジャム異常が発生した場合でも、その下流側である、第3増設ユニット5の延伸搬送路144と分岐搬送路145とで搬送中の紙葉類Sは、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部161~163のうちの所定の集積部へ集積動作を行う。このため、第3増設ユニット5の集積部161~163のうち、紙葉類Sを取り除く必要がある退避先の集積部の紙葉類Sを除いては計数確定済みとすることが可能となる。
【0325】
また、さらに、操作員の異常復旧処理の際に、分岐搬送路105に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合にも、リセット動作の際に、当該紙葉類は集積部121,122のうちの退避先の集積部へ搬送されて集積される。このため、操作員の異常復旧処理の操作に係る負荷を軽減することができる。
【0326】
なお、分岐搬送路105で「緊急停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64,104で搬送中の紙葉類Sについては、識別部22の識別結果に基づく搬送先が集積部161~163のいずれかである場合には、集積部161~163のいずれか対応する集積部に搬送し、識別部22の識別結果に基づく搬送先が集積部121,122である場合には、退避先としての終端ポケット7に搬送しても良い。この場合、集積部161~163のいずれか対応する集積部に搬送された紙葉類Sは計数が確定されることになり、終端ポケット7に搬送された紙葉類Sは計数が未確定となる。
【0327】
(第3計数モードでの第4の異常)
第3計数モードでの第4の異常は、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で生じた「緊急停止」を要する搬送異常である。
【0328】
第3計数モードでの第4の異常として、第3計数モードで計数動作中に、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した場合の制御詳細について以下に説明する。
【0329】
上述した第3計数モードでの正常な計数動作中に、第3増設ユニット5の分岐搬送路145の主搬送部150における振分部154と振分部155との間で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生したとする。すると、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、それを検知して、マスタ制御部56に対して第3増設ユニット5の分岐搬送路145の主搬送部150における振分部154と振分部155との間で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0330】
これを受けて、マスタ制御部56は、複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、第3増設ユニット5の分岐搬送路145の主搬送部150における振分部154と振分部155との間で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した旨の信号を送信して通知する。
【0331】
また、マスタ制御部56は、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175に対しては、延伸搬送路144を「通常不確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知すると共に、分岐搬送路145を「緊急停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信して通知する。
【0332】
また、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3と第2増設ユニット4のスレーブ制御部95,135に対しては、延伸搬送路64,104を「通常不確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知すると共に、分岐搬送路65,105を「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信して通知する。
【0333】
また、マスタ制御部56は、その他の第4増設ユニット6のスレーブ制御部225に対しては、延伸搬送路184と分岐搬送路185とを「通常確定停止」させる旨のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。
【0334】
また、マスタ制御部56は、ベース機2の投入部15の駆動を直ちに停止して投入部15の紙葉類Sの取込動作を停止させる。なお、ベース機搬送路20の搬送動作については、振分部30の切り換え動作が間に合わず、下流側の第1増設ユニット3へ紙葉類Sが受け渡される虞があると判断した場合には、ベース機搬送路20の搬送動作を直ちに停止する。これとは逆に、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sが、振分部30の切り換え動作が間に合ってリジェクト部16へ正常に搬送できると判断した場合には、ベース機搬送路20の全ての紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送して集積させる。
【0335】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sがある場合には、当該紙葉類Sの搬送先を、第1増設ユニット3の全て空の集積部81~84のうちの予め定められた退避先の集積部、例えば集積部84へ切り換えて集積させる。
【0336】
言い換えれば、スレーブ制御部95は、第3計数モードでの第4の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で「緊急停止」を要する異常が発生した場合には、その上流側の延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の退避先の集積部へ搬送する。
【0337】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は、分岐搬送路105で搬送されている紙葉類Sがある場合には、当該紙葉類Sを、継続して搬送させながら、マスタ制御部56から伝達された関連付け情報に基づいて、集積部121,122のうちの所定の集積部へ集積させる。また、延伸搬送路104で搬送されている紙葉類Sがある場合には、当該紙葉類Sを、第2増設ユニット4の集積部121,122のうちの何れかの退避先の集積部へ集積させる。なお、この際に、集積部121,122の中に空の集積部があれば、この集積部を退避先とし、集積部121,122の中に空の集積部がなければ、集積枚数の一番少ない集積部を退避先とする。あるいは、集積部121,122の中の予め設定された集積部、例えば集積部122を退避先とする。
【0338】
言い換えれば、スレーブ制御部135は、搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で「緊急停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路104および分岐搬送路105の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路104および分岐搬送路105の紙葉類Sを複数の集積部121,122のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0339】
また、マスタ制御部56からの上記制御指令信号を受けた第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、分岐搬送路145の搬送動作を直ちに停止する。また、スレーブ制御部175は、延伸搬送路144で搬送中の紙葉類Sがあった場合には、その搬送動作はそのまま継続させて、延伸搬送路184を介して終端ポケット7へ搬送させて集積させる。
【0340】
言い換えれば、スレーブ制御部175,225は、搬送異常の発生時に、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で「緊急停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路144および分岐搬送路145のうちの一方である延伸搬送路144の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路144の紙葉類Sを延伸搬送路184を介して集積部としての終端ポケット7へ搬送する。すなわち、スレーブ制御部175,225は、発生した搬送異常の場所が延伸搬送路144でない場合には、延伸搬送路144で搬送中の紙葉類Sを終端ポケット7へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0341】
そして、これら第1増設ユニット3~第4増設ユニット6のスレーブ制御部95,135,175,225は、各々の処理が終了すると、その旨の信号をマスタ制御部56に送信し通知する。そして、これを受けて、マスタ制御部56は複数のスレーブ制御部95,135,175,225の全てに対して、「計数終了停止」のコマンドを含む制御指令信号を送信し通知する。すると、複数のスレーブ制御部95,135,175,225は、延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止させる。
【0342】
続いて、マスタ制御部56は、集積部161~163と、集積部121,122のうちの延伸搬送路104の紙葉類Sの退避先としての集積部以外の集積部とに正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。なお、マスタ制御部56は、集積部161~163と集積部121,122のうちの退避先としての集積部以外の集積部とに正常に搬送した紙葉類S以外の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0343】
そして、マスタ制御部56は、操作表示部55に、第2計数モードでの第1の異常時の
図8~
図11に示す表示に準じた表示を行わせる。すなわち、マスタ制御部56は、操作表示部55に、まず、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で紙葉類ジャム異常が発生した旨と、そのエラーコードと、各部の紙葉類検知センサ(図示略)の検知結果に基づいて検出される、紙葉類Sが残留してその除去が必要な場所とを表示させる。
【0344】
それと共に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、併せて、計数搬送済の集積部161~163に集積された紙葉類Sと、集積部121,122のうちの紙葉類Sの退避先となる集積部の紙葉類Sを除く紙葉類Sとについては計数確定済みである旨と、このように計数確定済みの紙葉類Sの金種別の数量および金額等の明細と合計金額とを表示させる。
【0345】
すると、操作員は、その旨を認識して異常復旧処理を開始する。操作員は、第3増設ユニット5の正面カバー(図示略)を開けて分岐搬送路145を露出させて、分岐搬送路145に滞留したジャム紙葉類Sを取り除き、分岐搬送路145の別の場所にも滞留した紙葉類Sがある場合には併せて取り除き、正面カバーを閉じる。また、紙葉類Sの除去が必要な場所としてベース機2のベース機搬送路20が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、ベース機2の正面カバー(図示略)を開けてベース機搬送路20を露出させて、滞留した紙葉類Sを取り除き、正面カバーを閉じる。また、リジェクト部16にリジェクトされた紙葉類Sがある旨が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、リジェクト部16から紙葉類Sを取り出す。さらに、集積部81~84のうちの退避先としての所定の集積部に退避された紙葉類Sがある旨が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、この集積部から紙葉類Sを取り出す。さらに、集積部121,122のうちの退避先としての集積部に退避された紙葉類Sがある旨が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、この集積部から紙葉類Sを取り出す。さらに、退避先としての終端ポケット7に退避された紙葉類Sがある旨が操作表示部55に表示されていた場合に、操作員は、この終端ポケット7から紙葉類Sを取り出す。そして、操作員は、操作表示部55の「リセット」釦(図示略)を押下する。
【0346】
すると、マスタ制御部56は、振分部30を識別搬送部21からリジェクト搬送部27へ紙葉類Sを搬送させる方向へ切り換えてベース機搬送路20の紙葉類Sをリジェクト部16へ搬送させるリセット動作を行う。そして、ベース機搬送路20に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合には、このリセット動作によって、当該紙葉類Sがリジェクト部16へ搬送されて集積される。そして、この際に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、リジェクト部16の紙葉類Sを抜き取るように誘導する表示を行わせる。
【0347】
また併せて、マスタ制御部56は、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第1増設ユニット3のスレーブ制御部95は延伸搬送路64と分岐搬送路65のリセット動作を行う。
【0348】
また併せて、マスタ制御部56は、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第2増設ユニット4のスレーブ制御部135は延伸搬送路104と分岐搬送路105のリセット動作を行う。
【0349】
また併せて、マスタ制御部56は、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175に対してリセット動作を指示する制御指令信号を出力する。すると、第3増設ユニット5のスレーブ制御部175は、延伸搬送路144と分岐搬送路145とのリセット動作を行う。
【0350】
この際に、もし第3増設ユニット5の分岐搬送路145に滞留する紙葉類Sがあった場合には、この滞留する全ての紙葉類Sが、集積部161~163のうちの予め設定された所定の退避先の集積部、例えば集積部163に搬送されて集積される。そして、この際に、マスタ制御部56は、操作表示部55に、当該退避先の集積部163の紙葉類Sを抜き取るように誘導する案内を表示させる。この場合、マスタ制御部56は、この退避先の集積部163の紙葉類Sは全て未確定とする。
【0351】
以上のように、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で紙葉類ジャム異常が発生した場合でも、その下流側である第3増設ユニット5の集積部161~163に集積済の紙葉類Sと、その上流側である第2増設ユニット4の集積部121,122のうちの上記退避先の集積部以外の集積部に集積済の紙葉類Sとについては計数確定済みとすることが可能となる。
【0352】
また、さらに、操作員の異常復旧処理の際に、分岐搬送路145に取り除き忘れた紙葉類Sがあった場合にも、リセット動作の際に、当該紙葉類Sは集積部161~163のうちの上述した何れかの退避先の集積部へ搬送されて集積される。このため、操作員の異常復旧処理の操作に係る負荷を軽減することができる。
【0353】
なお、分岐搬送路145で「緊急停止」を要する搬送異常が発生した際に、延伸搬送路64,104で搬送中の紙葉類Sについては、識別部22の識別結果に基づく搬送先が集積部121,122である場合には、集積部121,122に搬送し、識別部22の識別結果に基づく搬送先が集積部161~163である場合には、退避先としての終端ポケット7に搬送しても良い。この場合、集積部121,122に搬送された紙葉類Sは計数が確定されることになり、終端ポケット7に搬送された紙葉類Sは計数が未確定となる。
【0354】
以上に述べた紙葉類処理装置1は、スレーブ制御部95が、第2計数モードでの計数処理時において、識別部22にて「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した第1の異常の発生時には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて、延伸搬送路64および分岐搬送路65の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0355】
また、マスタ制御部56およびスレーブ制御部95は、第2計数モードでの計数処理時において、投入部15にて「通常停止」で済む紙葉類Sの取込不良が発生した第2の異常の発生時には、ベース機搬送路20、延伸搬送路64および分岐搬送路65の全ての搬送動作を直ちに停止させずに継続させてベース機搬送路20、延伸搬送路64および分岐搬送路65の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0356】
また、スレーブ制御部95は、第2計数モードでの計数処理時において、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した第3の異常の発生時には、延伸搬送路64および分岐搬送路65のうちの一方である分岐搬送路65の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて分岐搬送路65の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0357】
また、スレーブ制御部95は、第2計数モードでの計数処理時において、第1増設ユニット3の延伸搬送路64で「通常停止」を要する異常が発生した第4の異常の発生時には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64および分岐搬送路65の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0358】
また、スレーブ制御部95は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した第1の異常の発生時には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0359】
また、スレーブ制御部135は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した第1の異常の発生時には、延伸搬送路104および分岐搬送路105のうちの一方である分岐搬送路105の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて分岐搬送路105の紙葉類Sを複数の集積部121,122のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0360】
また、スレーブ制御部175は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「緊急停止」を要する紙葉類ジャム異常が発生した第1の異常の発生時には、延伸搬送路144および分岐搬送路145の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路144および分岐搬送路145の紙葉類Sを複数の集積部161~163のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0361】
また、スレーブ制御部95,135は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「通常停止」を要する異常が発生した第2の異常の発生時には、延伸搬送路64,104および分岐搬送路105の全部の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64,104および分岐搬送路105の紙葉類Sを複数の集積部121,122のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0362】
また、スレーブ制御部175は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の延伸搬送路104で「通常停止」を要する異常が発生した第2の異常の発生時には、延伸搬送路144および分岐搬送路145の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路144および分岐搬送路145の紙葉類Sを複数の集積部161~163のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0363】
また、スレーブ制御部95は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で「緊急停止」を要する異常が発生した第3の異常の発生時には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0364】
また、スレーブ制御部135,175は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で「緊急停止」を要する異常が発生した第3の異常の発生時には、延伸搬送路104,144および分岐搬送路145の全部の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路104,144および分岐搬送路145の紙葉類Sを複数の集積部161~163のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0365】
また、スレーブ制御部175は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の分岐搬送路105で「緊急停止」を要する異常が発生した第3の異常の発生時には、延伸搬送路144および分岐搬送路145の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路144および分岐搬送路145の紙葉類Sを複数の集積部161~163のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0366】
また、スレーブ制御部95は、第3計数モードでの計数処理時において、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で「緊急停止」を要する異常が発生した第4の異常の発生時には、延伸搬送路64および分岐搬送路65の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路64の紙葉類Sを複数の集積部81~84のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0367】
また、スレーブ制御部135は、第3計数モードでの計数処理時において、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で「緊急停止」を要する異常が発生した第4の異常の発生時には、延伸搬送路104および分岐搬送路105の両方の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路104および分岐搬送路105の紙葉類Sを複数の集積部121,122のうちの何れか所定の集積部へ搬送する。
【0368】
スレーブ制御部175,225は、第3計数モードでの計数処理時において、第3増設ユニット5の分岐搬送路145で「緊急停止」を要する異常が発生した第4の異常の発生時には、延伸搬送路144および分岐搬送路145のうちの一方である延伸搬送路144の搬送動作を直ちに停止させずに継続させて延伸搬送路144の紙葉類Sを延伸搬送路184を介して集積部としての終端ポケット7へ搬送する。
【0369】
したがって、紙葉類処理装置1によれば、搬送異常が発生した場合に、単純に延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の全ての搬送動作を直ちに停止させることがなく、発生した異常の場所と異常の種類とに応じて搬送中の紙葉類Sを可能な限り継続して搬送して所定の場所へ搬送する。このため、最終的に延伸搬送路64,104,144,184および分岐搬送路65,105,145,185の搬送動作を停止した際には、操作員が紙葉類処理装置1内から取り除くべき紙葉類Sの対象枚数および対象箇所を減らすことができる。したがって、搬送異常の発生時に、紙葉類Sの取り除き作業を容易とすることが可能となる。
【0370】
スレーブ制御部95は、第2計数モードでの計数処理時において、第1増設ユニット3の延伸搬送路64または分岐搬送路65で「通常停止」を要する異常が発生した第4の異常の発生時には、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの紙葉類Sの集積がなされていない空の集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0371】
また、スレーブ制御部135は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の延伸搬送路104または分岐搬送路105で「通常停止」を要する異常が発生した第2の異常の発生時には、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122のうちの紙葉類Sの集積がなされていない空の集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0372】
したがって、紙葉類処理装置1によれば、異常が発生した際に延伸搬送路64、延伸搬送路104、分岐搬送路65および分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sは、空の集積部へ集中して搬送して集積すれば、計数し直す枚数が少なくなる。したがって、処理に係る負荷を軽減することができる。
【0373】
スレーブ制御部95は、第2計数モードでの計数処理時において、第1増設ユニット3の延伸搬送路64または分岐搬送路65で「通常停止」を要する異常が発生した第4の異常の発生時には、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84に紙葉類Sの集積がなされていない空の集積部が存在しない場合には、集積部81~84の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0374】
また、スレーブ制御部135は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の延伸搬送路104または分岐搬送路105で「通常停止」を要する異常が発生した第2の異常の発生時には、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122に紙葉類Sの集積がなされていない空の集積部が存在しない場合には、集積部121,122の中で一番集積枚数が少ない集積部へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0375】
したがって、異常が発生した際に延伸搬送路64、延伸搬送路104、分岐搬送路65および分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sは、集積部81~84,121,122の中で一番集積枚数が少ない集積部へ集中して搬送し集積すれば、計数し直す枚数が少なくなる。したがって、処理に係る負荷を軽減することができる。
【0376】
スレーブ制御部95は、第2計数モードでの計数処理時において、第1増設ユニット3の延伸搬送路64または分岐搬送路65で「通常停止」を要する異常が発生した第4の異常の発生時には、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの予め設定された所定の集積部へ搬送するように搬送先を切り換えるようにしても良い。
【0377】
スレーブ制御部135は、第3計数モードでの計数処理時において、第2増設ユニット4の延伸搬送路104または分岐搬送路105で「通常停止」を要する異常が発生した第2の異常の発生時には、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122のうちの予め設定された所定の集積部へ搬送するように搬送先を切り換えるようにしても良い。
【0378】
このように構成すれば、異常が発生した際に延伸搬送路64、延伸搬送路104、分岐搬送路65および分岐搬送路105で搬送中の紙葉類Sは、集積部81~84,121,122の中で予め搬送先として設定された所定の集積部に集積される。このため、スレーブ制御部95,135はその通りに容易に制御可能となる。また、操作員が異常復旧処理の際に抜き取るべき集積部が予め設定されているため、操作員の処理箇所が少なくなると共に取り除くべき集積場所が分かりやすくなる。
【0379】
第3計数モードでの第1の異常の発生時に、スレーブ制御部95,135,175は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、発生した搬送異常の場所である第2増設ユニット4の延伸搬送路104よりも下流で搬送中の紙葉類Sについては、集積部121,122,161~163のうちの所定の集積部に搬送することになり、第2増設ユニット4の延伸搬送路104よりも上流で搬送中の紙葉類Sについては、別の集積部81~84のうちの所定の集積部に搬送することになる。
【0380】
また、第3計数モードでの第2の異常の発生時に、スレーブ制御部95,135,175は、発生した搬送異常の場所と搬送異常の種類とに応じて、発生した搬送異常の場所である第2増設ユニット4の延伸搬送路104よりも下流で搬送中の紙葉類Sについては、集積部161~163のうちの所定の集積部に搬送することになり、第2増設ユニット4の延伸搬送路104よりも上流で搬送中の紙葉類Sについては、別の集積部121,122のうちの所定の集積部に搬送することになる。
【0381】
したがって、複数の第1増設ユニット3~第3増設ユニット5が備えられた構成であって、搬送される紙葉類Sの搬送先が、第1増設ユニット3~第3増設ユニット5のうちの複数に分散される場合であっても、異常復旧処理の際の操作員の処理箇所が少なくなる。したがって、処理に係る負荷を軽減することができる。
【0382】
スレーブ制御部175,225は、第3計数モードでの第4の異常の発生時に、発生した搬送異常の場所が延伸搬送路144でない場合には、延伸搬送路144で搬送中の紙葉類Sを終端ポケット7へ搬送するように搬送先を切り換える。
【0383】
したがって、終端ポケット7が異常発生後の専用のリジェクト部の位置付けとなるので、スレーブ制御部175,225の制御は容易になる。加えて、操作員が異常復旧処理の際に抜き取るべき集積部の場所が終端ポケット7となって分かりやすくなる。
【0384】
スレーブ制御部95は、第2計数モードでの第3の異常の発生後の異常復旧処理操作において、対象となる延伸搬送路64に滞留した紙葉類Sを操作員が取り除き忘れた場合にも、当該対象となる延伸搬送路64のリセット動作の際に、当該滞留した紙葉類Sの搬送先を、集積部81~84のうちの退避先の集積部に切り換えて搬送する。
【0385】
また、スレーブ制御部135は、第3計数モードでの第1の異常の発生後の異常復旧処理操作において、対象となる延伸搬送路104に滞留した紙葉類Sを操作員が取り除き忘れた場合にも、当該対象となる延伸搬送路104のリセット動作の際に、当該滞留した紙葉類Sの搬送先を、集積部121,122のうちの退避先の集積部に切り換えて搬送する。
【0386】
また、スレーブ制御部135は、第3計数モードでの第3の異常の発生後の異常復旧処理操作において、対象となる分岐搬送路105に滞留した紙葉類Sを操作員が取り除き忘れた場合にも、当該対象となる分岐搬送路105のリセット動作の際に、当該滞留した紙葉類Sの搬送先を、集積部121,122のうちの退避先の集積部に切り換えて搬送する。
【0387】
また、スレーブ制御部175は、第3計数モードでの第4の異常の発生後の異常復旧処理操作において、対象となる分岐搬送路145に滞留した紙葉類Sを操作員が取り除き忘れた場合にも、当該対象となる分岐搬送路145のリセット動作の際に、当該滞留した紙葉類Sの搬送先を、集積部161~163のうちの退避先の集積部に切り換えて搬送する。
【0388】
したがって、異常発生時のみならず、異常発生後の異常復旧処理操作によるリセット動作の際にも、スレーブ制御部95,135,175は、延伸搬送路64,104,105,145に滞留した紙葉類Sの搬送先を所定の集積部へ纏めて搬送して集積するので、異常復旧処理の際の操作員の処理箇所が少なくなる。よって、処理に係る負荷を軽減することができる。
【0389】
マスタ制御部56は、第2計数モードでの第4の異常の発生時に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sまたは分岐搬送路65で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの退避先としての所定の集積部へ搬送し終えた後、集積部81~84のうちのこの所定の集積部以外の集積部に正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。
【0390】
また、マスタ制御部56は、第3計数モードでの第1の異常の発生時に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの退避先としての所定の集積部へ搬送し終えた後、この所定の集積部以外の集積部121,122,161~163に正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。
【0391】
また、マスタ制御部56は、第3計数モードでの第2の異常の発生時に、延伸搬送路64,104で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122のうちの退避先としての所定の集積部へ搬送し終えた後、集積部121,122のうちのこの所定の集積部以外の集積部および集積部161~163に正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。
【0392】
また、マスタ制御部56は、第3計数モードでの第3の異常の発生時に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの退避先としての所定の集積部へ搬送し、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sを、集積部161~163のうちの退避先としての所定の集積部へ搬送し終えた後、集積部121,122と、集積部161~163のうちのこの退避先の集積部以外の集積部とに正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。
【0393】
また、マスタ制御部56は、第3計数モードでの第4の異常の発生時に、延伸搬送路64で搬送中の紙葉類Sを、集積部81~84のうちの退避先としての所定の集積部へ搬送し、延伸搬送路104で搬送中の紙葉類Sを、集積部121,122のうちの退避先としての所定の集積部へ搬送し、延伸搬送路144で搬送中の紙葉類Sを、退避先としての終端ポケット7へ搬送し終えた後、集積部161~163と、集積部121,122のうちのこの退避先としての集積部以外の集積部とに正常に搬送した紙葉類Sの計数を確定する。
【0394】
したがって、搬送中の紙葉類Sを、退避先としての所定の集積部へ搬送し終えた後は、退避先の集積部以外に正常に搬送した集積部の紙葉類Sを計数確定できる。よって、操作員はそれ以外の紙葉類Sを紙葉類処理装置1から抜き取って再計数すれば良い。つまり、操作員による異常発生後の煩雑な処理が軽減される。
【0395】
{変形例}
なお、上述した第2計数モードでの第4の異常の発生時および第3計数モードでの第2の異常の発生時、すなわち、延伸搬送路64,104で「通常停止」を要する異常が発生した場合には、延伸搬送路64,104で搬送中の紙葉類Sは、当該紙葉類Sの搬送変更先として予め所定の搬送先の集積部、例えば集積部84や集積部122が設定されていて、当該紙葉類Sを纏めて集積部84や集積部122に搬送して集積するようにしても良い旨説明した。さらに、同様に、異常復旧処理においてリセット動作の際に、もし延伸搬送路64,104に滞留した紙葉類Sがあった場合にも、同じく当該紙葉類Sを纏めて集積部84や集積部122に搬送して集積するようにしても良い旨説明した。これらにかえて、当該紙葉類Sの搬送変更先としての予め所定の集積部として、最下流部に配設される終端ポケット7に搬送して集積するようにしても良い。
【0396】
また、異常が発生した際に、マスタ制御部56またはスレーブ制御部95,135,175は、発生した異常の場所と異常の種類とに応じて、延伸搬送路64,104,144および分岐搬送路65,105,145の少なくとも何れか一方の搬送速度を、搬送異常発生時以外の通常の計数時の搬送速度よりも低速に切り換えるようにしても良い。このように制御すれば、異常が発生した後は、延伸搬送路64,104,144および分岐搬送路65,105,145のうちの対応するものを低速で搬送するので、紙葉類処理装置1については、延伸搬送路64,104,144および分岐搬送路65,105,145を構成する搬送ベルトの外れを防止でき、紙葉類Sについては、破れ等の損傷を抑制することができる。
【0397】
また、「緊急停止」を要する異常が発生した際には、スレーブ制御部95,135,175のうちの当該異常発生の対象となるスレーブ制御部が、その旨の通知をマスタ制御部56に行い、マスタ制御部56からの指示に基づいて「緊急停止」を要する搬送路を停止する旨説明した。しかし、これに限らず、当該異常発生の対象となるスレーブ制御部が「緊急停止」を要する搬送路をそのまま停止制御すると共に、マスタ制御部56に対して「緊急停止」を要する異常が発生した旨の通知を行うようにしても良い。
【0398】
また、制御部については、便宜上、ベース機2にはマスタ制御部56が、そして第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の各々にはスレーブ制御部95,135,175,225が備えられており、またインターフェイスについても第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の各々には予め対応するユニット局アドレス#1~#4が設定されていてマスタ制御部56とスレーブ制御部95,135,175,225とが一対一で通信を行う例で説明した。しかし、これに限るものではない。制御部は、ベース機2のみに設けられて当該制御部がベース機2および第1増設ユニット3~第4増設ユニット6の全てを制御するようにしても良い。
【0399】
また、便宜上、
図1の全体構成にて説明したが、これに限らず、ベース機2に接続される増設ユニットは、第1増設ユニット3から第4増設ユニット6のうちの同じユニットが複数台接続される構成であっても良いし、第1増設ユニット3から第4増設ユニット6のうちの何れか1台のみが接続されていても良い。また、紙葉類処理装置1におけるベース機2とは反対側の終端に終端ポケット7を設ける構成でも良いし、設けない構成であっても良い。終端ポケット7が設けられる構成においては、異常発生時に、延伸搬送路64,104,144,184のうちの少なくとも何れか一つで搬送中の紙葉類Sの搬送の切り換え先となる集積部の選択肢が増えることになる。
【0400】
以上、本実施形態の紙葉類処理装置1においては、媒体である紙葉類Sとして紙幣を対象として説明したが、これに限らず商品券や小切手、手形等の金券類や有価証券等、紙葉類Sの全般について適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0401】
上記した紙葉類処理装置によれば、搬送異常の発生時に、紙葉類の取り除き作業を容易とすることが可能となる。
【符号の説明】
【0402】
1 紙葉類処理装置
2 ベース機
3 第1増設ユニット(増設ユニット)
4 第2増設ユニット(増設ユニット)
5 第3増設ユニット(増設ユニット)
6 第4増設ユニット(増設ユニット)
7 終端ポケット(集積部,終端集積部)
22 識別部
30 ベース機搬送路
56 マスタ制御部(制御部)
64,104,144,184 延伸搬送路
65,105,145,185 分岐搬送路
95,135,175,225 スレーブ制御部(制御部)
81~84,121,122,161~163 集積部
201,202 施封集積部(集積部)
S 紙葉類