(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】位置把握装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B65G1/137 E
(21)【出願番号】P 2019170001
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】311005998
【氏名又は名称】株式会社インスピーディア
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真幸
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-204361(JP,A)
【文献】特開2015-075935(JP,A)
【文献】特開2009-113893(JP,A)
【文献】特開2010-058974(JP,A)
【文献】特開昭63-022500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納された第1情報が画像を利用して読み取られる第1タグ、及び前記第1タグに対応し、格納された第2情報が電波を利用して読み取られる第2タグを有するタグと、
前記第1タグを撮像する撮像部と、
前記第2タグに向けて電波を送信することによって前記第2情報を受信する電波送受信部と、
前記撮像部が撮像した前記第1タグの画像に基づいて空間における前記第1タグの位置及び個数を特定するとともに前記第1情報を認識し、前記電波送受信部が受信した前記第2情報から前記第2タグの個数を認識する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1タグの個数と前記第2タグの個数とを比較
し、且つ前記第1タグの第1情報と前記第2タグの第2情報とを比較
し、
前記タグは、物品を配置する配置場所に取り付けられる配置場所タグと、前記物品に取り付けられる物品タグと、を有し、
前記配置場所タグの前記第1タグの前記第1情報は前記配置場所を示す配置場所情報を含み、
前記物品タグの前記第1タグの前記第1情報は前記物品であることを示す物品情報を含み、
前記制御部は、前記撮像部が撮像した前記配置場所タグの画像に基づいて前記配置場所タグの前記第1タグから得られた配置場所情報と、前記撮像部が撮像した前記物品タグの画像に基づいて前記物品タグの前記第1タグから得られた物品情報とを関連付けることを特徴とする位置把握装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置把握装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の集荷システムが開示されている。この集荷システムはヘルメット型集荷補助装置の正面に設けられた撮像部によって、倉庫内に配置された集荷対象部品に設けられたQRコード(登録商標)を撮像することによって、集荷対象部品に向けてレーザを照射する。これにより、この集荷システムは集荷対象部品の位置を容易に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような集荷システムは、複数の集荷対象部品が並んで配置されている場合、隣り合う集荷対象部品によってQRコード(登録商標)が覆われてしまうことが考えられる。この場合、覆われたQRコード(登録商標)はヘルメット型集荷補助装置によって撮像することができなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、配置された物品の位置を良好に把握する位置把握装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位置把握装置は、
格納された第1情報が画像を利用して読み取られる第1タグ、及び前記第1タグに対応し、格納された第2情報が電波を利用して読み取られる第2タグを有するタグと、
前記第1タグを撮像する撮像部と、
前記第2タグに向けて電波を送信することによって前記第2情報を受信する電波送受信部と、
前記撮像部が撮像した前記第1タグの画像に基づいて空間における前記第1タグの位置及び個数を特定するとともに前記第1情報を認識し、前記電波送受信部が受信した前記第2情報から前記第2タグの個数を認識する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1タグの個数と前記第2タグの個数とを比較し、且つ前記第1タグの第1情報と前記第2タグの第2情報とを比較し、
前記タグは、物品を配置する配置場所に取り付けられる配置場所タグと、前記物品に取り付けられる物品タグと、を有し、
前記配置場所タグの前記第1タグの前記第1情報は前記配置場所を示す配置場所情報を含み、
前記物品タグの前記第1タグの前記第1情報は前記物品であることを示す物品情報を含み、
前記制御部は、前記撮像部が撮像した前記配置場所タグの画像に基づいて前記配置場所タグの前記第1タグから得られた配置場所情報と、前記撮像部が撮像した前記物品タグの画像に基づいて前記物品タグの前記第1タグから得られた物品情報とを関連付けることを特徴とする。
【0007】
この位置把握装置は、複数の第1タグの全てが撮像部で撮像した画像から認識できない状況であっても、電波送受信部によって、各第1タグに対応する第2タグが格納する第2情報を受信することができる。第2タグは第1タグと対応しているため、第1タグと第2タグを比較することによって、撮像部で撮像した画像で認識することができなかった第1タグがあるか否かを判別することができる。また、この位置把握装置は配置場所単位で物品の位置を把握することができる。
【0008】
したがって、この位置把握装置は配置された物品の位置を良好に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1の位置把握装置の概略図である。
【
図2】
図2は、配置場所タグが取り付けられた配置箱に物品タグが取り付けられた物品が収納された状態を示す概略図である。
【
図3】
図3は、撮像部で撮像された画像をX軸方向及びY軸方向のそれぞれに60分割した状態を示す概略図である。
【
図4】(A)は、物品タグの第1情報と撮像部で撮像された画像における領域とを関連付けた情報であり、(B)は第1配置場所タグの第1情報と撮像部で撮像された画像における領域とを関連付けた情報であり、(C)は第2配置場所タグの第1情報と撮像部で撮像された画像における領域とを関連付けた情報である。
【
図5】
図5は、物品タグの第1情報、配置場所、及び配置箱とを関連付けた情報である。
【
図6】
図6は、実施例2の位置把握装置の概略図である。
【
図7】
図7は、配置場所タグが取り付けられた配置箱に物品タグが取り付けられた物品が収納された状態を示し、第2配置場所タグのX軸方向の位置によって配置場所がX軸方向に区分けされた状態を示す概略図である。
【
図8】
図8は、RAM等のメモリに予め記憶された情報であり、配置箱における各配置場所に配置すべき物品の種類を定めた情報である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施例1、2について図を参照しつつ説明する。
【0012】
<実施例1>
〔位置把握装置の全体構成〕
位置把握装置は、
図1に示すように、タグ10、及び位置把握装置本体11を備えている。タグ10は第1タグ10A及び第2タグ10Bを有している。第1タグ10Aは、例えば平板状に形成されており、表面にQRコード(登録商標)やバーコードや文字列等のコードCが印刷された構成とされている。コードCには第1情報が格納されており、後述する位置把握装置本体11の撮像部12でコードCを撮像することによって、位置把握装置本体11の制御部14が第1情報を認識して読み取ることができる。第2タグ10Bは、例えば、RFID(Radio Frequency Identifier)やBlueTooth(登録商標)、WiFi(登録商標)等によって通信し得る集積回路(IC)等で構成されており、集積回路内に第2情報が格納されている。第2タグ10Bは、後述する位置把握装置本体11の電波送受信部13から電波が送信されることによって第2情報を外部に出力する。つまり、第2タグ10Bは格納された第2情報が電波を利用して読み取られる。位置把握装置本体11の電波送受信部13は第2タグ10Bから出力された第2情報を受信して制御部14に入力する。1つのタグ10において第1タグ10Aと第2タグ10Bとは互いに対応している。1つのタグ10において第1タグ10Aと第2タグ10Bとは一体的に設けられている。
【0013】
位置把握装置本体11は撮像部12、電波送受信部13、制御部14、及び報知部15を備えている。位置把握装置本体11は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、ノートPC等として構成される。撮像部12は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子で構成されており、撮像した画像を制御部14に伝達し得る構成とされている。また、撮像部12は撮像する対象を拡大(ズーム)して撮像し得る構成とされている。
【0014】
電波送受信部13は電波を送受信し得る構成とされている。電波送受信部13は送信した電波によって第2タグ10Bと通信を行い、第2タグ10Bに格納された第2情報を受信する。電波送受信部13はRFID、BlueTooth(登録商標)、WiFi(登録商標)等の公知の無線通信によって情報の伝送を行い得る回路として構成されている。
【0015】
制御部14は、例えばマイクロコンピュータとして構成されている。制御部14は、撮像部12が撮像した第1タグ10Aの画像に基づいて空間における第1タグ10Aの位置及び個数を特定するとともに、第1タグ10Aが格納する第1情報を認識し得る構成とされている。制御部14は電波送受信部13が受信した第2情報から第2タグ10Bの個数を認識し得る構成とされている。
【0016】
報知部15は、例えば液晶ディスプレイ等で構成されている。報知部15は位置把握装置の使用者に対して制御部14においてなされた判別の結果を表示して報知することができる。こうして位置把握装置は構成されている。
【0017】
〔物品及び配置箱に対するタグの取り付け形態〕
タグ10は、
図2に示すように、物品M、及び物品Mが配置される配置場所である配置箱Aに取り付けられる。物品M1~M5の各々に取り付けられるタグ10は物品タグ20である。物品M1~M5を配置し得る配置箱Aに取り付けられるタグ10は配置場所タグ30である。つまり、タグ10は、物品Mを配置する配置箱Aに取り付けられる配置場所タグ30と、物品Mに取り付けられる物品タグ20とを有している。配置場所タグ30は第1配置場所タグ30A、及び第2配置場所タグ30Bを有している。
【0018】
例えば、物品タグ20の各々の第1タグ10Aには物品Mの品名、品番、及びシリアル番号等の物品情報が第1情報として格納されている。つまり、物品タグ20の第1タグ10Aの第1情報は物品Mであることを示す物品情報を含んでいる。また、物品タグ20の第2タグ10Bにはシリアル番号(すなわち、物品情報)等が第2情報として格納されている。1つの物品タグ20における第1情報及び第2情報のそれぞれのシリアル番号は同じ番号である。ここで、シリアル番号とは物品Mを個々に識別する目的で各物品に付される番号である。
【0019】
第1配置場所タグ30Aは、配置箱Aの四隅の各々に取り付けられている。配置箱Aの左上E1に取り付けられた第1配置場所タグ30Aの第1タグ10Aには、配置箱Aの左上E1であることが第1情報として格納されている。ここで、左右は
図2における左右であり、上下は、
図2における上下である(以下同じ。)。配置箱Aの左下E2に取り付けられた第1配置場所タグ30Aの第1タグ10Aには、配置箱Aの左下E2であることが第1情報として格納されている。配置箱Aの右上E3に取り付けられた第1配置場所タグ30Aの第1タグ10Aには、配置箱Aの右上E3であることが第1情報として格納されている。配置箱Aの右下E4に取り付けられた第1配置場所タグ30Aの第1タグ10Aには、配置箱Aの右下E4であることが第1情報として格納されている。各第1配置場所タグ30Aの第2タグ10Bには各々の第1情報と同じ情報が第2情報として格納されている。
【0020】
第2配置場所タグ30Bは、配置箱Aの各棚S1~S4の各々の左右中央部に取り付けられている。例えば、棚S1に取り付けられた第2配置場所タグ30Bの第1タグ10Aには棚S1であることが第1情報として格納されている。棚S2に取り付けられた第2配置場所タグ30Bの第1タグ10Aには棚S2であることが第1情報として格納されている。棚S3に取り付けられた第2配置場所タグ30Bの第1タグ10Aには棚S3であることが第1情報として格納されている。棚S4に取り付けられた第2配置場所タグ30Bの第1タグ10Aには棚S4であることが第1情報として格納されている。各第2配置場所タグ30Bの第2タグ10Bには各々の第1情報と同じ情報が第2情報として格納されている。物品タグ20及び配置場所タグ30はコードCが配置箱Aの正面(正面は、
図2における手前側である)に向くように配置される。各コードCは、こうして配置されることによって配置箱Aの正面に対向した位置から配置箱Aの正面を見たとき、全てを見ることができる。
【0021】
〔位置把握装置の動作〕
次に、位置把握装置の動作の一例について説明する。先ず、使用者が位置把握装置本体11の撮像部12を用いて配置箱Aに複数の物品Mが配置された様子を撮像する。このとき、使用者は、配置箱Aの正面に対向した位置から配置箱Aの正面を撮像し、撮像部12によって第1タグ10AのコードCを撮像する。また、配置箱Aの正面を撮像する際、配置箱Aの上下方向に後述する画像Pにおける縦方向(Y軸方向)を沿わせ、配置箱Aの左右方向に画像Pにおける横方向(XY軸方向)を沿わせるようにして撮像する。また、このとき、位置把握装置本体11の電波送受信部13は第2タグ10Bに向けて電波を送信することによって第2情報を受信する。
【0022】
制御部14は、撮像部12が撮像した画像が伝達されると、撮像された画像内における物品タグ20及び配置場所タグ30を認識する。具体的には、撮像された画像P(以下、画像Pともいう)は、
図3に示すように、制御部14において縦方向(Y軸方向)及び横方向(X軸方向)の各々の方向に複数の領域Srに区分けされて認識する。例えば、画像PをY軸方向及びX軸方向の各々の方向に60分割する。つまり、画像Pは60×60=3600個の領域Srに区分けされる。そして、制御部14は画像Pの区分けされた各領域Sr(以下、単に領域Srともいう)を(X1,Y1)、(X1,Y2)…(X60,Y59)、(X60,Y60)として認識する。
【0023】
制御部14は、
図2に示すように、画像Pにおける物品タグ20及び配置場所タグ30の位置がいずれの領域Srに位置するかを判別する。例えば、制御部14は物品タグ20及び配置場所タグ30を内側に含むように囲んだ四角形の中心の位置がいずれの領域Srに位置するかを判別する。また、物品タグ20及び配置場所タグ30が文字列等で構成されている場合、制御部14は文字列全体を内側に含むように囲んだ四角形の中心の位置がいずれの領域Srに位置するかを判別する。
【0024】
そして、制御部14は、
図4(A)~(C)に示すように、物品タグ20、第1配置場所タグ30A、及び第2配置場所タグ30Bの各々の第1情報と領域Srとを関連付ける。制御部14は、こうして関連付けられた情報をデータベース等の形式で位置把握装置本体11に設けられたRAM等のメモリ(図示せず)に記憶して保持し得る構成とされている。このとき、制御部14は画像Pにおいて物品タグ20であるか配置場所タグ30であるかも判別する。
【0025】
ここで、制御部14における配置場所の特定方法について
図2、4等を参照しつつ説明する。先ず、制御部14は配置箱Aの左右の各位置を特定する。具体的には、配置箱Aの左右の各位置は第1配置場所タグ30Aの領域SrにおけるX軸方向の値に基づいて特定する。これにより、配置箱A(配置場所R1~R4)の左右の各位置はX1,X10であることが特定される(
図2参照。)。次に、各配置場所R1~R4の上下の各位置を特定する。例えば、配置場所R3の上下の各位置は上から2番目と3番目の第2配置場所タグ30Bの領域SrにおけるY軸方向の値に基づいて特定する。これにより、配置場所R3の上下の各位置はY5,Y7であることが特定される(
図2参照。)。つまり、配置場所タグ30の第1タグ10Aの第1情報は配置場所R1~R4を示す配置場所情報を構成している。つまり、配置場所タグ30の第1タグ10Aの第1情報は配置場所R1~R4を示す配置場所情報を含んでいるのである。
【0026】
最も上に位置する配置場所R1の上下左右の各位置を特定する場合、左右の各位置は配置場所R3と同様に第1配置場所タグ30Aの領域SrにおけるX軸方向の値に基づいて特定する。そして、配置場所R1の上下の各位置は、左上又は右上の第1配置場所タグ30Aと最も上の第2配置場所タグ30Bとのそれぞれの領域SrにおけるY軸方向の値に基づいて特定する。これにより、配置場所R1の上下の各位置は、Y1,Y3であることが特定される(
図2参照。)。また、配置箱Aの上下左右の各位置は第1配置場所タグ30Aの領域SrにおけるX軸方向及びY軸方向の値に基づいて特定される。配置箱Aの左右の各位置はX1,X10であり、配置箱Aの上下の各位置はY1,Y10である(
図2参照。)。
【0027】
次に、物品タグ20が配置場所R1~R4のいずれかに配置されているかを判別する。具体的には、物品タグ20に関連付けられた領域SrにおけるX軸方向及びY軸方向の値と配置場所R1~R4における上下左右の各位置のX軸方向及びY軸方向の値とを比較することによって物品Mが配置場所R1~R4のいずれに配置するかを判別する。例えば、
図2に示すように、画像Pにおいて物品タグ20D,20E(すなわち、物品M4,M5)が位置する領域Srは(X7,Y6)、(X8,Y6)である。配置場所R3の左右の各位置はX1,X10であり、上下の各位置はY5,Y7である。
【0028】
物品タグ20D,20EのX軸方向の位置X7,X8が、X1より大きくX10より小さく、且つ物品タグ20D,20EのY軸方向の位置Y6が、Y5より大きくY7より小さい場合、制御部14は物品タグ20D,20E(すなわち、物品M4,M5)が配置場所R3に配置されていると判別する(
図2参照。)。制御部14は、物品タグ20D,20Eと同様に、物品タグ20A,20B,20Cについても配置場所R1~R4のいずれかに配置されているかを判別する(
図2参照。)。こうして、制御部14はタグ10のコードCを用いて、各物品M1~M5が配置場所R1~R4のいずれに配置されているかを把握する。このとき、制御部14は、配置場所タグ30の第1タグ10Aの第1情報から得られた配置場所情報と、撮像部12が撮像した物品タグ20の画像に基づいて物品タグ20の第1タグ10Aから得られた物品情報とを画像Pに基づいて関連付ける(
図5参照。)。また、制御部14は各物品M1~M5の物品情報と配置箱Aとを関連付ける(
図5参照。)。
【0029】
〔第1情報と第2情報との比較〕
次に、第1情報と第2情報とを比較する方法について説明する。
第1タグ10Aを用いて各物品M1~M5が配置場所R1~R4のいずれかに配置されているかを把握した制御部14は、次に、第1情報と第2情報とを比較する。具体的には、制御部14は画像Pに基づいて特定した第1タグ10Aの個数と、電波送受信部13が受信した第2情報に基づいて特定した第2タグ10Bの個数とを比較する。
【0030】
制御部14は、第1タグ10Aの個数と第2タグ10Bの個数とが同じであると判別すると、配置箱Aに配置された第1タグ10Aを全て認識したものとして取り扱う。この場合、位置把握装置は配置箱Aに配置された第1タグ10Aを全て認識したことを示す画像を報知部15に表示することによって、位置把握装置の使用者に対して第1タグ10Aが全て認識されたことを報知することができる。
【0031】
制御部14は、第1タグ10Aの個数と第2タグ10Bの個数とが同じでない(具体的には、第1タグ10Aの個数が第2タグ10Bの個数よりも少ない)と判別すると、配置箱Aに配置された第1タグ10Aの一部を認識していないものとして取り扱う。この場合、位置把握装置は配置箱Aに配置された第1タグ10Aの一部を認識していないことを示す画像を報知部15に表示することによって、位置把握装置の使用者に対して第1タグ10Aの一部を認識していないことを報知することができる。なお、第2タグ10Bは電波によって第2情報が読み取られるため、制御部14が第2情報を読み取り損ねることは生じ難い。このため、第2タグ10Bの個数が第1タグ10Aの個数よりも小さいことは起こり難い。
【0032】
また、制御部14は物品タグ20の第1情報と第2情報とを比較する際に、第1情報及び第2情報のシリアル番号を比較することができる。これにより、制御部14はいずれの物品Mに取り付けられた物品タグ20を認識できなかったかをより具体的に把握することができる。そして、位置把握装置は認識していない物品Mの物品情報を報知部15に表示する。これにより、位置把握装置は位置把握装置の使用者に対してより具体的な情報を報知することができる。
【0033】
このように、位置把握装置は、複数の第1タグ10Aの全てが撮像部12で撮像した画像Pから認識できない状況であっても、電波送受信部13によって、各第1タグ10Aに対応する第2タグ10Bが格納する第2情報を受信することができる。第2タグ10Bは第1タグ10Aと対応しているため、第1タグ10A及び第2タグ10Bを比較することによって、撮像部12で撮像した画像で認識することができなかった第1タグ10Aがあるか否かを判別することができる。
【0034】
したがって、この位置把握装置は配置された物品Mの位置を良好に把握することができる。
【0035】
また、位置把握装置のタグ10は、物品Mを配置する配置箱Aに取り付けられる配置場所タグ30と、物品Mに取り付けられる物品タグ20と、を有し、配置場所タグ30の第1タグ10Aの第1情報は配置場所を示す配置場所情報を含み、物品タグ20の第1タグ10Aの第1情報は物品Mであることを示す物品情報を含み、制御部14は、撮像部12が撮像した配置場所タグ30の画像に基づいて配置場所タグ30の第1タグ10Aから得られた配置場所情報と、撮像部12が撮像した物品タグ20の画像に基づいて物品タグ20の第1タグ10Aから得られた物品情報と、を関連付ける。
この構成によれば、位置把握装置は配置場所単位で物品Mの位置を把握することができる。
【0036】
<実施例2>
実施例2の位置把握装置は、
図6に示す制御部114が第2配置場所タグ30Bの第1情報に関連付けられた領域SrのX軸方向の値を境に配置場所をX軸方向に区分けして認識する点、図示しないRAM等のメモリに予め各配置場所に配置すべき物品の種類を定めた情報を記憶している点等が異なり、その他の構成は同じである。実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
制御部114における配置場所の特定方法について
図7、8等を参照しつつ説明する。先ず、制御部114は配置箱Aの左右の各位置を特定する。具体的には、配置箱Aの左右の各位置は第1配置場所タグ30Aの領域SrにおけるX軸方向の値に基づいて特定する。これにより、配置箱Aの左右の各位置はX1,X10であることが特定される(
図7参照。)。
次に、各配置場所R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42(以下、単にR11~R42ともいう)の上下の各位置を特定する。例えば、配置場所R31,R32の上下の各位置は上から2番目と3番目の第2配置場所タグ30Bの領域SrにおけるY軸方向の値に基づいて特定する。これにより、配置場所R31、R32の上下の各位置はY5,Y7であることが特定される(
図6参照。)。
【0038】
次に、各配置場所R11~R42の左右の各位置を特定する。例えば、配置場所R31,R32の左右の各位置は第1配置場所タグ30A及び第2配置場所タグ30Bの領域SrにおけるX軸方向の値に基づいて特定する。具体的には、配置場所R31の左側の位置は左側の第1配置場所タグ30Aの領域SrにおけるX軸方向の値に基づいてX1と特定される(
図7参照。)。配置場所R31の右側の位置は第2配置場所タグ30Bの領域SrにおけるX軸方向の値に基づいてX5と特定される(
図7参照。)。また、配置場所R32の左側の位置は第2配置場所タグ30Bの領域SrにおけるX軸方向の値に基づいてX5と特定される。配置場所R32の右側の位置は右側の第1配置場所タグ30Aの領域SrにおけるX軸方向の値に基づいてX10と特定される(
図7参照。)。配置場所タグ30の第1タグ10Aの第1情報は配置場所R11~R42を示す配置場所情報を構成している。つまり、配置場所タグ30の第1タグ10Aの第1情報は配置場所R11~R42を示す配置場所情報を含んでいるのである。
【0039】
また、位置把握装置本体11に設けられたRAM等のメモリ(図示せず)には、
図8に示すように、各配置場所R11~R42に配置すべき物品タグ20A~20E(すなわち、物品M1~M5)の種類を定めた情報が予めデータベース等の形式で記憶されている。具体的には、このデータベースの情報は配置箱A、各配置場所R11~R42、及び物品タグ20A~20Eが関連付けられている。制御部114はこのデータベースの情報に基づいて、物品タグ20A~20Eが各配置場所R11~R42に正しく配置されているか否かを判別する。
【0040】
例えば、撮像部12によって撮像された画像において配置場所R11に物品タグ20Aが配置されている場合、制御部114は物品タグ20Aが
図8に示すデータベースの情報に適合した配置場所R11に配置されていると判別する。この場合、位置把握装置は報知部15に配置場所R11に物品タグ20Aが配置されている(すなわち、正しい位置に物品タグ20Aが配置されている)ことを示す画像を表示することによって、位置把握装置の使用者に対して物品タグ20Aが正しい位置に配置されていることを報知することができる。
【0041】
また、例えば、撮像部12によって撮像された画像において配置場所R11以外の配置場所に物品タグ20Aが配置されている場合、制御部114は
図8に示すデータベースの情報に適合しない配置場所に物品タグ20Aが配置されていると判別する。この場合、位置把握装置は報知部15に配置場所R11以外の配置場所に物品タグ20Aが配置されている(すなわち、正しくない配置場所に物品タグ20Aが配置されている)ことを示す画像を表示することによって、位置把握装置の使用者に対して物品タグ20Aが正しくない配置場所に配置されていることを報知することができる。
【0042】
また、例えば、撮像部12によって撮像された画像において
図8に示すデータベースの情報にない物品タグが配置場所R11~R42のいずれかに配置されている場合、制御部114は
図8に示すデータベースの情報にない物品タグが配置箱Aに配置されていると判別する。この場合、位置把握装置は報知部15に配置箱Aに配置すべきでない物品タグが配置箱Aに配置されていることを示す画像を表示することによって、位置把握装置の使用者に対して配置箱Aに配置すべきでない物品タグが配置箱Aに配置されていることを報知することができる。
【0043】
そして、第1タグ10Aを用いて各物品M1~M5が配置場所R11~R42のいずれかに配置されているかを把握した制御部114は、画像Pに基づいて特定した第1タグ10Aの個数と、電波送受信部13が受信した第2情報に基づいて特定した第2タグ10Bの個数とを比較する。
【0044】
また、第2配置場所タグ30Bの取り付け位置を棚S1~S4におけるX軸方向に変更することによって、制御部114は各配置場所R11~R42のX軸方向の幅を変更して認識することができる。さらに、第1配置場所タグ30Aの取り付け位置をX軸方向に変更することによっても、制御部114は各配置場所R11~R42のX軸方向の幅を変更して認識することができる。これにより、例えば各配置場所R11~R42に収納すべき物品Mの個数が変動した場合、この変動に合わせて各配置場所R11~R42のX軸方向の幅を変更することによって、棚や収納箱を増設することなく個数が変動した物品Mを配置する配置場所の広さを容易に確保することができる。
【0045】
このように、位置把握装置は、複数の第1タグ10Aの全てが撮像部12で撮像した画像から認識できない状況であっても、電波送受信部13によって、各第1タグ10Aに対応する第2タグ10Bが格納する第2情報を受信することができる。第2タグ10Bは第1タグ10Aと対応しているため、第1タグ10A及び第2タグ10Bを比較することによって、撮像部12で撮像した画像で認識することができなかった第1タグ10Aがあるか否かを判別することができる。
【0046】
したがって、この位置把握装置も配置された物品Mの位置を良好に把握することができる。
【0047】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1、2では、第1配置場所タグを配置箱の四隅に配置しているが、第1配置場所タグを配置箱の左上及び右下、又は右上及び左下に設ける構成としてもよい。
(2)実施例1、2では、1つの棚に1つの第2配置場所タグが取り付けられているが、1つの棚に複数の第2配置場所タグを取り付けてもよい。この場合、制御部は第1配置場所タグ、及び左右に隣りあう複数の第2配置場所タグによって、1つの棚において配置場所を3つ以上に区分けして認識することができる。
(3)実施例1、2では、配置箱が1つであることが例示されているが、配置箱が複数設けられていてもよい。この場合、第1配置場所タグの第1タグに各配置箱を区別する情報を第1情報として格納する。これにより、撮像部で撮像された画像に基づいて、制御部は複数の配置箱を互いに区別して認識することができる。
(4)実施例1、2では、撮像部及び電波送受信部が位置把握装置本体に内蔵された構成を例示しているが、撮像部及び電波送受信部を配置場所が設けられた部屋の天井等に設けてもよい。この場合、位置把握装置本体の制御部と撮像部及び電波送受信部とは公知の無線通信等によって通信し得る構成である。また、撮像部は撮像する向きを制御部によって制御されて変更(すなわち、パンやチルト)し得る構成とされる。例えば、左上の第1配置場所タグの位置を撮像開始位置として、右上、右下、左下の第1配置場所タグに向けて撮像部の撮像する向きを順次変更しつつ配置箱の正面を撮像する。これにより、配置箱のサイズに合わせて配置箱の正面を満遍なく撮像することができる。
(5)実施例1、2では、報知部としてディスプレイを例示しているが、報知部としてスピーカを用いてもよい。また、報知部としてディスプレイとスピーカとを併用する構成であってもよい。
(6)実施例1、2では、配置場所タグと、物品タグとを有した構成を例示しているが、配置場所タグ又は物品タグのいずれかのみを有した構成としてもよい。また、第1配置場所タグ又は第2配置場所タグの何れかのみを有した構成としてもよい。なお、第2配置場所タグのみを有した構成とする場合、第2配置場所タグの第1タグには、自身の位置を基準とし、X軸方向及びY軸方向のそれぞれの幅の情報が配置場所情報として格納される。
(7)実施例1では、撮像部が撮像した画像を3600個の領域に区分けすることが例示されているが、区分けする数は3600個より多くてもよく少なくてもよい。
(8)実施例1では、1つのタグにおいて第1タグと第2タグとが一体的に設けられていることが例示されているが、第1タグと第2タグとを別体的に設けてもよい。この場合、例えば、タグを取り付ける場所において、互いに対応する第1タグと第2タグとを互いに近傍に位置するように取り付ける。
(9)実施例1,2では、全てのタグが第1タグ及び第2タグを有していることが例示されているが、第2タグは第1タグに比べてコストがかかるため、必要に応じてタグに第2タグを設けない構成としてもよい。例えば、配置場所の管理に重点を置く場合には物品タグに第2タグを設けず、配置場所タグに第1タグ及び第2タグを設ける構成とする。また、物品の管理に重点を置く場合には、配置場所タグに第2タグを設けず、物品タグに第1タグ及び第2タグを有する構成とすることが考えられる。
(10)実施例1、2では、配置場所タグの第1タグの第1情報は配置場所を示す配置場所情報を含んでいるが、配置場所タグの第1タグの第1情報に物品情報を含む構成としてもよい。この場合、例えば、配置場所タグが取り付けられた配置箱や棚が、配置場所タグの第1タグの第1情報に含まれた物品情報を有する物品を配置する場所であると判別することができる。さらに、配置場所タグの第1タグの第1情報に含まれた物品情報と、配置場所タグが取り付けられた配置箱や棚に配置された物品の物品タグの第1タグの第1情報に含まれる物品情報とを比較することによって、物品が適正な配置箱や棚に配置されているか否かを判別すること等も考えられる。
(11)実施例1、2では、物品タグの第1タグに物品の品名、品番、及びシリアル番号等の物品情報が第1情報として格納され、第2タグにはシリアル番号等が第2情報として格納され、配置場所タグの第1タグ及び第2タグには自身の位置を示す情報が第1情報及び第2情報として格納されている。しかし、第1タグ及び第2タグに格納される情報はこれに限らず、第1タグが画像を利用して読み取ることができなくなる状況が生じ得る環境において本発明を適用すればよい。
【0048】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0049】
10…タグ
10A…第1タグ
10B…第2タグ
12…撮像部
13…電波送受信部
14,114…制御部
20…物品タグ
30…配置場所タグ
30A…第1配置場所タグ(配置場所タグ)
30B…第2配置場所タグ(配置場所タグ)
A…配置箱(配置場所)