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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】吸水パッド
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/08 20060101AFI20240112BHJP
   A42B 3/04 20060101ALI20240112BHJP
   A42C 5/02 20060101ALI20240112BHJP
   A41B 9/12 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A42B3/08
A42B3/04
A42C5/02 C
A41B9/12 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019185115
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2021059814
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名:危機管理産業展2019 展示日:令和1年10月2日 開催場所:東京ビッグサイト
(73)【特許権者】
【識別番号】398035763
【氏名又は名称】有限会社シン・ネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】中島 信一郎
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-144279(JP,A)
【文献】特開2001-055616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/08
A42B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水パッド本体と、前記吸水パッド本体を取付対象物に取り付けることができる取付手段とで構成され、
前記吸水パッド本体は、高吸水繊維で形成された吸水材と、前記吸水材の外側に設けられ、透水性を有し、かつ、少なくともその一部が吸水速乾性生地で形成されたカバー部材とで構成され、前記カバー部材は、前記吸水速乾性生地と、金属蒸着生地とを用いて形成されている吸水パッド。
【請求項2】
前記吸水パッド本体は、その形状を保持することができる形状保持材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の吸水パッド。
【請求項3】
前記取付手段は、前記吸水パッド本体の外周部に対となるように複数個固定された帯状の取付部材と、前記取付部材の突出端部側に固定され、対となる前記取付部材の端部を接続する接続部材とで構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の吸水パッド。
【請求項4】
取付対象物は、ヘルメットの額部分又は前記ヘルメットのあご紐であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の吸水パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主にヘルメットのあご紐部分や額部分に装着することができ、汗等の水分を吸収できる吸水パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘルメットのあご紐部分に用いられる吸水パッドとしては、「ヘルメットのあご紐に貫通させて取り付け、吸水性素材を使用し内径の寸法がφ15mm~φ3 0mm、長さが100mm~200mmで筒状に形成されたことを特徴とするあご紐用汗吸収パッド」等が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかし、このような吸収パッドでは、単に吸水性素材をあご紐に取り付けているだけであり、吸水量にも限界があり、大量に汗をかいた場合には吸収しきれないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3146962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、吸水した水分を効率よく蒸散させ、多量の水分を吸収できる吸水パッドを提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の吸水パッドは、吸水パッド本体と、前記吸水パッド本体を取付対象物に取り付けることができる取付手段とで構成され、前記吸水パッド本体は、高吸水繊維で形成された吸水材と、前記吸水材を内包するように設けられ、少なくともその一部が吸水速乾性生地で形成されたカバー部材とで構成され、前記カバー部材は、前記吸水速乾性生地と、金属蒸着生地とを用いて形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の吸水パッドの前記吸水パッド本体は、その形状を保持することができる保持材をさらに有することを特徴とする。
【0009】
【0010】
請求項3に記載の吸水パッドの前記取付手段は、前記吸水パッド本体の外周部に対向するように複数個固定された帯状の取付部材と、前記取付部材の突出端部側に固定され、対向する取付部材の端部を接続する接続部材とで構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の吸水パッドの前記取付対象物は、ヘルメットの額部分又は前記ヘルメットのあご紐であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、吸水パッド本体が高吸水繊維で形成された吸水材と、前記吸水材の外側に設けられ、少なくともその一部が吸水速乾性生地で形成されたカバー部材で構成されているので、効率よく汗等の水分を吸水できるとともに、吸水速乾性生地により吸水した水分を速やかに蒸散させることができる。
したがって、多量の水分を吸収することができる。
(2)また、取付手段により、ヘルメット、衣服、帽子等様々な取付対象物に取り付けて使用することができる。
(3)復数の種類の材料でカバー部材を構成しているため、ヘルメット等に装着し、人体に接触させて使用した際の涼感や吸水性を変えて使用することができる。
)請求項2に記載の発明も前記(1)~()と同様な効果が得られるとともに、保持材を有するので人体にフィットした形状を保持させることができる。
(5)請求項3及び請求項4に記載の各発明も前記(1)~(4)と同様な効果が得られるとともに、取付対象物に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至図6は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図7乃至図9は本発明の第2の実施形態示す説明図である。
図1】第1の実施形態の吸水パッドの正面図。
図2】第1の実施形態の吸水パッドの背面図。
図3】第1の実施形態の吸水パッドの斜視図。
図4図1の4-4線断面図。
図5】吸水パッド本体の分解斜視図。
図6】取付対象物(ヘルメットのあご紐)に取り付けた状態の説明図。
図7】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
図8図7の8-8線断面図。
図9】取付対象物(ヘルメットの額部分)に取り付けた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は吸水パッドで、この吸水パッド1は、取付対象物2の一例としてのヘルメット2のあご紐2aや額部分2bに装着することができる吸水パッドである。
【0015】
この吸水パッド1は、吸水パッド本体3と、前記吸水パッド本体3をヘルメット2に取り付けることができる取付手段4とで構成されている。
【0016】
吸水パッド本体3は、例えば図5で示すように、その平面形状が長方形状の帯状の高吸水繊維で形成された吸水材5と、前記吸水材5の外側で、この長板状吸水材5の全体を内包するように設けられ、その全部又は一部が透水性を有するとともに、吸水速乾性の生地で形成されたカバー部材6とで構成されている。このカバー部材6の形状及び長さは、前記吸水材5のそれに略対応させて長板状に形成している。
【0017】
吸水材5は、本実施形態においては、不織布等の高い吸水性のあるシートを略長方形状に形成しているが、例えば一方又は両方の長辺を弧状、波形等の任意の形状とすることができる。この吸水材5には、ある程度水分を吸収できるとともに、吸収した水分を蒸散できる素材を用いている。
【0018】
カバー部材6は、好ましい本実施形態においては、吸水材5よりも一回り大きい方形状の吸水速乾性生地7と、この吸水速乾性生地7と略同形状の金属蒸着生地8とを用いて形成されている。この吸水速乾性生地7と略同形状の金属蒸着生地8は、その外周部が縫着されており、内部に吸水材5が内包されている。
【0019】
本実施形態においては、カバー部材6を袋状とし、その内部に吸水材5を設けたが、吸水材5の外側で、使用時において人体の皮膚に直接接触するように設けられていればよく、例えば吸水材5の表面と裏面にそれぞれカバー部材6を設けてもよい。
【0020】
また、本実施形態においては、吸水速乾性生地7と金属蒸着生地8を用いてカバー部材6を構成しているが、吸水速乾性生地7のみを用いて構成してもよく、金属蒸着生地8が吸水速乾性生地7の機能を有する場合、金属蒸着生地8を吸水速乾性生地7として、この金属蒸着生地8のみを用いてカバー部材6を構成してもよい。
【0021】
この吸水速乾性生地7は、ポリエステル等の繊維を用いて毛細管現象で汗等の水分を素早く吸水するとともに、表面に拡散させ、蒸散させることができる生地が用いられており、本実施形態においては、正面視において略長方形状に形成されている。この吸水速乾性生地7は、吸水パッド本体3の正面側に使用されている。
【0022】
金属蒸着生地8は、一般的な布等にチタン等の金属をスパッタリング等により蒸着させたものであり、本実施形態においては、吸水パッド本体3の背面側にこの金属蒸着生地8が使用されている。
【0023】
このような金属蒸着生地8をカバー部材6に用いることにより、水分を吸水材5へ素早く透水させることができる。また、この金属蒸着生地8が皮膚に接触した場合に涼感を得ることができるとともに、熱伝導性もよいため、吸水材5に吸収された水分を素早く蒸散させることができ、気化冷却の効果も得ることができる。
【0024】
このような吸水速乾性生地7を一方の面(表面)に設けるとともに、金属蒸着生地8を他方の面(裏面)に設けることにより、リバーシブルで使用することができるとともに、いずれの生地においても吸水材5に吸収された水分を素早く蒸散させることができ、気化冷却の効果も得ることができる。
【0025】
具体的には、例えばシリカゲルシートをカバー部材6に用いた場合と、吸水速乾性生地7、金属蒸着生地8をカバー部材6に用いた場合とを比較する。
【0026】
シリカゲルシート(n=2)をカバー部材6に用いた場合、外気温35.4℃に対して、表面温度が例えば37.0℃、36.8℃であり、一方、吸水速乾性生地7を用いた場合には、36.2℃、金属蒸着生地(チタン)8を用いた場合には36.1℃であった。このように一般的な吸水パッド等に用いられるシリカゲルシートと比べ、表面温度が低くなっており、涼感を得ることができる。
【0027】
また、これらの素材を2分間湿潤した場合(例えば外気温37.1℃)、素材の表面温度は、シリカゲルシートが34.5℃と33.7℃、一方、吸水速乾性生地7を用いた場合には、32.7℃、金属蒸着生地(チタン)8を用いた場合には31.5℃であった。また、吸水量はシリカゲルシートが2.61g、吸水速乾性生地7及び金属蒸着生地8が4.00gであった。このように吸水速乾性生地7、金属蒸着生地8をカバー部材6として用いた場合、素早く水分を吸水できるとともに、その水分を蒸散させて気化熱によりカバー部材6の表面温度を下げることができる。そのため、涼感を得ることができるとともに、飽和状態となりづらく、多量の水分(汗)であっても吸水することができる。
【0028】
このカバー部材6又は吸水材5の内部には、吸水パッド本体3の形状をある程度保持できる樹脂、不織布、生地、金属等の形状保持材9が設けられている。このような形状保持材9をカバー部材6の内部に設けることにより、例えばあご紐に取り付けた際に、あごの形状に変形した状態で保持され、ぴったりとフィットさせることができる。
【0029】
なお、この形状保持材9については、カバー部材6や吸水材5が形状を保持する機能を有している場合、カバー部材6や吸水材5が形状保持材9を兼ねてもよい。
【0030】
取付手段4は、前記吸水パッド本体3の外周部に対となるように複数個固定された帯状の取付部材10と、前記取付部材10の突出端部側に固定され、対となる取付部材10の端部を接続する接続部材11とで構成されている。
【0031】
本実施形態においては、取付部材10は長方形状の吸水パッド本体3の短辺側に2つ、すなわち、1対設けられており、その突出端部には、それぞれ接続部材11が設けられている。本実施形態においては、接続部材11は面ファスナーであり、一方の取付部材10の端部にはオスの面ファスナーが取付部材10として設けられ、他方の取付部材10の端部にはメスの面ファスナーが取付部材10として設けられてこの対となる取付部材10を接続する。
【0032】
本願発明の吸水パッド1を使用する場合、取付対象物2であるヘルメット2のあご紐2aに取り付けられているあごカップ等のあご紐通し穴に取付手段4の取付部材10を通し、取付部材10の接続部材11同士を接続することにより、ヘルメット2のあご紐2aに取付けて使用する。
【0033】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7乃至図9に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
図7乃至図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、吸水パッド本体3の外周部に複数対の取付部材10を設けるとともに、この復数対の取付部材10にそれぞれスナップボタンを接続部材11Aとして設けた取付手段4Aにした点で、このような取付手段4Aを用いた吸水パッド1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0035】
本実施形態においては、例えばヘルメット2の内側の額部分2bを取付対象物2として、額部分2bのクッション材等に取付手段4Aを巻きつけて取り付けている。
なお、本発明の実施の形態においては、取付対象物としてヘルメットに用いるものについて説明したが、人体に接触する物品で帯状(紐状)の部材を有するもの、例えば、かばん、ハンモック、帽子等を取付対象物とすることができる。
また、取付手段として取付部材と接続部材を用いるものについて説明したが、例えば吸水パッド本体の外周部に接続部材を直接設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明はヘルメット等に装着する吸水パッドを製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0037】
1、1A:吸水パッド、 2:取付対象物、
3:吸水パッド本体、 4、4A:取付手段、
5:吸水材、 6:カバー部材、
7:水速乾性生地、 8:金属蒸着生地、
9:形状保持材、 10:取付部材、
11、11A:接続部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9