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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】原反管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 43/02 20060101AFI20240112BHJP
   B65H 16/06 20060101ALI20240112BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240112BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65H43/02
B65H16/06 B
G06K7/10 252
G06K17/00 022
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020025958
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2020164329
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2019030261
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501133096
【氏名又は名称】株式会社フェイス
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】高山 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 稔弘
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-139515(JP,A)
【文献】特開2018-150652(JP,A)
【文献】特開昭61-106372(JP,A)
【文献】特開2005-202632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 43/02
B65H 16/06
G06K 7/10
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物品を芯材にロールした原反を管理する原反管理システムであって、
前記原反のデータが入力され、前記原反に取り付けられるICタグ、
前記ICタグから非接触でデータを読み取り、パソコンに送信するハンドリーダー、
前記ハンドリーダーから送信されたデータを処理するプログラムを内蔵したパソコン、および、
前記原反を延反処理する延反機を備え、
前記延反機には、前記ICタグのデータを自動的に読み取って前記パソコンに送信するICアンテナ、および、前記延反機によって延反処理された前記原反の長さを測定する延反距離測定手段が設けられており、
前記原反が入荷された時に前記ICタグが取り付けられ、前記ハンドリーダーによって前記原反のICタグが読み取られて前記パソコンに送信されると、前記パソコンは読み取った前記ICタグのデータから前記原反の在庫の本数および長さを保存し、
前記延反機によって延反処理が行われた時、前記延反距離測定手段で前記原反が延反処理された長さを測定し、測定した前記原反の延反処理された長さを前記パソコンに送信し、前記パソコンは、前記原反が延反処理された長さを基に、前記原反の在庫を本数および長さを計算して管理することを特徴とする原反管理システム。
【請求項2】
前記延反機による延反処理の前に前記原反の放反が行われた時、前記原反の不良個所にマーキングされ、不良個所発見履歴として不良個所の寸法および個所数が前記原反に関するデータとして入力されることを特徴とする請求項1に記載の原反管理システム。
【請求項3】
前記延反距離測定手段は、前記延反機のカッターの動作を検出するカッターセンサ、および、前記原反の延反処理された長さを測定する距離センサを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の原反管理システム。
【請求項4】
前記延反距離測定手段は、前記延反機のカッターの動作を検出するカッターセンサ、前記原反の処理された長さを測定する距離センサ、前記原反の生地の送り出し状態を検出するローラーセンサ、および、前記原反の生地の有無を検出する生地センサを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の原反管理システム。
【請求項5】
前記延反機による延反処理の際に、放反で確認された前記原反の不良個所、および、延反処理の際に確認された前記原反の不良個所を、前記カッターによって切断し、前記カッターセンサ、前記距離センサ、および、前記ローラーセンサが検出した情報を基に、前記原反の不良個所の長さを計算して、前記原反の残りの長さの計算を行うことを特徴とする請求項4に記載の原反管理システム。
【請求項6】
前記延反距離測定手段は、前記原反の処理された長さを測定する距離センサ、前記原反の生地の送り出し状態を検出するローラーセンサ、および、前記原反の生地の有無を検出する生地センサを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の原反管理システム。
【請求項7】
前記延反機による延反処理の際に、放反で確認された前記原反の不良個所、および、延反処理の際に確認された前記原反の不良個所を、手動で切断し、前記距離センサ、および、前記ローラーセンサが検出した情報を基に、前記原反の不良個所の長さを計算して、前記原反の残りの長さの計算を行うことを特徴とする請求項6に記載の原反管理システム。
【請求項8】
前記パソコンから前記原反に関するデータが送信され、保存される管理サーバーを含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の原反管理システム
【請求項9】
前記延反距離測定手段は、既存の延反機に後付け可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の原反管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地などのシート状物品をロールした原反を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
生地などのシート状物品をロールした原反を加工する際の原反の管理方法としては、一般的に原反毎に管理が行われており、在庫管理を行う場合には、原反の在庫本数、使用本数などを基に管理を行っている。そして、工程管理において原反にバーコードなどを設けて、工程を管理することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のような従来の原反の在庫管理方法は、バーコードを用いることによってデータの入力作業を短縮することは可能となるが、原反の在庫は、原反の本数毎に管理することになるので、一部が使用されて倉庫に戻された原反については未使用と判断される可能性があり、また、加工途中の原反、一部が使用された状態で別の場所に保管されている原反については、全て使用済みと判断される可能性があることから、実際の使用量とは誤差が生じ、正確な在庫量を管理できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-139515
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、原反をリアルタイムで本数だけでなく長さまで管理できる原反管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の原反管理システムは、シート状物品を芯材にロールした原反を管理する原反管理システムであって、前記原反のデータが入力され、前記原反に取り付けられるICタグ、前記ICタグから非接触でデータを読み取り、パソコンに送信するハンドリーダー、前記ハンドリーダーから送信されたデータを処理するプログラムを内蔵したパソコン、および、前記原反を延反処理する延反機を備え、前記延反機には、前記ICタグのデータを自動的に読み取って前記パソコンに送信するICアンテナ、および、前記延反機によって延反処理された前記原反の長さを測定する延反距離測定手段が設けられており、前記原反が入荷された時に前記ICタグが取り付けられ、前記ハンドリーダーによって前記原反のICタグが読み取られて前記パソコンに送信されると、前記パソコンは読み取った前記ICタグのデータから前記原反の在庫の本数および長さを保存し、前記延反機によって延反処理が行われた時、前記延反距離測定手段で前記原反が延反処理された長さを測定し、測定した前記原反の延反処理された長さを前記パソコンに送信し、前記パソコンは、前記原反が延反処理された長さを基に、前記原反の在庫を本数および長さを計算して管理することを特徴とする。
【0007】
前記延反機による延反処理の前に前記原反の放反が行われた時、前記原反の不良個所にマーキングされ、不良個所発見履歴として不良個所の寸法および個所数が前記原反に関するデータとして入力される。
【0008】
前記延反距離測定手段は、前記延反機のカッターの動作を検出するカッターセンサ、および、前記原反の延反処理された長さを測定する距離センサを備える。
【0009】
前記延反距離測定手段は、前記延反機のカッターの動作を検出するカッターセンサ、前記原反の処理された長さを測定する距離センサ、前記原反の生地の送り出し状態を検出するローラーセンサ、および、前記原反の生地の有無を検出する生地センサを備える。
【0010】
前記延反機による延反処理の際に、前記放反で確認された前記原反の不良個所、および、延反処理の際に確認された前記原反の不良個所を、前記カッターによって切断し、前記カッターセンサ、前記距離センサ、および、前記ローラーセンサが検出した情報を基に、前記原反の不良個所の長さを計算して、前記原反の残りの長さの計算を行う。
【0011】
前記延反距離測定手段は、前記原反の処理された長さを測定する距離センサ、前記原反の生地の送り出し状態を検出するローラーセンサ、および、前記原反の生地の有無を検出する生地センサを備える。
【0012】
前記延反機による延反処理の際に、前記放反で確認された前記原反の不良個所、および、延反処理の際に確認された前記原反の不良個所を、手動で切断し、前記距離センサ、および、前記ローラーセンサが検出した情報を基に、前記原反の不良個所の長さを計算して、前記原反の残りの長さの計算を行う。
【0013】
前記パソコンから前記原反に関するデータが送信され、保存される管理サーバーを含む。
【0014】
前記延反距離測定手段は、既存の延反機に後付け可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の原反管理システムは、シート状物品を芯材にロールした原反を管理する原反管理システムであって、前記原反のデータが入力され、前記原反に取り付けられるICタグ、前記ICタグから非接触でデータを読み取り、パソコンに送信するハンドリーダー、前記ハンドリーダーから送信されたデータを処理するプログラムを内蔵したパソコン、および、前記原反を延反処理する延反機を備え、前記延反機には、前記ICタグのデータを自動的に読み取って前記パソコンに送信するICアンテナ、および、前記延反機によって延反処理された前記原反の長さを測定する延反距離測定手段が設けられており、前記原反が入荷された時に前記ICタグが取り付けられ、前記ハンドリーダーによって前記原反のICタグが読み取られて前記パソコンに送信されると、前記パソコンは読み取った前記ICタグのデータから前記原反の在庫の本数および長さを保存し、前記延反機によって延反処理が行われた時、前記延反距離測定手段で前記原反が延反処理された長さを測定し、測定した前記原反の延反処理された長さを前記パソコンに送信し、前記パソコンは、前記原反が延反処理された長さを基に、前記原反の在庫を本数および長さを計算して管理することにより、簡単にリアルタイムで前記原反の本数だけでなく長さまで管理することができるようになる。
【0016】
前記延反機による延反処理の前に前記原反の放反が行われた時、前記原反の不良個所にマーキングされ、不良個所発見履歴として不良個所の寸法および個所数が前記原反に関するデータとして入力されることにより、前記原反の不良個所についてもデータとして管理し、原反についてより詳細な管理を行うことができるようになる。
【0017】
前記延反距離測定手段は、前記延反機のカッターの動作を検出するセンサ、および、前記原反の延反処理された長さを測定するセンサを備えることにより、正確に前記原反の長さを測定し管理することができる。
【0018】
前記延反距離測定手段は、前記延反機のカッターの動作を検出するカッターセンサ、前記原反の処理された長さを測定する距離センサ、前記原反の生地の送り出し状態を検出するローラーセンサ、および、前記原反の生地の有無を検出する生地センサを備えることにより、前記延反機によって延反処理された原反の長さをより正確に測定することができ、正確に前記原反の残りの長さを管理することができる。
【0019】
前記延反機による延反処理の際に、前記放反で確認された前記原反の不良個所、および、延反処理の際に確認された前記原反の不良個所を、前記カッターによって切断し、前記カッターセンサ、前記距離センサ、および、前記ローラーセンサが検出した情報を基に、前記原反の不良個所の長さを計算して、前記原反の残りの長さの計算を行うことにより、前記原反に不良個所が存在した場合でも、正確に前記原反の残りの長さを管理することができる。
【0020】
前記延反距離測定手段は、前記原反の処理された長さを測定する距離センサ、前記原反の生地の送り出し状態を検出するローラーセンサ、および、前記原反の生地の有無を検出する生地センサを備えることにより、カッターではなく手動で前記原反を切断する延反機においても、前記延反機によって延反処理された原反の長さをより正確に測定することができ、正確に前記原反の残りの長さを管理することができる。
【0021】
前記延反機による延反処理の際に、前記放反で確認された前記原反の不良個所、および、延反処理の際に確認された前記原反の不良個所を、手動で切断し、前記距離センサ、および、前記ローラーセンサが検出した情報を基に、前記原反の不良個所の長さを計算して、前記原反の残りの長さの計算を行うことにより、手動切断の場合でも、不良個所を考慮して前記原反の残りの長さを正確に管理することができる。
【0022】
前記パソコンから前記原反に関するデータが送信され、保存される管理サーバーを含むことにより、前記管理サーバーのデータを基に簡単にトレーサビリティが可能となり、今後の搬入予定に反映させることができるようになり、また、前記管理サーバーに原反の製造メーカーもアクセス可能とすると、メーカーが原反の使用状況を知ることができ、原反の生産予定にも反映させることができるようになる。
【0023】
前記延反距離測定手段は、既存の延反機に後付け可能であることにより、既に延反機を使用している場合でも、新たな延反機を購入することなく、低コストで原反管理システムを導入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の原反管理システムの概略図である。
図2】カッターを備えた延反機の概略図である。
図3】延反処理の際に原反に不良個所があった場合の延反処理された生地の概略断面図である。
図4】延反処理の際に原反の不良個所を取り除く手順を示す概略図である。
図5】手動で原反を切断する場合の延反機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の原反管理システム1について、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。図1に示すのが、本発明の原反管理システムの概略図である。図1に記載の太い矢印は原反などの物の流れを示し、細い矢印はデータの送信方向を示している。
【0026】
本発明の原反管理システム1は、シート状物品を芯材である紙管などロールした複数の原反10を管理するためのシステムであり、図1に示すように、前記原反10に取り付けられるICタグ2、前記ICタグ2から非接触でデータを読み取るためのハンドリーダー3、前記原反10に関するデータを保存し処理するためのパソコン4、前記原反10を延反処理する延反機5、および、管理サーバー6を備える。
【0027】
前記ICタグ2に、ICプリンター7などを用いて前記原反10に関するデータを書き込む。まずは、前記データとして、各原反10に割り当てた原反コードを書き込み、原反コードを書き込みキーNoとする。その他のデータとして、各原反の長さ、種類など様々なデータを書き込むことができる。前記ICタグ2は、タグの形態だけではなく、シールの形態で貼り付けることも可能である。また、前記ICタグ2は、前記原反10の芯材である紙管、シート状物品に取り付けることができる。
【0028】
前記ハンドリーダー3は、前記ICタグ2から非接触でデータを読み取り、前記パソコン4に送信する。前記原反10が倉庫などの保管場所に搬入された時に、担当者が前記ハンドリーダー3によって、前記原反10のICタグ2を非接触で読み取りを行い、前記ICタグ2のデータをパソコン4に送信する。前記原反10の保管場所が複数ある場合は、保管場所ごとに前記ハンドリーダー3を用意しておき、前記原反10を読み取ったハンドリーダー3によって、前記原反10の保管場所をデータとして前記パソコン4に保存することも可能である。これにより、前記パソコン4によって各保管場所ごとの前記原反10の在庫数を管理することができる。
【0029】
前記パソコン4は、前記原反10のデータを保存、処理、管理するためのプログラムが内蔵されており、前記ハンドリーダー3および前記延反機5と無線接続されており、前記ハンドリーダー3および前記延反機5で読み取られた前記ICタグ2のデータを受信する。前記パソコン4は、受信した前記ICタグ2のデータを基にプログラムによって前記原反10の在庫、使用量を計算し、管理する。前記パソコン4のプログラムは、様々なデータ処理が可能であり、前記ハンドリーダー3からのデータを処理して前記原反10の入荷一覧を作成する、前記延反機5による延反処理長さを基に、前記原反10の残りの長さを計算する、前記原反10の在庫の長さを計算することなどが可能である。
【0030】
前記パソコン4のプログラムによって処理されたデータを基に、さらに、前記原反10の不良長さ、裁断実績、在庫本数および長さの日次管理、月次管理、年次管理を行うことができる。これにより、簡単に前記原反10のトレーサビリティが可能となる。そして、前記パソコン4によってこれらのデータを表、グラフなどに可視化して表示することも可能である。前記パソコン4に他のパソコンからアクセス可能とする、あるいは、前記パソコン4から前記原反10のデータを他のパソコンなどにリアルタイムで送信することも可能であり、これらのデータを基に、様々な管理が可能となる。また、前記パソコン4には、前記原反10に関するデータを入力することが可能であることから、例えば、前記原反10を使用せずに外部に搬出した場合は、そのデータを入力することで在庫管理に反映させることも可能である。
【0031】
前記延反機5は、自動で前記原反10をカッターによって所定の長さに切断し、指定された枚数に重ねて延反処理する機械であり、延反機本体51は従来の延反機を用いており、前記原反10のICタグ2からデータを自動的に読み取って前記パソコン4に転送するICアンテナ52、および、前記延反機5による延反距離を測定して前記パソコンに送信する延反距離測定手段が設けられている。本発明の原反管理システム1は、前記延反機5がカッターを備えておらず、作業員が手動で前記原反10を切断する延反機5’にも対応可能である。
【0032】
前記ICアンテナ52は、前記延反機5にセットされた原反10のICタグ2からデータとして原反コードを自動的に読み取って前記パソコン4に送信する。これにより、前記パソコン4によって前記延反機5にセットされた原反10がどの原反であるかが判断される。
【0033】
前記延反距離測定手段は、図2に示すように、前記延反機本体51のカッター53の作動を検出するためのカッターセンサ54、前記延反機本体51によって前記原反10が延反処理された長さ(図2の場合、延反処理を開始したスタート地点からカッター53までの距離に相当する)を測定するための距離センサ55、前記原反10の生地を送り出すためのローラの回転を検出し、前記原反10の生地の送り出し、巻き戻し、送り出しの完了または中断を検出するローラーセンサ56、および、前記原反10の有無を検出する生地センサ57を備えている。原反管理システム1は、前記延反距離測定手段としてこれらのセンサを全て備える必要は無く、図1に示すように、前記カッターセンサ54および前記距離センサ55だけを備えた構成とすることも可能である。
【0034】
前記延反距離測定手段の各種センサは、前記延反機5の延反機本体51にアタッチメントなどを用いて後付け可能なセンサを使用することが好ましい。これにより、既に設置されている延反機5に本発明の原反管理システム1を導入することが可能となる。各種センサを後付けする場合、例えば、前記カッターセンサ54として透過センサ、前記距離センサ55としてレーザセンサを使用することができる。
【0035】
前記カッターセンサ54は、前記延反機5のカッター53の作動を検出するために使用され、前記カッターセンサ54によってカッター53の作動が検出されると、前記距離センサ55をオンにし、前記延反機5によって前記原反10が延反処理される長さ、つまり、前記原反10が使用される長さの測定を開始する。
【0036】
前記距離センサ55は、延反処理された前記原反10の長さを測定するためのセンサであり、延反処理開始地点から、前記延反機5のカッター53までの距離を測定し、延反処理された原反10の長さを測定する。通常時、前記距離センサ55で測定される原反10の長さは、1回の延反処理の長さと同じになり、延反処理された生地を積層していく場合、測定された距離を合計して、原反10の延反処理された長さを計算する。前記原反10に不良個所が存在する場合、前記延反機5のカッター53によって切断を行うことができるが、この場合、切断した箇所までの長さを測定することになる。
【0037】
前記ローラーセンサ56は、前記延反機5にセットされた原反10の回転(正転:原反の送り出し、逆転:原反の巻き戻し、停止:原反の送り出し完了、待機、または、中断)を検出するためのセンサであり、回転数を基に、原反10の送り出し長さ、巻き戻し長さを測定することも可能である。前記生地センサ57は、原反10の生地の有無を検出するためのセンサであり、例えば、原反10が前記延反機5にセットされたことを検出して延反処理を開始し、延反処理の最中に原反10が無くなったことを検出した場合、前記延反機5による延反処理を停止させる。
【0038】
前記カッターセンサ54、前記距離センサ55、前記ローラーセンサ56、および、前記生地センサ57から得られる情報を組み合わせて処理することにより、前記延反機5で使用された原反10の長さを正確に測定することができ、正確に原反10の在庫管理を行うことができる。
【0039】
前記延反距離測定手段は測定された前記原反10の長さを前記パソコン4に送信する。前記パソコン4はプログラムによって前記原反10の残りの長さを計算し、前記原反10の在庫本数および長さを修正し、在庫管理を行う。
【0040】
前記延反距離測定手段は、後付けではなく、前記延反機5に内蔵された構造とすることも可能である。この場合、透過センサを用いないで、例えば、前記延反機5の動作を制御する制御手段によってセンサなどを作動させて前記原反10の延反処理された長さを測定する構造とすることも可能であり、前記延反距離測定手段の構造は様々な形態が可能である。
【0041】
カッターを備えていない延反機5’の場合、図5に示すように、延反距離測定手段として、距離センサ55’、前記ローラーセンサ56’、および、生地センサ57’を用いることで本発明の原反管理システム1に対応することができる。前記距離センサ55’は、延反機本体51’によって前記原反10が延反処理された長さ(延反処理を開始したスタート地点からの移動距離)を測定するためのセンサであり、前記ローラーセンサ56’は、前記延反機5’にセットされた原反10の回転(正転:原反の送り出し、逆転:原反の巻き戻し、停止:原反の送り出し完了、待機、または、中断)を検出するためのセンサであり、原反10の送り出し長さ、巻き戻し長さを測定することも可能である。
【0042】
前記管理サーバー6は、前記パソコン4から前記原反10に関するデータが送信され、送信されたデータを保存し、蓄積するために用いられる。前記管理サーバー6に蓄積するデータとしては、前記パソコン4に送信された前記原反10に関するデータ、前記パソコン4で集計した日単位、月単位、年単位で集計されたデータなど前記パソコン4で得られた様々なデータであり、前記管理サーバー6には、前記原反10の製造メーカーなどがアクセスすることを許可し、データを共有できるようにすると、製造メーカーが今後の生産量の予測を行うことも可能となる。
【0043】
本発明の原反管理システム1による原反の管理方法について説明する。最初にカッターを備えた延反機5を用いた場合の原反管理システム1について説明する。初めに、原反10が、原反を加工する工場の倉庫などに搬入する際に担当者が、各原反10にICタグ2を取り付ける作業(ICタグ取り付け工程100)を行う。前記ICタグ2は、前記原反10の搬入に前に予めICプリンター7などで、各原反10に割り当てる予定の原反コードを書き込み、書き込みキーNoとしておく。前記ICタグ2を取り付けた原反10を倉庫に搬入する作業が完了したら、担当者が前記ハンドリーダー3を用いて、搬入された前記原反10に取り付けられたICタグ2のデータを非接触で順番に読み取る(ICタグ読み取り工程110)。
【0044】
読み取られたデータは、前記ハンドリーダー3から前記パソコン4に逐次送信され、前記パソコン4に保存される。そして、前記パソコン4のプログラムによって、倉庫に保管された前記原反10の本数、および、長さが計算され、前記原反10の在庫量が確定する。前記パソコン4で計算された結果は、前記管理サーバー6に送信され、前記管理サーバー6において管理データとして保存される。
【0045】
複数の倉庫に前記原反10を分けて保管する場合、各倉庫に配置されたハンドリーダー3で搬入される原反10のICタグ2のデータを読みとって前記パソコン4にデータを送信するが、この時、前記データがどの倉庫に配置されたハンドリーダー3から送信されているかを前記パソコン4のプログラムで判断し、倉庫別に前記原反10のデータを保存することにより、倉庫毎に前記原反10の在庫本数および長さを管理することができ、さらに、前記原反10の在庫本数および長さの総合計も管理することができる。
【0046】
前記原反10を使用するために、保管場所の倉庫から搬出して延反前に放反120を行う場合、放反作業を行う担当者が、汚れなどの不良個所を前記原反10にマーキングを行う。この際に、前記マーキングを前記延反機5で読み取り可能とすることもできる。そして、不良個所発見履歴として前記原反10の不良個所の寸法および個所数をデータとして前記パソコン4に入力されると、前記原反10の在庫管理に反映させる。そして、前記管理サーバー6にも更新されたデータを送信する。このようにして、前記原反10の不良個所を前記原反10の管理に反映させることができる。
【0047】
前記放反120において、汚れなどの不良個所を切断して処理することも可能である。この時、放反作業を行った担当者が、前記原反10の不良個所を切断して取り除いた長さを、前記原反10のデータとして、前記原反10の原反コードと共に前記パソコン4に入力する。前記パソコン4へのデータ入力は、直接、前記パソコン4に入力する、あるいは、前記パソコン4にデータを送信するための別途の端末を用意しておいて端末を利用して入力することが可能である。前記パソコン4は前記原反10の切断された長さを基に、前記原反10の残りの長さを計算し、保存する。
【0048】
放反における前記原反10の切断長さが入力されると、前記パソコン4は前記原反10の残りの長さを計算し、前記原反10の在庫管理に反映させる。そして、前記管理サーバー6にも更新されたデータを送信する。このようにして、放反によって処理された長さを前記原反10の管理に反映させることも可能である。
【0049】
放反後、延反130を行うために、前記原反10を前記延反機5の延反機本体51にセットする。前記延反機5が作動すると、各センサも作動する。この時、前記生地センサ57によって原反10を検出し、前記延反機5のICアンテナ52によって、セットされた前記原反10のICタグ2からデータを自動的に読み取って、前記パソコン4に送信する。前記パソコン4は、プログラムによって、前記ICタグ2から読み取ったデータから前記延反機5にどの原反10がセットされているのかを判断し、前記原反10のデータとして蓄積する。
【0050】
延反処理を開始すると、初めに前記原反10から生地の送り出しが行われる。この時、前記ローラーセンサ56によって、前記原反10から生地が送り出しが開始されたことが検出されると、前記距離センサ55によって延反処理された生地の長さの測定が開始される。予め決められた長さの延反処理が終了すると、前記原反10からの生地の送り出しが停止され、カッター53によって前記原反10の切断が行われる。この時、前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが完了したことが検出され、前記カッターセンサ54によってカッター53による切断が行われたことが検出されると、前記距離センサ55によって延反処理された生地の長さを測定し、測定された前記原反10の延反処理された長さを、前記パソコン4へと送信する。1回の延反処理が中断されることなく完了した場合は、測定された前記原反10の延反処理された長さは、予め決められた延反処理の長さと同じとなる。
【0051】
延反処理の際に、前記原反10に不良個所がある場合、あるいは、何らかのトラブルなどで延反処理が途中で中断した場合は、以下のような処理が行われる。延反処理が開始されて前記原反10から生地の送り出しが行われると、前記ローラーセンサ56によって、前記原反10の送り出しが開始されたことが検出され、前記距離センサ55によって延反処理された生地の長さの測定が開始される。前記放反120の際に検出された不良個所のマーキングが存在しいる場合、マーキングを作業員が確認すると、前記原反10の送り出しを停止し、前記カッター53によって前記原反10の不良個所を通り過ぎた部分で切断する。前記放反120の際に発見されなかった前記原反10の不良個所を、延反処理の際に作業員が発見した場合も、前記原反10の送り出しを停止し、前記カッター53によって前記原反10を切断することができる。この時、前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが停止されたことを検出し、前記カッターセンサ54によって前記カッター53の作動を検出すると、前記距離センサ55によって前記原反10の生地が切断された箇所までの長さL1を測定し、前記パソコン4へと送信する。
【0052】
前記不良個所のマーキングの位置での切断が終わると、前記延反機5を不良個所範囲分の長さだけバックさせる。その後、前記原反10の生地を送り出して延反処理が再開されると同時に、前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが行われたことが検出され、この時に、前記距離センサ55によって延反処理開始地点からの距離L2を測定し、前記パソコン4へと送信する。この時、最初に測定された前記原反10の生地の長さL1よりも、次に測定された距離L2が小さくなることから、前記パソコン4において、何らかの理由で前記延反機5がバックしたと判断される。
【0053】
延反処理が再開されると延反処理された前記原反10の生地は、最初に延反処理された前記原反10の生地の不良個所の上に重ねられ、引き続き送り出されていく。このようにして再開された延反処理が終了すると、前記原反10からの生地の送り出しが停止され、カッター53によって前記原反10の切断が行われる。この時、前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが完了したことが検出され、前記カッターセンサ54によってカッター53による切断が行われたことが検出されると、前記距離センサ55によって延反処理された生地の長さL3を測定し、測定された前記原反10の延反処理された生地の長さL3を、前記パソコン4へと送信する。
【0054】
この時、測定された生地の長さL3は、予め決められた延反処理の長さと同じとなるが、実際に使用された前記原反10の長さは、不良個所(最初に延反処理された生地と、延反処理が再開された際の生地が重なり合った部分)の長さを加える必要がある。不良個所の長さは、最初に測定された長さL1と、前記延反機5がバックして次に測定された距離L2との差であることから、前記パソコン4のプログラムで、この差(L1-L2)を計算し、最後に測定された長さL3に加えた値を、今回の延反処理で使用された前記原反10の長さ(L1-L2+L3)と判断し、前記原反10の在庫の残りの長さを計算する。このようにして、前記原反10の不良個所の長さについても前記原反10の管理に反映させることができる。
【0055】
このように延反処理において前記原反10の不良個所を処理する場合、前記延反機5をバックさせることから、前記距離センサ55によって測定された値が複数存在し、測定された値がその前に測定された値と比較して減少した場合、前記パソコン4のプログラムで前記原反10に不良個所が存在したと判断し、不良個所の長さを計算するように設定する。
【0056】
前記原反10に不良個所が複数存在する場合は、前記延反機5を複数回バックさせることになり、その都度、前記距離センサ55によって距離を測定することから、それに合わせて不良個所の長さも計算することができるので、不良個所が複数存在した場合でも正確に前記原反10の在庫の長さを計算することができる。
【0057】
延反処理において前記原反10の不良個所を処理する場合、不良個所の生地を重ねて処理する状態を、図3を用いて具体的に説明する。図3(a)に示すのは、1回の延反処理の長さが20mの場合である。原反10の延反処理を開始すると、前記ローラーセンサ56によって、前記原反10の送り出しが開始されたことが検出され、前記距離センサ55によって延反処理された生地の長さの測定が開始される。作業員が前記原反10に不良個所のマーキングを確認すると、所定の位置で前記原反10の送り出しを停止し、前記カッター53によって前記原反10を切断する。この時、前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが停止されたことを検出し、前記カッターセンサ54によって前記カッター53の作動を検出すると、前記距離センサ55によって前記原反10の生地が切断された箇所までの長さL1を測定すると8mであった。
【0058】
続いて、前記延反機5を不良個所範囲分の長さだけバックさせ、延反処理を再開すると、最初に切断された8mの生地Aの不良個所の上に、延反処理が再開された生地Bが送り出されて重ねられていく。延反処理が再開されると同時に前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが行われたことが検出され、前記距離センサ55によって延反処理開始地点からの距離L2を測定すると6mであった。
【0059】
このようにして再開された延反処理が終了すると、前記原反10からの生地の送り出しが停止され、カッター53によって前記原反10の切断が行われる。この時、前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが完了したことが検出され、前記カッターセンサ54によってカッター53による切断が行われたことが検出されると、前記距離センサ55によって延反処理された生地の長さL3を測定すると20mであり、20mの延反処理が終了する。
【0060】
1回の延反処理で3回の測定が行われ、これらの測定データが前記パソコン4に送信される。今回の延反処理では、3回測定された値が、L1=8m、L2=6m、L3=20mであることから、前記パソコン4のプログラムで処理が行われると、1回目の測定と2回目の測定の間に、前記延反機5が2mバックし、2mの不良個所が存在したことがわかるので、前記原反10の1回の延反処理では、前記原反10の使用量は合計すると22mであり、2mの不良個所が存在したことが管理サーバー6に前記原反10のデータとして保存される。
【0061】
1回の延反処理で不良個所が2つ以上発見された場合は、前記延反機5が2回以上バックすることになり、例えば、2つの不良個所が発見された場合は、図3(b)に示すような状態で、前記原反10から延反処理された生地が積み重ねられていく。延反処理における前記原反10の不良個所の処理は、作業員による前記延反機5の手動操作、あるいは、前記延反機5の自動操作(例えば、前記延反機5がマーキングを読み取って、自動的にマーキングの位置で切断を行い、さらに、所定の長さ自動的にバックさせる操作)が可能である。
【0062】
延反処理において前記原反10の不良個所を処理する場合、不良個所の生地を重ねて処理するケースについて説明したが、不良個所の範囲を切断して処理することも可能である。続いて、前記原反10の不良個所の範囲を切断して処理する方法について図4を用いて説明する。
【0063】
図4に示すのが、前記原反10の不良個所の生地を切断して取り除いて処理する手順である。前記延反機5による延反処理を開始し、作業員が前記放反120の際に検出された不良個所のマーキングを確認した場合、図4(a)に示すように、前記原反10の送り出しを停止し、前記カッター53によって、不良個所を通り過ぎた部分で前記原反10を切断する。この時、前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが停止されたことを検出し、前記カッターセンサ54によって前記カッター53の作動を検出すると、前記距離センサ55によって前記原反10の生地が切断された箇所までの長さL1を測定し、前記パソコン4へと送信する。ここまでは、前記原反10の不良個所を重ねて処理する場合と同じ手順である。
【0064】
次に、作業員が、前記原反10の不良個所の範囲を確認し、前記不良個所を含むように、図4(b)に示すように、所定の位置で前記原反10をはさみで切断して、前記原反10の不良個所を含んだ所定の長さの生地を前記延反機5から取り除く。このまま延反処理を再開すると、不良個所を取り除いた部分の生地が無くなり、実際に延反処理された生地の長さが短くなることから、図4(c)に示すように、前記延反機5を、取り除いた生地の長さだけバックさせる。その後、最初に延反処理した前記原反10の生地の端部に続けて前記原反10の生地を送り出しを再開して、図4(d)に示すように、延反処理を再開する。この時、前記ローラーセンサ56によって生地の送り出しが再開されたことが検出され、前記距離センサ55によって測定された延反処理開始地点からの距離L2を前記パソコン4へと送信する。
【0065】
前記パソコン4は、送信されたデータを基に、最初に測定された前記原反10の生地の長さL1よりも、次に測定された距離L2が小さくなると判断した場合、前記パソコン4において、不良個所を処理するために前記延反機5がL1-L2の距離をバックしたと判断し、L1-L2の長さが原反10の不良個所の長さとしてデータに保存され、前記原反10の実際の使用量に加えられる。
【0066】
このようにして、延反処理の際に不良個所を切断して取り除いた場合でも、前記延反機5による延反処理の際に切断して取り除いた生地の長さを正確に算出して、前記原反10の在庫管理に反映させることができる。
【0067】
前記パソコン4は、プログラムによって、前記原反10の延反処理された長さを基に、延反処理された前記原反10の残りの長さを計算し、前記原反10の在庫の長さとしてデータを保存する。そして、前記パソコン4は、プログラムによって、前記原反10の在庫の長さを更新し、同時に、前記管理サーバー6にも前記原反10の在庫の長さを送信する。1つの前記原反10を複数回、延反処理を行う場合は、上述のような延反処理における前記原反10の使用量の計算を前記パソコン4のプログラムでその都度行うことにより、リアルタイムで前記原反10の在庫の長さを更新することができる。
【0068】
前記延反機5による延反処理が終了した時に、前記パソコン4のプログラムによって、延反処理後の前記原反10の残りの長さが、基準値以下の場合、例えば、残りの長さが延反処理されずに破棄される長さである場合、前記原反10の全長が使用されたと判断し、前記原反10の管理に反映させることも可能である。
【0069】
前記原反10の一部が使用された状態で、倉庫、あるいは、他の場所で保管されていたとしても、上述のように、前記パソコン4には、前記原反10の残りの長さがデータとして保存されていることから、リアルタイムで、正確に前記原反10の在庫を管理することができる。
【0070】
また、新たな原反10の搬入、放反、および、延反が同時に行われていたとしても、前記パソコン4には各作業毎にデータが送信され前記パソコン4で各データが処理されることから、時間単位で在庫を管理することができる。また、複数の延反機5によって同時に延反処理を行う場合にも、前記パソコン4で各データがリアルタイムで処理することで対応することができる。
【0071】
そして、前記原反10を長さ単位で管理することができるので、前記原反10の予定使用量と、実際の使用量とを比較し、今後の前記原反10の搬入予定を修正し、余剰在庫をできるだけ少なく管理することができるようになる。特に、前記原反10の管理データを蓄積することによって、日次、月次、年次の前記原反10の使用量の変化をデータとして使用できるようになり、これらのデータを基により正確な前記原反10の使用量を予め予測することができるようになる。また、前記原反10の不良個所の長さ、個所数もデータとして保存することができることから、不良個所の割合を含めて前記原反10の使用量を予め予測することも可能となる。
【0072】
さらに、原反の製造メーカーが前記管理サーバー6にアクセスすることを許可することによって、製造メーカーがリアルタイムで原反の使用量を知ることで、原反の製造量を調節することも可能となる。
【0073】
次に、カッターではなく手動で原反10を切断する延反機5’を用いた場合の原反管理システム1について説明する。原反10を工場に搬入し、各原反10にICタグ2を取り付ける作業(ICタグ取り付け工程100)から放反作120までは、カッターを備えた延反機5を用いた場合と同じ工程であることから説明を省略し、延反機5’による延反処理について詳細に説明する。
【0074】
延反130を行うために、前記原反10を前記延反機5’の延反機本体51’にセットする。前記延反機5’が作動すると、各センサも作動する。この時、前記生地センサ57’によって原反10を検出し、前記延反機5’のICアンテナ52’によって、セットされた前記原反10のICタグ2からデータを読み取って、前記パソコン4に送信する。前記パソコン4は、プログラムによって、前記ICタグ2から読み取ったデータから前記延反機5’にどの原反10がセットされているのかを判断し、前記原反10のデータとして蓄積する。
【0075】
延反処理を開始すると、初めに前記原反10から生地の送り出しが行われる。この時、前記ローラーセンサ56’によって、前記原反10から生地が送り出しが開始されたことが検出されると、前記距離センサ55’によって延反処理された生地の長さの測定が開始される。予め決められた長さの延反処理が終了すると、前記原反10からの生地の送り出しが停止され、延反処理を行う作業員がはさみで前記原反10の切断を行う。この時、前記ローラーセンサ56’によって生地の送り出しが停止(完了)したことが検出されると、前記距離センサ55’によって延反処理された生地の長さを測定し、測定された前記原反10の延反処理された長さを、前記パソコン4へと送信する。1回の延反処理が中断されることなく完了した場合は、測定された前記原反10の延反処理された長さは、予め決められた延反処理の長さと同じとなることから、この時点で1回の延反処理が完了したと判断される。
【0076】
次に、延反処理の際に、前記原反10に不良個所がある場合の処理方法について説明する。延反処理が開始されて前記原反10から生地の送り出しが行われると、前記ローラーセンサ56’によって、前記原反10の送り出しが開始されたことが検出され、前記距離センサ55’によって延反処理された生地の長さの測定が開始されるが、作業員が前記放反120の際に検出された不良個所のマーキングを確認した場合、前記原反10の送り出しを停止し、前記原反10の不良個所を通り過ぎた位置で、作業員がはさみを使って手動で前記原反10を切断する。この時、前記ローラーセンサ56’によって生地の送り出しが停止されたことを検出すると、前記距離センサ55’によって測定されたデータが前記原反10の生地が送り出された距離L1と判断し、前記パソコン4へと送信する。延反処理の際に新たに前記原反10の不良個所を作業員が発見した場合も、前記原反10の送り出しを停止して、手動で前記原反10の不良個所を切断して処理することも可能である。
【0077】
前記不良個所のマーキングを確認して前記原反10の生地の切断が終わると、前記延反機5’を不良個所の範囲分の長さだけバックさせる。その後、前記原反10の生地を送り出して延反処理が再開されると同時に、前記ローラーセンサ56’によって生地の送り出しが行われたことが検出され、この時に、前記距離センサ55’によって測定された延反処理開始地点からの距離L2を、前記パソコン4へと送信する。最初に測定された前記原反10の生地の長さL1よりも、次に測定された距離L2が小さくなることから、前記パソコン4において、不良個所を処理するために前記延反機5’がバックしたと判断される。
【0078】
延反処理が再開されると延反処理された前記原反10の生地は、最初に延反処理された前記原反10の生地の不良個所の上に重ねられ、引き続き送り出されていく。不良個所が複数ある場合は、上述のような距離センサ55’による距離測定をその都度行うことになる。このようにして再開された延反処理が終了すると、前記原反10からの生地の送り出しが停止され、作業員によってはさみで前記原反10の切断が行われる。この時、前記ローラーセンサ56’によって生地の送り出しが完了したことが検出された時に前記距離センサ55’によって測定された延反処理された生地の長さL3を、前記パソコン4へと送信する。
【0079】
この時、測定された生地の長さL3は、予め決められた延反処理の長さと同じとなるが、実際に使用された前記原反10の長さは、不良個所(最初に延反処理された生地と、延反処理が再開された際の生地が重なり合った部分)の長さを加える必要がある。不良個所の長さは、最初に測定された長さL1と、前記延反機5’がバックして次に測定された距離L2との差であることから、前記パソコン4のプログラムで、この差(L1-L2)を計算し、最後に測定された長さL3に加えた値を、今回の延反処理で使用された前記原反10の長さ(L1-L2+L3)と判断し、前記原反10の在庫の残りの長さを計算する。このようにして、前記原反10の不良個所の長さについても前記原反10の管理に反映させることができる。
【0080】
このように延反処理において前記原反10の不良個所を処理する場合、前記延反機5’をバックさせることから、前記距離センサ55’によって測定された値が複数存在し、測定された値がその前に測定された値と比較して減少した場合、前記パソコン4のプログラムで前記原反10に不良個所が存在したと判断し、不良個所の長さを計算するように設定する。
【0081】
前記パソコン4のプログラムによって、前記原反10の延反処理された長さを基に、延反処理された前記原反10の残りの長さを計算し、前記原反10の在庫の長さとしてデータを保存する。前記原反10に不良個所が存在した場合も、前記延反機5’の前記ローラーセンサ56’および前記距離センサ55’によって得られるデータを基に、前記パソコン4のプログラムによって、不良個所の長さを計算し、前記原反10の在庫の長さに反映させることができる。前記延反機5’による延反処理以外は、カッターを備えた延反機5と全て同じ処理を行うことができる。
【0082】
このように、カッターを備えていない延反機5’の場合でも、前記ローラーセンサ56’および前記距離センサ55’を用いることによって、本発明の原反管理システム1は、原反10を対応することができ、原反10の在庫管理を、不良個所を含めてリアルタイムで長さまで管理することができる。
【0083】
次に、前記延反機5’による延反処理の際に前記原反10に不良個所がある場合の処理方法について、前記原反10の不良個所を切断して除去する場合について説明する。前記延反機5’による延反処理を開始して、作業員が前記放反120の際に検出された不良個所のマーキングを確認した場合、前記原反10の送り出しを停止し、作業員がはさみで前記原反10を不良個所を通り過ぎた位置で切断する。この時、前記ローラーセンサ56’によって生地の送り出しが停止されたことを検出すると、この時、前記距離センサ55’によって測定された前記原反10の生地が送り出された距離L1を、前記パソコン4へと送信する。
【0084】
前記不良個所のマーキングの位置での切断が終わると、不良個所を含んだ所定の長さの位置で作業員がもう一度、前記原反10の生地をはさみで切断する。そして、前記原反10の不良個所を含んだ所定の長さの部分を前記延反機5’から取り除く。このまま延反処理を再開すると、不良個所を取り除いた部分の生地が無くなり、延反処理した長さが不足することから、前記延反機5’を取り除いた生地の長さだけバックさせる。その後、最初に延反処理した前記原反10の生地の端部に続けて前記原反10の生地を送り出しが再開して、延反処理を再開する。この時、前記ローラーセンサ56’によって生地の送り出しが行われたことが検出され、前記距離センサ55’によって測定された延反処理開始地点からの距離L2を前記パソコン4へと送信する。前記パソコン4は、送信されたデータを基に、最初に測定された前記原反10の生地の長さL1よりも、次に測定された距離L2が小さくなることから、前記パソコン4において、不良個所を処理するために前記延反機5’がL1-L2の距離をバックしたと判断され、L1-L2の長さが原反10の不良個所の長さとしてデータに保存され、前記原反10の使用量に加えられる。
【0085】
このようにして、延反処理の際に不良個所を切断して取り除いた場合でも、前記延反機5’による延反処理の際に切断して取り除いた生地の長さを正確に算出して、前記原反10の在庫管理に反映させることができる。
【0086】
このように、本発明の原反管理システム1は、原反の本数だけでなく長さまで管理することができ、さらに、得られたデータを基に、様々な用途に使用することも可能であり、原反の生産にまでリアルタイムで反映させることができるようになる。
【0087】
さらに、本発明の延反管理システム1は、複数の延反機を用いて複数の原反を同時に延反処理を行うこと、また、複数の原反を同時に放反作業することなども可能であり、このような場合でも、正確にリアルタイムで原反の本数だけでなく長さまで管理することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 原反管理システム
2 ICタグ
3 ハンドリーダー
4 パソコン
5 延反機
51 延反機本体
52 ICアンテナ
53 カッター
54 カッターセンサ
55 距離センサ
56 ローラセンサ
57 生地センサ
5’ 延反機
51’ 延反機本体
52’ ICアンテナ
55’ 距離センサ
56’ ローラセンサ
57’ 生地センサ
6 管理サーバー
7 ICプリンター
10 原反
100 ICタグ取り付け工程
110 ICタグ読み取り工程
120 放反
130 延反
図1
図2
図3
図4
図5