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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】棒体整列装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/08 20060101AFI20240112BHJP
   B23P 19/12 20060101ALI20240112BHJP
   F28D 1/04 20060101ALI20240112BHJP
   F28F 1/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B21D53/08 P
B23P19/12
F28D1/04 Z
F28F1/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020069107
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021164938
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 拓勇
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-137921(JP,U)
【文献】特開2004-330262(JP,A)
【文献】特開平4-200830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/69515(US,A1)
【文献】特開2003-193598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 53/08
B23P 19/12
F28D 1/04
F28F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒体が挿通可能な貫通孔が形成されたガイド板と、前記棒体がそれぞれ挿通可能な径寸法である大径孔および小径孔を有するダルマ状貫通孔が形成されたダルマ状貫通孔ガイド板とを有し、前記貫通孔の平面位置と前記大径孔の平面位置とを位置合わせして板厚方向に複数枚積み重ねて配置され、前記ガイド板と前記ダルマ状貫通孔ガイド板との相対平面位置をスライド移動可能に設けられたガイド部と、
前記ガイド板および前記ダルマ状貫通孔ガイド板の少なくとも一方をスライド移動させる第1駆動部と、
前記ガイド部の下方位置に設けられた底板と、
前記底板を前記ガイド部に向けて昇降させる第2駆動部と、
前記第1駆動部と前記第2駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記ガイド部の前記貫通孔および前記大径孔に前記棒体が挿通された後、前記第1駆動部を作動させて、前記小径孔の平面領域と前記貫通孔の平面領域の一部とを重複させるように前記ガイド板と前記ダルマ状貫通孔ガイド板との相対位置を変更させ、
前記底板の上面高さ位置を前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体の下端部に当接する所定高さ位置まで上昇させる工程と、前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程のそれぞれを実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする棒体整列装置。
【請求項2】
棒体が挿通可能な貫通孔が形成されたガイド板と、前記棒体がそれぞれ挿通可能な径寸法である大径孔および小径孔を有するダルマ状貫通孔が形成されたダルマ状貫通孔ガイド板とを有し、前記貫通孔の平面位置と前記大径孔の平面位置とを位置合わせして板厚方向に複数枚積み重ねて配置され、前記ガイド板と前記ダルマ状貫通孔ガイド板との相対平面位置をスライド移動可能に設けられたガイド部と、
前記ガイド板および前記ダルマ状貫通孔ガイド板の少なくとも一方をスライド移動させる第1駆動部と、
前記ガイド部の下方位置に設けられた底板と、
前記底板を前記ガイド部に向けて昇降させる第2駆動部と、
前記第1駆動部と前記第2駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記底板の上面高さ位置を前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体の下端部に当接する所定高さ位置まで上昇させた後、
前記ガイド部の前記貫通孔および前記貫通孔に前記棒体が挿通された後、前記第1駆動部を作動させて、前記小径孔の平面領域と前記貫通孔の平面領域の一部とを重複させるように前記ガイド板と前記ダルマ状貫通孔ガイド板との相対位置を変更させ、
前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程のそれぞれを実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする棒体整列装置。
【請求項3】
前記小径孔の径寸法は、前記棒体の外径寸法と同一寸法に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の棒体整列装置。
【請求項4】
前記ガイド部には、少なくとも一枚のダルマ状貫通孔ガイド板が含まれていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項記載の棒体整列装置。
【請求項5】
棒体が挿通可能な貫通孔が形成された複数枚のガイド板を前記貫通孔の平面位置を位置合わせして板厚方向に複数枚積み重ねて配置され、前記貫通孔の平面位置をずらすべく、互いの前記ガイド板の相対平面位置をスライド移動可能に設けられたガイド部と、
前記ガイド板の相対平面位置をスライド移動させる第1駆動部と、
前記ガイド部の下方位置に設けられた底板と、
前記底板を前記ガイド部に向けて昇降させる第2駆動部と、
前記第1駆動部と前記第2駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記ガイド部の前記貫通孔に前記棒体が挿通された後、互いの前記ガイド板における前記貫通孔の平面領域の一部が重複した状態を維持しながら移動させるように前記第1駆動部を作動させ、
前記底板の上面高さ位置を前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体の下端部に当接する所定高さ位置まで上昇させる工程と、前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程のそれぞれを実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする棒体整列装置。
【請求項6】
棒体が挿通可能な貫通孔が形成された複数枚のガイド板を前記貫通孔の平面位置を位置合わせして板厚方向に複数枚積み重ねて配置され、前記貫通孔の平面位置をずらすべく、互いの前記ガイド板の相対平面位置をスライド移動可能に設けられたガイド部と、
前記ガイド板の相対平面位置をスライド移動させる第1駆動部と、
前記ガイド部の下方位置に設けられた底板と、
前記底板を前記ガイド部に向けて昇降させる第2駆動部と、
前記第1駆動部と前記第2駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記底板の上面高さ位置を前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体の下端部に当接する所定高さ位置まで上昇させた後、
前記ガイド部の前記貫通孔に前記棒体が挿通された後、互いの前記ガイド板における前記貫通孔の平面領域の一部が重複した状態を維持しながら移動させるように前記第1駆動部を作動させ、
前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程のそれぞれを実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする棒体整列装置。
【請求項7】
前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程において、
前記動作制御部は、
前記ガイド部に対して傾斜した状態で前記ガイド部に挿通されている前記棒体が自重により前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持された状態に変化する際における鉛直方向成分速度以下で下降するよう前記第2駆動部を作動させることを特徴とする請求項1~6のうちいずれか一項に記載の棒体整列装置。
【請求項8】
前記動作制御部は、
前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程との間に、前記底板を前記棒体から離反させる工程を実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする請求項1~7のうちのいずれか一項記載の棒体整列装置。
【請求項9】
前記底板の上面には前記棒体のすべり止め加工が施されていることを特徴とする請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の棒体整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱用フィンの積層体に冷媒管を挿入する前に放熱用フィンの積層体に挿通される仮挿し棒に代表される棒体を整列させるための棒体整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコン等における熱交換器は、放熱用フィンの積層体に冷媒を流通させるための冷媒管を挿通させることにより形成されている。放熱用フィンの積層体はプレス金型装置により形成された放熱用フィンをスタックピンが立設されたスタック装置に複数枚積層させた後、スタック装置から取り出され、スタックピンに代えて仮挿し棒を挿通させてから冷媒管が挿通されている。
【0003】
以上のことから仮挿し棒は、スタック装置におけるスタックピンと同様に、先端部位置を精密に位置決めした状態で整列させておく必要がある。仮挿し棒の整列装置に関する直接的な先行技術文献は見出せないが、スタックピンを整列させるための機構としては、例えば特許文献1(特開2004-330262号公報)において開示されているものが出願人により提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-330262号公報(明細書段落0012-0015,図1図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
整列された後の仮挿し棒は、先端部を放熱用フィンの積層体に挿入させるため、根元部分で仮挿し棒挿込機構に受け渡しをしなければならない。したがって、特許文献1に開示されているスタックピン整列機構のようにスタックピンSPの根元部分SPBが底板BPに差し込まれた状態で固定されてしまう機構(図21参照)を仮挿し棒の整列装置に転用させることができないといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、放熱用フィンの積層体に挿入される仮挿し棒を整列させる際に用いて好適な棒体整列装置の構成を提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するために発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、棒体が挿通可能な貫通孔が形成されたガイド板と、前記棒体がそれぞれ挿通可能な径寸法である大径孔および小径孔を有するダルマ状貫通孔が形成されたダルマ状貫通孔ガイド板とを有し、前記貫通孔の平面位置と前記大径孔の平面位置とを位置合わせして板厚方向に複数枚積み重ねて配置され、前記ガイド板と前記ダルマ状貫通孔ガイド板との相対平面位置をスライド移動可能に設けられたガイド部と、前記ガイド板および前記ダルマ状貫通孔ガイド板の少なくとも一方をスライド移動させる第1駆動部と、前記ガイド部の下方位置に設けられた底板と、前記底板を前記ガイド部に向けて昇降させる第2駆動部と、前記第1駆動部と前記第2駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、前記動作制御部は、前記ガイド部の前記貫通孔および前記大径孔に前記棒体が挿通された後、前記第1駆動部を作動させて、前記小径孔の平面領域と前記貫通孔の平面領域の一部とを重複させるように前記ガイド板と前記ダルマ状貫通孔ガイド板との相対位置を変更させ、前記底板の上面高さ位置を前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体の下端部に当接する所定高さ位置まで上昇させる工程と、前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程のそれぞれを実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする棒体整列装置である。
【0008】
また、棒体が挿通可能な貫通孔が形成されたガイド板と、前記棒体がそれぞれ挿通可能な径寸法である大径孔および小径孔を有するダルマ状貫通孔が形成されたダルマ状貫通孔ガイド板とを有し、前記貫通孔の平面位置と前記大径孔の平面位置とを位置合わせして板厚方向に複数枚積み重ねて配置され、前記ガイド板と前記ダルマ状貫通孔ガイド板との相対平面位置をスライド移動可能に設けられたガイド部と、前記ガイド板および前記ダルマ状貫通孔ガイド板の少なくとも一方をスライド移動させる第1駆動部と、前記ガイド部の下方位置に設けられた底板と、前記底板を前記ガイド部に向けて昇降させる第2駆動部と、前記第1駆動部と前記第2駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、前記動作制御部は、前記底板の上面高さ位置を前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体の下端部に当接する所定高さ位置まで上昇させた後、前記ガイド部の前記貫通孔および前記貫通孔に前記棒体が挿通された後、前記第1駆動部を作動させて、前記小径孔の平面領域と前記貫通孔の平面領域の一部とを重複させるように前記ガイド板と前記ダルマ状貫通孔ガイド板との相対位置を変更させ、前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程のそれぞれを実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする棒体整列装置とすることもできる。
【0009】
さらに、棒体が挿通可能な貫通孔が形成された複数枚のガイド板を前記貫通孔の平面位置を位置合わせして板厚方向に複数枚積み重ねて配置され、前記貫通孔の平面位置をずらすべく、互いの前記ガイド板の相対平面位置をスライド移動可能に設けられたガイド部と、前記ガイド板の相対平面位置をスライド移動させる第1駆動部と、前記ガイド部の下方位置に設けられた底板と、前記底板を前記ガイド部に向けて昇降させる第2駆動部と、前記第1駆動部と前記第2駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、前記動作制御部は、前記ガイド部の前記貫通孔に前記棒体が挿通された後、互いの前記ガイド板における前記貫通孔の平面領域の一部が重複した状態を維持しながら移動させるように前記第1駆動部を作動させ、前記底板の上面高さ位置を前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体の下端部に当接する所定高さ位置まで上昇させる工程と、前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程のそれぞれを実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする棒体整列装置とすることもできる。
【0010】
さらにまた、棒体が挿通可能な貫通孔が形成された複数枚のガイド板を前記貫通孔の平面位置を位置合わせして板厚方向に複数枚積み重ねて配置され、前記貫通孔の平面位置をずらすべく、互いの前記ガイド板の相対平面位置をスライド移動可能に設けられたガイド部と、前記ガイド板の相対平面位置をスライド移動させる第1駆動部と、前記ガイド部の下方位置に設けられた底板と、前記底板を前記ガイド部に向けて昇降させる第2駆動部と、前記第1駆動部と前記第2駆動部の動作を制御する動作制御部と、を具備し、前記動作制御部は、前記底板の上面高さ位置を前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体の下端部に当接する所定高さ位置まで上昇させた後、前記ガイド部の前記貫通孔に前記棒体が挿通された後、互いの前記ガイド板における前記貫通孔の平面領域の一部が重複した状態を維持しながら移動させるように前記第1駆動部を作動させ、前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程のそれぞれを実行させるように前記第2駆動部を作動させることを特徴とする棒体整列装置とすることもできる。
【0011】
これらにより、放熱用フィンの積層体に挿入される仮挿し棒に代表される棒体を確実に整列させることができる。また、整列させた仮挿し棒は根元部分で仮挿し棒挿込機構に受け渡すことができるため、仮挿し棒挿込機構は受け渡された仮挿し棒をそのまま放熱用フィンの積層体に挿入させることができる。
【0012】
また、前記小径孔の径寸法は、前記棒体の外径寸法と同一寸法に形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、仮挿し棒を精度高く位置決めすることができる。
【0014】
また、前記ガイド部には、少なくとも一枚のダルマ状貫通孔ガイド板が含まれていることが好ましい。
【0015】
これにより、ガイド部による仮挿し棒の整列機能を低下させることなくガイド部の製造コストを低減することができる。
【0016】
また、前記ガイド部に吊り下げ保持された前記棒体が前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるまでの間において前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程において、前記動作制御部は、前記ガイド部に対して傾斜した状態で前記ガイド部に挿通されている前記棒体が自重により前記ガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持された状態に変化する際における鉛直方向成分速度以下で下降するよう前記第2駆動部を作動させることが好ましい。
【0017】
これにより、非鉛直状態でガイド部に挿通された仮挿し棒を鉛直方向に姿勢変更させる際に仮挿し棒が振り子状に振動させないようにすることができ、仮挿し棒のガイド部に対する吊り下げ保持状態を短時間でガイド部に対して直交方向となるように姿勢変更させることが可能になる。
【0018】
また、前記動作制御部は、前記底板の上面に前記棒体の下端部が当接した状態を維持させながら前記底板を下降させる工程と、前記棒体の上端部を前記ガイド部の上面から突出させるまで前記底板を上昇させる工程との間に、前記底板を前記棒体から離反させる工程を実行させるように前記第2駆動部を作動させることが好ましい。
【0019】
これにより、仮挿し棒の長さに多少のばらつきがある場合であっても、確実にすべての仮挿し棒をガイド部に対して直交する方向に吊り下げ保持されるように仮挿し棒の吊り下げ状態を姿勢変更させることができる。
【0020】
また、前記底板の上面には前記棒体のすべり止め加工が施されていることが好ましい。
【0021】
これにより、底板がガイド部から離反する方向に下降する際において、底板の上面に棒体の下端部が当接した状態を確実に維持することができる。すなわち、棒体を鉛直方向に姿勢変更させる際において棒体が振り子状に振動せず、短時間で棒体の整列を完了させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明における棒体整列装置の構成を採用することにより、仮挿し棒を短時間でガイド部に対して直交方向に吊り下げ保持されるよう姿勢変更させることができ、かつ仮挿し棒90を所定の平面位置に位置合わせすることができる。また、整列および位置合わせされた仮挿し棒は根元部分で仮挿し棒挿込機構に受け渡すことができるため、仮挿し棒挿込機構は受け渡された仮挿し棒をそのまま放熱用フィンの積層体に挿入させることができ、短時間で組み立て精度の高い熱交換器の製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態における仮挿し棒整列装置の概略構成を示す正面図である。
図2】第1実施形態における仮挿し棒整列装置の概略構成を示す平面図である。
図3】第1実施形態におけるガイド部の構造を示す分解平面図である。
図4図1に示す仮挿し棒整列装置のガイド部にオペレータが仮挿し棒を挿通させた状態を示す正面図である。
図5図4中のV-V線における断面図である。
図6】仮挿し棒をガイド部に挿通させた状態を示す要部断面図である。
図7図6の第1ガイド板をスライドさせた状態を示す要部断面図である。
図8】仮挿し棒整列装置の底板を上昇させた状態を示す仮挿し棒整列装置の正面図である。
図9図8に続く状態から底板をガイド部から離反する方向に下降させている状態を示す仮挿し棒整列装置の正面図である。
図10】底板を第2高さ位置まで下降させた状態を示す仮挿し棒整列装置の正面図である。
図11】底板を最大限下降させた状態を示す仮挿し棒整列装置の正面図である。
図12図10の状態における図6相当図である。
図13】底板を最大限上昇させてガイド部から仮挿し棒を突出させた状態を示す仮挿し棒整列装置の正面図である。
図14】第2実施形態における仮挿し棒整列装置の概略構成を示す正面図である。
図15】第2実施形態におけるガイド部の構造を示す分解平面図である。
図16図15に示す仮挿し棒整列装置のガイド部にオペレータが仮挿し棒を挿通させた状態を示す仮挿し棒整列装置の正面図である。
図17】仮挿し棒をガイド部に挿通させた状態を示す要部断面図である。
図18図17の一方のガイド板をスライドさせた状態を示す要部断面図である。
図19図18の状態における仮挿し棒整列装置の正面図である。
図20】底板を最大限上昇させてガイド部から仮挿し棒を突出させた状態を示す仮挿し棒整列装置の正面図である。
図21】従来技術におけるスタックピン整列機構の要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかる棒体整列装置について、棒体として放熱用フィンの積層体に挿入させる仮挿し棒90を採用した仮挿し棒整列装置100の実施形態について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、本実施形態における仮挿し棒整列装置100は、第1ガイド板10の上面および下面に第2ガイド板20を積層させたガイド部30、第1ガイド板10を水平方向に往復動させる第1駆動部40、ガイド部30の下方位置に設けられた底板50、底板50を昇降させる第2駆動部60および動作制御部70を具備している。ガイド部30と第1駆動部40、および、底板50と第2駆動部60はそれぞれ一体になっており、本体フレーム80に取り付けられている。
【0026】
図2図3に示すように、第1ガイド板10には仮挿し棒90がそれぞれ挿通可能な大径孔12および大径孔12よりも小径寸法の小径孔14が形成されている。ここでは、小径孔14の径寸法が仮挿し棒90の外径寸法よりもわずかに大径となるように形成されている。また、大径孔12と小径孔14とは互いの平面領域の一部を重複させた状態で形成されており、全体としてダルマ状貫通孔16に形成されている。すなわち本実施形態における第1ガイド板10は、特許請求の範囲でいうところのダルマ状貫通孔ガイド板に相当する。第1ガイド板10には複数個のダルマ状貫通孔16が一定間隔をあけて千鳥配列で配設されている。また、第1ガイド板10の平面中央部分には第1開口部18が形成されている。
【0027】
第2ガイド板20には、第1ガイド板10に形成された大径孔12と同径寸法以上の貫通孔22が一定間隔をあけた千鳥配列で複数個形成されている。すなわち本実施形態における第2ガイド板20は、特許請求の範囲でいうところのガイド板に相当する。また第2ガイド板20の平面中央部分には第2開口部24が形成されている。第2ガイド板20は、第1ガイド板10の上面および下面において、大径孔12の平面位置と貫通孔22の平面位置とを一致させると共に第1開口部18の平面位置と第2開口部24の平面位置とを一致させた状態で積層されている。
【0028】
第1ガイド板10の上面と下面に第2ガイド板20をそれぞれ配設させたガイド部30には、第1開口部18と第2開口部24による上面から下面への貫通部分に第1駆動部40が配設されている。第1駆動部40は第2ガイド板20に取り付けられていて、第1駆動部40の出力軸42には第1ガイド板10が連結されている。第1駆動部40が駆動すると出力軸42の突出量が変化し、第1ガイド板10が上面および下面の第2ガイド板20の間で水平方向(大径孔12と小径孔14の連結方向)に移動する。このように第1駆動部40による出力軸42の伸長・短縮動作によって小径孔14の平面位置を初期位置と貫通孔22の平面領域内における所定位置との間で往復動させることができる。
【0029】
また、ガイド部30には、大径孔12と貫通孔22とによりガイド部30の上面から下面に仮挿し棒90が挿通される仮挿し棒挿通孔32が形成されることになる。このように形成されたガイド部30は第2ガイド板20の長手側端縁部(第1ガイド板10の往復動方向と平行になる端縁部)において本体フレーム80に取り付けられている。
【0030】
ガイド部30の下方位置には上面(ガイド部30の側の面)に滑り止めシート52が取り付けられた底板50が配設されている。底板50には第2駆動部60の出力軸62が連結されており、第2駆動部60が作動することにより出力軸62の突出量が変化して底板50は初期位置(基本高さ位置)からガイド部30に向けて昇降可能になっている。第2駆動部60は本体フレーム80に取り付けられている。先に説明した第1駆動部40と第2駆動部60はいずれも流体シリンダを例示することができ、図示しないパーソナルコンピュータの記憶装置に記憶された動作制御プログラムとCPUに代表される動作制御部70によりそれぞれの動作が制御されている。
【0031】
本実施形態においては、動作制御部70が本体フレーム80と別体になっており、第1駆動部40および第2駆動部60と動作制御部70がワイヤーハーネスWHにより電気的に接続されているが、動作制御部70を本体フレーム80に取り付けることもできる。
【0032】
次に仮挿し棒整列装置100を用いて仮挿し棒90をガイド部30に対して直交方向に吊り下げ保持された状態に整列させる方法について説明する。図示しないオペレータがガイド部30に形成された仮挿し棒挿通孔32の上面側から仮挿し棒90を挿通させる。仮挿し棒90は上端部(根元部分)がフランジ部92に形成されていると共に下端部94(先端部分)の所要範囲を先細部に形成することもできる。フランジ部92と下端部94の所要範囲を除いた仮挿し棒90の主要部分は同一径寸法に形成されている。
【0033】
仮挿し棒挿通孔32の径寸法は、仮挿し棒90の主要部分の外径寸法よりも大径寸法かつフランジ部92よりも小径寸法に形成されているので、短時間で全ての仮挿し棒挿通孔32に仮挿し棒90を挿通させることができる。仮挿し棒挿通孔32に挿通された仮挿し棒90はフランジ部92がストッパになるため、仮挿し棒90がガイド部30から抜け落ちることはない。仮挿し棒90を挿通させた状態の仮挿し棒整列装置100の正面図、平面断面図およびガイド部30における要部断面図を図4図5および図6に示す。
【0034】
先述のとおり仮挿し棒挿通孔32は仮挿し棒90の主要部分の径寸法よりも大径寸法に形成されているので、仮挿し棒90はガイド部30に対して傾斜した状態で吊り下げられている。オペレータが図示しない作動ボタンを操作すると、図7に示すように、動作制御部70が第1駆動部40を作動させて小径孔14を貫通孔22の平面領域内に進入させるように、2枚の第2ガイド板20の間で第1ガイド板10を水平方向に移動させる。小径孔14は仮挿し棒90の主要部分の外径寸法よりもわずかに大きい寸法に形成されているので、大径孔12(貫通孔22)の平面位置に向けて小径孔14が移動してくる際には小径孔14の内周縁によって仮挿し棒90が押し出される。これにより第1ガイド板10と共に仮挿し棒90が水平方向に移動してくることになる。なお、小径孔14の径寸法は、仮挿し棒90の主要部分における外径寸法と同一寸法に形成することもできる。
【0035】
動作制御部70は、第1ガイド板10の小径孔14により押し出された仮挿し棒90の外周面が貫通孔22の内周面に当接する位置(小径孔14の平面位置が貫通孔22の平面領域内における所定位置)に到達すると、第1駆動部40の動作を一時停止させる。これにより、仮挿し棒90は仮挿し棒挿通孔32において目標とする平面位置で水平方向の移動が拘束されることになるが、ガイド部30に対して非直交方向(ガイド部30に対して斜めの方向)に吊り下げられている仮挿し棒90も残っている。
【0036】
このような仮挿し棒90の傾斜吊り下げ状態を解消させるため動作制御部70は、第1駆動部40の動作を一時停止させた後、第2駆動部60を作動させ、底板50がすべての仮挿し棒90の下端部94に当接する位置まで上昇させる。具体的には、ガイド部30に対して直交方向に取り下げ保持された状態の仮挿し棒90の下端部94の高さ位置よりもガイド部30の側である所定高さ位置まで底板50が上昇する。底板50が上記所定高さ位置(第1高さ位置)に到達すると、図8に示すように底板50の滑り止めシート52は仮挿し棒90の下端部94に当接した状態になる。次に動作制御部70は、図9に示すように、滑り止めシート52と仮挿し棒90の下端部94との当接状態を維持させながら底板50をガイド部30から離反(Z方向に下降)させるように第2駆動部60を作動させる。
【0037】
このとき第2駆動部60による底板50の下降速度は、図9の破線で示した状態の仮挿し棒90に対する底板50による支持状態を解除した際に、ガイド部30による拘束部分を頂点として仮挿し棒90が自重によって振り子状にX方向に移動する(仮挿し棒90が実線で示すようなガイド部30に対して直交方向に吊り下げ保持された状態になろうとする)際における移動速度の鉛直方向成分速度以下にすることが好ましい。このとき動作制御部70は、図10に示すように、底板50の上面高さ位置がガイド部30に直交する方向に吊り下げ保持された状態における仮挿し棒90の下端部94の高さ位置(第2高さ位置)になるまで第2駆動部60を上記の下降速度で作動させる。
【0038】
底板50の上面高さ位置が、第2高さ位置になると、仮挿し棒90はガイド部30に対して直交方向(鉛直方向)に吊り下げられた状態にすることができる。次に動作制御部70は、第2駆動部60をさらに作動させて、図11に示すように、仮挿し棒90の下端部94から底板50を離反させる高さ位置(第3高さ位置:最大限下降させた位置)に底板50を移動させる。このようにすることで、仮挿し棒90の下端部94と底板50との摩擦を解除し、仮挿し棒90を図12に示すようにガイド部30に対して直交方向に吊り下げ保持させることができる。
【0039】
次に動作制御部70は、図13に示すように再び底板50をガイド部30の側に上昇させて、底板50の上面の滑り止めシート52を仮挿し棒90の下端部94に当接させると共に仮挿し棒90の根元部分であるフランジ部92をガイド部30の上面から所定高さ突出させる。このように仮挿し棒90の下端部94から一旦離反させた底板50を再び下端部94に当接させてガイド部30に向けて上昇させることで、ガイド部30に対して直交する方向に吊り下げられた状態を維持させながらガイド部30の上面からフランジ部92を突出させることができる。
【0040】
このようにして平面位置が位置決めされていると共に、ガイド部30に対して直交方向(鉛直方向)に吊り下げ保持させた仮挿し棒90のフランジ部92をガイド部30の上面から突出させることで、図示しない仮挿し棒挿込機構としてのハンドは確実に仮挿し棒90を受け取ることができる。図示しない積層された放熱用フィンの透孔の位置に位置合わせされ、かつ、透孔の積層方向と平行となるように姿勢が整えられた仮挿し棒90を受け取ったハンドは、積層された放熱用フィンの透孔に仮挿し棒90を容易かつ確実に挿入することができる。
【0041】
(第2実施形態)
本実施形態においては、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態で使用した符号と同一の符号を用いることによりここでの詳細な説明を省略している。図14図15に示されているように、本実施形態における仮挿し棒整列装置100は、ガイド部30、第1駆動部40、底板50、第2駆動部60および動作制御部70が本体フレーム80に取り付けられている。本実施形態におけるガイド部30は第1実施形態における第2ガイド板20を2枚積み重ねることによりなる点が特徴的である。
【0042】
本実施形態における第2ガイド板20(特許請求の範囲でいうところのガイド板に相当)に配設された貫通孔22は、仮挿し棒90の主要部における外径寸法より大径寸法であって、フランジ部92の径寸法(幅寸法)よりも小径寸法である円形に形成されている。本実施形態におけるガイド部30は、2枚の第2ガイド板20を、貫通孔22の平面位置を位置合わせして(一致させるようにして)板厚方向に積み重ね、互いの相対平面位置をスライド移動可能に設けられている。第2ガイド板20を当接面内において相対的に移動させるための動力は、第1実施形態と同様に第1駆動部40により得ている。第1駆動部40の出力軸42は少なくとも一方の第2ガイド板20に連結されている。
【0043】
本実施形態における仮挿し棒整列装置100のガイド部30の貫通孔22(第1実施形態における仮挿し棒挿通孔32に相当)に、オペレータが仮挿し棒90を挿通させた状態を示す正面図を図16に示す。また、ガイド部30の貫通孔22に仮挿し棒90を挿通させた状態における要部断面図を図17に示す。ガイド部30の貫通孔22に仮挿し棒90を挿通させると、フランジ部92がストッパとなり、ガイド部30に仮挿し棒90が吊り下げ保持された状態になる。このとき、第1実施形態と同様に、仮挿し棒90のガイド部30に対する平面位置は大まかには位置合わせされているものの、平面位置が精密に位置決めされた状態ではない。そこで、動作制御部70が第1駆動部40の動作を制御することで、仮挿し棒90のガイド部30に対する平面位置を精密に位置決めする処理が行われる。
【0044】
本実施形態においては、動作制御部70が第2ガイド板20の一方または両方を第2ガイド板20の当接面内でスライド移動させるように第1駆動部40を作動させる。本実施形態における第1駆動部40の出力軸42は、図17に示すように下側の第2ガイド板20をスライド移動させている。動作制御部70は、上側の第2ガイド板20の貫通孔22の内周縁と下側の第2ガイド板20の貫通孔22の内周縁によって仮挿し棒90の主要部の外周面を挟持する位置になるまで第1駆動部40によって下側の第2ガイド板20をスライド移動させる。
【0045】
なお、第1駆動部40に図示しない出力信号検出部および出力軸42の突出量検出部を配設し、それぞれ検出した出力信号および突出量信号を動作制御部70に送信可能にしておくこともできる。これにより、動作制御部70は、第1駆動部40から所定以上の出力信号を検出しても出力軸42の突出量が増加しない場合には、仮挿し棒90が2枚の第2ガイド板20の貫通孔22の内周縁によって挟持された状態に達したと判断することができる。これにより、ガイド部30、第1駆動部40および仮挿し棒90の破損の無いように第1駆動部40の動作制御をすることができる。
【0046】
2枚の第2ガイド板20の貫通孔22の内周縁により仮挿し棒90の外周面が挟持され、ガイド部30に対する仮挿し棒90の吊り下げ平面位置が位置決めされた状態の要部断面図を図18に示す。また、この状態における仮挿し棒整列装置100の正面図を図19に示す。2枚の第2ガイド板20の貫通孔22の内周縁により仮挿し棒90の外周面を挟持することで、仮挿し棒90はガイド部30に対して平面位置が精密に位置決めされる。しかしながら一部の仮挿し棒90は、ガイド部30に対して非直交方向に保持されているものがある。
【0047】
そこで動作制御部70は、第1実施形態と同様に第2駆動部60の動作制御により底板50を昇降させることで、全ての仮挿し棒90をガイド部30に対して直交方向に吊り下げ保持された状態にする。なお、本実施形態における動作制御部70による第2駆動部60(底板50の昇降動作)の動作制御は第1実施形態と同様にして行うことができる(図8図11参照)ため、ここでの詳細な説明は省略する。動作制御部70は、上述の第2駆動部60の動作制御によりすべての仮挿し棒90をガイド部30に対して直交方向に吊り下げ保持させた後、図20に示すように、さらに第2駆動部60により底板50を上昇させることで、ガイド部30の上面からフランジ部92を所定高さ突出させた状態にする。これにより図示しない仮挿し棒挿込機構としてのハンドに仮挿し棒90を確実に受け取らせることができる。
【0048】
ハンドに受けられた仮挿し棒90は、図示しない積層された放熱用フィンの透孔の位置に位置合わせされ、かつ、透孔の積層方向と平行となるように姿勢が整えられているため、積層された放熱用フィンの透孔に仮挿し棒90を容易かつ確実に挿入することができる。
【0049】
以上に、本発明にかかる棒体整列装置について、棒体として仮挿し棒90を採用した実施形態である仮挿し棒整列装置100に基づいて説明したが、本発明にかかる棒体整列装置は以上の実施形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば第1本実施形態における仮挿し棒整列装置100は、第1ガイド板10の上面と下面に第2ガイド板20を積み重ねた合計3枚構造のガイド部30の形態について説明しているが、第2実施形態のように2枚構造のガイド部30にすることもできる。この場合、第1ガイド板10と第2ガイド板20はそれぞれ一枚ずつ用いられる。また、ガイド部30を第1ガイド板10と第2ガイド板20による4枚以上構造にすることもでき、積み重ね方向における第1ガイド板10および第2ガイド板20の配設位置も特に限定されるものではない。同様に、第2実施形態におけるガイド部30は、3枚以上の第2ガイド板20を板厚方向に積み重ねた形態を採用することもできる。
【0051】
上述にあるとおり、本発明におけるガイド部30は、ガイド板(第1ガイド板10および/または第2ガイド板20)がそれぞれに形成された貫通孔(大径孔12および貫通孔22)の平面位置を位置合わせした状態で板厚方向に複数枚積み重ねられた構成であればよい。
【0052】
また、第1実施形態においては、ガイド部30の第1ガイド板10を水平面内でスライド移動させることで第1ガイド板10と第2ガイド板20との相対位置を変更させる形態について説明しているがこの形態に限定されるものではない。ガイド部30を構成する第1ガイド板10と第2ガイド板20のうちの少なくともいずれか一枚を水平方向に移動させることにより、ガイド部30を構成する第1ガイド板10と第2ガイド板20の相対位置を変更させる形態を採用することもできる。複数枚のガイド板を水平方向にスライド移動させる際には、上下に隣接するガイド板の移動方向が逆方向(反対方向)になるようにすることが好ましい。
【0053】
また、第1実施形態および第2実施形態においては、いずれもガイド部30の仮挿し棒挿通孔32に仮挿し棒90を挿通させ、動作制御部70が第1ガイド板10による平面位置の位置決め処理を行った後に、底板50を上昇させて仮挿し棒90の下端部94に当接させているが、この動作に限定されるものではない。動作制御部70は底板50の上面の初期(ガイド部30に仮挿し棒90を挿通させる前の)高さ位置が、ガイド部30に対して直交方向に吊り下げ保持された仮挿し棒90の下端部94の高さ位置よりもガイド部30の側の所定高さ位置となるように第2駆動部60の動作を制御するようにしてもよい。
【0054】
また、底板50の上面の初期高さ位置を上述の高さ位置となるように本体フレーム80に対する第2駆動部60の取り付け位置を調整することもできる。
【0055】
また、第1実施形態および第2実施形態においては、いずれも第1開口部18と第2開口部24によるガイド部30の上面から下面への貫通部分に第1駆動部40を配設しているが、第1駆動部40はガイド部30の上面または下面のいずれかに配設することもできる。この場合、第1駆動部40が配設された側の第2ガイド板20に第1駆動部40の出力軸42を挿通させるための図示しない出力軸挿通孔を第1ガイド板10の往復動方向に長い長孔で形成すればよい。さらに第1駆動部40をガイド部30の平面領域外に配設することもできる。
【0056】
第1駆動部40をガイド部30の平面領域外に配設する際には、図2図3等に示すようにスライド移動させるガイド板(ここでは第1ガイド板10)のスライド方向における端部を他のガイド板(ここでは第2ガイド板20)の端部からスライド移動させる方向にはみ出した状態で積み重ねた形態や、スライド方向に長くなるように形成した形態を採用することもできる。これにより、第1駆動部40の出力軸42とスライド移動させる第1ガイド板10または第2ガイド板20との連結が容易になる。
【0057】
また、第2実施形態においては、2枚の第2ガイド板20に形成されている貫通孔22が同一径寸法の同一形状に形成されている形態について説明しているがこの形態に限定されるものではない。寸法および形状のうちの少なくとも一方が異なる貫通孔22が形成された第2ガイド板20を用いることもできる。
【0058】
また、本実施形態における底板50の上面には滑り止め加工として滑り止めシート52が取り付けられているが、この形態に限定されるものではない。底板50の上面を粗面処理に代表される凹凸加工を施すことで滑り止め加工としてもよい。
【0059】
また、以上に説明した実施形態と各種変形例どうしを適宜組み合わせた構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 第1ガイド板,12 大径孔,14 小径孔,16 ダルマ状貫通孔,
18 第1開口部,
20 第2ガイド板,22 貫通孔,24 第2開口部,
30 ガイド部,32 仮挿し棒挿通孔,
40 第1駆動部,42 出力軸,
50 底板,52 滑り止めシート,
60 第2駆動部,62 出力軸,
70 動作制御部,
80 本体フレーム,
90 仮挿し棒,92 フランジ部,94 下端部,
100 仮挿し棒整列装置,
WH ワイヤーハーネス
図1
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