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特許7418044把持ユニット、把持システム、及び把持方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】把持ユニット、把持システム、及び把持方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B25J15/08 S
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022201658
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2023-03-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和4年3月28日に、ベルサール飯田橋ファーストにて公開(2)令和4年2月24日に、マックスバリュ東海 長泉流通センターにて公開(3)令和4年1月19日に、https://connected-robotics.com/2022/01/19/hcj2022/にて公開(4)令和4年1月19日に、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000031342.htmlにて公開(5)令和4年2月15日に、国際ホテル・レストラン・ショー2022にて公開(6)令和4年2月15日に、テレビ東京 ワールドビジネスサテライトにて公開(7)令和4年2月28日に、https://robotstart.info/2022/02/28/moriyama_mikata-no146.htmlにて公開(8)令和4年3月15日に、ポテカル(POTATO CULTURE),2022年4月号(No.140)にて公開(9)令和4年3月22日に、https://www.youtube.com/watch?v=n2qFYK0DN4Mにて公開(10)令和4年6月7日に、FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)にて公開(11)令和4年4月25日に、https://www.nb-shinbun.co.jp/challenge/64/にて公開(12)令和4年5月11日に、日本放送協会 おはBizにて公開(13)令和4年5月25日に、日本物流新聞 令和4年5月25日付刊行にて公開(14)令和4年6月8日に、日刊工業新聞 令和4年6月8日付刊行にて公開(15)令和4年6月9日に、https://www.businessinsider.jp/post-255224にて公開(16)令和4年6月11日に、株式会社TBSテレビ 情報7DAYSにて公開(17)令和4年7月4日に、https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/070101076/にて公開(18)令和4年7月8日に、https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00004/00073/にて公開(19)令和4年7月10日に、日経Robotics2022年8月号(第85号),第14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518106124
【氏名又は名称】コネクテッドロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】塚本 光一
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キルス
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107187884(CN,A)
【文献】特開2018-176368(JP,A)
【文献】特開2022-179118(JP,A)
【文献】特開昭61-241032(JP,A)
【文献】特開2014-188633(JP,A)
【文献】特開2015-003374(JP,A)
【文献】特開2018-079550(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0133862(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/00 - 15/12
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器形状を構成する構成部と、開口部とを有する複数の把持部材であって、前記開口部同士が近付くことで前記構成部同士によって囲まれた把持空間を形成し、該把持空間で対象物を把持する複数の把持部材と
記複数の把持部材それぞれの開口部を覆って前記把持空間の形成を補助することで、前記把持空間の形状を前記構成部の隅に前記対象物が隣接することを抑制する形状とする補助部材と、
を備え
前記補助部材は、前記複数の把持部材それぞれに装着された、前記複数の把持部材を覆う袋状のカバー部材である、
ことを特徴とする把持ユニット。
【請求項2】
前記カバー部材は、
前記把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された係合部と、
前記係合部に形成され、把持部材側係止部に係止されるカバー部材側係止部と、
を備え、
前記カバー部材側係止部は、前記把持部材の前記先端側とは反対側に形成された前記把持部材側係止部に係止される、
ことを特徴とする請求項に記載の把持ユニット。
【請求項3】
容器形状を構成する構成部と、開口部とを有する複数の把持部材であって、前記開口部同士が近付くことで前記構成部同士が当接することにより、前記複数の把持部材の構成部によって囲まれた閉じた把持空間を形成し、該閉じた把持空間内の対象物を把持する複数の把持部材と、
少なくとも前記複数の把持部材それぞれの開口部を覆って前記把持空間の形成を補助することで、前記把持空間の形状を前記構成部の隅に前記対象物が隣接することを抑制する形状とする補助部材と、
を備え
前記複数の把持部材は、前記対象物として粘着性を有する練りサラダを把持することを特徴とする把持ユニット。
【請求項4】
前記補助部材を前記複数の把持部材それぞれに係止させることで、前記補助部材が少なくとも前記複数の把持部材それぞれの開口部を覆った状態を維持する係止部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の把持ユニット。
【請求項5】
前記補助部材は、柔軟性を有するシート状の素材により形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の把持ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の把持ユニットと、
前記把持ユニットに含まれる前記複数の把持部材それぞれの移動を制御することで、前記把持ユニットに前記対象物の把持及び解放を実行させる制御手段と、
を備えることを特徴とする把持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持ユニット、把持システム、及び把持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、把持機能を備えたロボットにより、様々な作業が行われている。例えば、弁当の盛り付け作業をロボットが行う場合、バット等の容器に蓄えられた具材をロボットが所定量把持し、弁当容器の定められた領域に移送して解放(リリース)することで盛り付け作業が実現される。
このような、盛り付けを行うロボットに関する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-30407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、対象物を把持する把持部材の形状によっては、把持を適切に行えない場合があった。例えば、容器形状の把持部材を複数用い、互いの開口部を近づけることで把持空間を形成し、この把持空間により対象物を把持するような場合である。
この場合、把持空間を形成する容器形状内面の隅部分に対象物が付着してしまい、この付着した対象物が解放されない状態となる、という問題が生じ得る。そして、このような想定外の付着が発生すると、規定量だけ対象物を把持して、把持した規定量の対象物を解放するといった一連の作業を適切に行うことが困難となる。特に、ポテトサラダのように粘性あるいは粘着性といった、付着する性質が強いものが対象物の場合には、この問題が顕著となる。
【0005】
そして、このような課題は、対象物が食材である場合に限られるものではない。例えば、練ったモルタルやコンクリートを対象物とする工業分野等の、ロボットによって把持を行う様々な分野全般に共通するものである。
すなわち、従来の技術では、ロボットによって適切に対象物を把持するために、未だ改善の余地があった。
【0006】
本発明の課題は、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る把持ユニットは、
容器形状を構成する構成部と、開口部とを有する複数の把持部材であって、前記開口部同士が近付くことで前記構成部同士によって囲まれた把持空間を形成し、該把持空間で対象物を把持する複数の把持部材と、
前記把持空間の形成を補助することで、前記把持空間の形状を前記構成部の隅に前記対象物が隣接することを抑制する形状とする補助部材と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る把持システム1が複数並べられた状態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る把持システム1の主要部を拡大した斜視図である。
図3】ハンド31の先端に設置される把持部材31Aの形状例を示す模式図である。
図4】把持部材31Aの脱着機構31a及び駆動部31Bの脱着機構31bの部分拡大図である。
図5】ハンド31に装着されるカバー100の展開状態を示す模式図である。
図6】展開状態のカバー100から袋状の構造を作成する手順を示す模式図である。
図7】展開状態のカバー100から袋状の構造を作成する手順を示す模式図である。
図8】カバー100を袋状に加工した状態を示す模式図である。
図9】袋状に加工されたカバー100を把持部材31Aに装着する工程を示す模式図である。
図10】カバー100が装着された状態の把持部材31Aを示す模式図である。
図11】ハンド31による把持動作の一例を示す模式図である。
図12】本実施形態の把持動作における一連の動作を示す模式図である。
図13】本実施形態の把持動作における一連の動作を示す模式図である。
図14】本実施形態の把持動作における一連の動作を示す模式図である。
図15】従来技術を用いた場合の、把持動作における一連の動作を示す模式図である。
図16】従来技術を用いた場合の、把持動作における一連の動作を示す模式図である。
図17】係止部101a~104aを押さえ込むことで把持部材31Aにカバー100が装着される構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[実施形態]
[構成]
図1及び図2は、本発明に係る把持システム1全体の構成を示す模式図であり、図1は、把持システム1が複数並べられた状態を示す斜視図、図2は、把持システム1の主要部を拡大した斜視図である。
本実施形態における把持システム1は、把持の対象物を取り分ける把持システムに本発明を適用することを想定したものである。以下の説明においては、把持システム1が、対象物として弁当に盛り付けられる総菜等の具材を把持し、この具材を弁当の容器に取り分ける場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、盛り付けられる具材の量として、重量を例に挙げて説明するが、本発明は、重量以外であっても、体積、かさ、質量等、各種呼称の物理量を対象に適用することが可能である。
【0011】
図1及び図2に示すように、把持システム1は、具材収容部10と、容器供給部20と、多関節ロボット30と、制御装置40と、遮蔽部50と、を備えている。なお、把持システム1に隣接して、弁当の容器を自動的に運搬するベルトコンベア2が設置されている。
【0012】
具材収容部10は、把持システム1において取り分けられる総菜等の具材を収容する収容空間10Aを備えている。この収容空間10Aは、例えば、具材収容部10自体により形成されてもよいし、具材収容部10に設置可能な大型のバットやトレー等の汎用の容器により形成されてもよい。そして、この収容空間10Aには、例えば、ポテトサラダ等の練りサラダのように粘性あるいは粘着性を有する具材を含む総菜が収容される。本実施形態において、具材収容部10には、1種類の具材が複数食分(例えば、数十~数百食分)収容されているものとする。そして、複数の把持システム1がそれぞれ異なる具材を1つの弁当の容器に盛り付けることで、弁当の盛り付け作業を完了させることができる。具材収容部10の収容空間10Aは、作業者が手作業によって、又は、多関節ロボット30が自動的に交換することが可能である。
【0013】
容器供給部20は、把持システム1において、具材が盛り付けられる所定位置(図2中の盛り付け位置P1)に弁当の容器を供給する。容器供給部20には、弁当の容器が複数収容されており、把持システム1が動作を開始すると、容器を1つずつ盛り付け位置P1に供給する。また、盛り付け位置P1には、弁当の容器の重量を計測する重量センサ21が設置されており、盛り付け位置P1において具材が盛り付けられると、盛り付けられた具材の重量(すなわち、盛り付けによって増加した重量)を計測する。このとき計測された重量のデータは、制御装置40に出力される。そして、重量の計測が終了すると、容器供給部20に備えられた押し出し機構によって、弁当の容器がベルトコンベア2に搬出される。
【0014】
多関節ロボット30は、例えば、水平多関節ロボットあるいは垂直多関節ロボット等によって構成され、盛り付けられる具材を把持可能なハンド31と、可動範囲において任意の位置にハンド31を移動させるロボットアーム32と、を備えている。
また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が把持部材31Aにより把持した具材の物理量を取得する手段の一例として、把持した具材の重量を計測する重量センサ30Aが設置されている。また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が具材に接触したことを検出する手段の一例として、接触した具材からの反力(表面に接触されることで得られる力覚を含む)を計測する力センサ30Bが設置されている。重量センサ30Aによって計測された具材の重量(すなわち、把持された具材の重量)のデータや、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータは、制御装置40に出力される。
【0015】
更に、ハンド31を保持する関節は、ロボットアーム32に対してハンド31を捻り方向に回転させる軸を備えている。そのため、ハンド31が具材を把持する際に、ハンド31の向きを変化させることで、ハンド31が開閉する方向を調整することができる。これにより、ハンド31が容器の内壁面近傍に達した際に、収容空間10Aの内壁面と平行な方向にハンド31が開閉するようにハンド31の向きを変更することが可能となり、容器内壁面近傍の具材を把持し易くなる。
【0016】
図3は、対象物を把持する把持部材31Aの形状例を示す模式図である。
また、図4は、把持部材31Aの脱着機構31a、及び駆動部31Bの脱着機構31bの部分拡大図である。
ここで、駆動部31Bは、把持部材31Aに開閉動作を行わせるアクチェータ(例えば、サーボモータ)を備えた駆動機構である。
この駆動部31Bは、ロボットアーム32の先端に設置される。また、把持部材31Aは、脱着機構31a及び脱着機構31bにより、この駆動部31Bに連結される。そして、この把持部材31A及び駆動部31Bにより、ハンド31が構成される。
なお、図3図4においては、一対で用いられる把持部材31Aの一方のみと、これと対応する一対の脱着機構31a一対のみ及び一対の脱着機構31bの一方のみが示されている。
【0017】
図3に示すように、本実施形態においては、先端が平坦な板状部材(すなわち、先端が直線状の縁部を有する平板)の左右に側板を備えると共に、この板状部材及び左右の側板の上面に天板を備えた形状の把持部材31Aが用いられている。したがって、図3に示す把持部材31Aの形状においては、駆動部31Bが一対の把持部材31Aを閉じた場合に、把持部材31A同士が当接することにより、上部、下部及び側部が閉じた容器形状の構造となる。
すなわち、一対の把持部材31Aは、容器形状を構成する構成部(ここでは、板状部材、左右の側板、及び天板)と、開口部(ここでは、板状部材、左右の側板、及び天板それぞれの、外面に露出した縁部からなる開口面)とを有する一対の把持部材である。そして、これら一対の把持部材31Aは、開口部同士が近付くことで構成部同士によって囲まれた把持空間を形成し、この把持空間で対象物(ここでは、具材)を把持する。また、これら一対の把持部材31Aは、対象物を把持した状態から互いに遠ざかることで、把持空間で把持した対象物を解放する。
【0018】
このような把持部材31Aの形状の場合、練りサラダ等の具材に対して、把持部材31Aの先端を表面から垂直に差し込み、所定の深さで一対の把持部材31Aを閉じて具材を持ち上げることで、ほぼ一定量の具材を把持して収容空間10Aから取り出すことが可能となる。また、この把持により取り出した具材を、盛り付け位置P1の弁当の容器に解放することで、ほぼ一定量の具材を盛り付けることができる。
また、把持部材31Aの天板の外面には、駆動部31Bの脱着機構31bと連結されるための脱着機構31aが設置されている。
【0019】
図4に示すように、駆動部31Bの脱着機構31bは、所定間隔で並べて設置された2本のロッド311b,312bと、把持方向及び解放方向に移動可能なベース部材313bと、を備えている。
なお、ロッド311b,312bが挿通されて駆動部31Bのベース部材313bに保持された把持部材31Aは、駆動部31Bが備える不図示のアクチュエータによって、一対の把持部材31Aが閉じる方向である把持方向(図4中の+x方向)、及び一対の把持部材31Aが開く方向である解放方向(図4中の-x方向)に移動される。
【0020】
図3及び図4に示すように、把持部材31Aの脱着機構31aは、ロッド311b,312bの間隔に合わせて設置された2つの挿通穴311a,312aを有するベース部材313aと、挿通穴311a,312aそれぞれの内部における奥側の端部(ロッド311b,312bが挿入される側とは逆の端部)に固定された磁石314a,315aと、カバー100が係合される突起部316aと、突起部316aが設置される台座部317aと、突起部316aに挿通され、磁力によって台座部317aに吸着するストッパ318aと、を備えている。台座部317aは、成形された樹脂等によって構成され、内部には、金属板又は磁石等、ストッパ318aの磁石に吸着する部材が備えられている。本実施形態において、ストッパ318aは、成形された樹脂等によって構成され、内部には、両端の位置に磁石がそれぞれ備えられている。なお、ストッパ318aのいずれかの部位には、金属製の部材が使用されている。そのため、万一、ストッパ318aが食材等の中に落下した場合であっても、出荷前に行われる金属探知機による検査で発見することが可能である。
【0021】
本実施形態において把持部材31Aが駆動部31Bに連結される場合、駆動部31Bの脱着機構31bに設置されたロッド311b,312bが、把持部材31Aの脱着機構31aにおける挿通穴311a,312aにそれぞれ挿通され、ロッド311b,312bの先端が挿通穴311a,312a内で磁石314a,315aに磁力で吸着される。このような連結構造においては、把持部材31Aに対して、図4中のx方向(把持方向及び解放方向)及びz方向(高さ方向)に力が作用する場合、ロッド311b,312bと挿通穴311a,312aとの嵌め合い構造によって保持力が発揮される。また、把持部材31Aに対して、図4中のy方向(水平面において把持方向及び解放方向と直交する方向)に力が作用する場合、+y方向については、ロッド311b,312bと磁石314a,315aとの当接力によって保持力が発揮されると共に、-y方向については、ロッド311b,312bと磁石314a,315aとの磁力による吸着力によって保持力が発揮される。
【0022】
食品の取り分け作業等においては、カバー100を交換するために把持部材31Aを高い頻度で脱着する必要がある。本実施形態における把持部材31Aと駆動部31Bとの連結機構は、ロッド311b,312bの挿通穴311a,312aに対する挿通と、磁石314a,315a(永久磁石)によるロッド311b,312bの吸着作用で実現される構造となっている。本実施形態における取り分け作業においては、脱着機構31a,31bにおけるロッド311b,312bの挿通方向に把持部材31Aを移動させない。そのため、ロッド311b,312bの挿通穴311a,312aに対する挿通と、磁石314a,315a(永久磁石)によるロッド311b,312bの吸着作用で、作業で必要となる充分な保持力を実現することができる。また、このような連結構造により、駆動部31Bに対する把持部材31Aの脱着が容易となるので、作業者による、カバー100の交換作業を簡便に行うことが可能となる。
【0023】
また、本実施形態における把持部材31Aには、強化ポリスチレン、ポリ塩化ビニール等の樹脂からなる柔軟性を有するカバー100が装着される。カバー100は、食品等を取り扱う場合に、衛生の観点から把持部材31A全体を覆うように装着され、食品等の把持対象物に把持部材31Aが接触することを防止するものである。
【0024】
図5は、ハンド31に装着されるカバー100の展開状態を示す模式図である。また、図6及び図7は、展開状態のカバー100から袋状の構造を作成する手順を示す模式図である。また、図8は、カバー100を袋状に加工した状態を示す模式図である。また、図9は、袋状に加工されたカバー100を把持部材31Aに装着する工程を示す模式図である。また、図10は、カバー100が装着された状態の把持部材31Aを示す模式図である。
【0025】
図5に示すように、カバー100は、切断刃による切断あるいは金型による打ち抜き等の加工によって、設計された形状をシート状の樹脂材料から切り出して作成される。図5に示す例では、切り出されたカバー100の上辺に4つの係合部101~104と、把持部材31Aの突起部316a(後述)に挿通される係止部である係止穴105~108と、ロッド311b,312bに挿通されるロッド挿入用穴109,110とが形成されている。この切り出された形状は、展開状態となっていることから、図6に示すように、展開状態のカバー100を線X-X’で折り返し、点Aと点A’、点Bと点B’、点Cと点C’とを重ね合わせる。そして、重ね合わせられたカバー100の上層と下層において、辺Dの部分を熱圧着により接合する。これにより、シート状であったカバー100が筒状となる。更に、図7に示すように、接合された辺Dを正面中央に位置させるように筒状のカバー100の折り目位置を切り換えて、上層と下層の底辺Eが一致するように位置を合わせる。次いで、重ね合わせられた筒状のカバー100における上層及び下層の底辺Eを熱圧着により接合する。
【0026】
この結果、図8に示すように、底辺Eが把持部材31Aの先端の形状に対応し、4つの係合部101~104が開口部側に設置された袋状のカバー100が作成される。なお、以下、カバー100の袋状部分を適宜「カバー本体100A」と称する。
また、図9に示すように、袋状とされたカバー100内(すなわち、カバー本体100A内)に把持部材31Aを挿入し、係合部101~104を突起部316aに係合することにより、図10に示すように、カバー100がハンド31に装着される。このとき、係合部101~104を1つの突起部316aに係合させることでカバー100を取り付けることができる。そのため、カバー100を取り付ける際の取り付け方にばらつきが生じることが抑制され、カバー100を交換した際に安定した取付状態とすることが容易となる。なお、係合部101~104を突起部316aに係合した後、突起部316aにはストッパ318aが装着され、ストッパ318aの磁力により、係合部101~104が固定される。
本実施形態では、上述した連結構造に加えて、ストッパ318aを脱着するという簡易な構成を用いていることから、駆動部31Bに対する把持部材31Aの脱着が更に容易となるので、作業者による、カバー100の交換作業を簡便に行うことが可能となる。
【0027】
なお、カバー100は、対向する一対の把持部材31Aを備えることから、それぞれの把持部材31Aに対応する形状とすることができ、例えば、鏡像関係にある2つの把持部材31Aを備える場合には、シート状の樹脂材料から切り出す際に、鏡像関係にある2つの形状を切り出すか、あるいは、同一の形状で切り出した後に表裏を逆に使用することにより、それぞれの把持部材31Aに適合する形状のカバー100を作成することができる。
【0028】
図1及び図2に戻り、制御装置40は、PC(Personal Computer)又はプログラマブルコントローラ等の情報処理装置によって構成され、各種プログラムを実行することにより、把持システム1全体を制御する制御部として機能する。例えば、制御装置40は、容器供給部20が容器を供給する動作、及び多関節ロボット30が具材収容部10から具材を把持して盛り付ける動作等を制御する。より詳細には、例えば、制御装置40は、ロボットアーム32の駆動を制御することで、ハンド31を予め設定された所定位置に所定ルート及び所定速度で移動させる動作や、駆動部31Bのアクチェータの駆動を制御することで、把持部材31Aによる具材の把持や解放をする動作を実現する。
【0029】
遮蔽部50は、把持システム1において、具材収容部10、容器供給部20及び多関節ロボット30が設置された領域の周囲及び情報を囲う板状部材によって構成されている。遮蔽部50を構成する板状部材は、ガラス又は樹脂等の透明な材料によって構成され、外部から把持システム1の稼動状況を視認することが可能となっている。また、遮蔽部50が構成する側壁の一部には、開閉可能な扉が設置されている。具材収容部10の収容空間10Aの交換、容器供給部20への容器の追加あるいは把持システム1のメンテナンス等が行われる場合、作業者は遮蔽部50の扉を開けて各種作業を行うことができる。
【0030】
[具材の具体的な把持方法]
上述したように、制御装置40は、多関節ロボット30による具材の把持やこれに伴う具材の解放といった一連の把持動作を制御する。そのために、制御装置40は、多関節ロボット30の関節に設置された重量センサ30Aによって計測された具材の重量のデータや、容器供給部20の重量センサ21によって計測された具材の重量のデータを取得する。これにより、制御装置40は、ハンド31が現在把持している具材の重量が規定量であるか否かということや、容器に取り分けられた具材の重量が規定量であるか否かということを認識することができる。
また、制御装置40は、多関節ロボット30の関節に設置された力センサ30Bによって計測された具材からの反力のデータを取得する。これにより、制御装置40は、収容空間10A内の具材の表面の位置や具材の深さ(収容空間10A内の具材表面から収容空間10A底面までの深さ)、表面の平坦度合(表面がどの程度荒れているか)といった具材の状態を認識することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る把持システム1においては、具材及び使用される把持部材31Aの種類に応じて、把持部材31Aを具材に差し込む深さ(差し込み量)と、そのときに把持される具材の重量との関係が、予め把握されている。例えば、把持される具材の密度(単位深さあたりの重量を表すパラメータ)を予め計測しておき、具材の密度と把持部材31Aを差し込む深さとの乗算値を要素とする関数によって、把持される重量を算出(推定)することができる。
そのため、制御装置40は、簡単な演算によって、把持される具材の重量を推定することができる。なお、制御装置40は、このような演算を都度行うのではなく、このような演算により算出される重量を予めテーブル形式のデータとして保持しておくことで推定を行うこともできる。そして、この推定により、制御装置40は、具材を規定量だけ精度高く把持できるよう、ハンド31を制御することができる。
【0032】
また、把持部材31Aを具材に差し込む深さ(差し込み量)と、そのときに把持される具材の重量との関係から、1回の把持動作で平坦度合いが低下する具材の表面の範囲が把握できる。これに基づいて、制御装置40には、収容空間10A内の具材の表面において、把持動作毎に把持位置をずらすピッチが設定されている。加えて、制御装置40には、予め設定された把持部材31Aを差し込む深さ及びピッチに基づいて、具材の表面のいずれの位置からどのように具材を把持するかの動作パターンが設定されている。また、制御装置40は、上述した各センサから取得した情報等に基づいて、この動作パターンを現時点での、実際の具材の状況等に応じて適宜修正することもできる。
そして、制御装置40が、この動作パターンに従って、多関節ロボット30の動作を制御することで、以下のような手順で把持動作が実現される。
【0033】
図11は、ハンド31による把持動作の一例を示す模式図である。
図11に示すように、ハンド31が具材を把持する場合、(1)具材にアプローチする、(2)具材の表面を検出する、(3)把持部材31Aを具材に差し込む、(4)把持部材31Aを閉じる、(5)把持した具材の重量(物理量)を計測する、という手順で具材が把持される。把持した重量が規定量に適合する場合、弁当の容器に具材が移送されて解放される。なお、把持した重量が規定量に適合するとは、例えば、目標とする重量に対して、把持した具材の重量が所定誤差以内(±15%以内等)にあることをいう。ただし、把持部材31Aに具材が粘着して解放されないケースを考慮し、把持した重量が規定量よりも多い場合の誤差を少ない場合の誤差よりも大きく設定することとしてもよい。一方、把持した重量が規定量に適合しない場合、更に、(6)収容空間10Aにおける把持した位置に具材を解放する(具材を戻す)、(7)把持した具材の重量が超過していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の上限を超えている場合)には、前回よりも把持部材31Aを具材に差し込む深さを浅く修正して具材を把持する、(8)把持した具材の重量が不足していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の下限を下回っている場合)には、前回よりも把持部材31Aを具材に差し込む深さを深く修正して具材を把持する、という手順で具材が再把持される。
【0034】
手順(2)で具材の表面を検出することは、力センサ30Bにより、多関節ロボット30のハンド31が具材に接触することで受ける反力を計測することで可能である。
また、手順(3)で具材に把持部材31Aを差し込む場合、多関節ロボット30の制御パラメータ(関節の回転角度等)から差し込み量を算出したり、手順(2)で具材の表面を検出して差し込みを開始してからの経過時間から差し込み量を算出したりすることが可能である。
【0035】
また、手順(8)において、前回よりも把持部材31Aを具材に深く差し込んだとしても、規定量の具材を把持できない場合(規定量を取るために必要な差し込み深さよりも、把持予定位置における具材の深さが浅い場合)等には、具材表面の複数箇所から具材を把持することにより、複数回で把持した合計の具材の量が規定量となるように制御することも可能である。この場合、例えば、具材の表面における複数箇所に把持部材31Aを差し込む深さの合計(差し込み量の合計)が、一度で規定量の具材を把持する場合に把持部材31Aを具材に差し込む深さと同一となるように制御することができる。また、例えば、2箇所目以降の把持を行う場合に、把持済みの具材を次の把持予定位置に一旦解放し、解放した具材が存在する具材の表面に対して、一度で規定量の具材を把持する場合に差し込む深さまで把持部材31Aを具材に差し込み、規定量の具材を改めて一度で把持するように制御することも可能である。
【0036】
なお、把持部材31Aを具材に差し込む深さ(差し込み量)と、そのときに把持される具材の重量との関係については、具材の密度から算出(推定)することの他、把持部材31Aを差し込んだ深さのデータと、そのときに把持された具材の重量を計測したデータとを機械学習し、機械学習によって生成された機械学習モデルを用いて、把持される重量を推定することとしてもよい。また、この機械学習の過程において具材の密度を算出し、算出した密度を用いて、把持部材31Aを具材に差し込んだ深さ(差し込み量)から、把持された具材の重量を算出してもよい。
【0037】
[作用]
図3を参照して上述したように、一対の把持部材31Aは、開口部同士が近付くことで構成部同士によって囲まれた把持空間を形成し、この把持空間で具材を把持する。また、これら一対の把持部材31Aは、具材を把持した状態から互いに遠ざかることで、把持空間で把持した具材を解放する。
このようにして把持及び解放が行われる際に、この把持部材31Aに取り付けられたカバー100は、把持空間の形成を補助する補助部材として機能する。この場合に、カバー100は、例えば、把持空間の形状を、構成部の隅に具材が隣接することを抑制する形状とする。
これにより、把持空間を形成する容器形状の隅部分に対象物が付着してしまうことを防止できる。そのため、規定量を把持して解放するといった一連の作業を適切に行うことができる。すなわち、本実施形態では、把持空間を形成する把持部材31Aと、この把持空間の形成を補助するカバー100とで、把持ユニットとしてのハンド31を実現することで、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うことができる。
【0038】
以下、図12図14を参照して、このようなハンド31の作用及び効果について説明をする。ここで、図12図14は、本実施形態の把持動作における一連の動作を示す模式図である。
ここで、図12(a)においてx方向、y方向及びz方向の各方向について図示をしている。これは図4において図示するx方向、y方向及びz方向の各方向と同一である。すなわち、図12(a)において、x方向は、把持方向及び解放方向であり、y方向は、水平面において把持方向及び解放方向と直交する方向であり、z方向は、高さ方向である。つまり、図12は、一対の把持部材31Aのy方向に対し垂直な断面(すなわち、xz平面)を図示する模式図である。なお、後述の図12(b)~図16の何れも同様の垂直断面(すなわち、xz平面)を図示するものであるため、これらの図では各方向の図示を省略する。
【0039】
図12(a)に図示するように、多関節ロボット30は、具材を把持するためにまず、収容空間10A内に収容されている具材の鉛直上方に把持部材31Aを移動する。
ここで、上述したように、カバー100は、係合部101~104を把持部材31Aの突起部316aに係合した後、突起部316aにはストッパ318aが装着され、ストッパ318aの磁力により、係合部101~104が固定されている。
そのため、図12(a)に図示するように、開口部の鉛直上方の部分(すなわち、天板部の縁部)、把持部材31Aの板状部材の先端部分、及び把持部材31Aの外面は、把持及び解放という一連の動作が行われたとしても、カバー100が係止された状態を維持する。一方で、把持部材31Aの容器形状の内面において、カバー100は係止されてはおらず、適宜変形することが可能な状態となっている。例えば、何らかの力が加わった場合に、一対の把持部材31A同士が当接することで形成される把持空間を、カバー100が拡大したり縮小したりできる状態となっている。
【0040】
また、カバー100は、把持部材31Aの容器形状の内面のサイズに対して、意図的に小さなサイズとなるよう作成されている。そのため、仮にカバー100に対して把持空間を拡大する力が加わったとしても、把持部材31Aの容器形状の隅にカバー100が届くほどは、把持空間は拡大されない。
この点、袋形状で装着対象を覆うカバーを作成する場合、装着対象と同一のサイズ(すなわち、カバー全体が丁度よく装着対象全体に密着するサイズ)に作成するということが一般的な思想である。しかしながら、本件発明者は、試験研究を重ねた結果、このように小さなサイズでカバー100を作成することで、カバー100が後述の作用及び効果を奏する補助部材として機能することを着想し、意図的に小さなサイズでカバー100を作成している。
【0041】
また、仮にカバー100を、把持部材31Aと同一のサイズに作成するとなると、カバー100の形状を、より複雑な形状(例えば、折り目となる辺を更に増やした形状)とすると共に、カバー100を容器形状の隅に係止する機構を更に増やす必要も生じる。しかしながら、本実施形態では、上記のように、意図的に小さなサイズでカバー100を作成しており、カバー100を容器形状の隅に係止する必要もない。そのため、本実施形態のカバー100は、比較的簡易な構成により実現することができる。また、これに伴い、作業者による、カバー100の交換作業を簡便に行うことが可能となるという利点も有している。
【0042】
また、本実施形態において、隅とは、把持部材31Aで構成される容器形状の内面における隅を指す。より具体的には、容器形状に含まれる複数の平坦な面の辺が交わる部分を含んだ容器形状内面の一部の領域が隅である。例えば、図12(a)に示すように、把持部材31Aの板状部材は、鉛直下方に向かって延在して第1の平坦な面を形成すると共に、傾斜するように折り曲げられて第2の平坦な面を形成している。この場合、第1の平坦な面の鉛直上方の辺と天板の平坦な面の辺とが交わる部分が1つの隅(第1の隅)となる。また、この第1の平坦な面の鉛直下方の辺と第2の平坦な面の鉛直上方の辺とが交わる部分(すなわち、折り曲げられた部分)も1つの隅(第2の隅)となる。
【0043】
把持部材31Aのような把持部材を製造する場合、製造の容易さや、構造を簡易化して容積を確保するために、平坦な面を有する部材同士を結合したり、平坦な面を折り曲げたりすることで、把持部材を形成することが一般的である。ところが、このようにして製造した把持部材では、上述したように複数の隅ができてしまう。また、これらの複数の隅では、複数の平坦な面の双方にわたって具材が付着した状態となる。
そのため、単に1つの平坦な面に具材が付着した場合に比べて、具材の付着する力が強くなる。これより、具材の付着する力が、重力よりも強くなり、解放を行ったとしても具材が落下しないという問題が生じる。また、把持する具材の量にもよるが、第1の隅には具材がそれほど行き渡らずあまり付着しない一方で、第2の隅には多くの具材が付着する。そのため、解放を行ったとしても、第2の隅には多くの具材が付着したままとなる。
【0044】
そこで、以下で説明するように、本実施形態では、カバー100により、把持空間の形状を、構成部の隅に具材が隣接することを抑制する形状とする。これにより、把持空間を形成する容器形状の隅部分に対象物が付着してしまうことを防止できる。
すなわち、本実施形態では、上述したようにカバー100の形状を複雑とすることなく、一般的な隅が存在する把持部材31Aを用いる必要があるという制約(すなわち、さらなる課題)があったとしても、多関節ロボット30によって具材を把持する作業をより適切に行うことができる。
【0045】
次に、図12(b)に示すように、多関節ロボット30は、制御装置40の制御に基づいて、把持部材31Aを下降させて、把持部材31Aを具材に差し込む。そして、多関節ロボット30は、所定の深さまで把持部材31Aを差し込むと、把持部材31Aの下降を停止する。この時点で、カバー100はそれほど大きく変形はしない。
【0046】
次に、図13(c)に示すように、多関節ロボット30は、具材に差し込まれた把持部材31A同士を近づけることで、把持部材31Aの開口面同士が当接するまで閉じる。これにより、制御装置40が推定した重量だけの具材を把持することができる。この時点で、カバー100は、具材を把持する際に、把持した具材の体積に応じて、把持空間を拡大するように変形する。このように、本実施形態では、把持空間を変形させるために機械的な機構(例えば、把持空間が拡大するようにカバー100を引き延ばす機構)を別途設けるような必要はなく、具材の体積によって自動的に補助部材を所望の形状に変形させることができる。なお、制御装置40は、このとき具材により拡大された把持空間で把持できる具材の体積の最大量に基づいて、予め差し込み深さを決定している。
【0047】
次に、図13(d)に示すように、多関節ロボット30は、制御装置40の制御に基づいて、具材を把持している把持部材31Aを上昇させた後、解放先となる弁当容器まで把持部材31Aを移送する。この時点で、カバー100は、把持した具材の体積に応じて、把持空間を拡大するように変形しているが、上述したように意図的に小さなサイズで作成されているため、把持部材31Aの容器形状の隅に隣接するほどは拡大しない。この状態において、把持されている具材は、カバー100に接している面の全体からまんべんなく反力(すなわち、具材がカバー100を押し広げようとする力に抵抗する、カバー100が具材を中心に向けて抑え込む力)を受けることになる。これにより、把持部材31Aの上昇や移送を行っている間に、把持されている具材を1つの塊に整形することができる。
【0048】
次に、図14(e)に示すように、多関節ロボット30は、制御装置40の制御に基づいて、弁当容器の鉛直上方において、把持部材31A同士を遠ざけることで、具材の解放を開始する。この時点で、カバー100は、把持空間で把持した具材を解放する際に、把持空間を縮小するように変形する。この変形は、把持した具材を解放する際に、カバー100に付着した具材に働く重力に基づくものである。すなわち、具材は重力が働くことにより、開かれた把持空間から鉛直下方に落下しようとする。この場合に、具材は、カバー100に付着していることから、この落下する力(すなわち、具材に働く重力)は、カバー100に対しても働く。これにより、カバー100は、落下する具材につられて、これに追従するようにして変形する。このように、本実施形態では、把持空間を変形させるために機械的な機構(例えば、把持空間が縮小するようにカバー100を押しつぶす機構)を別途設けるような必要はなく、重力によって自動的に補助部材を所望の形状に変形させることができる。すなわち、把持部材31Aの容器形状の隅から、具材を解放するために開かれた把持空間の中央に向かって具材を案内する形状に変形させることで、具材を効率的に解放できる。
【0049】
次に、図14(f)に示すように、多関節ロボット30は、制御装置40の制御に基づいて、弁当容器の鉛直上方において、把持部材31A同士をより遠ざけることで、具材の解放をする。この時点で、具材がカバー100に付着する力よりも、具材に働く重力が上回ることになり、解放された具材は、弁当容器に落下する。なお、具材の種類等にもよるが、この落下を容易とするために、カバー100を、摩擦係数が高い素材(例えば、ポリマー)よりも、摩擦係数が低く落下しやすい素材(例えば、ビニール)で作成するようにしてもよい。
そして、このように解放された具材は、図13(d)を参照して上述したように、1つの塊となるように整形されている。加えて、図14(e)を参照して上述したように、カバー100が変形することにより、把持空間は、把持空間の中央に向かって具材を案内する形状とされている。これにより、具材を弁当容器中央等の所望の位置に、適切な形状で盛り付けることができる。また、把持した具材が把持部材31Aやカバー100に付着したままとなることはなく、規定量を盛り付けることができる。
このように、本実施形態によれば、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うことができる。
【0050】
[比較例]
図12図14を参照して上述した作用及び効果は、本実施形態特有のものである。この点について、より明確とするために、従来技術のように、カバー100を取り付けることなく、把持動作を行った場合について、図15及び図16を参照して説明する。ここで、図15及び図16は、従来技術を用いた場合の、把持動作における一連の動作を示す模式図である。なお、図15及び図16は、あくまでも、比較例として従来技術を適用した場合について説明するものであり、本実施形態の作用及び効果を示すものではない。
【0051】
図15(A)は、図13(d)と同様の状況を示す図である。すなわち、多関節ロボット30は、制御装置40の制御に基づいて、具材を把持している把持部材31Aを上昇させた後、解放先となる弁当容器まで把持部材31Aを移送する。この時点で、把持部材31Aの容器形状の隅には、把持した具材が隣接している。すなわち、把持した具材は、把持部材31Aに付着している。
【0052】
次に、図15(B)は、図14(e)と同様の状況を示す図である。すなわち、多関節ロボット30は、制御装置40の制御に基づいて、弁当容器の鉛直上方において、把持部材31A同士を遠ざけることで、具材の解放を開始する。この場合、具材は重力が働くことにより、開かれた把持空間から鉛直下方に落下しようとする。この時点で、把持した具材は、把持部材31Aの容器形状の隅に隣接したままの状態である。すなわち、把持した具材は、引き続き把持部材31Aに付着している。また、具材は、上述した本実施形態のように1つに整形されているわけではないので、一対の把持部材31Aのそれぞれから、分散して落下しようとする。
【0053】
次に、図16(C)は、図14(f)と同様の状況を示す図である。すなわち、多関節ロボット30は、制御装置40の制御に基づいて、弁当容器の鉛直上方において、把持部材31A同士をより遠ざけることで、具材の解放をする。この場合、具材は、上述した本実施形態のように1つに整形されているわけではないので、一対の把持部材31Aのそれぞれから、分散して落下する。また、把持部材31Aの容器形状の隅では、具材に働く重力よりも、具材が把持部材31Aに付着する力が上回っているので、把持した具材の一部は、把持部材31Aに付着したままとなる。
これにより、具材は、分散して落下するので、具材が弁当容器外部等の想定外の場所まで飛散する可能性が生じる。また、具材の一部が把持部材31Aに付着したままとなるので、規定量を盛り付けることができない。
このように、比較例として示した従来技術では、本実施形態とは異なり、ロボットによって対象物を把持する作業を適切に行うことが困難となる。
この比較結果からも、本実施形態が、従来技術と比較して有利な作用や効果を奏することは明確である。
【0054】
[変形例1]
上述の実施形態において、カバー100は、係合部101~104と、把持部材31Aの突起部316aに挿通される係止穴105~108とを備えるものとして説明したが、これに限られない。例えば、係合部101~104を、係止穴105~108を備えることなく、開口部から突出した帯状の係止部101a~104aとして構成し、係止部101a~104aを一箇所に重ねて磁石あるいはクリップ機構等によって押さえ込むことで、把持部材31Aに押さえ止めする構成としてもよい。
図17は、係止部101a~104aを押さえ込むことで把持部材31Aにカバー100が装着される構成例を示す模式図である。
図17に示すように、係止部101a~104aを押さえ込むことで把持部材31Aにカバー100を装着する場合、例えば、把持部材31Aの天板における台座部317aの位置等に係止部101a~104aを集合させて重ね合わせる。図11に示す構成例では、台座部317aに突起部316aは設置されておらず、平坦な台座として構成され、台座部317a内部には金属又は磁石が設置されている。そして、台座部317aに係止部101a~104aが重ね合わせられた状態で、磁石を備えるストッパ319aを台座部317aに吸着させる。
この結果、重ね合わせられた係止部101a~104aがストッパ319aによって台座部317aに押さえ込まれ、カバー100が把持部材31Aに押さえ止められた状態となる。
このような構成とした場合、カバー100を把持部材31Aに装着する作業及びカバー100を把持部材31Aから取り外す作業をより容易に行うことができる。
なお、係止部101a~104aを一箇所に重ねて押さえ込むことの他、複数箇所に分けて押さえ込む構成としてもよい。
【0055】
[変形例2]
上述の実施形態において、カバー100は、把持部材31A全体を覆うように装着される形状であることを想定した。そして、このような形状のカバー100が、把持空間の形成を補助する補助部材として機能した。これに限らず、カバー100に代えて、他の形状のカバーを把持部材31Aに装着し、この他の形状のカバーを補助部材として機能させるようにしてもよい。
【0056】
例えば、把持部材31A全体を覆うのではなく、その一部を覆う形状のカバーを補助部材として用いてもよい。一部とは、例えば、把持部材31Aの容器形状の開口部のみを覆う膜状のカバーである。この場合、この膜状のカバーは、開口部の鉛直上方の部分(すなわち、天板部の縁部)と、把持部材31Aの板状部材の先端部分とに係止される。そして、把持及び解放という一連の動作が行われたとしても、この膜状のカバーは係止された状態を維持する。一方で、把持部材31Aの容器形状の内面において、この膜状のカバーは係止されてはおらず、適宜変形することが可能な状態となる。この場合に、この膜状のカバーは、例えば、カバー100と同様に、強化ポリスチレン、ポリ塩化ビニール等の樹脂からなる柔軟性を有する素材で作成される。なお、把持部材31Aの内面に係止することができるのであれば、開口部全体を覆うのではなく、例えば、容器形状の隅部分のみを覆うような膜状のカバーを用いるようにしてもよい。
【0057】
他にも、例えば、スポンジやゴム等の弾性変形をする可撓性のある素材で補助部材を作成し、この補助部材を、例えば、容器形状の隅部分に装着(例えば、接着)するようにしてもよい。あるいは、例えば、時間経過に伴い硬化する樹脂を、容器形状の隅部分に塗布することで、補助部材として機能させるようにしてもよい。この場合、これらの補助部材は、何らかの力が加わった場合に弾性変形することが可能な素材であるとよい。これにより、例えば、この補助部材は、具材を把持した際に、把持した具材からの反力により押し潰され、結果として把持をする前よりも把持空間を拡大するように変形する。また、この補助部材は、具材を解放した際に、具材を把持する前の状態に戻るため、結果として把持をしている間よりも把持空間を縮小するように変形する。これに伴い、カバー100の場合と同様に、具材を解放するために開かれた把持空間の中央に向かって具材を案内し、具材を効率的に解放することができる。
なお、仮にこの補助部材がこのような弾性変形をしない素材であっても、補助部材を取り付けることにより把持部材31Aの容器形状の隅部分の内面を、なだらかなR形状(すなわち、垂直断面視において隅が円弧となる形状)にすることができればよい。この場合であっても、具材が把持部材31Aの隅部分に付着する力を減少させることができるので、具材が重力によって落下しやくなるという効果を奏する。
【0058】
このように、何れの方法であっても、把持空間の形成を補助することで、把持空間の形状を容器形状の隅に対象物が隣接することを抑制する形状とする補助部材を実現することができる。すなわち、本変形例のようにしても、把持部材31Aの容器形状からなる把持空間を、事後的に補正することができる。
【0059】
[変形例3]
上述の実施形態において、一対の把持部材31A(すなわち、2つの把持部材31A)を用いることを想定したが、これに限られない。3つ以上の複数の把持部材31Aを用いるようにしてもよい。そして、各把持部材31Aの開口部を近づけることで把持を行うような構成としてもよい。例えば、3つの把持部材31Aを用いるのであれば、鉛直上方から俯瞰した場合に、それぞれの中心角が120°の3つの把持部材31Aの先端を中央に近づけるような構成とすることで、把持を行うようにしてもよい。このような場合であっても、上述した補助部材の機能は発揮される。
【0060】
[変形例4]
上述の実施形態において、具材状態判定部152は、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータに基づいて、具材の状態を判定するものとしたが、これに限られない。
【0061】
カメラの設置コスト等が問題とならない場合には、カメラ(すなわち、撮像装置)によって撮影を行うことにより、具材の状態を判定するようにしてもよい。この場合、把持システム1において、多関節ロボット30のハンド31付近を撮影する撮像装置を設ける。そして、この撮像装置は、具材収容部10から具材を取り出す工程及び取り出した具材を弁当の容器に盛り付ける工程において、ハンド31付近の画像を含む撮影対象箇所の画像を逐次撮影する。このとき撮影された画像のデータは、制御装置40に出力される。なお、撮像装置に代えて、又は、撮像装置に加えて、多関節ロボット30の稼動範囲を撮影可能な撮像装置を把持システム1の所定箇所に備えておき、この撮像装置によって、ハンド31付近を含む撮影対象箇所の画像を撮影することとしてもよい。
【0062】
[構成例]
以上のように、本実施形態におけるハンド31は、複数の把持部材31Aと、補助部材(例えば、カバー100)と、を備える。
複数の把持部材31Aは、容器形状を構成する構成部と、開口部とを有する複数の把持部材31Aであって、開口部同士が近付くことで構成部同士によって囲まれた把持空間を形成し、該把持空間で具材を把持する。
補助部材は、把持空間の形成を補助することで、把持空間の形状を構成部の隅に具材が隣接することを抑制する形状とする。
これにより、把持空間を形成する容器形状の隅部分に対象物が付着してしまうことを防止できる。そのため、規定量を把持して解放するといった一連の作業を適切に行うことができる。
すなわち、本実施形態におけるハンド31によれば、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うことができる。
【0063】
複数の把持部材31Aは、具材を把持した状態から互いに遠ざかることで、把持空間で把持した具材を解放する。
補助部材は、把持空間で把持した具材を解放する際に、把持空間を縮小するように変形する。
これにより、対象物を適切に案内して、効率的に解放することができる。
【0064】
具材は、補助部材に付着する性質を有する物体である。
補助部材は、把持した具材を解放する際に、補助部材に付着した具材に働く重力に基づいて、変形をする。
これにより、把持空間を変形させるために機械的な機構を別途設けるような必要はなく、具材に働く重力によって自動的に補助部材を所望の形状に変形させることができる。
【0065】
補助部材は、具材を把持する際に、把持した具材の体積に応じて、把持空間を拡大するように変形する。
これにより、把持空間を変形させるために機械的な機構を別途設けるような必要はなく、具材の体積によって自動的に補助部材を所望の形状に変形させることができる。
【0066】
複数の把持部材31Aそれぞれの構成部は、同一の形状である。
把持空間により把持した具材は、同一の形状の構成部同士で形成された把持空間の中心から解放される。
これにより、同一形状の構成部により把持した具材の外面に対してまんべんなく力を与えることで、把持した具材を1つの塊とすることができると共に、把持空間の中心という所定の位置から具材を解放することができる。これに伴い、例えば、具材を所定位置に適切に盛り付けることができる。
【0067】
補助部材は、複数の把持部材31Aそれぞれに装着された、複数の把持部材31Aを覆う袋状のカバー100である。
これにより、袋状のカバー100で補助部材としての機能を実現すると共に、より衛生的に運用をすることができる。
【0068】
カバー100は、カバー本体100Aと、係合部101~104と、係止穴105~108と、を備える。
カバー本体100Aは、把持部材31Aを先端側から覆う袋状の構成を有する。
係合部101~104は、カバー本体100Aにおける開口部周囲に設置される。
係止穴105~108は、係合部101~104に形成され、把持部材31A側の突起部316aに係止される。
係合部101~104における係止穴105~108は、把持部材31Aの先端側とは反対側に形成された突起部316aに係止される。
これにより、ハンド31にカバー100を取り付けたり、ハンド31からカバー100を取り外したりする作業を容易に行うことができる。
したがって、把持部材31Aにカバー100を装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバー100の装着状態をより確実に維持し、交換作業はより容易に行えるようになる。
【0069】
本実施形態における把持システム1は、上記のハンド31と、制御装置40と、を備える。
制御装置40は、ハンド31に含まれる複数の把持部材31Aそれぞれの移動を制御することで、ハンド31に具材の把持及び解放を実行させる。
これにより、上述したような上記ハンド31による効果を奏しながら、把持及び解放を行うシステムを実現することができる。
【0070】
なお、上述の実施形態及び変形例は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の機能を実現する種々の実施形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上述の実施形態及び変形例において、総菜を取り分ける取り分けシステムに本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の対象物を把持するシステムに適用することができる。例えば、練ったモルタル、コンクリート、漆喰、粘土等、粘性あるいは粘着性が高い材料を把持するシステムに本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態において、ストッパ318aは磁石を備え、磁力によって台座部317aに吸着することで、係合部101~104の脱落を抑制するものとしたが、これに限られない。例えば、ストッパ318aは、磁力を用いることなく、機械的な取付具として構成し、機械的な固定力で係合部101~104の脱落を抑制するものとしてもよい。一例として、ストッパ318aは、磁力を用いることなく、突起部316aに嵌合することにより、その嵌合力(嵌合を解除するために要する力)で脱落を抑制する構成とすることも可能である。また、ストッパ318aは、磁力を用いることなく、突起部316aに螺合(ねじ込み)することにより、その緊締力(ねじ止め力)で脱落を抑制する構成とすることも可能である。
この場合、よりコストの低い部品によって、効果的に係合部101~104の脱落を抑制することが可能となる。
【0071】
また、上述の実施形態において、把持部材31Aの脱着機構31aにおける挿通穴311a,312a内で、駆動部31Bの脱着機構31bに設置されたロッド311b,312bが磁石314a,315aに吸着される連結構造を例に挙げて説明したが、これに限られない。すなわち、ハンド31に対して、図4中の-y方向における保持力を発揮できれば、磁石を脱着機構31a,31bのいずれの位置に設置することも可能である。例えば、脱着機構31a,31bが連結された際に対向する面にそれぞれ磁石を設置することや、ロボットアーム32にハンド31が連結された際に接触する面(把持部材31Aの脱着機構31a上面又は側面とロボットアーム32のブラケット内面等)にそれぞれ磁石を設置すること等が可能である。
また、上述の実施形態に記載された例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
【0072】
上記実施形態は、本発明を適用した一例を示しており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。すなわち、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができ、上記実施形態以外の各種実施形態を取ることが可能である。本発明が取ることのできる各種実施形態及びその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 把持システム、2 ベルトコンベア、10 具材供給部、20 容器供給部、21,30A 重量センサ、30 多関節ロボット、30B 力センサ、31 ハンド、31A 把持部材、31B 駆動部、31a,31b 脱着機構、311a,311b 挿通穴、313a ベース部材、314a,315a 磁石、316a 突起部、317a 台座部、318a,319a ストッパ、32 ロボットアーム、311b,312b ロッド、313b ベース部材、40 制御装置、50 遮蔽部、100 カバー、101~104 係合部、101a~104a 係止部、105~108 係止穴、109,110 ロッド挿入用穴
【要約】
【課題】ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行う。
【解決手段】ハンド31は、複数の把持部材31Aと、カバー100と、を備える。複数の把持部材31Aは、容器形状を構成する構成部と、開口部とを有する複数の把持部材31Aであって、開口部同士が近付くことで構成部同士によって囲まれた把持空間を形成し、該把持空間で具材を把持する。カバー100は、把持空間の形成を補助することで、把持空間の形状を構成部の隅に具材が隣接することを抑制する形状とする。
【選択図】図14
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