(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】フルオロピロロピリジン系化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20240112BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240112BHJP
A61K 31/5377 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
A61P43/00
A61K31/5377
(21)【出願番号】P 2022570742
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2021096143
(87)【国際公開番号】W WO2021238999
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】202010478432.9
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110139687.7
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522279287
【氏名又は名称】シェンチェン リンファン バイオテック カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、クン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/154365(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/036641(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/014618(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/050889(WO,A1)
【文献】井上宗宣,構造式から眺める含フッ素医薬,ファルマシア,2014年,50(1),,14-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(ただし、
環Aは、
【化2】
であり、
T
1、T
2、T
3、T
4及びT
5は、それぞれ独立してC、CH又はNであり、
E
1は、O又はSであり、
R
1は、それぞれ独立してH又はC
1-3アルキルであり、ここで、前記C
1-3アルキルは、任意選択で1、2又は3つのR
aにより置換され、
R
2は、それぞれ独立してH又はC
1-3アルキルであり、ここで、前記C
1-3アルキルは、任意選択で1、2又は3つのR
bにより置換され、
R
3は、H又はC
1-3アルキルであり、
R
4は、それぞれ独立してH、C
1-3アルキル、-O-C
1-3アルキル又は-S(O)
2-C
1-3アルキルであり、ここで、前記C
1-3アルキル、-O-C
1-3アルキル及び-S(O)
2-C
1-3アルキルは、それぞれ独立して任意選択で1、2又は3つのR
cにより置換され、
R
a、R
b及びR
cは、それぞれ独立してF、Cl、Br又はIであり、
mは、1、2又は3である。)
【請求項2】
化合物は、式(I-1)又は(I-2)で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化3】
(ただし、
R
1及びR
2は、請求項1で定義された通りである。)
【請求項3】
R
1は、それぞれ独立してH又はCH
3であり、ここで、前記CH
3は、任意選択で1、2又は3つのR
aにより置換される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
1は、それぞれ独立してH又はCH
3である、請求項3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
2は、それぞれ独立してH又はCH
3であり、ここで、CH
3は、任意選択で1、2又は3つのR
bにより置換される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
2は、それぞれ独立してH又はCH
3である、請求項5に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
3は、それぞれ独立してH又はCH
3である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
4は、それぞれ独立してH、CH
3、-O-CH
3又は-S(O)
2-CH
3である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
環Aは、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
環Aは、
【化5】
である、請求項9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
下記の式で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化6】
【請求項12】
ATRに関連する疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は出願日が2020年05月29日である中国特許出願CN202010478432.9、出願日が2021年02月01日である中国特許出願CN202110139687.7の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
本発明は、フルオロピロロピリジン系化合物及びその使用に関する。具体的には、式(II)で表される化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
DNA損傷応答(DDR)は、多様な信号経路を通じて生細胞ゲノムの完全性を確保する。細胞内のタンパク質は異常なDNA構造を直接に認識し、DDR経路の関連キナーゼを活性化して、広範囲なDNA損傷及び癌細胞内で増加する複製ストレスに対応する。DDR経路は、細胞がゲノム不安定性及び複製ストレスに直面した場合に生存させ、又は回復不可能な損傷細胞の老化又はプログラム的な死亡を媒介する。DDR遺伝子の欠陥は、様々な経路でドライバー遺伝子の変異、腫瘍異質性及び細胞のアポトーシスからの回避を促進して、腫瘍成長を促進する効果を達成する。
【0003】
ATR(毛細血管拡張性運動失調症突然変異及びRAD-3関連タンパク質キナーゼ)はPIKKs(ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ-関連キナーゼ)ファミリーに属し、遺伝子の安定性を維持させるためにDNA損傷の修復に関与する。ATRタンパク質キナーゼはDNAの損傷、複製ストレス及び細胞周期障害に対して相乗的な反応を生み出る。ATR及びATMは、いずれもセリン/スレオニンタンパク質キナーゼのPIKKファミリーに属し、細胞周期及びDNA損傷修復の共同構成要素であり、その他にChkl、BRCA1、p53も含む。ATRは、主にDNA複製ストレス(複製フォークの停滞)、一本鎖切断の修復を担当する。
【0004】
DNA二本鎖切断の切除又は複製フォークの停滞が発生する場合、ATRはDNA一本鎖構造によって活性化される。DNAポリメラーゼはDNA複製過程に留まり、複製ヘリカーゼはDNA複製フォークの前端で巻き戻し続け、長い一本鎖DNA(ssDNA)の生成に繋がり、一本鎖DNA及びRPA(複製タンパク質A)によって結合される。複製ストレス又はDNA損傷の場合、RPAによってATR/ATR作用タンパク質の複合体は損傷部位に募集され、RPA-一本鎖DNA複合体はRAD17/rfc2-5複合体を活性して損傷部位に結合させ、DNA-ssDNA連結部でRad9-HUS1-RAD1(9-1-1)異種三量体を活性化し、9-1-1は逆にTopBP1を募集してATRを活性化する。ATRが活性化されると、ATRは下流の目標によりDNA修復、停滞した複製フォーク及び一時的な細胞周期停止の安定化と再開を促進する。このような機能は、ATRが下流のターゲットChk1を介して実現される。ATRはS期でDNA損傷細胞周期チェックポイントの役割を果たす。それはChk1を通じてCDC25Aの分解を媒介することができ、これによりDNA複製過程を遅延させ、複製フォークを修復する時間を提供する。ATRも、G2/M細胞周期チェックポイントの主要な調節者であり、DNA複製の完成又はDNAが損傷する前に細胞が早期に有糸分裂に進入することを防止する。このようなATRに依存するG2/M細胞周期停止は主に2つのメカニズムを通じて媒介される:1.CDC25Aの分解。2.Chk1によりCdc25Cをリン酸化させて、14-3-タンパク質と結合させる。Cdc25C及び14-3-3タンパク質の結合は、その細胞核での出力及び細胞質分離を促進して、その脱リン酸化及び核Cdc2を活性化する能力を阻害することで、有糸分裂への進入を阻害する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ATM遺伝子は腫瘍細胞で頻繁に突然変異し、これはATM活性の喪失が癌細胞の生存に有利であることを示している。ATMキナーゼの不活性化は、細胞がATRによって媒介される信号経路により依存するようにさせ、ATR及びATMの連合不活性化は癌細胞の合成致死性を誘導することができる。従って、ATRを阻害することは、今後の癌治療に効果的な方法となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(II)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
【0007】
【0008】
ただし、
環Aは、
【0009】
【0010】
であり、
T1、T2、T3、T4及びT5は、それぞれ独立してC、CH又はNであり、
E1は、O又はSであり、
R1は、それぞれ独立してH又はC1-3アルキルであり、ここで、前記C1-3アルキルは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、
R2は、それぞれ独立してH又はC1-3アルキルであり、ここで、前記C1-3アルキルは、任意選択で1、2又は3つのRbにより置換され、
R3は、H又はC1-3アルキルであり、
【0011】
R4は、それぞれ独立してH、C1-3アルキル、-O-C1-3アルキル又は-S(O)2-C1-3アルキルであり、ここで、前記C1-3アルキル、-O-C1-3アルキル及び-S(O)2-C1-3アルキルは、それぞれ独立して任意選択で1、2又は3つのRcにより置換され、
Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してF、Cl、Br又はIであり、
mは、1、2又は3である。
【0012】
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
【0013】
【0014】
構造単位
【0015】
【0016】
であり、
R1は、それぞれ独立してH又はC1-3アルキルであり、ここで、前記C1-3アルキルは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、
R2は、それぞれ独立してH又はC1-3アルキルであり、ここで、前記C1-3アルキルは、任意選択で1、2又は3つのRbにより置換され、
Ra及びRbは、それぞれ独立してF、Cl、Br又はIである。
【0017】
本発明の一部の形態において、上記R1は、H又はCH3であり、ここで、CH3は、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0018】
本発明の一部の形態において、上記R1は、CH3であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0019】
本発明の一部の形態において、上記R1は、H又はCH3であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0020】
本発明の一部の形態において、上記R2は、H又はCH3であり、ここで、CH3は、任意選択で1、2又は3つのRbにより置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0021】
本発明の一部の形態において、上記R2は、CH3であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0022】
本発明の一部の形態において、上記R2は、H又はCH3であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0023】
本発明の一部の形態において、上記R3は、それぞれ独立してH又はCH3であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0024】
本発明の一部の形態において、上記R4は、それぞれ独立してH、CH3、-O-CH3又は-S(O)2-CH3であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0025】
本発明の一部の形態において、上記環Aは、
【0026】
【化5】
であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0027】
本発明の一部の形態において、上記環Aは、
【0028】
【0029】
であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0030】
本発明の一部の形態において、上記化合物は、式(I-1)又は(I-2)で表される構造を有し、
【0031】
【0032】
ただし、R1及びR2は本発明で定義された通りである。
【0033】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【0034】
【0035】
であり、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0036】
本発明の更なる一部の形態は、上記の各変量の任意の組み合わせにより形成される。
【0037】
本発明は、更に下記の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0038】
【0039】
本発明は更に、ATRに関連する疾患を治療するための医薬の製造における、上記化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【発明の効果】
【0040】
本発明の化合物はATR酵素に対して強い阻害活性を有し、同時にATM信号経路が欠損したLoVo腫瘍細胞に対して優れた阻害効果を有し、また、本発明の化合物は曝露量、バイオアベイラビリティなどのPKパラメーターが良好であり、薬物投与に適し、本発明の化合物は、ヒト胃癌SNU-601異種移植腫瘍の成長を有意に阻害することができ、マウスにおいて比較的許容される。
【発明を実施するための形態】
【0041】
定義及び説明
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0042】
本明細書で用いられる「薬学的許容される塩」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
【0043】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物と接触することで塩基付加塩を得ることができる。薬学的許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン又はマグネシウム塩あるいは類似の塩を含む。本発明で化合物に比較的塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は、適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物と接触することで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(例えばアルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、上記無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、上記有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定的の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0044】
本発明の薬学的許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒あるいは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0045】
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明は、全てのこのような化合物を想定し、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物並びに他の混合物、例えばエナンチオマー又は非エナンチオマーを多く含有する混合物を含み、全てのこれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。アルキル等の置換基に他の不斉炭素原子が存在してもよい。全てのこれらの異性体及びこれらの混合物はいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0046】
別途に説明しない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは互いに鏡像の関係にある立体異性体である。
【0047】
別途に説明しない限り、用語「シス-トランス異性体」又は「幾何異性体」とは二重結合又は環構成炭素原子の単結合が自由に回転できないことによるものである。
【0048】
別途に説明しない限り、用語「ジアステレオマー」とは分子が二つ又は複数のキラル中心を有し、かつ分子同士は非鏡像の関係にある立体異性体である。
【0049】
別途に説明しない限り、「(+)」は右旋性を意味し、「(-)」は左旋性を意味し、「(±)」はラセミ体を意味する。
【0050】
別途に説明しない限り、
【0051】
【0052】
別途に定義しない限り、化合物に二重結合構造、例えば炭素炭素二重結合、炭素窒素二重結合及び窒素窒素二重結合が存在し、且つ二重結合における各原子に2つの異なる置換基が結合されている場合(窒素原子を含む二重結合において、窒素原子における一対の孤立電子対はそれに連結されている1つの置換基と見なされる)、当該化合物の二重結合上の原子とその置換基が波線(
【0053】
【0054】
)で連結している場合、当該化合物の(Z)形異性体、(E)形異性体、又は2つの異性体の混合物を意味する。例えば、下記の式(A)は、当該化合物が式(A-1)又は式(A-2)の単一の異性体の形で存在するか、又は式(A-1)と式(A-2)の2つの異性体の形で存在することを意味し;下記の式(B)は、当該化合物が式(B-1)又は式(B-2)の単一の異性体の形で存在するか、又は式(B-1)と式(B-2)の2つの異性体の形で存在することを意味する。下記の式(C)は、当該化合物が式(C-1)又は式(C-2)の単一の異性体の形で存在するか、又は式(C-1)と式(C-2)の2つの異性体の形で存在することを意味する。
【0055】
【0056】
別途に説明しない限り、用語「互変異性体」又は「互変異性体の形態」とは室温において、異なる官能基の異性体が動的平衡にあり、かつ快速に互いに変換できることを指す。互変異性体は可能であれば(例えば、溶液において)、互変異性体の化学的平衡に達することが可能である。例えば、プロトン互変異性体(proton tautomer)(プロトトロピー互変異性体(prototropic tautomer)とも呼ばれる)は、プロトンの移動を介する相互変換、例えばケト-エノール異性化やイミン-エナミン異性化を含む。原子価互変異性体(valence tautomer)は、一部の結合電子の再構成による相互変換を含む。中では、ケト-エノール互変異性化の具体的な実例は、ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシ-3-ペンテン-2-オンの二つの互変異性体の間の相互変換である。
【0057】
別途に説明しない限り、用語「1つの異性体に富む」、「異性体豊富な」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマー豊富な」とは、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満で、且つこの異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であることを意味する。
【0058】
別途に説明しない限り、用語「異性体過剰率」又は「エナンチオマー過剰率」とは、2つの異性体又は2つのエナンチオマーの相対百分率の間の差を意味する。例えば、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が90%であり、もう1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体又はエナンチオマー過剰率(ee値)は80%である。
【0059】
光学活性な(R)-及び(S)-異性体ならびにD及びL異性体は、不斉合成又はキラル試薬又はほかの通常の技術を用いて調製することができる。本発明のある化合物の一つの鏡像異性体を得るには、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導作用によって調製することができるが、ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、かつ補助基を分解させて単離された所要の鏡像異体性を提供する。あるいは、分子に塩基性官能基(例えばアミノ)又は酸性官能基(例えばカルボキシル)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、さらに本分野で公知の通常方式の方法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して単離された鏡像異体を得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われ、上記クロマトグラフィーはキラル固定相を使用し、かつ任意の化学誘導法(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成させる)併用する。
【0060】
本発明の化合物は、化合物を構成する一つまた複数の原子には、非天然の原子同位元素が含まれてもよい。例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。又、例えば重水素を水素に置換して重水素化薬物を形成することができ、重水素と炭素で形成された結合は、通常の水素と炭素で形成された結合よりも強く、重水素化されていない薬物と比較して、重水素化された薬物には、毒性の副作用が軽減され、薬物の安定性が増し、治療効果が向上され、薬物の生物学的半減期が延ばされるという利点がある。本発明の化合物の同位体組成の変換は、放射性であるかいやかに関わらず、本発明の範囲に含まれる。「任意」また「任意に」は後記の事項又は状況によって可能であるが必ずしも現れるわけではなく、かつ当該記述はそれに記載される事項又は状況が生じる場合によってその事項又は状況が生じない場合を含むことを意味する。
【0061】
用語「置換された」は特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことで、特定の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基がケト基(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。ケト基置換は、芳香族基で生じない。用語「任意に置換される」は、置換されてもよく、置換されなくてもよく、別途に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意である。
【0062】
変量(例えばR)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れた場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、例えば、一つの基が0~2個のRで置換された場合、上記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRは独立して選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0063】
連結基の数が0の場合、例えば、-(CRR)0-は、当該連結基が単結合であることを意味する。
【0064】
そのうち一つの変量が単結合の場合、それで連結する2つの基が直接連結し、例えばA-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zになる。
【0065】
置換基がない場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、A-XのXがない場合、当該構造が実際にAとなることを表す。挙げられた置換基に対してどの原子を通して置換された置換基が明示しない場合、このような置換基はその任意の原子を通して結合することができ、例えば、置換基としてのピリジニル基は、ピリジン環の任意の炭素原子を通して置換基に結合してもよい。
【0066】
挙げられた連結基がほかの連結方向を明示しない場合、その連結方向は任意であり、例えば、
【0067】
【0068】
における連結基Lは-M-W-であり、この時-M-W-は左から右への読み取る順序と同じ方向に環Aと環Bを構成
【0069】
【0070】
することができ、また、左から右への読み取る順序と逆方向に環Aと環Bを構成
【0071】
【0072】
することもできる。上記連結基、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0073】
特に明記しない限り、ある基が一つ以上の結合可能な部位を有する場合、該基の任意の一つ以上の部位は、化学結合によって他の基に結合することができる。該化学結合の結合方式が非局在であり、且つ結合可能な部位にH原子が存在する場合、化学結合を結合すると、該部位のH原子の個数は、結合された化学結合の個数に応じて相応の価数の基に減少する。前記部位が他の基と結合する化学結合は、直線実線結合(
【0074】
【0075】
)、直線破線結合(
【0076】
【0077】
)、又は波線(
【0078】
【0079】
)で表すことができる。例えば、-OCH3の直線実線結合は、該基の酸素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【0080】
【0081】
中の直線の破線結合は、該基内の窒素原子の両端が他の基に結合されていることを意味する。
【0082】
【0083】
中の波線は、当該フェニル基の部位1と2の炭素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【0084】
【0085】
は、当該ピペリジニル基の任意の結合可能な部位が1つの化学結合によって他の基に結合できることを意味し、少なくとも
【0086】
【0087】
の四つの結合形態を含み、H原子が-N-に描かれていても、
【0088】
【0089】
この結合形態の基が含まれるが、1つの化学結合が接続されると、その部位のHは1つ減少して対応する一価ピペリジンになる。
【0090】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルキル」は直鎖又は分枝鎖の1~3個の炭素原子で構成された飽和炭化水素基を表す。前記C1-3アルキルにはC1-2とC2-3アルキル基などが含まれ、それは1価(例えばメチル)、2価(例えばメチレン)及び多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0091】
別途に定義しない限り、Cn-n+m又はCn-Cn+mはn~n+m個の炭素の任意の一つの具体的な様態を含み、例えば、C1-12はC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、及びC12を含み、n~n+mのうちの任意の一つの範囲も含み、例えば、C1-12はC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、及びC9-12等を含む。同様に、n員~n+m員は環における原子数がn~n+m個であることを表し、例えば、3~12員環は3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、及び12員環を含み、n~n+mのうちの任意の一つの範囲も含み、例えば、3~12員環は3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、及び6~10員環等を含む。
【0092】
用語「脱離基」とは別の官能基又は原子で置換反応(例えば求核置換反応)で置換されてもよい官能基又は原子を指す。例えば、体表的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、塩素、臭素、ヨウ素、例えばメタンスルホン酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、p-ブロモベンゼンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル、例えばアセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシなどのアシルオキシを含む。
【0093】
用語「保護基」は「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」又は「メルカプト保護基」を含むが、これらに限定されない。用語「アミノ保護基」とはアミノ基の窒素の位置における副反応の防止に適する保護基を指す。代表的なアミノ酸保護基は、ホルミル、アルカノイル(例えばアセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチル)のようなアシル、t-ブトキシカルボニル(Boc)のようなアルコキシカルボニル、ベントキシカルボニル(Cbz)及び9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)のようなアリールメトキシカルボニル、ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)、1,1-ビス(4’-メトキシフェニル)メチルのようなアリールメチル、トリメチルシリル(TMS)及びt-ブチルジメチルシリル(TBS)のようなシリルなどを含むが、これらに限定されない。用語「ヒドロキシ保護基」とはヒドロキシ基の副反応の防止に適する保護基を指す。代表的なヒドロキシ保護基は、メチル、エチル及びt-ブチルのようなアルキル、アルカノイル(例えばアセチル)のようなアシル、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、9-フルオレニルチル(Fm)及びジフェニルメチル(DPM)のようなアリールメチル、トリメチルシリル(TMS)及びt-ブチルジメチルシリル(TBS)のようなシリルなどを含むが、これらに限定されない。
【0094】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0095】
本発明の化合物の構造は、当業者に周知の従来の方法によって確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関する場合、絶対配置は、当業者の従来の技術的手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)、培養単結晶はBruker D8 venture回折計によって収集され、光源はCuKα放射線、走査方法:φ/ω走査、関連データを収集した後、更に直接法は(Shelxs97)結晶構造解析により、絶対配置を確認できる。
【0096】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品から得ることができる。本発明は下記の略語を用いる:aqは、水を表し、eqは当量、等量を表す。
【0097】
化合物は本分野の通常の名称又はChemDraw(R)ソフトによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称が使用された。
【実施例】
【0098】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の不利な制限を意味するものではない。本発明は本明細書で詳細に説明されており、その特定の実施形態も開示されており、当業者にとって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の特定の実施形態において様々な変更及び修正を行うことができることは明らかである。
【0099】
中間体I
【0100】
【0101】
合成スキーム:
【0102】
【0103】
ステップ1:化合物I-2の合成
化合物I-1(500mg、3.67mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液に水素ナトリウム(220.36mg、5.51mmol、60%)を加え、20℃の室温で1時間反応させた。トリイソプロピルシラン(849.80mg、4.41mmol)を加え、20℃の室温で2.5時間反応させた。反応完了後、反応溶液に10mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチングさせた。60mLの水を加え、酢酸エチル(70mL×3)で抽出した。有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~20%)により分離して化合物I-2を得た。
MS m/z: 293.0 [M+H]+
【0104】
ステップ2:化合物Iの合成
化合物I-2(200mg、683.84μmol)を三口フラスコに置き、無水テトラヒドロフラン(12mL)を加え、窒素ガスで置換した。反応溶液を-78℃に冷却させ、リチウムジイソプロピルアミド(2M、683.84μL、2eq)を加え、30分間撹拌し、ホウ酸トリメチル(99.48mg、957.38μmol、108.13μL、1.4eq)を加え、18℃の室温に昇温させて1時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に10mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、15分間撹拌した。酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、減圧して乾燥させて中間体Iを得た。
MS m/z:337.1 [M + H]+。
【0105】
実施例1
【0106】
【0107】
【0108】
ステップ1:化合物1-Bの合成
室温で化合物1-A(3.22g、11.76mmol、1eq)のN,N-ジメチルホルムアミド(20.00mL)溶液に(R)-3-メチルモルホリン(2.38g、23.51mmol、2eq)、炭酸カリウム(3.25g、23.51mmol、63.60μL、2eq)を加え、次に、130℃で、窒素ガスの雰囲気で18時間撹拌した。反応系を水(60mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:0%~20%)により精製して化合物1-Bを得た。
MS-ESI m/z:339.0 [M + H]+。
【0109】
ステップ2:化合物1-Cの合成
化合物1-B(0.75g、2.22mmol、1eq)、1,4-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール(258.16mg、2.66mmol、1.2eq)及び炭酸カリウム(918.48mg、6.65mmol、3eq)のN,N-ジメチルアセトアミド(2mL)溶液に醋酸パラジウム(34.81mg、155.06μmol、0.07eq)及びトリサイクロヘキシルホスフィン(93.18mg、332.28μmol、107.72μL、0.15eq)を加え、窒素ガスでバブリングし、反応を110℃のマイクロウェーブで1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:8%~50%)により精製して化合物1-Cを得た。
MS-ESI m/z:308.1 [M + H]+。
【0110】
ステップ3:化合物1の合成
1-C(160mg、519.86μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、エチレングリコールジメチルエーテル(5mL)を加え、中間体I(174.82mg、519.86μmol)、炭酸ナトリウムの水溶液(2M、1.82mL)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(42.45mg、51.99μmol)を加え、窒素ガスで2分間バブリングし、マイクロウェーブで110℃に加熱して0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に60mLの水を加え、210mL(70×3)の酢酸エチルで反応溶液抽出し、有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル:20~80%)により分離して化合物1を得た。
MS m/z: 408.2 [M+H]+
【0111】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.37 (br d, J=6.27 Hz, 3 H) 2.42 (s, 3 H) 3.27 - 3.40 (m, 1 H) 3.67 (br t, J=10.92 Hz, 1 H) 3.84 (br s, 2 H) 4.00 - 4.13 (m, 5 H) 4.38 (br d, J=4.02 Hz, 1 H) 6.46 (br s, 1 H) 7.08 (br s, 1 H) 7.14 (br s, 1 H) 7.54 (br s, 1 H) 8.40 (br s, 1 H) 8.85 (br s, 1 H)。
【0112】
実施例2
【0113】
【0114】
【0115】
ステップ1:化合物2-Bの合成
化合物2-A(1.5g、9.20mmol)、(R)-3-メチルモルホリン(977.31mg、9.66mmol)の1-メチル-2-ピロリドン(10mL)の溶液に炭酸ナトリウム(1.27g、11.96mmol)を加え、反応を210℃のマイクロウェーブで2時間撹拌した後、更に220℃に昇温させて3×2時間撹拌した後、(2つのバッチで反応に加える)、反応溶液に水(100mL)を加えて希釈し、水相を酢酸エチル(70mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相をそれぞれ水(40mL×3)及び飽和食塩水(80mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、有機相を濃縮させて粗生成物を得、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:10%~35%)により精製して化合物2-Bを得た。
MS-ESI m/z:227.9 [M + H]+。
【0116】
ステップ2:化合物2-Cの合成
化合物2-B(0.95g、4.17mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)の溶液にN,N-ジメチルアセトアミドジメチルアセタール(2.22g、16.69mmol)を加え、反応を100℃で1時間撹拌した後、減圧濃縮して粗生成物化合物2-Cを得た。
MS-ESI m/z:297.1 [M + H]+。
【0117】
ステップ3:化合物2-Dの合成
化合物2-C(1.3g、4.38mmol)、アセチルヒドラジド(1.62g、21.90mmol)に氷酢酸(15mL)を加え、反応を100℃に昇温させて1.5時間撹拌した。反応溶液を飽和炭酸ナトリウムでpH=7~8に調節し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機相を減圧濃縮して粗生成物を得、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:30%~100%)により精製して化合物2-Dを得た。
MS-ESI m/z:307.9 [M + H]+。
【0118】
ステップ4:化合物2の合成
2-D(210mg、682.31μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、エチレングリコールジメチルエーテル(2mL)を加え、中間体I(269.94mg、682.31μmol)、炭酸ナトリウムの水溶液(2M、2.39mL)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(55.72mg、68.23μmol)を加え、窒素ガスで2分間バブリングし、マイクロウェーブで110℃に加熱して0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム1回洗浄し、有機相を酢酸エチル150mL(50×3)で抽出し、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン:0~20%)により分離して化合物2を得、更に分取クロマトグラフィーカラム(Phenomenex Gemini-NX 80×30mm×3μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3)-ACN];ACN%:20%~50%、9分)により精製して化合物2を得た。MS m/z: 408.1[M+H]+。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.37 (d, J=6.78 Hz, 3 H) 2.42 (s, 6 H) 3.35 (td, J=12.61, 3.64 Hz, 1 H) 3.67 (td, J=11.80, 3.01 Hz, 1 H) 3.78 - 3.89 (m, 2 H) 4.02 - 4.11 (m, 2 H) 4.33 (br d, J=7.03 Hz, 1 H) 6.32 (s, 1 H) 7.02 - 7.09 (m, 2 H) 7.58 (t, J=2.76 Hz, 1 H) 8.42 (s, 1 H) 9.25 (br s, 1 H)。
【0119】
実施例3
【0120】
【0121】
【0122】
ステップ1:化合物3-Cの合成
3-A(500mg、3.16mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(10mL)及び水(1mL)を加えた。化合物3-B(866.96mg、3.16mmol)、炭酸ナトリウム(838.54mg、7.91mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(155.49mg、221.52μmol)を加え、窒素ガスで2分間バブリングし、マイクロウェーブで110℃に加熱して0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に60mLの水を加え、210mL(70×3)の酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~10%)により分離して化合物3-Cを得た。MS m/z: 224.8/226.7 [M+H]+。
【0123】
ステップ2:化合物3-Dの合成
化合物3-C(370mg、1.64mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、(R)-3-メチルモルホリン(498.83mg)を加え、マイクロウェーブで200℃に加熱して1時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~30%)により分離して化合物3-Dを得た。MS m/z:289.9 [M + H]+。
【0124】
ステップ3:化合物3の合成
化合物3-D(414.1mg、1.43mmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、中間体I(624.77mg、1.86mmol)、炭酸ナトリウムの水溶液(2M、2.14mL)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(58.35mg、71.46μmol)を加えた。80℃に加熱し、16時間反応させた後温度を25℃の室温に冷却させ、フッ化テトラエチルアンモニウム水和物(239.04mg、1.43mmol)を加えて2時間撹拌した。ドットプレートで反応の完了をモニタリングした。反応完了後、反応溶液に60mLの水を加えた。反応溶液を珪藻土で濾過し、濾液を210mL(70×3)の酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル:10~50%)により分離し、更に分取クロマトグラフィーカラム(Phenomenex Gemini-NX 80×30mm×3μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3)-ACN];ACN%:37%~67%、9分)により精製して化合物3を得た。MS m/z: 390.0[M+H]+。
【0125】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.74 (br d, J=4.6 Hz, 1H), 8.65 (br s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.86 - 7.78 (m, 2H), 7.69 (d, J=2.3 Hz, 1H), 7.49 (t, J=2.8 Hz, 1H), 7.37 - 7.30 (m, 2H), 7.07 (br s, 1H), 4.57 (br d, J=6.6 Hz, 1H), 4.07 (br d, J=2.5 Hz, 1H), 4.04 (d, J=3.0 Hz, 1H), 3.83 (d, J=1.4 Hz, 2H), 3.67 (dt, J=2.6, 11.6 Hz, 1H), 3.38 (dt, J=3.8, 12.6 Hz, 1H), 1.36 (d, J=6.8 Hz, 3H)。
【0126】
実施例4
【0127】
【0128】
【0129】
ステップ1:化合物4-Cの合成
4-A(500mg、2.91mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(10mL)及び水(1mL)を加えた。3-B(875.89mg、3.20mmol)、炭酸ナトリウム(924.21mg、8.72mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(142.81mg、203.46μmol)を加え、窒素ガスで2分間パージし、マイクロウェーブで110℃に加熱して0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に60mLの水を加え、210mL(70×3)の酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~5%)により分離して化合物4-Bを得た。MS m/z: 238.87[M+H]+。
【0130】
ステップ2:化合物4-Cの合成
化合物4-B(600mg、2.51mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、(R)-3-メチルモルホリン(761.45mg、7.53mmol)を加え、マイクロウェーブで200℃に加熱して1時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~25%)により分離して化合物4-Cを得た。MS m/z:303.9 [M + H]+。
【0131】
ステップ3:化合物4の合成
化合物4-C(682.1mg、2.25mmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、中間体I(981.59mg、2.92mmol)、炭酸ナトリウムの水溶液(2M、3.37mL)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(91.68mg、112.27μmol)を加えた。80℃に加熱して16時間反応させた後、保護基が完全に除去されず、約20℃の室温に冷却させ、フッ化テトラエチルアンモニウム水和物(375.57mg、2.25mmol)を加えて2時間撹拌した。ドットプレートで反応の完了をモニタリングした。反応完了後、反応溶液を珪藻土で濾過し、濾液を直接に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル:10~60%)により分離して化合物4を得た。MS m/z:404.1 [M + H]+。
【0132】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.79 (br s, 1H), 8.55 (d, J=4.1 Hz, 1H), 8.33 (s, 1H), 7.63 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.46 (t, J=2.8 Hz, 1H), 7.31 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.24 (d, J=4.9 Hz, 1H), 7.04 (br s, 1H), 6.74 (s, 1H), 4.50 (br d, J=6.6 Hz, 1H), 4.08 - 3.92 (m, 2H), 3.81 (s, 2H), 3.65 (dt, J=2.9, 11.7 Hz, 1H), 3.35 (dt, J=3.6, 12.5 Hz, 1H), 2.45 (s, 3H), 1.34 (d, J=6.6 Hz, 3H)
【0133】
実施例5
【0134】
【0135】
【0136】
ステップ1:化合物5-Bの合成
1-B(300mg、886.08μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(3mL)及び水(0.3mL)を加えた。5-A(201.83mg、974.68μmol)、炭酸ナトリウム(281.74mg、2.66mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(43.54mg、62.03μmol)を加え、窒素ガスで2分間バブリングし、マイクロウェーブで100℃に加熱して1時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を減圧して乾燥させた後、試料を撹拌して精製した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~25%)により分離して化合物5-Bを得た。MS m/z:291.9 [M + H]+。
【0137】
ステップ2:化合物5の合成
化合物5-B(158.9mg、544.60μmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、中間体I(238.08mg、707.98μmol)、炭酸ナトリウムの水溶液(2M、816.90μL)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(31.13mg、38.12μmol)を加えた。100℃に加熱して16時間反応させた。反応完了後、反応溶液を珪藻土で濾過し、濾液を直接に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン:10~60%)により分離して化合物5を得た。MS m/z: 392.0[M+H]+。
【0138】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.48 (br s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.49 (t, J=2.7 Hz, 1H), 7.08 (br s, 1H), 6.78 (s, 1H), 6.60 (s, 1H), 6.40 (br d, J=1.8 Hz, 1H), 6.23 (t, J=3.1 Hz, 1H), 4.41 (br d, J=7.0 Hz, 1H), 4.09 - 3.97 (m, 2H), 3.83 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.72 - 3.61 (m, 1H), 3.32 (dt, J=3.6, 12.6 Hz, 1H), 1.34 (d, J=6.6 Hz, 3H)
【0139】
実施例6
【0140】
【0141】
【0142】
ステップ1:化合物6-Aの合成
化合物1-B(800mg、2.36mmol、1eq)、1-メチル-1,2,3-トリアゾール(294.50mg、3.54mmol、1.5eq)及び酢酸カリウム(436.79mg、4.73mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に醋酸パラジウム(53.05mg、236.29μmol、0.1eq)及びトリシクロヘキシルホスフィン(132.52mg、472.57μmol、0.2eq)を加え、窒素ガスでバブリングし、反応を120℃のマイクロウェーブで1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:70%~90%)により精製して化合物6-Aを得た。
MS-ESI m/z:295.1 [M + H]+。
【0143】
ステップ2:化合物6の合成
6-A(500mg、1.70mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(5mL)及び水(0.5mL)を加え、中間体I(572.40mg、1.70mmol)、炭酸ナトリウム(451.02mg、4.26mmol)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(139.00mg、170.21μmol)を加え、窒素ガスで3回置換し、80℃で12時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル:50~90%)により分離して化合物6を得た。
MS m/z: 394.1 [M+H]+
【0144】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.69 (br s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.54 (t, J=2.9 Hz, 1H), 7.23 (dd, J=0.9, 3.1 Hz, 1H), 7.06 (t, J=2.1 Hz, 1H), 6.55 (d, J=1.0 Hz, 1H), 4.43 (br d, J=7.3 Hz, 1H), 4.19 (s, 3H), 4.11 - 3.97 (m, 2H), 3.88 - 3.78 (m, 2H), 3.67 (dt, J=3.0, 11.8 Hz, 1H), 3.35 (dt, J=3.9, 12.6 Hz, 1H), 1.37 (d, J=6.8 Hz, 3H)
【0145】
実施例7
【0146】
【0147】
【0148】
ステップ1:化合物7-Bの合成
1-B(300mg、886.08μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(2mL)及び水(0.2mL)を加えた。7-A(213.54mg、974.68μmol)、炭酸ナトリウム(281.74mg、2.66mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(64.83mg、88.61μmol)を加え、窒素ガスで2分間パージし、マイクロウェーブで100℃に加熱して1.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を減圧して乾燥させた後、試料を撹拌して精製した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:10~40%)により分離して化合物7-Bを得た。MS m/z:303.9 [M + H]+。
【0149】
ステップ2:化合物7の合成
化合物7-B(274mg、901.95μmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、中間体I(454.97mg、1.35mmol)、炭酸ナトリウムの水溶液(2M、1.35mL)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(51.56mg、63.14μmol)を加えた。窒素ガスで3回置換し、80℃に加熱して16時間反応させた。反応完了後、反応溶液を室温に冷却させ、反応溶液に40mLの水を加え、150mL(50×3)の酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン:10~50%)により分離して化合物7を得た。MS m/z: 404.1[M+H]+。
【0150】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.70 - 8.55 (m, 2H), 8.38 (s, 1H), 7.72 (br d, J=6.9 Hz, 1H), 7.52 (br s, 1H), 7.33 (br s, 1H), 7.18 (br d, J=2.3 Hz, 1H), 7.09 (br s, 1H), 6.49 (s, 1H), 4.40 (br d, J=6.6 Hz, 1H), 4.09 - 3.98 (m, 2H), 3.83 (s, 2H), 3.73 - 3.62 (m, 1H), 3.39 - 3.28 (m, 1H), 2.68 (s, 3H), 1.36 (br d, J=6.8 Hz, 3H)
【0151】
実施例8
【0152】
【0153】
【0154】
工程1:化学物1-Bの合成
1-B(300mg、886.08μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(2mL)及び水(0.2mL)を加えた。8-A(212.58mg、974.68μmol)、炭酸ナトリウム(281.74mg、2.66mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(64.83mg、88.61μmol)を加え、窒素ガスで2分間バブリングし、マイクロウェーブで100℃に加熱して1.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を減圧して乾燥させた後、試料を撹拌して精製した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:5~20%)により分離して化合物8-Bを得た。MS m/z:302.9 [M + H]+。
【0155】
ステップ2:化合物8の合成
化合物8-B(285mg、941.22μmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、中間体I(474.78mg、1.41mmol)、炭酸ナトリウムの水溶液(2M、1.41mL)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(53.80mg、65.89μmol)を加えた。窒素ガスで3回置換し、80℃に加熱して16時間反応させた。反応完了後、反応溶液に40mLの水を加え、150mL(50×3)の酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン:10~50%)により分離して化合物8を得た。MS m/z: 403.1[M+H]+。
【0156】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.49 (br s, 1H), 7.30 (br d, J=7.9 Hz, 6H), 7.20 (br s, 1H), 7.06 - 6.87 (m, 1H), 6.58 (br s, 1H), 4.42 (br s, 1H), 4.12 - 4.02 (m, 2H), 3.85 (br s, 2H), 3.72 (br s, 1H), 3.39 (br s, 1H), 2.38 (s, 3H), 1.38 (br d, J=5.5 Hz, 3H)。
【0157】
実施例9
【0158】
【0159】
【0160】
ステップ1:化合物9-Aの合成
化合物1-B(300mg、886.08μmol、1eq)、3,5-ジメチルピラゾール-4-ボロン酸ピナコールエステル(216.47mg、974.68μmol、1.1eq)、炭酸ナトリウム(140.87mg、1.33mmol、664.56μL、1.5eq)及び1,4-ジオキサン(3mL)溶液に[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(64.83mg、88.61μmol、0.1eq)を加え、窒素ガスでバブリングし、反応をマイクロウェーブで、100℃で1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:50%~60%)により精製して化合物9-Aを得た。
MS-ESI m/z:306.9 [M + H]+。
【0161】
ステップ2:化合物9の合成
7-A(200mg、651.91μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(3mL)及び水(0.3mL)を加え、I(438.45mg、1.30mmol)、炭酸ナトリウム(172.74mg、1.63mmol)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(53.24mg、65.19μmol)を加え、窒素ガスで2分間バブリングし、マイクロウェーブで110℃に加熱して1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル:70~90%)により分離して化合物9を得た。
MS m/z: 407.1 [M+H]+
【0162】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 12.45 (br s, 1H), 11.74 (br s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.93 - 7.57 (m, 1H), 6.99 (d, J=2.0 Hz, 1H), 6.82 (br s, 1H), 6.61 (s, 1H), 4.38 (br s, 1H), 4.18 - 3.90 (m, 2H), 4.17 - 3.89 (m, 1H), 3.79 - 3.70 (m, 1H), 3.69 - 3.63 (m, 1H), 3.57 - 3.47 (m, 1H), 2.29 (br d, J=19.6 Hz, 6H), 1.19 (br d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0163】
実施例10
【0164】
【0165】
【0166】
ステップ1:化合物10-Bの合成
10-A(300mg、1.48mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(3mL)及び水(0.3mL)を加えた。3-B(445.99mg、1.63mmol)、炭酸ナトリウム(470.60mg、4.44mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(72.72mg、103.60μmol)を加え、窒素ガスで2分間パージし、マイクロウェーブで110℃に加熱して0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に60mLの水を加え、210mL(70×3)の酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~20%)により分離して化合物10-Bを得た。MS m/z:268.8 [M + H]+。
【0167】
ステップ2:化合物10-Cの合成
化合物10-B(300mg、1.11mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、(R)-3-メチルモルホリン(112.75mg、1.11mmol)を加え、マイクロウェーブで200℃に加熱し2時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を減圧して乾燥させ、ほとんどの(R)-3-メチルモルホリンを減圧して除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~30%)により分離して化合物10-Cを得た。MS m/z:333.9 [M + H]+。
【0168】
ステップ3:化合物10の合成
化合物10-C(300mg、898.71μmol)を1,4-ジオキサン(3mL)に溶解させ、中間体I(453.33mg、1.35mmol)、炭酸ナトリウムの水溶液(2M、1.35mL)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(73.39mg、89.87μmol)を加えた。窒素ガスで3回置換し、100℃に加熱して16時間反応させた後、温度を約40℃の室温に冷却させ、フッ化テトラエチルアンモニウム水和物(150.32mg、898.71μmol)を加えて2時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に60mLの水を加えた。210mL(70×3)の酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン:0~40%)により分離して化合物10を得た。MS m/z: 434.1[M+H]+。
【0169】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.80 (br s, 1H), 8.33 (br s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.51 (br s, 1H), 7.16 (d, J=2.3 Hz, 1H), 7.05 (br s, 1H), 6.69 (s, 1H), 6.50 (s, 1H), 4.40 (br d, J=6.0 Hz, 1H), 4.10 - 4.03 (m, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.84 (s, 2H), 3.74 - 3.63 (m, 1H), 3.41 - 3.27 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 1.36 (d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0170】
実施例11
【0171】
【0172】
【0173】
ステップ1:化合物1-Cの合成
1-B(500mg、1.48mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(6mL)及び水(0.6mL)を加えた。11-A(315.21mg、1.62mmol)、炭酸ナトリウム(469.58mg、4.43mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(75.64mg、103.38μmol)を加え、窒素ガスで2分間パージし、マイクロウェーブで110℃に加熱して0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に40mLの水を加え、150mL(50×3)の酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:0~30%)により分離して化合物11-Bを得た。MS m/z:278.9 [M + H]+。
【0174】
ステップ2:化合物11-Cの合成
化合物11-B(615mg、2.21mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(10mL)及び水(1mL)を加え、中間体I(964.56mg、2.87mmol)、炭酸ナトリウム(701.56mg、6.62mmol)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(126.13mg、154.45μmol)を加えた。窒素ガスで2分間バブリングし、110℃に加熱して1時間反応させた。反応完了後、反応溶液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧して乾燥させ、粗生成物化合物11-Cを得た。MS m/z: 535.2[M+H]+。
【0175】
ステップ3:化合物11の合成
化合物11-C(1.02g、1.91mmol)を1,4-ジオキサン(20mL)に溶解させ、フッ化テトラエチルアンモニウム水和物(319.05mg、1.91mmol)を加え、40℃に加熱して2時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に40mLの水を加え、150mL(50×3)の酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン:10~50%)により分離して化合物11を得た。MS m/z:379.0 [M + H]+。
【0176】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 13.09 (br s, 1H), 11.76 (br s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.90 - 7.79 (m, 1H), 7.75 (t, J=2.8 Hz, 1H), 7.53 (br s, 1H), 7.14 (s, 1H), 6.93 (d, J=2.3 Hz, 1H), 6.79 (br s, 1H), 4.48 (br d, J=6.5 Hz, 1H), 4.02 - 3.91 (m, 2H), 3.79 - 3.72 (m, 1H), 3.72 - 3.65 (m, 1H), 3.53 (dt, J=2.8, 11.7 Hz, 1H), 3.17 - 3.16 (m, 1H), 1.20 (d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0177】
実施例12
【0178】
【0179】
【0180】
ステップ1:化合物12-Bの合成
1-B(500mg、1.48mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(5mL)及び水(0.5mL)を加えた。12-A(458.37mg、1.62mmol)、炭酸ナトリウム(469.58mg、4.43mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(75.64mg、103.38μmol)を加え、窒素ガスで2分間パージし、マイクロウェーブで110℃に加熱して0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に40mLの水を加え、150mL(50×3)の酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:5~30%)により分離して化合物12-Bを得た。MS m/z:366.9 [M + H]+。
【0181】
ステップ2:化合物12-Cの合成
化合物12-B(1.36mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(5mL)及び水(0.5mL)を加え、中間体I(595.82mg、1.77mmol)、炭酸ナトリウム(433.36mg、4.09mmol)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(111.30mg、136.29μmol)を加えた。窒素ガスで2分間パージし、110℃に加熱して1時間反応させた。反応完了後、反応溶液を珪藻土で濾過して濾液を得、減圧して乾燥させ、粗生成物化合物12-Cを得た。MS m/z: 623.2[M+H]+。
【0182】
ステップ3:化合物12の合成
化合物12-C(1.19g、1.91mmol)を1,4-ジオキサン(20mL)に溶解させ、フッ化テトラエチルアンモニウム水和物(319.05mg、1.91mmol)を加え、40℃に加熱して2時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に50mLの水を加え、150mL(50×3)の酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濾液を得、更に減圧して乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン:10~60%)により分離して化合物12を得た。 MS m/z:467.1 [M + H]+。
【0183】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 11.79 (br s, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.10 - 8.01 (m, 4H), 7.77 (br s, 1H), 7.36 (br s, 1H), 7.07 (s, 1H), 6.82 (br s, 1H), 4.56 (br d, J=6.1 Hz, 1H), 4.08 (br d, J=12.3 Hz, 1H), 3.98 (br d, J=8.9 Hz, 1H), 3.81 - 3.73 (m, 1H), 3.72 - 3.65 (m, 1H), 3.54 (br t, J=10.8 Hz, 1H), 3.28 (s, 3H), 3.24 - 3.15 (m, 1H), 1.23 (br d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0184】
実施例13
【0185】
【0186】
【0187】
ステップ1:化合物13-Aの合成
化合物1-B(300mg、886.08μmol、1eq)、1,3-ジメチルピラゾール-4-ボロン酸ピナコールエステル(216.47mg、974.68μmol、1.1eq)及び炭酸ナトリウム(140.87mg、1.33mmol、664.56μL、1.5eq)1,4-ジオキサン(3mL)溶液に[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(64.84mg、88.61μmol、0.1eq)を加え、窒素ガスでバブリングし、反応をマイクロウェーブで、100℃で1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:50%~70%)により精製して化合物13-Aを得た。
MS-ESI m/z:306.9 [M + H]+。
【0188】
ステップ2:化合物13の合成
13-A(170mg、554.13μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(3mL)及び水(0.3mL)を加え、中間体I(372.69mg、1.11mmol)、炭酸ナトリウム(146.83mg、1.39mmol)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(45.25mg、55.41μmol)を加え、窒素ガスで2分間パージし、マイクロウェーブで110℃に加熱して1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応溶液にフッ化テトラエチルアンモニウム水和物(139.03mg、831.19umol)を加え、25℃で2時間撹拌した。反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル:50~70%)により分離して化合物13を得た。
MS m/z: 407.1 [M+H]+。
【0189】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 11.76 (br s, 1H), 8.37 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.76 (br s, 1H), 7.15 (d, J=2.0 Hz, 1H), 6.81 (br s, 1H), 6.76 (s, 1H), 4.44 (br d, J=6.0 Hz, 1H), 4.02 - 3.92 (m, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.78 - 3.72 (m, 1H), 3.71 - 3.65 (m, 1H), 3.58 - 3.48 (m, 1H), 3.15 (dt, J=3.5, 12.7 Hz, 1H), 2.38 (s, 3H), 1.20 (d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0190】
実施例14
【0191】
【0192】
【0193】
ステップ1:化合物14-Aの合成
化合物1-B(300mg、886.08μmol、1eq)、1,4-ジメチルピラゾール-5-ボロン酸ピナコールエステル(216.47mg、974.68μmol、1.1eq)及び炭酸ナトリウム(140.87mg、1.33mmol、664.56μL、1.5eq)、1、4-ジオキサン(3mL)溶液に[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(64.83mg、88.61μmol、0.1eq)を加え、窒素ガスでバブリングし、反応をマイクロウェーブで、100℃で1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:40%~70%)により精製して化合物14-Aを得た。
MS-ESI m/z:306.9 [M + H]+。
【0194】
ステップ2:化合物14の合成
1-B(230mg、749.70μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(3mL)及び水(0.3mL)を加え、中間体I(504.22mg、1.5mmol)、炭酸ナトリウム(198.65mg、1.87mmol)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(61.22mg、74.97μmol)を加え、窒素ガスで2分間パージし、マイクロウェーブで110℃に加熱して1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応溶液にフッ化テトラエチルアンモニウム水和物(188.10mg、1.12mmol)を加え、25℃で2時間撹拌した。反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/石油エーテル:50~70%)により分離して化合物14を得た。
MS m/z: 407.1 [M+H]+。
【0195】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 11.81 (br s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.78 (t, J=2.8 Hz, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.05 (d, J=2.3 Hz, 1H), 6.84 (br s, 1H), 6.78 (s, 1H), 4.44 (br d, J=6.5 Hz, 1H), 4.06 (br d, J=12.0 Hz, 1H), 3.97 (br dd, J=3.0, 11.0 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.78 - 3.72 (m, 1H), 3.71 - 3.65 (m, 1H), 3.53 (dt, J=2.8, 11.8 Hz, 1H), 3.17 (dt, J=3.6, 12.7 Hz, 1H), 2.07 (s, 3H), 1.22 (d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0196】
実施例15
【0197】
【0198】
【0199】
ステップ1:化合物15-Aの合成
化合物1-B(300mg、886.08μmol、1eq)、I(202.80mg、974.68μmol、1.1eq)及び炭酸ナトリウム(140.87mg、1.33mmol、664.56μL、1.5eq)の1,4-ジオキサン(3mL)溶液に[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(64.83mg、88.61μmol、0.1eq)を加え、窒素ガスでバブリングし、反応をマイクロウェーブで、100℃で1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:40%~50%)により精製して化合物15-Aを得た。
MS-ESI m/z:292.9 [M + H]+。
【0200】
ステップ2:化合物15の合成
15-A(150mg、512.36μmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(3mL)及び水(0.3mL)を加え、中間体I(172.30mg、512.36μmol)、炭酸ナトリウム(135.76mg、1.28mmol)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(41.84mg、51.24μmol)を加え、窒素ガスで2分間パージし、マイクロウェーブで110℃に加熱して1時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応溶液にフッ化テトラエチルアンモニウム水和物(128.55mg、768.54μmol)を加え、25℃で2時間撹拌した。反応系を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン:50~60%)により分離して化合物15を得た。
MS m/z: 393.1 [M+H]+。
【0201】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 11.80 (br s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.78 (t, J=2.8 Hz, 1H), 7.53 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.17 (d, J=2.0 Hz, 1H), 6.87 (s, 1H), 6.82 (br s, 1H), 6.60 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.49 (br d, J=6.5 Hz, 1H), 4.08 - 3.99 (m, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.80 - 3.73 (m, 1H), 3.72 - 3.64 (m, 1H), 3.53 (dt, J=2.6, 11.6 Hz, 1H), 3.18 (dt, J=3.5, 12.7 Hz, 1H), 1.22 (d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0202】
実施例16
【0203】
【0204】
【0205】
ステップ1:化合物1-Bの合成
化合物1-B(500mg、1.48mmol、1eq)、3,5-ジメチルイソキサゾール-4-ボロン酸ピナコールエステル(362.38mg、1.62mmol、1.1eq)及び炭酸ナトリウム(234.79mg、2.22mmol、1.11mL、1.5eq)、1,4-ジオキサン(8mL)溶液に[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(108.06mg、147.68μmol、0.1eq)を加え、窒素ガスで3回置換し、反応を90℃で12時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応系を水(40mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:0%~20%)により精製して化合物16-Aを得た。
MS-ESI m/z:307.9 [M + H]+。
【0206】
ステップ2:化合物16の合成
16-A(370mg、1.2mmol)をマイクロウェーブ反応器に置き、1,4-ジオキサン(5mL)及び水(0.5mL)を加え、I(727.69mg、2.16mmol)、炭酸ナトリウム(318.54mg、3.01mmol)及び[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン錯体(98.17mg、120.22μmol)を加え、窒素ガスで3回置換し、80℃で12時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、反応溶液にフッ化テトラエチルアンモニウム水和物(301.62mg、1.80mmol)を加え、25℃で2時間撹拌した。反応系を水(40mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL×3)で洗浄し、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去した後、減圧して溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:50~75%)により分離して化合物16を得た。
MS m/z: 408.1 [M+H]+。
【0207】
1H NMR (400MHz, CHLOROFORM-d) δ 9.18 (br s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.53 (t, J=2.6 Hz, 1H), 7.11 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.07 (br s, 1H), 6.43 (s, 1H), 4.38 (br d, J=6.8 Hz, 1H), 4.10 - 3.97 (m, 2H), 3.88 - 3.74 (m, 2H), 3.67 (dt, J=3.0, 11.8 Hz, 1H), 3.32 (dt, J=3.6, 12.6 Hz, 1H), 2.51 (s, 3H), 2.37 (s, 3H), 1.35 (d, J=6.8 Hz, 3H)。
【0208】
実験例1:体外細胞活性実験
IC50値を測定することによって、ヒトATRキナーゼに対する試験化合物の阻害活性を評価した。
【0209】
ATR/ATRIP(h)を50nMのGST-cMyc-p53及びMg/ATP(10μM)を含む試験緩衝液で培養した。Mg/ATP混合物を加えて反応を開始させた。室温で30分間培養させた後、EDTAを含む停止溶液を加えて反応を停止させた。最後に、d2標識の抗GSTモノクローナル抗体を含む試験緩衝液及び抗リン酸化p53のユーロピウム標識の抗リン酸Ser15抗体を加えた。次に、プレートを時間分解蛍光モードで読み取り、均一な時間分解が実行された。
【0210】
式:HTRF=10000×(Em665nm/Em620nm)に従って蛍光(HTRF)シグナルを決定した。
【0211】
【0212】
実験結果は、本発明の化合物がATR酵素に対して強い阻害活性を有していることを示した。
【0213】
実験例2:体外細胞活性実験
本実験では、腫瘍細胞株LoVoにおける体外細胞活性に対する化合物の効果を検出することにより、細胞増殖に対する化合物の阻害効果を研究した。
【0214】
CellTiter-Glo発光法による細胞活性を検出した。
【0215】
以下の手順は、PromegaCellTiter-Glo発光細胞活性検出キット(Promega-G7573)の説明書に従って実行した。
(1)CellTiter-Glo緩衝液を溶かして室温に放置した。
(2)CellTiter-Glo基質を室温に放置した。
(3)1本のCellTiter-Glo基質にCellTiter-Glo緩衝液を加えて基質を溶解させ、CellTiter-Glo作業液を製造した。
(4)ゆっくりとボルテックスして完全に溶解させた。
(5)細胞培養プレートを取り出し、30分間放置して室温に平衡化させた。
(6)各ウェルに50μL(各ウェルの細胞培地の半分の体積に相当する)のCellTiter-Glo作業液を加えた。光を避けるために細胞プレートをアルミ箔で包んだ。
(7)培養プレートをオービタルシェーカーで2分間振とうして、細胞溶解を誘導した。
(8)発光信号を安定させるために、培養プレートを室温で10分間放置した。
(9)SpectraMax i3x of Molecular Devicesプレートリーダーで発光信号を検出した。
【0216】
データ分析
下記の式で試験化合物の阻害率(Inhibition rate、IR)を計算した。IR(%)=(1-(RLU化合物-RLUブランク対照群)/(RLU溶媒対照群-RLUブランク対照群))×100%。Excelで異なる濃度の化合物の阻害率を計算し、GraphPad Prismソフトウェアを使用して阻害曲線図を作成し、最小阻害率、最大阻害率及びIC50を含む関連パラメータを計算した。
【0217】
実験結果は表2に示された通りである。
【0218】
【0219】
実験結果は、本発明の化合物が、ATM信号経路が欠損したLoVo腫瘍細胞に対して、優れた阻害効果を有していることを示した。
【0220】
実験例3:体内薬物動態特性研究
試験試料:上記実験に基づいて、化合物1を選択して更に実験を実行した。
【0221】
実験方法:本研究の目的は、化合物1の薬物動態パラメーターを測定し、メスのBalb/c Nudeマウスにおけるその経口バイオアベイラビリティーを計算することである。本プロジェクトでは4匹のメスBalb/c Nudeマウスを使用し、2匹のマウスを1mg/kgの投与量で静脈内投与し、0時間(投与前)及び投与後0.0833、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取し、他の2匹のマウスは10mg/kg又は25mg/kgの投与量で胃内投与し、0時間(投与前)及び投与後0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルは採取し、次に、採取した試料をLC/MS/MSで分析し、データを収集し、収集したデータをPhoenix WinNonlin 6.2.1ソフトウェアを使用して関連薬物動態パラメータを計算した。
【0222】
実験結果は表3に示された通りである。
【0223】
【0224】
注:C0(nM)は、0分での体内の薬物濃度であり、Cl(mL/min/kg)は、体内の薬物クリアランスであり、Vdss(L/kg)は、体内の薬物の分布容積であり、T1/2(h)は、半減期であり、AUC0-t(nM.h)は、体内の薬物曝露量であり、Cmax(nM)は、体内の最大薬物濃度である。
【0225】
実験結論:本発明の化合物は、良好な曝露量及びバイオアベイラビリティなどの体内薬物動態性質を有している。
【0226】
実験例4:ヒト胃癌細胞SNU-601 CDXの体内有効性研究
試験目的:
本研究の主な目的は、ヒト胃癌細胞SNU-601の異種移植腫瘍モデルにおける試験化合物の抗腫瘍効果を研究することである。
【0227】
実験方法:
1.実験動物
種:マウス
系統:CB17 SCIDマウス
サプライヤー:Huafukang Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.
週齢:6~8週齢
性別:メス
【0228】
2.細胞の培養
ヒト胃癌SNU-601細胞は、KCLB(カタログ番号:00601)から供給され、HD Biosciences(Shanghai)Co.,Ltd.で維持及び継代培養された。体外培養条件は、RPMI1640培地(300mg/LのL-グルタミンを含む)に10%のウシ胎児血清、25mMのHEPES及び25mMの炭酸水素ナトリウムを加え、37℃で5%のCO2インキュベーターで培養し、週に2~3回継代培養した。細胞の数が要件に達した場合、細胞を収集し、カウントした。0.2mL(5x106個)のSNU-601細胞(DPBS:Matrigel=1:1に再懸濁した)を各マウスの右背部に皮下接種し、平均腫瘍体積が147.61mm3に達した時点で群分け投与を開始した。
【0229】
3.試験化合物の投与量
投与量:化合物1を15mg/kg(3日間投与、4日間中断)、10mg/kg(3日間投与、4日間中断)、5mg/kg(連続投与)の3つの投与量で経口投与した。
【0230】
4.腫瘍の測定と実験指標
週に3回ノギスで腫瘍の直径を測定した。腫瘍体積の計算式は:V=0.5×a×b2であり、aとbは、それぞれ腫瘍の長径と短径を表す。相対腫瘍体積(RTV)の計算式は、RTV(%)=(Vt/V1)×100であり、動物の体重変化(BWC)の計算式は、BWC(%)=(BWt-BW1)/BW1×100であり、ここで、V1及びBW1は群分け投与当日の特定の動物の腫瘍体積及び体重を指し、Vt及びBWtは特定の時間に測定した特定の動物の腫瘍体積及び体重を指す。
【0231】
化合物の抗腫瘍効果は、TGI(%)又は相対腫瘍増殖率T/C(%)によって評価される。相対腫瘍増殖率T/C(%)=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群の平均RTV;CRTV:陰性対照群の平均RTV)。相対腫瘍体積(relative tumor volume、RTV)は、腫瘍測定の結果から計算され、計算式はRTV=Vt/V1であり、ここで、V1は、群分け投与時(即ち、D1)に測定された腫瘍体積であり、Vtは、特定の測定の腫瘍体積であり、TRTV及びCRTVは同じ日のデータを取った。
【0232】
TGI(%)は、腫瘍増殖阻害率を反映する。TGI(%)=[(1-(特定の治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-当該治療群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群の治療開始時の平均腫瘍体積))×100。
【0233】
実験完了後、腫瘍重量を検出し、Tweight/Cweightパーセンテージを計算し、Tweight及びCweightはそれぞれ投与群と溶媒対照群の腫瘍重量を表す。
【0234】
5.実験結果
本実験では、ヒト胃癌細胞SNU601の異種移植腫瘍モデルを使用して、試験化合物の体内有効性を評価した。全投与期間中、10%以上の体重減少により投与を中止した動物はなく、有効性試験は投与後21日目に終了した。
【0235】
投与後21日目に、溶媒群の腫瘍体積は890.01±184.62mm3に達した。溶媒対照群と比較して、化合物1は、15mg/kg、10mg/kg及び5mg/kgの投与量で所定の抗腫瘍効果を示した。それらの対応する腫瘍体積は、それぞれ108.74±9.67mm3、136.74±14.46mm3及び229.99±24.42mm3であり、腫瘍阻害率TGIはそれぞれ104.81%(p<0.01)、101.08%(p<0.01))及88.61%(p<0.01))であった。
【0236】
全実験期間中、化合物1投与群の動物の体重は有意に減少せず、動物の状態に異常はなかった。
【0237】
結論として、本発明の化合物は、ヒト胃癌SNU-601の異種移植腫瘍の増殖を有意に阻害することができ、マウスに対して比較的忍容性を示した。