(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】水冷式の直管型LED照明具群、およびそれを用いた人工栽培装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/56 20150101AFI20240112BHJP
F21K 9/00 20160101ALI20240112BHJP
F21K 9/275 20160101ALI20240112BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240112BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20240112BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240112BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240112BHJP
【FI】
F21V29/56
F21K9/00 100
F21K9/275
F21S2/00 231
F21S2/00 377
F21V15/01 330
F21V23/00 140
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023552199
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2023001161
【審査請求日】2023-08-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506160215
【氏名又は名称】マイクロコーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】内藤 壮介
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-151078(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0080795(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0061925(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107420859(CN,A)
【文献】特開2016-062776(JP,A)
【文献】特開2009-289504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/56
F21K 9/275
F21K 9/00
F21S 2/00
F21V 15/01
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の口金と、第2の口金と、前記第1の口金および前記第2の口金の間にわたされた直管部材と、前記直管部材内に収められている電子基板と、前記電子基板に多数のLEDチップを配設したLEDライン光源と、前記第1の口金を介して供給された水冷水を前記第2の口金まで受け渡す渡り水冷水導水管と、前記渡り水冷水導水管を流れる前記水冷水により前記LEDライン光源で発生する熱を水冷するLED水冷機構を備えた直管型LED照明具と、
前記直管型LED照明具の前記渡り水冷水導水管と、隣接する他の前記直管型LED照明具の前記渡り水冷水導水管同士との間を漏水させずに通水可能に接続する通水接続構造を備え、
前記渡り水冷水導水管を流れる前記水冷水が複数本の前記直管
型LED照明具の間を通水させることにより水冷する水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項2】
前記第1の口金に設けられた前記渡り水冷水導水管と連通した第1の開口部と、前記第2の口金に設けられた前記渡り水冷水導水管と連通した第2の開口部を備え、
前記通水接続構造が、前記第1の開口部と隣接する前記第2の開口部同士を直結する構造、または、前記第1の開口部と隣接する前記第2の開口部との間を通水可能に接続する接続体を用いた構造である請求項1に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項3】
前記第1の口金を介して供給された電力を前記第2の口金まで受け渡す渡り電圧供給線と、前記渡り電圧供給線から前記LEDライン光源への電力供給を行うLED電圧制御回路を備えた構成であり、
前記直管型LED照明具の前記第1の口金と、隣接する他の前記直管型LED照明具の前記第2の口金同士が相互に機械的に接続でき、かつ、電気的にも前記渡り電圧供給線を介して通電可能に接続できる通電接続構造を備えたことを特徴とする請求項1に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項4】
前記第1の口金を介して供給された電力を前記第2の口金まで受け渡す渡り電圧供給線と、前記渡り電圧供給線から前記LEDライン光源への電力供給を行うLED電圧制御回路を備えた構成であり、
前記接続体が、前記直管型LED照明具の前記第1の口金と、隣接する他の前記直管型LED照明具の前記第2の口金を機械的に接続でき、かつ、電気的にも前記渡り電圧供給線を介して通電可能に接続できる通電接続構造を備えたものであることを特徴とする請求項2に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項5】
複数本の前記直管型LED照明具が、前記通水接続構造および前記通電接続構造により、直列に接続可能であることを特徴とする請求項3に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項6】
複数本の前記直管型LED照明具が、前記通水接続構造および前記通電接続構造により、直列に接続可能であることを特徴とする請求項4に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項7】
複数本の前記直管型LED照明具が、前記通水接続構造および前記通電接続構造により、並列に接続可能であることを特徴とする請求項4に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項8】
複数本の前記直管型LED照明具が、前記通水接続構造および前記通電接続構造により、直列に接続されたセットを複数セット並列に接続する直並列に接続可能であることを特徴とする請求項4に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項9】
複数本の前記直管型LED照明具が、前記通水接続構造および前記通電接続構造により、並列に接続されたセットを複数セット直列に接続する並直列に接続可能であることを特徴とする請求項4に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項10】
前記第1の口金と前記第2の口金同士の前記通電接続構造が、一方が金属製の差し込みピン、他方が金属製のピンホールであり、両者の嵌合により前記通電接続
構造にかかる箇所において通電可能に電気的接点が形成され、通電可能に接続されることを特徴とする請求項5に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項11】
前記接続体を介した前記第1の口金と前記第2の口金同士の前記通電接続構造が、前記第1の口金と前記第2の口金同士の形状が同じであり、前記接続体の前記通電接続構造または前記第1の口金の前記通電接続構造一方が金属製の差し込みピン、他方が金属製のピンホールであり、両者の嵌合により前記通電接続
構造にかかる箇所において通電可能に電気的接点が形成され、通電可能に接続されることを特徴とする請求項6に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項12】
前記第1の口金と前記第2の口金同士の前記通水接続構造が、一方が差し込み口、他方が前記差し込み口を受け入れる径を持つ受け入れ口であり、両者の嵌合により前記通水接続
構造にかかる箇所において通水可能に通水路が形成され、通水可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項13】
前記接続体を介した前記第1の口金と前記第2の口金同士の前記通水接続構造が、前記第1の口金と前記第2の口金同士の形状が同じであり、前記接続体の通水接続構造と前記第1の口金および前記第2の口金との通水接続構造が、一方が差し込み口、他方が前記差し込み口を受け入れる径を持つ受け入れ口であり、両者の嵌合により前記通水接続
構造にかかる箇所において通水可能に通水路が形成され、通水可能に接続されることを特徴とする請求項2に記載の水冷式の直管型LED照明具群。
【請求項14】
人工栽培する植物を収納する人工栽培植物棚と、
前記人工栽培植物棚に対向するように請求項1から13のいずれかに記載の前記水冷式の直管型LED照明具群を配列せしめた水冷式の直管型LED照明具群と、
前記水冷式の直管型LED照明具群の前記渡り電圧供給線に対して電流を供給する電源供給装置と、
前記水冷式の直管型LED照明具群の前記渡り水冷水導水管に対して前記水冷水を供給する水供給装置を用いた人工栽培装置。
【請求項15】
前記電源供給装置がスイッチング回路またはサイリスタ―回路によって供給する前記電流の電流量を制御する電流制御機構を備え、人工栽培する前記植物に応じて電流量を可変調整できることを特徴とする請求項14に記載の水冷式の直管型LED照明具群を用いた人工栽培装置。
【請求項16】
前記水供給装置が水温調整機能付きバルブ機構を備え、人工栽培する前記植物に応じて渡り水冷水導水管へ供給する水の水温を可変調整できることを特徴とする請求項14に記載の水冷式の直管型LED照明具群を用いた人工栽培装置。
【請求項17】
前記水供給装置が循環している前記水冷水の熱を熱交換により吸熱して外部へ熱供給できる熱交換機構を備え、前記水冷式の直管型LED照明具群の各々の直管型LED照明具から前記水冷水により回収した熱を前記熱交換機構から前記人工栽培植物棚へ熱供給して再利用し、前記人工栽培植物棚の温度を制御することを特徴とする請求項14に記載の水冷式の直管型LED照明具群を用いた人工栽培装置。
【請求項18】
前記人工栽培植物棚および前記人工栽培植物棚に対向する前記水冷式の直管型LED照明具群のセットがドーム状の筐体に囲まれ、前記ドーム状の筐体の内壁面が高反射材でコーティングされていることを特徴とする請求項14に記載の水冷式の直管型LED照明具群を用いた人工栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷式の直管型LED照明具群、およびそれを用いた人工栽培装置に関する。特に、冷却に水冷方式を用いた複数の直管型LED照明具を組み上げた直管型LED照明具群、さらにそれらの直管型LED照明具群を配設した人工栽培装置に関する。人工栽培される植物は特に限定されない。
【背景技術】
【0002】
近年、外界の自然光を用いた従来の伝統農法ではなく、屋内で人工照明を利用して植物を育成する植物の人工栽培技術が注目を浴びている。人口栽培では植物種に応じて、青色、赤色、遠赤色など適した波長の光を照射することによって植物の開花を制御したり成長を促進したりすることが可能となってきている。
人工照明の光源としては、近年、高出力のLED素子(発光ダイオード素子)の開発が進み、従来の白色電球による照明や、蛍光灯による照明に代え、いわゆるLED照明具が利用され始めている。特に、白色LED素子は、多数の波長の光を発光するできるため、植物の人工栽培装置用の人工照明として適したものであり、また、LED素子が持つ小型・省電力・長寿命という特性も相まって普及に弾みがついている。また、LED素子は発光する光の波長が比較的そろっており、発熱量が比較的少ないことから、LED素子を多数配列した人工照明装置を人工栽培用の照明器具として使用するが提案されている
【0003】
従来技術において、LED素子を多数並べたLED照明装置を用いた人工栽培装置として提案されたものがある。
特許文献1(特開2013-17397号公報)に開示された植物栽培装置は、
図12に示すように、栽培槽2を載せる載置棚4を有する栽培ラック3と、載置棚4の上方に間隔をおいて配置された直管型LED照明具5とを備えている。栽培ラック3の構造は、多数の垂直支柱8を並べ、垂直支柱8を横同士でつなぐ横部材9でつないで1面の垂直枠7を組み、左右一対の垂直枠7A7B同士を橋梁するように連結部材18で橋梁することで栽培ラック3を形成している。この垂直枠7の垂直支柱8の側面に出っ張りとなる多数の支持部6を突出させ、この支持部6に直管型LED照明具5を取り付けるものである。同公報の0028段にあるように、直管型LED照明具5は、支持部6の受け部32に対してねじ止め、リベット止めなどにより垂直支柱8に固定されることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2015-006165号公報)に開示された植物栽培装置は、
図13に示すように、栽培ラックに直管型LED照明具5が配置されており、直管型LED照明具5は、額縁状の枠15と、枠15に着脱自在に取り付けられた複数のLED灯具16と、LED灯具16の上方に位置するように枠15に着脱自在に取り付けられ、かつ反射面が下方を向いた板状反射部材17を備えている。
直管型LED灯具16は、左右両端部が、水平枠15の左右両枠部材18の灯具受け部21の切り欠き23内に嵌め入れられ、水平枠15に着脱自在に取り付けられた押さえ部材25によって固定されている。そして、LED灯具16の左右両端部が、弾性部材29を介して押さえ部材25により上方からネジ留めされることによって、LED灯具16が固定されている。
【0005】
このように、特許文献1、特許文献2ともに、栽培ラックという構造物が組まれ、その栽培ラックに対して、直管型LED照明具の端部を所定の位置に載置したあとねじ止め、リベット止めなどにより固定することにより、所定位置へ配設し、安定した状態を作り上げている。
【0006】
【文献】特開2013-017397号公報
【文献】特開2015-006165号公報
【文献】特開2008-300158号公報
【文献】特開2010-251114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の直管型LED照明装置における問題点の1つは、直管型LED照明装置で発生する熱の冷却対策である。特に、人工栽培装置のユニットにおいて配設される直管型LED照明具の本数は多量であり、大規模な植物工場などであれば、その人工栽培装置のユニットが多数設置されている。また、害虫の侵入や天候の変化の影響を除去するため、人工栽培装置のユニットの設置は屋内であり外界からは遮断されている。そのため、直管型LED照明装置の熱対策は重要である。特に、夏場は放熱が難しく、冷房装置を用いた冷却は電気コストが高くなるという問題が生じる。この問題は、将来、植物工場における人工栽培装置の普及には大きな足かせになってしまうと懸念されている。
また、従来の直管型LED照明装置における問題点の1つは、1本1本の直管型LED照明具の栽培ラックに対する配設作業の負荷にある。
上記したように、人工栽培装置のユニットにおいて配設される直管型LED照明具の本数が多量であり、大規模な植物工場などであれば、その人工栽培装置のユニットを多数設置する必要があるため、人工栽培装置ユニットの設置費用、植物工場の建設コストが高くなるという問題が生じる。この問題も、将来、植物工場における人工栽培装置の普及には大きな足かせになってしまうと懸念されている。
【0008】
特許文献1に開示された植物栽培装置の熱対策としては、特別な対策は開示されていない。直管型LED照明具5の電子基板や直管を介した放熱によるいわゆる熱伝導と空気放冷(空冷)であり、水冷のように効率的な熱対策が施されていない。
次に、特許文献1に開示された植物栽培装置の配設作業の負荷軽減対策としても、特別な対策は開示されていない。
図12に示すように、垂直枠7の垂直支柱8の側面に多数設けた支持部6に直管型LED照明具を取り付ける必要があるところ、同公報の0028段にあるように、直管型LED照明具5は支持部6の受け部32に対してねじ止め、リベット止めなどにより垂直支柱8に固定される必要があり、1本1本の直管型LED照明具5について相当な作業員の取り付け作業を必要とし、極めて多数本の直管型LED照明具5を複雑に取り付けてゆく作業は、取り付け期間、取り付けコストとも膨大になってしまう。
【0009】
特許文献2に開示された植物栽培装置の熱対策としては、特別な対策は開示されていない。栽培ラックに直管型LED灯具16の電子基板や直管を介した放熱によるいわゆる熱伝導と空気放冷(空冷)であり、水冷のように効率的な熱対策が施されていない。
次に、特許文献2に開示された植物栽培装置の配設作業の負荷軽減対策としても、特別な対策は開示されていない。
図13に示すように、栽培ラックに直管型LED灯具16の配置にあたり、直管型LED灯具16の左右両端部を水平枠15の左右両枠部材18の灯具受け部21の切り欠き23内に嵌め入れ、さらに、LED灯具16の左右両端部を、弾性部材29を介して押さえ部材25により上方からネジ留めされることによって直管型LED灯具16を固定する必要があり、やはり、1本1本の直管型LED灯具16について相当な作業員の取り付け作業を必要とし、極めて多数本の直管型LED灯具16を複雑に取り付けてゆく作業は、取り付け期間、取り付けコストとも膨大になってしまう。
【0010】
なお、従来技術において、一般の機械類で一部採用されている熱対策としては水冷式の熱対策が知られている。従来技術において、直管型LED照明具においても水冷式の熱対策が施されたものが知られている。
例えば、特許文献3(特開2008-300158号公報)に示すものは、冷却液を通過させる薄型のジャケットを用いて冷却するLED等の半導体光源が開示されている。
図14に示すように、光源基板11の導体層13に多数のLED12を搭載し、LED12の発熱を冷却ジャケット15に伝えることで放熱する。
例えば、特許文献4(特開2010-251114号公報)には、水冷式LED照明装置が開示されている。
図15に示すように、ハウジング2と、LEDを光源とする光源ユニット3と、水冷ジャケット20、ラジエータ21、循環ポンプ23及びファン22を備えた水冷ユニット5と、光源ユニット3を点灯制御する制御回路ユニット4を備えた水冷式LED照明装置1が開示されている。
【0011】
しかし、上記の特許文献3や特許文献4に開示された水冷式の水冷式のLED照明装置は、すべて装置単体の筐体内において水冷する冷却装置を搭載したものである。水冷の冷却装置に用いる水は、装置単体の筐体内において繰り返し循環することを前提とするものである。装置単体の筐体外にある部分は循環に必要なポンプ装置をLED照明装置内に収めることが難しいため循環路の一部のみを外部に引き出しているに過ぎない。
仮に、上記の特許文献3や特許文献4に開示された水冷式の水冷式のLED照明装置は装置単体で水冷式の冷却装置が完成しており、たとえ複数のLED照明装置を用いるとしても、上記の特許文献3や特許文献4に開示されたものは独立した水冷機構を各々に搭載した状態で単純に並べるだけで水冷による冷却が前提となっている。
【0012】
ここで、上記の特許文献3や特許文献4に開示された水冷式のLED照明装置は、LED自体が熱で劣化しない程度の冷却で良いことが前提とされて稼働しており、設置箇所の環境の温度を下げるという目的は示唆されておらず、問題点としても挙げられていない。そのため、水は装置単体の筐体内に循環式のパイプ内に閉じ込めたままで良いものとなっている。特に、LEDをはじめとする電子機器類はショートの懸念から水を忌避することが常識とされており、水冷式を採用するとしても装置単体の筐体内で密閉した状態で循環させることが重視されている。
【0013】
特に、外界とは遮断した屋内でLED照明具を大量かつ密に並べて用いる人工栽培装置であれば、単純に特許文献3や特許文献4に開示された水冷式のLED照明装置を大量かつ密に並べて用いると、密閉された循環路での単純な水の循環のみでは、徐々に熱が蓄積されてゆき、人工栽培装置を設置した屋内全体での放熱効率が不十分となって、環境温度が上がってしまい、栽培している植物の生育環境には適さない状態に陥りかねない。また、特許文献3や特許文献4に開示された水冷式のLED照明装置を大量かつ密に並べて用いると、大量かつ密にポンプ装置なども必要となり、ポンプ稼働の熱も加わる。
また、特許文献3や特許文献4に開示された水冷式のLED照明装置を大量かつ密に並べて用いると、大量かつ密にポンプ装置なども必要となりコストが高くなってしまう上に、電気コストも高くなってしまう。
【0014】
上記問題点に鑑み、本発明は、従来のようにラックなどの構造物に、直管型LED照明具を大量かつ密に並べて用いつつも、効率的かつ低コストで水冷式の冷却を可能とする水冷式の直管型LED照明具群、およびそれを用いた人工栽培装置を提供することを目的とする。
さらに、1本1本の直管型LED照明具を手作業でネジ止めなどをする組立作業、設置作業を低減し、人工栽培植物棚に対して簡単に直管型LED照明具を配設することができる水冷式の直管型LED照明具群、およびそれを用いた人工栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の水冷式の直管型LED照明具群は、第1の口金と、第2の口金と、前記第1の口金および前記第2の口金の間にわたされた直管部材と、前記直管部材内に収められている電子基板と、前記電子基板に多数のLEDチップを配設したLEDライン光源と、前記第1の口金を介して供給された水冷水を前記第2の口金まで受け渡す渡り水冷水導水管と、前記渡り水冷水導水管を流れる前記水冷水により前記LEDライン光源で発生する熱を水冷するLED水冷機構を備えた直管型LED照明具と、前記直管型LED照明具の前記渡り水冷水導水管と、隣接する他の前記直管型LED照明具の前記渡り水冷水導水管同士との間を漏水させずに通水可能に接続する通水接続構造を備え、前記渡り水冷水導水管を流れる前記水冷水が複数本の前記直管LED照明具の間を通水させることにより水冷するものである。
【0016】
上記した直管型LED照明具内に形成されている「渡り水冷水導水管」と「LED水冷機構」と、直管型LED照明具同士の間に形成されている「通水接続構造」の組み合わせにより、複数本の直管型LED照明具で構成された直管型LED照明具群の中を、水冷用途の水が効率的に通水され、LEDライン光源で発生した熱を、各々の直管型LED照明具の外へ、さらに、直管型LED照明具群の系外に運んで熱対策を行うことができる。
なお、夏場であれば、直管型LED照明具群の系外に運び出した熱は屋外に設置した熱交換器を介して屋外に放出することも可能であり、また、冬場であれば、直管型LED照明具群の系外に運び出した熱は屋内に設置した熱交換器を介して屋内の暖房用途に用いることも可能である。
【0017】
ここで、上記の第1の口金と第2の口金同士の通水接続構造としては、前記第1の口金に設けられた前記渡り水冷水導水管と連通した第1の開口部と、前記第2の口金に設けられた前記渡り水冷水導水管と連通した第2の開口部を備え、前記通水接続構造が、前記第1の開口部と隣接する前記第2の開口部同士を直結する構造、または、前記第1の開口部と隣接する前記第2の開口部との間を通水可能に接続する接続体を用いた構造とすることができる。
直結構造としては、一方が差し込み口、他方が差し込み口を受け入れる径を持つ受け入れ口とする構造がある。両者の嵌合により通水接続にかかる箇所において通水可能に通水路が形成され、通水可能に接続される。
また、介在する部材を用いる構造としては、第1の開口部と隣接する前記第2の開口部との間を通水可能に接続する接続体を用いた構造がある。
上記構成により、簡単な構造で、各々の直管型LED照明具の中を渡る「渡り水冷水導水管」が利用でき、さらに、「通水接続構造」を介して複数本の直管型LED照明具の「渡り水冷水導水管」を連続させることができる。
【0018】
また、電気供給についても工夫することができる。上記構成の水冷式の直管型LED照明具群において、さらに、第1の口金を介して供給された電力を第2の口金まで受け渡す渡り電圧供給線と、渡り電圧供給線からLEDライン光源への電力供給を行うLED電圧制御回路を備えた構成とし、直管型LED照明具の第1の口金と、隣接する他の直管型LED照明具の第2の口金同士が相互に機械的に接続でき、かつ、電気的にも渡り電圧供給線を介して通電可能に接続できる通電接続構造を備えた工夫を施したものとする工夫がある。
なお、上記の接続体を用いる構造の場合は、接続体が、前記直管型LED照明具の前記第1の口金と、隣接する他の前記直管型LED照明具の前記第2の口金を機械的に接続でき、かつ、電気的にも前記渡り電圧供給線を介して通電可能に接続できる通電接続構造を備えたものであれば良い。
【0019】
上記構成により、直管型LED照明具内に形成されている「渡り電圧供給線」と「LED電圧制御回路」と、直管型LED照明具同士の間に形成されている「通電接続構造」の組み合わせにより、複数本の直管型LED照明具で構成された直管型LED照明具群の中を、LEDライン光源への電力が効率的に供給され、さらに、直管型LED照明具群内の各々の直管型LED照明具にも効率的に電力供給を行うことができる。
【0020】
ここで、第1の口金と第2の口金同士の通電接続構造としては、隣接し合う直管型LED照明具同士を直結する構造の場合は、一方が金属製の差し込みピン、他方が金属製のピンホールとする構造がある。両者の嵌合により通電接続にかかる箇所において通電可能に電気的接点が形成され、通電可能に接続される構造で良い。
さらに簡易的な第1の口金と第2の口金同士の通電接続構造としては、それぞれから電気配線を設け、両者間を電気的に接続するという構造でも良い。
また、第1の口金と第2の口金同士の通電接続構造として、接続体を介在させて隣接し合う直管型LED照明具同士を接続する構造の場合は、前記第1の口金と前記第2の口金同士の形状が同じで良く、前記接続体の前記通電接続構造または前記第1の口金および第2の口金の前記通電接続構造の一方が金属製の差し込みピン、他方が金属製のピンホールであり、両者の嵌合により前記通電接続にかかる箇所において通電可能に電気的接点が形成され、通電可能に接続する構造で良い。
【0021】
ここで、第1の口金と第2の口金同士の通水接続構造としては、隣接し合う直管型LED照明具同士を直結する構造の場合は、一方が差し込み口、他方が前記差し込み口を受け入れる径を持つ受け入れ口であり、両者の嵌合により前記通水接続にかかる箇所において通水可能に通水路が形成され、通水可能に接続される構造がある。
また、第1の口金と第2の口金同士の通水接続構造として接続体を介在させて隣接し合う直管型LED照明具同士を接続する構造の場合は、前記第1の口金と前記第2の口金同士の形状が同じで良く、接続体の通水接続構造または第1の口金および第2の口金の通水接続構造の一方が、一方が差し込み口、他方が前記差し込み口を受け入れる径を持つ受け入れ口であり、両者の嵌合により前記通水接続にかかる箇所において通水可能に通水路が形成され、通水可能に接続されるもので良い。
上記構成により、簡単な構造で、各々の直管型LED照明具の中を渡る「渡り電圧供給線」が利用でき、さらに、「通電接続構造」を介して複数本の直管型LED照明具の「渡り電圧供給線」を連続させることができる。
【0022】
直管型LED照明具同士の間を接続する接続体を用いた構造の場合、この接続体が、複数の直管型LED照明具同士を多様な配列に組み上げて直管型LED照明具群を構成しやすくなる。
つまり、接続体を用いた構成とすれば、直管型LED照明具同士を直結する方式に比べて、一種の空間的なバッファとして働くので、後述するように多様な接続路を形成しやすくなり、直列、並列、直並列、並直列などの多様な配列がしやすくなる。
このように本発明の水冷式の直管型LED照明具群における直管型LED照明具の配列は、上記した通水接続構造および通電接続構造によって多様なものが可能である。
例えば、複数本の前記直管型LED照明具を直列に接続する構成があり得る。
さらに、複数本の前記直管型LED照明具を並列に接続する構成があり得る。
さらに、複数本の前記直管型LED照明具を直並列(直列に接続されたセットを複数セット並列に接続する配列)に接続する構成が可能である。
さらに、複数本の前記直管型LED照明具を並直列(並列に接続されたセットを複数セット直列に接続する配列)に接続する構成が可能である。
【0023】
次に、本発明にかかる水冷式の直管型LED照明具群を用いた人工栽培装置は、人工栽培する植物を収納する人工栽培植物棚と、前記人工栽培植物棚に対向するように請求項1から11のいずれかに記載の前記水冷式の直管型LED照明具群を配列せしめた水冷式の直管型LED照明具群と、前記水冷式の直管型LED照明具群の前記渡り電圧供給線に対して電流を供給する電源供給装置と、前記水冷式の直管型LED照明具群の前記渡り水冷水導水管に対して前記水冷水を供給する水供給装置を用いた人工栽培装置である。
【0024】
上記構成において、電源供給装置がスイッチング回路またはサイリスタ―回路によって供給する前記電流の電流量を制御する電流制御機構を備え、人工栽培する前記植物に応じて電流量を可変調整できることが好ましい。
上記構成により、栽培品種に合わせて電流制御機構により供給する電流量を制御することが容易となり、栽培品種の植物に対してLEDからの最適照度を得ることができる。
また、上記構成において、水供給装置が水温調整機能付きバルブ機構を備え、人工栽培する前記植物に応じて渡り水冷水導水管へ供給する水温を可変調整できることが好ましい。
また、循環している水冷水の熱を熱交換により吸熱して外部へ熱供給できる熱交換機構を備え、水冷式の直管型LED照明具群の各々の直管型LED照明具から水冷水により吸熱した熱を熱交換機構から人工栽培植物棚へ熱供給し、人工栽培植物棚の温度を可変調整できることも好ましい。
上記構成により、栽培品種に合わせて水温調整機能付きバブル機構により渡り水冷水導水管へ供給する冷却水の水温を調整し、熱交換機構により人工栽培植物棚へ熱供給量を調整し、LEDライン光源で発生する熱を吸熱量と、人工栽培植物棚への給熱量を考慮しつつ、人工栽培植物棚内の環境温度を栽培品種に合わせて調整することができ、最適環境温度を得ることができる。
電流制御機構によるLED照明具からの照度調整、水温調整機能付きバブル機構による冷却水の水温調整、熱交換機構による人工栽培植物棚へ熱供給量の調整を通じて、人工栽培植物棚内の環境照度、環境温度を栽培品種の植物に適合させれば容易に均一な栽培環境を整えることができる。また、LED照明具からの排熱を利用して人工栽培植物棚内の環境温度を調整するので、熱供給に必要となる電力量を抑制することができる。
【0025】
なお、本発明にかかる水冷式の直管型LED照明具群を用いた人工栽培装置は、人工栽培植物棚と対向する水冷式の直管型LED照明具群のセットを水平方向に縦横に多数のセットを並べたものもあれば、人工栽培植物棚と対向する水冷式の直管型LED照明具群のセットを垂直方向に多段に並べた多段構成となっているものも可能である。
上記構成により、建屋の空間の有効利用ができ、床面積あたりの人工栽培植物棚の設置面積を増大させることが可能となる。また、人工栽培装置では人工照明を用いるので垂直方向にも多段構成が可能となる。
なお、人工栽培植物棚と水冷式の直管型LED照明具群のセットがドーム状の筐体に囲まれており、ドーム状の筐体の内壁面が高反射材でコーティングされている構造も好ましい。
上記構成により、ドーム状の筐体によって、直管型LED照明具群で照射された照射光の光量が効率よく人工栽培植物棚で育成されている植物に照射することができ、植物育成効率が大きく維持できる。
【0026】
次に、渡り電圧供給回路を介した複数本への直管型LED照明具への電圧供給について述べる。本発明は、先行する直管型LED照明具の後尾にある第2の口金に対して、後続の直管型LED照明具の先頭にある第1の口金を差し込んで順々に接続してゆくものである。本発明では、直管型LED照明具の内部に渡り電圧供給線を通しておくことにより、外部の電圧供給線-(第1段の直管型LED照明具の第1の口金-渡り電圧供給線-第2の口金)-(次段の直管型LED照明具の第1の口金-渡り電圧供給線-第2の口金)-・・・というように一気通貫の電圧供給路を確保せしめ、各々の直管型LED照明具の内部において、当該渡り電圧供給線からLED電圧制御回路を介して並列に電圧を引き込み、各々のLEDライン光源に供給する。つまり、外部の電圧供給線から200Vの供給を受けると、機械的には直列に接続されている各々の直管型LED照明具内部のLEDライン光源に200Vが印加され、各々の素子には3V程度の電圧が供給される。
【0027】
ここで外部から渡り電圧供給線に供給される電力、LED電圧制御回路を介してLEDライン光源に供給される電力について述べる。これら電源は、本発明では特に限定はされず多様な電源が適用できる。定電圧源、定電流源でも良い。一般には定電圧源の回路構成は簡単な場合が多い。定電圧源とする場合、外部から商用電源をトランスで所定電圧(例えば200V)に変圧したものを供給するものでも良い。なお、スイッチング電源を適用して均質な電圧を得るものでも良いが回路構成が複雑になる。本発明は人工栽培装置であるので、小さな電圧の変動などは問題にならないケースが多く、商用電源のトランス調整程度で十分な場合も多い。また、本発明者が先行して出願しているPCT/JP2018/013206号のような電圧源でも適用可能である。
【0028】
次に、渡り水冷水導水管と、LED水冷機構を介した複数本への直管型LED照明具の通水およびLEDライン光源の水冷について述べる。例えば、LED水冷機構がLEDライン光源を搭載した電子基板の裏面に配置されている。つまり、LEDライン光源ユニットの電子基板がLED水冷機構に密着している。LEDライン光源ユニットや制御回路が効率的にLED水冷機構により冷却される。LED水冷機構の一部素材として、例えば、絶縁性と熱伝導率の高いシリコン等の熱伝導シートを備え、LEDライン光源ユニットや制御回路で発生した熱が効率よく渡り冷却水導水管に排熱される構成でも良い。
【発明の効果】
【0029】
本発明の水冷式の直管型LED照明具群およびそれを用いた人工栽培装置によれば、直管型LED照明具内に形成されている「渡り水冷水導水管」と「LED水冷機構」と、直管型LED照明具同士の間に形成されている「通水接続構造」の組み合わせにより、複数本の直管型LED照明具で構成された直管型LED照明具群の中を、水冷用途の水が効率的に通水され、LEDライン光源で発生した熱を、各々の直管型LED照明具の外へ、さらに、直管型LED照明具群の系外に運んで熱対策を行うことができる。
また、 本発明の水冷式の直管型LED照明具群およびそれを用いた人工栽培装置によれば、直管型LED照明具内に形成されている「渡り電圧供給線」と「LED電圧制御回路」と、直管型LED照明具同士の間に形成されている「通電接続構造」の組み合わせにより、複数本の直管型LED照明具で構成された直管型LED照明具群の中を、LEDライン光源への電力が効率的に供給され、さらに、直管型LED照明具群内の各々の直管型LED照明具にも効率的に電力供給を行うことができる。
また、LED照明具からの排熱を利用して人工栽培植物棚内の環境温度を調整するので、熱供給に必要となる電力量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施例1にかかる直管型LED照明具100の構成(その1)を簡単に示した図である。
【
図2】実施例1にかかる直管型LED照明具100の第1の口金120と第2の口金130の構造例とその直結接続の様子を簡単に示す図である。
【
図3】実施例1にかかる直管型LED照明具100の支持例を簡単に示した図である。
【
図4】実施例1にかかる直管型LED照明具100を長さ方向に多数本直列に接続し、渡り水冷水導水管を用いた水冷、渡り電圧供給線を用いた電圧供給を簡単に示す図である。
【
図5】実施例2にかかる直管型LED照明具100aの構成(その2)を簡単に示した図である。
【
図6】実施例2にかかる直管型LED照明具100aの第1の口金120aと第2の口金130aの構造例と接続体190aを介した接続の様子を簡単に示す図である。
【
図7】実施例2にかかる直管型LED照明具100aの支持例を簡単に示した図である。
【
図8】接続体190aの幾つかの構成パターンを示す図である。
【
図9】実施例2にかかる直管型LED照明具100aを接続体190により長さ方向に多数本に接続し、渡り水冷水導水管を用いた水冷、渡り電圧供給線を用いた電圧供給を簡単に示す図である。
【
図10】実施例3にかかる人工栽培装置200の人工栽培植物棚210、直管型LED照明具100a、ガイドレール230、LED支持体240の配置関係を示す図である。
【
図11】人工栽培植物棚210および直管型LED照明具群のセットをドーム状の囲い筐体270によって囲んだ構成例を簡単に示した図である。
【
図12】従来の特許文献1(特開2013-17397号公報)に開示された植物栽培装置を示す図である。
【
図13】従来の特許文献2(特開2015-006165号公報)に開示された植物栽培装置を示す図である。
【
図14】従来の特許文献3(特開2008-300158号公報)に開示された水冷式LED照明装置を示す図である。
【
図15】従来の特許文献4(特開2010-251114号公報)に開示された水冷式LED照明装置を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の水冷式の直管型LED照明具、本発明の水冷式の直管型LED照明具群およびそれを用いた人工栽培装置の実施例を説明する。本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1として、直管型LED照明具および直管型LED照明具群の構成例を示す。特に、直管型LED照明具の口金同士を直結するタイプのものを示す。
実施例2として、直管型LED照明具および直管型LED照明具群の他の構成例を示す。特に、直管型LED照明具の口金同士の間に介在する接続体を介して接続するものを示す。
実施例3として、直管型LED照明具群を適用した人工栽培装置の構成例を示す。特に、直管型LED照明具同士の間を接続する接続体を用いて直管型LED照明具同士を接続するタイプのものを示す。
【実施例1】
【0032】
実施例1にかかる本発明の直管型LED照明具100の例を示す。
図1は、直管型LED照明具100の構成を簡単に示した図である。LED電圧制御回路など一部の構成の図示は省略している。
【0033】
図1に示すように、本発明の直管型LED照明具100は、直管部材110、第1の口金120、第2の口金130、電子基板140、LEDライン光源150、渡り電圧供給線160、渡り水冷水導水管170、LED水冷機構180(
図1には図示せず)を備えた構成となっている。
図1(a)は、直管型LED照明具100の底面側、つまり、LEDライン光源150の照射面を正面に見た図(LED照明具100の照射面を見た図)である。
図1(b)は、直管型LED照明具100の内部構造が分かりやすいように、長さ方向に沿って見た図である。内部構造を透過して簡単に図示している。なお、
図1(b)の右側には右側面図(第1の口金120を見た図)を併せて図示している。
図1(c)は、直管型LED照明具100の上面側の内部構造が分かりやすいように、長さ方向に沿って見た図である。内部構造を透過して簡単に図示している。つまり、電子基板140の上側にある部材である渡り電圧供給線160と渡り水冷水導水管170を上面から見えるように直管部材110の上面側の管材を透過して見た図となっている。
【0034】
なお、本発明にかかる直管型LED照明具100の支持手段は限定されないが、従来方式のように1本1本の直管型LED照明具100を独立した蛍光灯のかさのソケットに入れ、各々独立に稼働させるものではなく、多数本の直管型LED照明具100を直管型LED照明具群として大規模に組み上げ、それら多数本の直管型LED照明具100にある渡り水冷水導水管を通水接続構造により相互につなぎ合わせて通水可能に接続する。また、それらの渡り電圧供給管を通電接続構造によりつなぎ合わせて通電可能に接続する。直管型LED照明具群として大規模に組み上げた際に支持する手段は、特に限定されず、後述する
図3のように多様な支持手段があり得る。
【0035】
以下、順に構成部材を説明する。
直管部材110は、従来の蛍光照明灯に代替するパイプ状の部材であり、第1の口金120および第2の口金130の間にわたされた直管部材である。少なくとも照明面が、透光性のある透明プラスチックやガラスなどの透光性パイプ材であって円筒形となっているか、または、部材のない開放面となっており円筒形の一部が開放された形状となっている。
直管部材110の素材は、透明または半透明のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等の透明樹脂素材などであり、内部空間を備え、円筒パイプ状、または、照射面が開放された円筒パイプの一部が開放された形状に形成されている。両端には第1の口金120および第2の口金130が設けられている。この構成例では、右端に第1の口金120、左端に第2の口金130が設けられている方向で図示されている。
直管型LED照明具100の軸方向の長さは、既存の蛍光灯と同じ長さでも良い。
【0036】
第1の口金120および第2の口金130は、直管部材110の両端部に設けられた部材である。ここでは、右端に第1の口金120、左端に第2の口金130が設けられている。
第1の口金120と第2の口金130は、相互に機械的に接続できるインターフェイスを持っており、第1の口金120と第2の口金130の接続により、相互の渡り水冷水導水管170間で通水可能に接続される通水接続構造171、および、相互の渡り電圧供給線160間で電気的に通電可能に接続される通電接続構造161を備えている。
【0037】
図2は、第1の口金120と第2の口金130の構造例を簡単に示す図である。
図2(a)には、左側に第1の口金120の端面を正面から見た正面図、中央に斜視図、右側に第1の口金120を長さ方向に沿って内部構造を透過して図示した図である。
図2(b)は、左側に第2の口金130の端面を正面から見た正面図、中央に斜視図、右側に第2の口金130を長さ方向に沿って内部構造を透過して図示した図である。
図2(c)から
図2(d)は、第1の口金120を長さ方向に沿って見た状態と第2の口金130を長さ方向に沿って見た状態において、両者を嵌合させる様子を図示したものである。
【0038】
図2(a)に示した例では、第1の口金120には電気的接続子として金属製の差し込みピン121が設けられ、水冷水の通水路の開口として差し込み口122が設けられている。両者とも端面からやや前方に突出している。いわゆるオスの接続構造となっている。
図2(b)に示した例では、第2の口金130には電気的接続子として金属製のピンホール131が設けられ、水冷水の通水路として受け入れ口132が設けられている。両者とも端面から内側方向に孔を形成している。いわゆるメスの接続構造となっている。
【0039】
差し込みピン121とピンホール131の両者が嵌合するサイズと形状(径、深さ)になっており、さらに、差し込み口122と受け入れ口132の両者が嵌合するサイズと形状(径)になっており、両者が直結して接続可能となっている。
なお、第1の口金120の2本の差し込みピン121、第2の口金130の2つのピンホール131は従来の蛍光灯の口金の差し込みピンと従来の口金の金属製のピンホールと同様のサイズや形状でも良い。
なお、これらの第1の口金120と第2の口金130の接続端子は逆の関係であっても良く、第1の口金にピンホールと受け入れ口が設けられ、第2の口金130に差し込みピンと差し込み口が設けられ、両者が嵌合するサイズと形状のものでも良い。以下の説明では
図2や
図4のものとして説明する。
なお、第1の口金120と第2の口金130に加え、さらにその外周側に防水カバーを設けておくことも可能である。人工栽培装置200の環境には水分や湿気も多いため、外側にカバーを設けることにより防水性を高めることができる。
【0040】
図2(c)から
図2(d)に示すように、第1の口金120と第2の口金130同士は嵌合することで、機械的にも接続されて通水接続構造171が形成されている。また、電気的にも接続されて通電接続構造161が形成される。
第1の口金120の端面には、渡り電圧供給線160の端子である差し込みピン121、渡り水冷水導水管170のパイプ口である差し込み口122がある。
また、第2の口金130の端面には、渡り電圧供給線160の端子であるピンホール131、渡り水冷水導水管170のパイプ口である受け入れ口132がある。
ここで、ピンホール131の内面側も金属製の素材であることが好ましい。
図2(d)に示すように、差し込みピン121とピンホール131がその深さに渡り金属的設定を形成できるからである。
また、ここで、受け入れ口132の外径と受け入れ口132の内径が対応し合うものであることが好ましい。
図2(d)に示すように、差し込み口131と受け入れ口132がその深さに渡り嵌合し合う導水路を形成できるからである。
【0041】
なお、
図2の例では、第1の口金と第2の口金同士を直接当接させつつ機械的にも接続可能な構造としたが、通電可能な接続としては、実際には電気的な接続さえ確保されれば良いので、簡易的な第1の口金120と第2の口金130同士の通電接続構造としては、それぞれの口金の端子から電気配線が引き出されて、電気的に接続することにより、両者間を接続するという簡易的な構造でも良い。この場合であれば、かならずしも差し込みピン121とピンホール131の嵌合し合う構造である必要はなく、第1の口金120と第2の口金130も同形状で両方とも電気接続端子があれば良く、電気接続端子を配線を接続して電気的に接続すれば良い。
【0042】
次に、渡り水冷水導水管170は、後述するように、第1の口金120から第2の口金130まで水冷水を受け渡すように直管部材110の内部を貫通しており、その開口がそれぞれ第1の口金120の差し込み口122、第2の口金130の受け入れ口132として端面に通水可能な口が設けられている。例えば両者が樹脂製の素材やゴム製の素材で良く、差し込み口122と受け入れ口132は多少の弾力性のあるものであれば、両者が嵌合でき、かつ、嵌合に密接して内部を通過する水を漏らすことがない。
【0043】
なお、
図2の例では、第1の口金と第2の口金同士を直接当接させつつ機械的にも接続可能な構造とし、通水接続構造を説明したが、実際には通水さえ確保されれば良いので、簡易的な第1の口金120と第2の口金130同士の通水接続構造としては、両方の形状が同形状で良く、それぞれの口金に設けた通水接続構造の開口からホース状の水配管が引き出され、それらを通水可能に接続するという簡易的な構造でも良い。
【0044】
次に電子基板140について述べる。
電子基板140は、LEDライン光源150およびLED電圧制御回路が実装される基板である。この例では、電子基板140は帯状で長尺に形成され、直管部材110の全長にわたって設けられている。電子基板140は直管部材110の内面上部あたりに設けられている。
電子基板140の背面にはLED水冷機構180(
図1、
図2には図示せず)が設けられており、LEDライン光源150およびLED電圧制御回路で発生する熱が効率的に渡り冷却水導水管を流れる水冷水で冷却されるものとなっている。
【0045】
LEDライン光源150は、直管部材110内の電子基板140に沿って多数のLEDチップがライン状に並べて実装された多数のLED(白色発光ダイオード)素子である。この構成例では、LEDライン光源150は直管部材110の正面(表面)側に30個のLED10が正面に光を照射するように実装されている。したがって、LEDライン光源150の正面側(表面側)が光照射面となる。
LED素子は、表面に白色LED素子の発光面、裏面に電極面が設けられたチップである。この例ではLED素子は表面実装型(SMD型)LED素子とする。視覚的には真白色に見える光を発光するものとする。
このLED素子が直線状に並べられ、LEDライン光源150が形成されている。例えば、30個のLED30が正面に光を照射するように実装される。
LED電圧制御回路の詳しい説明は省略するが、外部から供給される電圧を受け、LEDライン光源150に必要な電力を供給するように制御するものである。
【0046】
渡り電圧供給線160は、両端にある第1の口金120と第2の口金130と通電する金属製の帯である。この例では電子基板140の裏面側に軸方向に一気通貫に金属製の帯が設けられており、スルーホールを介して電子基板140の表面側のLEDライン光源150に電力を供給できる構造となっている。渡り電圧供給線160の端子は、第1の口金120の差し込みピン121、第2の口金130の金属製のピンホール131として設けられている。第1の口金120の差し込みピン121、第2の口金130の金属製のピンホール131の連結により電気的にも通電する通電接続構造161が形成される。
これらの渡り電圧供給線160と通電接続構造161により、複数の直管型LED照明具100を接続して大規模な直管型LED照明具群を構成すれば、大規模な直管型LED照明具群を構成しているすべての各々の直管型LED照明具100に対して通電できるものとなる。
【0047】
渡り水冷水導水管170は、第1の口金120を介して供給された水冷水を第2の口金130まで受け渡すパイプ状の通水路である。つまり、渡り水冷水導水管170は、パイプ状の構造であり、外周方向には冷却水が漏水することがない構造を確保しつつ、長さ方向には冷却水を通水可能に流し通すものであり、第1の口金120から第2の口金130まで水冷水を受け渡すように直管部材110の内部を貫通している構造となっている。長さ方向において通水可能に流し通すための開口がそれぞれ第1の口金120の差し込み口122、第2の口金130の受け入れ口132として設けられ、長さ方向に隣接する直管型LED照明具100に冷却水を通水可能に流し通す構造となっている。
【0048】
例えば、渡り水冷水導水管170の素材としては樹脂製の素材やゴム製の素材で良く、差し込み口122と受け入れ口132は多少の弾力性のあるものであれば、両者が嵌合でき、かつ、嵌合に密接して内部を通過する水を漏らすことがない。また後述するように接続体を用いる場合も、差し込み口122aおよび差し込み口132aの外径と、接続体190aの受け入れ口192aの内径が対応し合うものであり、両者とも樹脂製の素材やゴム製の素材であることが好ましい。
【0049】
LED水冷機構180は、渡り水冷水導水管を流れる水冷水によりLEDライン光源で発生する熱を水冷する水冷機構である。
図1、
図2には構成は図示していない。
図4においては渡り水冷水導水管170と電子基板140の背面との間に介在するように設けられており、電子基板140から熱を吸い上げて渡り水冷水導水管170内の水冷水に伝導するものとなっている。
LED水冷機構180は、熱伝導性の極めて高い素材で構成されている。例えば、絶縁性と熱伝導率の高いシリコン等の熱伝導シートや銅箔のような金属製素材を備えたものである。LEDライン光源150ユニットや制御回路で発生した熱が効率よく渡り冷却水導水管170に熱伝導されて渡り水冷水導水管170により熱が回収される。
LEDライン光源ユニット150の電子基板140は電子素子であるので、直接水冷水に当てることは好ましくない。もちろん渡り水冷水導水管170はパイプ状の構造であり外周には冷却水が漏水することがない構造となっているが、熱はLED水冷機構180を介した熱伝導により伝導する構造であり、電気的な障害を生じることなく熱を伝導できる。
【0050】
次に、多数の直管型LED照明具100を接続して行き、直管型LED照明具群を組み上げることについて説明する。
図2(d)に示すように、先行する直管型LED照明具100の第2の口金130に対して後続の直管型LED照明具100の第1の口金120を接続することにより、その接続箇所に通電接続構造161と通水接続構造171が形成される。つまり、先行する直管型LED照明具100の渡り水冷水導水管170~通水接続構造171~直管型LED照明具100-2の渡り水冷水導水管170の経路の一気通貫の通水路が形成されている。
また、同様に、先行する直管型LED照明具100の渡り電圧供給線160~通電接続構造161~後続の直管型LED照明具100の渡り電圧供給線160の経路の一気通貫の通電路も形成されている。
【0051】
図3は、直管型LED照明具100を直管型LED照明具群として組み上げてゆく際の各々の直管型LED照明具100の支持する様子をごく簡単に示す図である。
図3は、直管型LED照明具100同士を連結してゆく場合の各々の直管型LED照明具100の支持構造を示す図である。
図3(a)の例は、直管型LED照明具群を組み上げる場所において、ワイヤーを支持体242(242-1)として張りめぐらせ、そのワイヤーである支持体242-1に対して、紐状の吊下体241(241-1)を用いて吊下して支持する図となっている。
このように、各々の直管型LED照明具100を、ワイヤーである支持体242-1に対して、吊下体241-1により吊下させつつ、第1の口金120と第2の口金130同士を連結しつつ、順々に送って行く。
【0052】
図3(b)の例は、直管型LED照明具群を組み上げる場所において、ガイド体を支持体242(242-2)として設けておき、そのガイド体である支持体242-2に対して、回転体を有するランナー241(241-2)を用いて走行可能に支持する図となっている。
このように、各々の直管型LED照明具100を、ガイド体である支持体242-2に対して、ランナー241-2により係止させつつ、第1の口金120と第2の口金130同士を連結しつつ、順々に送って行く。
【0053】
図3(c)の例は、直管型LED照明具群を組み上げる場所において、ガイド体を支持体242(242-3)として設けておき、そのガイド体である支持体242-3に対して、摺動子を有するスライダー241(241-3)を用いて摺動可能に支持する図となっている。
このように、各々の直管型LED照明具100を、ガイド体である支持体242-3に対して、スライダー241-3により係止させつつ、第1の口金120と第2の口金130同士を連結しつつ、順々に送って行く。
このように、直管型LED照明具100を長さ方向に連続してゆくことができる。つまり、直管型LED照明具100を直結する接続を長さ方向に多段に増やしてゆき、多数本を直列に接続させることが可能である。
【0054】
図4は、長さ方向に多数本の直管型LED照明具100を接続した様子を簡単に示す図である。
図4(a)では詳しい内部の構造は図示していないが、その内部において
図2(d)に示したような一気通貫の通電路および一気通貫の通水路が形成されている。
図4(b)は長さ方向に多数本の直管型LED照明具100を直列に接続した多段構成の構成における各々の直管型LED照明具100のライン光源150に対する電圧供給と、ライン光源150で発生した熱の水冷による冷却を示した図である。各々の直管型LED照明具100のライン光源150が渡り電圧供給線160から梯子型の回路構成で電圧供給を受け、渡り水冷水導水管170により通水されている水冷水によりLED水冷機構180を介して水冷が可能となっている。
【0055】
これらの渡り水冷水導水管170と通水接続構造171により、複数の直管型LED照明具100を接続して大規模な直管型LED照明具群を構成すれば、大規模な直管型LED照明具群を構成しているすべての各々の直管型LED照明具100に対して冷却水を通水でき、各々のLED水冷機構180を介して水冷でき、大規模な直管型LED照明具群の系外に排熱できるものとなる。
【実施例2】
【0056】
実施例2にかかる直管型LED照明具100aおよびそれを多数組み上げた直管型LED照明具群の構成例を示す。実施例2の構成例は、特に、直管型LED照明具100aの口金同士の間に介在する接続体190aを介して接続するものとなっている。
【0057】
実施例2の構成例にかかる直管型LED照明具100aは、実施例1と同様、直管部材110a、第1の口金120a、第2の口金130a、電子基板140a、LEDライン光源150a、渡り電圧供給線160a、渡り水冷水導水管170a、LED水冷機構180aを備えた構成となっているが、さらに、直管型LED照明具100aの口金同士の間に介在する接続体190aが供給されている。
図5は、実施例2にかかる直管型LED照明具100aの構成を簡単に示した図である。
図5ではLED電圧制御回路など一部の構成の図示は省略している。直管型LED照明具100aの内部構造が分かりやすいように、長さ方向に沿って断面をとった縦断面と、長さ方向に直交する方向に断面をとった横断面において簡単に示されている。
【0058】
図5に示した実施例2の構成例と、
図1に示した実施例1の構成例との比較において、第1の口金120a、第2の口金130aの構成や形状が、第1の口金120、第2の口金130のものと異なったものとなっている。なお、他の直管部材110a、電子基板140a、LEDライン光源150a、渡り電圧供給線160a、渡り水冷水導水管170a、LED水冷機構180aは同様であり、ここでは説明を省略する。
図5に示した構成例において、外観構成として表れる直管部材110a、第1の口金120a、第2の口金130aは、いずれも一般の通常のLED直管型照明具と外観上は同様に見えるものとなっている。
【0059】
実施例2と実施例1との口金に関する違いについて述べる。
実施例1に示した第1の口金120、第2の口金130は、両者が直結して嵌合し合うため、一方が金属製の差し込みピン121と差し込み口122、他方が金属製のピンホール131と受け入れ口132であり、両者がいわゆる凹凸の関係で相互の形状が同一ではなかった。
しかし、この実施例2の例では、第1の口金120a、第2の口金130aはそれぞれ接続体190aに対して接続するため、第1の口金120a、第2の口金130aともに形状が同一で良い。この例では、第1の口金120aは金属製の差し込みピン121aと差し込み口122a、第2の口金130aも金属製の差し込みピン131aと差し込み口132aとなっており、両者はまったく同じ形状となっている。このように実施例2にかかる直管型LED照明具100aは両端の口金とも差し込みピンや差し込み口で良いので、電気的接点についてはいわゆる従来型の直管型LED照明具の口金と共通した同様のもので良いという利点が得られる。もっとも、従来型の直管型LED照明具の口金には、水冷式の渡り水冷水導水管170の開口である差し込み口122a、132aは存在しないので、従来型の直管型LED照明具の口金と同一というものではない。
【0060】
図6は、第1の口金120aと第2の口金130aの構造例を簡単に示す図である。
図6(a)には、左側に第1の口金120aの端面を正面から見た正面図、中央に斜視図、右側に第1の口金120aを長さ方向に沿って内部構造を透過して図示した図である。
図6(b)は、左側に接続体190aの端面を正面から見た正面図、中央に斜視図、右側に接続体190aを長さ方向に沿って内部構造を透過して図示した図である。
図6(c)は、左側に第2の口金130aの端面を正面から見た正面図、中央に斜視図、右側に第2の口金130aを長さ方向に沿って内部構造を透過して図示した図である。
図6(d)から
図6(e)は、接続体190aを介して、第1の口金120aと第2の口金130aを嵌合させる様子を側面から図示したものである。
【0061】
図6(a)と
図6(c)を見ると、第1の口金120aと第2の口金130aは同一形状をしており、電気的接続子として同形状の金属製の差し込みピン121a、差し込みピン131aが設けられ、水冷水の通水路の開口として同形状の差し込み口122aと差し込み口132aが設けられている。両者とも端面からやや前方に突出している。いわゆるオスの接続構造となっている。
図6(b)に示した例では、接続体190aには電気的接続子として金属製のピンホール191aが設けられ、水冷水の通水路として受け入れ口192aが設けられている。端面から内側方向に孔を形成している。いわゆるメスの接続構造となっている。
【0062】
差し込みピン121a、差し込みピン131aと、ピンホール191aの両者が嵌合するサイズと形状(径、深さ)になっており、さらに、差し込み口122a、差し込み口132aと、受け入れ口192aの両者が嵌合するサイズと形状(径)になっており、両者が直結して接続可能となっている。
なお、これらの第1の口金120aと第2の口金130aと、接続体190aとの接続端子は逆の関係であっても良く、第1の口金120aおよび第2の口金130a側にピンホールと受け入れ口が設けられ、接続体190aに差し込みピンと差し込み口が設けられ、両者が嵌合するサイズと形状のものでも良い。
なお、第1の口金120と第2の口金130に加え、さらにその外周側に防水カバーを設けておくことも可能である。人工栽培装置200の環境には水分や湿気も多いため、外側にカバーを設けることにより防水性を高めることができる。
図6(d)から
図6(e)に示すように、機械的にも接続されて通水接続構造171aが形成されている。また、電気的にも接続されて通電接続構造161aが形成される。
【0063】
図7は、接続体190aを用いて直管型LED照明具100aの間を連結してゆく場合の各々の直管型LED照明具100aの支持構造を示す図である。例として直列接続の場合について図示しているが、並列構成の場合でも可能である。
図7(a)の例は、
図3(a)と同様、直管型LED照明具群を組み上げる場所において、ワイヤーを支持体242a(242a-1)として張りめぐらせ、そのワイヤーである支持体242a-1に対して、紐状の吊下体241a(241a-1)を用いて吊下して支持する図となっている。
図6の例では、接続体190aを用いて連結するが、紐状の吊下体241a-1をこの接続体190aに接続する例となっている。
このように、各々の直管型LED照明具100aを、ワイヤーである支持体242a-1に対して、吊下体241a-1により接続体190aを吊下させつつ、第1の口金120と第2の口金130同士を連結しつつ、順々に送って行く。
【0064】
図7(b)の例は、直管型LED照明具群を組み上げる場所において、ガイド体を支持体242a(242a-2)として設けておき、そのガイド体である支持体242a-2に対して、接続体190aの上部に設けられた回転体を有するランナー241a(241a-2)を用いて走行可能に支持する図となっている。
このように、各々の直管型LED照明具100aを、ガイド体である支持体242a-2に対して、接続体190aの上部に設けられたランナー241a-2により係止させつつ、第1の口金120と第2の口金130同士を連結しつつ、順々に送って行く。
【0065】
図7(c)の例は、直管型LED照明具群を組み上げる場所において、ガイド体を支持体242a(242a-3)として設けておき、そのガイド体である支持体242a-3に対して、接続体190aの上部に設けられた摺動子を有するスライダー241a(241a-3)を用いて摺動可能に支持する図となっている。
このように、各々の直管型LED照明具100aを、ガイド体である支持体242a-3に対して、接続体190aの上部に設けられたスライダー241a-3により係止させつつ、第1の口金120と第2の口金130同士を連結しつつ、順々に送って行く。
【0066】
接続体190aとしては幾つかの構成パターンがあり得る。
図8(a)は、直列接続に用いられる接続体190aの例である。
図8(a)は、接続体190aを水平方向の横断面となっている。つまり、上面から見た場合の内部の渡り水冷水導水管170aの通水路が分かりやすいように図示している。
この
図8(a)の接続体190aの構成は、
図6に示した接続体190aの構成と同様であり、前段と後段の2つの直管型LED照明具100aの間に介在し、それらを直列に接続するタイプの接続体190aである。つまり、前後の直管型LED照明具100aの間に介在し、両者を直列に接続するものである。
【0067】
図8(b)は、並列接続に用いられる接続体190aの例である。
図8(b)は水平方向の横断面となっている。つまり、上面から見た場合の内部の渡り水冷水導水管170aの通水路が分かりやすいように図示している。
この
図8(b)の接続体190aの構成は、各並列において通水路を共有しており、並列接続された各々の直管型LED照明具100aの間において水冷水を共有している。
図8(b)の例では、3本の並列しか図示されていないが、並列化する本数は限定されず、2本から数十本でも良い。
【0068】
図8(c)は、上下方向に多段接続に用いられる接続体190aの例である。
図8(c)は上下方向の縦断面となっている。つまり、横から見た場合の内部の渡り水冷水導水管170aの通水路が上下に通水している様子を分かりやすいように図示している。
図8(c)の接続体190aは上下方向に橋渡しするものであり、下段と上段の間で通水路を共有でき、一種の縦方向を並列につなぐものであり、各段において各々の直管型LED照明具100aの間において水冷水を共有している。
【0069】
この
図8(a)の接続体190aと、
図8(b)の接続体190aとを組み合わせて行けば多様な2次元状の直管型LED照明具群を形成することができる。つまり、複数本の前記直管型LED照明具を直並列(直列に接続されたセットを複数セット並列に接続する配列)に接続する構成が可能である。さらに、複数本の前記直管型LED照明具を並直列(並列に接続されたセットを複数セット直列に接続する配列)に接続する構成が可能である。
また、
図8(a)の接続体190aと、
図8(b)の接続体190aと、
図8(c)の接続体190aを組み合わせて行けば、多様な3次元状の直管型LED照明具群を形成することができる。
【0070】
なお、上記の
図8(a)の構成例では、通水接続構造を中心に図示して説明したが、通電接続構造も内部での配線を直列に設ければ良い。
また、上記の
図8(b)および
図8(c)の構成例では、通水接続構造を中心に図示して説明したが、通電接続構造も内部での配線を並列化すれば良い。
【0071】
次に、直管型LED照明具100aの渡り水冷水導水管170aにより通水されている水冷水によりLED水冷機構180aを介して水冷が可能となっている点について説明する。
図9は、長さ方向に多数本の直管型LED照明具100aを接続した様子を簡単に示す図である。
図9(a)では詳しい内部の構造は図示していないが、その内部において
図6(e)に示したような一気通貫の通電路および一気通貫の通水路が形成されている。
図9(b)は長さ方向に多数本の直管型LED照明具100aを直列に接続した多段構成の構成における各々の直管型LED照明具100aのライン光源150aに対する電圧供給と、ライン光源150aで発生した熱の水冷による冷却を示した図である。各々の直管型LED照明具100aのライン光源150aが渡り電圧供給線160aから梯子型の回路構成で電圧供給を受け、渡り水冷水導水管170aにより通水されている水冷水によりLED水冷機構180aを介して水冷が可能となっている。
【0072】
これらの渡り水冷水導水管170aと通水接続構造171aにより、複数の直管型LED照明具100aを接続して大規模な直管型LED照明具群を構成すれば、大規模な直管型LED照明具群を構成しているすべての各々の直管型LED照明具100aに対して冷却水を通水でき、各々のLED水冷機構180aを介して水冷でき、大規模な直管型LED照明具群の系外に排熱できるものとなる。
【実施例3】
【0073】
実施例3にかかる本発明の人工栽培装置200の例を示す。
本実施例3の構成例にかかる人工栽培装置200は、人工栽培植物棚210、直管型LED照明具100a(100でも良い)、ガイドレール230、LED支持体240、電源供給装置250(図示せず)、水供給装置260(図示せず)を備えた構成となっている。
なお、LED支持体240については実施例1,実施例2において説明した3本の直管型LED照明具100aが並列で配列された例として示されているが、限定されず、1本ずつ独立したものを多数列配列したものや、3本以上並列に配列したものもあり得る。
【0074】
図10は人工栽培装置200、特に、人工栽培植物棚210、直管型LED照明具100a(100でも良い)、ガイドレール230、LED支持体240の配置関係を示す図である。
図10(a)は平面図、
図10(b)は正面図、
図10(c)側面図を示している。なお、直管型LED照明具100a(100でも良い)、ガイドレール230、LED支持体240の細かい構造については図示していない。また、電源供給装置250、水供給装置260については図示していない。
この例では、直管型LED照明具は実施例2で示した直管型LED照明具100aを用いた例とする。つまり、接続体190aを伴っている構成である。
【0075】
人工栽培植物棚210は、人工栽培する植物を収納する棚である。この構成例では、フレーム部分(縦フレーム211、横フレーム212、水平板フレーム213)と容器部分214がある。棚の構造、形状、大きさ、長さ、幅などは特に限定されず、
図12のものは一例に過ぎない。この構成例では、一例として5段構成となっている。この例では人工栽培植物棚210として1つのラックのみ示されているが、大規模な人工栽培システムであれば、人工栽培植物棚210が多数並べられたものとなる。
人工栽培植物棚210の基本構造は、縦方向の縦フレーム211と横方向の横フレーム212により縦横のスケルトン構造が組まれ、各段に水平板フレーム213が設けられている。多段に容器部分214を並べて支持できる構造であれば人工栽培植物棚210の構造として採用することができる。ここでは詳しい説明や図示などは省略する。
なお、この例では、水平板フレーム213は、容器部分214を支持する役割と、後述するように、直管型LED照明具100a、ガイドレール230、LED支持体240を支持する役割を果たすものとなっている。両者の役割を兼用せず、別々に構造物を設けることでも良い。
【0076】
人工栽培植物棚210および直管型LED照明具100の直管型LED照明具群のセットを囲むドーム状の囲い筐体270で覆う構成も好ましい。
図11は、人工栽培植物棚210および直管型LED照明具100の直管型LED照明具群のセットをドーム状の囲い筐体270によって囲み、植物の育成環境の整えた状態を分かりやすく示した図である。
図11に示すように、人工栽培植物棚210および直管型LED照明具100の直管型LED照明具群のセットがドーム状の囲い筐体270で覆われている。このドーム状の囲い筐体270の内壁面は高反射材でコーティングされているものとする。ドーム状の筐体270の内壁面が高反射材でコーティングされている構成であれば、ドーム状の筐体270によって、直管型LED照明具群で照射された照射光の光量が効率よく人工栽培植物棚210で育成されている植物に照射することができ、植物育成効率が大きく維持できる。
【0077】
直管型LED照明具100aは、実施例2の直管型LED照明具100aであり、ここでの詳しい説明は省略する。なお、この実施例3では、直管型LED照明具100aの接続体190aとLED支持体240aが一体化している例となっている。
なお、直管型LED照明具群として複数の直管型LED照明具100aを大規模に組み上げると、電気的な導電経路としては、渡り電圧供給線160と通電接続構造161との連続によって、各々の直管型LED照明具100aを貫くように、通電構造が形成される。また、冷却水の導水路としては、渡り水冷水導水管170aと通水接続構造171aとの連続によって、各々の直管型LED照明具100aを貫くように、通水構造が形成される。
【0078】
次に、LED支持体240aとしては、
図3、
図7で示したように、ワイヤーと吊下体、ガイドレールとランナー、ガイドレールとスライダーなど多様な構造があり得る。
上記の配設作業は、多様な接続体190aを用いることにより、直列、並列、直並列、並直列のいずれかまたはそれらの組み合わせを用いれば、直管型LED照明具100aと接続体190aとの接続を繰り返して行くことにより、2次元の一段構成、3次元の多段構成の多様な直管型LED照明具群を組み上げて行くことができる。
【0079】
次に、電源供給装置250は、水冷式の直管型LED照明具群の渡り電圧供給線に対して電流を供給する電源供給装置である。ここで、電源供給装置250がスイッチング回路またはサイリスタ―回路によって供給する電流の電流量を制御する電流制御機構を備えた構成とすることもできる。
電源供給装置250の電流制御機構によって電流量を可変調整できることとなり、栽培品種に合わせて供給する電流量を制御することが容易となり、栽培品種の植物に対してLEDライン光源150からの最適照度を得ることができる。例えば、葉物野菜でも大きな日照量を好む植物種もあれば、比較的少ない日照量の方を好む植物種もあるが、植物種に応じてLEDライン光源150からの照度を調整できることは好ましい。
【0080】
次に、水供給装置260は、水冷式の直管型LED照明具群の渡り水冷水導水管に対して水冷水を供給する水供給装置である。ここで、水供給装置260が水温調整機能付きバルブ機構を備えた構成とすることもできる。水供給装置260の水温調整機能付きバブル機構によって渡り水冷水導水管へ供給する冷却水の水温を調整することができる。
また、水供給装置260が、循環している水冷水の熱を熱交換により吸熱して外部へ熱供給できる熱交換機構を備えた構成とすることもできる。つまり、水冷式の直管型LED照明具群の各々の直管型LED照明具から水冷水により吸熱した熱を熱交換機構から人工栽培植物棚へ熱供給し、人工栽培植物棚の温度を可変調整することが可能となる。
熱交換機構を介して、渡り水冷水導水管の冷却水とLED照明具との間の熱の授受、さらに、熱交換機構を介した人工栽培植物棚内との熱の授受が可能となる。つまり、LEDライン光源150で発生する熱を吸熱する吸熱分と、人工栽培植物棚へ供給する供給熱分があるが、両者の授受を考慮しつつ、人工栽培植物棚内の環境温度を栽培品種に合わせて調整することができ、熱供給に必要となる電力量を抑制しつつ、最適環境温度を得ることができる。特に、
図11に示すように、人工栽培植物棚210がドーム状の囲い筐体270で覆われていれば環境温度の最適調整が容易となる。
【0081】
このように、電源供給装置250によるLEDからの照度調整、水供給装置260の水温調整機能付きバブル機構による冷却水の水温調整を通じて、人工栽培植物棚210内の環境照度、環境温度を栽培品種の植物に適合させれば容易に均一な栽培環境を整えることができる。
【0082】
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明は、直管型LED照明具、直管型LED照明具群、多様な植物種の植物工場に適用できる人工栽培装置として広く適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
100,100a 直管型LED照明具
110,110a 直管部材
120,120a 第1の口金
121,121a 差し込みピン121
122,122a 差し込み口
130,130a 第2の口金
131,131a ピンホール
132,132a 受け入れ口
140,140a 電子基板
150,150a LEDライン光源
160,160a 渡り電圧供給線
161,161a 通電接続構造
170,170a 渡り水冷水導水管
171,171a 通水接続構造
180,180a LED水冷機構
190a 接続体
200 人工栽培装置
210 人工栽培植物棚
230 ガイドレール
240 LED支持体
【要約】
人工栽培装置(200)は、人工栽培する植物を収納する人工栽培植物棚(210)と、複数本の直管型LED照明具(100)と、人工栽培植物棚に対向するように直管型LED照明具(100)を支持するLED支持体(240)と、直管型LED照明具(100)を支持している支持体を移動可能に支持するガイドレール(230)を備えている。人工栽培植物棚(210)に対する直管型LED照明具(100)の配設作業において、LED支持体(240)およびLED支持体(240)を介して支持された直管型LED照明具(100)を、ガイドレール(230)に沿って移動させることにより、各々の直管型LED照明具(100)をガイドレール(230)内の各々の所定位置まで移動させて配設できる。