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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】半導体装置、表示装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/842 20230101AFI20240112BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240112BHJP
   H10K 50/854 20230101ALI20240112BHJP
   H10K 50/88 20230101ALI20240112BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240112BHJP
【FI】
H10K50/842
G09F9/30 310
G09F9/30 320
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 365
H10K50/854
H10K50/88
H10K59/131
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019158969
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021039846
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】大重 秀将
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-109750(JP,A)
【文献】特開平09-204981(JP,A)
【文献】特開2011-086578(JP,A)
【文献】特開2008-277063(JP,A)
【文献】特開2018-200833(JP,A)
【文献】特開2019-080044(JP,A)
【文献】特開2013-110116(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0130447(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/844
G09F 9/30
H10K 50/854
H10K 50/88
H10K 59/131
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面側に複数の有効画素を有する有効画素領域と、前記有効画素領域の周辺に位置する周辺領域と、を有する素子基板と、
対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板を接合する第1接合部材及び第2接合部材と、
を有し、
前記第2接合部材は前記第1接合部材と異なる材料を有し、
前記一主面に対する平面視において、前記対向基板は前記素子基板に内包され、
前記第1接合部材は前記周辺領域と前記対向基板の間に配され、
前記第2接合部材は前記有効画素領域と前記対向基板の間に配され、
前記一主面に対する平面視において、前記第1接合部材は、前記周辺領域と前記対向基板との間から前記対向基板の端の少なくとも一部を越えて前記素子基板上に延在し
前記一主面に対する平面視において、前記素子基板の前記対向基板と重ならない部分まで、前記第2接合部材が延在していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
一主面側に複数の有効画素を有する有効画素領域と、前記有効画素領域の周辺に位置する周辺領域と、を有する素子基板と、
対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板を接合する第1接合部材及び第2接合部材と、
を有し、
前記第2接合部材は前記第1接合部材と異なる材料を有し、
前記一主面に対する平面視において、前記対向基板は前記素子基板に内包され、
前記第1接合部材は前記周辺領域と前記対向基板の間に配され、
前記第2接合部材は前記有効画素領域と前記対向基板の間に配され、
前記一主面に対する平面視において、前記第1接合部材は、前記周辺領域と前記対向基板との間から前記対向基板の端の少なくとも一部を越えて前記素子基板上に延在し、
前記一主面に対する平面視において、前記素子基板は多角形であり、
前記第1接合部材が、前記素子基板の一主面の平面視において、前記対向基板の角部において分断された2つの部分を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記一主面に対する平面視において、前記素子基板の前記対向基板と重ならない領域の面積の1/3以上の領域に、前記第1接合部材及び前記第2接合部材の少なくとも一方が配されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記素子基板は外部接続端子を介して回路基板に接続されている請求項1乃至3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記素子基板に外部接続端子が配され、
前記一主面に対する平面視において、前記素子基板の前記対向基板と重ならない部分に構造部材が配され、
前記一主面に対する平面視において、前記構造部材は、前記第2接合部材と前記外部接続端子の間に配されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記一主面に対する平面視において、前記素子基板の前記対向基板と重ならない領域のうち前記外部接続端子を除く領域の面積の1/3以上に、前記第1接合部材、第2接合部材、及び構造部材の少なくとも1つが配されていることを特徴とする、請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1接合部材は、スペーサーを含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1接合部材は、スペーサーを含有し、
前記構造部材は前記スペーサーの粒径の2倍以上の厚みを有することを特徴とする請求項またはに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1接合部材に含有されるスペーサーの粒径は、1~50μmであることを特徴とする請求項またはに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2接合部材は、スペーサーを含有しないことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1接合部材は、前記第2接合部材よりも弾性率が高いことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1接合部材の弾性率は500MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2接合部材の弾性率は100MPa以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1接合部材が、前記対向基板の側面の一部を被覆していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記周辺領域の少なくとも一部及び前記有効画素領域を覆う絶縁層が配され、
前記第1接合部材は、前記一主面に対する平面視において、前記素子基板の前記対向基板と重ならない部分における絶縁層の上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置を有し、
前記複数の有効画素の少なくとも一つが有機EL素子と、前記有機EL素子に接続されたトランジスタを有することを特徴とする表示装置。
【請求項17】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は請求項1乃至15のいずれか1項に記載の前記半導体装置を含み、
前記複数の有効画素の少なくとも1つは有機EL素子を含むことを特徴とする光電変換装置。
【請求項18】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記複数の有効画素の少なくとも1つは有機EL素子を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項19】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルムと、を有し、
前記複数の有効画素の少なくとも1つは有機EL素子を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項20】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有し、
前記複数の有効画素の少なくとも1つは有機EL素子を含むことを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像または表示を行う半導体装置では、素子基板を保護するために、素子基板に対向する対向基板が設けられる。対向基板は接合部材によって素子基板に接合される。接合部材は、有効画素領域の外側の周辺領域に設けられる。また、有効画素領域上の対向基板との空間を充填するように透光性の樹脂部材が設けられる。これにより対向基板と空気との界面反射を低減することができる。
【0003】
特許文献1には、有効画素領域上に設けられた接着層と、周辺領域に設けられた補強シール層で素子基板と封止基板が接着された表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-206613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、平面視において封止基板が素子基板よりもサイズが小さく、素子基板の外部接続端子部以外の周辺領域の一部が露出している。
【0006】
しかし、周辺領域には周辺回路や非有効画素、配線等の素子や回路が配されていることがある。また、有効画素領域への水分を遮断する絶縁層が、有効画素領域から周辺領域に延在していることがある。よって、露出した周辺領域に外力が印加されると、周辺回路や配線が損傷したり、水分等を遮断する絶縁層が損傷し、半導体装置の信頼性が低下する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態の一様態は、一主面側に複数の有効画素を有する有効画素領域と、前記有効画素領域の周辺に位置する周辺領域と、を有する素子基板と、対向基板と、前記素子基板と前記対向基板を接合する第1接合部材及び第2接合部材と、を有し、前記第2接合部材は前記第1接合部材と異なる材料を有し、前記一主面に対する平面視において、前記対向基板は前記素子基板に内包され、前記第1接合部材は前記周辺領域と前記対向基板の間に配され、前記第2接合部材は前記有効画素領域と前記対向基板の間に配され、前記一主面に対する平面視において、前記第1接合部材は、前記周辺領域と前記対向基板との間から前記対向基板の端の少なくとも一部を越えて前記素子基板上に延在し、前記一主面に対する平面視において、前記素子基板の前記対向基板と重ならない部分まで、前記第2接合部材が延在している半導体装置に関する。
また、実施形態の別の一様態は、一主面側に複数の有効画素を有する有効画素領域と、前記有効画素領域の周辺に位置する周辺領域と、を有する素子基板と、対向基板と、前記素子基板と前記対向基板を接合する第1接合部材及び第2接合部材と、を有し、前記第2接合部材は前記第1接合部材と異なる材料を有し、前記一主面に対する平面視において、前記対向基板は前記素子基板に内包され、前記第1接合部材は前記周辺領域と前記対向基板の間に配され、前記第2接合部材は前記有効画素領域と前記対向基板の間に配され、前記一主面に対する平面視において、前記第1接合部材は、前記周辺領域と前記対向基板との間から前記対向基板の端の少なくとも一部を越えて前記素子基板上に延在し、前記一主面に対する平面視において、前記素子基板は多角形であり、前記第1接合部材が、前記素子基板の一主面の平面視において、前記対向基板の角部において分断された2つの部分を有することを特徴とする半導体装置に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、周辺回路や非有効画素、配線の等、半導体装置の周辺領域に配される素子が外力により損傷するのを抑制することができる。または、周辺領域において水分遮断用の絶縁層が外力によって損傷するのを抑制することができる。よって、信頼性が向上した半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の半導体装置を説明する模式図
図2】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する模式図
図3】第2の実施形態の半導体装置を説明する模式図
図4】第3の実施形態の半導体装置を説明する模式図
図5】第4の実施形態の半導体装置を説明する模式図
図6】第6の実施形態の半導体装置を用いた表示装置の一例の概略断面図
図7】第6の実施形態の表示装置の一例を表す模式図
図8】(a)第6の実施の形態に係る光電変換装置の一例を表す模式図、(b)実施の形態6の電子機器の一例を表す模式図
図9】(a)実施の形態6の表示装置の一例を表す模式図、(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図
図10】(a)実施の形態6の照明装置の一例を示す模式図、(b)実施の形態6の車両用灯具を有する自動車の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1(a)は、半導体装置600を基板100の主面に対して平面視した際の平面図を示している。図1(b)は図1(a)の破線AA’における半導体装置600の断面図である。以下、平面図で本発明を説明する際の、内側とは半導体基板あるいは対向基板の中心側であることを示し、外側とは半導体基板あるいは対向基板の端部側であることを示している。
【0012】
半導体装置600は、素子基板102(図2(b))と、対向基板500、第1接合部材200、及び第2接合部材300を有する。また、半導体装置600は、更に外部接続端子180を有する。
【0013】
素子基板102は、基板100の一主面101側に有効画素領域110、及び有効画素領域110の周辺に位置する周辺領域120を有する。図1(a)では、更に外部接続端子180が設けられた端子領域130を有し、周辺領域130が有効画素領域110の周辺に位置し端子領域130を除く領域の例を示す。
【0014】
周辺領域120には周辺回路や配線が配される。半導体装置600が表示装置の場合、周辺回路は、有効画素を駆動するための駆動回路や、有効画素に入力する信号を処理する、DAC(デジタルアナログ変換回路)等の処理回路を含む。半導体装置600が光電変換装置の場合、周辺回路は、有効画素を駆動するための駆動回路や、有効画素から出力された信号を処理する、ADC(アナログデジタル変換回路)等の処理回路を含む。周辺領域120は、有効画素としては機能しない、ダミー画素や基準画素、テスト画素、モニタ画素などの非有効画素を含みうる。
【0015】
図1(a)に示すように、対向基板500は、素子基板102の有効画素領域110に対向して配されるが、素子基板102の周辺領域120の一部及び端子領域130とは対向しない。すなわち、基板100の主面に対する平面視において、対向基板500は素子基板102に内包される。
【0016】
なお、部材Aと部材Bが対向するとは、部材Aの一面と部材Bの一面が向かい合い、該面に対する正射影において、向かい合っている面のうち面積が小さい方の面の半分以上が他方の面と重なることを指す。また、部材Aの一主面に部材Bが対向するとは、部材Aの一主面に対する平面視において、部材Aの一主面と部材Bが向かい合い、該一主面に対する正射影において部材Bの半分以上が該一主面と重なることを指す。また、向かい合う面の間には、部材A及び部材B以外の部材、構成が配されていてもよい。
【0017】
前述の、素子基板102において、対向基板500と対向していない領域を非対向領域125とする。すなわち、非対向領域125は、基板100の一主面に対する平面視において、対向基板500と重ならない素子基板102の領域を指す。
【0018】
第1接合部材200は、周辺領域120に設けられ、周辺領域120と対向基板500の間に配される。第1接合部材200は、図1に示すように対向基板500の端部の内側から外側にかけて延在しており、素子基板102の非対向領域125の少なくとも一部を覆うように設けられる。よって、第1の接合部材200の端の少なくとも一部は、第1接合部材200の上に位置する。
【0019】
このような構成とすることで、非対向領域125の少なくとも一部が接合部材200に覆われるため、非対向領域125において素子基板102に配される回路や素子の損傷を抑制することができる。また、非対向領域125において素子基板102に配される水分遮断用の絶縁層90が外力によって損傷するのを抑制することができる。よって、半導体装置600の信頼性を向上させることができる。
【0020】
第2接合部材300は、少なくとも有効画素領域110上に設けられ、有効画素領域110と対向基板500の間に配される。また、ここでは、周辺領域120上で、有効画素領域110上で配されている領域と第1接合部材200との間の領域にも設けられる。第2接合部材300と第1接合部材200との間は離間していてもよいが、第2接合部材300の外縁と第1接合部材200の内縁が当接するのが好ましい。
【0021】
外部電源(不図示)から半導体基板100に電力を供給するための回路基板550(図1(b))が外部接続端子180に接合されている。
【0022】
次に図2を用いて本発明の半導体装置の製造方法について詳述する。ここでは、有効画素領域110が多角形の例として、有効画素領域110が四辺形であり有効画素領域110の対角長が5~50mmの例を示す。
【0023】
図2(a)に示すように、有効画素領域110において、基板100の一主面101に、半導体素子50が形成される。半導体素子50はトランジスタやダイオードであり、少なくともその一部は半導体基板10の中に設けられている。基板100としては、例えばシリコン基板を用いることができる。
【0024】
半導体装置600が表示装置の場合、図2(b)に示すように、半導体素子50上には絶縁層60が形成され、絶縁層60の内部には配線層70と表示素子である機能素子80が形成される。特に、表示装置が有機EL表示装置の場合、機能素子80上には、水分の侵入を防ぐための絶縁層90が形成される。
【0025】
機能素子80への外部からの水分の侵入を効果的に防ぐため、絶縁層90は有効画素領域110に加え、周辺領域120にも配される。ここでは、絶縁層90が、基板100の一主面に対する平面視において対向基板500より外側にも配される例を示す。有効画素領域の機能素子80への水分の侵入を遮断できれば、絶縁層90は基板100の一主面に対する平面視において対向基板500の内側のみに配されていてもよい。
【0026】
半導体装置600が光電変換装置の場合、半導体素子50と、光電変換素子である機能素子80を形成した後に、絶縁層60及び配線層70が形成される。半導体素子50、配線層70、機能素子80の構造は半導体装置によって異なる。
【0027】
配線層70は多層配線層であってもよく、配線はアルミニウム層、銅層、それらの合金層などを用いることができ、ビアプラグやコンタクトプラグを含む。配線層170は、有効画素領域110だけでなく、周辺領域120にも設けられ、周辺回路に電気的に接続される。
【0028】
絶縁層60は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、及び炭化シリコン層やそれらの積層を用いることができる。なお、酸窒化シリコンや炭窒化シリコンは、窒素とシリコンを主たる元素とすることから、窒化シリコンの一種とみなす。
【0029】
半導体装置600が表示装置の場合、機能素子80は表示素子である。表示素子としては、ELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)におけるEL素子、LCD(リキッドクリスタルディスプレイ)における液晶素子、DMD(デジタルミラーデバイス)における反射素子等がある。機能素子80としては、半導体装置600が光電変換装置であれば光電変換素子がある。外部接続端子180は端子領域130に設けられており、外部接続端子180上の絶縁層60及び絶縁層90には外部接続端子180を露出するため開口部185が設けられる。
【0030】
絶縁層60及び絶縁層90としては、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等の単層あるいはそれらの積層膜を用いることができる。開口部185は、外部接続端子180上の、絶縁層60となる絶縁膜を、反応性イオンエッチングにより除去することで形成することができる。
【0031】
配線層70及び外部接続端子180としては、アルミニウム、銅などの金属材料を用いることができる。金属が基板100中に拡散しないように、チタンやタンタル、それらの窒化物等で構成されたバリアメタルが用いられてもよい。配線層70及び外部接続端子180としてアルミニウムを用いる場合は、スパッタリングにより全面にアルミニウムを形成した後に、レジストパターンを形成し塩素ガスを用いたRIEでパターン加工すればよい。
【0032】
配線層70として銅を用いる場合は、絶縁膜にトレンチを形成しておきトレンチに銅を埋め込むいわゆるデュアルダマシン手法を用いることができる。配線層70及び外部接続端子180は同一材料を用いて形成してもよく、また同一工程で形成してもよい。
【0033】
以上の工程により、素子基板102が形成される。よって、素子基板102は、基板100、半導体素子50、絶縁層60、配線層70を有する。また、半導体装置600が有機EL表示装置の場合、素子基板102は、更に絶縁層90を有する。
【0034】
次いで、図2(c)に示すように素子基板102の周辺領域120上に第1接合部材200が設けられる。第1接合部材200は樹脂材料であり、ディスペンス法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などの手法により塗布形成される。第1接合部材200は後述の第2接合部材300形成時の土手としても機能するため、第1接合部材の塗布液の粘度は10Pa・s以上が好ましく、より好ましくは30Pa・s以上である。
【0035】
第1接合部材200としてはアクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系等を用いることができる。UV硬化型、熱硬化型、2液混合型のいずれのタイプを用いることができるが、例えば有機EL素子基板などにおいては、UV硬化型樹脂を用いることで短時間に低温硬化できるので好ましい。ただし、本工程ではまだ硬化させないため、UVや熱による硬化が進行しないように留意する必要がある。
【0036】
また第1接合部材200には樹脂ビーズやシリカビーズ等のスペーサーを含有するのが好ましい。所望の粒径を有するスペーサーを含有することで、半導体基板100と対向基板500とのギャップを容易に制御することができる。スペーサーの粒径が1μm未満では、半導体基板100と対向基板500との間に1μm程度の異物が混入した場合に、異物が有効画素領域110の機能素子80や周辺回路に押し込まれてしまう可能性がある。この場合、機能素子80や周辺回路が損傷し不良となる恐れがある。
【0037】
製造工程において1μm以下の異物を排除するのは難しく歩留まりが低下する要因となるため、スペーサーの粒径は1μm以上が好ましい。逆にスペーサーの粒径が50μm以上になると、半導体装置が高温環境や、高温高湿環境下にさらされた際、第2接合部材にボイドやクラックが発生しやすくなる。これは、基板100と対向基板500との間に充填された第2接合部材300の熱膨張や吸水による体積膨張の度合いが大きくなるためである。よってスペーサーの粒径としては1~50μmが好ましく、3~30μmがより好ましい。
【0038】
次いで、図2(d)に示すように、基板100の一主面の第1接合部材200で区画された領域であって有効画素領域110を含む領域に、第2接合部材300が塗布される。第2接合部材300は樹脂材料であり、ディスペンス法により適量が塗布される。ここでいう適量とは、後述の対向基板を貼り合わせる工程において第1接合部材200の内縁近傍まで第2接合部材が濡れ広がり、かつ第1接合部材200の外側に第2接合部材300がはみ出さない程度の分量のことである。
【0039】
対向基板500を貼り合わせる工程において第1接合部材の内縁近傍まで気泡の混入を抑制しながら濡れ広がりやすくする必要があるため、第2接合部材300の塗布液の粘度は第1接合部材200の塗布液よりも低いことが望ましい。第2接合部材300の塗布液の年度は、例えば1Pa・s以下が好ましく、0.5Pa・s以下がより好ましい。
【0040】
第2接合部材300は、固体撮像素子あるいは表示素子のように対向基板500を通して受発光する機能素子80においては、少なくとも可視光領域波長における光透過性が高い樹脂を用いることが好ましい。さらには対向基板500との界面における反射や屈折を低減するために対向基板500との屈折率の差が小さい材料を用いることが好ましい。よって対向基板としてガラス(屈折率1.5)を用いる場合、第2接合部材の屈折率は、1.4~1.6が好ましく、より好ましくは1.45~1.55である。
【0041】
次いで、図2(e)に示すように、基板100の一主面と対向するように対向基板500が貼り合わされる。
【0042】
対向基板500は、半導体装置600が表示装置や光電変換装置の場合、光透過性の高い材料が好ましく、例えば、ガラスを用いることができる。対向基板500の主面のうち第2接合部材との界面と反対側の主面に反射防止膜を別途形成してもよい。
【0043】
対向基板500は少なくとも素子基板102の有効画素領域110上に配置すればよく、対向基板500の端は素子基板102の周辺領域120上に位置する。よって、対向基板500が素子基板102の有効画素領域110と周辺領域120の一部を覆い、素子基板102は対向基板500と対向していない非対向領域125を有する。
【0044】
このように、対向基板500のサイズを基板100よりも小さくすることで、部材コストを低減することができる。第1接合部材200は対向基板500の端の内側から外側、つまり非対向領域125にかけて素子基板102上に延在している。言い換えると、基板100の一主面に対する平面視において、対向基板500の端の少なくとも一部は、第1接合部材200の上に位置する。
【0045】
端子領域130を除く非対向領域125において、第1接合部材200が覆う部分があることで、周辺領域120の少なくとも一部が保護される。よって、周辺領域120の非対向領域125に非有効画素、周辺回路、配線等の素子や回路が配されている場合、外力による該素子や回路の損傷を抑制することができる。また、基板100に対する平面視において水分遮断用の絶縁層90が対向基板500の外側に延在している場合、絶縁層90の損傷を抑制することができる。よって、半導体装置600の信頼性や耐久性を向上することができる。
【0046】
周辺領域120の損傷抑制の観点から、第1接合部材200は、非対向領域125のできるだけ広い領域を覆うように配されることが好ましい。第1接合部材200は、少なくとも非対向領域125の面積の1/3以上の面積を覆うように設けるのが好ましく、1/2以上を覆うように設けることがより好ましい。すなわち、基板100の一主面に対する平面視において、第1接合部材200は、素子基板102の対向基板500と重ならない領域の面積の1/3以上の領域に配されることが好ましく、より好ましくは1/2以上が好ましい。
【0047】
また、端子領域130が素子基板102の対向基板500側に配されている場合、第1接合部材200は、第1接合部材200は、少なくとも非対向領域125の端子領域130を除く面積の1/3以上の面積を覆うように設けるのが好ましい。1/2以上を覆うように設けることがより好ましい。すなわち、基板100の一主面に対する平面視において、第1接合部材200は、素子基板102の対向基板500と重ならない領域のうち端子領域130を除く領域の面積の1/3以上の領域に配されることが好ましい。更に、該領域の1/2以上の領域に配されることがより好ましい。
【0048】
また、一枚のウェハ上で複数の半導体装置600を形成し、最後にスクライブして個片化する場合は、第1接合部材200はスクライブ領域(不図示)と端子領域130を除く、周辺領域120全面に形成するのが好ましい。第1接合部材200を基板100と一緒にスクライブすると、スクライブホイールに第1接合部材200が目詰まりして割断品質やホイールの寿命が低下するためである。
【0049】
また本実施の形態では、端子領域130が基板100の一主面側に設けられているが、基板100の一主面と反対側の第二主面から外部接続端子に対して貫通電極を設け、第二主面にて後述の回路基板を接合してもよい。この場合、基板100の外部接続端子180上にも第1接合部材200を延在させてもよい。外部接続端子180上に第1接合部材200を設けることで、外部接続端子180を損傷から保護することができる。
【0050】
本工程において、対向基板500に一定の荷重を印加することで、対向基板500と基板100との間に設けられた第2接合部材300を対向基板500で押す。その結果、第2接合部材300は、第1接合部材200の方向に押し出される形で塗り広げられる。第2接合部材300は、その外縁が第1接合部材200の内縁と当接してもよく、あるいは第1接合部材200と離間してもよい。基板100と対向基板500との間隔を制御するために、第1接合部材200は一定の粒径を有するスペーサーを含有するのが好ましい。
【0051】
この場合、基板100と対向基板500とのギャップはスペーサーの粒径と同程度となるように貼り合わせ荷重を設定するのが好ましい。貼り合わせ荷重が低すぎると、基板間のギャップのばらつきが大きくなるとともに、基板100の主面に対する対向基板500の主面の平行度が低下し、表示素子や受光素子などにおいては光学特性に影響を及ぼす可能性がある。逆に貼り合わせ荷重を過剰に印加すると、スペーサーが潰れてギャップがスペーサー粒径以下となるが、スペーサーの圧力により回路や素子が損傷する可能性がある。
【0052】
第1接合部材200は、弾性率の高い材料を用いるのが好ましく、弾性率の高い樹脂材料を用いることで、周辺領域120に外力が印可した際の、周辺領域の回路や素子の損傷を抑制することができる。具体的には、第1接合部材200の弾性率は500MPa以上とすることが好ましく、より好ましくは1GPa以上である。一方、第2接合部材300は、第1接合部材200と比べて、弾性率の低い樹脂材料を用いるのが好ましい。
【0053】
第2接合部材300中に硬い異物が混入した状態で対向基板500の表面側から荷重がかけられた場合、第2接合部材300の弾性率が高いと、異物により第2接合部材300ごと機能素子80が損傷する恐れがある。よって第2接合部材300の弾性率は100MPa以下とすることが好ましく、より好ましくは10MPa以下である。このように第2接合部材300の弾性率を低く設定することで、第2接合部材300中に硬い異物が混入したとしても、第2接合部材300が緩衝材の役割を果たし、機能素子80への損傷を抑制することができる。
【0054】
また、対向基板500の側面500sに第1接合部材200が回り込み、対向基板500の側面500sの一部あるいは全部を第1接合部材200で被覆することができ、対向基板500と第1接合部材200との密着力を向上させることができる。さらに、例えば対向基板500としてガラス等の脆性のある材料を用いた場合、対向基板500の側面から対向基板500の破片が剥落することがあり、後述の外部接続端子に回路基板を接合する工程における電気的接続不良の要因となる。一方、本実施の形態の半導体装置600は、第1接合部材200が対向基板500の側面を被覆しているため上記接続不良を抑制することができ歩留まりが向上する。
【0055】
次いで、図2(f)に示すように、基板100の外部接続端子180と回路基板550とを接合部材540を介して接続する。回路基板550は、ガラスエポキシ基材や低温同時焼成セラミックス基材に配線パターンが形成されたリジッド基板と、ポリイミド基材やポリエステル基材に配線パターンが形成されたフレキシブル基板があり、どちらも用いられうる。フレキシブル基板は自由に折り曲げることができるため、多くの部品が組み込まれる小型の装置に使用される電子部品に好適である。
【0056】
また接合部材540は、Sn-Ag等のはんだバンプ、金バンプ、銅バンプ等の金属材料や、導電性ペーストや異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)等の金属・有機複合材料が用いられうる。ここでは、回路基板550としてフレキシブル基板を用い、接合部材540としてエポキシ樹脂に導電粒子が含有された異方性導電フィルムを用いることとし、熱圧着により回路基板550と外部接続端子180とを接合した。
【0057】
以上、本実施の形態によれば、素子基板102の非対向領域125を第1接合部材200で保護することができる。よって、周辺領域120の非対向領域125に非有効画素、周辺回路、配線等の素子や回路が配されている場合、外力による該素子や回路の損傷を抑制することができる。また、水分遮断用の絶縁層90の損傷を抑制することができる。したがって、半導体装置600の信頼性や耐久性を向上することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施形態に係る半導体装置600の構造の平面図及び断面図を、第1の実施の形態(図1)同様に示す。ここでは、基板100及び対向基板500が多角形であり、具体的には四角形である例を示す。
【0059】
図3(a)は、第2の実施の形態に係る半導体装置600を基板100の主面に対して平面視した際の平面図を示している。図3(b)は図3(a)の破線BB’における半導体装置600の断面図である。基板100の主面に対する平面視において、対向基板500の外縁の角部500c(図3(a))において第1接合部材200が分断されている点で第1の実施の形態と異なる。
【0060】
すなわち、第1接合部材200は、分断された少なくとも2つの部分を有する。第1接合部材200の分断された2つの部分の間には、第2接合部材300が配される。よって、対向基板500の角部500c近傍において、第2接合部材300が基板100の非対向領域125上に延在している。
【0061】
基板100及び対向基板500が多角形の場合、基板100の一主面に対する平面視において、両基板はそれぞれ角部を有する。図3(a)では、基板100及び対向基板500は四辺形であり、それぞれ4つの角部100c、500cを有する。
【0062】
本実施の形態の半導体装置600は、基板100と対向基板500とが第1接合部材200及び第2接合部材300で貼り合わされている。この場合、半導体装置600に温度変化が加わると、基板間の熱膨張係数の差による内部応力が第1接合部材200及び第2接合部材300に発生する。第1接合部材200及び第2接合部材300に発生する内部応力は、有効画素領域110の中心Pからの距離が大きくなるほど、大きくなる。よって、対向基板の角部500cにおいて最も内部応力が大きくなる。
【0063】
また第1接合部材200と第2接合部材300の材料や含有物の差に起因する熱膨張係数の差により、接合部材同士の界面近傍にも内部応力が生じる。第1の実施の形態のように対向基板500の端の全周に第1接合部材200を設ける場合、接合部材同士の界面に生じる二種類の内部応力は、対向基板500の四辺の角部500cにおいて最大となる。よって、対向基板500の角部500cでは、第1接合部材200か第2接合部材300のいずれかにクラックが発生する可能性がある。
【0064】
本実施の形態では、対向基板500の角部500cにおいて第1接合部材200が分断されている。すなわち、対向基板500の角部500cに第1接合部材200を設けておらず、対向基板の角部500cには第2接合部材300のみが設けられている。よって、第2接合部材300には基板間の熱膨張係数の差による内部応力のみが生じ、第1接合部材と第2接合部材の材料や含有物の差に起因する熱膨張係数の差による生じる内部応力を低減できる。よって対向基板500の角部500cにおける総内部応力を低減することができ、その結果、第2接合部材300に生じるクラックを抑制することができる。
【0065】
また対向基板500の角部500cには第1接合部材200を設けていないため、図3の断面図に示すように、対向基板の角部500cにおいて第2接合部材300が対向基板500の外側にはみ出し非対向領域125まで延在する。よって、対向基板500の角部500c近傍における基板100の非対向領域125は第2接合部材で被覆される。これにより、非対向領域125において、回路や素子等の外力による損傷を抑制することができる。また、半導体装置600が有機EL表示装置の場合、水分遮断用の絶縁層90の破損を抑制することができる。よって、半導体装置600の信頼性や耐久性を向上することができる。
【0066】
本実施の形態構成では第2接合部材が基板100の非対向領域125の保護材としての役割も有する。よって、第2接合部材300の弾性率は、100MPa以上500MPa以下が好ましい。
【0067】
周辺領域120の損傷抑制の観点から、少なくとも非対向領域125の面積の1/3以上の面積を覆うように、第1接合部材200及び第2接合部材300の少なくとも1つを設けるのが好ましい。少なくとも非対向領域125の面積の1/2以上を覆うように設けることがより好ましい。すなわち、基板100の一主面に対する平面視において、素子基板102の対向基板500と重ならない領域の面積の1/3以上の領域に、第1接合部材200及び第2接合部材300の少なくとも1つが配されることが好ましい。該領域の1/2以上の領域に配されることがより好ましい。
【0068】
また、端子領域130が素子基板102の対向基板500側に配されている場合、少なくとも非対向領域125の端子領域130を除く面積の1/3以上の面積を覆うように、第1接合部材200と第2接合部材300の少なくとも一方を設けるのが好ましい。第領域の1/2以上を覆うように設けることがより好ましい。すなわち、基板100の一主面に対する平面視において、素子基板102の対向基板500と重ならない領域のうち端子領域130を除く領域の面積の1/3以上の領域に、第1接合部材200及び第2接合部材300の少なくとも1つが配されることが好ましい。更に、該領域の1/2以上の領域に配されることがより好ましい。
【0069】
以上、本実施の形態においても、素子基板102の非対向領域125を第1接合部材200および第2接合部材300で保護することで、外力による回路や素子、絶縁層等の損傷を抑制することができる。よって、半導体装置600の信頼性や耐久性が向上する。また、温度変化や吸湿による対向基板500の角部における第2接合部材300のクラックを抑制することができる。よって、半導体装置600の信頼性がより向上する。
【0070】
(第3の実施の形態)
図4に、本実施の形態に係る半導体装置600の構造の平面図及び断面図を、第1の実施の形態(図1)同様に示す。図4(a)は、本実施の形態に係る半導体装置600を半導体基板100の一主面に対して平面視した際の平面図を示している。図4(b)は図4(a)の破線CC’における半導体装置600の断面図である。
【0071】
本実施の形態でも、第2の実施の形態と同様に対向基板500の角部500cの近傍には第1接合部材200が設けられていないが、基板100の非対向領域125上に構造部材400が設けられている点で第2の実施形態と異なる。構造部材400は、対向基板500を貼り合わせた際に、第2接合部材300が基板100の端を越え外側にはみ出すのを堰き止める役割がある。よって構造部材400の一部と第2接合部材300は当接した状態となっている。一方、構造部材400の上には対向基板500が配されていない。
【0072】
よって、構造部材400と第2接合部材300には基板間の熱膨張係数の差による内部応力が生じず、第2の実施形態と同様に対向基板500の角部500c近傍において第2接合部材300にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0073】
なお、本実施の形態のように第1接合部材を対向基板500の角部500cに設けない場合、対向基板500の角部500cが最も第2接合部材300のはみ出し量が大きくなる。よって、図4に示すように、少なくとも有効画素領域110の中心Pと対向基板500の角部500cとを結ぶ直線の延長線上を含む領域に構造部材400を設けるのが好ましい。
【0074】
また図4では、構造部材400と第1接合部材200が離間しているが、構造部材400と第1接合部材200が当接するように設けてもよい。また、第1接合部材200と基板100の端との間に構造部材400を設けてもよい。
【0075】
構造部材400は基板100の非対向領域125における素子や回路等の保護材として機能することもできる。よって、構造部材400の弾性率は第1接合部材と同等に500MPa以上とすることが好ましく、より好ましくは1GPa以上である。
【0076】
構造部材400は、第1接合部材の形成(図2(c))から第2接合部材の滴下(図2(d))までの間の任意のタイミングで形成すればよく、ディスペンス、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などで塗布後、任意の硬化方法で硬化すればよい。第1接合部材200形成後の場合、スクリーン印刷やフレキソ印刷法は使用できないため、ディスペンス法で形成すればよい。逆に、第1接合部材形成前に構造部材400をディスペンス法あるいはスクリーン印刷法で形成した場合、第1接合部材はスクリーン印刷法やフレキソ印刷法ではなくディスペンス法で形成すればよい。
【0077】
構造部材400は第2接合部材300のはみ出しを堰き止める役割を有するため、構造部材400の厚さは少なくとも第2接合部材の厚み(第1接合部材に含有するスペーサーの粒径に相当)の2倍以上とするのが好ましく、より好ましくは5倍以上である。すなわち、第1接合部材200に含有するスペーサーの粒径が10μmである場合、構造部材400の厚さは、20μm以上が好ましく、より好ましくは50μmである。
【0078】
このような厚さの構造部材400を塗布で形成するために、構造部材400の硬化前の粘度は10Pa・s以上が好ましく、より好ましくは30Pa・s以上である。構造部材400は、例えば樹脂材料を用いて形成することができ、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系等を用いることができる。UV硬化型、熱硬化型、2液混合型のいずれのタイプも用いることができるが、熱硬化型は熱硬化時にリフローにより構造部材400の厚さが小さくなることが懸念されるためUV硬化型を用いるのが好ましい。
【0079】
なお、ここでは構造部材400として第1接合部材200とは異なる材料を用い、異なる工程として形成することを記載したが、構造部材400と第1接合部材200を同一の材料を用いてもよい。また、構造部材400と第1接合部材200は同一工程で形成してもよい。同一行程で形成することで、工程数を削減することができる。
【0080】
周辺領域120の損傷抑制の観点から、少なくとも非対向領域125の面積の1/3以上の面積を覆うように、第1接合部材200、第2接合部材300、及び構造部材400の少なくとも1つを設けるのが好ましい。少なくとも非対向領域125の面積の1/2以上を覆うように設けることがより好ましい。すなわち、基板100の一主面に対する平面視において、素子基板102の対向基板500と重ならない領域の面積の1/3以上の領域に、第1接合部材200、第2接合部材300、及び構造部材400の少なくとも1つが配されることが好ましい。該領域の1/2以上の領域に配されることがより好ましい。
【0081】
また、端子領域130が素子基板102の対向基板500側に配されている場合がある。この場合、少なくとも非対向領域125の端子領域130を除く面積の1/3以上の面積を覆うように、第1接合部材200、第2接合部材300、及び構造部材400の少なくとも1つを設けるのが好ましい。第領域の1/2以上を覆うように設けることがより好ましい。
【0082】
すなわち、基板100の一主面に対する平面視において、素子基板102の対向基板500と重ならない領域のうち端子領域130を除く領域の面積の1/3以上の領域に、第1接合部材200、第2接合部材300、及び構造部材400の少なくとも1つが配されることが好ましい。更に、該領域の1/2以上の領域に配されることがより好ましい。
【0083】
以上、本実施の形態においても、基板100の非対向領域125の少なくとも一部が第1接合部材200、第2接合部材300および構造部材400で覆われ保護される。よって、外力による素子や回路、絶縁層の損傷を抑制することができ、半導体装置600の信頼性や耐久性が向上する。
【0084】
また、温度変化や吸湿による対向基板500の角部500cにおける第2接合部材300のクラックの発生を抑制することができる。よって、半導体装置600の信頼性がより向上する。さらに第2接合部材300の基板100の端でのはみ出しを抑制でき、工程歩留まりを向上することができる。
【0085】
(第4の実施の形態)
図5に、本実施の形態に係る半導体装置600の構造の平面図及び断面図を、第1の実施の形態(図1)と同様に示す。図5(a)は、本実施の形態に係る半導体装置600を基板100の主面に対して平面視した際の平面図を示している。図5(b)は図5(a)の破線DD’における半導体装置600の断面図である。
【0086】
本実施の形態においても、第2の実施の形態及び第3の実施の形態と同様、対向基板500の角部500cにおいて、第1接合部材200が分断されている。基板100の非対向領域125における対向基板500の端と外部接続端子180との間に構造部材400が設けられる点で、第3の実施の形態と異なる。
【0087】
第3の実施の形態と同様に、構造部材400は基板100の非対向領域125に設けられる。基板100に対向基板500を貼り合わせた際に、第2接合部材300が対向基板500の外側にはみ出すことがあるが、構造部材400を設けることで外部接続端子180に第2接合部材300が付着するのを抑制することができる。
【0088】
構造部材400の一部と第2接合部材300は当接した状態となっているが、構造部材400の上には対向基板500が配されていない、よって、構造部材400と第2接合部材300で生じる基板間の熱膨張係数の差による内部応力を低減することができる。これにより、図5に示すように構造部材400を基板100を横断するように設けた場合でも、対向基板の角部500c近傍における第2接合部材300でのクラックの発生を抑制することができる。
【0089】
また本実施の形態では、有効画素領域110と外部接続端子180との間に第1接合部材200を設けていないが、対向基板500の2辺以上に第1接合部材200が設けられているため、基板間のギャップや平行度は適切に保たれる。一方、対向基板500の端と外部接続端子180との間には、構造部材400を配置することで、外部接続端子180に第2接合部材300が到達するのを防ぐことができる。よって、有効画素領域110に対し、外部接続端子側には第1接合部材200を設けないことで、省スペース化を図ることができる。
【0090】
構造部材400の形成方法や樹脂材料は、第3の実施の形態と同様の手段および材料を用いることができる。なお、ここでは構造部材400として第1接合部材200とは異なる材料を用い、異なる工程として形成することを記載したが、構造部材400と第1接合部材200を同一の材料を用いてもよい。また、構造部材400と第1接合部材200は同一工程で形成してもよい。同一行程で形成することで、工程数を削減することができる。
【0091】
以上、本実施の形態においても、基板100の非対向領域125を第1接合部材200、第2接合部材300および構造部材400で覆われ保護される。よって、外力による素子や回路、絶縁層の損傷を抑制することができ、半導体装置600の信頼性や耐久性が向上する。
【0092】
また温度変化や吸湿による対向基板500の角部500cにおける第2接合部材でのクラックの発生を抑制することができる。よって、半導体装置600の信頼性が向上する。さらに第2接合部材300が基板100に対する平面視において対向基板500からはみ出し外部接続端子へ到達するのを抑制でき、工程歩留まりを向上することができる。
【0093】
(第5の実施の形態)
本実施の形態では、第1乃至第4の実施の形態に用いられる機能素子80の具体例として、有機EL素子を用いた場合の具体的な構成例について説明する。
【0094】
[基板]
基板の材料としては、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、陽極2と配線の導通を確保するために、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
【0095】
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
【0096】
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金が使用できる。また、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。更に、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
【0097】
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
【0098】
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0099】
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。
【0100】
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を抑制するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が抑制できれば、合金の比率は問わない。例えば、1:1であってよい。
【0101】
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、半透過反射型の電極としてもよく、特に限定されない。特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
【0102】
[封止層または保護層]
陰極の上に、封止層または保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を抑え、表示不良の発生を抑えることができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機EL層に対する水等の浸入を抑えてもよい。パッシベーション膜として、第1の実施の形態で述べた絶縁層90を用いることができる。
【0103】
また、例えば、陰極7形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。
【0104】
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。
【0105】
[密着層または平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に密着層または平坦化層を有してもよい。密着層または平坦化層は、有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
【0106】
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
【0107】
[対抗基板]
平坦化層の上には、対抗基板を有してよい。対抗基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対抗基板と呼ばれる。対抗基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。
【0108】
[有機層]
本実施の形態に係る発光素子を構成する有機層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
【0109】
有機層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
【0110】
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0111】
上記バインダー樹脂としては、例えばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。上記は例であり、バインダー樹脂はこれらに限定されるものではない。
【0112】
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0113】
(第6の実施の形態)
本実施の形態では、半導体装置600の用途について図6乃至図10を用いて説明する。第1の実施の形態1で説明した半導体装置600は、表示装置、表示部や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
【0114】
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
【0115】
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0116】
次に、図面を参照しながら本実施の形態に係る表示装置につい説明する。図6は、機能素子80である発光素子10と、この発光素子10に接続されるTFT素子とを有する表示装置の例を示す断面模式図である。TFT素子は、半導体素子50の一例である。
【0117】
図6の表示装置1000は、ガラス等の基板11とその上部にTFT素子又は有機層4を保護するための防湿膜12が設けられている。また符号13は金属のゲート電極13である。符号14はゲート絶縁膜14であり、15は半導体層である。
【0118】
TFT素子18は、半導体層15とドレイン電極16とソース電極17とを有している。TFT素子18の上部には絶縁膜19が設けられている。コンタクトホール20を介して発光素子10を構成する下部電極2(陽極)とソース電極17とが接続されている。
【0119】
尚、発光素子10に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、図6に示される態様に限られるものではない。つまり陽極又は陰極のうちいずれか一方とTFT素子ソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。
【0120】
図6の表示装置1000では有機層4を1つの層の如く図示をしているが、有機層4は、複数層であってもよい。上部電極5(陰極)の上には発光素子の劣化を抑制するための第1の保護層24や第2の保護層25が設けられている。
【0121】
図6の表示装置1000では、スイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えてMIM素子をスイッチング素子として用いてもよい。
【0122】
また図6の表示装置1000に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。尚、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【0123】
図6の表示装置1000に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
【0124】
本実施の形態に係る発光素子10は、スイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。尚、本実施の形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
【0125】
図7は、本実施の形態に係る表示装置1000の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。表示パネル1005として、例えば実施の形態1に示す半導体装置600を用いることができる。
【0126】
タッチパネル1003および表示パネル1005には、それぞれフレキシブルプリント回路FPC1002及びフレキシブルプリント回路FPC1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
【0127】
本実施の形態に係る表示装置1000は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する光電変換装置の表示部に用いられてもよい。光電変換装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、また、撮像素子が取得した情報を用いて情報を取得し、表示部は、それとは別の情報を表示するものであってもよい。表示部は、光電変換装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。光電変換装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
【0128】
図8(a)は、本実施の形態に係る光電変換装置の一例を表す模式図である。光電変換装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、実施の形態1に係る半導体装置600を有してよい。または、本実施の形態で示した表示装置1000であってもよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
【0129】
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、発光素子として有機EL素子を用いている、実施の形態1または実施の形態2の発光素子10を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機EL素子は応答速度が速いからである。有機EL素子を用いた表示装置は、表示速度が求められるこれらの装置に、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
【0130】
光電変換装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
【0131】
本実施の形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
【0132】
本実施の形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
【0133】
図8(b)は、本実施の形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。表示部1201は、実施の形態1の半導体装置600を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。
【0134】
図9(a)及び図9(b)は、本実施の形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図9(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、実施の形態1に係る半導体装置600が用いられてよい。
【0135】
額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図9(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。
【0136】
また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0137】
図9(b)は本実施の形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図9(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、実施の形態1に係る半導体装置600を有してよい。
【0138】
第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
【0139】
図10(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源1402は、実施の形態1に係る半導体装置600を有してよい。光学フィルタは光源1402の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
【0140】
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は実施の形態1の半導体装置600とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
【0141】
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
【0142】
図10(b)は、本実施の形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
【0143】
テールランプ1501は、実施の形態1に係る半導体装置600を有してよい。テールランプは、発光素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
【0144】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、実施の形態1に係る半導体装置600を有してよい。この場合、半導体装置600が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
【0145】
本実施の形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は第1乃至第4のいずれかの実施の形態に係る半導体装置600を有する。
【0146】
以上説明した通り、第1乃至第4の実施の形態のいずれかに係る半導体装置600を用いることにより、信頼性が高い表示が可能になる。
【符号の説明】
【0147】
100 基板
102 素子基板
110 有効画素領域
120 周辺領域
200 第1接合部材
300 第2接合部材
500 対向基板
600 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10