(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/50 20230101AFI20240112BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240112BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240112BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240112BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240112BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20240112BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240112BHJP
【FI】
H04N23/50
G03B15/00 S
G03B17/56 B
G03B15/00 P
G03B11/00
G03B17/02
G03B17/14
H04N23/55
(21)【出願番号】P 2019204310
(22)【出願日】2019-11-11
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】大仲 智也
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-010054(JP,A)
【文献】特表2015-505380(JP,A)
【文献】特開2004-347624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0002730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
G03B 15/00
G03B 17/56
G03B 11/00
G03B 17/02
G03B 17/14
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを固定し、側面に開口部を有する固定部材と、
ギア部を有し、光学素子を保持する保持枠と、
前記撮影レンズの光軸と直交する方向から前記開口部に挿入され、前記保持枠を保持する保持ベースと、
前記ギア部と噛み合い、前記保持枠を前記撮影レンズの光軸と直交する方向に駆動する駆動ギアと、を有し、
前記保持ベースは、前記開口部へ挿入される際に、前記駆動ギアと噛み合う噛合部を有し、
前記噛合部は、前記ギア部の歯と略同じ形状であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記固定部材を前記光軸に直交する方向に貫通して設けられており、
前記保持ベースは、前記開口部へ挿入が完了した際に、前記開口部を埋める側壁を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記保持ベースは、前記開口部の貫通方向と前記撮影レンズの光軸方向を含む面と平行な面である第1の当接部を有し、
前記固定部材は、前記第1の当接部と当接する第2の当接部を
有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記噛合部は、前記側壁に設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記保持枠は、
前記ギア部に隣接し、前記保持ベースを前記固定部材へ挿入する際に、前記駆動ギアと当接する誘導部と、
を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記開口部より形成された前記固定部材の内部の空間における前記撮影レンズ側の面は、前記光軸に直交する第1の直交面であり、
前記第1の直交面に対向する面は、前記光軸に直交する第2の直交面であり、
前記固定部材は、前記第2の直交面に第3の当接部を備え、
前記保持ベースは、前記第3の当接部に前記光軸方向に当接する第4の当接部を備えることを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記保持ベースは、
凹部を有する底板部を有することを特徴とする請求項
6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第3及び第4の当接部は、それぞれ複数設けられていることを特徴とする請求項
6または7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記駆動ギアはモータと直接、または、間接的に連結され、駆動することを特徴とする請求項1から
8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に光学フィルタ等の光学素子を光路中に挿抜する機構を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラ等の撮像装置において、夜間や暗部の撮影時には赤外線を利用して画像を得る為に、赤外線遮断用の光学フィルタを光路中より挿抜させる光学フィルタ切り替え機構が搭載されたものが知られている。
【0003】
また、光学フィルタのレンズ鏡筒への組み込み方法として、レンズ鏡筒の側面に設けた開口部から組み込むようにした構成が知られている。例えば、特許文献1では、レバーのついたアクチュエータによって羽根をスライドさせる機構としての絞りユニットを開示している。この絞りユニットに、光学フィルタを保持した光学フィルタ枠および駆動源であるモータが固定されており、絞りユニットをレンズ鏡筒の側面に設けた開口部から組み込むようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の構成は、光学フィルタとモータが一体となった状態で開口部から組み込んで、その後、撮像素子基板やその他の基板にモータの配線を電気的に接続して固定する。そのため、例えば、製品の組立時に異常が見つかり、分解する際には、まずモータに接続された電気配線を外し、光学フィルタとモータを一緒に取り除く必要があり、組立性および分解性が良くないという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、レンズ鏡筒に対して、光学素子切り替えユニットを、容易に、分解および組立することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、撮影レンズを固定し、側面に開口部を有する固定部材と、ギア部を有し、光学素子を保持する保持枠と、前記撮影レンズの光軸と直交する方向から前記開口部に挿入され、前記保持枠を保持する保持ベースと、前記ギア部と噛み合い、前記保持枠を前記撮影レンズの光軸と直交する方向に駆動する駆動ギアと、を有し、前記保持ベースは、前記開口部へ挿入される際に、前記駆動ギアと噛み合う噛合部を有し、前記噛合部は、前記ギア部の歯と略同じ形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レンズ鏡筒に対して光学素子切り替えユニットを、容易に、分解および組立することができる撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】ネットワークカメラ1に搭載される撮像ユニット10の外観図
【
図6】フィルタベース102の外観図。(a)は前方、(b)は後方、(c)は下方、(d)は上方から見た図。
【
図7】フィルタホルダ103の斜視図。(a)は前方、(b)は後方から見た図。
【
図8】(a)は前方、(b)は後方から見たレンズホルダ104の外観図。(c)は
図8aに点線で示す光軸11を含む面でのレンズホルダ104の断面図。(d)は後方から見たからのレンズホルダ104の斜視図。
【
図9】レンズホルダ104へのフィルタベース102の組み込み途中の状態の図
【
図10】レンズホルダ104へのフィルタベース102の組み込み途中の状態の図
【
図11】レンズホルダ104へのフィルタベース102の組み込み完了直前の状態の図
【
図12】レンズホルダ104へのフィルタベース102の組み込み完了した状態の図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、
図5の光軸方向を前後方向(X方向)とし、レンズ111側を前方、撮像素子5側を後方とする。また、フィルタベース102が挿入される方向を左右方向(Z方向)とする。また、前後方向および左右方向の両方に直交する方向を上下方向(Y方向)とする。
【0011】
<ネットワークカメラ1の全体構成>
まず、
図1を参照して、撮像装置の一例としてのネットワークカメラ1の全体構成について説明する。
図1はネットワークカメラ1の外観図である。
【0012】
ネットワークカメラ1は、固定カバー2と、ドームカバー3と、ベース部4と、不図示のパン・チルト・ローテーションユニットと、撮像ユニット10と、を備えている。
【0013】
固定カバー2は、ベース部4に取付固定される。
【0014】
ドームカバー3は、半球状であり、透明な樹脂部材からなり、固定カバー2に固定されている。ドームカバー3、固定カバー2およびベース部4は、筐体を構成し、その内部に、パン・チルト・ローテーションユニット、および、撮像ユニット10が配置されている。
【0015】
パン・チルト・ローテーションユニットは、撮像ユニット10をパン・チルト・ローテーション方向に回転可能に支持する部材である。
【0016】
撮像ユニット10は、
図2および
図3に示すように、レンズ111や撮像素子5を備えている。撮像ユニット10の詳細については後述する。
【0017】
<撮像ユニット10の構成>
次に、
図2および
図3を参照して、撮像ユニット10の詳細について説明する。
図2はネットワークカメラ1に搭載される撮像ユニット10の外観図であり、
図3は撮像ユニット10の分解斜視図である。撮像ユニット10は、
図3に示すように、フロントカバー6と、リアカバー7と、撮像素子5と、レンズ鏡筒100と、から構成される。
【0018】
フロントカバー6は、レンズ111が挿通可能な穴部6aを有し、レンズ鏡筒100を覆っている。また、フロントカバー6は、ドームカバー3側に配置される。
【0019】
リアカバー7は、レンズ鏡筒100および撮像素子5を覆っている。また、フロントカバー6とリアカバー7は、互いにビス8、9によって固定される。フロントカバー6とリアカバー7は、一体となったレンズ鏡筒100と撮像素子5を内側に挟み込む。
【0020】
撮像素子5は、光学系により結像された被写体の光学像を電気信号に変換する。
【0021】
レンズ鏡筒100は、IRCF(赤外線カットフィルタ)106を保持するフィルタホルダ103等を備えている。レンズ鏡筒100の詳細については後述する。
【0022】
<レンズ鏡筒100の構成>
次に、
図4および
図5を参照して、レンズ鏡筒100の詳細について説明する。
図4はレンズ鏡筒100の斜視図であり、
図5はレンズ鏡筒100の分解斜視図である。レンズ鏡筒100は、
図5に示すように、撮像素子保護ラバー101と、フィルタベース102(保持ベース)と、フィルタホルダ103(保持枠)と、レンズホルダ104(固定部材)と、アクチュエータ部105と、から構成される。
【0023】
撮像素子保護ラバー101は、撮像素子5を保護するための部材であり、フィルタベース102と撮像素子基板5aの間に配置される。
【0024】
フィルタベース102は、フィルタホルダ103を保持する部材である。フィルタベース102は、フィルタホルダ103を保持した状態で、レンズホルダ104の開口部1041(
図8(c)参照)に挿入されることで、レンズホルダ104に取り付けられる。
【0025】
フィルタホルダ103は、IRCF106(光学素子)とガラス107(光学素子)を保持する部材である。フィルタホルダ103は、アクチュエータ部105により、光路上から挿抜できる。例えば、IRCF106は、撮像素子5に対する光量を十分に確保できるときに、光軸11上に配置され、撮像素子5に対する光量が十分に確保できないときに、光軸11上から退避される。ガラス107は、特に、レンズ鏡筒が固定焦点のレンズである場合、IRCF106を光軸11上から退避させたときに、焦点位置が変わることを防ぐ役割を担っている。
【0026】
レンズホルダ104は、レンズ111(撮影レンズ)を保持するとともに、撮像素子保護ラバー101、撮像素子5が実装された撮像素子基板5aおよびアクチュエータ部105が取り付けられる。また、レンズホルダ104は、フィルタホルダ103が保持されたフィルタベース102が挿入される開口部1041(
図8(c)参照)と、アクチュエータ部105が取り付けられるアクチュエータ取付け部1048と、を有している。なお、ここでは、レンズホルダ104にレンズ111が固定されているが、着脱可能な交換レンズを取り付けるマウント部が設けられている形態でもよい。
【0027】
アクチュエータ部105は、フィルタホルダ103を光軸11上に挿抜するための部材である。アクチュエータ部105は、モータ108とギア列109(駆動ギア)から構成されている。ギア列109は、ギアカバー113によってカバーされるとともに、フィルタホルダ103のギアかみ合い部1031と係合している。これにより、モータ108の駆動力をフィルタホルダ103に伝達している。また、図示しない制御部がモータ108への電圧を変更し、回転方向を変えることで、フィルタホルダ103は光軸と直交する方向に移動し、光路から挿抜される。
【0028】
また、アクチュエータ部105は、フォトインタラプタ110を備えている。フォトインタラプタ110は、IRCF106が光軸11上から退避するときにフィルタホルダ103に付けられた遮光部112により遮光され、IRCF106が光軸11上にあるときに光を入射するようになっている。これにより、光軸上にIRCF106があるかどうかを検知することができる。ここで、モータ108とフォトインタラプタ110はフレキシブルプリント基板114により、撮像素子5が接続された撮像素子基板5aや、不図示のメイン基板と電気的に接続されている。
【0029】
<フィルタベース102の詳細構成>
次に、
図6a~
図6dを参照して、フィルタベース102の詳細について説明する。
図6aはレンズ111側から見たフィルタベース102の外観図である。
図6bは撮像素子5から見たフィルタベース102の外観図である。
図6cは
図6aを下方から見たフィルタベース102の外観図である。
図6dは
図6bを上方から見たフィルタベース102の外観図である。
【0030】
フィルタベース102は、
図6aに示すように、ガイド部1026、摺動面1022、底板部1023、側壁1027、1028、当接面10251(第2の当接部)、10252、当接面1029を有している。さらに、フィルタベース102は、
図6bに示すように、当接面1024(第4の当接部)を有している。
【0031】
ガイド部1026および複数の摺動面1022は、フィルタホルダ103が光軸11上に挿抜できるようにガイドする部材である。フィルタホルダ103が光軸11と直交する方向(左右方向)に移動する際、ガイド部1026は、フィルタホルダ103の後述するガイド部1036と係合し、摺動面1022は、フィルタホルダ103の後述する摺動面1032と摺動する。
【0032】
複数の当接面1024は、フィルタベース102のレンズホルダ104への組付け時完了に、レンズホルダ104側へフィルタベース102を移動させることで、フィルタベース102とレンズホルダ104の隙間をなくすための部材である。具体的には、フィルタベース102のレンズホルダ104への組付け時完了に、当接面1024がレンズホルダ104の当接面1044と当接することで、フィルタベース102とレンズホルダ104との前後方向における隙間が略0になる。また、複数の当接面1024は、ガイド部1026および摺動面1022が設けられた面と反対側、すなわち、撮像素子基板5a側に設けられている。
【0033】
底板部1023は、ギア列109周辺において、凹んでいる凹部10231を有している。
【0034】
側壁1027、1028は、フィルタベース102の端部に設けられており、側壁1028の端部は、略鋭角形状部10281(噛合部)を有している。略鋭角形状部10281は、フィルタベース102のレンズホルダ104への組み立て時に、ギア列109と噛み合い、ギア列109を回転させる。本実施形態における略鋭角形状部10281は、ギアかみ合い部1031と略同一のギア形状であるが、略鋭角形状部10281は、ギア列109の回転を妨げない形状であればよい。また、略鋭角形状部10281は、フィルタベース102のレンズホルダ104への組立て時に、レンズホルダ104の内壁と近接するので、ゴミの侵入を低減させる役割も兼ねている。
【0035】
当接面10251、10252は、フィルタベース102の下面から突出している。当接面10251、10252は、フィルタベース102のレンズホルダ104への組立て時に、レンズホルダ104の後述する当接面1045と当接する。これにより、フィルタベース102の略鋭角形状部10281が、レンズホルダ104の内壁と近接し、ゴミの侵入を低減させる。
【0036】
当接面1029は、フィルタベース102の上面から突出している。当接面1029は、フィルタベース102のレンズホルダ104への組立て時に、レンズホルダ104の当接面1049と当接する。
【0037】
<フィルタホルダ103の詳細構成>
次に、
図7aおよび
図7bを参照して、フィルタホルダ103の詳細について説明する。
図7aはレンズ111側から見たフィルタホルダ103の斜視図であり、
図7bは撮像素子5側から見たフィルタホルダ103の斜視図である。
【0038】
フィルタホルダ103は、
図7aに示すように、複数の摺動面1033、ギアかみ合い部1031(ギア部)、誘い込み部10311(誘導部)を有している。さらに、フィルタホルダ103は、
図7bに示すように、複数の摺動面1032、ガイド部1036を有している。
【0039】
摺動面1032は、フィルタホルダ103が光軸11と直交する方向に移動する際、フィルタベース102の摺動面1022と摺動し、ガイド部1036は、フィルタベース102のガイド部1026と係合する。これにより、フィルタホルダ103の摺動が光軸11と直交する方向(上下方向)に規制される。
【0040】
ギアかみ合い部1031は、ギア列109と噛み合う部分である。ギアかみ合い部1031は、モータ108の駆動力をフィルタホルダ103に伝達している。
【0041】
誘い込み部10311は、ギアかみ合い部1031に隣接して設けられ、フィルタベース102のレンズホルダ104への組立て時に、ギア列109と係合し、IRCF106の挿抜時にはギア列109と係合しないようになっている。本実施形態では、誘い込み部10311は、ギアかみ合い部1031と同一の形状としている。しかし、フィルタベース102のレンズホルダ104への組み立て時に、ギア列109の歯先がフィルタホルダ103と干渉しなければよく、例えば、斜面や平面など、ギアかみ合い部1031と異なる凹凸形状などでもよい。また、本実施形態では、誘い込み部10311は、ギアかみ合い部1031の左右方向における一方の端部に形成されているが、ギアかみ合い部1031の左右方向の両端に形成してもよい。
【0042】
また、誘い込み部10311は、フィルタベース103の当接面10251とレンズホルダ104の当接面1045が当接するまでは、ギア列109と噛み合わない位置に位置する。すなわち、誘い込み部10311の先端は、フィルタベース103の当接面10251とレンズホルダ104の当接面1045が当接するまでは、略鋭角形状部10281の先端よりもギア列109から離れた位置にある。
【0043】
<レンズホルダ104の詳細構成>
次に、
図8a~
図8dを参照して、レンズホルダ104の詳細について説明する。
図8aは、レンズ111側から見たレンズホルダ104の外観図であり、
図8bは撮像素子5側から見たレンズホルダ104の外観図である。
図8cは
図8aに点線で示す光軸11を含む面でのレンズホルダ104の断面図であり、
図8dは撮像素子5側から見たレンズホルダ104の斜視図である。
【0044】
レンズホルダ104は、開口部1041、1042、摺動面1043、当接面1044(第3の当接部)、当接面1045(第1の当接部)、1049を有している。
【0045】
開口部1041,1042は、
図8(c)に示すように、レンズホルダ104をレンズ111の光軸に直交する方向(左右方向)に貫通して設けられている。
【0046】
摺動面1043は、開口部1041、1042より形成されるレンズホルダ104の内部の空間において、レンズ111側(撮影レンズ側)の光軸直交面(第1の直交面)に複数設けられている。摺動面1043は、フィルタベース102のレンズホルダ104への組立て時に、フィルタベース102の摺動面1022と摺動する。
【0047】
当接面1044は、第1の直交面と対向する光軸直交面である第2の直交面に複数設けられている。当接面1044は、フィルタベース102の当接面1024と当接する。
フィルタベース102のレンズホルダ104への組付け時完了に、当接面1044が、フィルタベース102の当接面1024と当接することで、フィルタベース102とレンズホルダ104との前後方向における隙間が略0になるように構成されている。
【0048】
当接面1045は、
図8(b)および
図8(d)に示すように、開口部1041の貫通方向(左右方向)とレンズ111の光軸方向を含む面と平行な面である。当接面1045は、フィルタベース102のレンズホルダ104への組立て時に、フィルタベース102の当接面10251と当接する。これにより、フィルタベース102の略鋭角形状部10281が、レンズホルダ104の内壁と近接し、ゴミの侵入を低減させる。
【0049】
当接面1049は、フィルタベース102のレンズホルダ104への組立て時に、フィルタベース102の当接面1029と当接する。
【0050】
<フィルタベース及びフィルタホルダのレンズホルダへの組み込み>
次に、
図9~
図12を参照して、レンズホルダ104に対するフィルタベース102及びフィルタホルダ103の組み込み手順について説明する。
【0051】
図9はフィルタベース102をレンズホルダ104に組み込み始めた状態における図である。
図9aはレンズ111側から見た外観図である。
図9bは
図9aに点線で示す光軸11を含む面(断面A)での、下方向から見た断面図である。
図9cは
図9bに点線で示す側壁1028周辺の詳細図である。
図9dは
図9bに示す断面Bでの断面図である。
【0052】
なお、
図9~
図12では、ギア列109とフィルタベース102の関係に着目しているため、モータ108やギアカバー113は不図示であるが、モータ108やギアカバー113が取り付けられていてもよい。なお、撮像素子保護ラバー101は、レンズホルダ104に対してフィルタベース102及びフィルタホルダ103が組み込まれる前に、レンズホルダ104に取り付けられている。しかし、撮像素子保護ラバー101が、レンズホルダ104に取り付けられる前でもよい。
【0053】
まず、フィルタベース102にフィルタホルダ103を組む。具体的には、前述したように、フィルタベース102の摺動面1022とフィルタホルダ103の摺動面1032、フィルタベース102のガイド部1026とフィルタホルダ103のガイド部1036がそれぞれ対応した状態で組まれている。
【0054】
その後、
図9に示すように、フィルタベース102が、左右方向からレンズホルダ104の開口部1041より、レンズホルダ104の内部に組み込まれる。このとき、まだ、フィルタベース103の略鋭角形状部10281とギア列109は接触していない。
【0055】
また、
図9(c)に示すように、前後方向において、フィルタベース102の当接面1024とレンズホルダ104の当接面1044は当接していない。よって、フィルタホルダ103の摺動面1033とレンズホルダ104の摺動面1043の間には、
図9(c)に示すように、隙間Sがあり、フィルタベース102とレンズホルダ104の間には隙間S’がある。また、レンズホルダ104の開口部1041とフィルタベース103の側壁1028の間にも空間がある。なお、
図9では、S>S’であるが、これに限定されない。
【0056】
また、上下方向において、フィルタベース103の当接面10251とレンズホルダ104の当接面1045は当接していない。よって、フィルタベース102の略鋭角形状部10281とレンズホルダ104の内壁は、まだ近接していない。
【0057】
【0058】
図10はギア列109とフィルタベース102が接触する状態における図である。
図10aはレンズ111側から見た外観図である。
図10bは
図10aに点線で示す光軸11を含む面(断面A)での下方向から見た断面図である。
図10cは
図10bに点線で示す断面Bでの断面図である。
図10dは
図10cに点線で示すギア列109周辺の詳細図である。
【0059】
図9に示す状態から、さらに、フィルタベース102を左右方向に組み込んでいくと、
図10に示すように、ギア列109とフィルタベース102の略鋭角形状部10281が接触し、かみ合う。さらに、フィルタベース102を左右方向に組み込んでいくことで、ギア列109が回転し、フィルタベース102をレンズホルダ104に組み込むことができる。また、フィルタベース102の底板部10231は、ギア列109に対して、低くなっているので、ギア列109との接触を防止できる。
【0060】
また、このとき、フィルタベース102の当接面1024とレンズホルダ104の当接面1044は、当接していない。よって、このときも、
図9と同様に隙間S、S’が設けられている。また、レンズホルダ104の開口部1041とフィルタベース103の側壁1028の前後方向における間にも空間がある。
【0061】
また、上下方向において、フィルタベース103の当接面10251とレンズホルダ104の当接面1045は当接していない。よって、フィルタベース102の略鋭角形状部10281とレンズホルダ104の内壁は、まだ近接していない。
【0062】
【0063】
図11はフィルタベース102へのレンズホルダ104の組み込みが完了直前の状態における図である。
図11aはレンズ111側から見た外観図である。
図11bは
図11aに点線で示す光軸11を含む面(断面A)での下方向から見た断面図である。
図11cは
図11bに点線で示す開口部1041周辺の詳細図(詳細
図1)である。
図11dは
図11bに点線で示す開口部1042周辺の詳細図(詳細
図2)である。
図11eは
図11aに点線で示す、断面Bでの簡略化した断面図である。
図11fは
図11eに点線で示す、ギア列109周辺の詳細図(詳細
図3)である。
図11gはギア列109周の噛合い状態を示す図である。また、
図11eでは、ギア列109とフィルタベース102とフィルタホルダ103の関係に着目しているため、他の部材は不図示である。
【0064】
図10に示す状態から、さらに、フィルタベース102を左右方向に組み込んでいくと、フィルタベース103の当接面10251とレンズホルダ104の当接面1045は当接する。これにより、フィルタベース102が上方向に移動し、フィルタホルダ103の誘い込み部10311がギア列109と噛み合う。その後、
図10(g)に示すように、フィルタホルダ103のギアかみ合い部1031とギア列109がかみ合いながら、フィルタベース103は左右方向に移動する。また、フィルタベース102の底板部10231は、ギア列109と近接するが、凹部10231が設けられているため、ギア列109との接触を防止できる。
【0065】
また、フィルタベース102の当接面1024とレンズホルダ104の当接面1044は、当接していない。よって、このときも、
図9と同様に隙間S、S’が設けられている。また、レンズホルダ104の開口部1041、1042とフィルタホルダ102の側壁1027、1028の前後方向における間にも空間がある。
【0066】
また、上述したように、フィルタベース103の当接面10251とレンズホルダ104の当接面1045は当接している。これにより、フィルタベース102の略鋭角形状部10281とレンズホルダ104の内壁が近接する。
【0067】
【0068】
図12はフィルタベース102へのレンズホルダ104の組み込みが完了した状態における図である。
図12aはレンズ111側から見た外観図である。
図12bは
図12aに点線で示す光軸11を含む面(断面A)での下方向から見た断面図である。
図12cは
図12bに点線で示す開口部1041周辺の詳細図(詳細
図1)である。
図12dは
図11bに点線で示す開口部1042周辺の詳細図(詳細
図2)である。
図12eは
図12aに点線で示す、断面Bでの簡略化した断面図である。
図12fは
図12eに点線で示す、ギア列109周辺の詳細図(詳細
図3)である。
図12gは、レンズホルダ104の側面図である。また、12eでは、ギア列109とフィルタベース102とフィルタホルダ103の関係に着目しているため、他の部材は不図示である。
【0069】
図11に示す状態から、さらに、フィルタベース102を左右方向に組み込んでいくと、
図12に示すように、組み込みが完了した状態となる。
【0070】
このとき、フィルタベース102の当接面1024とレンズホルダ104の当接面1044が当接することで、組み込み途中にあった隙間S、S’が詰められて、隙間T、T’となり、隙間が低減している。つまり、S>Tであり、S‘>T’となり、フィルタホルダ103の摺動面1033はレンズホルダ104の摺動面1043と摺動可能に当接し、フィルタベース102はレンズホルダ104にしっかりと固定されるように当接する。また、レンズホルダ104の開口部1041、1042とフィルタホルダ102の側壁1027、1028の前後方向における間の空間が略0になる。
【0071】
さらに、
図12gに示すように、フィルタベース102の略鋭角形状部10281とレンズホルダ104の内壁が近接しているので、側面視において、フィルタベース102とレンズホルダの隙間が略0になる。
【0072】
<効果>
以上のように、フィルタベース102をレンズホルダ104へ組み込んでいくと、ギア列109とフィルタベース102の略鋭角形状部10281と噛み合い、ギア列109が回転する。よって、ギア列109がレンズホルダ104に配置された状態でも、フィルタベース102をレンズホルダ104に組み込むことができる。その結果、ギア列109の有無に関係なく、フィルタベース102をレンズホルダ104に対して、組立、分解ができ、組立性と分解性を向上できる。
【0073】
また、フィルタベース102をレンズホルダ104へ組み込んでいくと、フィルタベース102の底板部1023がギア列108と近接するが、凹部10231を設けておくことで、ギア列108との接触を防止できる。
【0074】
また、フィルタベース102の外周面の側壁1027、1028とレンズホルダ104の開口部1041、1042は、組み込み完了状態のとき、隙間が略0になるため、ゴミが外部から入ってくることを抑制でき、光が入射することも低減できる。
【0075】
また、開口部1042が貫通していても、略鋭角形状部10281があることで、側壁1028と開口部1042が近接するため、ゴミの侵入を低減できる。
【0076】
<他の変形例>
ここでは、フィルタベース102とレンズホルダ104に摺動面がある構成で記載しているが、フィルタベース102に蓋部材があり、光軸方向の摺動面が両方ともある状態で挿入されてもよい。また、
図9~12では、アクチュエータ105を記載していないが、ギア列109とモータ108が直接、連結され、駆動されてもよく、ギア列109が複数連結され、モータが間接的にギア列109を駆動してもよい。
【0077】
本実施形態では、組立に関して記載しているが、分解時は組立と逆の順番に進めることで、分解もできるようになっていることにも留意されたい。
【0078】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の説明は本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲において、構成要素の削除、追加、置換を含む様々な変形例が考えられる。
【符号の説明】
【0079】
1 ネットワークカメラ(撮像装置)
100 レンズ鏡筒
102 フィルタベース(保持ベース)
103 フィルタホルダ(保持枠)
104 レンズホルダ(固定部材)
106 IRCF(光学素子)
108 モータ
109 ギア列(駆動ギア)
111 レンズ(撮影レンズ)
1031 ギアかみ合い部(ギア部)
1041、1042 開口部
1027、1028 側壁
1023 底板部
1044 当接面(第3の当接部)
1024 当接面(第4の当接部)
1045 当接面(第1の当接部)
10251 当接面(第2の当接部)
10281 略鋭角形状部(噛合部)
10231 凹部(凹部)
10311 誘い込み部(誘導部)