(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】表示制御装置およびその制御方法およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G02B 7/28 20210101AFI20240112BHJP
G02B 7/34 20210101ALI20240112BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20240112BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240112BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20240112BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240112BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20240112BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240112BHJP
【FI】
G02B7/28 N
G02B7/34
G03B17/18
G03B17/02
G03B13/36
G03B15/00 Q
H04N23/67
H04N23/63
(21)【出願番号】P 2019208990
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】関 敬司
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-197181(JP,A)
【文献】特開2019-023686(JP,A)
【文献】特開2016-115337(JP,A)
【文献】特開2013-157842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28
G02B 7/34
G03B 17/18
G03B 17/02
G03B 13/36
G03B 15/00
H04N 23/67
H04N 23/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像
部で撮像されているライブビュー画像に含まれる焦点検出領域についての合焦度合いに関する情報を取得する合焦度合い取得手段と、
前記ライブビュー画像に対して実行された、特定の被写体の検出処理の結果を取得する検出結果取得手段と、
前記ライブビュー画像に重畳して
表示される、前記焦点検出領域を示す第1のアイテムと合焦度合いを示す指標を含むガイド表示と、前記ライブビュー画像から検出された前記特定の被写体の領域である被写体領域を示す第2のアイテムと、の重なりの状態に応じて、前記第1のアイテムと前記第2のアイテムの両方を表示するか、前記第1のアイテムと前記第2のアイテムのうち、いずれか一方を非表示にするか、を切り替え、
前記ガイド表示と前記第2のアイテムとの重なりの状態にかかわらず、前記ライブビュー画像に重畳して前記ガイド表示のうち前記合焦度合いを示す指標を表示する
、
ように制御する制御手段と
、
を有
し、
前記制御手段は、
前記重なりの状態が、前記ガイド表示のうち前記第1のアイテムで示される領域が前記第2のアイテムで示される領域に内包され、かつ、前記第1のアイテムの領域に対する前記第2のアイテムの相対的なサイズが所定値以上である場合、または、
前記重なりの状態が、前記ガイド表示のうち前記第1のアイテムに示される領域が前記第2のアイテムで示される領域に内包されていない、かつ、前記第1のアイテムで示された領域の一部と前記第2のアイテムで示された領域の一部が重なっている状態である場合に、
前記第1のアイテムと前記第2のアイテムのうち、いずれか一方を非表示にするように制御する、
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記特定の被写体が複数検出された場合は、複数の前記特定の被写体のうち、主である前記特定の被写体を識別するための第1の指標を前記被写体領域の近傍に表示することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記第1の指標は、前記重なりの状態に応じて前記第2のアイテムを非表示にした場合でも、表示することを特徴とする請求項
2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記制御手段
は、前記重なりの状態に応じて、前記第1のアイテムを非表示にした後
、前記合焦度合い取得手段で取得した前記合焦度合いの所定の条件を満たす変化、もしくは、ユーザーによる特定の操作手段への操作のうち少なくとも一方があったことに応じて、前記第1のアイテムを表示する
ように制御する、ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記制御手段
は、前記合焦度合い取得手段で取得した前記合焦度合いの所定の条件を満たす変化、もしくは、ユーザーによる特定の操作手段への操作のうち少なくとも一方があったことに応じて、前記第1のアイテムと前記第2のアイテムの両方を表示した後、前記合焦度合い取得手段で取得した前記合焦度合いの前記所定の条件を満たす変化がない状態が所定時間経過したことに応じて、前記第1のアイテムを非表示にすることを特徴とする請求項
4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記特定の操作手段は、測距位置の移動指示を行う操作部材、自動焦点調節を行うAFモードに設定されている際に用いる機能を有した押しボタン、タッチ操作可能なタッチ操作手段のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項
4または5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記ガイド表示は、互いの表示位置の関係によって合焦度合いを示す第2の指標および第3の指標と、合焦状態になるための目標地点を示す第4の指標から成ることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記ガイド表示は、合焦していない場合に、複数の段階で合焦度合いを示すものであることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
ファインダーと、ファインダー内表示
部と、ファインダー外表示
部とを更に有し、
前記制御手段は、
前記ファインダー内表示
部と前記ファインダー外表示
部のうち、いずれか一方に前記ライブビュー画像を表示し、
前記第1のアイテムと前記第2のアイテムとの重なりの状態に応じて、前記第1のアイテムと前記第2のアイテムの両方もしくはいずれかを、前記ライブビュー画像を表示している表示
部に表示
し、
前記第1のアイテムと前記第2のアイテムとの重なりの状態にかかわらず、前記ガイド表示のうち前記合焦度合いを示す指標を前記ライブビュー画像を表示している前記表示
部に表示する
、ように制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項10】
撮像
部で撮像されているライブビュー画像に含まれる焦点検出領域についての合焦度合いに関する情報を取得する合焦度合い取得ステップと、
前記ライブビュー画像に対して実行された、特定の被写体の検出処理の結果を取得する検出結果取得ステップと、
前記ライブビュー画像に重畳して
表示される、前記焦点検出領域を示す第1のアイテムと合焦度合いを示す指標を含むガイド表示と、前記ライブビュー画像から検出された前記特定の被写体の領域である被写体領域を示す第2のアイテムと、の重なりの状態に応じて、前記第1のアイテムと前記第2のアイテムの両方を表示するか、前記第1のアイテムと前記第2のアイテムのうち、いずれか一方を非表示にするか、を切り替え、
前記ガイド表示と前記第2のアイテムとの重なりの状態にかかわらず、前記ライブビュー画像に重畳して前記ガイド表示のうち前記合焦度合いを示す指標を表示する
、
ように制御する制御ステップと
を有
し
前記制御御ステップでは、
前記重なりの状態が、前記ガイド表示のうち前記第1のアイテムで示される領域が前記第2のアイテムで示される領域に内包され、かつ、前記第1のアイテムの領域に対する前記第2のアイテムの相対的なサイズが所定値以上である場合、または、
前記重なりの状態が、前記ガイド表示のうち前記第1のアイテムに示される領域が前記第2のアイテムで示される領域に内包されていない、かつ、前記第1のアイテムで示された領域の一部と前記第2のアイテムで示された領域の一部が重なっている状態である場合に、
前記第1のアイテムと前記第2のアイテムのうち、いずれか一方を非表示にするように制御する、
ことを特徴とする表示制御装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載された表示制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載された表示制御装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカス調整と被写体検出に関する情報表示をするための表示制御装置における表示制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーがマニュアル操作でフォーカスを合わせようとしている場合に、ガイド表示なしには、細かなフォーカス合わせが難しい。特許文献1には、撮影中にマニュアル操作でフォーカスを合わせる際に、フォーカス検出領域とフォーカス検出領域での合焦状態を示すガイドを表示することで、ユーザーがマニュアル操作でも、より細かなフォーカス調整を行いやすく、操作性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1では、合焦度合いを示すガイド枠とは異なる枠表示があることを考慮しておらず、合焦度合いを示すガイド枠とは異なる、別の枠表示が表示される場合には、ガイド枠と別の枠表示が表示されることになる。例えば、撮影中に、被写体の顔を検出した際に顔検出枠を表示すると、被写体に重畳して複数の枠が表示される。そのため、ユーザーがマニュアル操作でフォーカス調整を行っている場合に、被写体を視認しにくく邪魔に感じ、フォーカス調整が行いにくくなり、シャッターチャンスを逃す可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、撮影中に、ユーザーがフォーカス調整を行いやすく、かつ、被写体を視認しにくくなることを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、
撮像部で撮像されているライブビュー画像に含まれる焦点検出領域についての合焦度合いに関する情報を取得する合焦度合い取得手段と、ライブビュー画像に対して実行された、特定の被写体の検出処理の結果を取得する検出結果取得手段と、ライブビュー画像に重畳して表示される、焦点検出領域を示す第1のアイテムと合焦度合いを示す指標を含むガイド表示と、ライブビュー画像から検出された特定の被写体の領域である被写体領域を示す第2のアイテムと、の重なりの状態に応じて、第1のアイテムと第2のアイテムの両方を表示するか、第1のアイテムと第2のアイテムのうち、いずれか一方を非表示にするか、を切り替え、ガイド表示と第2のアイテムとの重なりの状態にかかわらず、ライブビュー画像に重畳してガイド表示のうち合焦度合いを示す指標を表示する、ように制御する制御手段と、を有し、制御手段は、重なりの状態が、ガイド表示のうち第1のアイテムで示される領域が第2のアイテムで示される領域に内包され、かつ、第1のアイテムの領域に対する第2のアイテムの相対的なサイズが所定値以上である場合、または、重なりの状態が、ガイド表示のうち第1のアイテムに示される領域が第2のアイテムで示される領域に内包されていない、かつ、第1のアイテムで示された領域の一部と第2のアイテムで示された領域の一部が重なっている状態である場合に、第1のアイテムと第2のアイテムのうち、いずれか一方を非表示にするように制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザーが合焦度合いを示すガイド表示と被写体領域を示す指標によって、フォーカス調整を行いやすく、かつ、被写体を視認しにくくなることを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態における、デジタルカメラ10の構成ブロック図である。
【
図2】本実施形態における、撮像素子102の受光面の説明図である。
【
図3】本実施形態における、フォーカスガイドの説明図である。
【
図4】本実施形態における、フォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠の表示制御に関する処理のうち、条件を満たしたことに応じてガイド枠のみを表示する制御フローである。
【
図5】本実施形態における、フォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠の表示制御に関する処理のうち、条件を満たしたことに応じて顔検出枠のみを表示する制御フローである。
【
図6】
図4、
図5における制御フローで行う、演算処理に関する制御フローと説明図である。
【
図7】本実施形態において、1つの顔が検出されている際のフォーカスガイドと顔検出枠の表示例である。
【
図8】本実施形態において、複数の顔が検出されている際のフォーカスガイドと顔検出枠の表示例である。
【
図9】本実施形態における、設定メニュー画面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
図1に、本発明の表示制御装置の一例としてのデジタルカメラ10のハードウェア構成の一例を示す。筺体100は、デジタルカメラ10の構成要素の多くを内包する外装である。各種の操作部や表示部107、外部出力部121は筺体100の表面に露出している。
【0011】
交換レンズ101は、複数のレンズ群からなる撮影レンズであり、フォーカスレンズ、ズームレンズ、シフトレンズを内部に備えるほか、絞りを含む。
【0012】
撮像素子102は、光電変換素子を有する画素が複数、二次元状に配列された構成を有する。撮像素子102は、交換レンズ101により結像された被写体光学像を各画素で光電変換し、さらにA/D変換回路によってアナログ・デジタル変換して、画素単位の画像信号(RAW画像データ)を出力する。本実施形態に用いる撮像素子102と、関連する測距部108の詳細は、
図2とともに後述する。
【0013】
NDフィルタ103はレンズに備えられた絞りとは別に入射光量を調整するためにデジタルカメラ10に設けられたものである。画像処理部118は、撮像素子102に起因するレベル差を補正する。例えば、OB領域(OPTICAL BLACK領域)の画素を用いて、有効領域の画素のレベルを補正するほか、欠陥画素に対して周囲画素を用いた補正を行う。また、周辺光量落ちに対する補正、色補正、輪郭強調、ノイズ除去、ガンマ補正、ディベイヤー、圧縮などの各処理を行う。画像処理部118は、撮像素子102から入力されたRAW画像データに対して上記処理を行うと、その他の制御部へ補正した画像データを出力する。
【0014】
記録媒体I/F部104は、記録媒体105とデジタルカメラ10とのインターフェースであり、記録媒体105に対して、画像処理部118から入力された画像データの記録や記録した画像データの読み出しを制御する。記録媒体105は、撮影された映像あるいは画像データを記録するための半導体メモリ等で構成される記録媒体であり、記録媒体I/F部104による制御に応じて画像データの記録や記録された画像データの読み出しを実行する。記録媒体105は、着脱可能なメモリーカード等である。なお、内蔵の記録媒体でもよい。
【0015】
GPU115は、デジタルカメラの各種情報表示やメニュー画面をVRAMに描画するレンダリングエンジンである。文字列や図形の描画機能のほか、拡大縮小描画機能や、回転描画機能、レイヤ合成機能を備えている。VRAMは透過度を表すアルファチャネルを備えており、VRAMに描画された表示物を表示用I/F部106によって撮像画像や再生画像上にオンスクリーン表示することができる。
【0016】
表示用I/F部106は、画像処理部118からの映像データ(撮影画像、再生画像)およびGPU115でVRAMに描画した表示物に対して、重畳合成およびリサイズ処理を行い、表示部107へ出力する(表示する)。拡大表示モードになっているときは、表示用I/F部106は映像データの部分領域に対して重畳合成およびリサイズ処理を行う。その結果、拡大表示モードでは、通常時よりも拡大された映像が表示部107に表示されるため、撮影者がマニュアルフォーカス(以下、MF)での焦点調整操作をより正確に行いやすくなる。
【0017】
表示部107は、表示用I/F部106から出力された画像データを画角確認用に表示する筐体100の側から視認可能なファインダー内表示部や筐体100の表面に配置されるファインダー外表示部である。また、筐体100に付属していない外部モニターである。表示部107は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ(ORGANIC LIGHT-EMITTING DIODE DISPLAY)などで構成可能である。
【0018】
本体マイコン119は、デジタルカメラ10の全体の動作を制御する制御部であり、マイクロコンピュータなどで構成される。本体マイコン119は、CPU119a、ROM119b、RAM119cを備える。CPU119aは、ROM119Bに記憶されたプログラムを、RAM119cに展開して実行することにより、後述の各種フローチャートの動作を実行する。
【0019】
以下に説明するゲイン制御部109、シャッター制御部110、ND制御部111および絞り制御部112は、いずれも露出制御のためのブロックである。これらは、それぞれ画像処理部118の出力した画像データの輝度レベルを本体マイコン119で算出した結果に基づいて、あるいは撮影者がマニュアル設定した動作パラメータに基づいて、本体マイコン119によって制御される。ゲイン制御部109は、撮像素子102のゲインを制御する。
【0020】
シャッター制御部110は、撮像素子102のシャッタースピードを制御する。
【0021】
ND制御部111は、NDフィルタ103を介して撮像素子102に入射する光量を制御する。
【0022】
絞り制御部112は、交換レンズ101の絞りを制御する。
【0023】
フォーカス制御部113は、本体マイコン119で保持されるフォーカス駆動状態がAF(オートフォーカス)かMF(マニュアルフォーカス)かによって異なる動作を行う。
【0024】
AFのときは、画像処理部118から出力された画像データを参照して本体マイコン119でフォーカスの合焦情報を算出し、それをもとにフォーカス制御部113が交換レンズ101内部のフォーカスレンズを制御する。あるいは、撮像面位相差検出によって測距部108から出力されたデフォーカス量を元にフォーカス制御部113が交換レンズ101内部のフォーカスレンズを制御する。画像データの部分領域にAF枠を設定し、AF枠内の被写体のみに基づいてフォーカス情報を算出することもできる。AFは、本体マイコン119の振る舞いによって、さらに2つの動作モードを備えている。一つはワンショットAFモードであり、ワンショットAFキー129が押下されたときだけAF制御を行い、合焦成功または合焦失敗が確定した後はフォーカス制御部113の制御を停止するモードである。もう一つはコンティニュアスAFモード(サーボAF)であり、常にAF制御を行うモードである。ただし、コンティニュアスAFモードであっても、AFロックキー130の押下によってAFロック状態になっているときは、フォーカス制御部113の制御を停止する。2つのモードの切り替えはメニュー画面内の設定変更によって行う。MFのときは、フォーカス制御部113はAF制御を停止する。この場合、撮影者が交換レンズ101に組み込まれたフォーカスリング134を回転させることによって、任意のフォーカス調整を行うことができる。
【0025】
防振制御部114は、画像処理部118から出力された画像データを参照して本体マイコン119で被写体の動きベクトルを算出し、算出した動きベクトルをもとに手ブレを相殺するように交換レンズ101内部のシフトレンズを制御する光学式防振処理を行う。あるいは、防振制御部114は手ブレによる像ブレを相殺する方向に動画の各フレームで画像を切り出す電子式防振処理を行う。
【0026】
メモリI/F部116は、撮像素子102から出力された全画素分のRAW画像データをメモリ117に書き込み、また、メモリ117に保持されたRAW画像データを読み出して画像処理部118に出力する。メモリ117は、数フレームの全画素分のRAW画像データを格納する揮発性の記憶媒体である。
【0027】
画像処理部118は、メモリI/F部116から送られた全画素分のRAW画像データに対し、制御に必要な画像処理を行う。
【0028】
外部出力I/F部120は、画像処理部118からの映像データにリサイズ処理を行う。また、外部出力部121の規格に適した信号変換および制御信号の付与を行い、外部出力部121へ出力する。外部出力部121は、映像データを外部出力する端子であり、例えばSDI(SERIAL DIGITAL INTERFACE)端子やHDMI(登録商標)(HIGH-DEFINITION MULTIMEDIA INTERFACE)端子である。外部機器であるモニターディスプレイや、外部記録装置が接続可能である。
【0029】
外部操作用I/F部122は、外部操作部123による制御指示を受信し、本体マイコン119へ通知するインターフェースである。例えば、赤外線リモコン受光部や、無線LAN(LOCAL AREA NETWORK)インターフェースや、LANC(登録商標)(LOCAL APPLICATION CONTROL BUS SYSTEM)が相当する。外部操作部123は、外部操作用I/F部122に対して制御指示(制御コマンド)を送信する。筺体100や交換レンズ101に組み込まれた操作部124~135の各部の操作に相当する指示(コマンド)を送信することができるほか、表示部107で表示するメニュー画面における設定変更情報を送信することができる。
【0030】
メニューキー124~AF/MFスイッチ135は操作部であり、キー(ボタン)やダイヤル、タクトスイッチ、リング、タッチパネル等の部材からなる。いずれも撮影者の操作を受けつけ、本体マイコン119に対して制御指示を通知する役割を担っている。メニューキー124~START/STOPキー133は筺体100に組みつけられている本体側の操作部である。フォーカスリング134とAF/MFスイッチ135は、交換レンズ101に組みつけられているレンズ側の操作部である。これらの操作部の一部は、メニュー画面内の設定によって、キーの役割を交換したり、別の機能にアサインしたりすることも可能である。メニューキー124は、表示部107にメニュー画面を表示する指示、あるいはすでに開いているメニュー画面を閉じる指示を行う。十字キー125およびダイヤル126は、どちらもメニュー画面内で項目を選択するためのカーソルを移動したり、フォーカスに関する枠表示を撮影者の望む方向へ移動したりする指示を行う。十字キー125は、上キー、下キー、左キー、右キーよりなる方向キーであり、それぞれ別体の操作部材であってもいいし、同一の操作部材として構成して押下する位置に応じて上下左右の何れか指示が行えるように構成しても良い。ダイヤル126は、時計回りの操作と反時計回りの操作が行える回転操作部材である。SETキー127は、メニュー画面内でカーソルの当たっている項目を選択したり、各種の設定操作を確定したりする指示を行う。
【0031】
キャンセルキー128は、メニュー画面で深い階層の選択を行っているときにひとつ前の階層へ戻ったり、各種の設定操作を破棄したりする指示を行う。ワンショットAFキー129は、AFモードがワンショットAFであるときに、フォーカス制御部113によってAFを駆動する指示を行う。AFロックキー130は、AFモードがコンティニュアスAFであるときに、フォーカス制御部113による制御を停止させる停止指示、制御停止状態を解除する解除指示を行う。拡大キー131は、表示部107に表示される映像を拡大したり元に戻したりする指示を行う。DISPLAYキー132は、本体マイコン119で保持されるDISPレベルを変更する指示を行う。選択されたDISPレベルに基づいて、表示部107に表示される各種情報表示が制限され、より詳細な情報を表示したり、映像をよりクリアに表示したりすることができる。START/STOPキー133は、記録媒体I/F部104による記録の開始と停止の指示を行う。フォーカスリング134は、フォーカス駆動状態がMFであるときに、交換レンズ101内のフォーカスレンズを移動し、フォーカス調整を行うことができる。AF/MFスイッチ135は、フォーカス駆動状態、すなわちAFとMFを相互に切り替える指示を行う。
【0032】
図2は、画像センサーとしての撮像素子102の受光面の一部を示している。
【0033】
撮像素子102は、撮像面位相差AFを可能にするために、一つのマイクロレンズに対して光電変換手段として受光部であるフォトダイオードを2つ保持している画素部をアレイ状に並べている。これにより、各画素部で、交換レンズ101の射出瞳を分割した光束を受光することが可能になっている。
【0034】
図2(A)は、参考として、赤(R)、青(B)、緑(GB、GR)のベイヤー配列例の画像センサー表面の一部の模式図である。
図2(B)は、
図2(A)のカラーフィルターの配列に対応させて、一つのマイクロレンズに対して光電変換手段としてのフォトダイオードを2つ保持している画素部例である。
【0035】
こうした構成を有する画像センサーは、各画素部から位相差検出用の2つの信号(以下、A像信号、B像信号ともいう。)を出力できるようになっている。また、2つのフォトダイオードの信号を加算した撮像の記録用の信号(A像信号+B像信号)も出力できるようになっている。この加算した信号の場合には、
図2(A)で概略説明したベイヤー配列例の画像センサーの出力と同等の信号が出力される。
【0036】
このような画像センサーとしての撮像素子102からの出力信号を使って、測距部108が2つの像信号の相関演算を行い、デフォーカス量や各種信頼性などの情報を算出する。デフォーカス量は、A像信号、B像信号のズレに基づき、像面でのデフォーカス量を算出する。デフォーカス量は正負の値を持っており、デフォーカス量が正の値であるか負の値であるかによって、前ピンか後ピンかがわかる。また、デフォーカス量の絶対値によって、合焦までの度合いが分かり、デフォーカス量が0であれば合焦である。すなわち、測距部108は、測距位置(測距領域、焦点検出位置、焦点検出領域)について算出したデフォーカス量の正負を元に前ピンか後ピンかの情報をCPU119aなどに出力する。また、デフォーカス量の絶対値に基づいて、合焦の度合い(ピントのズレの度合い)である合焦度合い情報をCPU119aなどに出力する。前ピンか後ピンかの情報は、デフォーカス量が所定値を超える場合に出力し、デフォーカス量の絶対値が所定値以内である場合には、合焦であるという情報を出力する。なお、合焦度合い情報は、デフォーカス量を、合焦させるまでにフォーカスリング134を回転させる操作量に換算した値として出力する。
【0037】
なお、本実施形態は撮像用の信号及び位相差検出用の2つの信号の2つの計3つの信号を撮像素子102から出力している。この点、このような方法に限定されない。例えば、撮像用の信号と位相差AF用の像信号の2つの信号のうちの1つの計2つ信号を出力するようにしてもよい。この場合、出力後に位相差検出用の像信号の2つの信号のうちの他の1つの信号は、撮像素子102からの2つの出力信号を利用して算出される。
【0038】
また、
図2では、一つのマイクロレンズに対して光電変換手段としてのフォトダイオードを2つ保持している画素部をアレイ状に並べている例を示した。この点、一つのマイクロレンズに対して光電変換手段としてのフォトダイオードを3つ以上保持している画素部をアレイ状に並べているようにしてもよい。また、マイクロレンズに対して受光部の開口位置が異なる画素部を複数有するようにしてもよい。つまり、結果としてA像信号とB像信号といった位相差検出可能な位相差検出用の2つの信号が得られるようになっていれば足りる。
【0039】
本実施形態では、ユーザーがデジタルカメラ10を用いて被写体にフォーカスを合わせる際に、焦点検出領域を示すガイド枠(アイテム)や合焦度合いを示す指標をフォーカスガイド(ガイド表示)として表示する。これにより、ユーザーが所望の被写体にフォーカスを合わせやすくする。具体的には、焦点検出領域(測距位置)の被写体に合焦させるまでに、フォーカスリング134をどちら側にどの程度操作すれば良いかをフォーカスガイドを用いて視認しやすく示している。すなわち、フォーカスガイドは、焦点検出領域の被写体の合焦度合いを示すガイド表示である。フォーカスガイドを表示することで、ユーザーは焦点検出領域の被写体に合焦させた場合の焦点距離と現在の焦点距離のずれを視認することができる。
【0040】
フォーカスガイドは、ライブビュー画像(以下、LV画像)上にフォーカスガイドの表示要素のうち、ガイド枠が重畳表示された位置(枠内)に対応する撮像範囲から取得されたデフォーカス量に基づいた表示を行う。具体的には、フォーカスガイドは、撮像素子102に配置されたデフォーカス量を取得可能な画素(撮像面位相差検出の可能な画素)のうち、ガイド枠の位置に対応する範囲内の画素群からの出力値に基づいて算出されたデフォーカス量に基づいて合焦度合いを示す。すなわちフォーカスガイドは、LV画像上でガイド枠300が重畳表示された位置の被写体について、合焦度合いを指標や色などの情報で表示する。本実施形態では合焦度合いについて、
図3の指標301~311により表現する。なお、指標301~311は
図3(A)~(D)に示す点線の円に沿って動くようにする。
【0041】
図3(A)では、ガイド枠300の上部に配置される指標301と指標302の位置が一致している。これは合焦状態(焦点検出領域の被写体に合焦している状態)を示しており、後述する指標304と指標305とが重なりあって一体化し、指標303と一点を共有して隣接した位置に表示されている。指標301と指標302の位置が一致することで、ガイド枠300が表示されている位置(焦点検出領域)の被写体で合焦していることを示す。このとき、ガイド枠300、指標301、指標302の表示色を、合焦していない場合(非合焦状態)とは異なる色で表示する。例えば、ガイド枠300、指標301、指標302について、非合焦状態では白色で表示し、
図3(A)に示すような合焦状態では緑色で表示を行う。また、ガイド枠300について、非合焦状態では
図3(B)~(D)に示すように四隅のみの表示で合焦させたい被写体を視認できるようにし、合焦状態では
図3(A)に示すように実線で全周を囲う枠のように、閉区間で表示するように変化させる。ユーザーは所望の被写体に合焦したタイミングで撮影指示を行おうとしている可能性が高い。そのため特に、合焦状態に遷移した場合にはユーザーが認識しやすいように表示色を変更したり、焦点検出領域を示すガイド枠の表示形態を変更したりする。これによって、ユーザーは合焦状態になったことを視認しやすく、撮影タイミングを逃しにくい。
【0042】
図3(B)では、焦点検出領域の被写体より手前で合焦している、前ピン状態である場合のフォーカスガイドの表示形態を示す。指標303は合焦状態になるための指標304と指標305の目標地点を示す。指標304と指標305は、それぞれの表示距離(表示位置の位置関係)によって、焦点検出領域の合焦度合いを示す。ユーザーが交換レンズ101を操作したことによる焦点距離の変化や、被写体とデジタルカメラ10の距離の変動により合焦度合いが変化するため、指標304と指標305の距離(角度)が狭まったり広がったりする。指標304と指標305の表示距離(角度)は、合焦度合い情報に基づき、焦点距離領域において合焦状態からのズレが大きい場合に比べて小さい場合のほうが小さく(狭く)なる。
【0043】
図3(C)では、焦点検出領域の被写体より奥で合焦している、後ピン状態である場合のフォーカスガイドの表示形態を示す。指標306は合焦状態になるための指標307と指標308の目標地点を示す。指標307と指標308は、
図3(B)における指標304と指標305と同様に、それぞれの表示距離によって、焦点検出領域の合焦度合いを示す。
【0044】
図3(B)、(C)より、ユーザーは、フォーカスガイドが重畳表示されている被写体への合焦度合いが、前ピン状態なのか後ピン状態なのかを一目で視認することができる。指標304や指標305、指標307や指標308を合焦度合い情報に基づき表示距離を動的に変動させることで、ユーザーは、フォーカス位置の調整方向と調整量を視覚的に認識することができる。そのため、例えばフォーカスリング134の操作量を大きくしたり小さくしたり、微調整を行うことができ、フォーカスガイドが表示されていないときよりも容易に調整を行うことができ、所望の被写体にフォーカスを合わせやすくなる。
【0045】
図3(D)では、被写体が大ボケ状態である場合のフォーカスガイドの表示形態を示す。指標309~311は、指標301~308とは異なり、四角形で表現されている。このとき、指標301~308の表示色である白色ではなく、濃いグレーで表示する。このような表示により大ボケ状態であることを表し、合焦状態、前ピン状態、後ピン状態のいずれとも異なる、特に測距に失敗した状態であることを、ユーザーが視覚的に認識しやすいようにする。これによって、ユーザーは例えばフォーカスリング134の操作量を大きくする必要があることを認識できる可能性が高い。
【0046】
図3(B)~(D)に示すように、フォーカスガイドは、ユーザー所望の被写体の非合焦状態の場合に、複数の段階で合焦度合いを示す。また、
図3では指標301~311はガイド枠300の上部に配置しているが、ガイド枠300の下部に配置してもよい。
【0047】
なお、本実施形態では、フォーカスガイドの表示形態について、
図3(A)~
図3(D)を用いて説明したが、これに限るものではない。また、フォーカスガイドは、撮像素子102から得られる信号(撮像面位相差信号)に基づくデフォーカス量に基づく合焦度合いを表示するものとして説明したが、これに限るものではない。撮像面とは異なる場所に設定された焦点検出センサ(位相差センサー等)からの出力値に基づいて合焦度合いを示すものでもよいし、コントラスト値に基づいて合焦度合いを示すものでも良い。
【0048】
本実施形態では、デジタルカメラ10におけるフォーカスガイドの表示形態の制御処理について説明する。
図4は、デジタルカメラ10において、CPU119aがROM119bに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
図4、(B)、(C)の制御フローは、デジタルカメラ10を撮影モードで起動し、撮影待機状態であるときに、フォーカスの設定がMFに設定されており、かつ、フォーカスガイドの設定が入である場合に開始される。フォーカスの設定がMFであるとは、本実施形態では、交換レンズ101にあるレンズのフォーカスモードのスイッチをMFにすることで設定ができる。交換レンズ101のスイッチでなくても、設定メニュー画面でユーザーがAF/MFを選択できるような設定方法でもよい。また、フォーカスガイドの設定は
図9(A)に示す、AF設定メニュー画面で行うことができる。項目901、項目902はフォーカスの設定をMFにした際に設定できる項目である。項目901は、合焦した被写体の輪郭を色づきの強調表示にすることで、被写体に合焦しているかどうかが撮影者にわかりやすくなり、精密な合焦を行うことができる、MFピーキング設定である。
図9(A)では、MFピーキング設定は切になっている。項目902は、現在のフォーカス位置から合焦位置への調整方向と調整量が、ガイド枠で視覚的に表示される、フォーカスガイド設定である。設定項目902aを選択すると、フォーカスガイド設定が入になり、合焦しようとしている被写体位置(焦点検出領域)にガイド枠が表示され、ガイド枠と共に合焦度合いを示す指標が表示される。設定候補902bを選択すると、フォーカスガイド設定が切になり、ユーザーがフォーカスリング134を操作したとしても、ガイド枠と指標は表示されない。
図9(A)では、フォーカスガイド設定は入になっている。フォーカスの設定がMFであるときにフォーカスガイドの設定が切である場合は、ユーザーは合焦している位置や合焦度合い(合焦状態)を自身の目で確認することで所望の被写体にフォーカスを合わせる。この場合、合焦させるまでに時間がかかってしまい、シャッターチャンスを逃す可能性が生じる。MFのみで所望の被写体に合焦させたいユーザーや、AFである程度大まかに合焦させた後に細かくMFで合焦させたい、と考えているユーザーにとっては、フォーカスガイドによって、より容易にMFで所望の被写体に合焦させることができるようになる。
【0049】
合焦状態を示すフォーカスガイドは、RAM119cに保持された測距位置(焦点検出位置、ガイド枠300によって示される位置)を読み出し、測距位置に対応する被写体について、合焦情報および測距成否の情報について、測距部108から取得する。この合焦情報および測距成否の情報から、
図3(A)~(D)に示したように、合焦状態、前ピン状態、後ピン状態、大ボケ状態(測距が失敗した状態)のいずれかの表示を行う。
【0050】
同様に、顔検出機能の設定についても、設定メニュー画面でユーザーが有効/無効を選択できる。顔検出に関する設定を有効にすると、デジタルカメラ10が撮像した画像から顔検出処理を行い、人物の顔があるか否かをCPU119aが判定し、検出結果取得により、顔が検出できた場合は検出した顔の位置に顔検出枠を表示する。顔が検出できなかった場合は、顔検出枠は表示されない。顔検出に関する設定を無効にすると顔検出は行われず、顔検出枠も表示されない。顔検出枠とは、本実施形態では、認識した被写体の特に顔について表示する枠のことを指すが、枠に限らずCPU119aが認識している被写体範囲を示す指標であればよい。顔検出枠については、
図7(A)~(D)、
図8(A)~(C)を用いて後述する。顔検出機能はLV画像上に人物の顔に対応する領域を表示する機能である。顔検出は、撮像素子102で取得された画像情報を解析することで行われる。画像処理部118で得られた入力画像に対し、エッジ検出フィルタ、ノイズ除去フィルタを通してパターンマッチングを行い、瞳、鼻、口、耳などのパーツの候補群を抽出する。そして、候補領域群の中から、検出信頼度、パーツ間の距離、ペア情報(瞳、耳)などの特徴量を算出し、その特徴量から顔に該当する領域を算出する。パターンマッチングおよびフィルタリングのプログラムは、予めROM119bに格納されており、このプログラムは必要に応じてRAM119cに展開し、CPU119aで演算されることで実行される。別の形態として、上述した処理を実装した専用回路(図示しない)を用意し、画像処理部118から出力された信号を処理してもよい。
【0051】
図4、(C)の制御フローでは、
図9(B)に示すガイド表示設定の表示優先に関する設定が、フォーカスガイドに設定されている場合を説明する。すなわち、本実施形態においてフォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠のどちらか一方のみを表示すると判定された場合には、ガイド枠のみを表示し顔検出枠を非表示とするように制御する。
【0052】
S401では、CPU119aは、デジタルカメラ10で撮像したライブビュー画像(以下LV画像)内に顔が検出されたか否かを判定する。顔が検出された場合はS403へ進み、顔が検出されない場合はS402へ進む。前述したように、ユーザーは設定メニュー画面において、顔検出に関する設定を有効/無効のどちらかに設定をすることができる。設定を有効にすると、LV画像から顔が検出された否かを判定し、顔が検出できた場合は検出できた顔の位置に、被写体領域を示す顔検出枠を表示部107に表示する。この顔検出枠は、検出できた顔の領域の面積に応じて大きさを変化させる。顔が検出されない場合は顔検出枠を表示しない。設定を無効にすると、顔の有無を判定せず、顔検出枠は表示しない。
【0053】
S402では、CPU119aは、フォーカスガイドのみの表示を行う。S401でNOと判定されたことより、デジタルカメラ10で撮像したLV画像内に顔が検出されなかったことから、顔検出枠を表示しない。そのため、フォーカスガイドのみを表示部107に表示する。
【0054】
S403では、CPU119aは、デジタルカメラ10で撮像したLV画像内に顔が複数検出されたか否かを判定する。顔が複数検出された場合は、S404へ進み、顔が1つだけ検出された場合は、S405へ進む。複数の顔が検出された場合は、
図8(A)に示すように被写体810、811それぞれに対して顔検出枠800a、801aを表示する。検出された被写体、ここでは人物の顔に対して、メインかそれ以外かの判定がされる。メインであると判定された顔に対しては、
図8(A)に示すように被写体810に対して、顔検出枠800aの両側に指標802と指標803を表示し、ユーザーが被写体810がメインの被写体であること視認できるように表示する。本実施形態では指標802と指標803を合わせて主顔ガイド指標と呼ぶ。メインとそれ以外の判定は、検出した顔のサイズやデジタルカメラと被写体の距離、または、ユーザーによって登録された顔などの条件によって、CPU119aによって自動的に判定される。例えば、検出した顔のサイズを比較してサイズがより大きい顔や、デジタルカメラと被写体の距離が他の被写体に比べて最も近い被写体をメインと判定してもよい。メインとする被写体の切替は、十字キー125の操作、ダイヤル126の回転操作、表示部107と一体化したタッチ操作が可能なタッチパネル(不図示)への操作などで切り替えることができる。また、人物の顔に限らず、例えば動物や乗り物について認識することができた場合に、複数の動物や乗り物があった場合は、それぞれに対してメインの被写体かそれ以外か、を判定して上述した主顔ガイド指標のようなガイドを出すこともできる。複数の人物の顔に対して、メインかそれ以外かの判定を行うことで、様々な場面でメインの被写体が優先して選択される。例えば、主顔ガイド指標が表示されている顔について、優先的にAFが実行されたりする。そのため、LV画像に複数の被写体がいる場合は、メインと判定された被写体であることをユーザーが識別できるようなガイド指標を表示する。なお、本実施形態では主顔ガイド指標を顔検出枠の両側に表示するとしたが、両側に限らず上下に表示してもよい。ユーザーがメインである被写体であることを認識できればよいため、メインの被写体の近傍に表示すればよい。
【0055】
S404では、CPU119aは、S403で判定した結果を基に、ROM119bに複数顔フラグを格納する。S403でYesと判定された場合、複数の顔が検出されたことから、複数顔フラグとして「1」を格納する。
【0056】
S405では、CPU119aは、S403で判定した結果を基に、ROM119bに複数顔フラグを格納する。S403でYesと判定された場合、顔が1つだけ検出されたことから、複数顔フラグとして「0」を格納する。
【0057】
S406では、CPU119aは、フォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠の表示に関する演算処理を行う。ここでの演算処理の詳細については、
図6(A)のS601~S608と
図7(A)~(D)、
図8(A)~(C)を用いて後述する。S406の演算処理では、S407での判定に用いる枠表示フラグの判定処理を行う。枠表示フラグとは、表示部107に表示するガイド枠と顔検出枠について、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示するか、もしくはガイド枠のみを表示し顔検出枠を表示しないように制御するか、の判定結果を示すフラグである。詳しくは
図6(A)のS601~S608で後述する。
【0058】
S407では、CPU119aはROM119bを参照して、枠表示フラグが1であるか否かを判定する。枠表示フラグが1である場合は、S408へ進み、枠表示フラグが0である場合は、S411へ進む。枠表示フラグについては、S406の演算処理で判定するため、
図6(A)のS601~S608で後述する。
【0059】
S408では、CPU119aはROM119bを参照し、複数顔フラグが1であるか否かを判定する。複数顔フラグが1、すなわちS403においてLV画像内に複数の顔が検出された場合はS409へ進み、複数顔フラグが0、すなわちS403においてLV画像内に顔が1つだけ検出された場合は、S410へ進む。
【0060】
S409では、CPU119aはROM119bを参照し、S407においてYesと判定されたことから、表示部107にガイド枠のみを表示し顔検出枠は表示しない。さらに、S408においてYesと判定されたことから、LV画像から検出した複数の顔のうちメインの顔に主顔ガイド指標を表示する。ここでS406の演算処理により、枠表示フラグが1となったことから、ガイド枠を表示すると、顔検出枠の一部もしくは全体が重なってしまい、2つの枠を両方表示しているとユーザーが被写体を確認するのに邪魔に感じる可能性が高い。そのため、ガイド枠のみを表示し顔検出枠を表示せず、ユーザーが被写体を視認しやすくする。これにより、ユーザーはフォーカス調整を行いやすく、かつ、被写体を視認しにくくなることを低減する。S409のフォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠の表示例については、
図8(B)を用いて後述する。なお、上述したように、顔検出枠を非表示としても主顔ガイド指標は表示する。主顔ガイド指標を表示することで、ユーザーは顔検出枠が表示されなくても顔が検出われていることが視認できる。また、主顔ガイド指標を表示することで、メインの被写体を認識できることから、たとえ顔検出枠が表示されていなくても操作性が悪くなる可能性は低い。
【0061】
S410では、CPU119aは、ROM119bを参照し、S407においてYesと判定されたことから、表示部107にガイド枠のみを表示し顔検出枠は表示しない。さらに、S408においてNoと判定されたことから、LV画像内に検出された顔が1つだけであるため主顔ガイド指標を表示しない。S410における表示例については、
図7(B)を用いて後述する。
図4の制御フローでは、枠表示フラグ=1である場合に、ガイド枠のみを表示し顔検出枠を表示しないとしたが、どちらの枠表示を優先して表示するか否かは、ユーザーが設定メニュー画面において任意に設定できるようにしてもよい。例えば、
図9(B)に示すように、ガイド表示設定について、項目911の表示優先をガイド枠(フォーカスガイド)にするか顔検出枠にするか選択することができる。設定候補911aを選択すると、枠表示フラグ=1となった際には、ガイド枠を表示せず顔検出枠を表示する。設定候補911bを選択すれば、枠表示フラグ=1となると、ガイド枠を表示し顔検出枠を表示しない。
図9(B)では、設定候補911bが選択されていることから、
図4、(C)の制御フローでは、枠表示フラグ=1となった際には、ガイド枠を表示し顔検出枠を表示しないように制御する。設定候補911aが選択された場合の、すなわち、ガイド表示設定の表示優先が顔検出枠に設定されていた場合の制御フローについては、
図5、(C)を用いて後述する。また、上述したような設定メニュー画面において表示を優先する枠をユーザーが選ばなくても、ガイド枠と顔検出枠のうち枠のサイズが小さいほうを非表示にするなど、サイズに応じて決定するようにしてもよい。
【0062】
S411では、S408と同様に、CPU119aはROM119bを参照し、複数顔フラグが1であるか否かを判定する。複数顔フラグが1である場合は、S412へ進み、複数顔フラグが0であった場合はS413へ進む。
【0063】
S412では、CPU119aは、ROM119bを参照し、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示部107に表示する。また、S411においてYesと判定されたことから、LV画像内から検出した複数の顔のうちメインであると判定された顔に対して主顔ガイド指標を表示する。S406の演算処理により枠表示フラグが0となったことから、ガイド枠と顔検出枠が重なっていても、S406の演算処理で求めたそれぞれの枠の面積比から、両方の枠を表示しても、ユーザーは被写体を視認しにくいと感じる可能性が低い。また、ガイド枠と顔検出枠が重なっていない場合は、どちらか一方を非表示にしてしまうと、フォーカス調整が行いにくくなることが想定される。例えば
図8(C)に示すように、ガイド枠806cと顔検出枠800cが重なっていない場合を考える。この場合に、ガイド枠のみを表示すると、ユーザーが顔検出枠を表示するように設定しているにもかかわらず表示されないことから、顔が検出されていない(CPU119aに認識されていない)と勘違いする可能性がある。一方で、ガイド枠を表示せず顔検出枠を表示すると、ユーザーはガイド枠が示す焦点検出領域を特定できず、フォーカス調整を行いにくい。そのため、ユーザーが設定メニュー画面で行った設定に従い、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示部107に表示する。S412の表示例については、
図8(C)を用いて後述する。
【0064】
S413では、CPU119aはROM119bを参照し、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示部107に表示する。S413ではS411でNoと判定されたことから、LV画像内で検出された顔が1つだけであるため、メインであることを示す主顔ガイド指標を表示しない。S413の表示例については、
図7(C)を用いて後述する。
【0065】
S414では、CPU119aは、ユーザーによる撮影指示があったか否かを判定する。撮影指示があった場合はS415へ進み、なかった場合はS401へ戻る。
【0066】
S415では、CPU119aは、撮影処理を行う。表示部107にフォーカスガイドが表示されている場合は、撮影指示があった時点でフォーカスガイドが表示されている位置、特にガイド枠300の表示位置の合焦度合いで撮影が行われる。S416での撮影とは、CPU119aは撮影指示により、撮影指示信号の読み出しから記録媒体105に画像データを書き込み、画像ファイルを作成する、一連の撮影処理の動作のことを指す。静止画の撮影と動画の撮影のいずれであってもよい。
【0067】
S416では、CPU119aは、撮影待機状態が終了したか否かを判定する。撮影待機状態が終了した場合は、本制御フローを終了し、そうでない場合はS401へ戻る。
【0068】
図5、(C)の制御フローはデジタルカメラ10を撮影モードで起動し、撮影待機状態であるときに、フォーカスの設定がMFに設定されており、かつ、フォーカスガイドの設定が入である場合に開始される。また、
図5の制御フローでは
図9(B)の設定候補911aが選択されているとし、フォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠のどちらか一方のみを表示する(枠表示フラグ=1)と判定された場合には、ガイド枠を表示せず顔検出枠を表示するように制御する。
【0069】
S501では、S401と同様に、CPU119aは、デジタルカメラ10で撮像したライブビュー画像(以下LV画像)内に顔が検出されたか否かを判定する。顔が検出された場合はS503へ進み、顔が検出されない場合はS502へ進む。
【0070】
S502では、S402と同様に、CPU119aは、フォーカスガイドのみの表示を行う。
【0071】
S503では、S403と同様に、CPU119aは、デジタルカメラ10で撮像したLV画像内に顔が複数検出されたか否かを判定する。顔が複数検出された場合は、S504へ進み、顔が1つだけ検出された場合は、S505へ進む。
【0072】
S504では、S404と同様に、CPU119aは、ROM119bに複数顔フラグを格納する。S402でYesと判定された場合、複数の顔が検出されたことから、複数顔フラグとして「1」を格納する。
【0073】
S505では、S405と同様に、CPU119aは、ROM119bに複数顔フラグを格納する。S402でNoと判定された場合、顔が1つだけ検出されたことから、複数顔フラグとして「0」を格納する。
【0074】
S506では、S406と同様に、CPU119aは、フォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠の表示に関する演算処理を行う。ここでの演算処理の詳細については、
図6(A)のS601~S608を用いて後述する。
【0075】
S507では、S407と同様に、CPU119aはROM119bを参照して、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示するか、もしくは、顔検出枠のみを表示するかの判定に用いる、枠表示フラグが1であるか否かを判定する。枠表示フラグが1である場合は、S508へ進み、枠表示フラグが0である場合は、S509へ進む。枠表示フラグについては、S506の演算処理で判定するため、
図6(A)のS601~S608で後述する。
【0076】
S508では、S408と同様に、CPU119aはROM119bを参照し、複数顔フラグが1であるか否かを判定する。複数顔フラグが1、すなわちS503においてLV画像内に複数の顔が検出された場合はS509へ進み、複数顔フラグが0、すなわちS503においてLV画像内に顔が1つだけ検出された場合は、S510へ進む。
【0077】
S509では、CPU119aはROM119bを参照し、表示部107にガイド枠を表示せず顔検出枠のみを表示する。S508においてYesと判定されたことから、LV画像から検出した複数の顔のうちメインの顔に主顔ガイド指標を表示する。S405の演算処理から、ガイド枠と顔検出枠の一部もしくは全体が重なっており、2つの枠を両方表示しているとユーザーが被写体を確認するのに邪魔に感じる可能性が高い。そのため、ガイド枠を表示せず顔検出枠のみを表示し、ユーザーが被写体を視認しやすくする。これにより、ユーザーはフォーカス調整を行いやすく、かつ、被写体を視認しにくいことを低減する。なお、ガイド枠を非表示としても合焦度合いを示す指標は表示を行う。合焦度合いを示す指標は、上述したように、ガイド枠の上部(もしくは下部)に表示される。
図5、(C)の制御フローでガイド枠が非表示になったとしても、合焦度合いを示す指標は、ガイド枠が表示されるはずだった位置の上部(もしくは下部)に表示されるため、ユーザーはガイド枠が示す焦点検出領域を大まかに視認することができる。また、合焦度合いを示す指標はガイド枠に比べて表示が小さいことや被写体に重畳して表示されていないことから、たとえ表示を継続してもユーザーが邪魔に感じる可能性は低い。したがって、ガイド枠を非表示にしても、合焦度合いを示す指標によるフォーカス調整の行いやすさと、被写体の視認性の両立ができる。
【0078】
S510では、CPU119aは、ROM119bを参照し、S507においてYesと判定されたことから、表示部107にガイド枠を表示せず顔検出枠のみを表示する。さらに、S510ではS508でNoと判定されたことから、LV画像内に検出された顔が1つだけであるため主顔ガイド指標を表示しない。
図5の制御フローでは、枠表示フラグ=1である場合にガイド枠を表示せず顔検出枠のみを表示するとしたが、
図4のS410で述べたように、どちらの枠を優先表示するかは、ユーザーが設定メニュー画面において任意に設定できるようにしてもよい。
図5の制御フローでは、
図9(B)のような設定メニュー画面において表示優先として設定候補911aである顔検出枠が選択されているとする。
【0079】
S511では、S411と同様に、CPU119aはROM119bを参照し、複数顔フラグが1であるか否かを判定する。複数顔フラグが1である場合は、S512へ進み、複数顔フラグが0であった場合はS513へ進む。
【0080】
S512では、CPU119aは、ROM119bを参照し、ユーザーのガイド枠と顔検出枠の両方を表示部107に表示する。また、S511においてYesと判定されたことから、LV画像内から検出した複数の顔のうちメインであると判定された顔に対して主顔ガイド指標を表示する。S405の演算処理から、ガイド枠と顔検出枠が重なっていても、それぞれの枠の面積比から両方を表示しても、ユーザーは被写体を視認しにくいと感じる可能性が低い。また、ガイド枠と顔検出枠が重なっていない場合は、どちらか一方を非表示にしてしまうと、フォーカス調整が行いにくくなることが想定される。例えば
図8(C)に示すように、ガイド枠806cと顔検出枠800cが重なっていない場合を考える。この場合に、ガイド枠を表示せず顔検出枠のみを表示すると、ユーザーがガイド枠を表示するように設定しているにもかかわらず表示されないため、誤解が生じる可能性がある。また、ガイド枠と顔検出枠が重なっていなければ、フォーカスガイドは顔検出枠から大きく離れた位置に表示されている可能性があり、合焦度合いを示す指標を表示したとしても、指標が小さいために位置を確認するのに時間がかかってしまう可能性がある。また、ガイド枠が表示されないとユーザーは厳密な焦点検出領域を特定することができず、フォーカス調整を行いにくい。そのため、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示部107に表示する。
【0081】
S513では、CPU119aはROM119bを参照し、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示部107に表示する。S513ではS511でNOと判定されたことから、LV画像内で検出された顔が1つだけであるため、メインであることを示す主顔ガイド指標を表示しない。なお、
図5、(C)の制御フローでは、ガイド表示設定の表示優先が顔検出枠である。そのため、枠表示フラグ=1となった際には、顔検出枠を表示してガイド枠を表示しないようにする。このときガイド枠を表示しないように制御したとしても、フォーカスガイドの合焦度合いを示す指標は表示を継続する。合焦度合いを示す指標は、上述したように、ガイド枠の上部(もしくは下部)に表示される。
図5、(C)の制御フローにおいてガイド枠が非表示になったとしても、合焦度合いを示す指標は、ガイド枠が表示されるはずだった位置の上部(もしくは下部)に表示されるため、ユーザーはガイド枠が示す焦点検出領域を大まかに視認することができる。また、合焦度合いを示す指標はガイド枠に比べて表示が小さいことや被写体に重畳して表示されていないことから、たとえ表示を継続してもユーザーが邪魔に感じる可能性は低い。したがって、ガイド枠と顔検出枠のどちらを優先して表示するようにしても、フォーカスガイドによるフォーカス調整の行いやすさと、被写体の視認性の両立ができる。
【0082】
S514では、CPU119aは合焦度合いの変化があったか否かを判定する。合焦度合いの変化があった場合は、S516へ進み、変化がなかった(すなわち、合焦状態が継続している)場合はS515へ進む。合焦度合いの変化の有無は、S514での合焦度合いと、S509、S510、S512、S513において枠表示を行った際の合焦度合いとの比較によって判定する。合焦度合いの変化が所定量以上あるということは、ユーザーがフォーカスリング134を操作している、もしくは、ガイド枠の表示位置の被写体とデジタルカメラ10の距離が変化したということである。このような場合、ユーザーはMF操作することで、ガイド枠が表示されている被写体の合焦状態を変化させている、もしくは変化する必要が生じることが想定できる。
【0083】
S515では、CPU119aは、操作部材への操作があったか否かを判定する。操作部材への操作があった場合は、S516へ進み、操作がなかった場合は、S519へ進む。操作部材への操作とは、具体的にはデジタルカメラ10に搭載されているメニューキー124~AF/MFスイッチ135などの操作部への操作を指す。例えば、ワンショットAFキー129やAFロックキー130への押下や十字キー125やダイヤル126への操作が行われた場合は、S506での演算処理の結果から非表示とした顔検出枠を表示したいと考えていると想定できる。デジタルカメラ10にLV画像を表示する表示部とタッチ操作可能な操作部材が一体になったものが搭載されている場合を考える。このようなタッチ操作可能な操作部材への操作が行われた場合は、ユーザーがフォーカスガイドの表示位置(焦点検出領域の位置)を確認・変更をしたいと考えていることが想定できる。また、十字キー125やダイヤル126を用いてもタッチ操作と同様に、合焦位置を示すフォーカスガイドの表示位置を変更することができる。十字キー125やダイヤル126、タッチ操作部材への操作が行われたことにより、ユーザーがフォーカスガイドを重畳表示する位置を移動する移動指示を行い、合焦/非合焦状態を判定する被写体を変更しようとしている可能性が考えられる。そのため、S506で判定したS509、S510において表示しなかったガイド枠を表示する。すなわち、後述するS415でガイド枠と顔検出枠の両方を表示部107に表示する。なお、ワンショットAFキー129やAFロックキー130は、MF操作中には押下があっても実行されない機能、すなわち自動焦点調節を行うAFモードに設定されている際に用いる機能を持ったキーである。
【0084】
S516では、CPU119aは、S506で判定し、S509、S510で表示しなかったガイド枠を表示し、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示部107に表示するようにする。S509、S510において、ユーザーが被写体を確認しやすいように表示をしなかったガイド枠を表示部17に表示する。S514でYesと判定されたことから、S514で述べたように、ユーザーはMF操作で被写体の合焦状態を変化させている、もしくは変化する必要が生じていることが想定できる。また、S514でYesと判定されたことから、表示しなかったガイド枠を表示し、検出された顔を示す顔検出枠と焦点検出領域を示すガイド枠の両方を表示したほうが、ユーザーはガイド枠と顔検出枠の両方を確認しつつフォーカス調整を行える。したがって、ユーザーは所望位置でフォーカス調整を行いやすく、操作性が良い。
【0085】
S517では、CPU119aは、所定時間経過したか否かを判定する。所定時間経過した場合は、S518へ進み、経過していない場合はS517へ戻る。S516においてガイド枠と顔検出枠を両方表示した時点で計時を開始し、所定時間が経過したことに応じて、ユーザーはフォーカス調整を終えた、もしくは、画像全体のチェックを行っていると想定できる。なお、ガイド枠と顔検出枠を両方表示した時点から計時を開始すると上述したが、両方表示しても合焦度合いが変化している間は計時を開始しないというようにしてもよい。このようにすると、所定時間が経過してもフォーカス調整を行っている間はガイド枠と顔検出枠が両方表示されるため、顔検出位置を視認しながら、ガイド枠の表示位置である焦点検出領域の位置でフォーカス調整を行うことができる。
【0086】
S518では、ROM119bを参照し、ガイド枠を非表示にし、顔検出枠を表示する。S517でYesと判定された場合、ガイド枠と顔検出枠の両方が表示されてから所定時間経過により、ユーザーはフォーカス調整をし終えて、被写体や画像全体を確認しようとしていると考えられる。そのため、S516で表示したガイド枠と顔検出枠について、ROM119bに格納されている枠表示フラグを参照し、ガイド枠を再度非表示にして被写体に対する視認性を高める。なお、合焦度合いを示すガイド指標はガイド枠を非表示にしても継続して表示する。これにより、たとえ焦点検出領域であるガイド枠が表示されなくなったとしても、ユーザーは合焦させようとしている焦点検出領域を視認することができるため、合焦させようとしている位置を視認することができる。
【0087】
S519では、S414と同様に、CPU119aは、ユーザーによる撮影指示があったか否かを判定する。撮影指示があった場合はS520へ進み、なかった場合はS401へ戻る。
【0088】
S520では、S415と同様に、CPU119aは、上述したように撮影処理を行う。
【0089】
S521では、S416と同様に、CPU119aは、撮影待機状態が終了したか否かを判定する。撮影待機状態が終了した場合は、本制御フローを終了し、そうでない場合はS501へ戻る。
【0090】
図4のS405、
図5のS506で述べた演算処理について、
図6(A)のS601~S608と
図6(B)を用いて説明する。
【0091】
S601では、CPU119aは、中間演算値A1を求める。中間演算値A1は、顔検出枠の顔中心値F1からガイド枠のガイド中心値G1を引いて絶対値にしたものをいう。また、横方向をX方向、縦方向をY方向とする。したがって、
A1X=|F1X-G1X|
A1Y=|F1Y-G1Y|
と表すことができる。
図6(B)に、顔中心値F1、ガイド中心値G1、中間演算値A1を示す。
【0092】
S602では、CPU119aは、中間演算値A2を求める。中間演算値A2は、顔検出枠のサイズF2に1/2をかけたものと、ガイド枠のサイズG2に1/2をかけたものの和をいう。またS601と同様に、横方向をX方向、縦方向をY方向とする。
図6(B)のように、F2X,F2YとG2X,G2Yとおくと、
A2X=F2X*1/2+G2X*1/2
A2Y=F2Y*1/2+G2Y*1/2
と表すことができる。
【0093】
S603では、CPU119aは、S601,S602で求めた中間演算値A1、A2について、横方向であるX方向の値が、A2X≧A1Xであるか否かを判定する。A2X≧A1Xである場合は、S604へ進み、そうでない場合はS608へ進む。
【0094】
S604では、CPU119aは、S601,S602で求めた中間演算値A1、A2について、縦方向であるY方向の値が、A2Y≧A1Yであるか否かを判定する。A2Y≧A1Yである場合は、S605へ進み、そうでない場合はS608へ進む。S603とS604の判定より、A2≧A1(A2X≧A1XかつA2Y≧A1Y)とは、ガイド枠と顔検出枠の少なくとも一部分が重なっていることを示す。一部分が重なっていることから、ユーザーがガイド枠の表示位置での焦点調節を行うために被写体を視認する際に、枠表示のせいで被写体を十分に観察することができず、邪魔に感じる可能性が高い。
【0095】
S605では、CPU119aは、ガイド枠の全体が顔検出枠に内包されているか否かを判定する。ガイド枠の全体が顔検出枠に内包されている場合は、S606へ進み、に内包されていない場合は、S607へ進む。S605の内包判定については、例えば、ベクトル外積演算を使用して判定する。
【0096】
S606では、CPU119aは、ガイド枠と顔検出枠の面積比が所定値以上であるか否かを判定する。所定値以上であれば、S607へ進み、所定値より小さければ、S608へ進む。S605においてYesと判定されたことから、顔検出枠内にガイド枠が内包されていることがわかる。顔検出枠内にガイド枠が内包されている場合、ガイド枠と顔検出枠の面積比が所定値よりも小さければ(ガイド枠の大きさが顔検出枠に対して十分に小さければ)、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示してもユーザーが煩わしく感じる可能性は低い。ガイド枠の面積をSg、顔検出枠の面積をSfとする。ここでの所定値というのは、例えば1/25(0.04)とする。Sg/Sf≧1/25である場合は、顔検出枠に対してガイド枠の大きさが相対的に大きいため、どちらか一方を非表示にしたほうがユーザーが被写体を視認しやすい。一方で、Sg/Sf<1/25である場合は、顔検出枠に対してガイド枠が十分に小さいと想定できるため、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示していても、ユーザーが被写体を視認しにくいと感じる可能性が低い。例えば、
図7(D)に示すように、被写体750の特に右目にガイド枠703dが表示されていると、ユーザーは被写体750の右目への合焦度合いを調整することができる。このような場合、顔検出枠700に対してガイド枠703dの面積は十分小さく、たとえ顔検出枠内にガイド枠が内包されて表示していたとしても、ユーザーが被写体を視認しにくいと感じる可能性が低い。すなわち、面積比が所定値よりも小さければ、顔検出枠に対してガイド枠が十分小さいものとなり、被写体を視認するのに邪魔になる可能性は低くなる。一方で、
図7(D)のような状況であっても、顔検出枠700に対してガイド枠703dの面積比が所定値以上であると、ユーザーが被写体を視認する際に邪魔に感じる可能性がある。本実施形態では所定値を1/25としたが、ユーザーが設定メニュー画面で任意に設定できるものでもよいし、撮影状況に応じて変化するようにしてもよい。所定値を1/25よりも小さく設定すると、顔検出枠に対してガイド枠が被写体を視認するのに邪魔にならない程度に小さくても、顔検出枠を非表示にし、ガイド枠のみを表示する。これにより視認性は高まるが、ガイド枠が小さすぎてユーザーが焦点検出領域を視認しづらくなる可能性が生じる。所定値を1/25よりも大きく設定すると、顔検出枠に対してガイド枠が比較的大きくても、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示する。そのため、ユーザーが煩わしく感じることが生じ、視認性が悪くなる可能性が高くなる。なお、S606をスキップして、S604から直接S607もしくはS608へ行くようにしてもよい。
【0097】
S607では、CPU119aは、枠表示フラグを「1」としてROM119bに格納し、演算処理を終了する。すなわち、
図4のS407、
図5のS507へ進む。
【0098】
S608では、CPU119aは、枠表示フラグを「0」としてROM119bに格納し、演算処理を終了する。すなわち、
図4のS407、
図5のS507へ進む。
【0099】
なお、
図6(A)の制御フローでは、ガイド枠と顔検出枠との重なりの状態に応じて、枠表示フラグを「1」とするか「0」とするか(すなわち、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示するか、いずれか一方を非表示とするか)を判定したが、これに限るものではない。すなわち、フォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠の重なりの状態でなく、合焦度合いを示す指標を含めたフォーカスガイド全体と顔検出枠の重なりの状態で判定するようにしてもよい。
【0100】
図7(A)~(D)、
図8(A)~(C)を用いて、ガイド枠と顔検出枠の表示例を示す。
【0101】
図7(A)~(D)に、顔検出設定が有効でフォーカスガイドの表示設定が入、かつ、検出した顔が1つだけであった場合の表示例を示す。
【0102】
図7(A)では、本実施形態を適用しなかった場合の基本の表示例を示す。CPU119aは被写体710の顔を検出し、検出できた顔に対して顔検出枠700aを表示する。これにより、ユーザーは検出された顔位置を認識・特定できる。
図7(A)ではフォーカスガイドのガイド枠が被写体710の右目に表示されている(ガイド枠703a表示位置)。指標701a、指標702a、ガイド枠703aを合わせてフォーカスガイドと呼ぶ。指標701a、指標702aはガイド枠703aの表示位置での合焦度合いを示しており、
図7(A)では、ガイド枠703aにおいて合焦状態であることを示している。ガイド枠703aは焦点検出領域を示しており、ガイド枠703aの表示位置である被写体710の右目に合焦している。なお、ガイド枠700aの表示形態については、
図7(A)のガイド枠700aのような表示形態には限らない。ガイド枠と顔検出枠の両方を表示する
図7(A)のような表示形態であると、被写体710の右目に合焦していることは視認できるが、被写体710上(付近)に様々な枠が表示されるため、被写体710の、特に顔部分を視認しにくい。そのため、
図7(A)について本実施形態を適用、すなわち
図4の制御フローを適用する。なお、上述したように、
図7(A)は本実施形態を適用していない表示例で、
図7(B)は
図7(A)に本実施形態を適用した場合の表示例である。
【0103】
S601、S602から
図7(A)のときの中央演算値A1、A2を求めると、
図7(B)の表の項目730b、731b、740b、741bより、
A1X=|960-860|=100
A1Y=|740-620|=80
A2X=350*1/2+190*1/2=270
A2Y=350*1/2+100*1/2=225
となる。また、ガイド枠703aの全体が顔検出枠700aに内包されていない。
【0104】
これら結果からS603~S606にて判定すると、A2≧A1、かつ、Sg/Sf≧1/25となる。したがって、枠表示フラグ=1となる。枠表示フラグ=1かつ複数顔フラグ=0から
図4ではS410へと進み、
図7(B)に示すように顔検出枠700aを非表示にし、ガイド枠703aを表示する。
図5ではS510へ進み、顔検出枠を表示し、ガイド枠を表示しない。なお、顔検出枠を非表示にしても主顔ガイド指標は表示を行い、ガイド枠を非表示にしても合焦度合いを示す指標は表示を行う。これにより、ユーザーが合焦させようとしている被写体に対して多くの指標が表示されることがなく、被写体を視認しにくくなることを低減することができる。これによりユーザーは、被写体を視認しやすく、かつ、フォーカス調整が行いやすい。
【0105】
図7(C)では、被写体710の顔を検出し、顔検出枠700cを被写体710の顔位置に表示している。一方でユーザーは被写体720で合焦させようとしており、ガイド枠の示す焦点検出領域を被写体720に表示している(フォーカスガイドが被写体720に表示されている)。
図7(C)の状況を
図6(A)の制御フローに適用して考えると、
図7(C)の表の項目730c、731c、740c、741cより、
A1X=|1300-860|=510
A1Y=|680620|=40
A2X=350*1/2+190*1/2=270
A2Y=350*1/2+100*1/2=225
となる。
【0106】
これら結果をS603において判定すると、A2X<A1Xとなる。したがって、枠表示フラグ=0となる。枠表示フラグ=0かつ複数顔フラグ=0から
図4ではS413へ、
図5ではS513へと進み、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示する表示形態となる。
図7(C)に示すように、ガイド枠と顔検出枠とが重なり合っていないと、ユーザーが合焦させたい被写体720に表示される表示はガイド枠のみになり、ガイド枠と顔検出枠との両方を表示したとしても、ユーザーが被写体を視認しづらくなるということがない。
【0107】
図7(D)では、CPU119aは被写体750の顔を検出し、検出できた顔に対して顔検出枠700dを表示する。これにより、ユーザーは検出した顔位置を視認できる。
図7(D)ではガイド枠703dが被写体710の右目に表示されている。
図7(D)に示す状況を
図6(A)の制御フローに適用して考えると、
図7(D)の表の項目730d、731d、740d、741dより、
A1X=|920-1010|=90
A1Y=|650-590|=60
A2X=50*1/2+470*1/2=260
A2Y=50*1/2+470*1/2=260
となる。また、ガイド枠703dの全体が顔検出枠700dに内包されている(S605においてYesと判定)。ガイド枠703dと顔検出枠700d、それぞれの面積は、
Sg=2700、Sf=220900
となる。
【0108】
これら結果をS603~S606において判定すると、A2≧A1かつSg/Sf<1/25となる。したがって、枠表示フラグ=0となる。枠表示フラグ=0かつ複数顔フラグ=0から
図4ではS413へ、
図5ではS513へと進み、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示する表示形態となる。
【0109】
図7(D)と
図7(A)を比較すると、LV画像内の構図が酷似しているが、
図7(A)では顔検出枠700aに対するガイド枠703aの相対的な表示面積が大きく、
図7(D)では顔検出枠700dに対するガイド枠703dの相対的な表示面積が小さい。これにより、たとえ顔検出枠内にガイド枠が包含されていたとしても、面積比が一定の値以下であれば、ガイド枠と顔検出枠の両方が表示されていても、ユーザーは表示枠をわずらわしいと感じる可能性は低く、視認性は保たれる。そのため、ユーザーが被写体を視認しづらくなることがない。また、CPU119aが認識した被写体750の顔のうち、被写体750の目に合焦させようとしていることが視認できるため、厳密なフォーカス調整を行うことができる。なお、
図6(A)の制御フローにおいてS605、S606をスキップしてS604からS607もしくはS608へ直接進むようにした場合は、
図7(D)の状況においても、顔検出枠700dを非表示にし、ガイド枠703dを表示するようにする。このように制御しても、フォーカスガイドのうち合焦度合いを示す指標は表示されるため、大まかな焦点検出領域は認識でき操作性が悪くなることは避けられる。
【0110】
図8(A)~(C)に、顔検出設定が有効、フォーカスガイドの表示設定が入、かつ、検出した顔が複数(2つ)であった場合の表示例を示す。
【0111】
図8(A)では、本実施形態を適用しなかったときの基本の表示例を示す。CPU119aは被写体810、被写体811の顔を検出し、検出した顔に対して顔検出枠800a、801aを表示する。これにより、ユーザーは検出した顔位置を視認できる。
図8(A)ではフォーカスガイドが被写体810の右目に表示されている。指標804a、指標805a、ガイド枠806aを合わせてフォーカスガイドと呼ぶ。指標804a、指標805aはガイド枠806a位置での合焦度合いを示しており、
図8(A)では、合焦状態であることを示している。ガイド枠806a位置に焦点検出領域を示しており、ガイド枠806aが表示されている右目に合焦させようとしていることがわかる。なお、
図8(A)の顔検出枠800aは
図8(A)に示したような表示形態には限らない。複数の顔を検出しているため、顔検出枠は被写体810には顔検出枠800aを、被写体811には顔検出枠801aを表示する。検出された顔が複数(2つ以上)である場合は、メインである被写体の枠の両側に指標802a、指標803aで示す主顔ガイド指標を表示する。指標802aと指標803aを表示することで、ユーザーはメインの被写体を視認することができる。メインかそれ以外かの判定は、予め決められた判定基準や、検出できた顔のサイズ、デジタルカメラ10と被写体との距離で判定する。メインを切り替える場合は、例えば十字キー125の操作、ダイヤル126の回転操作、表示部107と一体化するタッチ操作可能なタッチパネル(不図示)を用いて被写体をタッチするなどのタッチ操作で切り替えることができる。ガイド枠と顔検出枠の両方を表示する
図8(A)に示すような表示形態であると、被写体810の右目に合焦していることは視認できるが、被写体810上に様々な枠が表示されているため、被写体810の、特に顔全体を視認しにくい。そのため、
図8(A)に示す状況について、本実施形態の
図6(A)の制御フローに適用して考える。なお、上述したように、
図8(A)は本実施形態を適用していない表示例で、
図8(B)は
図8(A)に本実施形態を適用した場合の表示例である。
【0112】
図8(B)の表より、
図4のS406の演算処理、すなわち
図6(A)の制御フローを行う。ここでは主顔ガイド指標が表示されている被写体を、「検出番号1」とする。主顔ガイド指標が表示されているメインの被写体にのみ
図6(A)の制御フローを適用する。S601、S602から
図8(B)のときの中央演算値A1、A2を求めると、
図8(B)の表の項目830b、831b、840b、841bより、
A1X=|9901050|=80
A1Y=|820-770|=50
A2X=220*1/2+95*1/2=157.5
A2Y=220*1/2+50*1/2=135
となる。また、これら結果をS603~S606において判定すると、A2≧A1、かつ、ガイド枠の全体が顔検出枠に内包されていないことから、枠表示フラグ=1となる。枠表示フラグ=1かつ複数顔フラグ=1からS409へと進み、ガイド枠806a(ガイド枠806b)を表示し、顔検出枠800aを非表示にする。また、メインと判定された被写体の顔に主顔ガイド指標を表示する表示形態となる(
図8(B))。複数の顔(被写体)が検出されている場合、
図6(A)の制御フローを適用するのは、メインの被写体のみにする。つまり、顔検出枠の表示の有無についても、メインの被写体に対してのみ判定する。具体的には、
図8(B)では、被写体810、811の2つの顔を検出しており、被写体810をメインの被写体と認識し、主顔ガイド指標を表示する。メインの被写体のみに
図6(A)の制御フローを適用するため、被写体810に対してガイド枠806bを表示し顔検出枠800aは表示しないようにし、被写体811の顔検出枠801bは表示を行う。仮にメインの被写体が被写体810から被写体811に変更になり、ガイド枠も被写体810の右目から被写体811の右目に変更になった場合には、被写体811に対して
図6(A)の制御フローが適用され、被写体810には顔検出枠800aが表示される。主顔ガイド指標についても、被写体810から被写体811へと移動する。このように制御することで、ユーザーが合焦させようとしている被写体に対して多くの指標が表示されることがないため、ユーザーは被写体を視認しやすく、かつ、フォーカス調整が行いやすい。なお、主顔ガイド指標は顔検出枠800aが表示されなかったとしても表示する。
【0113】
同様に
図8(C)に示すような場合を考えると、
A1X=|710-1050|=740
A1Y=|470770|=320
A2X=220*1/2+95*1/2=157.5
A2Y=220*1/2+50*1/2=135
となる。
【0114】
これら結果をS603、S604において判定すると、A2X<A1Xとなる。したがって、枠表示フラグ=0となる。これにより、枠表示フラグ=0かつ複数顔フラグ=1であるから、
図4ではS412へ、
図5ではS512へと進む。
図8(C)に示すように、ガイド枠と顔検出枠が重なり合っていないと、ユーザー所望の合焦位置である被写体811の持つグラスにはガイド枠806cのみが表示され、ユーザーが被写体を視認しづらくなるということがない。なお、枠表示フラグ=1と判定された場合、すなわち、
図7(B)、
図8(B)において、顔検出枠を表示せずガイド枠を表示にするとしたが、この限りではない。S409~S413において上述したように、ユーザーが設定メニュー画面において表示しない枠表示を選択できるようにしてもよいし、
図4のS406の演算処理での判定結果から表示しない枠表示を判定するようにしてもよい。また、顔検出枠を表示しないように制御したとしても主顔ガイド指標は表示するように制御すると述べたが、この限りではない。具体的には、顔検出枠を表示しないように制御した場合は、主顔ガイド指標も表示しないようにしてもよい。さらには、ユーザーの設定によって表示する枠を顔検出枠と設定した場合には、ガイド枠を非表示とした際には、ガイド枠と共に合焦度合いを示す指標も一緒に非表示としてもよい。これによりユーザーは、メインである被写体を視認できなくなったり、焦点検出領域を大まかに視認することができなくなったりするが、
図4のS413において指標や枠の表示が必要だと想定されるときには表示される。また、S414において、ユーザー所望のタイミング(ユーザーによる操作)で指標や枠が表示されるため、操作性が悪くなることはない。
【0115】
また、本実施形態において、S406もしくはS506で枠表示フラグ=1と判定され、ガイド枠と顔検出枠のうち一方が非表示になっている状態(例えばS410/S510)を考える。この状態から、ユーザーがデジタルカメラ10を動かしたり、被写体が動いたりして構図が変化した場合、構図の変化によってガイド枠と顔検出枠の重なりがなくなり、枠表示フラグ=0と判定されることが生じる。このような場合、枠表示フラグが1から0へと変化したことに応じて、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示するようにする(例えばS13/S513)。すなわち、ユーザーが行った設定に従って、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示する。
【0116】
図7(B)~(D)、
図8(B)、(C)は
図4、(C)の制御処理のフローに従って、フォーカスガイドのガイド枠と顔検出枠の両方の表示、もしくは、ガイド枠のみ表示し顔検出枠を表示しない、のいずれかを判定し制御処理を行う。
図7(B)は
図7(A)の顔検出枠700aを表示せずガイド枠703b(703a)を表示する(S410)。すなわち、ガイド枠と顔検出枠が重なっている(ガイド枠の全体が顔検出枠に内包されていない)場合には、ガイド枠のみを表示する。これにより、フォーカス調整を行っている被写体に多くの指標や枠が表示されることによる視認しづらさを低減し、視認性を高め、フォーカス調整を行いやすくする。
図7(C)、(D)では、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示する(S413)。すなわち、ガイド枠と顔検出枠が重なっていない、もしくは、ガイド枠全体が顔検出枠に内包されているが面積比が一定値より小さい場合は、ガイド枠と顔検出枠を両方表示する。これにより、検出された顔を視認しつつ、フォーカス調整を行おうとしている被写体の合焦位置を視認でき、フォーカス調整を行うことができる。
図8(B)は
図8(A)の顔検出枠800aを表示せずガイド枠806bを表示する(S409)。すなわち、ガイド枠と顔検出枠が重なっている(ガイド枠の全体が顔検出枠に内包されていない)場合には、ガイド枠のみを表示する。ただし、ガイド枠と重なり合っていない顔検出枠については表示を行う。
図8(C)では、ガイド枠と顔検出枠の両方を表示する(S412)。すなわち、ガイド枠と顔検出枠が重なっていない場合は、ガイド枠と顔検出枠を両方表示する。これにより、検出された顔を視認しつつ、フォーカス調整を行おうとしている被写体の合焦位置を視認でき、フォーカス調整を行うことができる。なお、フォーカスガイドの合焦度合いを示す指標は、ガイド枠を表示しなくても表示を行う。また、主顔ガイド指標は、顔検出枠を表示しなくても表示を行う。このように制御することで、たとえガイド枠や顔検出枠が表示されなくても、合焦度合いを示す指標や主顔ガイド指標により、ユーザーは表示されていないガイド枠や顔検出枠の位置を大まかに把握することができる。上述した本実施形態のガイド枠と顔検出枠の表示により、ユーザー所望の被写体へのフォーカス調整を行いやすく、かつ、被写体が視認しにくくなることを低減できる。
【0117】
上述した制御フローでは、デジタルカメラ10がファインダーを備えていた場合に、ユーザーがファインダーを覗いて撮影を行おうとする際にも適用することができる。すなわち、表示部107がファインダー内表示部であっても上述の制御フローを適用し、フォーカスガイドと顔検出枠の表示制御を行うことが可能である。
【0118】
なお、CPU119aが行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0119】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0120】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0121】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず撮像手段で撮像された画像を表示可能な機器であれば適用可能である。すなわち、本発明はタブレットPCや携帯電話端末、ディスプレイを備える音楽プレーヤーやゲーム機などに適用可能である。
【0122】
また、撮像装置本体に限らず、有線または無線通信を介して撮像装置(ネットワークカメラを含む)と通信し、撮像装置を遠隔で制御する制御装置にも本発明を適用可能である。撮像装置を遠隔で制御する装置としては、例えば、スマートフォンやタブレットPC、デスクトップPCなどの装置がある。制御装置側で行われた操作や制御装置側で行われた処理に基づいて、制御装置側から撮像装置に各種動作や設定を行わせるコマンドを通知することにより、撮像装置を遠隔から制御可能である。また、撮像装置で撮影したライブビュー画像を有線または無線通信を介して受信して制御装置側のディスプレイで表示できるようにしてもよい。
【0123】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。