(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】半導体装置、表示装置、表示撮像装置、及び光電変換装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240112BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240112BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240112BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20240112BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20240112BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240112BHJP
F21S 43/145 20180101ALI20240112BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240112BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240112BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240112BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B5/20 101
H05B33/14 A
H05B33/12 E
H05B33/02
G09F9/30 349B
G09F9/30 309
G09F9/30 338
F21S43/145
F21S2/00 482
F21W103:35
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2019216773
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】中田 紀彦
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-164914(JP,A)
【文献】特開2011-198862(JP,A)
【文献】特開2019-165312(JP,A)
【文献】特開2019-153411(JP,A)
【文献】特開2007-235276(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107462945(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0093938(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G02B 5/20
H10K 59/10
H10K 50/10
H05B 33/12
H05B 33/02
G09F 9/30
F21S 43/145
F21S 2/00
F21W 103/35
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
有効画素領域において前記第1基板の上に配されるカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の上に配される第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板を接合する接合部材と、
前記有効画素領域の外側で、前記第1基板の上に配される、前記カラーフィルタ層と同一の材料を有するパターン層と、
を有し、
前記第1基板の前記接合部材が配されている面に対する平面視において、前記パターン層は、前記接合部材の互いに離間して隣り合う2つの部分の間に配置され、
前記平面視において、前記接合部材は、前記第1基板の端と前記パターン層との間には配されていない半導体装置。
【請求項2】
前記有効画素領域の少なくとも一部の外縁に平行で、かつ、前記有効画素領域を通らない直線の上に、前記接合部材の前記2つの部分、および、前記パターン層が並んで配される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1基板と、
有効画素領域において前記第1基板の上に配されるカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の上に配される第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板を接合する接合部材と、
前記有効画素領域の外側で、前記第1基板の上に配される、前記カラーフィルタ層と同一の材料を有するパターン層と、
を有し、
前記第1基板の前記接合部材が配されている面に対する平面視において、前記接合部材の一端と他端は、互いに向かい合って配され、
前記平面視において、前記接合部材の前記一端と前記他端を結ぶ仮想直線及び前記接合部材は、前記有効画素領域を囲み、
前記パターン層は前記仮想直線上に配されている半導体装置。
【請求項4】
前記パターン層は、前記カラーフィルタ層と同様の複数の色の層を有し、
前記平面視において、前記パターン層のある色のパターン単位あたりの面積は、前記カラーフィルタ層の前記色の1画素あたりの面積とは大きさが異なる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記平面視において、前記パターン層の前記色のパターン単位あたりの面積は、前記カラーフィルタ層の前記色の1画素あたりの面積より大きい請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記平面視において、前記パターン層の前記色のパターン単位あたりの面積は、前記カラーフィルタ層の前記色の1画素あたりの面積の1.5倍以上である請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記パターン層は、前記カラーフィルタ層と同様の複数の色の層を有し、
前記平面視において、前記複数の色の層のうちある色の層の形状は、前記カラーフィルタ層の前記色の層の1画素あたりの形状とは異なる形状のパターンを配置した、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記平面視において、前記カラーフィルタ層と前記パターン層との間は離間している請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記平面視において、前記接合部材と前記パターン層との距離は、前記第1基板の端と前記
パターン層との距離より大きい請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記カラーフィルタ層と前記接合部材の間に、前記カラーフィルタ層が有する層と同じ少なくとも一色の層が配されている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記少なくとも一色の層の一部は、前記カラーフィルタ層と前記パターン層の間に配されている請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記平面視において、前記少なくとも一色の層と前記パターン層とは離間している請求項10または11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記平面視において、前記少なくとも一色の層と前記接合部材との距離は、前記少なくとも一色の層の、前記接合部材の側の端から前記カラーフィルタ層までの距離より小さい請求項10乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記カラーフィルタ層と前記接合部材の間に、前記カラーフィルタ層が有する層と同じ、2色以上の層が配されている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記有効画素領域は複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
撮像装置と、
表示部として請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置と、を備え、
前記撮像装置から提供されるユーザーの視線情報に基づいて前記表示部の表示画像が制御される表示撮像装置。
【請求項17】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置を有する光電変換装置。
【請求項18】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有する電子機器。
【請求項19】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルムと、を有する照明装置。
【請求項20】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有する移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ層を備えた半導体装置、表示装置、表示光電変換装置、電子機器、照明装置、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
表示または撮像を行う半導体装置では、カラー画像の表示または撮像を行うために、カラーフィルタ層が設けられる。カラーフィルタ層を有する半導体装置では、有効画素の上に配されたカラーフィルタ層とは別に、当該カラーフィルタ層と同じ材料のパターン層を含むことがある。1つの例として、半導体装置の動作確認や品質管理を目的に、有効画素としては機能しない各種モニタ画素やその他のパターンを配置することがある。特許文献1には、カラーフィルタ層を有する表示装置と、カラーフィルタ層の管理のためのモニタ画素が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有効画素として機能しない各種モニタ画素やカラーフィルタ材料を用いたパターンは、半導体装置の特性を悪化させることが無いよう、有効画素領域近傍を避けて配置する必要がある。よって、半導体装置が大型化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一様態は、第1基板と、有効画素領域において前記第1基板の上に配されるカラーフィルタ層と、前記カラーフィルタ層の上に配される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板を接合する接合部材と、前記有効画素領域の外側で、前記第1基板の上に配される、前記カラーフィルタ層と同一の材料を有するパターン層と、を有し、
前記第1基板の前記接合部材が配されている面に対する平面視において、前記パターン層は、前記接合部材の互いに離間して隣り合う2つの部分の間に配置され、前記平面視において、前記接合部材は、前記第1基板の端と前記パターン層との間には配されていない半導体装置に関する。
【0006】
また、別の一様態は、第1基板と、有効画素領域において前記第1基板の上に配されるカラーフィルタ層と、前記カラーフィルタ層の上に配される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板を接合する接合部材と、前記有効画素領域の外側で、前記第1基板の上に配される、前記カラーフィルタ層と同一の材料を有するパターン層と、を有し、
前記第1基板の前記接合部材が配されている面に対する平面視において、前記接合部材の一端と他端は、互いに向かい合って配され、前記平面視において、前記接合部材の前記一端と前記他端を結ぶ仮想直線及び前記接合部材は、前記有効画素領域を囲み、前記パターン層は前記仮想直線上に配されている半導体装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
より小型化した半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】半導体装置の一例を説明する(a)断面模式図及び(b)上面模式図
【
図4】(a)カラーフィルタ層及び(b)パターン層の構成例を説明する上面模式図
【
図5】(a)カラーフィルタ層及び(b)パターン層の構成例を説明する上面模式図
【
図10】(a)撮像装置の一例を表す模式図、(b)電子機器の一例を表す模式図
【
図11】(a)表示装置の一例を表す模式図、(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図
【
図12】(a)照明装置の一例を示す模式図、(b)車両用灯具を有する自動車の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本実施の形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成、材料、方法、効果等については適宜説明を省略する。
【0010】
(実施の形態1)
図1(a)は、半導体装置200の断面図である。半導体装置200は、素子基板100と、カラーフィルタ層103と、カラーフィルタ層103の周囲に配置された遮光層102と、を有する。また、半導体装置200は、カラーフィルタ層103に対向して配置された透光板106と、透光板106と素子基板100とを接合する接合部材101と、を有する。
図1(a)に示すように、半導体装置200は、更に、カラーフィルタ層103と透光板106との間に設けられ透光板106に接触する、透光部材107を有していてもよい。
【0011】
本実施形態の半導体装置200は、例えば表示装置または撮像装置に用いることができ、この場合、素子基板100は表示素子基板あるいは撮像素子基板である。半導体装置200は、有効画素領域108、周辺回路領域109、及び外部接続端子104を有する。
【0012】
図1(b)は、半導体装置200を素子基板100の主面(接合部材101が配されている面)に対して平面視した際の平面模式図を示している。
図1(b)において、素子基板100の主面に対して垂直な方向(主面の法線方向)から半導体装置200を視た際重なっている部材については、透視可能であるものとする。
【0013】
半導体装置200は、素子基板100、有効画素領域108において素子基板100の上に配されるカラーフィルタ層103、カラーフィルタ層103の上に配される透光板106と、素子基板100と透光板106を接合する接合部材101とを有する。また、半導体装置200は、有効画素領域108の外側で、素子基板100の上に配され、カラーフィルタ層103と同一の材料を有するパターン層105を有する。
【0014】
パターン層105は、素子基板100の接合部材101が配されている面に対する平面視において、接合部材の切り欠き110、すなわち、接合部材101の互いに離間して隣り合う2つの部分の間に配置される。また、該平面視において、接合部材101は、素子基板100の端とパターン層105との間には配されていない。言い換えると、素子基板100の接合部材101が配されている面に対する平面視において、接合部材101の一端101aと他端101bは、互いに向かい合って配される。また、該平面視において、接合部材101の一端101aと他端101bを結ぶ仮想直線AB及び接合部材101は、有効画素領域108を囲み、パターン層105は該仮想直線上に配されている。
【0015】
よって、ここでは、接合部材101の互いに離間して隣り合う2つの部分、及びパターン層105は、有効画素領域108の少なくとも一部の外縁に平行で、かつ、有効画素領域108を通らない直線の上に並んで配される。
【0016】
カラーフィルタ層103は少なくとも有効画素領域108の上全体を覆うように配置するが、有効画素領域108の外側の周辺回路領域109の上に配置してもよい。カラーフィルタ層103は各画素で透過する光の波長を制御する機能を有し、本実施の形態では赤、緑、青の3色を採用しているが、色数や色の種類はこの限りではない。カラーフィルタ層103の膜厚は、例えば0.5~3umとすることができる。カラーフィルタ層103の各画素のサイズは、例えば対辺同士の距離が1.5~50umとすることができる。また、カラーフィルタ層103の各画素の形状は、本実施の形態では六角形を用いているが正方形や長方形等の多角形でもよい。
【0017】
周辺回路領域109には金属配線等が形成されているため、光を反射することで半導体装置200の特性が悪化する可能性がある。遮光層102が有効画素領域108の上に配されるカラーフィルタ層103の周囲に配されることで、周辺回路領域109での光の反射を抑制することができる。
【0018】
上述のように、接合部材101は切り欠き110を備えており、切り欠き110は、例えば透光部材107を注入するために用いられる。切り欠き110とは接合部材101が離間して互いに向かい合う部分(一端101aと他端101bの間の部分)のことであり、切り欠き110の幅は例えば1~30mmであってもよい。
【0019】
パターン層105は、有効画素領域108のカラーフィルタ層103と同一のカラーフィルタ材料を有する。パターン105の役割としては、例えばカラーフィルタ層103の品質管理がある。製品と同様のマスクを用い、同様の方法、材料を用いてパターン層105(及びカラーフィルタ層103)をガラス基板上へ形成することで、透過分光測定を実施することができる。
【0020】
有効画素領域108のカラーフィルタ層と同一のカラーフィルタ材料を用いたパターン層105を透過分光測定に用いる場合、カラーフィルタ層103と同じ画素サイズのパターン層105では、分光測定装置のスポット径よりも小さくなってしまうことがある。よって、カラーフィルタ層103の画素サイズよりも大きい画素サイズのパターン層105を有効画素領域108のカラーフィルタ層と同一のカラーフィルタ材料を用いて形成する。該パターン層105の透過分光測定を実施することで、有効画素領域108のカラーフィルタ層103が設計通り形成されているかを確認することができる。
【0021】
仮にパターン層105を遮光層102と接合部材101の間に配置すると、そのためのスペースを設ける必要が生じることから、半導体装置200が大型化してしまう。一方、本実施の形態のパターン層105は、接合部材101が有する切り欠き110に配置されている。
【0022】
すなわち、本実施の形態のパターン層105は、素子基板100の接合部材101が配されている面に対する平面視において、接合部材101が離間して互いに向かい合う部分に配置される。また、該平面視において、接合部材101は、素子基板100の端とパターン層105との間には配されていない。言い換えると、素子基板100の接合部材100が配されている面に対する平面視において、接合部材101の一端101aと他端101bは、互いに向かい合って配される。また、該平面視において、接合部材101の一端101aと他端101bを結ぶ仮想直線AB及び接合部材101は、有効画素領域108を囲み、パターン層105は該仮想直線上に配されている。
【0023】
よって、専用のスペースを設ける必要がなく、より小型化した半導体装置200を提供することができる。
【0024】
パターン層105は、カラーフィルタ層103と同様の複数の色の層を有し、本実施の形態では、赤、緑、及び青色のカラーフィルタ層と同様の層を有する。
図2に示す平面視において、パターン層105のある色のパターン単位あたりの面積は、カラーフィルタ層103における同じ色の1画素あたりの面積とは大きさが異なる。より具体的には、パターン層105のある色のパターン単位あたりの面積は、カラーフィルタ層103における同じ色の1画素あたりの面積より大きいことが好ましい。透過分光分析の観点から、例えば、1.5倍以上であることが好ましい。また、カラーフィルタ層103とパターン層105との間は離間していることが好ましい。
【0025】
本実施の形態において、遮光層102は、カラーフィルタ層103で使用している青のカラーフィルタと同じ材料で同時に形成している。これにより、製造工程を短縮することができる。遮光層102は、より遮光性能を高めるためにカラーフィルタ層103で使用している2色以上のカラーフィルタ材料の層(フィルタ層)を重ねて形成してもよい。例えば、遮光層102は、カラーフィルタ層103で使用している赤と青の2色のカラーフィルタ材料の層を重ねて形成してもよく、カラーフィルタ層103で使用している赤、緑、青の3色のカラーフィルタ材料の層を重ねて形成してもよい。また、黒のカラーフィルタで形成してもよい。
【0026】
遮光層102は、
図2に示す平面視において、有効画素領域108を囲むように配されることが好ましい。これにより、外部から入射した光が配線等によって反射され、半導体装置200の本来の発光と異なる光が出射されること、または、撮像領域外からの光が撮像領域に入射するのを効果的に抑制することができる。よって、
図2に示す平面視において、遮光層102は、カラーフィルタ層と接合部材101の間にも配されていることが好ましい。
【0027】
接合部材101とパターン層105との距離が小さくパターン層105の上に接合部材101が乗り上げてしまった場合、間にカラーフィルタ材料を介しての接合では接合信頼性の低下を引き起こすことから、接合部材101の接着作用が低下する可能性が生じる。一方、接合部材101から素子基板100の端までの距離を小さくすることによって、より半導体装置200を小型化することができる。よって、接合部材101とパターン層105との距離は、接合部材101と素子基板100の端との距離より大きいことが好ましい。
【0028】
接合部材101とパターン層105との距離を、例えば300μm以上700μm以下とすることができ、500μm以上700μm以下が接着信頼性の面からはより好ましい。
【0029】
また、有効画素領域108の外側に配される遮光層102の領域を小さくすると、外部から入射した光が遮光層102で反射されずに配線等によって反射され、半導体装置200の本来の発光と異なる光が出射される可能性が生じる。また、半導体装置200が撮像装置部分に用いられた場合には、撮像領域外からの光が撮像領域に入射する可能性が生じる。一方、遮光層102と接合部材101との距離が不十分な場合、遮光層102が接合部材101と重なってしまう(乗り上げてしまう)可能性がある。この場合、間にカラーフィルタ材料を介しての接合では接合信頼性の低下を引き起こすことから、接合部材101の接着作用が低下する可能性が生じる。
【0030】
よって、本実施の形態の半導体装置200において、遮光層102と接合部材101との距離は、遮光層102の、接合部材101側の端からカラーフィルタ層までの距離より小さい。しかし、素子基板100や遮光層102の形状やサイズによっては、遮光層102が接合部材101に乗り上げてしまい素子基板100と透光板106の密着性が低下する可能性が生じる。このような場合は、遮光層102と接合部材101との距離は、遮光層102の、接合部材101側の端からカラーフィルタ層までの距離より大きくてもよい。
【0031】
本実施の形態では、遮光層102の、接合部材101側の端からカラーフィルタ層までの距離(遮光層102の幅)は、30μm以上400μm以下とすることができ、50μm以上350μm以下とすることがより好ましい。また、遮光層102と接合部材101との距離は、例えば10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。
【0032】
本実施の形態では、パターン層105から素子基板100の端までの距離が、パターン層105から接合部材101の一端101aまでの距離より小さい例を示す。このようにすることで、半導体装置200をより小型化することができる。しかし、半導体装置200は、この形態に限定されず、パターン層105から素子基板100の端までの距離は、パターン層105から接合部材101(の一端101a)までの距離より大きくてもよい。この場合、接合部材101が配される領域に対する切り欠き110の割合が小さくなるため、素子基板100と透光板106の接合信頼性を向上することができる。
【0033】
また、本実施の形態では、パターン層105と接合部材101(の一端101a)との距離は、パターン層105と遮光層102との距離より小さい。よって、遮光層102がパターン層105や接合部材101に乗り上げ、接合信頼性が低下するのを抑制することができる。
【0034】
また、パターン層105と遮光層102は、ともにカラーフィルタ層103と同じカラーフィルタ材料の層を複数有していてもよい。透過分光測定を行う場合、パターン層105等は、ガラス基板などの透光性基板に形成される。よって、パターン層105とカラーフィルタ層103の距離が近い場合、各層形成のための露光のための光が基板を透過した後反射し、再度基板に照射されることで、設計とは異なる部分にカラーフィルタ材料の層が形成されてしまう可能性がある。このようなことが起こると、透過分光測定の信頼性が著しく低下する。
【0035】
よって、パターン層105と接合部材101(の一端101a)との距離が、パターン層105と遮光層102との距離より小さいことで、パターン層105または遮光層102が所望のパターンからずれてしまうのを抑制することができる。
【0036】
一方、半導体装置200において、パターン層105と遮光層102との距離は、パターン層105と接合部材101(の一端101a)との距離より小さくてもよい。このような構成とすることで、外部からの不要な光が、遮光層102が配されていない部分から半導体装置200内部に侵入し、性能低下させるのを抑制することができる。
【0037】
接合部材101の厚さは、カラーフィルタ層103や遮光層102よりも厚いことが好ましく、例えば、2um以上が好ましく、50um程度であってもよい。
【0038】
また、接合部材101が外部接続端子104に乗り上げ、接合信頼性が低下すること、及び外部接続端子104と外部端子との接続面積が減少することを抑制するため、接合部材101と外部接続端子104との距離は、少なくとも500μm以上であることが好ましい。接合部材101と外部接続端子104との距離は、700μm以上であることがより好ましい。
【0039】
なお、本実施の形態では、パターン層105が、透過分光測定に用いるバターン層である例を示したが、パターン層105は、有効画素としては機能しない、ダミー画素や基準画素、テスト画素、モニタ画素、その他のパターンであってもよい。
【0040】
次に、本実施形態の半導体装置200を有機EL表示装置に用いる場合の製造方法について、
図2の断面図を用いて説明する。
【0041】
素子基板100の有効画素領域108と周辺回路領域109には、半導体基板、トランジスタ等の半導体素子、配線構造、有機EL素子、絶縁部材などが配されている。半導体基板は例えばシリコンを用いることができる。また、半導体基板の代わりにガラス基板やプラスチック基板を用いてもよい。配線構造はアルミニウム、銅等の金属部材が用いられ、絶縁層への金属拡散を抑制するために絶縁部材と配線構造との界面にTi、Ta、TiN、TaN等のバリアメタルを設けてもよい。
【0042】
有機EL素子はメタルマスクを用いた蒸着やスパッタリングにより有効画素領域108の全面に形成されていてもよい。絶縁部材としては、酸化シリコンや窒化シリコン等が用いられ、半導体素子と配線構造の間等、素子基板100の各構造間の電気的絶縁性を確保するために設けられている。
【0043】
素子基板100の直上には、下部有機平坦化膜111が形成されている。下部有機平坦化膜111は、素子基板100表面の凹凸を平坦化する機能を有していてもよい。また、カラーフィルタ層103と遮光層102の素子基板100に対する密着性を向上させる機能を有していてもよい。
【0044】
カラーフィルタ層103は、下部有機平坦化膜111に接しており、色毎にフォトリソグラフィにより形成できる。カラーフィルタ層103の材料としては、光透過率に波長依存性があり、かつ感光性を有する材料を用いることができ、顔料系材料、染料系材料等が用いられる。カラーフィルタ層103は、本実施の形態では緑色フィルタ113、赤色フィルタ114、青色フィルタ115のカラーフィルタからなる。なお、ここでのある色のフィルタ(ある一色の層)とは、ある色の透過率が高い層であり、例えば緑色フィルタ113は、有機EL素子から発光された光のうち緑色を主に透過する。
【0045】
遮光層102も同様にフォトリソグラフィにより形成できる。遮光層102は、カラーフィルタ層103が有する層と同じ少なくとも一色の層を有する構成としてもよい。遮光層102の材料としてカラーフィルタ層103と同じ材料を使用する場合は、遮光層102はカラーフィルタ層103と同時に形成することができ、製造工程数を削減することができる。本実施の形態では、遮光層102が青色フィルタ115と同じ青色のカラーフィルタ材料を有する層である例を示す。
【0046】
カラーフィルタ層103と遮光層102の上には上部有機平坦化膜112が形成されている。上部有機平坦化膜112は、カラーフィルタ層103と遮光層102の表面を平坦化する機能を有していてもよい。また、カラーフィルタ層103と遮光層102を封止する機能を有していてもよい。
【0047】
図3はパターン層105の断面図であり、パターン層105は、有効画素領域108のカラーフィルタ層103と同じ複数の色の層を有する。ここでは、パターン層105の各色の層が、カラーフィルタ層103と同一のカラーフィルタ材料を用いている例を示す。
【0048】
パターン層105は、接合部材101の切り欠き110に配置されている。パターン層105はカラーフィルタ層103と同じ材料を使用しているため、カラーフィルタ層103と同時に形成することで、製造工程数を削減可することができる。
図3において、カラーフィルタ層103と同様に、パターン層105の下面は下部有機平坦化膜111に接しており、パターン層105の上面は上部有機平坦化膜112に接している。
【0049】
接合部材101となる樹脂材料は、ディスペンスやスクリーン印刷等の手法で形成する。接合部材101は、上部有機平坦化膜112の上に形成される。接合部材101は、カラーフィルタ材料に接すると接合信頼性の低下を引き起こすことから、平面図で見たときにカラーフィルタ層103、遮光層102、パターン層105と重ならないように形成する。
【0050】
接合部材101はUV硬化樹脂、熱硬化樹脂、2液混合型樹脂等の、エポキシ、アクリル、ウレタン、ポリイミド等の任意の樹脂を用いることができ、樹脂の中に適宜フィラーを含有するのが好ましい。フィラーを含有することで、フィラーのサイズによって素子基板100と透光板106を貼り合わせた際の接合部材101の厚さにより、半導体基板100と透光板106の間隔(ギャップ)を制御することができるので好適である。またフィラーはガラスビーズや樹脂ビーズ等任意のフィラーを用いることができるが、素子基板100の表面が損傷しにくい樹脂ビーズを用いるのが好ましい。接合部材101には、切り欠き110が設けられている。
【0051】
透光板106を接合部材101上へ貼り合わせた後、切り欠き110から透光部材107が真空注入法等を用いて注入される。
【0052】
次に、本実施の形態の半導体装置200のカラーフィルタ層103及びパターン層105の平面視における形状について
図4を用いて説明する。
【0053】
図4(a)は、素子基板100の接合部材101が配されている面に対する平面視における、カラーフィルタ層103の一部の拡大図を示す。本実施の形態において、カラーフィルタ層103は、緑色フィルタ113、赤色フィルタ114、及び青色フィルタ115の3色のカラーフィルタ材料の層を有する。
【0054】
図4(b)は、素子基板100の接合部材101が配されている面に対する平面視における、パターン層105の一部の拡大図を示す。パターン層105は、カラーフィルタ層103と同じ色の材料を有する層を有し、具体的には、緑色フィルタ113、赤色フィルタ114、及び青色フィルタ115の3色のカラーフィルタ材料の層を有する。
【0055】
図4の平面視において、パターン層105のある色(例えば緑色フィルタ113)のパターン単位あたりの面積は、カラーフィルタ層103の該色(例えば緑色フィルタ113)の1画素あたりの面積より大きい。このようにパターン層105のパターン単位当たりの面積を、同色のカラーフィルタ層103の1画素あたりの面積サイズより大きくする。これにより、例えば透過分光測定を実施する際にカラーフィルタ層103の画素サイズが分光測定装置のスポット径よりも小さい場合でも測定可能とすることができる。よって、半導体装置200のカラーフィルタ層103の信頼性を向上することができる。
【0056】
図4では、パターン層105が有する層とカラーフィルタ層103が有する層の該平面視における形状が同じ(相似形状を含む)である例を示すが、半導体装置200は、この形態に限定されない。
図5に他の構成の例を示す。
図5(a)は、
図4(a)のカラーフィルタ層103と同様の構成であるため、説明を省略する。
図5(b)は、素子基板100の接合部材101が配されている面に対する平面視における、パターン層105の一部の拡大図を示す。
【0057】
パターン層105が、カラーフィルタ層103と同じ色の材料を有する層を有する点では、
図4(b)と同様であるが、各層(フィルタ)の形状がカラーフィルタ層103の各層(フィルタ)の形状と異なる点が異なる。ここでは、パターン105の各色の層(フィルタ)の形状が、カラーフィルタ層103の各色の層(フィルタ)の形状を1方向に引き延ばしたような形状になっている。このような形状とすることで、例えば線幅を自動測定する際に誤測定を低減することが可能となる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態では、接合部材101の形状が実施の形態1の半導体装置200の接合部材101の形状と異なる。実施の形態1と共通部分については、詳細な説明を省略する。
【0059】
図6に、本実施の形態の半導体装置200の上面概略図を示す。実施の形態1では、有効画素領域108を取り囲むように接合部材101が配され、切り欠き110以外の部分は連続していた。一方、本実施の形態の半導体装置200では、接合部材101は、有効画素領域108を取り囲むように配されるが、複数の切り欠き110を有する。
【0060】
この場合にも、切り欠き110にパターン層105を配することで、パターン層105専用のスペースを設ける必要がなく、より小型化した半導体装置200を提供することができる。
【0061】
(実施の形態3)
[有機発光素子の構成]
有機発光素子は、基板の上に、陽極、有機化合物層、陰極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。
【0062】
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、陽極2と配線の導通を確保するために、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
【0063】
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
【0064】
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金が使用できる。また、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。更に、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
【0065】
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
【0066】
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0067】
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を抑制するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が抑制できれば、合金の比率は問わない。例えば、1:1であってよい。
【0068】
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
【0069】
[保護層]
陰極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を抑え、表示不良の発生を抑えることができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機EL層に対する水等の浸入を抑えてもよい。例えば、陰極形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。
【0070】
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
【0071】
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
【0072】
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
【0073】
[対抗基板]
平坦化層の上には、対抗基板を有してよい。対抗基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対抗基板と呼ばれる。対抗基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。
【0074】
[有機層]
一実施の形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
【0075】
一実施の形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
【0076】
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0077】
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。上記は例であり、バインダー樹脂は、これらに限定されるものではない。
【0078】
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0079】
[半導体装置の用途]
実施の形態1または2に係る半導体装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。たとえば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、ゲーム機、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、電子書籍、テレビ受像機等が挙げられる。以下に図面を用いて具体例を説明する。
【0080】
図7は、半導体装置の表示装置としての適用例の一例である。実施の形態1または2に係る半導体装置を用いた表示装置は、カメラのビューファインダ、ヘッドマウントディスプレイ、スマートグラスのような情報表示装置に適用できる。
【0081】
図7(a)は、カメラ等の撮像装置のビューファインダとして用いた一例の概略構成図である。表示装置212からは表示光217と赤外光218が出射され、表示光と赤外光とが同一の光学部材222を通って、ユーザーの眼球6に達する。ユーザーの眼球216で反射した赤外光は撮像素子を有する撮像装置223で電気情報に変換され、その情報に基づいて視線の検出がなされる。撮像装置を設ける代わりに、表示装置1の絶縁層上に撮像素子を設けて、表示撮像装置として用いてもよい。
【0082】
図7(b)は、カメラ等の撮像装置の一例である。撮像装置224は、ビューファインダ225、ディスプレイ226、操作部227、筐体228を有する。
図7(a)の表示装置は、ビューファインダ225に設けられている。
【0083】
図7(a)では、表示光217と赤外光218が同一の光学部材222を通る例を示したが、表示光と赤外光で別の光学部材を設けてもよい。また、撮像装置を設ける代わりに、表示装置212の基板上に撮像素子を設けて、表示撮像装置として用いてもよい。検出した視線情報は、カメラのピント制御、表示画像の解像度制御、ボタン操作の代替など、表示装置や表示装置と接続される種々の機器の制御に用いることができる。
【0084】
本実施の形態に係る半導体装置を有する表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
【0085】
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0086】
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0087】
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
【0088】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0089】
他にも、赤外光を受光する受光素子を有する第一の撮像装置と、第一の撮像装置と異なる受光素子を備え、外部を撮像するための第二の撮像装置とを有し、第一の撮像装置のユーザーの視線情報に基づいて、第二の撮像装置の撮像解像度を制御してよい。撮像の解像度を優先された領域に比べて、他の領域を低下させることで、情報量を低減できる。このため、消費電力の低減、表示遅延の低減が図れる。優先される領域を第一の撮像領域、第一の撮像領域よりも優先度が低い領域を第二の撮像領域としてよい。
【0090】
図7(c)は、スマートグラスの一例を示す模式図である。スマートグラスに代表される撮像表示装置229は、制御部230と透明表示部231と不図示の外部撮像部とを有している。スマートグラスに適用した場合、検出された視線情報に基づいて、表示装置と外部撮像装置の両方を制御することができ、消費電力や表示遅延の低減が図れる。例えば、表示領域の内、ユーザーが注視している領域以外の領域の表示と撮像の解像度を低下させることで、撮像と表示の双方の情報量を削減でき、消費電力や表示遅延が低減できる。
【0091】
また、実施の形態1または2に係る半導体装置を有する表示装置は、下記表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
【0092】
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
【0093】
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0094】
次に、図面を参照しながら本実施の形態に係る表示装置につい説明する。
図8は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるTFT素子とを有する表示装置の例を示す断面模式図である。TFT素子は、能動素子の一例である。
【0095】
図8の表示装置300は、ガラス等の基板301とその上部にTFT素子又は有機化合物層を保護するための防湿膜302が設けられている。また符号303は金属のゲート電極303である。符号304はゲート絶縁膜304であり、305は半導体層である。
【0096】
TFT素子308は、半導体層305とドレイン電極306とソース電極307とを有している。TFT素子308の上部には絶縁膜309が設けられている。コンタクトホール310を介して有機発光素子を構成する陽極311とソース電極307とが接続されている。
【0097】
尚、有機発光素子に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、
図8に示される態様に限られるものではない。つまり陽極又は陰極のうちいずれか一方とTFT素子ソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。
【0098】
図8の表示装置300では有機化合物層を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層312は、複数層であってもよい。陰極313の上には有機発光素子の劣化を抑制するための第一の保護層314や第二の保護層315が設けられている。
【0099】
図8の表示装置300ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えてMIM素子をスイッチング素子として用いてもよい。
【0100】
また
図8の表示装置300に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。尚、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【0101】
図8の表示装置300に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
【0102】
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。尚、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
【0103】
図9は、本実施の形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
【0104】
本実施の形態に係る表示装置1000は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する光電変換装置の表示部に用いられてよい。光電変換装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、撮像素子が取得した情報を用いて情報を取得し、表示部は、それとは別の情報を表示するものであってもよい。表示部は、光電変換装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。光電変換装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
【0105】
図10(a)は、本実施の形態に係る光電変換装置の一例を表す模式図である。光電変換装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、実施の形態1または2に係る半導体装置を表示装置として有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
【0106】
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本発明の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
【0107】
光電変換装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
【0108】
本実施の形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
【0109】
本実施の形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレットの他、先に説明したヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
【0110】
図10(b)は、本実施の形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。表示部は、実施の形態1または2の半導体装置を有することができる。
【0111】
図11は、本実施形態に係る半導体装置が表示装置である場合の一例を表す模式図である。
図11(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、実施の形態1または2に係る半導体装置が用いられてよい。
【0112】
額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、
図11(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。
【0113】
また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0114】
図11(b)は本実施の形態に係る半導体装置が表示装置である場合の他の例を表す模式図である。
図11(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、実施の形態に係る半導体装置を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点1314で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
【0115】
図12(a)は、本実施の形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源は、実施の形態1または2に係る半導体装置を有してよい。この場合、各画素に入力される画像データは、表示された際に像を形成するものではなく、同一の輝度に対応した信号であってもよい。
【0116】
光学フィルム1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、透過性を有し、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
【0117】
照明装置1400は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置1400は実施の形態1または2に記載の半導体装置を有していてよく、例えば、有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
【0118】
また、本実施形態に係る照明装置1400は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
【0119】
図12(b)は、本実施の形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
【0120】
テールランプ1501は、実施の形態1または2に係る半導体装置を照明装置として有してよい。テールランプは、有機EL素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
【0121】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、実施の形態1または2に係る半導体装置を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
【0122】
本実施の形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は実施の形態1または2に係る半導体装置を照明装置として有する。
【0123】
以上説明した通り、実施の形態1または2に係る半導体装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
【符号の説明】
【0124】
100 素子基板
101 接合部材
102 遮光層
103 カラーフィルタ層
104 外部接続端子
105 パターン層
106 透光板
108 有効画素領域
110 切り欠き
200 半導体装置