(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】印刷装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20240112BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20240112BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J3/407
H04N1/387 110
(21)【出願番号】P 2020014080
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】松島 弘樹
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213782(JP,A)
【文献】特開2017-177578(JP,A)
【文献】特開2015-144428(JP,A)
【文献】特開2004-009699(JP,A)
【文献】特開2006-142643(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0061733(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/00
B41J 3/407
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を記録媒体に印刷する印刷装置であって、
記録媒体がセットされる第1のセット部と第2のセット部のそれぞれについて、記録媒体がセットされているか判定する判定手段と、
前記第1のセット部に対応する第1の領域と、前記第2のセット部に対応する第2の領域とを含む印刷データを取得する取得手段と、
前記判定手段により前記第1のセット部に記録媒体がセットされており且つ前記第2のセット部に記録媒体がセットされていないと判定され、前記取得手段により取得された印刷データにおける前記第1の領域に印刷対象の画像が含まれておらず且つ前記第2の領域に印刷対象の画像が含まれている場合に、当該第2の領域に含まれている印刷対象の画像が前記第1のセット部に対して印刷され且つ前記第2のセット部に対して印刷されないように、当該印刷データを編集する編集手段と、
前記編集手段により編集が行われた後の前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷手段と、
を有
し、
前記編集手段は、前記第2の領域に含まれている印刷対象の画像が前記第1のセット部に対して印刷され且つ前記第2のセット部に対して印刷されないように、前記印刷データにおいて当該印刷対象の画像を移動させる移動処理を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記編集手段は、前記第2の領域に含まれている印刷対象の画像が前記第1のセット部に対して印刷され且つ前記第2のセット部に対して印刷されないように、前記印刷データの回転処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記判定手段により前記第1のセット部に記録媒体がセットされており且つ前記第2のセット部に記録媒体がセットされていないと判定され、前記第1の領域と前記第2の領域の両方に印刷対象の画像が含まれている場合に、前記編集手段はさらに、前記第1のセット部に対して印刷が実行され且つ前記第2のセット部に対して印刷が実行されないように、当該印刷データを編集することを特徴とする請求項1
または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1のセット部と前記第2のセット部は、トレイに設けられ、
前記印刷手段は、前記トレイを搬送し、搬送された前記トレイにセットされている記録媒体に対して印刷を実行することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記記録媒体はカードであることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
画像を記録媒体に印刷する印刷装置の制御方法であって、
記録媒体がセットされる第1のセット部と第2のセット部のそれぞれについて、記録媒体がセットされているか判定する判定工程と、
前記第1のセット部に対応する第1の領域と、前記第2のセット部に対応する第2の領域とを含む印刷データを取得する取得工程と、
前記判定工程により前記第1のセット部に記録媒体がセットされており且つ前記第2のセット部に記録媒体がセットされていないと判定され、前記取得工程により取得された印刷データにおける前記第1の領域に印刷対象の画像が含まれておらず且つ前記第2の領域に印刷対象の画像が含まれている場合に、当該第2の領域に含まれている印刷対象の画像が前記第1のセット部に対して印刷され且つ前記第2のセット部に対して印刷されないように、当該印刷データを編集する編集工程と、
前記編集工程により編集が行われた後の前記印刷データに基づいて前記印刷装置に印刷を行わせる印刷制御工程と、
を有
し、
前記編集工程は、前記第2の領域に含まれている印刷対象の画像が前記第1のセット部に対して印刷され且つ前記第2のセット部に対して印刷されないように、前記印刷データにおいて当該印刷対象の画像を移動させる移動処理を実行することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体に印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置が光ディスクなどの通常の用紙とは異なる印刷媒体に印刷を行う機能がある。例えばユーザは、専用のトレイなどの印刷補助部材に印刷媒体をセットし、その印刷補助部材を印刷装置本体内に挿入することで、印刷装置に印刷媒体へ印刷を行わせる。
【0003】
特許文献1では、トレイ上に、印刷媒体に合わせた凹部が設けられており、印刷装置が、この凹部にセットされた印刷媒体へ印刷を実行することが記載されている。また、該凹部には、光ディスクがセットされているか否かを検出するための反射板が設けられている。そして、その検出により、光ディスクがセットされていない凹部にインクが吐出されるのを防ぐことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなトレイにおいて、例えばユーザが、印刷媒体の本来のセット部とは異なるセット部に該印刷媒体をセットしていたとする。この場合、仮に印刷が中止されたときには、ユーザが該印刷媒体を本来のセット部にセットしなおさなければ、該印刷媒体に印刷を実行することはできない。
【0006】
そこで本発明は、ユーザが誤って印刷媒体をセットした場合に、適切な印刷を実行することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の印刷装置は、
画像を記録媒体に印刷する印刷装置であって、
記録媒体がセットされる第1のセット部と第2のセット部のそれぞれについて、記録媒体がセットされているか判定する判定手段と、
前記第1のセット部に対応する第1の領域と、前記第2のセット部に対応する第2の領域とを含む印刷データを取得する取得手段と、
前記判定手段により前記第1のセット部に記録媒体がセットされており且つ前記第2のセット部に記録媒体がセットされていないと判定され、前記取得手段により取得された印刷データにおける前記第1の領域に印刷対象の画像が含まれておらず且つ前記第2の領域に印刷対象の画像が含まれている場合に、当該第2の領域に含まれている印刷対象の画像が前記第1のセット部に対して印刷され且つ前記第2のセット部に対して印刷されないように、当該印刷データを編集する編集手段と、
前記編集手段により編集が行われた後の前記印刷データに基づいて印刷を行う印刷手段と、
を有し、
前記編集手段は、前記第2の領域に含まれている印刷対象の画像が前記第1のセット部に対して印刷され且つ前記第2のセット部に対して印刷されないように、前記印刷データにおいて当該印刷対象の画像を移動させる移動処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが誤って印刷媒体をセットした場合に、適切な印刷を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】記録媒体がセットされたトレイを示す図である。
【
図5】印刷動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】トレイにおける反射部の詳細を示す図である。
【
図8】反射部発見動作における光学式センサによる受光出力を示す図である
【
図9】第1反射部検知の動作を説明するための図である。
【
図10】トレイにセットされている印刷媒体の種類を判定する処理を示すフローチャートである。
【
図11】第3反射部検出動作を説明するための、トレイの上面図である。
【
図12】カード印刷における処理を示すフローチャートである。
【
図13】カード有無検知の処理を示すフローチャートである。
【
図14】カード有無検知の動作を説明するための図である。
【
図15】本実施形態におけるカード台紙の位置の確定動作を示すフローチャートである。
【
図16】カード台紙の位置の確定動作を説明するための図である。
【
図17】印刷イメージ生成のフローチャートを示す。
【
図19】データの回転による印刷イメージの生成を説明するための図である。
【
図20】印刷イメージ生成の別の例を示すフローチャートである。
【
図21】画像の平行移動について説明するための図である。
【
図22】印刷イメージ生成の別の例を示すフローチャートである。
【
図23】画像を印刷対象から除外する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0011】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。
【0012】
図1は、印刷装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、印刷装置1にて、印刷媒体11に対向する位置に印刷ヘッド12を1つまたは複数(以下、1つとして説明する)搭載するキャリッジ31は、ガイド部材であるガイド軸14によって回動可能および摺動自在に案内支持される。キャリッジ31の移動範囲の片端にプーリ付きキャリッジモータ15が配置され、もう片端にアイドルプーリ16が配置され、これらにタイミングベルト17がかけられ、キャリッジ31とタイミングベルト17とが連結される。ガイド軸14を中心としてキャリッジ31が回転するのを防ぐために、ガイド軸14と平行に延びるサポート部材18が設置され、キャリッジ31はサポート部材18によって摺動自在に支持される。さらに、印刷ヘッド12のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構19が非印刷領域に設けられている。メンテナンス機構19には、例えば、非印刷時に印刷ヘッド12のノズルの開口部を封止するためのキャップ(不図示)やノズル面に付着した異物や余分なインクを掻き取るためのワイパ(不図示)などがある。このような構成により、キャリッジ31は図中矢印Xの方向(主走査方向)に、ガイド軸14の軸方向における一方の端と他方の端との間をガイド軸14に沿って往復移動する。
【0013】
また、印刷媒体11は、搬送モータ20によって駆動される第1搬送ローラ13および第2搬送ローラ22を用いて、キャリッジ31の移動方向(図中矢印Xの方向:主走査方向)と交差する方向(図中矢印Yの方向:搬送方向)に搬送される。第1搬送ローラ13および第2搬送ローラ22のローラ軸方向は主走査方向と略平行である。以下、搬送方向において、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ22を比較して、第1搬送ローラ13に近い側を搬送方向上流側、第2搬送ローラ22に近い側を搬送方向下流側と呼ぶこととする。搬送方向において、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ22の間に、キャリッジ31が移動する領域が設けられている。
【0014】
印刷装置1には、搬送路内において印刷媒体11を検出するエッジセンサ26が設けられている。印刷媒体11はプラテン10上を搬送方向(Y方向)に搬送される。キャリッジ31には光学式センサ25Aが取り付けられている。また、主走査方向(X方向)と搬送方向(Y方向)によって作られる平面に対し垂直な方向(Z方向)にキャリッジ31は移動可能とする。
【0015】
図2は
図1に示す印刷装置1の制御構成を示すブロック図である。コントローラ400は、例えば、マイクロコンピュータ形態のCPU401、プログラムや所要のテーブルその他の固定データを格納したROM403、画像データを展開する領域や作業領域等を設けたRAM405を有する。ホスト装置410は印刷装置1に接続された画像データの供給源であり、画像データの生成や処理等を行なうパーソナルコンピュータ(PC)、画像読取用のスキャナ装置、デジタルカメラ等の形態であってもよい。画像データ、その他のコマンド、ステータス信号等は、インタフェース(I/F)412を介してコントローラ400との間で送受信される。
【0016】
なお、以降で記載する印刷装置1による制御は、CPU401により実行される。具体的には、CPU401がROM403に記憶されているプログラムを、RAM405をワークメモリとして実行することで実現される。
【0017】
操作部420は操作者による指示入力を受け付ける複数のスイッチを含む。これらは、電源スイッチ422、印刷ヘッド12のメンテナンス動作や各種印刷動作を指示するための操作パネル426、等である。
【0018】
センサ群430は装置状態を検出するための複数のセンサからなる。これらは、キャリッジ31に搭載されている光学式センサ25A、搬送路内において印刷媒体11を検出するエッジセンサ26、環境温度を検出するために適宜の部位に設けられた温度センサ434等を含む。
【0019】
ヘッドドライバ440は、印刷データ等に応じて印刷ヘッド12内の印刷素子402やサブヒータ442を駆動するドライバである。サブヒータ442は、インクの吐出特性を安定させるための温度調整を行なうために印刷ヘッド12内に設けられている。
【0020】
モータドライバ450はキャリッジモータ15を駆動するドライバであり、モータドライバ460は印刷媒体11を搬送するために用いられる搬送モータ20を駆動するためのドライバである。
【0021】
印刷媒体11は、トレイ状の印刷補助部材3(以下、トレイと呼ぶ)に積載された状態で搬送される。
図3は、トレイの構成を示す図である。トレイ3は、印刷媒体11を積載する凹部41、印刷媒体11を押圧する押圧部材42、またその押圧力を生み出す弾性部材43A・43Bを有す。さらにトレイ3は、第1反射部47A、第2反射部47B、第3反射部47Cを有す。ここで、光学式センサ25Aは自ら発した光の拡散反射光を受光し、その受光量の大小に応じて出力する。今回の例では、光学式センサ25Aは、受光量が大きいほど出力が小さくなる。さて第1反射部47A、第2反射部47B、第3反射部47Cは、トレイ3のその他の部分に比べて、光学式センサ25Aの発した光を反射しやすい。よって光学式センサ25Aの出力を確認することで、各反射部の有無や位置を検出することができる。各反射部の詳しい使い方については後述する。
【0022】
図4は、記録媒体がセットされたトレイを示す図である。トレイ3は複数種類の印刷媒体11を個別に積載可能である。
図4(a)に光ディスク51をトレイ3へ積載した模式的上面図を、
図4(b)にネイルシールマウント53をトレイ3へ積載した模式的上面図を示す。また、
図4(c)にカード台紙56単体をトレイ3へ積載した模式的上面図、
図4(d)にカード台紙56上にプラスチックカードメディア59A、59B(以下、カードと呼ぶ)を積載した模式的上面図を示す。
【0023】
光ディスク51は、例えば、表面に印刷受容層を持つプリンタブルディスクである。例えば、CD(Compact DiSc)やDVD(Digital VerSatile DiSc)、BD(Blu-ray(登録商標) DiSc)などが例として挙げられる。光ディスク51は、トレイ3に設けられた突き当て部44A、44Bと、押圧部材42に設けられた突き当て部44Cと外端で接することで、トレイ3に対して把持されている。
【0024】
ネイルシールマウント53は、ネイルシール54を積載しており、板状のプラスチック材からできている。ネイルシール54にはネイルアート用の大きさの異なるネイルシールが整列して配置されており、インク受容層を有しているため印刷が可能である。ネイルシールマウント53は、トレイに設けられた突き当て部45A、45Bと、押圧部材42に設けられた突き当て部45C、45Dと接することで、トレイ3に対して把持されている。
【0025】
カード台紙56には凹形状であるセット部57A,57Bが備えられた板状の台紙であり、カード59A、59Bをセット部57A,57Bに嵌め込んで保持させることができる。カード59A、59Bは、例えばクレジットカードサイズの印刷可能な印刷メディアである。カード台紙56の外形はネイルシールマウント53と略同一であり、カード台紙56は、トレイ3に設けられた突き当て部45A、45Bと、押圧部材42に設けられた突き当て部45C、45Dと接することで、トレイ3に対して把持されている。また、カード台紙56には、検出孔58A、58Bが備えられており、後述するカード59A、59Bの有無の判別に使用される。
【0026】
図6は、トレイの搬送動作を示す図である。
図6(a)はトレイ3が印刷動作前に印刷装置1にセットされた状態を示した模式的上面図、
図6(b)はトレイ3が印刷動作中に搬送されている状態を示した模式的上面図である。
図6(a)に示すように、印刷動作前に、ユーザによりトレイ3は印刷装置1の内部にトレイガイド29に主走査方向(図中のX方向)を規制されながら、搬送方向下流側からセットされる。セット時には、トレイ3は第2搬送ローラ22に接しており、さらに第1搬送ローラ13の下流側にある。
【0027】
なお、
図6(a)(b)に示すように、第1搬送ローラ13と、第1従動ローラ21が設けられている。第1搬送ローラ13および第1従動ローラ21に用紙等の印刷媒体やトレイが挟み込まれ、第1搬送ローラ13が回転することで、該印刷媒体や該トレイが搬送される。第1従動ローラ21は、第1搬送ローラ13の回転に従動する。第1従動ローラ21は主走査方向に複数個並べて設けられており、第1従動ローラ21と、第1搬送ローラ13とによりトレイ3の主走査方向全域がニップされて、トレイ3が搬送される。また
図6(a)(b)に示すように、第2搬送ローラ22が設けられており、さらに第2従動ローラ27が、トレイ3の凹部41の主走査方向外側に隣接するように2個並んで設けられている。2個の第2従動ローラ27は、トレイ3の主走査方向の中心線に対して、主走査方向に左右対称に設けられている。また2個の第2従動ローラ27は第2搬送ローラ22よりも上流側にある。第2従動ローラ27と、第2搬送ローラ22とによりトレイ3を把持し、第2搬送ローラ22が回転することで、トレイ3が搬送される。第2従動ローラ27は、この搬送において、第2搬送ローラ22の回転に従動する。上記の構成により、
図6(b)に示すように、印刷動作が開始されると、トレイ3は、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ27のどちらか一方、もしくは両方によって搬送される。
【0028】
続いて、
図5~
図23を参照しながら、印刷媒体11の印刷動作について述べる。以降、印刷媒体11の種類として、図中では印刷媒体11がカード台紙56である場合を例に説明する。
【0029】
図5は、印刷動作の一例を示すフローチャートである。具体的には、トレイを引き込むステップであるS101から第2反射部検出の成功判定ステップであるS111までの処理を示す。なお、
図5のフローチャートおよび後述するフローチャートの各ステップの処理は、CPU401により実行される。また
図5に示す処理は、印刷装置1における表示部、操作部に対するユーザによる指示、もしくは印刷イメージを含む印刷ジョブの印刷装置1による受信に応じて、印刷動作が開始されたことに応じて実行される。
【0030】
印刷動作が開始されると、CPU401は、モータドライバ460を制御することで、印刷装置1にセットされているトレイを、印刷装置1の内部に引き込む動作を搬送モータ20に実行させる(S101)。S101における処理により、第2搬送ローラ22と第2従動ローラ27により、トレイ3が搬送方向上流側に搬送される(
図6(a)参照)。するとトレイ3の搬送方向上流側の先端が、第1搬送ローラ13と第1従動ローラ21の間に挟み込まれる。その後は、第1搬送ローラ13と第1従動ローラ21のローラ対、第2搬送ローラ22と第2従動ローラ27のローラ対によってトレイ3が搬送される(
図6(b)参照)。
【0031】
次に、CPU401は、第1搬送ローラ13の上流にあるエッジセンサ26がトレイ3を検知するか、もしくは所定量搬送駆動が行われたか判定する(S102)。これらの条件のいずれかが満たされると、処理がS103に進む。
【0032】
次にCPU401は、トレイ3に設けられた反射部を検知し、即ちトレイ3の存在を検知するための反射部発見動作を行う(S103)。反射部発見動作S103の詳細を、
図7を用いて説明する。
図7は、トレイにおける反射部の詳細を示す図である。
【0033】
S103においてCPU401は、コントローラ400に予め格納された値に基づき、キャリッジ31を主走査方向に移動させる。具体的には、光学式センサ25Aの主走査方向の位置が、
図7に示すトレイ3の第1反射部47Aがあると想定される位置となるように、キャリッジ31が移動される。またCPU401は、
図7に示すように、第1反射部47Aの搬送方向における位置が光学式センサ25Aの位置になるように、トレイ3を搬送させる。そして光学式センサ25Aが第1反射部47Aの検出を行う。ここでは、トレイ3が搬送された状態でキャリッジ31が移動する場合を例に説明するが、逆の順序でも良いし、トレイ3とキャリッジ31が同時に移動してもよい。
【0034】
図8は、S103における反射部発見動作における光学式センサ25Aによる受光出力を示す図である。
図8は、光学センサ25Aの主操作方向における位置に対する出力を示したグラフと、その主走査方向における光学センサ25Aとトレイ3の位置関係を示す側断面図を示す。なお、
図8のグラフでは、受光量が多いほど出力としての値が少ないものとする。前述したように、第1反射部47Aはトレイ3のその他の部分に比べて、光学式センサ25Aの発する光を反射しやすい。よって、第1反射部47Aの検出時は、トレイ3のその他の部分の検出時に比べて、光学式センサ25Aの受光量が多く、結果として出力は小さくなる。このため、S103における反射部発見動作の結果、
図8に示すようなグラフが得られる。そしてCPU401は、このグラフにおいて、光学式センサ25Aの受光出力の変化を検出し、所定の受光出力の閾値Vth1をまたぐ位置を検出する。そして、グラフにおいて検出された位置に対応する光学式センサ25Aの位置を、第1反射部47Aの両端部1031、1032の位置として検出することができる。
【0035】
上記のS103における処理が実行されると、CPU401はさらに、S103における処理により反射部が発見されたか判定する(S104)。具体的には、上述のように第1反射部47Aの両端部1031、1032が検出され、さらに本検出結果から算出できる第1反射部47Aの搬送方向の大きさ1033が所定範囲内にある場合、CPU401は、第1反射部47Aが発見できたものと判断する。この場合CPU401は、所定のトレイ3が引き込まれたと認識し、印刷動作を続行する(S104でYes)。一方、第1反射部47Aの両端部1031、1032が検出できない、もしくは、本検出結果から算出できる第1反射部47Aの搬送方向の大きさ1033が所定範囲外であるとする。この場合CPU401は、第1反射部47Aが発見できず、トレイ3が引き込まれていないと認識する(S104でNo)。この場合、CPU401は、印刷エラー(S105)として印刷動作を中断し、トレイ3を排出する動作を行った後、ユーザにエラー通知を行う。エラー通知の方法は、例えば印刷装置1に設けられた表示部へのエラー表示である。
【0036】
トレイ3が引き込まれたと認識されると(S104でYes)、S106に処理が進む。S106でCPU401は、
図6(b)に示すように、トレイ3を搬送方向上流側に所定量搬送するよう第1搬送ローラ13を駆動し、第1反射部47Aの位置をS103における処理よりも高い精度で検出する第1反射部検出を行う。
図9を用いて、第1反射部検知S106の動作を説明する。
【0037】
S106においてCPU401は、光学式センサ25Aの位置を固定した状態でトレイ3を搬送方向下流側に移動させ、S103における処理と同様に、光学式センサ25Aによる第1反射部47Aの検出を行う。そして、第1反射部47Aの搬送方向の両端部1061、1062を検出する。
【0038】
次にCPU401は、トレイ3を搬送方向上流側に移動させることで、再度、光学式センサ25Aによる第1反射部47Aの検出を行い、第1反射部47Aの搬送方向の両端部1063、1064を検出する。そしてCPU401は、下流側端部1061と上流側端部1063の位置の中心を算出することで、第1反射部47Aの搬送方向の中心を求める。なお、搬送方向についての説明のため、
図9では、1062と1063の位置が主走査方向でずれており、1061と1064の位置が主走査方向でずれている。ただ実際は、搬送誤差がなければ、両者は主走査方向において同じ位置である。
【0039】
また、このように光学式センサ25Aの移動を往復動作させて、第1反射部47Aの上流側端部と下流側端部を検出する理由は次の通りである。上述の1061と1063は、光学式センサ25Aの搬送方向の位置が、搬送方向における第1反射部47Aに対応する範囲に入るときの検出結果である。一方、1062と1064は、当該位置が当該範囲から出るときの検出結果である。このように当該位置が当該範囲に入るときと、当該範囲から出るときで、センサ受光出力波形には異なる傾向が見られる。よって、それぞれの場合で、搬送方向における同じ端部位置を読む際も、若干の系統的なずれが生じる。そこで、CPU401は、搬送方向における第1反射部47Aの上流側と下流側の両端部の位置として、1601と1603を、第1反射部47Aの中心位置の算出に使用する。即ち、上流側と下流側の両端部位置として、光学式センサ25Aの位置が第1反射部47Aの範囲に入っていく際に検出された位置とすることで、第1反射部47Aの中心位置の算出精度を上げている。
【0040】
次にCPU401は、トレイ3を搬送することにより、光学式センサ25Aの搬送方向の位置を、上記のように算出した第1反射部47Aの中心まで移動させる。そして、CPU401は、キャリッジ31の走査により、光学式センサ25Aの主走査方向の位置を第1反射部47Aから所定量移動させる。そして
図9に示すように、CPU401は、キャリッジ31を往復動作させることで、前述した搬送方向の中心算出と同様に、第1反射部47Aの主走査方向の中心を算出する。以上の第1反射部検出S106の結果、CPU401は、第1反射部47Aの中心位置C1を取得する。
【0041】
次にCPU401は、上記のようなS106における第1反射部検出に成功したか判断する(S107)。S107では、S104と同様に、第1反射部47Aの端部が検出できない場合、もしくは第1反射部47Aの大きさが所定範囲外であったりした場合は、所定のトレイ3が引き込まれていないと判定される(S107でNo)。この場合、CPU401は、印刷エラー(S105)として印刷動作を中断し、トレイ3を排出する動作を行った後、ユーザにエラー通知を行う。
【0042】
第1反射部検出に成功したと判定されると(S107でYes)、続いて、
図9に示すように、第2反射部検出(S109)を行う。具体的には、CPU401は、光学式センサ25Aの主走査方向における位置が、第2反射部47Bが存在すると想定される位置になるよう、キャリッジ31を移動させる。そして、第1反射部検出(S107)と同様の制御によって、第2反射部47Bの中心位置C2を取得するための処理を行う。そして、CPU401は、S107と同様の処理により、第2反射部検出に成功したか判断する(S109)。第2反射部検出に成功しなかったと判定された場合(S109でNo)、CPU401は、印刷エラー(S105)として印刷動作を中断し、トレイ3を排出する動作を行った後、ユーザにエラー通知を行う。
【0043】
なお、CPU401は、S103における反射部発見動作に比べて、S106における第1反射部検出とS108における第2反射部検出では、トレイ3の搬送速度を落としている。これにより反射部の端部位置の検出精度を上げて、ひいては反射部の中心位置の算出精度を上げている。今回の例では例えば、反射部発見動作(S103)では、トレイ3の搬送速度が2.00ipsであり、第1反射部検出(S107)と第2反射部検出(S110)では0.67ipsである。
【0044】
S109においてYesと判定されると、
図10に示す処理が実行される。
図10は、トレイ3にセットされている印刷媒体の種類を判定する処理を示すフローチャートである。
【0045】
CPU401は、
図3に示した第3反射部47Cを検出するための第3反射部検出動作を行う(S201)。
図11は、第3反射部検出動作(S201)を説明するための、トレイ3の上面図である。第3反射部検出動作(S201)においてCPU401は、予めコントローラ400に格納された値をもとにトレイ3を搬送させることで、光学式センサ25Aの搬送方向の位置を第3反射部47Cの搬送方向の中心と想定される位置に移動させる。そしてCPU401は、キャリッジ31の駆動により、光学式センサ25Aを第3反射部47Cに対して主走査方向に所定距離移動させる。そのうえで、
図11に示すように、光学式センサ25Aを主走査方向の反対側に動かして、第3反射部47Cの検出を行う。ここでの検出方法は、前述の反射部発見動作(S103)と同様である。
【0046】
ここで
図11(a)に示すようにトレイ3に印刷媒体が設置されていない場合、光学式センサ25Aは、第3反射部47Cを検出できる。一方、
図11(b)、(c)に示すように、トレイ3に光ディスク51やネイルシールマウント53といった印刷媒体が設置されている場合は、第3反射部47Cが印刷媒体に隠れてしまうため、光学式センサ25Aは第3反射部47Cを検出することができない。CPU401は、S201の処理により第3反射部47Cが検出されたか否かを判定する(S202)。第3反射部47Cが検出できた場合には、CPU401は、トレイ3に印刷媒体11が積載されていないものとして、印刷エラー処理を行う(S203)。具体的には、CPU401は印刷動作を中止し、トレイ3を排出したのちに、ユーザに印刷媒体無しエラーを通知する。
【0047】
第3反射板47Cが検知されず、印刷媒体11がセットされていると判断されると、CPU401は、印刷する印刷媒体の種類を判定する(S204)。この印刷媒体の種類は、ユーザによる指定により決定される。例えば、印刷装置1における表示部、操作部により印刷対象の印刷媒体の種類が、
図5に示した処理が開始される前に指定されており、S204ではそれが参照される。或いは、
図5に示した処理が開始される前に、印刷装置1の表示部において印刷機能の選択画面が表示され、S204では、選択された印刷機能に応じた印刷媒体の種類を判定してもよい。或いは、
図5に示す印刷が、印刷装置1の外部装置から受信した印刷ジョブに応じて実行される場合、その印刷ジョブ内の印刷設定がS204で参照され、印刷設定に応じた印刷媒体の種類が判定されてもよい。また、本実施形態においては、S204において印刷対象の印刷媒体の種類が「光ディスク」「カード」「その他」のいずれであるか判定される。そして、CPU401は、判定された印刷媒体の種類に応じた印刷を実行する。ここでは、印刷媒体の種類が「カード」と判定された場合について説明する。
【0048】
<印刷媒体がカードの場合>
図12に示すフローチャートを用いて、カードへの印刷について説明する。
【0049】
ところで、
図4(d)に示したように、本実施形態では2枚のカード59A、59Bをカード台紙56上に積載している。前述したディスクの印刷範囲と略同一の範囲に一般的なサイズのカード(例えば、53.98mm×85.6mm)を配置する場合、カード2枚が上限であり、さらに2枚のカード59A、59B同士の間隔も狭くする必要がある。そのため、カード59A、59B同士の間隔が狭くなり、キャリッジ31の主走査方向における印刷ずれの許容量が、副走査方向(搬送方向)に比べて小さい。そこで、
図12を用いて説明する印刷動作では、主走査方向の印刷位置の決定方法として、副走査方向の印刷位置の決定方法よりも精度の高い方法を用いる。
【0050】
図12は、カード印刷における処理を示すフローチャートである。
【0051】
S501でCPU401は、カード有無検知を行い、副走査方向において印刷を開始する位置の算出(S502)を行う。さらにCPU401は、カード台紙の位置の確定(S503)を行い、カード台紙の位置を確定する。S501におけるカード有無検知に関して詳細は後述する。S502においてCPU401は、副走査方向の印刷位置を、第1反射部検出(S107)で取得した第1反射部47Aの中心位置C1、および、第2反射部検出(S110)で取得した第2反射部47Bの中心位置C2から決定する。それに対して、印刷ずれの許容量が相対的に小さい主走査方向については、S503においてCPU401が、センサがカード台紙56を直接検知した結果を用いて印刷位置を決定する。S503の処理の詳細については、後ほど詳細に説明する。
【0052】
次にCPU401は、カード台紙の位置の確定(S503)における結果に基づいて、受信された印刷データと確定されたカードの位置に基づいて印刷イメージを生成する(S504)。具体的には、印刷対象の画像がカードの位置で印刷されるよう、印刷イメージが生成される。印刷イメージ生成(S504)の処理に関しては、後ほど詳細に説明する。その後、CPU401は、S503で確定された位置に基づき設定した印刷位置にカード台紙が移動するよう、搬送モータ20を制御してトレイ3を搬送させる(S505)。そして、CPU401は、S504で確定された位置に基づいてキャリッジモータ15を制御することで、記録ヘッド12を主走査方向に移動させる。そして、CPU401は、ヘッドドライバ440に対する印刷制御により、記録ヘッド12に印刷を開始させる(S506)。印刷(S506)が終了すると、CPU401は搬送モータ20を制御してトレイを本体外部へと排出させて(S507)、処理を終了する。
【0053】
ここで、
図5のS501におけるカード有無検知動作について詳細に述べる。カード印刷を実行する場合、操作者がカード台紙56にカード59A、59Bの一方、または両方をセットする必要があるため、カード59A、59Bがセットされているか否かの検知をする必要がある。
【0054】
前述したように、
図4(c)は、まだカードがセットされていないカード台紙56がトレイ3にセットされた状態、
図4(d)はカード台紙56上にカード59A、59Bがセットされた状態を示している。カード台紙56には検出孔58A、58Bが備えられており、カード59A、59Bが積載されていない検出孔58A、58Bではトレイ3の表面が露出する。また、本実施形態では、トレイ3が黒色であり、カード59A、59Bが白色であるとする。
【0055】
図13は、カード有無検知の処理を示すフローチャートであり、
図14は、カード有無検知の動作を説明するための図である。まずCPU401は、前述した第1反射部検出(S106)で検出された第1反射部47Aおよび第2反射部検出(S108)で検出された第2反射部47Bの位置情報をもとに、キャリッジ31を移動させる(S510)。具体的には、光学式センサ25Aが主走査方向で検出孔58Bの検出位置となるようにキャリッジ31が移動される。さらにCPU401は、搬送モータ20を制御して、トレイ3を副走査方向(搬送方向)に移動させ、検出孔58Bを光学式センサ25Aの直下に配置させる(S511)。そして、CPU401は、光学式センサ25Aにより検知された受光量により、カード59A、59Bの有無を検知する。(S512)。具体的には、白色であるカード59A、59Bがセットされた状態では、カードからの反射光が受光されるため、光学式センサ25Aにより検知される受光量が多くなる。一方、カード59A、59Bがセットされていない時は黒色であるトレイ3からの受光量は、カードがセットされている場合に比べて少なくなる。そのため、光学式センサ25により検知された受光量の大小により、セット部57Bにカード59A、59Bが積載されているか否かの判別をすることができる。例えば、受光量が所定の閾値より多い場合、カード59A、59Bがセットされていると判定される。
【0056】
次に、もう一方の検出孔58Aの検出位置に光学式センサ25Aが配置されるように、キャリッジ31を移動させる。(S513)そして、CPU401は、S512と同様にセット部57Aにカード59Aがセットされているか否かを検知する。(S514)
その後、CPU401は、セット部57A,57Bの少なくとも一方にカードがセットされているか判定する(S515)。印刷位置にセット部57A,57Bの少なくとも一方にカードがセットされている場合に、処理が次工程に移行する(S516)。一方、セット部57A,57Bのいずれにもカードがセットされていない場合には、カードなしエラーとして動作を中断し、トレイを排出する動作を行った後、ユーザに通知を行う。(S517)
ここで、カード59A、59Bを白色、トレイ3を黒色としたが、これに限定されるのではく、カード59A、59Bの有無で光学センサAの反射光量が変化する他の組み合わせでもよい。
【0057】
次に、
図5のS502におけるカード台紙位置の確定動作について詳細に述べる。カード有無検知(S501)で印刷位置にカード59A、59Bの少なくとも一方がセットされていると判定されると、処理がカード台紙位置の確定動作に移行する。
【0058】
図15は、本実施形態におけるカード台紙の位置の確定動作を示すフローチャートである。
図16は、本実施形態におけるカード台紙の位置の確定動作を説明するための図である。前述したように、カード台紙の位置の確定動作は、カード台紙56の主走査方向の位置を確定させる動作である。
【0059】
まずCPU401は、光学式センサ25Aの位置が、カード台紙56から主走査方向に所定量離れた開始位置ST(
図16に示す)となるように、キャリッジ31を主走査方向に移動させる(S601)。なお、以降
図16に示す2次元空間における座標について説明するが、ここでは開始位置STを原点とする。次にCPU401は、光学式センサ25Aの副走査方向における位置が
図16に示す端部位置X3と想定される位置になるように、搬送モータ20を制御することでトレイ3を副走査方向に搬送させる(S602)。そしてCPU401は、光学式センサ25Aを点灯させる(S603)。さらにCPU401は、キャリッジ31を主走査方向(
図16では左側)に、端部位置X3を検出するための距離だけ移動させ、検出終了位置で移動を終了する(S604)。検出終了位置はカード台紙56の端部から主走査方向に離れていて、且つ、次の動作の開始位置に設定するのが好ましい。そして、CPU401は、検出終了位置に到達したら光学式センサ25Aを消灯する(S605)。このとき、白色であるカード台紙56は、黒色であるトレイ3より光学式センサ25Aの受光量が多い。そのため、CPU401は、光学式センサ25Aが検知した受光量の大小により、カード台紙56のX方向の端部位置X3を検出することができる。
【0060】
次にCPU401は、カード台紙56の端部位置X3が検出されたか判断を行い(S606)、未検出の場合は端部位置X3が正確に検出できていないとして、第1反射部中心位置C1と第2反射部中心位置C2を基に記録開始位置を決定する(S607)。そして、CPU401は、カード台紙位置の確定動作を終了する(S608)。一方、端部位置X3が検出された場合は、CPU401は、端部位置X3をRAM405に記憶させる(S609)。次に、CPU401は、検出された端部位置X3と理想位置との差が閾値以上か判定を行う(S610)。この端部位置X3の理想位置は、CPU401が、第1反射部47Aの中心位置C1のX方向座標X1から、理想距離AD(
図16においては右方向に)離れた位置とする。なお、理想距離ADは、トレイ3やカード台紙56の製造時に定められており、これらの距離がROM403等に予め記憶されており、CPU401がそれを参照するものとする。光学式センサ25Aにより検出された端部位置X3と、端部位置X3の理想位置との差が閾値以上の場合は、S607に処理が進む。ここでCPU401は、端部位置X3が正確に検出できていないとして、第1反射部中心位置C1と第2反射部中心位置C2を基に記録開始位置を決定する(S607)。そしてCPU401は、カード台紙位置確定動作を終了する(S608)。
【0061】
一方、光学式センサ25Aにより検出された端部位置X3と、端部位置X3の理想位置との差が閾値未満の場合は、S611に処理が進む。ここでCPU401は、端部位置X3が正確に検出できているとして、第1反射部47Aの中心位置C1と、第2反射部47Bの中心位置C2と、光学式センサ25Aにより検出された端部位置X3とを基に、記録開始位置を決定する(S611)。具体的には、記録開始位置の変更量Hは、カード台紙56のX方向のずれ量Zと、トレイ3の搬送時の斜行による傾きずれ量Kから算出される。カード台紙56のずれ量Zは、端部位置X3の理想位置のX座標と、光学式センサ25Aにより検出された端部位置X3のX座標の差分により求まる。端部位置X3の理想位置は、第1反射部47Aの中心位置C1のX方向座標X1から、
図16に示す理想距離ADだけ(
図16においては右方向に)離れた点である。即ち、光学式センサ25Aにより検出されたX3のZ座標をX3とした場合、ずれ量Z=X3-(X1-AD)から算出される。
【0062】
一方、トレイ3の傾きに対応する値である傾きずれ量Kは、次のように求められる。傾きずれ量K=距離AC×(Y2-Y1)/距離AB。距離ACは、カード59A、59BのY方向の中心位置と、端部位置X3の理想位置との距離である。カード59A、59BのY方向の中心位置は、予め定められた理想位置であり、即ち、距離ACは理想距離としての固定の距離である。距離ABも同様に、中心位置C1と中心位置C2の間の理想距離である。従って、傾きずれ量Kは、基準となる固定の傾きとしての距離AB/距離ACに対する、検出された中心位置C1と中心位置C2のY方向の距離(Y2-Y1)の積で求められる。トレイ3の傾きがない場合、Y1=Y2となり、傾きずれ量Kは0となる。
【0063】
CPU401は、カード台紙56のX方向のずれ量Zと、トレイ3の搬送時の斜行による傾きずれ量Kから、記録開始位置を決定する。本実施形態によれば、印刷装置1は、カード59Aに対して印刷される画像、カード59Bに対して印刷される画像の両方を含むデータを受信し、そのデータを印刷する。そして、例えば印刷装置1が、そのデータを、
図16におけるカード台紙56の右下端に対応する位置から、左上方向に向かって印刷するとする。このとき、記録開始位置の基準位置として、カード台紙56の右下端付近の位置が定められている。S611では、カード台紙56のX方向のずれ量Z、トレイ3の搬送時の斜行による傾きずれ量Kに応じて、その基準位置が補正される。
【0064】
S611において記録開始位置が決定されると、CPU401は、カード台紙の位置の確定動作を終了する(S612)。
【0065】
上述の処理により、
図12のS503(カード台紙の位置の確定)が終了する。CPU401は次に、印刷イメージの生成を行う(S504)。印刷イメージの生成は、カード台紙に設置されているカードに印刷すべき印刷イメージを受信データから生成する動作である。
【0066】
図17に、本実施形態における印刷イメージ生成S504のフローチャートを示す。
図18に、カード配置の一例を示す。
図18(a)は、左側にのみカード59Aが置かれた配置図を示し、
図18(b)は右側にのみカード59Bが置かれた配置図を示したものである。カード59A、59Bが両方置かれた配置図に関しては
図4(d)に示したため省略する。仮に、受信データが一枚のカードのみに対して画像を印刷するためのデータであり、且つ、セット部57A、57Bのうち該画像が印刷されるセット部とは異なるセット部のみにカードがセットされているとする。この場合、カードがセットされていないセット部に対してのみ印刷が行われてしまうことになる。そこで本実施形態では、上記の場合に、印刷対象のデータを回転することで、カードがセットされているセット部に対して印刷されるような印刷イメージを生成する。
【0067】
なお、本実施形態では、印刷装置1が有線通信または無線通信によりPCやスマートフォン等の外部装置から受信した印刷ジョブに、2枚のカードに対応する2つの領域を包含する印刷データが含まれているものとする。具外的には、印刷データにおいて、セット部57A、57Bに相当する2つの領域が左右対称に配置され、外部装置はその2つの領域のそれぞれに(もしくは一方に)、印刷対象の画像を含ませることが可能である。本実施形態では、この印刷データが、印刷データの中心点を中心に回転される。このとき、180度の回転により、印刷データの左右の領域(セット部57A、57Bに対応する領域)が、逆側の領域と一致するように、外部装置は印刷データを作成している。
【0068】
なお、印刷データの取得方法は印刷ジョブの受信に限らず、他の取得方法でもよい。例えば印刷装置1に対するユーザの操作により、印刷装置1の内部メモリまたは印刷装置1に装着されたメモリカード等のメモリから画像が読み出され、上述の印刷データが作成されてもよい。この場合にも、印刷データにおいて、上述の画像の回転(また後述する画像の移動)が実行される。また、以降の説明においてカード台紙56上のセット部について「右側」、「左側」と説明するが、
図18に示す左右方向に対応するものとする。さらに、印刷データ内における画像の位置についても「右」、「左」と表現するが、それぞれ「右側のセット部に対して印刷される位置」、「左側のセット部に対して印刷される位置」に対応するものとする。
【0069】
図19は、データの回転による印刷イメージの生成を説明するための図である。
図19(a)は、右側のみに印刷対象の画像が存在する印刷データを示す。なお、
図19(a)における矩形は印刷データである。この印刷データは、カード台紙56において、カードがセットされ得る2つのセット部を包含する領域に対する印刷データである。ただし、白色の領域は、非印刷であることを示し、実際には白色の領域には印刷が行われない。
【0070】
図19(a)は、カード台紙56の右側のセット部57Bに対して印刷される画像のみが印刷データに含まれる。そのため、仮にユーザがカードのセット位置を誤り、セット部57Aのみにカードがセットされている場合、該カードには印刷されず、且つカードがセットされていないセット部57Bに印刷が実行される。そのため、本実施形態ではこのような場合に、
図19(b)に示すように印刷データが回転される。本実施形態では、印刷データの中心点Pを中心に、反時計回りに180度回転され、その印刷データを基に、印刷対象の印刷イメージが生成される。これにより、カードがセットされている左側のセット部57Aに対して印刷が行われることになる。
【0071】
一方、
図19(c)は、左側のみに印刷対象の画像がある印刷データを示す。このとき、上述の例とは逆に、カード台紙56における右側のセット部57Bにのみ、カードがセットされているとする。この場合、本実施形態によれば、
図19(d)に示すように、印刷データの中心点Pを中心に反時計回りに180度回転される。
【0072】
図19において説明した処理について、
図17のフローチャートを用いて詳細に説明する。CPU401は、S501におけるカード有無検知の結果に基づき、セット部57A(左側)、57B(右側)のそれぞれについて、カードの有無を判定する(S701)。カードが左右両方のセット部にセットされている場合には、印刷データの左右のどちらに(または両方に)画像が含まれていたとしても、画像がカードに印刷される。そのため、S701で左右両方にカードがあると判定されると、CPU401は、受信した印刷データをそのまま印刷イメージとし(S703)、処理を終了する(S717)。
【0073】
また、S701において、
図18(a)に示すように、カードが左側のセット部にのみあると判定された場合には、受信した印刷データ内における座標データから、印刷データのどこに画像が含まれているか判断する(S705)。印刷データの左右両方に画像があると判定された場合、右側のセット部においてはカードが無いにもかかわらず画像が印刷されるため、CPU401は、印刷を行わず「カードなしエラー」として処理を終了する(S718)。カードなしエラーの場合、例えば印刷装置1の表示部にカードが無い旨のメッセージが表示される。このとき、カードがセットされているセット部、もしくはカードがセットされていないセット部が、該メッセージとともに表示されてもよい。
【0074】
S705において、印刷データにおいて左のみに画像があると判定された場合、印刷データと、カードのセット状況が整合するため、CPU401は、受信した印刷データを印刷イメージとして(S707)、処理を終了する(S717)。また、印刷データが
図19(a)に示すように右側のみ画像を含むと判定された場合には、CPU401は、印刷データに
図19(b)のように回転処理を行い、印刷イメージとし(S709)、処理を終了する(S717)。
【0075】
S701において、
図18(b)のようにカードが右側のみセットされていると判定された場合には、CPU401は、S705と同様に、印刷データのどこに画像があるか判定する(S711)。印刷データの左右両方に画像があると判定された場合、CPU401はS718と同様に、印刷を行わず「カードなしエラー」として処理を終了する(S719)。S711において、印刷データにおいて右のみに画像があると判定された場合、CPU401はS707と同様に、受信した印刷データを印刷イメージとして(S715)、処理を終了する(S717)。また、印刷データが
図19(c)に示すように左側のみに画像を含むと判定された場合には、CPU401は、印刷データに
図19(d)のように回転処理を行い、印刷イメージとし(S713)、処理を終了する(S717)。
【0076】
上述のように、
図12のS504における印刷イメージの生成が終了する。なお、上述したように求められたトレイ3の搬送時の斜行による傾きずれ量Kに応じて、S504において生成された印刷イメージの向きが、その斜行に合うように補正されてもよい。つまり、印刷イメージが、傾きずれ量Kに応じて(即ち、カード59A、59Bの傾きに応じて)回転されてもよい。
【0077】
次にCPU401は、トレイ3を記録開始位置まで搬送し(S505)、設定した記録開始位置で、S504において生成された印刷イメージの印刷を行い(S506)、トレイ3を本体外部へ排出し(S507)、印刷動作終了となる。
【0078】
図19に示した印刷イメージにおける白色の領域には印刷が行われない。そのため、
図17に示した処理によれば、ユーザが1枚のカードのみに印刷を実行させたい場合に、カードを誤ったセット部にセットしたとしても、上記の回転処理により、該カードに印刷を実行することができる。この場合、ユーザによるカードの置き直しや、ユーザによる印刷データの再作成が必要でないため、トレイに対してユーザが誤って印刷媒体をセットした場合に、適切な印刷のための操作を簡易にすることができる。
【0079】
なお、本実施形態では、カード長手方向が副走査方向になるようにカードを配置する例を示したが、これに限定されるのではなく、カード長手方向が主走査方向になるようにカードを配置しても良い。この時は、主走査方向の印刷位置がトレイの第1反射板、第2反射板の位置から算出され、副走査方向の印刷位置がカード台紙のエッジから直接検知される。
【0080】
また、記録媒体はカードに限らず、ネイルシール54のように複数の印刷箇所があるような場合では、各々のシールが設置されているか検知し、該当領域にネイルシールがない箇所については印刷イメージから画像が削除されてもよい。また、カード59やネイルシール54などの印刷対象物の検知に本実施形態では反射型の光学センサAを用いたが、これに限らず、カラーイメージセンサを用いて特徴点を抽出するような構成としてもよい。
【0081】
トレイ3の搬送方法に関しても、本実施形態では搬送方向の下流側でトレイ3がセットされ、上流側に搬送した後に印刷が実行される方法を示した。しかしこれに限らず、第1搬送ローラ13よりも上流にトレイ3がセットされ、下流方向に搬送されるような構成としてもかまわない。
【0082】
以上、説明したように、記録媒体がセットされている位置情報(メディアの配置状態)と印刷データにおける画像の位置を鑑みて印刷イメージが生成される。これにより、印刷対象の画像が印刷される箇所にメディアが設置されていない場合でも、プリンタ本体の判断により、適切な印刷が可能である。そして、ユーザの意図しない位置に画像が印刷されることを防止することができる。また、改めて印刷動作を行う必要がないためユーザの利便性が向上する。
【0083】
[実施形態2]
実施形態1では、印刷データに対する編集方法として、カード台紙に置かれているカードの位置情報に基づいて印刷データを回転することによって、カードの載置状態に応じた印刷イメージが生成された。本実施形態では、印刷データに対する別の編集方法として、該回転の代わりに、印刷データにおける画像の移動について説明する。以下、実施形態1の重複部分については省略する。
【0084】
図20は、印刷イメージ生成S504の別の例を示すフローチャートである。
図17と共通の処理については同一のステップ番号が付され、その説明を省略する。
【0085】
図17におけるS709、S713の処理の代わりに、S801、S802の処理が実行される。
図21は、本実施形態における画像の平行移動について説明するための図である。
【0086】
S801の処理が実行されるとき、カードが左のセット部57Aのみにセットされている(S701で「左のみカードあり」)。また
図21(a)に示すように、印刷データにおいて右側に画像が含まれている(S705で「右のみ画像あり」)。そこでS801においてCPU401は
図21(b)に示すように、印刷データにおいて、右側に含まれている画像を左側のセット部57Aに相当する位置に平行移動させる。
【0087】
S802の処理が実行されるとき、カードが右のセット部57Bのみにセットされている(S701で「右のみカードあり」)。また
図21(c)に示すように、印刷データにおいて右側に画像が含まれている(S711で「左のみ画像あり」)。そこでS802においてCPU401は
図12(d)に示すように、印刷データにおいて、左側に含まれている画像を、右側のセット部57Bに相当する位置に平行移動させる。
【0088】
図20、
図21を用いて説明した処理によっても、記録媒体がセットされている位置情報(メディアの配置状態)と印刷データにおける画像の位置を鑑みて印刷イメージが生成される。これにより、印刷対象の画像が印刷される箇所にメディアが設置されていない場合でも、プリンタ本体の判断により、適切な印刷が可能である。そして、ユーザの意図しない位置に画像が印刷されることを防止することができる。また、改めて印刷動作を行う必要がないためユーザの利便性が向上する。
【0089】
またメディアの形状が、
図18における上下で対称の形状でない場合、
図19に示した回転処理により印刷結果が異なるが、
図21に示した平行移動であれば同様の印刷結果を得ることができる。また、2つのセット部それぞれと印刷データの中心点の距離が異なる場合、
図19に示した回転処理によれば、カードにおける画像の印刷位置が回転の有無により異なることなる。一方、
図21に示した処理によれば、セット部の位置に応じて画像を平行移動することができる。さらに、メディアのセット部が3つ以上の場合でも、画像を並行移動することにより容易に適切な印刷を実現することができる。
【0090】
一方、実施形態2では、CPU401は、印刷データにおける画像の部分を特定し、その位置を調整するのに対し、実施形態1では、画像の部分を特定しなくても印刷データ全体の回転により適切な印刷を実現できる。そのため、実施形態1の回転処理と実施形態2の平行移動処理を、メディアの形状や種類、装置の処理能力等に応じて適宜選択してもよい。
【0091】
[実施形態3]
実施形態1、実施形態2では、一方のセット部のみカードがセットされているにもかかわらず、印刷データにおいて左右両方に画像が含まれている場合、カードなしエラーとしていた(
図17、
図20のS718、S719)。実施形態3では、このような場合に、カードがセットされているセット部に対してのみ印刷を行うための処理について説明する。具体的には、カードがセットされていないセット部に対応する画像を、印刷対象から除外するための処理について説明する。
【0092】
図22は、印刷イメージ生成S504の別の例を示すフローチャートである。
図23は、画像を印刷対象から除外する処理を説明するための図である。
図23(a)は、左右の両方に画像が含まれている印刷データを示す。このとき、左側のセット部57Aのみにカードがセットされていた場合には、
図23(b)に示すように、セット部57Aに対応する領域59´以外(グレーで示す領域)に対して、画像の間引き処理または削除処理を行う。ここでの間引き処理とは、領域59´以外(グレーで示す領域)において、印刷対象の画像(
図23の「ABC」)を特定し、その画像を非印刷のデータ(例えば白色)に変換する処理である。なお、
図23(a)においてもともと白色であった部分は、はじめから非印刷領域である。また、削除処理とは、領域59´以外(グレーで示す領域)のすべてに対して、非印刷のデータ(例えば白色)への変換を実行する処理である。
【0093】
一方、右側のセット部57Bのみにカードがセットされていた場合には、
図23(c)に示すように、領域59B´以外(グレーの領域)に対して間引き処理または削除処理が実行される。
【0094】
図22は、印刷イメージ生成S504の別の例を示すフローチャートである。
図17と共通の処理については同一のステップ番号が付され、その説明を省略する。
【0095】
左側のセット部57Aのみにカードがセットされ、印刷データの左右両方に印刷対象の画像が含まれる場合、CPU401は、
図23(b)に示したような間引き処理または削除処理を実行する(S901)。一方、右側のセット部57Bのみにカードがセットされ、印刷データの左右両方に印刷対象の画像が含まれる場合、CPU401は、
図23(c)に示したような間引き処理または削除処理を実行する(S902)。
【0096】
なお、
図22のS709、S713における回転処理の代わりに、
図20で説明したS801、S802における平行移動処理が実行されてもよい。
【0097】
上述のように、本実施形態によれば、一方のセット部のみカードがセットされているにもかかわらず、印刷データにおいて左右両方に画像が含まれている場合でも、カードがセットされているセット部に対してのみ印刷を行うことができる。
【0098】
また、上述の印刷データは、ビットマップデータ、JPEGデータ等の画像データであってもよいし、画像やテキスト等の要素と、要素のレイアウトを示すレイアウトデータとを含む印刷データであってもよい。レイアウトデータは、例えばHTML等の言語で記述されたデータである。この場合、例えばレイアウトデータで示されている領域に配置される要素に対して上述の平行移動が実行される。或いは、レイアウトデータに対応するページ全体に対して上述の回転処理が実行される。
【0099】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態の機能は以下の構成によっても実現することができる。つまり、本実施形態の処理を行うためのプログラムコードをシステムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)がプログラムコードを実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することとなり、またそのプログラムコードを記憶した記憶媒体も本実施形態の機能を実現することになる。
【0100】
また、本実施形態の機能を実現するためのプログラムコードを、1つのコンピュータ(CPU、MPU)で実行する場合であってもよいし、複数のコンピュータが協働することによって実行する場合であってもよい。さらに、プログラムコードをコンピュータが実行する場合であってもよいし、プログラムコードの機能を実現するための回路等のハードウェアを設けてもよい。またはプログラムコードの一部をハードウェアで実現し、残りの部分をコンピュータが実行する場合であってもよい。