(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】記録装置、制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240112BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B41J2/175 301
B41J2/01 401
B41J2/175 121
B41J2/175 167
B41J2/175 305
B41J2/175 501
(21)【出願番号】P 2019140186
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2018148581
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】田辺 雅貴
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-209945(JP,A)
【文献】特開2015-212055(JP,A)
【文献】特開2004-074694(JP,A)
【文献】特開2016-107567(JP,A)
【文献】特開2005-081596(JP,A)
【文献】国際公開第2015/114814(WO,A1)
【文献】特開2010-069807(JP,A)
【文献】特開2014-159106(JP,A)
【文献】特開2019-064123(JP,A)
【文献】特開2019-116082(JP,A)
【文献】特開2019-59200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録手段と、
前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、
前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、
前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、
前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が前記情報を取得したことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させることが可能な表示制御手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記移動動作において、前記第2貯留部に貯留された全量の記録材を前記第1貯留部に移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記移動手段の駆動を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された量が所定の閾値よりも少ない場合に、前記移動動作を開始するように前記移動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記移動手段による移動動作が行われた後、且つ、前記取得手段が前記情報を取得していない場合、前記表示制御手段は、前記検出手段により検出された量を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第2貯留部に貯留された記録材の量を検出する手段を備えていないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記取得手段は、ユーザからの入力を受け付けることにより前記情報を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記第2貯留部に設けられた識別子の情報を取得することにより前記情報を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記移動動作が行われている間は、前記表示手段に表示させる量を一定に保つことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記移動手段による移動動作が行われた後に、前記第2貯留部の交換を促す情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記移動動作において、前記所定の量の増加が所定の時間が経過した後に前記検出手段によって検出されない場合、前記表示制御手段は、前記移動動作が正しく行われていないことを示す情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
記録手段と、
前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、
前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、
前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、
前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が前記情報を取得したことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させることが可能な表示制御手段と、
を備え、
前記移動手段による移動動作が行われた後、且つ、前記取得手段が前記情報を取得していない場合、前記表示制御手段は、前記検出手段により検出された量を前記表示手段に表示させることを特徴とする記録装置。
【請求項11】
記録手段と、
前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、
前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、
前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、
前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が前記情報を取得したことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させることが可能な表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記移動動作が行われている間は、前記表示手段に表示させる量を一定に保つことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
記録手段と、
前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、
前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、
前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、
前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が前記情報を取得したことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させることが可能な表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記移動手段による移動動作が行われた後に、前記第2貯留部の交換を促す情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする記録装置。
【請求項13】
記録手段と、
前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、
前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、
前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、
前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が前記情報を取得したことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させることが可能な表示制御手段と、
を備え、
前記移動動作において、前記所定の量の増加が所定の時間が経過した後に前記検出手段によって検出されない場合、前記表示制御手段は、前記移動動作が正しく行われていないことを示す情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする記録装置。
【請求項14】
記録手段と、前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、を備える記録装置のための制御方法であって、
前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する工程と、
前記情報が取得されたことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させる工程と、
前記移動動作が行われている間、前記表示手段に表示させる量を一定に保つ工程と、
を含む制御方法。
【請求項15】
記録手段と、前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、を備える記録装置のための制御方法であって、
前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する工程と、
前記情報が取得されたことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させる工程と、
前記移動手段による移動動作が行われた後に、前記第2貯留部の交換を促す情報を前記表示手段に表示させる工程と、
を含む制御方法。
【請求項16】
記録手段と、前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、を備える記録装置のための制御方法であって、
前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する工程と、
前記情報が取得されたことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させる工程と、
前記移動動作において、前記所定の量の増加が所定の時間が経過した後に前記検出手段によって検出されない場合、前記移動動作が正しく行われていないことを示す情報を前記表示手段に表示させる工程と、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを貯留する貯留部を備える記録装置と、記録装置のための制御装置、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを蓄積するタンク機構を複数備える記録装置において、インク残量の管理を適切に行うことが求められている。特許文献1には、インクカートリッジからインクを吐出するヘッド部にインクを供給する構成の記録装置において、インクカートリッジのインク残量を明示したイラストレーションと、ヘッド部に設けられたインク蓄積タンクのインク残量を明示したイラストレーションとの両方を表示することが記載されている。この特許文献1に記載の方法では、インクカートリッジとヘッド部のインク蓄積タンクのそれぞれにインク残量検知機構が設けられているため、ユーザは、複数のインク蓄積タンクのそれぞれのインク残量を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インク蓄積タンクのような貯留部に残量検知機構を設けることができない場合には、特許文献1に記載の方法を適用することが難しい。例えば、交換用インクタンクとして、バッグインボックスのような残量を検知する機構が設けられていない容器が用いられる場合には、特許文献1に記載の方法のように全ての貯留部内の残量を直接検知することはできない。本発明は、貯留する量を検知する機構が設けられていない場合のように、装置全体において貯留される量の管理が難しい場合においても、使用者の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、記録手段と、前記記録手段に供給される記録材を貯留する第1貯留部と、前記第1貯留部に貯留された記録材の量を検出するための検出手段と、前記第1貯留部に供給される記録材を貯留する第2貯留部を着脱自在に装着するための装着部と、前記第2貯留部に貯留された記録材を前記第1貯留部に移動させる移動動作を行う移動手段と、前記装着部に前記第2貯留部が装着されていない状態から、前記装着部に前記第2貯留部が装着された状態に変わったことを示す情報を取得する取得手段と、前記取得手段が前記情報を取得したことに応じて、前記検出手段により検出された量と、前記第2貯留部に貯留される記録材の量に対応する所定の量と、を加算した量を表示手段に表示させることが可能な表示制御手段と、を備え、前記移動手段は、前記移動動作において、前記第2貯留部に貯留された全量の記録材を前記第1貯留部に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、貯留部が貯留する記録材の量を検知する機構が設けられていない場合のように、装置全体の貯留量の管理が難しい場合においても、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
【0009】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。各図において、矢印XおよびYは水平方向を示し、互いに直交する。矢印Zは上下方向を示す。
【0010】
<記録システム>
図1は本発明の一実施形態に係る記録システム1を概略的に示した正面図である。記録システム1は、転写体2を介して記録媒体Pにインク像を転写することで記録物P’を製造する、枚葉式のインクジェットプリンタである。記録システム1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、記録システム1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
【0011】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
【0012】
本実施形態では、記録材としてインクを用いる。インクの成分については、特に限定はないが、本実施形態では、色材である顔料、水、樹脂を含む水性顔料インクを用いる場合を想定する。
【0013】
<記録装置>
記録装置1Aは、記録ユニット3、転写ユニット4および周辺ユニット5A~5D、および、供給ユニット6を含む。
【0014】
<記録ユニット>
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、キャリッジ31とを含む。
図1と
図2を参照する。
図2は記録ユニット3の斜視図である。記録ヘッド30は、転写体2に液体インクを吐出し、転写体2上に記録画像のインク像を形成する。
【0015】
本実施形態の場合、各記録ヘッド30は、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。記録ヘッド30は、その下面に、ノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は、微小隙間(例えば数mm)を介して転写体2の表面と対向している。本実施形態の場合、転写体2は円軌道上を循環的に移動する構成であるため、複数の記録ヘッド30は、放射状に配置されている。
【0016】
各ノズルには吐出素子が設けられている。吐出素子は、例えば、ノズル内に圧力を発生させてノズル内のインクを吐出させる素子であり、公知のインクジェットプリンタのインクジェットヘッドの技術が適用可能である。吐出素子としては、例えば電気-熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する素子、電気-機械変換体によってインクを吐出する素子、静電気を利用してインクを吐出する素子等が挙げられる。高速で高密度の記録の観点からは電気-熱変換体を利用した吐出素子を用いることができる。
【0017】
本実施形態の場合、記録ヘッド30は、9つ設けられている。各記録ヘッド30は、互いに異なる種類のインクを吐出する。異なる種類のインクとは、例えば、色材が異なるインクであり、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク等のインクである。1つの記録ヘッド30は1種類のインクを吐出するが、1つの記録ヘッド30が複数種類のインクを吐出する構成であってもよい。このように複数の記録ヘッド30を設けた場合、そのうちの一部が色材を含まないインク(例えばクリアインク)を吐出してもよい。本実施形態で用いる9種類のインクは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、淡シアン(PC)、淡マゼンタ(PM)、グレイ(GY)、反応液(T)、光沢性向上液(G)である。
【0018】
キャリッジ31は、複数の記録ヘッド30を支持する。各記録ヘッド30は、インク吐出面側の端部がキャリッジ31に固定されている。これにより、インク吐出面と転写体2との表面の隙間をより精密に維持することができる。キャリッジ31は、案内部材RLの案内によって、記録ヘッド30を搭載しつつ変位可能に構成されている。本実施形態の場合、案内部材RLは、Y方向に延設されたレール部材であり、X方向に離間して一対設けられている。キャリッジ31のX方向の各側部にはスライド部32が設けられている。スライド部32は案内部材RLと係合し、案内部材RLに沿ってY方向にスライドする。
【0019】
<転写ユニット>
図1を参照して転写ユニット4について説明する。転写ユニット4は、転写胴41と圧胴42とを含む。これらの胴は、Y方向に延びるそれぞれの回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。
図1において、転写胴41および圧胴42の各図形内に示した矢印は、これらの回転方向を示しており、転写胴41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。
【0020】
転写胴41は、その外周面に転写体2を支持する支持体である。転写体2は、転写胴41の外周面上に、周方向に連続的にあるいは間欠的に設けられる。連続的に設けられる場合、転写体2は無端の帯状に形成される。間欠的に設けられる場合、転写体2は、有端の帯状に複数のセグメントに分けて形成され、各セグメントは転写胴41の外周面に等ピッチで円弧状に配置することができる。
【0021】
転写胴41の回転により、転写体2は円軌道上を循環的に移動する。転写胴41の回転位相により、転写体2の位置は、吐出前処理領域R1、吐出領域R2、吐出後処理領域R3およびR4、転写領域R5、転写後処理領域R6に区別することができる。転写体2はこれらの領域を循環的に通過する。
【0022】
吐出前処理領域R1は、記録ユニット3によるインクの吐出前に転写体2に対する前処理を行う領域であり、周辺ユニット5Aによる処理が行われる領域である。本実施形態の場合、反応液が付与される。吐出領域R2は記録ユニット3が転写体2にインクを吐出してインク像を形成する領域である。吐出後処理領域R3およびR4はインクの吐出後にインク像に対する処理を行う処理領域であり、吐出後処理領域R3は周辺ユニット5Bによる処理が行われる領域であり、吐出後処理領域R4は周辺ユニット5Cによる処理が行われる領域である。転写領域R5は転写ユニット4により転写体2上のインク像が記録媒体Pに転写される領域である。転写後処理領域R6は、転写後に転写体2に対する後処理を行う領域であり、周辺ユニット5Dによる処理が行われる領域である。
【0023】
本実施形態の場合、吐出領域R2は、一定の区間を有する領域である。他の領域R1、R3~R6は、吐出領域R2に比べるとその区間は狭い。時計の文字盤に喩えると、本実施形態の場合、吐出前処理領域R1は概ね10時の位置であり、吐出領域R2は概ね11時から1時の範囲であり、吐出後処理領域R3は概ね2時の位置であり、吐出後処理領域R4は概ね4時の位置である。転写領域R5は概ね6時の位置であり、転写後処理領域R6は概ね8時の領域である。
【0024】
転写体2は、単層から構成してもよいが、複数層の積層体としてもよい。複数層で構成する場合、例えば、表面層、弾性層、圧縮層の三層を含んでもよい。表面層はインク像が形成される画像形成面を有する最外層である。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速記録時においても転写性を維持することができる。弾性層は表面層と圧縮層との間の層である。
【0025】
表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。表面層には、反応液の濡れ性、画像の転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
【0026】
圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。このようなゴム材料の成形時には、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し、多孔質のゴム材料としてもよい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがあるが、いずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
【0027】
弾性層の材料としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料を用いることができる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。また、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で有利である。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも有利である。
【0028】
表面層と弾性層の間、弾性層と圧縮層の間には、これらを固定するために各種接着剤や両面テープを用いることもできる。また、転写体2は、転写胴41に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を含んでもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体2は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
【0029】
圧胴42は、その外周面が転写体2に圧接される。圧胴42の外周面には、記録媒体Pの先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。グリップ機構は圧胴42の周方向に離間して複数設けてもよい。記録媒体Pは圧胴42の外周面に密接して搬送されつつ、圧胴42と転写体2とのニップ部を通過するときに、転写体2上のインク像が転写される。
【0030】
<周辺ユニット>
周辺ユニット5A~5Dは転写胴2の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A~5Dは、順に、付与ユニット、吸収ユニット、加熱ユニット、清掃ユニットである。
【0031】
付与ユニット5Aは、記録ユニット3によるインクの吐出前に、転写体2上に反応液を付与する機構である。反応液は、インクを高粘度化する成分を含有する液体である。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している色材や樹脂等がインクを高粘度化する成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインクの粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂等のインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合も含まれる。
【0032】
インクを高粘度化する成分は、金属イオン、高分子凝集剤など、特に制限はないが、インクのpH変化を引き起こして、インク中の色材を凝集させる物質を用いることができ、有機酸を用いることができる。反応液の付与機構としては、例えば、ローラ、記録ヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。転写体2に対するインクの吐出前に反応液を転写体2に付与しておくと、転写体2に達したインクを直ちに定着させることができる。これにより、隣接するインク同士が混ざり合うブリーディングを抑制することができる。
【0033】
吸収ユニット5Bは、転写前に、転写体2上のインク像から液体成分を吸収する機構である。インク像の液体成分を減少させることで、記録媒体Pに記録される画像のにじみ等を抑制することができる。液体成分の減少を異なる視点で説明すれば、転写体2上のインク像を構成するインクを濃縮すると表現することもできる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
【0034】
吸収ユニット5Bは、例えば、インク像に接触してインク像の液体成分の量を減少させる液吸収部材を含む。液吸収部材はローラの外周面に形成されてもよいし、液吸収部材が無端のシート状に形成され、循環的に走行されるものでもよい。インク像の保護の点で、液吸収部材の移動速度を転写体2の周速度と同じにして液吸収部材を転写体2と同期して移動させてもよい。
【0035】
液吸収部材は、インク像に接触する多孔質体を含んでもよい。液吸収部材へのインク固形分付着を抑制するため、インク像に接触する面の多孔質体の孔径は、10μm以下であってもよい。ここで、孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。なお、液体成分は、一定の形を有さず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
【0036】
加熱ユニット5Cは、転写前に、転写体2上のインク像を加熱する機構である。インク像を加熱することで、インク像中の樹脂が溶融し、記録媒体Pへの転写性を向上する。加熱温度は、樹脂の最低造膜温度(MFT)以上とすることができる。MFTは一般的に知られている手法、例えばJIS K 6828-2:2003や、ISO2115:1996に準拠した各装置で測定することが可能である。転写性及び画像の堅牢性の観点から、MFTよりも10℃以上高い温度で加熱してもよく、更に、20℃以上高い温度で加熱してもよい。加熱ユニット5Cは、例えば、赤外線等の各種ランプ、温風ファン等、公知の加熱デバイスを用いることができる。加熱効率の点で、赤外線ヒータを用いることができる。
【0037】
清掃ユニット5Dは、転写後に転写体2の表面上を清掃する機構である。清掃ユニット5Dは、転写体2上に残留したインクや、転写体2上のごみ等を除去する。清掃ユニット5Dは、例えば、多孔質部材を転写体2に接触させる方式、ブラシで転写体2の表面を擦る方式、ブレードで転写体2の表面をかきとる方式等の公知の方式を適宜用いることができる。また、清掃に用いる清掃部材は、ローラ形状、ウェブ形状等、公知の形状を用いることができる。
【0038】
以上の通り、本実施形態では、付与ユニット5A、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、清掃ユニット5Dを周辺ユニットとして備えるが、これらの一部のユニットに転写体2の冷却機能を付与するか、あるいは、冷却ユニットを追加してもよい。本実施形態では、加熱ユニット5Cの熱により転写体2の温度が上昇する場合がある。記録ユニット3により転写体2にインクを吐出した後、インク像がインクの主溶剤である水の沸点を超えると、吸収ユニット5Bによる液体成分の吸収性能が低下する場合がある。吐出されたインクが水の沸点未満に維持されるように転写体2を冷却することで、液体成分の吸収性能を維持することができる。
【0039】
冷却ユニットは、転写体2に送風する送風機構や、転写体2に部材(例えばローラ)を接触させ、この部材を空冷または水冷で冷却する機構であってもよい。また、清掃ユニット5Dの清掃部材を冷却する機構であってもよい。冷却タイミングは、転写後、反応液の付与前までの期間であってもよい。
【0040】
<供給ユニット>
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する機構である。供給ユニット6は記録システム1の後部側に設けられていてもよい。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。本実施形態では、9種類のインクに対応する9個の貯留部TKを備える。
【0041】
各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インク中の気泡を脱気する脱気機構を設けてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、大気圧に対するインクの液圧を調整するバルブを設けてもよい。貯留部TK内のインク液面が、記録ヘッド30のインク吐出面よりも低い位置となるように、貯留部TKと記録ヘッド30のZ方向の高さが設計されてもよい。
【0042】
図4は、貯留部TKを示す図であり、バッファータンク401と交換用インクタンク402とによって構成される。貯留部TKには、交換用インクタンク402を着脱自在に装着するための装着部(不図示)が設けられており、インクがなくなったインクタンクが不図示の装着部から外され、新しいインクタンクが装着されることによって交換用インクタンク402の交換がなされる。このとき、後述する2次元バーコードを読み取ることにより、装着部に交換用インクタンク402が装着されていない状態から装着された状態に変わったことを示す情報が取得される。バッファータンク401は、流路400によって交換用インクタンク402と連通する。
【0043】
尚、本明細書では、交換用インクタンク402の貯留するインクをバッファータンク401に移動させる動作を、移動動作と呼ぶ。本実施形態では、移動動作が開始すると、不図示のポンプ等の強制移動部が駆動され、交換用インクタンク402に貯留されるインクの全量が一斉に吸い上げられ、バッファータンク401に移動する。そして、交換用インクタンク402に貯留されるインクがなくなると、移動動作が終了する。
【0044】
<搬送装置>
搬送装置1Bは、記録媒体Pを転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P’を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8cおよび回収ユニット8dを含む。
図1において、搬送装置1Bの各構成の図形の内側の矢印はその構成の回転方向を示し、外側の矢印は記録媒体Pまたは記録物P’の搬送経路を示している。記録媒体Pは給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P’は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
【0045】
給送ユニット7は、複数の記録媒体Pが積載される積載部を含むと共に、積載部から一枚ずつ記録媒体Pを、最上流の搬送胴8に給送する給送機構を含む。各搬送胴8、8aはY方向に延びるそれぞれの回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。各搬送胴8、8aの外周面には、記録媒体P(または記録物P’)の先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。各グリップ機構は、隣接する搬送胴間で記録媒体Pを受け渡されるように、その把持動作および解除動作が制御される。
【0046】
二つの搬送胴8aは、記録媒体Pの反転用の搬送胴である。記録媒体Pを両面記録する場合、表面への転写後に、圧胴42から下流側に隣接する搬送胴8へ記録媒体Pを渡さずに、搬送胴8aに渡す。記録媒体Pは、二つの搬送胴8aを経由して表裏が反転され、圧胴42の上流側の搬送胴8を経由して再び圧胴42へ渡される。これにより、記録媒体Pの裏面が転写胴41に面することになり、裏面にインク像が転写される。
【0047】
チェーン8cは、二つのスプロケット8b間に巻き回されている。二つのスプロケット8bの一方は駆動スプロケットであり他方は従動スプロケットである。駆動スプロケットの回転によりチェーン8cが循環的に走行する。チェーン8cには、その長手方向に離間して複数のグリップ機構が設けられている。グリップ機構は、記録物P’の端部を把持する。下流端に位置する搬送胴8からチェーン8cのグリップ機構に記録物P’が渡され、グリップ機構に把持された記録物P’はチェーン8cの走行により回収ユニット8dへ搬送され、把持が解除される。これにより記録物P’が回収ユニット8d内に積載される。
【0048】
<後処理ユニット>
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P’の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P’の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P’の画像記録面に、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、シートの溶着、ラミネート等を挙げることができる。
【0049】
<検査ユニット>
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’の検査を行う機構である。
【0050】
本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Aは、連続的に行われる記録動作中に、記録画像を撮影する。検査ユニット9Aが撮影した画像に基づいて、記録画像の色味などの経時変化を確認し、画像データあるいは記録データの補正の可否を判断することができる。本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、圧胴42の外周面に撮像範囲が設定されており、転写直後の記録画像を部分的に撮影可能に配置されている。検査ユニット9Aにより全ての記録画像の検査を行ってもよいし、所定数毎に検査を行ってもよい。
【0051】
本実施形態の場合、検査ユニット9Bも、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Bは、テスト記録動作において記録画像を撮影する。検査ユニット9Bは、記録画像の全体を撮影し、検査ユニット9Bが撮影した画像に基づいて、記録データに関する各種の補正の基本設定を行うことができる。本実施形態の場合、チェーン8cで搬送される記録物P’を撮影する位置に配置されている。検査ユニット9Bにより記録画像を撮影する場合、チェーン8cの走行を一時的に停止して、その全体を撮影する。検査ユニット9Bは、記録物P’上を走査するスキャナであってもよい。
【0052】
<制御ユニット>
次に、記録システム1の制御ユニットについて説明する。
図3は記録システム1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE:Degital Front End)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
【0053】
ホスト装置HC1では、記録画像の元になる原稿データが生成、あるいは保存される。ここでの原稿データは、例えば、文書ファイルや画像ファイル等の電子ファイルの形式で生成される。この原稿データは、上位装置HC2へ送信され、上位装置HC2では、受信した原稿データを制御ユニット13で利用可能なデータ形式(例えば、RGBで画像を表現するRGBデータ)に変換する。変換後のデータは、画像データとして上位装置HC2から制御ユニット13へ送信され、制御ユニット13は受信した画像データに基づき、記録動作を開始する。
【0054】
本実施形態の場合、制御ユニット13は、メインコントローラ13Aと、エンジンコントローラ13Bとに大別される。メインコントローラ13Aは、処理部131、記憶部132、操作部133、画像処理部134、通信I/F(インタフェース)135、バッファ136および通信I/F137を含む。
【0055】
処理部131は、CPU等のプロセッサであり、記憶部132に記憶されたプログラムを実行し、メインコントローラ13A全体の制御を行う。記憶部132は、RAM、ROM、ハードディスク、SSD等の記憶デバイスであり、処理部131が実行するプログラムや、データを格納し、また、処理部131にワークエリアを提供する。操作部133は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等のような、ユーザにメッセージを表示する表示部と、ユーザからの指示や入力を受け付ける入力デバイスとを備えるUI(ユーザインタフェース)である。また、操作部133は、後述する交換用インクタンク402及び交換用インクタンク402を装着する記録装置本体の装着部に貼付された2次元バーコードを読み取るバーコードリーダー等の読取デバイスを備える。
【0056】
画像処理部134は例えば画像処理プロセッサを有する装置である。画像処理部134の詳細は後述する。バッファ136は、例えば、RAM、ハードディスクやSSDである。通信I/F135は上位装置HC2との通信を行い、通信I/F137はエンジンコントローラ13Bとの通信を行う。
図3において破線矢印は、画像データの処理の流れを例示している。上位装置HC2から通信I/F135を介して受信された画像データは、バッファ136に蓄積される。画像処理部134はバッファ136から画像データを読み出し、読み出した画像データに所定の画像処理を施して、再びバッファ136に格納する。バッファ136に格納された画像処理後の画像データは、プリントエンジンが用いる記録データとして、通信I/F137からエンジンコントローラ13Bへ送信される。
【0057】
上記実施形態では、記録ユニット3が複数の記録ヘッド30を有するが、一つの記録ヘッド30を有してもよい。記録ヘッド30はフルラインヘッドでなくてもよく、記録ヘッド30をY方向に走査させながらインク像を形成するシリアル方式であってもよい。
【0058】
記録媒体Pの搬送機構は、ローラ対によって記録媒体Pを挟持して搬送する方式等、他の方式であってもよい。ローラ対によって記録媒体Pを搬送する方式等においては、記録媒体Pとしてロールシートを用いてもよく、転写後にロールシートをカットして記録物P’を製造してもよい。
【0059】
上記実施形態では、転写体2を転写胴41の外周面に設けたが、転写体2を無端の帯状に形成し、循環的に走行させる方式等、他の方式であってもよい。
【0060】
図4は、本実施形態における供給ユニット6の構成図である。貯留部TKはバッファータンク401と、交換用インクタンク402に分けられる。バッファータンク401内には、フロートセンサ410が9箇所設置されており、バッファータンク401内のインク残量を9段階のレベルで検知することが可能である。このバッファータンク401のインク残量を示す情報は、フロートセンサレベルとして取得され、記憶部132に記憶される。記憶部132には、交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が保持され、そのための記憶領域を交換用インクタンクの個数分有する。本実施形態では9種類のインクを用いるため、9個分の交換用インクタンクの状態を示す情報が保持される。各情報は、「満杯」、「移動中」、「空」の3通りのいずれかを示し、タンク毎にそれぞれ独立して状態が遷移する。
【0061】
交換用インクタンク402は、ユーザが交換可能なタンクであり、インクがなくなったタンクを装着部から外し、新しいタンクを装着することによって交換作業が行われる。交換用インクタンク402の本体には2次元バーコード420が貼付されており、交換用インクタンク402が装着される装着部にも2次元バーコード421が貼付されている。これらの2次元バーコードには、識別子、名称、ロット番号、固有シリアル番号等の情報が含まれる。交換用インクタンク402には、センサ等のインク残量を検知するための手段が設けられていない。交換用インクタンクとしては、例えば、バッグインボックスと呼ばれる容器が用いられる。バッグインボックスとは、プラスチック製の内装容器と段ボールケースを主体とする外装容器から構成される液体用の組み合わせ容器である。このような容器は、一般的に、その内部に貯留する液体の量を検知する機構は設けられていない。
【0062】
次に、交換用インクタンク402が交換される際の流れについて説明する。ユーザは、インクが移動して空になったタンクを装着部から外した後、インクが所定量入った新しい交換用インクタンク402を設置場所に設置し、記録装置本体の装着部に装着する。そして、操作部133に属するバーコードリーダーを用いて、交換用インクタンク402の本体に貼付された2次元バーコード420と、記録装置本体の装着部に貼付された2次元バーコード421とをそれぞれ読み取る。読み取り後、
図6に示す操作部133のUI上の対応する交換完了ボタン600を押下する。これにより、メインコントローラ13Aは、装着部にタンクが装着されていない状態から、装着部に装着された状態に変わったと判断し、記憶部132が保持する交換用インクタンク402のタンク状態の情報を、「満杯」を示す情報に更新する。尚、ユーザにより交換完了ボタン600が押下されたタイミングで、課金情報、交換日時、回数等の情報が新たに記憶部132に保持される。尚、タンク状態の情報を更新するのは、2次元バーコード420及び421の読み取りを契機としてもよく、交換完了ボタン600の押下を契機としてもよい。
【0063】
ここで、交換用インクタンク402からバッファータンク401への移動動作について説明する。前述したように、本実施形態においては、移動動作が開始されると、交換用インクタンク402に貯留されるインクの全量が一度にバッファータンク401に移される。これにより、交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が、「満杯」、「移動中」、「空」の3通りで表される。そして、バッファータンク401に設けられたフロートセンサ410が検出するレベル値(フロートセンサレベル)は、交換用インクタンク402からバッファータンク401への移動動作が正しく行われているかどうかの判定にも用いられる。
【0064】
ここで、本実施形態において、交換用インクタンク402内の全量のインクがバッファータンク401に移動すると、フロートセンサ410が検出するレベル値が2レベル上がるものとする。事前に、移動動作が正しく行われている場合に、フロートセンサが検出するレベル値が1上昇する時間を取得する。そして、この時間を基準として、交換用インクタンク402に貯留される全量のインクを移動するために必要な時間を算出し、算出された時間を考慮したタイムアウト時間が予め設定されている。
【0065】
まず、バッファータンク401の液面レベルを検出する。前述したように、本実施形態の移動動作は、交換用インクタンク402の全量を移動させるため、バッファータンク401に、交換用インクタンク402の全量に相当する量以上の空きがないと、交換用インクタンク402のインクを移動させることはできない。従って、検出されたバッファータンク401の液面レベルが所定の閾値より高いレベルであるときは、交換用インクタンク402のインクをバッファータンク401に移動させる移動動作を行わない。そして、画像の記録によってバッファータンク401内のインクが減り、バッファータンク401の液面レベルが所定の閾値より低いレベルであることが検出されてから、交換用インクタンク402の全量を移動させる移動動作を行う。バッファータンク401の液面レベルが所定の閾値以下であることをフロートセンサ410が検出したタイミングで、記憶部132に記憶された交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が取得される。取得された情報が「空」を示す場合、ユーザに交換用インクタンク402の交換を促すメッセージが操作部133のUI上に表示される。取得された情報が「満杯」を示す場合は、交換用インクタンク402のインクが移動開始可能状態であると判断され、流路400を通じて交換用インクタンク402からバッファータンク401への移動動作が開始される。移動動作が開始されると、記憶部132に記憶されたタンク状態を示す情報が「移動中」に変更され、交換用インクタンク402内に貯留される全てのインクがバッファータンク401へと移動される。そして、所定量のインクがバッファータンク401に移動されて交換用インクタンク402が空になると、交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が「空」を示す情報に変更され、移動動作が完了する。移動動作が完了し、タンク状態を示す情報が「空」に変更された場合、その時に装着されている交換用インクタンク402から再度インクが移動されることはない。UI上で交換完了ボタンが押下された時に限り、移動開始可能状態に遷移して、随時、交換用インクタンク402からバッファータンク401への移動動作が行えるようになる。
【0066】
尚、移動動作が開始されたタイミングでタイマーが起動される。そして、予め設定されたタイムアウト時間が経過した後に、フロートセンサ410によって適切な液面上昇が検知されない場合には、インクの移動が正しく行われていないと判断し、UI上にその旨を示すエラーが表示される。一方、移動動作開始時の液面レベルから2レベル上昇したことが検知され、その後、さらなる液面上昇が認められずにタイムアウト時間が経過した場合には、移動動作が正常に行われたと判断され、ポンプの駆動が止められる。移動動作が完了した時点で、記憶部132に記憶された交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が「空」であることを示す情報に変更され、交換用インクタンク402の交換を促す警告がUI上に表示され、ユーザに通知される。
【0067】
図5は、本実施形態におけるインク残量表示制御のシーケンス図である。本シーケンスが開始する契機は周期的でもよいし、インク残量表示画面に遷移するなどの特定のイベントによるものでもよい。例えば、画面の更新周期が2秒ごとであればインク残量表示画面に遷移してから、2秒おきに本シーケンスを開始する。以下のインク残量表示制御は、貯留部TKのそれぞれに対して行われる。
【0068】
まず、ステップS501にて、処理部131により、記憶部132に記憶されている交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が取得される。
【0069】
次に、ステップS502にて、ステップS501で取得したタンク状態を示す情報が、「満杯」、「移動中」、「空」のいずれであるかが判定される。ここでタンク状態を示す情報が「満杯」であると判定された場合、ステップS503に進み、バッファータンク401のインク残量を示すフロートセンサレベルが取得される。前述のように、このフロートセンサレベルは9段階のレベル値である。次に、ステップS504に進み、記憶部132に予め記憶された交換用インクタンク402の既定の最大容量を示す値が取得される。交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が「満杯」である場合には、交換用インクタンク402にこの容量のインクが入っているものと判断され、以下のインク残量の算出において、このステップS504で取得された値が用いられる。
【0070】
ステップS505において、ステップS503で取得されたフロートセンサレベル値とステップS504で取得された値とが合算され、合算された値がインク残量情報として表示部に出力される。尚、ステップS503で取得されたバッファータンク401内のフロートセンサレベルを、リットルなどの単位でインク残量に対応する数値に変換してから交換用インクタンクの最大容量を示す値と加算してもよい。また、表示部に出力する形式に変換してから加算してもよく、他の形式であってもよい。
【0071】
一方、ステップS502にて、交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が「空」であると判定された場合、ステップS506に進み、バッファータンク401のインク残量を示すフロートセンサレベルが取得される。ここは、前述のステップS503と同様の処理である。ステップS507において、取得されたフロートセンサレベルに対応する値がインク残量情報として表示部に出力される。
【0072】
ステップS502にて、交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が「移動中」であると判定された場合、処理を終了する。表示部に出力されるインク残量表示(インク残量情報)は、移動動作開始時、もしくはその直前の値を表示し続ける。これは、交換用インクタンク402のインク残量を直接検出する手段がなく、ユーザからの情報で「満杯」か「空」かの2段階で判断されるのに対し、バッファータンク401は9段階ではフロートセンサレベルが検出されることに起因する。バッファータンク401に設けられたフロートセンサ410により、移動動作中であっても、表示部のインク残量表示を段階的に変化させることが可能である。しかしながら、交換用インクタンク402にはセンサが設けられていないため、移動動作中の交換用インクタンク402内のインクの残量が把握出来ない。従って、移動動作中に、ステップS503~S505の方法で合算表示が行われると、移動動作中のバッファータンク401のインク残量に交換用インクタンク402が満杯の場合の貯留量が合算される。このとき、実際のバッファータンク401と交換用インクタンク402のインク量の合計よりも多い量が表示され、正しく表示が行われない。一方、移動動作中にステップS506、ステップS507の方法でバッファータンク401のインク残量のみが表示されると、実際のインク量の合計よりも少ない量が表示されてしまう。そこで、タンク状態を示す情報が「移動中」である間は、移動動作開始時の値、すなわち移動動作を実行する直前に表示していた値をそのままUIに表示し続け、一定の値を保つ。これは、移動動作中はタンク間でインクが移動するだけで、2つのタンクに貯留されるインク量の合計が変化しないためである。そして、移動動作が完了し、タンク状態を示す情報が「空」に変更された後は、ステップS506、ステップS507の表示方法が行われる。
【0073】
次に、記憶部132に記憶された交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報の状態遷移について説明する。まず、交換用インクタンク402からバッファータンク401への移動動作が開始されると、エンジンコントローラ13Bからメインコントローラ13Aに対してその旨が通知される。これを契機に、タンク状態を示す情報が「移動中」に変更される。次に、前述した正しく移動動作が行われたか否かが判定される。正しく行われたと判断された場合には、タンク状態を示す情報が「空」に変更される。その後、前述のUI上での交換完了ボタン600が押下されたことを契機に、タンク状態を示す情報が「満杯」に変更される。インクが消費され、バッファータンク401内のインクの残量が所定レベル値以下であることをフロートセンサ410が検出すると、交換用インクタンク402からバッファータンク401への移動動作が開始され、タンク状態を示す情報は最初の状態に戻る。
【0074】
図6は、本実施形態におけるインク残量表示のUI表示例であり、9種類のインクそれぞれについてのインク残量表示が行われる。インクの種類ごとに、色の名称、インク残量の割合数値、インク残量のグラフィックイメージが表示される。
図7は、UI表示の遷移を示すイメージ図である。
【0075】
図6において、600は、交換用インクタンク402の交換完了時にユーザが押下するボタンである。以降では、各色のインク残量のグラフィックイメージに関して詳細に述べる。
図7において、701は、バッファータンク401のインク残量の表示部分、702は、交換用インクタンク402のインク残量の表示部分である。703は、2つのタンクのインク残量の合算値を示すラインである。尚、
図7では、便宜上701と702を色分けすることで区別した表示となっているが、必ずしも色分けする必要は無く、ライン703が表示されていればよい。色分けせずにライン703のみが表示される場合には、前述したように、移動動作中における2つのタンクに貯留されるインク量の合計を適切に表示することができる。
【0076】
図7(a)から順に、
図7(b)、
図7(c)、
図7(d)のように表示が変化し、再度
図7(a)に戻るように循環する。尚、
図7(c)から
図7(a)に遷移することも可能である。
【0077】
図7(a)では、交換用インクタンク402の交換が完了し、バッファータンク401と交換用インクタンク402の2つのインクタンクそれぞれにインクが貯留されることを示す。記憶部132に記憶されたタンク状態を示す情報は「満杯」である。印刷動作によりバッファータンク401内のインクが消費され、バッファータンク401のフロートセンサレベルが所定レベル以下になると、交換用インクタンク402から移動動作が開始される。
図7(b)は、移動動作開始時のインク残量表示を示す。交換用インクタンク402からバッファータンク401へ移動動作が開始されると、記憶部132に記憶されたタンク状態を示す情報が「移動中」に変更される。本実施形態では、移動動作が開始してから完了するまでの間、UI上に表示されるライン(合算表示ライン)703の位置は変化しない。尚、印刷動作により消費されるインク量を算出し、移動動作中においても定期的に合算表示ラインを予測で変化させ、印刷動作によるインク消費を表現することも可能である。
【0078】
移動動作が完了すると、記憶部132に記憶されたタンク状態を示す情報が「空」に変更される。交換用インクタンク402のタンク状態を示す情報が「空」である間は、
図7(c)に示すように、バッファータンク401内のインク残量のみをインク残量として表示される。その後、印刷動作によりバッファータンク401内のインクが消費され、UI上の表示が
図7(d)に遷移する。交換用インクタンク402にインクが貯留されていない間は、
図7(c)あるいは
図7(d)の表示がなされているが、その後、ユーザによる交換用インクタンク402の交換が行われると、
図7(a)の表示に戻る。
【0079】
以上のように、本実施形態の構成により、バッファータンク401と交換用インクタンク402を備える記録装置1A全体のインク残量の合計を表示することが可能となる。また、移動動作中のインク残量表示は、フロートセンサ410によって検出された液面レベルではなく、移動動作開始時のレベルで固定することにより、適切な表示が可能となる。
【0080】
尚、上記実施形態において、記録装置本体は、操作部133に属するバーコードリーダーを単数あるいは複数有しており、どのバーコードリーダーで読み取りを行ったかは区別しない。そのため、交換用インクタンク402の2次元バーコード420と、交換用インクタンク402が装着される装着部の2次元バーコード421は、同一のバーコードリーダーで読み取ってもよく、異なるバーコードリーダーで読み取ってもよい。なお、名称と識別子が識別可能であれば2次元バーコードではなくてもよく、それに対応する識別方法はバーコードリーダーに限定されない。読み取り用のデバイスは、表示部と操作部が一体となったものでもよい。たとえば、タブレット端末のカメラで2次元バーコードを読み取った場合には、読み取り結果はタブレット端末に表示したUI上に表示され、UI上から交換用インクタンク402の交換に必要な操作を行うことができる。
【0081】
また、交換用インクタンク402だけでなくその他の交換部品にも、同様の2次元バーコードが貼付されており、読み取った2次元バーコードの情報は、記憶部132に属するRAMに用意された部品情報保存領域に格納される。部品情報保存領域には、1つの交換部品につき、識別子、名称、ロット番号、固有シリアル番号が格納される。インクタンク以外の交換部品については、付属の2次元バーコードを1度読み取った時点で、記憶部132に上記の情報が格納される。交換用インクタンク402については、連続して読み取られた2つの2次元バーコードの識別子が「交換用インクタンク」と「交換用インクタンクが装着される装着部」の識別子の組み合わせであり、かつ、名称(インク種)が一致した時点で情報を格納する。
【0082】
尚、本実施形態では、ユーザが交換完了ボタン600を押下することにより、交換用インクタンク402が取り外されて満杯のインクが入った交換用インクタンクが装着されたことを示す情報を取得したが、この形態には限られない。前述したように、交換用インクタンク402と装着部それぞれに設けられた2次元バーコード420及び421等の識別子の読み取りによって、メインコントローラ13Aが交換用インクタンク402の交換が行われたと判断してもよい。また、2次元バーコード420及び421にそれぞれ非接触型ICチップを搭載し、これらが所定距離以内に接近したことを検知すると、新しい交換用インクタンク402が装着され、交換が完了したと判断してもよい。同様に、これらが所定距離以上離れたことを検知することで、ユーザが交換用インクタンク402を交換中であると判断してもよい。
【0083】
また、本実施形態では、インクが移動した交換用インクタンク402を装着部から外し、インクの入った新しい交換用インクタンク402が装着部に装着されることで交換用インクタンク402が交換されたと判断する形態で説明したが、交換用インクタンク402ごと交換する形態には限られない。例えば、装着部に交換用インクタンク402を装着したままで、ユーザが交換用インクタンク402にインクを補充する形態であってもよい。この場合にも、交換用インクタンク402に所定の量のインクの補充が完了した際に、ユーザからそのことを示す情報を受け取ることにより、交換用インクタンク402内のインクが補充されて所定の量のインクが貯留されているものとみなし、タンク状態を示す情報を変更すればよい。また、交換用インクタンク402の重さを測定する測定部を用意し、測定された重さが所定の量のインクを貯留する重さ以上である場合に、交換用インクタンク402が交換された、もしくは、インクが補充されたと判断してもよい。
【0084】
また、本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0085】
また、上記実施形態では、水を含む水性顔料インクを記録材として用いた記録装置について説明したが、液体を貯留する貯留部と、その量を表示するための表示部を備える装置であれば、記録装置に限られない。
【符号の説明】
【0086】
3 記録ユニット
6 供給ユニット
401 バッファータンク
402 交換用インクタンク