(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】サーバシステム、サーバシステムの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240112BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240112BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G06F3/12 353
G06F3/12 305
G06F3/12 378
G06F3/12 328
B41J29/38 202
H04N1/00 127A
(21)【出願番号】P 2019215443
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】森田 佳佑
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201491(JP,A)
【文献】特開2019-151049(JP,A)
【文献】特開2015-176293(JP,A)
【文献】特開2019-128885(JP,A)
【文献】特開2012-160009(JP,A)
【文献】特開2011-165124(JP,A)
【文献】特開2015-016561(JP,A)
【文献】特開2010-166382(JP,A)
【文献】特開2008-033565(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0199640(US,A1)
【文献】特開2017-120511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバシステムであって、
異なるサーバシステムから印刷設定を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された印刷設定に前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定が付加された印刷データを画像形成装置に送信する送信手段と、を有し、
前記印刷設定に含まれていない設定項目は、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかであることを特徴とするサーバシステム。
【請求項2】
前記印刷データは、前記印刷設定が設定された印刷データに前記
印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定を付加することで生成される印刷データであることを特徴とする請求項1に記載のサーバシステム。
【請求項3】
前記取得手段は、さらに印刷データを取得し、
前記取得手段が取得した印刷データに前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定を付加する付加手段をさらに有し、
前記送信手段は、前記付加手段により前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定が付加された前記印刷データを前記画像形成装置に送信することを特徴とする請求項1または2に記載のサーバシステム。
【請求項4】
前記異なるサーバから印刷データを受信する受信手段をさらに有し、
前記受信手段により受信された前記印刷データと前記
印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定が付加された前記印刷設定とに基づき、印刷データを生成する生成手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサーバシステム。
【請求項5】
前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定を設定する設定手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のサーバシステム。
【請求項6】
前記サーバシステムは、前記異なるサーバシステムに対して認証要求を送信する他の送信手段と、
前記他の送信手段が送信した認証要求に基づき発行されたアクセストークンを受信する受信手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のサーバシステム。
【請求項7】
前記取得手段は前記受信手段により受信されたアクセストークンを使って、前記異なるサーバシステムから印刷設定を取得することを特徴とする請求項6に記載のサーバシステム。
【請求項8】
前記サーバシステムは前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定をユーザごとに記憶することができ、
前記送信手段は、前記取得手段により取得された前記印刷設定に、前記印刷データを投入した前記ユーザに対応づけて記憶された前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定を付加して前記画像形成装置に送信することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のサーバシステム。
【請求項9】
前記異なるサーバシステムは、前記サーバシステムを指定して印刷実行を指示することのできるサーバシステムであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のサーバシステム。
【請求項10】
サーバシステムであって、
他のサーバシステムから画像データと印刷設定を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記画像データと前記印刷設定とともに、前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む他の印刷設定を画像形成装置に送信する送信手段と、を有し、
前記印刷設定に含まれていない設定項目とは、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかであることを特徴とするサーバシステム。
【請求項11】
サーバシステムの制御方法であって、
異なるサーバシステムから印刷設定を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された印刷設定に前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定が付加された印刷データを画像形成装置に送信する送信工程と、を有し、
前記印刷設定に含まれていない設定項目は、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかであることを特徴とするサーバシステムの制御方法。
【請求項12】
サーバシステムの制御方法であって、
他のサーバシステムから画像データと印刷設定を受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した前記画像データと前記印刷設定とともに、前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む他の印刷設定を画像形成装置に送信する送信工程と、を有し、
前記印刷設定に含まれていない設定項目とは、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかであることを特徴とするサーバシステムの制御方法。
【請求項13】
サーバシステムのコンピュータに、
異なるサーバシステムから印刷設定を取得させ、
取得された印刷設定に前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定が付加された印刷データを画像形成装置に送信させるプログラムであって、
前記印刷設定に含まれていない設定項目は、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかであることを特徴とする、プログラム。
【請求項14】
サーバシステムのコンピュータに、
他のサーバシステムから画像データと印刷設定を受信させ、
受信した前記画像データと前記印刷設定とともに、前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む他の印刷設定を画像形成装置に送信させるプログラムであって、
前記印刷設定に含まれていない設定項目とは、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかであることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバシステム、サーバシステムの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クラウドプリントサービスでは、ユーザによりクラウドプリントサービスに投入された印刷ジョブをクラウドプリントサービスが画像形成装置に送信することで印刷が実行される。このようにすることで、印刷ジョブの投入を行うクライアント端末と画像形成装置が同じネットワーク上にいなくても印刷を実行することができる(特許文献1)。
【0003】
このような印刷システムでは、あらかじめ利用者が画像形成装置をクラウドプリントサービスのテナントへ登録することが必要である。ここでテナントとは、クラウドプリントサービス上でのグループである。クラウドプリントサービスを利用するユーザは自身が所属するテナントに登録された画像形成装置を使って印刷をすることができる。
【0004】
ここでのクラウドプリントサービスは、例えばGoogle Cloud Print(登録商標)、Microsoft Hybrid Cloud Print(登録商標)等として知られるクラウドプリントサービスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、汎用的なクラウドプリントサービスは、クラウドプリントサービスに登録されたいずれの画像形成装置でも印刷ができるように、標準的な規格に則ったものであり、印刷部数や面付等標準的な印刷設定しかすることができない。そのため、画像形成装置によって異なるフィニッシャーの設定や、画像形成装置のオプション機能に関する設定等プリンタベンダーの独自の機能の設定を行うことができない。
【0007】
一方で、汎用的なクラウドプリントサービスでは対応することのできない拡張印刷設定を印刷ジョブに付加して印刷することのできるクラウドプリントサービスもある。しかしながら、ユーザが拡張印刷設定を使用する場合には、印刷ジョブを投入するタイミングで拡張印刷設定に対応するクラウドプリントサービスを選択して印刷指示をしなくてはならない。そのため、ユーザが汎用的なクラウドプリントサービスを指定して印刷ジョブを送信すると、拡張印刷設定が適用されないまま印刷がなされてしまう。
【0008】
そこで、本明細書に係るサーバシステムは、異なるサーバシステムから取得された印刷設定に、その印刷設定に含まれていない、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかである設定項目を含む印刷設定が付加された印刷データを画像形成装置に送信することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載のサーバシステムは、異なるサーバシステムから印刷設定を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された印刷設定に前記印刷設定に含まれていない設定項目を含む印刷設定が付加された印刷データを画像形成装置に送信する送信手段と、を有し、前記印刷設定に含まれていない設定項目は、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に係るサーバシステムは、異なるサーバシステムから取得された印刷設定に、その印刷設定に含まれていない、少なくとも針なしとじ、強制両面、2色印刷のいずれかである設定項目を含む印刷設定が付加された印刷データを画像形成装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例における、コンピュータシステムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】実施例における、システム全体の構成の一例を示す図である。
【
図3】実施例における、クラウドサービスを用いた印刷概要の一例を示す図である。
【
図4】実施例において、汎用クラウドプリントサービスで設定することのできる印刷設定と拡張クラウドプリントサービスで設定することのできる印刷設定とを示す図である。
【
図5】実施例において、汎用クラウドプリントサービスに拡張クラウドプリントサービスを登録するための操作画面の一例を示す図である。
【
図6】実施例において、アプリケーションから汎用クラウドプリントサービスに登録されたプリンタを用いた印刷を行うための操作画面の一例を示す図である。
【
図7】実施例において、画像形成装置に表示される拡張クラウドプリントに登録されている印刷ジョブを表示する画面の一例を示す図である。
【
図8】実施例において、拡張クラウドプリントサービスのソフトウェアモジュールの一例を示す図である。
【
図9】実施例において、拡張クラウドプリントサービスで管理されるテーブルの一例である。
【
図10】実施例において、拡張クラウドプリントサービスに登録されたプリンタで印刷を行うシーケンスの一例を示す図である。
【
図11】実施例において、コンピュータから拡張クラウドプリントサービスにログインするための操作画面の一例を示す図である。
【
図12】実施例において、拡張クラウドプリントサービスで管理される印刷設定情報の一例を示す図である。
【
図13】実施例において、拡張クラウドプリントサービスに印刷ジョブを登録する処理を示すフローチャートである。
【
図14】実施例において、拡張クラウドプリントサービス上で印刷設定のデフォルトを管理するためのテーブルである。
【
図15】実施例において、拡張クラウドプリントサービス上での印刷処理を示すフローチャートである。
【
図16】実施例2において、クラウドプリントサービス上での印刷設定を変更するためのシーケンス図である。
【
図17】実施例2において、ユーザ端末に表示される印刷設定の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0013】
<実施例1>
図2は本明細書の実施例におけるシステム構成の一例を示した図である。
【0014】
印刷を行う文書や画像を作成するコンピュータ100/1001/1002、プリンタ202はネットワーク1060に接続されている。ネットワーク1060はいわゆるLAN(Local Area Network)、Personal Area Network(PAN)等のネットワークである。ここでは、ネットワーク1060に接続されるプリンタをプリンタ202としたが、ネットワーク1060に接続されるプリンタは1台であっても複数台であってもよい。
【0015】
汎用クラウドプリントサービス800、拡張クラウドプリントサービス801はネットワーク1061に接続されている。コンピュータ100は、ネットワーク1060、1601を介して汎用クラウドプリントサービス800や拡張クラウドプリントサービス801と通信する。汎用クラウドプリントサービス800、拡張クラウドプリントサービス801は1または複数台の情報処理装置で構成されるサーバシステムである。
【0016】
プリンタ200、201はネットワーク1062に接続されている。プリンタ200、201はネットワーク1061、1062を介して汎用クラウドプリントサービス800、拡張クラウドプリントサービス801と通信する。プリンタ200,201は、汎用クラウドプリントサービス800、拡張クラウドプリントサービス801を経由し、コンピュータ100が印刷指示した印刷データを受信する。
【0017】
コンピュータ100、1001、1002、各クラウドプリントサービス、プリンタ200、201の通信方式は、IEEE 802.11規格に則ったワイヤレスLANでの通信であるとする。上記通信方式は、Bluetooth(登録商標)通信、International Mobile Telecommunication 2000(IMT-2000) 規格に則った携帯電話回線を始めとする通信等、特に限定は行わない。また、USBに関しては直接接続する形態以外にもUSBハブや交換機のようなもので中継されていても構わない。
【0018】
また、
図2ではコンピュータが接続されているネットワーク1060、各クラウドプリントサービスが接続されるネットワーク1061、プリンタ200、201が接続されるネットワーク1062を異なるものとして説明した。ネットワーク1061、1062、1063が同一のネットワークであるとしてもよい。
【0019】
図1は本実施例に記載のコンピュータ100のハードウェア構成を示す一例である。Central Processing Unit(CPU)101は、主記憶装置102は補助記憶装置105に格納されたプログラムに従ってコンピュータ100全体の制御を行う。RAM1022はCPU101が各処理を行う際のワークエリアとしても使用される。補助記憶装置105には、アプリケーション(アプリ)1051やデバイスアプリケーション(デバイスアプリ)1052、汎用プリンタドライバー1053、オペレーティングシステム(OS)1054等の各種プログラムが格納される。キーボード1031やマウス、タッチパネル、タッチパッドなどに代表されるポインティングデバイス1032等の入力機器は、入力インターフェース(I/F)103を通してコンピュータ100に接続される。コンピュータ100は、これらの入力機器を通してユーザからのプログラムへの操作を受け付ける。出力I/F104には、モニター1041等の出力デバイスが接続され、プログラムの指示に従いモニター上にUIを表示する。なお、スマートフォンやタブレット端末のようにポインティングデバイス1032とモニター1041が一体となったタッチパネルが入力I/F103および出力I/F104に接続されるとしてもよい。通信I/F106はネットワーク1061に接続されており、コンピュータ100の外部機器、例えば、
図2のコンピュータ1001、コンピュータ1002、プリンタ202と通信する。上記モジュールは、システムバス107で接続され、各モジュール間でデータのやり取りが可能である。また、本実施例に記載の処理が含まれているアプリ1051、デバイスアプリ1052、汎用プリンタドライバー1053、OS1054は、不図示のCD-ROMやUSBメモリーを介して補助記憶装置105に追加可能である。さらに、コンピュータ100はアプリ1051をネットワーク1061経由で補助記憶装置105に追加することも可能である。なお、特に断らない限り、本発明の機能が実行されるのであれば、機器の構成に係わらず本発明を適用できることは言うまでもない。コンピュータの構成は単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムであっても、Localネットワークを介して接続が為され処理が行われるシステムであってもよい。
【0020】
ここで
図8を用いて拡張クラウドプリントサービス801のソフトウェア構成を説明する。拡張クラウドプリントサービス801は、インターネットを通じたクラウド上に存在するサービスであり、印刷に関連する機能を提供可能とする。拡張クラウドプリントサービス801は、
図1で示すコンピュータ100と同様のハードウェア構成の1または複数台の情報処理装置によって構成されるサーバシステムである。
図8に各種ソフトウェアブロックは、CPUがROMまたは補助記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0021】
図8に示す各処理部の一部、あるいは全体が拡張クラウドプリントサービス801と連携する別のクラウドプリントサービス上に存在しても構わない。以下プリンタ200を例に記載するが、拡張クラウドプリントサービス801と接続可能なプリンタ201、プリンタ202であっても同様の処理が実現可能である。
【0022】
記憶部80101は、他の制御部からの指示により、指定されたデータをクラウド上で管理された記憶領域に記憶する、あるいは当該記憶領域に記憶しているデータを読み出す。記憶部が管理するデータの例として印刷ジョブを始めとする印刷データやクラウドプリントサービスの情報、接続されたプリンタの管理情報がある。
図9(A)は、記憶部80101に記憶される印刷ジョブの情報を管理するテーブルである。「ジョブ管理情報」の「ジョブID」は印刷ジョブの投入から印刷完了までサービスやデバイス間でジョブを一意に取り扱うために印刷ジョブに割り振られた識別情報である。なお、全体としての整合性が取れているのなら途中で「数値のIDにアルファベットを付ける」等、値の変換がされても良いものとする。また、全体として扱うIDと、内部的に扱うIDのように複数のIDを持たせる構成でも構わない。次に「ドキュメント情報」の「ドキュメント名」は、印刷の対象となるドキュメントのファイル名を指し、ユーザがどのドキュメントを印刷したかを識別するための表示名称として扱われるものである。ドキュメント名は印刷データが変換されても変化することは無い。なお、この名称は必ずしもドキュメントデータのファイル名と一致する必要は無く、ユーザが明示的に指定した別名称でも構わない。「印刷日時」は、これはユーザが印刷を行ったジョブの投入時間を格納する。当該印刷ジョブがいつ投入された印刷ジョブであるかを表示するための値である。そのため、拡張クラウドプリントサービス801が印刷後にジョブにアクセスして何かしらの変更を加えたとしても印刷日時は更新されない。なお、拡張クラウドプリントサービス801が印刷設定などを変更した時刻を示す更新時刻は、印刷時刻とは別の領域に記憶する。「印刷設定」は、印刷ジョブに設定される「用紙サイズ」や「部数」といった印刷に関連した設定が格納される。
【0023】
「クラウドプリントサービス情報」の「アクセス情報」は外部の連携先である汎用クラウドプリントサービス800を特定するための情報である。アクセス情報は、たとえは汎用クラウドプリントサービス800のURLやIPアドレスである。汎用クラウドプリントサービス800が外部でなく、ひとつのシステム内に存在するような場合はサービスのインスタンスへの参照のようなものであっても構わない。「ユーザ名」は拡張クラウドプリントサービス801を利用するユーザのユーザ名である。「アクセストークン」は拡張クラウドプリントサービス801が汎用クラウドプリントサービス800にアクセスするためのトークンである。「アクセストークン」は、汎用クラウドプリントサービス800にログインするための「パスワード」であってもよい。
【0024】
図9(B)は、記憶部80101に記憶されるプリンタ情報テーブルであるに。「アクセス情報」は、拡張クラウドプリントサービス801がプリンタにアクセスするために必要な情報である。具体的には、IPアドレスやWSDポートを始めとするプリンタのポート情報である。また、アクセス情報に動的なIPアドレスが割り当てられ、アクセス情報が変化する恐れがある場合、MACアドレスやハードディスクのボリュームシリアル番号など、端末を一意に特定できる情報を追加で記憶しても良い。「カスタマイズ情報」はプリンタに取り付けられたハードウェア構成や「ホチキスが可能であるか?」といった能力的な情報などのプリンタに対する変更情報が格納される。また、ユーザがプリンタの印刷設定のデフォルト値をカスタマイズしていた場合、その情報もカスタマイズ情報として格納される。「テナント情報」はプリンタが特定のプリントサーバや印刷システムによって管理されている場合、その管理元となるシステムの情報である。
【0025】
印刷設定処理部80102は、印刷ジョブの印刷設定の印刷設定の検証処理(Validate)や印刷対象のコンテンツデータを書く環境やプリンタが解釈可能な形式にデータ変換し、データ転送を行う。また、印刷設定処理部80102は外部の汎用クラウドプリントサービス800から受け取った印刷設定と自身の持つ印刷設定とを結合させる処理も行う。
【0026】
画像処理部80103は、印刷ジョブの印刷用の画像データや中間データにレンダリングする処理を行う。また、必要に応じて印刷するデータのデータフォーマットをPortable Document Format(PDF)形式に変換するといったドキュメントフォーマットのコンバート処理も行う。
【0027】
認証制御部80104は、IDとPASSWORDを利用した拡張クラウドプリントサービス801への認証や、ブラウザでCookieを利用したログイン情報、アプリケーションが取得したアクセストークンによる認証情報を管理する。ここでのIDはログイン認証を行うためのユーザ名を指す。なお、ゲストアカウントの場合は省略、あるいは一時的な割り当てID、「Unknown」のようなデフォルト処理で割り当てられるものであっても構わない。また、パスワードはユーザが認証を行うためのパスフレーズとして記載しているが、画面上をマウスやタッチ操作でなぞって行うパターン認証や、画像認証、音声認証、生体認証や対象アプリの認証トークン情報にあたるデータやそのリンクであっても問題は無い。それ以外にもICカードや磁気カード、バーコードやQRコード(登録商標)を読み取るなど、物理的なデバイスやツールを用いた認証でも良い。他にもシングルサインオンを始めとするログインセッションを共有できる仕組みであれば方法は問わない。
【0028】
ユーザ管理制御部80105は、拡張クラウドプリントサービス801で持っているユーザの認証情報の管理を行う。加えて、そのユーザが持つ外部の汎用クラウドプリントサービス800やプリンタ200に対するアカウント情報も持ち、サービス間でのユーザアカウントの同期や代理認証も行う。本実施例でユーザ管理制御部80105は、拡張クラウドプリントサービス801のユーザ名、パスワードと連携先である汎用クラウドプリントサービス800のユーザ名、パスワードを管理する。
【0029】
印刷ジョブ管理部80106は、
図9(A)に示す印刷ジョブを管理するテーブルにアクセスし、拡張クラウドプリントサービス801で受信した印刷ジョブの情報の管理を行う。また、外部の汎用クラウドプリントサービス800やプリンタ200上でも参照している印刷ジョブの内容の同期も行う。
【0030】
印刷デバイス管理部80107は、
図9(B)に示すプリンタ情報を管理するテーブルにアクセスし、拡張クラウドプリントサービス801で管理しているデバイスのプリンタ情報の管理を行う。
【0031】
操作制御部80108はコンピュータ100に表示される画面を生成し、コンピュータ100に表示させるためのモジュールである。また、コンピュータ100を介して受け付けた入力を他の制御部に転送する。本明細書では一例としてWebブラウザ上で印刷設定画面の表示を行うためのHTMLのようなマークアップ言語の生成を行うとする。
【0032】
本実施例で、ユーザはコンピュータ100から汎用クラウドプリントサービス800上の拡張クラウドプリントサービス801の印刷キュー宛てに印刷ジョブを送信する。そして、ユーザは拡張クラウドプリントサービス801に登録されたプリンタ200を用いて印刷を行う。なお、本実施例において拡張クラウドプリントサービス801を使用する目的は、汎用クラウドプリントサービス800では設定するこのできない印刷設定を拡張することである。
【0033】
図4は、本実施例において、汎用クラウドプリントサービス800で設定することのできる印刷設定と、拡張クラウドプリントサービス801で設定することのできる印刷設定とを示すテーブルである。
【0034】
標準設定1800は、汎用クラウドプリントサービス800、拡張クラウドプリントサービス801のいずれでも設定することのできる印刷設定である。標準設定1800は、「用紙サイズ」や「部数」、「カラー」設定など、多くの画像形成装置で対応することのできる印刷設定である。一方で、拡張設定1801は、必ず両面印刷を行う「強制両面」設定、ステイプルを使わずに用紙を綴じる「針なしとじ」、白紙ページの印刷をスキップする「白紙節約」など、プリンタベンダー特有の設定項目である。拡張設定1801は上記のほかに、印刷に使用するトナーやインクを2色に限定する「2色印刷」や「トナー濃度」設定、画像の色、明るさ、コントラストの設定等を含む。
【0035】
汎用クラウドプリントサービスでは、
図4の基本設定1800のように、多くの画像形成装置で対応可能な設定しか設定をすることができない。そこで、拡張クラウドプリントサービス801においてプリンタベンダー特有の仕様や画像形成装置に取り付けられたオプション機能に関する設定である拡張設定1801を付加し、印刷設定を拡張する。例えば、汎用クラウドプリントサービス800では、常に両面設定を利用させたいという「強制両面」機能や、ホチキスの針を使わずに綴じる「針なしとじ」等の印刷設定を設定することはできない。そこで、汎用クラウドプリントサービス800に投入された印刷ジョブを拡張クラウドプリントサービス801に中継させることで、「強制両面」機能や「針なしとじ」等の拡張設定1801の設定を付加する。これにより、ユーザが汎用クラウドプリントサービス800を使用した場合であっても、ベンダー独自の拡張印刷設定を追加・適用させることが可能となる。
【0036】
ここで、プリンタ200を拡張クラウドプリントサービス801に登録する方法を説明する。
【0037】
プリンタ200は拡張クラウドプリントサービス801に対して登録要求を送信する。拡張クラウドプリントサービス801はプリンタ200のタッチパネルにユーザ名、パスワードを入力する画面を表示させる。ユーザがプリンタ200を操作しユーザ名、パスワードを入力すると、拡張クラウドプリントサービス801は入力されたユーザ名、パスワードを用いて認証を行う。認証に成功すると、拡張クラウドプリントサービス801は、プリンタ200の情報をログインしたユーザの所属するテナントと対応づけて記憶する。この際、拡張クラウドプリントサービス801に登録されたプリンタ200は、例えば「Cloud Printer」という名前を持った仮想的な共有プリンタとして公開される。ユーザが「Cloud Printer」を指定して印刷を指示すると、拡張クラウドプリントサービス801に登録されたプリンタを使用して印刷を行うことができる。
【0038】
次に、拡張クラウドプリントサービス801内の仮想的な共有プリンタを汎用クラウドプリントサービス800に登録する手順を説明する。汎用クラウドプリントサービス800への登録は
図5のような管理画面を通して行われる。
【0039】
ユーザはコンピュータ100を操作し汎用クラウドプリントサービス800にアクセスし、ユーザ名、パスワードを入力して、汎用クラウドプリントサービスにログインする。その後、ユーザはコンピュータ100を操作し、汎用クラウドプリントサービス800のデバイス管理画面を表示させる。ここには、汎用クラウドプリントサービス800に登録されたプリンタの印刷キューが表示される。ユーザが、デバイス管理画面の探索ボタン501を選択すると汎用クラウドプリントサービス800は、登録可能な画像形成装置を探索する。例えば、ユーザが探索ボタン501を選択すると、デバイス管理画面に登録するプリンタのIPアドレスを入力する画面を表示する。汎用クラウドプリントサービス800は、ユーザが入力したIPアドレスに対応するWebサービスプリントの機能が有効化されているプリンタやネットワーク上で共有・公開されているプリンタをNew Deviceとして表示する。IPアドレスに対応するプリンタが拡張クラウドプリントサービス801上の印刷キューである場合、502のように“Cloud Printer”が探索の結果として表示される。ここでは、ユーザが入力したIPアドレスを使ってプリンタの探索をしたがプリンタに割り当てられたURLを使ってプリンタを探索するとしてもよい。
【0040】
拡張クラウドプリントサービス801による探索により見つかったプリンタはNew Deviceに表示される。ユーザはNew Deviceとして表示されたプリンタから汎用クラウドプリントサービス800に登録するプリンタを選択し、「Add Device」を押下して登録を行う。
【0041】
上記の方法以外にも、以下の方法で拡張クラウドプリントサービス801上の印刷キューを汎用クラウドプリントサービス800に追加するとしてもよい。
【0042】
図5に示す画面に、他の拡張クラウドプリントサービスと連携するためのボタンを表示する。ユーザが当該ボタンを選択すると、コンピュータ100のモニター1041に連携する拡張クラウドプリントサービスを選択する画面が表示される。ユーザが連携する拡張クラウドプリントサービスを選択すると、汎用クラウドプリントサービス800は選択された拡張クラウドプリントサービスの認可サーバに対してアクセストークンの発行要求を送信する。認可サーバは、コンピュータ100のモニター1041に選択された拡張クラウドプリントサービスのユーザ名、パスワードの入力画面を表示する。認可サーバは入力されたユーザ名、パスワードを使って認証を行い、ユーザに対して、汎用クラウドサービスからのアクセス要求を許可するか否かを問い合わせる。ユーザによりアクセスが許可された場合、認可サーバは汎用クラウドプリントサービス800に対してアクセストークンを発行する。以降、汎用クラウドプリントサービス800は選択された拡張クラウドプリントサービスにアクセスすることができるようになる。汎用クラウドプリントサービス800は、認可サーバから受け付けたアクセストークンを使って選択された拡張クラウドプリントサービスの印刷キューの情報を取得し、
図5に示す画面に表示する。
【0043】
以上により、汎用クラウドプリントサービス800を介して、拡張クラウドプリントサービス801上の印刷キューに印刷ジョブを投入することが可能となる。
【0044】
次に、
図6(A)を用いて、コンピュータ100から汎用クラウドプリントサービス800を経由して拡張クラウドプリントサービス801に印刷ジョブを投入する方法を説明する。
【0045】
図6(A)は、汎用クラウドプリントサービス800を用いて印刷を行う場合の表示画面の一例である。ユーザは汎用クルドプリントサービスにログインし、印刷するファイルを選択する。汎用クラウドプリントサービス800は、汎用クラウドプリントサービス800に登録された印刷キューの名称をリスト600で表示する。601は、拡張クラウドプリントサービス801に登録された仮想プリンタ502の印刷キューである。
【0046】
図6(B)は、汎用クラウドプリントサービス800が提供する印刷設定画面の一例である。「Print」ボタン900は印刷を指示するためのボタンである。ユーザが「Print」ボタン900を選択すると、汎用クラウドプリントサービス800が印刷ジョブを生成する。「印刷部数」設定領域901は、ユーザが印刷部数を設定するためのボタンである。カラーモード904はカラー印刷かモノクロ印刷かを選択する領域である。用紙サイズ902は出力する用紙サイズを設定する領域である。印刷向き903は印刷データを縦長で出力するか横長で出力するかを設定する領域である。汎用クラウドプリントサービス800は
図6(B)に記載のほかに
図4の標準設定1800で示す印刷設定を設定することができる。一方で、汎用クラウドプリントサービス800は、
図4の拡張設定1801で示される印刷設定を設定することができない。
【0047】
次に、
図7を用いて、ユーザが汎用クラウドプリントサービス800に登録された拡張クラウドプリントサービス801の仮想プリンタに対して登録した印刷ジョブを印刷する手順を説明する。ユーザがプリンタ200にログインすると、プリンタ200は拡張クラウドプリントサービス801にログインする。プリンタ200は、拡張クラウドプリントサービス801に記憶されている印刷ジョブの書誌情報を取得し、プリンタ200の表示部に表示する。ジョブリスト701には、拡張クラウドプリントサービス801に記憶された印刷ジョブの書誌情報がリスト表示される。ここには、コンピュータ100から拡張クラウドプリントサービス801に直接投入された印刷ジョブと、汎用クラウドプリントサービス800を経由して拡張クラウドプリントサービス801に投入された印刷ジョブの両方が表示される。ジョブリスト701において、ユーザが実行する印刷ジョブを選択すると、ジョブリスト701において、選択された印刷ジョブの背景色が反転する。その後、ユーザが「印刷」ボタン702を選択すると、選択された印刷ジョブが実行される。印刷ジョブを選択した状態で、「消去」ボタン703が選択されると、選択された印刷ジョブが削除される。
【0048】
これらを踏まえて、本実施例における印刷までの流れのまとめを
図3で説明する。なお、ユーザはあらかじめコンピュータ100から拡張クラウドプリントサービス801に印刷設定を登録しておく。
図3では、拡張クラウドプリントサービス801が汎用クラウドプリントサービス800から取得した印刷ジョブにあらかじめ設定された拡張設定1801を付加する。
【0049】
まず、ユーザはコンピュータ100のアプリケーションから
図6のクラウドプリンタキュー601を指定し、印刷実行を指示する(S1)。この際、クライアントのコンピュータ100上で印刷データを生成しても良いし、内部的にドキュメントのデータをそのままアップロードするような形をとっても良い。汎用クラウドプリントサービス800に印刷ジョブが保存されたら、拡張クラウドプリントサービス801が汎用クラウドプリントサービス800に投入された印刷ジョブの書式情報の取得を行う(S2)。ここで取得の対象となる書誌情報とは、ドキュメント名や印刷日時、印刷設定などドキュメントを管理する上で必要となる情報が該当する。この際、拡張クラウドプリントサービス801は汎用クラウドプリントサービス800から取得した印刷設定の情報にベンダー独自の拡張設定を追加する。これにより、拡張設定1801が反映された書誌情報が拡張クラウドプリントサービス801に記憶される。
【0050】
その後、ユーザがプリンタ200を操作し、印刷を行う作業に移行する。ユーザは、プリンタ200上のジョブリスト701(
図7)で印刷する対象の印刷ジョブを選択し、印刷実行を指示する。ユーザから印刷実行指示を受け付けた画像形成装置は、拡張クラウドプリントサービス801に選択された印刷ジョブの印刷要求を送信する(S3)。印刷要求を受けた拡張クラウドプリントサービス801は、汎用クラウドプリントサービス800から印刷が指示された印刷ジョブを取得する(S4)。拡張クラウドプリントサービス801は、受信した印刷ジョブと記憶している印刷設定情報に基づき印刷データを再度生成し、プリンタ200に送信する(S5)。
【0051】
以上により、汎用クラウドプリントサービス800を経由した印刷であっても、汎用クラウドプリントサービス800で設定することのできない拡張設定を反映した印刷を行うことができる。
【0052】
図10を用いて、クラウドプリントサービス上での印刷処理のシーケンスを説明する。
【0053】
ユーザはコンピュータ100を操作して、拡張クラウドプリントサービス801にアクセスし、印刷設定を登録する(S1001)。ユーザはWebブラウザを用いて、拡張クラウドプリントサービス801のURLにアクセスし、ユーザ名、パスワードを使って拡張クラウドプリントサービス801にログインする。そして、拡張クラウドプリントサービス801上で基本の印刷設定、またはユーザ個人の印刷設定を設定する。
図14は拡張クラウドプリントサービス801で管理される印刷設定テーブルである。印刷設定テーブルには、基本の印刷設定とユーザごとの印刷設定が記憶されている。基本の印刷設定は拡張クラウドプリントサービス801の管理者が設定する印刷設定である。ユーザごとの印刷設定は、拡張クラウドプリントサービス801にログインしたユーザが印刷するときに使用する印刷設定である。拡張クラウドプリントサービス801は「標準設定」と「拡張設定」に関して、デフォルト値を保持している。
図14の「基本」の列は、拡張クラウドプリントサービス801に設定されるデフォルト値である。なお、この設定は工場出荷値でも構わないし、管理者が設定したカスタマイズ値でも構わない。また、拡張クラウドプリントサービス801は「会社ごと」「部署ごと」のように複数の設定グループに階層を持たせて設定を管理しても良い。個人設定は、ユーザごとに管理されたデフォルト値である。
図14では「ユーザA」と「ユーザB」の個人設定が記憶されている。個人設定において、設定値が設定されていない項目については基本設定で設定された値を使用する。例えば「ユーザA」はいずれの設定項目も設定されていない。そのため、ユーザAが印刷を実行するときには基本設定で設定された値を使用する。また、「ユーザB」は「カラーモード」や「両面印刷」といった項目を別途、個別設定している。ユーザBが印刷を実行するときには、ユーザBが設定した設定値が使用される。ただし、ユーザBが設定していない設定項目である針なしとじや2色印刷については基本設定の設定値が適用される。
【0054】
コンピュータ100は、拡張クラウドプリントサービス801に対して汎用クラウドプリントサービス800との連携を指示する(S1002)。拡張クラウドプリントサービス801は汎用クラウドプリントサービス800の認可サーバに承認依頼を送信する(S1003)。汎用クラウドプリントサービス800はコンピュータ100に承認依頼を送信する(S1003)。汎用クラウドプリントサービス800はコンピュータ100に汎用クラウドプリントサービス800のユーザ名、パスワードを入力する画面を表示させる(S1004)。コンピュータ100は、ユーザがユーザ名とパスワードを汎用クラウドプリントサービス801に送信する(S1005)。汎用クラウドプリントサービス800は、入力されたユーザ名とパスワードを使って認証処理を行う(S1006)。認証に成功すると、汎用クラウドプリントサービスの認可サーバはアクセストークンを生成し、拡張クラウドプリントサービス801に送信する(S1007)。以降、拡張クラウドプリントサービス801は当該アクセストークンを使って、汎用クラウドプリントサービス800にアクセスする。
【0055】
コンピュータ100は汎用クラウドプリントサービス800にログイン要求を送信する(S1008)。コンピュータ100は汎用クラウドプリントサービス800にユーザ名とパスワードを送信する。もちろん、認証済みであれば本処理は省略しても構わない。また、タイミングに関してもシステムの利用時に限らず印刷ボタンを押下し、印刷指示をかけたタイミングで
図11に示す認証要求画面1101のような形で認証要求を行っても良い。認証要求画面1101は、ユーザに汎用クラウドプリントサービス800のユーザ名、パスワードを入力させる画面である。ユーザがユーザ名、パスワードを入力し「OK」ボタン1103を選択すると認証が実行される。また、別途システムが必要になったタイミングでOSを通して通知メッセージ1102を出し、ユーザにクリックさせることで認証要求画面1101を表示して認証をさせる形でも構わない。
【0056】
汎用クラウドプリントサービス800は、コンピュータ100から受け取ったユーザ名とパスワードを使って認証処理を行い、認証結果をコンピュータ100に通知する(S1009)。
図10では、汎用クラウドプリントサービス800が認証成功をコンピュータ100に返している。
【0057】
認証を行った後に、コンピュータ100は汎用クラウドプリントサービス800に登録された拡張クラウドプリントサービス801の仮想プリンタの印刷キューを選択して印刷指示を送信する(S1010)。本処理はコンピュータ100内部のアプリ1051によって行われるものでも、Web上に存在するWebアプリケーションや印刷サービスによって行われるものでも良い。また、クラウドプリントサービス上で印刷ジョブとして管理されるのであればファイルをアップロードするというだけでも構わない。汎用クラウドプリントサービス800は、印刷指示を受信して、印刷に用いられるPDL(Page Description Language)データと書誌情報を生成する。PDLデータには標準印刷の設定値と描画データが含まれている。書誌情報には、印刷ジョブを識別するための印刷ジョブID、ユーザ名、印刷が指示されたドキュメント名、印刷指示がなされた日時情報が含まれる。
【0058】
拡張クラウドプリントサービス801は汎用クラウドプリントサービス800に対して書誌情報や印刷設定といった印刷ジョブの情報の要求を行う(S1011)。なお、拡張クラウドプリントサービス801は所定時間おきに、汎用クラウドプリントサービス800の仮想プリンタの印刷キューにアクセスし、新しい印刷ジョブがあるか否かを問い合わせている。仮想プリンタの印刷キューに新しい印刷ジョブがある場合、当該印刷ジョブの書誌情報や印刷設定を取得する。S1011については、上記の方法でなくてもよい。例えば、汎用クラウドプリントサービス800の仮想プリンタの印刷キューに印刷ジョブが登録されると、そのことを汎用クラウドプリントサービス800が拡張クラウドプリントサービス801に通知するイベントを登録しておいてもよい。この場合、拡張クラウドプリントサービス801は汎用クラウドプリントサービス800からの通知に基づきS1011の処理を実行する。
【0059】
汎用クラウドプリントサービス800は拡張クラウドプリントサービス801に対して印刷ジョブの情報を送信する(S1012)。ここで、拡張クラウドプリントサービス801は汎用クラウドプリントサービス800が生成した印刷ジョブに含まれるPDLデータの印刷設定部分および書誌情報を受信する。
図12の1201は、汎用クラウドプリントサービス800から取得される印刷設定の一例である。拡張クラウドプリントサービス801のストレージのデータ容量圧迫を避けるため、拡張クラウドプリントサービス801は印刷する画像データの取得はここでは行わない。
【0060】
拡張クラウドプリントサービス801は受信した情報に拡張設定の設定情報を追加する(S1013)。
図12の1202は、拡張クラウドプリントサービス801により付加される拡張設定の一例である。
図12の1201、1202は合わせてS1013で拡張設定が設定された状態の印刷設定である。
【0061】
拡張クラウドプリントサービス801は、印刷設定の検証処理(Validate)や、印刷ジョブ情報の更新を行う(S1014)。
【0062】
以上が印刷ジョブの投入に係る処理である。以降、印刷の実行についてのシーケンスを説明する。
【0063】
まず、プリンタ200はユーザからユーザ名、パスワードの入力を受け付けて認証処理を実行する(S1015)。なお、拡張クラウドプリントサービス801の認証制御部80104の例で挙げたような別の認証手段で認証を行ってももちろん構わない。
【0064】
プリンタ200は、拡張クラウドプリントサービス801に対して印刷ジョブの書誌情報の取得要求を送信する(S1016)。プリンタ200が、拡張クラウドプリントサービス801のユーザ名、パスワードを記憶している場合、プリンタ200は記憶したユーザ名、パスワードを使って拡張クラウドプリントサービス801にログインする。プリンタ200が、拡張クラウドプリントサービス801のユーザ名、パスワードを記憶していない場合、プリンタ200の表示部に拡張クラウドプリントサービス801のユーザ名とパスワードを入力する画面を表示させる。そして、入力されたユーザ名とパスワードを使って拡張クラウドプリントサービス801にログインし、書誌情報を取得する。なお、プリンタ200が拡張クラウドプリントサービス801のユーザ名、パスワードを記憶していない場合に、プリンタ200が拡張クラウドプリントサービス801の認可サーバにアクセスし、アクセストークンを取得するとしてもよい。その場合、印刷ジョブの取得等は取得したアクセストークンを用いて行われる。
【0065】
書誌情報の要求を受けた拡張クラウドプリントサービス801はプリンタ200に対して印刷ジョブの書誌情報を送信する(S1017)。S1017において、拡張クラウドプリントサービス801が送信する書誌情報は
図7のジョブリスト701の表示で必要な「ドキュメント名」「印刷日時」といった最低限の処理情報である。また、表示上必要であれば、プリンタ200は「印刷設定」の中から「部数」や「カラー」情報のような情報も加えて取得する。
【0066】
プリンタ200はユーザから印刷ジョブの選択と印刷開始の指示を受け付け、拡張クラウドプリントサービス801に印刷要求を送信する(S1018)。拡張クラウドプリントサービス801は、記憶部80101が記憶する
図9に示す情報に基づき、印刷が指定された印刷ジョブが汎用クラウドプリントサービス800の仮想プリンタに登録された印刷ジョブであるか否かを判定する。
図9(A)に示すテーブルのクラウドプリントサービス情報のアクセス情報に基づき、そのジョブが汎用クラウドプリントサービス800に記憶されているジョブであるかを判定する。
【0067】
拡張クラウドプリントサービス801は汎用クラウドプリントサービス800に対して、書誌情報以外も含めた印刷ジョブ情報の要求を送信する(S1019)。汎用クラウドプリントサービス800は、拡張クラウドプリントサービス801から指定された印刷ジョブを拡張クラウドプリントサービスに送信する(S1020)。ここで、汎用クラウドプリントサービス800が送信する印刷ジョブは、印刷に用いられるPDLデータと書誌情報の両方を含んでいる。
【0068】
印刷ジョブの受信をした拡張クラウドプリントサービス801は、保持している印刷設定を印刷ジョブに適用する(S1021)。S1021で、拡張クラウドプリントサービス801は、記憶している印刷設定の標準設定部分と受信した印刷ジョブに含まれるPDLデータに含まれる標準設定の比較に基づき、
図12に示す印刷設定の1201を更新する。そして、PDLデータに含まれる印刷設定を、更新後の標準設定と拡張設定の両方を含む印刷設定に書き換える。これにより、汎用クラウドプリントサービス800が生成した印刷ジョブに拡張設定を反映することができる。
【0069】
拡張クラウドプリントサービス801は、汎用クラウドプリントサービス800に印刷ジョブの取得完了通知を送信する(S1022)。汎用クラウドプリントサービス800は、印刷ジョブの取得完了通知を受け付けて、当該印刷ジョブを仮想プリンタの印刷キューから削除する(S1023)。さらに、汎用クラウドプリントサービス800で当該印刷ジョブのステータスを印刷完了としてもよい。
【0070】
拡張クラウドプリントサービス801はプリンタ200に印刷ジョブを送信する(S1024)。S1024において、拡張クラウドプリントサービス801がプリンタ200に送信する印刷ジョブは標準設定と拡張設定の両方が設定された印刷ジョブである。この際、拡張クラウドプリントサービス801からプリンタ200に対して送信された印刷設定にプリンタ200が処理不可能なものが含まれていた場合は、設定を捨てるか丸める等の処理が行われる。例えば、片面印刷のみの機種に「両面」という印刷設定を指定しても「片面」として処理されるし、カラー設定に「赤青の2色」のような特殊な指定がされていた場合は、「カラー」あるいは「モノクロ」のように解釈可能な設定に丸められる。また、A4サイズのような用紙サイズの設定のように勝手に変更すると差し支えのあるような設定に関しては、プリンタ200のパネル上に設定の選択画面を表示し印刷時にユーザに選択を行わせても構わない。
【0071】
プリンタ200は、印刷が完了すると、拡張クラウドプリントサービス801に印刷完了通知を送信する(S1025)。拡張クラウドプリントサービス801は、プリンタ200からの印刷完了通知に基づき、印刷ジョブを削除する(S1026)。
【0072】
ここから
図13、
図15にて、
図10における拡張クラウドプリントサービス801上で行われる処理について詳細を述べる。ここで、
図13は汎用クラウドプリントサービス800との印刷ジョブの同期処理について説明し、
図15では印刷処理の際のプリンタ200や汎用クラウドプリントサービス800とのやり取りについて述べる。
【0073】
図13では、拡張クラウドプリントサービス801が汎用クラウドプリントサービス800から書誌情報を取得する処理を示すフローチャートである。本フローチャートは拡張クラウドプリントサービス801を構成する1または複数の情報処理装置のCPUがROMやHDDに記憶されたプログラムを読み出して実行することで実現される。本フローの目的は、2つある。ひとつは拡張クラウドプリントサービス801がプリンタ200とのやり取りの際にプリンタ200に対してジョブの一覧を提示するための「ジョブ名」や「印刷日時」といった情報を取得することである。もうひとつの目的は、汎用クラウドプリントサービス800が管理している一般的な標準設定1201に対して、プリンタベンダーが管理する独自の拡張設定1202を追加することである。
【0074】
まず、拡張クラウドプリントサービス801の印刷ジョブ管理部80106は汎用クラウドプリントサービス800に対して、印刷ジョブの情報の取得要求を送信する(S1301)。
【0075】
拡張クラウドプリントサービス801の印刷ジョブ管理部80106は、汎用クラウドプリントサービス800に記憶されている印刷ジョブの情報を受信する(S1302)。拡張クラウドプリントサービス801は、汎用クラウドプリントサービス800の仮想プリンタに登録されているすべての印刷ジョブについて書誌情報と印刷設定を取得する。ここで取得する情報は、ジョブの処理情報や一覧として表示するための表示用の情報、印刷設定情報である。具体的にはジョブ名、ジョブID、印刷日時、ユーザ名、ジョブのデータサイズ、標準設定の設定値等である。このようにすることで、拡張クラウドプリントサービス801のストレージを圧迫することなく、汎用クラウドプリントサービス800経由で投入された印刷ジョブの情報を表示することができる。なお、拡張クラウドプリントサービス801のストレージの容量に余裕がある場合は、この段階でジョブのドキュメント本体を含む、全ての情報を取得してきても構わない。
【0076】
拡張クラウドプリントサービス801の印刷ジョブ管理部80106は、取得した印刷ジョブの情報と拡張クラウドプリントサービス801が管理している情報に違いがあるか判定を行う(S1303)。S1303は、前回、印刷ジョブの書誌情報を取得したタイミングからの差分を確認し、追加された印刷ジョブの書誌情報をジョブリスト701に追加し、削除された印刷ジョブをジョブリスト701から削除するためである。もし、特に違いがなければ、フロー先頭のステップ1301の書誌情報の取得要求に戻り、ポーリング処理を行う。
【0077】
印刷ジョブの情報に差分があった場合、拡張クラウドプリントサービス801の印刷ジョブ管理部80106は、更新された印刷ジョブの情報の追加、削除を行う(S1304)。印刷ジョブ管理部80106は、記憶部80101が記憶するテーブルで管理される書誌情報、印刷設定を更新する。たとえば、印刷ジョブ管理部80106は、記憶部80101が管理するテーブルに記憶されていない印刷ジョブの書誌情報を汎用クラウドプリントサービス800から受信してテーブルに追加する。一方で、印刷ジョブ管理部80106は、記憶部80101が記憶するテーブルに記憶されている印刷ジョブの書誌情報を汎用クラウドプリントサービス800から受信しなかったことに従って、当該印刷ジョブの書誌情報を削除する。なお、書誌情報の削除に関しては、このタイミングで印刷ジョブの書誌情報全体を削除しても良いし、「削除フラグを立てる」だけであってもよい。削除フラグを立てる場合、後に「印刷履歴から印刷を行う等の機能」で参照するため所定のタイミングまで書誌情報の削除を行わずに記憶したままにしておく。
【0078】
拡張クラウドプリントサービス801は、記憶部80101が管理するテーブルに追加するすべての印刷ジョブの書誌情報についてS1305からS1315までの処理を行う。
【0079】
まず、拡張クラウドプリントサービス801の印刷設定処理部80102は、拡張クラウドプリントサービス801にデフォルトとして設定されている標準印刷設定を取得する(S1306)。S1306において、印刷設定処理部80102は、
図14を参照し標準印刷設定を取得する。たとえば、テーブルに追加する印刷ジョブがユーザBの印刷ジョブである場合、
図14からユーザBに紐づく標準設定を取得する。このとき、ユーザBが設定していない設定項目については基本設定の値を取得する。一方で、テーブルに追加する印刷ジョブが
図14に記憶されていないユーザの印刷ジョブである場合、基本設定のうちの標準設定を取得する。
【0080】
印刷設定処理部80102は、S1306で設定値を取得した項目がすべて設定済みであるか否か判定する(S1307)。この「標準設定」は汎用クラウドプリントサービス800でも管理されており、基本的には設定されている値である。しかしながら、設定が省略されて存在しなかったり、設定値が空白となっていたりすることがある。
【0081】
未設定の項目がある場合、印刷設定処理部80102は、標準設定で決められた設定項目がすべて設定されているかを判定し、設定されていない項目に関しては拡張クラウドプリントサービス801に登録されている設定値を設定する(S1308)。全ての項目が設定されている場合、印刷設定処理部80102はS1308を行わずにS1309に処理を進める。
【0082】
印刷設定処理部80102は、
図14に示すテーブルから拡張設定の設定値を取得する(S1309)。印刷設定処理部80102は印刷ジョブの書誌情報を管理するテーブルに追加する書誌情報の印刷ジョブに紐づくユーザ名を参照し、追加する拡張設定の設定値を取得する。たとえば、書誌情報を更新する印刷ジョブがユーザBの印刷ジョブであれば、
図14に示すユーザBに紐づく拡張設定を取得する。ユーザBによって設定されていない設定項目については、基本設定の設定値を取得する。また、書誌情報を更新する印刷ジョブのユーザに対応する拡張設定が
図14に記憶されていない場合には、基本設定の設定値を取得する。
【0083】
印刷設定処理部80102は、「拡張設定」の取得を行った後に、その設定を追加することで効果が発生するかの判断を行う(S1310)。印刷設定処理部80102は、拡張設定の設定項目それぞれが無効に設定されているか否かを判定する。無効に設定されている設定項目については、印刷設定に追加をしなくても出力結果が変わらないため効果が発生しないとする。一方で、設定が無効に設定されていない場合、印刷設定処理部80102はその設定は追加により効果が発生する設定項目であるとしてS1311に記載の処理を実行する。
【0084】
印刷設定処理部80102は、効果が発生すると判定された設定項目の設定をS1304で取得した印刷設定に付加する(S1311)。これにより、拡張クラウドプリントサービス801で設定される印刷設定であって、汎用クラウドプリントサービス800で設定することのできない印刷設定を付加することができる。なお、本実施例では、付加により効果を発生する設定項目についてのみを汎用クラウドプリントサービス800から取得した印刷設定に付加するとした。しかし、効果の有無にかかわらず汎用クラウドプリントサービス800から取得した印刷設定に
図14の拡張設定で示される設定項目の設定を付加するとしてもよい。
【0085】
印刷設定処理部80102は、「拡張設定」の追加を行った後、既存の「標準設定」と「拡張設定」で禁則が発生しているか否かの判定を行う(S1312)。拡張クラウドプリントサービス801は、
図4で示す設定項目について、一つの印刷ジョブに対して設定することのできない設定の組み合わせをテーブルで記憶している。なお、このテーブルでは、一つのジョブに対して設定することのできない印刷設定の組み合わせが設定されている場合に、いずれの設定項目の設定値を変更するかが記憶されている。S1312において、印刷ジョブ管理部80106は、印刷ジョブに対して設定されている設定値と当該テーブルを比較し、禁則設定がなされているか否かを判定する。例えば「拡張設定」の「強制両面」の設定が「オン」になっている状態で「標準設定」が「片面」のような場合は禁則設定がなされていると判定する。
【0086】
印刷設定処理部80102は、禁則発生している設定項目のいずれかの設定項目を
図14に示す基本設定で決められた値にすることで禁則を解消する(S1313)。印刷ジョブ管理部80106は、一つのジョブに対して設定することのできない印刷設定の組み合わせが記憶されたテーブルで示される設定項目の設定値を基本設定の値に変更する。例えば、「拡張設定」の「強制両面」の設定が「オン」になっている状態で「標準設定」が「片面」のような場合、「標準設定」を「片面」から「両面」に変更する。
【0087】
印刷設定処理部80102は、変更後の印刷設定を記憶部80101に保存する(S1314)。印刷ジョブ管理部80106は、S1315まで処理を進めた後、拡張設定の追加が完了していない印刷ジョブがあればS1305に処理を戻す。全ての印刷ジョブについて拡張設定の追加が完了している場合、
図13に示す処理を完了する。
【0088】
図13に記載の処理を行うことで、拡張クラウドプリントサービス801は汎用クラウドプリントサービス800上のジョブと同期を行うとともに、独自の拡張設定を追加することが可能となる。
【0089】
次に、
図15を用いて、印刷処理の際のプリンタ200や汎用クラウドプリントサービス800とのやり取りについて述べる。本処理は、ユーザがプリンタ200のパネル上でログイン処理を行い、印刷対象のジョブを選択し、印刷を実行する際の拡張クラウドプリントサービス801側の処理となる。
図15に記載の処理は、拡張クラウドプリントサービス801を構成する1または複数の情報処理装置のCPUがROMやHDDに記憶されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0090】
まず、本フローの直前のプリンタ200の処理になるが、ユーザがプリンタ200のパネル上でログイン処理をすると、プリンタ200は
図7のジョブリスト701を表示する必要がある。このため、プリンタ200はジョブのリストや「部数」などジョブ内の印刷設定の一部といった印刷ジョブの書誌情報を拡張クラウドプリントサービス801側に要求する。この要求に応答するため、印刷ジョブ管理部80106は、拡張クラウドプリントサービス801ではプリンタ200からの印刷ジョブの書誌情報要求を待ち受ける(S1501)。
【0091】
プリンタ200からの書誌情報の要求を受けると、拡張クラウドプリントサービス801の操作制御部80108はプリンタ200に対して、ジョブのリストや印刷設定などプリンタパネルのジョブリスト701に表示する情報の送信を行う(S1502)。これにより、プリンタ200の表示部に
図7のジョブリスト701が表示される。ユーザによる印刷する対象のジョブの選択、印刷の指示を受け付けるために、拡張クラウドプリントサービス801の操作制御部80108はこの要求の待ち受けを行う(S1503)。
【0092】
印刷ジョブの要求を受けると、拡張クラウドプリントサービス801の印刷ジョブ管理部80106は、印刷対象の印刷ジョブの要求を汎用クラウドプリントサービス800に対して行う(S1504)。S1504で、拡張クラウドプリントサービス801は、印刷に必要なドキュメント本体に加えて、書誌情報の取得要求を送信する。なお、クラウドプリントサービスのストレージの容量が充分にあり、最初からドキュメント本体を取得済みである場合は、取得要求するのはジョブの書誌情報のみでも構わない。
【0093】
印刷ジョブ管理部80106は、印刷ジョブの詳細を汎用クラウドプリントサービス800から取得する(S1505)。
【0094】
その後、印刷設定処理部80102は取得したジョブの印刷設定が更新されているかどうかの判定を行う(S1506)。この判定を行うのは拡張クラウドプリントサービス801以外の印刷サービスが汎用クラウドプリントサービス800にアクセスして印刷設定を更新している可能性があるためである。印刷設定処理部80102は、取得した書誌情報に記憶されている標準設定と、拡張クラウドプリントサービス801で記憶している標準設定を比較し、印刷設定が更新されているか否かを判定する。
【0095】
印刷設定が更新されている場合は、印刷設定処理部80102は、拡張クラウドプリントサービス801側で管理している印刷設定と取得した印刷設定のマージを行う(S1507)。この際、印刷設定処理部80102は、取得された印刷ジョブについて印刷設定が変更されたと記憶される日時情報と、拡張クラウドプリントサービス801が記憶している印刷設定が変更された時刻情報とを比較する。印刷設定処理部80102は、印刷設定が変更された時刻が新しい方の書誌情報で設定された値に設定値を更新する。なお、更新された時間帯に関しては印刷設定内か、ジョブ内の拡張情報として更新日時を保存しておき、それを使用するでも構わないし、外部の管理システムによって制御されていても構わない。また、予めどちらのクラウドプリントサービスの内容を優先するかを設定しておき、当該設定で決められたクラウドサービスに記憶されている設定値で印刷ジョブを実行するとしてもよい。
【0096】
印刷設定処理部80102は、印刷設定に禁則が発生しているか否かの判定を行う(S1508)。S1508における処理は、
図13でS1310と同様の処理である。
【0097】
禁則が発生している場合、印刷設定処理部80102は優先度の低い方の印刷設定で印刷ジョブの書誌情報を変更する(S1509)。S1509における処理は、
図13で説明したS1312と同様の処理である。
【0098】
最後に、印刷ジョブ管理部80106は、ドキュメントの本体と、更新された印刷設定を合わせた印刷ジョブを生成し、プリンタ200に印刷ジョブを送信する(S1510)。印刷ジョブ管理部80106は、画像処理部80103を制御し、印刷ジョブを生成する。そして、印刷ジョブ管理部80106は、プリンタ200に印刷ジョブを送信する。
【0099】
以上の処理を行うことで、拡張クラウドプリントサービス801上で、プリンタ200からの印刷処理を受け付け、印刷を行うことが可能となる。
【0100】
なお、これら
図13、
図15の処理は、内部データに矛盾が生じないようトランザクション処理がされているのであれば、それぞれ独立した処理として動作させても構わない。
【0101】
以上のようにクラウドプリントサービス上で印刷処理を行うことで、ユーザが汎用クラウドプリントサービス800を通して印刷処理を行った場合においても、ベンダー独自の拡張印刷設定を適用させることが可能となる。
【0102】
<実施例2>
実施例1では、汎用クラウドプリントサービス800の印刷設定に対して拡張クラウドプリントサービス801で持つ独自の拡張印刷設定を追加する方法について述べた。実施例1の構成では、印刷ジョブごとに個別の設定を行うことができなかった。これを解決する手段として、本実施例では拡張クラウドプリントサービス801が提供する印刷設定画面を取得し、各印刷ジョブに対して印刷設定を適用させる処理に関して述べる。
【0103】
図16はユーザ端末から、拡張クラウドプリントサービス801上の印刷設定画面を取得し、印刷設定を適用させる処理のシーケンスに関する図である。なお、ユーザ端末はコンピュータ100でもプリンタ200でも、拡張クラウドプリントサービス801にアクセスし、印刷設定画面を取得可能であるなら種類は問わない。また、本処理を実施するタイミングは印刷ジョブがクラウド上に登録された
図10のステップ1006の後であるが、システム上で設定の食い違いが起こらないようトランザクション処理がなされているのなら、特にタイミングに関して限定はしない。
【0104】
はじめに、ユーザはコンピュータ100またはプリンタ200にログインする(S1601)。
【0105】
次に、ユーザ端末は拡張クラウドプリントサービス801にアクセスし、ログイン要求を送信する(S1602)。ユーザ端末は拡張クラウドプリントサービス801にアクセスし、ユーザ名、パスワードの入力を行う。拡張クラウドプリントサービス801は、入力されたユーザ名とパスワードを使って、認証処理を行う。
【0106】
拡張クラウドプリントサービス801はログイン成功通知をユーザ端末に送信する(S1603)。
【0107】
ユーザ端末は、印刷設定画面の取得要求を拡張クラウドプリントサービス801に送信する(S1604)。
【0108】
拡張クラウドプリントサービス801は、印刷設定画面をユーザ端末に返す前に、汎用クラウドプリントサービス800に書誌情報の要求を送信する(S1605)。これは、汎用クラウドプリンとサービス800側で印刷設定の更新がなされているか否かを確認するためである。汎用クラウドプリントサービス800は印刷ジョブの書誌情報を拡張クラウドプリントサービス801に送信する(S1606)。
【0109】
拡張クラウドプリントサービス801は、記憶している印刷設定と取得した印刷設定を比較する。二つの印刷設定に差がある場合、取得した印刷設定で印刷設定の更新を反映させる(S1607)。なお、更新タイミングが最新のものを優先させる、常に拡張クラウドプリントサービス801の設定を優先させる、等のポリシーが存在する場合は、この限りではない。
【0110】
拡張クラウドプリントサービス801は、禁則設定がなされているか否かを判定する。「強制両面なのに片面となっている」等、禁則が発生している場合、拡張クラウドプリントサービス801は禁則を解消するために印刷設定の更新をする(S1608)。ここでは、禁則情報が記憶されているテーブルに基づき、拡張クラウドプリントサービス801はどの設定項目の設定値を変更するかを決定する。決定された設定項目の設定値を基本設定へと変更する。
【0111】
設定の整合性が取れたら、拡張クラウドプリントサービス801は、印刷設定画面(
図17)をユーザ端末に送信する(S1609)。
図17(A)は、印刷設定画面の要求を行ったユーザ端末がコンピュータ100である場合に、送信される画面の一例である。
図17(B)は、印刷設定画面の要求を行ったユーザ端末がプリンタ200である場合に、送信される画面の一例である。いずれの画面であっても、標準設定、拡張設定の両方を設定することのできる画面をユーザ端末に表示する。
【0112】
ユーザはユーザ端末に表示された印刷設定画面を操作し、画面上で印刷の設定を行う(S1610)。ユーザが印刷設定画面の「OK」ボタン1702、1703を選択すると、印刷設定が拡張クラウドプリントサービス801に送信される(S1611)。
【0113】
ユーザの設定した印刷設定を受け取った拡張クラウドプリントサービス801は、
図9に示すテーブルの印刷設定に、ユーザ端末から受け取った印刷設定を反映する(S1612)。
【0114】
拡張クラウドプリントサービス801は、印刷設定に禁則が発生しているか否かを判定する。そして、禁則が発生している場合にはS1608と同様の方法で禁則を解消する(S1613)。
【0115】
最後に、拡張クラウドプリントサービス801は、更新した印刷設定のうち、標準設定部分を汎用クラウドプリントサービス800に送信する(S1614)。印刷設定を受信した汎用クラウドプリントサービス800は、たとえば、管理している印刷ジョブの印刷設定の更新を行う。
【0116】
以上に処理を行うことで、クラウドプリントサービス上で印刷設定の更新を行うことが可能となる。
【0117】
<その他の実施形態>
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。