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特許7418118モータ制御装置、撮像装置、プログラム、記憶媒体及びモータ制御方法
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  • 特許-モータ制御装置、撮像装置、プログラム、記憶媒体及びモータ制御方法 図1
  • 特許-モータ制御装置、撮像装置、プログラム、記憶媒体及びモータ制御方法 図2
  • 特許-モータ制御装置、撮像装置、プログラム、記憶媒体及びモータ制御方法 図3
  • 特許-モータ制御装置、撮像装置、プログラム、記憶媒体及びモータ制御方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】モータ制御装置、撮像装置、プログラム、記憶媒体及びモータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 8/24 20060101AFI20240112BHJP
   H02P 8/12 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02P8/24
H02P8/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019219969
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021090292
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】藤永 隆史
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-072782(JP,A)
【文献】特開2019-009861(JP,A)
【文献】特開2014-090323(JP,A)
【文献】特開2001-286195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P8/00-8/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッピングモータの制御を行うモータ制御装置であって、
被駆動体を第1の方向へ駆動する場合に第1の駆動テーブルを参照して、高調波成分を有する第1の電流を駆動電流として設定する第1の設定手段と、
被駆動体を前記第1の駆動方向とは逆の第2の方向へ駆動する場合に第2の駆動テーブルを参照して、高調波成分を有する第2の電流を駆動電流として設定する第2の設定手段と、
被駆動体の駆動を停止する場合に、被駆動体の停止位置を補正する補正手段と、
を有し、
前記補正手段は、第1の駆動テーブルにおける前記停止位置での駆動電流と前記第2の駆動テーブルにおける前記停止位置での駆動電流が異なる場合において前記停止位置が補正されるように、第3の駆動テーブルを参照して、第3の電流を駆動電流として設定することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置であって、
前記第1の電流と前記第2の電流とは、時間方向において同一の波形であることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
請求項に記載のモータ制御装置において、
前記第3の電流は、前記第1の電流と前記第2の電流の平均値であることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
請求項に記載のモータ制御装置において、
前記第3の電流は、前記第1の電流と同一であることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項5】
請求項に記載のモータ制御装置において、
前記第3の電流は、前記第2の電流と同一であることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
前記補正手段は、前記被駆動体を所定の位置に駆動する場合に、前記被駆動体の停止位置を補正することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載のモータ制御装置を有する撮像装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のモータ制御装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項に記載のプログラムを記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項10】
ステッピングモータの制御を行うモータ制御方法であって、
被駆動体を第1の方向へ駆動する場合に第1の駆動テーブルを参照して、高調波成分を有する第1の電流を駆動電流として設定する第1の設定ステップと、
被駆動体を前記第1の駆動方向とは逆の第2の方向へ駆動する場合に第2の駆動テーブルを参照して、高調波成分を有する第2の電流を駆動電流として設定する第2の設定ステップと、
被駆動体の駆動を停止する場合に、被駆動体の停止位置を補正する補正ステップと、
を有し、
前記補正ステップにおいて、第1の駆動テーブルにおける前記停止位置での駆動電流と前記第2の駆動テーブルにおける前記停止位置での駆動電流が異なる場合において前記停止位置が補正されるように、第3の駆動テーブルを参照して、第3の電流を駆動電流として設定することを特徴とするモータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置、撮像装置、プログラム、記憶媒体及びモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータは、OA機器、医療機器、PTZ機能を持つネットワークカメラ等多くの組み込み製品に用いられている。精密な駆動を実現するために、励磁電流を正弦波状にすることで精密なマイクロステップ駆動を行う技術が存在する。しかし、低速駆動条件下では、ステッピングモータの回転子と固定子の磁気的吸引力のよりコギングトルクが発生するため、正弦波励磁電流を用いた場合でも精密な等速駆動が行えない場合がある。カメラの雲台制御等でこの現象が起こると、駆動中に撮影された動画も脈動成分が含まれてしまい、ユーザーに不快感を与えてしまう。
【0003】
このコギング成分を補償するため励磁電流波形に高調波成分を重畳させることで、等速駆動を実現する手法が特許文献1で提案されている。
【0004】
しかし、実際に高調波成分を電流波形に重畳させて駆動を行う場合は、励磁電流波形の電気角と実際のモータの機械角との微妙なズレにより、図1(a)に示すような時間方向に非対称となる成分を含む電流波形となることがある。コギングの影響はモータの回転方向(時計方向CW、反時計方向CCW)によらず同一であるため、いずれの方向に駆動させた場合でも時間方向に対して同一波形である必要がある。
【0005】
特定の励磁電流でモータ駆動を行う際には、電気角一周期分の電流値を算出する情報(以下、駆動テーブルという。)を持ち、逐次参照することで駆動を実現する手法が一般的である。
【0006】
例えば、図1(b)のような一連の電流値の情報が駆動テーブルとなり、目標位置指定に対して、テーブルのある番号まである一定の周期で逐次的に更新することで、駆動量と駆動速度をコントロールすることができる。このとき、駆動テーブルを反対の順序で参照し逐次更新を行うと駆動方向を反転させることができる。
【0007】
しかし、前述の通りコギングを補償するためには駆動波形が時間方向に対して同一波形である必要がある。そのため、コギングを補償しながら反対の順序で参照するためには、図1(c)のような、元のテーブルの電流波形を横軸(時間軸)方向に反転させた別のテーブルを用意する必要がある。この場合、あるテーブル位置で停止させようとした場合、前段の駆動方向によって最後に参照する電流値が変わるため、ユーザーが指定した停止位置(テーブル番号)が同一でも、前段の駆動方向によってメカの停止位置が変わる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-9861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1に開示された従来技術では、駆動方向による電流値の参照方法および、停止時の課題に付いて触れられていない。よって、歪ませた駆動テーブルを参照し動作させる場合において、停止時の電流値が駆動方向により変わってしまう課題が発生する。その結果、ユーザーが指定した停止位置が同一でも、前段の駆動方向によってメカの停止位置が変わる可能性がある。駆動対象が撮像装置の雲台であれば、停止時の画角が変わってしまうため、ユーザーの利便性を損ねてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。
【0011】
ステッピングモータの制御を行うモータ制御装置であって、被駆動体を第1の方向へ駆動する場合に第1の駆動テーブルを参照して、高調波成分を有する第1の電流を駆動電流として設定する第1の設定手段
と、被駆動体を前記第1の駆動方向とは逆の第2の方向へ駆動する場合に第2の駆動テーブルを参照して、高調波成分を有する第2の電流を駆動電流として設定する第2の設定手段と、被駆動体の駆動を停止する場合に、被駆動体の停止位置を補正する補正手段と、を有し、
前記補正手段は、第1の駆動テーブルにおける前記停止位置での駆動電流と前記第2の駆動テーブルにおける前記停止位置での駆動電流が異なる場合において前記停止位置が補正されるように、第3の駆動テーブルを参照して、第3の電流を駆動電流として設定することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】2相ステッピングモータの駆動制御を説明する図。
図2】本実施形態のシステム構成図および機能ブロック図。
図3】本実施形態の駆動テーブルを示す図。
図4】本実施形態の制御方法のメインフローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図2(a)に本実施例による駆動システムの構成例を示す。本実施例における監視システムは主にパン、チルト機構を持つ雲台付き撮像装置101、雲台を制御するコントローラ装置102によって構成されている。図2(b)は、本実施例における機能ブロック図である。
【0015】
雲台付き撮像装置101(モータ制御装置)は、撮像部201、画像処理部202、システム制御部203、パン駆動部204、チルト駆動部205、記憶部206、電流値算出部207、通信部208を備えている。
【0016】
撮像部201は、レンズおよび撮像素子から構成され、被写体の撮像および電気信号への変換を行う。
【0017】
画像処理部202は、撮像部201によって変換された電気信号に画像処理、圧縮符号化処理を行い、画像データを生成し、システム制御部203へ伝達する。
【0018】
パン駆動部204は、パン動作を行うメカ駆動系とその駆動源のモータにより構成され、モータが駆動されることによりパン駆動機構(被駆動体)がパン方向に駆動する。チルト駆動部205は、チルト動作を行うメカ駆動系とその駆動源のモータにより構成され、モータが駆動されることによりチルト駆動機構(被駆動体)がチルト方向に駆動する。
【0019】
システム制御部203(第1の設定手段、第2の設定手段、補正手段)は、通信部208を介して、生成された画像データをコントローラ装置102に配信する。また、通信部208を介して伝達された制御コマンドを解析し、コマンドに応じた処理を行う。例えば、画像処理部202に対して画質調整の設定や、パン駆動部204、チルト駆動部205に対してパン・チルト動作の設定といった撮影パラメータ設定の指示を行う。
【0020】
記憶部206は、画質調整のパラメータやネットワークの設定値を記憶し、再起動した場合でも以前設定した値を参照することが可能である。また、電流波形を生成するための複数のテーブル情報も保持している。
【0021】
通信部208は、LANによるネットワーク通信の処理を行う。
【0022】
コントローラ装置102は、表示部211、入力部212、システム制御部213、通信部214を備えている。
【0023】
表示部211は、液晶表示装置等であり、通信部214を介して、雲台付き撮像装置101からそれぞれ受信した画像データの表示を行う。また、表示部211は、雲台付き撮像装置101の撮像装置へのコマンド送信を行うためのユーザーインターフェースを表示する。指定手段としての入力部212は、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス等である。システム制御部213は、ユーザーからの操作に応じて、通信部214を介し雲台付き撮像装置に制御コマンドを送信する。
【0024】
図3は本実施例の駆動システムのテーブル駆動原理である。図3を用いて、ユーザーの指示に基づいて、テーブルを用いて電流を算出し、モータを指定位置まで駆動する手法を説明する。
【0025】
記憶部206にはCW駆動テーブル301、CCW駆動テーブル302、停止テーブル303を保持している。301、302、303のテーブルはテーブル番号304と電流情報305からなる。
【0026】
CW駆動テーブル301は、規定の軸から見た時の時計回りの方向にモータが駆動する際に参照するテーブルである。駆動時には昇順で値を参照する。このCW駆動テーブル301による励磁電流(第1の電流)の波形は、コギングトルクの影響を抑制するために高調波成分を含む。
【0027】
CCW駆動テーブル302は、規定の軸から見た時の反時計周りの方向にモータが駆動する際に参照するテーブルである。駆動時には降順で値を参照する。このCCW駆動テーブル302による励磁電流(第2の電流)の波形もCW駆動テーブル301と同様、コギングトルクの影響を抑制するために高調波成分を含む。ここで、CW駆動テーブル301の駆動電流の波形と、CCW駆動テーブル302の駆動電流の波形とは、時間方向において同一波形である。
【0028】
停止テーブル303は、駆動が終了した段階で参照するテーブルである。本実施形態では、CW駆動テーブル301とCCW駆動テーブル302の平均値の電流(第3の電流)を停止テーブルとしているが、これに限定されない。要は、CW、CCWにおいて、駆動停止時に共通の駆動テーブルを参照できればよい。例えば、駆動停止時には、一律にCW駆動テーブル301又はCCW駆動テーブル302を参照するようにしてもよい。
【0029】
テーブル番号304は、ユーザーが指定した目標位置に対応する識別番号である。例えば、テーブル一周分でモータが5度駆動する場合において、「CW方向に7.5度だけ駆動」というユーザー指示は、「CW駆動テーブルに基づいてテーブル番号で一周半の区間分昇順で参照する」といった駆動処理として解釈される。電流情報305は、モータに印加する電流値、または電流値を算出するための情報である。モータを駆動させる際には、電流値を直接テーブルから参照するか、電流値を算出するための情報を元に電流値を算出する手法をとる。
【0030】
電流値を算出する手法の一例を示す。
【0031】
=Isinθ (1)
=Icosθ (2)
式(1)、式(2)は、二相ステッピングモータにおける電流波形を変数θから導出する計算式の一例である。説明を簡単にするため、高調波成分を含まない単純な正弦波の例で説明する。
【0032】
図3(b)のCW駆動テーブル306、CCW駆動テーブル307では、電流情報308が式(1)式(2)中のθの値と対応としており、電流値算出部207で計算処理を行うことでθから電流値を算出する。
【0033】
このとき、変数θを表す電流情報305がテーブル番号に対して比例の値を取れば、生成される電流値は正弦波に近づく。しかし、本実施例ではコギング補償を前提としているので、意図的に歪ませた(高調波成分を含んだ)電流波形を生成するためにテーブル番号対応表309のような非線形な形状をとる。また、駆動方向によって参照する電流値を変える必要があるため、駆動方向ごとにCW駆動テーブル306、CCW駆動テーブル307を定義している。
【0034】
図4は本実施例の駆動システムのメインフローである。図4を用いて、今回の歪み電流テーブルを用いて駆動する際に停止位置を補正する処理を示す。
【0035】
S401で、ユーザーがコントローラ装置102から雲台付き撮像装置101に対して、駆動指示を行う。駆動指示とは、雲台付き撮像装置101に対してある目標位置に雲台を駆動させるための指示である。駆動指示は、操作バーやGUIから駆動量を指定する手法や、予め記憶部206に保持された特定のプリセット位置に駆動を行う手法でもよい。
【0036】
S402で、ユーザーが指定した目標位置が駆動テーブルの何周目の何番目に対応しているか計算される。例えば、目標位置が32.5度であり、テーブル一周で5度駆動する場合は、「テーブルを6回周回させ、512番目のテーブル番号」が32.5度に対応する。上記のように、ユーザーが指定した目標位置とテーブル番号および周回数が一対一対応する。
【0037】
S403で、記憶部206に保持されている雲台の現在位置と、S401でユーザーから指定された目標位置を比較することで、駆動方向を決定する。例えば現在位置を指す数値が目標位置を指す数値より小さければCW方向を駆動方向とし、現在位置を指す数値が目標位置を指す数値より大きければCCW方向を駆動方向とする。このとき、現在位置を表すテーブルの周回数とテーブル番号と、目標位置を表すテーブルの周回数とテーブル番号を比較することによって駆動方向を決定しても良い。
【0038】
S404で、駆動に用いるテーブルを駆動方向により選択する。CW方向に駆動する場合、CW駆動テーブル301を使用し、CCW方向に駆動する場合、CCW駆動テーブル302を使用する。
【0039】
S405で、選択された駆動テーブルに基づいてモータへの励磁を開始する。駆動テーブルは図3のようなテーブル番号304と電流情報305からなる。図3(a)のように電流情報305が電流値である場合、電流値をそのまま各相のモータに流すよう制御を行う。図3(b)のように電流情報305が電流値ではなく電流値を算出するための所定の情報である場合、所定の計算に基づいて電流情報から電流値を電流値算出部207により算出し、算出した電流を各相のモータに流すよう制御する。
【0040】
S406は、駆動方向に基づいてテーブル参照位置を更新する。CW方向への駆動であれば、CW駆動テーブルに基づいて昇順で電流値を更新し、CCW方向への駆動であれば、CCW駆動テーブルに基づいて降順で電流値を更新する。
【0041】
S407では、テーブルの参照位置が目標位置まで到達したかを判定し、到達していなければS406へと戻る。到達したか否かの判定手法はS402で計算したテーブル番号および周回数に到達したかで決定する。S407で目標位置まで到達したと判定できれば記憶部206に現在位置を保存しS408に進む。
【0042】
S408ではS401における駆動指示がプリセット位置指定であった場合、S409へと進む。
【0043】
S409では、駆動テーブルとは別に定義した停止テーブルを用いて停止時の電流値を決定する。
【0044】
ここで、図3(a)のテーブル301~303を用いた場合の図4のメインフローの処理を例示し本実施形態の効果を説明する。ユーザーが初期状態から「5度まで駆動指示→プリセット位置(1.48度付近)まで駆動指示」した場合と、初期状態から「プリセット位置まで駆動指示」のみを行った場合を例示し、前段の駆動方向により最終的な停止位置が変わらないことを説明する。
【0045】
前提としてモータの機械角は最初0度の位置にあり、正の方向をCW方向とする。また、テーブル番号は1から開始し、駆動テーブルは1024個の要素を持ち、この駆動テーブルを一周するとモータは5度分動くと仮定する。この条件下において、テーブル番号がちょうど300の設定値となる場所(機械角が約1.48度)を、ユーザーが予め設定したプリセット位置とする。
【0046】
ユーザーが初期状態から「5度まで駆動指示→プリセット位置まで駆動指示」を行った際の図4の動作フローを説明する。
【0047】
まず、S401でユーザーにより「5度までの駆動指示」が行われる。
【0048】
その後S402で目標とするテーブル位置が計算される。駆動テーブルが一周で5度駆動するため、「テーブルを1回周回させ、1番目のテーブル番号」を目標テーブル位置とする。
【0049】
S403で駆動方向が設定される。現在位置が0度、目標位置が5度であるため、CW方向への駆動と判定される。
【0050】
S404ではCW駆動テーブル301が選択される。
【0051】
S405より駆動テーブルに基づいた励磁が開始される。現在のテーブル番号は1であるため、S406において、テーブル番号を1、2、3、4・・・になるよう昇順で参照位置を更新していく。このとき、更新されたテーブル番号と対応する電流値が逐次モータに印加されている。
【0052】
S407で目標位置に到達したと判定されると、S408に移行する。今回はプリセット位置指定ではないので、処理を終了する。
【0053】
次に、S401でユーザーから「プリセット位置まで駆動指示」が行われる。その後、S402、S403で目標とするテーブル位置と、駆動方向が設定される。現在位置が5度であり、プリセット位置が1.48度であるためCCW方向への駆動となる。
【0054】
S404でCCW駆動テーブル302が選択される。S405よりテーブル参照が開始される。現在のテーブル番号は1であるため、S406において1、1024、1023、1022・・・と降順で参照位置を更新していく。プリセット位置であるテーブル番号300の位置に到達したら、S407で目標位置に到達したと判定し、S408に移行する。プリセット位置指定であるため、S409に移行し、停止テーブルのテーブル番号300に基づいて、A相に951mA、B相に-306mAの電流を印加する。
【0055】
一方、ユーザーが初期状態から「プリセット位置まで駆動指示」のみを行った場合、S401、S402で前述と同様の処理が行われる。そして、S403で駆動方向がCWに設定され、S404でCW駆動テーブルが選択される。その後、S405、S406で駆動テーブルの昇順参照が行われる。
【0056】
テーブル番号300の位置に到達したら、S407で目標位置に到達したと判定し、S408に移行する。プリセット位置指定であるため、S409に移行し、停止テーブルのテーブル番号300に基づいて、A相に951mA、B相に-306mAの電流を印加する。
【0057】
CW方向からの駆動、CCW方向からの駆動双方において、停止時の電流値がA相に951mA、B相に-306mAの電流値となり一致している。
【0058】
仮にS408、S409の停止テーブルを参照する処理が無かった場合、CW方向からの駆動ではCW駆動テーブル301に基づきA相に970mA、B相に-243mAの電流値が流れた状態で停止することになる。また、CCW方向からの駆動ではCCW駆動テーブル302に基づきA相に932mA、B相に-369mAの電流値が流れた状態で停止することになる。
【0059】
この場合、ユーザーがプリセット位置指定を指示した場合において、前段の駆動方向により電流値が変わってしまうため、雲台付き撮像装置101の画角が変わってしまい、ユーザーに不快感を与える可能性がある。
【0060】
このように、本実施形態においては、プリセット位置が指定された場合に、CW、CCWともに共通の停止テーブルを参照するように構成したので、駆動方向尾によらず同一の位置(機械角)に被駆動物体(撮像装置)を停止させることができる。
【0061】
なお、上述した実施形態において、プリセット位置が指定された場合のみ停止テーブルを参照する例を説明したが、これに限定されない。すなわち、プリセット位置の指定の有無にかかわらず、停止する場合は常に停止テーブルを参照するようにしてもよい。
【0062】
また、本発明における制御の一部または全部を上述した実施例の機能を実現するプログラム(ソフトウェア)をネットワーク又は各種記憶媒体を介して撮像装置や情報処理装置に供給するようにしてもよい。そしてその撮像装置や情報処理装置におけるコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。その場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
101 雲台付き撮像装置
102 コントローラ装置
203 システム制御部
301 CW駆動テーブル
302 CCW駆動テーブル
303 停止テーブル
図1
図2
図3
図4