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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】インクリボンカセットおよびプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/32 20060101AFI20240112BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B41J17/32 A
B41J2/325 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020015604
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122961
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝基
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-064160(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/00 - 17/42
B41J 2/315 - 2/345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンが巻きまわされた供給ボビンと、
前記供給ボビンから供給されるインクリボンを巻き取るための巻き取りボビンと、
前記供給ボビンを回転可能に収納する供給ボビン収納部と、前記巻き取りボビンを回転可能に収納する巻き取りボビン収納部とを構成する筐体と、
を有するインクリボンカセットであって、
前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンは、回転軸方向に移動可能であると共に、被回転規制部を有し、
前記供給ボビン収納部及び巻き取りボビン収納部それぞれにおいて、前記インクリボンカセットの前記回転軸方向の端を構成し、前記回転軸方向と略直交する一方の側面には開口と当該開口内に弾性片とが設けられ、他方の側面の内側には回転規制部が設けられており
前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンが、前記弾性片により前記回転軸方向に前記回転規制部側へそれぞれ付勢されることにより、前記被回転規制部と前記回転規制部とが係合して前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンの回転を規制し、
前記弾性片は、前記弾性片の付勢方向と略直交する方向に屈曲する屈曲部を有して形成されている
ことを特徴とするインクリボンカセット。
【請求項2】
前記屈曲部は、90度以上屈曲していることを特徴とする請求項に記載のインクリボンカセット。
【請求項3】
前記弾性片は、前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンの、回転軸方向の前記一方の側面側の先端に当接して、前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンをそれぞれ付勢することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のインクリボンカセット。
【請求項4】
前記弾性片は、根元よりも、前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンを付勢する先端のほうが、幅が広く形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のインクリボンカセット。
【請求項5】
前記一方の側面の前記開口の周囲には、前記側面から突出する凸部が設けられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のインクリボンカセット。
【請求項6】
前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンが前記一方の側面側へ移動した場合の前記弾性片の回転軸方向の位置よりも、前記凸部の先端のほうが突出するように、前記凸部を構成することを特徴とする請求項に記載のインクリボンカセット。
【請求項7】
前記弾性片は、前記インクリボンカセットの内部に向かって傾斜する傾斜面を有することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のインクリボンカセット。
【請求項8】
記供給ボビン収納部及び巻き取りボビン収納部の回転軸方向と直行する方向の前記インクリボンカセットの長さは、20mm以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のインクリボンカセット。
【請求項9】
前記開口の幅は、10mm以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のインクリボンカセット。
【請求項10】
前記インクリボンカセットがプリンタに装着された場合に、前記プリンタの部材によって前記弾性片が設けられている前記一方の側面側に前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンが移動することにより、前記被回転規制部と前記回転規制部との係合が解除されることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のインクリボンカセット。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のインクリボンカセットを着脱可能なプリンタであって、
前記インクリボンカセットが装着された際に、前記弾性片が設けられている前記一方の側面側に前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンを移動させて、前記被回転規制部と前記回転規制部との係合が解除させる部材を有することを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンカセットおよびインクリボンカセットを装着可能なプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昇華型プリンタは、サーマルヘッドとプラテンローラにより用紙等の記録媒体とインクリボンを圧接し、サーマルヘッドに通電することでサーマルヘッド上の発熱体を発熱させインクリボンに塗布されている染料を昇華させ用紙に転写することにより印画を行う。
【0003】
インクリボンはプリンタから容易に着脱可能にするためにインクリボンカセット内にインクリボンが巻かれた円筒状の供給ボビンと巻き取りボビンが収納されるように構成され、インクリボンカセット内で供給ボビン及び巻き取りボビンが回転可能に保持される。
【0004】
インクリボンカセットをプリンタに装着した際に、供給ボビンと巻き取りボビンの間にサーマルヘッドが位置し、インクリボンと用紙を重ねた状態でサーマルヘッドをプラテンローラに圧接させながらサーマルヘッドを駆動させて印画するようになっている。
【0005】
インクリボンカセットをプリンタに装着して使用するまでの間には、運搬などによる外部からの振動がインクリボンカセットに加わることがある。このインクリボンカセットに加わった振動によって供給ボビン、巻き取りボビンに巻かれたインクリボンが巻き緩んでインクリボンカセット内部からインクリボンが引き出されてしまう。そこで、インクリボンカセットがプリンタ本体に装着されていない時には、インクリボンカセット内の供給ボビン及び巻き取りボビンが回転しないようにする必要がある。
【0006】
特許文献1では、供給ボビン及び巻き取りボビンの端面部に設けられた凹部とインクリボンカセット内壁にある凸部と係合させることで、供給ボビン及び巻き取りボビンの回転を規制するインクリボンカセットが開示されている。特許文献1では、インクリボンカセットの内部に設けられたモールド片により供給ボビン及び巻き取りボビンを軸方向に付勢し供給ボビンと巻き取りボビンの凹部とインクリボンカセット内壁の凸部を係合させることで、回転を規制している。また、使用時には、供給ボビン及び巻き取りボビンを軸方向に押圧することで供給ボビンと巻き取りボビンの回転規制を解除している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-205881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術ではモールド片はインクリボンカセットの内部に設けられているため、モールド片を設けるための専用のスペースが必要となり、インクリボンカセットのインクリボンの回転軸方向の長さが大きくなってしまう。また、モールド片の長さを供給ボビン及び巻き取りボビンに巻かれたインクリボンの巻き径より長くすることができない。そのため、モールド片に発生する応力が大きくなってしまい、適切な力で供給ボビン及び巻き取りボビンを付勢することができなくなるという課題が発生する。また、モールド片に発生する応力を小さくするためにはモールド片の長さを長くする必要があるが、インクリボンカセットの大型化を招いてしまう。
【0009】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであって、小型を維持しつつ適切な付勢力で供給ボビン及び巻き取りボビンを付勢することで、インクリボンの巻き緩みを規制可能なインクリボンカセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明インクリボンカセットは、
インクリボンが巻きまわされた供給ボビンと、前記供給ボビンから供給されるインクリボンを巻き取るための巻き取りボビンと、前記供給ボビンを回転可能に収納する供給ボビン収納部と、前記巻き取りボビンを回転可能に収納する巻き取りボビン収納部とを構成する筐体と、を有するインクリボンカセットであって、前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンは、回転軸方向に移動可能であると共に、被回転規制部を有し、前記供給ボビン収納部及び巻き取りボビン収納部それぞれにおいて、前記インクリボンカセットの前記回転軸方向の端を構成し、前記回転軸方向と略直交する一方の側面には開口と当該開口内に弾性片とが設けられ、他方の側面の内側には回転規制部が設けられており、前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンが、前記弾性片により前記回転軸方向に前記回転規制部側へそれぞれ付勢されることにより、前記被回転規制部と前記回転規制部とが係合して前記供給ボビン及び前記巻き取りボビンの回転を規制し、前記弾性片は、前記弾性片の付勢方向と略直交する方向に屈曲する屈曲部を有して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インクリボンカセットの小型を維持しつつ適切な付勢力で供給ボビン及び巻き取りボビンを付勢し、インクリボンの巻き緩みを規制可能なインクリボンカセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】プリンタ100の全体を示した斜視図
図2】プリンタ100とインクリボンカセット200の全体を示した斜視図
図3】インクリボンカセット200の斜視図
図4】インクリボンカセット200の分解斜視図
図5】供給ボビン205(巻き取りボビン207)の斜視図
図6】上ケース201の斜視図
図7】上ケース201に供給ボビン205及び巻き取りボビン207を組み込んだときの動作を説明する図
図8】インクリボンカセット200の断面図
図9】インクリボンカセット200の天面図
図10】プリンタ100にインクリボンカセット200を装着したときの動作を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図10を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態にかかわるプリンタの全体を示した斜視図であり、図2はプリンタとインクリボンカセットの全体を示した斜視図である。
【0015】
100はプリンタであり、200はインクリボンカセットである。プリンタ100の天面には、電源ボタン101と表示部102が配置され、電源ボタン101を操作することによりプリンタ100の電源を入れることができる。プリンタ100の電源が入ると表示部102は点灯する。
【0016】
103は蓋であり、プリンタ100の側面に設けられ、図1に示す位置から図2に示す位置に回動可能である。蓋103の内面には凹部105を二つ有する。インクリボンカセット200は図2に示すように蓋103を開いた状態で、インクリボンカセット挿入口104へ矢印A方向に着脱可能である。
【0017】
図3はインクリボンカセット200の斜視図であり、図3(a)はインクリボンカセット200を天面から見たときの斜視図、図3(b)はインクリボンカセット200を底面から見たときの斜視図である。図4はインクリボンカセット200の分解斜視図、図5は供給ボビン(巻き取りボビン)の斜視図である。
【0018】
インクリボンカセット200の筐体部分は、図3図4に示すように上ケース201と第1の下ケース202、第2の下ケース203から構成されている。上ケース201、第1の下ケース202、第2の下ケース203は樹脂で形成されている。
【0019】
205は供給ボビンであり、207は巻き取りボビンである。供給ボビン205と巻き取りボビン207は共に同一形状をしており、樹脂製である。図4に示すように第1の下ケース202は供給ボビン205を収容する供給ボビン収納部206を備えている。また第1の下ケース202は上ケース201と係合するため、両端部にそれぞれ1対の係合爪211を備えている。第2の下ケース203は巻き取りボビン207を収容する巻き取りボビン収納部208を備えている。また第2の下ケース203は上ケース201と係合するために両端部にそれぞれ1対の係合爪212を備えている。供給ボビン205、巻き取りボビン207は、供給ボビン収納部206、巻き取りボビン収納部208に回転可能にそれぞれ収納される。また、供給ボビン205、巻き取りボビン207は、それぞれ、回転軸方向に移動可能に、供給ボビン収納部206、巻き取りボビン収納部208内に収納されている。
【0020】
図5に示すように、供給ボビン205と巻き取りボビン207は、中央部に円筒状の基部205a、基部207aと一端に設けられた先端軸部205b、先端軸部207bと他端に設けられた後端軸部205c、後端軸部207cから構成される。先端軸部205b、先端軸部207bと基部205a、基部207aの境にはフランジ部205d、フランジ部207dが設けられている。後端軸部205c、後端軸部207cと基部205a、基部207aの境には被回転規制部205e、被回転規制部207eが設けられており、円周方向外側に複数の凸形状を有している。図4に示すようにインクリボン204は、フランジ部205dと被回転規制部205eの間に巻かれている。供給ボビン205、巻き取りボビン207は、それぞれ、基部205a、基部207aを回転軸として回転する。
【0021】
図6は上ケース201の斜視図であり、図7は上ケース201に供給ボビン205及び巻き取りボビン207を組み込んだときの動作を説明する図、図8はインクリボンカセット200の断面図である。
【0022】
図6(a)に示すように上ケース201は、一方の側面部213に弾性片214a及び弾性片214bを有する。弾性片214aは根元部217aにおいて側面部213と連結して一体形成されており、弾性片214aの周囲は開口部216aを有する。つまり、開口部216a内に、弾性片214aが設けられている。開口部216aの周囲には側面部213の外側に突出する凸部222aが設けられており、開口部216aの開口の幅は10mm以下である。そのため、側面部213側から指で触れたときに指が開口部216a内に侵入して弾性片214aを直接押してしまうことを防止することができる。弾性片214aは屈曲部215aを有している。屈曲部215aは、側面部213の面、つまり、供給ボビン205と巻き取りボビン207の回転軸と略直行する面において屈曲している。すなわち、弾性片214aは、屈曲部215aにおいて回転軸と略直行する方向に屈曲している。このように弾性片214aを屈曲させることにより、弾性片214aの長さを長くすることができる。本実施形態では、屈曲部215aでは略90度屈曲しているが、他の角度で会ってもよい。ただし、90度以上屈曲させたほうが、弾性片214aの長さをより長くすることができる。なお、屈曲部215aは、また弾性片214aは、根元部217aに対して先端の幅の方が広い。同様に、弾性片214bは根元部217bにおいて側面部213と連結して一体形成されており、弾性片214bの周囲は開口部216bを有する。つまり、開口部216b内に、弾性片214bが設けられている。開口部216bの周囲には側面部213の外側に突出する凸部222bが設けられており、開口部216の開口の幅は10mm以下である。そのため、側面部213側から指で触れたときに指が開口部216b内に侵入して弾性片214bを直接押してしまうことを防止することができる。弾性片214bは屈曲部215bを有している。屈曲部215bは、側面部213の面、つまり、供給ボビン205と巻き取りボビン207の回転軸と略直行する面において屈曲している。すなわち、弾性片214bは、屈曲部215bにおいて回転軸と略直行する方向に屈曲している。このように弾性片214bを屈曲させることにより、弾性片214bの長さを長くすることができる。本実施形態では、屈曲部215bでは略110度屈曲しているが、他の角度で会ってもよい。ただし、90度以上屈曲させたほうが、弾性片214aの長さをより長くすることができる。なお、屈曲部215aは、弾性片214bは、根元部217bに対して先端の幅の方が広い。
【0023】
本実施形態のインクリボンカセットは、供給ボビン収納部206及び巻き取りボビン収納部208の回転軸方向と直行する方向の外形は12mm程度であり、非常に小型である。そのため、弾性片214aの長さを十分に確保することが難しい。そこで、このような屈曲部215a,215bを設けることにより、弾性片214a,214bを15~20mm程度の長さにして、十分な長さを確保することができる。供給ボビン収納部206及び巻き取りボビン収納部208の回転軸方向と直行する方向の外形が20mm以下である場合は、このような屈曲部を設けて十分な長さの弾性片を形成することが望ましい。
【0024】
次に図7を参照して供給ボビン205及び巻き取りボビン207を上ケース201に組み込んだときの動作を説明する。
【0025】
図7(a)に示すように弾性片214a及び弾性片214bは、側面部213から供給ボビン収納部206、巻き取りボビン収納部208の内側に向けて、それぞれ傾斜面218a、傾斜面218bを有している。つまり、弾性片214a及び弾性片214bは、回転軸方向に傾斜するように構成されている。
【0026】
供給ボビン205は上ケース201に対して上方から組み込むことができる。その際に供給ボビン205の先端軸部205bで傾斜面218aを矢印B方向に押し込みながら組み込まれる。そのため、弾性片214aは図7(a)の位置から図7(b)の位置に変形するが、前述したように弾性片214aは屈曲部215aを有しており、十分に長いために塑性変形することなく、弾性変形することが可能である。
【0027】
供給ボビン205は弾性片214aの先端と当接した状態で矢印C方向に付勢された位置で保持されているが、弾性片214aの先端の幅を広くしているため安定した姿勢が維持される。
【0028】
同様に、巻き取りボビン207は上ケース201に対して上方から組み込むことができる。その際に巻き取りボビン207の先端軸部207bで傾斜面218bを矢印B方向に押し込みながら組み込まれる。そのため、弾性片214bは図7(a)の位置から図7(b)の位置に変形するが、前述したように弾性片214bは屈曲部215bを有しており、十分に長いために塑性変形することなく、弾性変形することが可能である。巻き取りボビン207は弾性片214bにより矢印C方向に付勢された位置で保持される。
【0029】
図6(a)に示すように上ケース201は、側面部213と逆側となる他方の側面部の内側に回転規制部219a及び回転規制部219bを有する。インクリボンカセット200を組み立て状態で、供給ボビン205は弾性片214aにより回転規制部219aが設けられている側面側に付勢されているため、図8に示すように回転規制部219aは供給ボビン205の被回転規制部205eと係合する。そのため、インクリボンカセット200を組み立て状態、つまり、インクリボンカセット200をプリンタ100に装着していない状態では、回転規制部219aと被回転規制部205eとが係合するため、供給ボビン205の回転は規制される。同様に、回転規制部219bは巻き取りボビン207の被回転規制部207eと係合し、巻き取りボビン207の回転も規制される。
【0030】
図6(b)に示すように、上ケース201は、当接部221a及び当接部221bを有する。当接部221aは、供給ボビン205のフランジ部205dと当接可能に構成され、当接部221bは巻き取りボビン207のフランジ部207dと当接可能に構成される。
【0031】
図9はインクリボンカセット200の天面図である。上ケース201の天面には穴部220a、穴部220bを有する。インクリボンカセット200は組み立て状態で、穴部220aから供給ボビン205及び弾性片214aを目視することができる。そのため、供給ボビン205の組み立て位置が弾性片214aにより矢印D方向に付勢され正しい位置にあるか確認することができる。同様に穴部220bから巻き取りボビン207及び弾性片214bを目視することができ、巻き取りボビン207の組み立て位置が弾性片214bにより矢印D方向に付勢され正しい位置にあるか確認することができる。
【0032】
図10は、プリンタ100にインクリボンカセット200を装着したときの動作を説明する図である。図10(a)はプリンタ100に非装着時のインクリボンカセット200の断面図、図10(b)はプリンタ100に装着したときのインクリボンカセット200の断面図である。図10(c)はプリンタ100に装着したときの供給ボビン205及び巻き取りボビン207の位置を説明する図である。図10(d)はプリンタ100に装着したときの蓋103とインクリボンカセット200の位置を説明する図である。
【0033】
図10(a)に示すようにプリンタ100に非装着時のインクリボンカセット200は、供給ボビン205が弾性片214aにより矢印E方向に付勢され、被回転規制部205eが上ケース201の回転規制部219aと係合することで供給ボビン205の回転が規制される。同様に巻き取りボビン207の回転も規制されている。
【0034】
図10(b)に示すようにプリンタ100にインクリボンカセット200を装着すると、不図示のプリンタ100に設けられたボビン回転部材が、供給ボビン205及び巻き取りボビン207にそれぞれ当接して、供給ボビン205及び巻き取りボビン207を矢印F方向に押圧して移動させる。弾性片214a及び弾性片214bが矢印F方向に弾性変形するため、供給ボビン205及び巻き取りボビン207が矢印F方向に移動する。このとき、供給ボビン205の被回転規制部205eと回転規制部219aの係合が解除される。また同様に巻き取りボビン207の回転規制部被回転規制部207eと回転規制部219bの係合も解除される。このとき図10(c)に示すように、供給ボビン205のフランジ部205dと上ケース201の当接部221aが当接した状態で保持される。同様に巻き取りボビン207のフランジ部207dと上ケース201の当接部221bが当接した状態で保持される。供給ボビン205及び巻き取りボビン207は図10(b)に示す位置から更に矢印Fに移動することはないため、インクリボンカセット200内からインクリボン204を安定して送り出すことができる。
【0035】
図10(d)に示すようにプリンタ100にインクリボンカセット200を装着したときはインクリボンカセット200の上ケース201の凸部222aは蓋103の凹部105に相対する。そのため、プリンタ100として大型化することを防止することが可能である。
【0036】
また、フランジ部205dと(207d)と当接部221a(221b)が当接する位置まで、供給ボビン205(巻き取りボビン207)が移動した状態においても、弾性片214a(214b)よりも、凸部222a(222b)のほうが、回転軸方向の外側に突出している。このように各部を構成することにより、ボビン205,207を弾性片214側に移動させても、弾性片214が凸部222を超えて移動してしまい凹部105と圧接することはない。弾性片214が凹部105と圧接してしまうと、弾性片214が変形してしまうことが考えられるため、このように凸部222等の各部を構成することにより、弾性片214を保護することができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
100 プリンタ
101 電源ボタン
102 表示部
103 蓋
104 インクリボンカセット挿入口
105 凹部
200 インクリボンカセット
201 上ケース
202 第1の下ケース
203 第2の下ケース
204 インクリボン
205 供給ボビン
205e 被回転規制部
207 巻き取りボビン
207e 被回転規制部
213 側面部
214a 弾性片
214b 弾性片
216a 穴部
216b 穴部
219a 回転規制部
219b 回転規制部
220a 穴部
220b 穴部
222a 凸部
222b 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10