(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20240112BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240112BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02P29/00
G03G21/00 398
G03G21/16 133
(21)【出願番号】P 2020019178
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】仁藤 雄大
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-272479(JP,A)
【文献】特開2005-168241(JP,A)
【文献】特開2018-033268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
G03G 21/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置において、
商用電源から電力が供給される電源回路と、
前記電源回路から供給される電流を、接続されたモータの巻線に供給する駆動回路と、
前記画像形成装置の内部にアクセスするために開閉される開閉部と、
前記電源回路と前記駆動回路とが接続される接続状態と前記電源回路が前記駆動回路から遮断される遮断状態とに切り替わる第1スイッチであって、前記開閉部が閉じた状態においては前記接続状態であり前記開閉部が開いた状態においては前記遮断状態である第1スイッチと、
前記巻線に流れる電流を検出す
る検出手段と、
前
記検出手段によって検出された電流と設定された制御値とを用いて、前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
前記位相決定手段によって決定された回転位相
を基準とする回転座標系において表される電流成分であって前記モータの回転子にトルクを発生させる電流成分であるトルク電流成分に基づいて前記駆動回路を制御する
ベクトル制御を行う第1モードと、予め決められた値に設定された前記巻線に供給すべき目標値に基づいて前記駆動回路を制御する第2モードと、を備える制御手段と、
前記第2モードにおいて前
記検出手段によって検出された電流に基づいて、前記駆動回路に接続されたモータの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて前記制御値を設定する設定手段と、
を有し、
前記第1スイッチが前記遮断状態であ
る状態において前
記検出手段によって検出された電流に基づく前記判別手段の判別結果は、前記制御値の設定に用いられないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定手段は
、前記第1スイッチが前記接続状態であ
る状態において前
記検出手段によって検出された電流に基づく前記判別手段の判別結果に基づいて、前記制御値の設定を行うことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置において、
商用電源から電力が供給される電源回路と、
前記電源回路から供給される電流を、接続されたモータの巻線に供給する駆動回路と、
前記画像形成装置の内部にアクセスするために開閉される開閉部と、
前記電源回路と前記駆動回路とが接続される接続状態と前記電源回路が前記駆動回路から遮断される遮断状態とに切り替わる第1スイッチであって、前記開閉部が閉じた状態においては前記供給状態であり前記開閉部が開いた状態においては前記遮断状態である第1スイッチと、
前記巻線に流れる電流を検出す
る検出手段と、
前
記検出手段によって検出された電流と設定された制御値とを用いて、前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
前記位相決定手段によって決定された回転位相
を基準とする回転座標系において表される電流成分であって前記モータの回転子にトルクを発生させる電流成分であるトルク電流成分に基づいて前記駆動回路を制御する
ベクトル制御を行う第1モードと、予め決められた値に設定された前記巻線に供給すべき目標値に基づいて前記駆動回路を制御する第2モードと、を備える制御手段と、
前記第2モードにおいて前記第2検出手段によって検出された電流に基づいて、前記駆
動回路に接続されたモータの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて前記制御値を設定する設定手段と、
を有し、
前記
制御手段は
、前記第1スイッチが前記接続状態であ
る場合は
第2モードを実行し、前記第1スイッチが前記遮断状態であ
る場合は前記
第2モードを実行しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記第1スイッチが前記遮断状態である場合に、前記開閉部が開いた状態であることを通知する通知手段を有し、
前記制御手段は、前記通知手段による通知後に前記第1スイッチが前記接続状態になると、前記第2モードを実行することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記前記画像形成部による前記記録媒体への画像形成を行う印刷ジョブを開始する指示を受け付ける受信部を有し、
前記制御手段は、前記第1スイッチが前記遮断状態である場合は、前記第1スイッチが前記接続状態になり且つ前記受信部が前記指示を受け付けると、前記第2モードを実行することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、ユーザによって操作され、前記判別手段に電力が供給される第1状態と前記判別手段に電力が供給されない第2状態とに切り替わる第2スイッチを有し、
前記制御手段には、前記第2スイッチが前記第1状態である状態において、電力が供給されることを特徴とする請求項
1乃至
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2モードは、前記第2スイッチが前記第2状態から前記第1状態に切り替わった後、且つ、前記第2スイッチが前記第2状態から前記第1状態に切り替わった後の最初に前記モータが前記第1モードによって駆動される前に、実行されることを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2スイッチは、前記第2状態から前記第1状態に切り替わることに応じて前記電源回路に前記商用電源から電力が供給されるスイッチであることを特徴とする請求項
6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記開閉部は、前記記録媒体が搬送される搬送路を前記画像形成装置の外部へ露出させるための開閉部であることを特徴とする請求項
1乃至
8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1モードは、前記位相決定手段によって決定された回転位相と前記回転子の目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記ベクトル制御を実行するモードであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置は、前記回転子の回転速度を決定する速度決定手段を有し、
前記第1モードは、前記速度決定手段によって決定された回転速度と前記回転子の目標速度を表す指令速度との偏差が小さくなるように、前記ベクトル制御を実行するモードであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御値には、モータの巻線のインダクタンスの値を示す情報が含まれることを特徴とする請求項
1乃至
11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御値には、モータの巻線の抵抗値を示す情報が含まれることを特徴とする請求項
1乃至
12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの種類を判別する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを制御するモータ制御装置に接続されたモータの種類を判別する構成が知られている。特許文献1では、画像形成装置の電源投入時に、モータの種類を判別する処理(以下、判別処理と称する)が実行されることが述べられている。特許文献1における判別処理では、モータへの電流の供給、当該モータの巻線に流れる電流の検出及び検出結果に基づくモータの種類の判別が実行される。
【0003】
また、特許文献2には、搬送路を外部へ露出させるための扉が画像形成装置に設けられた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-46469号公報
【文献】特開2019-123589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置には、扉が開いた状態において電源からの電力が画像形成装置内部の装置に供給されないように、インターロックスイッチが設けられている。扉が開放されている状態においてはインターロックスイッチが切れて電源からの電力が装置に供給されず、扉が閉じられている状態においてはインターロックスイッチが接続されて電源からの電力が装置に供給される。
【0006】
前記特許文献1の構成では、例えば、画像形成装置の扉が開放された状態で画像形成装置の電源がON状態になって判別処理が実行されると、以下の問題が生じる可能性がある。具体的には、扉が開放されてインターロックスイッチが切れた状態であることに起因してモータに電流が供給されない可能性がある。モータに電流が供給されていない状態で判別処理が実行されると、判別を誤ってしまう可能性がある。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、モータの種類の判別を誤ってしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、
記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置において、
商用電源から電力が供給される電源回路と、
前記電源回路から供給される電流を、接続されたモータの巻線に供給する駆動回路と、
前記画像形成装置の内部にアクセスするために開閉される開閉部と、
前記電源回路と前記駆動回路とが接続される接続状態と前記電源回路が前記駆動回路から遮断される遮断状態とに切り替わる第1スイッチであって、前記開閉部が閉じた状態においては前記接続状態であり前記開閉部が開いた状態においては前記遮断状態である第1スイッチと、
前記巻線に流れる電流を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された電流と設定された制御値とを用いて、前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とする回転座標系において表される電流成分であって前記モータの回転子にトルクを発生させる電流成分であるトルク電流成分に基づいて前記駆動回路を制御するベクトル制御を行う第1モードと、予め決められた値に設定された前記巻線に供給すべき目標値に基づいて前記駆動回路を制御する第2モードと、を備える制御手段と、
前記第2モードにおいて前記検出手段によって検出された電流に基づいて、前記駆動回路に接続されたモータの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて前記制御値を設定する設定手段と、
を有し、
前記第1スイッチが前記遮断状態である状態において前記検出手段によって検出された電流に基づく前記判別手段の判別結果は、前記制御値の設定に用いられないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モータの種類の判別を誤ってしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成装置を説明する断面図である。
【
図2】前記画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】A相及びB相から成る2相のモータと回転座標系のd軸及びq軸との関係を示す図である。
【
図5】モータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】PWM生成器がPWM信号を生成する構成を説明する図である。
【
図8】PWM生成器がPWM信号を生成する方法を説明する図である。
【
図9】PWM+のデューティ比が50%である場合における電流iαを示す図である。
【
図10】モータの種類を判別する方法を説明するフローチャートである。
【
図11】第1実施形態における判別処理を開始する方法を説明するフローチャートである。
【
図12】第2実施形態における判別処理を開始する方法を説明するフローチャートである。
【
図13】モータ制御装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【
図14】速度フィードバック制御を行うモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、モータ制御装置は記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置にも用いられる。
【0012】
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
【0013】
以下に、
図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿給送装置201及び読取装置202を含む原稿読取装置200及び画像印刷装置301を有する。原稿給送装置201は、読取装置202に対して回動可能である。
【0014】
<原稿読取装置>
原稿給送装置201の原稿積載部2に積載された原稿Pは、ピックアップローラ3によって1枚ずつ給送され、その後、給送ローラ4によって更に下流へと搬送される。給送ローラ4と対向する位置には、給送ローラ4に圧接する分離ローラ5が設けられている。分離ローラ5は、該分離ローラ5に所定のトルク以上の負荷トルクがかかると回転する構成となっており、2枚重なった状態で給送された原稿を分離する機能を有する。
【0015】
ピックアップローラ3と給送ローラ4は揺動アーム12によって連結されている。揺動アーム12は、給送ローラ4の回転軸を中心にして回動できるように給紙ローラ4の回転軸によって支持されている。
【0016】
原稿Pは、給送ローラ4、搬送ローラ6等の各種搬送ローラによって搬送されて、排紙ローラ11によって排紙トレイ10へ排出される。
【0017】
読取装置202には、搬送される原稿の第1面の画像を読み取る原稿読取部16が設けられている。原稿読取部16に読み取られた画像情報は、画像印刷装置301へ出力される。
【0018】
また、原稿給送装置201には、搬送される原稿の第2面の画像を読み取る原稿読取部17が設けられている。原稿読取部17に読み取られた画像情報は、原稿読取部16において説明した方法と同様にして画像印刷装置301へ出力される。
【0019】
前述の如くして、原稿の読取が行われる。
【0020】
原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、上述した方法で搬送される原稿の画像を読み取るモードである。第2読取モードは、原稿ガラス214(透明部材)上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する原稿読取部16によって読み取るモードである。なお、原稿は、原稿給送装置201が読取装置202に対して回動した状態において原稿ガラス214上に載置される。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
【0021】
<画像印刷装置>
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
【0022】
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、ピックアップローラ303によって給送されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、ピックアップローラ305によって給送されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
【0023】
原稿読取装置200から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、原稿読取装置200から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。
【0024】
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。レジストレーションローラ308は、転写帯電器315によって記録媒体に画像が転写される転写タイミングに合わせて記録媒体を転写位置へ送り込む。
【0025】
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
【0026】
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
【0027】
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
【0028】
本実施形態における画像形成装置100には、搬送路を画像印刷装置301の外部へ露出させるために開閉可能な開閉部としての扉326が設けられている。ユーザは、扉326を開くことによって搬送路に残留したシートを取り除くことができる。なお、
図1には、搬送路を画像印刷装置301の外部へ露出させるための扉326のみが記載されているが、画像印刷装置301には、画像印刷装置301の内部の構成(例えば、感光ドラム309、現像器314、定着器318等)を外部へ露出させるための扉が複数設けられている。
【0029】
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、例えば、ピックアップローラ3,303、305、レジストレーションローラ308等の各種ローラや感光ドラム309、現像器314、搬送ベルト317等は負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
【0030】
<画像形成装置の制御構成>
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置100には電源34が設けられている。電源34は交流電源(商用電源)ACに接続されており、画像形成装置100の内部の各種装置は電源34から出力される電力によって稼働する。
【0031】
システムコントローラ151は、
図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置600、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
【0032】
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
【0033】
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置600に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが格納される。
【0034】
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、センサ類159からの信号を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。
【0035】
高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。
【0036】
モータ制御装置600は、CPU151aから出力された指令に応じて、画像印刷装置301に設けられた負荷を駆動するモータ509を制御する。モータ制御装置601は、CPU151aから出力された指令に応じて、画像印刷装置301に設けられた負荷を駆動するモータ602を制御する。なお、
図2においては、負荷を駆動するモータとして2個のモータが記載されているが、実際には、画像形成装置には3個以上のモータが設けられている。また、モータ制御装置1個で複数個のモータを制御する構成であっても良い。
【0037】
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
【0038】
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、画像印刷装置301及び原稿給送装置201におけるシートのジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
【0039】
前述の如くして、システムコントローラ151は、画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
【0040】
{画像形成装置の電源オン/オフ}
図3は、電源34の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、電源34は、商用電源ACから電力が供給される常夜電源602、ユーザによって操作されるメイン電源スイッチ(例えばシーソースイッチ)603を有する。また、電源34は、FETなどのスイッチング素子によって構成され常夜回路604によってオン状態/オフ状態が制御されるラッチスイッチ605を有する。更に、電源34は、FETなどのスイッチング素子によって構成され常夜回路604によってオン状態/オフ状態が制御される非常夜電源スイッチ606、商用電源ACから非常夜電源スイッチ606を介して電力が供給される電源回路としての非常夜電源607を有する。
【0041】
常夜回路604は、画像形成装置100の内部の各種装置への電力の供給状態を制御する回路であり、例えばCPLDによって構成される。なお、CPU151a、操作部152は常夜回路604に含まれる。また、モータ制御装置600、601は非常夜回路608に含まれる。
【0042】
ユーザによってメイン電源スイッチ603がオン状態からオフ状態に切り替えられると、常夜電源602から常夜回路604に電力を供給するための経路が遮断される。ユーザによってメイン電源スイッチ603がオン状態からオフ状態に切り替えられると、常夜回路604は、非常夜電源スイッチ606をオフ状態にする。この結果、商業電源ACから非常夜電源607への電力の供給が遮断され、非常夜回路608に電力が供給されなくなる。また、ユーザによってメイン電源スイッチ603がオン状態からオフ状態に切り替えられると、常夜回路604は、非常夜回路608をオフ状態にする。その後、常夜回路604は、ラッチスイッチ605をオフ状態にして、常夜回路604自身をオフ状態にする。
【0043】
このように、ユーザによってメイン電源スイッチ603がオン状態からオフ状態に切り替えられると、商用電源ACから常夜電源602以外の回路に電力が供給されなくなる(画像形成装置100の電源がオフになる)。
【0044】
ユーザによってメイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替えられると、常夜電源602から常夜回路604への電力の供給が開始されて常夜回路604(CPU151a及び操作部152)が起動する。
【0045】
常夜回路604は、ラッチスイッチ605の状態をオン状態にして、自身への電力の供給状態をラッチする。この結果、メイン電源スイッチ604がユーザによってオン状態からオフ状態に切り替えられたとしても、常夜電源602から常夜回路605への電力の供給がラッチスイッチ603を介して維持される。さらに、常夜回路604は、非常夜電源スイッチ606をオン状態にする。この結果、商用電源ACから非常夜電源607、非常夜回路608(モータ制御装置600、601)に電力が供給される状態になる。
【0046】
[モータ制御装置]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置600について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置600は、ベクトル制御によってモータ509を制御する。なお、本実施形態では、モータ509として、モータA又はモータAとは種類が異なるモータBが画像形成装置100に取り付けられ得るが、以下の説明では、モータ509としてモータAがモータ制御装置600に接続された構成について説明する。モータ制御装置601の構成は、モータ制御装置600の構成と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0047】
<ベクトル制御>
まず、
図4及び
図5を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置600がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないが、ロータリエンコーダなどのセンサがモータに設けられている構成であっても良い。
【0048】
図4は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。
図4では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、
図4では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
【0049】
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
【0050】
図5は、モータ509を制御するモータ制御装置600の構成の例を示すブロック図である。本実施形態におけるモータ制御装置600は、ベクトル制御を用いてモータを制御するモータ制御部157及びモータの巻線に駆動電流を供給してモータを駆動させるモータ駆動部158によって構成されている。なお、モータ制御装置600は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
【0051】
モータ制御部157は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511等を有する。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系から、q軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当する。モータ制御装置600は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御部157は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。即ち、ベクトル制御においては、
図4に示す電流ベクトルの大きさは、回転子402にかかる負荷トルクに応じて変化する。
【0052】
モータ制御部157は、モータ509の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、指令位相θ_refをモータ制御装置600へ出力する。なお、実際には、CPU151aはモータ制御装置600に対してパルス信号を出力しており、パルスの数が指令位相に対応し、パルスの周波数が目標速度に対応する。指令位相θ_refは、例えば、モータ509の目標速度に基づいて生成される。
【0053】
減算器101は、モータ509の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差を演算し、該偏差を位相制御器502に出力する。
【0054】
位相制御器502は、所定の時間周期T(例えば、200μs)で、減算器101から出力される偏差を取得する。位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から出力される偏差が小さくなるように、目標値としてのq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から出力された偏差が0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。即ち、位相制御器502は、第1設定手段として機能する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、本実施形態においては、巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0055】
モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、モータ駆動部158によって後述する方法により検出される。モータ駆動部158によって検出された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、
図5に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
【0056】
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512とに入力される。
【0057】
座標変換器511は、次式によって、静止座標系における電流値iα及びiβを回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=-sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
【0058】
減算器102には、位相制御器502から出力されたq軸電流指令値iq_refと座標変換器511から出力された電流値iqとが入力される。減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
【0059】
また、減算器103には、位相制御器502から出力されたd軸電流指令値id_refと座標変換器511から出力された電流値idとが入力される。減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
【0060】
電流制御器503は、PID制御に基づいて、入力される偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、入力される偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
【0061】
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd-sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
【0062】
座標逆変換器505は、逆変換された駆動電圧Vα及びVβを誘起電圧決定器512及びPWMインバータ506に出力する。
【0063】
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM(パルス幅変調)信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等であっても良い。
【0064】
次に、回転位相θの決定方法について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα-R*iα-L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ-R*iβ-L*diβ/dt (8)
【0065】
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。巻線レジスタンスR及び巻線インダクタンスLの値(以下、制御値と称する)は使用されているモータ509としてのモータAに固有の値であり、ROM151bに予め格納されている。なお、モータBについての制御値もROM151bに予め格納されている。CPU151aは、モータの種類に基づいて、モータAについての制御値、又は、モータBについての制御値、のいずれかを制御値として設定する。なお、本実施形態における制御値には、例えば、q軸電流指令値iq_ref等の電流指令値を決定する際の(即ち、PID制御の)ゲイン値等も含まれる。
【0066】
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは位相決定器513に出力される。
【0067】
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータ509の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^-1(-Eβ/Eα) (9)
【0068】
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
【0069】
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、座標逆変換器505及び座標変換器511に入力される。
【0070】
モータ制御装置600は上述の制御を繰り返し行う。
【0071】
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置600は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を用いたベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。また、位相フィードバック制御が行われることによって、回転子の回転位相が所望の位相になるように回転子の回転位相を制御される。したがって、画像形成装置において、回転子の回転位相が精度よく制御される必要がある負荷(例えばレジストレーションローラ)を駆動するモータに位相フィードバック制御によるベクトル制御が適用されることによって、記録媒体への画像形成が適切に行われる。
【0072】
<モータ駆動部>
以上のように、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出した電流値に基づいて巻線に流れる駆動電流を制御する。即ち、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する構成、及び、駆動電流を巻線に供給する構成が必要となる。
【0073】
図6は、本実施形態におけるモータ駆動部158の構成の例を示す図である。
図6に示すように、モータ駆動部158は、A相におけるPWMインバータ506a、A/D変換器510a、電流値生成器530aを有する。また、モータ駆動部158は、B相におけるPWMインバータ506b、A/D変換器510b、電流値生成器530bを有する。なお、
図5に示すPWMインバータ506にはPWMインバータ506aとPWMインバータ506bとが含まれる。また、
図5に示すA/D変換器510にはA/D変換器510aとA/D変換器510bとが含まれる。更に、
図5に示す電流値生成器530には電流値生成器530aと電流値生成器530bとが含まれる。このように、PWMインバータ、A/D変換器及び電流値生成器はモータ509のA相とB相それぞれに対応して設けられており、相毎に独立に駆動される。なお、PWMインバータ506aの構成とPWMインバータ506bの構成は同じ構成であるため、
図6においては、PWMインバータ506aの具体的構成を示している。PWMインバータ506aは、モータ駆動回路50a、モータ駆動回路50aに設けられた複数のFETのオン動作/オフ動作を制御するPWM信号を生成するPWM生成器203、抵抗器200の両端の電圧信号を増幅する増幅器300を有する。
【0074】
図6に示すように、モータ駆動回路50aは、スイッチング素子としてのFET Q1~Q4及びモータの巻線L1等を有する。具体的には、FET Q1~Q4はHブリッジ回路を構成し、巻線L1は、FET Q1とQ3との接続点とFET Q2とQ4との接続点とを繋ぐように接続されている。また、FET Q1及びQ2のドレイン端子は24Vの電源端子に接続され、FET Q3及びQ4のソース端子は、抵抗器200の一端に接続される。更に、抵抗器200の他端はグラウンド(GND)に接続される。即ち、抵抗器は接地されている。なお、
図6においては、巻線L1は、実際には、モータ509に設けられている巻線である。即ち、巻線L1はモータ制御装置600の外部に設けられている。
【0075】
FET Q1及びQ4はPWM信号であるPWM+によって駆動され、FET Q2及びQ3はPWM信号であるPWM-によって駆動される。なお、PWM+とPWM-は互いに逆位相の関係にある。即ち、PWM+が‘H(ハイレベル)’である場合は、PWM-は‘L(ローレベル)’である。また、PWM-が‘H’である場合は、PWM+は‘L’である。
【0076】
PWM+が‘H’である場合は、電源、FET Q1、巻線L1、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘L’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q3、巻線L1、FET Q2、電源の順に駆動電流が流れる。また、PWM+が‘L’である場合は、電源、FET Q2、巻線L1、FET Q3、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘H’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q4、巻線L1、FET Q1、電源の順に駆動電流が流れる。
【0077】
{駆動電流を供給する方法}
まず、モータ駆動部158が巻線に駆動電流を供給する方法について説明する。
【0078】
図7は、本実施形態におけるPWM生成器203がPWM信号を生成する構成を説明する図である。
図7に示すように、本実施形態におけるPWM生成器203は、変調波と搬送波とを比較する比較器203aを有する。PWM生成器203は、比較器203aを用いて変調波と搬送波とを比較することによってPWM信号を生成している。なお、本実施形態においては、PWM生成器203が所定の周波数の三角波搬送波を生成している。また、該三角波搬送波の値が極小値となるタイミングから次に極小値となるタイミングまでの期間を一周期とした場合に、該三角波搬送波の波形は、1周期において該三角波搬送波の値が極大値となるタイミングを基準として線対称となるような波形である。また、A相における三角波搬送波とB相における三角波搬送波は同期されている。
【0079】
図8は、PWM生成器203がPWM信号を生成する方法を説明する図である。以下に、
図6乃至
図8を用いて、PWM生成器203がPWM信号を生成する方法を説明する。
【0080】
図6に示すように、モータ制御部157から出力された駆動電圧Vαは、PWM生成器203に入力される。PWM生成器203は、比較器203aを用いて変調波としての駆動電圧Vαと三角波搬送波とを比較し、駆動電圧Vαが三角波搬送波よりも大きい期間(ハイ期間)は‘H’、駆動電圧Vαが三角波搬送波よりも小さい期間(ロー期間)は‘L’としてPWM+を生成する。また、PWM生成器203は、PWM+の位相を反転させたPWM-を生成する。
【0081】
図6に示すように、PWM生成器203は、PWM+をFET Q1及びQ4に出力し、PWM-をFET Q2及びQ3に出力する。FET Q1乃至Q4は、PWM+とPWM-によって、オン動作/オフ動作が制御される。この結果、A相の巻線L1に供給する駆動電流の大きさ及び向きを制御することができる。
【0082】
本実施形態においては、駆動電圧が24Vである場合はデューティ比が100%、駆動電圧が0Vである場合はデューティ比が50%、駆動電圧が-24Vである場合はデューティ比が0%に対応する。即ち、本実施形態においては、駆動電圧VαはPWM+のデューティ比に対応する値である。なお、本実施形態においては、PWM+の周期に対するハイ期間の割合をデューティ比と定義するが、PWM+の周期に対するロー期間の割合をデューティ比と定義しても良い。
【0083】
{電流検出方法}
次に、モータ駆動部158が巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する方法について説明する。
【0084】
前述したように、巻線に流れる駆動電流は抵抗器200にかかる電圧Vsnsに基づいて検出される。増幅器300は、電圧Vsnsの信号を増幅してA/D変換器510aに出力する。A/D変換器510aは、電圧Vsnsをアナログ値からデジタル値へと変換して、電流値生成器530aに出力する。
【0085】
電流値生成器530aは、A/D変換器510aから出力された値を所定の周期でサンプリングし、サンプリングした値に基づいて電流値を生成する。電流値生成器530aは、生成した電流値を電流値iαとして出力する。
【0086】
<モータの種類を判別する方法>
次に、モータ制御装置600に取り付けられているモータの種類を判別する方法を説明する。
【0087】
図9は、PWM+のデューティ比が50%である場合における電流iαを示す図である。
図9に示すように、PWM+のデューティ比が50%である場合において、モータAの巻線に流れる電流iαの最大値及び最小値はモータBの巻線に流れる電流iαの最大値及び最小値とは異なる値である。これは、モータAの巻線の抵抗値R及びインダクタンス値Lが、モータBの巻線の抵抗値R及びインダクタンス値Lとは異なる値であるためである。
【0088】
本実施形態では、デューティ比が所定の値(例えば、50%)に設定されたPWM信号に基づいてA相の巻線に電圧が印加された状態において当該A相の巻線に流れる電流に基づいて、モータ制御装置600に接続されているモータの種類が判別される。
【0089】
図5に示すように、電流値生成器530によって生成された電流値iα、iβはCPU151aに出力される。CPU151aは、電流値iαが入力された後に最初に電流値iαが極小値となるタイミングから次に極小値となるタイミングまでの期間における電流値iαの極大値(最大値)に基づいて、モータ制御装置600に接続されているモータの種類を判別する。具体的には、CPU151aは、前記期間における電流値iαの極大値が閾値ith以上である場合は、モータ制御装置600に接続されているモータがモータBであると判定し、制御値をモータBに対応する値に設定する。また、CPU151aは、前記期間における電流値iαの極大値が閾値ith未満である場合は、モータ制御装置600に接続されているモータがモータAであると判定し、制御値をモータAに対応する値に設定する。なお、閾値ithは、デューティ比が所定の値に設定されたPWM信号に基づいて巻線に電圧が印加された状態においてモータAの巻線に流れる電流の極大値よりも大きい値に設定される。更に、閾値ithは、デューティ比が所定の値に設定されたPWM信号に基づいて巻線に電圧が印加された状態においてモータBの巻線に流れる電流の極大値よりも小さい値に設定される。即ち、電流値iαの極大値が閾値ith未満であることはモータ制御装置600に取り付けられているモータがモータAであることを意味する。また、電流値iαの極大値が閾値ithより大きいことはモータ制御装置600に取り付けられているモータがモータBであることを意味する。
【0090】
なお、本実施形態では、電流値iαの極大値(最大値)に基づいて、モータ制御装置600に接続されているモータの種類を判別したが、この限りではない。例えば、電流値iαの極小値(最小値)に基づいて、モータ制御装置600に接続されているモータの種類を判別してもよい。また、例えば、電流値iαの極大値(最大値)と極小値(最小値)との差分値に基づいて、モータ制御装置600に接続されているモータの種類を判別してもよい。
【0091】
図10は、モータの種類を判別する方法を説明するフローチャートである。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。
【0092】
S1001において、CPU151aは、PWMインバータ506(モータ駆動部158)を駆動させる。具体的には、CPU151aは、PWM+のデューティ比を所定の値に設定し、モータ509の巻線に電圧を印加する。
【0093】
S1002において、電流値iαが閾値ith未満である場合は、S1003において、CPU151aは、モータ制御装置600に接続されているモータ509がモータAであると判定し、モータ制御装置600における制御値をモータAに対応する制御値に設定する。
【0094】
一方、S1002において、電流値iαが閾値ith以上である場合は、S1004において、CPU151aは、モータ制御装置600に接続されているモータ509がモータBであると判定し、モータ制御装置600における制御値をモータBに対応する制御値に設定する。
【0095】
S1005において、CPU151aは、PWMインバータ506(モータ駆動部158)の駆動を停止させ、このフローチャートの処理を終了する。
【0096】
<モータの種類を判別する処理を開始するタイミング>
次に、モータの種類を判別する処理(以下、判別処理と称する)を開始するタイミングについて説明する。本実施形態では、以下の構成が適用されることによって、モータの種類の判別を誤ってしまうことが抑制される。なお、以下の説明においては、モータへの電流の供給、当該モータの巻線に流れる電流の検出及び検出結果に基づくモータの種類の判別が判別処理に含まれる。
【0097】
{インターロックスイッチ}
図1、
図5及び
図6に示すように、本実施形態における画像形成装置100には、扉326が開いた状態において非常夜電源607からの電力がPWMインバータ内部のHブリッジ回路に供給されないように、インターロックスイッチ327が設けられている。扉326が開放されている状態においては、インターロックスイッチ327は非常夜電源607がHブリッジ回路から遮断された遮断状態になる。この結果、非常夜電源607の電力はHブリッジ回路に供給されない。一方、扉326が閉じている状態においては、インターロックスイッチ327は非常夜電源607とHブリッジ回路とを接続する接続状態になる。この結果、非常夜電源607の電力がHブリッジ回路に供給される。このような構成により、ユーザは画像形成装置100の内部に安全にアクセスすることができる。なお、
図1には扉326に対応するインターロックスイッチ327のみが記載されているが、実際には、画像形成装置100に設けられた扉のそれぞれにインターロックスイッチが設けられている。
【0098】
本実施形態では、扉326とは異なる扉(不図示)が開放されている状態においては当該扉に対応するインターロックスイッチが切れて非常夜電源607からの電力はモータ602が接続されているブリッジ回路に供給されない。また、当該扉が閉じられている状態においては当該扉に対応するインターロックスイッチが接続されて非常夜電源607からの電力はモータ602が接続されているブリッジ回路に供給される。しかしながら、モータ602が接続されているブリッジ回路への電力の供給構成はこれに限定されるわけではない。例えば、扉326が開放されている状態においてはインターロックスイッチ327が切れて非常夜電源607からの電力がモータ602が接続されているブリッジ回路に供給されない。さらに、扉326が閉じられている状態においてはインターロックスイッチ327が接続されて非常夜電源607からの電力がモータ602が接続されているブリッジ回路に供給される構成でもよい。
【0099】
なお、
図5及び
図6に示すように、非常夜電源607からの電力は、モータ制御装置600、601にも供給されている。本実施形態では、扉326が開閉状態に拘わらず、非常夜電源607からモータ制御装置600、601に電力が供給されており、扉326が開いている状態であってもモータ制御装置600、601は稼働できる(モータ制御装置600、601の各機能は実行される)。
【0100】
CPU151aは、インターロックスイッチ327がオン(即ち、扉326が閉じられた状態)であるか否かを判定する。
【0101】
{判別処理を開始するタイミング}
図11は、判別処理を開始する方法を説明するフローチャートである。このフローチャートの処理は、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わると、CPU151aによって実行される。
【0102】
メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わると、S1001において、CPU151aは、インターロックスイッチ327がオン状態であるか否かを判定する。
【0103】
S1001において、インターロックスイッチ327がオン状態である場合は、S1002において、CPU151aは、
図10において説明した方法で判別処理を開始する。なお、このとき、CPU151aは、モータ602についても判別処理を開始する。
【0104】
次に、S1003において、印刷ジョブを開始する指示が例えば操作部152から入力されると、S1004において、CPU151aは、画像形成装置100による印刷ジョブを開始する。
【0105】
その後、S1005において、印刷ジョブが終了すると、CPU151aは、このフローチャートの処理を終了する。
【0106】
一方、S1001において、インターロックスイッチ327がオフ状態である場合は、S1006において、CPU151aは、扉326を閉じることをユーザに促す通知を操作部152に設けられた表示部に表示する。
【0107】
S1007において、インターロックスイッチ327がオン状態である場合は、S1008において、CPU151aは、
図10において説明した方法で判別処理を開始する。なお、このとき、CPU151aは、モータ602についても判別処理を開始する。
【0108】
その後、S1009において、印刷ジョブを開始する指示が例えば操作部152から入力されると、S1010において、CPU151aは、画像形成装置100による印刷ジョブを開始し、処理はS1005に進む。
【0109】
S1005において、印刷ジョブが終了すると、CPU151aは、このフローチャートの処理を終了する。
【0110】
以上のように、本実施形態では、CPU151aは、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わると、インターロックスイッチ327がオン状態であるか否かを判定する。インターロックスイッチ327がオン状態である場合は、CPU151aはモータ509について判別処理を開始する。一方、インターロックスイッチ327がオフ状態である場合は、CPU151aは、インターロックスイッチ327がオフ状態からオン状態になるとモータ509について判別処理を開始する。即ち、CPU151aは、インターロックスイッチ327がオン状態においてモータ509について判別処理を実行する。この結果、インターロックスイッチが切れた状態であることに起因してモータに電流が供給されない状態において判別処理が実行されてしまうことを抑制することができる。即ち、モータの種類の判別を誤ってしまうことを抑制することができる。
【0111】
また、CPU151aは、インターロックスイッチ327がオフ状態においては(モータ602に対応するインターロックスイッチがオン状態であったとしても)モータ602について判別処理を実行しない。
【0112】
本実施形態では、印刷ジョブが実行される毎ではなく、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わったことをトリガーに判別処理が実行される。即ち、本実施形態では、モータが交換された可能性がある場合に、判別処理が実行される。この結果、印刷ジョブが実行される毎に判別処理が実行されることに起因して画像形成装置の生産性が低下してしまうことを抑制することができる。
【0113】
また、本実施形態では、判別処理は、印刷ジョブが開始される前に実行される。この結果、モータ制御装置600に接続されているモータAとは種類が異なるモータBに対応する制御値が設定された状態でモータAが制御され、モータAの制御が不安定になってしまうことを抑制することができる。
【0114】
なお、本実施形態では、CPU151aは、インターロックスイッチ327がオフ状態においては(モータ602に対応するインターロックスイッチがオン状態であったとしても)モータ602について判別処理を実行しないが、この限りではない。例えば、インターロックスイッチ327がオフ状態でありモータ602に対応するインターロックスイッチがオン状態である場合は、モータ509についての判別処理は実行せず、モータ509についての判別処理は実行する構成でもよい。即ち、オフ状態であるインターロックスイッチに対応するモータの判別処理が実行されない構成であればよい。この結果、インターロックスイッチが切れた状態であることに起因してモータに電流が供給されない状態において判別処理が実行されてしまうことを抑制することができる。即ち、モータの種類の判別を誤ってしまうことを抑制することができる。
【0115】
また、本実施形態では、インターロックスイッチ327がオフ状態においては、判別処理は実行されないが、この限りではない。即ち、インターロックスイッチ327がオフ状態において、判別処理が実行されてもよい。判別処理が実行されている期間中にインターロックスイッチ327がオフ状態であることが検出されると、当該判別処理をリトライする。即ち、判別処理が実行されている期間中にインターロックスイッチ327がオフ状態であることが検出されると、当該判別処理における判別結果は制御値の設定に用いられない。インターロックスイッチ327がオン状態である期間に実行された判別処理の結果が、制御値の設定に用いられる。この結果、インターロックスイッチが切れた状態であることに起因してモータに電流が供給されない状態において判別処理が実行されてしまうことを抑制することができる。即ち、モータの種類の判別を誤ってしまうことを抑制することができる。
【0116】
また、本実施形態では、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わった際にインターロックスイッチ327がオフ状態である場合、インターロックスイッチ327がオフ状態からオン状態になると判別処理が実行されたがこの限りではない。例えば、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わった際にインターロックスイッチ327がオフ状態である場合、インターロックスイッチ327がオン状態になり且つ印刷ジョブを開始する指示が入力されると判別処理が実行されてもよい。この結果、インターロックスイッチ327がオン状態になった後に再び扉326が開けられてしまい、例えば、判別処理中にモータ制御装置600への電力の供給が遮断されてしまうことを抑制することができる。即ち、モータの種類の判別を誤ってしまうことを抑制することができる。
【0117】
〔第2実施形態〕
第1実施形態の構成と同様の構成である部分については、説明を省略する。
【0118】
図12は、判別処理を説明するフローチャートである。このフローチャートの処理は、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わると、CPU151aによって実行される。
【0119】
メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わると、S2001において、CPU151aは、判別処理を開始する。具体的には、CPU151aは、PWM+のデューティ比を所定の値に設定し、モータ509の巻線に電圧を印加する。
【0120】
次に、S2002において、電流値iαが閾値ith2より大きい場合は、処理はS22003に進む。閾値ith2は、閾値ithよりも小さい値であり、且つ、所定の値に設定されたPWM信号に起因してモータAの巻線に流れる電流の最小値よりも小さい値に設定されている。電流値iαが閾値ith2以下であることは、インターロックスイッチ327がオフ状態でありモータ制御装置600に電力が供給されていないことに対応する。
【0121】
S2003において、電流値iαが閾値ith未満である場合は、S2004において、CPU151aは、モータ制御装置600に接続されているモータ509がモータAであると判定し、モータ制御装置600における制御値をモータAに対応する制御値に設定する。
【0122】
一方、S2003において、電流値iαが閾値ith以上である場合は、S2005において、CPU151aは、モータ制御装置600に接続されているモータ509がモータBであると判定し、モータ制御装置600における制御値をモータBに対応する制御値に設定する。
【0123】
一方、S2002において、電流値iαが閾値ith2以下である場合は、S2006において、判別処理を中止する。即ち、CPU151aは、当該処理におけるデータを破棄する。
【0124】
その後、S2007において、インターロックスイッチ327がオン状態になると、CPU151aは、処理をS2001に戻す。
【0125】
以上のように、本実施形態では、CPU151aは、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替わると、判別処理を開始する。CPU151aは、電流値iαが閾値ith2以下である場合は、判別処理を中止し、インターロックスイッチ327がオン状態になると判別処理を開始する。即ち、判別処理が実行されている期間中にインターロックスイッチ327がオフ状態であることが検出されると、当該判別処理における判別結果は用いられない。インターロックスイッチ327がオン状態である期間に実行された判別処理の結果が、制御値の設定に用いられる。この結果、インターロックスイッチが切れた状態であることに起因してモータに電流が供給されない状態においてモータの種類を判別する動作が実行されてしまうことを抑制することができる。即ち、モータの種類の判別を誤ってしまうことを抑制することができる。
【0126】
なお、第1実施形態、第2実施形態では、CPU151aが電流値iαに基づいてモータの種類を判別し、判別結果に基づいて制御値を設定したが、この限りではない。例えば、
図13に示すように、モータ制御装置600に設けられた判別器520が電流値iαに基づいてモータの種類を判別し、モータ制御装置600に設けられた設定器521が判別器の判別結果に基づいて制御値を設定してもよい。
【0127】
また、第1実施形態、第2実施形態では、
図9に示す方法によってモータの種類が判別されたが、この限りではない。例えば、モータの巻線の抵抗値R及びインダクタンス値Lを測定することによってモータの種類が判別されてもよい。
【0128】
また、第1実施形態、第2実施形態では、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替えられると、常夜回路604は非常夜電源スイッチ606をオン状態に切り替えたが、この限りではない。例えば、メイン電源スイッチ603がオフ状態からオン状態に切り替えられた後に、操作部152に設けられた電源スイッチ152aがユーザによって押下されてオン状態になると、常夜回路604が非常夜電源スイッチ606をオン状態に切り替えてもよい。このような構成においては、電源スイッチ152aが押下されてオン状態になることに起因して常夜回路604が非常夜電源スイッチ606をオン状態にすると、第1実施形態では
図11、第2実施形態では
図12に示すフローチャートの処理がCPU151aによって実行される。
【0129】
なお、第1実施形態、第2実施形態におけるベクトル制御では、位相フィードバック制御を行うことによってモータ509を制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータ509を制御する構成であっても良い。具体的には、
図14に示すように、モータ制御装置の内部に速度制御器500を設け、CPU151aが回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。また、モータ制御装置の内部に速度決定器514を設け、速度決定器514が位相決定器513から出力された回転位相θの時間変化に基づいて回転速度ωを決定する。速度制御器500は回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータ509を制御する構成であっても良い。このような構成においては回転速度をフィードバックしているため、回転子の回転速度が所定の速度になるように制御することができる。したがって、画像形成装置において、記録媒体への画像形成を適切に行うために回転速度を一定速度に制御する必要がある負荷(例えば、感光ドラム、搬送ベルト等)を駆動するモータに速度フィードバック制御を用いたベクトル制御を適用する。この結果、記録媒体への画像形成を適切に行うことができる。
【0130】
また、第1実施形態、第2実施形態においては、負荷を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであってもよい。
【0131】
また、第1実施形態、第2実施形態回転子として永久磁石が用いられているが、これに限定されるものではない。
【0132】
なお、感光ドラム309、現像器314、定着器318等は、画像形成部に含まれる。
【符号の説明】
【0133】
34 電源
50a 駆動回路
151a CPU
152a 電源スイッチ
157 モータ制御部
158 モータ駆動部
326 扉
327 インターロックスイッチ
402 回転子
502 位相制御器
509 ステッピングモータ
513 位相決定器
530 電流値生成器
600 モータ制御装置
603 メイン電源スイッチ
604 常夜回路
607 非常夜電源
608 非常夜回路