(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】光源装置、照明装置、及び露光装置。
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240112BHJP
G02B 19/00 20060101ALI20240112BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20240112BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G02B19/00
H01L33/64
(21)【出願番号】P 2020060986
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】昼間 健太郎
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-043700(JP,A)
【文献】特開2004-253758(JP,A)
【文献】特開2014-127543(JP,A)
【文献】特開2018-006713(JP,A)
【文献】特開2019-016757(JP,A)
【文献】特開2005-217064(JP,A)
【文献】特開2013-008950(JP,A)
【文献】特開2010-192152(JP,A)
【文献】国際公開第2012/085669(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G02B 19/00
G03B 21/16
H01L 33/00
H01L 33/48-64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に配置された複数のLEDチップが直列接続されたチップ列とを含む回路を備えたLEDアレイと、
冷媒を用いて前記LEDアレイを冷却する冷却器を有し、
前記LEDアレイからの光を照明面に照明する光源装置であって、
前記チップ列は、前記冷却器の等温部分に沿って配列されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記チップ
列は、
前記LEDアレイを冷却する際の前記冷却器の温度分布に基づいて配置され
ていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記冷媒が流れる方向は、前記チップ列におけるLEDチップの配列方向に対して垂直な成分を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記回路は、前記チップ列を複数含み、
前記チップ列に含まれるLEDチップの数は、それぞれ等しいことを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記冷却器は、前記基板における前記複数のLEDチップが配置され
ている面とは反対側の面に接して配置され
ていることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記冷却器は、
前記冷媒が流れる流路を形成するための仕切りを更に有し、
前記仕切りは、前記チップ列におけるLEDチップの配列方向に対して垂直な成分を含む方向に延在していることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
電源を含む制御部を更に有し、
前記制御部は、前記照明面が目標照度になるように、前記チップ列に流れる電流及び前記電源に印加する電圧の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記チップ列に流れる電流、前記電源に印加する電圧、前記チップ列の点灯時間のうち少なくとも1つの蓄積データを記録可能であることを特徴とする請求項
7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記冷媒の温度を計測する計測部を更に含み、
前記制御部は、前記計測部の計測結果に基づいて、前記LEDチップのジャンクション温度を推定することを特徴とする請求項
8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記蓄積データ及び前記ジャンクション温度に基づいて、前記チップ列が不点灯となるタイミングを予測することを特徴とした請求項
9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記冷媒は、主成分がオイルであることを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記冷媒は、主成分が水であることを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
照明装置であって、
請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の光源装置と、
コンデンサレンズと、
オプティカルインテグレータを有し、
前記光源装置の複数のLEDチップそれぞれからの光強度分布を、前記コンデンサレンズを介して、前記オプティカルインテグレータの入射面において重ね合わせることを特徴とする照明装置。
【請求項14】
前記オプティカルインテグレータはレンズ群を有することを特徴とする請求項
13に記載の照明装置。
【請求項15】
基板を露光する露光装置であって、
マスクを照明する照明装置であり、請求項
13又は
14に記載された照明装置と、
前記マスクのパターンを基板に露光する露光手段を有することを特徴とする露光装置。
【請求項16】
表示部を更に有し、
前記LEDアレイに配置されているチップ列が不点灯となるタイミングを予測し、前記チップ列が不点灯となる前に、前記表示部に前記チップ列又は前記LEDアレイの交換時期を示す情報、及びユーザに対して前記チップ列又は前記LEDアレイの交換を促す情報の少なくとも一方を表示することを特徴とする請求項
15に記載の露光装置。
【請求項17】
物品の製造方法であって、
請求項
15又は
16に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光された基板を現像する工程と、を有し、
現像された基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、照明装置、及び露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造工程において露光装置が用いられている。露光装置は、リソグラフィ工程において、原版であるレチクルやマスクのパターンを、投影光学系を介して感光性の基板(例えば、表面にレジスト層が形成されたウエハやガラスプレート)に転写する。
【0003】
露光装置の光源として、例えば水銀ランプが用いられているが、近年、水銀ランプの代わりに、省エネルギーである発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)へ置換することが期待されている。LEDは発光を制御する基板回路に電流を流してから、光の出力が安定するまでの時間が短く、水銀ランプのように常時発光させる必要がないため、長寿命でもある。
【0004】
ただし、LEDチップ1個当たりの光出力は極めて小さい。そこで、水銀ランプの代わりに光源としてLEDを用いる場合、複数のLEDチップ(一例としては1000個程度)を基板に整列させたLEDアレイを用いて光の総出力を大きくすることや、発熱したLEDチップを効率よく冷却するための技術が求められる。一般的に発熱したLEDチップを冷却する冷却力によって、LEDチップの点灯時間が異なる。
【0005】
また、直列に接続された複数のLEDチップのうち、寿命や故障により1つでも不点灯となった場合、他のLEDチップにも電流が流れなくなってしまう。その結果、直列に接続された複数のLEDチップ全てが不点灯となる。特許文献1は、LEDチップの1つが不点灯となっても、電流を迂回させる回路を設けることにより、他のLEDチップが不点灯となるのを防止する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電流を迂回させる回路を設ける場合、LEDチップを配置できる最大数が減ってしまい、LEDアレイ全体としての光出力が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、LEDを光源とした光源装置において、光出力の低下を抑制するために有利な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての光源装置は、基板と、前記基板上に配置された複数のLEDチップが直列接続されたチップ列とを含む回路を備えたLEDアレイと、冷媒を用いて前記LEDアレイを冷却する冷却器を有し、前記LEDアレイからの光を照明面に照明する光源装置であって、前記チップ列は、前記冷却器の等温部分に沿って配列されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、LEDを光源とした光源装置において、光出力の低下を抑制するために有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における光源装置の平面図である。
【
図3】第1実施形態における変形例を示す図である。
【
図5】第2実施形態における光源装置の平面図である。
【
図6】第3実施形態における光源装置の平面図である。
【
図7】第4実施形態における光源装置の平面図である。
【
図8】第4実施形態における冷却器の内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1を用いて光源装置1について説明する。
図1は本実施形態の光源装置1の平面図である。光源装置1は、電気基板2、LEDチップ3、冷却器4、及び制御部5を有する。電気基板2上には、複数のLEDチップ3が配置されており、以下ではこれらをまとめてLEDアレイと呼ぶ。電気基板2には銅配線がLEDチップ3に接続・実装されており、LEDチップ3を駆動するための回路が形成されている。回路に電流を流すことで、LEDチップ3から所定の波長の光が出力される。
【0014】
本実施形態におけるLEDアレイは、複数のLEDチップ3がX軸方向に電気的に直列に配列されたチップ列を形成している。
図1に示すチップ列7a~7lのようにチップ列を複数含んでLEDアレイが形成されても良く、チップ列7a~7lは、コネクタ6a、6bを介して制御部5に接続されている。故障や寿命によりチップ列内のLEDチップが1つでも不点灯となると、チップ列内の他のLEDチップも直列接続されているため不点灯となる。即ち、LEDチップ3が1つでも不点灯となると、LEDチップ3が属しているチップ列全体が不点灯となる。
【0015】
制御部5は、電源を含み、LEDチップ3に流れる電流や電源に印加する電圧を制御し、LEDチップ3から出力される光量を制御する。制御部5は、光学装置1で照明する照明面で目標照度となるようにLEDチップ3に流れる電流や電源に印加する電圧を制御しても良い。制御部5は、1つの制御部が複数のチップ列に接続されても良いし、変形例として
図3に示すように複数の制御部がチップ列のまとまり毎に接続されて、制御部5a~5f毎にLEDチップに流れる電流や電源に印加する電圧を制御しても良い。
【0016】
冷却器4は、冷凍機8に接続されており、冷却器4の冷媒入口9側から冷媒出口10側に向かってY軸方向に冷媒(不図示)が流れる。冷却器4は電気基板2のLEDチップ3が配置されている面とは反対側の面に接しており、電気基板2から熱を奪ってLEDアレイを冷却している。熱交換後の冷媒は、冷却器出口10から冷凍機8へと循環することで、再びLEDアレイを冷却する。
【0017】
上記の熱交換の効率を上げるために、熱伝導率の良い素材を電気基板2や冷却器4に用いることが好ましい。電気基板2の基材としては、例えば、熱伝導率の高い窒化アルミニウムを用いると良い。冷却器4の素材としては、例えば、銅やアルミニウムなどを用いると良い。
【0018】
図2は冷却器4の内部構造を示す図である。冷媒が単位時間あたりにLEDアレイから除去できる熱量で定義される冷却力を向上させるため、冷却器4の冷媒入口9側から冷媒出口10側の方向であるY軸方向に沿って複数の仕切り11が延在している。これにより、冷却器4全体に冷媒を行き届かせる流路を形成する。冷媒は仕切り11間を流れて、熱交換により電気基板2から熱を奪い、LEDアレイを冷却する。冷媒には、例えば、冷却力が優れている水を主成分とする液体や、電気絶縁性に優れたオイルを主成分する液体が用いられる。
【0019】
(LEDチップの寿命)
次に、上述した光源装置1と冷媒の熱交換と、LEDチップ3の寿命の関係について説明する。LEDチップの発光面の温度をジャンクション温度と呼ぶ。LEDチップ3の寿命は、アレニウスの式を用いて式(1)のように予測することができる。Lは寿命、Aは定数、Eは活性化エネルギー、Kはボルツマン定数、Tはジャンクション温度である。
【0020】
L=A×exp(E/KT)・・・(1)
式(1)より、活性化エネルギー(本実施形態における電流)が同じである場合、ジャンクション温度が低いほどLEDチップ3の寿命は長くなる。したがって、冷却器4の冷却力が高い領域では、冷却力が低い領域に比べてLEDチップ3の寿命が長くなる。本実施形態における冷却力が高い領域とは冷媒入口9付近の領域であり、冷却力が低い領域とは冷媒出口10付近の領域である。冷媒入口9付近に配列されたチップ列7aを構成しているLEDチップのジャンクション温度は、例えば、40℃前後である。一方、冷媒出口10付近に配列されたチップ列7lを構成しているLEDチップのジャンクション温度は、例えば90℃前後である。また、本実施形態のチップ列7a~7lにおけるLEDチップは、冷却器4の温度分布に基づき、等温部分に沿って配列されている。各チップ列内のLEDチップ3のジャンクション温度の差は、例えば、1℃前後である。
【0021】
また、故障や寿命により不点灯となったLEDチップ3がある場合、電気基板1の交換は可能である。LEDチップ3が一定数不点灯となり、LEDアレイに必要とされる光量の基準や照度ムラの基準を満たさない場合、電気基板1を新しいLEDチップが配置された電気基板に交換することが望ましい。電気基板1の交換時期としては、例えば、LEDチップ3が全体の25%以上不点灯となった時点で交換することが望ましい。
【0022】
(比較例)
本実施形態での冷媒の流路の方向はY軸方向であり、チップ列におけるLEDチップが配列されるX軸方向に対して垂直に配置される。ここで、本実施例の比較例として、冷媒の流路の方向とチップ列におけるLEDチップの配列方向が共にX軸方向である場合を考える。
図4(a)は、比較例における光源装置1の概略図であり、
図4(b)は比較例における冷却器4の内部構造を示す図である。比較例における冷却器4では、冷却器4の冷媒入口9側から冷媒出口10側に向かってX軸方向に冷媒が流れる。冷媒はLEDアレイから熱を奪いながら、冷却器4の冷媒出口10側の方向に進んでいくため、上述したように冷却力が高い領域と冷却力が低い領域が存在する。
【0023】
また、冷却器4の冷却力が低い冷媒出口10側に近いほどLEDチップ3のジャンクション温度が高くなるため、式(1)よりLEDチップ3の寿命が短くなる。比較例では、冷却器4内でのX方向の温度分布が異なるため、同一のチップ列であってもLEDチップが不点灯となるタイミングは異なる。
【0024】
また、LEDアレイ全体としては、それぞれのチップ列7a~7lの冷媒出口10側に最も近いLEDチップがほぼ同時期に不点灯となる。チップ列7a~7lは直列に接続されているLEDチップのうち1つでも不点灯となると、不点灯となったLEDチップが属するチップ列全体が不点灯となる。比較例では、それぞれのチップ列7a~7lは、ほぼ同時期に冷媒出口10側に近い領域のLEDチップ3が不点灯となるため、ほぼ同時期に全てのチップ列7a~7lが不点灯となってしまう。
【0025】
(本実施形態におけるチップ列の寿命)
本実施形態では、LEDアレイを冷却するための冷媒が流れる方向が、チップ列7a~7lにおけるLEDチップの配列方向に対して垂直になるよう配置されている例について説明した。本実施形態はこれ以外にも、LEDアレイを冷却するための冷媒が流れる方向が、チップ列7a~7lにおけるLEDチップの配列方向に対して垂直な成分を含むように配置されても良い。冷却器4を流れる冷媒の温度は、冷媒入口9側から冷媒出口10側の方向であるY方向に進むにつれて高くなる。そのため、最も冷却力が低い領域に位置するチップ列7lのLEDチップが、最も早く不点灯となる。
【0026】
本実施形態の各チップ列におけるLEDチップは、冷却器4の温度分布に基づき、等温部分に沿って配列されているため、LEDチップのジャンクション温度は、ほぼ同じ温度となる(例えば、最大の温度差で1℃以内)。即ち、チップ列内のLEDチップは、ほぼ同じタイミングで不点灯となる。したがって、ほぼすべてのLEDチップは無駄なく使用されるため、比較例よりもLEDチップの利用効率を向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態では、チップ列とチップ列の間に回路を設ける事なく、LEDアレイ全体としての寿命を延ばすことができる。また、LEDアレイに不必要な回路を設けていないため、上記のような回路を設けている場合に比べてLEDチップを多く配置することが可能であり、LEDアレイ全体としての照度向上に寄与する。
【0028】
本実施形態では、電気基板1にLEDチップ3を直接実装した形態で説明しているが、回路への接続が容易であるLEDパッケージを使用してもよい。また、同一チップ列内のLEDチップ3の配置は等間隔と不等間隔のどちらでも良いし、チップ列7a~7l間の配置も等間隔と不等間隔のどちらでも良い。
【0029】
<第2実施形態>
第1実施形態では、チップ列7a~7lに流れる電流がX方向である場合について説明した。これに対し、本実施形態では、チップ列9a~9lに流れる電流がX方向に流れない場合について説明する。
図5は本実施形態における光源装置を示す図である。回路以外の基本的な構成については、第1実施形態と同様である。
【0030】
LEDチップ3の配置は、LEDチップ3の寿命への寄与が大きい。これに対し、LEDチップ3が直列接続される回路の経路は、LEDチップ3の寿命への寄与が小さい。したがって、回路の経路は、
図1に示すようにX方向に沿った経路でも良いし、
図5に示すように複雑な経路でも良い。
【0031】
本実施形態では、電気基板1にLEDチップ3を直接実装した形態で説明しているが、回路への接続が容易であるLEDパッケージを使用してもよい。また、同一チップ列内のLEDチップ3の配置は等間隔と不等間隔のどちらでも良いし、チップ列7a~7l間の配置も等間隔と不等間隔のどちらでも良い。
【0032】
<第3実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態では、1つのLEDアレイに対して1つの電気基板2がある場合について説明した。これに対し、本実施形態では、1つのLEDアレイに対して複数の電気基板2a~2lがある場合について説明する。
図6は本実施形態における光源装置を示す図である。電気基板2以外の基本的な構成については、第1実施形態と同様である。
【0033】
本実施形態での電気基板2a~2l上にはチップ列7a~7lがそれぞれ配置される。LEDチップ3を交換するには、対応する電気基板を交換する必要がある。本実施形態では、チップ列7a~7lが対応する電気基板2a~2lに配置されるため、交換が必要なチップ列に対応する電気基板のみを交換すればよい。例えば、チップ列7lが不点灯となった場合は、電気基板2lのみを交換すれば良い。本実施形態では、不点灯となっていない他のチップ列7a~7jを交換しないで使用できるため、LEDチップ3を効率よく使用することが可能である。
【0034】
本実施形態では、1つの電気基板に1つのチップ列が配置される例について説明したが、1つの電気基板にチップ列が2つ以上配置されても良い。また、電気基板2a~2lにLEDチップ3を直接実装した形態で説明しているが、回路への接続が容易であるLEDパッケージを使用してもよい。また、同一チップ列内のLEDチップ3の配置は等間隔と不等間隔のどちらでも良いし、チップ列7a~7l間の配置も等間隔と不等間隔のどちらでも良い。
【0035】
<第4実施形態>
本実施形態では、LEDチップ3の寿命を予測する例について説明する。
図7を用いて、光源装置1に記録部12が構成される場合について説明する。
図7は本実施形態における光源装置を示す図である。記録部12以外の基本的な構成については、第1実施形態と同様である。記録部12は制御部5と接続されており、制御部5でチップ列7a~7lに供給された電流や点灯時間、電源に印加された電圧といった、LEDチップ3に関する蓄積データを記録部12で記録可能である。
【0036】
図8は本実施形態における冷却器4の内部構造を示す図である。記録部12と計測部13以外の基本的な構成については、第1実施形態と同様である。冷却器4には計測部13が設けられており、計測部13は記録部12と接続されている。計測部13は冷媒の温度を計測することが可能である。また、計測部13はチップ列7a~7lに対応して設けられ、チップ列7a~7lに対応した冷媒の温度を計測しても良い。
【0037】
また、LEDチップ3の寿命は、LEDチップ3のジャンクション温度から予測することができる。しかしながら、LEDチップ3における発光面の温度であるジャンクション温度を直接測定することは困難である。そこで、本実施形態では、LEDチップ3のジャンクション温度を他の設計値や計測値に基づいて推定する。LEDチップ3は、種々の抵抗を介して冷媒とつながっているため、冷媒の温度の計測結果に基づいてLEDチップ3のジャンクション温度を推定することができる。種々の抵抗としては、例えば、LEDチップ3と電気基板2との間の抵抗、電気基板2と冷却器4との間の抵抗、冷却器4と冷媒との間の抵抗がある。本実施形態では、予め計測あるいは設計されている上記の抵抗の抵抗値や、制御部5からLEDチップ3に供給されている電力や、計測部13で計測した冷媒の温度に基づいて、LEDチップ3のジャンクション温度を推定する。
【0038】
推定したLEDチップ3のジャンクション温度から式(1)より、LEDチップ3の寿命を予測することができる。これにより、本実施形態では、LEDチップが不点灯となるタイミングを事前に把握することが可能となる。
【0039】
本実施形態では、電気基板1にLEDチップ3を直接実装した形態で説明しているが、回路への接続が容易であるLEDパッケージを使用してもよい。また、同一チップ列内のLEDチップ3の配置は等間隔と不等間隔のどちらでも良いし、チップ列7a~7l間の配置も等間隔と不等間隔のどちらでも良い。
【0040】
<照明光学系の実施形態>
次に、
図9を用いて照明光学系の例を説明する。
図9は照明光学系の概略断面図である。照明光学系50は、光源部51、コンデンサレンズ52、インテグレータ光学系53、コンデンサレンズ54を有する。光源部51から出た光束は、コンデンサレンズ52を通過して、インテグレータ光学系53に至る。コンデンサレンズ52は、光源部51の射出面位置とインテグレータ光学系53の入射面位置が、光学的にフーリエ共役面になるように設計されている。このような照明系をケーラー照明とよぶ。コンデンサレンズ52は、
図9では平凸レンズ1枚を描いているが、実際は複数のレンズ群で構成されることが多い。インテグレータ光学系53を用いることにより、インテグレータ光学系53の射出面位置には、光源部51の射出面と共役な複数の二次光源像が形成される。インテグレータ光学系53の射出面から射出された光は、コンデンサレンズ54を介して照明面55に至る。
【0041】
図10を用いて光源部51を説明する。
図10は、光源部51の概略図である。光源部51は、光源装置1、集光レンズ56、集光レンズ57を有する。
図10では光源装置1の一部として、電気基板2、LEDチップ3を図示している。集光レンズ56、57は、各LEDチップ3に対応して設けられた各レンズを有するレンズアレイである。集光レンズ56の各レンズは各LEDチップ3上に設けられている。レンズは、
図10のような平凸レンズであっても良いし、その他のパワーがついた形状をとっても良い。レンズアレイとしては、エッチングや切削等で連続的にレンズを形成したレンズアレイや、個々のレンズを接合したレンズアレイを用いることができる。LEDチップ3から出た光は、半角で50°~70°程度の広がりを持っているが、集光レンズ56、57によって、それらは30°以下程度に変換される。集光レンズ56はLEDチップから所定の間隔だけ離されて設けられ、電気基板2とともに一体的に固定されていてもよい。
【0042】
図9の説明に戻る。インテグレータ光学系53は、光強度分布を均一化させる機能を有する。インテグレータ光学系53には、オプティカルインテグレータレンズやロッドレンズが用いられ、照射面55の照度均一度を改善する。
【0043】
コンデンサレンズ54は、インテグレータ光学系53の射出面と照明面55が光学的にフーリエ共役面になるように設計されており、インテグレータ光学系53の射出面またはその共役面は照明光学系の瞳面となる。その結果、照明面55において、ほぼ均一な光強度分布を作成することができる。
【0044】
本発明において、光源装置1のチップ列7a~7lの不点灯となるタイミングは異なるため、1つ以上のチップ列が不点灯となった時に、LEDアレイ全面での照度は不均一となる。また、LEDチップ3の照度は、LEDチップ3のジャンクション温度に依存するため、冷媒の温度分布が異なることが要因となり、LEDアレイ全面での照度は不均一となる。しかしながら、照明光学系50には、上述した光強度分布を均一化させるインテグレータ光学系53が備えられているため、光源装置1から出射された不均一な光は、照明面55において均一な照度を得ることができる。
【0045】
上記の光源装置1や照明光学系50は各種照明装置に適用でき、光硬化性樹脂を照明する装置、被検物を照明して検査する装置、リソグラフィ装置などにも用いることができる。例えば、マスクのパターンを基板に露光する露光装置、マスクレス露光装置、型を用いて基板にパターンを形成するインプリント装置、又は、平坦層形成装置に適用することできる。
【0046】
<露光装置の実施形態>
本実施形態では、上記の光源装置1や照明光学系50を露光装置に適用した場合について説明する。
図11は、露光装置100の構成を示す概略図である。露光装置100は、半導体素子や液晶表示素子の製造工程であるリソグラフィ工程に採用され、基板上にパターンを形成するリソグラフィ装置である。露光装置100は、マスクを介して基板を露光して、マスクのパターンを基板に転写する。露光装置100は、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置、所謂、走査型露光装置であるが、ステップ・アンド・リピート方式やその他の露光方式を採用してもよい。
【0047】
露光装置100は、マスク101を照明する照明光学系50、マスク101のパターンを基板102上に投影する投影光学系103を有する。投影光学系103はレンズからなる投影レンズや、ミラーを用いた反射型投影系でもよい。
【0048】
照明光学系50は、光源装置1からの光をマスク101に照明する光学系である。マスク101には、基板102に形成すべきパターンに対応するパターンが形成されている。マスク101は、マスクステージ104に保持されており、基板102は、基板ステージ105に保持されている。
【0049】
マスク101と基板102とは、投影光学系103を介して、光学的にほぼ共役な位置に配置されている。投影光学系103は、物体を像面に投影する光学系である。投影光学系103には、反射系、屈折系、反射屈折系を適用することができる。投影光学系103は、本実施形態では、所定の投影倍率を有し、マスク101に形成されたパターンを基板102に投影する。そして、マスクステージ104及び基板ステージ105を、投影光学系103の物体面と平行な方向に、投影光学系103の投影倍率に応じた速度比で走査する。これにより、マスク101に形成されたパターンを基板102に転写することができる。
【0050】
露光装置100は、表示部106を有する。表示部106や光源装置1は、露光装置全体の制御を実行する主制御部107に接続されている。表示部106は、チップ列が不点灯となる前に、チップ列又は前記LEDアレイの交換時期を示す情報や、ユーザに対してチップ列又はLEDアレイの交換を促す情報を表示する。これにより、本実施形態では、チップ列が不点灯となる前に電気基板2の交換タイミングを把握することが可能となり、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0051】
<物品の製造方法の実施形態>
本実施形態では、上記の露光装置を利用した物品の製造方法について説明する。物品とは、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)である。物品の製造方法は、基板上に塗布された感光剤に上記の露光装置を用いて潜像パターンを形成する工程(基板を露光する工程)と、かかる工程で潜像パターンが形成された基板を現像する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【符号の説明】
【0052】
1 光源装置
2 電気基板
3 LEDチップ
4 冷却器
7a~7l チップ列