(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】対基板作業機、および異物検出方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240112BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2019160390
(22)【出願日】2019-09-03
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】馬場 恒星
(72)【発明者】
【氏名】太田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】久野 耕資
(72)【発明者】
【氏名】大塚 正裕
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-146454(JP,A)
【文献】特開2019-140228(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158888(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/152766(WO,A1)
【文献】特開2015-228452(JP,A)
【文献】特開2017-152454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するためのバックアップ部材を載置する載置面と
、
前記バックアップ部材に支持された基板に作業を行う作業ヘッドと、
前記載置面の上を前記作業ヘッドとともに移動して、下方に向かって光を照射することで、前記載置面の上の異物の有無を検出する高さ検出センサと
を備え
、
前記高さ検出センサは、
前記載置面に前記バックアップ部材が載置される前に、前記バックアップ部材が載置されていない前記載置面の上の異物の有無を検出する対基板作業機。
【請求項2】
前記載置面の上を前記作業ヘッドとともに移動する撮像装置
を備え、
前記撮像装置で取得した撮像データに基づいて、
前記載置面に前記バックアップ部材が載置される前に、前記バックアップ部材が載置されていない前記載置面の上の異物の有無を検出する請求項1に記載の対基板作業機。
【請求項3】
前記
高さ検出センサは、
前記載置面の上の前記バックアップ部材が載置される
予定のエリアで
、前記載置面に前記バックアップ部材が載置される前に、前記バックアップ部材が載置されていない前記載置面の上の異物の有無を検出する請求項1
または請求項2に記載の対基板作業機。
【請求項4】
前記載置面に載置される前の前記バックアップ部材の裏面への異物の付着の有無を検出する異物検出装置を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の対基板作業機。
【請求項5】
基板を支持するためのバックアップ部材を載置する載置面と、前記バックアップ部材に支持された基板に作業を行う作業ヘッドと、前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、前記移動装置により前記載置面の上方を
前記作業ヘッドとともに移動
して、下方に向かって光を照射することで、前記載置面の上の異物の有無を検出する高さ検出センサと、前記バックアップ部材を保持して前記載置面に載置するバックアップ部材保持装置と、を備えた対基板作業機において、前記
高さ検出センサが、前記バックアップ部材保持装置が前記載置面に前記バックアップ部材を載置する前に、
前記バックアップ部材が載置されていない前記載置面の上の異物の有無を検出する異物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ部材に支持された基板に作業を行う作業ヘッドを備えた対基板作業機などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、基板に作業を行う作業ヘッドを備えた対基板作業機において、異物の有無を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-11003号公報
【文献】特開2005-166879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、対基板作業機において異物の有無を適切に検出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、基板を支持するためのバックアップ部材を載置する載置面と、前記バックアップ部材に支持された基板に作業を行う作業ヘッドと、前記載置面の上を前記作業ヘッドとともに移動して、下方に向かって光を照射することで、前記載置面の上の異物の有無を検出する高さ検出センサとを備え、前記高さ検出センサは、前記載置面に前記バックアップ部材が載置される前に、前記バックアップ部材が載置されていない前記載置面の上の異物の有無を検出する対基板作業機を開示する。
【0006】
上記課題を解決するために、本明細書は、基板を支持するためのバックアップ部材を載置する載置面と、前記バックアップ部材に支持された基板に作業を行う作業ヘッドと、前記作業ヘッドを移動させる移動装置と、前記移動装置により前記載置面の上方を前記作業ヘッドとともに移動して、下方に向かって光を照射することで、前記載置面の上の異物の有無を検出する高さ検出センサと、前記バックアップ部材を保持して前記載置面に載置するバックアップ部材保持装置と、を備えた対基板作業機において、前記高さ検出センサが、前記バックアップ部材保持装置が前記載置面に前記バックアップ部材を載置する前に、前記バックアップ部材が載置されていない前記載置面の上の異物の有無を検出する異物検出方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、基板を支持するためのバックアップ部材を載置する載置面の上の異物の有無が、検出装置によって検出される。これにより、対基板作業機において異物の有無を適切に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
図1に、電子部品装着装置10を示す。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に隣接された2台の電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)14とを有している。なお、装着機14の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0011】
各装着機14は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置27、マークカメラ(
図6参照)28、パーツカメラ29、高さセンサ(
図6参照)30、ラインセンサ31、校正台32、ノズルステーション33、ストッカ(
図5参照)34、制御装置(
図6参照)36を備えている。装着機本体20は、フレーム37と、そのフレーム37に上架されたビーム38とによって構成されている。
【0012】
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム37に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(
図6参照)46によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(
図6参照)48によって固定的に保持される。
【0013】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(
図6参照)52と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(
図6参照)54とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータ52,54の作動によって、フレーム37上の任意の位置に移動させられる。
【0014】
装着ヘッド26は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26は、
図2に示すように、装着ユニット60を備えており、装着ユニットに、吸着ノズルが装着される。吸着ノズル62は、
図3に示すように、胴体筒63と吸着管64とフランジ部65と連結管66とによって構成されている。胴体筒63は、短円筒状をなし、フランジ部65と同軸的に連結管66により連結されている。吸着管64は、細いパイプ状をなし、胴体筒63の下端部から下方に向かって延び出した状態で胴体筒63に伸縮可能に連結されている。つまり、吸着管64には、伸縮機構(図示省略)が内蔵されており、伸縮機構により吸着管64は伸縮する。なお、吸着管64の伸縮機構は、吸着管64が部品に接触した際の衝撃等を吸収するアブソーバとして機能する。また、装着ヘッド26の装着ユニット60には、フランジ部65に応じた形状の装着面68が形成されており、その装着面68に磁石69が埋設されている。このため、吸着ノズル62が、フランジ部65において、磁石69の磁力により装着面68にワンタッチで着脱可能に装着される。なお、ワンタッチで着脱可能とは、工具などを用いることなく着脱することを意味する。また、装着ヘッド26は移動装置24を動作させて吸着ノズル62を自動で装着する。また、装着ユニット60に装着された吸着ノズル62は、負圧エア,正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(
図6参照)70に連通する。これにより、吸着ノズル62は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ユニット60は、ユニット昇降装置(
図6参照)71によって昇降する。これにより、吸着ノズル62に吸着保持された電子部品の上下方向の位置が変更される。
【0015】
供給装置27は、フィーダ型の供給装置であり、
図1に示すように、複数のテープフィーダ72を有している。テープフィーダ72は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ72は、送り装置(
図6参照)74によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置27は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。
【0016】
マークカメラ(
図6参照)28は、移動装置24のスライダ50に下を向いた状態で固定されており、移動装置24の作動により装着ヘッド26とともに任意の位置に移動する。これにより、マークカメラ28は、フレーム37の任意の位置を撮像する。また、パーツカメラ29は、
図1に示すように、フレーム37の上面において、搬送装置22と供給装置27との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ29は、吸着ノズル62に保持された部品などを撮像する。なお、マークカメラ28及びパーツカメラ29は、2次元カメラとされており、2次元撮像データを形成する。
【0017】
高さセンサ30は、マークカメラ28の側方において、移動装置24のスライダ50に下を向いた状態で固定されており、移動装置24の作動により、装着ヘッド26とともに任意の位置に移動する。高さセンサ30は、下方に位置する対象物に向ってレーザ光を照射し、その対象物で反射した反射光を受光する。この際、受光した反射光に基づいて、高さセンサ30と対象物との間の距離が演算される。これにより、対象物の高さを検出することができる。なお、高さセンサ30は、装着機14に搬入された回路基板の反りの有無を検出するために用いられる。詳しくは、装着機14に搬入された回路基板の上方に、移動装置24の作動により、高さセンサ30を移動させる。そして、回路基板の複数箇所の高さを、高さセンサ30により検出する。この際、検出された回路基板の複数箇所の高さの相違量が閾値より大きい場合に、回路基板が反っていると判断され、回路基板の複数箇所の高さの相違量が閾値以下である場合に、回路基板は反っていないと判断される。
【0018】
ラインセンサ31は、
図1に示すように、パーツカメラ29の隣に配設されている。ラインセンサ31は、
図4に示すように、本体部80と照射部82と受光部84とによって構成されている。照射部82は、本体部80の上面に直線状に配設されており、測定対象物86に向かってレーザー光を照射する。受光部84は、照射部82から測定対象物に向かって照射され、測定対象物86によって反射したレーザー光を受光する。そして、ラインセンサ31は、受光したレーザー光に基づいて、測定対象物86の高さを検出する。
【0019】
電子部品装着装置10では、ラインセンサ31を用いて、電子部品に対するコプラナリティチェックを行っている。コプラナリティチェックとは、電子部品のバンプ等の電極の各々の高さや欠損、電極全体の平坦度、リードの曲がり具合等のチェックであり、ラインセンサ31を用いて、電子部品の複数の電極の高さを検出する。詳しくは、装着ヘッド26によって電子部品を保持し、移動装置24の作動により、電子部品をラインセンサ31の上方に移動させる。そして、ラインセンサ31による電極の高さの検出を行いつつ、装着ヘッド26を、移動装置24の作動により、照射部82に直交する方向に装着ヘッド26を移動させる。これにより、電子部品の複数の電極の高さが、ラインセンサ31によって検出される。そして、検出された複数の電極の高さが均一であるか否かをチェックし、複数の電極の高さが均一である場合には、正常な電子部品と判定され、均一でない場合には、正常でない電子部品と判定される。なお、ラインセンサ31は、3次元的に対象物を分析することが可能であり、ラインセンサ31の上下方向の分解能は、1μmとされている。
【0020】
校正台32は、
図1に示すように、パーツカメラ29のラインセンサ31と反対側に配設されている。校正台32の上面は、平坦面とされており、その上面に荷重センサ(
図6参照)88が配設されている。そして、校正台32では、吸着ノズル62における吸着管64の伸縮性が確認される。つまり、吸着管64の伸縮機構の良否が確認される。詳しくは、装着ヘッド26の装着ユニット60に吸着ノズル62が装着された状態で、移動装置24の作動により、装着ヘッド26を校正台32の上方に移動させる。そして、吸着ノズル62の先端が校正台32の上面の荷重センサ88に接触するまで、装着ユニット60を下降させる。この際、荷重センサ88による検出値が閾値より大きい場合に、吸着管64
の伸縮機構が適切に機能しておらず、吸着管64の伸縮性が担保されていないと判断される。一方、荷重センサ88による検出値が閾値以下である場合に、吸着管64の伸縮機構が適切に機能しており、吸着管64の伸縮性が担保されていると判断される。また、校正台32では、吸着管64の破損,折れ,摩耗なども確認される。つまり、吸着ノズル62の先端が校正台32の上面の荷重センサ88に接触すると想定される位置まで、装着ユニット60を下降させた際に、吸着ノズル62の先端が荷重センサ88に接触しない場合がある。つまり、荷重センサ88による検出値が増加しない場合がある。このような場合には、吸着管64の破損,折れ,摩耗などにより、吸着ノズル62の先端が荷重センサ88に接触しないと考えられる。このため、吸着ノズル62の先端が荷重センサ88に接触すると想定される位置まで、装着ユニット60を下降させた際に、荷重センサ88による検出値が増加しない場合には、吸着管64の破損,折れ,摩耗などが生じていると判断される。
【0021】
ノズルステーション33は、ラインセンサ31の側方に配設されており、ノズルトレイ90を有している。ノズルトレイ90には、収容部92が複数、形成されており、収容部92に、吸着ノズル62がフランジ部65を上方に向けた姿勢で収容されている。そして、ノズルステーション33では、装着ヘッド26の装着ユニット60に装着されている吸着ノズルと、ノズルトレイ90の収容部92に収容されている吸着ノズルとの交換等が、装着ヘッド26と移動装置24とを作動させて自動的にワンタッチで行われる。なお、ワンタッチでの吸着ノズルの交換とは、工具等が用いられることなく行われる吸着ノズルの交換を意味する。また、ノズルトレイ90の収容部92には、ノズル径の異なる複数種類の吸着ノズルが収容されており、保持対象の部品サイズ、形状等に応じて、ノズルステーション33において吸着ノズルの交換が行われる。
【0022】
ストッカ34は、
図5に示すように、搬送装置22の2台のコンベア装置40,42の間において、コンベア装置40,42の延びる方向に沿って配設されている。ストッカ34には、1列に並んだ状態で複数の収容凹部96が形成されており、各収容凹部96には、バックアップピン98が収容されている。また、移動装置24のスライダ50には、バックアップピン専用のチャッカー(図示省略)が配設されている。そして、移動装置24の作動により、収容凹部96に収容されているバックアップピン98がチャッカーにより保持される。また、各コンベア装置40,42の下方には、各コンベア装置40,42を構成する1対のコンベアベルト99の間に、載置テーブル100が配設されている。つまり、コンベア装置40,42により搬入される回路基板の下方に、載置テーブル100が配設されている。そして、チャッカーにより保持されたバックアップピン98が、載置テーブル100の上面に載置される。なお、バックアップピン98の載置箇所は、回路基板のサイズ,形状などに応じて予め設定されており、その設定されている箇所に、バックアップピン98は載置される。これにより、コンベア装置40,42において、基板保持装置48により保持された回路基板が、裏面側からバックアップピン98により好適に支持される。なお、バックアップピン98の裏面には、磁石(図示省略)が埋設されており、その磁石の磁力により、バックアップピン98が載置テーブル100の上面に固定される。
【0023】
制御装置36は、
図6に示すように、コントローラ110と、複数の駆動回路112とを備えている。複数の駆動回路112は、上記電磁モータ46,52,54、基板保持装置48、正負圧供給装置70、ユニット昇降装置71、送り装置74に接続されている。コントローラ110は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路112に接続されている。これにより、搬送装置22、移動装置24等の作動が、コントローラ110によって制御される。また、コントローラ110は、画像処理装置116にも接続されている。画像処理装置116は、マークカメラ28及びパーツカメラ29により撮像された撮像データを処理するための装置である。これに
より、コントローラ110は、撮像データから各種情報を取得する。さらに、コントローラ110は、高さセンサ30、ラインセンサ31、荷重センサ88にも接続されている。これにより、コントローラ110は、各センサによる検出値を各センサから取得する。
【0024】
装着機14では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能である。具体的には、コントローラ110の指令により、回路基板が作業位置まで搬送され、その位置において、回路基板が、基板保持装置48によって固定的に保持される。なお、コンベア装置40,42の載置テーブル100には、回路基板が搬入される前に、当該回路基板の形状に応じた位置にバックアップピン98が配設されており、基板保持装置48に保持された回路基板は、下方からバックアップピン98により支持される。また、回路基板が基板保持装置48により保持されると、マークカメラ28が、コントローラ110の指令により、回路基板の上方に移動し、回路基板を撮像する。これにより、回路基板の保持位置等に関する情報が得られる。また、テープフィーダ72は、コントローラ110の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。
【0025】
そして、装着ヘッド26が、コントローラ110の指令により、電子部品の供給位置の上方に移動する。なお、装着ヘッド26の装着ユニット60には、装着対象の部品サイズに応じたノズル径の吸着ノズル62が装着されている。そして、その吸着ノズル62によって、電子部品が吸着保持される。続いて、装着ヘッド26が、パーツカメラ29の上方に移動し、吸着ノズル62によって保持された電子部品が、パーツカメラ29によって撮像される。これにより、部品の保持姿勢等に関する情報が得られる。そして、装着ヘッド26が、回路基板の上方に移動し、回路基板の保持位置,電子部品の保持姿勢等に基づいて、電子部品を回路基板に装着する。
【0026】
このように、装着機14では、バックアップピン98により支持された状態の回路基板に対して、吸着ノズル62に保持された電子部品の装着作業が実行される。また、装着作業が実行される前に、上述したように、搬送装置22では、載置テーブル100に、回路基板のサイズ、形状などに応じた箇所にバックアップピン98が載置され、装着ヘッド26では、装着ユニット60の装着面68に、装着対象の部品サイズ、形状などに応じた吸着ノズル62が装着される。ただし、載置テーブル100に異物が落下していると、載置テーブル100に適切にバックアップピン98を載置することができない虞がある。特に、載置テーブル100には、電子部品が落下することがあるため、そのようなことが発生し易い。また、電子部品は磁石により引き寄せられるため、バックアップピン98の裏面に埋設された磁石により、バックアップピン98の裏面に電子部品が引っ付いている可能性もある。このような場合においても、バックアップピン98を、適切に載置テーブル100に載置することができない。ひいては、バックアップピン98が載置テーブル100に載置される際に、電子部品などの異物により、バックアップピン98、バックアップピン98を保持するバックアップピン専用のチャッカーなどが破損する虞もある。
【0027】
また、装着ヘッド26の装着面68にも、磁石69が埋設されているため、その装着面68に電子部品が引っ付いている場合もあり、そのような場合には、装着ヘッド26の装着面68に、吸着ノズル62を適切に装着することができない。また、ノズルステーション33において、電子部品などの異物が落下し、ノズルトレイ90の収容部92に収容されている吸着ノズル62の上に異物が載っている場合もある。このような場合にも、ノズルトレイ90に収容されている吸着ノズル62を、装着ヘッド26の装着面68に適切に装着することができない。ひいては、ノズルステーション33において、ノズルトレイ90の収容部92に収容されている吸着ノズル62が装着ヘッド26の装着面68に装着される際に、電子部品などの異物により、装着ユニット60、吸着ノズル62、ノズルトレイ90などが破損する虞もある。
【0028】
このようなことに鑑みて、装着機14では、バックアップピン98の載置作業、あるいは装着ヘッド26の装着面68への吸着ノズル62の装着作業が実行される前に、載置テーブル100、ノズルステーション33等において、異物の有無が検出される。具体的には、バックアップピン98の載置作業が実行される前、つまり、装着機14に回路基板が搬入されておらず、載置テーブル100の上方に回路基板が位置していない状態において、載置テーブル100にバックアップピン98が載置される前に、スライダ50に取り付けられているマークカメラ28を、移動装置24の作動により、載置テーブル100の上方に移動させる。そして、載置テーブル100の上面が、マークカメラ28により撮像される。この際、コントローラ110において、マークカメラ28による撮像データが分析され、異物の有無が判断される。なお、撮像データの分析において、コントローラ110では、載置テーブル100の全面でなく、バックアップピン98の載置予定位置のエリアのみが分析される。つまり、回路基板のサイズ,形状、回路基板の裏面に搭載置された先付け部品の位置などに応じて、バックアップピン98の載置予定位置が予め設定されているため、そのバックアップピン98の載置予定位置の撮像データのみが分析され、異物の有無が判断される。これにより、分析時間の短縮を図ることができる。そして、マークカメラ28の撮像データに基づいて異物が有ると判断された場合には、作業者に、電子部品装着装置10の操作パネルによって、載置テーブル100に異物があることが報知される。
【0029】
さらに、マークカメラ28の撮像データに基づいて、載置テーブル100に異物が無いと判断された場合であっても、さらに、高さセンサ30により、載置テーブル100での異物の有無が検出される。詳しくは、スライダ50に取り付けられている高さセンサ30を、移動装置24の作動により、載置テーブル100の上方に移動させる。そして、高さセンサ30を、載置テーブル100の上方において移動させながら、載置テーブル100の高さ寸法が、高さセンサ30により検出される。この際、コントローラ110において、高さセンサ30の検出値に基づいて、載置テーブル100での異物の有無が判断される。つまり、載置テーブル100の上面は、平坦面であり、載置テーブル100の高さ寸法は、載置テーブル100の上面の何れの位置においても、ほぼ同じであるため、高さセンサ30により検出される検出値が、閾値以上に変化した場合に、載置テーブル100に異物が有ると判断される。
【0030】
なお、高さセンサ30による載置テーブル100での異物の検出は、載置テーブル100の全面でなく、バックアップピン98の載置予定位置のエリアのみにおいて行われる。つまり、バックアップピン98の載置予定位置が予め設定されているため、そのバックアップピン98の載置予定位置の上方を、高さセンサ30が通過するように、移動装置24の作動が制御され、バックアップピン98の載置予定位置において、載置テーブル100の高さ寸法が高さセンサ30により検出される。これにより、高さセンサ30による異物の検出時間の短縮を図ることができる。そして、高さセンサ30の検出値に基づいて異物が有ると判断された場合にも、作業者に、載置テーブル100に異物があることが報知される。
【0031】
また、高さセンサ30の検出値に基づいて異物が無いと判断されると、バックアップピン98の載置作業が実行される。つまり、マークカメラ28の撮像データに基づいて載置テーブル100に異物が無いと判断され、さらに、高さセンサ30の検出値に基づいて載置テーブル100に異物が無いと判断された場合に、バックアップピン98の載置作業が実行される。ただし、バックアップピン98の載置作業が実行される際に、バックアップピン98の裏面への異物の付着の有無が検出される。詳しくは、載置テーブル100への載置予定のバックアップピン98が、バックアップピン専用のチャッカーにより保持されると、移動装置24の作動により、そのチャッカーをパーツカメラ29の上方に移動させ
る。そして、チャッカーに保持されているバックアップピン98が、パーツカメラ29により撮像される。この際、コントローラ110において、パーツカメラ29による撮像データが分析され、バックアップピン98の裏面への異物の付着の有無が判断される。そして、パーツカメラ29の撮像データに基づいて、バックアップピン98への異物の付着が確認された場合にも、作業者に、バックアップピン98に異物が付着していることが報知される。
【0032】
また、パーツカメラ29の撮像データに基づいて、バックアップピン98への異物の付着が確認されなかった場合であっても、さらに、荷重センサ88により、バックアップピン98への異物の付着の有無が確認される。詳しくは、パーツカメラ29の撮像データに基づいて異物の付着が確認されなかったバックアップピン98を、チャッカーにより保持した状態で、そのチャッカーを、移動装置24の作動により、校正台32の上方に移動させる。そして、チャッカーに保持されたバックアップピン98の下端面が、校正台32の上面に配設されている荷重センサ88に接触する直前まで、チャッカーを下降させる。この際、バックアップピン98の裏面に異物が付着していなければ、荷重センサ88により荷重は検出されない。一方、バックアップピン98の裏面に異物が付着している場合には、その異物が荷重センサ88に接触するため、荷重センサ88により荷重が検出される。このため、チャッカーを下降させた際に、荷重センサ88により荷重が検出された場合に、バックアップピン98に異物が付着していると判断される。そして、バックアップピン98に異物が付着していると判断された場合にも、作業者に、バックアップピン98に異物が付着していることが報知される。
【0033】
また、チャッカーを下降させた際に、荷重センサ88により荷重が検出されなかった場合、つまり、荷重センサ88の検出値に基づいて、バックアップピン98に異物が付着していないと判断された場合であっても、さらに、ラインセンサ31により、バックアップピン98への異物の付着の有無が確認される。詳しくは、荷重センサ88の検出値に基づいて異物の付着が確認されなかったバックアップピン98を、チャッカーにより保持した状態で、そのチャッカーを、移動装置24の作動により、ラインセンサ31の上方に移動させる。そして、チャッカーに保持されたバックアップピン98の下端面の高さ寸法が、ラインセンサ31により検出される。バックアップピン98の下端面は平坦面であり、バックアップピン98の下端面の高さ寸法は、その下端面の何れの位置においても、ほぼ同じであるため、ラインセンサ31により検出される検出値が、閾値以上に変化した場合に、バックアップピン98の裏面に異物が付着していると判断される。そして、バックアップピン98に異物が付着していると判断された場合にも、作業者に、バックアップピン98に異物が付着していることが報知される。
【0034】
一方、ラインセンサ31により検出される検出値が、閾値以上に変化しなかった場合に、バックアップピン98の裏面に異物が付着していないと判断される。そして、ラインセンサ31の検出値に基づいて、バックアップピン98の裏面に異物が付着していないと判断された場合に、チャッカーに保持されているバックアップピン98が、載置テーブル100の上面のバックアップピン載置予定の位置に載置される。つまり、マークカメラ28の撮像データと、高さセンサ30の検出値とに基づいて載置テーブル100に異物が無いと判断され、さらに、パーツカメラ29の撮像データと、荷重センサ88及びラインセンサ31の検出値とに基づいてバックアップピン98の裏面に異物が付着していないと判断された場合に、バックアップピン98が載置テーブル100に載置される。これにより、載置テーブル100に適切にバックアップピン98を載置することが可能となる。ひいては、バックアップピン98の載置作業時におけるバックアップピン98、バックアップピン専用のチャッカーなどの破損を防止することが可能となる。
【0035】
また、装着ヘッド26の装着面68への吸着ノズル62の装着作業が実行される前に、
吸着ノズル62を装着する装着面68への異物の付着の有無が確認される。具体的には、装着面68に吸着ノズル62が装着されていない状態の装着ヘッド26を、移動装置24の作動により、パーツカメラ29の上方に移動させる。そして、吸着ノズル62が装着されていない状態の装着面68が、パーツカメラ29により撮像される。この際、コントローラ110において、パーツカメラ29による撮像データが分析され、装着面68への異物の付着の有無が判断される。そして、パーツカメラ29の撮像データに基づいて、装着面68への異物の付着が確認された場合にも、作業者に、装着面68に異物が付着していることが報知される。
【0036】
また、パーツカメラ29の撮像データに基づいて、装着面68への異物の付着が確認されなかった場合であっても、さらに、荷重センサ88により、装着面68への異物の付着の有無が確認される。詳しくは、パーツカメラ29の撮像データに基づいて異物の付着が確認されなかった装着ヘッド26の装着面68を、移動装置24の作動により、校正台32の上方に移動させる。そして、装着ヘッド26の装着面68が、校正台32の上面に配設されている荷重センサ88に接触する直前まで、装着ユニット60を下降させる。この際、装着面68に異物が付着していなければ、荷重センサ88により荷重は検出されない。一方、装着面68に異物が付着している場合には、その異物が荷重センサ88に接触するため、荷重センサ88により荷重が検出される。このため、装着ユニット60を下降させた際に、荷重センサ88により荷重が検出された場合に、装着面68に異物が付着していると判断される。そして、装着面68に異物が付着していると判断された場合に、作業者にも、装着面68に異物が付着していることが報知される。
【0037】
また、装着ユニット60を下降させた際に、荷重センサ88により荷重が検出されなかった場合、つまり、荷重センサ88の検出値に基づいて、装着面68に異物が付着していないと判断された場合であっても、さらに、ラインセンサ31により、装着面68への異物の付着の有無が確認される。詳しくは、荷重センサ88の検出値に基づいて異物の付着が確認されなかった装着ヘッド26の装着面68を、移動装置24の作動により、ラインセンサ31の上方に移動させる。そして、装着面68の高さ寸法が、ラインセンサ31により検出される。装着面68は平坦面であり、装着面68の高さ寸法は、その装着面68の何れの位置においても、ほぼ同じであるため、ラインセンサ31により検出される検出値が、閾値以上に変化した場合に、装着面68に異物が付着していると判断される。そして、装着面68に異物が付着していると判断された場合に、作業者に、装着面68に異物が付着していることが報知される。一方、ラインセンサ31により検出される検出値が、閾値以上に変化しなかった場合に、装着面68に異物が付着していないと判断される。
【0038】
また、装着ヘッド26の装着面68への吸着ノズル62の装着作業が実行される前に、ノズルステーション33のノズルトレイ90に収容されている吸着ノズル62の上面での異物の有無が確認される。具体的には、スライダ50に取り付けられているマークカメラ28を、移動装置24の作動により、ノズルトレイ90に収容されている吸着ノズル62の上方に移動させる。そして、吸着ノズル62の装着部である上面が、マークカメラ28により撮像される。この際、コントローラ110において、マークカメラ28による撮像データが分析され、吸着ノズル62の上面、つまり、フランジ部65の上面での異物の有無が判断される。そして、マークカメラ28の撮像データに基づいて異物が有ると判断された場合にも、作業者に、吸着ノズル62の上面に異物があることが報知される。
【0039】
さらに、マークカメラ28の撮像データに基づいて、吸着ノズル62の上面に異物が無いと判断された場合であっても、さらに、高さセンサ30により、吸着ノズル62の上面での異物の有無が検出される。詳しくは、スライダ50に取り付けられている高さセンサ30を、移動装置24の作動により、ノズルトレイ90に収容されている吸着ノズル62の上方に移動させる。そして、高さセンサ30を、吸着ノズル62の上方において移動さ
せながら、吸着ノズル62の上面、つまり、フランジ部65の上面の高さ寸法が、高さセンサ30により検出される。この際、コントローラ110において、高さセンサ30の検出値に基づいて、フランジ部65の上面での異物の有無が判断される。つまり、フランジ部65の上面は、平坦面であり、フランジ部65の高さ寸法は、フランジ部65の上面の何れの位置においても、ほぼ同じであるため、高さセンサ30により検出される検出値が、閾値以上に変化した場合に、フランジ部65の上面に異物が有ると判断される。そして、高さセンサ30の検出値に基づいて異物が有ると判断された場合には、作業者に、吸着ノズル62の上面に異物があることが報知される。一方、高さセンサ30により検出される検出値が、閾値以上に変化しなかった場合に、フランジ部65の上面に異物が無いと判断される。
【0040】
そして、装着ヘッド26の装着面68への異物の付着が無く、ノズルステーション33のノズルトレイ90に収容されている吸着ノズル62の上面に異物が無いと判断された場合に、装着ヘッド26の装着面68への吸着ノズル62の装着作業が実行される。つまり、パーツカメラ29の撮像データと、荷重センサ88及びラインセンサ31の検出値とに基づいて装着ヘッド26の装着面68に異物が付着していないと判断され、さらに、マークカメラ28の撮像データと、高さセンサ30の検出値とに基づいて、ノズルトレイ90に収容されている吸着ノズル62の上面に異物が無いと判断された場合に、装着面68に吸着ノズル62が装着される。これにより、装着ヘッド26の装着面68に適切に吸着ノズル62を装着することが可能となる。ひいては、装着ヘッド26への吸着ノズル62の装着作業時における装着ヘッド26、吸着ノズル62、ノズルトレイ90などの破損を防止することが可能となる。
【0041】
ちなみに、上記実施例において、装着機14は、対基板作業機の一例である。移動装置24は、移動装置の一例である。装着ヘッド26は、作業ヘッドの一例である。マークカメラ28は、撮像装置及び検出装置の一例である。高さセンサ30は、高さ検出センサ及び検出装置の一例である。バックアップピン98は、バックアップ部材の一例である。載置テーブル100は、載置面の一例である。バックアップピン専用のチャッカーは、バックアップ部材保持装置の一例である。
【0042】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、装着ヘッド26の装着面68及び、バックアップピン98の裏面への異物の付着が、パーツカメラ29の撮像データと、ラインセンサ31及び荷重センサ88の検出値とに基づいて判断されている。つまり、装着ヘッド26の装着面68及び、バックアップピン98の裏面への異物の付着が、3種類の検出装置により検出されているが、それら3種類の検出装置のうちの1又は2種類の検出装置により検出されてもよい。また、吸着ノズル62の上面及び、載置テーブル100の上面での異物の有無が、マークカメラ28の撮像データと、高さセンサ30の検出値とに基づいて判断されている。つまり、吸着ノズル62の上面及び、載置テーブル100の上面での異物の有無が、2種類の検出装置により検出されているが、それら2種類の検出装置のうちの1種類の検出装置により検出されてもよい。また、複数種類検出する場合に、その順序は変更してもよい。
【0043】
また、上記実施例では、回路基板を支持するバックアップ部材として、ピン形状のバックアップピン98が採用されているが、回路基板を支持可能な形状であれば、ピン形状に限定されず、種々の形状のバックアップ部材を採用することが可能である。
【0044】
また、上記実施例では、載置テーブル100にバックアップピン98が載置される前に、載置テーブル100の上の異物の有無が検出されているが、載置テーブル100にバックアップピン98が載置された状態で、載置テーブル100の上の異物の有無が検出され
てもよい。つまり、例えば、載置テーブル100にバックアップピン98が載置された状態で、作業対象の回路基板の種類が変更される際に、バックアップピン98の載置位置が変更される場合がある。このような場合に、載置テーブル100にバックアップピン98が載置された状態で、新たなバックアップピン98の載置予定位置の異物の有無が検出されてもよい。
【0045】
また、上記実施例では、装着機14に搬送装置22が設けられており、搬送装置22により回路基板が載置テーブル100の上方に搬送されるが、搬送装置22を設けずに、作業者が、載置テーブル100の上方に回路基板を設置してもよい。このような場合には、作業者が載置テーブル100の上方に回路基板を設置する前に、載置テーブル100の上の異物の有無が検出される。
【0046】
また、上記実施例では、異物の一例として落下した電子部品が記載されているが、埃,塵,ゴミなども、当然、異物に含まれる。
【0047】
また、上記実施例では、2次元カメラのマークカメラ28及びパーツカメラ29が検出装置として採用されているが、3次元カメラのマークカメラ及びパーツカメラが検出装置として採用されてもよい。このような場合に、3次元撮像データに基づいて、異物の有無を判断することで、適切に異物の有無を判断することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
14:装着機(作業機) 24:移動装置 26:装着ヘッド(作業ヘッド) 28:マークカメラ(検出装置) 30:高さセンサ(検出装置) 98:バックアップピン 100:載置テーブル(載置面)