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特許7418154特注の組成プロファイルを有するガラス成分およびその調製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】特注の組成プロファイルを有するガラス成分およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 19/06 20060101AFI20240112BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240112BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240112BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240112BHJP
【FI】
C03B19/06 Z
B33Y10/00
B33Y70/00
B33Y80/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018564977
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 US2017036197
(87)【国際公開番号】W WO2017214179
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-03-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】62/346,228
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520222092
【氏名又は名称】ローレンス・リバモア・ナショナル・セキュリティー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディラ-スピアーズ,レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】バウマン,セオドア・エフ
(72)【発明者】
【氏名】デュオス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】クンツ,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】マイルズ,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ヌグイェン,ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】スパダッチニ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】スラトワラ,タイヤブ・アイ
(72)【発明者】
【氏名】イー,ティモシー・デクスター
(72)【発明者】
【氏名】チュー,チェン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,キャメロン・デイビッド
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】増山 淳子
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/048341(WO,A1)
【文献】特開2015-23560(JP,A)
【文献】特表2012-526291(JP,A)
【文献】特開2001-326002(JP,A)
【文献】特開2004-67456(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141779(WO,A1)
【文献】特開2008-201665(JP,A)
【文献】特表2013-501701(JP,A)
【文献】John Klein et al., “Additive Manufacturing of Optically Transparent Glass”, 3D PRINTING AND ADDITIVE MANUFACTURING, 2015, Volume 2, Number 3, p.92-105
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B19/06
C33Y10/00
C33Y70/00
C33Y80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス成分を形成する方法であって、前記方法は、
インクの押し出し系の印刷によって構造物を形成することを備え、前記インクはガラス形成材料および前記構造物における第2の成分の組成傾斜を作り出すための前記第2の成分を含み、前記方法はさらに、
前記ガラス形成材料をガラスに転化するために、前記形成された構造物を熱処理することを備え
前記第2の成分は前記熱処理された構造物の特性を変更し、
前記構造物の組成傾斜を形成するために、前記インクにおける前記第2の成分の濃度が前記印刷中に変化する、方法。
【請求項2】
犠牲材料を除去するために、前記形成された構造物を乾燥させることを備え、前記乾燥させることは、前記形成された構造物の熱処理に先立って行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インクの温度が前記印刷中は200℃よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガラス形成材料は、シリカ、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、コロイドシリカ分散液、チタニア粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、および金属カルコゲナイド粒子からなる材料の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス形成材料は形成中に溶媒に懸濁される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理された構造物の研削および研磨のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱処理された構造物はファイバ形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理された構造物はシート形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱処理された構造物は3次元モノリス形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理された構造物は基板上の被覆形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記インクは、分散性の向上、相安定性の向上、ネットワーク強度の向上、pHの制御、pHの変更、レオロジーの修正、乾燥中の割れの形成の減少、結晶化の抑制、および焼結の促進からなる群より選択される効果をもたらすために効果的な量の添加物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法により製造された製品であって、
前記製品は、規定された形状寸法を有するモノリスガラス構造物を備え、
前記モノリスガラス構造物は、3次元構造の物理的特徴を有するガラス成分であって
前記モノリスガラス構造物は、前記ガラス成分における前記第2の成分の組成傾斜を有し、
前記第2の成分の前記組成傾斜は、前記モノリスガラス構造物の径方向に沿った屈折率の傾斜によって特徴付けられ、前記径方向は、前記モノリスガラス構造物の積層物の平面に沿っている、製品。
【請求項13】
前記3次元構造の物理的特徴の1つは、前記ガラス形成材料で形成された第1のガラスと前記ガラス形成材料の組成とは異なる組成を有する第2のガラス形成材料から形成された第2のガラスとの間の界面を含み、前記第1のガラスは前記第2のガラスに混合されず、
前記界面は、前記モノリスガラス構造物の積層物の前記平面に対して実質的に垂直に向けられて、前記モノリスガラス構造物を前記界面に直接隣接する異なる組成を有する2つの部分に分ける、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記ガラス形成材料はシリカ-酸化ゲルマニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ガラス形成材料はシリカ-酸化ゲルマニウムを含む、請求項12に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国政府は、ローレンスリバモア国立研究所の運営のための米国エネルギー省とローレンスリバモアナショナルセキュリティ、LLCとの間の契約第DE-AC52-07NA27344号に従って、本発明に権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ガラス成分に関し、特に、特注の組成プロファイルを有する光学ガラス成分および非光学ガラス成分ならびにそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
従来より、材料組成の傾斜は、(1)均一の組成物を含有する複数の層を一緒に溶融することによって軸方向に、または、(2)種(小さくて、早く拡散するイオンであることが典型的である)を高温でロッド状のシリカゾルゲルまたは固体の内部または外部へ拡散することによって径方向に、導入される。しかしながら、単に拡散を利用した傾斜は対称的な放物線状のプロファイルに限られており、(径方向傾斜屈折率レンズの場合、)最大で20mmの直径にすることが可能であるあるが、最も商品化されているバージョンでは、直径は2mmよりも小さい。より大きな、ゆっくりと拡散する種の導入は、難易度が高い。
【0004】
付加製造によって単一組成のガラスを作成する試みが行なわれてきた。シリカパウダーベッドにおいてシリカ粒子の溶解および溶融を行なうレーザー溶融法(SLM)を用いた付加製造によって、単一組成のシリカガラスの調製が行なわれてきた。さらに、シリカを窯炉のような高温の容器で溶解し溶解したガラスのリボンをノズルを通じて積層させる付加製造方法(G3DP)によって、単一組成のガラスの調製が行なわれてきた。これらの方法では、フィラメントまたは選択的に溶解された領域が冷却の際に熱によって引き起こされた応力の影響を受けやすい状態のままになるため、たとえば、この部分の厚さにわたって望ましくない屈折率傾斜を作り出すことによって、当該部分が光学的特性を有することを防ぐことができる。加えて、選択的に溶解した領域は閉じ込められた気孔を部分間に残すため、これらの部分を結合する際に抵抗が生じる。さらに、これらの方法は、異なる組成物を厳しく制御された態様で導入するには適していない。高温でない状態で構造物を印刷し、完全に形成することが望ましい。
【0005】
本明細書で説明される様々な実施形態では、ダイレクトインクライティング(direct ink writing(DIW))付加製造を用いて組成傾斜をアモルファスの低密度フォーム(LDF)へと導入する。LDFは、完全に形成されると、熱処理されて完全な構造物として透明になって、エッジ効果を低下させる。
【0006】
また、傾斜組成のガラスを形成する現在の方法は難易度が高い。スラリーを利用した3D印刷(S-3DP)システムでは、ドーパントは、LDFがスラリーから形成されて乾燥された後に添加される。このプロセスは、LDF内の構造的な一体性に取り組んでいる。加えて、乾燥された本体にわたる低粘性滴状のドーパントの導入によって、対象の種が径方向および軸方向に拡散し毛管力によって下方の乾燥した構造物の孔を充填する可能性が残り、導入された組成傾斜の制御が低下する可能性がある。組成傾斜も、拡散によってLDFに容易に混合し得る材料(たとえば、小分子、イオン)に限られてしまう。そのため、ドーパントがLDFの形成中およびLDFの乾燥前に混合物の構成要素である傾斜組成のガラスを形成するプロセスを開発することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概要
本明細書で説明される様々な実施形態によって、(1)従来のガラス処理技術では達成することができない、特注の組成プロファイルを有する光学的または非光学的なガラスの形成と、(2)拡散方法によって容易に導入できない種の導入と、(3)拡散方法によって達成可能なものよりもはるかに大きな特注のパターンの材料特性を有するガラス光学部品の生成とが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、DIW付加製造によって傾斜が導入され、ドーパントを用いた、または用いないガラス形成種の連続インライン混合が使用されて、望ましい組成変化を達成する。LDFは、完全に形成されてから乾燥させられる。ドーパント自体はイオン、分子、および/または粒子であり得、高粘性懸濁液でガラス形成種と事前に混合されてもよい。これにより、LDF内での低温度での拡散が制限される。
【0009】
一実施形態によると、方法は、ガラス形成材料を含むインクの印刷によって構造物を形成することと、ガラス形成材料をガラスに転化するために、形成された構造物を熱処理することとを備える。
【0010】
他の実施形態によると、製品は、ガラス形成材料を含むインクの3次元印刷による形成物の物理的特徴を有するモノリスガラス構造物を含む。本発明の他の側面および利点は、以下の詳細な説明から明らかになり、図面と関連して、本発明の原則を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る、特注の組成プロファイルを有するガラス成分を調製する方法のフローチャートである。
図2図2Aは、一実施形態に係る、単一組成ガラス成分を調製する方法の模式図である。図2Bは、一実施形態に係る、複数の組成ガラス成分を調製する方法の模式図である。
図3A図3Aは、一実施形態に係る、ガラス形成インクを基板上に押し出し成形する画像である。
図3B図3Bは、一実施形態に係る、印刷された低密度フォームの画像である。
図3C図3Cは、一実施形態に係る、印刷された低密度フォームの熱処理に続くガラスフォ-ムの画像である。
図4A図4Aは、一実施形態に係る、軸方向に沿った低密度フォームの材料特性における傾斜を含む低密度フォ-ムの模式図である。
図4B図4Bは、一実施形態に係る、径方向に沿った低密度フォームの材料特性における傾斜を含む低密度フォームの模式図である。
図5図5Aは、一実施形態に係る、複数成分印刷に続く、軸方向に傾斜を有する低密度フォームの画像である。図5Bは、一実施形態に係る、印刷された低密度フォ-ムの熱処理に続く、軸方向に傾斜を有するガラスフォームの画像である。図5Cは、一実施形態に係る、複数成分印刷に続く、径方向に傾斜を有する低密度フォームの画像である。図5Dは、一実施形態に係る、印刷された低密度フォ-ムの熱処理に続く、径方向に傾斜を有するガラスフォームの画像である。
図6A図6Aは、一実施形態に係る、シリカ組成物を用いて形成された、印刷された部分の画像である。
図6B図6Bは、一実施形態に係る、シリカ組成物を用いて形成された、印刷された部分の画像である。
図6C図6Cは、一実施形態に係る、シリカ組成物を用いて形成された、印刷された部分の画像である。
図6D図6Dは、一実施形態に係る、シリカ-チタニア組成物を用いて形成された、印刷部分の画像である。
図6E図6Eは、一実施形態に係る、シリカ-チタニア組成物を用いて形成された、印刷部分の画像である。
図6F図6Fは、一実施形態に係る、シリカ-チタニア組成物を用いて形成され た、印刷部分の画像である。
図7A図7Aは、一実施形態に従って形成されたガラスのチタニア濃度に対して、屈折率プロファイルをプロットした図である。
図7B図7Bは、一実施形態に係る、異なるチタニア濃度で形成された、結果として生じるガラス構造物の画像である。
図8図8は、一実施形態に係る、圧密構造の形成物の熱処理プロファイルのプロットを示す図であり、各ステップの画像をプロファイルプロットの差し込み図として含む図である。
図9図9Aは、一実施形態に係る、ダイレクトインクライティングによって調製された傾斜屈折率シリカ-チタニアガラスレンズの画像である。図9Bは、図9Aのガラスレンズの表面修正インターフェログラムである。図9Cは、図9Aのレンズから300μm焦点の画像である。
図10図10Aは、一実施形態に係る、金ドープされたシリカガラスから構成される複合ガラスの画像である。図10Bは、吸光度を図10Aの複合ガラスの光の波長の関数としてプロットした図である。図10Cは、図10Aの複合ガラスのガラス表面に沿った位置に対して、525nmの吸光度をプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
以下の説明は、本発明の一般的な原理を示す目的でなされており、本明細書で特許請求されている本発明の概念を制限することを意図するものではない。さらに、本明細書に記載の特定の特徴は、それぞれの使用可能な組合せおよび並べ替えにおいて他の記載された特徴と併せて使用することができる。
【0013】
本明細書において他に特に定義しない限り、すべての用語は、本明細書から示唆される意味ならびに当業者によって理解される、および/または、辞書、論文などに定義される意味を含めた、それらの最も広い可能な解釈が与えられるべきである。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているような、単数形「a」、「an」および「the」には、特に指定のない限り複数の指示対象が含まれることもまた留意されたい。
【0015】
以下の説明では、特注の組成プロファイルを有する光学ガラス成分および非光学ガラス成分を調製する好ましい実施形態、ならびに/または、関連するシステムおよび方法の好ましい実施形態がいくつか開示される。
【0016】
一般的な一実施形態では、方法は、ガラス形成材料を含むインクの印刷によって構造物を形成することと、ガラス形成材料をガラスに転化するために、形成された構造物を熱処理することとを備える。
【0017】
他の一般的な実施形態では、製品は、ガラス形成材料を含むインクの3次元印刷による形成物の物理的特徴を有するモノリスガラス構造物を含む。
【0018】
説明で使用される頭字語のリストを以下に示す。
3D 3次元
DIW ダイレクトインクライティング
FDM 熱溶解積層法
IR 赤外線
G3DP ガラス3次元印刷
GRIN 屈折率ガラス
LDF 低密度フォーム
Si シリコン
S-3DP スラリーを利用した3次元印刷
SLM 選択的レーザー溶解法
Ti チタン
UV 紫外線
本明細書で説明される様々な実施形態では、1次元、2次元、または3次元の特注の材料組成プロファイルを有する能動または受動光学または非光学ガラス成分および/またはガラスセンサを製造するための方法が提供される。本明細書で説明される様々な実施形態によって、組成変化を有するまたは有さない様々な無機ガラスの3次元(3D)印刷が可能になる。ガラス組成および処理条件によっては、ガラスは人間の目に透明または不透明に映ることがある。しかしながら、「光学ガラス」という用語はスペクトルの可視部分において有用なガラスのみを指すのではなく、UV、可視、近赤外、中赤外、遠赤外にも拡張され得る。
【0019】
図1は、一実施形態に係る特注の組成プロファイルを有する光学ガラス成分を調製するための方法100を示す図である。オプションとして、本明細書で説明される他の図に示されているような装置に対して本方法100を実施することも可能である。しかしながら、言うまでもなく、この方法100および本明細書で提示される他の方法を使用して、本明細書で列挙される例示的な実施形態に関連するであろう、または関連しないであろう広範囲の装置および/または目的のために構造物を形成可能である。さらに、本明細書で提示される方法は他の望ましい環境で実施可能である。さらに、様々な実施形態によると、多かれ少なかれ図1に示すものとは異なる動作を方法100に含めることが可能である。前述の特徴のうちのいずれかを様々な方法に従って説明された実施形態のいずれかにおいて使用可能であることにも留意されたい。
【0020】
図1に示す一実施形態では、方法100は、インクの印刷によって構造物を形成することを含む動作102で始まる。様々な実施形態によると、インクの印刷は、インク混合能力を有しうる以下の付加製造手法のうちの一つを含み得る。それらの製造技術は、ダイレクトインクライティング(DIW)、3Dシステムにおけるステレオリソグラフィ、投影マイクロステレオリソグラフィ、熱溶解積層法、電気泳動法、ポリジェット(PolyJet)処理、直接積層、インクジェット印刷、インクジェットパウダーベッド印刷、エアロゾルジェット印刷などである。これらのプロセスの組合わせも考えられる。
【0021】
様々な実施形態によると、方法100は、フィラメント、フィルム、および/または3Dモノリス構造またはスパニング(spanning)フリーフォームを作成するために使用可能である。
【0022】
一実施形態によると、インクはガラス形成材料を含む。他の実施形態によると、ガラス形成材料は粒子の調製された分散液を含み、粒子のサイズはナノメートルからミクロンに及ぶ。いくつかの手法では、粒子は単分散され得る。他の手法では、粒子は多分散され得る。他の手法では、粒子は凝集され得る。
【0023】
他の実施形態では、ガラス形成材料は無機粒子の単一組成物、たとえば、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、LUDOXコロイドシリカ分散液、チタニア粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、金属カルコゲナイド粒子(たとえば、CdS、CdSe、ZnS、PbS)などであるが、これらに限定されるわけではない。さらに他の実施形態では、ガラス形成材料は無機物含有粒子の単一組成物でもよい。
【0024】
一実施形態では、ガラス形成材料は複数の混合組成粒子でもよく、たとえば、二成分シリカ-チタニア粒子、シリカ-酸化ゲルマニウム粒子であるが、これらに限定されるわけではなく、および/または、無機または有機化学修飾表面(すなわち、チタニア修飾シリカ粒子、シリカ修飾チタニア粒子、3-アミノプロピルトリエトキシシラン修飾シリカ粒子)を有する粒子でもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、ガラス形成材料は異なる組成の粒子の混合物であり得、たとえば、融解されると共にシリカ-チタニアガラスを形成する、シリカ粒子とチタニア粒子の混合物でもよいが、これに限定されるわけではない。
【0026】
一実施形態によると、ガラス形成材料は粒子の形状でない場合もある、ガラス形成材料の単一組成物でもよい。いくつかの実施形態では、ドーパントはポリマーに直接混合されてもよく、たとえば、シリカ、シリカ-チタニア含有ポリマー、シリカ-酸化ゲルマニウムポリマー、シリカ-酸化アルミニウムポリマー、シリカ-三酸化ホウ素ポリマーなどでもよいが、これらに限定されるわけではない。
【0027】
いくつかの実施形態によると、インクのガラス形成材料は、小金属含有有機前駆物質から調製される大分子および/またはポリマー(線形または分岐した)を含み得る。ポリマーの例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)、シリコーン、ジエトキシシロキサン-エチルチタネートコポリマー、多面体オリゴマ-シルセスキオキサンポリマーおよびコポリマーが挙げられる。大分子の例としては、ポリオキソメタレートクラスター、オキソアルコキソメタレートクラスターが挙げられる。特殊な機能を果たすように製造されたSi/Ti含有ポリマーは、有機シリケートと有機チタン酸塩との、たとえば、テトラエチルオルト珪酸エステルとチタンイソプロポキシドとの酸触媒加水分解によって合成可能であり、必要であれば、付加的なエステル交換ステップを有する。このプロセスに対する変更は、金属-酸素以外の結合を有する有機金属化学物、たとえば(3-アミノプロピル)トリエトキシシランの利用、高分子溶液、たとえば、NaF、Cu(NO、LiCOへの塩の直接添加によるドーピング、酸触媒加水分解中のポリマーチェーンへの金属種の含有によるドーピング、主要な(たとえば、シリコン(Si))および副次的な(たとえばチタン(Ti))ガラス成分の、リニア重合可能な代替物、たとえば、Ge、Zr、V、Feとの置換を含む。
【0028】
いくつかの実施形態によると、インクのガラス形成材料は小金属含有有機前駆物質および/または無機前駆物質、たとえば、金属アルコキシド、シロキサン、ケイ酸塩、リン酸塩、カルコゲナイド、金属-水酸化物、金属塩などを含み得る。例としては、シリコンアルコキシド、ホウ素アルコキシド、チタンアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシドを含み得る。いくつかの手法では、インクのガラス形成材料は、チタンイソプロポキシド、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトネート)、テトラエチルオルト珪酸エステル、塩化亜鉛、塩化チタンを含み得る。
【0029】
一実施形態では、ガラス形成材料を溶媒に懸濁可能である。ガラス形成材料が極性および/または親水性ガラス形成材料である一実施形態では、溶媒は、極性非プロトン性の溶媒であることが好ましい。ある手法では、溶媒は炭酸プロピレン、ジメチルエーテル(たとえば、テトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテル)、および/またはジメチルホルムアミドの純粋成分または混合物であり得る。他の手法では、溶媒は極性プロトン性溶媒、たとえば、アルコールおよび/または水であり得る。ガラス形成材料が疎水性である一実施形態では、溶媒は無極性溶媒、たとえばキシレン、アルカンであり得るが、これらに限定されるわけではない。
【0030】
一実施形態によると、インクは、ガラス形成材料と熱処理されたガラス構造物の特性を変更する少なくとも1つの第2の成分とを組合せたものであり得る。いくつかの実施形態では、第2の成分はドーパントを変更する特性であり得る。他の実施形態では、2つ以上の材料特性が第2の成分の添加による影響を受け得る。様々な実施形態では、第2の成分は、光学特性、機械特性、磁気特性、熱的特性、電気特性、化学特性などのうちの1つ以上の特性について、結果として生じる構造物の材料特性(たとえば、特徴)に影響を及ぼし得る。
【0031】
1つの手法では、第2の成分はイオン状であり得る。他の手法では、第2の成分は分子であり得る。さらに他の手法では、第2の成分は粒子であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、インクは、熱処理されたガラス構造物の特性を変更し得る1つ以上の効果的な量の第2の成分を含み得る。効果的な量の第2の成分とは、熱処理されたガラス構造物の特性を変更させる量であり、本明細書の説明を読んで当業者に明らかになるように、本明細書の教示に従い添加物の濃度を変更する必要以上の実験を行なうことなく容易に決定可能である。
【0033】
一実施形態において、結果として生じる構造物の色は、様々な大きさの金属ナノ粒子(金、銀)、硫黄、金属硫黄物(カドミウム硫黄物)、金属塩化物(塩化金)、金属酸化物(酸化銅、酸化鉄)からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0034】
一実施形態では、結果として生じる構造物の吸光率(線形または非線形)は、酸化セリウム、鉄、銅、クロム、銀、および金からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0035】
一実施形態では、結果として生じる構造物の屈折率は、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、鉛、トリウム、バリウムからなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0036】
一実施形態では、結果として生じる構造物の分散性は、バリウムおよびトリウムからなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0037】
一実施形態では、結果として生じる構造物の減衰性/光学密度は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0038】
一実施形態では、結果として生じる構造物の感光性は、銀、セリウム、フッ素からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0039】
一実施形態では、結果として生じる構造物の導電率は、アルカリ金属イオン、フッ素、カーボンナノチューブからなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0040】
一実施形態では、結果として生じる構造物の、第2の成分で形成される結晶相によって付与される光の分極および伝搬方向に依存する屈折率を有するような複屈折は、シリコンおよび酸素と組合わせて、チタン、ジルコニウム、亜鉛、ニオブ、ストロンチウム、リチウムからなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0041】
一実施形態では、結果として生じる構造物の熱伝導率は、カーボンナノチューブ、金属からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0042】
一実施形態では、結果として生じる構造物の熱放射率は、酸化スズ、鉄からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0043】
一実施形態では、結果として生じる構造物の熱膨張率は、酸化ホウ素、酸化チタンからなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0044】
一実施形態では、結果として生じる構造物のガラス転移点は、第2の成分としての炭酸ナトリウムの添加による影響を受け得る。
【0045】
一実施形態では、結果として生じる構造物の融点は、ナトリウム、アルミニウム、鉛からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0046】
一実施形態では、結果として生じる構造物の利得係数は、希土類イオン(たとえば、ネオジム、エルビウム、イッテルビウム)、遷移金属イオン(たとえば、クロム)からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0047】
一実施形態では、結果として生じる構造物の光電子放出は、第2の成分の添加による影響を受け得る。他の実施形態では、結果として生じる構造物のルミネセンスは、第2の成分の添加による影響を受け得る。さらに他の実施形態では、結果として生じる構造物の蛍光発光は、第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0048】
一実施形態では、結果として生じる構造物の化学反応性は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、銀からなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0049】
一実施形態では、結果として生じる構造物の密度は、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、鉛、トリウム、バリウムからなる群より選択される1つ以上の第2の成分の添加による影響を受け得る。
【0050】
一実施形態では、インクの第2の成分の濃度は、印刷された構造物の組成傾斜を生成するための印刷中に変化し得る。いくつかの手法では、インクの第2の成分は最終的に熱処理された構造物において組成傾斜を生成し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、インクの第2の成分の濃度は、いかなる軸に対しても対称にはならない組成変化(たとえば、傾斜、パターンなど)を作り出すことがあり、たとえば、パターンは構造物の周囲で径方向に変化し得る(完成した3D構造物として形成され得る)が、これらに限定されるわけではない。
【0052】
いくつかの実施形態では、インクは特定の機能を行ない得る、効果的な量の1つ以上の付加的な添加物を含み得る。たとえば、添加物は、分散、相安定性、および/またはネットワーク強度を向上させ、pHの制御および/または変更を行ない、レオロジーを修正し、乾燥中の割れの形成を減少させ、焼結を促進し得るが、これらに限定されるわけではない。添加物の効果的な量は、所望の機能または結果をもたらす量であり、本明細書を読んで当業者に明らかなように、本明細書の教示に従い添加物の濃度を変更する必要以上の実験を行なうことなく、容易に決定可能である。
【0053】
一実施形態では、分散性を高めるために、インクは、界面活性剤(たとえば、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA))、高分子電解質(たとえば、ポリアクリル酸)、無機酸(たとえば、クエン酸、アスコルビン酸)など1つ以上の添加物を含み得る。
【0054】
一実施形態では、インクは相安定性を増大させる(すなわち、結晶相分離の場合もあればそうでない場合もある、相/組成分離を防ぐ)ために、添加物(たとえば、三酸化二ホウ素(B))を含み得る。他の例としては、アルカリケイ酸塩のための相安定剤として作用し得るZnOが挙げられる。
【0055】
一実施形態では、インクは結晶化を抑制するために添加物(たとえば、三酸化二ホウ素B)を含み得る。他の結晶化抑制剤は、AlおよびGaである。
【0056】
一実施形態では、インクはネットワークを強化するために添加物(たとえば、ポリジメチルシロキサン)を含み得る。
【0057】
一実施形態では、pHを制御するために、インクは、有機酸、無機酸、塩基(たとえば、酢酸、HCl、KOH、NHOH)の添加物のうちの1つ以上を含み得る。
【0058】
一実施形態では、レオロジーを改変するために、インクは、ポリマー(たとえば、セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール)、表面活性剤(たとえば、MEEAA、ドデシル硫酸ナトリウム、グリセロール、エチレングリコール)、金属アルコキシド(たとえば、チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトネート))の添加物のうちの1つ以上を含み得る。
【0059】
一実施形態では、インクは、乾燥中の割れに対する耐性の増強または割れを抑制する乾燥助剤として、ポリマー(たとえば、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート)、架橋性モノマーまたはポリマ-および架橋性試薬(たとえば、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA))の添加物のうちの1つ以上を含み得る。
【0060】
一実施形態では、インクは焼結助剤として添加物を含み得る。焼結助剤は、焼結/高密度化プロセスを向上させる。ガラスの場合、焼結助剤はガラスに焼結される材料の粘性よりも粘性が低くなり得る。たとえば、三酸化二ホウ素(B)が焼結助剤として含有され得る。
【0061】
様々な実施形態では、ガラス形成インク(すなわち、ガラス形成材料)の配合物は、印刷適性(3D印刷の方法による)、割れに対する耐性、および透明になるまでの焼結という要素の組合せのために最適化される。いくつかの手法では、ガラス形成インクの配合物の容積負荷が最適化される。いくつかの手法では、ガラス形成材料の組成傾斜の特徴が最適化され得る。
【0062】
一実施形態によると、ガラス形成材料の配合物は、全容積の約5vol%~約50vol%の範囲のガラス形成無機種、約30vol%~約95vol%の範囲の溶媒、0wt%~約20wt%の範囲の第2の成分(すなわち、ドーパント)、および0wt%~約10wt%の添加物を含み得る。
【0063】
インクの調合例1
5-15vol% ヒュームドシリカ(カボシルEH-5またはカボシルOX-50)
30-95vol% テトラエチレングリコールジメチルエーテル
0-20wt% チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトネート)
0-6wt% エチレングリコール
0-2wt% ポリ(ジメチルシロキサン)
インクの調合例2
75-95vol% シリカ-チタニア含有ポリマー
10-25vol% テトラエチレングリコ-ルジメチルエーテル
0-10vol% 前加水分解のためのH
インクの調合例3
5-20vol% 25-nmチタニア被覆シリカ粒子
25-45vol% プロピレンカーボネート
25-45vol% テトラエチレングリコ-ルジメチルエーテル
0-5wt% MEEAA
一実施形態によると、インクの第2の成分の濃度は、構造物の組成傾斜を形成するために、印刷中に最終的な熱処理構造物に変化し得る。
【0064】
一実施形態では、インクの温度は印刷中は約200℃より低くてもよい。
一実施形態では、方法100は、犠牲材料を除去するために、形成された構造物を乾燥させることを備え、この乾燥は、形成された構造物の熱処理の前に行なわれる。完全に形成された構造物を一回のプロセスで乾燥することが理想的である。
【0065】
図1に示す一実施形態によると、方法100は、ガラス形成材料をガラスに転化するために、形成された構造物を熱処理することを含む動作104を備える。
【0066】
一実施形態では、方法は、熱処理されたガラス構造物をさらに処理することを備える。ある手法では、方法は、熱処理されたガラス構造物を研削することを備える。他の手法では、方法は、熱処理されたガラス構造物を研磨することを備える。さらに他の手法では、方法は、熱処理されたガラス構造物の研削および研磨を行なうことを備える。
【0067】
一実施形態では、熱処理されたガラス構造物は、ファイバ形状であり得る。
他の実施形態では、熱処理されたガラス構造物は、シート形状であり得る。
【0068】
一実施形態では、熱処理されたガラス構造物は、3次元モノリス形状であり得る。
他の実施形態では、熱処理されたガラス構造物は、部品、工具など、基板上の被膜形状であり得る。
【0069】
図2A図2Bは、一実施形態に係る特注の組成プロファイルを有する光学ガラス成分を調製するための方法200および250を示す図である。オプションとして、本方法200および250は、他の図面を参照して説明されるような、本明細書で列記された他の実施形態の特徴と関連して実施可能である。しかしながら、言うまでもなく、このような方法200および250ならびに本明細書で提示された他の方法を、本明細書で列記された例示的な実施形態において詳細に説明されている、または説明されていない様々な用途および/または並べ替えにおいて使用可能である。さらに、本明細書で提示される方法200および250を、任意の所望の環境で使用可能である。
【0070】
単成分シリカガラスを調製する方法200の例示的な実施形態について、図2Aで説明する。一実施形態によると、インクを印刷する方法は、ステップ222および224に示すDIW印刷を含む。DIWは、粘弾性材料の押出成形を利用した3D印刷プロセスである。気圧または正の変位によって、インク202は小さなノズル208を通って押される。いくつかの手法では、ノズル208はコンピュータによって制御され、3自由度(x、y、z)を有している。他の手法では、ノズル208は、印刷用に6つの軸を有するように拡張し得る。ノズル208を、制御された分布パターンでインクを押し出すように位置決め可能である。
【0071】
ステップ222および224で、DIWにより、ガラス形成種を含有する、流体力学的に調整されたガラス形成DIWインク202を規定された形状寸法に積層して、弱く結合した、ほぼネット形状の、多孔性アモルファス低密度フォーム(LDF)214を形成する。いくつかの手法では、押し出されたフィラメント212をLDF214に急速に凝固させる。いくつかの手法では、LDF214は、素地、ガラス形成種などと呼ばれる場合がある。ガラス形成種は、前駆物質および/またはコロイド/粒子として導入可能である。いくつかの手法では、ガラス形成DIWインク202はコロイドシリカインクであり得る。
【0072】
一実施形態によると、ガラス形成DIWインクの配合物は、印刷適性、乾燥/焼出し、および焼結のために最適化される。ガラス形成DIWインクの配合物は、剪断減粘性の観点からの印刷適性、流動能力(安定した流動)、形状保持能力(保形)、低凝集、長い印刷時間、安定したポットライフ(安定性)などについて最適化可能である。ガラス形成DIWインクの配合物は、取り扱い上の耐性、割れに対する耐性、低/均一収縮度、有機化合物の除去に適した多孔性などの観点から、乾燥について最適化可能である。ガラス形成DIWインクの配合物は、割れに対する耐性、低/均一収縮度、緻密化/透明化能力、相分離する傾向が低いという観点から、焼結について最適化可能である。
【0073】
一実施形態によると、ステップ222は、ガラス形成DIWインク202をノズル208を介して押し出して、フィラメント212を基板210に単層で積層することを含む。
【0074】
方法200のステップ224は、ガラス形成DIWインク202の層の上に層を形成してLDF214を形成することを含む。図3Aは、基板上に押し出されたコロイドシリカインクの画像である。
【0075】
LDF214を複数のステップで処理して、LDF214を熱処理されたガラスフォーム216に転化してもよい。
【0076】
必要に応じて、乾燥の前または後のいずれかに、LDF214を付加的に処理してその部分の組成をさらに変えてもよい。いくつかの手法では、付加的な処理は、拡散、浸出、エッチングなどを含み得る。他の手法では、付加的な処理は、印刷されたフォームの特徴を変更するために光、音、振動を用いること、またはそれらを組合せることを含み得る。さらに他の手法では、熱処理によってLDFの気孔を閉じる前の化学処理によって、結果として生じるガラスフォームの光学品質を定義し得る。
【0077】
ステップ226において、LDFの乾燥、焼成(すなわち、高温での残りの溶媒/有機物の除去)などを行い得る。乾燥中に、溶剤/溶媒相を除去し得る。LDF214を、LDF214が印刷された基板210から離し得る。いくつかの手法では、乾燥ステップ226は、溶媒の沸点より低い温度で数時間から数週間放置することを含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、処理ステップ226は、残りのおよび/または吸着された水/溶媒相ならびに有機物を除去する低温処理ステップ(すなわち、バーンアウト)を含み得る。いくつかの手法では、バーンアウトステップは、250~600℃で0.5~24時間放置することを含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、処理ステップ226は、表面を化学的に転化させる(たとえば、自由表面ヒドロキシルから無水シロキサンへ転化する)ために代替的なガス雰囲気下でLDF214を加熱することを含み得る。いくつかの手法では、処理ステップ226は、酸化性ガス雰囲気(たとえば、Oガス)下でのLDF214の加熱を含み得る。他の手法では、処理ステップ226は、還元性ガス雰囲気(たとえば、Hガス)下でのLDF214の加熱を含み得る。さらに他の手法では、処理ステップ226は、非反応性ガス雰囲気(たとえば、Ar、He)下でのLDF214の加熱を含み得る。さらに他の手法では、処理ステップ226は、反応性ガス雰囲気(たとえば、N、Cl)下でのLDF214の加熱を含み得る。さらに他の手法では、処理ステップ226は、真空状態でのLDF214の加熱を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、処理ステップ226は、一軸圧力または均衡圧力を用いてLDF214の部分を圧縮して(すなわち、気孔を減少させて)圧縮フォームを得ることを含み得る。いくつかの手法では、処理ステップ226は、真空状態でLDF214の部分を圧縮する(すなわち、気孔を減少させる)ことを含み得る。
【0081】
図3Bは、乾燥させたLDFの画像である。
一実施形態によると、方法は、図2Aのステップ228に示すように、乾燥させたLDF214を熱処理して残りの気孔を閉じ、圧密された透明のガラス部分を形成することを含む。いくつかの手法では、LDFの密集フォームを熱処理し得る。
【0082】
熱処理ステップ228は、高温でLDF214(すなわち、無機ガラス形成種)を完全に固体ガラス圧密フォーム216に高密度化させる焼結を含み得る。いくつかの手法では、LDFの焼結は、500~1600℃で数分~数時間放置することを含み得る。焼結温度は、LDFの材料組成、初期の無機配合および気孔によって決まる。いくつかの手法では、LDFの焼結は、印加された圧力の同時使用を含み得る。いくつかの手法では、熱処理ステップ228は、異なる大気条件下で行なわれ得る。他の手法では、熱処理ステップ228は、真空状態で行なわれ得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、熱処理されたガラスフォーム216は、モノリスガラス構造物であり得る。図3Cは、図3Bに示すLDFの熱処理後のモノリスガラス構造物を示す画像である。いくつかの実施形態では、結果として生じるガラス圧密フォーム216は、DIW印刷(ステップ222、224)の間に与えられたであろうインク202の特徴を維持可能である。
【0084】
一実施形態では、ガラス圧密フォーム216は、ガラスフォーム216の1つの表面に沿ったスパイラル形状、アーチ状および/または直線状の稜線を含むLDF214の物理的特徴を有し得る。
【0085】
一実施形態では、後処理ステップ230で、ガラスフォーム261は、たとえば、研削および/または研磨などの技術によって最終的に研磨された光学部品フォーム218の望ましい模様および/または表面仕上げを得るために後処理され得る。一実施形態では、研磨された光学部品218は、3D印刷および熱処理によって研磨された形成物であり、LDF214の特性が維持され、研磨によって除去されることはない。一実施形態では、研磨された光学部品218は、研磨されたモノリスガラス構造物である。
【0086】
いくつかの手法では、ガラスフォーム216はボルトガラスとして処理可能であり、そのため、従来より周知の技術による印刷処理のどのような形跡も除去可能である。他の手法では、ガラスフォーム216は後処理の後でさえ、本明細書で説明された印刷プロセスによってのみ達成可能な特徴を保持する。
【0087】
一実施形態によると、ガラス製品における傾斜および/または分布パターンを形成する方法250の模式図が図2Bに示されている。他の実施形態では、方法は、いかなる軸に対しても対称でないような組成変化(たとえば、傾斜、パターンなど)を形成し得、たとえば、パターンは構造物の周囲で径方向に変化し得る(たとえば、パターンは完全な3D構造物として形成され得る)が、これに限定されるわけではない。
【0088】
一手法では、方法によって、屈折率分布形(GRIN)ガラスが形成され得る。GRINガラスの印刷は、LDFの形成物の特徴が空間充填、高縦横比、およびスパニングで示されるような好ましい弾性率/粘性につながる、気孔を含まないモノリスの印刷を含む。加えて、この方法は、傾斜を形成するために求められる2種類のDIWインクのレオロジーを一致させることを含み得る。いくつかの実施形態では、フィラメントの基板上への押し出し前に混合することによって、たとえば、2、3、4種類のインクを混合し得る。
【0089】
一実施形態によると、DIW印刷中にステップ232、234の間に、フィラメント組成物213は、所望の場所においてLDF214内に望ましい組成変化を導入するために別々の流れの流量を調節することによって、印刷中に調整可能である。
【0090】
いくつかの手法では、異なるインク203、204を別々に導入してLDF215を作成し得る。図4Aの側面図に模式的に示すように、ある手法では、3D印刷による形成物の物理的特徴を有するモノリスガラス構造物400(図2BのLDF215)は、モノリスガラス構造物400の軸方向に沿ってモノリスガラス構造物400の耐火指数の傾斜を含み得る。軸408方向は、積層物の平面410に垂直である。
【0091】
再び図2Bを参照すると、ガラス構造物は、第1のガラス形成インク203が第2のガラス形成インク204の押し出しに続いて押し出され得るLDF(図2Bでは、LDF215)として形成される。図4Aに示す結果として生じるガラス構造物400は、それぞれ第1のガラス形成インク203および第2のガラス形成インク204から形成される第1のガラス403および第2のガラス404を有する。
【0092】
さらに、図4Aの結果として生じるガラス構造物400は、ガラス形成材料から形成される第1のガラス403と、当該ガラス形成材料の組成とは異なる組成を有する第2のガラス形成材料から形成される第2のガラス404との間に界面406を含み得る。いくつかの手法では、第2のガラス形成材料は界面を横切って第1のガラス形成材料に移動できないため、第1のガラス403が第2のガラス404に混合されることはなく、その逆の場合も同様である。
【0093】
一実施形態では、界面406は実質的にモノリスガラス構造物400の積層物の平面410に沿って向けられ得るため、モノリスガラス構造物が、界面に直接隣接して異なる組成を有する二つの部分、すなわち、第1のガラス403および第2のガラス404に分けられる。
【0094】
図5A図5Dに示すように、2種類の異なるインク、すなわち、シリカおよび20nm金ナノ粒子を有するシリカを用いて、最終的な熱処理された構造物の材料特性を変化させた。図5Aおよび図5Bは、最終的な熱処理された構造物の吸光における軸方向段差の形成を示す図である。図5Aに示すように、LDFには、LDFの一部分(図5AにおけるLDFの底部)を形成するために第1のインクシリカが使用された配座変化が形成され、その後インクは、第2のインク、すなわち、シリカ/金ナノ粒子インク(図5AのLDFの上部)に切り替えられた。その後、熱処理における焼結によってLDFはガラスに圧密される(図2Bのステップ238)。軸方向に沿って吸光度に傾斜を有する、結果として生じるモノリスガラス構造物が図5Bに示されており、ガラスのシリカ/金ナノ粒子部分は図5Bでは上部である。
【0095】
一実施形態では、モノリスガラス構造物217の物理的特徴は、第1のガラス形成材料と第2のガラス形成材料との間の界面が均一になるような2つ以上のガラス形成材料を含む傾斜である。図5Aに示すように、上部のガラス形成材料(シリカ/金ナノ粒子)と下部の材料(シリカ)との間に界面が存在する。さらに、第1のガラス形成材料(シリカ)の第2のガラス形成材料(シリカ/金ナノ粒子)への移動はなく、反対に、第2のガラス形成材料(シリカ/金ナノ粒子)から第1のガラス形成材料(シリカ)への移動もない。
【0096】
光学ガラスを3D印刷する従来技術の方法では、本明細書で説明する実施形態を実現することはできなかった。なぜなら、従来技術の方法では、3D印刷中に熱傾斜を制御することが困難であり、フィラメント間に均一でない界面が発生し、および/または、素地もしくはLDF内に複数の材料を含有させる能力に欠けているからである。
【0097】
他の手法では、ノズル208の先端付近の混合パドル206を用いた積極的な混合によって異なるインク203、204からのインクの流れを調和させて混合することによって、滑らかな組成変化が形成される。図4Bの上面図に模式的に示すように、ある手法では、3D印刷による形成物の物理的特徴を有するモノリスガラス構造物420(図2BのLDF215)は、屈折率の傾斜、またはモノリスガラス構造物420の径方向に沿った吸光度などの別の材料特性を備え得る。径412方向は、任意の方向における積層物の平面410に沿っている。図2Bを再び参照すると、ガラス構造物は、図2Bの2種類のインク203、204が調和して調合されたインクの流れである屈折率の径方向段差におけるLDF(図2BのLDF215)として形成される。図4Bの結果として生じるガラス構造物420は、それぞれ第1のガラス形成材料203および第2のガラス形成材料204から形成される第1のガラス414および第2のガラス413を有する。
【0098】
さらに、図4Bの結果として生じるガラス構造物420は、ガラス形成材料で形成される第1のガラス414と当該ガラス形成材料の組成とは異なる組成を有する第2のガラス形成材料から形成される第2のガラス413との間に界面416を備える。いくつかの手法では、第2のガラス形成材料は界面を横切って第1のガラス形成材料に移動できないため、第1のガラス403が第2のガラス404に混合されることはなく、その逆の場合も同様である。
【0099】
一実施形態では、界面416は実質的にモノリスガラス構造物420の積層物の平面410に対して垂直に向けることが可能であり、そのため、モノリスガラス構造物420は界面416に直接隣接して異なる組成を有する2つの部分、すなわち、第1のガラス413と第2のガラス414とに分けられる。
【0100】
一実施形態によると、2種類の異なるインクを使用して、最終的な熱処理された構造物の吸光度の径方向段差の材料特性をもたらすLDFに配座変化を印刷可能である。図5C図5Dに示すように、シリカの第1のインクとシリカ/金ナノ粒子の第2のインクとを使用して、2種類のインクが調和して調合されたインクの流れである吸光度の径方向段差を印刷可能である。図5Cは、LDFの中心にシリカ/金ナノ粒子インクおよび、LDFの外側部分にシリカインクを有するLDFフォームを示す図である。径方向に沿って吸光度に傾斜を有する、結果として生じるモノリスガラス構造物を図5Dに示す。
【0101】
組成変化は軸方向および/または径方向傾斜(拡散技術によって得られる傾斜など)に限られるわけではなく、LDFにおいて任意のプロファイルを生成するように形成可能である。
【0102】
LDF215における組成変化によって、形成されたガラス217内の材料特性が変わり得る。LDF215における組成変化によって影響を受けることのある材料特性の例については先に詳しく述べた。これらの例は、吸光率、伝搬率、屈折率、分散性、散乱性、導電率、熱伝導率、熱膨張率、利得係数、ガラス転移点(Tg)、融点、光電子放出、蛍光発光、化学反応性(たとえば、エッチング速度)、濃度/多孔性を含み得るが、これらに限定されるわけではない。
【0103】
図2Bに示すように、ステップ232、234におけるDIW印刷は、一実施形態に係るLDF215の形成を含み得る。LDFは、基板210上の単層として、DIW印刷の第1のステップ232で始まる。DIW印刷がステップ234で継続されると、所望のLDF215(すなわち、素地)が形成されるまでLDF215は1層ずつ形成され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、単一組成を有するLDFの形成(方法200)、または複数組成(たとえば、傾斜)を有するLDFの形成(方法250)は、熱溶解積層法(FDM)を含み得る。FDMでは、DIWのインク混合物に類似した混合パドルと組み合わされた複数の材料の複合混合物であり得る熱可塑性フィラメントが使用される(図2Bのステップ232-234を参照)。それぞれ図2Aおよび図2Bにおけるステップ222-224またはステップ232-234に示すように、結果として生じるフィラメントは、加熱されたノズルを通って押し出されて基板上にLDFを形成し得る。約150℃~200℃の範囲の温度で加熱されたノズルは、特に押し出しのためにフィラメントを加熱する。いくつかの手法では、犠牲支持材料が第2のノズルによって押し出されて、混合ノズルによって押し出されたガラス形成材料を支持する。いくつかの手法では、押し出されたフィラメントおよび/または支持材料のポリマーは、LDFの形成後に除去可能である。
【0105】
様々な実施形態では、LDFは複雑な形状で形成可能であり、たとえば、円錐形状、螺旋形状、円柱形状などでもよいが、これらに限定されるわけではない。
【0106】
LDF215を複数のステップで処理して、LDF215を圧密させてガラスフォーム217に転化してもよい。
【0107】
2Aにおいて方法200のステップ226について説明したように、LDF215を乾燥させる、および/または、LDF215に付加的な処理を行なうことが可能である。
【0108】
図2Bを再び参照して、一実施形態によると、方法250のステップ238は、乾燥させたLDF215を熱処理して残りの気孔を閉じ、圧密させた透明のガラス部分を形成することを含む。結果として生じるガラス圧密フォーム217は、DIW印刷(ステップ232、234)の間に与えられたであろう組成変化を維持する。
【0109】
一実施形態では、ガラス圧密フォーム217は、ガラスフォーム217の一表面に沿った螺旋形状、アーチ形状、および/または直線状の稜線を含むLDF215の物理的特徴を有し得る。
【0110】
一実施形態によると、後処理ステップ240において、たとえば、ガラスフォーム217をさらに処理して、研削および/または研磨などの手法によって最終的な研磨された光学部品220の所望の図形および/または表面仕上げを実現可能である。一実施形態では、研磨された光学部品220は3D印刷および熱処理によって研磨された形成物であり、LDF215の特性が保たれており、研磨によって除去されていない。一実施形態では、研磨された光学部品220は研磨されたモノリスガラス構造物である。
【0111】
本明細書で説明される様々な実施形態は、リン酸塩系ガラス、ホウ酸塩ガラス、酸化ゲルマニウムガラス、フッ化物ガラス、アルミノ珪酸ガラス、およびカルコゲナイドガラスなどのシリカ系ガラスに加えて、様々な(主に)アモルファス無機ガラス材料にも適用可能である。
【0112】
熱処理の実施例1
印刷されたモノリスのシリカまたはシリカ-チタニア素地(直径25mm、厚さ5mm)を100℃のホットプレートの上に載せる。3時間後、印刷された素地を基板から離す。その後、素地を箱形炉で100℃で110時間乾燥させる。その後、液体を含まない素地を10℃/分の昇温速度で600℃まで加熱し、1時間放置して残りの有機成分のバーンアウトを行なう。その後素地を100℃/時間で1000℃まで昇温させ、真空状態で1時間放置する。最後に、1500℃に予備加熱された炉で3~10分間当該部分を焼結する。次に、これらの部分を除去して急速に室温まで冷却する。全ての非真空処理ステップは大気中で行なわれる。
【0113】
熱処理の実施例2
直径が25nmのシリカまたはシリカ-チタニア粒子(直径25mm、厚さ5mm)で構成された、印刷されたモノリスシリカ素地を3℃/時の速度で箱形炉で75℃まで昇温させる。炉が75℃に達すると、印刷された素地は基板から離される。その後、素地は乾燥炉で75℃で120時間乾燥させられる。次に、液体を含まない素地は1℃/分の昇温速度で600℃に加熱され、1時間その状態で放置されて、残りの有機成分のバーンアウトを行なう。最後に、この部分は1150℃に予備加熱された炉で1時間焼結される。その後、これらの部分は除去されて急速に室温まで冷却される。全ての非真空処理ステップは大気中で行なわれる。
【0114】
実験
図6A図6Fは、(上述のような)インクの配合物3を用いて作成された印刷部分の画像である。図6A図6Cは、シリカのみの組成物を用いて形成された印刷部分の画像である。図6Aは、印刷後に形成された素地の画像である。図6Bは、図6Aの素地の乾燥後の画像である。図6Cは、図6Bの乾燥された素地の圧密後の画像である。
【0115】
図6D図6Fは、シリカ-チタニア組成物を用いて形成された印刷部分の画像である。図6Dは、印刷後に形成された素地の画像である。図6Eは、図6Dの素地の乾燥後の画像である。図6Fは、図6Eの乾燥された素地の圧密後の画像である。
【0116】
図7Aは、結果として生じるガラスにおける、屈折率プロファイル(y軸)をチタニア(TiO)濃度(wt%、x軸)に対してプロットした図である。(上述のような)配合物1のインクで形成されたガラスは、プロットでダイヤモンド(◆、実線)として示されており、市販のシリカ(▲)およびシリカ-チタン酸塩ガラス(○、□)(点線)に匹敵する屈折率の変化を有する。図7Bは、TiOの異なる濃度wt%(2wt%、4wt%、5wt%、6wt%、8wt%、9wt%、10wt%)における図7Aのダイヤモンド(◆)によって示される、インク配合物から形成された、結果として生じるガラス構造物の画像である。
【0117】
図8は、(上述の)インクの配合物1を用いて圧密印刷された部分の形成プロセスの熱処理プロファイルをプロットした図である。熱処理プロセス中の各ステップの構造物の体積収縮率(Vink)を、構造物の画像の隣に示す。
【0118】
図9Aは、必要とされる割合でプリントヘッドで2種類のインクを調和させて混合しつつLDFのダイレクトインクライティングを行なうことによって準備された、傾斜屈折率シリカ-チタニアガラスレンズの光学画像である。(上述の)配合物1のインクから2種類のインク、0%のチタンアルコキシドを含むインクAと、最終的な圧密ガラスにおいて1.6wt%のTiOを得るのに十分なチタンアルコキシドを含むインクBとを使用した。ガラスを図8に示す熱処理プロファイルを使用して圧密し、その後、セリアパッド研磨を使用して研磨した。図9Bは表面を修正したインターフェログラムであり、図9Aの画像に示す材料の大部分の内部において屈折率が変化する態様を示す図である。屈折率は中心で最も高く、そこではTiO組成が最も高い。屈折率は縁部で最も低く、そこではTiO組成が最も低い。中心を横切るラインアウトは、y軸上で図9B(y軸上のδη/(η-1)、x軸上の距離(mm))の差し込みプロットによって示されるように、中心を横切る屈折率の変化が放物線状であることを示しており、部分がレンズとして機能し得ることを示唆している。図9Cは、62cmの長さの焦点距離を有するレンズから300μm焦点の画像である。
【0119】
図10Aは、組成変化のLDFへのダイレクトインクライティングによって準備された、ドープされていないシリカガラスクラッドを有する金ドープされたシリカガラスコアで構成された複合ガラスの光学画像である。2種類のシリカインクが使用され、そのうち1つのインクは金ナノ粒子を含有していた。図10Bは、光の波長の関数として吸光度をプロットした図であり、各スペクトラムはガラスを横断して示される位置に対応している。525nmでのピークは金ナノ粒子からの吸光度に起因するものであった。図10Cは、ガラス表面(x軸、位置0はガラスの中心である)に沿った位置に対して525nm(y軸)での吸光度をプロットした図である。図10Cのプロットは、525nmでの吸光度がこのガラス内で調整されたことを示す。計測されたスポットサイズは、平均して1mmまでの直径スポットであった。
【0120】
使用
本明細書で説明された様々な実施形態は、市販用途および政府の用途の双方のための特別な組成および材料特性を有する能動または受動光学ガラス部品(たとえば、レンズ、補正板、窓、スクリーン、集光器、導波管、ミラーブランク、センサなど)を形成するために使用可能である。これらの方法を用いてイオン、分子、または粒子をガラス部品(モノリス、フィルム、またはフリーフォーム)内の任意の(すなわち、特定用途向けの)場所に導入して、吸光率、伝搬率、屈折率、分散性、散乱性、導電率、熱伝導率、熱膨張率、利得係数、ガラス転移点(Tg)、融点、光電子放出、蛍光発光、化学反応性(たとえば、エッチング速度)、または濃度/多孔性などの、ガラス内の空間的に異なる材料特性を実現することが可能である。
【0121】
本明細書で説明された様々な実施形態では、複雑な3Dおよび制御された色ガラスアート、宝石などを調製するための方法が提供されている。銀および金ナノ粒子のドーパントを制御することによって、美術品の反射特性および透過特性の制御が可能になる。
【0122】
他の実施形態は、レンズ、補正板、窓、スクリーン、集光器、導波管、ミラーブランク、センサなどに役立つ能動または受動光学ガラス成分、および従来の用途に役立つ非光学ガラス成分を含む。
【0123】
本明細書で開示された本発明の概念は、複数の例示的なシナリオ、実施形態、および/または実施態様において、その無数の特徴を例示するために一例として提示されている。一般に開示された概念はモジュラーと見なされるべきであり、その任意の組合せ、並べ替え、または合成で実施されてもよいことが理解されよう。さらに、本明細書を読むことにより当業者に理解されるであろう現在開示されている特徴、機能、および概念の任意の変更、修正、または等価物も、本開示の範囲内であると見なされるべきである。
【0124】
様々な実施形態を説明したが、それらはほんの一例として提示されたものであり、限定的なものではないことを理解されたい。したがって、本発明の実施形態の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義されるべきである。
図1
図2
図3A-3C】
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図8
図9
図10