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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ペット用排尿処理材の包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20240112BHJP
   A01K 1/015 20060101ALI20240112BHJP
   B65D 33/08 20060101ALI20240112BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20240112BHJP
   B65D 75/56 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65D75/62 A ZAB
A01K1/015 B
B65D33/08
B65D33/00 C
B65D75/56
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019103005
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020196487
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】597036477
【氏名又は名称】ライオンペット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 里実
(72)【発明者】
【氏名】尾本 典隆
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-508335(JP,A)
【文献】特開2015-084727(JP,A)
【文献】特開2019-059195(JP,A)
【文献】特開2016-141405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
A01K 1/015
B65D 33/08
B65D 33/00
B65D 75/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねあわせた2枚のフィルムの周縁に設けたシール部と、前記シール部に囲まれた収容部と、前記シール部の一部に設けた把持部と、を備えるペット用排尿処理材の包装袋であって、
上部の一隅に設けた切り取り線を備え、
前記切り取り線は、切り取られることにより、注出口を形成する注出口形成用の切り取り線であり、
前記切り取り線と、前記包装袋の上辺とのなす角度θ1は5°以上45°未満であり、
前記把持部は、間隔をあけて設けられた2以上の孔を含み、
隣り合う孔の間の間隙領域には、前記フィルムがシールされていない未シール部が設けられており、
前記未シール部と前記収容部は連結していない、
ペット用排尿処理材の包装袋。
【請求項2】
前記把持部の孔は、円形孔である、請求項に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
【請求項3】
前記把持部は、間隔をあけて設けられた3以上の円形孔を含み、
前記3以上の円形孔は、端部にそれぞれ設けられた端部円形孔と、2つの端部円形孔の間に設けられた1以上の中央円形孔と、を含み、
前記中央円形孔の少なくとも1つは、前記2つの端部円形孔の中心を結ぶ線からずれた位置に設けられている、請求項1又は2に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
【請求項4】
重ねあわせた2枚のフィルムの周縁に設けたシール部と、前記シール部に囲まれた収容部と、前記シール部の一部に設けた把持部と、を備えるペット用排尿処理材の包装袋であって、
上部の一隅に設けた切り取り線を備え、
前記切り取り線は、切り取られることにより、注出口を形成する注出口形成用の切り取り線であり、
前記切り取り線と、前記包装袋の上辺とのなす角度θ1は5°以上45°未満であり、
前記把持部は、上辺側の周縁が丸みのある凹凸形状である波形状の孔を含み、前記凹凸形状をなす周縁の周囲には、前記フィルムがシールされていない未シール部が設けられており、
前記未シール部と前記収容部は連結していない、
ペット用排尿処理材の包装袋。
【請求項5】
前記ペット用排尿処理材の直径が2mm以上10mm以下であるとともに、その安息角が30°以上50°未満であり、かつ、前記角度θ1が20°以上45°未満であるか、
前記ペット用排尿処理材の直径が2mm以上10mm以下であるとともに、その安息角が50°以上80°以下であり、かつ前記角度θ1が5°以上20°未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
【請求項6】
前記切り取り線のうち、前記フィルムがシールされていない未シール部分の長さが、5cm以上15cm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
【請求項7】
前記把持部は、前記切り取り線の設けられた一隅とは相違する上部の一隅に設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用排尿処理材の包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用排尿処理材、特に猫用排尿処理材としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1には、2種類の異なる性質の粘土鉱物と、所定のリン原子含有成分と、を所定の割合で含有することにより、固化量が少なく、鉱物使用量を低減してもべとつきがない塊を形成し得るとともに、メルカプタンの消臭性を悪化することなく、アンモニア臭の消臭性を改善し得ることが記載されている。
【0003】
ペット用排尿処理材の、一般的な使用方法について説明する。まず、包装袋に封入された処理材を、地面に置かれたトイレ容器に注ぎ入れ、ペットが排尿する度に、凝集固化物(尿を吸収して凝集固化した処理材)をスコップ等で取り除き、凝集固化に使用された量の処理材を注ぎ入れて減少した処理材分を補充する。飼い主が処理材を補充するタイミングについて、飼い主やペットに対する衛生面の観点や、尿に起因する悪臭発生を防止する観点から、通常排尿の度ごと(あるいは少ない排尿回数の度ごと)に補充することが、行われている。補充する処理材の量は、使用される排尿処理材の原料の構成によって調整されるが、例えば、1回分の排尿に使用され廃棄される処理材そのものの質量(尿を含まない状態での質量)として、5g~50g程度が一般的である。したがって飼い主は、排尿の度ごとに、比較的少量(例えば、排尿1~2回であれば10g~100g程度)の処理材を補充することになる。
【0004】
このような、ペット用排尿処理材は、包装袋に封入された形態で販売されているのが一般的であり、その封入量は、通常、大容量(例えば5~10リットル)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-24429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
包装袋に大容量のペット用排尿処理材(以下、単に「排尿処理材」ともいう)を封入すると、重くなり、運搬しにくくなる。そこで、運搬の利便性等を考慮し、把持部を設けた包装袋について検討した。
把持部を設けた包装袋に排尿処理材を封入し、一方の手で把持部を握って、地面に置かれたトイレ容器に排尿処理材を注ぎ入れる作業を行ったところ、包装袋の下部が折れ曲がってしまい、所望量(例えば、1回分の排尿に使用され廃棄される量)の処理材を注ぎ入れることが、容易に行えないことがあった。特に、包装袋内の排尿処理材の量が少なくなると、袋の下部が折れ曲がりやすくなるため、所望量の排尿処理材を注ぎ入れることが容易に行えないことがあった。また、地面に置かれたトイレ容器に排尿処理材を注ぎ入れる際には、腰を曲げた姿勢で作業を行うことが多いため、トイレ容器に所望量の排尿処理材を注ぎ入れる作業を容易に行えないおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、包装袋内の排尿処理材の量にかかわらず、所望量の排尿処理材を注ぎ入れる作業を容易に行うことができる、把持部付きのペット用の排尿処理材の包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、把持部を設けた排尿処理材の包装袋の上部の一隅に所定形状の注出口を設けることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔7〕を提供する。
〔1〕 重ねあわせた2枚のフィルムの周縁に設けたシール部と、前記シール部に囲まれた収容部と、把持部と、を備えるペット用排尿処理材の包装袋であって、
上部の一隅に設けた切り取り線を備え、
前記切り取り線は、切り取られることにより、注出口を形成する注出口形成用の切り取り線であり、
前記切り取り線と、前記包装袋の上辺とのなす角度θ1は5°以上45°未満である、ペット用排尿処理材の包装袋。
〔2〕 前記ペット用排尿処理材の直径が2mm以上10mm以下であるとともに、その安息角が30°以上50°未満であり、かつ、前記角度θ1が20°以上45°未満であるか、
前記ペット用排尿処理材の直径が2mm以上10mm以下であるとともに、その安息角が50°以上80°以下であり、かつ前記角度θ1が5°以上20°未満である、〔1〕に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
〔3〕 前記切り取り線のうち、前記フィルムがシールされていない未シール部分の長さが、5cm以上15cm以下である、〔1〕または〔2〕に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
〔4〕 前記把持部は、前記切り取り線の設けられた一隅とは相違する上部の一隅に設けられ、
前記把持部の周縁の少なくとも一部には、前記フィルムがシールされていない未シール部が設けられている、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
〔5〕 前記把持部は、円形孔を含む、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
〔6〕 前記把持部は、間隔をあけて設けられた2以上の円形孔を含み、
隣り合う円形孔の間の間隙領域には、前記フィルムがシールされていない未シール部が設けられている、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
〔7〕 前記把持部は、間隔をあけて設けられた3以上の円形孔を含み、
前記3以上の円形孔は、端部にそれぞれ設けられた端部円形孔と、2つの端部円形孔の間に設けられた1以上の中央円形孔と、を含み、
前記中央円形孔の少なくとも1つは、前記2つの端部円形孔の中心を結ぶ線からずれた位置に設けられている、〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のペット用排尿処理材の包装袋。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装袋内の排尿処理材の量にかかわらず、所望量の排尿処理材を注ぎ入れる作業を容易に行うことができる、把持部付きのペット用排尿処理材の包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係るペット用排尿処理材の包装袋を模式的に示した正面図である。
図2図2は、図1の一部拡大図である。
図3図3は、ペット用排尿処理材の包装袋を使用する様子を模式的に示した正面図である。
図4図4は、実施形態1のペット用排尿処理材の包装袋の注出口が開口した状態を模式的に示した一部拡大図である。
図5図5は、比較のペット用排尿処理材の包装袋の、注出口が開口した状態を模式的に示した一部拡大図である。
図6図6は、実施形態2に係るペット用排尿処理材の包装袋を模式的に示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
以下、本発明に係る実施形態1のペット用排尿処理材の包装袋を図1図5を参照しつつ説明する。以下の説明において、上下方向に関しては図1の上下方向を基準として説明する。
【0012】
[包装袋]
本実施形態のペット用排尿処理材の包装袋10は、ペット用排尿処理材を封入して保管するためのものであって、図1に示すように、重ねあわせた2枚のフィルムの周縁に設けたシール部と、シール部に囲まれた収容部15と、上部に設けた把持部20と、上部の一隅に設けた切り取り線と、を備える。各図において、フィルムがシールされている部分を分かりやすくするため、シール部にはハッチングを付している。
【0013】
包装袋10は2枚のフィルムの全周(上部14、底部13、側部11,12)がシールされている。上部14、底部13および側部11,12のシール幅は、特に限定されないが、側部12のシール幅は1mm以上50mm以下であるのが好ましい。側部12は、排尿処理材をペット用トイレに注ぎ入れる際に下側に配される部分であり、この部分のシール幅が前記範囲下であると、包装袋の下部が折れ曲がりにくいため、所望量の排尿処理材を注ぎ入れる作業をより容易に行うことができる。側部12のシール幅は、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは5mm以上であり、より好ましくは30mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。
【0014】
本発明において、「所望量の排尿処理材」の「所望量」とは、例えば1回分の排尿に使用され廃棄される量としうる。1回分の排尿に使用され廃棄される量は、排尿処理材の種類及びペットの排尿量により適宜設定することができる。1回分の排尿に使用され廃棄される量(尿を吸収する前の処理材の量)としては、好ましくは5g以上、より好ましくは 10g以上であり、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下である。
【0015】
シール部は2枚のフィルムをヒートシールすることにより設けることができる。上部14、底部13および側部11,12のシール部の厚みは、特に限定されないが、側部12のシール部の厚みは30μm以上500μm以下であるのが好ましい。側部12は、排尿処理材をペット用トイレに注ぎ入れる際に下側に配される部分であり、この部分のシール部の厚みが前記範囲下であると、包装袋の下部が折れ曲がりにくいため、所望量の排尿処理材を注ぎ入れる作業をより容易に行うことができる。側部12のシール部の厚みは、好ましくは40μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは60μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。
【0016】
2枚のフィルムの材料は、特に限定されず、一般的な積層フィルムを用いうる。このような積層フィルムとしては、例えば、外側に配される基材層と内側に配されるシーラント層とを含む積層フィルムが挙げられる。積層フィルムは、基材層と、シーラント層との間に中間層が設けられたものであってもよい。
【0017】
基材層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン-6、ナイロン-66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの材料からなる、延伸あるいは無延伸のフィルムが挙げられる。これらのうち、ポリアミドからなる延伸又は無延伸のフィルムが好ましい。
【0018】
シーラント層としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂、またはこれらの樹脂を成膜化したフィルムが挙げられる。これらのうち、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が好ましい。
【0019】
中間層としては、基材層として例示したフィルムと同様のものが挙げられる。これらの層を積層する方法としては、特に限定されず、通常用いられる、ドライラミネーションや押出しラミネーション(サンドイッチラミネーションを含む)等の方法により積層することができる。
【0020】
フィルムとして積層フィルムを用いる場合、基材層の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。また、シーラント層の厚みは、好ましくは50μm以上、より好ましくは60μm以上、さらに好ましくは70μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
【0021】
包装袋の内容量は、2リットル以上10リットル以下であるのが好ましい。包装袋の内容量は、より好ましくは2.5リットル以上、さらに好ましくは3リットル以上であり、より好ましくは8リットル以下、さらに好ましくは6リットル以下である。包装袋の内容量を前記範囲とすることにより運搬が行いやすく、所望量の排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業を行いやすくなる。
【0022】
包装袋の内容物の質量は、1kg以上10kg以下であるのが好ましい。包装袋の内容物の質量は、より好ましくは1.5kg以上、さらに好ましくは2kg以上であり、より好ましくは8kg以下、さらに好ましくは6kg以下である。包装袋の内容物の質量を前記範囲とすることにより、運搬が行いやすく、所望量の排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業を行いやすくなる。
【0023】
[排尿処理材]
包装袋の内容物であるペット用排尿処理材としては、特に限定されないが、例えば粘土を原料とするもの、木材を原料とするもの、紙を原料とするものなどが挙げられる。具体的には、例えば特許文献1に記載されているトイレ砂(2種類の異なる性質の粘土鉱物と、所定のリン原子含有成分と、を所定の割合で含有するペット用トイレ砂)、ベントナイト、トウモロコシ芯粉、及び結着剤を含むトイレ砂等が挙げられる。
【0024】
排尿処理材の形状は、特に限定されないが、例えば、球形、円柱状、フレーク状、波板状、ペレット状等が挙げられる。これらのうち、トイレ容器への注ぎ入れやすく、取扱いが行いやすいという観点から、円柱状、ペレット状の形状のものが好ましく、円柱状のものがより好ましい。
【0025】
排尿処理材の形状が円柱状である場合、直径が2mm以上10mm以下であるのが好ましい。この場合、排尿処理材の長さは、好ましくは2mm以上30mm以下、より好ましくは3mm以上25mm以下、さらに好ましくは4mm以上20mm以下である。円柱状の排尿処理材の直径とは円形面の直径を意味し、当該排尿処理材の長さとは側面の長さを意味する。
【0026】
排尿処理材の嵩密度は、好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.15g/cm以上、さらに好ましくは0.2g/cm以上であり、好ましくは1.0g/cm以下、より好ましくは0.95g/cm以下、さらに好ましくは0.9g/cm以下である。排尿処理材の嵩密度を前記範囲とすることにより、所望量の排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすくなる。
【0027】
排尿処理材の嵩密度は、例えば、特定の容量の容器に試料を入れて、上面を水平にすりきり、その資料の重量を測定することで求めることができる。
【0028】
排尿処理材の安息角は、好ましくは30°以上80°以下である。排尿処理材の安息角は、より好ましくは35°以上であり、より好ましくは75°以下である。排尿処理材の安息角を前記範囲とすることにより、所望量の排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすくなる。一般的に、粘土を原料とする排尿処理材の大きさは小さい傾向にあり、その安息角は、30°以上50°未満であり、紙を原料とする排尿処理材の大きさはより大きい傾向にあり、その安息角は50°以上80°以下である。
【0029】
排尿処理材の安息角は原料によって相違する傾向があり、例えば粘土を原料とするものよりも、紙を原料とするものにおいて安息角が大きい傾向がある。
【0030】
安息角の測定は以下の方法により行いうる。
角度の目盛りがついた、横蓋付の測定器を平らな場所に置き、該測定器の横蓋を閉じた状態で、該測定器の上面から排尿処理材を流し入れ、該測定器の上面から所定位置まで山盛り状に充填する。次いで、横蓋を静かに開き、充填された排尿処理材を、重力により自然に排出させる。その後、該測定器内に残った排尿処理材の表面と水平面とのなす角度(傾斜角)を、目盛りから読み取ることにより、安息角(°)を測定しうる。
【0031】
[切り取り線]
包装袋10の上部の左側の一隅には、切り取り線30が設けられている。切り取り線30は、切り取られることにより、注出口31を形成する注出口形成用の切り取り線である(図3を参照)。
【0032】
包装袋10の切り取り線30に対応する位置には切断しやすい加工(例えば、ハーフカット線、半抜き加工等)が施されていてもよい。また切り取り線30の一端に、切断の開始点を容易に形成するために切り欠き部やスリット等を設けてもよい。
【0033】
本発明において、切り取り線30と、包装袋10の上辺とのなす角度θ1は5°以上45°未満である。切り取り線30と包装袋の上辺とのなす角度θ1をこのような範囲とすることにより、一方の手で把持部を握って、所望量の排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすくなる。切り取り線30と包装袋の上辺とのなす角度θ1を上記範囲とすることにより、上記のような効果が得られるのは、以下の理由によると推測される。
包装袋10の上辺とのなす角度θ1が5°以上45°未満となるように設けた切り取り線30に沿って包装袋10を切断すると、注出口31が形成される(図3参照)。一方の手で把持部を握って、排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる際に、注出口31が下方に向くように、包装袋10を傾けると、注出口31が開口して図4に示すような形状(しずく状)を呈する。図4に示す開口状態の注出口31において、最大幅の部分30Mは、注出口31の上下方向の中心よりも下に位置するので、排尿処理材の注出量の調整が行いやすい。また、上記角度θ1が5°以上45°未満である場合、図1に示すように、A2の長さがA1の長さよりも長いので、排尿処理材を注ぎ入れる作業の際に、排尿処理材がトイレ容器に注ぎ入れられる様子が見やすい。その結果、切り取り線30と包装袋の上辺とのなす角度θ1を上記範囲とすることにより、トイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすくなると推測される。
【0034】
一方、包装袋の上辺に対する角度θ1が45°以上となるように設けた切り取り線に沿って包装袋10の上隅を切断し注出口を形成すると、注出口が開口して図5に示すような形状(楕円形状)を呈する。図5に示す開口状態の注出口において、最大幅の部分3Mは、注出口の上下方向(3Aと3Bを結ぶ方向)の中心かまたは当該中心よりも上に位置するので、包装袋内の排尿処理材の量が多いときは、注出口から所望の量よりも多くの排尿処理材が注出されてしまい、排尿処理材の注出量の調整が行い難い。また、この態様では、排尿処理材を注ぎ入れる作業の際に、トイレ容器に注ぎ入れられる様子が見え難いため、トイレ容器に注ぎ入れる排尿処理材の量の調整が行い難くなる。
【0035】
所望量の排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業がより行いやすくなるという観点から、排尿処理材の直径が2mm以上10mm以下であるとともに、その安息角が30°以上50°未満である場合、角度θ1が20°以上45°未満である態様(態様1)、排尿処理材の直径が2mm以上10mm以下であるとともに、その安息角が50°以上80°以下である場合、角度θ1が5°以上20°未満である態様(態様2)が好ましい。また、排尿処理材の形状が円柱状である場合において、粘土を原料とする排尿処理材の直径が2mm以上7mm以下である場合、角度θ1が20°以上45°未満である態様(態様1)、紙を原料とする排尿処理材の直径が4mm以上10mm以下である場合、角度θ1が5°以上20°未満である態様(態様2)が好ましい。
【0036】
上記態様1において、切り取り線30のうちフィルムがシールされていない未シール部分(切り取り線の未シール部分)の長さは、好ましくは5cm以上15cm以下であり、より好ましくは6cm以上、さらに好ましくは7cm以上であり、より好ましくは14cm以下、さらに好ましくは13cm以下である。上記態様2において、切り取り線30の未シール部分の長さは、好ましくは5cm以上15cm以下であり、より好ましくは6cm以上、さらに好ましくは7cm以上であり、より好ましくは14cm以下、さらに好ましくは13cm以下である。上記態様1および2において、5cm以上であると、特に内容量が多い場合においても注出口で排尿処理材が詰まることが抑制でき所望量を注ぎ入れることが容易になる。15cm以下であると、所望量より多くの排尿処理材が注ぎ出ることを抑制でき所望量を注ぎ入れることが容易になる。本実施形態において、「切り取り線の未シール部分の長さ」は、図1における30Aから30Bまでの長さに対応する。
【0037】
[把持部]
包装袋10の上部には把持部20が設けられている。本実施形態において把持部20は、切り取り線30の設けられた一隅(図示左側の隅)とは反対側の上部の一隅(図示右側の隅)に設けられている。把持部を切り取り線30と反対側に設けることにより、排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすくなる。
【0038】
本実施形態において、把持部20は3つの円形孔21,22,23(3つ以上の円形孔)を含む。把持部20の形状が円形であることにより、把持部の強度を高め、手を入れたときの触感を良好なものとすることができる。また、把持部20が3つ以上の円形孔21,22,23を含むことにより、把持部を持ち上げる際に指にかかる圧力が分散されるので、指への負担が軽減されうる。
【0039】
3つの円形孔21,22,23は間隔をあけて設けられており、隣り合う円形孔の間の間隙領域25には、未シール部が設けられている。隣り合う円形孔の間の間隙領域25に未シール部を設けることにより、把持部に負荷がかかった時に未シール部が伸びることで、把持部のちぎれや破れの発生を抑制することができる。その結果、把持部20の強度を高めることができる。
【0040】
円形孔21,22,23の大きさは、指が入る大きさであれば特に限定されないが、円形孔の直径は好ましくは15mm以上、より好ましくは18mm以上、さらに好ましくは20mm以上であり、好ましくは40mm以下、より好ましくは35mm以下、さらに好ましくは30mm以下である。
【0041】
3つ以上の円形孔は、端部にそれぞれ設けられた端部円形孔21,23と、2つの端部円形孔21と23との間に設けられた中央円形孔22と、を含む。中央円形孔22は、図2に示すように、その中心位置22Pが、端部円形孔21の中心21Pと端部円形孔23の中心23Pとを結ぶ線X1からずれた位置に設けられている。このように、2つの端部円形孔21と23との間に設けられた中央円形孔22とをずれた位置に設けることにより、一方の手の指を円形孔に入れて包装袋を把持したときに、包装袋を安定した状態で把持することができるので、排尿処理材を注ぎ入れる作業が行いやすくなる。
【0042】
本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態において、ペット用排尿処理材の包装袋は、上部の一隅に、切り取られることにより、注出口31を形成する注出口形成用の切り取り線30を備え、この切り取り線30と、包装袋10の上辺とのなす角度θ1は5°以上45°未満である。本実施形態において、排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる際に、注出口31が下方に向くように、包装袋10を傾けると、注出口31が開口して図4に示すような形状を呈するので、排尿処理材の注出量の調整が行いやすく、排尿処理材を注ぎ入れる作業の際に、排尿処理材がトイレ容器に注入される様子が見やすい。その結果、本実施形態によれば、包装袋内の排尿処理材の量にかかわらず、所望量の排尿処理材を注ぎ入れる作業を容易に行うことができる。
【0043】
本実施形態において、把持部20は、切り取り線30の設けられた一隅とは相違する上部の一隅に設けられている。つまり、本実施形態では、切り取り線30を切断して形成される注出口31と把持部とは上部の2つの隅にそれぞれ設けられているので、一方の手で把持部20を把持して、包装袋10を持ち上げると、注出口31側が下側に傾く(図3参照)。包装袋をさらに傾けると、注出口31から、包装袋10に収容されている排尿処理材が注出されるので、排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすい。
【0044】
また本実施形態において、把持部20は、間隔をあけて設けられた3つの円形孔21,2,23を含む。本実施形態によれば把持部20の形状が円形であるので、把持部20の強度を高め、手を入れたときの触感を良好なものとすることができ、把持部20が3つ以上の円形孔21,22,23を含むので、把持部20を持ち上げる際に指にかかる圧力が分散され、指への負担が軽減されうる。
【0045】
また、本実施形態において、隣り合う円形孔21,22,23の間の間隙領域25には、未シール部が設けられているので、把持部20に負荷がかかったときに未シール部が伸びるようになっており、これにより、把持部20がちぎれたり、破れることが抑制される。その結果、本実施形態によれば、把持部20の強度を高めることができる。
【0046】
更に、本実施形態において、3つの円形孔21,22,23のうち中央の円形孔22は、2つの端部円形孔21,23の中心を結ぶ線からずれた位置に設けられているので、一方の手の指を円形孔21,22,23に入れて包装袋10を把持したときに、包装袋10を安定した状態で把持することができるので、排尿処理材を注ぎ入れる作業が行いやすくなる。
【0047】
[実施形態2]
以下、本発明に係る実施形態2のペット用排尿処理材の包装袋を、図6を参照しつつ説明する。以下の説明において、上下方向に関しては図6の上下方向を基準として説明する。
【0048】
本実施形態のペット用排尿処理材の包装袋100は、把持部120の形状が実施形態1と相違する。以下において、実施形態1と同様の構成に関する重複した説明は省略する。
【0049】
本実施形態の包装袋100は、図6に示すように、重ねあわせた2枚のフィルムの周縁に設けたシール部と、シール部に囲まれた収容部115と、上部に設けた把持部120と、上部の一隅に設けた切り取り線130と、を備える。図6において、フィルムがシールされている部分を分かりやすくするため、シール部にはハッチングを付している。
【0050】
包装袋100は2枚のフィルムの全周(上部114、底部113、側部111,112)がシールされている。フィルムの材料及びシール部の態様、包装袋の内容物であるペット用排尿処理材の態様は、実施形態1と同様である。
【0051】
包装袋100の上部の左側の一隅には、切り取り線130が設けられている。切り取り線130は、切り取られることにより、注出口131を形成する注出口形成用の切り取り線である。
【0052】
本実施形態において、切り取り線130と、包装袋100の上辺とのなす角度は5°以上45°未満である。切り取り線130と包装袋の上辺とのなす角度をこのような範囲とすることにより、実施形態1と同様に、所望量の排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすくなる。
【0053】
本実施形態の包装袋100の上部には把持部120が設けられている。本実施形態において把持部120は、切り取り線130の設けられた一隅(図示左側の隅)とは反対側の上部の一隅(図示右側の隅)に設けられている。把持部120を切り取り線130と反対側に設けることにより、排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすくなる。
【0054】
本実施形態において、把持部120は、波形状の孔から構成されている。この孔の図示右上側は、丸みのある凹凸形状をなしており、凹凸形状の部分に指を配置させて包装袋100を把持することにより、運搬作業および排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業を安定して行うことが可能である。
【0055】
把持部120の周縁の一部には、フィルムがシールされていない未シール部125が設けられている。未シール125部は把持部120に負荷がかかったときに伸びるようになっており、これにより、把持部120がちぎれたり、破れることが抑制される。また、未シール部が設けられていることにより、把持部120に手を入れたときの触感を良好なものとすることができる。
【0056】
本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態において、ペット用排尿処理材の包装袋は、上部の一隅に、切り取られることにより、注出口131を形成する注出口形成用の切り取り線130を備え、この切り取り線130と、包装袋100の上辺とのなす角度θ1は5°以上45°未満である。本実施形態において、排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる際に、注出口131が下方に向くように、包装袋100を傾けると、注出口131が開口して図4に示すような形状を呈するので、排尿処理材の注出量の調整が行いやすく、排尿処理材を注ぎ入れる作業の際に、排尿処理材がトイレ容器に注入される様子が見やすい。その結果、本実施形態によれば、包装袋内の排尿処理材の量にかかわらず、所望量の排尿処理材を注ぎ入れる作業を容易に行うことができる。
【0057】
本実施形態において、把持部120は、切り取り線130の設けられた一隅とは相違する上部の一隅に設けられている。つまり、本実施形態では、切り取り線130を切断して形成される注出口131と把持部とは上部の2つの隅にそれぞれ設けられているので、一方の手で把持部120を把持して、包装袋100を持ち上げると、注出口131側が下側に傾く。包装袋をさらに傾けると、注出口131から、包装袋100に収容されている排尿処理材が注出されるので、排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業が行いやすい。
【0058】
また本実施形態において、把持部120は、波形状の孔から構成されており、当該孔は、丸みのある凹凸形状をなしているので、凹凸形状の部分に指を配置させて包装袋100を把持することにより、運搬作業および排尿処理材をトイレ容器に注ぎ入れる作業を安定して行うことができる。
【0059】
さらに、本実施形態において、把持部120の周縁の一部には、フィルムがシールされていない未シール部125が設けられており、未シール125部は把持部120に負荷がかかったときに伸びるようになっているので、把持部120がちぎれたり、破れることが抑制される。その結果、本実施形態によれば、把持部を強度に優れたものとすることができる。また、未シール部が設けられていることにより、把持部120に手を入れたときの触感を良好なものとすることができる。
【実施例
【0060】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。
【0061】
[嵩密度]
排尿処理材の嵩密度は、1L(1000cm)のステンレス製容器に、排尿処理材(試料)を静かに山盛りになるように入れ、上面を水平にすりきり、その試料の重量を測定することで、嵩密度を求めた。
【0062】
[排尿処理材の直径(平均値)および長さ(平均値)の測定]
排尿処理材(試料)から50粒をランダムに採取し、ノギスを用いて排尿処理材の直径および長さを測定した。得られた排尿処理材の直径および長さの平均値を少数第2位で四捨五入して排尿処理材の直径および長さとした。
【0063】
[安息角(平均値)の測定]
角度の目盛りがついた、横蓋付のアクリル製測定器(例えば、高さ10cm×奥行10cm×幅3cm等)を平らな場所に置き、該測定器の横蓋を閉じた状態で、該測定器の上面から上方1~2cmの高さから排尿処理材を流し入れ、該測定器の上面から下方0~1cm程の位置まで山盛り状に充填する。次いで、横蓋を静かに開き、充填された排尿処理材を、重力により自然に排出させる。その後、該測定器内に残った排尿処理材の表面と水平面とのなす角度(傾斜角)を、目盛りから読み取り、安息角(°)とする。
上記の方法に従って測定を3回行い、平均値を算出した。
【0064】
[把持部の強度]
包装袋の上部の把持部を含む領域(上辺から15cm、右辺から15cmの領域)を切り取り、測定用サンプルを得た。具体的には、図1に示すように包装袋をL1線とL2線で切断し、切り取った部分を測定用サンプルとした。図1においてA3は右辺からL2までの長さであり、A4は上辺からL1までの長さであり、本実施例ではいずれも15cmである。
【0065】
計測スタンド((株)イマダ製、IMADA 計測スタンドMX2-1000N)及び測定機器((株)イマダ製、IMADA デジタルフォースゲージZP(Z2)-500N)を用いて、以下の方法により、把持部の強度を測定した。
把持部を上にしたときに下側に配される部分を万力で固定し、把持部を測定機器のフックに引っ掛けて検測速度300mm/分で上部へ牽引していき、破損したときの強度を測定した。
【0066】
[注ぎやすさの評価]
各例の包装袋に、排尿用処理材を密封充填し、各包装袋の切り取り線に沿って開封して注出口を形成し、地面に置いた直方体状のトイレ容器(縦480mm×横400mm×深さ130mm)に高さ10~20cmの高さから排尿一回分程度に使用される排尿処理材(使用前の質量が約30g)を注いだ。
排尿処理材を注ぐ時の袋の安定性、把持部の握り易さ、注出量の調整のし易さの観点から注ぎやすさを10名のパネリストによって評価した。評価基準を下記に記す。
優: 10名のうち9~10名が「注ぎやすい」と回答した。
良: 10名のうち6~8名以上が「注ぎやすい」と回答した。
不良:10名のうち0~5名が「注ぎやすい」と回答した。
【0067】
[実施例および比較例で用いた排尿処理材]
実施例及び比較例で用いた排尿処理材は以下のとおりである。
排尿処理材1~8の形状は円柱状である。
表には排尿処理材の原料、嵩密度、直径、長さ及び安息角を併せて示した。
【0068】
【表1】
【0069】
(実施例1:実施形態1の包装袋)
ポリアミドからなる厚みが15μmの無延伸のフィルムを基材層とし、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)からなる厚みが80μmのフィルムをシーラント層とする積層フィルムを2枚重ねて、その周縁の排尿処理材を充填する部分以外の部分をヒートシールすることにより、袋体を作製した(シール幅は1cm)。この袋体の右上隅部に、図2で示す形状の把持部を設け、左上隅部に切り取り線を設けることで実施例1の包装袋を得た(図1参照)。この包装袋の大きさは、縦(図1の上下方向の寸法)が41cm、横(図1の左右方向の寸法)が31.5cmであり、その容量は5リットルである。
この包装袋の切り取り線は袋上辺とのなす角度(図1のθ1の角度)が33°となるように設けられている。切り取り線に対応する上辺長さ(図1のA2の長さ)は10cm、切り取り線に対応する左辺の長さ(図1のA1の長さ)は6.5cm、切り取り線の未シール部分の長さ(30Aから30Bまでの長さ)は9.2cmであった。
この包装袋の把持部は、間隔をあけて設けられた3つの円形孔を含み、円形孔の間の間隙領域は未シール部である。また、3つの円形孔のうち中央の円形孔は2つの端部円形孔からずれた位置に設けられている(表1において「V字状」と記載)。円形孔の直径は2.5cmである。
得られた包装袋に、排尿処理材1を充填して、周縁の未シール部分をヒートシールして密封状態としたものについて、注ぎやすさの評価試験を行った。
把持部の強度は注ぎやすさの評価試験とは別に作成した本例の包装袋について行った。結果を表に示す。
【0070】
(実施例2)
把持部の3つの円形孔をその中心が一直線上に並ぶように設けた(直線状の配置とした)こと以外は実施例1と同じ操作を行って、包装袋を作製し、評価試験を行った。
【0071】
(実施例3)
把持部の3つの円形孔をその中心が一直線上に並ぶように設けた(直線状の配置とした)こと、間隙領域をシール部で構成したこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、包装袋を作製し、評価試験を行った。
【0072】
(実施例4)
把持部の3つの円形孔をハート形状としたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、包装袋を作製し、評価試験を行った。
【0073】
(比較例1)
切り取り線の未シール部の長さを実施例1と同じ条件とするために、切り取り線を、袋上辺とのなす角度が50°、切り取り線に対応する上辺長さが7.7cm、切り取り線に対応する左辺の長さが9.2cm、切り取り線の未シール部分の長さが9.2cmとなるように設けたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、包装袋を作製し、評価試験を行った。
【0074】
【表2】
【0075】
包装袋の上辺とのなす角度θ1が45°以上である、切り取り線を備える包装袋を用いた場合、注ぎやすさが不良であった(比較例1)。一方、包装袋の上辺とのなす角度θ1が5°以上45°未満である、切り取り線を備える包装袋を用いた場合、注ぎやすさが良好であった(実施例1~4)。
【0076】
把持部の形状が円形孔である実施例1~3では、把持部の形状がハート形状の実施例4よりも把持部の強度が高く、円形孔の間の間隙領域が未シール部である実施例1および2では特に把持部の強度が高かった。
【0077】
(実施例5~8)
実施例1で製造した包装袋に、排尿処理材2~5を充填したものを、それぞれ実施例5~8とし、注ぎやすさの評価試験を行ったところ、いずれも注ぎやすいという結果が得られた。
【0078】
(実施例9)
切り取り線を、袋上辺に対する角度が17°となるように設けたこと以外は実施例1と同じ操作を行って、包装袋を作製した。
得られた包装袋に排尿処理材6を充填したものを実施例9とし、注ぎやすさの評価試験を行ったところ、いずれも注ぎやすいという結果が得られた。
【0079】
(実施例10~11)
実施例9で製造した包装袋に排尿処理材7~8を充填したものを、それぞれ実施例10~11とし、注ぎやすさの評価試験を行ったところ、いずれも注ぎやすいという結果が得られた。
【0080】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、把持部が、包装袋の上部の、切り取り線の設けられた一隅とは反対側の上部の一隅に設けられている態様を示したが、把持部の位置はこれに限定されない。把持部の位置は包装袋の上部の中央等であってもよい。
(2)上記実施形態1では、3つの円形孔を含む把持部を示したが、把持部は1または2つの円形孔を含む物であってもよいし4以上の円形孔を含むものであってもよい。また、相違する形状の孔を含むものであってもよい。
(3)上記実施形態では、打ち抜き加工により設けた孔を含む把持部を示したが、切り込みを形成することにより設けた把持部であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
10,100…ペット用排尿処理材の包装袋
11,111…側部
12,112…側部
13,113…底部
14,114…上部
15,115…収容部
20,120…把持部
21,23…(端部)円形孔
21P,22P,23P…円形孔の中心
22…(中央)円形孔
25…間隙領域
24,124…シール部
30,130…切り取り線
31,131…注出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6