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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240112BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A47L9/28 A
A47L9/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019120020
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021003509
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-03-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】廣田 満久
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真浩
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特許第4468440(JP,B2)
【文献】特開2007-330524(JP,A)
【文献】特開昭64-052430(JP,A)
【文献】特開2011-206358(JP,A)
【文献】特開平02-159235(JP,A)
【文献】特開平03-297432(JP,A)
【文献】特開平08-299235(JP,A)
【文献】米国特許第05084934(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機および集塵部が設けられた掃除機本体と、前記掃除機本体に直接または延長管を介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、吸込口が設けられた底部を有する筐体と、前記筐体内の前記吸込口の近傍に設けられた回転ブラシと、前記筐体内に設けられて前記回転ブラシを回転させるブラシ用モータと、前記筐体が前進する方向の前端に左右方向の軸心を中心として揺動可能に設けられたバンパーとを有し、
前記バンパーは、前記バンパーの上端縁と下端縁との間に屈曲部を有し、前記屈曲部が前進する方向に最も突出しており、
前記筐体の前端と、前記筐体に取り付けられた前記バンパーの前記屈曲部との間に、前記屈曲部を前方に付勢する付勢部材が設けられ、前記バンパーの下端縁が前記屈曲部よりも下方の高さ位置に配置されており、
前記掃除機本体は、前記電動送風機および前記ブラシ用モータを制御可能、かつ、前記ブラシ用モータの負荷を検知可能な制御部を有し、
前記バンパーの屈曲部が障害物に当接することによって、付勢部材の付勢力に抗して前記バンパーの下端縁が後方へ揺動して前記回転ブラシの軸部よりも下方において回転する前記回転ブラシに接触し、それによって前記ブラシ用モータの負荷が所定値以上に増加したときに、前記制御部が前記電動送風機の出力を増加させるように構成されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、前記電動送風機の出力増加を所定時間維持するように構成された請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
電動送風機および集塵部が設けられた掃除機本体と、前記掃除機本体に直接または延長管を介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、吸込口が設けられた底部を有する筐体と、前記筐体内の前記吸込口の近傍に設けられた回転ブラシと、前記筐体内に設けられて前記回転ブラシを回転させるブラシ用モータと、前記筐体が前進する方向の前端に左右方向の軸心を中心として揺動可能に設けられたバンパーとを有し、
前記バンパーは、前記バンパーの上端縁と下端縁との間に屈曲部を有し、前記屈曲部が前進する方向に最も突出しており、
前記筐体の前端と、前記筐体に取り付けられた前記バンパーの前記屈曲部との間に、前記屈曲部を前方に付勢する付勢部材が設けられ、前記バンパーの下端縁が前記屈曲部よりも下方の高さ位置に配置されており、
前記掃除機本体は、前記電動送風機および前記ブラシ用モータを制御可能、かつ、前記ブラシ用モータの負荷を検知可能な制御部を有し、
前記バンパーの屈曲部が障害物に当接することによって、付勢部材の付勢力に抗して前記バンパーの下端縁が後方へ揺動して前記回転ブラシの軸部よりも下方において回転する前記回転ブラシに接触し、それによって前記ブラシ用モータの負荷が所定値以上に増加したときに、前記制御部が吸引力を増加させるように構成されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、前記電動送風機の吸引力増加を所定時間維持するように構成された請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記回転ブラシは、軸部と、前記軸部の外周部に設けられたブラシ毛とを有し、
前記バンパーは、前記ブラシ毛と接触可能な下端縁を有し、
前記ブラシ毛の硬さと、前記バンパーの前記下端縁の形状とは、前記負荷が前記所定値以上となるように互いに調整されている請求項1~4のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記バンパーは、前記回転ブラシと接触可能な凹凸形の下端縁を有する請求項1~5のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記吸込口が、前記筐体の前記前端まで延びている請求項1~6のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機として、特許文献1には、吸込口体のバンパーが室内の壁に接触すると、その接触状態がバンパーの内側に設けられた検知部(発光素子または感圧センサ)にて検知され、検知部から検知信号が掃除機本体内に設けられた制御部へ送信され、その検知信号に基づいて制御部は掃除機本体内に設けられた電動送風機の出力を増加させて壁際の塵埃を吸引除去するように構成された電気掃除機が提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、吸込口体の前端に距離センサが設けられ、室内の壁と吸込口体との間の距離が距離センサにて検知され、距離センサから検知信号が掃除機本体内に設けられた制御部へ送信され、壁と吸込口体との間の距離が所定距離以下となった情報を含む検知信号に基づいて制御部は掃除機本体内に設けられた電動送風機の出力を増加させて壁際の塵埃を吸引除去するように構成された電気掃除機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-253145号公報
【文献】特開2019-63354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に記載の電気掃除機の場合、吸込口体が壁に近接した状態をセンサ(発光素子、感圧センサ、距離センサ等)によって検知するようにしているため、コストアップとなっていた。また、吸込口体のバンパーが設けられた前端にセンサを設ける必要があるため、バンパーの周辺構造が複雑化していた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、電動送風機および集塵部が設けられた掃除機本体と、前記掃除機本体に直接または延長管を介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、吸込口が設けられた底部を有する筐体と、前記筐体内の前記吸込口の近傍に設けられた回転ブラシと、前記筐体内に設けられて前記回転ブラシを回転させるブラシ用モータと、前記筐体が前進する方向の前端に左右方向の軸心を中心として揺動可能に設けられたバンパーとを有し、
前記掃除機本体は、前記電動送風機および前記ブラシ用モータを制御可能、かつ、前記ブラシ用モータの負荷を検知可能な制御部を有し、
前記バンパーが障害物に当接することによって後方へ揺動して回転する前記回転ブラシに接触し、それによって前記ブラシ用モータの負荷が所定値以上に増加したときに、前記制御部が前記電動送風機の出力を増加させるように構成された電気掃除機が提供される。
また、本発明によれば、電動送風機および集塵部が設けられた掃除機本体と、前記掃除機本体に直接または延長管を介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、吸込口が設けられた底部を有する筐体と、前記筐体内の前記吸込口の近傍に設けられた回転ブラシと、前記筐体内に設けられて前記回転ブラシを回転させるブラシ用モータと、前記筐体が前進する方向の前端に左右方向の軸心を中心として揺動可能に設けられたバンパーとを有し、
前記掃除機本体は、前記電動送風機および前記ブラシ用モータを制御可能、かつ、前記ブラシ用モータの負荷を検知可能な制御部を有し、
前記バンパーが障害物に当接することによって後方へ揺動して回転する前記回転ブラシに接触し、それによって前記ブラシ用モータの負荷が所定値以上に増加したときに、前記制御部が吸引力を増加させるように構成された電気掃除機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電気掃除機によれば、壁際清掃時の吸引力制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の電気掃除機の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の電気掃除機における吸込口体を示す斜視図である。
図3】第1実施形態の吸込口体の平面図である。
図4】第1実施形態の吸込口体の正面図である。
図5】第1実施形態の吸込口体の右側面図である。
図6】第1実施形態の吸込口体の底面図である。
図7図4のI-I線矢視断面図である。
図8】第1実施形態の吸込口体のバンパーを室内の壁面に軽く当接させた状態を示す説明図である。
図9】第1実施形態の吸込口体のバンパーを室内の壁面に押し当てた状態を示す説明図である。
図10図9の状態のときの吸込口体の内部構造を示す説明図である。
図11図9の状態のときの制御部による電動送風機の出力制御を説明する図である。
図12】第1実施形態の吸込口体の左側の角部を室内の床面上の隅部に押し当てた底面側から視た状態を示す説明図である。
図13図12で示した吸込口体における角部付近を拡大した説明図である。
図14】第2実施形態の吸込口体におけるバンパー形状とブラシ毛の硬さとの関係を説明する図である。
図15】第3実施形態の吸込口体におけるバンパー形状とブラシ毛の硬さとの関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
<電気掃除機の全体構成>
図1は本発明の電気掃除機の第1実施形態を示す斜視図である。
図1に示すように、この電気掃除機1は、掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に装着されるバッテリー40と、本発明の吸込口体50と、掃除機本体10と吸込口体50とを着脱可能に接続する延長パイプ60とを備える。なお、第1実施形態では、代表的にコードレスタイプのスティック型電気掃除機を例示しているが、本発明の吸込口体50はハンディ型、キャニスター型、アップライト型等の電気掃除機にも適用可能である。
【0011】
掃除機本体10は、電動送風機26(図11参照)を内蔵する駆動装置20と、駆動装置20に着脱可能に装着される集塵部としての集塵装置30とを備える。
【0012】
駆動装置20は、制御部25と、バッテリー40の装着部に設けられてバッテリー40の複数の給電端子と電気的に接続可能な複数の受電端子(不図示)とを有し、複数の受電端子はリード線を介して制御部25と電気的に接続されている。
また、駆動装置20は操作スイッチ21を有するハンドル22を後部に有しており、操作スイッチ21はリード線を介して制御部25と電気的に接続されている。
【0013】
制御部25は、電気掃除機1を制御する部分であり、例えば、演算部、記憶部等を有する。制御部25は、例えば、演算部、記憶部、タイマー、入出力ポートなどを有するマイクロコントローラを含むことができる。演算部は、例えば、CPU、GPU、FPGAなどである。記憶部は、マスクROM, EPROM, EEPROM, フラッシュメモリ(不揮発性メモリ)などのROMと、FeRAM, SRAM, DRAMなどのRAMを含むことができる。
制御部25は、複数の制御基板から構成されてもよい。これらの複数の制御基板は信号線又は電力線で接続することができる。制御部25は、例えば、電動送風機用駆動回路を備えた制御基板、回転ブラシ用駆動回路を備えた制御基板、充電回路を備えた制御基板、マイクロコントローラなどから構成される。
【0014】
集塵装置30は、集塵容器31と、集塵容器31に着脱可能に装着されるフィルター部32とを有し、集塵容器31内に空気と共に流入した比較的大きな塵埃を空気から遠心分離し、比較的小さな塵埃をフィルター部32にて捕捉するように構成されている。
【0015】
<吸込口体について>
図2は第1実施形態の電気掃除機における吸込口体を示す斜視図であり、図3は第1実施形態の吸込口体の平面図であり、図4は第1実施形態の吸込口体の正面図である。また、図5は第1実施形態の吸込口体の右側面図であり、図6は第1実施形態の吸込口体の底面図であり、図7図4のI-I線矢視断面図である。なお、図2図3図5図7において、吸込口体の前後上下左右の方向を矢印にて示している。
【0016】
図2図7に示すように、吸込口体50は、吸込口本体51と、吸込口本体51に連結された関節部58と、関節部58に連結された接続管部59とを備える。
吸込口本体51は、吸込口51aが設けられた底部52aと、周囲部52bと、上部52cとを有する筐体52を備えると共に、筐体52の周囲部52bの前端に設けられたバンパー53を備える。
【0017】
筐体52の底部52aは、略T字形(図6参照)に形成されており、底部52aの前部52aaは左右方向に延び、後部52abは前部52aaの左右方向の中間部から後方へ突出している。
後部52abは略U字形に形成されており、後部52abの下方に関節部58が露出している。また、後部52abの後部下面には後部ローラ54が設けられている。なお、後部52abの形状は略U字形に限定されず、例えば、関節部58が露出していない平面部に後部ローラ54が設けられた形状でもよい。
【0018】
また、底部52aは、前部52aaの前端側に左右方向に延びる前記吸込口51aを有しており、吸込口51aの前端は開放している。
また、底部52aの前部52aaにおける左右両端部(吸込口51aの左右側)の前端側には、筐体52が床面F上に載置された状態において前方へ向かうにつれて床面Fから離れる方向に傾斜した左右一対の傾斜面部52axが設けられている。なお、第1実施形態では凸曲面状の傾斜面部52axを例示しているが、傾斜面部は平坦面でもよい。
【0019】
底部52aの吸込口51aの左右側において、傾斜面部52axよりも後方部分は略平坦面となっており、この略平坦面から傾斜面部52axに亘ってシート状部材57が設けられている。なお、シート状部材57について詳しくは後述する。
また、底部52aの後部の右側には、車輪を有する床面検知スイッチ55が設けられている。
【0020】
周囲部52bは、底部52aの吸込口51aを含む前部52aaを前後左右から包囲する部分である。
上部52cは、周囲部52bと連設されて底部52aを覆う部分であり、後端側の左右方向の中間部に関節部58を嵌め入れる凹部52caを有している。さらに、上部52cの前端の左右両端側には、バンパー53の上バンパー53aの左右一対の取付片53aaが差し込まれるよう後方へ凹んだ左右一対の取付凹部52cbが設けられている。
【0021】
図8は第1実施形態の吸込口体のバンパーを室内の壁面に軽く当接させた状態を示す説明図であり、図9は第1実施形態の吸込口体のバンパーを室内の壁面に押し当てた状態を示す説明図である。また、図10図9の状態のときの吸込口体の内部構造を示す説明図であり、図11図9の状態のときの制御部による電動送風機の出力制御を説明する図である。
図2図11に示すように、バンパー53は、前記左右一対の取付片53aaを有する上バンパー53aと、上バンパー53aの下端縁に沿って設けられた下バンパー53bとを有する。
【0022】
上バンパー53aの左右一対の取付片53aaはそれぞれ左右側面を有し、それらの各左右側面には左右方向の同一軸心上に凸部が設けられている。一方、筐体52の左右一対の取付凹部52cbはそれぞれ左右内側面を有し、それらの各左右内側面には左右方向の同一軸心P1上に凹部が設けられている(図2参照)。
【0023】
上バンパー53aを筐体52に取り付ける際、上バンパー53aの左右一対の取付片53aaを筐体52の左右一対の取付凹部52cbに差し込むことにより、上バンパー53aの左右一対の取付片53aaの各凸部が、筐体52の左右一対の取付凹部52cbの各凹部に嵌り込む。これにより、上バンパー53aが軸心P1を中心に揺動可能に筐体52に取り付けられることとなる。
なお、上バンパー53aの複数の凸部を凹部に変更し、かつ、筐体52の複数の凹部を凸部に変更してもよい。
【0024】
図7図11に示すように、筐体52の周囲部52bにおける上バンパー53aと対向する前端面には、付勢部材53cが設けられており、付勢部材53cによって上バンパー53aは前方へ付勢されている。なお、付勢部材53cとして、本実施形態では小さいブロック形の弾性発泡体を複数個用いているが、圧縮コイルバネ、捻りコイルバネ等を用いてもよい。
バンパー53が壁面等に当接して押し込まれていない自由状態において、上バンパー53aは、筐体52における最も前方に突出した前端52x(周囲部52bの前端におけるバンパー53で覆われていない左右両側部分)よりも前方へ突出している(図2図3参照)。
【0025】
下バンパー53bは、上バンパー53aの下端縁に沿って設けられている。具体的には、下バンパー53bの上端縁と上バンパー53aの下端縁に設けられた嵌合部が互いに嵌り込むことによって、下バンパー53bが上バンパー53aに取り付けられている。あるいは、上バンパー53aと下バンパー53bは異なる材料にて一体成形され、下バンパー53bは上バンパー53aよりも柔軟性を有するように構成してもよい。
【0026】
また、下バンパー53bの下端縁53bxは、後方(回転ブラシ56側)へ湾曲しており、バンパー53の自由状態において、下バンパー53bの下端縁53bxは回転ブラシ56と非接触で近接している。また、下バンパー53bの下端縁53bxは左右方向に直線的に延びた形状を有している。
また、清掃中にバンパー53が室内の壁面W2(図10参照)に当たって回転ブラシ56側へ揺動したとき、下バンパー53bの下端縁53bxは回転する回転ブラシ56と接触する。これにより、ブラシ用モータ56m(図11参照)の負荷が所定値以上に増加し、それによって制御部25は電動送風機26の出力をアップさせるが、これについて詳しくは後述する。また、下バンパー53bの下端縁53bxが回転する回転ブラシ56と接触したとき、例えば、上バンパー53aの左右両端が、筐体52の左右の前端付近に設けられた突起状のストッパに当接し、それによって下バンパー53bが過剰に回転ブラシ56側へ揺動しないようになっている。
なお、図7図10において、回転ブラシ56のブラシ毛先端の回転軌道を二点鎖線で示している。
【0027】
図2図6に示すように、筐体52の前端の左右一対の角部52k(周囲部52bの前端と左右側面との間の角部52k)には、上方から視てL字形に折れ曲がった突起部としての凸部52yがそれぞれ設けられている。
また、筐体52の周囲部52bにおける左右側面の下部には上下方向に延びる隆起部52zがそれぞれ設けられており、これら左右一対の隆起部52zの外面に後述する左右一対のシート状部材57の一部が貼り付けられている。なお、図6に示すように、左右一対の隆起部52zは、底部52a側から視て、吸込口51aにおける下バンパー53b(自由状態)の先端よりも後方位置の左右両側に配置されている。
【0028】
関節部58は、吸込口本体51に設けられた第1筒部58aと、第1筒部58aに対して前後方向の軸心P2を中心として左右方向に回動可能に接続された第2筒部58bとを有する(図2図7参照)。なお、吸込口本体51の吸込口51aと関節部58の第1筒部58aとの間は通風路となっている。
また、第2筒部58bは、接続管部59の後述する上流側接続端部59aを左右方向の軸心P3を中心として前後方向に回動可能に受け入れる凹部58baを有している。この凹部58baは、下部と上部に設けられた大小2つの凹曲面部を有している。
【0029】
接続管部59は、吸込口体50内を空気が流れる方向(以下、「気流方向」という)の上流端側に設けられた前記上流側接続端部59aと、掃除機本体10と直接または延長パイプ60を介して着脱可能に接続される下流側接続端部59bとを有している。
上流側接続端部59aは、関節部58の第2筒部58bにおける上部の小さい凹曲面部と摺接可能な凸曲面部59aaを有すると共に、第2筒部58bにおける下部の大きい凹曲面部と摺接可能な摺接端部59abを有している。
【0030】
また、吸込口体50は、吸込口本体51内の吸込口51aの近傍に左右方向の軸心P4を中心として回転可能に設けられた回転ブラシ56(図7参照)と、吸込口本体51内に設けられたブラシ用モータ56m(図11参照)と、吸込口本体51内に設けられてブラシ用モータ56mの回転力を回転ブラシ56に伝達する図示しない回転力伝達機構とを備える。本実施形態では、回転ブラシ56の一端およびブラシ用モータ56mの出力軸にそれぞれプーリが設けられ、それらのプーリをタイミングベルトにて繋ぐことにより回転力伝達機構部を構成している。なお、図6では回転ブラシを図示省略している。
【0031】
また、吸込口体50において、接続管部59における下流側接続端部59bの周囲には図示しないピン形の一対の受電端子が設けられると共に、一対の受電端子とブラシ用モータ56m(図11参照)に設けられた一対の端子とは図示しないリード線にて電気的に接続されている。
また、延長パイプ60の上流側接続端部には吸込口体50の接続管部59の一対の受電端子と電気的に接続可能なクリップ形の一対の給電端子が設けられ、延長パイプ60の下流側接続端部にはピン形の一対の受電端子が設けられ、一対の給電端子と一対の受電端子とはリード線にて電気的に接続されている。
【0032】
また、掃除機本体10の延長パイプ60との接続部には延長パイプ60の一対の受電端子または吸込口体50の接続管部59の一対の受電端子と電気的に接続可能なクリップ形の一対の給電端子が設けられており、これら一対の給電端子は掃除機本体10の駆動装置20内に設けられた制御部25(図1図11参照)にリード線にて電気的に接続されている。
【0033】
このように構成された電気掃除機1によれば、図1に示す掃除機本体10の操作スイッチ21をONすることにより、駆動装置20内の電動送風機26(図11参照)が駆動して吸込口体50の吸込口51a内に床面上の塵埃を含む空気が吸引されると共に、吸込口体50内のブラシ用モータ56m(図11参照)が駆動して回転ブラシ56が回転して床面上が清掃される。
【0034】
<バンパーと回転ブラシの関係について>
図11に示すように、回転ブラシ56は、軸部56aと、軸部56aの外周部に設けられたブラシ毛56bとを有する。ブラシ毛56bは、繊維群からなり、繊維群は帯状の基材に植毛されている。なお、ブラシ毛56の間に可撓性を有するブレードが設けられていてもよい。
本実施形態では、軸部56aの外周部に4列のブラシ毛56bが等間隔で螺旋状に取り付けられている。また、本実施形態では、ブラシ毛56b(繊維群)の硬さが、後述の第2実施形態のブラシ毛の硬さと第3実施形態のブラシ毛の硬さの間の標準的な硬さの場合を例示している。ここで、ブラシ毛の硬さとは、繊維の腰の強さ(繊維の曲がりにくさ)を意味する。
なお、ブラシ毛56bは、軸部56aの軸心P4と平行に設けられてもよく、軸部56aの外周部に全面的に設けられてもよい。
【0035】
本発明において、ブラシ毛56bの硬さと、回転ブラシ56の回転方向(図11中の矢印A方向)に対する下バンパー53bの下端縁53bxの向きとは、下バンパー53bの下端縁53bxが回転する回転ブラシ56のブラシ毛56bと接触したときに、ブラシ用モータ56mの負荷が所定値以上となるように互いに調整されている。
本実施形態の場合、下バンパー53bの下端縁53bxは、下端縁53bxと近接した軸部56aの部分の回転方向よりもやや軸部56a側に向いて湾曲している。この場合、回転するブラシ毛56bの先端側が下バンパー53bの下端縁53bxの内面に摺接する。
【0036】
<シート状部材について>
図12は第1実施形態の吸込口体の左側の角部を室内の床面上の隅部に押し当てた底面側から視た状態を示す説明図であり、図13図12で示した吸込口体における角部付近を拡大した説明図である。
図6図12図13に示すように、シート状部材57は、筐体52の底部52aの下面における吸込口51aの左右端部の近傍位置にそれぞれ設けられている。
このシート状部材57は、前後シール部に相当する前後方向に延びる前方シール部57aと、左右シール部に相当する前方シール部57aの後方に設けられた左右方向に延びる後方シール部57bとを有し、前方シール部57aと後方シール部57bとが接合したT字形の一部品からなる。
【0037】
本実施形態の場合、シート状部材57は、基材上に起毛が設けられた起毛布からなる。この場合、起毛は基材に対して垂直方向に植毛されてもよく、あるいは基材に対して垂直方向に植毛された起毛を斜め後方へ倒れるように癖付けして斜毛としてもよい。斜毛とすることにより、例えば、フローリング上から絨毯上へ吸込口体50を移動させる際、絨毯による段差部分を起毛布がスムーズに乗り越えることができる。
【0038】
また、シート状部材57をT字形とすることにより、後方シール部57bにおける前方シール部57aから左右にそれぞれ突出した長さが同じであれば、吸込口本体51に設ける2つのシート状部材57を1種類のシート状部材57で賄う(共通化する)ことができる。
なお、シート状部材57は起毛布に限定されず、例えば、所定の厚さを有する不織布、織り布、編み布、発泡樹脂シート等の柔らかいシート素材でもよい。
【0039】
前方シール部57aは、筐体52における底部52aの下面の略平坦面から前方の傾斜面部52axに亘る範囲に、例えば、接着により取り付けられている。
後方シール部57bは、筐体52における底部52aの下面の略平坦面から周囲部52bの前記隆起部52zに亘る範囲に、例えば、接着により取り付けられている。より具体的には、後方シール部57bにおける吸込口51a側の内側端部は、前方シール部57aよりも吸込口51aに接近した位置まで延びている。また、後方シール部57bにおける吸込口51aとは反対側の外側端部57baは、周囲部52bの側部の隆起部52z上まで延びている。
【0040】
シート状部材57の前方シール部57aを吸込口本体51の底部52aの傾斜面部52axまで延設することにより、床面F上に吸込口体50を下ろすときにシート状部材57の前方シール部57aが床面Fに当接可能となる(図示省略)。これにより、床面Fがフローリングである場合には、吸込口体50によるフローリングの傷付きを抑えることができる。
【0041】
また、図5に示すように、吸込口体50を床面F上に載置した状態では、左右一対のシート状部材57と後部ローラ54との概ね3箇所で吸込口本体51が支持される。このとき、図13に示されたシート状部材57におけるハッチング領域は床面に接触し、シート状部材57におけるハッチング領域以外の領域は床面に接触していない。つまり、床面と接触したシート状部材57の接触部分は、床面と吸込口本体51との間に隙間が形成されないようシールしている。
【0042】
<隅部および壁際の清掃について>
図12に示すように、室内の互いに略直交して隣接する2つの壁面W1、W2と床面Fとで囲まれた隅部C(図13においては壁面W1、W2と点線で囲まれた床面上の領域)を清掃する場合、例えば、吸込口体50の左側面を一方(側方)の壁面W1に近接させた状態で吸込口体50を他方(前方)の壁面W2まで前進させる。このとき、吸込口体50の底部52aから周囲部52bの左側面まで延設したシート状部材57の後方シール部57bの外側端部57baを側方の壁面W1に摺接させることができる。つまり、後方シール部57bの外側端部57baがサイドバンパーとなって壁面W1の傷付きを抑制している。
【0043】
吸込口体50のバンパー53を前方の壁面W2に軽く当接させた状態ではバンパー53はほとんど押し込まれないため、吸込口体50の左右の角部52kにそれぞれ設けた凸部52yは前方の壁面W2に当接しない(図8参照)。
その後、図9図13に示すように、吸込口体50のバンパー53(上バンパー53a)を前方の壁面W2に強く押し付けると、上バンパー53aおよび下バンパー53bが吸込口本体51に対して後方へ揺動する。このとき、吸込口体50の左右の角部52kにそれぞれ設けた凸部52yが前方の壁面W2に当接すると共に、下バンパー53bの下端縁53bxが回転する回転ブラシ56のブラシ毛56bに当接する(図11参照)。なお、隅部C側の凸部52yは、側方の壁面W1にも当接する。
【0044】
図11に示すように、下バンパー53bの下端縁53bxが回転する回転ブラシ56のブラシ毛56bに当接することにより、ブラシ用モータ56mの負荷が所定値以上に増大し、ブラシ用モータ56mの電流値が所定値以上に上昇する。
制御部25は、ブラシ用モータ56mの電流値を検知しており、ブラシ用モータ56mの電流値が所定値以上に上昇したことを検知すると、電動送風機26の出力(回転数)を増加させる。このときの出力増加率としては、例えば、フローリング上の清掃時の電動送風機26の出力の1.5~2倍程度、あるいは、絨毯上の清掃時の電動送風機26の出力と同程度とすることができる。あるいは、絨毯上の清掃時の電動送風機26の出力よりも大きくしてもよい。このようにすることで、壁際清掃時における電気掃除機の吸引力を強めることができる。
さらに、制御部25は、電動送風機26の出力増加を所定時間維持するようにしてもよい。この場合の維持時間(継続時間)としては、例えば、3~10秒程度とすることができる。この継続時間のカウント開始のタイミングとしては、ブラシ用モータ56mの電流値が所定値未満に下降したことを検知したときからでもよいし、あるいはブラシ用モータ56mの電流値が所定値以上に上昇したことを検知したときからでもよい。
【0045】
2つの壁面W1、W2と床面Fとで囲まれた隅部Cに、吸込口体50の左側の角部52kを近接させた清掃状態では、凸部52yが隅部Cの2つの壁面W1、W2に当接し、バンパー53の上バンパー53aが前方の壁面W2に当接し、シート状部材57の後方シール部57bが側方の壁面W1に当接する。これにより、隅部Cにおける前方シール部57aの周囲(前方シール部57aの傾斜面部52axに沿った部分)に空気流路G1(図9図10図11参照)が形成され、上バンパー53aと凸部52yとの間および凸部52yと後方シール部57bとの間に前記空気流路の入口となる上方に開口した空気流入口G2、G3(図13参照)がそれぞれ形成される。このとき、前方シール部57aの周囲の空気流路G1は、特に隅部Cの奧部およびその周辺に確実に空気が流れるように形成されている。
【0046】
そのため、吸込口51a内へ塵埃を含む空気が吸引されると、図9図13中の矢印Q(空気の流れ)で示すように、前方の壁面W2側の空気流入口G2と側方の壁面W1側の空気流入口G3の上方から空気が前方シール部57aの周囲の空気流路G1内に流入する。つまり、空気が隅部Cに流入する。これにより、隅部Cに存在する塵埃が床面Fから浮き上がって空気と共に吸込口51aへ流れ込み、隅部Cがきれいに除塵される。このとき、前記のように電動送風機26の出力が増加しているため吸引力が強まり、溜まりやすくかつ除去しにくい隅部Cの塵埃が、強い吸引力と隅部Cへの空気の導入との相乗効果によって効率的に除去される。
また、壁面Wとバンパー53(上バンパー53a)との間の僅かな隙間に上方から空気が流入して壁面W2近傍の下バンパー53b側へ向かうため、壁面W2の際に存在する塵埃が床面Fから浮き上がって空気と共に吸込口51aへ流れ込み、壁面W2の際がきれいに除塵される。
【0047】
また、隅部Cの清掃の際、図13中の矢印R(空気の流れ)で示すように、シート状部材57の後方シール部57bの後方における床面と底部52aとの間の隙間を空気が通って吸込口51aへ流れ込むため、側方の壁面W1付近の塵埃も除塵される。
なお、隅部Cへ向かって吸込口体50を側方の壁面W1に沿って移動させているときも、凸部52yと後方シール部57bとの間の空気流入口G3の上方から前方シール部57aの周囲の空気流路G1を通って吸込口51aへ空気が流れているため、側方の壁面W1付近の塵埃も除塵されている。
【0048】
また、図11図13に示すように、電動送風機26の出力増加が所定時間維持されることにより、隅部Cを清掃した後、吸込口体50を前方の壁面W2から一旦離し、壁面W2の掃除した領域の左側に隣接する領域へ吸込口体50を移動させる間も強い吸引力を維持することができる。そのため、バンパー53を壁面W2に継続的に押し付けなくとも強い吸引力を維持しながら吸込口体50を壁面W2に沿って左方向に移動させて壁際の広い範囲を清掃することができる。また、吸込口体50が壁面W2から離れて直ぐに電動送風機26の出力が低下して駆動音が小さくなると、壁際清掃時における吸引力の強弱が目立ってしまうが、本発明によれば壁際を強い吸引力を維持したまま清掃していることをユーザーが認識することができる。つまり、ユーザーは電動送風機26の出力(駆動音)の強弱を気にすることなく壁際を清掃することができる。
なお、吸込口体50を前方の壁面W2から一旦離し、壁面W2の掃除した領域の左側に隣接する領域へ吸込口体50を移動させる間も強い吸引力を維持している途中で、バンパー53が壁面W2に押し付けられて、ブラシ用モータ56mの電流値が所定値以上に上昇したことを検知した場合、所定時間(吸引力増加の継続時間)のカウントはリセットされる。このようにすることで、吸込口体50を移動させながら、強い吸引力を維持でき、吸込口体50を壁面W2に沿って左方向に移動させて壁際の広い範囲を清掃することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図14は第2実施形態の吸込口体におけるバンパー形状とブラシ毛の硬さとの関係を説明する図である。なお、図14において、図11中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第2実施形態の電気掃除機は、回転ブラシ156のブラシ毛156bの硬さ、および、バンパー153の下バンパー153bの下端縁153bxの形状が第1実施形態とは異なる以外は、第1実施形態と概ね同様に構成されている。以下、第2実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0050】
図14に示す第2実施形態において、回転ブラシ56のブラシ毛156bは、第1実施形態におけるブラシ毛56b(図11参照)よりも柔らかいものが使用されている。
また、第2実施形態において、下バンパー153bの下端縁153bxは、第1実施形態における下バンパー53bの下端縁53bxよりも上方へ湾曲している。換言すると、下バンパー153bの下端縁153bxは、下端縁153bxと近接した軸部56aの部分の回転方向(矢印A方向)とは逆方向に向いて湾曲している。
この場合、回転するブラシ毛156bの先端側が下バンパー153bの下端縁153bxの頂部に衝突するように摺接することによって、下バンパー153bの下端縁153bxが回転する柔らかいブラシ毛156bに接触したときのブラシ用モータ56m(図11参照)の負荷が第1実施形態と同様の所定値以上に増大するように調整している。
【0051】
(第3実施形態)
図15は第3実施形態の吸込口体におけるバンパー形状とブラシ毛の硬さとの関係を説明する図である。なお、図15において、図11中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第3実施形態の電気掃除機は、回転ブラシ256のブラシ毛256bの硬さ、および、バンパー253の下バンパー253bの下端縁253bxの形状が第1実施形態とは異なる以外は、第1実施形態と概ね同様に構成されている。以下、第3実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0052】
図15に示す第3実施形態において、回転ブラシ256のブラシ毛256bは、第1実施形態におけるブラシ毛56b(図11参照)よりも硬いものが使用されている。
また、第3実施形態において、下バンパー253bの下端縁253bxは、第1実施形態における下バンパー53bの下端縁53bxよりも下方へ湾曲している。換言すると、下バンパー253bの下端縁253bxは、下端縁253bxと近接した軸部56aの部分の回転方向(矢印A方向)と概ね順方向に向いて湾曲している。
この場合、回転するブラシ毛256bの先端側が下バンパー253bの下端縁253bxの内面を撫でるように摺接することによって、下バンパー253bの下端縁253bxが回転する硬いブラシ毛256bに接触したときのブラシ用モータ56m(図11参照)の負荷が第1実施形態と同様の所定値以上に増大するように調整している。
【0053】
(第4実施形態)
第1~第3実施形態で説明した下バンパーの下端縁は左右方向に直線的に延びた形状を有するものであったが、下バンパーの下端縁は凹凸形に形成されてもよい。この場合の凹凸形とは、例えば、櫛歯形、鋸波形を含む三角波形、矩形波形、正弦波形、これらの組み合わせ等が含まれる。
この構成によれば、下バンパーの下端縁と回転する回転ブラシのブラシ毛との接触領域が増加し、下バンパーの凹凸形の下端縁に回転する回転ブラシのブラシ毛が擦れることによって塵埃がブラシ毛から離れて吸込口へ吸引されやすくなる。
【0054】
(他の実施形態)
1.第1~第3実施形態では、回転ブラシのブラシ毛の硬さと下バンパーの下端縁の向きとによって、下バンパーの下端縁が回転するブラシ毛に接触したときのブラシ用モータの負荷が所定値以上に増大するように調整する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回転ブラシのブラシ毛の硬さが柔らかい場合は、下バンパーの下端縁とブラシ毛との接触面積が大きくなるような形状に下端縁を形成し、ブラシ毛の硬さが硬くなるにつれて下バンパーの下端縁とブラシ毛との接触面積が小さくなるような形状に下端縁を形成してもよい。
【0055】
2.第1~第3実施形態では、回転ブラシの複数列のブラシ毛が互いに同じ硬さである場合を例示したが、複数列のブラシ毛は互いに異なる硬さを有するものであってもよい。あるいは、複数列のブラシ毛において、回転ブラシの軸心方向の両端部と中央部とを異なる硬さにしてもよい。これらの場合も、回転する複数列のブラシ毛に下バンパーの下端縁が接触したときのブラシ用モータの負荷が所定値以上となるような形状に、下バンパーの下端縁を形成すればよい。
【0056】
3.下バンパーが回転する回転ブラシから離れてブラシ用モータの負荷または電流値が所定値未満に下がれば、制御部は電動送風機の出力を直ちに元に戻すように制御してもよい。この構成によれば、バッテリーの消費電力を抑えることができる。
4.駆動装置20の通風経路における集塵装置30よりも気流方向の上流側に、吸引力調整用の開口が設けられると共に、吸引力調整用の開口を電気的および機械的に開閉する弁機構が設けられてもよい。この弁機構は、制御部25によって開閉動作が制御されるものであり、吸引力調整用の開口が開いた状態のときは駆動装置20の吸引力により外部から通風経路内に空気が流入するようになっている。制御部25は、ブラシ用モータ56mの電流値が所定値未満である場合は、吸引力調整用の開口を開いており、ブラシ用モータ56mの電流値が所定値以上に上昇したことを検知すると吸引力調整用の開口を閉め、吸込口51aの吸引力を大きくする。また、吸引力調整用の開口は、空気中に舞い上がった塵埃を駆動装置20内に吸引するための塵埃吸引口としても機能させることができる。
【0057】
(まとめ)
本発明(第1の発明)の電気掃除機は、電動送風機および集塵部が設けられた掃除機本体と、前記掃除機本体に直接または延長管を介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、吸込口が設けられた底部を有する筐体と、前記筐体内の前記吸込口の近傍に設けられた回転ブラシと、前記筐体内に設けられて前記回転ブラシを回転させるブラシ用モータと、前記筐体が前進する方向の前端に左右方向の軸心を中心として揺動可能に設けられたバンパーとを有し、
前記掃除機本体は、前記電動送風機および前記ブラシ用モータを制御可能、かつ、前記ブラシ用モータの負荷を検知可能な制御部を有し、
前記バンパーが障害物に当接することによって後方へ揺動して回転する前記回転ブラシに接触し、それによって前記ブラシ用モータの負荷が所定値以上に増加したときに、前記制御部が前記電動送風機の出力を増加させるように構成されたものである。
この構成によれば、塵埃が溜まりやすくかつ塵埃を吸引除去しにくい壁際の清掃の際、吸込口体のバンパーを壁に押し当てることによって電動送風機の出力を増加させ、通常よりも強い吸引力で壁際の塵埃を吸引除去することができる。
また、この構成によれば、吸込口体が壁に近接したことを検知する専用のセンサが不要であるため、コストアップすることなく吸引力の制御を行うことができると共に、バンパーの周辺構造を複雑化させることもない。
また、この場合、前記制御部は、前記電動送風機の出力増加を所定時間維持するように構成されてもよい。
この構成によれば、吸込口体のバンパーを壁に押し付けて電動送風機の出力を増加させた後、一旦壁から離れて壁の隣の領域に吸込口体を移動させる際、移動中も電動送風機の出力増加を維持することができる。これにより、バンパーを壁に継続的に押し付けなくとも強い吸引力を維持しながら吸込口体を壁際に沿って左右方向に移動させて壁際の広い範囲を清掃することができる。また、吸込口体が壁から離れて直ぐに電動送風機の出力が低下して駆動音が小さくなると、壁際清掃時における吸引力の強弱が目立ってしまうが、前記構成によれば壁際を強い吸引力を維持したまま清掃していることをユーザーが認識することができる。
【0058】
また、本発明(第2の発明)の電気掃除機は、電動送風機および集塵部が設けられた掃除機本体と、前記掃除機本体に直接または延長管を介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、吸込口が設けられた底部を有する筐体と、前記筐体内の前記吸込口の近傍に設けられた回転ブラシと、前記筐体内に設けられて前記回転ブラシを回転させるブラシ用モータと、前記筐体が前進する方向の前端に左右方向の軸心を中心として揺動可能に設けられたバンパーとを有し、
前記掃除機本体は、前記電動送風機および前記ブラシ用モータを制御可能、かつ、前記ブラシ用モータの負荷を検知可能な制御部を有し、
前記バンパーが障害物に当接することによって後方へ揺動して回転する前記回転ブラシに接触し、それによって前記ブラシ用モータの負荷が所定値以上に増加したときに、前記制御部が吸引力を増加させるように構成された電気掃除機である。
この構成によれば、塵埃が溜まりやすくかつ塵埃を吸引除去しにくい壁際の清掃の際、吸込口体のバンパーを壁に押し当てることによって吸引力を増加させ、通常よりも強い吸引力で壁際の塵埃を吸引除去することができる。
また、この構成によれば、吸込口体が壁に近接したことを検知する専用のセンサが不要であるため、バンパーの周辺構造を複雑化させることもない。
また、この場合、前記制御部は、前記電動送風機の吸引力増加を所定時間維持するように構成されてもよい。
この構成によれば、吸込口体のバンパーを壁に押し付けて吸引力を増加させた後、一旦壁から離れて壁の隣の領域に吸込口体を移動させる際、移動中も吸引力増加を維持することができる。これにより、バンパーを壁に継続的に押し付けなくとも強い吸引力を維持しながら吸込口体を壁際に沿って左右方向に移動させて壁際の広い範囲を清掃することができる。また、吸込口体が壁から離れて直ぐに吸引力が低下して吸引音が小さくなると、壁際清掃時における吸引力の強弱が目立ってしまうが、前記構成によれば壁際を強い吸引力を維持したまま清掃していることをユーザーが認識することができる。
【0059】
本発明の電気掃除機は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
【0060】
・前記回転ブラシは、軸部と、前記軸部の外周部に設けられたブラシ毛とを有し、
前記バンパーは、前記ブラシ毛と接触可能な下端縁を有し、
前記ブラシ毛の硬さと、前記バンパーの前記下端縁の形状とは、前記負荷が前記所定値以上となるように互いに調整されてもよい。
例えば、硬いブラシ毛の場合、回転ブラシの回転方向に対してバンパーの下端縁を順方向に向け、ブラシ毛の硬さが徐々に柔らかくなるにつれてバンパーの下端縁を徐々に回転ブラシの回転方向とは逆方向に向けるようにする。これにより、ブラシ毛の硬さの違いによるブラシ用モータの負荷の極端なばらつきを抑え、どのような硬さのブラシ毛でもブラシ用モータの負荷が所定値以上となるようにすることが容易となる。
【0061】
・前記バンパーは、前記回転ブラシと接触可能な凹凸形の下端縁を有するものであってもよい。
この構成によれば、回転ブラシに付着した塵埃をバンパーの凹凸形の下端縁に擦り付けて除去しやすくなる。
【0062】
・前記吸込口が、前記筐体の前記前端まで延びてもよい。
この構成によれば、吸込口が筐体の前端まで広がるため、比較的大きなゴミ(例えば、ピーナツ程度の大きさのゴミ)を容易に吸引除去することができる。
【0063】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 電気掃除機
10 掃除機本体
20 駆動装置
25 制御部
26 電動送風機
30 集塵装置(集塵部)
50 吸込口体
51a 吸込口
52 筐体
52a 底部
52x 前端
53 バンパー
53bx 下端縁
56 回転ブラシ
56a 軸部
56b ブラシ毛
56m ブラシ用モータ
60 延長管
P1 軸心
W2 壁面(障害物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15