(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】部品付き製品
(51)【国際特許分類】
H05K 7/12 20060101AFI20240112BHJP
B41L 13/18 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
H05K7/12 A
B41L13/18 U
(21)【出願番号】P 2019180082
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】藤村 峻也
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-288613(JP,A)
【文献】特開2008-117840(JP,A)
【文献】特開2018-057124(JP,A)
【文献】特開平09-149485(JP,A)
【文献】特開平06-089766(JP,A)
【文献】実開平05-053283(JP,U)
【文献】実公昭48-003888(JP,Y2)
【文献】実開昭60-149186(JP,U)
【文献】特開2002-185165(JP,A)
【文献】特開2004-087753(JP,A)
【文献】実開平03-001420(JP,U)
【文献】特開2018-148063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
B41L 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が設けられた部品付き製品であって、
前記部品付き製品に設けられた取り付け平面の周囲の一部に設けられ、前記取り付け平面に配置された前記電子部品を保持する保持機構を有しており、
前記保持機構は、前記電子部品の側面を保持する少なくとも一対の突起部を有するとともに、一対の前記突起部を結合して前記電子部品の上面に対面する保持部を有することを特徴とする部品付き製品。
【請求項2】
電子部品が設けられた部品付き製品であって、
前記部品付き製品に設けられた取り付け平面の周囲の一部に設けられ、前記取り付け平面に配置された前記電子部品を保持する保持機構を有しており、前記保持機構は、電子部品の一部に相当する位置を取り付け平面に対する固定部とし、前記固定部において互いに連結され、電子部品を挟持していない状態では鋭角の状態であり、電子部品を挟持すると略直角の状態となって前記電子部品を挟み込んで保持する2本の板部材から構成される板ばねを有することを特徴とする部品付き製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が取り付けられた部品付き製品に係り、特に、電子部品を損傷することなく容易かつ確実に取り付けた部品付き製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、成型時に破損の生じないインサートインモールド成型用ICタグインレットと、このICタグインレットを用いたインサートインモールド成型法の発明が開示されている。このインサートインモールド成型用ICタグインレット1は、ICタグインレット基材1bのほぼ中央部であって、当該ICタグが有する周状のアンテナコイル2を損傷しないような位置に、金型ゲートの口径よりも大きい開口1hを有している。この開口が金型のゲートに対向する位置にくるようにICタグインレットを金型内に装填して樹脂を射出することにより、ICタグを破損することなく、ICタグが樹脂製の基材に埋め込まれた成型品であるICタグインレットを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたICタグインレットは、ICタグと通信を行う読み取り手段を備えた装置に搭載される物品の一部品として使用することができる。そのような場合には、当該装置及び物品の使用目的に合わせて、ICタグと読み取り手段が正常な通信を行うことができるように、ICタグと読み取り手段の位置関係を所期の状態に正しく設定する必要がある。そして、このようなICタグと読み取り手段の位置関係を所期の状態に正しく設定するには、物品を装置に搭載した際の読み取り装置とICタグの位置関係や、ICタグインレットにおけるICタグの配置精度(位置や姿勢の精度)が重要になると考えられる。しかしながら、これらの点については特許文献1には格別の記載がなく、ICタグインレットの樹脂成型工程においてICタグが金型内で傾斜する等すれば、前記配置精度には問題が生じる可能性がある。
【0005】
また、ICタグインレットにICタグを固定するためには、ICタグが配置された金型の内部に樹脂を流し込んで成型する必要があり、この成形工程に時間と手間がかかるために製造コストが相応に嵩むという問題があった。また、ICタグが成形工程において高温高圧に曝されるため、故障する可能性があるという問題があった。さらに、ICタグが何らかの原因で故障し、交換が必要になった場合には、ICタグは樹脂の内部に埋め込まれているため、周囲の樹脂を破壊しなければICタグを取り出すことができないという問題もあった。
【0006】
本発明は上記従来の技術及びその課題に鑑みてなされたものであり、電子部品を損傷することなく容易かつ確実に取り付けた部品付き製品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された部品付き製品は、
電子部品が設けられた部品付き製品であって、
前記部品付き製品に設けられた取り付け平面の周囲の一部に設けられ、前記取り付け平面に配置された前記電子部品を保持する保持機構を有しており、
前記保持機構は、前記電子部品の側面を保持する少なくとも一対の突起部を有するとともに、一対の前記突起部を結合して前記電子部品の上面に対面する保持部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載された部品付き製品によれば、
部品付き製品の取り付け平面を囲む保持機構の内側に電子部品を挿入するだけの簡単な操作で、電子部品を保持機構に保持させた状態で取り付け平面に配置することができる。このため、電子部品を損傷することなく部品付き製品に容易かつ確実に取り付けることができ、また取り外しも可能である。また、突起部と保持部の間から電子部品Pを挿入して突起部の間に嵌め込むだけの簡単な操作で電子部品Pを損傷することなく部品付き製品に容易かつ確実に取り付けることができる。また、電子部品Pは、突起部だけでなく上面側を保持部で押さえられるので保持が一層確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の部品付き製品の平面図である。
【
図2】分図(a)は、
図1の矢印A方向から見た第1実施形態の部品付き製品の側面図であり、分図(b)は、
図1の矢印B方向から見た第1実施形態の部品付き製品の側面図である。
【
図3】第1実施形態の部品付き製品における電子部品の装着手順を示す工程図である。
【
図4】第1実施形態の部品付き製品の変形例の斜視図である。
【
図5】第2実施形態の部品付き製品の平面図である。
【
図6】分図(a)は、
図5の矢印A方向から見た第2実施形態の部品付き製品の側面図であり、分図(b)は、
図5の矢印B方向から見た第2実施形態の部品付き製品の側面図である。
【
図7】第2実施形態の部品付き製品における電子部品の装着手順を示す工程図である。
【
図8】第2実施形態の部品付き製品の第1変形例を示す斜視図である。
【
図9】第2実施形態の部品付き製品の第2変形例を示す斜視図である。
【
図10】第3実施形態の部品付き製品の平面図である。
【
図11】分図(a)は、
図10の矢印A方向から見た第3実施形態の部品付き製品の側面図であり、分図(b)は、
図10の矢印B方向から見た第3実施形態の部品付き製品の側面図である。
【
図12】第3実施形態の部品付き製品における電子部品の装着手順を示す工程図である。
【
図13】第3実施形態の部品付き製品の変形例を示す斜視図である。
【
図14】第4実施形態の部品付き製品の平面図である。
【
図15】分図(a)は、
図14の矢印A方向から見た第4実施形態の部品付き製品の側面図であり、分図(b)は、
図14の矢印B方向から見た第4実施形態の部品付き製品の側面図である。
【
図16】第4実施形態の部品付き製品における電子部品の装着手順を示す工程図である。
【
図17】第4実施形態の部品付き製品の変形例を示す平面図である。
【
図18】分図(a)は、
図17の矢印A方向から見た第4実施形態の部品付き製品の変形例を示す側面図であり、分図(b)は、
図17の矢印B方向から見た第4実施形態の部品付き製品の変形例を示す側面図である。
【
図19】第4実施形態の部品付き製品の変形例における電子部品の装着手順を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態(第1実施形態~第4実施形態)を、
図1~
図19を参照して説明する。
これらの実施形態は、電子部品を装着した最終製品を効率的に製造するために用いられる部品である部品付き製品に関するものである。すなわち、電子部品を最終製品に直接取り付けることが工程の面において、又は電子部品の取り扱いの面において困難であるような場合に、最終製品への組み込みが容易となるような形態で電子部品を含む部品付き製品を別工程で製造しておけば、当該部品付き製品を最終製品へ組み込むことで電子部品の実装が容易化となる。
【0011】
ここで、電子部品とは、この電子部品が装着された最終製品を外部の機器等に搭載した場合に、当該機器等との間で通信等を行うための電子部品であって、通信等に係る情報の内容、通信等の目的等には限定がなく、電子部品の技術的意義は最も広義に解釈するものとする。実施形態では、所定の厚さを有する矩形板状の電子部品を示したが、もちろんこれは一例に過ぎず、電子部品の外形状や寸法等は特定のものに限定されない。
【0012】
また、電子部品を装着した最終製品は様々な目的、用途で使用されるものであり、後に最終製品の具体例を説明するが、もちろんこれは一例に過ぎず、最終製品の構造、形状、大きさ等が特定のものに限定される理由はない。また、最終製品が搭載される機器も、最終製品と同様に様々な目的、用途で使用されるものであり、構造、形状、大きさ等が特定のものに限定される理由がないことは同様である。
【0013】
本発明の第1実施形態を、
図1~
図4を参照して説明する。
図1は、最終製品の部品である第1実施形態の部品付き製品1の平面図であり、
図2は、
図1において矢印A、Bの方向から見た側面図である。これらの図では、最終製品の本体は図示しておらず、この図示しない本体に
図1及び
図2に示す部品付き製品1が取り付けられて最終製品が完成する。
【0014】
図1及び
図2には、この部品付き製品1の本体として、所定の厚さを有する矩形の基板2を示しているが、この基板2の形状・大きさは、その形態を単純化・模式化した例示であって、このような形状・大きさに限定する意図ではなく、素材も特に限定しない。また、以下に説明するように、この基板2には保持機構によって電子部品Pが保持されるが、最終製品に部品付き製品1を取り付ける場合、最終製品の外側から電子部品Pが見えるように部品付き製品1を最終製品に取り付けてもよいし、また最終製品の外側から電子部品Pが見えないように部品付き製品1を最終製品に取り付けてもよい。他の実施形態でも同様である。
【0015】
図1及び
図2に示す部品付き製品1の基板2の上面には、略矩板形の電子部品Pを設置すべき範囲として、矩形の取り付け平面Rが指定されている。なお、矩形の取り付け平面Rの外縁は図示しないが、取り付け後に電子部品Pが載置されている基板2の上面側の平面がこれに当たる。この取り付け平面Rの周囲の一部には、取り付け平面Rに配置された電子部品Pを保持する保持機構として、2対4個の突起3が、電子部品Pの各辺の中央に接するように設けられている。4個の突起3は同形であり、電子部品Pの1辺よりも短い長辺で電子部品Pに接しており、その高さは電子部品Pの高さよりもやや小さい。
【0016】
突起3は電子部品Pを保持する部材なので、その材質は、電子部品Pの機能である無線通信に影響を及ぼす可能性のある金属よりも、樹脂等の方が好ましい。また、各対の突起3,3の間隔は、その間に入る電子部品Pの寸法と同じか、やや小さく設定されている。両者の寸法関係をはめあい用語で表すとすれば、例えば「しまりばめ」とすることができる。
【0017】
図3は、第1実施形態の部品付き製品1における電子部品Pの装着手順を示す工程図である。2対4個の突起3の間に電子部品Pを保持させるには、
図3(a)に示すように、取り付け平面Rの真上から電子部品Pを水平な状態で下方に下ろし、
図3(b)に示すように、4個の突起3で囲まれた取り付け平面Rに電子部品Pを押し込む。電子部品Pを押し込むときには若干の押圧力が必要であるが、嵌め込んでしまえば、電子部品Pは突起3の間に保持されて容易には脱落しない状態となる。なお、部品付き製品1から電子部品Pを取り外す必要がある場合には、突起3の存在しない取り付け平面Rの外縁部において、基板2の上面と電子部品Pの間に工具を差し込み、両者の間隔を広げるように工具を操作すれば、電子部品Pを基板2から浮き上がらせて突起3から外すことができる。
【0018】
図4は、第1実施形態の部品付き製品1aの変形例の斜視図である。この変形例では、突起3aの高さが電子部品Pと同一に設定されており、基板2aの外形が円形である。その他の構成は第一実施形態と略同一である。この変形例では、電子部品Pの4つの側面の各中央部において、下端縁から上端縁までが突起3aの内側面に接しているため、突起3aによる電子部品Pの保持力は、第1実施形態の突起3による保持力よりも大きく、電子部品Pの保持が確実であり脱落しにくい。
【0019】
本発明の第2実施形態を、
図5~
図9を参照して説明する。
図5は、最終製品の部品である第2実施形態の部品付き製品5の平面図であり、
図6は、
図5において矢印A、Bの方向から見た側面図である。
図5及び
図6には、この部品付き製品5の本体として、第1実施形態と同様の基板2を示している。以下、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、その他の部分については第1実施形態の説明を援用する。
【0020】
図5及び
図6に示すように、部品付き製品5の基板2の取り付け平面Rには、その四周の各中央部に、取り付け平面Rに配置された電子部品Pを保持する保持機構として、2対4個の突起3,3bが設けられている。第1実施形態と異なり、一方の一対の突起3bは、他方の一対の突起3に比べ、電子部品Pの側面と接する横幅が短く、かつ高さが大きい。この一方の一対の突起3b,3bの上面と上面は、電子部品Pの上面に対面する保持部としてのカバー6によって連結されている。従って、取り付け平面Rにある電子部品Pの上面と、カバー6の下面との間には隙間がある。
【0021】
図7は、第2実施形態の部品付き製品5における電子部品Pの装着手順を示す工程図である。2対4個の突起3,3b及びカバー6で囲われた取り付け平面R内に電子部品Pを保持させるには、
図7(a)に示すように、高さの低い他方の突起3の側から、すなわち
図5の矢印Bの方向に沿って、当該突起3を越えて一方の一対の突起3b,3bとカバー6の間に電子部品Pを挿入し、
図7(b)に示すように、4個の突起3,3bで囲まれた取り付け平面Rに電子部品Pを押し込む。第2実施形態によれば、電子部品Pが4個の突起3,3bから外れたとしても、カバー6が押さえとなるため、基板2からの脱落を防止することができる。
【0022】
図8は、第2実施形態の第1変形例である部品付き製品5aの斜視図である。この第1変形例では、基板2aが円形である。また、カバー6が固定された一方の突起3cの高さが電子部品Pの高さと同一に設定されており、取り付け位置にある電子部品Pの上面にカバー6が接するようになっている。また、高さの低い他方の突起3dは、第2実施形態の低い方の突起3よりもさらに低く、加えて取り付け平面Rに向けて高さがさらに低くなるように上面が傾斜した楔状になっている。
【0023】
図8に示す第1変形例の部品付き製品5aにおいて電子部品Pを装着するためには、高さの低い他方の一対の突起3d,3dの一方の側から、当該突起3dの傾斜した上面に沿って電子部品Pを一方の一対の突起3c,3cとカバー6の間に挿入し、4個の突起3,3cで囲まれた取り付け平面Rに電子部品Pを押し込む。この第1変形例によれば、電子部品Pは4つの側面を4個の突起3,3cで押さえられ、また上面をカバー6によって押さえられるため、第2実施形態よりも電子部品Pの保持がより確実である。このように、電子部品Pは5面で保持機構に接触するが、電子部品Pを挿入する際には他方の突起3dの傾斜した上面が電子部品Pの案内面となるため、装着は円滑に行うことができる。なお、このような装着を円滑に行い、かつ装着後の保持を確実にするため、4個の突起3,3dはなるべく変形しないような材料で構成し、カバー6については若干弾性的に変形しうるような材料で構成することが好ましい。
【0024】
図9は、第2実施形態の第2変形例である部品付き製品5bの斜視図である。この第2変形例の低い方の突起3eは、第1変形例の低い方の突起3dよりも最大厚さが小さくなっており、さらに板状となっていて、第1変形例と異なり上面は傾斜しておらず、全体として薄い平板状の部材となっている。
【0025】
図9に示す第2変形例の部品付き製品5bにおいて電子部品Pを装着するためには、低い一対の突起3eの一方の側から、当該突起3eの上面に沿って電子部品Pを高い突起3c,3cとカバー6の間に挿入し、4個の突起3c,3eで囲まれた取り付け平面Rに電子部品Pを押し込む。この第2変形例によれば、低い方の突起3eと電子部品Pの接触面積は第2変形例の場合よりも若干大きくなるので、第1変形例と同等かそれ以上の保持力が得られる。また、低い方の突起3eは単なる板状なので、第1変形例のように上面を斜面状に加工する必要がなく、コストは第1変形例よりも低くなる。
【0026】
本発明の第3実施形態を、
図10~
図13を参照して説明する。
図10は、最終製品の部品である第3実施形態の部品付き製品7の平面図であり、
図11は、
図10において矢印A、Bの方向から見た側面図である。
図10及び
図11には、この部品付き製品1の本体として、第1実施形態と同様の基板2を示している。以下、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、その他の部分については第1実施形態の説明を援用する。
【0027】
図10及び
図11に示すように、部品付き製品1の基板2の取り付け平面Rには、その四周の各中央部に、取り付け平面Rに配置された電子部品Pを保持する保持機構として、2対4個の突起3,3fが設けられている。これらの突起3,3fは、高さ以外の形状は第1実施形態と略同一であるが、他方の突起3fは、
図11(a)に示すようにその高さが一方の突起3に比べて大きく、電子部品Pの高さと略同一である。また、他方の一対の突起3f,3fは、その配置間隔が電子部品Pの幅に対して長く、
図11(a)に示すように一方の突起3fと電子部品Pの間には隙間が生じている。また、この一方の一対の突起3f,3fの各上面には、電子部品Pを保持する保持機構としての係止部8が取り付けられている。係止部8は、先端に近いほど薄くなる弾性を備えた板ばね状の部材であり、その先端は突起3fの内側に突出し、取り付け平面Rの上方において電子部品Pの上面に接触している。なお、係止部8は、第2実施形態のカバー6と同様の材料で構成することができる。
【0028】
図12は、第3実施形態の部品付き製品7における電子部品Pの装着手順を示す工程図である。2対4個の突起3,3f及び係止部8で囲まれた取り付け平面R内に電子部品Pを保持させるには、突起3の配置に合わせて一対の係止部8,8の上に電子部品Pを配置し、
図12(a)に示すように、一方の係止部8に対応する電子部品Pの一側部を下方に押圧して、当該一側部を当該係止部8の下方に押し込む。続けて
図12(b)に示すように、他方の係止部8に対応する電子部品Pの他側部を下方に押圧して、当該他側部を当該係止部8の下方に押し込む。これにより、電子部品Pは2つの係止部8,8の下方に移動し、4個の突起3,3fで囲まれた取り付け平面Rに保持される。4個の突起3,3fのうち、電子部品Pに接しているのは、2個の突起3,3だけであるが、電子部品Pは上面の2カ所で係止部8,8に押さえられているで、容易には脱落しない状態にある。なお、突起3,3fの間に保持させた電子部品Pを取り出す必要がある場合には、突起3,3fの存在しない基板2の上面と電子部品Pの間に工具を差し込み、両者の間隔を拡大させ、係止部8,8を1個ずつ乗り越えるように工具を持ち上げる操作を行えば、突起3及び基板2から電子部品Pを外すことは可能である。
【0029】
図13は、第3実施形態の変形例である部品付き製品7aの斜視図である。この変形例では、4個の突起3の高さが電子部品Pと同一に設定されており、基板2aの外形が円形である。その他の構成は第3実施形態と略同一である。この変形例では、係止部8が取り付けられていない突起3の高さが電子部品Pと同一であるため、突起3による電子部品Pの保持力が第3実施形態よりも大きく、電子部品Pの保持が確実であり脱落しにくい。
【0030】
本発明の第4実施形態を、
図14~
図16を参照して説明する。
図14は、最終製品の部品である第4実施形態の部品付き製品9の平面図であり、
図15は、
図14において矢印A、Bの方向から見た側面図である。
図14及び
図15には、この部品付き製品9の本体として、第1実施形態と同様の基板2を示している。以下、主として第1実施形態~第3実施形態の突起3等とは異なる第4実施形態の保持機構について説明し、その他の部分については第1実施形態の説明を援用する。
【0031】
図14及び
図15に示すように、第4実施形態の部品付き製品1は、基板2の取り付け平面Rに配置された電子部品Pの四周のうちの隣り合う2辺と、これに連続する他の2辺の各一部に接触して電子部品Pを挟持する保持機構として、板ばね10を有している。板ばね10は、取り付け平面Rに配置される電子部品Pの一角部に相当する位置を基板2に対する固定部13とし、当該固定部13において互いに連結された2本の板部材11,11から構成されている。2本の板部材11,11は、電子部品Pを挟持していない状態では、
図16(a)に示すように、鋭角(図示例では約30度)の状態になっており、電子部品Pを挟持すると略直角の状態となって電子部品Pを弾性力で保持する。また、板部材11の先端には、板部剤1に直交する爪部12が設けられている。板ばね10が電子部品Pを挟持した場合、これら爪部12が電子部品Pの他の2つの角部に係止して、電子部品Pの保持が確実になる。
【0032】
図16は、第4実施形態の部品付き製品9における電子部品Pの装着手順を示す工程図である。取り付け平面R内に電子部品Pを保持させるには、
図16(a)に示すように、電子部品Pを基板2の上面に配置し、鋭角の状態にある2本の板部材11,11の2つの爪部12,12に電子部品Pの角部を押し当てて押し込む動作を行う。
図16(b)に示すように、電子部品Pの押し込みによって板ばね10,10の爪部12,12が電子部品Pの側面に沿って移動していき、これに伴い板ばね10の2本の板部材11,11は交差する角度が大きくなる方向に変形していく。
図16(c)に示すように、電子部品Pが爪部12,12を乗り越えて板ばね10の内部に入り込むと、爪部12,12が電子部品Pの2つの角部に係止して電子部品Pを確実に保持する。なお、板ばね10によって挟持された電子部品Pを取り外す必要がある場合には、板ばね10の板部材11,11が開く方向の力を板ばね10に加えながら、電子部品Pを基板2と直交する方向に移動させれば、板ばね10及び基板2から電子部品Pを外すことができる。
【0033】
本発明の第4実施形態の変形例を、
図17~
図19を参照して説明する。
図17は、第4実施形態の変形例である部品付き製品9aの平面図であり、
図18は、
図17において矢印A、Bの方向から見た側面図である。以下、主として第4実施形態とは異なる第4実施形態の変形例の保持機構について説明し、その他の部分については第4実施形態の説明を援用する。
【0034】
図17及び
図18に示すように、第4実施形態の変形例である部品付き製品9aは、第4実施形態と同様の板ばね10を有しているが、この板ばね10の板部材11の先端部と爪部12の上縁には、基板2と平行な矩形板状のカバー16が取り付けられている。第4実施形態の変形例の板ばね10に電子部品Pを装着する操作は、
図19(a)~(c)に示すように、第4実施形態の場合(
図16(a)~(c)参照)と同様である。しかしながら、第4実施形態の変形例では、
図17及び
図18に示すように、取り付け平面Rに配置された電子部品Pは、基板2と平行な面内で働く板ばね10の弾性力及び爪部12の係止によって保持されるだけでなく、板ばね10の先端に設けられたカバー16によって基板2と直交する方向に移動しないように押さえられる。従って、変形例は第4実施形態に比べて電子部品Pの保持がより確実であり、電子部品Pが板ばね10から外れるおそれは第4実施形態よりもさらに小さい。なお、電子部品Pを板ばね10から取り外す必要がある場合には、板ばね10を開いて
図19(c)、(b)、(a)の順に電子部品Pを基板2上で移動させればよいが、この操作は第4実施形態の場合よりも板ばね10をより大きく撓ませるため、より大きな力が必要になる。
【0035】
以上説明した各実施形態及び変形例によれば、部品付き製品1,1a,5,5a,5b,7,7a,9,9aの取り付け平面Rの外周の一部を囲む保持機構(突起3,3a,3b,3c,3d,3e,3f、カバー16、板ばね10、板ばね10の爪部12、板ばね10のカバー6)の内側に電子部品Pを挿入するだけの簡単な操作で、電子部品Pを保持機構に保持させた状態で取り付け平面Rに安定的に配置することができる。このため、電子部品Pを、部品付き製品に損傷することなく容易かつ確実に取り付けることができる。
【0036】
なお、最終製品の具体例としては、製版装置に搭載されるマスターロールが挙げられる。マスターロールは、連続帯状の孔版原紙を紙管に巻装した製品である。このマスターロール又はマスターロールの紙管の端部に挿入固定されるキャップを最終製品とした場合、電子部品Pを含む部品付き製品1はキャップに取り付けられる。そして、マスターロールを製版装置に搭載し又は使用すると、電子部品Pと製版装置との間では製版又は孔版原紙等に関する通信が必要に応じて行われる。
【0037】
また、その他の具体例としては、インクジェット印刷装置に搭載するインクカートリッジが挙げられる。最終製品としてのインクカートリッジに、電子部品Pを装着した部品付き製品1を取り付ければ、インクカートリッジをインクジェット印刷装置に搭載し又は使用すると、電子部品Pとインクジェット印刷装置との間では印刷又はインク等に関する通信が必要に応じて行われる。
【0038】
また、さらにその他の具体例としては、孔版印刷装置に搭載するインクボトルが挙げられる。最終製品としてのインクボトルに、電子部品Pを装着した部品付き製品1を取り付ければ、インクボトルを孔版印刷装置に搭載し又は使用すると、電子部品Pと孔版印刷装置との間では印刷又はインク等に関する通信が必要に応じて行われる。
【0039】
《実施形態における各態様の部品付き製品の構成とその効果について》
第1の部品付き製品は、
電子部品Pが設けられた部品付き製品であって、
前記部品付き製品に設けられた取り付け平面Rの周囲の一部に設けられ、前記取り付け平面Rに配置された前記電子部品Pを保持する保持機構を有することを特徴としている。
【0040】
第1の部品付き製品によれば、
部品付き製品の取り付け平面Rを囲む保持機構の内側に電子部品Pを挿入するだけの簡単な操作で、電子部品Pを保持機構に保持させた状態で取り付け平面Rに配置することができる。このため、電子部品Pを損傷することなく部品付き製品に容易かつ確実に取り付けることができ、また取り外しも可能である。
【0041】
第2の部品付き製品は、第1の部品付き製品において、
前記保持機構は、前記電子部品Pの側面を保持する少なくとも一対の突起部3,3a,3b,3c,3d,3e,3fを有することことを特徴としている。
【0042】
第2の部品付き製品によれば、
突起部の間に電子部品Pを嵌め込むだけの簡単な操作で電子部品Pを損傷することなく部品付き製品に容易かつ確実に取り付けることができる。
【0043】
第3の部品付き製品は、第2の部品付き製品において、
前記保持機構が、一対の前記突起部を結合して前記電子部品Pの上面に対面する保持部(カバー6)を有することを特徴としている。
【0044】
第3の部品付き製品によれば、
突起部と保持部の間から電子部品Pを挿入して突起部の間に嵌め込むだけの簡単な操作で電子部品Pを損傷することなく部品付き製品に容易かつ確実に取り付けることができる。また、電子部品Pは、突起部だけでなく上面側を保持部で押さえられるので保持が一層確実になる。
【0045】
第4の部品付き製品は、第2の部品付き製品において、
前記保持機構は、一対の前記突起部に設けられ、前記取り付け平面Rに配置された前記電子部品Pの上面に接触する係止部(係止部8)を有することを特徴としている。
【0046】
第4の部品付き製品によれば、
係止部の上から電子部品Pを下方に押し込んで突起部の間に嵌め込むだけの簡単な操作で電子部品Pを損傷することなく部品付き製品に容易かつ確実に取り付けることができる。また、電子部品Pは、突起部だけでなく上面側を係止部で押さえられるので保持が一層確実になる。
【0047】
第5の部品付き製品は、第1の部品付き製品において、
前記保持機構は、前記取り付け平面Rに配置された前記電子部品Pを挟み込んで保持する板ばね10を有することを特徴としている。
【0048】
第5の部品付き製品によれば、
電子部品Pを板ばねに挟み込むだけの簡単な操作で電子部品Pを損傷することなく部品付き製品に容易かつ確実に取り付けることができる。電子部品Pは、板ばねの弾性力をもって挟み込まれるため、保持は確実である。
【符号の説明】
【0049】
1,1a,5,5a,5b,7,7a,9,9a…部品付き製品
3,3a,3b,3c,3d,3e,3f…保持機構としての突起部
6…保持機構としての保持部であるカバー
12…保持機構としての爪部
P…電子部品
R…取り付け平面