(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】頭部規格撮影のためのX線医療撮影装置の較正
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20240112BHJP
A61B 6/58 20240101ALI20240112BHJP
A61B 6/51 20240101ALI20240112BHJP
【FI】
A61B6/04 301
A61B6/03 F
A61B6/14 301
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019202120
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-10-24
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157640
【氏名又は名称】パロデクス・グループ・オサケユフティオ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】テロ・イソアホー
(72)【発明者】
【氏名】イルポー・サーレラ
(72)【発明者】
【氏名】エーサ・スーローネン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・メリン
(72)【発明者】
【氏名】マルック・オヤラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・セターラー
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-010687(JP,A)
【文献】特表2018-500958(JP,A)
【文献】特開2013-138865(JP,A)
【文献】特表2018-509950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0303872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影システムを作動して頭部規格撮影を実行する方法であって、前記撮影システムが、
カラムと、
前記カラムに連結された上部シェルフと、
前記上部シェルフに連結されると共に、前記カラムに対して半径方向に前記上部シェルフの長さに沿って直線的に平行移動可能な回転部分と、
前記回転部分に連結された第1のX線源と、
前記カラムに連結された第2のX線源と、
前記第1のX線源からの第1の撮影ボリュームの対向側で前記回転部分に連結されたX線検出器と、
を含み、当該方法が、
頭部計測患者サポートに対する前記X線検出器の位置を制御可能に調整することによって、少なくとも1つの較正スイープを実行するステップと、
前記少なくとも1つの較正スイープを実行している間に、前記X線検出器によって画像データをキャプチャするステップと、
前記少なくとも1つの較正スイープを実行している間にキャプチャされた前記画像データに基づいて、前記撮影システムに対する前記頭部計測患者サポート
の位置を少なくとも二次元で決定するステップと、
を含
み、
前記第2のX線源が、前記少なくとも1つの較正スイープを実行する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、更に、
前記第2のX線源を作動させて患者の頭部に向けてX線を発することと、前記頭部計測患者サポートについて前記決定され
た位置に基づいて前記第2のX線源から前記X線検出器の位置を前記患者の前記頭部の対向側に制御可能に調整することとによって、頭部規格撮影を実行するステップを含む、方法。
【請求項3】
頭部計測サポートアームを前記カラムに選択的に連結するステップを更に含み、前記頭部計測患者サポートが前記頭部計測サポートアームの末端に連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、更に、
頭部計測X線源アームを前記カラムに連結するステップであって、
前記第2のX線源が前記頭部計測X線源アームの末端に回転可能に連結される、ステップと、
頭部規格撮影を、
前記頭部計測患者サポートについて前記決定され
た位置に基づいて前記X線検出器を配置することと、
前記頭部計測X線源アームに対して前記第2のX線源の回転角度を制御可能に調整することによって走査している間に、前記第2のX線源を作動させて前記X線検出器に向けてX線を発することと、
によって実行するステップと、
を選択的に含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、更に、
較正ファントムを前記頭部計測患者サポートに連結するステップであって、前記較正ファントムは前記頭部計測患者サポートの中心位置から垂直方向に配置される直線体を含む、ステップを含み、
前記頭部計測患者サポート
の位置を決定するステップが、ピボットスイープ較正画像データにおいて、また、直線スイープ較正画像データにおいて、前記較正ファントムの位置を識別することを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、更に、
前記頭部計測患者サポートについて前記決定され
た位置に基づいて、
前記第2のX線源の対向側に前記X線検出器を配置するステップと、
前記第2のX線源の回転角度を制御可能に調整することによって走査している間に、前記第2のX線源を作動させて前記X線検出器に向けてX線を照射するステップと、
前記第2のX線源によって走査している間に収集する画像データから、前記X線検出器によってキャプチャされた前記画像データの最大強度に対応する前記第2のX線源の回転角度を識別することによって、前記頭部計測患者サポートに対する前記第2のX線源の中央角度を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、更に、
前記回転部分の位置を制御可能に調整して、前記第2のX線源の前記中央角度を決定するために用いる前記画像データをキャプチャするのよりも前に、前記回転部分に連結したコリメータを、前記第2のX線源と前記X線検出器との間で撮影ボリュームの外側に配置するステップと、
前記コリメータが前記第2のX線源と前記X線検出器との間で撮影ボリュームの外側に配置されている間に、前記第2のX線源の前記中央角度を決定するために用いる前記画像データをキャプチャするステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、更に、
前記回転部分の位置を制御可能に調整して、前記回転部分に連結された前記コリメータを、前記第2のX線源と前記X線検出器との間で前記撮影ボリュームの内側に配置するステップと、
前記第2のX線源を作動させてX線を発している間、前記X線検出器によって画像データをキャプチャしている間、並びに前記第2のX線源の前記回転角度および前記X線検出器の前記位置が静止している間において、前記コリメータの方向を制御可能に調整するステップと、
前記コリメータの中間ポーズを、
前記コリメータの前記方向を制御可能に調整している間に、前記X線検出器によってキャプチャされた前記画像データのコリメーションエッジを検出することと、
前記画像データの前記コリメーションエッジ内の最大画像強度に対応するコリメータポーズを識別することと、
によって決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、更に、
前記第2のX線源によって発されるX線が前記X線検出器に到達する前にコリメートされるように、前記回転部分に連結された前記コリメータを、前記第2のX線源と前記X線検出器との間で前記撮影ボリュームの内側に配置することと、
前記第2のX線源からX線を発している間に、前記決定された中央角度に基づいて前記第2のX線源の前記回転角度を制御可能に調整することによって、前記第2のX線源で走査することと、
前記頭部計測患者サポートについて前記決定され
た位置と前記コリメータについて前記決定された中間ポーズとに少なくとも部分的に基づいて走査している間に、前記第2のX線源の移動によって前記X線検出器と前記コリメータとの移動を調整することと、
によって、頭部規格撮影を実行するステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記上部シェルフが前記カラムに旋回可能に連結され、
前記少なくとも1つの較正スイープを実行するステップが、
前記第1のX線源からX線を発している間に、前記上部シェルフのピボット角度を制御可能に調整することによって、ピボットスイープ較正を実行することと、
前記第1のX線源からX線を発している間に、前記上部シェルフに沿って前記回転部分の直線位置を制御可能に調整することによって、直線スイープ較正を実行することと、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記少なくとも1つの較正スイープを実行するステップが、前記カラムに対する前記上部シェルフのピボット角度と、前記上部シェルフに沿った前記回転部分の直線位置と、前記上部シェルフに対する前記回転部分の回転角度とからなる群から選択された少なくとも2つを制御可能に調整することを含み、当該方法が、更に、
較正ファントムを前記頭部計測患者サポートに連結するステップであって、前記較正ファントムが、周知のサイズおよび周知の寸法を有する少なくとも1つの本体を含む、ステップと、
前記少なくとも1つの較正スイープを実行している間に、前記カラムに連結された
前記第2のX線源から、X線によって前記較正ファントムを照射するステップと、
を含み、前記撮影システムに対する前記頭部計測患者サポート
の位置を決定するステップが、
複数の検出器位置のそれぞれで前記較正ファントムの前記少なくとも1つの本体の拡大倍率を決定することと、
前記決定された拡大倍率に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の検出器位置のそれぞれにおける前記X線検出器と前記較正ファントムとの間の距離を決定することと、
前記複数の検出器位置のそれぞれにおける前記X線検出器と前記較正ファントムとの間の前記距離に基づいて、前記撮影システムに対する前記頭部計測患者サポート
の中心位置を決定することと、
を含む、方法。
【請求項12】
撮影システムであって、
カラムと、
前記カラムに連結された上部シェルフと、
前記上部シェルフに連結されると共に、前記カラムに対して半径方向に前記上部シェルフの長さに沿って直線的に平行移動可能な回転部分と、
前記回転部分に連結された第1のX線源と、
前記カラムに連結された第2のX線源と、
前記第1のX線源からの第1の撮影ボリュームの対向側で前記回転部分に連結されたX線検出器と、
コントローラであって、
頭部計測患者サポートに対する前記X線検出器の位置を制御可能に調整することによって、少なくとも1つの較正スイープを実行し、
前記少なくとも1つの較正スイープを実行している間に、前記X線検出器によって画像データをキャプチャし、
前記少なくとも1つの較正スイープを実行している間にキャプチャされた前記画像データに基づいて、前記撮影システムに対する前記頭部計測患者サポート
の位置を少なくとも二次元で決定する
ように構成される、コントローラと、
を備え
、
前記少なくとも1つの較正スイープが前記第2のX線源によって実行される、撮影システム。
【請求項13】
請求項12に記載の撮影システムにおいて、前記コントローラが、更に、
前記第2のX線源を作動させて患者の頭部に向けてX線を発することと、前記頭部計測患者サポートについて前記決定され
た位置に基づいて前記第2のX線源から前記X線検出器の位置を前記患者の前記頭部の対向側に制御可能に調整することとによって、頭部規格撮影を実行するように構成される、撮影システム。
【請求項14】
請求項12に記載の撮影システムであって、更に、
前記カラムに選択的に連結可能な頭部計測サポートアームと、
前記頭部計測サポートアームの末端に連結された前記頭部計測患者サポートと、
を備える、撮影システム。
【請求項15】
請求項14に記載の撮影システムであって、更に、
前記カラムに選択的に連結可能な頭部計測X線源アーム
であって、前記第2のX線源が前記頭部計測X線源アームの末端に回転可能に連結された
、頭部計測X線源アームを備え、
前記コントローラが、更に、
前記頭部計測患者サポートについて前記決定され
た位置に基づいて前記X線検出器を配置することと、
前記頭部計測X線源アームに対して前記第2のX線源の回転角度を制御可能に調整することによって走査している間に、前記第2のX線源を作動させて前記X線検出器に向けてX線を発することと、
によって、頭部規格撮影を実行するように構成される、撮影システム。
【請求項16】
請求項12に記載の撮影システムにおいて、前記コントローラが、ピボットスイープ較正画像データにおいて、また、直線スイープ較正画像データにおいて、較正ファントムの位置を識別することによって、前記頭部計測患者サポートの中心位置を決定するように構成され、
前記較正ファントムが、前記頭部計測患者サポートの中心位置に垂直方向に選択的に連結された直線体を含む、撮影システム。
【請求項17】
請求項12に記載の撮影システムにおいて、前記コントローラが、更に、
前記頭部計測患者サポートについて前記決定され
た位置に基づいて、
前記第2のX線源の対向側に前記X線検出器を配置し、
前記第2のX線源の回転角度を制御可能に調整することによって走査している間に、前記第2のX線源を作動させて前記X線検出器に向けてX線を照射し、
前記第2のX線源によって走査している間に収集する画像データから、前記X線検出器によってキャプチャされた前記画像データの最大強度に対応する前記第2のX線源の回転角度を識別することによって、前記頭部計測患者サポートに対する前記第2のX線源の中央角度を決定する、
ように構成される、撮影システム。
【請求項18】
請求項17に記載の撮影システムにおいて、前記コントローラが、更に、
前記回転部分の位置を制御可能に調整して、前記第2のX線源の前記中央角度を決定するために用いる前記画像データをキャプチャするのよりも前に、前記回転部分に連結したコリメータを、前記第2のX線源と前記X線検出器の間の撮影ボリュームの外側に配置し、
前記コリメータが前記第2のX線源と前記X線検出器との間で前記撮影ボリュームの外側に配置されている間に、前記第2のX線源の前記中央角度を決定するために用いる前記画像データをキャプチャする、
ように構成される、撮影システム。
【請求項19】
請求項18に記載の撮影システムにおいて、前記コントローラが、更に、
前記回転部分の位置を制御可能に調整して、前記回転部分に連結された前記コリメータを、前記第2のX線源と前記X線検出器との間で前記撮影ボリュームの内側に配置し、
前記第2のX線源を作動させてX線を発している間、前記X線検出器によって画像データをキャプチャしている間、並びに前記第2のX線源の前記回転角度および前記X線検出器の前記位置が静止している間において、前記コリメータの方向を制御可能に調整し、
前記コリメータの中間ポーズを、
前記コリメータの前記方向を制御可能に調整している間に、前記X線検出器によってキャプチャされた前記画像データのコリメーションエッジを検出することと、
前記画像データの前記コリメーションエッジ内の最大画像強度に対応するコリメータポーズを識別することと、
によって決定する、
ように構成される、撮影システム。
【請求項20】
請求項19に記載の撮影システムにおいて、前記コントローラが、更に、
前記第2のX線源によって発されるX線が前記X線検出器に到達する前にコリメートされるように、前記回転部分に連結された前記コリメータを、前記第2のX線源と前記X線検出器との間で前記撮影ボリュームの内側に配置することと、
前記第2のX線源からX線を発している間に、前記決定された中央角度に基づいて前記第2のX線源の前記回転角度を制御可能に調整することによって、前記第2のX線源で走査することと、
前記頭部計測患者サポートについて前記決定され
た位置と前記コリメータについて前記決定された中間ポーズとに少なくとも部分的に基づいて走査している間に、前記第2のX線源の移動によって前記X線検出器と前記コリメータとの移動を調整することと、
によって、頭部規格撮影を実行するように構成される、撮影システム。
【請求項21】
請求項12に記載の撮影システムにおいて、前記上部シェルフが前記カラムに旋回可能に連結され、前記コントローラが、
前記第1のX線源からX線を発している間に、前記上部シェルフのピボット角度を制御可能に調整することによって、ピボットスイープ較正を実行することと、
前記第1のX線源からX線を発している間に、前記上部シェルフに沿って前記回転部分の直線位置を制御可能に調整することによって、直線スイープ較正を実行することと、
によって、前記少なくとも1つの較正スイープを実行するように構成される、撮影システム。
【請求項22】
請求項12に記載の撮影システム
において、
前記コントローラが、更に、前記少なくとも1つの較正スイープを実行している間に、前記第2のX線源からのX線によって較正ファントムを照射するように構成され、前記較正ファントムは、前記頭部計測患者サポートに選択的に連結されて、周知のサイズおよび周知の寸法を有する少なくとも1つの本体を含み、
前記コントローラが、前記カラムに対する前記上部シェルフのピボット角度と、前記上部シェルフに沿った前記回転部分の直線位置と、前記上部シェルフに対する前記回転部分の回転角度とからなる群から選択された少なくとも2つを制御可能に調整することによって、前記少なくとも1つの較正スイープを実行するように構成され、
前記コントローラが、
複数の検出器位置のそれぞれで前記較正ファントムの前記少なくとも1つの本体の拡大倍率を決定することと、
前記決定された拡大倍率に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の検出器位置のそれぞれでの前記X線検出器と前記較正ファントムとの間の距離を決定することと、
前記複数の検出器位置のそれぞれにおける前記X線検出器と前記較正ファントムとの間の前記距離に基づいて、前記撮影システムに対する前記頭部計測患者サポート
の位置を決定することと、
によって、前記撮影システムに対する前記頭部計測患者サポート
の位置を決定するように構成される、撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、一般にX線医療撮影のためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射X線などの高エネルギー放射を利用してオブジェクトの内部構造を試験するシステムは公知である。これらのシステムは、身体部分の画像を作成するために用いることができる。検出システム、特に医療用途で使われる検出システムは、X線を、関心がある身体部分を通してX線検出器に向かって方向を定める。特定の種類のX線撮影において、画像は、X線発生装置および撮影装置が所定の幾何学的な経路および速度プロファイルに従って患者の頭部を回るプロセスの間にキャプチャされる。従来は、X線発生装置および撮影装置の移動は、撮影装置面が関心の層に対して垂直であるように同期されている。他の種類のX線撮影においては、X線発生装置および撮影装置は、所定の方法で整列配置される。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態の目的の一つは、撮影システムを較正するための機構を提供することである。例えば、いくつかの実施形態は、X線撮影システムの既知の座標系に対する患者サポートの位置を判定することによって、患者サポートで使用する撮影システムを較正するための機構を提供する。記載されている技術およびシステムは、組合せ撮影システム、例えば、パノラマ、頭部規格および/またはコンピュータ断層撮影モードの組合せで使用することができる。
【0004】
一実施例において、記載されている技術およびシステムは、撮影システムと関連した重要コンポーネントの較正に関連したパノラマ/頭部規格/コンピュータ断層撮影(CT)組合せ撮影システムの欠点を低減するのを助ける。例えば、撮影システムが複数の種類の画像(例えば、パノラマ、頭部規格および/またはコンピュータ断層撮影(CT)画像)を考慮に入れるために修正されるかまたは補完されるとき、X線撮影システムは、例えば、正確な撮影を確実にして、画像の複数の撮り直しを防止し、このことにより、患者が反復X線検査およびX線放射の不必要な被曝を受けることを防止するために、正確に較正されることを必要とする。
【0005】
いくつかの例では、頭部規格撮影コンポーネントは、パノラマ撮影のために設計されたシステムに対するアドオンまたはアクセサリとして提供される。本明細書において記載されるシステム及び方法は、患者のパノラマ、頭部規格および/またはコンピュータ断層撮影(CT)画像をキャプチャすることができる撮影システムの較正を提供する。すべてではないがいくつかのシステムでは、パノラマおよびコンピュータ断層撮影のために使われる第一のX線源および頭部規格撮影のために使われる第二のX線源がある。本明細書において記載されるシステム及び方法は、とりわけ、撮影システムの座標フレームに対する一つ以上のコンポーネントの位置および/または方向を決定することによって、撮影システムの元々のものであるか以前調整されたコンポーネントに対するアドオンまたはアクセサリコンポーネントの位置を決定することを提供する。
【0006】
いくつかの例では、X線撮影システムは、カラム、カラムに連結された上部シェルフおよび上部シェルフに連結された回転部分を含む。X線撮影システムは、カラムに対して制御可能に上部シェルフを旋回させるように構成されている(例えば、ピボット移動)。加えて、X線撮影システムは、上部シェルフに対して制御可能に回転部分を回転させて、カラムに対して半径方向に上部シェルフに沿って回転部分の制御可能な直線移動を提供するように構成されている。
【0007】
一実施形態は、医療撮影のためのX線撮影システムを含む。X線撮影ユニットは、カラムを含む。X線撮影システムは、カラムに連結された上部シェルフも含む。X線撮影システムは、上部シェルフに回転可能に連結して、上部シェルフに関して回転軸を有している回転部分を含む。回転部分は、X線源を含む。X線撮影システムの回転部分または別のコンポーネントは、可視光源、例えば、レーザー、LEDまたは他の光源、およびX線撮影検出器を含む。X線源およびX線撮影検出器は、少なくとも回転部分の回転移動(R)によって画像を提供するように構成されている。X線撮影システムは、撮影される患者をサポートするように構成された頭部計測患者サポートも含む。頭部計測患者サポートは第一のアームによってカラムに選択的に取り付けることができて、一対の調節可能な耳ロッドを含み、各耳ロッドは耳バッドを備えている。光源は、光線を生成してX線撮影検出器上の固定位置に投影するように構成されている。一実施例において、固定位置は、患者のフランクフルト平面と関連付けられる。頭部計測患者サポートは、耳バッドを光線に合わせるように調節可能である。
【0008】
いくつかの実施形態は、撮影システムを作動させて頭部規格撮影を実行する方法を提供する。撮影システムは、カラム、カラムに連結された上部シェルフ、上部シェルフに連結して、カラムの半径方向に上部シェルフに沿って直線的に平行移動可能な回転部分、回転部分に連結された第一のX線源および第一のX線源から第一の撮影ボリュームの対向側の回転部分に連結されたX線検出器を含む。少なくとも一つの較正スイープは、頭部計測患者サポートに対するX線検出器の位置を制御可能に調整することによって実行される。画像データは、少なくとも一つの較正スイープを実行する間に、X線検出器によってキャプチャされる。頭部計測患者サポートの中心位置は、少なくとも一つの較正スイープを実行すると間にキャプチャされる画像データに基づいて、少なくとも二次元で撮影システムとに対して決定される。
【0009】
別の実施形態は、カラム、カラムに連結された上部シェルフ、上部シェルフに連結して、カラムの半径方向に上部シェルフに沿って直線的に平行移動可能な回転部分、回転部分に連結された第一のX線源、第一のX線源からの第一の撮影ボリュームの向側上の回転部分に連結されたX線検出器およびコントローラを含む、撮影システムを提供する。コントローラは、頭部計測患者サポートに対するX線検出器の位置を制御可能に調整することによって少なくとも一つの較正スイープを実行するように構成されている。画像データは、少なくとも一つの較正スイープを実行する間に、X線検出器によってキャプチャされる。それから、コントローラは、少なくとも一つの較正スイープを実行する間にキャプチャされる画像データに基づいて、少なくとも二次元で撮影システムに対する頭部計測患者サポートの中心位置を決定する。
【0010】
いくつかの実施形態では、撮影システムは、カラムに選択的に連結可能である頭部計測患者サポートアームも含む。頭部計測患者サポートは頭部計測患者サポートアームの末端に連結されており、撮影システムは頭部計測患者サポートの未知の位置を決定して、その決定された位置情報を使用して頭部規格撮影を実行する。
【0011】
いくつかの実施形態では、撮影システムは、カラムにも選択的に連結可能である頭部計測X線源アームも含む。第二のX線源は、頭部計測X線源アームの末端に連結されており、さらなる較正は撮影システムによって実行されて頭部計測患者サポートに対する第二のX線源の中央角度を決定する。頭部規格撮影は、第二のX線源から頭部計測患者サポートに向けてX線を発して、X線検出器を用いて画像データをキャプチャすることによって実行される。
【0012】
用語「医療撮影」は、例えば、歯、顎外、口、顎顔面、手首または耳、鼻およびのどの撮影を指す。
【0013】
さらなる実施形態は、従属クレームにおいて定められる。従属クレームにおいて詳述される特徴は、明示的に述べられない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。
【0014】
下記で定義される動詞および用語の定義は、請求項または本記述/仕様の他の部分で異なる定義が与えられない限り、使用される。
【0015】
動詞「含む」は、本文書において、詳述されていない特徴の存在を除外もせず必要ともしない非限定として使用する。動詞「包含する」および「有する」は、動詞「含む」と同じ方法で定義される。
【0016】
用語「一つ(a)」、「一つ(an)」および「少なくとも一つ」は、本明細書で用いられる場合、一つまたは二つ以上として定義されて、「複数」という用語は、二つまたは三つ以上と定義される。用語「別の」は、本明細書で用いられる場合、少なくとも第二の、またはそれより後のものとして定義される。
【0017】
用語「または」は、その内容が明らかに異なるように述べられていない限り、「および/または」を含んでいるその意味で一般に使用する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】
図1Aは、医療撮影のためのX線撮影システムおよびその主なパーツおよび移動を示す。
【
図1C】
図1Cは、
図1AのX線撮影システムおよび撮影の間頭部規格撮影の位置にいる患者を示す。
【
図1D】
図1Dは、
図1Cの頭部規格撮影位置における場合に、撮影の間、頭部計測患者サポートに対して配置される患者の側面図である。
【
図1F】
図1Fは、例示的にパノラマ撮影位置において構成されている、二検出器X線撮影ユニットの例示的実施形態を示す。
【
図2-1】
図2Aは、頭部規格撮影のためのX線撮影システムの較正のための較正ファントムの第一の例を有する頭部計測患者サポートの斜視図である。
図2Bは、頭部規格撮影のためのX線撮影システムの較正のための較正ファントムの第二の例を有する頭部計測患者サポートの斜視図である。
【
図2-2】
図2Cは、頭部規格撮影のためのX線撮影システムの較正のための較正ファントムの第三の例を有する頭部計測患者サポートの斜視図である。
図2Dは、頭部規格撮影のためのX線撮影システムの較正のための較正ファントムの第四の例を有する頭部計測患者サポートの立面図である。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態によるX線撮影システムを較正する方法の流れ図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの方法において用いられるピボットスイープ較正の一つの例の流れ図である。
【
図3C】
図3Cは、
図3Aの方法において用いられる直線スイープ較正の一つの例の流れ図である。
【
図3D】
図3Dは、
図3Aの方法において用いられる頭部計測チューブスイープ較正の一つの例の流れ図である。
【
図3E】
図3Eは、
図3Aの方法において用いられる二次コリメータ較正の一つの例の流れ図である。
【
図4】
図4は、頭部計測患者サポートの位置を決定するための単スイープ較正の別の例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一つ以上の実施形態が、以下の記述および添付図面で図と共に説明される。これらの実施形態は、本明細書に提供されている具体的な詳細に限られてはおらず、種々の方法で修正され得る。さらに、本明細書において記載されていない他の実施形態も存在し得る。また、本明細書において、一つのコンポーネントによって実行されると記載される機能性は、分散された形で複数のコンポーネントによって実行されてもよい。同様に、複数のコンポーネントによって実行される機能性は、集約されて単一コンポーネントによって実行されてもよい。同様に、特定の機能性を実行すると記載されるコンポーネントは、本明細書において記載されていない追加の機能性を実行することもできる。例えば、特定の方法で「構成される」装置または構造は、少なくともそのような方法で構成されるが、列挙されていない方法で構成されてもよい。
【0020】
図1AはX線撮影システム200の主要部分を示し、これは医療撮影で、例えば、顎外の歯の撮影で使用可能である。
【0021】
システム200は回転部分(ガントリ)220を含み、それが第一のX線源224を含む。X線撮影検出器ユニット226も回転部分220に取り付けられる。以下でさらに詳細に述べるように、X線撮影検出器ユニット226は、例えば、一つ以上のX線検出器を含むことができ、これは、発されるX線に関する画像データを、例えば、第一のX線源224によってキャプチャするためのものである。いくつかの実装では、X線撮影検出器ユニット226の位置は回転部分に対して調節可能であり、例えば、X線撮影検出器ユニット226は回転可能であるか直線的に移動可能である。他の例では、X線撮影検出器ユニット226に含まれる一つ以上の個々のX線検出器は、移動可能でもよい。X線源224および/またはX線撮影検出器ユニット226は、例えば、少なくとも回転部分220の回転軸222の周りの回転性移動Rによって、パノラマ、CTまたは頭部規格画像を提供する。回転部分220のR移動は、例えば、回転軸222の周りで400度までである。示される例では、第一のX線源224はハウジングHの中に配置される。いくつかの実装では、ハウジングHは、各種コンポーネントのアライメントを決定するために利用できる光源263(例えば、レーザーまたはLED)も含む。
【0022】
システム200は、第二のアーム261によってカラム240に取り付けることができる第二のX線源265も含む。第二のX線源265は、X線ビーム制限装置267を含む。二本の別々のアームとして記載されているが、第一のアーム260と第二のアーム261は、事実上単一のアームとして作動するように機械的にリンクしていてもよい。単一アームは、単一アームの一方の端を上げることで単一アームの他端が下がるように(例えば、シーソーと同様の方法で)、カラム240に枢着することができる。
【0023】
回転部分220は回転モーターを含み、それは回転手段(図示せず)によって回転部分220を回転させるように構成されている。あるいは、回転モーターは、システム200の上部シェルフ250に配置することができる。一実施例では、回転部分220は、上部シェルフ250に取り付けられる。
【0024】
回転部分220は、例えば、文字Cに近い形を有して、X線源224は回転部分220の一方の端にある。X線源224は、パノラマ撮影およびCT撮影の二つの撮影モードに対して共通であってもよい(例えば、X線ビームが円錐形ビームであるCBCT撮影)。しかしながら、いくつかの実施形態では、X線システム200は、X線源224を使用して一種類の撮影だけ(例えば、CT撮影だけまたはパノラマ撮影だけ)を実行するように構成されていることもある。いくつかのCT映像技術では、X線ビームは、ピラミッド形状のビーム、半月形状の円錐ビームまたは他の形状のビームのうちの一つである。
【0025】
提供されている例において、X線源224は、X線源224のためのビーム制限装置228および、X線ビーム制限装置228を、例えば、水平方向(CH)および垂直方向(CV)において調整するように構成されたX線ビーム制限モーターも含む。撮影の間、X線ビーム制限装置228は、X線ビームのサイズおよび形状を、それが選択された撮影プロトコル、選択された画像サイズおよび関連した検出器サイズの要求と一致するように制御する。
【0026】
回転部分220の他端上にX線撮影検出器ユニット226があり、それは、例えば、一つまたは二つのX線検出器227a、227bを含むことができる(
図1F参照)。一検出器式X線撮影検出器ユニット226の例示の実施形態は、一つのパノラマ検出器を含むことができる一つのX線検出器227、これもパノラマ撮影を可能にする一つの頭部計測検出器、一つのパノラマ/CTの組合せ検出器、一つのパノラマ/CT/頭部計測の組合せ検出器または、パノラマ/CT撮影において、そして、ワンショット頭部規格撮影において用いられるように構成された一つの検出器を含むことができる。
【0027】
一検出器式X線撮影検出器ユニット226は、例えば、X線撮影検出器ユニット226の一つの検出器が、使用されるX線源224もしくは265(本明細書においてさらに詳細に記載される)に好ましくは垂直に配置されることができるように回転部分220に対してX線撮影検出器ユニット226を回転させることによって、および/または、パノラマ/CT撮影で一つの検出器もしくはX線撮影検出器ユニット226とX線源224の間の距離を調整するために回転部分220に対して直線的にX線撮影検出器ユニット226の一つの検出器を動かすことによって、調節可能とすることができる。
【0028】
二検出器式X線検出器ユニット226の例において、検出器ユニット226は一つのパノラマ検出器および一つのCT検出器、またはパノラマ撮影も可能にする一つの頭部計測検出器を含むことができる。検出器ユニット226の二検出器式の実施形態において、検出器は、例えば、パノラマ撮影に続いて配置され、その際、パノラマまたは頭部計測検出器は撮影モードに対する倍率を設定するための前部検出器として配置され、CT検出器は後部検出器として配置される。検出器227a、227b(
図1F参照)の交換が準備されており、それにより、CT撮影の後部検出器227aまたは頭部規格撮影の前部検出器227aを使用することが必要であるときに、前部検出器227aは、例えば、後部検出器227bの隣に前部検出器227aがスライドするように、移動手段230、例えば、レール231a、231bおよび、レール231a、231bに沿って移動して、回転するように構成されたローテータによって、わきに移動する。あるいは、前部検出器227aは、頭部規格撮影において後部検出器227bに対して別の位置へ移動することができる。頭部規格撮影における前部検出器227aの位置は、前部検出器227aが、交換移動および使われるX線源265に対するRおよびL移動によってどう位置がずれるかに依存し得る。頭部計測検出器227aは、好ましくは使用されるX線源265に垂直に配置することができる。前部検出器227aは、前部検出器227aを前方位置へ戻すことが必要であるときに、スライドによって同様に戻る。
【0029】
回転部分220は、検出器ユニット226がパノラマおよびCT撮影のための別々の検出器227a、227bを含む場合、移動手段230によって少なくとも一つの検出器を動かすように構成された、検出器モーター235を含むことができる。
【0030】
システム200は、システム200の高さZを適応させるためのカラム240および、回転部分220を含む。カラム240は、例えば、高さモーター、ギアおよび寸切りボルトを含むことができる高さ適応手段241ならびに、パノラマ、頭部規格またはCT撮影モードのために上/下の移動Zを提供して回転部分220の高さを患者201の身長に適応させるために、高さモーターによって駆動されるように構成された伸縮自在かまたは釣り合わせ手段を含む。高さ適応手段241は、例えば、高さ適応手段の移動として、および/または伸縮自在であるか釣り合わせ移動として、Z移動を実現することができる。
【0031】
下部シェルフまたは第二の患者サポート242は、カラム240に取り付けられる。下部シェルフまたは第二の患者サポート242が、撮影、例えばパノラマおよび/またはCT撮影のために患者201を配置するために、そして、例えば、撮影の間、顎台CSによって患者201のあごの先端から患者201をサポートするために、使用される。いくつかの場合では、システム200は、一つの患者サポート、例えば、下部シェルフまたは第二の患者サポート242だけを含んでもよい。
【0032】
あるいは、システム200が座っている患者201の位置決めシステム(図示せず)を含むときに、Z移動は、例えば、Z方向において次の、椅子、下部シェルフ242およびカラム240の少なくとも一つの高さを適応させることによって実現される。
【0033】
下部シェルフ242は頭サポート(図示せず)を含むこともでき、それは、例えば、パノラマ/CT撮影位置の患者201の額および/またはこめかみをサポートする。
【0034】
システム200は上部シェルフ250を含み、それは回転部分220をサポートする。一実施例において、上部シェルフ250はピボット式ジョイント(手段)252を有する上のカラム240の端部に取り付けられ、それによって、回転部分220が、例えば、下部シェルフ242の上になるように、カラム240の周りで、そして、下部シェルフ242に関して、上部シェルフ250のピボット移動Pが可能になる。
【0035】
上部シェルフ250はピボット移動手段253を含み、それは、例えば、ピボット式ジョイント252によってカラム240の周りで上部シェルフ250を旋回させるように構成されたピボットモーター253を含む。
【0036】
上部シェルフ250は、直線移動手段223、例えば、回転部分220の回転手段をサポートして、回転部分220が回転の軸222のまわりを回転することを可能にするように構成された直線コンベヤと、上部シェルフ250の直線コンベヤを導くように構成された少なくとも一本のレールおよび/またはトラックと、少なくとも一つのレールおよび上部シェルフ250に沿って直線コンベヤを駆動するように構成されたリニアーモータとを含んで、それは回転部分220および回転手段が直線移動Lによって上部シェルフ250に関して移動することを可能にする。上部シェルフ250の直線移動手段223は、上部シェルフ250の平面におけるL移動が直接の直線移動であり、例えばそれが上部シェルフ250と平行であるか、もしくはそれが、平行方向に関して特定の角度であるように、または、上部シェルフ250における平面のL移動が、例えば曲がった経路または曲がりくねった経路を有する非直接的な直線移動であるように、設けることができる。
【0037】
回転手段は、上部シェルフ250に回転部分220を取り付ける。回転手段は、軸222および、したがって、上部シェルフ250に関する回転中心がL移動に沿って調整されることができるように、少なくとも一つのL移動によって移動することが可能である。したがって、軸222は、撮影の間の上部シェルフ250のP移動および回転部分220のL移動によって画定される平面の中に配置することができる。直線X移動よりもむしろ回動P移動を用いて回転部分220の横方向の位置を調整することによって、より軽くてより細い上部シェルフ250を設計することができて、したがって、システム200の設置面積がより小さくなる。
【0038】
加えて、システム200は、カラム240の一方の側に、特定の第一の長さを有する第一の頭部計測アーム260を含むことができる。アーム260は、頭部計測患者サポート262を、カラム240からの第一の長さと一致する特定の第一の距離で、システム200に取り付ける。しかしながら、他の実施形態では、システム200は、第一の頭部計測アーム260を含まない場合もあり、その代わりに、他の機構(例えば、アームを用いずにカラムに固定して連結する)によって配置される頭部計測患者サポートを提供する。
【0039】
頭部計測患者サポート262は、従来の頭部計測ユニットにおけるより著しく単純な構造を有し、撮影される患者201をサポートするための頭部計測患者のサポート手段268、269、例えば、二つの調節可能な耳ロッド268および調節可能なナジオンサポート269を含む。患者の頭部は、例えば、耳ロッド268に含まれる耳バッド268A(
図1Dに示す)によって外耳道の外側部分から、そして、鼻梁の最上部と接触して配置されるナジオンサポート269から、サポートされる。調節可能な耳ロッド268および調節可能なナジオンサポート269は、それらが、例えば、二つの主撮影位置である横方向および後前方向を回転することを可能にする方法で、頭部計測患者サポート262に取り付けられる。側部射影は基本的に側面図で、後前方向射影は後部から患者の頭蓋骨までの正面図である。
【0040】
耳ロッド268は、耳ロッド268が患者201をするサポート下降位置および、患者を頭部規格撮影位置に置くことが可能であるかまたは、上昇位置の傾けられたか回転された耳ロッド268が患者の明白な通路を提供すると患者が頭部規格撮影位置から離れることができる上昇位置を有する、傾斜可能であるか回転可能な耳ロッドとすることができる。
図1Aの例は頭部規格撮影のための患者の頭部を配置するための頭部計測患者サポート262を含むが、他の実装は他のタイプの撮影のための他のタイプの患者サポートを含むことができる。例えば、システム200は、手首撮影のための患者の手を配置するための患者手サポートを含むように構成することができる。
【0041】
加えて、システム200は、カラム240の他方の側に、特定の第二の長さを有する第二の頭部計測アーム261を含むことができる。第二の頭部計測アーム261に第二のX線源265が取り付けられる、それは頭部規格撮影で使用される。第二の頭部計測アームは、カラム240からの第二の長さに対応する、システム200からの第二の距離で第二のX線源を保持する。X線源265は、頭部規格撮影のためのX線ビーム制限装置267を含む。任意選択的に、X線ビーム制限装置267は、X線源265に取り付けることができる。X線源265は、走査動作Sを実行するように構成された回転手段264Aによって回転の軸264のまわりを回転するように構成することができる。X線源265の軸264は、それが焦点スポットを通過するように、X線源265の焦点スポットに整列する。アーム261またはX線源265は、回転モーターを含み、それは、X線源265の焦点スポットと一致する軸264の周りでX線源265を回転させるように構成されている。
【0042】
前述のようにいくつかの実施形態では、アーム260、261はカラム240に取り付けられる別々のアームとすることができるか、または、一本のアーム260、261を使用することができて、それは単一のアーム260、261の頭部規格ヘッド262をその一方の端に、そしてX線ビーム制限装置267を有するX線源265を他方の端に含む。
【0043】
加えて、回転部分220は、頭部計測(二次)コリメータ266を含むことができ、それが検出器ユニット226の一つの検出器と共に頭部規格撮影において使用される。頭部計測コリメータ266は、
図1Cにて図示するように、例えば、回転部分220(例えば、X線源224)の一方の(右)側に取り付けられる。あるいは、頭部計測コリメータは、例えば、回転部分220(例えば、X線源224)の別の(左)側に取り付けることができる。
【0044】
加えて、回転部分220は、頭部規格撮影のための検出器ユニット226の少なくとも一つの検出器を回転させるように構成された検出器モーター235および、Z方向の頭部計測コリメータ266の位置(高さ)および/またはX線源224のコリメータの位置を調整するように構成されたコリメータモーターを含むことができる。代わりに、または、加えて、X線ビーム制限モーターまたはコリメータモーターは、X線ビーム制限装置228および頭部計測コリメータ266の両方を調整するように構成することができる。
【0045】
回転部分220は、頭部計測患者サポート262にわたって、例えば、P、RおよびL移動によって駆動されて、その結果、検出器ユニット226および頭部計測コリメータ266が頭部規格撮影のために配置される。
【0046】
X線源265は、それがS移動によって軸264の周りを回転して、検出器ユニット226および頭部計測コリメータ266が、例えば、回転部分220のP、RおよびL移動の少なくとも一つによって移動するように調整されるとき、例えば、検出器ユニット226(例えば、検出器ユニット226に取り付けられた頭部計測検出器227a)および回転部分220の頭部計測コリメータ266と共に、配置された患者201からの頭部規格画像を提供するように構成することができる。別法として、X線ビームの走査移動、例えば、直線S移動を、X線源265のX線ビーム制限装置267を移動することによって実行することができる。
【0047】
ワンショット検出器が用いられる場合、検出器ユニット226および頭部計測コリメータ266はP、RおよびL移動の少なくとも一つによって配置されるが、画像はこれらの移動なしで、および/またはS移動なしで撮ることができる。
【0048】
いくつかの実装では、アーム260、261は、耳ロッド268およびナジオンサポート269を有する頭部計測患者サポート262の高さが、X線源265に対して固定されるように配置することができる。しかしながら、例えば患者201の解剖学的構造は変化するので、固定の高さによって問題が生じる場合があり、耳開口が患者201の肩と比較して位置検出される垂直距離は患者201ごとに著しく異なる。このため、患者201は結果として得られる頭部規格画像で置かれる位置が低すぎて上部脊椎骨だけしか示さないか、または、患者201は画像において置かれる位置が高すぎて患者201の肩が検出器ユニット226に接触することとなり、これは走査に関して特に問題である。さらに、好適な頭部規格撮影の幾何学的形状は、焦点スポットおよび耳ロッド268の先端が同じ(水平)軸にあることが必要である。これらの問題を低減するために、アーム260、261を互いに対して高さを固定して保つ一方で、可変長耳ロッド268を用いることができる。
【0049】
代わりに、または、加えて、これらの問題を排除するために、システム200は、カラム240に関して、一方の端の頭部計測ヘッド262および他方の端のX線源265をサポートするアーム260、261の高さをそれぞれに調整するように構成された、頭部計測高さ調節手段(図示せず)を含むことができる。
【0050】
オペレータが上/下のZc移動によってアーム260、261の高さを調整するときに、焦点スポットは自動的に耳ロッド268の先端に追従し、したがって、幾何学的形状(耳ロッド先端から焦点スポット線に対する)はそのままである。それでも、患者201の両側の検出器ユニット226および頭部計測コリメータ266は、それらの高さをカラム240から入手し、したがって、調整の前とは、耳ロッド268および患者201に関して異なる高さにある。
【0051】
頭部計測高さ調節手段は、オペレータ(ユーザ)が幾何学的形状を損なうことなく患者201の高さを調整するのを可能とすることによって、暴露面を患者201の所与の解剖学的構造に適応させる方法を提供する。
【0052】
第一および第二のX線源224、265は、高さ適応手段241および/または頭部計測高さ調整手段によって、Z方向においてカラム240に関して異なる高さに配置されることができるので、頭部規格撮影のために回転部分220のX線源224を使用するときに、Z方向における頭部計測ヘッド262のいかなる追加の調整も無しに、必要に応じて患者201を置くことが可能である。検出器ユニット226および二次コリメータ266は、L移動、P移動および/またはR移動を使用して撮影のために配置される。
【0053】
加えて、P移動を用いることにより、システム200の構造は、頭部規格撮影が一つの「不着脱可能な」検出器ユニット226だけを用いて任意選択的に実装できるので、より単純およびより安価になる。これは、パノラマ/CTモードから頭部規格モードに撮影モードを変えるときに回転部分220のホルダからそれを取り外して頭部計測ヘッド262のホルダからそれを分離する必要がないので、検出器ユニット226を破壊する危険を減らす。検出器ユニット226のパノラマ撮影のための検出器は、パノラマ撮影位置から頭部規格撮影位置まで回転することができ、その結果、パノラマおよび頭部規格撮影の両方で同じ検出器を使用することができる。
【0054】
加えて、システム200の構造は、例えば、パノラマ/CTモードから頭部規格モードへの変更、つまり、検出器ユニット226を一つのホルダから他のホルダに変えること無しにパノラマ/CT撮影位置から頭部計測位置への回転部分220の変更が自動化されるときの、単純なワークフローを提供し、したがって、要求される手作業の量およびワークフローのために必要とされる時間の両方を減少させる。
【0055】
システム200は、パノラマおよび/またはCT撮影を提供するためのカラム240の周りを旋回する上部シェルフ250ならびに、上記のL、Pおよび/またはR移動によって配置されるように構成された回転部分220を含むが、頭部計測検出器、二次コリメータおよび患者位置決めサポート部品を含むより従来型の頭部計測ヘッド262を有することも可能である。
【0056】
頭部規格撮影は、回転部分220のX線源224ならびに、頭部計測ヘッド262の二次コリメータおよび頭部計測検出器によって提供される。X線源224は、R、Lおよび/またはP移動によって患者201の頭部を走査するように調整される。X線ビームは二次コリメータによってコリメートされて、頭部計測検出器によってキャプチャされて、それはX線ビームと同期される。
【0057】
図1Bは、パノラマ/CT撮影のためのX線撮影システム200の位置決めを例示する。患者201は、患者201のあごを下部シェルフ242に置くことによってその頭部をサポートされて、おそらくパノラマ/CT撮影位置のシステム200のヘッドサポートに位置決めされて、そこで回転部分220は下部シェルフ242の上にある。
【0058】
上部シェルフ250ならびに回転部分220がパノラマ/CT撮影位置とは異なる位置の、頭部規格撮影位置または、例えば、パノラマ/CTと頭部規格撮影位置の間の中間位置にある場合、上部シェルフ250はP移動によってその位置からパノラマ/CT撮影位置まで移動して、それから、回転部分220がRおよびL移動によってさらに調整されて、回転部分220は、パノラマ/CT撮影の準備ができる。一つ以上の他の追加の患者サポート(例えば、手首撮影のための手サポート)を含む実装においては、システム200は、R、Lおよび/またはP移動を使用して、回転部分220を撮影のための各追加の患者サポートに近接して配置するようにさらに構成することができる。
【0059】
加えて、回転部分220は、患者位置決め位置を有することができて、そこでは、回転部分220が下部シェルフ242または頭部計測ヘッド262の上にあるときに、X線源224または検出器ユニット226はじゃまにならず、パノラマ/CTおよび/または頭部規格撮影位置に対する患者201の位置決めを妨げない。患者位置決め位置は、回転部分220が、患者201をパノラマ/CTおよび/または頭部規格撮影位置に配置することができるか、または患者201の頭部をX線源224と検出器ユニット226の間に移動することによって患者201を移すことができるような位置に回転するように、R移動によって達成することができる。あるいは、P移動および/またはL移動によって患者位置決め位置を実現することができ、その際、患者201が位置決めされると回転部分220全体はパノラマ/CTおよび/または頭部規格撮影位置から遠ざけられる。
【0060】
配置されたX線源224および検出器ユニット226は、回転の軸222、つまり回転部分220の回転中心がPおよびL移動の少なくとも一つによって配置されると、パノラマ画像を提供するように構成されている。いくつかの実装では、システムは、P、Lおよび/またはR移動を調整して、画像キャプチャ走査の前か間にX線源224および検出器ユニット226の位置を制御することによって、パノラマ撮影を実行するように構成されている。
【0061】
用いられるセンサ技術に応じて、画像は、検出器のTDIモードまたはフルフレーム読み出しモードを用いて記録することができる。TDIモードにおいて、画像は一度に1カラム読み出されるが、フルフレーム方式では、画像は一度に画像フレーム全体が読み出される。パノラマ(鮮明)層は、移動の速度によって、またTDIの場合には、パノラマ検出器の読み出し速度によって定義される。フルフレーム検出器を使用するときは、層の最終形状は走査の後コンピュータ上で算出される。回転角度は、例えば、約270度であるが、これは制限的なことを意図してはいない。
【0062】
CT撮影の間、患者201はまた、下部シェルフ242によって、そして、おそらくパノラマ/CT撮影位置のシステム200のヘッドサポートによってサポートされる。X線源224および検出器ユニット226は、検出器ユニット226が回転ユニットに取り付けられているときにCT画像を提供するように構成されて、回転部分220の回転中心は、それがROIと一致することができるように配置される。
【0063】
配置されたX線源224および検出器ユニット226は、検出器ユニット226が回転部分220に取り付けられて、回転の軸222がCT撮影の間、R、LおよびP移動の少なくとも一つによって配置されるときに、CT画像、例えば、CBCT画像を提供するように構成されている。
【0064】
システム200が対称撮影の幾何学的形状によって用いられるときに、CT撮影は、R移動だけを使用して、フルフレームモードでCT検出器を読み出すことによって実行することができる。代わりに、または、加えて、CT撮影は、回転部分220の仮想回転の軸をそれがROIと一致するように配置するために上部シェルフ250の制御装置を用いて、P、RおよびL移動を用いることによって実行することができる。したがって、ROIの投影X線像は、ROIの中心とR移動が一致する方法で作成される。一実施形態において、有効な回転角度(開口)は、例えば、システム200に応じて約180度~360度の範囲を有する。
【0065】
システム200がオフセット撮影において用いられるときに、CT撮影はR、LおよびP移動を用いて画像を走査することによって実行することができる。同期してこれらのR、LおよびP動向を駆動することによって、回転の実効中心は、X線ビームの側に偏らせることができて、したがってオフセット幾何学的形状を作り出す。オフセット走査は、CT検出器の第一の「立体の」オフセット幾何学的形状およびまる360度回転によって提供することができる。
【0066】
あるいは、オフセット走査は、第二のオフセット幾何学的形状によって提供することができて、この場合、患者201は、第一の撮影方向の検出器の約180度回転によってオフセットされる実質的に最大限の第一の撮影を走査することによって撮影される。次に、検出器は回転中心の反対側に位置がずれて、第一の方向の反対の第二の撮影方向の検出器の約180度回転でオフセットされる、実質的に最大限の第二の撮影を取得する。あるいは、検出器は開始位置まで回転されて、回転中心の反対側に位置がずれ、それから、第一の方向の約180度回転でオフセットされる実質的に最大限の第二の撮影を走査する。
【0067】
あるいは、オフセット走査は第三のオフセット幾何学的形状によって提供することができて、その場合、患者201は、X線ビーム領域の端が回転中心に接触する第一の撮影オフセットによって、そして、検出器の360度の回転によって、撮影される。次に、検出器およびX線源224は、X線ビーム領域が回転中心から離れて移動して、そのためそれが前に撮影された領域に当たるかまたはわずかに重なるような方法で、平行に位置がずらされる。それから、検出器は、第二の撮影オフセットを完了するために360度回転する。
【0068】
システム200は、いくつかの従来システムによる撮影および患者位置決めで要求されるR、L、XおよびN移動の代わりに、R、LおよびP移動によってCT撮影の幾何学的形状における同じ融通性を提供する。
【0069】
図1Cは、頭部規格撮影中の、患者201およびX線システム200の位置決めを例示する。頭部規格撮影位置において、回転部分220が頭部計測ヘッド262に配置される患者のサポート手段268、269の上にある場合、患者201は患者のサポート手段268、269にサポートされる。
【0070】
上部シェルフ250ならびに回転部分220が頭部規格撮影位置とは異なる位置の、例えば、パノラマ/CT撮影位置または、パノラマ/CTと頭部規格撮影位置の間の中間位置にある場合、上部シェルフ250はP移動によってその位置から頭部規格撮影位置まで移動して、それから、回転部分220がRおよびL移動によってさらに調整されて、回転部分220は、頭部規格撮影の準備ができる。
【0071】
配置されたX線源265は、X線源265に取付けられたX線ビーム制限装置267によって、そして、S移動によって、サポートされた患者201を走査するように構成されている。検出器ユニット226および回転部分220は、頭部規格撮影の間、R、LおよびP移動の×少なくとも二つによってX線源265と同期をとって移動するように構成されている。
【0072】
X線源265からのX線ビームは、軸264の周りのS移動によりX線源265およびX線ビーム制限装置267を回転させることによって、患者201の頭部を走査するように調整される。あるいは、S移動は、X線ビーム制限装置267を(例えば、直線的に)動かすことによって実行することができる。頭部規格撮影において用いられる検出器ユニット226の検出器が水平に配置される場合、S移動が水平S移動の代わりに垂直走査移動として提供されることも可能である。あるいは、頭部規格撮影は、十分に大きな検出器(いわゆる、「ワンショット」検出器)がワンショット頭部規格画像のために用いられる場合、S移動なしで実行することができる。
【0073】
それから、X線ビームは、さらに頭部計測コリメータ266によってコリメートされて、最終的には同期をとって移動される頭部計測または検出器ユニット226の組合せ検出器によってキャプチャされる。システム200は、追加移動手段が頭部計測コリメータ266および検出器ユニット226の検出器のために必要とされないので、頭部規格撮影の間の移動を単純化する。
【0074】
上記のように、頭部規格撮影の間、回転部分220は、頭部計測患者サポート262の周りの位置に(例えば、頭部計測患者サポート262の対向側に配置されるX線源224および検出器ユニット226とともに)持ち込まれる。
図1Dは、頭部計測患者サポート262を用いて頭部規格撮影のために配置される患者201の側面図である。患者201は、各耳に配置される調節可能な耳ロッド268の耳バッドとともに、そして、患者201の鼻橋に接触している調節可能なナジオンサポート269とともに配置される。ナジオンサポート269が鼻橋に接触するものとして
図1Dに示されているが、いくつかの実装では、調節可能なナジオンサポート269は、患者201の鼻が頭部規格撮影の間、調節可能なナジオンサポート269の上で静止するように寸法決めされて、配置されてもよい。
【0075】
図1Eは、システム200の機能要素(例えば、制御システム)を例示する。システム200は、制御パネルから入力を受け取って、システム200およびそれの上記の移動および撮影処理を制御するように構成されたコントローラ270を含む。コントローラ270は、例えば、カラム240に取り付けられる。コントローラ270は、ユーザおよび/またはソフトウェア起動命令を実行するための、そして、データを処理するための、少なくとも一つのプロセッサ272ならびに、データ、例えば、命令、ソフトウェアおよびデータファイルを格納して維持するための少なくとも一つの非一時的コンピュータ可読メモリ280を含む。
図1Eは単一のコントローラ270だけを示すが、いくつかの実装では、システム200は、複数の異なるコントローラを含んでシステム200の機能性を提供するように構成されている。
【0076】
加えて、コントローラ270は、制御命令を一つ以上の移動アクチュエータ275、例えば、ピボット、直線、高さ、回転検出器、X線ビーム制限およびコリメータモーター、ドライバまたはシステム200の部品の移動を提供するように構成された他の手段に送るための、および/または、システム200の部品の機能を検出するように構成された測定器または他の検出器276からデータを受け取るための、データ転送部274を含む。
【0077】
加えて、データ転送部274は、以下の、X線源224および/またはX線源265ならびに検出器ユニット226の少なくとも一つ、のうち少なくとも一つに制御命令を送るようにも構成されている。データ転送部274は、少なくとも一つのX線源224、265および検出器ユニット226のうち少なくとも一つから情報を受け取るようにも構成されている。
【0078】
加えて、コントローラ270は、制御コマンドを入力するための、そして、情報および/または命令を受信するための、少なくとも一つのファンクションキー、タッチスクリーンおよび有線か無線のリモコンのうち少なくとも一つを含み得る、ユーザインタフェース部278を含む。
【0079】
少なくとも一つのメモリ280は、少なくとも、データ転送部274を制御しているプロセッサ272による実行のためのデータ転送アプリケーション284、ユーザインタフェース部を制御するためのプロセッサ272による実行のためのユーザインタフェースアプリケーション288およびシステム200、例えば、少なくとも移動装置275、検出器276、少なくとも一つのX線源224、265および検出器ユニット226の機能を制御するためのコンピュータプログラム(コード)289を格納する。加えて、コンピュータプログラム289の実行は、例えば、撮影パラメータ、撮影サイズおよび撮影モードを制御することができる。
【0080】
少なくとも一つのメモリ280およびコンピュータプログラム289は、少なくとも一つのプロセッサ272によって、システム200に、少なくとも、
図1A~1Dの前後関係において記載されているアクションを提供させて、例えば、R、LおよびP移動のうち少なくとも一つか二つによって、検出器ユニット226および頭部計測コリメータ266の位置を制御するように構成されている。
【0081】
コンピュータプログラム289は、コンピュータ(コントローラ270)の用途に、その中で実施されるコンピュータプログラム289を保持する有形の不揮発性コンピュータ可読媒体を含む、コンピュータプログラム製品とすることができる。
【0082】
図1Fは、二つの検出器227a、227bを含む検出器ユニット226の一つの例を例示し、これはパノラマ、CTおよび頭部規格画像を提供することができる。回転部分220は、少なくとも一つの検出器227a、227bを回転部分220に対して動かして撮影のために少なくとも一つの検出器227a、227bを配置するための移動手段230、および移動手段230を駆動するように構成された検出器モーター235を含む。検出器227aは、例えば、パノラマ画像を提供するように構成されたパノラマ検出器、または頭部規格画像およびパノラマ画像を提供するように構成された頭部計測検出器とすることができる。CT検出器227bは、CT画像を提供するように構成されている。移動手段230は、例えば、レール231a、231b、寸切りボルト232、コンベヤユニット233、コンベヤユニット233に接続しており検出器227aを回転部分220に取り付けるガイドユニット234および案内溝236のうち少なくとも一つを含むことができる。検出器モーター235は寸切りボルト232によって検出器227aを動かし、それがレール231a、231bに沿ってコンベヤユニット233を動かして、損結果ガイドユニット234が案内溝236に沿って検出器227aを導く。
図1Fの実施例で示される案内溝236は一つの例でしかなく、他の実装では、案内溝236は、例えば、直接的か、曲がっているか、曲がりくねっているか、またはそれらの組み合わせとなっている溝を含む、他の形状および構成で提供することができる。
【0083】
図1Fはパノラマ撮影位置の一つの例を示しており、そこで、X線源224およびパノラマまたは頭部計測検出器227aは回転部分220に取り付けられてパノラマ画像を提供することができる。検出器227aおよびCT検出器227bは連続してパノラマ撮影位置に配置され、その結果、検出器227aがX線源224、265とCT検出器227bの間にあるようになり、検出器227aはX線源224、265に対してCT検出器227bの前となる。CT画像データをキャプチャするために、検出器モーター235は、移動手段230を作動して、ガイドユニット234が案内溝236の反対端に置かれて、検出器227aがCT検出器227bとX線源224の間にもはや置かれていなくなるまで、案内溝236に沿って検出器227aを移動する。いくつかの実施形態では、CT撮影位置は頭部規格撮影位置とすることもできて、そこでは、X線源265は、回転部分220に取り付けられた頭部計測検出器227aと共に頭部規格画像を提供することができる。
【0084】
上述のように、いくつかの実施形態では、第一のX線源224および回転部分220に取り付けられている組合せ検出器227が、パノラマ画像およびCTに30の画像を提供するために用いられる。第二のX線源265および回転部分220に取り付けられている組合せ検出器227は、頭部規格画像を提供するために用いられる。組合せ検出器227は、例えば、類似の移動手段230によって、ただし必ずしもすべてその移動によってとは限らないが、
図1Fに図示される検出器ユニット226の検出器227aと同様にして駆動することができる。
[00100]
パノラマ画像は、組合せ検出器227が
図1Fにて図示したのと同様にパノラマ撮影位置に駆動されると撮られ、そのときには組合せ検出器227が前方位置にある。CTおよび頭部規格画像は、組合せ検出器227がCT/頭部規格撮影位置に駆動されると撮られ、そのときは、組合せ検出器227は後方位置にある。加えて、組合せ検出器227は、移動手段230によって、そして、R、LおよびP移動のうち少なくとも一つによって配置することができる。あるいは、組合せ検出器227は、R、LおよびP移動のうち少なくとも一つによって配置することができる。そのため、組合せ検出器227は、移動手段230によって、および/またはR、LおよびP移動のうち少なくとも一つによって、パノラマ、CTおよび頭部規格撮影位置のうち少なくとも二つの間で移動することができる。
【0085】
システム200が適切に、
図1Cに示される位置/構成の頭部規格撮影を実行することを可能にするために、システム200は、例えば、検出器ユニット226および/または頭部計測X線源265に対する患者の頭部の位置を決定することが可能でなければならない。いくつかの実装では、患者の頭部の位置は、頭部計測患者サポート262の位置に基づいて推定することができる。しかしながら、頭部計測患者サポート262の位置は、撮影システム200によって正確に分からない場合がある。上述のように、頭部規格撮影システムの第一のアーム260および第二のアーム261は、パノラマおよびCT撮影のためのコンポーネントがインストールされて調整された後にインストールされる。例えば、第一のアーム260および第二のアーム261は、「アドオン」またはアクセサリとしてシステム200に追加することができ、従って、システム200の製造時には較正されない。加えて、いくつかの実装では、第一のアーム260、耳ロッド268および/またはナジオンサポート269の位置は、特定の患者201のために基づいて、手動で調整することができる。
【0086】
これらおよび他の状況において、システム200は、例えば、システム200により用いられる三次元座標空間における頭部計測患者サポート262の位置を決定するために較正されなければならない。加えて、いくつかの実装では、頭部計測X線源265および二次コリメータ266の適切な相対的角度および位置は、患者の頭部の位置に対して決定される。頭部計測患者サポート262の位置および/または頭部計測X線源265と二次コリメータ266の適切な相対的角度および位置は、例えば、一つ以上の較正「スイープ」を実行することによって決定することができる。較正スイープは、X線を(例えば、第一のX線源224または頭部計測X線源265から)発すると共に、そして検出器ユニット226を通して画像データをキャプチャすると共に、システム200の一つ以上のコンポーネントの位置を制御可能に調整することによって実行される。
【0087】
いくつかの実装では、較正ファントムが、較正プロセスで用いられる。較正ファントムは、永久に、または、選択的に、頭部計測患者サポート262に固定することができる。
図2Aは、耳ロッド268の間の等距離の位置で頭部計測患者サポート262に選択的に固定される較正ファントム281の第一の実施例を示す。後述するように、この較正ファントム281は、較正プロセスの間にキャプチャされる画像データにおいて検出することができて、少なくとも水平(x、y)平面での頭部計測患者サポートの位置を決定するために用いることができる。
【0088】
図2Bは、頭部計測患者サポートに選択的に固定される較正ファントム283の別の実施例を示す。
図2Bの較正ファントム283は、直線ロッドの末端に連結された球形胴体285を含む。球形胴体285の実際サイズおよび寸法が分かっているので、較正ファントム283を用いて、例えば、X線検出器と較正ファントム283(および、拡張して頭部計測患者サポート262)の間の距離を決定することができる。
【0089】
図2Cは、さかさにした「T」の形で設けられていて頭部計測患者サポート262に連結する、較正ファントム287のさらに別の実施例を示す。較正ファントム287は、較正ファントム287の水平部分の端に取り付けられる二つの球形胴体288、289を含む。この実施例では、球形胴体288、289は異なる直径を備えており、球形胴体288、289の直径は分かっている。したがって、さらに詳細に以下で述べるように、X線検出器ユニット226と較正ファントム287の各球形胴体288、289の間の距離は、キャプチャされた画像データの球形胴体の見かけの拡大倍率に基づいて決定することができる。
【0090】
図2Dは、較正ファントム290のさらに別の実施例を示す。較正ファントム290は、第一端部で形成される連結切欠き291を有する直線体を含み、これが、選択的に、頭部計測患者サポート262上の位置に、(例えば、較正ファントム281に関して
図2Aに示すように頭部計測患者サポート262から下方へ垂直に伸びて)較正ファントム262を連結して切り離すために、頭部計測患者サポート262上の対応する継手と選択的に係合する。較正ファントム290は、較正ファントム290に沿って異なる位置で較正ファントム290の直線体の外周の周りに形成される複数の溝292、293、294も含む。いくつかの実装では、溝は異なる幅で較正ファントム290の上に形成することができ、例えば、
図2Dの実施例の第一の溝292は、第二の溝293より広い。同様に、溝は較正ファントム290に沿って配置されて、例えば、異なる溝の対の間に較正ファントム290の異なる長さの直線体を提供することができる。例えば、
図2Dの実施例で示される較正ファントム290では、第一の溝292と第二の溝293間の直線体のセクション295は、第二の溝293と第三の溝294の間の直線体のセクション296より短い。
図2Dに示される実施例は三つの溝を含むが、他の実装では、較正ファントム290はより多いかまたはより少ない溝で形成することができる。例えば、いくつかの実装では、較正ファントムは、一つの溝だけを含むように形成してもよい。
【0091】
図3Aは、システム200を較正する方法の実施例を示す。
図3Aの較正方法は、スティックが頭部計測患者サポート262で耳ロッド回転軸に(例えば、耳バッドの中間に下に向かって垂直に伸びて)取り付けられた、
図2Aの較正ファントム281を利用する。
図3Aの実施例において、システム200は、較正プロセスの開始に応じて、較正ファントムを頭部計測患者サポート262の中央軸に配置する指示をユーザインタフェース上に表示するように構成されている(ステップ301)。X線源224および検出器ユニット226の位置が周知の座標系に基づいて制御されるので、システム200は、一つ以上の画像走査を実行することによって同じ周知の座標系における頭部計測患者サポート262の位置を決定することができる。
図3Aの実施例において、システム200は、二つの異なる走査を実行することによって、頭部計測患者サポート262の中点を決定する。最初に、システムは、第一の方向で頭部計測患者サポート262を含んでいるスペースを走査するために上部シェルフ250のピボットを調整すること(例えば、P回転)によって、「ピボットスイープ較正」(ステップ303)を実行する。それから、システムは、第二の方向でスペースを走査するために「直線スイープ較正」(ステップ305)を実行する。以下でさらに詳細に説明するように、これらの二つの較正走査に基づいて、システム200は、撮影システム200の周知の座標系のx-y平面の頭部計測患者サポート262の中点を決定することが可能である。
【0092】
頭部計測患者サポート262の中央位置を決定した後に、ユーザは較正ファントムを取り外すように指示されて(ステップ307)、システムは「頭部計測チューブスイープ較正」(ステップ309)を実行して頭部計測患者サポート262に対する頭部計測X線源265の「中央角度」位置を決定する。システムは、「二次コリメータスイープ較正」(ステップ311)も実行して、頭部計測X線源265に対する二次コリメータ266の適切な位置/方向を決定する。いくつかの実装では、システムは、較正されたシステムを使用して頭部規格撮影を実行する前に、一つ以上の機械的較正ステップ(ステップ313)および/または画素較正(ステップ315)を適用することもできる。
【0093】
図3Bは、ピボットスイープ較正303の一つの実施例をさらに詳細に示す。較正ファントムが頭部計測患者サポート262に配置された後、システム200はピボットアクチュエータを作動して上部シェルフ250を名目頭部規格撮影位置まで旋回させる(ステップ321)。上部シェルフ250のピボット移動および回転部分220がすでに(例えば、製造の間に)調整されているので、システム200は第一のX線源224および周知の座標系における検出器ユニット226の位置を認識している。回転部分220は、上部シェルフ250が頭部計測患者サポート262(例えば、上部シェルフ250と同一線上に検出器ユニット226および第一のX線源224とともに配置される)を妨げるかまたは接触させずに旋回することができる位置に回転する。それから、第一のX線源224は、較正ファントム281(ステップ323)に照射するために起動されて、システムは、ピボット回転(p回転)を操作して、頭部計測患者サポート262によって占められているスペースを走査する(ステップ325)。上部シェルフ250のピボットによって第一のX線源224および検出器ユニット226の移動が生じるにつれて、画像データが検出器ユニット226によってキャプチャされる(ステップ327)。ピボット走査が終了した後、画像データは較正ファントム281の中心を決定するために分析される(ステップ329)。
【0094】
図3Cは、直線スイープ較正305の一つの実施例をさらに詳細に示す。ピボットスイープ較正303を完了した後に、回転部分220は、第一のX線源224と検出器ユニット226間の線が(例えば、線がピボット軸からの半径方向に延びる)上部シェルフの長さに対して垂直となるように、およそ90度回転される(ステップ331)。このようにして、回転部分220は、頭部計測患者サポート262に接触すること無しに、上部シェルフ250に沿って直線的に移動することが可能である。システム200は、第一のX線源224を起動させて較正ファントム281に照射し(ステップ333)、直線移動アクチュエータを作動して、回転部分220を上部シェルフ250に沿って、直線方向に移動する(ステップ335)。回転部分220の直線移動によって第一のX線源224および検出器ユニット226の移動が生じるにつれて、画像データが検出器ユニット226によってキャプチャされる(ステップ337)。直線スイープ走査が終了した後、画像データは較正ファントム281の中心を決定するために分析される(ステップ339)。
【0095】
直線スイープおよびピボットスイープの両方を実行すると共に、較正ファントム281の中点を決定することによって、システム200は、ここで、周知の座標系のx-y平面における頭部計測患者サポートの中心点の位置を決定することが可能となる。いくつかの実装では、システム200は、別々の整列手順を利用して頭部計測患者サポート262を垂直(Z)方向に適切に整列させるように構成されている。
【0096】
図3Aに関して上述のように、システム200が撮影システム200の周知の座標系における頭部計測患者サポート262の位置を決定した後、較正ファントム281は取り外すことができる。それから、システム200は、頭部計測患者サポート262に対する他のシステムコンポーネントの適切な位置決めを決定する。
【0097】
上述のように、頭部規格撮影を実行する際に、システム200は、検出器ユニット226の位置の対応する調整をすると共に、頭部計測X線源265を回転させる(
図1AのS回転)。しかしながら、この種の走査を実行するために、頭部計測患者サポート262に対する頭部計測X線源265の位置および方向づけを決定しなければならない。
図3Dは、頭部計測患者サポート262に対する頭部計測X線源265の中央角度を決定するシステム200により用いることができる頭部計測チューブスイープ較正309の実施例を示す。検出器ユニット226は、上部シェルフ250のピボット(P回転)、上部シェルフに沿った回転部分220の直線位置および回転部分220の回転(R回転)を調整することによって位置に移動される(ステップ341)。加えて、いくつかの実装では、回転部分220の回転位置および検出器ユニット226の位置は、頭部計測X線源265からのX線ビームが検出器ユニット226に接触する前に二次コリメータを通過しないように、調整される(ステップ343)。例えば、
図1Fで示すように、パノラマおよび頭部規格撮影の間に画像データをキャプチャするために用いられる検出器227aの直線位置は、P、Lおよび/またはR移動が頭部計測患者サポート262の前もって決定された中心点に対して検出器227aを配置するように調整される一方で、較正のために案内溝236に沿って適切な位置へ移動することができる。
【0098】
検出器ユニット226が頭部計測患者サポート262の前もって決定された中心点に基づいて配置されて、二次コリメータ266がじゃまにならない所に移動した後、頭部計測X線源265が起動して(ステップ344)、頭部計測X線源265は走査のために制御可能に回転される(ステップ345)。画像データは、回転ユニット220(そして、したがって、検出器ユニット226および二次コリメータ266)が静止しているままの間に、検出器ユニット226によってキャプチャされる(ステップ346)。それから、キャプチャされたデータは分析されて、例えば、結果として最大像強度になる頭部計測X線源265の角度位置を決定する(ステップ347)。いくつかの実施例においては、次に、この角度位置を用いて、頭部計測X線源265の「中央角度」を定め、頭部規格撮影の間、頭部計測X線源265の移動(例えば、S回転)を導く(ステップ349)。他の実装では、例えば、キャプチャされた画像データの端に対応する頭部計測X線源265の角度位置が決定されて、頭部計測X線源の「中央角度」が画像データの検出端の間の中点に基づいて決定される。
【0099】
図3A、3Bおよび3Cに関する上述の実施例は
図2Aにて図示したように、較正ファントム281の使用を参照しているが、
図3Aのピボットスイープ較正および
図3Bの直線スイープ較正は、他のタイプの較正ファントム、例えば、
図2Dの較正ファントム290を用いて実行することができる。
【0100】
頭部計測患者サポート262の位置/場所がX線検出器に対して決定されて、頭部計測X線源265の位置が頭部計測患者サポート262に対して較正された後、次に、システム200は、
図3Aの例において、「二次コリメータスイープ較正」311を実行して頭部計測X線源265と検出器ユニット226の間の二次コリメータの位置決めを較正する。
図3Eは、頭部規格撮影のための二次コリメータ266の位置および方向づけを較正するために用いることができる、二次コリメータスイープ較正311の一つの実施例を示す。最初に、頭部計測X線源265は、「頭部計測チューブスイープ較正」309で決定される中央角度に戻される(ステップ351)。それから、回転部分220は、制御可能に回転されて、頭部計測患者サポート262に対して検出器ユニット226を配置して、頭部計測X線源265と検出器ユニット226の間に二次コリメータ266を配置する(ステップ352)。それから、頭部計測X線源265は起動されて(ステップ353)、二次コリメータ266の位置は走査のために制御可能に調整される(ステップ354)。二次コリメータ266の位置および角度が制御可能に調整される一方で、検出器ユニット226は画像データをキャプチャして(ステップ355)、頭部計測X線源265は静止したままである。それから、キャプチャされた画像データは分析されて、例えば、コリメーションエッジを検出して(ステップ356)、検出されたコリメーションエッジの間の最大強度に結果としてなるコリメータ位置を検出する(ステップ357)。いくつかの実施例において、それから、二次コリメータ266の「中間ポーズ」は、結果として最大強度になるように決定される位置に基づいて定められる(ステップ358)。
【0101】
システムが、X線検出器に対する頭部計測患者サポート262の位置/場所を決定し、頭部計測X線源265と二次コリメータ266の両方のための「中央位置」を決定するために較正された後、頭部規格撮影は、頭部計測X線源265、二次コリメータ266および検出器ユニット226の移動を制御可能に調整する(
図3Aのステップ317参照)と共に、画像データをキャプチャすることによって実行することができる。しかしながら、いくつかの実装では、追加の較正手順が、頭部規格撮影のシステム200を作動する前に実行されてもよい。例えば、
図3Aでは、機械的較正313および画素較正315が実行される。
【0102】
いくつかの実装では、機械的較正313は、頭部計測患者サポート262の耳ロッド268を整列配置するために実行することができ、その結果、それらが耳ロッド回転の軸で像平面においてオーバラップする。これは、例えば、横方向の頭部計測画像を露出させて、ユーザに特定の機械的調整を行うように指示するユーザインタフェース278上の指示を頭部計測患者サポート262に表示することによって達成することができる。
【0103】
さらに、いくつかの実装では、画素較正315を用いて、画素応答を較正し、および/または「傷マップ」を作成するために検出器ユニット226の欠損画素を見つけることができる。これは、例えば、回転部分220、二次コリメータ266および頭部計測X線源265を「中央位置」(例えば、像強度が最も強い場所)に配置することによって達成することができる。それから、画像データは、すべてのシステムコンポーネントが静止している間に、検出器ユニット226によってキャプチャされる。それから、キャプチャされた画像データは、いかなる欠損画素も検出して、画素応答について較正するために分析される。
【0104】
図3Aの方法では、較正ファントムが回転部分220に連結された第一のX線源224を使用して照射を受ける間に、頭部計測患者サポート262の中心位置はピボットスイープ走査および直線スイープ走査の両方を実行することによって決定される。しかしながら、他の実装で、システム200は、一つ以上の他の「スイープ」を使用して頭部計測患者サポート262の中心位置を決定するように構成することができる。また、他の実装では、システム200は、頭部計測X線源265を使用して較正ファントムを照射するように構成することができる。
【0105】
図4は、頭部計測患者サポート262の位置を決定するための他の較正方法の実施例を示す。この実施例では、周知のサイズおよび寸法、例えば、
図2Cの較正ファントム287の球形胴体288、289の周知の寸法、
図2Dの較正ファントム290の溝292、293、294の周知の幅および/または
図2Dの較正ファントム290の溝292、293、294の間のセクション295、296の周知の長さおよび幅、の本体を含む較正ファントムは、頭部計測患者サポート262に固定される。一旦較正ファントム(例えば、較正ファントム287または較正ファントム290)が取り付けられると、システム200は、頭部計測X線源265を起動させて較正ファントム287/290に照射することによって、較正ルーチンを開始する(ステップ401)。画像データは、検出器ユニット226(例えば、
図1Fに示される複合検出器)によってキャプチャされる(ステップ403)。キャプチャされた画像データは分析されて、較正ファントム287/290の周知のサイズと周知の寸法およびキャプチャされた画像データの較正ファントム287/290の見かけのサイズ/寸法に基づいて、較正ファントム287/290の拡大倍率が決定される(ステップ405)。それから、システム200は、走査が完了するまで(ステップ409)、L、RおよびP移動の組合せを使用して較正ファントム287/290に対する検出器の位置を調整する(ステップ411)。それから、システム200のための座標空間の較正ファントム287/290の位置は、検出器ユニット226の複数の周知の位置のそれぞれでキャプチャされる画像データの較正ファントム287/290の決定された拡大倍率に基づいて算出される(ステップ413)。
【0106】
周知のサイズ/寸法の複数の本体を有する較正ファントムを使用するときに、システム200は、画像データの各本体の拡大倍率を別々に決定するように構成することができる。例えば、
図2Cの較正ファントム287を使用する一方で、複数の周知の検出器位置のそれぞれでキャプチャされる画像データにおいて、システム200は、画像データの球形胴体288、289の両方を検出して、それから二つの球形胴体288、289のそれぞれの相対的な拡大倍率を算出するように構成することができる。同様に、
図2Dの較正ファントム290を使用する一方で、複数の周知の検出器位置のそれぞれでキャプチャされる画像データにおいて、システム200は、溝292、293、294のそれぞれ、および/または溝の間の各セクション295、296の、相対的な拡大倍率を算出するように構成することができる。複数の異なる検出器位置でのそれぞれの二つの球形胴体288、289、溝292、293、294および/またはセクション295、296の倍率に基づいて、システム200は、各検出器位置での検出器ユニット226と較正ファントム287/290の間の距離を決定する。決定された距離のこの集合および各決定された距離に対応する検出器ユニット226の周知の位置/方向に基づいて、それから、システム200は、システム200の座標空間における較正ファントム287/290の位置を決定する。加えて、いくつかの実施例では、システム200はまた、画像データの較正ファントム287/290の拡大倍率に基づいて(例えば、ソースオブジェクト距離(SOD)の原理を使用して)頭部計測X線源265の位置を決定するように構成されることもある。
【0107】
図4は、システム200のL、Rおよび/またはP位置の調整を、データをキャプチャした後に実行される別々の反復ステップ(ステップ411)として説明しているが、いくつかの実装では、L、Rおよび/またはP移動による検出器ユニット226の移動は、連続スイープとして実行されて、画像データは連続移動の間、異なる時間/位置で検出器ユニット226によってキャプチャされる。したがって、
図4に図示される較正方法は、単一の「スイープ」較正として実行することができる。さらに、
図4のスイープ較正の間の検出器ユニット226の経路は、例えば、撮影システム200のサイズ、位置および寸法、システム200が較正されている患者サポートならびに/または較正において用いられる較正ファントムに基づいて、種々の異なる実施例において定めることができ、および/または調整することができる。
【0108】
最後に、いくつかの実装では、システムは、追加の較正ステップ(例えば、
図3Dおよび3Eにおいて例示されるものを含む)を利用して、
図4の方法(または別の較正方法)を用いて頭部計測患者サポート262の位置を決定した後に頭部計測X線源265および/または二次コリメータ266の中央角度を決定するように構成することができる。
【0109】
上記の実施例は、組合せCT、パノラマおよび/または頭部規格撮影システムのために用いることができる可能性がある較正技術のいくつかに過ぎない。種々の実装において、
図3Aに示される較正のいくつかまたは全てを実行することができる。他の実装では、追加または他の較正を含むことができる。
【0110】
本明細書において記載されているいくつかの実施形態は、非一時的、コンピュータ可読の媒体に保存される命令を実行することによって記載されている機能性を実行するように構成された一つ以上の電子プロセッサを含むことができる。同様に、本明細書において記載されている実施形態は、記載されている機能性を実行する一つ以上の電子プロセッサによって実行可能な命令を格納している非一時的、コンピュータ可読の媒体として実装することができる。本出願において用いる場合、「非一時的コンピュータ可読媒体」は、すべてのコンピュータ可読媒体を含むが、一時的な伝播している信号から成るものではない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体は、例えば、ハードディスク、CD-ROM、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、ROM(読み取り専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、レジスターメモリ、プロセッサキャッシュまたはそれらのいかなる組み合わせも含むことができる。
【0111】
実施形態および実施例は上述の実施形態を参照して上記で説明されており、いくつかの利点が示されている。本発明がこれらの実施形態に制限されず、他の実施形態および以下の請求項を含むことは、明らかである。