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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】巻線機及び巻線方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 54/32 20060101AFI20240112BHJP
   H01F 41/064 20160101ALI20240112BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20240112BHJP
   H01F 41/096 20160101ALI20240112BHJP
   H01F 41/082 20160101ALI20240112BHJP
【FI】
B65H54/32
H01F41/064
H01F41/04 F
H01F41/096
H01F41/082
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019207760
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021082678
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000227537
【氏名又は名称】NITTOKU株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121234
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 利明
(72)【発明者】
【氏名】山岸 直樹
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110329(JP,A)
【文献】特開平11-312621(JP,A)
【文献】特開2009-055711(JP,A)
【文献】特開2001-028316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/00
B65H 57/00
H01F 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻胴部(13)の回転軸方向の両側にフランジ(14,15)が設けられた巻芯(12)を有し、供給源(10a)から供給される線材(11)を回転する前記巻芯(12)の前記フランジ(14,15)の間の前記巻胴部(13)に巻付ける巻線機(10)であって、
前記巻芯(12)とともに回転して前記供給源(10a)から供給される前記線材(11)を前記巻胴部(13)に案内する案内部材(16)と、
前記案内部材(16)を前記巻芯(12)の回転軸方向に移動させる軸方向移動手段(30)と
を備え
前記案内部材(16)が、前記巻芯(12)の回転軸に平行に設けられ前記線材(11)が通過可能な隙間を空けて先端縁が対向する一対のガイド板(16a,16b)を有し、
前記軸方向移動手段(30)は、前記一対のガイド板(16a,16b)の間の隙間を維持しつつ前記一対のガイド板(16a,16b)を前記巻芯(12)の回転軸方向に同一の速度で移動させるように構成された
ことを特徴とする巻線機。
【請求項2】
軸方向移動手段(30)は、一対のガイド板(16a,16b)の間の隙間を可変可能に構成された請求項1記載の巻線機。
【請求項3】
案内部材(16)を巻芯(12)の回転径方向に移動させる径方向移動手段(40)を備えた請求項1又は2記載の巻線機。
【請求項4】
巻胴部(13)の周囲に巻回された線材(11)が直線となる直線巻部(13a)が前記巻胴部(13)の周囲に複数形成され、案内部材(16)が複数の前記直線巻部(13a)に対向してそれぞれ設けられた請求項1ないし3いずれか1項に記載の巻線機。
【請求項5】
案内部材(16)が直線巻部(13a)の巻初め部位又は巻終わり部位のいずれか一方又は双方に設けられた請求項4記載の巻線機。
【請求項6】
一方のフランジ(14)が巻胴部(13)から離脱可能に設けられ、前記一方のフランジ(14)を前記巻胴部(13)から離接させるフランジ離接手段(50)が設けられた請求項1ないし5いずれか1項に記載の巻線機。
【請求項7】
巻胴部(13)の回転軸方向の両側にフランジ(14,15)が設けられた巻芯(12)を回転させて、回転する前記巻芯(12)の前記フランジ(14,15)の間の前記巻胴部(13)に供給源(10a)から供給される線材(11)を巻付ける巻線方法であって、
前記巻芯(12)の回転軸に平行に設けられ前記線材(11)が通過可能な隙間を空けて先端縁が対向する一対のガイド板(16a,16b)を有し前記供給源(10a)から供給される線材(11)を前記巻胴部(13)に案内する案内部材(16)を前記巻芯(12)とともに回転させつつ前記巻芯(12)の回転軸方向に移動させて、
前記一対のガイド板(16a,16b)の対向する先端縁の間を通過した前記線材(11)を前記巻胴部(13)に巻付ける
ことを特徴とする巻線方法。
【請求項8】
巻芯(12)が1回転する毎に案内部材(16)を前記巻芯(12)の回転軸方向に線材(11)の外径に相当する量移動させる請求項7記載の巻線方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸方向の両側にフランジが設けられた巻芯に線材を巻付ける巻線機及び巻線方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機や発電機などの回転電機において線材を巻回したコイルが用いられており、その高出力化のために線材の巻回数を増加することが行われる。けれども、単純に線材の巻回数を増加すると回転電機の大型化を招くことになる。そこで、回転電機の磁極間の、コイルを納めるスロットの断面積に対する線材の断面積の総和の割合(以下、占積率と記す)を高めることが行われる。
【0003】
ここで、占積率を高めるとは、巻付けられる線材の隙間を少なくすることであり、このために、回転する巻芯の近傍において、その巻芯と別に設けられたノズルを用いて線材を導き、その線材を巻芯に整列させて巻く巻線装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このように、通常の整列巻線機では、ノズルを用いて回転する巻芯の近傍に線材を導き、そのノズルを巻芯に限界まで近づけて巻線を行うことで整列巻線を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-50364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の巻線機において、ノズルを用いて線材を案内し、そこから繰出される線材を回転する巻芯に整列巻する場合、そのノズルを巻芯に接近させる必要がある。しかし、線材が実際に巻回される巻胴部の回転軸方向の両側にフランジが設けられたような巻芯がを用いた場合において、そのノズルの線材が繰出される端部を、巻胴部のフランジ側端部に接近させると、そのノズル自体がフランジに直接接触してしまうことになる。
【0007】
このため、巻胴部の両側にフランジが形成された巻芯を用いると、そのノズルを回転するフランジと干渉しないようにフランジの回転径方向の外側に置いて線材を案内することになり、ノズルと巻胴部との間にフランジの高さ以上の隙間が生じることになる。
【0008】
また、巻胴部の断面が方形を成すような巻芯にあっては、巻胴部の隅部が回転中心から一番離れることから、ノズルが巻胴部の隅部に対向した場合に、巻胴部の両側に設けられたフランジにノズルが接触しないようにしなければならない。すると、巻胴部の隅部と隅部の間の平らな箇所からノズルは更に遠ざかることになる。
【0009】
このため、巻胴部の両側にフランジが形成されている巻芯に線材を巻回する場合において、ノズルを用いて線材を案内しても、そのノズルを線材が実際に巻回される巻胴部に充分に接近させることができずに、そのノズルから繰出される線材が傾動すると、巻芯における巻胴部の所望の場所に線材を案内することが困難となる不具合があった。
【0010】
そして、巻胴部の所望の場所に線材を案内することが困難となると、巻芯に巻回される線材の巻層が増えるにつれて徐々に巻乱れが生じ、線材を密着させて巻回するいわゆる整列巻が困難となる不具合があった。特に、層数が二桁を超えるような場合には、その層数の全てにおいて整列巻を行う様なことは著しく困難となる。
【0011】
本発明の目的は、線材を巻胴部の所望の位置に案内して整列巻きし得る巻線機及び巻線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、巻胴部の回転軸方向の両側にフランジが設けられた巻芯を有し、供給源から供給される線材を回転する巻芯のフランジの間の巻胴部に巻付ける巻線機の改良である。
【0013】
その特徴ある構成は、巻芯とともに回転して供給源から供給される線材を巻胴部に案内する案内部材と、案内部材を巻芯の回転軸方向に移動させる軸方向移動手段とを備えたところにある。
【0014】
この巻線機では、案内部材が、巻芯の回転軸に平行に設けられ線材が通過可能な隙間を空けて先端縁が対向する一対のガイド板を有し、軸方向移動手段は、一対のガイド板の間の隙間を維持しつつ一対のガイド板を巻芯の回転軸方向に同一の速度で移動させるように構成されたことが好ましく、軸方向移動手段は、一対のガイド板の間の隙間を可変可能に構成されたことが更に好ましい。
【0015】
また、案内部材を巻芯の回転径方向に移動させる径方向移動手段を備えることもでき、巻胴部の周囲に巻回された線材が直線となる直線巻部が巻胴部の周囲に複数形成されている場合、案内部材を複数の直線巻部に対向してそれぞれ設けることが好ましく、この場合の案内部材は直線巻部の巻初め部位又は巻終わり部位のいずれか一方又は双方に設けることが好ましい。
【0016】
そして、一方のフランジが巻胴部から離脱可能に設けられている場合、一方のフランジを巻胴部から離接させるフランジ離接手段を設けることが更に好ましい。
【0017】
別の本発明は、巻胴部の回転軸方向の両側にフランジが設けられた巻芯を回転させて、回転する巻芯のフランジの間の巻胴部に供給源から供給される線材を巻付ける巻線方法の改良である。
【0018】
その特徴ある点は、巻芯の回転軸に平行に設けられ線材が通過可能な隙間を空けて先端縁が対向する一対のガイド板を有し供給源から供給される線材を巻胴部に案内する案内部材を巻芯とともに回転させつつ巻芯の回転軸方向に移動させて、一対のガイド板の対向する先端縁の間を通過した線材を巻胴部に巻付ける点にある。
【0019】
この巻線方法では、巻芯が1回転する毎に案内部材を巻芯の回転軸方向に線材の外径に相当する量移動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の巻線機及び巻線方法では、供給源から供給される線材を巻胴部に案内する案内部材を巻芯とともに回転させるので、巻芯が回転しても、案内部材と巻芯との相対的な位置関係は変化しないので、案内部材と巻芯における巻胴部が干渉することはない。よって、巻胴部に案内部材を充分に接近させることが可能となる。
【0021】
このように巻胴部に案内部材を接近させた状態で、回転する巻芯のフランジの間の巻胴部に案内部材により案内された線材を巻付けると、その線材は案内部材により案内されて直ちに巻胴部に達することになり、案内部材が巻胴部から離間する従来のものに比較して、その線材を所望の位置に確実に案内して巻回させることになる。
【0022】
そして、案内部材を巻芯の回転軸方向に移動させて、巻芯が1回転する毎にその案内部材を巻芯の回転軸方向に線材の外径に相当する量移動させると、巻胴部に巻回される線材は既に巻回されて回転軸方向に隣接する線材に密着するので、その間の線材間の隙間を少なくしたいわゆる整列巻が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態における巻線機を示す図4の巻芯周囲の拡大図である。
図2】その巻線機の主支持回転手段の拡大図である。
図3】その巻線機により一方のフランジが巻胴部から離間した状態を示す図4に対応する図である。
図4】その巻線機の正面図である。
図5】その巻線機の上面図である。
図6】その巻芯を示す図2のA-A線断面図である。
図7】その径方向移動手段を示す図2のB-B線断面図である。
図8】その案内部材により線材が巻胴部に案内される状態を示す斜視図である。
図9図8の矢印C方向から見た図である。
図10】その線材が巻初められる巻芯を示す上面図である。
図11】そのフランジ間の巻胴部に線材が一層において巻回された巻芯を示す図9に対応する上面図である。
図12】その一層目の線材の上に更に線材が巻初められる巻芯を示す図10に対応する上面図である。
図13】その一層目の線材の上に二層目の線材が巻回された巻芯を示す図11に対応する上面図である。
図14】その巻胴部に複数層に線材が巻回された巻芯を示す図11に対応する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【0025】
図3図5に本発明における巻線機10を示す。各図において、互いに直交するX,Y,Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、この巻線機10の構成について説明する。
【0026】
この巻線機10は、線材供給源10a(図5)から供給される線材11を回転する巻芯12のフランジ14,15の間の巻胴部13に巻付ける巻線機10である。このため、この巻線機10における巻芯12は、巻胴部13と、その巻胴部13の両側に設けられたフランジ14,15とを備えるものとなる。
【0027】
図3図6に示す様に、この実施の形態における巻芯12は、その巻胴部13は断面が方形を成すものが用いられ、その巻胴部13への線材11の巻幅を制限することになるフランジ14,15は、その外径が巻胴部13の外形よりも大きな外形を有する方形状に形成される。そして、図3に示す様に、一方のフランジ14は巻胴部13の一端側に離脱可能に取付けられ、他方のフランジ15は巻胴部13の他端に直接取付けられるものとする。
【0028】
このため、この巻線機10は、巻胴部13を他方のフランジ15とともに支持して、かつ回転させる主支持回転手段20と、一方のフランジ14を巻胴部13と同軸に支持して回転させる副支持回転手段120とを有するものとする。そして、一方のフランジ14には、巻初めの線材11を係止させる図示しない掛止部と、その掛止部に掛止された線材11を巻胴部13に引き入れる切り欠き14b(図10)が形成される場合を示す。
【0029】
この実施の形態における主支持回転手段20と副支持回転手段120は対称構造を成して構成されているので、図2に示す右半分の主支持回転手段20を代表して説明する。
【0030】
すると、他方のフランジ15が巻胴部13の他端側に取付けられた巻芯12には、フランジ15側からその中心に同軸に回転主軸21が設けられ、この回転主軸21は水平横方向(Y軸方向)に伸びて支持柱22にその先端部が枢支される。支持柱22は台座23に立設され、その支持柱22には、その回転主軸21を回転させる巻線用モータ24がその回転軸24aを回転主軸21と同軸にした状態で取付けられる。
【0031】
モータ24の回転軸24aと回転主軸21はカップリング24bにより連結され、このモータ24が駆動してその回転軸24aを回転させると、それに連結された回転主軸21を回転させるように構成される。そして、回転主軸21を回転させると、その回転主軸21に設けられた巻芯12、即ち巻胴部13と他方のフランジ15を回転させるように構成される。
【0032】
また、本発明の巻線機10は、巻芯12とともに回転して供給源10aから供給される線材11を巻胴部13に案内する案内部材16を備える。具体的に、支持柱22とフランジ14の間の回転主軸21には筒体26が嵌入される。この筒体26は回転主軸21に対して、その長手方向に移動可能であるけれども、その回転主軸21に対する回転は禁止されるように嵌入される。そして、この筒体26のフランジ15側の端縁には、その回転主軸21に直交して他方のフランジ15に間隔を開けて対向する枢支板27が取付けられ、この枢支板27に案内部材16が設けられるものとする。
【0033】
筒体26の、支持柱22側の端部は可動柱28に枢支される。可動柱28は台座23にY軸方向に移動可能に設けられた可動台29に立設され、台座23には、この可動台29を筒体26や枢支板27や案内部材16とともに巻芯12の回転軸方向に移動させる軸方向移動手段30が設けられる。
【0034】
この実施の形態における軸方向移動手段30は、台座23に巻芯12の回転軸方向(X軸方向)に伸びて互いに平行に設けられた一対のガイドレール31と、その一対のガイドレール31に巻芯12の回転軸方向に移動可能に設けられた可動台29と、一対のガイドレール31の中央を貫通するようにX軸方向に延びて台座23に設けられたボールねじ32と、このボールねじ32を回転可能にそのボールねじ32に連結された移動用モータ33とを備える。
【0035】
この実施の形態における移動用モータ33は、ボールねじ32の回転速度を変更可能なサーボモータであり、その回転軸にボールねじ32が同軸に取付けられ、そのボールねじ32に螺合する雌ねじ片29aが可動台29に取付けられる。
【0036】
この移動用モータ33には、図示しないコントローラの制御出力が接続される。そして、コントローラからの指令に基づいて移動用モータ33が駆動してボールねじ32を回転させると、それに雌ねじ片29aを介して螺合されている可動台29が、筒体26や枢支板27や案内部材16とともに巻芯12の回転軸方向(X軸方向)に移動するように構成される。
【0037】
図3図5に示す様に、主支持回転手段20と副支持回転手段120、及び、これらに設けられて案内部材16を支持して移動させる構造は左右対称に構成されており、副支持回転手段120側の部材であって主支持回転手段20側における部材に対応する部材は、主支持回転手段20の部材を示す符号に100を加えた符号を付して示すものとする。
【0038】
このような主支持回転手段20は基台17にボス18を介して取付けられ、このような主支持回転手段20と対象構造を成す副支持回転手段120は、フランジ離接手段50を介して基台17に取付けられる。
【0039】
この実施の形態におけるフランジ離接手段50は、前述した軸方向移動手段30と同様な構造であって、基台17に巻芯12の回転軸方向(X軸方向)に伸びて互いに平行に設けられた一対のガイドレール51と、その一対のガイドレール51の中央を貫通するようにX軸方向に延びて設けられたボールねじ52と、このボールねじ52を回転可能にそのボールねじ52に連結された離間用モータ53とを備える。
【0040】
副支持回転手段120における台座123は一対のガイドレール51に移動可能に搭載される。また、離間用モータ53の回転軸53aにはボールねじ62が同軸に取付けられ、そのボールねじ62に螺合する雌ねじ片123aが副支持回転手段120における台座123に取付けられる。
【0041】
また、離間用モータ53には、図示しないコントローラの制御出力が接続され、コントローラからの指令に基づいて離間用モータ53が駆動してボールねじ52を回転させると、それに螺合されている雌ねじ片123aが副支持回転手段120とともに、巻芯12の回転軸方向(X軸方向)に移動するように構成される。
【0042】
このようなフランジ離接手段50により副支持回転手段120が移動すると、その副支持回転手段120が支持する一方のフランジ14と巻胴部13との間隔が変化し、図4に示す様に、一方のフランジ14を巻胴部13の一端に接触させることにより、その巻胴部13への線材11の巻回を可能にするとともに、図3に示す様に、一方のフランジ14を巻胴部13の一端から離間させることにより、その巻胴部13に巻回された線材11をその巻胴部13から離脱可能に構成される。
【0043】
図5に示すように、この実施の形態における巻線機10は、供給源がドラム10aである場合を示し、このドラム10aに線材11を巻回して貯線し、そのドラム10aから繰出される線材11に所定のテンションを付与するテンション装置10bが設けられた移動台10cにそのドラム10aを枢支するものとする。ここで、図5における符号10gは、テンション装置10bに設けられてドラム10aから繰出される線材11を巻芯12に向けて通過させるノズル10gを示すものとする。
【0044】
また、この巻線機10は、そのノズル10gを巻芯12の回転軸方向に移動させるノズル移動手段10hが設けられるものとし、このノズル移動手段10hは、巻芯12に隣接して基台17に巻芯12の回転軸に平行に設けられて移動台10cが載置されたレール10dと、レール10dに平行に設けられて移動台10cに螺合するボールねじ10eと、このボールねじ10eを回転させて、この移動台10cをレール10dに沿って移動させるモータ10fとを有するものとする。
【0045】
図1に示す様に、この巻線機10は、線材11を巻胴部13に案内する案内部材16を備えるけれども、この実施の形態における案内部材16は、巻胴部13の両側に設けられたフランジ14,15をそれぞれ貫通して巻芯12の回転軸に平行に設けられた一対のガイド板16a,16bであり、そのうちの一方が副支持回転手段120における枢支板127に設けられ、他方が主支持回転手段20における枢支板27に設けられる場合を示す。
【0046】
この実施の形態では、図6に示す様に、巻胴部13の断面が方形を成して周囲に4面の平面部13aが形成された巻芯12を用いる。このため、巻胴部13に線材11が巻回されると、周囲の平面部13aに重合する線材11は直線となるので、この平面部は線材11が直線となる直線巻部13aを形成し、案内部材16は、この4つの直線巻部13aに対向してそれぞれ設けられる。そして、この案内部材16は、その直線巻部13aの巻初め部位に設けられるものとする(図8)。
【0047】
即ち、図1図2図6図8及び図9に示す様に、直線巻部13aの巻初め部位に対応して、巻胴部13の両側に設けられたフランジ14,15の対向位置には、ガイド板16a,16bが通過するスリット14a,15aがそれぞれ形成され、ガイド板16a,16bは、このスリット14a,15aに挿通されて回転軸に平行に設けられる。
【0048】
図1におけるガイド板16a,16bは、スリット14a,15aに挿通されることによりフランジ14,15を貫通して、巻芯12の回転軸に平行に設けられ、図1に示す様に、このスリット14a,15aに挿通されたガイド板16a,16bの基端が、主支持回転手段20及び副支持回転手段120におけるそれぞれの枢支板27,127に取付けられる。
【0049】
この実施の形態では、それらの枢支板27,127に案内部材16であるガイド板16a,16bが巻芯12の回転径方向にそれぞれ移動可能に設けられるものとする。主支持回転手段20における枢支板27に設けられて、巻胴部13に固定された他方のフランジ15を貫通するガイド板16bを代表して説明すると、図2及び図7に示す様に、このガイド板16bが設けられる枢支板27には径方向に延びるレール36がフランジ15におけるスリット15aに平行に取付けられ、可動板37がこのレール36に往復移動可能に搭載される。
【0050】
枢支板27にはフランジ15におけるスリット15aに対向するスリット27aが形成され、フランジ15におけるスリット15aに挿通されて更に枢支板27のスリット27aを通過したガイド板16bの基端が可動板37に取付けられる。そして、この主回転支持手段20には、案内部材16であるガイド板16bを枢支板27の回転径方向に移動させる径方向移動手段40が備えられる。
【0051】
図2に示す様に、この実施の形態における径方向移動手段40は、枢支板27が端部に設けられた筒体26の長手方向に移動可能であってかつ筒体26に対して回転不能に筒体26に嵌入された外筒41と、この外筒41と可動板37とを連結するリンク片42と、この外筒41を回転主軸21の長手方向に移動させる筒移動手段43とを備える。
【0052】
筒移動手段43は、前述した軸方向移動手段30と同様な構造であって、この実施の形態における筒移動手段43は、可動台29に巻芯12の回転軸方向(X軸方向)に伸びて互いに平行に設けられた一対のガイドレール44と、その一対のガイドレール44に筒体26の回転軸方向に移動可能に設けられた係合片46と、一対のガイドレール44の中央を貫通するようにX軸方向に延びて可動台29に設けられたボールねじ47と(図1及び図4)、このボールねじ47を回転可能にそのボールねじ47に連結された筒移動用モータ48とを備える。
【0053】
この実施の形態における筒移動用モータ48は、ボールねじ47の回転速度を変更可能なサーボモータであり、その回転軸にボールねじ47が同軸に取付けられ、そのボールねじ47には係合片46が螺合される。外筒41には径方向に拡大した円形のフランジ41aが形成され、係合片46はこのフランジ41aを外筒41の軸方向から挟み、その外筒41の回転を許容しつつ係合片46と別に独立した軸方向の移動を禁止するように構成される。
【0054】
また、筒移動用モータ48には、図示しないコントローラの制御出力が接続され、コントローラからの指令に基づいて筒移動用モータ48が駆動してボールねじ47を回転させると、それに螺合されている係合片46が外筒41とともに、筒体26の回転軸方向(X軸方向)に移動するように構成される。
【0055】
このような筒移動手段43により外筒41が移動すると、その外筒41と枢支板27との間隔が変化し、枢支板27に移動可能に設けられてリンク片42を介してその外筒41と連結された可動板37がガイド板16bとともに枢支板27の回転径方向に移動するように構成される。
【0056】
即ち、このような筒移動手段43を有する径方向移動手段40は、筒移動手段43により外筒41が移動すると、枢支板27に設けられた複数の可動板37を同時に径方向に移動させ、それら複数の可動板37に基端が取付けられたガイド板16bの全てを同時に移動させて、巻芯12における巻胴部13の外面からの距離を可変可能に構成される。
【0057】
ここで、副支持回転手段120における枢支板127にガイド板16aが設けられる構造は、主支持回転手段20における枢支板27にガイド板16bが設けられる構造と対称構造であり、繰り返しての説明を省略するけれども、副支持回転手段120の主支持回転手段20に対応する部材は、主支持回転手段20の部材を示す符号に100を加えた符号を付して示すものとする。
【0058】
そして、図示しないコントローラは、主回転支持手段20及び副回転支持手段120におけるそれぞれの径方向移動手段40,140を同期制御して、巻芯12における巻胴部13の外面から距離を同一にして、一対のガイド板16a,16bの先端縁が常に対向するように制御するものとする。
【0059】
これとともに、この図示しないコントローラは、主回転支持手段20及び副回転支持手段120におけるそれぞれの軸方向移動手段30,130を制御して、枢支板27,127や案内部材16を巻芯12の回転軸方向(X軸方向)に移動調整して、一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の間の隙間S(図9)を調節し、その間に線材11が通過可能な隙間Sを形成するように構成される。
【0060】
また、図示しないコントローラは、主回転支持手段20及び副回転支持手段120におけるそれぞれの巻線用モータ24,124を同期制御して、それらの回転主軸21,121に設けられた巻芯12、即ち両側にフランジ14,15が設けられた巻胴部13から成る巻芯12を一体的に回転させて、供給源10aから供給される線材11をフランジ14,15の間の巻胴部13に巻付けるように制御するものとする。
【0061】
この線材11の巻回に際して、図8に示す様に、巻芯12とともに回転する案内部材16は、線材11を巻胴部13に案内することになるけれども、案内部材16が一対のガイド板16a,16bから成るこの実施の形態では、図8及び図9に示す様に、案内部材16である一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁に、巻芯12における巻胴部13から遠ざかるに従って間隔を拡大させる傾斜縁16c,16dがそれぞれ形成されるものとする。
【0062】
この傾斜縁16c,16dにより、図9の一点鎖線で示す様に、一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の線材11が通過可能な隙間Sに対してずれた方向からその隙間Sに向かう線材11は傾斜縁16c,16dに接触することになり、一点鎖線の矢印で示す様に、その傾斜により線材11が通過可能な隙間Sにその線材11を案内するように構成される。
【0063】
そして、図示しないコントローラは、主回転支持手段20及び副回転支持手段120におけるそれぞれの軸方向移動手段30,130を制御して、枢支板27,127や案内部材16を巻芯12の回転軸方向(X軸方向)に移動調整して、一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の間に形成された線材11が通過可能な隙間Sを維持しつつ、一対のガイド板16a,16bを巻芯12の回転軸方向に同一の速度で移動させるように構成される。
【0064】
次に、このように構成された巻線機を用いた本発明の巻線方法について説明する。
【0065】
本発明の巻線方法は、巻胴部13の回転軸方向の両側にフランジ14,15が設けられた巻芯12を回転させて、回転する巻芯12のフランジ14,15の間の巻胴部13に供給源10aから供給される線材11を巻付ける巻線方法である。
【0066】
上記巻線機10を用いることから、一方のフランジ14は巻胴部13の一端側に離脱可能に取付けられ、他方のフランジ15は巻胴部13の他端に直接取付けられた巻芯12を用い、巻胴部13を他方のフランジ15とともに主支持回転手段20により支持し、一方のフランジ14を副支持回転手段120に巻胴部13と同軸に支持するものとする。そして、図4に示す様に、一方のフランジ14を巻胴部13の一端に接触させた状態で巻線を行うものとする。
【0067】
一方、上記巻線機10を用いるので、図5に示す様に、線材11にあっては、ドラム10aに巻回された状態で準備され、その線材11を供給源となるドラム10aから引き出して、テンション装置10bにおけるノズル10gに挿通させておく。そして、ノズル10gに挿通した線材11を、図10では、一方のフランジ14の図示しない掛止部に係止させ、その掛止部に掛止された線材11を切り欠き14bから巻胴部13に引き入れておく。この時、ノズル移動手段10h(図5)は、巻胴部13に引き入れられた線材11が一方のフランジ14に沿うような位置にまでノズル10gを移動させることが好ましい。
【0068】
その後、巻芯12を回転させて、巻線を行うことになるけれども、図4及び図5に示す様に、この巻芯12の回転にあっては、主回転支持手段20及び副回転支持手段120におけるそれぞれの巻線用モータ24,124を同期制御することにより行われ、回転する巻芯12のフランジ14,15の間の巻胴部13に供給源となるドラム10aからノズル10hを介して供給される線材11を巻付ける。
【0069】
そして、本発明の巻線方法の特徴ある点は、この巻線時において、供給源10aから供給される線材11を巻胴部13に案内する案内部材16を巻芯12とともに回転させて、案内部材16により案内される線材11を巻胴部13に巻付けるところにある。
【0070】
上記巻線機10では、巻芯12が取付けられた回転主軸21,121に回転不能に筒体26,126を嵌入し、この筒体26,126に一体的に設けられた枢支板27,127に案内部材16を設けるので、巻線用モータ24,124を駆動して、巻芯12とともに回転主軸21,121を回転させることにより、同時に案内部材16を巻芯12とともに回転させることになる。
【0071】
案内部材16は、供給源10aから供給される線材11を巻胴部13の回転軸方向の所望に位置に案内するものであり、この巻線に際して上記巻線機10における図示しないコントローラは、主回転支持手段20及び副回転支持手段120におけるそれぞれの軸方向移動手段30,130を制御して、案内部材16である一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の間に線材11が通過可能な隙間S(図9)を形成し、その隙間Sに線材11を通過させることにより、巻胴部13の所望の位置に案内することになる。
【0072】
そして、主回転支持手段20及び副回転支持手段120におけるそれぞれの径方向移動手段40,140を同期制御して、巻芯12における巻胴部13の外面に一対のガイド板16a,16bを近づける。具体的に、図9に示す様に、巻胴部13の外面と一対のガイド板16a,16bとの間の間隔tを、線材11の外径dよりもわずかに広い隙間とすることが好ましい。
【0073】
ここで、この実施の形態では、巻胴部13の断面が方形を成す巻芯12を用いた巻線であるけれども、案内部材16を巻芯12とともに回転させるので、巻芯12が回転しても、案内部材16と巻芯12との相対的な位置関係は変化しない。このため、案内部材16と巻芯12における巻胴部13が干渉することはない。よって、巻胴部13の外周における隅部と隅部の間の平らな直線巻部13aであっても、この案内部材16を充分に接近させることが可能となる。
【0074】
このように巻胴部13に案内部材16を接近させた状態で、図8に示す様に、案内部材16とともに巻芯12を回転させ、回転する巻芯12のフランジ14,15の間の巻胴部13に、供給源となるドラム10a(図5)から供給されて、案内部材16である一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の間を通過した線材11を巻付ける。
【0075】
すると、図9に示す様に、その一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の間を通過した線材11は直ちに巻胴部13に達するので、その線材11を所望の位置に確実に案内できることになる。
【0076】
この実施の形態において、図9に示す様に、案内部材16である一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁に傾斜縁16c,16dをそれぞれ形成しているので、一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の線材11が通過可能な隙間からずれた方向から線材11がその隙間に向かったとして、その線材11は傾斜縁16c,16dに接触して、線材11が通過可能な隙間Sに移動し、その隙間Sから巻胴部13の所望の位置に案内されることになる。
【0077】
そして、一対のガイド板16a,16bの先端縁における隙間Sを維持しつつ、図9の破線矢印で示す様に、その一対のガイド板16a,16bを巻芯12の回転軸方向に同一の速度で移動させて、巻芯12が1回転する毎に、一対のガイド板16a,16bから成る案内部材16を巻芯12の回転軸方向に線材11の外径に相当する量移動させる。
【0078】
すると、巻胴部13に巻回される線材11は既に巻回されて回転軸方向に隣接する線材11に密着して巻回されることになる。このとき、ノズル移動手段10h(図5)は、ノズル10gを案内部材16と同方向に同一の速度で動かすことも好ましい。
【0079】
特に、この実施の形態では、断面が方形を成す巻胴部13の直線巻部13aの巻初め部位に案内部材16を設けているので、その直線巻部13aの巻初め位置に正確に線材11が案内されることになり、そこに並んで巻回された線材11と線材11は確実に密着してその間の隙間を少なくしたいわゆる整列巻が可能となる。
【0080】
そして、図11に示す様に、フランジ14,15の間の巻胴部13の全てに線材11を密着して巻回させると、その巻胴部13に第一層目の巻線が成されることになる。
【0081】
第一層目の巻線が成された後において、その第一層目の巻線の上に更に線材11を巻回する場合には、主回転支持手段20及び副回転支持手段120におけるそれぞれの径方向移動手段40,140を再び同期制御して、巻胴部13から一対のガイド板16a,16bまでの間隔を拡大させ、図12に示す様に、巻胴部13に既に整列巻された第一層目の線材11の外面と一対のガイド板16a,16bとの間の隙間を線材11の外径よりもわずかに広い隙間とする。
【0082】
その後、案内部材16とともに巻芯12を回転させるとともに、一対のガイド板16a,16bの先端縁における隙間Sを維持しつつ、図13の実践矢印で示す様に、その一対のガイド板16a,16bを巻芯12の回転軸方向に同一の速度で移動させて、巻芯12が1回転する毎に、一対のガイド板16a,16bから成る案内部材16を線材11の外径に相当する量移動させる。
【0083】
このときにあっても、ノズル移動手段10h(図5)は、ノズル10gを案内部材16と同方向に同一の速度で動かすことも好ましい。このようにして、巻胴部13に既に整列巻された一層目の線材11の外面に、一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の間を通過した線材11を更に整列巻して、その一層目の線材11の上に2層目の線材11を互いに密着させて整列に巻回する。
【0084】
このようなことを繰り返えせば、図14に示す様に、巻芯12の巻胴部13に線材11を複数の層において巻回することができる。
【0085】
そして、巻芯12に所望の回数の線材11を巻回させた後には、図3に示す様に、フランジ離接手段50により一方のフランジ14を巻胴部13の一端から離間させて、その巻胴部13に巻回された線材11をその巻胴部13から離脱させることになる。
【0086】
ここで、巻胴部13の両側に設けられたフランジ14,15にスリット14a,15aを形成し、このスリット14a,15aに一対のガイド板16a,16bを挿通しているので、一対のガイド板16a,16bを巻芯12の回転軸方向に移動させると、図10図13に示す様に、いずれかのガイド板16a,16bの先端縁をフランジ14,15の内面に面一にすることができる。
【0087】
このように、いずれかのガイド板16a,16bの先端縁をフランジ14,15の内面に面一にすると、一対のガイド板16a,16bの対向する先端縁の間を通過した線材11はそのフランジ14,15に隣接する巻胴部13又はそこに既に巻回された線材11の上に案内されることになる。
【0088】
このため、この状態から、巻芯12が1回転する毎に案内部材16である一対のガイド板16a,16bを巻芯12の回転軸方向に線材11の外径に相当する量移動させるように巻線することにより、フランジ14,15の間の巻胴部13の全てにおいて線材11を整列させて巻回することが可能となる。
【0089】
よって、本発明によれば、巻芯12に巻回される線材11の巻層、即ち、フランジ14,15の間の巻胴部13に回転軸方向に密着して巻回される線材11の回転径方向における巻層が増えたとしても、各層においてフランジ14,15の間の全てにおいて線材11を密着させて整列巻きすることにより線材11の巻乱れは防止され、層数が二桁を超えるような場合であっても、その層数の全てにおいて整列巻を行う様なことが可能となるのである。
【0090】
なお、上述した実施の形態では、巻芯12における巻胴部13の断面が方形状を成して、巻胴部13の周囲に4面の平面部13aが形成される場合を説明した。即ち、巻胴部13に線材11が巻回された場合に、この平面部13aにおいて線材11は直線となるので、線材11が直線となる直線巻部13aが4面形成された巻芯12を用い、その4面の全てに案内部材16を設ける場合を説明した。
【0091】
けれども、巻胴部13の断面形状は方形に限定されず、例えば、巻胴部13の断面は円形や楕円形やトラック状を成すような巻芯12であっても良い。例えば、巻胴部31の断面がトラック状を成すような巻芯12にあっては、巻胴部31の周囲に直線巻部13aが2面形成されることになるけれども、このような巻芯12であっても、その2面に案内部材16を設けることにより、線材11を巻胴部13の所望の位置に案内して整列巻きすることが可能となる。
【0092】
また、上述した実施の形態では、案内部材16が一対のガイド板16a,16bを有する場合を説明した。けれども、巻芯12とともに回転して供給源10aから供給される線材11を巻胴部13に案内し得る限り、案内部材16はこれに限られず、別のものであっても良い。
【0093】
また、上述した実施の形態では、案内部材16である一対のガイド板16a,16bが直線巻部13aの巻初め部位に設けられる場合を説明した。けれども、案内部材16は、直線巻部13aの巻回方向の中央に設けても良く、直線巻部13aの巻終わり部位に設けても良く、巻初め部位と巻終わり部位の双方に設けても良い。
【0094】
例えば、案内部材16である一対のガイド板16a,16bを直線巻部13aの巻初め部位と巻終わり部位の双方に設けるようにすれば、線材11を直線巻部13aに直線的に案内して、線材11を確実に整列巻きすることが可能となる。
【0095】
また、上述した実施の形態では、巻胴部13から離脱可能な一方のフランジ14を巻胴部13から離接させるフランジ離接手段50が設けられた巻線機10を説明した。けれども、フランジ離接手段50を設けることなく、作業員がその手で一方のフランジ14を巻胴部13から離接させて、その巻胴部13に巻回された線材11から成るコイルをその巻胴部13から取り出すようなものであっても良い。
【0096】
また、上述した実施の形態では、主回転支持手段20及び副回転支持手段120に別々に設けられた2つの巻線用モータ24,124を同期制御して巻芯12を回転させる場合を説明した。けれども、図示しないが、単一のモータにより巻胴部の両側にフランジが設けられた巻芯を回転させるようにしても良い。
【0097】
更に、上述した実施の形態では、案内部材16を巻芯12の回転径方向に移動させる径方向移動手段40を備えたけれども、巻回された線材11の層数が単一か又は少ないような場合には、巻芯12における巻胴部13に案内部材16を近づけて設けるだけで、線材11を巻胴部13の所望の位置に案内し得るので、径方向移動手段40を敢えて備えることを必要としない。
【符号の説明】
【0098】
10 巻線機
10a ドラム(供給源)
11 線材
12 巻芯
13 巻胴部
13a 直線巻部
14 一方のフランジ
15 他方のフランジ
16 案内部材
16a,16b ガイド板
30 軸方向移動手段
40 径方向移動手段
50 フランジ離接手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14