(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】積極的寸法解析を利用してケーブルにスリーブを装着するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/14 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H02G1/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019208043
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】グレース エル.ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン オー.マーティン
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特表平06-506082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0267498(US,A1)
【文献】特開昭62-047910(JP,A)
【文献】特開2009-032516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルに物体を融着するための装置であって、
加熱ゾーンにおいて前記物体の材料を溶融するのに十分な熱を生成可能なヒータと、
前記加熱ゾーンに向けて配置されるとともに、光を送信して、送信された光が妨害されている状態と妨害されていない状態との間の遷移を示すセンサデータを取得する光電センサと、
前記光電センサからセンサデータを受信するように機能的に接続されたコンピュータシステムと、を含み、前記コンピュータシステムは、前記センサデータを用いて、前記物体の寸法についての測定値を算出し、前記測定値が、完全に溶融した物体に対応する目標値に等しくなった場合に警告信号を出すように構成されている、装置。
【請求項2】
前記コンピュータシステムは、前記ヒータにヒータ制御信号を送信するように機能的に接続されており、前記コンピュータシステムは、前記ヒータの状態を変化させるようにさらに構成されており、これによって、前記ヒータは、前記測定値が前記目標値に等しくなったことを受けて前記加熱ゾーンにおいて熱を生成するのを停止する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ケーブルは、露出シールドを有するシールドケーブルであり、前記物体は、はんだスリーブ又はデッドエンドスリーブである、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記光電センサは、前記加熱ゾーンに交差する走査平面内を走査する光を送信するように、且つ、前
記光の妨害の開始及び停止を示す
それぞれのエッジ検出信号を生成するように、配置及び構成されており、前記コンピュータシステムは、前記それぞれのエッジ検出信号を受信すると、クロックパルス数のカウントを開始及び停止し、前記カウントが、前記目標値に対応する値に到達すると、前記ヒータを停止するようにさらに構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記光電センサは、走査光ビーム送信機、及び、光検出素子のアレイを含み、前記コンピュータシステムは、さらに、
前記走査光ビーム送信機から送信され、且つ、前記光検出素子の前記アレイによって受信される光が妨害される妨害期間を算出し、
算出された前記妨害期間と前記目標値とを比較し、
算出された前記妨害期間が前記目標値に等しい場合に、前記ヒータを停止するための制御信号を発信する、ように構成されている、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
ケーブルの一部を支持するように配置及び構成されたケーブル支持体をさらに含み、前記ケーブルの支持は、前記ケーブルの露出シールドの周りに配置されたスリーブが前記加熱ゾーン内に配置されるように行われる、請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記加熱ゾーンの前に設けられたじょうご部と、
ニップを形成するとともに、このニップに配置されたケーブルを前記じょうご部に押し込むように動作可能な一対のホイールと、
前記一対のホイールの回転駆動のために機能的に接続されたモータと、をさらに含み、
前記コンピュータシステムは、前記モータを起動して、前記一対のホイールをケーブル押出し方向に回転駆動させるようにさらに構成されており、これによって、前記じょうご部にケーブルの露出シールドを通過させて当該露出シールドを前記加熱ゾーンに到達させる、請求項1~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
ケーブルに物体を融着するための方法であって、
(a)加熱ゾーンにおいてケーブルに物体を配置することと、
(b)前記加熱ゾーンにおいて、前記物体の材料を溶融するのに十分な熱を生成するために、熱源を使用することと、
(c)溶融中に前記物体の寸法を測定することと、
(d)
測定した測定寸法が目標寸法と等しくなると、これを受けて、前記熱源が前記加熱ゾーンにおける熱の生成を停止するように、前記熱源の状態を変化させることと、を含む方法。
【請求項9】
前記測定寸法が前記目標寸法に等しくなると、警告信号を出すことをさらに含み、工程(d)は、前記警告信号が出された後に人間のオペレータによって実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(d)は、コンピュータシステムによって実行される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)は、スリーブの外径を測定することを含む、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
工程(c)は、
前記加熱ゾーンに交差する走査平面内を走査する光を送信することと、
前
記光の妨害が開始したことを示す第1エッジ検出信号を発信することと、
前記第1エッジ検出信号の受信に応答してクロックパルス数のカウントを開始することと、
前
記光の妨害が終了したことを示す第2エッジ検出信号を発信することと、
前記第2エッジ検出信号の受信に応答してクロックパルス数のカウントを停止することと、を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
停止された前記カウントと、前記スリーブの目標寸法に対応する目標カウントとを比較することをさらに含み、工程(d)は、停止された前記カウントが前記目標カウントと等しくなると、これを受けて、前記加熱ゾーンにおける熱の生成を停止するため
にヒータを制御することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(a)は、
前記ケーブルの周りに前記物体を配置することと、
前記ケーブルの一部を支持するように配置及び構成されたケーブル支持体を用いて前記ケーブルを支持することと、を含み、前記ケーブルの支持は、前記ケーブルの周りに配置された前記物体が、前記加熱ゾーン内に配置されるように行われる、請求項8~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
工程(a)は、
前記ケーブルの一部を、ニップを形成する一対のホイールの間に配置することと、
ロボットによって、前記ニップに面した入口側を有するじょうご部の延長部に前記物体を配置することと、
前記ホイールをケーブル押出し方向に回転駆動させることにより、前記じょうご部及び物体を通過するように前記ケーブルの端部を前記加熱ゾーンに移動させることと、を含む、請求項8~13のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ケーブルを加工するための方法及び装置に関する。具体的には、本開示は、ケーブルの端部にスリーブを装着するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドケーブルには、電磁干渉を防ぐために、シールドが組み込まれている。例えば、導体は、金属製の組み紐状シールドで囲まれている。シールドは金属製であるため、接地経路としての役割も果たす。通常、シールドケーブルには、アース線が組み込まれており、アース線は、シールドケーブル中の、ジャケットに被覆されていない部分(unjacketed portion)においてシールドに接触している。一般的に、アース線は、はんだスリーブを用いて取り付けられる。このスリーブは、熱可塑性材料で形成された管と、中央はんだリングとを含む。シールドケーブルの端部における露出シールドの周りにはんだスリーブを配置し、このはんだスリーブを加熱することにより、熱可塑性材料が収縮するとともに、中央はんだリングが所定位置で溶融する。
【0003】
本明細書において、「スリーブ」という用語は、収縮可能な材料によって形成された管を意味し、例えば、熱可塑性材料(収縮する)及びはんだリング(溶融する)によって形成されたはんだスリーブ、あるいは、熱可塑性材料によって形成され、はんだリングを有しないデッドエンドスリーブである。はんだスリーブの装着は、熱可塑性材料の収縮及びはんだリングの溶融を伴う。デッドエンドスリーブの装着は、熱可塑性材料の収縮を伴う。本明細書において、「はんだスリーブを溶融する」とは、はんだリングの溶融とともに熱可塑性材料を収縮させることを含み、「スリーブを収縮させる」とは、はんだリングの溶融を伴って(例えばはんだスリーブの場合)あるいは伴わずに(例えばデッドエンドスリーブの場合)、熱可塑性材料を収縮させることを含む。
【0004】
はんだスリーブの装着は、現在のところ、オペレータによって手作業で行われるプロセスである。はんだスリーブを溶融するためにオペレータが使用するツールには様々なものがある。これらのツールは、典型的には、熱風や赤外線熱を用いてはんだを活性化させ、スリーブを収縮させるものである。これらのツールは通常、手で保持する形態であり、オペレータは、はんだスリーブの溶融の経過を視覚的にモニターする必要がある。
【0005】
はんだスリーブが完全に溶融したことは、物理的な外観に基づいて判断される。しかしながら、様々な種類のはんだスリーブ及びワイヤの組合せに対し、溶融時間は様々である。はんだスリーブの材料にも多様性があり、また、これらの設計公差も大きいため、溶融が起こるタイムラインは一律ではない。はんだスリーブは、その設計及び材料のために、燃えることなく完全に溶融させるまでの速さには限界がある。このような高い多様性により、溶融時間及び溶融温度を標準化するのが困難、あるいは不可能である。このため、オペレータは、はんだスリーブが溶融する際に、当該スリーブから目を離さず、積極的な監視を行う(actively monitor)ことが求められる。この結果、オペレータは他の作業を行うことができなくなる。このようなことから、材料及び温度の違いに関わらず、収縮するスリーブが(はんだリングの溶融を伴う場合も伴わない場合も)十分に加熱された時点を判断するための一貫した方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
以下に詳しく開示する構成要件は、はんだスリーブ及びデッドエンドスリーブをシールドケーブルに装着するために、これらのスリーブを溶融及び監視するハンズフリー装置に関する。この装置は、スリーブを溶融するための熱源と、溶融プロセス中にケーブルを支持するためのケーブル支持体と、溶融中にスリーブの寸法を測定するように構成されたセンサシステムと、センサシステムからセンサデータを受信して、熱源に制御信号を送信するように接続されたコンピュータと、を含む。コンピュータは、センサシステムから寸法データを受信し、寸法解析を行って当該寸法データを監視し、ケーブルに対してスリーブが完全に融着していることを示す寸法解析の結果を受けて、熱源を停止するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、コンピュータは、測定したシールドケーブルの直径と、変化するはんだスリーブの直径とを比較して、はんだスリーブが完全に溶融した時点を把握する。はんだスリーブの直径が所定の閾値に到達すると、システムは、熱源の除去や停止を行うために信号を送信する。
【0007】
本開示の装置は、溶融プロセスにおいて、オペレータが積極的にはんだスリーブを監視している必要がないので、オペレータは他の有用な作業を実行することができる。上記装置はまた、自動ケーブル加工ラインで使用可能なように適合されている。より具体的には、本開示のはんだスリーブ装着装置は、ベンチトップに配置されてもよいし、ケーブル配送システム、及び、当該ケーブル配送システムにアクセス可能な複数のワークステーションを含む、自動化された生産ラインに組み込むことができる。この自動生産ラインにおいて、各ワークステーションは、其々のケーブル加工モジュール(ハードウェア及びソフトウェアを含む)を備えており、各モジュールは、ケーブルの一端にはんだスリーブ又はデッドエンドスリーブが取り付けられたシールドケーブルを生産するように設計された一連の作業のうちの、其々の特定の作業を行う。ワークステーションのうちの1つは、以下に詳細に述べるはんだスリーブ装着装置を有する。
【0008】
ケーブルにスリーブを装着する方法及び装置の様々な実施形態を以下に詳しく説明するが、これらの実施形態のうちの1つ以上は、以下の側面のうちの1つ以上によって特徴付けることができる。
【0009】
以下に詳細に述べる構成要件の一側面は、ケーブルにスリーブを装着するための装置であって、当該装置は、ケーブルに物体を融着するための装置を含む。この融着のための装置は、加熱ゾーンにおいて前記物体の材料を溶融するのに十分な熱を生成可能なヒータと、前記加熱ゾーンに向けて配置されるとともに、光を送信して、送信された光が妨害されている状態と妨害されていない状態との間の遷移を示すセンサデータを取得する光電センサと、前記光電センサからセンサデータを受信するように機能的に接続されたコンピュータシステムと、を含み、前記コンピュータシステムは、前記センサデータを用いて、前記物体の寸法についての測定値を算出し、前記測定値が、完全に溶融した物体に対応する目標値に等しくなった場合に警告信号を出すように構成されている。スリーブの溶融作業が自動である場合、前記コンピュータシステムは、前記ヒータにヒータ制御信号を送信するように機能的に接続されるとともに、前記ヒータの状態を変化させるようにさらに構成されており、これによって、前記ヒータは、前記測定値が前記目標値に等しくなったことを受けて前記加熱ゾーンにおいて熱を生成するのを停止する。
【0010】
以下に詳細に述べる構成要件の他の側面は、ケーブルに物体を融着するための方法であって、この方法は、(a)加熱ゾーンにおいてケーブルに物体を配置することと、(b)前記加熱ゾーンにおいて、前記物体を溶融するのに十分な熱を生成するために、熱源を使用することと、(c)溶融中に前記物体の寸法を測定することと、(d)前記測定寸法が目標寸法と等しくなると、これを受けて、前記熱源が前記加熱ゾーンにおける熱の生成を停止するように、前記熱源の状態を変化させることと、を含む。いくつかの実施形態によれば、上記方法は、前記測定寸法が前記目標寸法に等しくなると、警告信号を出すことをさらに含み、工程(d)は、前記警告信号が出された後に人間のオペレータによって実行される。他の実施形態によれば、工程(d)は、コンピュータシステムによって実行される。
【0011】
以下に詳細に述べる構成要件のさらなる側面は、ケーブルにスリーブを融着するための装置である。この装置は、ケーブルを支持するように配置及び構成されたケーブル支持体であって、前記ケーブルの周りに配置されたスリーブが、前記ケーブル支持体の間における加熱ゾーン内に配置されるように前記ケーブルを支持するケーブル支持体と、前記加熱ゾーンにおいて熱を生成するように配置及び構成されたヒータと、前記加熱ゾーンに向けて配置されるとともに、前記スリーブの寸法の測定結果であるセンサデータを取得するように構成されたセンサと、前記センサからセンサデータを受信するように機能的に接続されたコンピュータシステムと、を含み、前記コンピュータシステムは、前記センサデータを用いて、前記スリーブの寸法についての測定値を算出し、前記測定値が、完全に溶融したスリーブに対応する目標値に等しくなった場合に警告信号を出すように構成されている。
【0012】
さらに他の側面は、ケーブルにスリーブを融着するための方法であって、この方法は、ケーブルにスリーブを配置することと、前記加熱ゾーンの両側に位置する一組のケーブル支持体の間で前記ケーブルを支持し、その際、前記スリーブが前記加熱ゾーンに配置されるように前記ケーブルを支持することと、前記加熱ゾーンにおいて熱を生成するために熱源を使用することと、溶融中の前記スリーブの寸法の測定結果を示すセンサデータを取得することと、前記センサデータを用いて、前記スリーブの寸法の計測値を算出することと、前記測定値が、完全に溶融したスリーブに対応する目標値に等しくなったときに警告信号を出すことと、を含む。
【0013】
ケーブルにスリーブを装着するための方法及び装置の他の側面については、以下に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
先のセクションに記載の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において個々に達成可能であり、また、他の実施形態との組み合わせも可能である。上述の側面及び他の側面を説明するために、様々な実施形態を、図面を参照しつつ以下に説明する。本セクションで簡単に説明する図面は、いずれも、正確な縮尺率で描かれたものではない。
【0015】
また、図中のシールドケーブルの描写は、図に見えるケーブルが、長さ方向に沿って直径が一定な円形状を有するものとみなして簡略化しているが、電線のうねりに沿うジャケットを有するシールドケーブルの中には、長さ方向に沿って形状が変化するものもある。
【0016】
【
図1】一実施形態による、複数のケーブル加工モジュールにおいてケーブルの端部に対して各種作業を行うための、自動化されたシステムのコンポーネントを表す図である。
【
図2A】駆動ホイールが遊動ホイールから離間している状態における、ケーブル運搬用駆動ホイール装備パレットの上面図を表す図である。
【
図2B】駆動ホイールが遊動ホイールに接触している状態における、ケーブル運搬用駆動ホイール装備パレットの上面図を表す図である。
【
図3】ケーブル加工モジュールに隣接する位置にあり、ケーブルの先端がじょうご部の前方に位置している状態の、
図2Bに示したパレットの上面図を表す図である。
【
図4A】ケーブル加工モジュールに隣接する位置にある状態の、ケーブル運搬用駆動ホイール装備パレット側面図を表す図である。
【
図5】一実施形態によるケーブル加工ワークステーションのコンポーネントを示すブロック図である。
【
図6】ケーブルの一部の側面図を表す図であり、被覆されていない端部と、トリミングされた露出シールドを有する部分を示している。
【
図7A】予め取り付けられたアース線を有するはんだスリーブの側面図を表す図である。
【
図7B】ケーブルの露出シールドを含む部分に重なった際の、
図7Aに示したはんだスリーブの側面図を表す図である。
【
図7C】ケーブルの露出シールドを含む部分に溶融によって装着された状態の、
図7Aに示したはんだスリーブの側面図を表す図である。
【
図8A】スリーブ・ケーブルアセンブリの側面図を表す図であり、溶融前の「前方延出型」はんだスリーブを有する部分を示している。
【
図8B】スリーブ・ケーブルアセンブリの側面図を表す図であり、溶融後の「前方延出型」はんだスリーブを有する部分を示している。
【
図9A】スリーブ・ケーブルアセンブリの側面図を表す図であり、溶融前の「後方延出型」を有する部分を示している。
【
図9B】スリーブ・ケーブルアセンブリの側面図を表す図であり、溶融後の「後方延出型」はんだスリーブを有する部分を示している。
【
図10A】はんだスリーブを把持する二対の枝部を有する一実施形態によるエンドエフェクタの一部を示す図である。
【
図10B】一対のグリッパーフィンガーと、各グリッパーフィンガーに取り付けられた一対の枝部と、を有するエンドエフェクタを示す図である。
【
図11】露出シールドを有するケーブルを異なるサイズのはんだスリーブに挿通させるよう設計された3つの上部開放じょうご部の組を含む、ケーブル加工モジュールのいくつかのコンポーネントを示す図である。
【
図12】
図11に示したコンポーネントに加えて、スリーブ・ケーブルアセンブリのスリーブを把持するフィンガを有するエンドエフェクタ、及び、中央のじょうご部の開放上部を覆うカバーを示す図である。
【
図13】
図11に示したコンポーネントを示す図であり、自動化されたはんだスリーブ装着作業の一部において、はんだスリーブがじょうご延長部に配置され、ケーブルが上部開放じょうご部及びはんだスリーブに挿通された後の状態を示している。
【
図14】自動化されたはんだスリーブ装着作業の一部として、熱風を用いて、ケーブルの露出シールドを含む部分にはんだスリーブを融着するための装置を表す図である。
【
図15】自動化されたはんだスリーブ装着作業の一部として、ケーブルの露出シールドを含む部分にはんだスリーブを融着させるために配置された赤外線ヒーターを表す図である。
【
図16】一実施形態による、はんだスリーブを持ち上げ、シールドケーブルに配置し、溶融する方法の工程を示すフローチャートである。
【
図17】一実施形態による、はんだスリーブを持ち上げ、シールドケーブルに配置し、溶融するための自動システムにおけるいくつかのコンポーネントを示すブロック図である。
【
図18】一実施形態による、ケーブルの端部にはんだスリーブを装着するための一連の作業を行う複数のワークステーションを有するシステムを制御するための方法の工程を示すフローチャートである。
【
図19】一対のケーブル支持体によって支持されたケーブルの一部にはんだスリーブを融着するために配置された赤外線ヒータを示す図であって、同図に示す破線矢印は、溶融中に、スリーブの直径を測定するために用いられる光ビームを示している。
【
図20】ケーブルのスリーブの直径を測定するために配置されたレーザスキャンマイクロメータを示す図である。
【
図21】レーザスキャンマイクロメータのコンポーネントを示す図である。
【
図22】手作業ではんだスリーブを装着する処理において、積極的寸法解析を用いるための方法の工程を示すフローチャートである。 以下の記載では、図面を参照する。これらの図面では、異なる図面においても、同様の要素には同じ参照符号を付している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ケーブルにスリーブを装着するための方法及び装置の例示的な実施形態の詳細を、以下にいくつか説明する。ただし、実際の実施態様のすべての特徴を、本明細書に記載しているわけではない。当業者であればわかるように、このようないずれの実際の実施形態の開発においても、システム関連及びビジネス関連の制約の順守など、開発者固有の目的を達成するために、その実施態様固有の多くの決定を行わなければならず、これは、実施態様によって異なる。さらに、このような開発努力は、一般に複雑で時間を要するものであるが、本開示による教示を受けた当業者にとっては、日常的な作業となるであろう。
【0018】
例示を目的として、シールドケーブルにはんだスリーブを装着するための装置の様々な実施形態を以下に説明する。そのような装置は、完全に自動化された生産ライン内の別々のワークステーションの1つ以上のモジュールにおけるケーブル加工機器に含まれていてもよいし、あるいは、ベンチトップのケーブル加工機器(例えば、作業台に取り付けられた、人間のオペレータによって操作できる機器)であってもよい。
【0019】
本明細書において、「ケーブルの先端」という用語は、横断面に沿ってケーブルを切断したときに露出する、ケーブルの一部分を意味する。本明細書において、「ケーブルの端部」という用語は、上述の先端を含み、当該先端から延びる所与の長さのケーブルをも含む、ケーブルの一部を意味する。例えば、ケーブルの先端まで延びる所与の長さのケーブルジャケットを取り除くと、シールドが露出したケーブルの端部が形成される。
【0020】
図1は、ケーブル10の端部に対して各種作業を行うための、システム110のコンポーネントを表す図である。システム110は、ケーブル配送システム60を含む。例えば、ケーブル配送システム60は、配置モジュール(
図1には図示せず)を有するコンベヤシステムの形態を取ることができる。配置モジュールは、自動化された作業を行うための準備としてパレットを配置するためのコンポーネントである。
図1に示した実施形態によれば、ケーブル配送システム60は、無端ベルト又はチェーンの形態のコンベヤトラック62を含む。コンベヤトラック62の全体は、連続的に移動している。代替の実施形態において、ケーブル配送システム60は、無端でなくてもよく、その場合は、リニアコンベヤトラックの終端に到着したパレット64を、他の手段によって、スタート地点に搬送すればよい。代替の実施形態において、ケーブル配送システム60は、ガントリーロボット又はロボットアームであってもよい。
【0021】
図1に示したシステム110は、コンベヤトラック62に沿って、間隔をあけて隣り合って配置された、複数の自動ワークステーションをさらに含む。各ワークステーションは、一端にはんだスリーブ12が装着されたシールドケーブル10を生産するように設計された一連の作業のうちの、其々の固有の作業を行うハードウェアを備えている。システム110の配置モジュール(
図1には図示せず)を用いることにより、パレット64によって運搬されるコイルに対してワークステーションで作業を行わなければならない場合に、当該パレット64をコンベヤトラック62から持ち上げ、その後、作業が完了した後に、当該パレットをコンベヤトラック62に戻して、パレット64が次のワークステーションに移動できるようにする。
【0022】
各パレット64は、其々、ケーブル10のコイルを運搬する。パレット64は、コンベヤトラック62に沿って、
図1に矢印で示す順方向に間欠的に移動することにより、1つの自動ワークステーションから次の自動ワークステーションに移動し、その後、停止する。(ケーブル配送システム60のこの態様を、以下、律動(pulsing)と称する。)コンベヤトラック62の各ワークステーションの反対側には、其々、バーコードリーダ(図示せず)が取り付けられている。各パレット64の前側には、バーコードが印刷されている。バーコードリーダがパレット64の到着を検出すると、各ワークステーションが有するコントローラ(例えば、コンピュータ数値制御(CNC)コマンドを実行するようにプログラムされたコンピュータ)が、自動化されたケーブル加工作業を開始すべく、そのワークステーションのケーブル加工モジュールを作動させる。
【0023】
加工対象の各シールドケーブル10は、コンベヤトラック62に沿って搬送される各パレット64に載置されて、運搬される。パレット64は、コンベヤトラック62に沿って律動的に搬送され、各シールドケーブル10の端部が、一連のケーブル加工モジュールに、順に挿入される。ここで、各ケーブル加工モジュールは、はんだスリーブ装着プロセスの一連の作業を行うためのケーブル加工機器を含んでいる。
図1に示した実施形態によれば、これらのケーブル加工モジュールには、以下のものが含まれる。すなわち、繰り出し(de-reeler)モジュール32、レーザマーカー34、コイラー(coiler)モジュール36、ケーブル先端配置モジュール38、レーザ刻印モジュール40、ジャケットスラグ引っ張りモジュール42、シールドトリミングモジュール44、シールドトリミング検査モジュール46、2つのはんだスリーブ装着モジュール52及び54(本明細書では、「はんだスリーブ持ち上げ・配置・溶融モジュール」とも称される)、及び、アース線検出モジュール58である。
図1に示した提示の実施態様によれば、ケーブル加工が行われない3つの空き位置がある。パレットを一時停止させることのできるこれらの空き位置を、本明細書では、バッファ48、50、及び、56と称する。
【0024】
図1に三角形の印で示すように、ワークステーションのうちのいくつかは、各ワークステーションのケーブル加工機器内にケーブル10の挿入端部を中心合わせするためのじょうご部22を含む。ケーブル先端配置モジュール38が配置されているワークステーションなどの他のワークステーションは、じょうご部を有しない。2つのはんだスリーブ装着モジュール52及び54が配置されているワークステーションは、上部開放じょうご部170を有しており、これらも、ケーブル10の端部をガイドするものであるが、はんだスリーブ溶融作業が完了すると、上部開放じょうご部170からケーブルを垂直方向に持ち上げて取り出す点で、じょうご部22とは構造が異なっている。代替の実施形態によれば、スプリットじょうご部を用いることができる。
【0025】
図1に示した自動化されたケーブル加工作業の各々を、幾分詳しく説明する。各ケーブル加工モジュールを、1つのケーブルに対して各種のケーブル加工作業が行われる順に説明する。
【0026】
出発材料は、リールに巻き付けられた、所与の連続長を有する特定の種類の多導体(multi-conductor)シールドケーブルである。繰り出しモジュール32は、この連続長ケーブルを繰り出し、次に、当該ケーブルを特定の長さに切断する。この長さのケーブルを、以下では「ケーブル10」と称する。なお、複数のスプールを有する繰り出し機(multi-spool de-reeler)を用いることにより、加工を行う複数種類のケーブルを1つの機械から選択できるようにしておくことが望ましい。各ケーブル10に対して、レーザマーカー34が、ケーブル10の外側ジャケット2に、関連情報(バンドル番号、ワイヤ番号、ゲージ)をレーザにより印字する。
【0027】
コイラーモジュール36は、繰り出しモジュール32及びレーザマーカー34から各ケーブル10を受け取って、ケーブル10をコイル状に巻く。これにより、システムを通過する際のケーブルの搬送及び維持が容易な、再現可能なケーブル形状を形成することができる。コイラーモジュール36は、ケーブル10をコイル状に巻くとともに、ステッカーラベルを貼り付ける。このラベルは、ケーブルに関する情報(飛行機エフェクティビティ、バンドル、ダッシュ、ワイヤ識別など)ならびにバーコードを含む。提示する一実施態様によれば、コイル状に巻かれたケーブル10の一端は、コイラーモジュール36の動作により、長さ7インチの「自由な」ケーブル部分を有するように構成されている。
【0028】
コイル状ケーブル10は、コイラーから外されて、パレット64に載置される。パレット64は、コイラーモジュール36から、ケーブル先端配置モジュール38に搬送される。この作業は、オペレータによって手作業で行ってもよいし、ロボットエンドエフェクタ(又は他の装置)によって行ってもよい。
【0029】
ケーブル先端配置モジュール38は、ケーブル10がシステム110内を移動する前に、ケーブル10の先端を所定のケーブル先端位置に最初に配置する役割を行う。これは、コンベヤトラック62に沿う最初の「停止位置」であり、ケーブル10が最初にシステムに載置される位置である。この所定のケーブル先端位置は、コンベヤトラックに沿って移動する際に、ケーブル端部が長すぎること(システム内の他の物に衝突すること、潰されたりその他の損傷を受けたりすることなど)を防止するように選択される。ケーブル先端配置モジュール38が、ケーブルの先端10bを所定のケーブル先端位置に配置した後、パレット64は、ケーブル先端配置モジュール38を離れる。
【0030】
図1に示した実施形態によれば、ケーブル先端配置モジュール38がケーブル先端10bを配置した後、パレット64は、レーザ刻印モジュール40に移動する。レーザ刻印モジュール40が設けられたワークステーションも、レーザ刻印モジュール40のケーブル加工機器内にケーブル10をガイドするためのじょうご部22を含む。レーザ刻印モジュール40は、ジャケット2の環状部分に交差する平面内で周方向に延びる刻み目線3に沿って、ケーブル10のジャケット2に軽く刻み目を付ける。レーザ刻み目線3は、ジャケット2の適当な部分(以下、「ジャケットスラグ2a」と称する)を除去するための準備である。
【0031】
レーザ刻印モジュール40がケーブル10のジャケット2に刻み目を付けた後、パレット64は、ジャケットスラグ引っ張りモジュール42に移動する。ジャケットスラグ引っ張りモジュール42が設けられたワークステーションも、ジャケットスラグ引っ張りモジュール42のケーブル加工機器内にケーブル10をガイドするためのじょうご部22を含む。ジャケットスラグ引っ張りモジュール42は、ジャケットスラグ2aを除去することにより、ケーブル10のジャケット非被覆部分においてシールド4を露出させる。導通シールドセンサ(
図1には個別に図示せず)をジャケットスラグ引っ張りモジュール42に一体に設けることにより、ジャケットスラグ2aが除去されたことを、ジャケットスラグ引っ張りモジュール42からケーブル10を後退させる前に検出してもよい。
【0032】
ジャケットスラグ引っ張りモジュール42がケーブル10のジャケットスラグ2aを引き剥がした後、パレット64はシールドトリミングモジュール44に移動する。シールドトリミングモジュール44が設けられたワークステーションも、シールドトリミングモジュール44のケーブル加工機器内にケーブル10をガイドするためのじょうご部22を含む。シールドトリミングモジュール44は、シールド4の露出部分の一部をトリミングにより除去することにより、ケーブル10のワイヤ6及びワイヤ8の各々の一部を露出させる。提示する一実施態様によれば、シールドトリミングモジュール44は、ジャケット2のエッジから約0.25インチ、ケーブル10のシールド4をトリミングする。
【0033】
シールドトリミングモジュール44がケーブル10のシールド4をトリミングした後、パレット64は、シールドトリミング検査モジュール46に移動する。シールドトリミング検査モジュール46が設けられたワークステーションも、シールドトリミング検査モジュール46のケーブル加工機器内にケーブル10をガイドするためのじょうご部22を含む。シールドトリミング検査モジュール46は、視覚検査システムを用いて、トリミングされたシールドの品質チェックを行う。この品質チェックにより、はんだスリーブ12を装着する前に、シールド4が特定の種類のケーブル10の仕様を満たす状態(例えば、シールドのストランドが長すぎたり短すぎたりしない、損傷を受けていないなど)とすることができる。
【0034】
シールドトリミング検査モジュール46がケーブル10のトリミング済シールド4を検査した後、パレット64は、2つのはんだスリーブ装着モジュール52、54のうちの1つに移動する。はんだスリーブ装着モジュール52、54が設けられているワークステーションも、はんだスリーブ装着モジュール52、54のケーブル加工機器内にケーブル10をガイドするための上部開放じょうご部170を含む。はんだスリーブ装着モジュール52及び54は、アース線14を有するはんだスリーブ12を、自動化された持ち上げ・配置・溶融作業によって、ケーブル10に装着するように構成されている。好ましくは、各はんだスリーブ装着モジュールは、センサシステムを含み、これにより、はんだスリーブ付きのケーブルの直径を所定の頻度で測定し、かつ、寸法解析を用いて溶融プロセス中のはんだスリーブの直径の縮小を監視するように構成されている。センサシステムは、はんだスリーブの寸法解析に基づいて、加熱要素を作動させたり停止させたりする。また、これにより、装置内でのケーブルの搬送を制御するようにしてもよい。
【0035】
はんだスリーブは、その設計及び材料に応じて、燃えずに完全に溶融するまでの速さに限度がある。使用する熱源の種類(熱風、赤外線)は、溶融時間に大して影響を及ぼさない。はんだスリーブの溶融作業に先行するすべてのプロセスは、その完了に要する時間がずっと短いため、溶融速度に限度があることが移動ラインに停滞をもたらし、ライン全体のサイクルタイムの短縮を制限している。
【0036】
提示する一実施態様によれば、2つのはんだスリーブ装着モジュール52及び54を用いることによって、2本のケーブル10に、同時にはんだスリーブが装着される。はんだスリーブ装着モジュール52、54のうちの1つによって、はんだスリーブ12がケーブル10に装着された後、パレット64は、アース線検出モジュール58に移動する。アース線検出モジュール58が設けられているワークステーションも、アース線検出モジュール58のケーブル加工機器内にケーブル10をガイドするためのじょうご部22を含む。アース線検出モジュール58は、はんだスリーブ12のアース線14を検出する。これは、物理的センシング又は導通試験によって行うことができ、これらはすべて既存の手法によって行うことができる。
【0037】
図1に示すように、ケーブル配送システム60は、コンベヤトラック62上を走行する複数のパレット64を含み、各パレット64は、ケーブル10の其々のコイルを運搬する。いくつかの実施形態によれば、パレット64上の装置は、ケーブル加工機器に挿入するためにケーブルを中心合わせするケーブルガイドじょうご部に対してケーブルを押し引きするように設計された、一対のケーブル変位ホイール(例えば、モータ駆動の駆動ホイール、及び、当該モータ駆動の駆動ホイールと接触する位置と接触しない位置との間で移動可能な、ばね付勢の遊動ホイール)を含む。駆動ホイールと遊動ホイールとが互いに離間可能なことにより、様々な直径及び断面形状のワイヤ又はケーブルを、駆動ホイールと遊動ホイールとの間に配置することができる。この装置は、ユニバーサルであること、すなわち、ワイヤ及び/又はケーブルを加工する任意の機器(ベンチトップ機器を含む)に使用可能であることを意図している。加えて、加工対象のケーブル及びこれに関連する要件に応じて、機器に送給するケーブルの量(長さ)を、ユーザが設定することもできるであろう。
【0038】
次に、一実施形態によるパレット64のいくつかの特徴を、
図2A及び
図2Bを参照して説明する。
図2A及び
図2Bに図示されていないパレット64の他の特徴については、他の図面を参照して後述する。
図2A及び
図2Bに示すように、各パレット64は、回転可能にパレット64に接続された駆動ホイール16及び遊動ホイール18を有する。駆動ホイール16及び遊動ホイール18には、好ましくは、様々な断面形状(例えば、単一導線ケーブルやツイストペアケーブルなど)に沿うことができる形状適合性材料が取り付けられている。ホイールによってケーブル10がどこまで移動したかをより正確に把握するため、ホイールのうちの一方又は両方にエンコーダを取り付けてもよい。エンコーダは、回転数を駆動ローラ16の円周で乗じることによって、駆動ローラの「走行距離」を把握する。
【0039】
パレット64は、ケーブル端部10aを駆動ホイール16及び遊動ホイール18に向かってガイドする形状とされた、湾曲壁の形態の柵部材66も含む。駆動ホイール16と遊動ホイール18とが協働してケーブル端部10a移動させ、隣接するケーブル加工モジュール30に対して出し入れする。
図2A及び
図2Bは、パレット64の2つの状態、すなわち、駆動ホイール16が遊動ホイール18から離間している状態(
図2A)、及び、駆動ホイール16が遊動ホイール18と接触している状態(
図2B)を示している。
【0040】
図2Aに示すように、ケーブル10の自由端部10aは、ケーブル先端10bがニップ(nip)の前方に位置するように、駆動ホイール16と遊動ホイール18との間に配置されており、ケーブル10は、所定の位置に設けられた垂直走査平面11(
図2A及び
図2Bに破線で示す)と交差している。上記所定の位置は、所定のケーブル先端位置から所定の距離だけ離れている。
図2Aは、垂直走査平面11を超えた位置にあるケーブル先端10bを示しているが、ケーブル先端10bの開始位置は、垂直走査平面11を超えた位置であってもよいし、その手前の位置であってもよい。
【0041】
次に、遊動ホイール18を駆動ホイール16から離間保持している力を遮断すると、遊動ホイール18が、ばね(
図2A及び
図2Bには図示せず)によって付勢されて駆動ホイール16と接触し、これによって、シールドケーブル10を挟み付けるニップが形成される。以下に詳述するように、駆動ホイール16及び遊動ホイール18は、ホイールの回転方向に応じてニップを通してシールドケーブル10を押し出すかあるいは引き寄せることが可能な摩擦力が生成されるように、構成されている。垂直走査平面11を超えた位置にケーブル先端10bがあることを検出すると、駆動ホイール16及び遊動ホイール18をケーブル引っ張り方向に回転させることにより、ケーブル端部10aを後退させて、ケーブル先端10bを垂直走査平面11に向かって移動させる。反対に、垂直走査平面11(以下、「走査平面11」とする)より手前の位置にケーブル先端10bがある場合は、駆動ホイール16及び遊動ホイール18をケーブル押出し方向に回転させることにより、ケーブル端部10aを延出させて、ケーブル先端10bを走査平面11に向かって移動させる。
図2A及び
図2Bの以下の説明は、ケーブル先端10bが走査平面11を超える(手前ではない)位置に、最初に配置されている場合について述べる。
【0042】
ケーブル先端10bの動きに対する監視は、走査平面11にケーブル先端10bが到着したことを検知することによって開始される。この検知は、パレット64に取り付けられた、光ゲートとして機能するように構成された光電センサ(
図2A及び
図2Bには図示しないが、
図4A及び
図4Bの光電センサ28を参照)によって、実現される。いくつかの実施形態によれば、光電センサ28は、光ゲートとして作用するように構成されており、走査平面11内で光ゲートの一方側から他方側に伝播する光ビームを遮断するケーブル10の部分が存在しなくなった際に、これを検知する構成である。
図2Bは、ケーブル端部10aが後退したことによって、ケーブル先端10bの位置が走査平面11と揃った状態を示している。走査平面11内で光が妨害される(例えば遮断される)状態と、光が妨害されない状態との変化を、光電センサ28が検出すると、当該光電センサ28は、走査平面における送信光の妨害状態と無妨害状態との変化を示すケーブル先端位置信号を発信する。ケーブル先端位置信号が発信されると、ケーブル先端配置モジュールのコンピュータが、モータ(
図2A及び
図2Bには図示しないが、
図4A及び
図4Bのモータ72を参照)を作動させて、回転終了時にケーブル10が所定のケーブル先端位置を超えて延出していない状態となる量及び方向で、駆動ホイール16を回転させる。この所定のケーブル先端位置は、走査平面11から、所与の距離、離間している。所定のケーブル先端位置は、静止物体による損傷を回避できるだけの十分な間隔をあけて、ケーブル先端10bがコンベヤトラック62に沿って走行できるように、選択することができる。
【0043】
ケーブル先端配置モジュール38は、コンピュータシステムを含む(
図3には図示しない)。光電センサ28からのケーブル先端位置信号は、コンピュータ162aによって受信される。コンピュータ162aは、ケーブル先端位置信号の発信後、駆動ホイール16が所定角度回転したのちに、駆動ホイール16の回転を駆動するモータ72を停止する(これにより、ケーブル引っ張り方向における駆動ホイール16の駆動回転を止める)。すなわち、所定の遅延時間が存在し、この間、駆動ホイール16及び遊動ホイールがケーブル端部10aを移動させ続ける。これにより、ケーブル先端10bは、
図2Bに示した時点の位置(この例では、走査平面11の位置に一致している)から、走査平面11から短い距離(例えば0.5インチ)離間した所定のケーブル先端位置に移動させられる。より具体的には、コンピュータ162aは、ケーブル先端位置信号が発信されると、(例えば、駆動ホイールシャフト88又はモータ出力シャフトに取り付けられている)回転エンコーダによって出力されるパルス数のカウントを開始し、走査平面11から所定のケーブル先端位置までの離間距離に相当する特定の値にカウントが到達した時点でモータ72を停止する。
【0044】
代替の実施形態として、光電センサ28がケーブル先端位置信号を発信したその瞬間にケーブル10の移動を停止可能な場合には、所定のケーブル先端位置と走査平面の位置とは、全く同じとなる。
【0045】
上述したケーブル先端配置プロセスによれば、ケーブル先端10bを、繰り返し同じ位置に位置させることができ、コンベヤトラック62に沿って移動する前に、ケーブル先端が所定のケーブル先端位置を超えて延出することはない。この状態で、コンベヤトラック62が前方に律動し、パレットを次のワークステーションに移動させる。
【0046】
図3は、ケーブル加工モジュール30に隣接する位置にあるパレット64の上面図を表す図である。当該装置は、駆動ホイール16及び遊動ホイール18を含み、これらのホイールは、ケーブル端部10aを捕捉可能なじょうご部22とこれらのホイールとの間で、ケーブル10を前後に駆動するように構成されたものである。これらのホイールがケーブル10の動きを制御する間、じょうご部22は、ケーブル加工機器に挿入するためにケーブル10を中心合わせする役割を行う。この機能は、ケーブル10がシステム内で搬送される際に、加工用の様々なモジュールにケーブル10を挿入及び配置するために用いられる。
【0047】
より具体的には、ケーブル端部10aがケーブル加工モジュール30のケーブル加工機器24内に送給される際には、ケーブル先端10bは、ケーブル端部を中心合わせするように構成されたじょうご部22の前に配置される。各ケーブル加工モジュール30は、じょうご部22(又は図示しない上部開放じょうご部)と、走査平面11(
図3に破線で示す)にケーブル先端10bが存在することを検出するための光電センサ(
図3には図示しないが
図5の光電センサ28を参照)とを備えている。じょうご部22の内面が、滑らかであり、ケーブル10の摩耗、裂け、又はその他の損傷の原因となる粗いエッジ部あるいは鋭いエッジ部が無いことが、重要である。摩擦係数の低い熱可塑性材料によってじょうご部22を形成することにより、駆動ホイール16及び遊動ホイール18によって(滑りを防止しつつ)ケーブル10を移動させる際に、じょうご部22によってケーブル速度が低下することを防止することが好ましい。じょうご部22は、様々な方法で構成することができる。じょうご部22の出口側(小径側)に一般的な穴を設けることに代えて、じょうご部22は、じょうご部22内の中心にX字形の切り込みがある可撓性材料片を有していてもよい。このような構成は、ケーブル10が前方に押し出される場合も引き戻される場合も、ケーブルを繰り返し中心位置に位置させることに役立つ。また、これによれば、ケーブルガイドじょうご部は、様々な直径及び断面形状のケーブルを、正確に中心合わせすることができる。他のケーブルガイドじょうご部は、割れ形状及び/又は開放上部を有していてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、各ワークステーションは、固定モータ(
図3には図示しないが、
図4A及び
図4Bのモータ72を参照)を含む。提示する一実施態様によれば、モータ72は、電気ステッパモータである。モータシャフト速度によって、駆動ホイールの回転速度(ケーブル10の端部の移動速度)、ならびに、ホイールの回転方向が制御される。モータ72は、時計回り又は反時計回りに回転するように構成されている。
【0049】
パレット64がケーブル加工モジュール30に到着したことをパレット検出器(
図3には図示しないが
図5のパレット検出器160を参照)が検出すると、モータ72が、駆動ホイール16を駆動しうるように機能的に接続される。次に、モータ72が作動して、駆動ホイール16をケーブル押出し方向に回転させる。モータ72のシャフトは、任意の構成として、駆動ホイール16の角回転を判定するための回転エンコーダ73(
図5参照)を備える。駆動ホイール16がケーブル押出し方向に回転している間、回転エンコーダ73は、モータシャフトの回転を追跡することにより、走査平面11を超えて押し出されたケーブル10の長さを表すデジタル位置情報を生成する。
【0050】
パレット64がケーブル加工モジュール30で停止すると、駆動ホイール16及び遊動ホイール18が駆動されて、ケーブル押出し方向に回転し、これにより、ケーブル先端10bが、光電センサ28を通過して、じょうご部22からケーブル加工機器24内に入る。光電センサ28がトリガーされると、回転エンコーダ73が、ケーブル先端10bの位置を記録し始める。これによれば、ケーブル10の挿入長さをリアルタイムで追跡するとともに、その後、正しい長さのケーブル10がケーブル加工機器24に送給されると、モータ72を停止させることができる。駆動ホイール16及び遊動ホイール18は、特定の長さのケーブル10がじょうご部22を通ってケーブル加工機器24内に挿入されるまで、ケーブル押出し方向に回転し続ける。
【0051】
図4Aは、さらなる実施形態による、ケーブル加工モジュール30に隣接する位置にあるパレット64の側面図を表す図であり、当該パレット64は、ケーブル10のコイルを保持するためのリーレット(reelette)26、及び、ケーブル10の端部をケーブル加工モジュール30に送給するための駆動ホイール16(
図4Aでは見えない)を備えている。
図4Bは、ケーブル加工モジュール30に隣接する位置にある当該パレット64の上面図を表している。パレット64は、ケーブル10の先端10bを、各ケーブル加工モジュール30において繰り返し同じ位置に位置させるように制御されるケーブル配置機構19をさらに含む。
【0052】
図4Aに示すように、ケーブル加工モジュール30は、固定プレート68に取り付けられている。支柱70が、ケーブル加工モジュール30の前方の位置において、固定プレート68に取り付けられている。支柱70の基部70aには、モータ72が取り付けられている。モータ72は、駆動ホイール16(
図4Aでは遊動ホイール18の背後にあり見えない)の回転を駆動する出力シャフト74を有する。また、支柱70の直立部70bには、光電センサ28が取り付けられている。光電センサ28は、ケーブル押出し中にケーブル先端10bが走査平面11(
図4A及び
図4Bに破線で示す)を通過する際に、光電センサ28が当該ケーブル先端を検出することができる高さに配置されている。
【0053】
図4Aに示した実施形態によれば、ケーブル10の各コイルは、其々、リーレット26上に個別に巻かれており、リーレット26は、パレット64によって支持されるとともに、回転可能にパレットに接続されている。
図4Aでは、リーレット26が見えるように、柵部材66(
図2A~
図2C参照)を図示していない。リーレット26は、その外縁に開口(
図4Aには図示せず)を有しており、当該開口を通ってケーブル10の一部(ケーブル端部10aを含む)が通過する。
図4Aは、ケーブル端部10aが、回転する駆動ホイール16と遊動ホイール18(駆動ホイール16は遊動ホイール18の真後ろに位置しており、
図4Aでは見えない)との間に配置されており、ケーブル先端10bが、ケーブル加工モジュール30に向かう方向(
図4Aに矢印で示す)に移動している状態を示している。
【0054】
図4Bは、ケーブル先端10bが、光電センサ28の走査平面11に位置している際の、パレット64の上面図を示している。遊動ホイール18に重ねて示した両頭直線矢印は、遊動ホイール18が、駆動ホイール16に対して離間及び近接するように横方向に移動可能であることを示している。一方、駆動ホイール16及び遊動ホイール18に重ねて示した曲線矢印は、駆動ホイール16及び遊動ホイール18が、ケーブル押出し方向に回転していることを示すためのものである。
図4Bに示した瞬間は、ケーブル先端10bは、走査平面11に位置しており、ケーブル加工モジュール30に向かって移動している。
【0055】
ケーブル加工モジュール30は、コンピュータ(
図4A及び
図4Bには図示しない)を含む。
図5は、一実施形態によるケーブル加工ワークステーションのいくつかのコンポーネントを示すブロック図である。前述したように、各ケーブル加工ワークステーションは、じょうご部22及びケーブル加工機器24(
図5には図示しないが、
図3を参照)を含む。ケーブル加工ワークステーションは、コンピュータ数値制御命令などの事前にプログラムされた機械制御命令のシーケンスを実行することによって、様々なアクチュエータ及びモータを制御するように構成されたコンピュータ162をさらに含む。
図5は、コンピュータ162が電気制御弁80に制御信号を送るようにプログラムされている例を示している。電気制御弁は、開放されると、圧縮空気供給源82から複数の空気圧シリンダ84、86及び88のうちの1つ以上に圧縮空気を供給する。空気圧シリンダ84、86及び88は、ケーブル加工機器24の様々なコンポーネントを移動させるために用いられる。代替の実施形態において、空気圧シリンダを電気モータに置き換えてもよい。
【0056】
図5に示したケーブル加工ワークステーションは、モータ72、及び、モータ72の出力シャフト74に機能的に接続された回転エンコーダ73をさらに含む。回転エンコーダ73は、パルスを生成し、コンピュータ162は、モータの出力シャフトの回転角度を求めるために、当該パルスをカウントするように構成されており、この角度測定値が、ひいては、出力シャフトの回転中にケーブル先端10bが移動した距離を表す。コンピュータ162は、さらに、ケーブル先端位置を検出するために用いられる光電センサ28、及び、パレット位置を検出するために用いられるパレット検出器160から、センサフィードバックを受信する。コンピュータ162は、光電センサ28、回転エンコーダ73、及び、パレット検出器160からのフィードバックに従ってモータ72を制御するために、モータコントローラ164bに命令を送るように構成されている。
【0057】
各ケーブル加工モジュール30のコンピュータ162は、以下の操作、すなわち、モータ72を作動させて、駆動ホイール16をケーブル押出し方向に回転させることにより、特定長さのケーブル10をケーブル加工機器24に挿入させる操作、ケーブル加工機器24を作動させることにより、挿入されたケーブル端部10aに対して作業を行わせる操作、及び、モータ72を作動させて、駆動ホイール16をケーブル引っ張り方向に回転させることにより、当該特定長さのケーブル10をケーブル加工機器24から取り除かせる操作、を行うように構成されている。
【0058】
各ワークステーションは、モータ72の出力シャフトの段階的な角回転を表すパルスを出力するように構成された回転エンコーダ73をさらに含む。光電センサ28は、走査平面11における送信光の妨害が開始したことを示すケーブル先端位置信号を発信するように、配置及び構成されている。すなわち、走査平面11において光が遮断されていない状態から光が遮断されている状態に変化したことを、光電センサ28が検出すると、ケーブル先端位置信号が発信される。コンピュータ162は、さらに、ケーブル先端位置信号を受けて、回転エンコーダ73によって出力されるパルス数をカウントし始めるとともに、特定の目標長さのケーブル10がケーブル加工機器24内に挿入されたことを表す特定の値にカウントが到達すると、モータ72を停止するように、構成されている。
【0059】
各ケーブル加工モジュール30における、ケーブル先端10bの位置を検出する光電センサ28は、ケーブル先端配置モジュール38に組み込まれた光電センサ28と同じ種類のものであってもよい。例えば、様々な種類のデジタルレーザセンサが好適である。近接センサや視覚センサなど、多くの適応可能な選択肢が、市場に存在している。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、ケーブル先端位置の検出に用いられる光電センサ28は、ケーブル10の直径を測定することもできる種類のものであり、これによれば、典型的なケーブル直径よりも大きい指やその他の物体による誤検出が起こらないようにすることができる。直径の測定を利用することにより、ケーブル10が、ケーブル加工モジュール30のコンピュータ162が予測していた種類のものであることを確認することもできる。
【0061】
提示する一実施態様によれば、光電センサ28は、「位置認識」タイプのレーザセンサ(レーザスキャンマイクロメータとしても知られている)である。このタイプのレーザセンサでは、走査光ビーム送信機28aから走査光ビームが出射され、この走査光ビームが走査平面11内を走査し、光検出センサ28bによって受信される。一実施形態によれば、光検出センサ28bは、光検出素子の線状アレイ(例えば電荷結合素子のピクセルの列)を含む。走査レーザビームが妨害されているエリアは、光検出センサ28bで明確に特定される。このタイプのレーザセンサは、インライン(in-line)ケーブル先端位置検出、又は、ケーブルの外径測定に用いることができる。
【0062】
ケーブル加工モジュール30のコンピュータ162は、さらに、以下の操作、すなわち、走査光ビーム送信機28aから光検出センサ28bが受け取る光の妨害の長さを算出する操作、算出した妨害長さを、加工対象の種類のケーブル10の直径を表す参照データと比較する操作、及び、算出した妨害長さと参照データとの差異が特定の閾値を超えた場合に警告信号を出す操作、を行うように構成されている。
【0063】
他の実施形態によれば、上述のケーブル配置システムを用いることにより、任意の所与の加工モジュール内の複数の位置に、ケーブルの先端を配置することができる。このような特徴によれば、1つのモジュール内で複数段階の加工を行うことが可能となる。例えば、ケーブルの先端を、レーザ刻印モジュール40内の複数の位置に配置することにより、ケーブルの複数の位置にレーザで刻み目を付けることができる。ストリップ長が非常に長い場合(例えば4インチ)、ケーブルに1インチごとに刻み目を付けることもできる。この場合、ジャケットスラグ引っ張りモジュール42は、(やはり複数段階の挿入によって)1回に1インチずつスラグを引っ張ることになる。したがって、ジャケット引っ張りモジュールは、4インチのジャケットではなく1インチのジャケットの引き剥がし摩擦力を克服するだけでよい。
【0064】
再び
図1を参照すると、ジャケットスラグ引っ張りモジュール42がケーブル10のジャケットスラグ2aを引き剥がした後、パレット64はシールドトリミングモジュール44に移動する。シールドトリミングモジュール44には、シールド4の露出部分の一部をトリミングにより除去して、ケーブル10のワイヤ6及びワイヤ8の各々の一部を露出させるための機器が組み込まれている。シールドトリミングモジュール44がケーブル10のシールド4をトリミングした後、パレット64は、シールドトリミング検査モジュール46(
図1参照)に移動する。シールドトリミング検査モジュール46は、視覚検査システムを用いて、トリミング済シールドの品質チェックを行う。
【0065】
図6は、ケーブル10の一部の側面図を表す図であり、被覆されていない端部と、トリミングされた露出シールド4を含む部分を示している。シールド4をトリミングすると、ケーブル10のワイヤ6及び8が露出される。シールドのトリミングは、トリミングしたシールドの360度ビューを撮像するように配置されたカメラシステムと、撮像した画像を解析するようにプログラムされたコンピュータを含む視覚システムを用いて検査される。より具体的には、コンピュータは、露出シールドに(例えば、シールドのストランドの破断によって生じた)過度な隙間の有無を判定するよう構成されている。評価システムは、画像上で認識した隙間を、隙間の最大許容値と比較して、シールドの被覆率が特定の範囲内に収まるようにする。シールドの被覆率が特定の最小被覆率を下回る場合、評価システムは、許容可能な数を超えるシールドのストランドが破断している可能性があると判定する。コンピュータは、ケーブルにおける露出シールドの長さが許容可能な範囲内にあるか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0066】
シールドトリミング検査モジュール46がケーブル10のトリミング済シールド4を検査した後、パレット64は、2つのはんだスリーブ装着モジュール52、54(
図1参照)のうちの1つに移動する。はんだスリーブ装着モジュール52、54は、アース線14を有するはんだスリーブ12を、自動の持ち上げ、配置、及び溶融作業によって、ケーブル10に装着するように構成されている。
【0067】
図7Aは、予め取り付けられたアース線14を有する典型的なはんだスリーブ12の側面図を表す図である。はんだスリーブ12は、透明な熱収縮性熱可塑性材料によって形成されたスリーブ7を含む。スリーブの内径は、加工対象のケーブルの外径より大きい。はんだスリーブ12は、その中央位置でスリーブ7の内部に接着された中央はんだリング9、及び、一対の熱可塑性封止リング13a、13bをさらに含む。
【0068】
図7Bは、
図7Aに示したはんだスリーブ12が、ジャケット2と、シールド4が露出したジャケット非被覆部分とを有するケーブル10の一部に重なる位置に配置された状態の側面図を表している。露出シールド4は、中央はんだリング9によって囲まれており、これが溶融された後に固化されると、シールド4とアース線導体ストランド15とを電気的に接続させる。スリーブ7は、まだ溶融されていない状態である。
【0069】
図7Cは、はんだスリーブ12がケーブル10に融着された後の、
図7Aに示したはんだスリーブ12の側面図を表す図である。
【0070】
上述したように、はんだスリーブ装着モジュール52、54(
図1参照)の各々は、はんだスリーブ12をケーブル10の端部に装着するように構成されている。はんだスリーブ装着モジュールのケーブル加工機器を用いて、(例えば
図7Aを参照して説明したタイプの)はんだスリーブ12、又は、電気絶縁材料のみによって形成されたデッドエンドスリーブを、装着することができる。はんだスリーブは、溶融させてから、ケーブルの端部に収縮固着させる。デッドエンドスリーブは、溶融させずに、ケーブルの端部に収縮固着させる。はんだスリーブとデッドエンドスリーブとは、部品番号で分けられ、異なる振動テーブルに分配される。(振動テーブルは、テープ・アンド・リール又はカートリッジに代えてもよい。)はんだスリーブがテープ・アンド・リール又はカートリッジ上にある場合は、エンドエフェクタが把持できるように、はんだスリーブを(空気圧アクチュエータ、電気アクチュエータ等によって)キャビティから押し出す。
【0071】
図8A及び
図8Bは、スリーブ・ケーブルアセンブリ1aの側面図を表す図であり、「前方延出型(out front)」のはんだスリーブ12を有する部分を示している。スリーブ・ケーブルアセンブリ1aは、ケーブル10のジャケット2から遠ざかる向きに延出するアース線14を有するはんだスリーブ12を含む。はんだスリーブ12にワイヤ6及び8を挿通させて、はんだスリーブ12が露出シールド4を囲む位置に来るようにしている。
図8Aに示すように、「前方延出型」はんだスリーブ12は、ジャケット2の端部も、ワイヤ6及び8のうちのシールドされていない部分も囲んでいる。
図8Aは、「前方延出型」はんだスリーブ12がケーブル10に融着される前のスリーブ・ケーブルアセンブリ1aを示している。
図8Bは、「前方延出型」はんだスリーブ12がケーブル10に融着された後のスリーブ・ケーブルアセンブリ1aを示している。
【0072】
図9A及び
図9Bは、スリーブ・ケーブルアセンブリ1aの側面図を表す図であり、「後方延出型(out back)」のはんだスリーブ12を有する部分を示している。スリーブ・ケーブルアセンブリ1aは、ケーブル10のジャケット2側に延びるアース線14を有するはんだスリーブ12を含む。はんだスリーブ12にワイヤ6及び8を挿通させて、はんだスリーブ12が露出シールド4を囲む位置に来るようにしている。
図9Aは、「後方延出型」はんだスリーブ12がケーブル10に融着される前のスリーブ・ケーブルアセンブリ1aを示している。
図9Bは、「後方延出型」はんだスリーブ12がケーブル10に融着された後のスリーブ・ケーブルアセンブリ1aを示している。
【0073】
はんだスリーブ取り付けプロセスの開始時において、ロボットエンドエフェクタは、複数の振動テーブル(又は、その他のはんだスリーブ保管装置)のうち、ケーブル10に取り付けるべき適切な種類のはんだスリーブ12を有するテーブルに移動するように制御される。ロボットエンドエフェクタは、はんだスリーブを持ち上げて、これを
図11~
図14に示した装置まで運搬する。ロボットエンドエフェクタは、特定の種類のはんだスリーブを把持するように設計された一対のグリッパーフィンガーを有する。ロボットエンドエフェクタは、はんだスリーブを認識できる視覚システムを有するロボットアーム又はガントリーに組み込んでもよく、これにより、ロボットアームを適切にアライメントして、ピッグテール(pigtail)を所定の向きに向けてスリーブを持ち上げるように配置することができる。ピックアンドプレイス(pick and place)視覚システムは、市販されており、特定のはんだスリーブ12を把持するように改造することができるであろう。
【0074】
図10Bは、一対のグリッパーフィンガー112及び114と、各グリッパーフィンガー112及び114に取り付けられてスリーブグリッパー111を構成する一対の枝部(又は爪)116及び118と、を有するエンドエフェクタ108を示す図である。
図10Aは、はんだスリーブ12を把持した状態のスリーブグリッパー111における二対の枝部116及び118を示す図である。はんだスリーブ12の両端にある絶縁リング13a及び13bは、はんだスリーブ12の他の部分よりも外径が大きい。枝部116及び118が閉じており、絶縁リング13a及び13bとはんだリング9の間の部分ではんだスリーブ12を挟んでいる状態では、絶縁リング13a及び13bが対向する枝部の間を滑ったり/通り抜けたりすることはない。したがって、はんだスリーブ12がスリーブグリッパー111から滑って外れてしまうことを防止できる。
【0075】
一実施形態において、グリッパーフィンガー112及び114の枝部116及び118は、はんだスリーブ12を覆う、つまり、遮蔽する領域が極力小さくなるように設計されている。覆われない表面領域を極力多くすることで、スリーブグリッパー111がはんだスリーブ12を把持した状態でも、はんだスリーブ12を加熱して、溶融プロセスを実行することが可能になる。これにより、はんだスリーブ12が加熱の前に所定の位置から移動してアライメント不良の状態になることを防止できる。ただし、枝部116及び118を耐熱性の材料又は金属材料で作製しておく必要がある。
【0076】
ロボットエンドエフェクタ108は、はんだスリーブ又はデッドエンドスリーブを持ち上げて配置するように設計されている。エンドエフェクタ108は、完全に自動化されたシステムに組み込まれた、はんだスリーブ持ち上げ・配置・溶融モジュール52又は54の一部として用いるためのものである。
【0077】
グリッパーフィンガー112及び114の枝部116及び118は、はんだスリーブ12に接触し、これを把持する。グリッパーフィンガー112及び114は、グリッパーフィンガー112と114を互いに近づけたり、遠ざけたりさせるピックアンドプレイス空気圧シリンダやその他の機器に取り付けられる。枝部116及び118は、様々な大きさのはんだスリーブを保持するように設計されている。はんだスリーブのパーツの作製では、許容されている公差が大きい場合があり、したがって、直径や長さの実寸がばらついている可能性がある。スリーブグリッパー111は、はんだスリーブ12を中央はんだリング9と絶縁リング13a、13bとの間の位置で接触、把持するように設計されているので、はんだスリーブのサイズに関係なく、はんだスリーブ12が滑って外れてしまうことを防止できる。はんだスリーブは、
図10Aに示すように、その位置にくぼみ(indent)を有するように構成して、そこで把持されるようにしてもよい。互いに対向する枝部116と118の対は、半円形の切り欠きを有していてもよく、これにより、はんだスリーブ12の潰れを防止できるとともに、はんだスリーブ12をスリーブグリッパー111の中央に位置合わせすることができ、スリーブ装着プロセスにおける正確な配置を可能にする。枝部116及び118は、剛性で、耐熱性の材料よって形成しなければならない。そのような例には、アルミニウム、鋼などが含まれる。
【0078】
提示する様々な実施形態によれば、はんだスリーブ12は、部品番号で分けられて、テープのリール、カートリッジ、又は、振動テーブルに配置される。はんだスリーブ12がこれらのいずれに配置されていても、エンドエフェクタ108は、はんだスリーブをピックアップすることができる。振動テーブルは、振動することで、部品を(部品の供給位置である)テーブルの端から前側に移動させる平坦面である。はんだスリーブがキャリアテープに担持されて、リールに巻かれている場合、はんだスリーブは、先ず、キャビティから(下面アクチュエータ、重力などを利用して)取り出され、その後、グリッパーフィンガーで把持される。はんだスリーブがカートリッジに充填されている場合は、グリッパーフィンガーで把持する前に、はんだスリーブを取り出しておく必要がある。
【0079】
エンドエフェクタは、ロボットアーム又はガントリーロボットに連結するように改造が可能であろう。ガントリーロボットは、水平面に沿った移動を可能にするオーバーヘッドシステムに装着されたマニピュレータで構成される。ガントリーロボットは、直角座標ロボット、又は、直交ロボットとも呼ばれる。ロボットアームは、多軸運動機能を有するロボットの一部であってもよい。ロボットは、各旋回軸に配置、又は、関連付けられた1つ以上の位置センサ(図示せず)を含み、各位置センサは、はんだスリーブを正確に配置するために、データ取得システムに位置データ(3次元空間におけるX、Y、Zデータ)を供給する。
図10Aのエンドエフェクタ108に使用可能なロボットの例には、KukaRoboter社(ドイツ、アウクスブルク)製造のモデルKR-150ロボットがある。ただし、エンドエフェクタ108の位置を本開示の態様で制御可能な任意のロボットや他のマニピュレータも使用可能である。本明細書において「ガントリー/ロボットアーム」という用語は、エンドエフェクタ108を移動及び制御して、はんだスリーブを持ち上げて配置する処理を実行するよう構成されたロボットコントローラを有する任意の種類のロボットを意味する。
【0080】
スリーブグリッパー111は、はんだスリーブ持ち上げ・配置・溶融モジュールに含まれるエンドエフェクタの一部として用いられる。エンドエフェクタ108は、はんだスリーブ12を持ち上げ、このはんだスリーブを、じょうご部170の枝部を部分的に囲むように配置し、その後、ケーブル10がじょうご部170とはんだスリーブ12に挿通されるまで待機する。ケーブル10が挿通されると、エンドエフェクタ108は後方に移動して、はんだスリーブ12をケーブル10の所望の領域に配置する。実施形態において、この所望の領域は、トリミング済みシールド4が露出した部分と、これに隣接するジャケットの部分と、これに隣接するワイヤ6及び8の部分を含む。エンドエフェクタ108は、次に、はんだスリーブ12を解放し、加熱要素の経路から外れるように移動する。加熱要素は、はんだスリーブ12の近傍に位置しており、同スリーブを溶融してケーブル10に固定する。別の実施形態では、エンドエフェクタ108は、はんだスリーブを解放する代わりに、その場にとどまって保持を継続し、加熱プロセスの間、スリーブ及びケーブルが移動しないようにする。枝部116及び118がはんだスリーブを保持した状態で、加熱要素が所定の位置に移動し、起動されて、はんだスリーブ12を加熱する。
【0081】
エンドエフェクタ108によれば、はんだスリーブ装着プロセスの完全な自動化が可能である。このプロセスを自動化することによって、手作業で行う現行のプロセスに伴うリスク(品質の再現性、人間工学的問題、サイクルタイムが遅いこと)などを排除することができる。
【0082】
各はんだスリーブ装着モジュール52及び54におけるケーブル加工機器は、さらに、はんだスリーブをシールドケーブルに装着する前後において、このケーブルを収容するよう設計された一組のじょうご部170(
図1参照)を含む。これらのじょうご部は、ケーブルの移動を案内するだけでなく、ケーブル10がはんだスリーブ12を通って送給され、はんだスリーブ12が露出シールド4を囲むように配置される際に、ケーブルの露出シールド部分を保護する機能も有する。
【0083】
はんだスリーブ12がケーブル10の所望の領域に装着されると、ケーブル10とはんだスリーブ12を合わせた部分(以下に
図16Aに示すスリーブ・ケーブルアセンブリ1)では、その領域全体の直径が、ケーブル10の元の直径よりも大きくなる。上部開放じょうご部170における最小幅部分のサイズがケーブル10の外径に合致する場合、はんだスリーブ12が装着されたケーブル10は、上部開放じょうご部170を通過できないので、はんだスリーブ装着モジュール52又は54から外に移動することができない。「上部開放」じょうご部170は、この障害を排除すべく設計されており、各じょうご部170の上部にスロット(以降「開口」76)が形成されている。このスロット76により、スリーブを装着することでケーブルに生じる外寸の変化やばらつきに、じょうご部170を適応させることができる。
【0084】
図11は、はんだスリーブ装着モジュールのいくつかのコンポーネントを示す図であり、露出シールドを有するケーブルを異なるサイズのはんだスリーブに挿通させるよう設計された3つの上部開放じょうご部170a~170bの組が含まれる。上部開放じょうご部170a~170cに開口76a~76cが形成されていることにより、はんだスリーブ12の装着後のケーブル10をじょうご部から離脱させることができる。上部開放じょうご部170a~170cは、摺動プレート176に取り付けられており、当該摺動プレートは、適切な上部開放じょうご部を配置するために、側方に摺動することができる。
図12に示すように、上部開放じょうご部170bは、ケーブルガイドブロック175の切り欠き175bの前方に配置される。ケーブルガイドブロックは、ケーブル挿入中にケーブル10の端部を切り欠き175b内にガイドするためのガイド面175aをさらに含む。
【0085】
じょうごシステムは、複数のじょうご延長部172a~172cをさらに含む。プラスチック製の上部開放じょうご部170a~170cは、其々のじょうご延長部172a~172cを取り付けることによって、所望の動作が可能となるように延長される。あるいは、じょうご延長部172a~172cは、其々の上部開放じょうご部170a~170cと一体成形してもよい。各じょうご延長部172a~172cの末端は一対の枝部78a、78bになっている。枝部78a、78bは、対応するはんだスリーブの内径内に嵌入するように、サイズ設定及び構成されている。より具体的には、枝部78a、78bは、長さ方向に沿って先細りになっているので、はんだスリーブ12が所定の位置に移動されると、はんだスリーブに容易に差し込むことができる。枝部78a、78bは、ケーブル10が枝部の内面に沿って摺動しやすいように、摩擦係数の低い材料(例えば金属)によって形成することが好ましい。また、枝部78a、78bは、ケーブルがはんだスリーブ12に進入するのを妨げないように、十分に薄いものとされる。枝部78a、78bは、シールド4及び/又はケーブル10に損傷を与えるような粗い部分や鋭いエッジの無い、滑らかな内面を有することが好ましい。枝部78a、78bは、はんだスリーブ12の内面の大部分に重なっており、ケーブル10が上部開放じょうご部170及びはんだスリーブ12を通って送給される際に、当該ケーブルが摺動する滑らかな面を提供している。枝部78a、78bがあれば、犠牲ジャケットスラグの作製も、その除去も不要である。
【0086】
トリミングしたシールドケーブル10をはんだスリーブ12に挿入する際に、枝部78a、78bを介在させることにより、シールドのストランドやワイヤの端部がはんだスリーブの内面に当たったり、引っ掛かったりすること(よって、ケーブルが損傷すること)を防止できる。じょうご延長部のサイズ及び長さは、挿入するはんだスリーブ12のサイズに基づいて設計/設定される。枝部78a、78bは、はんだスリーブ12の大部分、又は、少なくとも一部を通過するのに十分な長さを有するものとし、はんだスリーブ12を枝部78a、78bにかぶせやすいように、枝部78a、78bの長さ方向に沿って先細りになっているものとする。
【0087】
図12は、
図11に示したコンポーネントに加えて、自動化されたはんだスリーブ装着作業の一部において、露出シールド4を有するケーブル10の部分にはんだスリーブ12(
図12では見えないが
図13を参照)を装着するためのエンドエフェクタ108を示す図である。
図12は、はんだスリーブ装着プロセス中の1つの状態を示しており、この状態では、はんだスリーブ12は、エンドエフェクタ108によって既にじょうご延長部172bに嵌合されており、ケーブル10は、既に上部開放じょうご部170b及びはんだスリーブ12内に送給されている。
【0088】
より具体的には、一実施形態によるはんだスリーブ装着プロセスは、
図12に示した装置の状態が達成されるよりも前に行われる以下の工程を含む。すなわち、エンドエフェクタ108が、振動テーブル(又は他のスリーブ供給機構)からはんだスリーブ12を持ち上げ、当該スリーブをじょうご延長部172bの端部に配置する。その後、一実施形態では、エンドエフェクタは、ケーブル配置機構19によってケーブル10がはんだスリーブ12内に供給されている間、静止状態を維持する。
図12に示すように、エンドエフェクタ108は、プラスチック製のカバープレート178を備えており、これが上部開放じょうご部170bを塞ぐことにより、ケーブル10がはんだスリーブ12内に送給される際に、上部開放じょうご部170bからケーブルが外れるのを防止する。次に、一実施形態では、エンドエフェクタ108は、ワイヤが挿通されたスリーブ12を保持した状態のまま、当該スリーブのはんだ付け作業が行われるまで待機する。別の実施形態では、エンドエフェクタ108は、はんだスリーブ12を解放して、はんだスリーブ溶融プロセスが開始する前に、経路から外れる。
図13は、この状態を示している。
【0089】
図13は、
図11に示したコンポーネントを示す図であり、自動化されたはんだスリーブ装着作業の一部において、はんだスリーブ12がじょうご延長部172bに配置され、ケーブル10が上部開放じょうご部170b及びはんだスリーブ12に挿通された後の状態を示している。
図13に示すように、はんだスリーブ12は、じょうご延長部172bに位置している。じょうご延長部172bは、はんだスリーブ12の内面の大部分に重なっており、ケーブル10が上部開放じょうご部170b及びはんだスリーブ12を通って送給される際に、当該ケーブルが摺動する滑らかな面を提供している。
【0090】
システムコントローラ(
図13には図示しないが、
図20のシステムコントローラ100を参照)は、ケーブルストリップ長情報に基づいて、ケーブル配置機構19(
図4B参照)がケーブル10をどの程度モジュール内に挿入すべきかを計算してもよいし、あるいは、既知の所定値を用いてもよい。ケーブルシールド4は、加工を行うための再現可能位置(repeatable position)で停止される。すると、エンドエフェクタ108(
図10B)が、加工を行うための
図14に示した再現可能位置に、はんだスリーブ12を移動させる。これらの再現可能位置は、ケーブル10のトリミング済シールド4の露出領域に、はんだスリーブ12を中心合わせしてかぶせることができる位置である。一実施形態において、エンドエフェクタ108は、次に、はんだスリーブ12を解放して、はんだスリーブ溶融プロセスが開始する前に、経路から外れる(元の位置に戻る)。別の実施形態では、エンドエフェクタ108は、加熱プロセスの間、スリーブ12を保持し続ける。
図14は、自動化されたはんだスリーブ装着作業の一部として、熱風を用いて、ケーブル10の露出シールドを含む部分にはんだスリーブ12を融着するための装置の一実施形態を示している。システムコントローラ100が、ロボット装置に命令を送り、当該ロボット装置が、加熱具174のコンポーネントを
図14に示した位置に配置する。本実施例では、加熱具174は、はんだスリーブ12の両側に配置された2つのホットエアガン174a、174b、及び、ホットエアガン174bの吹出し口に取り付けられた湾曲先端ノズル174cを含む。湾曲先端ノズル174cは、ホットエアガン174bから突出して、はんだスリーブ12の上に張り出している。また、ホットエアガン174bには、はんだスリーブとほぼ等しい長さのフラット先端ノズルを取り付けてもよい。ホットエアガン174bは、はんだスリーブ12の右側から側方に移動して所定位置に位置する。ホットエアガン174aは、下方に回転してはんだスリーブ12にかぶさる。ホットエアガン174a、174bは、其々のリニアアクチュエータ(図示せず)を作動させることにより、加熱位置に移動させてもよい。他の実施形態において、ホットエアガンを1つだけ用いてもよいし、3つ以上用いてもよい。
【0091】
加熱段階においては、2つのホットエアガン174a、174bが、はんだスリーブ12に熱を加える。湾曲先端ノズル174cは、生成された熱風を「反射」して、はんだスリーブ12の周りで流動させる。加熱具174は、はんだスリーブ12のはんだリング9をケーブル10に融着させるのに十分な熱を、加熱ゾーン内に生成する。2つのホットエアガンを用いることによって、はんだスリーブ12のすべての面に、均一に加熱しやすく、また、全体的な溶融プロセスの速度を上げることができる。ケーブル10のジャケット2を焦がしたり損傷したりする恐れがあるため、ホットエアガンのいずれの箇所も、はんだスリーブ12又はケーブル10に物理的に接触すべきではない。
【0092】
代替の実施形態によれば、赤外線ヒーターなどの他の種類の加熱装置を、はんだスリーブ溶融プロセスに用いてもよい。赤外線ヒーター又は加熱ランプは、電磁放射によって、より低温の物体にエネルギーを伝える、より高温の物体である。放射体の温度に応じて、赤外線放射のピークの波長は、780nm~1mmの範囲である。このエネルギー伝達には、2つの物体間の接触又は媒体は必要ではない。
【0093】
図15は、自動化されたはんだスリーブ装着作業の一部として、ケーブル10の露出シールドを含む部分にはんだスリーブ12を融着するために配置された赤外線加熱具94を表す図である。赤外線加熱具94は、一対の石英を封入型加熱要素(quartz-encapsulated heating element)120a、120bを有し、これらは、其々ヒートシンク121a、121bに接続されている。石英封入型の熱要素120a、120bは、閉じ合せるとワークの周りを囲むように構成されている。このような加熱要素は、瞬時に1500°Fまでの放射熱を供給可能である。
【0094】
加熱プロセスは、寸法解析など、溶融中のはんだスリーブを能動的に監視する能動的監視の方法、又は、はんだスリーブの過加熱や加熱ムラを避けるための温度監視の方法と組み合わせてもよい。寸法解析の場合は、はんだスリーブが完全に溶融した時点を把握するために、融着されたケーブル及びはんだスリーブの特定の時点における直径を記録するように構成されたレーザ測定装置を使用することができる。
【0095】
はんだスリーブ12がケーブル10に完全に融着されると、ケーブル10を、(例えばケーブル10を上方に持ち上げる空気圧レバーアームによって、又は、手作業によって)上部開放じょうご部170bから飛び出させた後、ケーブル配置機構19(例えば、
図4Bに示す駆動ホイール16及び遊動ホイール18)によって、又は、手作業によってパレット64に向かって後退させることができる。
【0096】
図16は、一実施形態による、はんだスリーブを持ち上げ、シールドケーブルに配置し、溶融するための方法200の工程を示すフローチャートである。はじめに、システムコントローラ100が、はんだスリーブ持ち上げ・配置・溶融モジュールの作業を制御するコンピュータ162に対して情報を送る(工程202)。この情報は、持ち上げるの対象のはんだスリーブの種類と、スリーブにピッグテールを取り付ける場合には、ピッグテールの向きと、を含む。ピッグテールの例としては、絶縁アース線又は組み紐状アース線ストラップ(ground braid strap)、又はケーブル10に取り付ける必要のある任意の他のワイヤがある。はんだスリーブの種類は、そのはんだスリーブにケーブルを通す際に、複数のじょうご部のうちのどのじょうご部を用いるかを決定する1つの基準として利用される。
【0097】
提示する一実施態様によれば、はんだスリーブとデッドエンドスリーブとは、部品番号で分けられ、異なる振動テーブル(図示せず)に分配される。振動テーブルは、テープ・アンド・リール又はカートリッジに代えてもよい。システムコントローラ100は、ケーブル10に装着するはんだスリーブの部品番号に基づいて、エンドエフェクタ108が取り付けられたロボットアーム又はガントリーに対して移動先を指示する。はんだスリーブ12がテープ・アンド・リール又はカートリッジ(図示せず)上にある場合は、はんだスリーブ12を(空気圧アクチュエータ、電気アクチュエータ等によって)キャビティから押し出して、エンドエフェクタ108による把持が可能な状態にする。
【0098】
次に、ガントリー/ロボットアームが、エンドエフェクタを、適合する種類のはんだスリーブの上方に位置させる(工程204)。ピックアンドプレイス視覚システムを補助的に用いて、はんだスリーブを正しい向きで持ち上げることができるようにエンドエフェクタを適切に配置する(工程206)。エンドエフェクタを適切な向きに配置したら、エンドエフェクタを作動させて、はんだスリーブを把持させる(工程208)。検証工程を行って、はんだスリーブが把持されていること、及び、把持されたはんだスリーブのアース線の向きが正しいことを確認する。この目的にも、視覚システムを利用することができる。
【0099】
次に、ガントリー/ロボットアームでエンドエフェクタを移動させ、これにより、当該エンドエフェクタに把持されたはんだスリーブが適切なじょうご部の近傍に搬送され、じょうご延長部の枝部に配置される(工程210)。はんだスリーブが枝部に配置されると、はんだスリーブ装着モジュールのケーブル配置機構がケーブルを押し出して、じょうご部及びはんだスリーブに挿通させる(工程212)。特定の実施形態では、ケーブルは、所定の長さだけ押し込まれ、この長さは、用途、ワイヤの種類、シールドトリミングの特性にしたがって予め算出するか、あるいは、予めプログラミングすることができる。
【0100】
次に、ガントリー/ロボットアームが、スリーブ12を保持したままのエンドエフェクタを、加工のための再現可能位置に移動させる(工程214)。この位置は、はんだスリーブを、ケーブルの露出シールドの中心に位置合わせして、かぶせることができる位置である。一実施形態によれば、はんだスリーブは、既に露出シールドの中心に位置合わせされており、はんだスリーブを、ケーブルの露出シールドと同時に同じ速度で移動させることができる。別の実施形態によれば、ケーブルがじょうご部に送給され、ケーブルの露出シールドが再現可能位置に到達すると、エンドエフェクタがはんだスリーブを枝部から再現可能位置に移動させる。提示する一実施態様によれば、はんだスリーブ及び露出シールド其々の再現可能位置は、はんだスリーブが露出シールドの全体を覆う位置である。次に、エンドエフェクタが開状態に遷移してはんだスリーブを解放し、次いで、ガントリー/ロボットアームが経路から退避し、場合によっては、元の位置に戻る(工程216)。
【0101】
次に、加熱具がはんだスリーブの加熱ゾーンにおける所定の位置に移動され、作動される(工程218)。加熱具は、はんだスリーブを溶融させてケーブルに付着させるのに十分な熱を、加熱ゾーン内に生成する。溶融作業の間、能動的な寸法解析を用いて、はんだスリーブの状態を監視する(工程220)。例えば、レーザスキャンマイクロメータを用いて、はんだスリーブの外径の減少を測定する。はんだスリーブが所望のレベルまで溶融されれば、加熱作業を停止させる。これは、加熱具をオフにし、ケーブルから離間させればよい(工程222)。例えば、レーザ測定の結果、はんだスリーブの外径が、完全に溶融した状態、あるいは、所望のレベルまで溶融した状態を示す目標値に到達したことが示されれば、加熱作業を停止させる。これは、ホットエアガンなどの加熱具を、自動でオフにすれば実現することができる。次に、ケーブルを持ち上げて、少なくとも部分的に上部開放じょうご部から離脱させ、次に、はんだスリーブ持ち上げ・配置・溶融モジュールから離脱させる(工程224)。なお、(上部開放じょうご部ではなく)スプリットじょうご部を有する代替の実施形態では、2つの半じょうご部分を開状態にして、スリーブ・ケーブルアセンブリ1を後退させるために十分な空間を確保する。
【0102】
図17は、一実施形態による、はんだスリーブを持ち上げ、シールドケーブルに配置し、溶融する自動システムにおけるいくつかのコンポーネントを示すブロック図である。コンピュータ162は、各種の電気制御弁80に制御信号を送るようにプログラムされている。上述したように、これらの電気制御弁が開放されると、空気圧シリンダ84、86及び88に圧縮空気が供給される。空気圧シリンダ84、86及び88は、例えば、半じょうご部分180a、180b及びホットエアガン174a、174bなどの、ケーブル加工機器24の様々なコンポーネントを移動させるために用いられる。代替の実施形態において、空気圧シリンダを電気モータに置き換えてもよい。
【0103】
引き続き
図17を参照すると、コンピュータ162は、適切な有線接続又は無線接続を介し、また、適切な通信プロトコル(例えば、イーサネット又はブルートゥース)を用いて、ロボットコントローラ98と通信する。ロボットコントローラ98は、ガントリー/ロボットアーム106を移動させる様々なロボットモータ104の動作を(モータコントローラ102を介して)制御して、エンドエフェクタ108を上述の経路で移動させるよう構成されたコンピュータである。ロボットコントローラ98は、エンドエフェクタ108の把持動作も制御するよう構成されている。
【0104】
また、コンピュータ162は、加熱ゾーンの温度も制御する。より具体的には、コンピュータ162は、赤外線加熱具94への供給電力を制御するヒーター電力制御信号を出力する。ヒーター電力制御信号は、コンピュータ162から信号調整部(signal conditioner)90に送られ、そこで調整された後、ヒーター電力制御信号としてヒーター電力コントローラ92に出力される。ヒーター電力コントローラ92は、調整済みのヒーター電力制御信号を変換して、赤外線加熱具94への電力供給に用いられる出力電圧を得る。一実施形態においては、はんだスリーブ12を溶融させる間、レーザスキャンマイクロメータ96を用いてはんだスリーブの外径を監視する。はんだスリーブの収縮が進み、外径が目標値に到達したことを示す測定データをレーザスキャンマイクロメータ96から受信すると、コンピュータ162は赤外線加熱具94をオフにする。
【0105】
図1及に示したシステムは、システムコントローラ150(
図18に示す)の制御下で動作させることができる。
図18は、一実施形態による、ケーブル10の端部にはんだスリーブ12を装着するための一連の作業を行う複数のワークステーションを有するシステムを制御する方法300の工程を示すフローチャートである。システムコントローラ150は、データベース302からワークパッケージ及び情報304を受信するとともに、静的ルックアップテーブル306からケーブル情報308も受信する。システムコントローラ150は、データを解析し、その情報を用いてシステムを動作させる。加工対象のケーブルは、例えば、航空機や他の輸送体、あるいは、他の種類の電気系に設置するためのものである。加工対象のケーブルが航空機に設置するためのものである場合、ワークパッケージ内のケーブルは、飛行機エフェクティビティ、バンドル番号、ワイヤの種類、及び、グループコードによって、整理される。
【0106】
ワークパッケージは、例えば、製品のデータや情報であり、システムで加工するケーブルと、ケーブル全長に装着するはんだスリーブの識別番号、ケーブル両端に接続予定の機器、ケーブルの種類、飛行機エフェクティビティ、航空機の種類(プログラムコード)、ワイヤバンドルの固有番号(dash number)、ワイヤゲージ(つまり、ケーブルに含まれるワイヤのゲージ)、ワイヤバンドルのグループコード、終端コード(ケーブルのワイヤやシールドに施すコンタクトや終端の種類を指定するコード)、などが含まれる。
【0107】
静的ルックアップテーブルは、製品ファイル(ワークパッケージ)に含まれるケーブルのパラメータに基づいてシステムパラメータを設定するために用いられる。静的ルックアップテーブルには、例えば、以下のデータが含まれる。即ち、ケーブルに適合するデッドエンドスリーブのサイズ、ケーブルに適合するはんだスリーブのサイズと種類、最適サイズのはんだスリーブが在庫切れなどの理由で利用不可能である場合の代替はんだスリーブのサイズ、ケーブルをはんだスリーブ持ち上げ部(solder sleeve pick)に送給する際に用いるじょうご部のサイズ、配置及び溶融ステーション、ケーブルに配置されているワイヤの色(シールドのトリミング後の視覚検査システムに送られる)、はんだスリーブ持ち上げ部に送られる、はんだスリーブを「完全に装着した状態」の直径、能動的な寸法解析を利用してスリーブ部品の装着を監視する場合には、配置・溶融ステーション、はんだスリーブを装着する場合(これは、ケーブルの終端に接続される機器と終端種別コードの両方によって決定される)には、ケーブルのストリップ長、デッドエンドスリーブを装着する場合には、ケーブルのストリップ長、及び、はんだスリーブを装着する場合には、アース線(ピッグテール)の向き、が含まれる。
【0108】
システムコントローラ150は、ケーブル配送システム60又は61の様々なコンポーネントの動きを制御するための信号を送信する(工程316)。システムコントローラ150は、さらに、すべてのモジュールから、光ゲートの状態を表す信号を受信する(工程309)。システムコントローラ150は、さらに、ケーブル配置機構19が各モジュールにケーブル10をどの程度挿入すべきかを、ケーブルストリップ長情報に基づいて、決定し、導出し、あるいは、ルックアップテーブルから抽出する。ケーブルストリップ長を用いて、ケーブルが正しい位置で加工されるために各モジュールに挿入しなければならないケーブル長さを計算する。システムコントローラ150は、様々なモータコントローラ(あるいはモータコントローラに命令するコンピュータ)に制御信号を送信することにより、モータを、様々な光ゲートから受信した信号及びケーブルストリップ長に基づいて動作させる(工程318)。
【0109】
さらに
図18を参照すると、ケーブルは、切断されてシステムに装填されるように、繰り出しモジュール32に1つずつ送られる。システムコントローラ150は、ケーブルの種類及び長さの情報を、繰り出しモジュール32に送信する(工程320)。繰り出しモジュール32は、この特定の種類の連続長ケーブルを繰り出し、次に、当該ケーブルを特定の長さに切断する。各ケーブル10に対して、レーザマーカー34が、ケーブル10の外側ジャケット2に、関連情報(バンドル番号、ワイヤ番号、ゲージ)をレーザにより印字する。
【0110】
また、システムコントローラ150は、ケーブル絶縁情報を用いて、適切なレーザ設定を選択し、これをレーザ刻印モジュール40に送信する(工程322)。システムコントローラ150は、さらに、ケーブル種類情報を用いて、はんだスリーブ又はデッドエンドスリーブのうち適切な方の種類に決定し、(ケーブル直径に基づいて)どの上部開放じょうご部を用いるべきか、及び、枝部から取り外した後にはんだスリーブ12をどこに配置すべきかを示す命令を、はんだスリーブ装着モジュール52、54に送信する(工程328)。どのじょうご部を用いるべきかを示す同様の信号は、シールドトリミングモジュール44にも送信される(工程324)。また、システムコントローラは、ケーブル種類情報を、シールドトリミング検査モジュール46に送信する(工程326)。
【0111】
システムコントローラ150は、さらに、エラーが無いかどうか、システムを監視するように構成されている。例えば、システムコントローラ150は、ジャケットスラグ引っ張りモジュール42内のシールドセンサから、信号を受信する(工程310)。信号が無い場合、システムコントローラ150は、エラーアラームを出す。また、システムコントローラ150は、シールドトリミング検査モジュール46のカメラから画像データを受信し、当該画像データが、合否アルゴリズムを用いて処理される(工程312)。また、システムコントローラ150は、アース線検出モジュール58から信号を受信する(工程314)。信号が無い場合、システムコントローラ150は、エラーアラームを出す。
【0112】
本開示の積極的寸法解析技術は、(上述したように)自動ケーブル加工ラインで使用してもよいし、はんだスリーブをシールドケーブルに装着するために、当該はんだスリーブを溶融及び監視するハンズフリーベンチトップ装置の一部として採用してもよい。ベンチトップ装置は、熱源と、一組のケーブル支持体と、センサシステム(例えば、レーザ測定システム)と、制御システム(例えば、コンピュータ)とを含む。制御システムは、はんだスリーブが完全に溶融したことを示すセンサデータを受信すると、これに応答して、はんだスリーブ溶融プロセスの終了を指示する警告信号を生成するように構成されている。センサシステムは、はんだスリーブの溶融の進行を継続的に監視することにより、はんだスリーブが完全に溶融するとともに、損傷が無いことを確認する。ヒータの停止及び/又は除去は、警告信号の生成を受けて、手動又は自動で行うことができる。
【0113】
図19は、一対のケーブル支持体122a及び122bによって支持されたケーブル10の一部にはんだスリーブ12を融着するために配置された(
図15に示すとともに先に述べた種類の)赤外線ヒータ94を示す図である。一対のケーブル支持体122a及び122bは、ベースプレート120に固定されている。はんだスリーブ溶融プロセス中、ケーブル10は、一対のケーブル支持体122a及び122bによって固定支持されている。赤外線ヒータ94が起動すると、赤外線加熱要素120a及び120bは、ケーブル10にはんだスリーブ12のはんだリング9を融着するのに十分な熱を生成する。
【0114】
一実施形態においては、処理中、一対のケーブル支持体122a及び122bは、ケーブル10及びはんだスリーブ12の位置を維持する。なお、多くの市販の選択肢が利用可能である。例えば、一対のケーブル支持体122a及び122bは、イリノイ州ティンリーパークに拠点を置くパンドウィット社(Panduit Corp.)から商業的に入手可能なワイヤクリップであってもよい。一対のケーブル支持体122a及び122bの材料は、ケーブル10及びはんだスリーブのアース線(
図19には示されていないが、
図8A及び9Aに示すアース線14を参照)の保持を維持するのに十分な剛性を有していなければならない。オープンクリップ設計(
図19に示すものと同様のもの)を使用する場合、ワイヤクリップの枝部は、オペレータが(露出したワイヤ6及び8を含む)ケーブル10及びはんだスリーブのアース線14をワイヤクリップに押し込むのに十分な柔軟性を有していなければならない。さらに、
図19に示すように、一対のケーブル支持体122a及び122bが、加熱要素120a及び120bの近傍に配置される場合、一対のケーブル支持体122a及び122bは、耐熱材料(例えば、ポリカーボネート又はシリコーン)で形成する必要がある。一対のケーブル支持体122a及び122bが、加熱要素120a及び120bから十分に離れて配置されている場合、これらのケーブル支持体の材料は必ずしも耐熱材料(例えば、熱可塑性材料)である必要はない。
【0115】
いずれの場合においても、スリーブの溶融状態を監視して、必要に応じて溶融プロセスを停止する監視方法が用いられる。このような方法の例としては、限定するものではないが、温度監視や寸法解析が挙げられる。温度監視を利用することにより、スリーブが全体的に、あるいはいくつかの部位において過度に溶融していないことを確認したり、スリーブがいくつかの部位において過度に加熱されていないことを確認することができる。
【0116】
別の方法として、走査レーザビームを用いた積極的寸法解析を用いることができる。この方法は、ある瞬間のレーザービームL1及びL2を示す
図15を参照して前述したように、
図19に示す構成において用いることができる。はんだスリーブ溶融プロセスにおいては、光電センサ(例えば、レーザ測定装置)を起動して、溶融するはんだスリーブ12を垂直に横切る光ビームを走査することにより、はんだスリーブ12の長さ方向に沿った1つ以上の位置においてはんだスリーブ12の瞬間的な高さ(又は、外径)を示すセンサデータを取得することができる。各光電センサは、垂直走査光ビームが、加熱要素120a及び120bのうちの一方によって遮断されないように配置される。
【0117】
溶融プロセスにおいては、リアルタイムで、ケーブル10の直径が継続的に測定され、またはんだスリーブ12の直径の収縮が継続的に監視される。これは、光電センサシステムの使用により実現することができる。直径を測定するように構成されたセンサとして様々なものが市販されている。そのようなセンサとしては、例えば、レーザ走査を用いる光電センサ、シャドー投影(shadow projection)、レーザシャドー投影、及び、CCDラインセンサなどがある。光電センサは、送信光ビームが、加熱素子に妨げられることなく、はんだスリーブと交差する垂直面においてはんだスリーブ12に当たるような向きに配置する必要がある。
【0118】
図20は、ケーブル10におけるはんだスリーブ12の寸法を測定するために配置された光電センサ124を示す図であり、同図において、ケーブル10は、ベース120に設けられた1つのワイヤクリップ122によって保持されている。ヒータは、図面が煩雑になるのを避けるために図示していない。
図20に示す例においては、光電センサ124は、レーザ送信モジュール126と、レーザ検出モジュール128とを有するレーザスキャンマイクロメータである。このタイプのレーザセンサにおいては、レーザ送信モジュール126から走査レーザビームが出射され、この走査レーザビームが走査平面内を走査して、レーザ検出モジュール128によって受信される。一実施形態によれば、レーザ検出モジュール128は、光検出素子の線状アレイ(例えば、電荷結合素子のピクセルの列)を含む。取得した画像データにおいて、光の妨害についての遷移(例えば、走査レーザビーム光が妨害されていない状態から妨害されている状態への遷移、あるいはその逆)が発生した部分のエッジが、レーザ検出モジュール128によって検出される。このタイプのレーザセンサは、スリーブの外径の測定に使用することができる。
【0119】
図21は、本書で提示される積極的寸法解析システムでの使用に適した市販の光電センサ124のコンポーネントを示す図である。
図21に示される光電センサ124は、モータ144の出力シャフトに取り付けられたポリゴンミラー148を含む。ポリゴンミラー148の回転は、モータコントローラ146によって制御される。このコントローラは、クロック188からクロックパルスを受信して、これらのクロックパルスをモータ駆動パルスに変換する。
図21に示す光電センサ124は、レーザドライバ138をさらに含む。このレーザドライバは、ミラー142(又は他の反射面)に向けられるレーザビームを生成するために、レーザ140を駆動する。ミラー142は、入射したレーザービームを、クロック188からのクロックパルスと正確に同期して高速回転するポリゴンミラー148に向けて反射するように配置される。回転中にポリゴンミラー148の反射面(reflective facet)の角度が変化するにつれて、各反射面によって反射された光は、垂直方向に走査するレーザビームとなってコリメートレンズ150に入射する。この入射ビームは、当該ビームが下方向に走査されるに従い、コリメートレンズ150の入射面を横切るように掃引されるが、レンズ出射面から出射した後は、進行方向は水平となる。この水平方向のビームは、測定空間に入り、ワーク(workpiece)が存在しない場合、集光レンズ152を通って光検出器154に到達する。
【0120】
光検出器154は、入射光を電気信号に変換し、変換された電気信号は、増幅器156によって増幅される。増幅された電気信号は、エッジ検出回路182を通過する。エッジ検出回路182は、はんだスリーブ12が光を妨害している状態と、はんだスリーブ12が光を妨害していない状態との間の遷移に対応するエッジを検出する。エッジ検出回路182は、エッジが検出されると所定の特性信号を出力し、出力された特性信号は、ゲートによって受信される。このゲートは、はんだスリーブ12の第1エッジ及び第2エッジそれぞれに対応する特性信号を相次いで受信すると、これらに応答して、開状態と閉状態との間の切り替えを行う(flip-flops)。走査レーザ光が、はんだスリーブ12によって妨害されていない状態から妨害されている状態に遷移すると、ゲート184が開いて、クロック188からのクロックパルスをカウンタ186へと渡し、カウンタ186は、カウントを開始する。走査レーザ光が、はんだスリーブ12によって妨害されている状態から妨害されていない状態に遷移すると、ゲート184が閉まり、クロックパルスがカウンタ186を通過できない状態になるため、カウンタが停止する。中央処理ユニット190(以降“CPU190”)は、カウンタが停止したことを検出して、コンピュータ(例えば、
図17に示すコンピュータ162)にその時点でのカウントを送信し、その後、カウンタをゼロにリセットするように構成されている。このプロセスは、走査レーザビーム毎に繰り返される。
【0121】
図21に示すように、はんだスリーブ12に妨害されるレーザービームは、光検出器154に当たらない。はんだスリーブ12が測定空間に配置されると、走査レーザビームの掃引が行われる間、当該レーザビームが妨害される。この妨害の期間は、受信信号が存在しない間に発生するクロックパルス数のカウントによって示されるように、下方向におけるワークの寸法に比例する。
【0122】
コンピュータ162は、入力される瞬間的なカウントの各々と、はんだスリーブ12の目標寸法に対応する目標カウントとを比較するように構成されている。はんだスリーブ12の寸法の瞬間測定値を示すカウントが、目標カウントと等しい場合、コンピュータ162は、はんだスリーブが完全に溶融したことをオペレータに知らせるために、警告信号を出す。この警告信号は、聴覚アラームや点滅表示などの聴覚形式又は視覚形式に変換することができる。他の実施形態においては、コンピュータは、溶融プロセスを停止させ、任意で、加熱ゾーンから加熱ツールを遠ざける。
【0123】
図22は、一実施形態による、手作業ではんだスリーブを装着する処理において積極的寸法解析を用いるための方法250の工程を示すフローチャートである。最初に、オペレータが、処理対象の特定のシールドケーブルの種類に適したはんだスリーブの種類を選択する(工程252)。次に、オペレータは、アース線が、前方に延出するか、あるいは、後方に延出するような向きに配置された状態で、露出シールドを有するシールドケーブルの端部にはんだスリーブを配置する(工程254)。次に、オペレータは、はんだスリーブが露出シールドを囲むように軸方向に配置されていることを確認する(工程256)。その後、はんだリング(
図7Aに示すはんだリング9を参照)が、露出シールドの中央に位置するか否かを判定する(工程258)。工程258において、はんだリングが露出シールドの中央に位置すると判定された場合、一対のクランプの間にはんだスリーブが配置された状態で、当該クランプにケーブル及び露出ワイヤ(アース線を含む)を配置する(工程260)。工程258において、はんだリングが露出シールドの中央に位置していないと判定された場合、はんだスリーブを再配置及び位置合わせする(工程262)。工程262の後に工程260を実行する。
【0124】
ケーブルを保持するクランプは、プレートに固定することができる。この場合、オペレータは、プレートを溶融チャンバにスライドさせる(工程264)。次に、はんだスリーブを囲むアクティブ位置に加熱機構(例えば、ホットエアガンや赤外線加熱要素)を移動させる(工程266)。その後、加熱機構及びレーザ測定システムを起動させる(工程268及び270)。加熱中、はんだリングが溶融してスリーブが収縮する(工程272)。レーザ測定システムは、はんだスリーブの寸法を所定頻度で監視し(工程274)、コンピュータは、いつ溶融プロセスが完了するかを判定する(工程274)。溶融プロセスが完了していないとコンピュータが判定した場合、加熱を継続して、さらにスリーブを収縮させる(工程272)。溶融プロセスが完了したとコンピュータが判定した場合、溶融機構を停止して(オフにして)、非アクティブ位置に移動させる(工程276)。次に、冷却されたケーブルがクランプされたプレートを、溶融チャンバから出す(工程278)。その後、完全に溶融されたはんだスリーブを有するスリーブ・ケーブルアセンブリをクランプから取り外す(工程280)。
【0125】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0126】
付記1.ケーブル(10)に物体(12)を融着するための装置であって、
加熱ゾーンにおいて前記物体の材料を溶融するのに十分な熱を生成可能なヒータ(174)と、
前記加熱ゾーンに向けて配置されるとともに、光を送信して、送信された光が妨害されている状態と妨害されていない状態との間の遷移を示すセンサデータを取得する光電センサ(124)と、
前記光電センサからセンサデータを受信するように機能的に接続されたコンピュータシステム(162)と、を含み、前記コンピュータシステムは、前記センサデータを用いて、前記物体の寸法についての測定値を算出し、前記測定値が、完全に溶融した物体に対応する目標値に等しくなった場合に警告信号を出すように構成されている、装置。
【0127】
付記2.前記コンピュータシステムは、前記ヒータにヒータ制御信号を送信するように機能的に接続されており、前記コンピュータシステムは、前記ヒータの状態を変化させるようにさらに構成されており、これによって、前記ヒータは、前記測定値が前記目標値に等しくなったことを受けて前記加熱ゾーンにおいて熱を生成するのを停止する、付記1に記載の装置。
【0128】
付記3.前記ケーブルは、露出シールド(4)を有するシールドケーブルであり、前記物体は、はんだスリーブ(12)又はデッドエンドスリーブである、付記1又は2に記載の装置。
【0129】
付記4.前記光電センサは、前記加熱ゾーンに交差する走査平面内を走査する光を送信するように、且つ、前記送信光の妨害の開始及び停止を示すぞれぞれのエッジ検出信号を生成するように、配置及び構成されており、前記コンピュータシステムは、前記其々のエッジ検出信号を受信すると、クロックパルス数のカウントを開始及び停止し、前記カウントが、前記目標値に対応する値に到達すると、前記ヒータを停止するようにさらに構成されている、付記1、2又は3に記載の装置。
【0130】
付記5.前記ヒータは、赤外線ヒータ(94)であって、前記光電センサは、前記ケーブルと前記赤外線ヒータとの間の空間を通る光ビームを送信するような向きに配置される、付記4に記載の装置。
【0131】
付記6.前記光電センサは、走査光ビーム送信機(126)、及び、光検出素子(128)のアレイを含み、前記コンピュータシステムは、さらに、
前記走査光ビーム送信機から送信され、且つ、前記光検出素子の前記アレイによって受信される光が妨害される妨害期間を算出し、
算出された前記妨害期間と前記目標値とを比較し、
算出された前記妨害期間が前記目標値に等しい場合に、前記ヒータを停止するための制御信号を発信する、ように構成されている、付記1~5のいずれかに記載の装置。
【0132】
付記7.ケーブルの一部を支持するように配置及び構成されたケーブル支持体(122)をさらに含み、前記ケーブルの支持は、前記ケーブル(10)の露出シールド(4)の周りに配置されたスリーブ(12)が前記加熱ゾーン内に配置されるように行われる、付記1~6のいずれかに記載の装置。
【0133】
付記8.前記加熱ゾーンの前に設けられたじょうご部(170)と、
ニップを形成するとともに、このニップに配置されたケーブルを前記じょうご部に押し込むように動作可能な一対のホイール(16,18)と、
前記一対のホイールの回転駆動のために機能的に接続されたモータ(72)と、をさらに含み、
前記コンピュータシステムは、前記モータを起動して、前記一対のホイールをケーブル押出し方向に回転駆動させるようにさらに構成されており、これによって、前記じょうご部にケーブルの露出シールドを通過させて当該露出シールドを前記加熱ゾーンに到達させる、付記1~7のいずれかに記載の装置。
【0134】
付記9.ケーブル(10)に物体(12)を融着するための方法であって、
(a)加熱ゾーンにおいてケーブル(10)に物体(12)を配置することと、
(b)前記加熱ゾーンにおいて、前記物体の材料を溶融するのに十分な熱を生成するために、熱源(174)を使用することと、
(c)溶融中に前記物体の寸法を測定することと、
(d)前記測定寸法が目標寸法と等しくなると、これを受けて、前記熱源が前記加熱ゾーンにおける熱の生成を停止するように、前記熱源の状態を変化させることと、を含む方法。
【0135】
付記10.前記測定寸法が前記目標寸法に等しくなると、警告信号を出すことをさらに含み、工程(d)は、前記警告信号が出された後に人間のオペレータによって実行される、付記9に記載の方法。
【0136】
付記11.工程(d)は、コンピュータシステム(162)によって実行される、付記9又は10に記載の方法。
【0137】
付記12.工程(c)は、スリーブ(12)の外径を測定することを含む、付記9、10、又は、11に記載の方法。
【0138】
付記13.工程(d)は、前記物体から前記熱源を遠ざけることを含む、付記9~12のいずれかに記載の方法。
【0139】
付記14.工程(d)は、前記熱源を停止することを含む、付記9~12のいずれかに記載の方法。
【0140】
付記15.工程(c)は、
前記加熱ゾーンに交差する走査平面内を走査する光を送信することと、
前記送信光の妨害が開始したことを示す第1エッジ検出信号を発信することと、
前記第1エッジ検出信号の受信に応答してクロックパルス数のカウントを開始することと、
前記送信光の妨害が終了したことを示す第2エッジ検出信号を発信することと、
前記第2エッジ検出信号の受信に応答してクロックパルス数のカウントを停止することと、を含む、付記9~11、13、又は、14のいずれかに記載の方法。
【0141】
付記16.停止された前記カウントと、前記スリーブの目標寸法に対応する目標カウントとを比較することをさらに含み、工程(d)は、停止された前記カウントが前記目標カウントと等しくなると、これを受けて、前記加熱ゾーンにおける熱の生成を停止するために前記ヒータを制御することを含む、付記15に記載の方法。
【0142】
付記17.工程(a)は、
前記ケーブルの周りに前記物体を配置することと、
前記ケーブルの一部を支持するように配置及び構成されたケーブル支持体を用いて前記ケーブルを支持することと、を含み、前記ケーブルの支持は、前記ケーブルの周りに配置された前記物体が、前記加熱ゾーン内に配置されるように行われる、付記9~16のいずれかに記載の方法。
【0143】
付記18.工程(a)は、
前記ケーブルの一部を、ニップを形成する一対のホイール(16,18)の間に配置することと、
ロボットによって、前記ニップに面した入口側を有するじょうご部(170)の延長部(172)に前記物体を配置することと、
前記ホイールをケーブル押出し方向に回転駆動させることにより、前記じょうご部及び物体を通過するように前記ケーブルの端部を前記加熱ゾーンに移動させることと、を含む、付記9~16のいずれかに記載の方法。
【0144】
付記19.ケーブル(10)にスリーブ(12)を融着するための装置であって、
ケーブル(10)を支持するように配置及び構成されたケーブル支持体(122a,122b)であって、前記ケーブルの周りに配置されたスリーブ(12)が、前記ケーブル支持体の間における加熱ゾーン内に配置されるように前記ケーブルを支持するケーブル支持体と、
前記加熱ゾーンにおいて熱を生成するように配置及び構成されたヒータ(174)と、
前記加熱ゾーンに向けて配置されるとともに、前記スリーブの寸法の測定結果であるセンサデータを取得するように構成されたセンサ(124)と、
前記センサからセンサデータを受信するように機能的に接続されたコンピュータシステム(162)と、を含み、前記コンピュータシステムは、前記センサデータを用いて、前記スリーブの寸法についての測定値を算出し、前記測定値が、完全に溶融したスリーブに対応する目標値に等しくなった場合に警告信号を出すように構成されている、装置。
【0145】
付記20.前記ケーブル支持体は、前記ケーブルを所定位置でクランプするように構成されたワイヤクリップである、付記19に記載の装置。
【0146】
付記21.ケーブル(10)にスリーブ(12)を融着するための方法であって、
ケーブル(10)にスリーブ(12)を配置することと、
前記加熱ゾーンの両側に位置する一組のケーブル支持体(122a,122b)の間で前記ケーブルを支持し、その際、前記スリーブが前記加熱ゾーンに配置されるように前記ケーブルを支持することと、
前記加熱ゾーンにおいて熱を生成するために熱源(174)を使用することと、
溶融中の前記スリーブの寸法の測定結果を示すセンサデータを取得することと、
前記センサデータを用いて、前記スリーブの寸法の計測値を算出することと、
前記測定値が、完全に溶融したスリーブに対応する目標値に等しくなったときに警告信号を出すことと、を含む方法。
【0147】
付記22.一対のケーブル支持体の間で前記ケーブルを支持することは、前記ケーブルを一対のワイヤクリップに押し込むことを含む、付記21に記載の方法。
【0148】
ケーブルにスリーブを装着するための方法及び装置を、各種実施形態を参照して説明したが、種々の変更が可能であり、本開示の範囲から逸脱することなく要素をその均等物で置き換えることが可能なことは、当業者には理解されよう。さらに、本明細書の開示を特定の状況に適合させるために、請求の範囲から逸脱することなく多くの改変を行うことが可能である。したがって、請求の範囲は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されないことを意図している。
【0149】
上述の実施形態は、1つ以上のコンピュータシステムを用いる。請求の範囲に用いている「コンピュータシステム」と言う用語は、単一の処理デバイス又はコンピューティングデバイス、あるいは、有線及び/又は無線接続によって通信する複数の処理デバイス又はコンピューティングデバイスを含む。そのような処理デバイス又はコンピューティングデバイスは、典型的には以下のもの、すなわち、プロセッサ、コンピュータ、コントローラ、中央処理装置、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタルシグナルプロセッサ、及び/又は、本明細書に記載された機能を実行できる任意の他の回路又は処理デバイス、のうちの1つ以上を含む。例えば、
図17に示した制御コンピュータ162及びロボットコントローラ98は、「コンピュータシステム」を構成する。上記の例は、単なる例示であり、「コンピュータシステム」という用語の定義及び/又は意味を決して限定するものではない。
【0150】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様は、有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体で実現される実行可能命令として符号化することができ、このような媒体には、限定するものではないが、記憶装置及び/又はメモリデバイスが含まれる。このような命令は、処理システム又はコンピューティングシステムによって実行されると、本明細書に記載した方法の少なくとも一部を、システムデバイスに実行させる。
【0151】
以下に記載のプロセスに関する請求項は、請求項の文言が、請求項に記載の工程のうちのいくつか又はすべてが実行される特定の順序を示す条件を明示的に述べていない限り、これらの工程を、アルファベット順(請求項におけるアルファベットを用いた順序付けは、先に記載した工程に言及する目的のみで用いられている)又は記載順に実行することを要件としていると解釈されるべきではない。また、プロセスに関する請求項は、請求項の文言がそのような解釈を排除する条件を明示的に述べていない限り、2つ以上の工程の任意の部分を同時に実行することや、交互に実行することを排除していると解釈されるべきではない。