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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240112BHJP
   G05G 9/047 20060101ALI20240112BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20240112BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B60K20/02 A
G05G9/047
G05G5/03 A
G05G25/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019232322
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021098488
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】槙尾 一平
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/070340(WO,A1)
【文献】特開2017-95012(JP,A)
【文献】特開2016-88498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
G05G 9/047
G05G 5/03
G05G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフト部材を収容し、前記シフト部材を操作可能に支持すると共に、支持孔を有するベース部材と、
前記ベース部材の内部に設けられ、被固定孔を有する被固定部材と、
前記ベース部材の外部に設けられた外付け部材と、
前記ベース部材に組付けられ、前記被固定部材を前記ベース部材に固定するピンと、
を備え、
前記ピンは、
前記支持孔及び前記被固定孔を挿通するピン本体と、
前記ピン本体の一端部において前記ピン本体の径方向外側へ突出され、前記ベース部材の外周面に当接して前記ピンの他端側への移動を制限するフランジと、
前記ベース部材と前記外付け部材との間において前記フランジから前記ピン本体の他端側へ延出され、前記ベース部材と前記外付け部材との対向方向に弾性変形可能に構成され、前記ベース部材と係合して前記ピンの一端側への移動を制限する固定爪と、
を含んで構成されているシフト装置。
【請求項2】
前記ベース部材の外周部には、前記ピン本体の一端側へ開放され且つ前記フランジが収容されたフランジ収容部と、前記外付け部材側へ開放され前記固定爪が収容された溝部と、が形成されている請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記ピン本体の一端部と他端部との直径寸法が異なる寸法に設定されている請求項1又は請求項2に記載のシフト装置。
【請求項4】
前記被固定部材には、前記シフト部材が挿入され且つ前記シフト部材の移動をガイドするガイド溝が形成されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載のシフト装置。
【請求項5】
前記被固定部材には、前記シフト部材の操作時に節度感を付与させるためのディテント部が形成されている請求項1~請求項4の何れか1項に記載のシフト装置。
【請求項6】
前記外付け部材が、前記シフト部材の操作位置を検出する位置検出機構を構成している請求項1~請求項5の何れか1項に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されたシフト装置では、直方体箱状のハウジング(ベース部材)を有しており、ハウジングの左右の側壁には、ピンが架け渡されている。このピンの一端部は、拡径に形成されており、ピンの他端部には、プッシュナットが設けられている。また、ハウジングの下端部の内部には、底板(被固定部材)が設けられており、底板が、上記ピンによって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-62254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記シフト装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上述のように、底板をハウジングに固定するためのピンでは、ピンの他端部にプッシュナットを取付ける必要があるため、底板を固定するときの組付けが煩雑になる可能性がある。このため、上記シフト装置では、ピンをハウジングに組付けるときの組付性を向上するという点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ピンのベース部材への組付性を向上することができるシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、シフト部材を収容し、前記シフト部材を操作可能に支持すると共に、支持孔を有するベース部材と、前記ベース部材の内部に設けられ、被固定孔を有する被固定部材と、前記ベース部材の外部に設けられた外付け部材と、前記ベース部材に組付けられ、前記被固定部材を前記ベース部材に固定するピンと、を備え、前記ピンは、前記支持孔及び前記被固定孔を挿通するピン本体と、前記ピン本体の一端部において前記ピン本体の径方向外側へ突出され、前記ベース部材の外周面に当接して前記ピンの他端側への移動を制限するフランジと、前記ベース部材と前記外付け部材との間において前記フランジから前記ピン本体の他端側へ延出され、前記ベース部材と前記外付け部材との対向方向に弾性変形可能に構成され、前記ベース部材と係合して前記ピンの一端側への移動を制限する固定爪と、を含んで構成されているシフト装置である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ベース部材の外周部には、前記ピン本体の一端側へ開放され且つ前記フランジが収容されたフランジ収容部と、前記外付け部材側へ開放され前記固定爪が収容された溝部と、が形成されているシフト装置である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ピン本体の一端部と他端部との直径寸法が異なる寸法に設定されているシフト装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記被固定部材には、前記シフト部材が挿入され且つ前記シフト部材の移動をガイドするガイド溝が形成されているシフト装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記被固定部材には、前記シフト部材の操作時に節度感を付与させるためのディテント部が形成されているシフト装置である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記外付け部材が、前記シフト部材の操作位置を検出する位置検出機構を構成しているシフト装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、ピンのベース部材への組付性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係るシフトレバー装置を示す右側から見た側面図である。
図2図1に示される位置検出機構をシフトベースから取外した状態を示す左斜め前方から見た分解斜視図である。
図3図1に示されるシフトベースの下部を破断した状態で示す右斜め前方から見た斜視図である。
図4図2に示されるシフトベースの内部に収容されたロアベース、レバーホルダ、及びシフトレバーを示す左斜め前方から見た斜視図である。
図5図4に示されるシフトレバーのシフト位置を示す平面図である。
図6図2に示される第1スライダ及びリンクのケースへの組付状態を示す前側から見た正面図である。
図7】(A)は、図6に示される第1スライダのケースへの組付状態を示す上側から見た拡大した断面図(図6の7A―7A線断面図)であり、(B)は、図6に示される第1スライダのケースへの組付状態を示す左側から見た拡大した断面図(図6の7B―7B線断面図)である。
図8図6に示されるリンクとケースとの組付状態を示すリンクの幅方向一方側から見た拡大した断面図(図6の8-8線断面図)である。
図9】(A)は、図1に示されるピンを軸方向一方側から見た正面図であり、(B)は、(A)のピンの側面図である。
図10図1に示されるピンのシフトベースへの組付状態を示す上側から見た平断面図(図1の10-10線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係る「シフト装置」としてのシフトレバー装置10について説明する。なお、図面において、適宜示される矢印UP、矢印FR,矢印RHは、それぞれシフトレバー装置10の上側、前側、右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、シフトレバー装置10の上下、前後、左右として説明する。
【0015】
図1図2、及び図4に示されるように、シフトレバー装置10は、「ベース部材」としてのシフトベース20と、「被固定部材」としてのロアベース24と、レバーホルダ30と、「シフト部材」としてのシフトレバー34と、位置検出機構40と、を含んで構成されている。また、本実施の形態のシフトレバー装置10は、一例として、所謂バイワイヤ式のシフトレバー装置として構成されている。そして、シフトレバー34が、前後方向(シフト方向ともいう)及び左右方向(セレクト方向ともいう)に操作可能に構成されており、所定のシフト位置に配置される構成になっている。
【0016】
具体的には、図5に示されるように、シフトレバー34が、H位置(ホーム位置)に配置されており、H位置から右側へ操作されることで、N位置(ニュートラル位置)に配置され、H位置からN位置を経由し前側へ操作されることで、R位置(リバース位置)に配置され、H位置からN位置を経由し後側へ操作されることで、D位置(ドライブ位置)に配置されるようになっている。また、シフトレバー34が、H位置から前側へ操作されることで、+位置(プラス位置)に配置され、H位置から後側へ操作されることで、-位置(マイナス位置)に配置される設定になっている。以下、シフトレバー装置10の各構成について説明する。
【0017】
(シフトベース20について)
図1及び図2に示されるように、シフトベース20は、上下方向を軸方向とした略矩形筒状に形成されている。シフトベース20の左右の側壁の下端部には、固定フランジ20Aが、それぞれ形成されており、固定フランジ20Aは、シフトベース20の側壁からシフトベース20から左右方向外側へ突出している。固定フランジ20Aには、それぞれ前後一対の固定孔20Bが貫通形成されている。そして、ボルト等の締結部材が固定孔20B内に挿入されて、固定フランジ20A(シフトベース20)が、車両のセンタコンソール等において車両に固定されている。
【0018】
シフトベース20の前壁には、後述する第1スライダ60及び第2スライダ70を配置するための配置孔20Cが貫通形成されている。図3に示されるように、シフトベース20の後壁には、後述するロアベース24を係止するための、左右一対の係止孔20Dが貫通形成されており、係止孔20Dは、左右方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。
【0019】
また、シフトベース20の右壁の外周面には、下前端部において、後述するピン26のフランジ28を収容するためのフランジ収容部20Eが形成されている。フランジ収容部20Eは、右側へ開放された凹状に形成されると共に、右側から見て、前後方向を長手方向とする略楕円状に形成されている。フランジ収容部20Eの底面には、円形状の「支持孔」としての第1支持孔20Fが左右方向に貫通形成されている。さらに、シフトベース20の左壁には、円形状の「支持孔」としての第2支持孔20Gが左右方向に貫通形成されており、第2支持孔20Gは、第1支持孔20Fと同軸上に配置されている。第2支持孔20Gの直径は、第1支持孔20Fの直径よりも小さく設定されている。
【0020】
また、シフトベース20の前壁の外周面には、下右端部において、後述するピン26の固定爪29を収容するための「溝部」としての爪収容溝部20Hが形成されている。爪収容溝部20Hは、前側及び右側へ開放された凹状に形成されると共に、左右方向に延在されている。さらに、前述したフランジ収容部20Eの前端部の上下方向中間部は、前側へ延出されて、爪収容溝部20Hの右端部に連通されている。また、爪収容溝部20Hの底面には、右端部において、略矩形状の係合孔20Jが前後方向に貫通形成されている。
【0021】
さらに、図2に示されるように、シフトベース20の上端部には、ベースカバー22が固定されており、シフトベース20の上側の開口部がベースカバー22によって閉塞されている。ベースカバー22には、後述するシフトレバー34を挿通させる、カバー側挿通孔22Aが貫通形成されている。
【0022】
(ロアベース24について)
図4に示されるように、ロアベース24は、上下方向を厚み方向とする略矩形プレート状に形成されている。そして、ロアベース24が、シフトベース20の下側の開口部を閉塞するように、シフトベース20に固定されている。なお、ロアベース24の固定構造については、後述する。
【0023】
ロアベース24の左部には、ガイド溝24Bが形成されている。ガイド溝24Bは、上側へ開放されると共に、平面視で略H形状に形成されている。具体的には、ガイド溝24Bは、前後方向に延在された第1シフト溝24B1と、第1シフト溝24B1の左側において前後方向に延在された第2シフト溝24B2と、左右方向に延在され且つ第1シフト溝24B1及び第2シフト溝24B2の前後方向中間部を接続するセレクト溝24B3と、を有している。
【0024】
また、ロアベース24の右部には、ディテント部24Cが形成されている。ディテント部24Cは、左右方向から見て、上側へ開放された略V字形溝状に形成されている。
【0025】
(レバーホルダ30について)
レバーホルダ30は、左右方向を長手方向とする略矩形ブロック状に形成されている。レバーホルダ30の左右方向両端部には、ホルダ回動軸30Aがそれぞれ形成されており、ホルダ回動軸30Aは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。そして、ホルダ回動軸30Aが、シフトベース20における左右の側壁の上端部に回動可能に支持されている。また、レバーホルダ30の左部には、後述するシフトレバー34を挿通させるためのレバー挿通部30Bが上下方向に貫通形成されており、レバー挿通部30Bは、平面視で略矩形状に形成されている。
【0026】
レバー挿通部30Bの前後の側壁には、前後方向を軸方向とする支持ピン32が架け渡されている。支持ピン32は、略円柱状に形成されており、支持ピン32の軸線が、ホルダ回動軸30Aの軸線を通過している。
【0027】
レバーホルダ30の右部には、第1伝達軸30Cが形成されている。第1伝達軸30Cは、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、レバーホルダ30から前側へ突出している。また、第1伝達軸30Cの軸線が、ホルダ回動軸30Aの軸線を通過している。これにより、レバーホルダ30が、ホルダ回動軸30Aの軸回りに回動すると、第1伝達軸30Cの先端部が上下方向に変位するようになっている。
【0028】
(シフトレバー34について)
シフトレバー34は、シフトベース20の内部に収容されている。シフトレバー34は、シャフト部34Aを有しており、シャフト部34Aは、上下方向に延在された略円柱状に形成されている。シャフト部34Aは、レバーホルダ30のレバー挿通部30B内を挿通しており、シャフト部34Aの上下方向中間部が、支持ピン32によって回動可能に支持されている。また、シャフト部34Aの上端部は、ベースカバー22のカバー側挿通孔22A内を挿通して、ベースカバー22から上側へ操作可能に突出している(図2参照)。さらに、シャフト部34Aの上端部には、操作者が把持するシフトノブ(図示省略)が設けられている。これにより、シフトノブを把持した操作者がシフトレバー34をシフト方向に操作することで、シャフト部34A(シフトレバー34)がレバーホルダ30と共にホルダ回動軸30Aの軸回りを回動し、シフトレバー34をセレクト方向に操作することで、シャフト部34A(シフトレバー34)が支持ピン32の軸回りを回動して、シフトレバー34が各シフト位置に配置される設定になっている。
【0029】
また、シャフト部34Aの下端部は、ロアベース24のガイド溝24B内に挿入されている。具体的には、シフトレバー34のH位置において、シャフト部34Aがセレクト溝24B3の右端部に配置されている。そして、シフトレバー34が各シフト位置に操作されるときには、シャフト部34Aがガイド溝24Bに沿ってシフト方向又はセレクト方向に移動するようになっている。
【0030】
また、シフトレバー34の下端側の部分には、シャフト部34Aから略右斜め下方へ突出されたピン保持部34Bが設けられており、ピン保持部34Bは、下側へ開放された略有底円筒状に形成されている。このピン保持部34B内には、略丸棒状の節度ピン36及び付勢バネ(図示省略)が挿入されており、節度ピン36が付勢バネによって先端側へ付勢されている。また、節度ピン36の先端部は、略半球状に形成されて、ロアベース24のディテント部24Cに当接している。そして、シフトレバー34は、ディテント部24C及び節度ピン36によってH位置に保持されており、シフトレバー34が各シフト位置に操作されたときには、シフトレバー34がH位置に復帰するように、ディテント部24Cの形状が設定されている。また、シフトレバー34が各シフト位置に操作されたときには、節度ピン36がディテント部24C上を摺動することで、シフトレバー34に節度感(クリック感)が付与されるように構成されている。
【0031】
また、シフトレバー34の下端側の部分には、支持ピン32よりも下側において、第2伝達軸34Cが形成されている。第2伝達軸34Cは、前後方向を軸方向とした略円柱状に形成されて、シャフト部34Aから前側へ突出している。これにより、シフトレバー34が支持ピン32の軸回りに回動すると、第2伝達軸34Cの先端部が左右方向に変位するように構成されている。
【0032】
(位置検出機構40について)
図1図2、及び図6に示されるように、位置検出機構40は、シフトベース20の前側に隣接して配置されて、シフトレバー34のシフト位置(操作位置)を検出する機構として構成されている。位置検出機構40は、「外付け部材」としてのケース50と、第1スライダ60と、第2スライダ70と、リンク80と、第1磁石100及び第2磁石102と、基板110と、ケースカバー120と、を含んで構成されている。
【0033】
(ケース50について)
ケース50は、前側へ開放された略矩形箱状に形成されている。そして、ケース50が、シフトベース20の前壁に、複数のネジSC1によって締結固定されている。これにより、ケース50の底壁によって、シフトベース20の爪収容溝部20Hの前側の開口部が閉塞されている。
【0034】
図7(A)及び(B)にも示されるように、ケース50の上端部には、レバーホルダ30の第1伝達軸30Cと対応する位置において、後述する第1スライダ60を収容するためのスライダ収容部51が形成されている。スライダ収容部51は、上下方向を長手方向とし且つ左右方向を幅方向とする略矩形筒状に形成されており、ケース50の底壁から後側へ突出している。また、スライダ収容部51の内部は、前後方向に貫通しており、スライダ収容部51は、上側へ開放されている。
【0035】
図2及び図7に示されるように、ケース50の上端部における底壁には、スライダ収容部51の左右の側壁の後側において、左右一対の第1スライダ支持部52が形成されている。一対の第1スライダ支持部52は、ケース50の底壁から後側へ突出すると共に、上下方向に延在されている。また、一対の第1スライダ支持部52は、シフトベース20の配置孔20C内に配置されている。一対の第1スライダ支持部52には、左右方向に対向する側面において、第1スライド溝52Aがそれぞれ形成されている。第1スライド溝52Aは、スライダ収容部51の幅方向(左右方向)内側へ開放されると共に、上下方向に延在されており、第1スライド溝52Aの上端部が、上側へ開放されている。
【0036】
図2及び図8に示されるように、ケース50の底壁には、シフトレバー34の第2伝達軸34Cと対応する位置において、後述する第2スライダ70を組付けるための上下一対の第2スライダ支持部53が形成されている。第2スライダ支持部53は、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成され、ケース50から後側へ突出して、シフトベース20の配置孔20C内に配置されている。一対の第2スライダ支持部53には、上下方向に対向する面において、左右方向に延在された第2スライド溝53Aが、各々形成されている。第2スライド溝53Aは、第2スライダ支持部53が対向する方向及び左側へ開放されている。
【0037】
ケース50の底壁には、一対の第2スライダ支持部53の間において、後述するリンク80を支持するためのリンク用支持軸54が形成されている。リンク用支持軸54は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ケース50の底壁から前側へ突出している。また、図6にも示されるように、ケース50の底壁には、リンク用支持軸54の下側において、リンク用挿通孔55が貫通形成されている。リンク用挿通孔55は、リンク用支持軸54の周方向に沿って延在された長孔状に形成されている。
【0038】
ケース50の底壁には、リンク用支持軸54の下側において、下側ケースリブ56が形成されている。下側ケースリブ56は、前側から見て、リンク用支持軸54の軸心を中心とする略円弧状に延在されており、ケース50の底壁から前側へ突出している。また、下側ケースリブ56の先端部には、リンク用支持軸54の下側において、下側規制部57が形成されている。下側規制部57は、下側ケースリブ56の先端部から下側ケースリブ56の径方向内側(上側)へ延出すると共に、前側へ屈曲されている(図8参照)。また、下側規制部57は、下側ケースリブ56と同様に、前側から見て、リンク用支持軸54の軸心を中心とする略円弧状に延在されている。
【0039】
ケース50の底壁には、リンク用支持軸54の上側において、上側ケースリブ58が形成されている。上側ケースリブ58は、前側から見て、リンク用支持軸54の軸心を中心とする略円弧状に延在されており、ケース50の底壁から前側へ突出している。上側ケースリブ58の先端部には、リンク用支持軸54の上側において、上側規制部59が形成されている。上側規制部59は、上側ケースリブ58の先端部から上側ケースリブ58の径方向内側(下側)へ延出しており、上側ケースリブ58と同様に、前側から見て、リンク用支持軸54の軸心を中心とする略円弧状に延在されている。
【0040】
(第1スライダ60について)
図2図6、及び図7に示されるように、第1スライダ60は、樹脂製とされると共に、上下方向を長手方向とし且つ左右方向を幅方向とする略矩形ブロック状に形成されている。第1スライダ60の後部における左右の側面には、左右一対の第1スライドレール61が形成されており、第1スライドレール61は、上下方向に延在されている。そして、第1スライダ60が、ケース50のスライダ収容部51内に上側から収容されると共に、左右一対の第1スライドレール61が、ケース50の第1スライド溝52A内に上下方向にスライド可能に挿入されている。これにより、第1スライダ60がケース50に上下方向にスライド可能に連結されている。
【0041】
第1スライダ60の上部には、連結凹部62(図7(B)参照)が形成されており、連結凹部62は後側へ開放された凹状に形成されている。そして、レバーホルダ30の第1伝達軸30Cの先端部が、連結凹部62内に後側から挿入されて、上下方向において連結凹部62の内周面と係合している。これにより、シフトレバー34のシフト方向への操作時に、レバーホルダ30がホルダ回動軸30Aの軸回りに回動すると、第1伝達軸30Cによって第1スライダ60がシフトレバー34の操作に連動して上下方向にスライドする構成になっている。
【0042】
また、連結凹部62内には、圧縮コイルスプリングとして構成されたスライダ付勢バネ90(図7(B)参照)が収容されている。スライダ付勢バネ90は、連結凹部62の底面と第1伝達軸30Cの先端部との間に配置されて、第1スライダ60を前側へ付勢している。これにより、第1スライドレール61が、ケース50の第1スライド溝52Aの前面に当接して、ケース50に対する第1スライダ60の前後方向の位置が決まる構成になっている。
【0043】
第1スライダ60の下部には、第1磁石収容部63が形成されており、第1磁石収容部63は、前側へ開放された凹状に形成されると共に、前側から見て上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。また、第1磁石収容部63の左右の側壁には、左右方向に弾性変形可能に構成され係合爪64が、各々形成されている。係合爪64の先端部(前端部)には、第1スライダ60の幅方向内側へ突出したフック部64Aが形成されている。
【0044】
(第2スライダ70について)
図2及び図8に示されるように、第2スライダ70は、略矩形ブロック状に形成されて、ケース50における上下一対の第2スライダ支持部53の間に配置されている。第2スライダ70の上面及び下面には、第2スライドレール71がそれぞれ形成されており、第2スライドレール71は、左右方向に延在されている。そして、第2スライドレール71が、ケース50の第2スライド溝53A内に左右方向にスライド可能に挿入されている。これにより、第2スライダ70が、ケース50に左右方向にスライド可能に連結されている。
【0045】
第2スライダ70の後部には、左右方向中央部において、後側へ開放された連結溝72が形成されており、連結溝72は、上下方向に延在されている。そして、シフトレバー34の第2伝達軸34Cが、連結溝72内に挿入されて、左右方向において連結溝72の内周面と係合している。これにより、シフトレバー34のセレクト方向の操作時に、シフトレバー34が支持ピン32の軸回りに回動すると、第2伝達軸34Cによって第2スライダ70がシフトレバー34の操作に連動して左右方向にスライドする構成になっている。
【0046】
第2スライダ70の前部には、左右方向中央部において、連結筒部73が形成されている。連結筒部73は、前後方向を軸方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形筒状に形成されており、連結筒部73の内部が、連結溝72の内部に連通されている。
【0047】
(リンク80について)
図6及び図8に示されるように、リンク80は、樹脂製とされると共に、略長尺矩形ブロック状に形成されている。リンク80の長手方向中間部には、後側へ開放された略有底円筒状のリンク回動軸81が形成されている。そして、ケース50のリンク用支持軸54がリンク回動軸81の内部に嵌入されて、リンク回動軸81がリンク用支持軸54に回動可能に支持されている。
【0048】
また、リンク80の長手方向両端部には、リンク80の長手方向外側へ突出した一対のストッパ部82A,82Bが形成されている。そして、リンク80の長手方向一端部のストッパ部82Aが、ケース50の下側規制部57の後側に隣接して配置され、リンク80の長手方向他端部のストッパ部82Bが、ケース50の上側規制部59の後側に隣接して配置されている(図6及び図8参照)。
【0049】
さらに、ケース50のリンク用支持軸54の内部には、圧縮コイルスプリングとして構成されたリンク付勢バネ92(図8参照)が収容されている。また、リンク用支持軸54の内部には、球状のボール94(図8参照)が収容されており、ボール94は、リンク80におけるリンク回動軸81の頂壁とリンク付勢バネ92との間に配置されている。そして、リンク付勢バネ92の付勢力によって、ボール94がリンク回動軸81の頂壁に圧接されている。これにより、リンク付勢バネ92によってリンク80が前側へ付勢されて、リンク80のストッパ部82A,82Bが、ケース50の下側規制部57及び上側規制部59に当接している。すなわち、ケース50に対するリンク80の前後方向の位置が決まる構成になっている。
【0050】
また、リンク80の長手方向中間部には、作動軸83(図6参照)が形成されている。作動軸83は、前後方向を軸方向とした略円柱状に形成されて、リンク80から後側へ突出している。さらに、作動軸83は、リンク回動軸81よりもリンク80の一端側に配置されている。そして、作動軸83が、ケース50のリンク用挿通孔55内を挿通し、第2スライダ70の連結筒部73内に挿入されて、連結筒部73の内周面に左右方向に係合している。このため、第2スライダ70が左右方向にスライドすると、リンク80が、リンク回動軸81の軸回りに回動するように構成されている。具体的には、シフトレバー34のH位置では、リンク80が初期位置(図6に示される位置)に配置されており、シフトレバー34がH位置からN位置側へ操作されると、リンク80が、前側から見て、初期位置から反時計回りに回動するように構成されている。
【0051】
リンク80の長手方向一端部には、第2磁石収容部84が形成されている。第2磁石収容部84は、前側へ開放された凹状に形成されると共に、前側から見て略台形状に形成されている。さらに、第2磁石収容部84におけるリンク80の長手方向一方側の側壁には、幅方向中央部において、リンク80の長手方向に弾性変形可能に構成された係合爪85が形成されている。また、係合爪85の先端部(前端部)には、フック部85Aが形成されており、フック部85Aは、リンク80の長手方向他方側(第2磁石収容部84の内部側)へ突出している。
【0052】
また、リンク80には、第2磁石収容部84におけるリンク80の他端側の開口部の前側において、磁石止部86が形成されている。磁石止部86は、リンク80の幅方向に延在されており、磁石止部86の長手方向両端部が、第2磁石収容部84の幅方向の側壁に接続されている。
【0053】
(第1磁石100について)
図2図6、及び図7に示されるように、第1磁石100は、第1スライダ60の第1磁石収容部63に対応して、上下方向を長手方向とする略直方体状に形成されている。そして、第1磁石100が、第1スライダ60の第1磁石収容部63内に収容されている。また、第1磁石100の第1磁石収容部63への収容状態では、係合爪64のフック部64Aが第1磁石100における左右の前角部に係合している。これにより、第1磁石100が、第1スライダ60に保持されて、第1スライダ60と一体に上下方向に移動(スライド)する構成になっている。
【0054】
(第2磁石102について)
図2図6、及び図8に示されるように、第2磁石102は、前側から見て、リンク80の第2磁石収容部84に対応した略台形ブロック状に形成されている。具体的には、第2磁石102の一端部(下端部)の幅方向の長さが、第2磁石102の他端部(上端部)の幅方向に長さよりも長く設定されている。また、第2磁石102の一端部及び他端部における後側の角部には、それぞれ磁石側面取部102A(図8参照)が形成されている。そして、第2磁石102が、リンク80の第2磁石収容部84内に収容(嵌入)されている。第2磁石102の第2磁石収容部84への収容状態では、係合爪85のフック部85Aが第2磁石102の一端部における前側の角部に係合しており、磁石止部86が、第2磁石102の他端部の前側に隣接して配置されている(図8参照)。これにより、第2磁石102が、リンク80に保持されて、リンク80と一体に回動するように構成されている。
【0055】
また、第2磁石102は、作動軸83よりもリンク80の一端側に配置されている。このため、リンク80が回動するときには、第2磁石102の回動量が、作動軸83の回動量よりも大きくなる設定になっている。つまり、リンク80は、第2磁石102の移動量をシフトレバー34の移動量に対して増幅させる部材として構成されている。
【0056】
(基板110について)
図2に示されるように、基板110は、前後方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されている。そして、基板110が、リンク80及び第1スライダ60に対して前側において、ケース50内に収容されると共に、ネジSC2によってケース50に締結固定されている。基板110の前面には、左側の部分において、コネクタ112が設けられている。そして、コネクタ112には、車両のコネクタが接続されており、基板110が、車両の制御部(図示省略)に電気的に接続されている。
【0057】
図7(A)及び(B)に示されるように、基板110の後面(一側面)には、第1磁石100の前側において、第1ホールIC114が設けられている。また、図6及び図8に示されるように、基板110の後面には、4箇所の第2ホールIC116が設けられている。2箇所の第2ホールIC116は、第2磁石102の前側に配置されており、シフトレバー34がN位置側へ操作されたときには、他の2箇所の第2ホールIC116が、第2磁石102の前側に配置される設定になっている。第1ホールIC114(第2ホールIC116)は、第1磁石100(第2磁石102)の磁束密度を検出し、検出した磁束密度に応じた出力値(電圧値)を制御部へ出力するようになっている。そして、制御部が、第1ホールIC114及び第2ホールIC116からの出力値に基づいて、シフトレバー34のシフト位置を検出するようになっている。
【0058】
図2に示されるように、基板110の前側には、シールド板118が設けられている。シールド板118は、金属の板材によって構成されて、前後方向を板厚方向として配置され、所定の形状に形成されている。そして、シールド板118が、ネジSC2によって基板110と共にケース50に固定されている。
【0059】
(ケースカバー120について)
ケースカバー120は、後側へ開放された略矩形箱状に形成されている。そして、ケースカバー120が、ケース50の開口部を覆うように、ツメ嵌合によってケース50に固定されている。
【0060】
(ロアベース24の固定構造について)
次に、ロアベース24のシフトベース20への固定構造について説明する。図4に示されるように、ロアベース24の後端部には、左右一対の係止部24Aが形成されている。係止部24Aは、ロアベース24から上側へ延出されており、係止部24Aの上端部が後側へ突出している。そして、係止部24Aの上端部が、シフトベース20の係止孔20D内に挿入されて、係止部24Aがシフトベース20に係止されている。具体的には、ロアベース24は、シフトレバー34の節度ピン36及び付勢バネによって下側へ押圧されているため、係止部24Aの上端部が、シフトベース20の係止孔20Dの下側の内周面に係止されて、ロアベース24の後端部が、シフトベース20に固定されている。
【0061】
また、図10にも示されるように、ロアベース24の前端部には、左右一対の固定壁24Dが形成されている。固定壁24Dは、左右方向を厚み方向として、ロアベース24の左右方向両端部から上側へ突出している。一対の固定壁24Dは、シフトベース20の下端部の内部に配置されて、シフトベース20における左右の側壁の左右方向内側に隣接して配置されている。
【0062】
右側の固定壁24Dには、円形状の「被固定孔」としての第1被固定孔24Eが左右方向に貫通形成されている。第1被固定孔24Eは、シフトベース20の第1支持孔20Fと同軸上に配置されており、第1被固定孔24Eの直径と、第1支持孔20Fの直径と、が同じ寸法に設定されている。
【0063】
左側の固定壁24Dには、円形状の「被固定孔」としての第2被固定孔24Fが左右方向に貫通形成されている。第2被固定孔24Fは、シフトベース20の第2支持孔20Gと同軸上に配置されており、第2被固定孔24Fの直径と、第2支持孔20Gの直径と、が同じ寸法に設定されている。
【0064】
そして、ロアベース24の前端部が、ピン26によってシフトベース20に固定されている。以下、ピン26の構成について説明する。図9及び図10に示されるように、ピン26は、樹脂製とされると共に、全体として左右方向を軸方向とした略円柱状に形成されている。具体的には、ピン26は、左右方向に延在された略円柱状のピン本体27と、ピン本体27の右端部(一端部)に形成されたフランジ28と、フランジ28から左側(ピン本体27の他端側)へ延出された固定爪29と、を含んで構成されている。
【0065】
ピン本体27の右端部の直径は、ロアベース24の第1被固定孔24Eの直径より僅かに小さく設定されており、ピン本体27の左端部の直径は、ロアベース24の第2被固定孔24Fの直径より僅かに小さく設定されている。すなわち、ピン本体27の右端部の直径が、左端部の直径よりも大きく設定されている。また、ピン本体27の左端部側の部分には、ピン本体27の左端部よりも径方向外側へ一段上がった段部27Aが形成されている。そして、ピン本体27が、右側からシフトベース20の第1支持孔20F内に挿入されて、シフトベース20の左右の側壁に架け渡されている。具体的には、ピン本体27の右端部が、シフトベース20の第1支持孔20F及びロアベース24の第1被固定孔24Eの内部を挿通し、ピン本体27の左端部が、シフトベース20の第2支持孔20G及びロアベース24の第2被固定孔24Fの内部を挿通している。これにより、ピン26によって、ロアベース24がシフトベース20に固定されている。
【0066】
フランジ28は、シフトベース20のフランジ収容部20Eに対応して、左右方向を板厚方向とした略楕円板状に形成されて、ピン本体27の右端部から径方向外側へ突出している。そして、フランジ28が、フランジ収容部20E内に収容されている。これにより、ピン26の左側への移動がフランジ28によって制限されている。
【0067】
固定爪29は、前後方向を板厚方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。固定爪29の右端部は、後側へ屈曲されて、フランジ28の前端部に接続されている。これにより、固定爪29が前後方向(シフトベース20とケース50とが対向する方向)に弾性変形可能に構成されている。そして、固定爪29がシフトベース20の爪収容溝部20H内に収容されている。すなわち、固定爪29がシフトベース20とケース50とによって前後方向に挟み込まれている。固定爪29の先端部(左端部)には、後側へ突出したフック部29Aが形成されており、フック部29Aがシフトベース20の係合孔20J内に挿入されて、係合孔20Jの右側の内周面と係合している。これにより、フック部29Aによって、ピン26の右側への移動を制限する構成になっている。
【0068】
(シフトレバー34の操作について)
上記のように構成されたシフトレバー装置10では、シフトレバー34がシフト方向(前後方向)に操作されると、シフトレバー34が、レバーホルダ30と共にレバーホルダ30のホルダ回動軸30Aの軸回りを回動する。これにより、レバーホルダ30の第1伝達軸30Cの先端部が上下方向に変位する。
【0069】
第1伝達軸30Cが上下方向に変位すると、第1伝達軸30Cに連結された第1スライダ60が上下方向にスライドする。これにより、第1磁石100が第1スライダ60と共に上下方向に変位する。その結果、第1ホールIC114が、第1磁石100の磁束密度を検出し、検出した磁束密度に応じた出力値を制御部へ出力する。
【0070】
また、シフトレバー34がセレクト方向(左右方向)に操作されると、シフトレバー34が、支持ピン32の軸回りを回動する。これにより、シフトレバー34の第2伝達軸34Cの先端部が左右方向に変位する。
【0071】
第2伝達軸34Cが左右方向に変位すると、第2伝達軸34Cに連結された第2スライダ70が左右方向にスライドする。これにより、第2スライダ70に連結されたリンク80が、リンク回動軸81の軸回りを回動する。よって、第2磁石102がリンク80と共にリンク回動軸81の軸回りに回動する。その結果、第2ホールIC116が、第2磁石102の磁束密度を検出し、検出した磁束密度に応じた出力値を制御部へ出力する。そして、制御部が、第1ホールIC114及び第2ホールIC116からの出力値に基づいて、シフトレバー34のシフト位置を検出する。
【0072】
(作用効果)
次に、ロアベース24をシフトベース20に組付けるときの組付手順を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0073】
ロアベース24をシフトベース20に組付けるときには、シフトベース20の下側にロアベース24を配置する。そして、ロアベース24の係止部24Aをシフトベース20の係止孔20D内に挿入させると共に、ロアベース24の固定壁24Dをシフトベース20の下端部内に下側から挿入する。さらに、ロアベース24の第1被固定孔24E及び第2被固定孔24Fを、シフトベース20の第1支持孔20F及び第2支持孔20Gと同軸上に配置する。
【0074】
この状態で、ピン26のピン本体27を、シフトベース20の第1支持孔20F内に右側から挿入させて、ピン26をシフトベース20に組付ける。具体的には、ピン本体27を、シフトベース20の第1支持孔20F及びロアベース24の第1被固定孔24Eの内部へ挿通させると共に、シフトベース20の第2支持孔20G及びロアベース24の第2被固定孔24Fの内部に挿通させる。
【0075】
また、ピン26のシフトベース20への組付終期には、ピン26の固定爪29が、シフトベース20の爪収容溝部20H内に挿入される。固定爪29の爪収容溝部20Hへの挿入時には、固定爪29のフック部29Aが爪収容溝部20Hの底面によって前側へ押圧されて、固定爪29が前側へ弾性変形する。そして、ピン26のフランジ28が、シフトベース20のフランジ収容部20E内に収容されて、フランジ収容部20Eの底面に当接することで、ピン26のシフトベース20への組付けが完了する。
【0076】
また、ピン26のシフトベース20への組付完了時には、固定爪29のフック部29Aが、シフトベース20の係合孔20J内に挿入されて、固定爪29が元の状態に弾性変形する。これにより、固定爪29が、シフトベース20の爪収容溝部20H内に収容されると共に、固定爪29のフック部29Aによって、ピン26の右側への移動が制限される。そして、ピン26のシフトベース20への組付後、位置検出機構40をシフトベース20に固定して、爪収容溝部20Hの前側の開口部を、位置検出機構40のケース50によって閉塞する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態では、ピン26のピン本体27が、シフトベース20の第1支持孔20F及び第2支持孔20Gと、ロアベース24の第1被固定孔24E及び第2被固定孔24Fと、を挿通する。また、ピン本体27の右端部を構成するフランジ28がシフトベース20のフランジ収容部20Eの底面に当接して、ピン26の左側への移動が制限される。さらに、フランジ28から左側へ延出されたピン26の固定爪29が前後方向に弾性変形可能に構成されており、固定爪29のフック部29Aがシフトベース20の係合孔20Jと係合して、ピン26の右側への移動が制限される。これにより、背景技術において記載したような、プッシュナット等の別部材を用いることなく、ピン26をシフトベース20に組付けることができる。したがって、ピン26のシフトベース20への組付性を向上することができる。
【0078】
しかも、固定爪29は、シフトベース20と位置検出機構40のケース50との間に配置されている。これにより、ロアベース24のシフトベース20への組付後に、ケース50をシフトベース20に固定することで、固定爪29が、シフトベース20及びケース50によって前後方向に挟み込まれる。このため、シフトベース20と係合された固定爪29の前側への変位(変形)を、ケース50によって防止することができる。すなわち、固定爪29のフック部29Aと係合孔20Jとの係合状態が解除されることを、ケース50によって防止することができる。したがって、ピン26のシフトベース20への組付状態を良好に維持することができる。
【0079】
また、シフトベース20の右壁には、右側へ開放されたフランジ収容部20Eが形成されており、ピン26のフランジ28がフランジ収容部20E内に収容されている。さらに、シフトベース20の前壁には、前側へ開放された爪収容溝部20Hが形成されており、ピン26の固定爪29が、爪収容溝部20H内に収容されている。このため、フランジ収容部20E及び爪収容溝部20Hを目印として、ピン26をシフトベース20の右側から組付けることができる。すなわち、ピン26がシフトベース20の左側から組付けられることを防止することができる。これにより、ピン26の誤組付を防止することができる。
【0080】
また、ピン本体27の右端部と左端部との径寸法が異なる寸法に設定されている。具体的には、ピン本体27の右端部の直径寸法が、左端部の直径寸法よりも大きく設定されている。これにより、ピン26がシフトベース20の左側から組付けられることを防止することができる。すなわち、ピン26がシフトベース20の左側から組付けられたときには、ピン本体27の段部27Aが、シフトベース20の第2支持孔20Gの縁部に当接して、ピン26の左側への移動が阻止される。これにより、ピン26がシフトベース20の左側から組付けられることを防止することができる。したがって、この点においても、ピン26の誤組付を防止することができる。
【0081】
また、ロアベース24には、シフトレバー34の移動をガイドするガイド溝24Bが形成されている。これにより、シフトレバー34の移動をガイドするロアベース24を簡易な構成で、シフトベース20に固定することができる。
【0082】
また、ロアベース24には、シフトレバー34の操作時に節度感を付与させるためのディテント部24Cが形成されている。これにより、シフトレバー34に節度感を付与させるロアベース24を簡易な構成で、シフトベース20に固定することができる。
【0083】
また、ピン26の固定爪29の前側への変形を規制するケース50が、位置検出機構40の外郭を構成する部材として構成されている。このため、シフトレバー34のシフト位置を検出するためのケース50(位置検出機構40)を活用して、ピン26の固定爪29の前側への変形を規制することができると共に、ピン26のシフトベース20への組付状態を良好に維持することができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、ピン26の固定爪29にフック部29Aが形成されており、フック部29Aが係合される係合孔20Jがシフトベース20に形成されている。これに代えて、シフトベース20の爪収容溝部20Hの底面に前側へ突出したフック部を形成し、当該フック部と係合する係合孔をピン26の固定爪29に形成してもよい。
【0085】
また、本実施の形態では、シフトベース20にフランジ収容部20E及び爪収容溝部20Hが形成されているが、シフトベース20においてフランジ収容部20E及び爪収容溝部20Hを省略してもよい。この場合には、ピン26のフランジ28をシフトベース20の右側面に隣接して配置させ、ピン26の固定爪29をシフトベース20の前面に隣接して配置させると共に、ケース50に固定爪29を配置させるための凹部を形成してもよい。
【0086】
また、本実施の形態では、ピン26の右端部と左端部の径寸法が異なる寸法に設定されているが、ピン26の直径を長手方向に亘って一定に設定してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 シフトレバー装置(シフト装置)
20 シフトベース(ベース部材)
20E フランジ収容部
20F 第1支持孔(支持孔)
20G 第2支持孔(支持孔)
20H 爪収容溝部(溝部)
24 ロアベース(被固定部材)
24B ガイド溝
24C ディテント部
24E 第1被固定孔(被固定孔)
24F 第2被固定孔(被固定孔)
26 ピン
27 ピン本体
28 フランジ
29 固定爪
34 シフトレバー(シフト部材)
40 位置検出機構
50 ケース(外付け部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10