特許 7418205 空気入りタイヤ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-01-11

(45)【発行日】2024-01-19

(54)【発明の名称】空気入りタイヤ

(51)【国際特許分類】

   B60C 11/03 20060101AFI20240112BHJP

   B60C 5/00 20060101ALI20240112BHJP

   B60C 11/12 20060101ALI20240112BHJP

【ＦＩ】

B60C11/03 300E

B60C5/00 H

B60C11/03 B

B60C11/12 C

【請求項の数】 5

(21)【出願番号】P 2019237251

(22)【出願日】2019-12-26

(65)【公開番号】P2021104753

(43)【公開日】2021-07-26

【審査請求日】2022-10-13

(73)【特許権者】

【識別番号】000003148

【氏名又は名称】ＴＯＹＯ ＴＩＲＥ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000729

【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】吉村 翔太

【審査官】増田 亮子

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１５－０９８３２５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭６３－０６４８０２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１８－１１１３８５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６０Ｃ １１／０３

Ｂ６０Ｃ ５／００

Ｂ６０Ｃ １１／１２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

トレッド面のタイヤ幅方向中央部で複数のセンターブロックがタイヤ周方向に並べられたセンターブロック列を備え、
前記センターブロックには複数のサイプが形成されており、
タイヤ幅方向における前記センターブロックの幅が接地半幅の５５％以上であり、タイヤ周方向における前記センターブロックの長さが前記センターブロックの幅よりも大きく、
前記センターブロックに、タイヤ周方向に延びる周方向細溝と、タイヤ幅方向に延びる幅方向細溝とが形成されており、
前記周方向細溝及び前記幅方向細溝は、それぞれ幅３．０ｍｍ以下で且つ前記サイプよりも幅広に形成されている、空気入りタイヤ。

【請求項2】

前記センターブロックの長さが前記センターブロックの幅の１１０％以上である、請求項１に記載の空気入りタイヤ。

【請求項3】

車両に対する装着方向が指定されていて、
前記センターブロック列がタイヤ赤道上に設けられており、
前記センターブロックの車両装着外側端からタイヤ赤道までの幅が、前記センターブロックの車両装着内側端からタイヤ赤道までの幅よりも大きい、請求項１または２に記載の空気入りタイヤ。

【請求項4】

前記センターブロックの車両装着外側端からタイヤ赤道までの距離が接地半幅の５０％以上であり、前記センターブロックの車両装着内側端からタイヤ赤道までの距離が接地半幅の５～１５％である、請求項３に記載の空気入りタイヤ。

【請求項5】

前記周方向細溝及び前記幅方向細溝は、いずれもタイヤ赤道を横切ることなく、タイヤ赤道に対して車両装着外側に形成されている、請求項１に記載の空気入りタイヤ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、空気入りタイヤに関する。

【背景技術】

【0002】

冬用の空気入りタイヤには、氷上路面（アイス路面）でのトラクション性能が要求される。

【0003】

特許文献１に記載された空気入りタイヤは、単一のセンターブロックを三つ以上のセカンドブロックに跨ってタイヤ周方向に延在させている。これにより、トレッド面のタイヤ幅方向中央部における溝面積を減らし、氷上路面での制動性能と旋回性能の向上を図っている。しかし、センターブロックに関して、そのタイヤ周方向の長さを除けば従来技術の域を出ない。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２００６－２３２１５１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本開示の目的は、氷上路面でのトラクション性能を向上できる空気入りタイヤを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の空気入りタイヤは、トレッド面のタイヤ幅方向中央部で複数のセンターブロックがタイヤ周方向に並べられたセンターブロック列を備え、前記センターブロックには複数のサイプが形成されており、タイヤ幅方向における前記センターブロックの幅が接地半幅の５５％以上であり、タイヤ周方向における前記センターブロックの長さが前記センターブロックの幅よりも大きい。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本開示の空気入りタイヤのトレッド面の一例を示す平面図

【図2】単一のセンターブロックを示す平面図

【図3】細溝の形態を異ならせたセンターブロックの変形例を示す模式図

【発明を実施するための形態】

【0008】

以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。

【0009】

図１は、本実施形態の空気入りタイヤＰＴ（以下、単に「タイヤＰＴ」ともいう）が備えるトレッド面Ｔｒの平面展開図である。図１の上下方向がタイヤ周方向ＣＤに相当し、図１の左右方向がタイヤ幅方向ＷＤに相当する。図１に示すように、トレッド面Ｔｒに形成されているトレッドパターンは、ブロックパターンである。

【0010】

本実施形態の空気入りタイヤＰＴは、車両に対する装着方向が指定された装着方向指定型タイヤである。矢印ＯＵＴは車両装着外側を指し、矢印ＩＮは車両装着内側を指す。タイヤ赤道ＴＥに対して図１右側の領域はトレッド面Ｔｒの車両装着外側領域Ａｏとなり、図１左側の領域はトレッド面Ｔｒの車両装着内側領域Ａｉとなる。タイヤＰＴを車両に装着した際には、車両装着外側領域Ａｏが車両の外側に向けられ、車両装着内側領域Ａｉが車両の内側に向けられる。装着方向の指定は、例えば、タイヤＰＴのサイドウォール部の外表面に「ＯＵＴＳＩＤＥ」または「ＩＮＳＩＤＥ」などの表示を付すことにより行われる。

【0011】

摩擦係数の低い氷上路面では、トレッド面Ｔｒのタイヤ幅方向ＷＤ中央部の接地圧が相対的に高くなる傾向にある。空気入りタイヤＰＴは、そのトレッド面Ｔｒのタイヤ幅方向ＷＤ中央部で複数のセンターブロック１がタイヤ周方向ＣＤに並べられたセンターブロック列１０を備える。本実施形態では、センターブロック列１０がタイヤ赤道ＴＥ上に設けられている。トレッド面Ｔｒには、タイヤ周方向ＣＤに連続して延在する三本の主溝６１～６３が設けられており、そのうちタイヤ赤道ＴＥを挟んで位置する一対の主溝６２，６３がセンターブロック列１０を区画している。センターブロック列１０は、タイヤ幅方向ＷＤに延びた横溝１１によって複数のセンターブロック１に区画されている。

【0012】

空気入りタイヤＰＴは、トレッド面Ｔｒのタイヤ幅方向ＷＤ両端部で複数のショルダーブロック２，３がタイヤ周方向ＣＤに並べられた一対のショルダーブロック列２０，３０を備える。また、タイヤＰＴは、センターブロック列１０と車両装着内側のショルダーブロック列２０との間で複数のクオーターブロック４がタイヤ周方向ＣＤに並べられたクオーターブロック列４０を備える。このように、トレッド面Ｔｒは、三本の主溝６１～６３によって四つのブロック列１０，２０，３０，４０に区画されている。センターブロック１、一対のショルダーブロック２，３及びクオーターブロック４は、それぞれ平面視で四角形（四辺形）をなすが、これに限られず、種々の形状を採用できる。

【0013】

センターブロック１には複数のサイプ１２が形成されている。サイプ１２は、幅１．０ｍｍ以下の切り込みにより形成されている。氷上路面でのトラクション性能を向上するうえで、タイヤ幅方向ＷＤに対するサイプ１２の傾斜角度θ１２（図２参照）は、４５度以下が好ましく、３０度以下がより好ましい。サイプ１２は波形サイプとして形成されているが、これに限られず、例えば直線サイプでもよい。サイプ１２は両端部を閉塞させているが、片端部または両端部を溝（主溝６２，６３、横溝１１、周方向細溝１３または幅方向細溝１４）に開口させてもよい。サイプ１２は、深さ方向に沿って形状が変化しない二次元サイプでもよく、深さ方向に沿って形状が変化する部分を含む三次元サイプでもよい。

【0014】

ショルダーブロック２，３及びクオーターブロック４には、それぞれサイプ２２，３２，４２が形成されている。本実施形態では、車両装着外側領域Ａｏに配置されたサイプ１２，３２が、車両装着内側領域Ａｉに配置されたサイプ２２，４２に比べて、波長の小さい波形サイプで形成されている。これにより、旋回時の寄与が大きい車両装着外側領域Ａｏにおいてタイヤ幅方向ＷＤのエッジ効果を高めつつ、駆制動時の寄与が大きい車両装着内側領域Ａｉにおいてタイヤ周方向ＣＤのエッジ効果を高めている。

【0015】

接地半幅ＨＷは、タイヤ赤道ＴＥから接地端ＣＥまでのタイヤ幅方向ＷＤの距離である。接地端ＣＥは、タイヤＰＴを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填した状態でタイヤＰＴを平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えたときの接地面のタイヤ幅方向ＷＤの最外位置である。接地幅ＣＷは、その接地面の幅であり、一対の接地端ＣＥ間のタイヤ幅方向ＷＤの距離である。接地幅ＣＷの半分が接地半幅ＨＷである。

【0016】

正規リムは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。正規内圧は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。なお、タイヤが乗用車用である場合には１８０ｋＰａとし、さらに、Extra LoadまたはReinforcedと記載されたタイヤである場合には２２０ｋＰａとする。正規荷重は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤごとに定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば上記の表に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」であるが、タイヤが乗用車用である場合には内圧の対応荷重の８８％とする。

【0017】

図２は、単一のセンターブロック１を示す平面図である。このタイヤＰＴでは、タイヤ幅方向ＷＤにおけるセンターブロック１の幅Ｗ１が接地半幅ＨＷの５５％以上であり、タイヤ周方向ＣＤにおけるセンターブロック１の長さＬ１が幅Ｗ１よりも大きい。幅Ｗ１は、センターブロック１の頂面におけるタイヤ幅方向ＷＤの一方側の端から他方側の端までのタイヤ幅方向ＷＤの長さである。長さＬ１は、センターブロック１の頂面におけるタイヤ周方向ＣＤの一方側の端から他方側の端までのタイヤ周方向ＣＤの長さである。センターブロック１は、従来のタイヤが備えるセンターブロックと比べて、タイヤ幅方向ＷＤにもタイヤ周方向ＣＤにも大きいサイズを有する。

【0018】

センターブロック１は、氷上路面でのトラクション性能に対する寄与が高いトレッド面Ｔｒのタイヤ幅方向ＷＤ中央部に設けられている。センターブロック１が上記の如き大サイズを有することにより、センターブロック１の接地面積が増えるため、サイプ１２の長さや本数を増やすことができ、延いてはサイプ１２のエッジ成分を増大できる。また、初動時にセンターブロック１が大きく倒れ込むと、サイプ１２のエッジ効果が適切に発揮されにくいが、センターブロック１が上記の如き大サイズを有することにより、センターブロック１の剛性を高めて初動時の過度の倒れ込みを抑制できる。これにより、氷上路面でのトラクション性能が向上する。

【0019】

幅Ｗ１は、接地半幅ＨＷの６５％以下であることが好ましい。即ち、幅Ｗ１は、接地半幅ＨＷの５５～６５％であることが好ましい。幅Ｗ１が接地半幅ＨＷの６５％を超えると、排水性の確保に必要な主溝６２，６３の配置が難しくなるためである。氷上路面でのトラクション性能を効果的に向上するうえで、長さＬ１は幅Ｗ１の１１０％以上であることが好ましい。また、長さＬ１は、幅Ｗ１の２００％以下であることが好ましく、１５０％以下であることがより好ましい。長さＬ１が幅Ｗ１の２００％を超えると、センターブロック１を区画する横溝１１の本数が減少することにより排水性が低下する恐れがある。

【0020】

本実施形態では、センターブロック１の車両装着外側端からタイヤ赤道ＴＥまでのタイヤ幅方向ＷＤ長さとしての幅Ｗｏが、そのセンターブロック１の車両装着内側端からタイヤ赤道ＴＥまでのタイヤ幅方向ＷＤ長さとしての幅Ｗｉよりも大きい。つまり、センターブロック１は、タイヤ赤道ＴＥに関して車両装着外側に寄せて設けられている。このようにして、車両装着外側領域Ａｏ（図１参照）でセンターブロック１の接地面積を増やすことにより、氷上路面での旋回性能を向上できる。幅Ｗｏは、接地半幅ＨＷの５０％以上であることが好ましい。幅Ｗｉは、接地半幅ＨＷの５～１５％であることが好ましい。幅Ｗｏは、好ましくは幅Ｗ１の８０％以上であり、より好ましくは幅Ｗ１の９０％以上である。

【0021】

センターブロック１には、タイヤ周方向ＣＤに延びる周方向細溝１３と、タイヤ幅方向ＷＤに延びる幅方向細溝１４とが形成されている。周方向細溝１３及び幅方向細溝１４は、それぞれ幅３．０ｍｍ以下で且つサイプ１２よりも幅広に形成されている。かかる周方向細溝１３によって雪上路面（スノー路面）での旋回性能が向上するとともに、幅方向細溝１４によって雪上路面でのトラクション性能が向上する。これらの細溝１３，１４の深さは、いずれも主溝６２，６３の深さよりも小さく、例えば主溝６２，６３の深さの５０～８５％である。横溝１１の深さは、主溝６２，６３の深さと同じであるが、これに限られない。

【0022】

周方向細溝１３の幅Ｗ１３は、例えば１．２～１．８ｍｍである。幅方向細溝１４の幅Ｗ１４は、例えば１．５～３．０ｍｍである。幅Ｗ１３，Ｗ１４は、細溝１３と細溝１４とが交差しない箇所で、平行に向き合う一対の壁面の間隔として求められる。幅Ｗ１３，Ｗ１４は、センターブロック列１０を区画する主溝６２，６３の幅Ｗ６２，Ｗ６３（図１参照）よりも小さい。主溝６１～６３の幅Ｗ６１，Ｗ６２，Ｗ６３は、例えば４．５～１３．５ｍｍである。横溝１１の幅Ｗ１１は、隣接する幅方向細溝１４の幅Ｗ１４よりも大きく、例えば２．５ｍｍ以上である。これらの溝やサイプの幅寸法は、正規リムに装着したタイヤに正規内圧を充填し且つ無負荷の状態で測定される。

【0023】

周方向細溝１３及び幅方向細溝１４は、いずれもタイヤ赤道ＴＥを横切ることなく、タイヤ赤道ＴＥに対して車両装着外側に形成されている。したがって、細溝１３，１４は、車両装着内側領域Ａｉ（図１参照）には配置されず、車両装着外側領域Ａｏのみに配置されている。これにより、センターブロック１のタイヤ赤道ＴＥ付近の剛性を確保し、初動時の過度の倒れ込みを防いで、氷上路面でのトラクション性能を向上できる。

【0024】

本実施形態では、単一のセンターブロック１において、傾斜方向が異なるサイプ１２が形成されている。より具体的には、周方向細溝１３を境界とした車両装着外側と車両装着内側とで、サイプ１２の傾斜方向が相違している。これにより、種々の方向に対してエッジ効果を発揮できる。

【0025】

本実施形態では、単一のセンターブロック１に対して、一本の周方向細溝１３と、その中途部から車両装着外側へ分岐するようにして延びる二本の幅方向細溝１４とが形成されているが、これらの本数や組み合わせは特に制約されない。また、周方向細溝１３及び幅方向細溝１４は、いずれも直線状に延在しているが、これに限られず、屈曲した部分や湾曲した部分を有していても構わない。

【0026】

本実施形態では、横溝１１に開口した周方向細溝１３と、主溝６３に開口した幅方向細溝１４とが互いに交差しているため、雪上路面でのトラクション性能と旋回性能の向上効果が高められる。但し、図３（Ａ）～（Ｆ）に示したセンターブロック１の変形例のように、周方向細溝１３が横溝１１に開口せずに閉塞しても構わない。また、幅方向細溝１４が主溝６３に開口せずに閉塞してもよいし、周方向細溝１３と幅方向細溝１４とが互いに交差しなくてもよい。

【0027】

空気入りタイヤＰＴは、上記の如くトレッド面Ｔｒの構造に特徴を有し、氷上路面でのトラクション性能に優れるため、冬用タイヤまたはオールシーズンタイヤとして有用である。冬用タイヤである場合において、トレッド面Ｔｒを形成するトレッドゴムのゴム硬度は、例えば４５～６５°である。このゴム硬度は、ＪＩＳＫ６２５３のデュロメータ硬さ試験（タイプＡ）に準じて２３℃で測定した硬度である。

【0028】

以上のように、本実施形態の空気入りタイヤＰＴは、トレッド面Ｔｒのタイヤ幅方向ＷＤ中央部で複数のセンターブロック１がタイヤ周方向ＣＤに並べられたセンターブロック列１０を備える。センターブロック１には複数のサイプ１２が形成されており、タイヤ幅方向ＷＤにおけるセンターブロック１の幅Ｗ１が接地半幅ＨＷの５５％以上であり、タイヤ周方向ＣＤにおけるセンターブロック１の長さＬ１がセンターブロック１の幅Ｗ１よりも大きい。

【0029】

トレッド面Ｔｒのタイヤ幅方向ＷＤ中央部は、摩擦係数の低い氷上路面において接地圧が相対的に高くなる傾向にあり、トラクション性能に対する寄与が高い。このタイヤＰＴでは、トレッド面Ｔｒのタイヤ幅方向ＷＤ中央部に設けられたセンターブロック列１０が、上記のような大サイズのセンターブロック１で構成されている。このため、センターブロック１の接地面積を増やしてサイプ１２のエッジ成分を増大できるとともに、センターブロック１の剛性を高めて初動時の過度の倒れ込みを抑制できる。これにより、氷上路面でのトラクション性能が向上する。

【0030】

本実施形態の空気入りタイヤＰＴでは、センターブロック１の長さＬ１がセンターブロック１の幅Ｗ１の１１０％以上である。これにより、氷上路面でのトラクション性能を効果的に向上できる。

【0031】

本実施形態の空気入りタイヤＰＴでは、車両に対する装着方向が指定されていて、センターブロック列１０がタイヤ赤道ＴＥ上に設けられており、センターブロック１の車両装着外側端からタイヤ赤道ＴＥまでの幅Ｗｏが、センターブロック１の車両装着内側端からタイヤ赤道ＴＥまでの幅Ｗｉよりも大きい。かかる構成によれば、車両装着外側領域Ａｏでセンターブロック１の接地面積を増やすことにより、氷上路面での旋回性能を向上できる。

【0032】

本実施形態の空気入りタイヤＰＴでは、センターブロック１の車両装着外側端からタイヤ赤道ＴＥまでの距離Ｗｏが接地半幅ＨＷの５０％以上であり、センターブロック１の車両装着内側端からタイヤ赤道ＴＥまでの距離Ｗｉが接地半幅ＨＷの５～１５％である。これにより、氷上路面での旋回性能を効果的に向上できる。

【0033】

本実施形態の空気入りタイヤＰＴでは、センターブロック１に、タイヤ周方向ＣＤに延びる周方向細溝１３と、タイヤ幅方向ＷＤに延びる幅方向細溝１４とが形成されており、周方向細溝１３及び幅方向細溝１４は、それぞれ幅３．０ｍｍ以下で且つサイプ１２よりも幅広に形成されている。これにより、雪上路面でのトラクション性能と旋回性能を向上できる。

【0034】

本実施形態の空気入りタイヤＰＴでは、周方向細溝１３及び幅方向細溝１４は、いずれもタイヤ赤道ＴＥを横切ることなく、タイヤ赤道ＴＥに対して車両装着外側に形成されている。これにより、センターブロック１のタイヤ赤道ＴＥ付近の剛性を確保し、初動時の過度の倒れ込みを防いで、氷上路面でのトラクション性能を向上できる。

【0035】

空気入りタイヤＰＴは、トレッド面Ｔｒを上記の如く構成すること以外は、通常の空気入りタイヤと同等に構成でき、従来公知の材料、形状、構造、製法などは何れも採用することができる。図示しないが、空気入りタイヤＰＴは、一対のビード部と、そのビード部の各々からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部と、その一対のサイドウォール部の各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッド部とを備えており、そのトレッド部の外周面がトレッド面Ｔｒによって形成されている。

【0036】

本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、更に、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。

【0037】

本開示の空気入りタイヤは、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。本開示の空気入りタイヤは、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。

【符号の説明】

【0038】

１・・・センターブロック、２・・・ショルダーブロック、３・・・ショルダーブロック、４・・・クオーターブロック、１０・・・センターブロック列、１１・・・横溝、１２・・・サイプ、１３・・・周方向細溝、１４・・・幅方向細溝、２０・・・ショルダーブロック列、３０・・・ショルダーブロック列、４０・・・クオーターブロック列、６１・・・主溝、６２・・・主溝、６３・・・主溝、ＴＥ・・・タイヤ赤道、Ｔｒ・・・トレッド面、ＣＤ・・・タイヤ周方向、ＷＤ・・・タイヤ幅方向

【図1】

【図2】

【図3】