(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】X線分光計及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/20008 20180101AFI20240112BHJP
G21K 1/06 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01N23/20008
G21K1/06 G
(21)【出願番号】P 2019512917
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(86)【国際出願番号】 US2017051789
(87)【国際公開番号】W WO2018053272
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-08
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517075883
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン
【氏名又は名称原語表記】University of Washington
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サイドラー,ジェラルド,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ホイドン,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ホールデン,ウィリアム
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-137273(JP,A)
【文献】特開2000-193615(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192173(WO,A1)
【文献】特開昭47-037691(JP,A)
【文献】特開平09-166488(JP,A)
【文献】特表2005-534921(JP,A)
【文献】特開2002-214165(JP,A)
【文献】特開平01-088352(JP,A)
【文献】特公昭46-007914(JP,B1)
【文献】M. Kavcic et al.,Design and performance of a versatile curved-crystal spectrometer for high-resolution spectroscopy in the tender x-ray range,Review of Scientific Instruments,2012年,Volume 83 (2012),033113,https://doi.org/10.1063/1.3697862
【文献】桜井健次,ローランド円半径100ミリの超小型ヨハンソン型蛍光X線分光器の開発,X線分析の進歩,2004年,第35集(2004),Pages 201-208,http://xray-neutron-buried-interface.jp/lab/pub/pdf/shinpo35.201_208.pdf
【文献】E. Welter et al.,A new X-ray spectrometer with large focusing crystal analyzer,J. Synchrotron Rad. ,2005年, (2005) 12, ,Pages 448-454,https://doi.org/10.1107/S0909049505007843
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光計であって、
ローランド円を画定する曲率半径の結晶アナライザと、
試料が前記ローランド円から偏位されるように前記試料を支持するように構成された試料ステージと、
前記試料ステージに向かって非集束X線を発射するように構成されたX線源であって、前記X線源が前記ローランド円の内側にある、X線源と、
前記ローランド円に接する位置敏感型検出器と
を備
え、
前記X線源が、前記ローランド円に直角に前記非集束X線を発射するように構成される、分光計。
【請求項2】
前記曲率半径が、30センチメートル(cm)未満である、請求項1に記載の分光計。
【請求項3】
前記結晶アナライザが、ヨハンジオメトリ又はヨハンソンジオメトリを有する、請求項1~2のいずれかに記載の分光計。
【請求項4】
前記結晶アナライザが、球面曲率、トロイダル曲率、又は円筒曲率を有する、請求項1~3のいずれかに記載の分光計。
【請求項5】
前記ローランド円の平面内の前記曲率半径が、前記ローランド円の半径の2倍の大きさである、請求項1~4のいずれかに記載の分光計。
【請求項6】
前記試料ステージ全体と、前記曲率半径を有する前記結晶アナライザの面との間に遮るもののない光路が存在する、請求項1~5のいずれかに記載の分光計。
【請求項7】
前記試料ステージが、前記試料が前記ローランド円の内側になるように前記試料を支持するように構成される、請求項1~6のいずれかに記載の分光計。
【請求項8】
前記試料ステージが、試料タレット上に取り付けられた2つ以上の試料のうちの選択された試料を前記X線源に位置合わせして配置するように構成された前記試料タレットを備える、請求項1~7のいずれかに記載の分光計。
【請求項9】
前記X線源が、試料が存在するとき、前記試料上に幅が少なくとも0.1mmであるスポットサイズを有するX線を発射するように構成される、請求項1~8のいずれかに記載の分光計。
【請求項10】
前記X線源がX線管を備える、請求項1~9のいずれかに記載の分光計。
【請求項11】
前記位置敏感型検出器が、電荷結合素子、CMOSカメラ、ストリップライン検出器、ダイオードアレイ、リンスクリーン、分光カメラ、又は位置感知比例計数管を備える、請求項1~10のいずれかに記載の分光計。
【請求項12】
前記結晶アナライザが、前記位置敏感型検出器上の第1の位置に、異なる方向からもたらされる第1の波長を有するX線を散乱させるように構成される、請求項1~11のいずれかに記載の分光計。
【請求項13】
前記結晶アナライザが、前記位置敏感型検出器上の第2の位置に、異なる方向からもたらされる第2の波長を有する追加のX線を散乱させるように構成され、前記第2波長が前記第1の波長と異なり、前記位置敏感型検出器上の前記第1の位置が、前記位置敏感型検出器上の前記第2の位置と異なる、請求項12に記載の分光計。
【請求項14】
真空チャンバをさらに備え、前記試料ステージ、前記結晶アナライザ、及び前記X線源の少なくとも一部分が前記真空チャンバの中に配置される、請求項1~13のいずれかに記載の分光計。
【請求項15】
前記X線源が前記真空チャンバの壁を貫通する、請求項14に記載の分光計。
【請求項16】
前記真空チャンバの壁の中に出口ウィンドウをさらに備え、前記出口ウィンドウが、X線に対して実質的に透明であり、前記結晶アナライザと前記位置敏感型検出器との間にある、請求項14~15のいずれかに記載の分光計。
【請求項17】
前記位置敏感型検出器が前記真空チャンバの内側にある、請求項14~15のいずれかに記載の分光計。
【請求項18】
前記分光計が、グローブボックス又はドラフトの中に統合される、又はグローブボックス又はドラフトの中で動作するように構成される、請求項1~17のいずれかに記載の分光計。
【請求項19】
前記分光計が、1電子ボルト(eV)ほど小さいエネルギー差を有するX線を区別するよう作動する、請求項1~18のいずれかに記載の分光計。
【請求項20】
前記結晶アナライザ及び前記位置敏感型検出器が、前記試料ステージに関して一致して回転するように構成される、請求項1~19のいずれかに記載の分光計。
【請求項21】
前記X線源が、前記試料が存在するとき、前記非集束X線が、前記結晶アナライザに対向する前記試料の表面に入射するように、前記試料ステージに向かって前記非集束X線を発射するように構成される、請求項1~20のいずれかに記載の分光計。
【請求項22】
前記X線源が、前記試料が存在するとき、前記非集束X線が、前記結晶アナライザから外方を向く前記試料の表面に入射するように、前記試料ステージに向かって前記非集束X線を発射するように構成される、請求項1~20のいずれかに記載の分光計。
【請求項23】
前記試料ステージが、前記X線源と前記結晶アナライザとの間に配置される、請求項22に記載の分光計。
【請求項24】
ローランド円を画定する曲率半径の結晶アナライザを有する分光計を介して実行される方法であって、
前記ローランド円の内側にあるX線源を介して、前記ローランド円から偏位されるように試料ステージに取り付けられる試料に向かって非集束X線を発射し、それによって前記試料に、前記結晶アナライザに衝突するX線を発射させる、又は前記結晶アナライザに衝突するために前記非集束X線の一部分を透過させることと、
前記結晶アナライザを介して、前記結晶アナライザに衝突する前記X線を散乱させることと、
前記ローランド円に接する位置敏感型検出器を介して前記散乱したX線を検出することと
を含
み、
前記非集束X線を発射することが、前記ローランド円に直角に前記非集束X線を発射することを含む、方法。
【請求項25】
前記曲率半径が、30センチメートル(cm)未満である、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記結晶アナライザがヨハンジオメトリ又はヨハンソンジオメトリを有する、請求項
24~
25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記結晶アナライザが、球面曲率、トロイダル曲率、又は円筒曲率を有する、請求項
24~
26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記ローランド円の平面内での前記曲率半径が、前記ローランド円の2倍の大きさである、請求項
24~
27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記試料の全体と、前記曲率半径を有する前記結晶アナライザの面との間に遮るもののない光路が存在する、請求項
24~
28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記非集束X線を発射することが、前記非集束X線が、少なくとも0.1mmの幅を有する前記試料上のスポットを形成するように、前記非集束X線を発射することを含む、請求項
24~
29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記X線源がX線管を備える、請求項
24~
30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記位置敏感型検出器が、電荷結合素子、CMOSカメラ、ストリップライン検出器、ダイオードアレイ、リンスクリーン、分光カメラ、又は位置感知比例計数管を備える、請求項
24~
31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記分光計が真空チャンバを含み、前記方法が、前記真空チャンバの中にヘリウムを流し込むことをさらに含み、前記放出すること、前記散乱させること、及び前記検出することが、前記真空チャンバにヘリウムが含まれている間に起こる、請求項
24~
32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記位置敏感型検出器が前記真空チャンバの中にある、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記散乱したX線を検出する前に、前記散乱したX線が、前記分光計の真空チャンバの壁の出口ウィンドウを通過する、請求項
24~
34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記分光計が、グローブボックス又はドラフトの中に統合される、又はグローブボックス又はドラフトの中で操作される、請求項
24~
35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
X線波長の特定のバンドを調べるように前記分光計を構成するために、前記結晶アナライザ及び前記位置敏感型検出器を、前記試料ステージに関して一致して回転させることをさらに含む、請求項
24~
36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記非集束X線を発射することが、前記非集束X線が、前記結晶アナライザに対向する前記試料の表面に入射するように前記非集束X線を発射することを含む、請求項
24~
37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記非集束X線を発射することが、前記非集束X線が、前記結晶アナライザから外方を向く前記試料の表面に入射するように前記非集束X線を発射することを含む、請求項
24~
38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記試料ステージが前記X線源と前記結晶アナライザとの間に配置される、請求項
39に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、名目酸化状態の分布を決定する、起源を識別する、及び/又は油頁岩、原油固体、原油液体、精製原油生成物、加工された若しくは未加工の油頁岩、石炭、石炭灰、飛散灰、バイオ炭、土、顔料、半貴石、又は空気と反応する硫黄含有物質中の硫黄の局所化学を調べるために実行される、請求項
24~
40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、名目酸化状態の分布を決定する、起源を識別する、及び/又はバイオ炭、潤滑剤、土、リン酸塩が豊富な鉱石中、又は空気と反応するリン含有物質のリンの局所化学を調べるために実行される、請求項
24~
41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、名目酸化状態の分布を決定する、起源を識別する、及び/又は核燃料処理若しくは回収からの廃液流産物、テクネチウム汚染を示す環境試料、又は空気と反応するテクネチウム含有物質中のテクネチウムの局所化学を調べるために実行される、請求項
24~
42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記方法が、名目酸化状態の分布を決定する、起源を識別する、及び/又はクロムを含有する家庭用電化製品部品、土、塗料スラッジ、産業廃棄物、鉱石、又は鉱くずの局所化学を調べるために実行される、請求項
24~
43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記分光計が請求項1~
23のいずれか1項に記載の前記分光計を備える、請求項
24~
44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、請求項1~
23のいずれかに記載の前記分光計と電気的に結合されたプロセッサにより前記命令が実行されるとき、前記分光計に、請求項
24~
45に記載の前記方法のいずれかを実行させる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その内容が参照によりその全体として本明細書に援用される、2016年9月15日に出願された米国仮特許出願第62/394,981号の利益を主張する。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、アメリカ合衆国エネルギー省により授与された契約番号第DE-AC52-06NA25396号、第DE-SC0008580号、及び第DE-FG02-09ER16106号の下で政府支援を受けて行われた。政府は、本発明に対し一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
別段の指示がない限り、本項に記載される資料は、本願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、本項への包含により先行技術であると認められない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
X線分光計は、所望されるデータの性質及び品質並びに利用可能な財源に基づいて、いくつかの異なるジオメトリ及び構成要素で実現できる。試料からX線発光分光法(XES)データを収集する1つの方法は、X線の非常に小さい(例えば、0.01ミリメートル未満)のスポットサイズで試料を照明できるコリメートされた又は集束されたX線源を使用することである。試料及び点検出器は、分光計を「調整」して、試料上のスポットから発射(又は透過)される種々の波長のX線を検出するために、結晶アナライザによって画定されるローランド円の反対側に沿って移動させることができる。しかしながら、係るコリメートされた源又は集束された源は、概して非常に大きく、高価、且つまれな(例えば、接近が困難な)シンクロトロン放射源の形をとるか、又は係るコリメートされた源又は集束された源は、データを収集するために要する時間の量を増す場合がある、試料に入射するX線ビームの輝度を削減できる高価な集束光学部品を含む。また、このジオメトリは、通常、試料及び検出器の移動が高精度で制御されることを必要とする。
【0005】
別のオプションは、集束されたX線源及び位置敏感型検出器(例えば、ストリップライン検出器又は領域検出器)を使用することを伴う。この手法は、データ収集中の検出器の精密な位置制御の必要を排除するが、X線の集束源の不利な点は残る。
【0006】
しかも別の手法は、非集束X線を発射し、試料上により大きいスポットサイズを生じさせる、より安価なX線源(例えば、X線管)を使用することを伴う。通常、試料と検出器の両方とも結晶アナライザによって画定されたローランド円に接していなければならず、これが、分光計をどれほど小さくできるのかを制限する。現場の特定の環境では、かさばる分光計を使用することは実際的ではない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一例では、分光計は、ローランド円を画定する曲率半径の結晶アナライザと、試料がローランド円から偏位されるように試料を支持するように構成された試料ステージと、試料ステージに向かって非集束X線を発射するように構成されたX線源と、ローランド円に接する位置敏感型検出器とを含む。
【0008】
別の例では、方法が、ローランド円を画定する曲率半径の結晶アナライザを有する分光計を介して実行される。方法は、X線源を介して、ローランド円から偏位されるように試料ステージに取り付けられる試料に向かって非集束X線を発射し、それによって試料に、結晶アナライザに衝突するX線を発射させる、又は結晶アナライザに衝突するために非集束X線の一部分を透過させることを含む。方法は、さらに、結晶アナライザを介して、結晶アナライザに衝突するX線を散乱させることと、ローランド円に接する位置敏感型検出器を介して散乱したX線を検出することとを含む。
【0009】
用語「実質的に」又は「約」が本明細書で使用されるとき、列挙される特性、パラメータ、又は値は厳密に達成される必要はないが、例えば公差、測定誤差、測定確度制限、及び当業者に既知の他の要因を含んだ偏差又はばらつきが、特性が提供することを意図された効果を除外しない量、発生し得ることが意味される。本明細書に開示されるいくつかの例では、「実質的に」又は「約」は列挙される値の+/-5%以内を意味する。
【0010】
他の態様、優位点、及び代替策だけではなくこれらの態様、優位点、及び代替策も、適切な場合、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことによって当業者に明らかになるであろう。さらに、本発明の概要並びに本明細書に提供される他の説明及び図が、ほんの一例として本発明を示すことを目的とし、したがって多数の変形形態が考えられることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例の実施形態に係るコンピューティングシステム及び分光計の概略図である。
【
図3】例の実施形態に係る分光計のいくつかの構成要素の斜視図である。
【
図4】例の実施形態に係る分光計のいくつかの構成要素の正面図である。
【
図5】例の実施形態に従って、グローブボックス又はドラフトの中に統合される分光計を示す図である。
【
図6】例の実施形態に従って、グローブボックス又はドラフトに統合される分光計の接写図である。
【
図7】例の実施形態に従って、グローブボックス又はドラフトに統合される分光計の別の接写図である。
【
図8】例の実施形態に従って、グローブボックス又はドラフトに統合される分光計のさらに別の接写図である。
【
図9】例の実施形態に係る方法のブロック図である。
【
図10】例の実施形態に従って、DRR分光計を用いてZnsから収集されたデータと、別の分光計を用いてZnSから収集されたデータとの比較を示す図である。
【
図11】例の実施形態に従って、DRR分光計を用いてGaPから収集されたデータと理論的予想との比較を示す図である。
【
図12】例の実施形態に従って、GaP及びFePO
4における異なる酸化状態を有するリンを示すエネルギーシフトを示すデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述されたように、現在のX線分光計の実施態様は、一連のX線波長を走査するために精密な試料及び/又は検出器の動作制御を必要とすること、高価及び/又は接近が困難なX線源の使用、又は計器のかさ高性による携帯性の欠如等の不利な点を有する。これらの問題を軽減するための手法は、本明細書に説明される。
【0013】
分散型再集束(dispersive refocusing)ローランド(DRR)分光計は、ローランド円を画定する曲率半径の結晶アナライザ、及び試料がローランド円から偏位されるように試料を支持するように構成された試料ステージを含む。分光計は、試料ステージに向かって非集束X線を発射するように構成されたX線源、及びローランド円に接する位置敏感型検出器をさらに含む。発射モードでは、X線源は、試料が存在するとき、非集束X線が、結晶アナライザに対向する試料の表面に入射するように、試料ステージに向かって非集束X線を発射するように構成される。透過モードでは、X線源は、試料が存在するとき、非集束X線が、結晶アナライザから外方に向く試料の表面に入射するように、試料ステージに向かって非集束X線を放出するように構成される。
【0014】
DRRジオメトリはいくつかの優位点を有する。第1に、高価且つより不便なシンクロトン放射源又は集束光学部品と結合されるX線源の代わりに、X線管等の安価な非集束X線源を使用できる。試料に対してより大きい非集束X線スポットを使用することにより、試料を全体として表す試料の容積が調べられ、試料がより高いX線光束を受け取る可能性がより高くなり、よりデータ収集に要する時間の量を削減する。また、DRRジオメトリはまた、X線源及び試料ステージをローランド円の十分に内側に位置決めできるようにし、分光計のある程度の縮小化が発生できるようにする。ローランド円に接する位置敏感型検出器を使用することにより、DRRジオメトリは、検出器、試料、又はX線源を移動させることなくX線波長の相対的に大きい範囲を調べることを可能にし得る。DRR分光計によって収集されるデータは、スポットサイズ、試料サイズ、及び小さい試料の変位に対する感受性がわずかである。
【0015】
図1は、分光計100を制御するように構成された例のコンピューティングシステム150の概略図である。コンピューティングシステム150は、そのいずれか又はすべてがシステムバス又は別の接続機構154を介して、互いに及び/又は分光計100に通信可能に結合されてよい、プロセッサ(複数可)152、コンピュータ可読媒体154、及び入出力インタフェース156を含む。
【0016】
プロセッサ152は、汎用プロセッサ及び/又は特殊目的プロセッサを含んでよく、コンピュータ可読媒体154の中に記憶されたプログラム命令を実行するように構成されてよい。いくつかの例では、プロセッサ152は、コンピュータ可読媒体154の中に記憶される命令を実行するために調整するように構成された1つ以上の処理ユニットから成るマルチコアプロセッサであってよい。一例では、プロセッサ152は、コンピュータ可読媒体154の中に記憶されたプログラム命令を実行することによって、分光計100の構成要素を制御、操作、又は移動してよい。
【0017】
コンピュータ可読媒体154は、1つ以上の揮発性記憶構成要素、不揮発性記憶構成要素、取り外し可能記憶構成要素、及び/又は取り外しできない記憶構成要素を含んでよい。コンピュータ可読媒体154は、磁気媒体、光媒体、又はフラッシュ記憶媒体であってよく、全体または一部としてプロセッサ152若しくはコンピューティングシステム150の他の部分に統合されてよい。さらに、コンピュータ可読媒体154は、その上に、プロセッサ152により実行されるとき、本開示に説明される任意の機能をコンピューティングシステム150に実行させる又は分光計100に実行させるプログラム命令を記憶している、非一過性コンピュータ可読記憶媒体であってよい。係るプログラム命令は、例えば入出力インタフェース156から受け取られる入力に応えて実行できるソフトウェアアプリケーションの一部であってよい。また、コンピュータ可読媒体154は、例えば本開示を通して説明される種類のもの等、他の種類の情報又はデータを記憶してもよい。
【0018】
入出力インタフェース156は、適用可能な場合、コンピューティングシステム150のユーザとの対話を可能にしてよい。入出力インタフェース156は、例えばダイヤル、ボタン、キーボード、マウス、キーパッド、又はタッチセンサ方式のパネル等の入力構成要素、及び(例えば、タッチセンサ式パネルと結合されてよい)表示画面、サウンドスピーカ、及び触覚フィードバックシステム等の出力構成要素を含んでよい。
【0019】
図2は、分光計100の概略図である。分光計100は、ローランド円104を画定する曲率半径の結晶アナライザ102、及び試料108がローランド円104から(例えば、中で)偏位されるように試料108を支持するように構成された試料ステージ106を含む。分光計100は、試料ステージ106に向かって(例えば、試料108に向かって)非集束X線112を発射するように構成されたX線源110、及びローランド円104に接する位置敏感検出器114をさらに含む。分光計100は、1電子ボルト(eV)以下ほど小さいエネルギー差を有するX線を区別するよう作動する。
【0020】
結晶アナライザ102は、例えばケイ素又はゲルマニウム等の結晶物質から構成される。結晶アナライザ102は、試料108から発射される又は試料を透過するX線を受け取るように構成され、結晶アナライザ102の格子間隔及び試料108に関する結晶アナライザ102の向きに基づいて、ブラッグ反射を介して、特定の波長/エネルギーバンドのX線を選択的に散乱させることによって動作してよい。結晶アナライザ102は、以下の曲率、つまり例えばそれぞれヨハン確率変数(Johann variant)又はヨハンソン確率変数(Johannson variant)において球面曲率、トロイダル曲率、より複雑な二重曲率、又は円筒曲率のうちの1つ以上を有してよい。結晶アナライザ102は、回転対称の少なくとも1つの軸、及び30センチメートル(cm)未満、20cm未満、若しくは10cm未満である半径又は曲率半径を有してよい。他の例が考えられる。
【0021】
図2に示されるように、結晶アナライザ102は、ローランド円104を画定する半径曲率を有してよい。結晶アナライザ102の寸法(例えば、曲率半径)は、ローランド円104に関して
図2で原寸に比例して描かれていない可能性がある。結晶アナライザ102の曲率半径は、ローランド円104の直径(つまり、ローランド円104の半径の2倍)に等しい場合があるが、他の例が考えられる。
【0022】
試料ステージ106は、試料108がローランド円104から(例えば、内側又は外側)偏位されるように、試料108を保持又は支持するように構成された任意の構造又はプラットフォームを含んでよい。いくつかの例では、(試料108によって覆われていないとき)試料ステージ106の全体と、曲率半径の結晶アナライザ102の面との間に遮るもののない光路が存在してよい。試料ステージ106は、X線がいくつかの構成(例えば、透過)では試料108を通って透過できるようにする穴を有してよい。いくつかの透過構成では、試料108及び試料ステージ106は、結晶アナライザ102と位置敏感型検出器114との間に位置し、X線源110は、非集束X線112が結晶アナライザ102に入射し、試料108及び試料ステージ106に向かって散乱するように、結晶アナライザ102に向かって位置合わせされる。
【0023】
試料108は、概して関心のある任意の液体の又は固体の材料試料を含んでよい。液体試料108の場合、試料108は、透明な容器の中に封入され、試料ステージ106に取り付けられてよい。固形試料108は、試料ステージ106に直接的に取り付けられてよい。
【0024】
X線源110はX線管の形をとってよいが、他の例が考えられる。X線源110は、試料108に向かって非集束X線112を発射するように構成されてよい。非集束X線112は、非集束X線及び/又は広帯域X線を含む場合があるが、他の例が考えられる。X線源110は、少なくとも幅0.1mmである試料108上のスポットサイズを有するX線を発射するように構成されてよい。X線源110は、分光計100の構成に基づいて、ローランド円104の内部又は外部に位置する場合がある。
【0025】
図2に示される発射構成では、X線源110は、試料108が存在するとき、非集束X線112が、結晶アナライザ102に対向する試料108の表面に入射するように試料ステージ106に向かって非集束X線112を発射するように構成される。
【0026】
透過構成では、X線源は、試料108が存在するとき、非集束X線が、結晶アナライザ102から外方を向く試料108の表面に入射するように試料ステージ106に向かって非集束X線を発射するように構成される。透過構成では、試料ステージ106は、X線源と結晶アナライザ102との間に配置される。
【0027】
位置敏感型検出器114は、結晶アナライザ102によって散乱されるX線の総数、強度、及び/又はエネルギー/波長を検出するように構成された、任意のカメラ、領域検出器、又はライン検出器の形をとってよい。また、位置敏感型検出器114は、結晶アナライザ102に対して位置敏感型検出器114を移動させるように構成された機構(例えば、1つ以上の電動マイクロメータ又は非電動マイクロメータ)を含んでもよい。種々の例では、位置敏感型検出器は、電荷結合素子、CMOSカメラ、ストリップライン検出器、ダイオードアレイ、リンスクリーン、分光カメラ、又は位置感知比例計数管を含む。
【0028】
結晶アナライザ102は、ともに第1の波長を有し、(試料108に対して)異なる方向からもたらされるX線116及びX線118を、位置敏感型検出器114上の第1の位置138に散乱させるように構成されてよい。さらに、結晶アナライザ102は、第2の波長を有し、異なる方向からもたらされるX線120及びX線122を、位置敏感型検出器114上の第2の位置136に散乱させるように構成されてよい。また、結晶アナライザ102は、第3の波長を有し、異なる方向からもたらされるX線124及びX線126を、位置敏感型検出器114上の第3の位置134に散乱させるように構成されてよい。X線116及びX線118は、共通の「仮想」ソース位置128から生じるとして予想できる。X線120及びX線122は、共通の「仮想」ソース位置130から生じるとして予想できる。X線124及びX線126は、共通の「仮想」ソース位置132から生じるとして予想できる。
【0029】
結晶アナライザ102及び位置敏感型検出器114は、X線の異なる波長の分析を可能にするために試料ステージ106に関して一致して回転するように構成されてよい。
【0030】
X線116~126は、ブラッグ散乱を介して結晶アナライザ102によって選択的に散乱されるX線を含んでよい。すなわち、X線116~126は、結晶アナライザ102に対するその入射角に基づいて結晶アナライザ102のブラッグ条件を満たすそれぞれのエネルギー範囲に制限されてよい。
【0031】
分光計100は、試料ステージ106(例えば、試料108)から生じるX線の任意の波長について、X線が結晶アナライザ102のブラッグ条件を満たすだけではなく、結晶アナライザ102によって位置敏感型検出器114にリダイレクトされるその波長に対応する結晶アナライザ102の排他的な領域が存在する。例えば、ともに第1の波長(又は波長範囲)を有するX線116及びX線118は、X線116及びX線118が領域175の中で結晶アナライザ102に入射する場合に位置敏感型検出器114に到達するにすぎない可能性がある。ともに第2の波長(又は波長範囲)を有するX線120及びX線122は、X線120及びX線122が領域173の中で結晶アナライザ102に入射する場合、位置敏感型検出器114に到達するにすぎない可能性がある。ともに第3の波長(又は波長範囲)を有するX線124及びX線126は、X線124及びX線126が領域171の中で結晶アナライザ102に入射する場合、位置敏感型検出器114に到達するにすぎない可能性がある。他の例が考えられる。
【0032】
図3は、分光計100のいくつかの構成要素の斜視図である。分光計100は、真空チャンバを含んでよい。真空チャンバの1つの壁140が
図3に示されている。試料ステージ106(例えば、試料108)、結晶アナライザ102、及びX線源110の少なくとも一部分は、真空チャンバの中に配置されてよい。
図3に図示されるように、X線源110は、真空チャンバの壁140を貫通してよい。分光計100は、真空チャンバの壁141の中に出口ウィンドウ(例えば、カプトンウィンドウ)142をさらに含んでよい。出口ウィンドウ142は、X線に対して実質的に透明で、結晶アナライザ102と位置敏感型検出器114との間にあってよい。他の例では、位置敏感型検出器は真空チャンバの内部にある。
【0033】
図4は、分光計100のいくつかの構成要素の正面図である。結晶アナライザ102は、ステージ又は取付けブラケット103に取り付けられてよい。取付けブラケット103の調整は、アナライザ102及びローランド円104を移動させる場合があり、X線の異なる波長を調べるために使用できる。概して、位置敏感型検出器114は、移動したローランド円104に接する位置に移動又は回転される。
【0034】
図5は、グローブボックス144(例えば、ドラフト)の中に統合された分光計100を示す。この構成は、空気中で反応性である、又は潜在的に有害である物質を調べるために役立つ場合がある。
【0035】
図6は、グローブボックス144の中に統合された分光計100の接写図である。試料ステージ106又は分光計100は、概して、試料タレット146上に取り付けられた2つ以上の試料のうちの選択された試料をX線源110に位置合わせして配置するように構成された試料タレット146を含んでよい。また、
図6は、真空チャンバ148の全体も示す。
【0036】
図7は、グローブボックス144の中に統合された分光計100の別の接写図である。
【0037】
図8は、グローブボックス144の中に統合された分光計100のさらに別の接写図である。
【0038】
図9は、ローランド円を画定する曲率半径の結晶アナライザを有する分光計を介して実行される方法900のブロック図である。例えば、方法900は、分光計100を使用し、実行されてよい。
【0039】
ブロック902で、方法900は、ローランド円から偏位されるように試料ステージに取り付けられる試料に向かって、X線源を介して非集束X線を発射し、それによって試料に、結晶アナライザに衝突するX線を発射させる、又は結晶アナライザに衝突するために非集束X線の一部分を透過させることを含む。
【0040】
例えば、X線源110は、試料108がローランド円104から偏位されるように、試料ステージ106に取り付けられる試料108に向かって非集束(例えば、広帯域)X線112を発射してよい。種々の実施形態では、X線源は、ローランド円の内側又は外側に位置してよい。非集束X線112は、少なくとも0.1mmの幅を有する試料上のスポットを形成してよい。他のビームスポットサイズが考えられる。
【0041】
図2に示される発射構成では、X線源110は、非集束X線112が、結晶アナライザ102に対向する試料108の表面に入射するように非集束X線112を発射する。
【0042】
透過構成では、X線源は、非集束X線が、結晶アナライザ102から外方を向く試料108の表面に入射するように非集束X線を発射してよい。これに関連して、試料ステージ106は、X線源110と結晶アナライザ102との間に配置されてよい。
【0043】
ブロック904で、方法900は、結晶アナライザを介して、結晶アナライザに衝突するX線を散乱させることを含む。例えば、結晶アナライザ102は、X線116~126が結晶アナライザ102に衝突した後にX線116~126を散乱させてよい。
【0044】
ブロック906で、方法900は、ローランド円に接する位置敏感型検出器を介して散乱したX線を検出することを含む。例えば、位置敏感型検出器114は、X線116~126が、結晶アナライザ102によって散乱された後に、X線116~126を検出してよい。例えば
図3に図示されるいくつかの例では、X線116~126は、位置敏感型検出器114によって検出される前に出口ウィンドウ142を通過してよい。
【0045】
分光計が、
図3~8等の真空チャンバを含む例では、ヘリウムが真空チャンバ148の中に流し込まれてよく、発射すること、散乱させること、及び検出することは、真空チャンバ148にヘリウムが含まれている間に起こってよい。ヘリウムはX線の非常に弱い吸収体であり、化学的に不活性である。空気に対して敏感又は反応性である物質を分析するとき、真空チャンバ148をヘリウムで充填することは、真空チャンバ148の中から空気を吸い出すことより容易である場合がある。
【0046】
いくつかの実施形態は、(例えば、ステージ又は取付けブラケット103の調整によって)結晶アナライザ102を回転又は移動させることと、X線波長の特定のバンドを調べるように分光計100を構成するために試料ステージ106又は試料108に関して位置敏感型検出器114を回転又は移動させることを含んでよい。
【0047】
上述の方法は、名目酸化状態の分布を決定する、起源を識別する、及び/又は油頁岩、原油固体、原油液体、精製原油生成物、加工された若しくは未加工の油頁岩、石炭、石炭灰、飛散灰、バイオ炭、土、顔料、半貴石、又は空気と反応する硫黄含有物質中の硫黄の局所化学を調べるために実行されてよい。
【0048】
上述の方法は、名目酸化状態の分布を決定する、起源を識別する、及び/又はバイオ炭、潤滑剤、土、リン酸塩が豊富な鉱石、又は空気と反応するリン含有物質中のリンの局所化学を調べるために実行されてよい。
【0049】
上述の方法は、名目酸化状態の分布を決定する、起源を識別する、及び/又は核燃料処理若しくは回収からの廃液流産物、テクネチウム汚染を示す環境試料、又は空気と反応するテクネチウム含有物質中のテクネチウムの局所化学を調べるために実行されてよい。
【0050】
上述の方法は、名目酸化状態の分布を決定する、起源を識別する、及び/又はクロムを含有する家庭用電化製品部品、土、塗料スラッジ、産業廃棄物、鉱石、又は鉱くずの局所化学を調べるために実行されてよい。
【0051】
図10は、DRR分光計を用いて硫化亜鉛(ZnS)から収集されたS Kα X線放射データと、別の分光計を用いてZnSから収集されたデータとの比較を示す。データ901は、分光計100等のDRR分光計を用いて採取された。データ902は、アンデュレータビームライン20-IDでEuropean Synchrotron Radiation Facilityにて採取された。データ902との比較時、スペクトルの10分の数電子ボルト(eV)の拡大に相当する、データ901におけるエネルギー分解能の小さい損失がある。
【0052】
測定のエネルギー尺度は、10cmのローランド円及びカメラのサイズに基づいて幾何学的考察から決定された。スペクトルはデータ902と一致するためにシフトされた。ヨハン誤差を削減するために、アナライザは2.5mmまで隠され(masked)、データ901を作成するために15時間にわたって積分された、7.5光子/秒の計数率を生じさせる。
【0053】
図11は、分光計100等のDRR分光計を用いてガリウムリン(GaP)から収集された価電子準位Kβ X線蛍光データ903と、理論的予想に基づいて計算されたデータ904との比較を示す。
図11に示されるのは、GaPの試料からのP Kβ放出の測定値である。リン中、Kβ放出は原子価からコアへの(valence―to―core)遷移であり、これが、得られたデータ903を、FEFFソフトウェアを使用し、行われたシミュレーションに比較できるようにし、良好な一致が得られる。Kβ放出は、Kα放出よりも約30倍弱い。データ903は、2.6光子/秒の計数率で36時間にわたって積分された。
【0054】
図12は、GaP及びFePO
4における異なる酸化状態を有するリンを示すP KαX線蛍光でのエネルギーシフトを示すデータを示す。2つの試料が、両方の測定全体で一貫したエネルギー尺度を可能にする試料カルーセル(例えば、試料タレット)に取り付けられた。データ905はGaPを表し、データ906はFePO
4を表す。データ905及びデータ906は、分光計100に類似した分光計で収集された。
【0055】
試料タレットを装備した分光計100は、2つの異なる試料に対応する係るデータを、同じエネルギー尺度でわずか数分で収集できるようにし、エネルギーシフトを正確に定量化できるようにする。これは、例えば標準的な酸化状態の決定のために使用できる。試料上の照らし出されたスポットは3mm x 3mmよりも大きい場合がある。いくつかの実施形態では、照らし出されたスポットの面積は、少なくとも0.1mm x 0.1mmの大きさ、又は少なくとも1mm x 1mmの大きさである。
【0056】
種々の例の態様及び例の実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様及び実施形態も当業者に明らかになる。本明細書に開示される種々の例の態様及び例の実施形態は、例示のためであり、限定的となることを目的としておらず、真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲により示される。