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特許7418209被保護面の防汚のための発光装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】被保護面の防汚のための発光装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 59/04 20060101AFI20240112BHJP
   B08B 17/02 20060101ALI20240112BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B63B59/04 C
B08B17/02
G02B6/00 331
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019519225
(86)(22)【出願日】2017-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2017075828
(87)【国際公開番号】W WO2018069330
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-10-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】16193044.1
(32)【優先日】2016-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヒートブリンク ローラント ボウデワイン
(72)【発明者】
【氏名】サルテルス バート アンドレ
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】沼生 泰伸
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-512977(JP,A)
【文献】特表2011-524622(JP,A)
【文献】特表2016-525932(JP,A)
【文献】特開平08-297282(JP,A)
【文献】特開平11-269838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B59/04
B08B17/02
G02B6/00
F21V8/00
H05B33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋構造物の表面であって汚損生物を含む汚損液体に浸される被保護面の生物汚損を防止するための発光装置であって、前記発光装置は、シート形態に形作られ、
前記発光装置は、光学媒体と、前記光学媒体に埋設され、防汚光を出射する光源とを備え、前記光学媒体は、前記防汚光の少なくとも一部が前記光学媒体を通して配光されることを可能にし、
前記光学媒体は、前記被保護面上に配置されるための後面と、前記被保護面から離れる方向に前記防汚光を出射する出射面とを含み、
前記発光装置は、前記光学媒体の前記出射面に向けて前記光源からの防汚光を反射する少なくとも1つのミラーを更に備え、
前記ミラーは、前記後面付近に、又は前記後面に配置されていて、導電性であり、且つ、電源と前記光源との間において電力を伝送するために配置された第1の電極を提供するために前記光源に電気的に結合され、
前記ミラーが、熱伝導性であり、前記光源からの熱に対するヒートシンクを構成するために前記光源に熱的に結合されている、
発光装置。
【請求項2】
前記ミラーが、外部の導電要素及び誘電体層と組み合わされて前記第1の電極と前記外部の導電要素との間の電力の容量性伝送のためのコンデンサを形成するように設けられた前記第1の電極を提供する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記ミラーが、導電材料を介して前記光源に熱的に結合されており、前記導電材料が、前記光源までの前記電気的な結合を更に提供する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記ミラーが、少なくとも第1のミラーと前記第1のミラーから電気的に絶縁された第2のミラーとを備え、前記第1のミラーが、前記第1の電極を提供するために前記光源に電気的に結合されており、前記第2のミラーが、更なる電極を提供するために前記光源に電気的に結合された、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記ミラーが、前記光源から前記光学媒体の前記出射面に向けて鏡面的に防汚光を反射するために設けられた反射ミラーを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記ミラーが、前記光学媒体の前記出射面を通って前記光学媒体を出る前記防汚光の散乱を主に引き起こすように設けられた散乱ミラーを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光装置が、前記光源からの防汚光によりカバーされた3つの区域のグループ、すなわち、前記光学媒体の前記出射面に向けて鏡面的に前記防汚光の反射を主に引き起こすように設けられた、前記反射ミラーを備える第1の区域と、全反射による前記光学媒体を通した前記防汚光の伝搬を主に実現するように設けられた第2の区域と、前記光学媒体の前記出射面を通って前記光学媒体を出る前記防汚光の散乱を主に引き起こすように設けられた、前記散乱ミラーを備える第3の区域とのグループを備え、前記第1の区域が、前記第2の区域より前記光源に近く、前記第2の区域が、前記第3の区域より前記光源に近い、請求項5に従属する請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記出射面付近に、又は前記出射面に更なるミラーを備え、任意選択的に、前記更なるミラーが、パターン形成されているか、又は前記防汚光に対して半透過性であり、任意選択的に、前記更なるミラーがパターン形成されている程度、又は前記防汚光に対して半透過性である程度が、前記光源から離れる方向に増加する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記更なるミラーが、導電性であり、且つ、更なる外部の導電要素と組み合わされて、更なる電極と前記更なる外部の導電要素との間の電力の伝送のためのガルバニック接続又は更なるコンデンサを形成するように設けられた前記更なる電極を構成するために、前記光源に電気的に結合されている、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記ミラーが、第1のミラーパーツと第2のミラーパーツとを備え、前記第1のミラーパーツが、前記光源の第1の電気端子に電気的に接続されて前記第1の電極を形成し、前記第2のミラーパーツが、前記光源の第2の電気端子に電気的に接続されて前記電源に接続される第2の電極を形成する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
単一の光学媒体と、複数の光源と、関係する複数のミラーとを備え、前記ミラーの各々が、前記光源のうちの1つ又は複数に電気的に結合された、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光装置を備える外面を含む海洋構造物であって、前記発光装置が、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに前記外面の防汚を実現するために前記外面に装着され、前記発光装置に給電するために前記ミラーにより形成された前記第1の電極に結合された電源が備えられている、海洋構造物。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光装置を設置する方法であって、前記方法は、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに外面の防汚を実現するために、海洋構造物の前記外面に前記発光装置を装着するステップと、前記発光装置に給電するために、前記ミラーにより形成された前記第1の電極に結合された電源を設けるステップとを有する、発光装置を設置する方法。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光装置の使用法であって、前記発光装置が、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときの外面の防汚のために海洋構造物の前記外面に設置され、前記使用法が、前記ミラーにより形成された前記第1の電極に結合された電源を介して前記発光装置に給電するステップを有する、発光装置の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに海洋構造物の被保護面の防汚を実現するように構成された発光装置に関する。発光装置は、シート形態に形作られ、光学媒体と、光学媒体に埋設され、防汚光を出射するように構成された光源とを備える。光学媒体は、防汚光の少なくとも一部が光学媒体を通して配光されることを可能にする。光学媒体は、発光装置が被保護面内に配置された、又は被保護面上に配置されたとき、被保護面を向くための後面と、被保護面から離れる方向に防汚光を出射するように構成された出射面とを含む。
【背景技術】
【0002】
その耐用期間の少なくとも一部にわたって水にさらされる表面の生物汚損は、多くの分野で重大な問題をもたらすよく知られた現象である。例えば、海運の分野では、船殻の生物汚損が船の抗力の深刻な増加をもたらし、結果的に、船の燃料消費量の増加をもたらすことが知られている。この点について、最大40%の燃料消費量の増加が生物汚損に起因し得ると推定される。
【0003】
概して、生物汚損は、表面における微生物、植物、藻、小動物等の蓄積である。推定によると、4,000の生物を含む1,800種を越えるものが、生物汚損の原因とされる。従って、生物汚損は、幅広い様々な生物によりもたらされ、表面に対するフジツボ及び海藻の付着よりもはるかに多くのものが関与する。生物汚損は、生物膜の形成、及び細菌付着を含むマイクロ汚損と、より大きな生物の付着を含むマクロ汚損とに分類される。何がそれらの定着を防止するかを決定付ける化学的要素及び生物学的要素に起因して、生物は、更に硬質又は軟質に分類される。硬質汚損生物として、フジツボ、表面を覆うコケムシ、軟体動物、多毛類の動物、及び他の棲管虫、及びカワホトトギスガイ等の石灰質生物が挙げられる。軟質汚損生物として、海藻、ヒドロ虫、藻、及び生物膜「粘着物」等の非石灰質生物が挙げられる。これらの生物が一緒になって、汚損コミュニティを形成する。
【0004】
ここまでに説明されるように、生物汚損は、重大な問題を生み出す。生物汚損は、単に例示するだけだが、上述の船の抗力の増加以外に、機械が動作を停止すること、及び水口が詰まることといった2つの他の否定的な結果を引き起こし得る。従って、生物防汚の話題、すなわち生物汚損の除去又は防止の工程はよく知られている。
【0005】
WO2014/188347A1は、表面が液体環境に、特に、水性環境又は油性環境に少なくとも部分的に沈められた状態における、表面の防汚の方法を開示する。この方法は、防汚光を提供することと、被保護面の非常に近くに光学媒体を提供することとを伴い、光学媒体は、実質的に平面の出射面を含む。光の少なくとも一部が、被保護面に対して実質的に平行な方向に光学媒体を通して配光され、防汚光は、被保護面から離れる方向に光学媒体の出射面から出射される。防汚光は紫外光であり、光学媒体は、紫外線透過シリコーン、すなわち紫外光に対して実質的に透過性であるシリコーン、及び/又は、紫外線グレード溶融シリカ、特に、石英を含む。
【0006】
WO2014/188347A1により知られた方法を適用することにより、殺菌光を出射する層を使用して、生物汚損に対して少なくとも相当な程度まできれいに維持されるように被保護面を被覆することが可能である。被保護面は、上述のように船の船殻であり得るが、この方法は、他の種類の表面にも同様に適用可能である。
【0007】
WO2014/188347A1は、上述の方法を実施するために使用されることに適したライティングモジュールを更に開示する。従って、ライティングモジュールは、防汚光を生成するための少なくとも1つの光源と、光源からの防汚光を配光するための光学媒体とを備える。少なくとも1つの光源及び/又は光学媒体が、被保護面から離れる方向に防汚光を出射するために、少なくとも部分的に被保護面内に配置されるか、又は被保護面上に配置される。ライティングモジュールは、被保護面への適用に適したホイルとして提供される。いずれの場合においても、ライティングモジュールは、防汚光を生成するための、及び、光学媒体が、ライトモジュールの光出射面を出る防汚光の二次元配光を提供するために、二次元光源グリッドからの防汚光の少なくとも一部を光学媒体にわたって配光するように設けられた二次元光源グリッドを備えることが可能である。
【0008】
二次元光源グリッドは、チキンワイヤ構造、密集構造、行/列構造、又は任意の他の適切な規則的な、又は不規則的な構造をとって構成される。二次元光源グリッドを提供することの利点のうちの1つは、出射面にわたる配光の均一性が高められることである。実際、出射面にわたり配光の均一性を高めることにより、均一性を高めていなければ生物汚損が発生するおそれのある場合において、照射される領域が生物汚損を低減されるか、又は防止されることさえあるのと同時に、均一性を高めていなければ防汚に必要な光より多くの光を受けて過剰に照らされる領域において発生するおそれのあるエネルギーの浪費も、同様に低減されるか、又は防止される。WO2014/188347A1は、更に、光学媒体における適切な場所に散乱のパターンをもつことにより、出射面にわたる配光が更に改善されることを開示する。総じて、比較的薄い光学構造物においてより高い一様さを実現するためのアイデア及び解決策は、1つ又は複数の光源の直前に散乱体及び/若しくは反射体、又は他の光拡散体を導入することを伴うことが示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のことから、WO2014/188347A1は、防汚ライティングモジュールの出射面にわたる配光の均一性を改善するという主題を解決すると言える。しかし、利便性の高い、及び信頼可能な手法により、光源に電力を供給する必要性も存在する。
【0010】
本発明は、被保護面の防汚のための発光装置の光源からの防汚光の配光を提供するとともに、更に、光源に電力を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに海洋構造物の被保護面の防汚を実現するように構成された発光装置が提供され、発光装置は、シート形態に形作られ、発光装置は、光学媒体と、光学媒体に埋設され、防汚光を出射するように構成された光源とを備え、光学媒体は、防汚光の少なくとも一部が光学媒体を通して配光されることを可能にし、光学媒体は、被保護面内に配置されるための、又は被保護面上に配置されるための後面と、被保護面から離れる方向に防汚光を出射するように構成された出射面とを含み、発光装置は、光学媒体の出射面に向けて光源からの防汚光を反射するように構成された少なくとも1つのミラーを更に備え、ミラーが、後面付近に、又は後面に配置されいて、導電性であり、且つ、電源と光源との間において電力を伝送するために配置された第1の電極を提供するために光源に電気的に結合されている。
【0012】
上述の特徴は、本発明が実施されたとき、光学媒体と光源とを備える防汚発光装置が提供されるという効果がある。有益なことに、ミラーが、防汚光を配光するように構成されるのと同時に、電源から光源まで電力を伝送する第1の電極が形成される。このように、ミラーは、ミラーに接続された光源の電気端子に電流を伝導する伝導体を更に構成する。
【0013】
任意選択的に、ミラーは、外部の導電要素及び誘電体層と組み合わされて、第1の電極と外部要素との間の電力の容量性伝送のためのコンデンサを形成する、第1の電極を提供するように構成される。コンデンサは、誘電体層及び外部の導電要素と組み合わされたミラーにより形成され、このことが、ガルバニック接続を必要とせずに光源まで電力を伝送することを可能にする。発光装置が表面内に、又は表面上に装着されたときに、電力が簡単に伝送され得るように、被保護面より下の海洋構造物が外部の導電要素を構成する。ミラーが後面付近の材料に埋設されたとき、光学媒体の材料により誘電体層が形成される。代替的に、又は追加的に、誘電体層は、被保護面上に存在するコーティング層、例えば塗装により形成される。光源までの更なる電気接続は、例えば、発光装置から電源までのガルバニック接続により提供され、液体が、使用時に、発光装置から延びた伝導体に接触する。代替的に、ミラーの更なる部分は、電源への更なる接続を提供するために配置された更なる電極を形成するように、及び/又は、更なる外部の伝導要素と組み合わされて、高周波AC電源から光源まで電力を伝送する更なるコンデンサを形成するように設けられる。更なる電気接続は、例えば、汚損液体、例えば海水により部分的に形成され、この液体は、使用時に、更なるコンデンサを形成するための更なる外部の伝導要素を構成する。
【0014】
ミラーは、光学媒体の後面付近の光学媒体内に、又は後面に配置され、及び、使用時に光が光源から出る位置において光源の周囲に位置する。次に、更なる利点は、光源に近い高強度の放射からの被保護面の保護である。これは、光学媒体の後面において光学媒体を出ないようにミラーにより、例えば、鏡面反射層又は散乱層により、それぞれ、光が遮蔽されるようにするものである。
【0015】
任意選択的に、発光装置は、出射面付近に、又は出射面に更なるミラーを備え、ミラーの反射側が光源を向いている。ミラーは、光源に直近の光学媒体の出射面における防汚光の出射を局所的に減らすように構成されることにより、出射面にわたる光の所望の一様な配光に寄与する。任意選択的に、このような更なるミラーは、防汚光に対して半透過性である。ミラーは、また、例えばパターン形成されたミラーである。出射面にわたる光の所望の一様な配光の観点から、光源からより遠い距離においてより多くの光が通ることを可能にするために、ミラーがパターン形成されている程度、又は防汚光に対して半透過性である程度が、光源から離れる方向に増加するように半透過性ミラーの設計をすることはオプションである。
【0016】
任意選択的に、更なるミラーは、導電性であり、且つ、更なる外部の導電要素と組み合わされて、更なる電極と更なる外部の導電要素との間の電力の伝送のためのガルバニック接続又は更なるコンデンサを形成するように設けられた更なる電極を構成するために、光源に電気的に結合されている。例えば、更なる外部の導電要素は、海水等の汚損液体により形成される。更に、更なるミラーは、ヒートシンクを構成するために光源に熱的に結合される。
【0017】
発光装置の一実施形態において、ミラーは、熱伝導性であり、光源からの熱に対するヒートシンクを構成するために光源に熱的に結合されている。有益なことに、ミラーは、この場合に、防汚光を配光する機能と、光源までの電力の伝送の機能と、ヒートシンクを提供する機能とを兼ね備える。任意選択的に、ミラーは、導電材料を介して光源に熱的に結合されており、この導電材料は、光源までの電気結合を更に提供する。導電材料は、光源までの熱伝導性及び導電性を効果的に提供する。
【0018】
発光装置の一実施形態において、ミラーは、少なくとも1つの第1のパーツと第1のパーツから電気的に絶縁された第2のパーツとを備え、ミラーの第1のパーツが、第1の電極を提供するために光源に電気的に結合されており、第2の電気的パーツが、更なる電極を提供するために光源に電気的に結合されている。例えば、光源がLEDである場合、第1のパーツは、アノードに結合され、第2のパーツは、LEDのカソードに結合される。高周波電源からの電力が、無線で、すなわち、発光装置の内部パーツと外部環境との間におけるガルバニック接続なしでLEDに伝送され得るように、ミラーの両方のパーツがそれぞれの外部の伝導要素に沿って配置される。
【0019】
発光装置の一実施形態において、ミラーの少なくとも1つの第1のパーツが、光源から光学媒体の出射面に向けて鏡面的に防汚光を反射するために設けられる。更に、ミラーの少なくとも1つの第2のパーツが、光学媒体の出射面を通って光学媒体を出る防汚光の散乱を主に引き起こすように配置及び構成される。ミラーの反射及び/又は散乱パーツの配置により、防汚光が出射面にわたって配光される。
【0020】
任意選択的に、発光装置は、光源からの防汚光によりカバーされた3つの区域のグループ、すなわち、光学媒体の出射面に向けて鏡面的に防汚光の反射を主に行うように配置及び構成されたミラーの第1のパーツを備える第1の区域、全反射による光学媒体を通した防汚光の伝搬を主に実現するように配置及び構成された第2の区域、及び、光学媒体の出射面を通って光学媒体を出る防汚光の散乱を主に引き起こすように配置及び構成されたミラーの第2のパーツを備える第3の区域のグループを備え、第1の区域が、第2の区域より光源に近く、第2の区域が、第3の区域より光源に近い。
【0021】
上記の配置において、3つの区域は、特定の順序で光源に関係する。光源に最も近い第1の区域は、光学媒体を通して鏡面的に、光学媒体の出射面に向けて防汚光を反射するために主に使用される。第1の区域より光源から遠い第2の区域は、全反射による光学媒体を通した防汚光の伝搬を実現することに適している。光源から最も遠い第3の区域は、光学媒体の出射面を通って光学媒体を出る防汚光を散乱させるために、すなわち拡散する手法により防汚光を反射するために主に使用される。説明されるように区域を含むことにより、光学媒体の出射面にわたる防汚光の優れた配光が達成される。第1の区域の鏡面反射の性質に基づいて、第1の区域は、出射された防汚光の一部を正しい方向に、すなわち、第2の区域及び第3の区域の方向に方向転換することが可能である。第2の区域は、光が第3の区域の方向に伝搬することを可能にする中間区域である。第1の区域と第2の区域との両方において、光の一部は、光学媒体の出射面から出射され、特に、光が光学媒体から出射面を通って逃げることを可能にする角度で光が出射面に当たる。第3の区域の光の散乱の性質に基づいて、第3の区域は、出射面を通して、光学媒体を出て第3の区域に到達する実質的にすべての光を方向付けすることが可能である。
【0022】
防汚光に対する特定の効果を主に実現するように配置及び構成された区域の説明、すなわち、第1の区域における光学媒体の出射面に向けた鏡面反射、第2の区域における全反射による光学媒体を通した伝搬、及び、第3の区域における光学媒体を出るときの散乱は、そうした効果が、その区域において光の大部分に適用可能であることを意味すると理解される。例えば、光の散乱は、第3の区域において発生するだけでなく、第1の区域及び第2の区域のそれぞれにおいてもある程度、発生する。しかし、第1の区域及び第2の区域では、他の効果が支配的であるのに対し、第3の区域は、第3の区域においてのみ光の散乱の効果が支配的であり、他の2つの区域に比べて光の著しく大きな部分に適用可能であることに基づいて、それらの他の2つの区域と区別され得る。同様に考えると、全反射の効果は、第1の区域及び第3の区域のそれぞれにおいてもある程度わずかに見られるが、第2の区域において明らかに支配的であり、すなわち、光の大部分に適用可能であると言え、光学媒体の出射面に向けた鏡面反射は、第2の区域及び第3の区域のそれぞれにおいてもある程度わずかに発生するが、間違いなくその効果は第1の区域において最も顕著に見られると言える。これらの区域のおかげで、より高い電力効率が達成され、被保護面のより広い領域がきれいに維持され、及び/又は、必要な電力が少なくなる。
【0023】
更に、光源の外側の特定の区域において、例えば、少なくとも第2の区域において、透過性である発光装置とすることが可能であり、このことが、被保護面の視認を可能にする。
【0024】
更に、その区域において、光学媒体の後面に低屈折率層を提供することにより、光の内部反射が促進される。光学媒体の後面にその区域において屈折率を下げるためのどのような層も他の手段も提供しないことが可能であることに留意されたい。低屈折率層が設けられた場合、その層の屈折率を、被保護面が浸される汚損液体の屈折率より小さくすることが実用的である。そうでない場合、光学媒体の材料及び汚損液体の屈折率のみが決定的な因子である状況と比較したとき、層を追加することは、全反射を促進することに役立たない。
【0025】
発光装置の一実施形態において、光源が光学媒体の後面よりも光学媒体の出射面の近くに位置することにより、出射面のうち、防汚効果の達成ということについて関連することが知られている所定の閾値を光の出力密度が上回る領域が、より広くなる。更に、本発明による発光装置の設計の有効性を高めるために、第1の区域において防汚光のうちの50%を上回る部分が直接、光学媒体の後面に向けて出射するように、光源が向けられる。このように、第1の区域において、光の大部分が鏡面的に反射するようにされ、光学媒体から出射面に直接的に出射されるのではなく、第2の区域に到達することを可能にされることが達成され得る。
【0026】
任意選択的に、ミラーは、第1のミラーパーツと第2のミラーパーツとを備え、第1のミラーパーツは、光源の第1の電気端子に電気的に接続され、第1の電極を形成し、第2のミラーパーツは、光源の第2の電気端子に電気的に接続され、電源に接続される第2の電極を形成する。有益なことに、光源の両方の電気端子が、ミラーパーツを介して電源のそれぞれの端子に接続可能である。
【0027】
本発明による発光装置の実用的な実施形態では、光学媒体が、スラブ又はシートの形態であり、光学媒体の出射面及び光学媒体の後面が、実質的に平面であり、互いに実質的に平行に広がっている。その実施形態において、光学媒体は、被保護面に対する被覆体として適用されることに非常に適している。
【0028】
光源が紫外光を出射するように適応されることが実用的である。生物防汚を実現するために紫外光を使用することの概括的な利点は、有害な副作用又は簡単に解消されることができない副作用を一切伴わずに、微生物が表面に接着すること、及び根を下ろすことを防いで、きれいに維持されることである、光源は、光学媒体に埋設されるか、又は、光学媒体に隣接した位置において光学媒体の外側に配置される。
【0029】
完全性を期すために、紫外光を使用することによる生物防汚に関連して以下の点に注意されたい。防汚発光装置の光源は、特にUVC光としても知られるc型の紫外光、更に、より具体的には、おおよそ220nmから300nmの間の波長の光を出射するように選択される。実際には、約265nmにおいて、より高い波長及びより低い波長に向かって低下するピーク効率が達成される。220nmにおいて、及び300nmにおいて、約10%の効率まで落ちる。
【0030】
特定の線量の紫外光にそれらをさらすことにより、最も多くの汚損生物が殺されること、不活性にされること、又は繁殖することが不可能とされることが見出された。生物防汚を実現することに適していると考えられる典型的な強度は、10mW毎平方メートルである。光は、所与の状況において適切でありさえすれば、特に所与の光の強さで、連続的に、又は適切な頻度で照射される。LEDは、発光装置の光源として使用されるUVCランプの一種である。LEDは、概して比較的小さなパッケージに収容され得、他の種類の光源に比べて消費する電力が少ないものであり得ると言える。更に、LEDは、材料のスラブ内に非常に適切に埋設され得る。更に、LEDは、様々な所望の波長の(紫外線の)光を出射するように製造され得、それらの動作パラメータ、とりわけ出力電力が大幅に制御され得る。LEDは、いわゆる側面発光LEDであり、シートの平面に沿った方向に防汚光を出射するために、光学媒体内に配置される。
【0031】
光源が紫外光を出射するように適応されるとき、光学媒体が紫外線透過シリコーン等の紫外線透過材料を含むことが有益である。総じて、光学媒体が防汚光の少なくとも一部が光学媒体を通して配光されることを可能にするように構成された材料を含むということは、例えば、光学媒体が防汚光に対して実質的に透過性の材料を含むことを意味すると理解される。
【0032】
本発明による発光装置が単一の光学媒体、複数の光源、及び複数のミラーを備え、ミラーの各々が、光源のうちの1つ又は複数に電気的に結合されることが実際に実現可能である。このような場合において、発光装置の光学媒体は、任意の適切な形状及び寸法であり得、LED等の光源は、光学媒体にわたって分散され、光源の各々により出射された光は、最適化された程度で光学媒体の出射面にわたって配光される。光源は、ミラーの様々な部分を介してグリッド内の並列接続の直列接続として配置され得、任意選択的に、グリッドは、ミラーから延びた更なる伝導トラックの構造物を含む。それぞれの光源は、それぞれのミラーを介して電源に接続されるか、又は、装置は、複数の光源を1つ又は複数のミラーを介して電源まで、並列に又は直列に接続する。
【0033】
本発明は、様々な事例に適用可能である。例えば、本発明による発光装置は、船舶の事例に適用される。従って、任意選択的に、海洋構造物が上述の発光装置を備える外面を含み、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに外面の防汚を実現するために、発光装置が外面に装着される。更に、上述の発光装置を設置する方法において、本方法は、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに外面の防汚を実現するために、海洋構造物の外面に発光装置を装着するステップを有する。更に、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに外面の防汚を実現するために、発光装置が海洋構造物の外面に設置される場合において、上述の発光装置の使用法(use)が予見される。このような事例において、発光装置は、例えば船舶の船殻を生物汚損を防いできれいに維持する役割を果たすように構成されるが、このことにより、その事例に多くの他の適用可能性が更に存在するという事実が変わるわけではない。
【0034】
本発明の上述の態様及び他の態様が、光学媒体と光学媒体に埋設された1つ又は複数の光源とを備える発光装置であって、発光装置が被保護面の防汚を実現するために使用されることに適するように、光源が防汚光を出射することに役立つ発光装置の以下の実施形態から明確にされ、及び、その詳細な説明を参照しながら説明される。
【0035】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の説明において例示として添付図面を参照しながら説明される実施形態から明確にされ、及び、その実施形態を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】汚損生物を含有する汚損液体10に浸されたときに被保護面の防汚を実現するための発光装置を示す図である。
図2】被保護面の防汚を実現するための発光装置の第2の例を示す図である。
図3】被保護面の防汚を実現するための発光装置の第3の例を示す図である。
図4】ミラー区域を含む発光装置の更なる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図は、単なる概略的なものであり、一定の縮尺で描かれない。図中、既に説明された要素に対応した要素は、同じ参照符号をもつ。
【0038】
以下、本発明が適用例を参照しながら説明され、この説明において、本発明は、生物汚損に対処するために船殻の外面に搭載されるUV光源(特にLED)に給電するために使用される。従って、開示される主題の様々な実施形態の詳細が説明される前に、このような適用例において生物汚損に対処するための一般的なアイデア及び知られたアプローチが説明される。
【0039】
WO2014/188347A1は表面の防汚の方法を開示し、表面は液体環境中に少なくとも部分的に沈められる。開示される方法は、防汚光を提供すること、シリコーン材料及び/又はUVグレード(溶融)シリカを含む光学媒体を通して光の少なくとも一部を配光すること、及び、光学媒体から、及び表面から防汚光を出射することを含む。このような防汚解決策は、例えば、船殻への微生物及びマクロ生物の(初期)定着を防ぐためのUV-Cの照射に基づく。生物膜に付随する問題は、生物の成長に起因して生物膜の厚さが経時的に増加するにつれて、船殻の表面が粗くなることである。従って、抗力が増加し、船の巡航速度を維持するために、エンジンがより多くの燃料を消費することを必要とするので、運航コストが増加する。生物汚損の別の影響として、パイプ放熱器の冷却容量の低下、又は、食塩水吸入フィルタ及びパイプの流量容量の低下が挙げられ得る。従って、サービス及び保守コストが増加する。
【0040】
船殻の生物汚損に対処するために考えられる解決策は、例えば、埋設されたUV-C LEDを含むUV-C透過性材料のスラブを使用した外部船殻の被覆体であり得る。これらのスラブ、又は概して任意の発光装置(すなわち、光を生成するために電気エネルギーを消費する要素又は装置)は、水線より下方に位置する。これは、沈んだ表面は、圧倒的に生物汚損を受けやすいので、抗力の増加の原因となるからである。従って、負荷に向けて水線より下方で電力が送達される必要がある。
【0041】
電力、水、及び、海洋産業の荒れた厳しい環境の組み合わせが、現実の課題を提起する。これは、(海)水は良好な導電体であるので、短絡が簡単に発生するからである。更に、水は、電流の影響を受けて分解する。海水の場合、海水は、DC電流のもとで塩素及び水素ガスに分解する。AC電流のもとでは、両方のガスが各電極において交互に形成される。形成されたガスに付随する追加的な問題は、塩素が既に自然界で発生している鋼の船殻の腐食を促進し、密閉封止されていない場合にUV-C LEDを含む他の物質の劣化を加速し得ることである。その一方で、水素ガスは、鉄の脆化を引き起こし得、最終的に、鉄バルク内における深刻な亀裂の形成につながる。
【0042】
鋼の船殻の自然腐食に対処するために、ほとんどの船がコーティング又は塗装されていることに加え、多くの場合、保護コーティング又は塗装が局所的に劣化したときに、船殻が自然腐食から保護されたまま留まるように、受動的な、又は能動的なカソード防食システムを具備する。受動システムが、経時的に電気化学的に分解する犠牲となる亜鉛、アルミニウム、又は鉄のアノードを使用するのに対し、能動システムは、MMO-Ti(混合金属酸化物:mix metal oxides)によりコーティングされたチタン又はPt/Ti(白金によりコーティングされたチタン)から作られたアノードを使用してDC電流を印加する。海水にDC電流を印加する能動システムの場合、過大な電流は、より速い速度で船殻を局所的に分解するので、注意深い監視が必要とされる。当然に、防汚解決策は、カソード防食システムを機能しない状態にしてはならない。従って、船の船殻は、グランド端子として機能しなければならず、保護電流は、DCでなければならず、海水は、電気回路を閉じる高伝導媒体として機能する。
【0043】
更に、船殻は、例えば、自然な摩耗、浮遊した木材、及び他の表面に近いか、又は表面付近の浮遊物との意図しない衝突に起因して、耐用期間中に(激しく)損傷を受けるか、又は、それらは、引き船、又は行き先の近い船等の他の船との衝突に起因して、より制御された状態での衝突による影響を受ける。従って、高い確率で、防汚積載物及び給電線が耐用期間中に損傷を受けることも言える。更に、積載物と電源線との両方が、激しく損傷を受け、更には切断されて開回路を形成し、導電性の海水により濡れる。従って、外部に与えられた損傷によって、望ましくない電気化学的状態が発生する。この理由により、DC電源は、積載物に給電するための主電源として使用されてはならない。
【0044】
しかし、原則として、UV-C LEDはDC電流により作動する。従って、AC電源を使用して供給されるとき、防汚積載物内では、局所DC電流を生成し得る手段及び方法が使用される。DC電流源は、(例えばグランド端子として機能する)鋼の船殻から絶縁される。従って、DC電力端子が露出されたとき、電気化学的状態が発生するが、電気化学的状態が露出領域に制限される。更に、電気化学的状態の大きさは、局所的に流れ得るDC電流の量、及び、露出された電極の表面積に依存する。従って、UV-C LEDにより必要とされる値付近(小さなLEDの場合には、典型的には0.1から10mA)にDC電流を制限する必要性、及び、露出された局所DC電力端子の表面積を制限する必要性も存在する。LEDにAC電力を伝送するためにミラーにより提供されるコンデンサを使用することは、露出された電力端子の上述の問題を防ぐ。
【0045】
実際には、防汚解決策の大部分が、耐用期間中に損傷を受ける。理論的には、損傷が1つ又は複数の積載物内における1つ又は複数のUV-C LEDの局所的な損傷を含み得るか、又は、積載物の大部分が消失しさえする。従って、(継ぎ目のない)タイル状の積載物が一実施形態において提案される。損傷を受けたときに1つの欠陥のあるLED(又は概して積載物)が、タイルの機能的な残部を非動作状態にしてはならないので、タイル内において、UV-C LED及び電源のある種の小区分が、それぞれのコンデンサを介して提供される。これにより、欠陥のあるLEDは、回路の開放又は短絡をもたらし得、及び、直列LED列が阻止される。トレードオフが生じている。I-V特性の内在的な広がりが直列LEDにわたって一様にされるので、直列接続は有益であり、従って、個々の列が光出力という点においてより均一に動作することを確実にする。しかし、直列接続の列における単一のLEDの故障が、列全体を動作不能にする。従って、単一のLEDの故障に対処するために、追加的な手段がとられる。実際には、中程度の長さの直列の列が使用され、及び/又は、単一の故障が他の列により少なくとも部分的に補償されるような列のパターンが使用される。
【0046】
当然に、タイル状の積載物は更に、有線又は無線によるある種の電力を依然として必要とする。ワイヤを使用した場合に想定される問題は面倒であり、及び、海洋産業が粗く厳しいことを考えると、無線給電という解決策が好ましく、本発明により提案される。海水と鉄の船殻の両方が良導電体であるとは言え、誘導性システム及び(RF)無線による解決策における電力伝送損失は、非常に大きなものであり得る。それに加えて、それらは、ある程度かさばり得る。従って、電力提供するための魅力的な解決策は、AC容量結合を使用する。
【0047】
従来の容量性(無線)電力伝送システムは、AC発振器により駆動される1つ又は2つの(長い)電源ワイヤを使用する。電源ワイヤが誘電体膜により被覆される場合、2つのピックアップ電極を含む受信要素が、ワイヤに沿った任意の場所の上部に位置し得、電力が伝送される。更に、積載物に給電するための知られた電力装置では、伝送される電力は、リアクタンス的に制限される。適切に絶縁する周辺空気の性質により、システムは機能する。従って、受信要素の2つの受動グランド電極の間に、高電圧電界が形成され得る。しかし、海水の場合のように、周辺環境が伝導性となった場合、適切に伝導性の環境により、2つのワイヤに沿った任意の場所において、電力の伝送も円滑になる。従って、任意の電力をとにかく意図される受信要素に向けて伝送することは非常に困難である。
【0048】
本発明によると、例えば、船殻のうちで通常水中にある、すなわち濡れた伝導性の苛酷な周辺環境にある部分に搭載された光源に電力を伝送するための電力装置における適用のために、容量性電力伝送の使用が修正及び最適化されている。
【0049】
図1は、汚損生物を含有する汚損液体10に浸されたときに被保護面30の防汚を実現するように構成された発光装置を示す。発光装置100は、破線により示されるようにシート形態に形作られ、汚損液体を向いた前面301と、被保護面を向いた後面201とを含む。このようなシートにおいて、光学媒体の出射面及び光学媒体の後面は、実質的に平面であり、互いに実質的に平行に広がっている。本図は、発光装置の一部である光学媒体の一部と、光学媒体に埋設されたLEDと、光学媒体の後面付近に存在するミラー40との断面図を概略的に示し、光ビームの取り得る経路が、矢印により概略的に示される。
【0050】
ライティング装置は、光学媒体4と、光源から出る矢印により示されるように防汚光を出射するための光学媒体に埋設された光源20とを含む。光源20は、紫外光を出射するように適応されており、例えば、ここまでのセクションにおいて説明されるようなUV-C LEDである。光学媒体は、光源から出る矢印により示すように、防汚光の少なくとも一部が光学媒体の層内において内部で伝搬及び反射しながら、光学媒体を通して配光されることを可能にする。本例において1つの光源が示され、及び説明される。実際には、ライティング装置は、単一の光学媒体及び複数の光源、並びに、対応する関係する複数のミラーを備える。ミラーの各々は、光源のうちの1つ又は複数に電気的に結合される。
【0051】
光学媒体は、シート又はスラブとして形成され、発光装置が被保護面内に配置された、又は被保護面上に配置されたとき、被保護面30から離れる方向に防汚光を出射するための出射面301と、被保護面を向いた後面201とを含む。発光装置は、光源20からの防汚光を光学媒体の出射面301に向けて反射するための少なくとも1つのミラー40を更に含む。ミラーの反射上層が矢印により示される。ミラーは、後面201付近に、又は後面201に位置する。
【0052】
ミラーは、導電性であり、導線2aにより示されるように第1の側において光源に電気的に結合されている。例えば、ミラーは、反射性、伝導性の金属の薄い金属層である。ミラーの少なくとも一部は、散乱層である。ミラーは、光源と電源1との間の電力の伝送のために配置された第1の電極120を構成する。第1の電極は、(図示されない)シートの縁部におけるコネクタにより電源にガルバニック的に結合されるように形作られる。例えば、第1の電極120は、ミラーを更に形成する金属層により一体的に形成された導電体としてシート内に更に広がる。
【0053】
図1に示される実施形態において、第1の電極120は、誘電体層4a及び外部の導電要素50、例えば、保護される表面30を含む金属パーツと組み合わされて、コンデンサ6を形成するように設けられている。コンデンサは、第1の電極と外部要素との間の電力の容量性伝送を可能にする。本図は、導線1aを介して金属パーツ50に結合された、及び、汚損液体中に延びた独立した電極1dまでの導線1bを介して汚損液体に結合されたAC電源1を概略的に示す。本例において、光源20は、液体を介してガルバニック接続を提供するために、導線2cを介して専用電極2dに結合されている。本例において、液体、例えば海水は、伝導性と仮定される。電源までの、光源の第2の側の代替的な接続は、代替的に、例えば直接的なワイヤ接続、又は後述のような更なるコンデンサを介した接続とみなされる。
【0054】
実際には、発光装置は、実質的に出射面からの一様な光の出射を提供しながら、より広い領域をカバーするための、複数の光源及び関係するミラーのパターンをもつ。このような装置において、ガルバニック接続又は直接的なワイヤ接続は、複数の光源により共有される。更に、複数の光源の複数の第2の側を接続することにより、更なるコンデンサが共有される。
【0055】
図2は、汚損生物を含有する汚損液体10に浸されたときに被保護面30の防汚を実現するように構成された発光装置の第2の例を示す。発光装置100は、図1に示される例と同様であり、対応する要素は同じ数字を付与されて、これまでに説明されている。
【0056】
ライティング装置は、本例において、シートの出射面に配置された第2のミラー41を含む。ミラーの反射上層が、矢印により示される。ミラー41において反射するものと、更にミラー41を通過するものとの両方の矢印により示されるように、第2のミラーは、防汚光に対して部分的に透過性である。更に、第2のミラーは、例えば防汚光を部分的に透過するように、孔のパターンを備えるようにパターン形成される。任意選択的に、更なるミラー41がパターン形成されている程度、又は防汚光に対して半透過性である程度は、光源20から離れる方向に増加する。
【0057】
第2のミラーは導電性であり、導線2cを介して光源20の第2の側に電気的に結合される。本例において、第2のミラーは、導線1bを介した電源1までのガルバニック接続を提供する第2の電極121を提供する。任意選択的に、導線2cは、更に、ヒートシンクを構成するために、光源から第2のミラー41まで熱を案内するために熱伝導性であり、例えば金属ストリップである。
【0058】
図3は、汚損生物を含有する汚損液体10に浸されたときに被保護面30の防汚を実現するように構成された発光装置の第3の例を示す。発光装置100は、図1及び図2に示される例と同様であり、対応する要素は同じ数字を付与されて、ここまでに説明される。
【0059】
図3に示す実施形態において、第2のミラー42は光学媒体に埋設されており、このことが更に、液体との接触に起因した劣化からミラー材料を保護する。埋設されたとき、ミラーは、電源1からの電力の伝送のための第2の電極122を構成するために光源にガルバニック接続され、例えば、埋設されたミラーから電源まで、追加的な埋設された金属トラック又はワイヤ(図示されない)により接続される。
【0060】
代替的に、第2のミラー42は、埋設されたとき、誘電体層4b及び更なる外部の伝導要素と組み合わされて更なるコンデンサ7を形成することにより、電力の伝送のための第2の電極122を構成する。実際には、液体10は、このような外部の伝導要素を構成する。電源は、従って、液体中に延びた電源電極1pを含む。従って、更なるミラーは、伝導性であり、更なる外部の導電要素と組み合わされて、ガルバニック接続又は更なる電極と更なる外部の導電要素との間の電力の伝送のための更なるコンデンサを形成するように設けられた更なる電極122を構成するために、導線2cを介して光源に電気的に結合される。
【0061】
任意選択的に、発光装置において、ミラー40、41、42のうちの少なくとも1つが、光源からの熱に対するヒートシンクを構成するために光源に熱的に結合されている。熱伝導性材料は、光源からミラーまで熱を伝導するために、光源とミラーとの間に位置する。このようなライティング装置において、ミラーは、3つの異なる物理的性質、すなわち、光学的性質(ミラーであること)、電気的性質(コンデンサの一部として)、及び熱的性質(ヒートシンクとして)を提供するように構成されている。
【0062】
任意選択的に、発光装置において、ミラーは、導電材料を介して光源に熱的に結合されており、この導電材料は、光源までの電気的な結合を更に提供する。実用的な一例において、光源とミラーとの間における導線2a及び/又は導線2cは、例えば比較的太いワイヤ、比較的厚い金属ストリップ、及び/又は比較的厚いはんだペーストを使用することにより、熱を更に伝導するように設計される。任意選択的に、側面発光型のLEDは、光が表面に対する横断の代わりに側方に、すなわちシートの表面に沿って出射するようにしながら、ミラーに対する直接的な装着又ははんだ付けを可能にするように選択される。更に、更なる熱的搭載領域又は接点を含むLEDが選択される。このような接点は、ミラーに、又は、LED熱的搭載領域又は接点とミラーとの間における中間の熱伝導性材料に配置され得、ミラーは、ヒートシンクを提供するために、LEDからミラーまで熱を案内するように適用される。
【0063】
上述の発光装置の一実施形態において、ミラーは、少なくとも1つの第1のパーツと第1のパーツから分離された第2のパーツとを備え、ミラーの第1のパーツは、第1の電極を構成するために光源に電気的に結合されており、第2の電気的パーツは、更なる電極を構成するために光源に電気的に結合されている。ミラーの2つの分離したパーツを形成することにより、このようなパーツは、それぞれの外部の伝導要素と位置合わせされたとき、別々のコンデンサを形成する。
【0064】
例えば、多数の光源を含むシートの一実施形態において、シートの第1の領域におけるミラーは、電気的に接続されて第1の電極を一緒に形成するのに対し、シートの第2の領域におけるミラーは、電気的に接続されて第2の電極を一緒に形成する。両方の領域が、対応する外部の伝導要素の上方に位置するとき、それぞれのコンデンサを形成する。2つのコンデンサは、LED光源の両方の接続に電力を伝送するために使用され得る。
【0065】
上述の発光装置の一実施形態において、ミラーは複数のパーツを備え、パーツは、表面にわたってより均一な配光を達成するように設けられている。例えば、ミラー40の少なくとも1つの第1のパーツは、光源20から光学媒体4の出射面に向けて鏡面的に防汚光を反射するために設けられる。任意選択的に、ミラー40の少なくとも1つの第2のパーツは、光学媒体の出射面を通って光学媒体を出る防汚光の散乱を主に行うように配置及び構成されている。
【0066】
図4は、発光装置100の更なる実施形態を示す。発光装置100は、紫外線透過シリコーンのスラブ10の形態で光学媒体を備え、スラブ10に埋設された側面発光紫外線LED20の形態で1つ又は複数の光源を更に備える。複数の光源は、グリッド、特にチキンワイヤ構造をもつグリッド内の並列接続の直列接続として配置される。本発明の枠組み内において、光源20の他の直列及び/又は並列配置が実施可能であるという事実が変わるわけではない。
【0067】
スラブ10は、被保護面30、すなわち少なくとも表面の耐用期間の一部にわたって表面が汚損液体にさらされる環境において、生物汚損に対してきれいに維持される必要のある表面を向くための後面11と、LED20により出射された紫外光を被保護面30から離れる方向に出射するための出射面12とを含む。LED20を収容する機能に加えて、スラブ10は、LED20の各々の紫外光の少なくとも一部を、被保護面30から離れるように方向に出射される前に、被保護面30の一部にわたって配光する役割を果たす。
【0068】
図4は、スラブ4の後面11の一部がカバーされることの明確な描写を提供する。特に、紫外光を反射するためのミラー13と、スラブ10の後面11の一部をカバーするために紫外光を散乱させるための散乱ミラー14とのパターンが存在する。ミラー13は、ミラーを光源20の第1の側に電気的に接続する拡張部13aを備える。拡大部分は、また、LEDをミラーまで物理的に、及び電気的に接続する別個の材料、例えばはんだ付け材料により形成される。
【0069】
ミラー13は、実質的に円形に湾曲した外側境界15を含み、ミラー13の各々は、LED20のうちの1つと関連付けられる。LED20は、ミラー13の実質的に円形に湾曲した形状の外側境界15の中心にある。完全性を期すために、ミラー13の反射側が、スラブ10の後面11を向くことに留意されたい。散乱ミラー14は、実質的に円形に湾曲した内側境界17を含む一連の相互接続された散乱層部16を備え、散乱層部16の各々の内側境界17は、ミラー13のうちの1つの外側境界15に対して同心配置をとる。
【0070】
示されるように、ミラー13、14は後面に提供される。コンデンサを形成するために、保護される表面又はライティング装置の後面は、分離する誘電体層、例えば塗装又はコーティングを構成するための追加的な層を備える。代替的に、ミラー13、14は材料スラブ4に埋設され、材料スラブ4は、誘電体層を更に構成する。続いて、保護される伝導面に装着されたとき、ミラーと誘電体層と外部伝導面との組み合わせが、LEDに対するAC電力の伝送を可能にするコンデンサを形成する。
【0071】
例示的な実施形態において、1)LED20、2)LED20に関係したミラー13であって、LED20がそのミラー13の外側境界15に対して実質的に中央の位置をとる、ミラー13、及び、3)散乱層部16であって、散乱層部16の内側境界17が、そのミラー13の外側境界に対して実質的に同心の配置をとる、散乱層部16と組み合わされて、散乱層部16の内側境界17が、そのミラー13の外側境界15から離れた所に広がっている。それに基づいて、LED20からの紫外線防汚光によりカバーされた3つの区域1、2、3のグループ、すなわち、LED20に関係したミラー13の位置における第1の区域1、LED20とそのミラー13との両方に関係した散乱層部16の位置における第3の区域3、及び、第1の区域1と第3の区域3との間に存在する第2の区域2のグループが、発光装置100において区別され得る。
【0072】
ミラー13及び散乱ミラー14の適用は、スラブの出射面12にわたる、LED20により出射された紫外光の配光を改善することにより、発光装置100の電力消費量の削減を伴う、例えば、及び/又は、LED20の数が最小限に維持され得るように、1つのLED20が出射面12のより広い部分をカバーすることを可能にする、紫外光のより効果的な使用を達成することを目的とする。
【0073】
以上のことから、3つの区域1、2、3のグループは、LED20の各々に関係すると言える。1つのLED20及び区域1、2、3の関係するグループが概略的に示され、光ビームの取り得る経路が矢印により概略的に示される。第1の区域1は、LED20に最も近い。その点を考慮して、この区域1は、光の大部分が第2の区域2及び第3の区域3の方向に伝搬されることを確実なものとするように設計される。出射面12の法線に対して比較的小さな角度で、第1の区域1においてスラブの出射面12に当たる光ビームのみが、スラブから(部分的に)逃げることが可能とされる。光学の分野においてよく知られているように、説明されるような角度の臨界値は、発光装置100の場合にはスラブ10の材料及びスラブ10の外側の媒体である、境界面に存在する2つの材料の屈折率により決定され、スラブの外側の媒体は、汚損液体であると想定されることに注意されたい。第1の区域1においてスラブの出射面12に当たる他の光ビームは、第2の区域2及び第3の区域3の方向に伝搬される。特に、それらの他の光ビームは、スラブから逃げることができなくされるが、その代わり、出射面12において反射されるので、それらの他の光ビームは、それらが伝搬して行くとき、スラブの後面11の方向に屈折させられて、第1の区域1を出る。更に、第1の区域1において後面11に当たるすべての光ビームは、スラブから逃げることができなくされるが、その代わり、後面11及び/又はミラー13において反射され、このことが、大幅な量の光が第2の区域2及び第3の区域3の方向に伝搬することをもたらす。
【0074】
表面11、12における光の入射角が表面11、12の法線に対して臨界角より小さい場合、第2の区域2に到達する、及び、スラブ10の後面11と出射面12とのうちの1つに当たる光ビームは、第2の区域2においてスラブから逃げることを可能にされるのみである。LED20を収容するスラブの構成は、第2の区域2における全反射に主に依存するように選択されるので、第1の区域1から受け入れられた比較的少量の光のみがスラブの出射面12においてスラブから逃げることを可能にされるのに対し、比較的多量の光が、第3の区域3の方向に伝搬するようにされる。第2の区域2における光反射機能を高めるために、ゾルゲルコーティング等の低屈折率層(図示されない)、特に汚損液体より低い屈折率をもつ層が、第2の区域2においてスラブの後面11に設けられる。第2の区域2においてスラブの後面11の少なくとも一部をカバーするための、ミラーの反射側が後面11を向いた適切なミラー(図示されない)を含むことも可能である。
【0075】
第3の区域3は、LED20から最も遠い。その点を考慮して、出射面12の法線に対して比較的小さな角度で方向付けされるような手法で、第3の区域3に到達する実質的にすべての光ビームがスラブの出射面12に向けて方向付けされることが確実なものとされるように、散乱層部16が第3の区域3に設けられる。従って、第3の区域3は、第1の区域1及び第2の区域2を通った後に残る実質的にすべての光を、スラブから出るように方向付けするように構成される。
【0076】
任意選択的に、第1の区域は、実質的に円形に湾曲した外側境界を含み、第3の区域は、実質的に円形に湾曲した内側境界を含み、光源が円形の中心にあるので、防汚光が光源から進む方向に沿って見るとわかるように、境界は光源から一定の距離にある。それを達成するために、第1の区域において、光の少なくとも大部分が、光学媒体の出射面に向けて鏡面的に反射され、第2の区域において、光の少なくとも大部分が、全反射により光学媒体を通して伝搬され、第3の区域において、光の少なくとも大部分が、光学媒体の出射面を通って光学媒体を散乱しながら出される。第1の区域の外側境界と光源との間における半径方向距離は、光学媒体における光源の位置的な態様と、光学媒体における全反射に対する臨界角とに関係し、及び/又は、第3の区域の内側境界と光源との間における半径方向距離は、光学媒体における寸法的な態様、光学媒体における光源の位置的な態様、及び、光学媒体における全反射に対する臨界角に関係する。特に、第1の区域の実質的に円形に湾曲した外側境界と光源との間における半径方向距離は、h/tan(90°-θ)以上であるように選択され、及び/又は、第3の区域の実質的に円形に湾曲した内側境界と光源との間における半径方向距離は、(h+(h-h))/tan(90°-θ)以上であるように選択され、ここで、hは、光学媒体の後面に対する光源の高さレベルを表し、hは、光学媒体の後面に対する光学媒体の出射面の高さレベルを表し、θは、光学媒体における全反射に対する臨界角を表し、arcsin(n/n)と定義され、ここで、nは、光学媒体の材料の屈折率を表し、及びnは、被保護面が浸される汚損液体の屈折率を表す。以上のように、光学媒体及び隣接した汚損液体により構成された環境における防汚光の挙動、特に、光が光学媒体から逃げることができる出射面に対する衝突の角度範囲、及び、光学媒体における光の全反射に関係した出射面に対する衝突の角度範囲に基づいて挙動を考慮することにより、発光装置の設計が最適化されることが達成され得る。
【0077】
以下、発光装置100に関係した取り得る寸法値及び他のパラメータの一例が示される。LED20は、c型の紫外光(UVC)を出射するように構成されたLEDと仮定され、スラブ4は、10mmの厚さ、すなわち、スラブの後面11に対するスラブ10の出射面12の高さhをもつ透過性光導波路スラブと仮定される。更に、LED20は、スラブの後面11に対して5mmの高さhにおいて側方に光を出射するように搭載されると仮定される。海水及びシリコーンのUVC波長275nmにおける屈折率は、それぞれ、1.38及び1.46であるので、全反射に対する臨界角θは、θ=arcsin(1.38/1.46)=70.9°に等しい。スラブ10の出射面12にわたる非常に良好な配光効果を実現するために、第1の区域1の外側境界15の半径rが、r=h/tan(90°-θ)=14.5mm以上であることが有益である。更に、第3の区域3の内側境界17の半径rが、r=(h+(h-h))/tan(90°-θ)=43.5mm以上であることが有益である。h、h、r、及びr図4に示されることに留意されたい。
【0078】
スラブの出射面12にわたる配光を実現することに発光装置100が効果的である程度は、hを大きくすることにより、まだ更に高められる。例えば、スラブの後面11に対して8mmの高さhにLED20を配置することが実用的である。更に、LEDの向きに傾きをつけること、特にLEDがより下方向に光を出射するように、特に光の50%を上回る部分を第1の区域1において直接、スラブの後面11に向けて出射するように構成された向きとすることが有益である。
【0079】
図4は、特に、第1の区域1に追加的なミラー18を設けるために、すなわち、第1の区域1においてスラブ4の出射面12を少なくとも部分的にカバーするミラー18を、ミラー18の反射側が出射面12を向いた状態で設けるために取り得る例を示す。このような追加的なミラー18がLED20により出射された光に対して半透過性であることが実用的である。その点を考慮して、ミラー18は、図4に概略的に示されるようにパターン形成されたミラーである。追加的なミラー18を含むことにより、更に多くの光が第1の区域1から第2の区域2及び第3の区域3に向けて伝搬するように、及び、スラブ10の出射面12にわたる光の配光を実現するようにされることを確実にすることが可能であり、この配光は、更に大幅に最適化される。上述の点で、LED20から第1の区域1の外側境界15に向かう方向にその半透過性が増加する手法により追加的なミラー18が設計されることが、有益な取り得る例である。
【0080】
一実施形態(図示せず)において、追加的なミラー18は、第2の電極を形成するために光源まで接続されている。第2の電極は、例えば、電源に追加的なミラーを接続する更なる伝導トラックを介して、電源に直接、ガルバニック的に接触する。代替的に、追加的なミラー18は、図2とともに示される、及び説明される実施形態における第2のミラーと同様に、汚損流体に接触する電極を構成する。
【0081】
更なる一実施形態において(図示されない)、更なるコンデンサを形成するために、ライティング装置の出射面は、分離する誘電体層、例えば塗装又はコーティングを構成するための追加的な層を備える。代替的に、ミラー18は、図3に示す第2のミラーと同様に出射面付近において材料スラブ4に埋設される。この材料は、更に、液体に浸されたとき、ミラーと液体との間に薄層を形成し、従って、この薄層が更なる誘電体層を構成する。続いて、汚損流体に浸されたとき、ミラーと誘電体層と外部の伝導性液体と組み合わせが、LEDに対するAC電力の伝送を可能にする第2のコンデンサを形成する。
【0082】
図5は、被保護面の防汚を実現するように構成された発光装置の更なる例を示す。発光装置110は、発光装置110の出射面側からの上面図においてシートの一部として示され、シートの1つの縁部が矢印により示される。
【0083】
発光装置110は、上述のように発光装置110の出射面から防汚光を出射するために、光学媒体と光学媒体に埋設された光源22とによりシート形態に形作られる。複数の光源22が、対応する関係する複数のミラー44、45を含む。本例において、各光源は、その光出射側がそれぞれのミラーの縁部付近にある状態で位置している。ミラーは、黒色で示される第1のミラーパーツ44と、白色で示される第2のミラーパーツ45とに電気的に分割される。両方のミラーパーツが、一緒にミラーを構成して、出射面に向けて防汚光を光学的に配光する。更に、第1のミラーパーツは、それぞれの光源の第1の電気端子に電気的に接続されており、第2のミラーパーツは、それぞれの光源の第2の電気端子に接続されている。従って、第1のミラーパーツが、電源の第1の端子に接続された第1の電極を形成するのに対し、第2のミラーパーツは、光源までの電力の伝送のために電源の第2の端子に接続される第2の電極を形成する。
【0084】
実施形態において、第1のミラーパーツ44は、金属伝導体、例えばパターン形成された金属層において一体的に形成されたトラックにより更なる第1のミラーパーツに電気的に接続されている。多くの接続された第1のミラーパーツ44が、第1の電極124を構成する。同様に、多くの接続された第2のミラーパーツ45が、第2の電極125を構成する。第1の電極と第2の電極とは、電源から光源までの電力の伝送のために、シートの縁部においてコネクタ126により電源に結合される。ミラーパーツの各々は、更なるトラック又はミラーパーツにより光源のうちの1つ又は複数に電気的に結合されて、直列及び/又は並列に接続された光源の部分集合を接続するための更なる電気回路を構成する。
【0085】
本発明の範囲がここまでに説明される例に限定されず、そのいくつかの修正例及び変形例が考えられることが当業者に明らかとなる。本発明が図及び説明において詳細に例示及び説明されるが、このような例示及び説明は単なる例示又は一例とみなされ限定とはみなされない。本発明は、開示される実施形態に限定されない。図面は概略図であり、本発明を理解するために必要とされない詳細は省略される場合があり、一定の縮尺とは限らない。
【0086】
図面、説明、及び添付の特許請求の範囲の考察により、請求項に記載された発明を実施するときに、開示される実施形態の変形例が当業者により理解及び実施され得る。特許請求の範囲において、「備える(含む、有する、もつ)」という用語は、他のステップも要素も排除せず、「1つ(a)」又は「1つ(an)」という単数表現の不定冠詞は、複数を排除しない。本明細書において使用される「備える(含む、有する、もつ)」という用語は、「からなる」という用語を内包すると当業者により理解される。従って、「備える(含む、有する、もつ)」という用語は、一実施形態に関連して「からなる」を意味する場合があり得るが、別の一実施形態において「少なくとも規定の化学種及び任意選択的に1つ又は複数の他の化学種を含有/を含む」ことを意味する場合があり得る。特許請求の範囲における参照符号は、いずれも本発明の範囲を限定するように解釈されてはならない。
【0087】
特定の実施形態に対して、又は特定の実施形態に関係して説明される要素及び態様は、明示的に別段の記載がない限り、他の実施形態の要素及び態様と適切に組み合わされ得る。従って、単に特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているということが、利点を得るためにこれらの手段の組み合わせが使用不可能なことを示すわけではない。
【0088】
総じて、被保護面30を生物汚損のない状態に維持することが、本発明による発光装置100の基本機能である。従って、本発明は、少なくとも被保護面の耐用期間の一部にわたって、汚損生物を含有する汚損液体に被保護面が浸されることが意図される状況である、汚損リスクを伴うすべての状況に適用可能である。海水は、このような汚損液体のよく知られた例である。海洋構造物は、上述の発光装置を備える外面を含み得る。従って、発光装置は、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに外面の防汚を実現するために外面に装着される。同様に、上述の発光装置を設置する方法は、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに外面の防汚を実現するために、海洋構造物の外面に発光装置を装着するステップを有する。
【0089】
最後に、上述の発光装置の使用法、特に、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときに外面の防汚を実現するために、海洋構造物の外面に設置された発光装置の使用法が予見される。本使用法は、コンデンサを介して必要な電力を光源に渡す十分に高い周波数をもつAC電源によりライティング装置が給電されることを必要とする。従って、本発明による発光装置100は、船舶の船殻に設けられる。被保護面30の他の例として、箱形冷却器の外面、海中海洋機器の表面、船舶のバラストタンク等の貯水器の内壁、淡水化プラントにおけるフィルタシステムのフィルタ面が挙げられる。
【0090】
本発明による発光装置100の一部である光学媒体4は、発光装置100の意図される用途に応じて任意の適切な形態で使用される。光学媒体4が上述のように材料のスラブを備え、材料が、防汚光が光学媒体4を通って伝搬することを可能にすることに適した任意の種類の材料であることが実用的である。更に、例えば、被保護面30の輪郭に沿うために必要な場合にスラブが屈曲されることを可能にするために、材料は可撓性である。
【0091】
要約すると、表面の防汚を実現するために発光装置が提供される。発光装置は、シート形態に形作られ、光学媒体と、光学媒体に埋設され、出射面から防汚光を出射するように構成された光源とを含む。発光装置は、出射面に向けて光源からの防汚光を反射するように構成された少なくとも1つのミラーを含む。ミラーは後面付近に、又は後面に配置されており、伝導性であり、光源と電源との間に電力の伝送のために配置された第1の電極を構成するために光源に電気的に結合されている。例えば、ミラーは、外部の導電要素及び誘電体層と組み合わされてコンデンサを形成する。コンデンサは、第1の電極と外部要素との間において電力の容量性の伝送を可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5