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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】四級カチオン性ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/04 20060101AFI20240112BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240112BHJP
   A01N 61/00 20060101ALI20240112BHJP
   C02F 1/76 20230101ALI20240112BHJP
   C02F 1/78 20230101ALI20240112BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20240112BHJP
   C23F 11/14 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C08G73/04
A01P3/00
A01N61/00 D
C02F1/76 A
C02F1/78
C02F1/50 510A
C02F1/50 520A
C02F1/50 520B
C02F1/50 520C
C02F1/50 520K
C02F1/50 520P
C02F1/50 531K
C02F1/50 531M
C02F1/50 531N
C02F1/50 531P
C02F1/50 531Q
C02F1/50 531R
C02F1/50 532B
C02F1/50 532C
C02F1/50 532D
C02F1/50 532H
C02F1/50 532J
C02F1/50 532K
C02F1/50 540B
C02F1/50 540F
C23F11/14
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2019532045
(86)(22)【出願日】2017-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2017065873
(87)【国際公開番号】W WO2018111911
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/433,903
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/433,967
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515050220
【氏名又は名称】エコラブ ユーエスエイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾン ヂェンガン
(72)【発明者】
【氏名】シオン クン
(72)【発明者】
【氏名】クラム ジェフリー アール
(72)【発明者】
【氏名】ファン シャオドン
(72)【発明者】
【氏名】モロニー ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ダワン アシシュ
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103936603(CN,A)
【文献】SUN Yuhai et al.,Synthesis and properties of oligomeric cationic surfactants,Jingxi Shiyou Huagong,2014年09月,No.31,Vol.5,pp.35-38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/04
A01P 3/00
A01N 61/00
C02F 1/76
C02F 1/78
C02F 1/50
C23F 11/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレントリアミンと式(I)の置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を含む、カチオン性ポリマー塩であって、
【化1】
式中、
各Xが、独立して、アニオンであり、
が、ヒドロキシルまたは-ORおよびX末端基で置換されたC~Cアルキレンであり、
、R、およびRが、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、
が、C~Cアルキルであり、
以下、
(A)カチオン性ポリマー塩が、少なくとも4つの四級アンモニウム基を含む、または
(B)カチオン性ポリマー塩が、式(IV)を有する1つ以上の末端三級アミン基を有し、
【化2】
式中、R11が、X末端基を有しないRであり、前記ポリマー塩が、その主鎖内に置換を有しないか、RおよびRが、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rが、メチルであり、または
(C)RおよびRが、C~C22アルキルもしくはC~C22アリールアルキルであり、Rが、メチルである、うちのいずれかである、カチオン性ポリマー塩。
【請求項2】
が、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、リン酸二水素塩、亜リン酸二水素塩、ギ酸塩、炭酸水素塩、シュウ酸水素塩、硫酸水素塩、水酸化物、メタニオブ酸塩、メタバナジン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアネート、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー塩。
【請求項3】
が、塩化物または臭化物である、請求項2に記載のポリマー塩。
【請求項4】
が、ヒドロキシルで置換されたC~Cアルキレンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー塩。
【請求項5】
前記置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩が、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ドデシル-ジメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ステアリル-ジメチルアンモニウムクロリド、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のポリマー塩。
【請求項6】
(A)前記カチオン性ポリマー塩が、少なくとも4つの四級アンモニウム基を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー塩。
【請求項7】
(B)前記カチオン性ポリマー塩が、式(IV)を有する1つ以上の末端三級アミン基を有し、
【化3】
式中、R11が、X末端基を有しないRであり、前記ポリマー塩が、その主鎖内に置換を有しないか、もしくはRおよびRが、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rが、メチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー塩。
【請求項8】
(C)RおよびRが、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rが、メチルである、請求項1~5のいずれか一項記載のポリマー塩。
【請求項9】
前記アルキレントリアミンが、ジエチレントリアミンである、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー塩。
【請求項10】
前記アルキレントリアミンと前記置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩とのモル比が、1:1~1:100、1:1~1:50、1:1~25、1:1~1:10、1:1~1:5、または1:1~1:2の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマー塩。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のカチオン性ポリマー塩および担体を含む、組成物。
【請求項12】
前記担体が、水、アルコール、芳香族炭化水素、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記担体が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキシレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載のカチオン性ポリマー塩および水性担体を含む、界面活性剤組成物。
【請求項15】
前記組成物が、表面での腐食を抑制するための成分をさらに含み、前記成分が、有機溶媒、追加の腐食抑制剤、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、乳化剤、水浄化剤、分散剤、エマルジョン破壊剤、ガスハイドレート抑制剤、殺生物剤、pH調整剤、界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記成分が、有機溶媒を含み、前記有機溶媒が、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの任意の組み合わせを含み、前記組成物が、任意選択に水を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記成分が、有機溶媒を含み、前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル燃料、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記成分が、追加の腐食抑制剤を含み、前記追加の腐食抑制剤が、イミダゾリン化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
0.1~20重量%の前記カチオン性ポリマー塩を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
表面上の腐食を抑制する方法であって、前記方法が、
前記表面上の腐食を抑制するために、前記表面を、請求項1~10のいずれか一項に記載のカチオン性ポリマー塩または請求項11および15~19のうちのいずれか一項に記載の組成物と接触させること、または
前記表面上の腐食を抑制するために、請求項1~10のいずれか一項に記載のカチオン性ポリマー塩または請求項11および15~19のいずれか一項に記載の組成物を、前記表面に接触する流体に添加することと、を含む、方法。
【請求項21】
表面上の腐食を抑制する方法であって、
前記表面上の腐食を抑制するために、前記表面を、カチオン性ポリマー塩もしくは前記カチオン性ポリマー塩を含む組成物、および有機溶媒、腐食抑制剤、有機硫黄化合物、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、乳化剤、水浄化剤、分散剤、エマルジョン破壊剤、ガスハイドレート抑制剤、殺生物剤、pH調整剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む成分と接触させること、または
前記表面上の腐食を抑制するために、前記カチオン性ポリマー塩または前記組成物を、前記表面に接触する流体に添加することを含み、
(i)前記カチオン性ポリマー塩が、アルキレントリアミンと式(I)の置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を含み、
【化4】
式中、
各Xが、独立して、アニオンであり、
が、ヒドロキシルまたは-ORおよびX末端基で置換されたC~Cアルキレンであり、
、R、およびRが、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、
が、C~Cアルキルであり、
以下、
(A)カチオン性ポリマー塩が、少なくとも4つの四級アンモニウム基を含む、または
(B)カチオン性ポリマー塩が、式(IV)を有する1つ以上の末端三級アミン基を有し、
【化5】
式中、R11が、X末端基を有しないRであり、前記ポリマー塩が、その主鎖内に置換を有しないか、RおよびRが、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rが、メチルであり、または
(C)RおよびRが、C~C22アルキルもしくはC~C22アリールアルキルであり、Rが、メチルである、うちのいずれかである、方法。
【請求項22】
前記表面が、前記流体の生成、輸送、貯蔵、および/または分離に使用される坑井または装置の一部である、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記表面が、石炭燃焼プロセス、廃水プロセス、農場、食肉処理場、埋め立て地、自治体廃水プラント、コーキング石炭プロセス、またはバイオ燃料プロセスに使用される装置の一部である、請求項20または21に記載の方法。
【請求項24】
前記装置が、パイプライン、貯蔵容器、ダウンホール注入管、フローライン、または注入ラインを含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記流体が、天然ガスまたは液体炭化水素を含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記液体炭化水素が、原油、重油、加工残油、瀝青油、コッカー油、軽油、流動接触分解供給原料またはスラリー、ナフサ、ディーゼル燃料、重油、ジェット燃料、ガソリン、または灯油を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
表面上の微生物を制御する方法であって、
請求項1~10のいずれか一項に記載のカチオン性ポリマー塩を含む組成物を、前記表面に添加することを含む、方法。
【請求項28】
前記組成物が、冷却水システム、ボイラー水システム、石油井戸、ダウンホール層、地熱井、鉱物洗浄、浮遊および選鉱、製紙、ガススクラバー、エアウォッシャー、冶金産業における連続鋳造プロセス、空調および冷蔵、水再生、浄水、膜濾過、食品加工、浄化剤、都市下水処理、都市水処理、ならびに飲用水道システムからなる群から選択される工業プロセスで使用されるプロセス水に添加される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、塩素、次亜塩素酸塩、ClO、臭素、オゾン、過酸化水素、過酢酸、ペルオキシ硫酸塩、グルタルアルデヒド、ジブロモニトロトリプロピオンアミド、イソチアゾロン、テルブチラジン、ポリマービグアニド、メチレンビスチオシアネート、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムスルフェート、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される殺生物剤をさらに含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、担体を含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記担体が、水、アルコール、芳香族炭化水素、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項1~10のいずれか一項に記載のポリマー塩を水系システムに添加することを含む、前記水系システム中の微生物を制御する方法。
【請求項33】
水系システム中の微生物を制御するための方法であって、アルキレントリアミンと式(I)の置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を含む、カチオン性ポリマー塩を前記水系システムに添加することを含み、
【化6】
式中、
各Xが、独立して、アニオンであり、
が、ヒドロキシルまたは-ORおよびX末端基で置換されたC~Cアルキレンであり、
、R、およびRが、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、
が、C~Cアルキルであり、
以下、
(A)カチオン性ポリマー塩が、少なくとも4つの四級アンモニウム基を含む、または
(B)カチオン性ポリマー塩が、式(IV)を有する1つ以上の末端三級アミン基を有し、
【化7】
式中、R11が、X末端基を有しないRであり、前記ポリマー塩が、その主鎖内に置換を有しないか、RおよびRが、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rが、メチルであり、または
(C)RおよびRが、C~C22アルキルもしくはC~C22アリールアルキルであり、Rが、メチルである、うちのいずれかである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、カチオン性ポリマー塩に関し、より具体的には、界面活性剤、抗微生物化合物、および腐食抑制剤として使用される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
四級アンモニウム化合物は、それらが独特の性質を含むため、界面活性剤の重要なサブカテゴリーを構成する。四級アンモニウム化合物と他の界面活性剤との間の主な違いは、それらの独特の構造である。四級アンモニウム化合物は、主に二つの部分、疎水性基、例えば長アルキル基、および四級アンモニウム塩基からなる。アンモニウムの独特の正電荷は、界面活性剤と表面との間の重要な役割、すなわち静電相互作用を担う。
【0003】
工業用水システムは、多くの異なる目的に役立つようにプロセス水を用いるが、微生物による汚染や汚損が発生しやすい場合がある。現在利用可能な最良の水処理プログラムで処理された工業用水システムにおいてさえ、あらゆる有機または無機材料の汚損または付着が起こり得る。
【0004】
これらの工業用水システムが定期的に清掃されない場合、それらはひどく汚損される。汚損は、工業用水システムに悪影響を及ぼす。例えば、深刻なミネラルスケール(無機材料)が、水との接触面上に堆積し、スケールが存在するあらゆる場所が、微生物の成長に理想的な環境を提供する。
【0005】
蒸発冷却水システムは、特に汚損を生じやすい。この汚損は、風媒性、水媒性、または水から形成された汚染物質の付着;水の淀み;プロセス漏出;および他の要因を含む種々の機序によって発生する。進行させると、システムは、運用効率の低下、装置の早期故障、および微生物汚損に関連した健康関連リスクの増大を被る可能性がある。
【0006】
汚損はまた、微生物学的汚染に起因して起こり得る。工業用水システムにおける微生物汚染の原因は数多くあり、風媒性汚染、水補給、プロセス漏出、および不適切に洗浄された装置が含まれ得るが、これらに限定されない。これらの微生物は、水システムの任意の湿潤性または半湿潤性表面上に微生物群集を確立することができる。
【0007】
微生物群集が表面上に発達するにつれて、微生物によって分泌されたエキソポリマー物質が、バイオフィルムの形成を助ける。これらのバイオフィルムは、栄養素を集めるための手段を確立し、成長に対する保護を提供する複雑な生態系であり、バイオフィルムはスケール、腐食、および他の汚損プロセスを加速させる可能性がある。バイオフィルムは、システム効率の低下に寄与するだけでなく、レジオネラ属細菌を含み得る微生物増殖のための優れた環境も提供する。したがって、レジオネラ属菌および他の水媒性病原体に関連した健康関連のリスクを最小限に抑えるために、バイオフィルムおよび他の汚損プロセスを可能な限り低減することが重要である。
【0008】
腐食抑制剤は、炭素鋼パイプラインおよびインフラストラクチャを腐食から保護するために、上流の石油およびガス生産流体にしばしば添加される。四級アンモニウム化合物は、腐食抑制剤配合物の一部として長年使用されてきたが、最も頻繁には、ビス四級種または塩化ベンジルで四級化された種であり、これは非常に危険であることが知られている。
【0009】
このニッチな界面活性剤および腐食抑制剤を満たす四級アンモニウム化合物が、引き続き必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第3718639号明細書
【発明の概要】
【0011】
いくつかの実施形態では、ポリアミンまたはポリアルキレンイミンと置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を含む、カチオン性ポリマー塩が提供される。
ある特定の実施形態では、本開示は、ポリアミンまたはポリアルキレンイミンと式(I)の置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を含む、カチオン性ポリマー塩が提供され、
【化1】
式中、各Xは、独立して、アニオンであり、Rは、ヒドロキシルまたは-ORおよびX末端基で置換されたC~Cアルキレンであり、R、R、およびRは、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rは、C~Cアルキルである。
【0012】
いくつかの実施形態では、式(III)を含むカチオン性ポリマー塩が提供され、
【化2】
式中、各Rは、独立して、C~Cアルキレンであり、各Rは、独立して、水素、-R、-R-N(R、-R-N(R)-R-N(R、または-R-N-(R-N(Rであり、各Rは、独立して、水素または
【化3】
であり、各Rは、独立して、ヒドロキシルまたは-OR13置換されたC~Cアルキレンであり、R10、R11、およびR12は、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、R13は、C~Cアルキルであり、nは、1~100の整数であり、各Xは、独立して、アニオンである。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポリアミン、アルキレンイミン、またはポリアルキレンイミンと式(I)の置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を含む、カチオン性ポリマー塩が提供され、
【化4】
式中、各Xは、独立して、アニオンであり、Rは、ヒドロキシルまたは-ORおよびX末端基で置換されたC~Cアルキレンであり、R、R、およびRは、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rは、C~Cアルキルであり、
以下のうちのいずれか1つである。
(A)カチオン性ポリマー塩が、その主鎖内に置換を有さず、その主鎖内にアルキル四級化アンモニウムを有さず、少なくとも4つの四級アンモニウム基を含むか、または
(B)カチオン性ポリマー塩が、式(IV)を有する1つ以上の末端三級アミン基を有し、
【化5】
式中、R11は、X末端基を有しないRであり、ポリマー塩は、その主鎖内に置換を有しないか、もしくはR、R、およびRのうちの少なくとも1つが、C~C22アルキル基であるかのいずれかであるか、または
(C)RおよびRは、C~C22アルキルもしくはC~C22アリールアルキルであり、Rは、メチルである。
【0014】
いくつかの実施形態では、水系システム中の微生物を制御するための方法が開示される。この方法は、ポリアミンまたはポリアルキレンイミンと式(I)の置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を、水系システムに添加することを含み得、
【化6】
式中、各Xは、独立して、アニオンであり、Rは、ヒドロキシルまたは-ORおよびX末端基で置換されたC~Cアルキレンであり、R、R、およびRは、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rは、C~Cアルキルである。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、プロセス水に組成物を添加することによって、プロセス水中の微生物を制御するための方法が開示される。組成物は、式(III)のカチオン性ポリマーを含んでもよく、
【化7】
式中、各Rは、独立して、C~Cアルキレンであってもよく、各Rは、独立して、水素、-R、-R-N(R、-R-N(R)-R-N(R、または-R-N-(R-N(Rであってもよく、各Rは、独立して、水素または
【化8】
であってもよく、各Rは、独立して、ヒドロキシルまたは-OR13置換されたC~Cアルキレンであってもよく、R10、R11、およびR12は、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、R13は、C~Cアルキルであってもよく、nは、1~100の整数であってもよく、各Xは、独立して、アニオンであってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、表面に組成物を添加することによって、表面上の微生物を制御するための方法が提供される。組成物は、式(III)のカチオン性ポリマーを含んでもよく、
【化9】
式中、各Rは、独立して、C~Cアルキレンであってもよく、各Rは、独立して、水素、-R、-R-N(R、-R-N(R)-R-N(R、または-R-N-(R-N(Rであってもよく、各Rは、独立して、水素または
【化10】
であってもよく、各Rは、独立して、ヒドロキシルまたは-OR13置換されたC~Cアルキレンであってもよく、R10、R11、およびR12は、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、R13は、C~Cアルキルであってもよく、nは、1~100の整数であってもよく、各Xは、独立して、アニオンであってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、表面上の腐食を抑制する方法が開示されている。この方法は、表面を、ポリアミンまたはポリアルキレンイミンと式(I)の置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物と接触させることを含み得、
【化11】
式中、各Xは、独立して、アニオンであり、Rは、ヒドロキシルまたは-ORおよびX末端基で置換されたC~Cアルキレンであり、R、R、およびRは、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rは、C~Cアルキルである。
【0018】
前述されたことは、後続の発明を実施するための形態をより良く理解できるように、本開示の特色および技術的利点を概括的に概説したものである。本出願の特許請求の範囲の主題を形成する、本開示のさらなる特色および利点については、以下で説明する。開示される概念および具体的な実施形態は、本開示と同じ目的を実行するための他の実施形態を修正または設計するための基礎として容易に活用できることが、当業者には理解されるべきである。また、かかる等価の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示されるような本開示の趣旨および範囲から逸脱しないことが、当業者には認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、発明を実施するための形態を、以下の図面を具体的に参照しながら説明する。
【0020】
図1】様々な四級カチオン性界面活性剤の表面張力(mN/m)対濃度(重量%)のグラフを示す。
【0021】
図2】様々な時点における冷却水中の細菌減少に対する異なる濃度の化合物1の効果を示す。
【0022】
図3】様々な濃度の化合物1に対する接触時間の関数としての細菌濃度を示す。
【0023】
図4】化合物1~4に対する時間の関数としての細菌濃度を示す。
【0024】
図5】様々な時点における冷却水中の細菌濃度に対する異なる濃度の化合物4の効果を示す。
【0025】
図6】様々な濃度の化合物4に対する接触時間の関数としての細菌濃度を示す。
【0026】
図7】ポリマー四級化合物と比較した単一四級化合物のバイオフィルム減少を示す。
【0027】
図8】ポリマー四級化合物と比較した単一四級化合物のバイオフィルム減少を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願は、ポリアミン、アルキレンイミン、またはポリアルキレンイミンと置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を含む、カチオン性ポリマー塩を開示する。複数の四級基を有する新たに合成された抗菌性および防食性のカチオン性ポリマー塩が、本明細書に開示されており、例えば、微生物集団の制御または工業システムで使用されるプロセス水中の腐食抑制において特に有用であり得る。開示された化合物は、抗菌性および防食活性を示し、微生物の制御または腐食抑制を必要とするあらゆる用途において使用され得る。
【0029】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本文書が優先される。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれら全体が組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および実施例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「することができる(can)」、「含む(contain)」、およびそれらの変形は、追加のステップまたは構成要素の可能性を排除しない制限のない移行句、用語、または単語であることが意図される。単数形「a」、「and」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示された実施形態または要素を「含む」、「からなる」、および「から本質的になる」他の実施形態も企図する。
【0031】
別段の指示がない限り、本明細書に記載される「アルキル」基は、単独でまたは別の基の一部として、1~32個の炭素原子を含む任意に置換された直鎖飽和一価炭化水素ラジカル、または3~32個の炭素原子を含む任意に置換された分岐飽和一価炭化水素ラジカルである。非置換アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチルなどが挙げられる。アルキル基は、以下に定義されるように、非置換であり得るか、または1つ以上の適切な置換基によって置換され得る。好ましくは、置換は、ポリマー塩の主鎖または骨格内にはない。
【0032】
「アリールアルキル」とは、アルキレン基を介して親分子に結合したアリール基を意味する。アリール基およびアルキレン基における炭素原子の数は、アリールアルキル基に合計で約7~約22個の炭素原子が存在するように選択される。好ましいアリールアルキル基は、ベンジルである。
【0033】
別の基の一部として接尾辞として使用される用語「-エン(-ene)」は、水素原子が基の2つの末端炭素の各々から除去されている二価ラジカルを表す。例えば、アルキレンは、メチレン(-CH-)またはエチレン(-CHCH-)などの二価アルキル基を表す。明確にするために、接尾辞-エンの追加は、2価ラジカルを表す以外に主語の定義を変更することは意図されない。したがって、上記の例を続けると、アルキレンは、任意に置換された直鎖飽和二価炭化水素ラジカルを表す。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「適切な置換基」は、本発明の化合物の活動を打ち消さない化学的に許容される官能基を意味することが意図される。かかる適切な置換基としては、ハロ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基、アリールアルコキシまたはヘテロアリールアルコキシ基、カルボキシル基、複素環基、シクロアルキル基、アミノ基、アルキル基およびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、およびアリールスルホニル基が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、多くの置換基が、追加の置換基によって置換され得ることを理解するであろう。
【0035】
本開示のカチオン性ポリマー塩は、分子中のアルキル鎖の数が増えるにつれて水溶液中で減少した表面張力を呈し、カチオン性界面活性剤または発泡剤として有用である(例えば、洗浄配合物またはシャンプーなどのパーソナルケア製品に使用するため)。カチオン性ポリマー塩は、1つのアルキル鎖および1つの親水性基を有する従来の両親媒性化合物と比較して、予想外の物理化学的性質を提供する複数のアルキル鎖および複数の親水性基を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩モノマーは、式(I)を含み、
【化12】
式中、各Xは、独立して、アニオンであり、Rは、ヒドロキシルまたは-ORおよびX末端基で置換されたC~Cアルキレンであり、R、R、およびRは、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、Rは、C~Cアルキルである。
【0037】
は、ヒドロキシルで置換され、X末端基を有するC~Cアルキレンを含み得る。
【0038】
適切なXアニオンとしては、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、リン酸二水素塩、亜リン酸二水素塩、ギ酸塩、炭酸水素塩、シュウ酸水素塩、硫酸水素塩、水酸化物、メタニオブ酸塩、メタバナジン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアネート、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アニオンは、塩化物または臭化物を含み得る。
【0039】
、R、およびRは、独立して、C~C22アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、
、R、およびRは、全てメチルであり得る。あるいは、Rは、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり得、RおよびRは、メチルなどのC~Cアルキルであり得るか、またはRおよびRは、C~C22アルキルもしくはC~C22アリールアルキルであり、Rは、メチルなどのC~Cアルキルである。
【0040】
適切な置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩モノマーとしては、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ドデシル-ジメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ステアリル-ジメチルアンモニウムクロリド、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0041】
ポリアミンは、式(II)のポリマーを含み得、
【化13】
式中、nは、0~100の整数であり、各Rは、独立して、C~Cアルキレンであり、各Rは、独立して、水素または-R-NH、-R-NH-R-NH、または-R-N-(R-NHである。
【0042】
式(II)のポリアミンにおいて、nは、0~90、0~80、0~70、0~60、0~50、0~45、0~40、0~35、0~30、0~25、0~20、0~15、0~10、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5であり得る。いくつかの実施形態では、nは、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~25、2~30、2~35、2~40、2~45、2~90、またはそれらの任意の部分範囲であってもよい。他の実施形態では、nは、3~100、3~90、3~80、3~70、3~60、3~50、3~45、3~40、3~35、3~30、3~25、3~10、またはそれらの任意の部分範囲であってもよい。ある特定の実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される。
【0043】
式(II)のポリアミンにおいて、Rは、C~Cアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、エチルであり得る。
【0044】
式(II)のポリアミンにおいて、ポリアミンの窒素のいずれも四級化される必要はない。
【0045】
適切なポリアミンは、アルキレンアミンを含み得る。アルキレンアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0046】
適切なポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、ペンチレンイミン、ヘキシレンイミン、ヘプチレンイミン、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0047】
適切なポリアルキレンイミンとしては、分岐鎖、直鎖、またはデンドリマーポリエチレンイミンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0048】
いくつかの実施形態では、直鎖、分岐鎖、またはデンドリマーポリエチレンイミンの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定して、約200gm/mol~約750,000gm/molの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマー塩の重量平均分子量は、約800gm/mol、約1,300gm/mol、約2,000gm/mol、約5,000gm/mol、約20,000gm/mol、約25,000gm/mol、または約750,000gm/molであり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、直鎖、分岐鎖、またはデンドリマーポリエチレンイミンの粘度は、ブルックフィールド粘度計でISO 2555に従って測定して、約100mPa・s~約30,000mPa・sの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、直鎖、分岐鎖、またはデンドリマーポリエチレンイミンの粘度は、約200mPa・s~約15,000mPa・s、または約200mPa・s~約500mPa・sの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、直鎖、分岐鎖、またはデンドリマーポリエチレンイミンの粘度は、約300mPa・s、約400mPa・s、約500mPa・s、約600mPa・s、または約1000mPa・sであり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポリエチレンイミン中の一級アミン/二級アミン/三級アミンの比は、13CNMRによって測定して、約1/0.9/0.6であり得る。乾燥ポリエチレンイミン中のアミンの量は、約10mmol/gm~約30mmol/gmの範囲であり得る。ポリエチレンイミン中のアミンの量は、約12mmol/gm、約13mmol/gm、約14mmol/gm、約15mmol/gm、約16mmol/gm、約17mmol/gm、約18mmol/gm、約19mmol/gm、約20mmol/gm、約21mmol/gm、または約22mmol/gmであり得る。
【0051】
反応物としてのポリアミンまたはポリアルキレンイミンと置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩とのモル比は、1:1~1:100、1:1~1:90、1:1~1:80、1:1~1:70、1:1~1:60、1:1~1:50、1:1~1:45、1:1~1:40、1:1~1:35、1:1~1:30、1:1~1:25、1:1~1:20、1:1~1:15、1:1~1:10、1:1~1:9、1:1~1:8、1:1~1:7、1:1~1:6、1:1~1:5、1:1~1:4、1:1~1:3、または1:1~1:2の範囲であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、ポリアミン、アルキレンイミン、またはポリアルキレンイミンと、上記式(I)の置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応から誘導される反応生成物を含む、カチオン性ポリマー塩が提供され、以下のうちのいずれか1つである。
【0053】
(A)カチオン性ポリマー塩は、その主鎖内に置換を有さず、その主鎖内にアルキル四級化アンモニウムを有さず、少なくとも4つの四級アンモニウム基を含むか、または
【0054】
(B)カチオン性ポリマー塩は、式(IV)を有する1つ以上の末端三級アミン基を有し、
【化14】
式中、R11が、X末端基を有しないRであり、ポリマー塩が、その主鎖内に置換を有しないか、もしくはR、R、およびRのうちの少なくとも1つが、C~C22アルキル基であるかのいずれかであるか、または
【0055】
(C)式(I)のRおよびRは、C~C22アルキルもしくはC~C22アリールアルキルであり、Rは、メチルである。
【0056】
いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマー塩は、式(III)のポリマーを含み得、
【化15】
式中、各Rは、独立して、C~Cアルキレンであり、各Rは、独立して、水素、-R、-R-N(R、-R-N(R)-R-N(R、または-R-N-(R-N(Rであり、各Rは、独立して、水素または
【化16】
であり、各Rは、独立して、ヒドロキシルまたは-OR13で置換されたC~Cアルキレンであり、R10、R11、およびR12は、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、R13は、C~Cアルキルであり、nは、1~100の整数であり、各Xは、独立して、アニオンである。
【0057】
式(V)を有するカチオン性ポリマー塩も提供され、
【化17】
式中、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、n、およびXは、上記式(III)について定義した通りであり、R14は、
【化18】
であり、以下のうちの1つである。
(a)ポリマー塩は、その主鎖内に置換を有さず、その主鎖内にアルキル四級化アンモニウムを有さず、少なくとも4つの四級アンモニウム基を含むか、または
(b)ポリマー塩は、その主鎖内に置換を有しないか、もしくはR10、R11、およびR12のR14のうちの少なくとも1つが、C~C22アルキル基であるかのいずれかであるか、または
(c)ポリマー塩は、少なくとも3つのR12を含み、R12は、C~C15アルキルであるか、または
(d)ポリマー塩は、少なくとも3つのR12を含み、R12は、C15~C22アルキルである。
【0058】
式(III)または(V)のポリマー塩において、nは、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、またはそれらの任意の部分範囲であり得る。いくつかの実施形態では、nは、2~25、2~30、2~35、2~40、2~45、2~90、またはそれらの任意の部分範囲であり得る。他の実施形態では、nは、3~100、3~90、3~80、3~70、3~60、3~50、3~45、3~40、3~35、3~30、3~25、またはそれらの任意の部分範囲であってもよい。ある特定の実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される。
【0059】
式(III)または(V)のポリマー塩では、各RおよびRは、独立して、C~Cアルキレンであり得る。いくつかの実施形態では、各Rは、エチレンであり得る。
【0060】
式(III)のポリマー塩において、各Rは、ヒドロキシプロピレンであり得、R10およびR11は、メチルであり得、各R12は、独立して、メチルまたはC~C22アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR12は、C~C22アルキルである。
【0061】
式(III)のポリマー塩の他の実施形態では、Rは、-R、-R-N(R、-R-N(R)-R-N(Rまたは-R-N-(R-N(Rであり、各Rは、
【化19】
であり、各Rは、独立して、ヒドロキシルまたは-OR13で置換されたC~Cアルキレンであり、R10、R11、およびR12は、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、R13は、C~Cアルキルであり、nは、1~100の整数であり、各Xは、独立して、アニオンである。
【0062】
式(III)のポリマー塩のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのR12は、飽和C~C15アルキル基であり得る。飽和アルキル基は、C10~C15、C11~C15、C12~C15、C12~C14、C11~C14、C10~C14、C~C14、C~C13、C10~C13、またはC11~C13の範囲であり得る。他の実施形態では、少なくとも2、3、4、または5つのR12は、飽和C~C15アルキル基であり得る。例えば、少なくとも1つのR12は、C12アルキル基であり得るか、または少なくとも2、3、4、または5つのR12は、C12アルキル基であり得る。
【0063】
式(III)のポリマー塩の他の実施形態では、少なくとも1つのR12は、飽和C15~C22アルキル基であってもよい。飽和アルキル基は、C16~C22、C17~C21、C16~C20、C18~C22、C16~C18、C15~C18、C15~C20、またはC17~C19の範囲であり得る。他の実施形態では、少なくとも2、3、4、または5つのR12は、飽和C15~C22アルキル基であり得る。
【0064】
他の実施形態では、少なくとも1つのR12は、飽和C12アルキル基であり得る。なおもさらなる実施形態では、少なくとも2、3、4、または5つのR12は、飽和C12アルキル基であり得る。
【0065】
他の実施形態では、少なくとも1つのR12は、飽和C18アルキル基であり得る。なおもさらなる実施形態では、少なくとも2、3、4、または5つのR12は、飽和C18アルキル基であり得る。
【0066】
式(III)のポリマー塩のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、Rであり得るか、または少なくとも2、3、もしくは4つのRは、Rであり得る。いくつかの実施形態では、式(III)のカチオン塩は、少なくとも3つの置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム基を含み得る。他の実施形態では、少なくとも4、5、または6つの四級アンモニウム基が存在してもよい。いくつかの実施形態では、四級アンモニウム基は、ポリマー塩の主鎖または骨格にはなく、分岐鎖または側鎖にのみ存在し得る。
【0067】
本明細書に記載されるポリマー塩のいずれにおいても、ポリマー塩は、ポリマー塩の主鎖内にアルキル四級アンモニウムを全く有していなくてもよい。例えば、ポリマー塩は、ポリマー塩の主鎖内に-N(CH)(CH)-窒素を全く有していなくてもよい。さらに、ポリマー塩は、ポリマー塩の主鎖(すなわち、骨格)内に置換を全く有していなくてもよい。
【0068】
ある特定の実施形態では、カチオン性ポリマーの組成物は、担体をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤組成物が提供され、界面活性剤組成物はカチオン性ポリマー塩および水性担体などの担体を含み得る。
【0069】
適切な担体としては、水、アルコール、芳香族炭化水素、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、適切な担体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキシレングリコール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
カチオン性ポリマー塩の調製は、ポリアミンもしくはポリアルキレンイミンまたはそれらの任意の組み合わせを、少なくとも約7.5のpHで置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩と反応させてポリマー塩を形成することによって、簡便に実施することができる。反応物としてのポリアミンまたはポリアルキレンイミンと置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩とのモル比は、1:1~1:100、1:1~1:90、1:1~1:80、1:1~1:70、1:1~1:60、1:1~1:50、1:1~1:45、1:1~1:40、1:1~1:35、1:1~1:30、1:1~1:25、1:1~1:20、1:1~1:15、1:1~1:10、1:1~1:9、1:1~1:8、1:1~1:7、1:1~1:6、1:1~1:5、1:1~1:4、1:1~1:3、または1:1~1:2の範囲であり得る。反応混合物を撹拌し、約2~6時間にわたって約50~100℃に加熱することができる。塩基を添加して、少なくとも約7.5のpHを維持することができる。例えば、反応が完了するまで水溶液のpHをモニタリングし、水性媒体のpHを調整して水溶液のpH値を約7.5以上に維持しながら、反応物を反応器中の水溶液に添加することができる。
【0071】
例えば、ジエチレントリアミンなどのアルキレンアミンおよび3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどの置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩を、機械撹拌器、温度計、温度制御装置、冷却器、および添加漏斗を備えた反応容器に加えることができる。反応混合物を撹拌し、穏やかに約60℃に加熱する。反応のpH値を、連続的にモニタリングする。水酸化ナトリウム(50%水溶液)などの塩基を、反応容器にゆっくり加え、温度を約60℃で一定に保つ。反応溶液のpH値を測定し、約7.5より上で一定に保つ。反応温度を約85℃に上げ、約5時間にわたって一定に保つ。
【0072】
別の例として、ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンおよび3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどの置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩を、機械撹拌器、温度計、温度制御装置、冷却器、および添加漏斗を備えた反応容器に加えることができる。反応混合物を撹拌し、穏やかに約60℃に加熱する。反応のpH値を、連続的にモニタリングする。水酸化ナトリウム(50%水溶液)などの塩基を、反応容器にゆっくり加え、温度を約60℃で一定に保つ。反応溶液のpH値を測定し、約7.5より上で一定に保つ。反応温度を約85℃に上げ、約5時間にわたって一定に保つ。
【0073】
本明細書に記載のポリマー塩は、一般にランダムポリマーであり、ポリアミン、ポリアルキレンイミン、および置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩から誘導される構造単位の正確な順序は予め決められていない。
【0074】
ポリマー塩は、一般に、ポリマーに化学的に組み込まれていない成分も含み得る混合物の反応生成物である。ポリマーに組み込まれることを意図しない追加の成分を混合物中に含むそれらの反応生成物については、かかる追加の成分は、典型的には溶媒、pH調整剤、緩衝剤、および/または当業者に既知の他の成分を含む。
【0075】
本明細書に記載のカチオン性ポリマー塩は、カチオン性界面活性剤として使用することができ、従来の洗浄剤および他の配合物において従来の四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の代わりに使用することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のカチオン性ポリマー塩の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定して、約200gm/mol~約1,000,000gm/molの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマー塩の重量平均分子量は、約500gm/mol~約100,000gm/mol、約500gm/mol~約50,000gm/mol、約500gm/mol~約40,000gm/mol、約500gm/mol~約30,000gm/mol、約5,000gm/mol~約30,000gm/mol、約10,000gm/mol~約30,000gm/mol、約500gm/mol~約20,000gm/mol、約500gm/mol~約10,000gm/mol、または約500gm/mol~約5,000gm/molであり得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、組成物を表面またはプロセス水に添加することを含む、表面上またはプロセス水中の微生物を制御するための方法が提供される。組成物は、上に示される式IIIのカチオン性ポリマーを含んでもよく、式中、各Rは、独立して、C~Cアルキレンであってもよく、各Rは、独立して、水素、-R、-R-N(R、-R-N(R)-R-N(R、または-R-N-(R-N(Rであってもよく、各Rは、独立して、水素または
【化20】
であってもよく、各Rは、独立して、ヒドロキシルまたは-OR13置換されたC~Cアルキレンであってもよく、R10、R11、およびR12は、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、R13は、C~Cアルキルであってもよく、nは、1~100の整数であってもよく、各Xは、独立して、アニオンであってもよい。
【0078】
他の実施形態では、組成物を表面またはプロセス水に添加することを含む、表面上またはプロセス水中の微生物を制御するための方法が提供される。組成物は、上に示される式IIIのカチオン性ポリマーを含んでもよく、式中、各Rは、Cアルキレンであってもよく、各Rは、独立して、水素、-R、-R-N(R、-R-N(R)-R-N(R、または-R-N-(R-N(Rであってもよく、各Rは、独立して、水素または
【化21】
であってもよく、各Rは、独立して、ヒドロキシルまたは-OR13置換されたC~Cアルキレンであってもよく、R10、R11、およびR12は、各々独立して、C~C22アルキルまたはC~C22アリールアルキルであり、R13は、C~Cアルキルであってもよく、nは、1~100の整数であってもよく、各Xは、独立して、アニオンであってもよい。
【0079】
ある特定の実施形態では、組成物は、異なるカチオンポリマー塩の混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、抗菌性組成物が提供される。抗菌性組成物は、式(III)のカチオン性ポリマー塩および水性担体を含み得る。
【0080】
適切な担体としては、水、アルコール、芳香族炭化水素、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、適切な担体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、表面またはプロセス水に添加される組成物は、化合物1、化合物2、化合物3、または化合物4などのカチオン性ポリマー塩を含み得る。
【化22】
【0082】
いくつかの実施形態では、表面または処理水に添加される組成物は、化合物1を含み得る。化合物1は、5つの四級アミン基を含み、5つのうち4つは、飽和C12アルキル基を含む。
【0083】
ある特定の実施形態では、組成物は、殺生物剤、担体、および化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、化合物7、化合物8、化合物9、化合物10、化合物11、化合物12、化合物13、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるカチオン性ポリマー塩を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、殺生物剤、担体、および化合物14、化合物15、または化合物16から選択されるカチオン性ポリマー塩を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、式IIIのカチオン性ポリマー塩からなり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、式IIIのカチオン性ポリマー塩および水からなり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、式IIIのカチオン性ポリマー塩、水、および殺生物剤からなり得る。
【0084】
使用に適した殺生物剤は、酸化または非酸化殺生物剤であり得る。酸化殺生物剤としては、漂白剤、塩素、臭素、二酸化塩素、ならびに塩素および臭素を放出することができる材料が挙げられるが、これらに限定されない。非酸化殺生物剤としては、グルタルアルデヒド、イソチアゾリン、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール、1-ブロモ-1-(ブロモメチル)-1,3-プロパンジカルボニトリル、テトラクロロイソフタロニトリル、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド、メチレンビスチオシアネート、2-デシルチオエタンアミン、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、ジチオカルバメート、シアノジチオイミドカルボネート、2-メチル-5-ニトロイミダゾール-1-エタノール、2-(2-ブロモ-2-ニトロエテニル)フラン、β-ブロモ-β-ニトロスチレン、β-ニトロスチレン、β-ニトロビニルフラン、2-ブロモ-2-ブロモメチルグルタロニトリル、ビス(トリクロロメチル)スルホン、S-(2-ヒドロキシプロピル)チオメタンスルホネート、テトラヒドロ-3,5-ジメチル-2H-1,3,5-ヒドラジン-2-チオン、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2-ブロモ-4′-ヒドロキシアセトフェノン、1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-ブテン、ビス(トリブチルスズ)オキシド、2-(tert-ブチルアミノ)-4-クロロ-6-(エチルアミノ)-s-トリアジン、ドデシルグアニジンアセテート、ドデシルグアニジンヒドロクロリド、ココアルキルジメチルアミンオキシド、n-ココアルキルトリメチレンジアミン、テトラ-アルキルホスホニウムクロリド、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、および2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
他の実施形態では、工業用水システムにおける金属の腐食を低減するために必要なときに、腐食抑制剤を添加することができる。多金属保護のための腐食抑制剤は、典型的には、限定されないが、ベンゾトリアゾール、ハロゲン化トリアゾール、およびニトロ置換アゾールなどのトリアゾールである。
【0086】
いくつかの実施形態では、分散剤を添加して、工業用水システムの水中に存在する粒子状物質を分散させることができ、それにより洗浄および消毒プロセス中に凝集して汚損を引き起こさないようにする。ポリマー分散剤は、アクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマー、およびそれらのアルキルエステルであり得る。これらのポリマーは、アクリル酸、アクリルアミド、およびスルホン化モノマーのターポリマーを含み得る。これらのポリマーはまた、アクリル酸および他の3つのモノマーからなる四級物ポリマーを含み得る。
【0087】
他の実施形態では、プロセス水または表面に式IIIのカチオン性ポリマー塩を含む組成物を添加することによって、プロセス水中または表面上の微生物を抑制するための方法が提供される。他の実施形態では、本方法は、式IIIのカチオン性ポリマー塩を含む組成物を、表面またはプロセス水に添加することを含むことができ、式中、nは、1より大きく、各Rは、独立して、水素、-R、-R-N(R、-R-N(R)-R-N(R、または-R-N-(R-N(Rであり得る。カチオン性ポリマー塩は、水性組成物としてまたは乾燥粉末として表面または処理水に添加することができる。カチオン性ポリマー塩は、連続的に添加されてもよく、またはより多くの抗菌活性が必要とされ得る場合には、間欠的に添加されてもよい。
【0088】
他の実施形態では、組成物中のカチオン性ポリマー塩は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、化合物7、化合物8、化合物9、化合物10、化合物11、化合物12、化合物13、化合物14、化合物15、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。化合物5~13の化学構造は、以下の実施例に示される。
【0089】
いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマー塩は、約1ppmから約1000ppmの範囲の量でプロセス水に添加されてもよい。他の実施形態では、プロセス水中の添加されたカチオン性ポリマー塩の量は、約5ppm~約100ppm、約5ppm~約50ppm、約5ppm~約40ppm、約5ppm~約30ppm、約10ppm~約60ppm、約10ppm~約50ppm、約10ppm~約40ppm、約10ppm~約30ppm、約20ppm~約60ppm、約20ppm~約50ppm、約20ppm~約40ppm、または約20ppm~約30ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマー塩は、約100ppm~約1000、約125~約1000、約250~約1000、または約500~約1000の範囲の量までプロセス水に添加されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、この方法を使用して、任意の工業用水システムにおいて表面またはプロセス水を洗浄および消毒することができる。これらの工業用水システムとしては、開放再循環システムを含む冷却水システム、閉鎖式および貫流式冷却水システム、ボイラーおよびボイラー水システム、石油井戸システム、坑井内地層、地熱井および他の油田用途、ミネラル洗浄システム、浮遊選鉱システム、製紙工場の蒸解缶、洗濯機、漂白プラント、ストックチェスト、白水システム、製紙機械の表面、パルプ業界の黒液蒸発器、ガススクラバーおよびエアウォッシャー、冶金業界の連続鋳造プロセス、空調および冷凍システム、工業用および石油プロセス用水、間接接触冷却および加熱用水、水再生システム、浄水システム、膜ろ過水システム、食品加工用ストリーム(肉、野菜、テンサイ、サトウキビ、穀物、家禽、果物、および大豆)、廃棄物処理システム、浄化剤、固液処理、地方自治体下水処理、都市水道システム、飲料水システム、帯水層、貯水タンク、スプリンクラーシステム、ならびに給湯器を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0091】
いくつかの実施形態では、工業用水システムは、開放再循環式を含む冷却水システム、閉鎖式および貫流式冷却水システム、製紙機械の表面、食品加工ストリーム、廃棄物処理システム、および飲料水システムであり得る。
【0092】
なおもさらなる実施形態では、プロセス水を処理する方法は、プロセス水中の胞子または好熱菌を組成物と接触させるステップを含み得る。組成物は、胞子または好熱菌を部分的に不活性化するか、または殺すことができる。他の実施形態では、この方法は、プロセス水中の細菌を組成物と接触させるステップを含み得る。組成物は、プロセス水中の細菌を殺すか、または細菌もしくは微生物を部分的に殺すことができる。
【0093】
別の実施形態では、この方法で使用される組成物は、殺生物剤を含み得る。殺生物剤は、上に列挙したもののいずれかまたは他の既知の薬剤であり得る。組成物中の殺生物剤の量は、プロセス中の微生物を適切に制御するのに有効な量であり得る。
【0094】
本発明の別の態様は、表面での腐食を抑制するための組成物である。組成物は、本明細書に記載のカチオン性ポリマー塩と、有機溶媒、腐食抑制剤、有機硫黄化合物、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、乳化剤、水浄化剤、分散剤、エマルジョン破壊剤、ガスハイドレート抑制剤、殺生物剤、pH調整剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む成分とを含む。
【0095】
組成物は、例えば、約0.1~約20重量%の1種以上のカチオン性ポリマー塩および約80~約99.9重量%の成分;約0.1~約20重量%の1種以上のカチオン性ポリマー塩、約1~約60重量%の成分、および約20~約98.9重量%の水;約10~約20重量%の1種以上のカチオン性ポリマー塩、約30~約40重量%の成分、および約40~約60重量%の水;または約15~約20重量%の1種以上のカチオン性ポリマー塩、約1~約10重量%の成分、および約70~約84重量%の水を含み得る。
【0096】
組成物の成分は、有機溶媒を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1~80重量%、約5~50重量%、または約10~35重量%の1種以上の有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの組み合わせを含み得る。適切な有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
成分に加えて、組成物は、水を含むことができる。
【0098】
組成物の成分は、1種以上のカチオン性ポリマー塩に加えて腐食抑制剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~20重量%、0.1~10重量%、または0.1~5重量%の1種以上の追加の腐食抑制剤を含み得る。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0~10重量パーセントの1種以上の追加の腐食抑制剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、7.5重量%、8.0重量%、8.5重量%、9.0重量%、9.5重量%、10.0重量%、10.5重量%、11.0重量%、11.5重量%、12.0重量%、12.5重量%、13.0重量%、13.5重量%、14.0重量%、14.5重量%、または15.0重量%の1種以上の追加の腐食抑制剤を含み得る。各システムはそれ自体の要件を有することができ、組成物中の1種以上の追加の腐食抑制剤の重量パーセントは、それが使用されるシステムによって変更することができる。
【0099】
1種以上の追加の腐食抑制剤は、イミダゾリン化合物、四級アンモニウム化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0100】
1種以上の追加の腐食抑制剤成分は、イミダゾリンを含み得る。イミダゾリンは、例えば、エチレンジアミン(EDA)などのジアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)等、およびトール油脂肪酸(TOFA)などの長鎖脂肪酸から誘導されるイミダゾリンであり得る。イミダゾリンは、式(1A)のイミダゾリンまたはイミダゾリン誘導体であり得る。代表的なイミダゾリン誘導体としては、式(2A)のイミダゾリニウム化合物または式(3A)のビス四級化化合物が挙げられる。
【0101】
1種以上の追加の腐食抑制剤成分は、式(1A)のイミダゾリンを含み得、
【化23】
式中、R10aは、C~C20アルキル基またはC~C20アルコキシアルキル基であり、R11aは、水素、C~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル、またはC~Cアリールアルキルであり、R12aおよびR13aは、独立して、水素またはC~Cアルキル基である。好ましくは、イミダゾリンは、トール油脂肪酸(TOFA)に典型的なアルキル混合物であるR10aを含み、R11a、R12a、およびR13aは、各々水素である。
【0102】
1種以上の追加の腐食抑制剤成分は、式(2A)のイミダゾリン化合物を含み得、
【化24】
式中、R10aは、C~C20アルキル基またはC~C20アルコキシアルキル基であり、R11aおよびR14aは、独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル、またはC~Cアリールアルキルであり、R12aおよびR13aは、独立して、水素またはC~Cアルキル基であり、Xは、ハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、炭酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、または有機カルボン酸(酢酸塩など)のアニオンである。好ましくは、イミダゾリニウム化合物は、1-ベンジル-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-トール油-2-イミダゾリニウムクロリドを含む。
【0103】
1種以上の追加の腐食抑制剤は、式(3A)を有するビス四級化化合物を含み得、
【化25】
式中:
1aおよびR2aは、各々独立して、1~約29個の炭素原子を有する、非置換の分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキルもしくはアルケニル;1~約29個の炭素原子を有する部分的もしくは完全に酸素化、硫化、および/もしくはリン酸化された分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキルもしくはアルケニル;またはそれらの組み合わせであり、
3aおよびR4aは、各々独立して、1~約29個の炭素原子を有する、非置換の分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキレンもしくはアルケニレン;1~約29個の炭素原子を有する部分的もしくは完全に酸素化、硫化、および/もしくはリン酸化された分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキレンもしくはアルケニレン;またはそれらの組み合わせであり、
およびLは、各々独立して、存在しないか、H、-COOH、-SOH、-PO、-COOR5a、-CONH、-CONHR5a、または-CON(R5aであり、
5aは、各々独立して、1~約10個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル、アリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロアリール基であり、
nは、0または1であり、nが0のとき、Lは存在しないか、またはHであり、
xは、1~約10であり、
yは、1~約5である。好ましくは、R1aおよびR2aは、それぞれ独立して、C~C22アルキル、C~C20アルキル、C12~C18アルキル、C16~C18アルキル、もしくはそれらの組み合わせであり、R3aおよびR4aは、C~C10アルキレン、C~Cアルキレン、C~Cアルキレン、またはC~Cアルキレンであり、nは0もしくは1であり、xは2であり、yは1であり、RおよびRは-C-であり、Lは-COOH、-SOH、もしくは-POであり、Lは存在しないか、H、-COOH、-SOH、もしくは-POである。例えば、R1aおよびR2aは、トール油脂肪酸の混合物から誘導することができ、主としてC1733およびC1731の混合物であるか、またはC16~C18アルキルであり得;R3aおよびR4aは、C~Cアルキレン、例えば-C-であり得;nは、1であり、かつLは、-COOHであるか、またはnは、0であり、かつLは、存在しないかもしくはHであり;xは2であり;yは1であり;R3aおよびR4aは、-Cであり;Lは、-COOHである。
【0104】
式(3A)の各基について特定される炭素原子の数は、炭素原子の主鎖を指し、置換基によって寄与され得る炭素原子を含まないことを理解されたい。
【0105】
1種以上の追加の腐食抑制剤は、式(3A)を有するビス四級化イミダゾリン化合物を含むことができ、式中、R1aおよびR2aは、各々独立して、C~C22アルキル、C~C20アルキル、C12~C18アルキルであるか、またはC16~C18アルキルもしくはそれらの組み合わせであり;R4aは、C~C10アルキレン、C~Cアルキレン、C~Cアルキレン、もしくはC~Cアルキレンであり;xは、2であり;yは、1であり;nは、0であり;Lは、-COOH、-SOH、または-POであり、Lは、存在しないか、またはHである。好ましくは、ビス-四級化化合物は、式(3A)を有し、式中、R1aおよびR2aは、各々独立して、C16~C18アルキルであり;R4aは、-C-であり;xは、2であり;yは、1であり;nは、0であり;Lは、-COOH、-SOH、または-POであり、Lは、存在しないかまたはHである。
【0106】
1種以上の追加の腐食抑制剤は、式(4A)の四級アンモニウム化合物を含み得、
【化26】
式中、R1a、R2a、およびR3aは、独立して、C~C20アルキルであり、R4aは、メチルまたはベンジルであり、Xは、ハロゲン化物またはメトサルフェートである。
【0107】
適切なアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、またはアリールアミンの四級塩は、式[N5a6a7a8a][X]のアルキルアリール、アリールアルキル、およびアリールアミンの四級塩を含み、式中、R5a、R6a、R7aおよびR8aは、1~18個の炭素原子を含有し、Xは、Cl、Br、またはIである。四級塩の場合、R5a、R6a、R7aおよびR8aは、各々独立して、アルキル(例えば、C~C18アルキル)、ヒドロキシアルキル(例えば、C~C18ヒドロキシアルキル)、およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)であり得る。アルキルまたはアルキルアリールハロゲン化物との単環式または多環式芳香族アミン塩は、式[N5a6a7a8a][X]の塩を含み、式中、R5a、R6a、R7a、およびR8aは、1~18個の炭素原子および少なくとも1つのアリール基を含有し、Xは、Cl、Br、またはIである。
【0108】
適切な四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、テトラオクチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、フェニルトリメチルアンモニウム塩、フェニルトリエチルアンモニウム塩、セチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ジメチルアルキルベンジル四級アンモニウム塩、モノメチルジアルキルベンジル四級アンモニウム塩、またはトリアルキルベンジル四級アンモニウム塩(上記のアルキル基は、約6~約24個の炭素原子、約10~約18個の炭素原子、または約12~約16個の炭素原子を有する)を挙げることができるが、これらに限定されない。四級アンモニウム塩は、ベンジルトリアルキル四級アンモニウム塩、ベンジルトリエタノールアミン四級アンモニウム塩、またはベンジルジメチルアミノエタノールアミン四級アンモニウム塩であり得る。
【0109】
1種以上の追加の腐食抑制剤成分は、式(5A)で表されるものなどのピリジニウム塩を含み得、
【化27】
式中、R9aは、アルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基であり、当該アルキル基は、1~約18個の炭素原子を有し、Xは、塩化物、臭化物、またはヨウ化物などのハロゲン化物である。これらの化合物の中には、アルキルピリジニウム塩およびアルキルピリジニウムベンジル四級物がある。例示的な化合物としては、メチルピリジニウムクロリド、エチルピリジニウムクロリド、プロピルピリジニウムクロリド、ブチルピリジニウムクロリド、オクチルピリジニウムクロリド、デシルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルピリジニウムクロリド、およびアルキルベンジルピリジニウムクロリドが挙げられ、好ましくは、アルキルは、C~Cヒドロカルビル基である。好ましくは、ピリジニウム化合物は、ベンジルピリジニウムクロリドを含む。
【0110】
1種以上の追加の腐食抑制剤成分は、リン酸エステル、モノマーもしくはオリゴマー脂肪酸、またはアルコキシル化アミンなどの追加の腐食抑制剤を含み得る。
【0111】
1種以上の追加の腐食抑制剤成分は、リン酸エステルを含み得る。適切なモノ-、ジ-、およびトリ-アルキル、ならびにモノ-、ジ-および、トリエタノールアミンのアルキルアリールリン酸エステル、およびリン酸エステルは、典型的には1~約18個の炭素原子を含有する。好ましいモノ-、ジ-、およびトリアルキルリン酸エステル、アルキルアリール、またはアリールアルキルリン酸エステルは、C~C18脂肪族アルコールを五酸化リンと反応させることによって調製されるものである。リン酸エステル中間体は、そのエステル基をトリエチルホスフェートと交換して、より広い分布のアルキルリン酸エステルを生成する。
【0112】
あるいは、リン酸エステルは、アルキルジエステルを、低分子量アルキルアルコールまたはジオールの混合物と混和することによって作製され得る。低分子量アルキルアルコールまたはジオールは、好ましくはC~C10アルコールまたはジオールを含む。さらに、1つ以上の2-ヒドロキシエチル基を含有するポリオールのリン酸エステルおよびそれらの塩、ならびにポリリン酸または五酸化リンをジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなどのヒドロキシルアミンと反応させることによって得られるヒドロキシルアミンリン酸エステルが好ましい。
【0113】
1種以上の追加の腐食抑制剤成分は、モノマーまたはオリゴマー脂肪酸を含み得る。好ましいモノマーまたはオリゴマー脂肪酸は、C14~C22飽和および不飽和脂肪酸、ならびにそのような脂肪酸のうちの1つ以上を重合することによって得られるダイマー、トリマー、およびオリゴマー生成物である。
【0114】
1種以上の追加の腐食抑制剤成分は、アルコキシル化アミンを含み得る。アルコキシル化アミンは、エトキシル化アルキルアミンであり得る。アルコキシル化アミンは、エトキシル化獣脂アミンであり得る。
【0115】
組成物の成分は、有機硫黄化合物、例えばメルカプトアルキルアルコール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、L-システイン、tert-ブチルメルカプタン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含み得る。好ましくは、メルカプトアルキルアルコールは、2-メルカプトエタノールを含む。かかる化合物は、組成物中で相乗剤として使用される。有機硫黄化合物は、組成物の総重量に基づいて、組成物の0.5~15重量%、好ましくは約1~約10重量%、より好ましくは約1~約5重量%を構成し得る。有機硫黄化合物は、組成物の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15重量%を構成し得る。
【0116】
組成物の成分は、抗乳化剤をさらに含み得る。好ましくは、抗乳化剤は、ポリアルキレングリコールなどのオキシアルキレートポリマーを含む。抗乳化剤は、組成物の総重量に基づいて、組成物の約0.1~10重量%、約0.5~5重量%、または約0.5~4重量%を構成し得る。抗乳化剤は、組成物の0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5重量%を構成し得る。
【0117】
組成物の成分は、アスファルテン抑制剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~10重量%、約0.1~5重量%、または約0.5~4重量%のアスファルテン抑制剤を含み得る。適切なアスファルテン抑制剤としては、脂肪族スルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アリールスルホネート、リグノスルホネート、アルキルフェノール/アルデヒド樹脂および類似のスルホン化樹脂、ポリオレフィンエステル、ポリオレフィンイミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンエステル、ポリオレフィンアミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンアミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンイミド、アルケニル/ビニルピロリドンコポリマー、ポリオレフィンと無水マレイン酸またはビニルイミダゾールとのグラフトポリマー、超分岐ポリエステルアミド、ポリアルコキシル化アスファルテン、両性脂肪酸、コハク酸アルキルの塩、モノオレイン酸ソルビタン、およびポリイソブチレン無水コハク酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
組成物の成分は、パラフィン抑制剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~10重量%、約0.1~5重量%、または約0.5~4重量%のパラフィン抑制剤を含み得る。適切なパラフィン抑制剤としては、パラフィン結晶改質剤、および分散剤/結晶改質剤の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適切なパラフィン結晶改質剤としては、アルキルアクリレートコポリマー、アルキルアクリレートビニルピリジンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、分岐ポリエチレン、ナフタレン、アントラセン、マイクロクリスタリンワックス、および/またはアスファルテンが挙げられるが、これらに限定されない。適切なパラフィン分散剤としては、ドデシルベンゼンスルホネート、オキシアルキル化アルキルフェノール、およびオキシアルキル化アルキルフェノール樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
組成物の成分は、スケール抑制剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~20重量%、約0.5~10重量%、または約1~10重量%のスケール抑制剤を含み得る。適切なスケール抑制剤としては、リン酸塩、リン酸エステル、リン酸、ホスホン酸エステル、ホスホン酸、ポリアクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホネート/アクリル酸コポリマー(AMPS/AA)の塩、リン酸化マレイン酸コポリマー(PHOS/MA)、およびポリマレイン酸/アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホネートターポリマー(PMA/AA/AMPS)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
組成物の成分は、乳化剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~10重量%、約0.5~5重量%、または約0.5~4重量%の乳化剤を含み得る。適切な乳化剤としては、カルボン酸の塩、カルボン酸またはカルボン酸無水物とアミンとの間のアシル化反応の生成物、ならびに糖のアルキル、アシル、およびアミド誘導体(アルキル-糖乳化剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
組成物の成分は、水浄化剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~10重量%、約0.5~5重量%、または約0.5~4重量%の水浄化剤を含み得る。適切な水浄化剤としては、ミョウバン、塩化アルミニウム、およびアルミニウムクロロハイドレートなどの無機金属塩、またはアクリル酸系ポリマー、アクリルアミド系ポリマー、重合アミン、アルカノールアミン、チオカルバメート、およびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)などのようなカチオン性ポリマーなどの有機ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
組成物の成分は、分散剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~10重量%、約0.5~5重量%、または約0.5~4重量%の分散剤を含み得る。適切な分散剤としては、限定されないが、ヒドロキシエチルジホスホン酸などの2~50個の炭素を有する脂肪族ホスホン酸、およびアミノアルキルホスホン酸、例えば、2~10個のN原子を有するポリアミノメチレンホスホネート(例えば、各々が少なくとも1つのメチレンホスホン酸基を有する)が挙げられ、後者の例は、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、および各N原子間に2~4個のメチレン基を有し、各ホスホネートにおけるメチレン基の数の少なくとも2つが異なるトリアミン-およびテトラアミン-ポリメチレンホスホネートである。他の適切な分散剤としては、リグニン、またはリグノスルホネートなどのリグニンの誘導体、ならびにナフタレンスルホン酸および誘導体が挙げられる。
【0123】
組成物の成分は、エマルジョン破壊剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~10重量%、約0.5~5重量%、または約0.5~4重量%のエマルジョン破壊剤を含み得る。適切なエマルジョン破壊剤としては、ドデシルベンジルスルホン酸(DDBSA)、キシレンスルホン酸のナトリウム塩(NAXSA)、エポキシ化およびプロポキシル化化合物、アニオン性、カチオン性、および非イオン性界面活性剤、ならびにフェノールおよびエポキシ樹脂などの樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
組成物の成分は、硫化水素捕捉剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1~50重量%、約1~40重量%、または約1~30重量%の硫化水素捕捉剤を含み得る。適切な追加の硫化水素捕捉剤としては、酸化剤(例えば、過酸化ナトリウムまたは二酸化塩素などの無機過酸化物)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレイン、またはメタクロレインなどの炭素数1~10のもの)、トリアジン(例えば、モノエタノールアミントリアジン、モノメチルアミントリアジン、および複数のアミンからのトリアジン、またはこれらの混合物)、二級または三級アミンとアルデヒドとの縮合生成物、ならびにアルキルアルコールとアルデヒドとの縮合生成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
組成物の成分は、ガスハイドレート抑制剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~25重量%、約0.5~20重量%、または約1~10重量%のガスハイドレート抑制剤を含み得る。適切なガスハイドレート抑制剤としては、熱力学的ハイドレート抑制剤(THI)、動的ハイドレート抑制剤(KHI)、および凝集抑制剤(AA)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な熱力学的ハイドレート抑制剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、ギ酸塩ブライン(例えば、ギ酸カリウム)、ポリオール(グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、グルコネート、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、モノブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、および糖アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール)など)、メタノール、プロパノール、エタノール、グリコールエーテル(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなど)、ならびにアルコールのアルキルエステルまたは環状エステル(乳酸エチル、乳酸ブチル、安息香酸メチルエチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
組成物の成分は、動的ハイドレート抑制剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~25重量%、約0.5~20重量%、または約1~10重量%の動的ハイドレート抑制剤を含み得る。適切な動的ハイドレート抑制剤および凝集抑制剤としては、ポリマーおよびコポリマー、多糖類(ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、デンプン誘導体、およびキサンタンなど)、ラクタム(ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルラクタムなど)、ピロリドン(種々の分子量のポリビニルピロリドンなど)、界面活性剤(脂肪酸塩、エトキシル化アルコール、プロポキシル化アルコール、ソルビタンエステル、エトキシル化ソルビタンエステル、脂肪酸のポリグリセリンエステル、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエステルスルホネート、アルキル芳香族スルホネート、アルキルベタイン、アルキルアミドベタインなど)、炭化水素系分散剤(リグノスルホネート、イミノジサクシネート、ポリアスパルテートなど)、アミノ酸、ならびにタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
組成物の成分は、殺生物剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~10重量%、約0.5~5重量%、または約0.5~4重量%の殺生物剤を含み得る。適切な殺生物剤としては、酸化性および非酸化性殺生物剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な非酸化殺生物剤としては、例えば、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、およびアクロレイン)、アミン型化合物(例えば、四級アミン化合物およびココジアミン)、ハロゲン化化合物(例えば、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-3-ジオール)(Bronopol)および2 2ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、硫黄化合物(例えば、イソチアゾロン、カルバメート、およびメトロニダゾール)、ならびに四級ホスホニウム塩(例えば、テトラキス(ヒドロキシメチル)-ホスホニウムサルフェート(THPS))が挙げられる。適切な酸化殺生物剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸リチウム、塩素化ヒダントイン、安定化次亜臭素酸ナトリウム、活性臭化ナトリウム、臭素化ヒダントイン、二酸化塩素、オゾン、および過酸化物が挙げられる。
【0128】
組成物の成分は、pH調整剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~20重量%、約0.5~10重量%、または約0.5~5重量%のpH調整剤を含み得る。適切なpH調整剤は、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属重炭酸塩、およびこれらの混合物または組み合わせを含むが、これらに限定されない。例示的なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、および水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0129】
組成物の成分は、界面活性剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~10重量%、約0.5~5重量%、または約0.5~4重量%の界面活性剤を含み得る。適切な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルコールサルフェート、アルコールエーテルサルフェート、アルキルカルボキシレートおよびアルキルエーテルカルボキシレート、ならびにアルキルおよびエトキシル化アルキルリン酸エステル、ならびにモノおよびジアルキルスルホサクシネートおよびスルホサクシネートが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、エチレン、プロピレン、およびブチレンオキシドのブロックコポリマー、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、ポリアルコキシル化グリセリド、ソルビタンエステル、およびポリアルコキシル化ソルビタンエステル、ならびにアルコイルポリエチレングリコールエステルおよびジエステルが挙げられる。ベタインおよびスルタン(sultane)、両性界面活性剤、例えばアルキルアンホアセテートおよびアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネートおよびアンホジプロピオネート、ならびにアルキルイミノジプロピオネートなども含まれる。
【0130】
本発明に従って作製された腐食抑制剤組成物は、有益な性質を提供する追加の機能剤または添加剤をさらに含み得る。例えば、追加の薬剤または添加剤は、金属イオン封鎖剤、可溶化剤、潤滑剤、緩衝剤、洗浄剤、リンス助剤、保存剤、結合剤、増粘剤もしくは他の粘度調整剤、加工助剤、担体、水質調整剤、発泡抑制剤もしくは発泡剤、スレッショルド剤(threshold agent)もしくは系、審美的増強剤(すなわち、染料、着臭剤、香料)、または腐食抑制剤組成物を用いた配合に適した他の添加剤、およびこれらの混合物であり得る。追加の薬剤または添加剤は、製造されている特定の腐食抑制剤組成物および当業者が理解するであろうその意図された用途に従って変化するであろう。
【0131】
あるいは、組成物は、追加の薬剤または添加剤のいずれも含有しなくてよい。
【0132】
さらに、本発明の腐食抑制剤は、以下の成分を含む組成物に配合することができる。これらの配合物は、列挙された成分の範囲を含み、任意に追加の薬剤を含み得る。以下の表の値は、重量パーセントである。
【表1】
【0133】
本発明の別の態様は、表面での腐食を抑制する方法である。この方法は、以下のいずれかを含む。表面をカチオン性ポリマー塩と接触させて、表面上の腐食を抑制すること;カチオン性ポリマー塩と、有機溶媒、腐食抑制剤、有機硫黄化合物、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、乳化剤、水浄化剤、分散剤、エマルジョン破壊剤、ガスハイドレート抑制剤、殺生物剤、pH調整剤、界面活性剤、もしくはそれらの組み合わせを含む成分とを含む組成物と表面を接触させて、表面上の腐食を抑制すること;または化合物もしくは組成物を、表面に接触する流体に添加して、表面上の腐食を抑制すること。カチオン性ポリマー塩は、化合物1~15などの本明細書に記載のカチオン性ポリマー塩のうちの1つ以上であり得る。組成物は、本明細書に記載されるような任意の組成物であり得る。
【0134】
ポリマー塩/組成物は、例えば、ガス流または液体流を、本明細書に記載されるような有効量の化合物または組成物で処理することによって、油およびガス用途における腐食を抑制するために使用することができる。化合物および組成物は、表面での腐食を抑制することが望ましいあらゆる産業において使用され得る。
【0135】
ポリマー塩/組成物は、水システム、凝縮液/油システム/ガスシステム、またはそれらの任意の組み合わせにおいて使用することができる。例えば、ポリマー塩/組成物は、熱交換器表面上のスケールを制御するのに使用することができる。
【0136】
ポリマー塩/組成物を、生成されたガスまたは液体に適用するか、または原油もしくは天然ガスの生成、輸送、貯蔵、および/もしくは分離に使用することができる。
【0137】
ポリマー塩/組成物は、石炭火力発電所などの石炭火力プロセスで使用されるかまたは製造されるガス流に適用することができる。
【0138】
ポリマー塩/組成物は、廃水プロセス、農場、食肉処理場、埋め立て地、地方自治体廃水プラント、コークス用炭プロセス、またはバイオ燃料プロセスで製造または使用されるガスまたは液体に適用することができる。
【0139】
ポリマー塩/組成物が導入され得る流体は、水性媒体であり得る。水性媒体は、水、ガス、および任意に液体炭化水素を含み得る。
【0140】
ポリマー塩/組成物が導入され得る流体は、液体炭化水素であり得る。液体炭化水素は、原油、重油、加工残油、瀝青油、コーカー油、コーカー軽油、流動接触分解供給原料、軽油、ナフサ、流動触媒分解スラリー、ディーゼル燃料、燃料油、ジェット燃料、ガソリン、および灯油が挙げられるが、これらに限定されない任意の種類の液体炭化水素であり得る。
【0141】
流体またはガスは、精製された炭化水素生成物であり得る。
【0142】
ポリマー塩/組成物で処理された流体またはガスは、周囲温度または高温などの任意の選択された温度であり得る。流体(例えば、液体炭化水素)またはガスは、約40℃~約250℃の温度であり得る。流体またはガスは、-50℃~300℃、0℃~200℃、10℃~100℃、または20℃~90℃の温度であり得る。流体またはガスは、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、または40℃の温度であり得る。流体またはガスは、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、または100℃の温度であり得る。
【0143】
ポリマー塩/組成物は、様々なレベルの含水率で流体に添加することができる。例えば、含水率は、0%~100%体積/体積(v/v)、1%~80%v/v、または1%~60%v/vであり得る。流体は、様々なレベルの塩分を含有する水性媒体であり得る。流体は、0%~25%、約1%~24%、または約10%~25%重量/重量(w/w)の全溶解固形物(TDS)の塩分を有し得る。
【0144】
ポリマー塩/組成物が導入される流体またはガスは、多くの異なる種類の装置に収容されおよび/またはそれに曝露され得る。例えば、流体またはガスは、石油および/またはガスパイプラインなどの、ある点から別の点へ流体またはガスを輸送する装置に収容することができる。装置は、パイプライン、分離容器、脱水装置、またはガスラインなどの石油および/またはガス精製所の一部であり得る。流体は、坑口などの、石油の抽出および/または生成に使用される装置に収容されおよび/またはそれに曝露され得る。装置は、石炭火力発電所の一部であり得る。装置は、スクラバー(例えば、湿式排煙脱硫装置、噴霧乾燥吸収装置、乾燥収着剤注入装置、噴霧塔、接触塔または気泡塔等)であり得る。装置は、貨物船、貯蔵船、貯蔵タンク、またはタンク、船、もしくは処理ユニットを接続するパイプラインであり得る。
【0145】
ポリマー塩/組成物は、流体またはガスを通して確実に分散させるための任意の適切な方法によって流体またはガスに導入することができる。
【0146】
炭化水素流体が表面に接触する前に、ポリマー塩/組成物を炭化水素流体に添加することができる。
【0147】
ポリマー塩/組成物は、腐食抑制および/またはシュム除去が所望される点より上流のフローライン内の点で添加され得る。
【0148】
例えば、ポリマー塩/組成物は、化学注入ポンプ、パイピングティー、注入器具、アトマイザー、クイル等の機械装置を使用して注入することができる。
【0149】
本発明のポリマー塩/組成物は、用途および要件に応じて、1つまたは複数の追加の極性または非極性溶媒を用いてまたは用いずに導入することができる。
【0150】
ポリマー塩/組成物は、アンビリカルラインを使用して、石油および/またはガスパイプラインに圧送することができる。毛管注入システムを使用して、ポリマー塩/組成物を選択された流体に送達することができる。
【0151】
組成物が導入され得る流体は、水性媒体であり得る。水性媒体は、水、ガス、および任意に液体炭化水素を含み得る。ポリマー塩/組成物が導入され得る流体は、液体炭化水素であり得る。
【0152】
ポリマー塩/組成物は、液体中に導入され、混合され得る。
【0153】
ポリマー塩/組成物は、水溶液または非水溶液、混合物、またはスラリーとしてガス流に注入することができる。
【0154】
流体またはガスは、ポリマー塩/組成物を含む吸収塔を通過することができる。
【0155】
ポリマー塩/組成物を流体またはガスに適用して、任意の選択された濃度を提供することができる。実際には、ポリマー塩/組成物は、典型的には約0.01~約5,000ppmの記載された化合物の有効処理用量を提供するためにフローラインに添加される。ポリマー塩/組成物を流体またはガスに適用して、100万当たり約1部(ppm)~約1,000,000ppm、100万当たり約1部(ppm)~約100,000ppm、または約10ppm~約75,000ppmの活性物質濃度を提供することができる。ポリマー塩/組成物を流体に適用して、約100ppm~約10,000ppm、約200ppm~約8,000ppm、または約500ppm~約6,000ppmの活性物質濃度を提供することができる。活性物質濃度は、式(1)の化合物の濃度を意味する。
【0156】
ポリマー塩/組成物を流体またはガスに適用して、0.1ppm、0.5ppm、1ppm、2ppm、5ppm、10ppm、20ppm、100ppm、200ppm、500ppm、または1,000の活性物質濃度を提供することができる。ポリマー塩/組成物を流体またはガスに適用して、0.125ppm、0.25ppm、0.625ppm、1ppm、1.25ppm、2.5ppm、5ppm、10ppm、または20ppmの活性物質濃度を提供することができる。各システムは、それ自体の用量レベル要件を有することができ、腐食速度を十分に低減するためのポリマー塩/組成物の有効用量レベルは、それが使用されるシステムによって変わり得る。
【0157】
ポリマー塩/組成物は、連続的に、バッチで、またはそれらの組み合わせで適用することができる。ポリマー塩/組成物の用量は、腐食を防ぐために連続的であり得る。ポリマー塩/組成物の用量は、間欠的(すなわちバッチ処理)であり得るか、またはポリマー塩/組成物の用量は、腐食を抑制するために連続的/維持的および/もしくは間欠的であり得る。
【0158】
連続処理のための投与速度は、典型的には、約10~約500ppm、または約10~約200ppmの範囲である。バッチ処理のための投与速度は、典型的には、約10~約400,000ppm、または約10~約20,000ppmの範囲である。ポリマー塩/組成物は、パイプラインへの丸剤として適用することができ、高用量(例えば、20,000ppm)の組成物を提供する。
【0159】
ポリマー塩/組成物が使用されるフローラインの流速は、毎秒0~100フィート、または毎秒0.1~50フィートであり得る。フローラインへの添加を容易にするために、ポリマー塩/組成物を水と配合することもできる。
【0160】
表面は、原油または天然ガスなどの流体の生成、輸送、貯蔵、および/または分離に使用される坑井または装置の一部であり得る。
【0161】
より具体的には、表面は、石炭燃焼プロセス、廃水プロセス、農場、食肉処理場、埋立地、自治体廃水プラント、コークス用石炭プロセス、またはバイオ燃料プロセスを使用する装置の一部であり得る。好ましくは、表面は、原油または天然ガスの生成に使用される装置の一部であり得る。
【0162】
装置は、パイプライン、貯蔵容器、坑内注入管、フローライン、または注入ラインを含むことができる。
【0163】
本発明のポリマー塩/組成物は、他の用途において腐食を抑制するために使用することができる。
【0164】
ポリマー塩/組成物は、食品サービスまたは食品加工産業における容器、加工設備、または装置の腐食抑制に有用である。ポリマー塩/組成物は、食品包装材料および装置上での使用にとって、かつ特に低温または高温無菌包装にとって特に価値がある。ポリマー塩/組成物を用いることができる加工設備の例としては、ミルク管酪農、連続醸造システム、汲み上げ可能な食品システムおよび飲料ラインなどの食品加工ライン、食器洗浄器、低温食器洗浄器、食器類、ボトル洗浄機、ボトル冷却装置、加温器、第3のシンク洗浄器、タンク、バット、ライン、ポンプ、およびホースなどの加工装置(例えば、牛乳、チーズ、アイスクリーム、および他の乳製品を加工するための乳製品加工装置)、ならびに輸送車両が挙げられる。ポリマー塩/組成物を使用して、清涼飲料材料の製造および貯蔵に使用されるタンク、ライン、ポンプ、および他の装置における腐食を抑制することができ、また飲料用の瓶詰めまたは容器に使用することもできる。
【0165】
ポリマー塩/組成物はまた、他の工業装置上またはその中、および例えばヒーター、冷却塔、ボイラー、レトルト水、すすぎ水、無菌包装洗浄水等の他の工業プロセス流中で使用することもできる。ポリマー塩/組成物を使用して、プール、温泉、娯楽用水路およびウォータースライド、噴水等の娯楽用水中の表面を処理することができる。
【0166】
ポリマー塩/組成物を使用して、清掃および/またはハウスキーピング用途、食品加工装置、および/または植物用途、ならびに洗濯用途に見られる表面中のクリーナーと接触する金属表面の腐食を抑制することができる。例えば、布地を洗浄するためのトンネル式洗浄器などの洗浄器の腐食は、本明細書に開示されている方法に従って抑制することができる。
【0167】
ポリマー塩/組成物は、低温の食器および/または食器用消毒の最終リンス、便器洗浄剤、および洗濯用漂白剤と組み合わせて使用または適用することができる。これらの化合物、組成物、および方法を使用して、腐食性供給源を用いて清掃および/または消毒された食器などの金属表面を処理することができる。
【0168】
本明細書に開示されている化合物、組成物、および方法は、次亜塩素酸塩漂白剤によって引き起こされる腐食から表面を保護する。方法は、次亜塩素酸塩溶液によって引き起こされる腐食を抑制するために、次亜塩素酸塩溶液で処理された表面に腐食抑制剤ポリマー塩/組成物を提供することを含み得る。方法は、本腐食抑制剤組成物の水性使用組成物を調製することを含み得る。方法は、次亜塩素酸塩溶液との接触による腐食抑制が必要な硬質金属表面などの表面を接触させることをさらに含み得る。
【0169】
ポリマー塩/組成物は、当業者に一般に知られている任意の適切な方法で分配することができる。例えば、米国特許第4,826,661号、同第4,690,305号、同第4,687,121号、同第4,426,362号、ならびに米国特許第Re32,763号および同第32,818号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどの噴霧型ディスペンサーが使用され得る。噴霧型ディスペンサーは、組成物の一部分を溶解させるために組成物の露出面に水噴霧を衝突させ、次いで直ちに組成物を含む濃縮物溶液をディスペンサーから貯蔵リザーバへ、または使用点に直接向けることによって機能する。
【0170】
ポリマー塩/組成物は、間欠的にまたは連続的に水中に浸漬することによって分配することができる。次いで、組成物は、例えば制御されたまたは所定の速度で溶解することができる。この速度は、本明細書に開示されている方法に従って使用するのに有効である、溶解剤の濃度を維持するのに有効であり得る。
【実施例
【0171】
以下の非限定的な実施例は、本開示の様々な態様をさらに説明するために提供される。別段の記載がない限り、全ての化学物質は、供給元から受領したまま使用した。
【0172】
カチオン性ポリマー塩のNMR試料は、DO中で調製した。全てのスペクトルは、25℃で得た。炭素用の10mm広帯域プローブまたはZ勾配を有するプロトン用の5mmの2チャンネルプローブを備えたAGILENT 500MHz分光計で実施された単一パルスシーケンスを使用して、定量的プロトン(H)および炭素(13C)を得た。4~8スキャンでHスペクトルを得た。400~500スキャンで13Cスペクトルを得た。MestReNova v.9を使用して、データを処理し、分析した(Mestrelab,Spain)。
【0173】
化学シフト(ppm)は、別段の記載がない限り、参照として残留溶媒ピークを使用して、TMS(テトラメチルシラン)に対して報告される。次の略語を使用して、多重度を表す。s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項、br=広域。
【0174】
カチオン性界面活性剤の質量分析は、イオンフィルターとして四重極を備え、かつエレクトロスプレーイオン化(ESI)源を備えたQ EXACTIVE ORBITRAP高分解能質量分析計(Thermo Fisher Scientific)で行った。界面活性剤試料を約100ppmに希釈し、次いで10μL/分の流量で注入により質量分析計に注入した。スペクトルは、ポジティブESIモードで取得した。走査範囲:50~750m/z;分解能:140k;AGCターゲット:3;シースガス流量:2(任意単位);補助ガス流量:0(任意単位);噴霧電圧:2.5kV;毛細管温度:150℃;補助ガスヒーター温度:30℃;およびS-Len RFレベル:50。データを取得し、XCALIBURおよびFREESTYLEソフトウェア(Thermo Fisher Scientific)によって分析した。
【0175】
実施例1:メチル基を有する複数の四級カチオン性界面活性剤の合成
ジエチレントリアミン(DETA、10.32グラム、0.10mol)および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(156.7グラム、60.0%、0.50mol、(Sigma-Aldrich))を、機械撹拌器、温度計、温度調節器、凝縮器、および添加漏斗を備えた500mLの四首丸底フラスコに加えた。反応混合物を撹拌し、穏やかに約60℃に加熱した。反応のpH値を、連続的にモニタリングした。水酸化ナトリウム(50%水溶液)を、反応フラスコにゆっくり加え、温度を60℃で一定に保った。反応溶液のpH値を測定し、7.5より上で一定に保った。反応温度を85℃に上げ、5時間にわたって一定に保った。反応スキームは以下の通りであり、ここでR、R、およびRは、メチルであり、nは、1である。
【化28】
【0176】
13C NMR(500MHz、DO、25℃)スペクトルは、44~46ppmおよび58~59.3ppmで化学シフトを示し、これは反応したDETAに帰属した。47.5ppmの共鳴シグナルは、未反応の3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド中の塩素化メチレンを表す。3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの総量は、メチル基からの54.5ppmでの鋭いシグナルに基づいて決定した。DETA当たりの平均電荷は4.8であり、理論値の5電荷と一致した。MS(ESI):計算値[M-2Cl2+394.275、実測値394.278;計算値[M-3Cl3+251.193、実測値251.195;計算値[M-4Cl4+179.655、実測値179.654;計算値[M-5Cl5+136.73、実測値136.73。
【0177】
実施例2:ラウリル基を有する複数の四級カチオン性界面活性剤の合成
ラウリル鎖を有する複数の四級カチオン性界面活性剤は、ジエチレントリアミン(DETA)と3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ドデシル-ジメチルアンモニウムクロリド(Quab Chemicals(Saddle Brook,NJ)からのQUAB 342(商標))とを反応させることによって合成した。ジエチレントリアミン(5.16グラム、0.05mol)および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ドデシル-ジメチルアンモニウムクロリド(222.66グラム、38.4重量%、0.25mol)を、機械撹拌器、温度計、温度調節器、冷却器、および添加漏斗を備えた500mLの4首フラスコに入れた。反応混合物を撹拌し、穏やかに約60℃に加熱した。反応のpH値を、連続的にモニタリングした。水酸化ナトリウム(50%水溶液)を、反応フラスコにゆっくり加え、温度を60℃で一定に保った。反応溶液のpH値を測定し、7.5より上で一定に保った。反応温度を85℃に上げ、5時間にわたって一定に保った。
【0178】
質量分析データは、反応生成物が2つの四級-2-ジメチルドデシルアンモニウムクロリドの混合物を含むことを示した(MS(ESI):計算値[M-2Cl2+321.83、実測値321.83);3四級-3ジメチルドデシルアンモニウムクロリド(MS(ESI):計算値[M-Cl983.89、実測値983.89;計算値[M-2Cl2+474.46、実測値474.46;4四級-4ジメチルドデシルアンモニウムクロリド(MS(ESI):計算値[M-Cl1289.14、実測値1289.13、計算値[M-2Cl2+627.08、実測値627.08;計算値[M-3Cl3+406.40、実測値406.40;計算値[M-4Cl4+296.06、実測値296.06);および5四級-5ジメチルドデシルアンモニウムクロリド(MS(ESI):計算値[M-2Cl2+779.71、実測値779.71;計算値[M-3Cl3+508.15、実測値508.48;計算値[M-4Cl4+372.37、実測値372.37)。0.050重量%水溶液での表面張力63.63mN/m。
【0179】
実施例3:異なるアルキル鎖を有する複数の四級カチオン性界面活性剤の合成
5四級カチオン性界面活性剤は、実施例1に記載の手順を使用し、ジエチレントリアミン(DETA、10.32グラム、0.10mol)および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(62.7グラム、60.0%、0.20 0 mol)、および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ジメチルドデシルアンモニウムクロリド(267.2グラム、38.4重量%、0.30mol)(QUAB 342(商標))を反応させることによって合成した。
【0180】
あるいは、合成は、異なるモル比の3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドと3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ジメチルオクタデシルアンモニウムクロリドとの混合物を使用して行うことができるが、合計5モルのトリアルキルアンモニウムクロリドを一定に保った。
【0181】
6四級カチオン性界面活性剤は、実施例1に記載の手順を使用し、トリエチレンテトラアミン(TETA、12.2グラム、60重量%、0.05mol)および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド(336.3グラム、38.0%、0.30mol;Quab Chemicals(Saddle Brook,NJ)からのQUAB 426(商標))を、プロピレングリコール(PP425、69.9グラム)中で反応させることによって合成した。
【0182】
水/プロパンジオールと水/プロパンジオール/PP425または水/ヘキシレングリコールとの混合物の間で溶媒を変えることが、反応中に均一相を達成することが決定された。さらに、プロパンジオールおよびプロピレングリコールは、長アルキル鎖を有する複数のカチオン性界面活性剤の水溶性を増大させることがわかった。
【0183】
化合物1は、ジエチレントリアミン(1mol)、(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)ラウリルジメチルアンモニウムクロリド(4mol)、および(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(1mol)を使用して合成した。質量分析により、化合物1の合成を確認した。計算値[M-2Cl2+702.62、実測値703.62;計算値[M-3Cl3+456.76、実測値457.09。
【化29】
【0184】
化合物2は、ジエチレントリアミン(1mol)、(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)ラウリルジメチルアンモニウムクロリド(3mol)、および(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(2mol)を使用して合成した。質量分析により、化合物2の合成を確認した。計算値[M-2Cl2+625.54、実測値626.53;計算値[M-3Cl3+405.37、実測値405.7;計算値[M-4Cl4+295.28、実測値295.28。
【化30】
【0185】
化合物3は、ジエチレントリアミン(1mol)および(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)ラウリルジメチルアンモニウムクロリド(5mol)を使用して合成した。質量分析により、化合物3の合成を確認した。計算値[M-2Cl2+779.71、実測値779.71;計算値[M-3Cl3+508.15、実測値508.48;計算値[M-4Cl4+372.37、実測値372.37。
【化31】
【0186】
化合物4は、ジエチレントリアミン(1mol)、(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)オクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(3mol)、および(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(2mol)を使用して合成した。
【化32】
【0187】
化合物5および6は、上記のように、化合物1~3と同様に合成した。質量分析により、化合物5の合成を確認した。計算値[M-2Cl2+548.45、実測値549.45;計算値[M-3Cl3+353.98、実測値354.64;計算値[M-4Cl4+256.74、実測値256.74。質量分析により、化合物6の合成を確認した:[M-5Cl5+167.56、実測値167.56。
【化33】
【0188】
化合物7~12は、上記の化合物4と同様の方法で合成した。異なる比率の反応物は、カチオン性ポリマー中に異なる割合の長鎖アルキル基を生じた。
【化34】
【0189】
上述の合成スキーム、例えば、DETA、TETA、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(Dow Chemical Company(Midland,Michigan)からのQUAT 188(商標)カチオン性モノマー)およびQUAB 426(商標)反応物を使用して、様々な複数のカチオン性界面活性剤を合成し、生成物を以下の表1に要約する。表1に報告される構造に関して、「5Q-1ステアリル(C18)/4トリメチル四級物」は、生成物が合計5つの四級基(5Q)を有し、これらのうち1つの四級基が、RおよびRをメチルとして、ならびにRをステアリルとして有し、4つの四級基が、R、R、およびRをメチルとして有し、n=1であることを意味する。同様に、「5Q-2ステアリル(C18)/3トリメチル四級物」は、生成物が合計5つの四級基(5Q)を有し、これらのうち2つの四級基が、RおよびRをメチルとして、ならびにRをステアリルとして有し、3つの四級基が、R、R、およびRをメチルとして有し、n=1であることを意味する。「5Q-3ステアリル(C18)/2トリメチル四級物」は、生成物が合計5つの四級基(5Q)を有し、これらのうち3つの四級基が、RおよびRをメチルとして、ならびにRをステアリルとして有し、2つの四級基が、R、R、およびRをメチルとして有し、n=1であることを意味する。「5Q-4ステアリル(C18)/1トリメチル四級物」は、生成物が合計5つの四級基(5Q)を有し、これらのうち4つの四級基が、RおよびRをメチルとして、ならびにRをステアリルとして有し、1つの四級基が、R、R、およびRをメチルとして有し、n=1であることを意味する。「5Q-5ステアリル(C18)」は、生成物が合計5つの四級基(5Q)を有し、これらのうち5つの四級基が、RおよびRをメチルとして、ならびにRをステアリルとして有し、n=1であることを意味する。「6Q-6ステアリル(C18)」は、生成物が合計6つの全四級基(6Q)を有し、これらのうち6つの四級基が、RおよびRをメチルとして、ならびにRをステアリルとして有し、n=2であることを意味する。
【表2】
【0190】
化合物9の質量スペクトルは、反応生成物が、2-C18/3-トリメチルの混合物を含むことを示した(MS(ESI):計算値[M-2Cl2+632.545;実測値632.5423;計算値[M-3Cl3+410.04、実測値410.038;計算値[M-4Cl4+298.7875、実測値298.786;計算値[M-5Cl5+232.036、実測値232.210);2-C16/3-トリメチル(MS(ESI):計算値[M-2Cl2+604.51;実測値604.51、計算値[M-3Cl3+391.35、実測値391.35;計算値[M-4Cl4+284.77、実測値284.77;計算値[M-5Cl5+220.824、実測値220.555;1-C18/1-C16/3-トリメチル(MS(ESI):計算値[M-2Cl2+618.525;実測値618.5266;計算値[M-3Cl3+400.697、実測値400.694;計算値[M-4Cl4+291.78、実測値291.778;計算値[M-5Cl5+226.43、実測値226.429);1-C18/4-トリメチル(MS(ESI):計算値[M-2Cl2+513.41;実測値513.4098;計算値[M-3Cl3+330.62、実測値330.6166;計算値[M-4Cl4+239.22、実測値239.2202;計算値[M-5Cl5+184.38、実測値184.3823);および1-C16/4-トリメチル(MS(ESI):計算値[M-2Cl2+449.395;実測値449.4368;計算値[M-3Cl3+321.27、実測値321.2728;計算値[M-4Cl4+232.21、実測値232.212;計算値[M-5Cl5+178.776、実測値178.776)。
【0191】
実施例4:表面張力測定および臨界ミセル濃度(CMC)計算
表面張力測定は、室温でTracker張力計(Teclis Instruments)で行った。様々な濃度の界面活性剤溶液を調製し、測定を行った。
【0192】
カチオン性界面活性剤試料の濃度の関数としての表面張力を測定し、表2に列挙する。ここで、NTは、試験しないことを意味する。
【表3】
【0193】
様々なカチオン性界面活性剤試料の表面張力はまた、図1にグラフで示されている。
【0194】
実施例5:ポリアルキレンイミンと置換アルキルトリアルキル四級アンモニウム塩との反応に基づく複数の四級カチオン性界面活性剤の合成
ポリエチレンイミン(Lupasol G20(50重量%溶液)、20グラム、0.2204mol-NH-)および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(69.06グラム、60.0%、0.2204mol、(Sigma-Aldrich))を、機械撹拌器、温度計、温度調節器、凝縮器、および添加漏斗を備えた500mLの四首丸底フラスコに加えた。反応混合物を撹拌し、穏やかに約60℃に加熱した。反応のpH値を、連続的にモニタリングした。水酸化ナトリウム(50%水溶液)を、反応フラスコにゆっくり加え、温度を60℃で一定に保った。反応溶液のpH値を測定し、7.5より上で一定に保った。反応温度を85℃に上げ、5時間にわたって一定に保った。以下に示す化合物14は、一般化された反応生成物の描写である。以下の構造は、ポリエチレンイミン中の全ての二級アミンおよび一級アミンが、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドと反応し、それにより、二級アミンが残らないことを示している。カチオン性ポリマー塩中にいくらかの二級アミンを残して、完全には反応しないいくらかのアミンが存在し得る。
【化35】
【0195】
ステアリル鎖を有する複数の四級カチオン性界面活性剤は、分岐ポリエチレンイミン(Sigma-Aldrich)を3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ステアリルジメチルアンモニウムクロリド(Quab Chemicals(Saddle Brook,NJ)からのQUAB 426(商標))および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(Sigma-Aldrich)と反応させることによって合成した。ポリエチレンイミン(40.0グラム(50%)、0.4206mol-NH-)および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ステアリルジメチルアンモニウムクロリド(47.15グラム、38.5重量%、0.0426mol)および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(118.6グラム、(60%)、0.3785mol)を、機械撹拌器、温度計、温度調節器、凝縮器、および添加漏斗を備えた500mLの四首丸底フラスコに加えた。反応混合物を撹拌し、穏やかに約60℃に加熱した。反応のpH値を、連続的にモニタリングした。水酸化ナトリウム(50%水溶液)を、反応フラスコにゆっくり加え、温度を60℃で一定に保った。反応溶液のpH値を測定し、7.5より上で一定に保った。反応温度を85℃に上げ、5時間にわたって一定に保った。0.050重量%水溶液での表面張力41.55mN/m。化合物15は、一般化された反応生成物を示す。化合物14のように、反応が完了まで進行しなかった場合、いくらかの二級アミンが存在し得る。
【0196】
ポリマー四級化合物を、上記の手順に従って合成して、化合物15および化合物16を生成した。化合物16は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定して、約1300gm/molの重量平均分子量を有していた。化合物15は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定して、約25,000gm/molの重量平均分子量を有していた。変数「p」は、約10~約10の範囲であり得る。
【化36】
【0197】
実施例6:カチオン性ポリマー塩の抗菌効果
合成された化合物の抗菌効率は、冷却水中の殺微生物剤効率についてのASTM法に従って非酸化抗菌効率試験手順を用いて試験した(E645-02a、2005)。有効性試験に使用された細菌は、北米の30を超える冷却システムからの好気性集団の混合物を含んでいた。特定の種は同定されなかった。それらの種は、R2A寒天上で成長させた。
【0198】
一実験において、様々な濃度(0ppm、5ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、および50ppm)の化合物1を、水中の細菌に適用した。コロニー形成単位でのlog10濃度(CFU/mL)を、4つの時点(0分、60分、240分、および1440分)で測定した。図1および図2は、5ppmの濃度で単一のlog10減少が達成されたことを示す。約20ppmでは、約60分、240分、および1440分において5つのlog10減少が観察された。
【0199】
濃度50ppmでの化合物1~4の微生物活性を、上記と同じ手順に従って試験した。図3は、全ての化合物が、60分の接触時間後にCFUの有意な減少を示すことを示す。約5ppmで、化合物2は、CFUの単一のlog10減少を示す、いくらかの抗菌活性を示した。
【0200】
化合物4の抗菌活性を、上記と同じ手順を用いて試験した。図4および5は、試験した濃度で有意な抗菌活性を示す。
【0201】
実施例7:胞子および好熱菌に対するカチオン性ポリマー塩の効果
細菌胞子または好熱菌に対する化合物の効果も試験した。化合物1および4を、約20ppmの濃度の胞子または好熱菌と別々にインキュベートし、濃度の減少を4つの時点で測定した(表3を参照)。
【表4】
【0202】
実施例8:単一四級化合物および多四級カチオン性ポリマーの抗菌効果
単一四級化合物と比較した多四級カチオン性ポリマーの有効性を試験するために、バイオフィルム減少実験を行った。単一四級化合物を含む2つの異なる組成物を調製した。約50重量%のビスオクチルジメチルアンモニウムクロリド(CAS#5538-94-3)および約5~10重量%のグリセリンを含む組成物(単一四級物1)、ならびに約50重量%のジデシル-ジメチルアンモニウムクロリド(CAS#7173-51-5)および約10~30重量%のエタノールを含む組成物(単一四級物2)。試験細菌は、北米全域の冷却塔内の30の水試料からの好気性細菌の収集物を含んでいた。約0.8ppm~約1000ppmの範囲の異なる濃度のカチオン性ポリマー塩および単一四級化合物を試験した。バイオフィルム抑制試験プロトコルを使用して、吸収された汚れを抽出し、吸光度を590nmで測定した。バイオフィルム減少は、処理された対照と未処理の対照の吸光度を比較することによって計算し、次いで6つの複製について平均した。
【0203】
化合物7および9を、上記の単一四級物2組成物と比較した。表4および5は、約12ppmという低い濃度で、化合物7が単一四級物2組成物よりもバイオフィルムを大幅に減少させたことを示している。化合物7はまた、約0.8ppm~約ppmの濃度範囲で約12~約65%のバイオフィルム減少を示した。化合物9は、約100ppmの濃度でバイオフィルム形成の95%超の減少を達成した。これらの化合物は、伝統的な生成物よりも重要な利点を示す。
【表5】
【0204】
実施例9:単一四級物2と比較したポリマー四級物を使用したバイオフィルム減少
バイオフィルムアッセイは、ASTM E2799-11の修正版を使用して行った。単一四級物2を、化合物15と比較した。表6は、単一四級物2と比較したバイオフィルムの変化率を示す。図7および図8は、単一四級物2および化合物16と比較した、化合物15のバイオフィルム減少のグラフ図を示す。
【表6】
【0205】
バイオフィルムアッセイにおいて、単一四級物2を化合物16と比較した。表7は、単一四級物2と比較したバイオフィルムの変化率を示す。図7および図8は、単一四級物2および化合物15と比較した化合物16のバイオフィルム減少のグラフ図を示す。
【表7】
【0206】
実施例10:五級カチオン性ポリマー塩の腐食気泡セル試験
気泡試験手順を介して、C12~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドと比較して、カチオン性ポリマー塩を、腐食性能について評価した。気泡試験は、水と油の混合がほとんどまたは全く起こらない低流量領域をシミュレートする。試験は、ブライン(ブラインの80%が、3%塩化ナトリウムブラインであり、ブラインの20%が、75% LVT-200灯油および25%キシレンを含有する炭化水素である)を使用して行った。ブラインをケトルに入れ、二酸化炭素でパージした。試験を開始する前に、ブラインを二酸化炭素で連続的にパージして、ブラインを飽和させた。試験開始後、電極を挿入する1時間前および試験期間を通して試験セルを二酸化炭素で覆い、飽和を維持した。試験期間にわたってケトルを毎分150回転(rpm)で撹拌して、80℃の熱平衡を維持した。腐食速度は、直線偏光抵抗(LPR)技術によって測定した。使用した作用電極は、炭素鋼であった。対電極および参照電極は、両方とも1018炭素鋼であった。試験前に電極を全て洗浄し、研磨した。20ppmの組成物の各々(有機溶媒中の相乗剤として、2ppmの様々な五級カチオン性ポリマー塩の各々または比較のC12~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよび1%の2-メルカプトエタノール(2ME)を含有する)が、そのそれぞれのセルに投与される前の3時間にわたってデータを収集した。データを一晩収集した。低濃度の組成物を使用して、組成物を区別した。
【0207】
気泡試験の結果を表8に示す。ここで、ppmは、100万当たりの部であり、CIは、腐食抑制剤であり、mpyは、1年当たりのミル数であり、化合物番号は、表1に列挙する、および/または実施例3に示す通りである。
【表8】
【0208】
実施例11:六級カチオン性ポリマー塩の腐食気泡セル試験
腐食気泡セル試験を実施例A1の方法に従って行い、C12~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドと比較して、六級カチオン性ポリマー塩を腐食性能について評価した。20ppmの組成物の各々(有機溶媒中の相乗剤として、2ppmの様々な六級カチオン性ポリマー塩の各々または比較のC12~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよび1%の2MEを含有する)が、そのそれぞれのセルに投与される前の3時間にわたってデータを収集した。データを一晩収集した。低濃度の組成物を使用して、組成物を区別した。
【0209】
気泡試験の結果を表9に示す。ここで、ppmは、100万当たりの部であり、CIは、腐食抑制剤であり、mpyは、1年当たりのミル数であり、化合物番号は、表1に列挙する、および/または実施例3に示す通りである。
【表9】
【0210】
実施例12:ポリエチレンイミン系カチオン性ポリマー塩の腐食気泡セル試験
気泡試験手順を介して、C12~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドと比較して、カチオン性ポリマー塩を、腐食性能について評価した。気泡試験は、水と油の混合がほとんどまたは全く起こらない低流量領域をシミュレートする。試験は、ブライン(ブラインの80%が、3%塩化ナトリウムブラインであり、ブラインの20%が、75% LVT-200灯油および25%キシレンを含有する炭化水素である)を使用して行った。ブラインをケトルに入れ、二酸化炭素でパージした。試験を開始する前に、ブラインを二酸化炭素で連続的にパージして、ブラインを飽和させた。試験開始後、電極を挿入する1時間前および試験期間を通して試験セルを二酸化炭素で覆い、飽和を維持した。試験期間にわたってケトルを毎分150回転(rpm)で撹拌して、80℃の熱平衡を維持した。腐食速度は、直線偏光抵抗(LPR)技術によって測定した。使用した作用電極は、炭素鋼であった。対電極および参照電極は、両方とも1018炭素鋼であった。試験前に電極を全て洗浄し、研磨した。20ppmの組成物の各々(有機溶媒中の相乗剤として、2ppmの様々なポリエチレンイミン系カチオン性ポリマー塩の各々または比較のC12~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよび1%の2-メルカプトエタノール(2ME)を含有する)が、そのそれぞれのセルに投与される前の6時間にわたってデータを収集した。しかしながら、比較組成物については、組成物を添加する3時間前にデータを収集しただけであった。データを一晩収集した。低濃度の組成物を使用して、組成物を区別した。
【0211】
気泡試験の結果を表10に示す。ここで、ppmは、100万当たりの部であり、CIは、腐食抑制剤であり、mpyは、1年当たりのミル数であり、化合物番号は、実施例5に示す通りである。
【表10】
【0212】
化合物15により多くのステアリル基を添加すると、化合物15と比較して、腐食速度がさらに低下し、保護性が向上すると予想される。
【0213】
本明細書に開示される任意の組成物は、本明細書に開示される化合物/成分のいずれかを含む、それからなる、または本質的にそれからなることができる。本開示によれば、「から本質的になる(consist essentially of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」等の語句は、特許請求の範囲を、特定の材料またはステップ、および請求された発明の基本的および新規特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップに限定する。
【0214】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、それらそれぞれの試験測定値において見出される標準偏差から生じる誤差内にある引用された値を指し、それらの誤差が決定できない場合、「約」は、引用された値の10%以内を指す。
【0215】
開示され、本発明において特許請求される組成物および方法の全ては、本開示の観点から、不適当な実験を伴わずに作製および実行できる。本発明は多くの異なる形態で具現化され得るが、本明細書において詳細に説明したものが、本発明の具体的な好ましい実施形態である。本開示は、本発明の原理の単なる例示であり、本発明を図示の特定の実施形態に限定することを意図したものではない。さらに、異なるように明示的に述べられない限り、用語「a(ある1つの)」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を含むことを意図する。例えば、「ある1つの界面活性剤(a surfactant)」は、「少なくとも1種の界面活性剤」または「1種以上の界面活性剤」を含むことを意図する。
【0216】
絶対項または近似項で与えられる任意の範囲はどちらも、両方を包括することを意図するものであり、本明細書において使用されるあらゆる定義は、明確にすることを意図するものであり、限定を意図するものではない。本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるものの、具体的な実施例において示される数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値は、それらそれぞれの試験測定値において見出される標準偏差に必然的に起因するある特定の誤差を本質的に含んでいる。また、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含されるあらゆる全ての部分範囲(全ての小数値および全体値を含む)を包括するものとして理解されるべきである。
【0217】
さらに、本発明は、本明細書に記載される様々な実施形態の一部または全ての、あらゆる全ての可能な組み合わせを包括する。また、本明細書に開示される好ましい実施形態に対する様々な変更および修正が、当業者には明らかであることも理解されるべきである。かかる変更および修正は、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、かつその意図する利点を縮小することなく行うことができる。したがって、かかる変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
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