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特許7418212相乗的パッケージング、キャリアおよび放射部構成を使用したマイクロ波支援滅菌および低温殺菌システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】相乗的パッケージング、キャリアおよび放射部構成を使用したマイクロ波支援滅菌および低温殺菌システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/78 20060101AFI20240112BHJP
   H05B 6/80 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H05B6/78 B
H05B6/80 Z
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2019553463
(86)(22)【出願日】2018-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018027758
(87)【国際公開番号】W WO2018194969
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】62/486,040
(32)【優先日】2017-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/953,646
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517353862
【氏名又は名称】915 ラボ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイダー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ベーリンガー,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リ
(72)【発明者】
【氏名】キムレイ,ハロルド デイル,ジュニア
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0099704(US,A1)
【文献】特表2015-529930(JP,A)
【文献】国際公開第2013/138460(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/46- 6/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を加熱するためのマイクロ波加熱システムであって、
一対のより長い間隔を空けた側部部材と、前記側部部材の両端に連結され、それらの間に延びる一対のより短い間隔を空けた端部部材とからなる枠、ならびに前記枠に連結され、それらの間に貨物容積を画定する上部支持部材および下部支持部材を備える少なくとも1つのキャリアであって、前記貨物容積は、ある幅、長さおよび深さを有して、一群の前記物品を受け入れるように構成される、キャリアと、
前記キャリアを進行方向に輸送するための搬送ラインであって、前記キャリアの前記側部部材は、前記搬送ラインと係合するように構成される、搬送ラインと、
主波長(λ)を有するマイクロ波エネルギーを生成するためのマイクロ波発生部と、
前記搬送ラインに沿って輸送される前記キャリア内の前記物品に前記マイクロ波エネルギーの少なくとも一部を向けるための少なくとも1つのマイクロ波放射部と、を備え、
前記マイクロ波放射部はその内部で互いに横方向に所定の間隔を空けて配置される複数の放射開口部を画定し、前記放射開口部のそれぞれは幅および深さを有し、各放射開口部の前記幅はその深さよりも大きく、前記マイクロ波放射部は各放射開口部の前記幅が、前記進行方向に実質的に平行に整列するように構成され、前記キャリアは、前記複数の放射開口部を含む前記マイクロ波放射部の真下に位置し得るものであり、前記貨物容積の幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比は、2.75:1より大きく、また各物品の幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比は1.25:1より大きい、マイクロ波加熱システム。
【請求項2】
前記キャリアが前記物品を前記貨物容積内の少なくとも2つの間隔を空けた列に配置するように構成され、前記貨物容積の前記幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比は約4.2:1以下である、請求項1に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項3】
隣接する列の前記物品が横並び構成で前記キャリアの幅に沿って互いに間隔を空けるように、前記列が互いにほぼ平行な方向に前記キャリアの長さに沿って延びるように前記キャリアが構成され、前記キャリアに装填されたときの隣接する列の横並びの物品の中心点間の距離の、前記貨物容積の前記幅に対する比は少なくとも0.52:1である、請求項2に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項4】
前記キャリアは、それぞれが前記物品の一つの列を受け入れるように構成された、前記貨物容積を少なくとも2つの横並びの区画に分割する前記側部部材とほぼ平行に延びる少なくとも1つの仕切りを備え、各区画は区画幅を有し、前記区画幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比は、約1.90:1から約2.80:1の範囲である、請求項2に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項5】
前記キャリアは、ほぼ台形の形状を有する物品を受け入れるように構成され、それにより、前記物品は、底部よりも上部が長く幅広であり、前記列それぞれの前記物品の少なくとも2つは入れ子状に配置され、それにより、1つの物品が上向きに配置され、同じ列の隣接する物品が下向きに配置され、当該隣接し合う物品の少なくとも一部が水平に重なる、請求項2に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項6】
前記物品のそれぞれは、長さおよび幅を有し、各物品の前記長さの、各物品の前記幅に対する比は、少なくとも1.01:1であり、また1.35:1以下である、請求項5に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項7】
前記物品のそれぞれは、長さおよび幅を有し、各物品の前記幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比が1.25:1より大きく、各物品の前記幅の、前記貨物容積の前記幅に対する比は、少なくとも0.46:1である、請求項1に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項8】
前記物品のそれぞれが長さおよび幅を有し、各物品の前記幅が少なくとも2.75λであり、かつ、前記放射開口部のそれぞれの前記深さが0.625λ以下である、請求項1に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項9】
前記物品を受け入れて加熱するためのマイクロ波加熱室をさらに含み、前記搬送ラインが、前記物品を前記マイクロ波加熱室を通して輸送するように構成され、前記マイクロ波加熱室が少なくとも部分的に液体媒体で充填されるように構成され、前記マイクロ波エネルギーの少なくとも一部を前記マイクロ波加熱室に向けるための少なくとも第1のマイクロ波放射部および第2のマイクロ波放射部をさらに備え、前記マイクロ波加熱室の上流に位置する熱化室をさらに備え、前記熱化室は、少なくとも部分的に第2の液体媒体で充填されるように構成される、請求項1に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項10】
前記第1のマイクロ波放射部および前記第2のマイクロ波放射部は前記マイクロ波加熱室の両側に配置されている、請求項9に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項11】
前記マイクロ波加熱システムは少なくとも毎分10パッケージの全体生産速度を有するように構成され、前記物品は包装された医療用液体、医療用または歯科用器具、あるいは医薬用液体を含む、請求項1に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項12】
キャリアと、該キャリアを進行方向に輸送するための搬送ラインと、主波長(λ)を有するマイクロ波エネルギーを生成するためのマイクロ波発生部と、前記搬送ラインに沿って輸送される前記キャリア内の物品に前記マイクロ波エネルギーの少なくとも一部を向けるための少なくとも1つのマイクロ波放射部であって、複数の放射開口部を画定し、前記放射開口部のそれぞれは幅および深さを有し、各放射開口部の前記幅はその深さよりも大きく、前記マイクロ波放射部は各放射開口部の前記幅が、前記進行方向に実質的に平行に整列するように構成される少なくとも1つのマイクロ波放射部とを備えるマイクロ波加熱システムの搬送ラインに沿って、複数の物品を輸送するためのキャリアおよび物品システムであって、
前記搬送ラインと係合するように構成された枠と、
前記枠に連結され、それらの間に貨物容積を画定する上部支持構造および下部支持構造と、
前記貨物容積内に受け入れられる一群の物品であって、前記物品は、それぞれが前記キャリアの長さに沿って延びる少なくとも2列に配置され、それにより隣接する列の前記物品が横並び構成で前記キャリアの幅に沿って互いに間隔を空けるものであり、各列の前記物品のうちの少なくとも2つが入れ子構成に配置され、それにより1つの物品が上向きに配置され、同じ列の隣接する物品が下向きに配置され、当該隣接し合う物品の少なくとも一部が水平方向に重なっている、一群の物品と、を備え、
前記キャリアは、前記複数の放射開口部を含む前記マイクロ波放射部の真下に位置し得るものであり、前記貨物容積の幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比は、2.75:1より大きいものであり、
隣接する列の横並びの物品の中心点間の距離の、前記貨物容積の幅に対する比は、少なくとも0.52:1である、システム。
【請求項13】
隣接する列の横並びの物品の前記中心点間の距離の、前記貨物容積の幅に対する比が約0.85:1以下である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
各物品は、長さおよび幅を有し、各物品の前記幅の、前記貨物容積の幅に対する比は、少なくとも0.46:1である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記キャリアは、それぞれが前記物品の1つの列を受け入れるように構成された、前記貨物容積を少なくとも2つの横並びの区画に分割するための少なくとも1つの仕切りを含み、各物品の前記幅の、各区画の幅に対する比は少なくとも0.70:1である、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記物品のそれぞれは、ほぼ台形の形状を有しており、上部が底部よりより長く、より広く、前記列のそれぞれは、列当たり少なくとも4つの物品を含み、前記列の少なくとも1つにある前記物品のすべては、入れ子構成で配置される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記枠は、一対の間隔を空けた側部部材と、前記側部部材の両端に連結され、それらの間に延びる一対の間隔を空けた端部部材とを備え、前記上部支持構造および下部支持構造は、支持部材の上部グループおよび下部グループを備え、支持部材の前記上部グループおよび前記下部グループの少なくとも一方は、前記端部部材に連結され、それらの間に延びる複数の実質的に平行なスラットを含み、前記物品は包装された食品、医療用液体、医療用器具または歯科用器具、または医薬用液体を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
マイクロ波加熱システムで複数の物品を加熱する方法であって、
(a)主波長(λ)を有するマイクロ波エネルギーを生成することと、
(b)複数の物品をキャリアに装填することであって、前記キャリアは、前記キャリアに装填された前記物品を受け入れて保持するための貨物容積を画定し、前記物品のそれぞれは、長さ(L)と前記長さ以下である幅(W)を有し、各物品の前記幅が少なくとも2.75λである、装填することと、
(c)前記装填されたキャリアを搬送ラインに沿って1つまたは複数の液体で充填された容器を通過させることであって、前記物品が前記通過の少なくとも一部の間、液体媒体中に沈められている、通過させることと、
(d)前記通過の少なくとも一部の間、前記キャリア内の前記物品を加熱して、加熱された物品を提供することであって、前記加熱の少なくとも一部は、それぞれが幅と深さを有する複数の放射開口部を画定し、各放射開口部の前記幅はその深さよりも大きく、前記放射開口部のそれぞれの幅が進行方向に実質的に平行に整列するように構成される1つまたは複数のマイクロ波放射部を介して前記容器の少なくとも1つに放射されたマイクロ波エネルギーを用いて実施され、前記キャリアは、前記複数の放射開口部を含む前記マイクロ波放射部の真下に位置し得るものであり、前記貨物容積の幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比は2.75:1より大きく、また各物品の前記幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比は1.25:1より大きいものである、加熱することと、を含み、
前記加熱中、前記物品のそれぞれは最も熱い部分と最も冷たい部分を有し、前記加熱中、各物品の最も熱い部分の最高温度とその最も冷たい部分の最低温度との間の差は15℃を超えない、方法。
【請求項19】
ステップ(d)の前記加熱することは、前記キャリア内の前記物品をマイクロ波加熱室に続いて保持室を通過させることを含み、前記保持室の前記通過中、前記物品のそれぞれの前記最も冷たい部分の温度は、保持期間中、特定の最低温度以上に維持され、前記保持室は、少なくとも部分的に前記液体媒体で充填され、前記物品は、前記保持室を通過する間前記液体媒体に沈められ、各物品の前記最も熱い部分の最高温度とその最も冷たい部分の最低温度との間の差は、前記加熱中に15℃を超えない、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(d)の前記加熱中、前記キャリア内の前記物品の最も熱い部分の全てのうちの最高温度と前記キャリア内の前記物品の最も冷たい部分の全てのうちの最低温度との間の差は30°Cを超えない、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(d)の前記加熱中、前記物品のそれぞれの前記最も熱い部分の温度は、135°Cを超えず、ステップ(d)の前記加熱中、各物品の前記最も熱い部分の最高温度とその最も冷たい部分の最低温度との間の差は10℃を超えない、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記物品が滅菌されていて、前記加熱された物品のそれぞれが、少なくとも1.5分のボツリヌス菌の微生物致死率(F)を示し、前記キャリア内のすべての加熱された物品の最大微生物致死率の、前記キャリア内のすべての加熱された物品の最小微生物致死率に対する比は10:1以下である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(d)の前記加熱することは、前記キャリア内の前記物品をマイクロ波加熱室を通過させることを含み、前記マイクロ波加熱室内の前記液体媒体の平均バルク温度は、130℃以下であり、前記マイクロ波加熱室内の前記液体媒体の温度は、ステップ(d)の前記加熱中、所定の設定点の約10℃以内になるように制御される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記物品のそれぞれは、ほぼ台形の形状を有し、上部が底部よりもより長く、より広く、各物品の前記長さの、各物品の前記幅に対する比(L:W)が、少なくとも1:1であり、また1.35:1以下である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記装填することは、前記物品を前記キャリアの貨物容積内に配置することを含み、前記物品が、前記貨物容積内の少なくとも2つの間隔を空けた列に配置されている、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記物品は、少なくとも4つの間隔を空けた列に配置されている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記キャリアは前記貨物容積を前記キャリアの幅に沿って少なくとも2つの横並びの区画に分割するための少なくとも一つの仕切りを含み、前記区画のそれぞれが前記物品の1つの列を受け入れるように構成され、各区画が区画幅を有し、前記区画幅の、前記放射開口部のそれぞれの前記深さに対する比が1.90:1より大きい、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記加熱することが、前記マイクロ波エネルギーの少なくとも一部を2つ以上のマイクロ波放出部を介してマイクロ波加熱室に放出することを含み、前記マイクロ波放射部のそれぞれは、少なくとも5kWであり、また25kW以下の割合でマイクロ波エネルギーを放射する、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(c)の前記通過は前記装填されたキャリアをマイクロ波エネルギーでの前記物品の前記加熱前に熱化室を通過させることを含み、前記熱化室は少なくとも部分的に前記液体媒体で充填され、ステップ(d)の前記加熱は、前記熱化室内の前記キャリア内の前記物品を予熱することを含み、前記熱化室内の前記液体媒体の平均バルク温度は、50°Cから90°Cの範囲であり、前記物品は、包装された食品、液体、医療用液体、医薬用液体、医療用器具、または歯科用器具を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年4月17日に出願された米国仮特許出願第62 / 486,040号の優先権を主張する、2018年4月16日に出願された米国特許出願第15 / 953,646号の優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、マイクロ波エネルギーを使用して物品を加熱するための方法およびシステムに関する。詳細には、本発明は、大規模マイクロ波加熱システムで低温殺菌または滅菌された包装された材料に強化加熱を提供するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ波放射は、物体にエネルギーを伝達する既知の機構である。マイクロ波エネルギーが迅速かつ効果的な方法で物体に浸透して加熱する能力は、多くの化学的処理および工業的処理で有利であることが証明されている。物品を迅速かつ完全に加熱するその能力のために、マイクロ波エネルギーは、例えば低温殺菌処理または滅菌処理などの所定の最低温度の迅速な達成が望まれる加熱処理で使用されてきた。さらに、マイクロ波エネルギーは一般に非侵襲的であるため、マイクロ波加熱は、食品や医薬品などの誘電性の高い材料の加熱に特に有用であり得る。しかし、現在まで、特に商業規模で安全かつ効果的にマイクロ波エネルギーを適用することの複雑さおよび微妙な加減が、いくつかの種類の産業的処理でのマイクロ波エネルギーの応用を厳しく制限してきた。さらに、十分な微生物致死率を達成し、材料の感覚刺激特性の熱劣化を最小限に抑える効率的でありながら均一な物品の加熱を達成することは、特に商業規模で困難であることが証明されている。
【0004】
多種多様な包装された食料品および他の品目の滅菌または低温殺菌に適したマイクロ波加熱システムが必要である。このシステムは、高度な操作上の柔軟性を備えた、物品の一定した、均一な、迅速な加熱を提供することができる。このようなシステムで実行される処理は、物品のホットスポットおよびコールドスポットを最小限に抑えるか、さらには予防し、低温殺菌および滅菌された物品が微生物致死率および全体的な品質の目標基準を達成するようにする。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態は、複数の物品を加熱するためのマイクロ波加熱システムに関する。マイクロ波加熱システムは、一対のより長い間隔を空けた側部部材と、側部部材の両端に連結され、それらの間に延びる一対のより短い間隔を空けた端部部材とからなる枠、ならびに枠に連結され、それらの間に貨物容積を画定する上部支持部材および下部支持部材を含む少なくとも1つのキャリアを含む。貨物容積は、一群の物品を受け入れるように構成されている。マイクロ波加熱システムは、キャリアを進行方向に輸送するための搬送ラインを備えている。キャリアの側部部材は、搬送ラインに係合するように構成されている。マイクロ波加熱システムは、主波長(λ)を有するマイクロ波エネルギーを生成するためのマイクロ波発生部、および搬送ラインに沿って輸送されるキャリア内の物品にマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を向けるための少なくとも1つのマイクロ波放射部を備える。マイクロ波放射部は、1つまたは複数の放射開口部を画定し、各放射開口部は幅および深さを有し、各放射開口部の幅はその深さよりも大きい。マイクロ波放射部は、各放射開口部の幅が進行方向に実質的に平行に整列し、貨物容積の幅と各放射開口部の深さの比が2.75:1を超えるように構成される。
【0006】
本発明の別の実施形態は、マイクロ波加熱システムの搬送ラインに沿って複数の物品を輸送するためのキャリアおよび物品システムに関する。キャリアおよび物品システムは、搬送ラインに係合するように構成された枠、枠に連結され、その間で貨物容積を画定する上部支持構造および下部支持構造、および貨物容積内で受け入れた一群の物品を備える。物品は、隣接する列の物品が横並び構成でキャリアの幅に沿って互いに間隔を空けるように、それぞれがキャリアの長さに沿って延びる少なくとも2列に配置される。各列の物品のうちの少なくとも2つは、1つの物品が上向きに配置され、同じ列の隣接する物品が下向きに配置され、隣接する物品の少なくとも一部が水平方向に重なるように入れ子構成に配置される。隣接する列の隣り合う横並びの物品の中心点間の距離と貨物容積の幅の比は、少なくとも0.52:1である。
【0007】
本発明のさらに別の実施形態は、マイクロ波加熱システムにおいて複数の物品を加熱する方法に関する。この方法は、(a)主波長(λ)を有するマイクロ波エネルギーを生成することと、(b)複数の物品をキャリアに装填することであって、各物品は長さ(L)および幅(W)を有し、幅は長さより小さく、各物品の幅は少なくとも2.75λである、装填することと、(c)装填されたキャリアを搬送ラインに沿って進行方向にマイクロ波加熱室に輸送することであって、マイクロ波加熱室は少なくとも部分的に液体媒体で充填されている、輸送することと、(d)少なくとも1つのマイクロ波放射部を介して、マイクロ波エネルギーの少なくとも一部をキャリア内の物品に向けることと、(e)加熱された物品を提供するためにキャリア内の物品を加熱することであって、加熱の少なくとも一部はマイクロ波エネルギーを使用して実行される、かねつすることと、を含む。加熱中、物品は液体媒体に沈められる。加熱された物品のそれぞれは、最も熱い部分と最も冷たい部分を有し、各物品の最も熱い部分の最高温度とその最も冷たい部分の最低温度との間の差は15℃を超えない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の様々な実施形態は、添付の図面を参照して以下で詳細に説明される。
【0009】
図1図1は、本発明の1つ以上の実施形態での使用に適したキャリアの上面等角図である。
【0010】
図2図2は、図1に示すキャリアの底面等角図である。
【0011】
図3図3は、図1および図2に示すキャリアの端面図である。
【0012】
図4図4は、図1図3に示すキャリアの側面図である。
【0013】
図5図5は、図1図4に示すキャリアの長手方向断面図である。
【0014】
図6図6は、図1図5に示すキャリアの横断面図である。
【0015】
図7図7aは、本発明の実施形態による加熱される食品および他の品目を保持する際に使用するのに適したパッケージの等角図であり、特にパッケージの長さ、幅、および高さ寸法を示す。
【0016】
図7bは、図7aに示すパッケージの上面図である。
【0017】
図7cは、図7aおよび図7bに示すパッケージの側面図である。
【0018】
図7dは、図7a~図7cに示すパッケージの端面図である。
【0019】
図8図8は、キャリア内に入れ子構成で配置された複数の物品の上面図であり、特に分割された列の入れ子構成を示している。
【0020】
図9図9は、入れ子構成に配置された物品の1列の少なくとも一部の側面図である。
【0021】
図10図10は、側壁と仕切りとの間に画定されたキャリアの1つの区画に入れ子構成で配置された物品の列の少なくとも一部の部分等角図である。
【0022】
図11図11aは、本発明の実施形態による包装された食品をマイクロ波低温殺菌または滅菌する方法の主要なステップの概略図である。
【0023】
図11bは、本発明の実施形態による、包装された食品をマイクロ波低温殺菌または滅菌するためのシステムの主要ゾーンの概略図である。
【0024】
図12図12aは、本発明の実施形態による熱化ゾーンでの使用に適した熱化室の概略部分側面切断図であり、特に、複数の流体ジェット攪拌機の位置を示している。
【0025】
図12bは、図12aに示す熱化室の概略端面図である。
【0026】
図13図13は、本発明の実施形態に従って構成されたマイクロ波加熱ゾーンの概略部分側面切断図であり、特に、マイクロ波加熱容器、マイクロ波放射部、およびマイクロ波分配システムの1つの可能な配置を示す。
【0027】
図14-1】図14aは、本発明の実施形態に従って構成されたマイクロ波放射部の等角図である。
【0028】
図14bは、図14aに示すマイクロ波放射部の長手方向側面図である。
【0029】
図14-2】図14cは、図14aおよび図14bに概略的に示すマイクロ波放射部の一実施形態の端面図であり、特に、フレア状の出口を有する放射部を示す。
【0030】
図14dは、図14aおよび図14bに概略的に示すマイクロ波放射部の別の実施形態の端面図であり、特に、ほぼ同じ深さの入口および出口を有する放射部を示す。
【0031】
図14eは、図14aおよび図14bに概略的に示すマイクロ波放射部のさらに別の実施形態の端面図であり、特に、テーパー状の出口を有する放射部を示している。
【0032】
図15図15は、複数の放射開口部を有するマイクロ波放射部の等角図である。
【0033】
図16図16は、図15に示す放射部の底面図であり、特に放射開口部の方向を示す。
【0034】
図17図17は、本発明の1つ以上の実施形態に従って構成されたマイクロ波放射部の近くに配置された複数の物品が装填されたキャリアの断面端面図であり、特に、キャリア、物品、および放射部のいくつかの相対寸法を示す。
【0035】
図18図18は、本発明の実施形態に従って構成された複数の物品が装填されたキャリアの近くに配置されたマイクロ波放射部の部分等角図であり、特に、キャリア、物品、および放射開口部のいくつかの相対寸法を示す。
【0036】
図19図19aは、実施例に記載された加熱試験の1つにおいてマイクロ波加熱システムで加熱されたいくつかの包装された食品の位置を示す概略図である。
【0037】
図19bは、実施例に記載された加熱試験の1つにおいてマイクロ波加熱システムで加熱されたいくつかの包装された食品の位置を示す概略図である。
【0038】
図19cは、実施例に記載された加熱試験の1つにおいてマイクロ波加熱システムで加熱されたいくつかの包装された食品の位置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、異なる種類の物品のマイクロ波支援低温殺菌および滅菌のための方法およびシステムに関する。本明細書で使用される「物品」という用語は、低温殺菌または滅菌される品目、およびそれが封入されているパッケージを指す。本明細書では一般に「物品」と呼ばれるが、本明細書に記載の物品の性質または特性の一部はパッケージ自体( 例えば 、寸法、形状、構造材料など)を指し、本明細書に記載の物品の他の性質または特性は、低温殺菌または滅菌されているパッケージ内の品目を指す( 例えば 、温度、微生物の致死率など)。本発明の実施形態による加熱に適した物品の例には、包装された食品、飲料、医療用および医薬用液体、ならびに医療用および歯科用器具が含まれる。いくつかの態様では、本発明は、物品の加熱を相乗的に高める特定の物品の包装およびキャリアの向きに関する。予期せぬことに、より大きな幅を有するパッケージを利用する物品は、マイクロ波加熱システムでパッケージの内容物をより均一に加熱する可能性があることがわかっている。
【0040】
低温殺菌または滅菌に使用されるマイクロ波加熱システムには、例えば、参照によりそのすべてが本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第US2013 / 0240516号に記載されているマイクロ波加熱システムと同様のものを含む、任意の適切な液体充填連続マイクロ波加熱システムが含まれ得る。さらに、本明細書では一般的に食品を参照して説明したが、本発明の実施形態は、医療用および歯科用器具または医療用および医薬用液体などの他の種類の品目の低温殺菌または滅菌にも関することを理解されたい。
【0041】
キャリアおよび/またはマイクロ波加熱システムの特定の構成要素に対して特定の寸法を有するパッケージは、他の形状および/またはサイズのパッケージよりも均一に加熱できることが予想外にわかった。例えば、本明細書に記載の物品を加熱すると、ホットスポットが少なくなり、より均一な程度の滅菌および/または低温殺菌がもたらされることがわかった。本発明に従って処理された物品は、同じまたはそれ未満の時間で所望のレベルの処理を達成する。その結果、加熱中の品目は処理中に過熱しすぎない、または調理しすぎないため、味、歯ごたえ、ならびに色、および/または機能性が保持されるなど、より望ましい感覚刺激特性を備えた高品質の最終製品が得られる。
【0042】
一般的に、低温殺菌は、80℃~100℃の間の最低温度に材料を急速加熱することを含むが、滅菌は、約100℃~約140℃の最低温度に材料を加熱することを含む。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、低温殺菌、滅菌、または低温殺菌と滅菌の両方に適用され得る。場合によっては、低温殺菌と滅菌が同時に、またはほぼ同時に行われる可能性があるため、処理中の物品は加熱システムによって低温殺菌と滅菌の両方が行われる。場合によっては、低温殺菌はより低い温度および/またはより低い圧力で、マイクロ波支援加熱後の個別の熱平衡化期間なしで実行できるが、滅菌はより高い温度および/またはより高い圧力で実行でき、マイクロ波加熱ステップの後、保持段階または熱平衡化段階を含むことができる。いくつかの実施形態において、単一のマイクロ波システムは、異なる加熱運転中に様々な物品を低温殺菌または滅菌するように選択的に構成できるように、操作上柔軟であり得る。
【0043】
本明細書に記載のマイクロ波加熱システムで加熱された物品は、システムを通して物品を輸送するように構成されたキャリアに最初に固定することができる。例示的なキャリアのいくつかの図が図1から図6に提供される。以下に概略的に示すように、キャリア10は、外枠12、上部支持構造14、および下部支持構造16を含む。外枠12は、2つの間隔を空けた側部部材18a、bおよび2つの間隔を空けた端部部材20a、bを含む。第1の端部部材20aおよび第2の端部部材20bは、第1の側部部材18aおよび第2の側部部材18bの対向する端部に連結され、それらの間に延在して、外枠12を形成することができる。側部部材18a、bが端部部材20a、bよりも長いとき、枠は、特に図1および図2に示すように、ほぼ長方形の形状を有することができる。
【0044】
図1図4に示すように、第1の側部部材18aおよび第2の側部部材18bは、図1および図2において破線24aおよび24bで表されるそれぞれ第1および第2の搬送ライン支持部材と係合するように構成される支持突起22a、bをそれぞれ含む。キャリア10の第1の支持突起22aおよび第2の支持突起22bは、第1の搬送ライン支持部材24aおよび第2の搬送ライン支持部材24b上でキャリア10を支持するための第1の下部支持面42aおよび第2の下部支持面42bを有する。搬送ライン支持部材24a、bは、例えば、キャリア10がマイクロ波加熱ゾーンを通って図4の矢印で示される方向に移動するときに、キャリア10の各側に位置する一対のチェーン(図示せず)などの移動搬送ライン要素であってもよい。4.
【0045】
第1の側部部材18aおよび第2の側部部材18bならびに第1の端部部材20aおよび第2の端部部材20bは、例えば、20°Cで測定した、約10 -4以下 、約10 -3 以下、または約10 -2以下の損失正接を有する低損失材料を含む任意の適切な材料で形成され得る。側部部材18a、bおよび端部部材20a、bのそれぞれは、同じ材料で形成されてもよく、少なくとも1つは異なる材料で形成されてもよい。適切な低損失接線材料の例には、さまざまなポリマーおよびセラミックが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、低損失接線材料は食品グレードの材料であり得る。
【0046】
低損失材料がポリマー材料である場合、物品の加熱中にキャリアがさらされる可能性のある高温に耐えるために、少なくとも約80℃、少なくとも約100℃、少なくとも約120℃、少なくとも約140℃、少なくとも約150℃、または少なくとも約160℃のガラス転移温度を有し得る。適切な低損失ポリマーには、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリノルボルネン、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスチレン、ポリビニルアルコール( PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびそれらの組み合わせが含まれ得る。ポリマーは、モノリシックであってもよく、または例えばガラス繊維入りPTFE(「テフロン(登録商標)」)などのガラス繊維で強化されていてもよい。アルミノケイ酸塩などのセラミックも低損失材料として使用できる。
【0047】
図1および図2に示すように、キャリア10は、キャリア内に一群の物品を保持するとともに、マイクロ波エネルギーがキャリア10を通過して物品に到達することを可能にする上部支持構造14および下部支持構造16を含み得る。図1および図2に示す例では、上部支持構造14および下部支持構造16はそれぞれ、側部部材18a、bに実質的に平行な方向に端部部材20a、bの間に延びる複数の支持部材を含むことができる。支持部材は、端部部材20a、bに実質的に垂直な方向に延びることができる。本明細書で使用される場合、「実質的に平行」および「実質的に垂直」という用語は、それぞれ5°以内で平行または垂直であることを意味する。他の例(図示せず)では、上部支持構造14および下部支持構造16は、グリッド部材、または側部部材18a、bと端部部材20a、bの間に延びるマイクロ波透過性または半透明材料の実質的に剛性のシートを含むことができる。支持構造14および支持構造16の数、寸法、および構成に関する追加の詳細は、米国特許出願公開第2017/0099704号で提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
上部支持構造14および/または下部支持構造16が、図1および図2に示すように、個々の支持部材を含む場合、上記の支持部材のうちの1つ以上は、強力な導電性材料から形成され得る。適切な導電性材料は、ASTM E1004(09)に従って測定した20°Cで、少なくとも約10 シーメンス/メートル(S / m)、少なくとも約10 S / m、少なくとも約10 S / m、少なくとも約10 S / m、または、少なくとも約10 7 S / mの導電率を有することができる。。さらに、導電性材料は、ASTM E8 / E8M-16aに従って測定して、少なくとも約50メガパスカル(MPa)、少なくとも約100MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約400MPa、もしくは少なくとも約600MPaの引張強度を有し得、かつ/またはASTM E8 / E8M-16a に従って測定した20°Cで、少なくとも約50 MPa、少なくとも約100 MPa、少なくとも約200 MPa、少なくとも約300 MPa、もしくは少なくとも約400MPaの降伏強さも有し得る。
【0049】
導電性材料のヤング率は、ASTM E111-04(2010)に従って、20°Cで測定されて、少なくとも約25ギガパスカル(GPa)、少なくとも約50GPa、少なくとも約100GPa、もしくは少なくとも約150GPaおよび/または約1000GPa以下、約750 Gpa以下、約500 GPa以下、もしくは約250 GPa以下であり得る。導電性材料は金属であってもよく、場合によっては金属合金であってもよい。金属合金は、鉄、ニッケル、および/またはクロムを含むがこれらに限定されない適切な金属元素の任意の混合物を含んでもよい。導電性材料は、ステンレス鋼を含んでもよく、食品グレードのステンレス鋼であってもよい。
【0050】
特に図5に示すように、キャリア10は、複数の物品40を受け入れて保持するための貨物容積32を画定する。貨物容積32は、互いに垂直方向に間隔を空けて配置された上部支持構造14および下部支持構造16と、側部18a、bおよび端部20a、b部材との間に少なくとも部分的に画定される。貨物容積32に受け入れられた物品は、上部支持構造14および下部支持構造16に存在する個々の支持部材の少なくとも一部と接触および/または所定の位置に保持され得る。上部支持構造14および下部支持構造16のそれぞれは、上部支持構造14および下部支持構造16の少なくとも1つを開いて物品40をキャリア10に装填でき、加熱中に物品40を保持するために閉じ、キャリアから物品40を降ろすために再び開くことができるように、取り外し可能またはヒンジ式に外枠12に結合することができる。
【0051】
貨物容積32は、図5に概略的に示されるように、第1の端部部材20aおよび第2の端部部材20bの対向する内面の間で測定された長さ(L )、図6に概略的に示されるように、第1の側部部材18aおよび第2の側部部材18bの対向する内面間で測定された幅(W )、および、図6に概略的に示されるように、上部支持構造14および下部支持構造16の対向する内部表面間で測定される高さ(H )を有する。貨物容積32の長さは、約0.5フィートから約10フィート、約1フィートから約8フィート、または約2フィートから約6フィートの範囲であり得、貨物容積の幅は、約0.5フィート~約10フィート、約1フィート~約8フィート、または約2~約6フィートの範囲であり得る。貨物容積32の高さは、約0.50インチから約8インチ、約0.75インチから約6インチ、約1インチから約4インチ、または約1.25インチから約2インチの範囲であり得る。全体として、貨物容積32は、約2立方フィート~約30立方フィート、約4立方フィート~約20立方フィート、約6立方フィート~約15立方フィート、または約6.5立方フィート~約10立方フィートの範囲の総容積を有することができる。
【0052】
さらに、キャリアは、貨物容積32のサイズおよび/または形状を調整するための少なくとも1つの物品間隔保持部材をさらに含むことができる。物品間隔保持部材の例には、貨物容積32を2つ以上の区画に分割するための仕切り34として図1および図2に示す仕切りおよび上部支持構造14と下部支持構造16の間の垂直高さを調整するためのスペーサ38a、bとして図5に示す垂直スペーサが含まれる。存在する場合、1つまたは複数の物品間隔保持部材は、外枠12または上部下部支持構造14および下部支持構造16の少なくとも一方に恒久的または取り外し可能に結合されてもよい。物品間隔保持部材が外枠12および/または上部支持部材14および下部支持部材16に取り外し可能に連結される場合、キャリア10が異なるサイズおよび/または形状を有する多くの種類の物品を保持できるように、貨物容積32のサイズおよび/または形状を変更するために、キャリア10に選択的に挿入かつキャリア10から選択的に除去することができる。1つまたは複数の物品間隔保持部材が恒久的または固定的に外枠12および/または上部支持部材14および下部支持部材16に結合される場合、キャリア10は、少数または一種類のみの物品を運ぶように構成されてもよい。本発明によれば、両方の種類のキャリアを使用することができる。
【0053】
キャリア10が、図1図2、および図6に特に示されるように、貨物容積32を複数の区画に分割するための1つまたは複数の仕切り34を含む場合、区画は、第1の側部部材18aおよび第2の側部部材18bに実質的に平行な方向に延びることができる。結果として、各区画は、キャリア10の幅に沿って隣接する区画から間隔を空けられ得る。したがって、各区画は、その例が図5および図6に区画36a~36dとして示されているように、キャリア10の貨物容積32内に画定される長さおよび高さは、上述の貨物容積32と同様であり得るが、貨物容積32の全幅の5パーセント~95パーセント、10パーセント~90パーセント、20パーセントから80パーセント、25パーセントから75パーセント、または40パーセントから60パーセントの範囲である幅を有することができ、あるいは幅は、貨物容積32の全幅の少なくとも約5パーセント、少なくとも約10パーセント、少なくとも約15パーセント、少なくとも約20パーセント、もしくは少なくとも約25パーセントおよび/または約95パーセント以下、約90パーセント以下、約85パーセント以下、約80パーセント以下、約75パーセント以下、約70パーセント以下、約60パーセント以下、約55パーセント以下、約50パーセント以下、約40パーセント以下、約35パーセント以下、約30パーセント以下、もしくは約25パーセント以下であってもよい。各個々の区画の幅は、2インチ~24インチ、4インチ~18インチ、または5インチ~10インチの範囲にすることができる。
【0054】
本発明によれば、キャリアがマイクロ波加熱システムを介して物品を輸送している間、一群の物品をキャリアの貨物容積に装填し、その中に保持することができる。処理される物品は、任意の適切なサイズおよび/または形状のパッケージを含むことができ、任意の食物または飲料、任意の医療用、歯科用、医薬用もしくは獣医用液体、またはマイクロ波加熱システムで処理できる任意の器具を含むことができる。適切な食品の例には、果物、野菜、肉、パスタ、作り置きの食事、スープ、シチュー、ジャム、さらには飲料が含まれ得るが、これらに限定されない。さらに、パッケージ自体を形成するために使用される材料は限定されないが、マイクロ波エネルギーを使用して内容物の加熱を促進するために、少なくともその一部は少なくとも部分的にマイクロ波透過性でなければならない。
【0055】
本明細書で説明されるように、キャリアに保持され、マイクロ波加熱システムによって処理される物品は、任意の適切なサイズおよび形状を有し得る。例えば、各物品、またはより具体的にはそのパッケージは、少なくとも約1インチ、少なくとも約2インチ、少なくとも約4インチ、もしくは少なくとも約6インチおよび/または約18インチ以下、約12インチ以下、約10インチ以下、約8インチ以下、もしくは約6インチ以下の長さを有することができる。各物品の長さは、約1インチから約18インチ、約2インチから約12インチ、約4インチから約10インチ、または約6インチから約8インチの範囲であり得る。各物品の幅は、少なくとも約1インチ、少なくとも約2インチ、少なくとも約4インチ、少なくとも約4.5インチ、もしくは少なくとも5インチ、および/または約12インチ以下、約10インチ以下、約8インチ以下、もしくは6インチ以下であり得る。各物品の幅は、約1インチから約12インチ、約2インチから約10インチ、約4インチから約8インチ、約4.5インチから約6インチ、または約5インチから約6インチの範囲であってもよい。各物品は、少なくとも約0.5インチ、少なくとも約1インチ、少なくとも約1.5インチおよび/または約8インチ以下、約6インチ以下、もしくは約3インチ以下の深さ、または約0.5インチから約8インチ、約2インチから約6インチ、もしくは1.5インチから3インチの範囲の深さを有してもよい。いくつかの実施形態では、物品は、その長さおよび幅がほぼ同じになるように正方形にすることができる。物品は、少なくとも約10.6オンス、少なくとも約10.75オンス、少なくとも約10.9オンス、少なくとも約11オンス、少なくとも約12オンスもしくは少なくとも約15オンス、および/または約30以下、約25オンス以上、もしくは約20オンス以下の総内部容積を有することができる。
【0056】
本明細書で使用される「長さ」および「幅」という用語は、それぞれ、物品の最長および二番目に長い非対角寸法を指す。物品の上部が底部よりも長く幅広になるように物品がほぼ台形の形状をしている場合、物品の長さと幅は最大断面(通常は上面)で測定される。物品の高さは、長さと幅で画定される平面に垂直に測定された最短の非対角寸法です。物品は、概して正方形、長方形、または楕円形の断面形状を有する個別に包装された品目であり得、様々な種類のプラスチック、セルロース材料、および他のマイクロ波透過性材料を含むがこれらに限定されない任意の適切な材料で形成され得る。長方形の断面を有する例示的な台形形状の物品250の様々な図が、以下の図7a~図7dに示されていて、物品の長さ(L)、幅(W)、および高さ(h)が示されている。
【0057】
物品の長さ対幅の比は、本明細書に記載のマイクロ波加熱システムで処理されたとき、その内容物がどの程度均一に加熱されるかに影響を与え得ることがわかっている。理論に拘束されることを望まないが、従来のサイズの物品よりもわずかに大きい幅を有する物品を利用すると、より均一な微生物致死率およびより少ないホットスポットおよびコールドスポットを含む、物品内容物のより良い加熱がもたらされ得ると仮定される。本発明によれば、長さ対幅の比(L:W)が少なくとも1.01:1、または1:1、および1.39:1以下である物品は、予期しない結果をもたらす。本明細書に記載されるように使用される物品のL:Wは、少なくとも1.05:1、少なくとも1.1:1、もしくは少なくとも1.15:1および/または約1.38:1以下、約1.37:1以下約1.36:1以下、約1.35:1以下、約1.34:1以下、約1.33:1以下、約1.32:1以下、約1.31:1以下約1.30:1、約1.29:1以下、約1.28:1以下、約1.27:1以下、約1.26:1以下、約1.25:1以下、約1.24以下:1、約1.23:1以下、約1.22:1以下、約1.21:1以下、約1.20:1以下、約1.19:1以下、約1.18:1以下、約1.17:1以下、約1.16:1以下、約1.15:1以下、約1.14:1以下、約1.13:1以下、約1.12:1以下、約1.11:1以上、約1.10:1以下、約1.09:1以下、約1.08:1以下、約1.07:1以下、約1.06:1以下、約1.05:1以下、約1.04:1以下、もしくは約1.03:1以下であり得る。
【0058】
物品の寸法は、マイクロ波室内の流体媒体で測定される、物品が加熱されるマイクロ波室に導入されるマイクロ波エネルギーの主要モードの波長の大きさに関連して説明することもできる。加熱室に導入されるマイクロ波エネルギーの主要モードの波長は、ラムダ、λで表される。場合によっては、マイクロ波エネルギーの主要モードの波長は、少なくとも約1.45インチ、少なくとも約1.50インチ、少なくとも約1.55インチ、少なくとも約1.60インチ、および/または約1.80以下、約1.75以下、もしくは約1.70インチ以下であり得る。物品は、少なくとも少なくとも2.70λ、少なくとも約2.75λ、少なくとも約2.80λ、少なくとも約2.85λ、少なくとも約2.90λ、少なくとも約2.95λ、少なくとも約3.0λ、および/または約3.5λ以下、約3.25λ以下、約3.2λ以下、約3.15λ以下、もしくは約3.10λ以下の幅を有することができる。また、主波長λは、マイクロ波加熱室の動作条件で決定されることも理解されたい。
【0059】
本明細書に記載されるようにキャリアに装填される場合、物品は、キャリアの上部支持構造体および下部支持構造体の間に画定される貨物容積内に配置されてもよい。貨物容積は、単一の区画を備えてもよいし、前述のように1つまたは複数の仕切りを使用して2つ以上のより小さな区画に分割されてもよい。全体として、貨物容積は、合計で、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも16個、少なくとも20個、少なくとも24個、少なくとも30個、もしくは少なくとも36個、および/または100個以下、80個以下、60個以下、50個以下、40個以下、または30個以下の物品を保持するように構成できる。物品は、手動で、かつ/または任意の適切な種類の自動装置を使用して、キャリアに装填できる。
【0060】
前述のように、幅の広い物品を使用すると、加熱がより均一になり、微生物の致死率がより安定するという点で予想外の利点が得られることがわかっていいる。より幅の広い貨物容積のキャリアを採用すると、これらの利点がさらに高まり得ることも発見されている。たとえば、場合によっては、少なくとも1つの物品の幅と、物品が配置される貨物容積の合計幅との比が少なくとも約0.46:1、少なくとも約0.47:1、少なくとも約0.48:1、少なくとも約0.49:1、もしくは少なくとも約0.50:1および/または約0.55:1以下、約0.53:1以下、もしくは約0.52以下:1である場合、高まった結果が見られた。キャリアが貨物容積を2つ以上の個別の区画に分離する1つまたは複数の仕切りを含む場合、少なくとも1つの物品の幅と少なくとも1つの個別のレーンの幅の比が少なくとも約0.67:1、少なくとも約0.68:1、少なくとも約0.69:1、少なくとも約0.70:1、少なくとも約0.71:1、少なくとも約0.72:1、少なくとも約0.73:1、少なくとも約0.74:1、または少なくとも約0.75:1である場合、同様の結果が見られた。場合によっては、この比は、約0.85:1以下、約0.82:1以下、約0.80:1以下、約0.77:1以下、または約0.76:1以下であってもよい。
【0061】
ここで図8を参照すると、複数の物品40が装填されたキャリア10の一例の上面図が提供されている。図8に示された物品40は、キャリアの長さに沿って延びる単一の列に配置されている。物品は、少なくとも2本の単一列、少なくとも3本の単一列、少なくとも4本の単一列、少なくとも5本の単一列、少なくとも6本の単一列、もしくは少なくとも7本の単一列および/または15本以下の単一列、12本以下の単一列、10本以下の単一列、もしくは8本以下の単一列に配置することができる。キャリア10の物品が2つ以上の列に配置されるとき、隣接する列の物品は、横並び構成でキャリアの幅に沿って互いに間隔を空けることができる。いくつかの実施形態では、物品の列は、1つまたは複数の仕切り34を介して互いに間隔を空けてもよいが、他の実施形態では、仕切りは使用されなくてもよい。場合によっては、キャリアに装填された物品の連続する縁部間の平均距離が約1インチ以下、約0.75インチ以下、約0.5インチ以下、約0.25インチ以下、または約0.1インチ以下であり得るように、単一の列の物品間の間隔を最小化することが望ましい場合がある。場合によっては、キャリアに装填されたときに物品が互いに接触するように単一の列の連続する物品の間に隙間がなくてもよい。場合によっては、単一の列の連続する物品の少なくとも一部が水平方向に重なることがある。
【0062】
キャリア内の物品の特定の配置は、少なくとも部分的に、物品の形状に依存し得る。物品が、図7aから図7dに関して上述したような一般的な台形のような形状を有する場合、物品は入れ子構成に配置されてもよく、これは図8および図9に概略的に示される。
【0063】
入れ子構成では、図9の40a~40fとして示す単一の列の隣接する物品は、向きが逆である。入れ子構成では、キャリアに装填された物品40a~40fの列は、下向き、上向き、下向き、上向きの構成で進行方向50に連続的に配向される。図8に示すように、キャリア10内の物品の上部に「T」のマークが付けられ、キャリア10内の物品の底部に「B」のマークが付けられ、進行方向が矢印50で示されている。図8に示す例では、前述のように、キャリア10内の入れ子状物品の個々の列を分離するために複数の仕切り34が使用される。特に図9に示すように、入れ子構成に配置されたとき、第2の物品40bの底部は、第1の物品40aの上部と第3の物品40cの上部との間に向けられる。さらに、入れ子構成では、物品がキャリア10に装填されたとき、一組の交互の物品40a、40c、および40eの上部と、他の組の交互の物品40b、40d、および40fの底部は、上部支持構造(図8および図9に示されない)に接触し、一方、一組の交互の物品40a、40c、および40eの底部と他の組の交互の物品40b、40d、および40fの上部は、下部支持構造(図8および9に示される)に接触する。8 and 9 ) when the articles are loaded into carrier 10.入れ子構成に物品を配置すると、より均一な加熱が可能になることが発見された。場合によっては、入れ子構成に配置された物品は、トレイ、容器などの剛性物品であり得る。
【0064】
入れ子構成に配置された物品の別の図を以下に図10に示す。図10に示すように、物品40は、上部支持構造14と下部支持構造16との間、および仕切り34と側部部材18aとの間に画定される貨物容積の1つの区画36aに一列に並んでいる。図10はまた、26aおよび26bとして示される支持部材の上部グループおよび下部グループをそれぞれ含む上部支持構造14および下部支持構造16の一例を示す。図10に描かれた例に示すように、支持部材の上部グループ26aおよび支持部材の下部グループ26bの個々の支持部材は、各スラットの高さがその幅よりも大きくなるように配置されたほぼ長方形の断面形状を有するスラットを含む。そのような構成は、特にスラットの少なくとも一部が導電性材料で形成されている場合、優れた強度とマイクロ波場の均一性の向上を提供し得る。
【0065】
ここで、図11aおよび図11bを参照すると、マイクロ波加熱処理の主なステップおよび本発明の実施形態に従って使用するのに適したマイクロ波加熱システムの主要構成要素の概略図が提供される。
【0066】
図11aおよび図11bに示すように、1つまたは複数のキャリア(図示せず)に装填される物品は、最初に熱化ゾーン112に導入され得、そこで物品は実質的に均一な温度に熱化され得る。一旦熱化されると、物品は、マイクロ波加熱ゾーン116に導入される前に、圧力調整ゾーン114aを任意に通過することができる。マイクロ波加熱ゾーン116では、図11bに概略的に示すように、1つまたは複数のマイクロ波放射部124によりマイクロ波加熱ゾーン116の少なくとも一部に放出されるマイクロ波エネルギーを使用して物品を急速に加熱することができる。次いで、加熱された物品は、任意で保持ゾーン120を通過することができ、各物品の最も冷たい部分は、指定された時間の間、所定の目標温度またはそれより高い温度に維持され得る。その後、物品は、マイクロ波加熱ゾーン116(保持ゾーンが存在しない場合)または保持ゾーン120(存在する場合)から急冷ゾーン122へと通過することができ、そこで物品の温度を急速に適切な取り扱い温度に低下させることができる。冷却ステップの一部(またはすべて)の後、冷却された物品は、システムから除去される前に、任意で第2の圧力調整ゾーン114bを通過することができる。場合によっては、システムは、大気冷却室(図示せず)での最初の高圧冷却ステップの後に、物品をさらに冷却する場合がある。
【0067】
上述の熱化ゾーン112、マイクロ波加熱ゾーン116、保持ゾーン120、および/または図11aおよび図11bに示すマイクロ波システムの急冷ゾーン122は、単一の容器内に画定され得るか、または上記の段階またはゾーンの少なくとも1つは、1つまたは複数の別個の容器内に画定され得る。さらに、場合によっては、上述のステップの少なくとも1つは、処理中の物品が少なくとも部分的に沈められ得る液体媒体で少なくとも部分的に充填された容器内で実行され得る。本明細書で使用される「少なくとも部分的に充填された」という用語は、指定された容器の容積の少なくとも50パーセントが液体媒体で充填されている構成を意味する。特定の実施形態では、熱化ゾーン、マイクロ波加熱ゾーン、保持ゾーン、および急冷ゾーンで使用される容器の少なくとも1つの体積は、少なくとも約75パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセント、または100パーセント液体媒体で充填され得る。
【0068】
使用される液体媒体は、任意の適切な液体媒体であり得る。例えば、液体媒体は、空気の誘電率よりも大きい誘電率を有することができ、一実施形態では、処理中の物品の誘電率と同様の誘電率を有することができる。水(または水を含む液体媒体)は、消耗品の加熱に使用されるシステムに特に適している場合がある。液体媒体はまた、作動条件でその物理的性質( 例えば沸点)を変更または強化するために、例えば油、アルコール、グリコール、および塩などの1つまたは複数の添加物を含んでもよい。
【0069】
本明細書で説明されるマイクロ波加熱システムは、上述の処理ゾーン1つ以上を介して物品を輸送するための少なくとも1つの搬送システム(図11aおよび11bには示さず)を含むことができる。適切な搬送システムの例には、プラスチックまたはゴムベルトコンベア、チェーンコンベア、ローラーコンベア、フレキシブルまたはマルチフレックスコンベア、金網コンベア、バケットコンベア、空気圧コンベア、スクリューコンベア、トラフまたは振動コンベア、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。任意の適切な数の個々の搬送ラインを搬送システムで使用することができ、1つまたは複数の搬送ラインを容器内に任意の適切な方法で配置することができる。
【0070】
動作の際には、図11aおよび図11bに示すマイクロ波システムに導入された装填されたキャリアは、最初に熱化ゾーン112に導入され、物品は実質的に均一な温度を達成するために熱化される。例えば、熱化ゾーン112から引き出されるすべての物品の少なくとも約85パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセント、少なくとも約97パーセント、または少なくとも約99パーセントは、互いに約5°C以内、約2°C以内、または1°C以内の温度を有することができる。本明細書で使用される「熱化する」および「熱化」という用語は、一般に、温度平衡または均等化のステップを指す。
【0071】
いくつかの実施形態では、例えば、1つまたは複数の流体ジェットを熱化室の内部に乱流放出するように構成された1つまたは複数の流体ジェット攪拌機などの1つまたは複数の攪拌装置を使用して室内の気体または液体媒体を攪拌することにより、少なくとも部分的に熱化室内の熱伝達係数を増加させることができる。熱化室に放出される流体ジェットは、液体または蒸気ジェットであり得、少なくとも約4500、少なくとも約8000、または少なくとも約10,000のレイノルズ数を有し得る。
【0072】
ここで、図12aおよび12bを参照すると、本発明の実施形態に従って構成された複数の流体ジェット攪拌機218を含む熱化室212の一例のいくつかの図が概略的に示されている。構造的に、熱化室212で使用される流体ジェット攪拌機218は、熱化室212内の1つまたは複数の位置で通過する物品に向けて複数の加圧流体ジェットを放出するように構成された任意のデバイスであり得る。図12aに示す一実施形態では、加圧されたジェットのうちの少なくとも一部は、物品の伸張の中心軸(または搬送方向250)にほぼ垂直な方向に放出するように構成されるように、流体ジェット攪拌機218は、熱化室212の伸長の中心軸(または矢印250で示されるコンベヤ240によって物品が搬送される方向)に沿って互いに軸方向に間隔を空けることができる。そのようなジェットは、熱化室212の両側に配置することができ、かつ/または図12bに概略的に示すように、ジェットの少なくとも一部が伸張の中心軸に向かって半径方向内側に向けられるように(または搬送方向250 )熱化室212内に周方向に配置することもできる。流動化ジェットの同様の構成は、マイクロ波加熱室および/または急冷室で、熱化室でのそのようなジェットに加えて、または代替で使用することができる。
【0073】
再度図11aおよび図11bを参照すると、熱化ゾーン112が少なくとも部分的に液体媒体で充填されると、熱化ゾーン112を通過するキャリア内の物品は、通過中に少なくとも部分的に液体に沈むことができる。熱化ゾーン112内の液体媒体は、通過する物品の温度よりも温かくてもまたは冷たくてもよく、場合によっては、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40°C、少なくとも約45°C、少なくとも約50°C、少なくとも約55°C、もしくは少なくとも約60°Cおよび/または約100°C以下、約95°以下、約90°C以下、約85°C以下、約80°C以下、約75°C以下、約70°C以下、約65°C以下もしくは約60°C以下の平均バルク温度であってもよい。
【0074】
熱化ステップは、周囲圧力下で実施することができ、または加圧容器内で実施することができる。加圧されると、熱化は、少なくとも約1 psig、少なくとも約2 psig、少なくとも約5 psig、もしくは少なくとも約10 psigおよび/または約80 psig以下、約50 psig以下、約40 psig以下、もしくは約25 psig以下の圧力で実施できる。熱化ゾーン112が液体で充填され、加圧される場合、圧力は、液体によって加えられる任意の頭部圧力に加えられてもよい。熱化を受ける物品は、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約4分および/または約20分以下、約15分以下、もしくは約10分以下の熱化ゾーン112での平均滞留時間を有することができる。熱化ゾーン112から引き出された物品は、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、および/または約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、もしくは約55℃以下の平均温度を有することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、熱化ゾーン112およびマイクロ波加熱ゾーン116は、実質的に異なる圧力で動作し得、熱化ゾーン112から引き出されたキャリアは、マイクロ波加熱ゾーン116に入る前に圧力調整ゾーン114aを通過し得る。使用される場合、圧力調整ゾーン114aは、より低い圧力の領域とより高い圧力の領域との間でキャリアを移行させるように構成された任意のゾーンまたはシステムであり得る。低圧ゾーンと高圧ゾーンの間の差はシステムによって異なり、たとえば、少なくとも約1 psig、少なくとも約5 psig、少なくとも約10 psig、少なくとも約12 psig、および/または約50psig以下、約45psig以下、約40psig以下、もしくは約35psig以下であり得る。
【0076】
図11aおよび11bに示す急冷ゾーン122が、マイクロ波加熱ゾーン116とは異なる圧力で動作する場合、別の圧力調整ゾーン114bも存在して、高圧マイクロ波加熱ゾーン116または保持ゾーン120と低圧急冷ゾーン122との間でキャリアを移行させることができる。場合によっては、第1の圧力調整ゾーン114aは、キャリアを低圧熱化ゾーン112から高圧マイクロ波加熱ゾーン116に移行させることができ、第2の圧力調整ゾーン114aは、キャリアを高圧保持ゾーン120(または急冷ゾーン122の一部)から低圧急冷ゾーン122(またはその一部)まで移行させることができる。
【0077】
図11aおよび図11bに概略的に示すように、熱化後、装填されたキャリアはマイクロ波加熱ゾーン116に導入され得、1つまたは複数のマイクロ波放射部124を介してマイクロ波加熱室に放出されるマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を使用して物品が加熱され得る。本明細書で使用される「マイクロ波エネルギー」という用語は、300 MHz~30 GHzの周波数を有する電磁エネルギーを指す。本発明のマイクロ波加熱システムの様々な構成は、約915MHzまたは約2450MHzの周波数を有するマイクロ波エネルギーを使用することができ、前者が好ましい。マイクロ波エネルギーに加えて、マイクロ波加熱ゾーン116は、例えば、デバイスの様々な伝導性または対流加熱方法などの1つまたは複数の他のタイプの熱源を任意に利用してもよい。しかし、物品を加熱するために使用されるエネルギーの少なくとも約50パーセント、少なくとも約55パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約65パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約75パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約85パーセント、少なくとも約90パーセント、または少なくとも約95パーセントは、マイクロ波源からのマイクロ波エネルギーであり得ることが一般に好ましい。
【0078】
本発明のシステムで使用するのに適したマイクロ波加熱ゾーン316の一例を図13に概略的に示す。図13に示すマイクロ波加熱ゾーンは、一般に、マイクロ波加熱室330、マイクロ波エネルギーを生成するための少なくとも1つのマイクロ波発生部332、およびマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を発生部332からマイクロ波加熱室330に向けるためのマイクロ波分配システム334を含む。このシステムは、マイクロ波エネルギーをマイクロ波加熱室の内部に放出するための、図13に放射部324aおよび324bの上部および下部グループとして示される1つまたは複数のマイクロ波放射部をさらに備える。マイクロ波加熱ゾーンはまた、マイクロ波加熱ゾーン316を通って物品群が装填された複数のキャリア312を輸送するための搬送ライン支持体を有する搬送システム340を含んでもよい。
【0079】
マイクロ波加熱ゾーン内の各マイクロ波放射部は、特定の量のマイクロ波エネルギーをマイクロ波加熱室内に放射するように構成されてもよい。例えば、各マイクロ波放射部は、少なくとも約5 kW、少なくとも約7 kW、少なくとも約10 kW、少なくとも約15 kWおよび/または約50 kW以下、約40 kW以下、約30 kW以下、約25 kW以下、約20 kW以下、もしくは約17 kW以下を放射するように構成されてもよい。システムが、2つの以上のマイクロ波放射部を含む場合、各放射部は、一つまたは複数の他の放射部と同量のエネルギーを放射することができ、あるいは少なくとも一つの放射部は、他の放射部の少なくとも1つと比較して、異なる( 例えば 、より低いまたはより高い)エネルギー量を放射することができる。全体として、マイクロ波加熱室に放出されるエネルギーの総量は、少なくとも約25 kW、少なくとも約30 kW、少なくとも約35 kW、少なくとも約40 kW、少なくとも約45 kW、少なくとも約50 kW、少なくとも約55 kW、少なくとも約60 kW、少なくとも約65 kW、少なくとも約70 kW、もしくは少なくとも約75 kWおよび/または約100 kW以下、約95 kW以下、約90kW以下、約85kW以下、約80kW以下、約75kW以下、約70kW以下、もしくは約65kW以下であり得る。
【0080】
マイクロ波加熱ゾーンが2つ以上のマイクロ波放射部を含む場合、例えば図13に示す放射部324aなど、放射部の少なくともいくつかをマイクロ波加熱室の同じ側に配置することができる。これらの同じ側の放射部は、マイクロ波加熱室330を通過するキャリアの進行方向(または搬送方向)に平行な方向に、マイクロ波加熱室の長さに沿って互いに軸方向に間隔を空けられてもよい。マイクロ波加熱ゾーン316はまた、室を通るキャリアの進行方向にほぼ垂直な方向に互いに横方向に間隔を空けられた2つ以上の同じ側の放射部を含むことができる。
【0081】
キャリアがマイクロ波加熱室330を通って搬送ライン340に沿って移動すると、同側の各放射部324を通過する。キャリアが放射部324の近くを通過すると、放射部324から放射されたマイクロ波エネルギーの少なくとも一部が物品に向けられる。キャリアが同じ側の放射部324の1つを過ぎて移動すると、マイクロ波エネルギーが物品にほとんど向けられないか、または向けられない「休止」または滞留時間があり得る。場合によっては、マイクロ波加熱ゾーン316内の放射部324間の滞留時間は、少なくとも約0.5秒、少なくとも約0.75秒、少なくとも約1秒、少なくとも約2秒、もしくは少なくとも約3秒、および/または約10秒以下、約8秒以下、約6秒以下、約4秒以下、もしくは約2秒以下とすることができる。滞留時間中、放射部のうちの1つ以上からマイクロ波エネルギーがほとんど(たとえば、5 kW未満)またはまったく放出されない可能性があるが、キャリアは静止したままであるか、マイクロ波室330の少なくとも一部を通って移動する。いくつかの実施形態では、単一のキャリア内の物品が経験する総滞留時間は、少なくとも約3秒、少なくとも約5秒、少なくとも約6秒、少なくとも約10秒、少なくとも約15秒、もしくは少なくとも約20秒、および/または約5分以下、約2分以下、約1分以下、もしくは約30秒以下であり得る。
【0082】
場合によっては、搬送ライン340は、キャリアがマイクロ波加熱室330を通って前後に移動するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、単一のキャリアがマイクロ波加熱室330を通過する際に、単一のキャリアが所定のマイクロ波放射部324を通過する(または放射部によって放出されるエネルギーによって生成されるマイクロ波エネルギー場を通過する)回数の合計は、少なくとも約2回、少なくとも約3回、少なくとも約4回、少なくとも約5回、少なくとも約6回、もしくは少なくとも約7回および/または12回以下、約10回以下、約9回以下、約8回以下、もしくは約6回以下であり得る。放射部による各通過について、上記範囲の1つ以上の内のマイクロ波エネルギーの量は、マイクロ波放射部324の少なくとも1つから放出されてもよい。
【0083】
さらに、または代替として、マイクロ波加熱ゾーン316は、例えば図13に示す放射部324aおよび下部放射部324bなど、マイクロ波室の両側に配置された少なくとも2つの放射部を含むこともできる。これらの対向する、または反対向きに配置された放射部は、放射部の放射開口部が実質的に一列に整列されるように向かい合ってもよく、または対向する放射部の放射開口部が互いに軸方向および/または横方向に間隔を空けるように互い違いに配置されてもよい。
【0084】
本発明の実施形態によれば、いくつかの種類のマイクロ波放射部をマイクロ波加熱ゾーンで利用することができる。例示的なマイクロ波放射部のいくつかの図が図14a図14eに提供されている。まず図14aを参照すると、マイクロ波放射部822の一例は、一組のより広い対向する側壁832a、bおよび一組のより狭い対向する端壁834a、bを含み、これらは集合的に実質的に長方形の放射開口部838を画定する。放射開口部838は、側壁832a、bおよび端壁834a、bのそれぞれの下側終端縁部によって画定される幅(W )および深さ(D )を有することができる。側壁832の1つの図および適切な端壁834のいくつかの例が図14bおよび図14c図14eそれぞれに示されている。
【0085】
放射開口部838の深さ(D )は、その幅(W )よりも小さい。放射部がマイクロ波エネルギーをマイクロ波加熱室に放出するように構成される場合、深さは通常、マイクロ波加熱室を通って移動するキャリアの進行方向に垂直な方向に向けられる。言い換えれば、放射開口部838は、側壁832a、bのより長い終端縁によって画定される放射部の幅が、進行方向(または伸張方向)に対して平行に向けられ、一方、端壁834a、bのより短い終端縁部によって画定される放射部の深さは、進行方向(または伸長)に対して実質的に垂直に整列している。
【0086】
任意に、一対の側壁832a、bおよび一対の端壁834a、bの少なくとも一方は、図14bおよび図14cにそれぞれ示すように、マイクロ波放射部入口836の少なくとも一つの寸法(幅W または深さD )が、対応する出口寸法(幅W または深さD )より小さくなるようにフレア状であり得る。。フレア状である場合、図14bおよび図14cに示すように、側壁および/または端壁は、それぞれの幅のフレア角度θWおよび深さのフレア角度θDを定義する。幅のフレア角度θWおよび/または深さのフレア角度θdが 、少なくとも約2°、少なくとも約5°、少なくとも約10°、もしくは少なくとも約15°、および/または約45°以下、約30°以下、もしくは約15°以下であり得る。存在する場合、幅のフレア角度θWおよび深さのフレア角度θDの値は同じであり得るか、またはθWとθDのそれぞれは、異なる値を有することができる。場合によっては、マイクロ波放射部822の端壁838a、bは幅のフレア角θWよりも小さい深さのフレア角度θdを有することができる。例えば、深さのフレア角度θDは、図14dに示すように、マイクロ波放射部822の入口深さD 0と出口寸法D 1は 、実質的に同じであるように、約0°以下であることができるか、または深さのフレア角度θDは 、図14eに示すように、D 1D 0よりも小さくなるように、0°未満であってもよい。
【0087】
場合によっては、マイクロ波加熱ゾーンを通過する物品にマイクロ波エネルギーを向けるために使用されるマイクロ波放射部は、単一のマイクロ波入口と2つ以上の放射開口部を含んでもよい。このようなマイクロ波放射部の一例は、放射部922として示されており、以下の図15および図16に提供されている。マイクロ波放射部922は、入口936と、互いに横方向に間隔を空けた第1の間隔を空けた放射開口部938a、第2の間隔を空けた放射開口部938b、および第3の間隔を空けた放射開口部938cを含む。3つの開口部を含むように示されているが、2つまたは4つ以上の放射開口部を有する同様のマイクロ波放射部も使用できることを理解されたい。図17に寸法x およびx として示されている、隣接する放射開口部間の間隔は、少なくとも0.25インチ、少なくとも0.35インチ、もしくは少なくとも0.45インチ、および/または約1インチ以下、約0.85インチ以下、約0.80インチ以下、約 0.75インチ以下、約0.70インチ以下、もしくは約0.65インチ以下であり得る。
【0088】
加熱室に導入されるマイクロ波エネルギーの主要モードの波長(λ)に関して表される、放射開口部938a~938cとして図15図17に示すなどの放射開口部は、少なくとも約0.05λ、少なくとも約0.075λ、少なくとも約0.10λおよび/または約0.25λ以下、約0.20λ以下、もしくは約0.15λ以下だけ互いに間隔を空けることができる。マイクロ波放射部922が2つ以上の放射開口部938a~938cを含む場合、放射部の内部に配置され、放電開口部938a~938c間の所望の間隔に等しい厚さをその終端に有する少なくとも1つの分割隔壁940a、940bも含み得る。図概して一定の厚さを有するものとして図15および16に示すが、各隔壁の厚さは、図17に概略的に示すように、マイクロ波放射部922の入口と出口の間でその長さまたは最長寸法に沿って変化してもよい。
【0089】
マイクロ波放射部922は、複数の放射開口部938a~938cを含む場合、各開口部は、図15および図16中のd~dとして示す深さを画定することができる。各放射開口部938a~938cの深さは同じであってもよく、または1つまたは複数が異なっていてもよい。各開口部938a~938cの深さは、例えば、少なくとも約1.5インチ、少なくとも約2インチ、少なくとも約2.5インチ、少なくとも約2.75インチ、少なくとも約3インチ、もしくは少なくとも約3.25インチ、および/または約5インチ以下、約4.5インチ以下、約4インチ以下、もしくは約3.5インチ以下であり得る。マイクロ波加熱室に導入されるマイクロ波エネルギーの主要モードの波長(λ)に関して表される場合、放射開口部938a~938cは、約0.625λ以下、約0.50λ以下、約0.45λ以下、約0.35λ以下、または約0.25λ以下の深さを有し得る。マイクロ波放射部922の特定の構成に応じて、放射開口部938a~938cの1つ以上は、マイクロ波入口936の深さよりも大きい、小さい、または等しい深さを有し得る。各放射開口部938a~938cの深さは、存在する場合、隔壁940a、940bの厚さを含まないことを理解されたい。
【0090】
本発明で使用される1つまたは複数のマイクロ波放射部によって画定される1つまたは複数の放射開口部は、マイクロ波加熱室をマイクロ波放射部から流体的に隔離するための実質的にマイクロ波透過窓によって少なくとも部分的に覆われ得る。存在する場合、マイクロ波透過窓は、放射部からのマイクロ波エネルギーのかなりの部分がそれを通過してマイクロ波室に入ることを依然として許容しながら、マイクロ波室とマイクロ波放射部との間の流体の流れを防ぎ得る。窓は、ガラス充填テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、酸化アルミニウム、ガラス、およびそれらの組み合わせなどの1つ以上の熱可塑性またはガラス材料を含むが、これらに限定されない任意の適切な材料で形成され得る。各窓の平均厚さは、少なくとも約4mm、少なくとも約6mm、少なくとも約8mm、もしくは少なくとも約10mmおよび/または約20mm以下、約16mm以下、または約12 mm以下であり得る。各窓は、破損、ひび割れ、またはその他の故障なく、少なくとも約40 psig、少なくとも約50 psig、少なくとも約75 psigおよび/または約200 psig以下、約150 psig以下、もしくは約120 psi以下の圧力差に耐えることができる。
【0091】
前述のように、従来のサイズの製品と比較して幅の広い物品を使用すると、特に加熱の均一性が向上するという点で、独特で予想外の利点が得られることがわかった。さらに、1つまたは複数の放射開口部の寸法に対して特定の寸法を有するように物品および/またはキャリアを調整することにより、均一な加熱およびより均一な微生物致死率に関してさらなる利点が得られることがわかった。これらの寸法のいくつかは、図17および図18に示されている。
【0092】
ここで図17を参照すると、マイクロ波放射部および物品装填キャリアの一構成の部分断面図が示されている。図17に示すように、キャリア912は、2列で並べて配置された物品950が装填され、3つのマイクロ波放射開口部938a~938cを含むマイクロ波放射部922の下に配置されている。そのような構成は、例えば、キャリア912がマイクロ波加熱室(図示せず)を通過するときに起こり得る。2列並んだ物品のみを含むように示すが、キャリア912は任意の適切な数の物品の列を含むことができ、放射部922およびキャリア912は物品を収容するための任意の適切な幅を有することが理解されるべきであるが、本明細書で論じる範囲の1つ以上の範囲内に収まる寸法および相対寸法を依然として有している。
【0093】
物品がキャリア貨物容積内で2列以上に配置されている場合、図17の寸法D cとして示すように、隣接する物品の幾何学的中心点間で測定して、隣接する列の横並びの物品間の距離が少なくとも0.5インチ、少なくとも約1インチ、少なくとも約1.5、少なくとも約2、少なくとも約2.5、少なくとも約3.5、少なくとも約4.5、少なくとも約4.75、少なくとも約4.8、少なくとも約4.85、もしくは少なくとも約4.9インチ離れているおよび/または約10インチ以下、約8インチ以下、約7インチ以下、約6.5インチ以下、約6インチ以下、約5.85インチ以下、約5.75インチ以下、もしくは約5.6インチ以下離れているように互いに間隔を空けることができる。物品の幅(W)に部分的に応じて、図17に寸法S として示される、横並びの物品の隣接する縁の間の間隔は、少なくとも約0.25インチ、少なくとも約0.30インチ、少なくとも約0.45インチ、および/または約1インチ以下、約0.75インチ以下、もしくは約0.55インチ以下とすることができる。
【0094】
図17に示していないが、隣接する列の横並びの物品は、少なくとも1つの仕切りによって分離することができる。あるいは、仕切りが存在しない場合がある。存在する場合、仕切りは、仕切りの幅が前述の横並びの物品の隣接する縁の間の間隔の範囲の1つ以上に収まるように、物品の縁と接触してもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、図17にD として示す、キャリア内の隣接する列の横並びの物品950の中心点間の距離の、図17に寸法W cとして示すキャリアの貨物容積の幅に対する比は、少なくとも0.53:1、少なくとも0.54:1、少なくとも約0.55:1、少なくとも約0.56:1、または少なくとも約0.57:1であり得る。場合によっては、この比は約0.70:1以下、約0.65:1以下、約0.62:1以下、または約0.60:1以下であり得る。さらに、マイクロ波室に導入されるマイクロ波エネルギーの主要モードの波長に関して表される、キャリア912の隣接する列の横並びの物品950の中心点間の距離は、少なくとも約3.10λ、少なくとも約3.15λ、少なくとも約3.20λ、少なくとも約3.25λ、少なくとも約3.30λ、少なくとも約3.35λ、もしくは少なくとも約3.40λおよび/または約4.0λ以下、約3.75λ以下、約3.70λ以下、約3.65λ以下、もしくは約3.60λ以下であってもよい。
【0096】
さらに、図18にWとして示す幅を有する物品は、その幅が、図17にd からd として示す放射開口部それぞれの深さの少なくとも約1.25倍、少なくとも約1.27倍、少なくとも約1.30倍、少なくとも約1.32倍、少なくとも約1.35倍、少なくとも約1.37倍、少なくとも約1.40倍、または少なくとも約1.42倍であり、物品の内容物のより均一な加熱を促進することが見出された。マイクロ波放射部922が複数の放射開口部938a~938cを有する場合、開口部それぞれの深さが同じであるか1つまたは複数の他の放射開口部の深さと異なるかどうかにかかわらず、本明細書で提供される比は各開口に個別に適用されることを理解されたい。図16および図17のd~dとして示す放射開口部938a~938cのそれぞれの深さに対する各物品950の幅(W)の比は、約2:1以下、約1.95:1以下、約1.90:1以下、約1.85:1以下、約1.80:1以下、約1.75:1、または約1.70:1以下であってもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、図17にW として示す、キャリア912の貨物容積の幅の、図17のd ~d として示す放射開口部938a~938cのそれぞれの深さに対する比は、少なくとも約2.75:1、少なくとも約2.80:1、少なくとも約2.85:1、少なくとも約2.90:1、少なくとも約2.95:1、少なくとも約3.0:1、少なくとも約3.05:1、少なくとも約3.10:1、少なくとも約3.15:1、少なくとも約3.20:1、少なくとも約3.25:1、少なくとも約3.30:1、少なくとも約3.35:1、少なくとも約3.40: 1、少なくとも約3.45:1、または少なくとも約3.50:1であってもよい。さらに、または代替として、キャリアの貨物容積の幅と各放射開口部938a~938cの深さとの比は、約4.2:1以下、約4.1:1以下、約4:1以上、約3.95:1以下、約3.9:1以下、約3.85:1以下、約3.8:1以下、約3.75:1以下、以下約3.7:1、約3.65:1以下、または約3.6:1以下であってもよい。
【0098】
キャリア912の貨物容積が、少なくとも1つの仕切り(図17および図18には示されていない)によって2つ以上の個々の区画に分離されるとき、図17中のDd~dとして示す各放射開口部938a~938cの深さに対する各個々の区画の幅の比は、。少なくとも約1.87:1、少なくとも約1.90:1、少なくとも約1.95:1、少なくとも約2.0:1、少なくとも約2.05:1、少なくとも約2.10:1、少なくとも約2.15:1、少なくとも約2.20:1、少なくとも約2.25:1、少なくとも約2.30:1、または少なくとも約2.32:1であってもよい。さらに、または代替として、各個々の区画の幅と各放射開口部938a~938cの深さの比は、約2.80:1以下、約2.75:1以下、約2.70: 1以下、約2.65:1以下、約2.6:1以下、約2.55:1以下、約2.5:1以下、約2.45:1以下、約2.4:1以下、約2.35:1以下であり得る。
【0099】
再度図11aおよび図11bを参照すると、キャリアがマイクロ波加熱ゾーン116を通過するとき、物品の最も冷たい部分が目標温度に達するように物品を加熱することができる。マイクロ波加熱システムが滅菌または低温殺菌システムである場合、目標温度は、少なくとも約65°C、少なくとも約70°C、少なくとも約75°C、少なくとも約80°C、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、少なくとも約100℃、少なくとも約105℃、少なくとも約110℃、少なくとも約115℃ 、少なくとも約120℃、少なくとも約121℃、少なくとも約122℃および/または約130℃以下、約128℃以下、約126℃以下、またはそれ以下約125°C以下、約122°C以下、約120°C以下、約115°C以下、約110°C以下、約105°C以下、約 100°C以下、もしくは約95°C以下の滅菌または低温殺菌の目標温度であり得る。
【0100】
マイクロ波加熱ゾーン116内のマイクロ波加熱室は、少なくとも部分的に液体で充填されていてもよく、キャリア中の物品の少なくとも一部または全部が加熱中に液体媒体に沈められていてもよい。マイクロ波加熱室内の液体の平均バルク温度は変動する場合があり、場合によっては、マイクロ波加熱室内に放出されるマイクロ波エネルギーの量に応じる場合がある。マイクロ波加熱室内の液体の平均バルク温度は、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、少なくとも約80℃、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、少なくとも約100℃、少なくとも約105℃、少なくとも約110℃、少なくとも約115℃、もしくは少なくとも約120℃および/または約135℃以下、約132℃以下、約130℃以下、約127℃以下、もしくは約125℃以下であってもよい。場合によっては、マイクロ波加熱室内の液体は、1つまたは複数の熱交換器(図示せず)を介して継続的に加熱されてもよく、温度は、たとえば、所定の設定値から約2°C以内、約5° C、約7°C以内、または10°C以内にとどまるように、ほぼ一定のままであってよい。他の場合、液体は別のソースによって加熱または冷却することができず、マイクロ波加熱ステップ中は、その温度は少なくとも10°C、少なくとも約12°、少なくとも約15°、少なくとも約20°C、または少なくとも約25°C変化し得る。
【0101】
キャリアがマイクロ波加熱室を通過すると、物品は比較的短時間で目標温度に加熱され、熱による損傷や物品の劣化を最小限に抑えることができる。例えば、マイクロ波加熱ゾーン116を通過する各物品の平均滞留時間は、少なくとも約5秒、少なくとも約20秒、少なくとも約60秒、および/または約10分以下、約8分以下、約5分以下、約3分以下、約2分以下、もしくは約1分以下であり得る。マイクロ波加熱ゾーン116で加熱される物品の最低温度は、少なくとも約10℃、少なくとも約20℃、少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、少なくとも約75℃および/または約150℃以下、約125℃以下、もしくは約100℃以下上昇する可能性があり、加熱は少なくとも約5℃/分、少なくとも約10°C /分、少なくとも約15°C /分、少なくとも約25°C /分、少なくとも約35°C /分および/または約75℃/分以下、約50℃/分以下、約40℃/分以下、約30℃/分以下、または約20℃/分以下の速度で行われ得る。
【0102】
マイクロ波加熱室は、ほぼ周囲圧力で動作できる。あるいは、少なくとも5psig、少なくとも約10psig、少なくとも約15psig、または少なくとも約17psigおよび/または約80psig以下、約60psig以上、約50psig以下、もしくは約40psig以下周囲圧力より高い圧力で動作する加圧マイクロ波室であってもよい。本明細書で使用される「周囲」圧力という用語は、外部加圧装置の影響なしでマイクロ波加熱室内の流体によって加えられる圧力を指す。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態では、マイクロ波加熱ゾーンを出ると、装填されたキャリアは保持ゾーンに送られ、物品の温度は所定の期間にわたって特定の目標温度以上に維持され得る。例えば、保持ゾーンでは、物品の最も冷たい部分の温度を、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、少なくとも約80℃、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、少なくとも約100℃、少なくとも約105℃、少なくとも約110℃、少なくとも約115℃ 、もしくは少なくとも約120℃、少なくとも約121℃、少なくとも約122℃および/または約130℃以下、約128℃以下、もしくは約126℃以下の所定の最低温度以上の温度に、少なくとも約1分、少なくとも約2分、または少なくとも約4分および/または約20分以下、約16分以下、もしくは約10分以下の期間(または「ホールド期間」)の間保持することができる。他の実施形態では、マイクロ波加熱ゾーンを出る装填されたキャリアは、急冷ゾーン122に直接送られてもよい。
【0104】
加熱された物品が存在する場合、保持ゾーン120またはマイクロ波加熱ゾーン116を出ると、保持ゾーンが存在しない場合、キャリアは急冷ゾーン122に導入され、物品は冷却された液体に沈められて可能な限り迅速に冷却され得る。急冷ゾーン122は、物品の外部表面温度を少なくとも約30℃、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、および/または約100℃以下、約75°C以下、もしくは約50°C以下、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約3分、および/または約10分以下、約8分以下、もしくは約6分以下の期間で、低下させるように構成されてもよい。急冷ゾーン122では任意の適切な流体を使用することができ、場合によっては、流体は、マイクロ波加熱ゾーン116および/または保持ゾーン120(存在する場合)で使用される液体と同様または異なる液体を含むことができる。急冷ゾーン122から取り出されたとき、冷却された物品は、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、および/または約70℃以下、約60°C、もしくは約50°C以下の温度を有することができる。いくつかの実施形態では、急冷ゾーン122の少なくとも一部は、少なくとも約10psig、少なくとも約15psig、少なくとも約20psig、もしくは少なくとも約25psig、および/また約100psig以下、約50psig以下、約40psig以下、もしくは約30psig以下急冷室内の周囲圧力より高い圧力で動作するように加圧することができる。急冷ゾーン122から取り出されると、冷却され処理された物品は、その後の貯蔵または使用のためにマイクロ波加熱システムから取り出され得る。
【0105】
前述のように、本明細書で論じる特定の相対寸法を有する物品、キャリア、およびマイクロ波放射部を使用すると、より均一に加熱された物品が得られることが発見された。そのような物品は、加熱システムから取り出されると、ホットスポットとコールドスポットがより少なく、均一な微生物致死率を有する製品が含まれる。
【0106】
例えば、本明細書で説明するように加熱された物品は、物品が保持ゾーン120(存在する場合)またはマイクロ波加熱ゾーン116(保持ゾーンが存在しない場合)から取り出されるときに、最も熱い部分と最も冷たい部分との間の温度差が小さくなる場合がある。場合によっては、保持ゾーン120(またはマイクロ波加熱ゾーン116)から引き出された各物品の最も熱い部分によって達成される最高温度と同じ物品の最も冷たい部分の最低温度との間の差は20°C以下、約17°C以下、約15°C以下、約12°C以下、約10°C以下、約8°C以下、または約5°C以下である。さらに、保持ゾーン120(またはマイクロ波加熱ゾーン116)から引き出された単一のキャリア内の物品の最も熱い部分のすべての最高温度と、同じキャリア内の物品の最も冷たい部分のすべての最低温度との間の差は30°C以下、約27°C以下、約25°C以下、約22°C以下、約20°C以下、約17°C以下、約15℃以上、約12℃以下、または約10℃以下である。前者の温度差は、各個々の物品のより均一な加熱を示し、後者の温度差は、キャリア内の複数の物品のより均一な加熱を示す。
【0107】
場合によっては、物品の最も熱い部分の温度は、約135°C以下、約133°C以下、約130°C以下、約127°C以下、または約125°C以下である。各物品の最も冷たい部分の温度は、少なくとも約119℃、少なくとも約120℃、少なくとも約121℃、少なくとも約123℃、および/または約134℃以下、約133°C以下、約132°C以下、もしくは約131°C以下であり得る。他の場合には、物品の最も熱い部分の温度は、少なくとも約75℃、少なくとも約80℃、もしくは少なくとも約85℃および/または約120℃以下、約115℃以下、約110℃以下、約105℃以下、約100℃以下、もしくは約95℃以下であり得る。
【0108】
さらに、保持ゾーン120から(または保持ゾーンが存在しない場合はマイクロ波加熱ゾーン116から)取り出された物品は、他のシステムによって処理された物品よりも高いかつ/またはより一定の微生物致死率を示す。たとえば、システムを滅菌に使用する場合、各物品の最も冷たい部分は、少なくとも約1分、少なくとも約1.5分、少なくとも約1.75分、少なくとも約2分、少なくとも約2.25分、少なくとも約2.5分、少なくとも約2.75分、少なくとも約3分、少なくとも約3.25分、もしくは少なくとも約3.5分および/または約10分以下、約8分以下、約6分以下、約4分以下、約3.75分以下、約3.5分以上、約3.25分以下、約3分以下、約2.75分以下、約2.5分以下、約2.25分以下、もしくは約2分以下の華氏18度のZ値で華氏250度(セ氏121.1度)で測定して、ボツリヌス菌の最小微生物致死率(F 0 )を達成できる。
【0109】
このシステムを低温殺菌に使用する場合、各物品の最も冷たい部分は、少なくとも約5分、少なくとも約5.5分、少なくとも約6分、少なくとも約6.5分、少なくとも約7分、少なくとも約7.5分、少なくとも約8分、少なくとも約8.5分、少なくとも約9分、少なくとも約9.5分、少なくとも約10分、少なくとも約10.5分、少なくとも約11分、または少なくとも約11.5分のセ氏6度のZ値でセ氏90度で測定して、サルモネラ菌または大腸菌 (低温殺菌される食品に応じて)の微生物致死率(F)を達成できる。あるいは、またはさらに、 サルモネラまたは大腸菌の微生物致死率は、ASTM F-1168-88(1994)に従って測定して、約20分以下、約19分以下、約18分以下、約17分以下、または約16分以下であり得る。
【0110】
最も冷たい滅菌された物品の最も冷たい部分で測定された最小F 0値の標準偏差(同一またはほぼ同一の物品を利用したいくつかの類似の試験間で測定)は、約2.0分以下、約1.75分以下、約1.5分以下、または約1.25分以下であり得る。さらに、最も熱い滅菌された物品の最も熱い部分で測定された最大の微生物致死率、F 0maxは 、同一の試験、微生物致死、の最小F0値より、12倍以下、約10倍以下、または約8倍以下高くてもよい。 物品が低温殺菌された場合、いくつかの同様の試験間で同様の偏差が予想され得る。
【0111】
本発明のマイクロ波加熱システムは、比較的短時間で物品を大量に処理することができる商業規模の加熱システムであってもよい。マイクロ波エネルギーを利用して複数の物品を加熱する従来のレトルトおよび他の小規模システムとは対照的に、本明細書に記載のマイクロ波加熱システムは、‘516出願に記載されているように測定して、搬送ラインごとに毎分少なくとも約10パッケージ、搬送ラインごとに毎分少なくとも約15パッケージ、 、搬送ラインごとに毎分少なくとも約20パッケージ、搬送ラインごとに毎分少なくとも約25パッケージ、または搬送ラインごとに毎分少なくとも約30パッケージの全体生産速度を達成するように構成可能である。
定義
【0112】
本明細書で使用される用語「備えている、含んでいる(comprising)」、「備える、含む(comprisesおよびcomprise)」は、この用語の前に列挙された主題からこの用語の後に列挙された1つまたは複数の要素に移行するために使用されるオープンエンドの移行句であり、移行句の後に列記される1つまたは複数の要素は、必ずしも主題を構成する唯一の要素とは限らない。
【0113】
本明細書で使用される「含んでいる(including)」、「含む(includesおよびinclude)」という用語は、「備えている、含んでいる(comprising)」、「備える、含む(comprisesおよびcomprise)」と同じオープンエンドの意味を有する。
【0114】
本明細書で使用される「有している(having)」、「有する(hasおよびhave」という用語は、「備えている、含んでいる(comprising)」、「備える、含む(comprisesおよびcomprise)」と同じオープンエンドの意味を有する。
【0115】
本明細書で使用される「含有している(containing)」、「含有する(containsおよびcontain)」という用語は、「備えている、含んでいる(comprising)」、「備える、含む(comprisesおよびcomprise)」と同じオープンエンドの意味を有する。
【0116】
本明細書で使用される用語「a」、「an」、「the」、および「said」は、1つまたは複数を意味する。
【0117】
本明細書で使用される「および/または(and/or)」という用語は、2つ以上の項目の列記に使用される場合、列記された項目のいずれか1つを単独で使用できること、または列記された項目の2つ以上の任意の組み合わせを使用できることを意味する。例えば、ある組成物が構成要素A、B、および/またはCを含むと記載されている場合、その組成物はA単独、B単独、C単独、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、または、A、B、およびCの組み合わせを含むことができる 。
【実施例
【0118】
麺とソースの組み合わせで充填された密閉トレイを、本明細書に記載の実験室規模のシステムでマイクロ波加熱で加熱するいくつかの試験を行う。マイクロ波加熱システムは、熱化ゾーン、マイクロ波加熱ゾーン、保持ゾーン、および冷却ゾーンを含み、これらはすべて実質的に精製水で充填される。マイクロ波加熱ゾーンは、それぞれが3つの開口部を有し、図15および図16に示すものと同様に構成された、一対の対向するマイクロ波放射部を含む。各放射開口部の幅(より長い寸法)は、マイクロ波加熱ゾーン内のキャリアの長さに平行に整列される。図16に d およびd として示す外側開口部のそれぞれの深さは、3.5インチであり、図16にdとして示す中央開口部の深さは3.0インチである。各開口部を少なくとも部分的に形成する放射部内に配置された2つの隔壁のそれぞれは、0.625インチの幅を有する。
【0119】
さまざまなサイズと形状の多層ポリプロピレンから形成された容器に、30重量パーセントの卵白パスタ麺と70重量パーセントのチーズソースの組み合わせ、または26重量パーセントのチーズトルテリーニと74重量パーセントのレッドソースの組み合わせを充填する。加熱試験中に使用されたさまざまな包装された食品のそれぞれの特性の概要は、以下の表1にまとめられている。
【表1】
【0120】
各加熱試験について、単一の種類のいくつかの包装された食品を3つのキャリアの1つに装填する。その寸法と方向は以下の表2にまとめられている。各キャリアに装填されたパッケージは、入れ子構成(上向き、下向き構成など)に配置され、仕切りによって互いに間隔が空けられる。各キャリア(キャリアAからC)で使用される仕切りの幅は、並んだ列の隣接するパッケージの中心点間の距離(CP-to-CP)とともに、以下の表2にまとめられている。さらに、各キャリアは、貨物容積内で物品を保持する支持部材の上部グループおよび下部グループの一部として金属スラットを利用する。
【表2】
【0121】
物品をキャリアに入れて固定したら、装填されたキャリアをマイクロ波加熱システムの熱化ゾーンに導入する。キャリアは、毎秒2.5~2.8インチの平均速度で搬送ラインに沿って移動し、熱化ゾーン内の水の平均バルク温度は65℃~85℃である。熱化ゾーンでの各装填キャリアの合計滞留時間は35分である。
【0122】
熱化ゾーンで予熱された後、装填されたキャリアはマイクロ波加熱ゾーンに送られる。一部の試験では、マイクロ波加熱ゾーンの液体媒体の温度は約121°Cでほぼ一定であるが、他の試験では温度が変動し、概して約95°Cから約125°Cの範囲である。マイクロ波加熱ゾーンの圧力は、液体媒体の周囲圧力より50psig高い。加熱ステップ中に、各キャリアは、合計4回マイクロ波放射部によってキャリアを通過させ、各通過中に放射部から所定量のマイクロ波エネルギーを放出することを含む特定の加熱プロファイルを受ける。各通過の間に約6秒の有効滞留時間が許可される。これらの各実行の特定の加熱プロファイルの概要は、以下の表3aおよび3bに記載される。
【0123】
加熱後、物品は、保持時間の間、約121℃~約125℃の平均バルク温度を有する加熱された液体に沈められたままである。合計保持時間は10分から15.5分までの範囲である。 保持ステップの後、キャリアを加圧急冷ゾーンに通し、そこで、平均バルク温度が35℃~40℃の水との接触により物品を冷却する。冷却ゾーンの圧力は、水の周囲圧力よりも50 psig高い。
【0124】
急冷ゾーンからの除去時に、物品をキャリアから除去し、微生物致死率(F 0 )をさまざまな場所のいくつかの物品について測定する。たとえば、一部の物品の微生物致死率は、加熱中に最高温度に達した物品の一部で測定され、他の物品の微生物致死率は、加熱中に最低温度に達した物品の一部で測定される。コールドスポットで測定されたF 0値(最小F 0 )は、所定の実行で物品が示す最小微生物致死率に関する情報を提供し、ホットスポットで測定されたF 0値(最大F 0 )は、同じ実行の物品によって達成された最大致死率(過剰処理を示す可能性がある)を示す。最も熱い測定されたホットスポットで決定された最大F 0と、最も冷たい測定されたコールドスポットで決定された最小F 0の小さい方の比は、実行中のすべてのサンプルの中でより均一な微生物致死率を示す。
【0125】
各試験が実施された特定の条件の概要、および各試験の結果は、それぞれ以下の表4~6にまとめられている。 以下に示す図19a図19cは、各試験における各パッケージの番号付けと相対位置を示す。以下の表5で提供される各パッケージの測定された微生物致死率は、表6に列記されたパッケージを除き、パッケージのコールドスポットで測定された。各試験について、図19a~図19cに示し、表6に列記されている番号付けされたパッケージの微生物致死率は、物品のホットスポットで測定された。表5に要約されている最大F 0と最小F 0の比は、与えられた試験で測定された最高F 0と最低F 0の比として計算された。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】
【0126】
上述の本発明の好ましい形態は、例示としてのみ使用されるべきであり、本発明の範囲を解釈するために限定的な意味で使用されるべきではない。上述の例示的な一実施形態に対する明らかな修正は、本発明の精神から逸脱することなく、当業者によって容易に行われ得る。
【0127】
これにより発明者らは、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の文言的な範囲から実質的に逸脱しないが、本発明の文言的な範囲外である任意の装置に属するものとして、本発明の合理的に公正な範囲を決定および評価する均等論に委ねるという意図を表明するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14-1】
図14-2】
図15
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図19