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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
D06F58/02 K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020029048
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021132719
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 徹
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-056991(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0256317(US,A1)
【文献】特開2014-068655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 58/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容された回転ドラムを回転させながら、前記回転ドラム内に加熱空気を供給することによって前記衣類を乾燥させる衣類乾燥機であって、
前記回転ドラムの回転軸上から外部に向けて突設されて、前記回転ドラムを軸支する支持軸と、
前記回転ドラム内に前記加熱空気を導入する導入口と、
前記回転ドラムに前記支持軸が取り付けられた箇所の周囲に形成されて、前記回転ドラム内に導入された前記加熱空気を前記回転ドラム外に排出する排出口と、
前記排出口を覆って設けられて、前記回転ドラム内の前記衣類から発生した糸屑を捕捉する円環形状のフィルタ部と、
前記フィルタ部よりも大径の円板形状に形成されて、前記回転ドラムの内側から前記フィルタ部を覆い、前記フィルタ部に対して回転移動可能に設けられたフィルタカバーと
を備えた衣類乾燥機において、
前記フィルタカバーの前記フィルタ部に面する側には、前記フィルタカバーの前記回転移動と共に前記フィルタ部の表面に沿って移動することにより、前記フィルタ部に捕捉された前記糸屑を掻き取るスクレーパが突設されており、
前記スクレーパの形状は、前記円環形状のフィルタ部の内径側および外径側よりも、中間位置の方が前記フィルタ部に向かって膨出した形状となっており、
前記フィルタ部は、円環形状の外枠と、前記外枠よりも小径で前記外枠と同軸に配置された円環形状の内枠との間に張設されており、
前記内枠は、前記フィルタカバーの回転軸上で前記フィルタカバーに取り付けられており、
前記外枠は、前記フィルタカバーの半径方向には前記内枠に対して移動しないが、前記フィルタカバーの回転軸方向には前記内枠に対して移動し得る態様で、前記フィルタカバーの外縁部分に取り付けられている
ことを特徴とする衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥しようとする衣類が収容された回転ドラム内に、加熱した空気を供給することによって、回転ドラム内の衣類を乾燥させる衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類を収容した回転ドラムを回転させながら、回転ドラム内に加熱した空気(以下、加熱空気)を供給することによって衣類を乾燥させる衣類乾燥機が知られている。回転ドラムは略円筒形状となっており、ユーザから見て円筒形状の手前側の一端面には衣類を投入する投入口が形成され、更に、ユーザから見て円筒形状の奥側の端面の中心位置には、回転ドラムを軸支するための支持軸が、回転ドラムの外側に向かって突設されている。そして、投入口から回転ドラム内に衣類を投入して投入口を扉で塞いだ後、衣類乾燥機に搭載されているモータを回転させると、その回転に伴って回転ドラムが回転し、回転ドラム内で衣類が撹拌される。その状態で、回転ドラム内に加熱空気を供給することで、撹拌されている衣類に満遍なく加熱空気を供給することが可能となり、衣類を万遍なく且つ迅速に乾燥させることができる。また、ユーザから見て回転ドラムの奥側の端面には、回転ドラムの支持軸が取り付けられた中心位置を囲むようにして排出口が形成されており、衣類から水分を奪って湿潤した加熱空気は、この排出口から回転ドラム外に流出する。そして、回転ドラムの背面側に形成された排出通路を通って、衣類乾燥機の外部に排出される。
【0003】
ここで、回転ドラム内で衣類を撹拌しながら乾燥させると、衣類同士の摩擦によって糸屑や繊維屑などの埃が生じることがある。この糸屑などの埃が、湿潤した加熱空気と一緒に排出口から回転ドラム外に流出すると排出通路内に溜まってしまうため、湿潤した加熱空気が排出されにくくなって、衣類の乾燥に支障を来たす虞がある。そこで、衣類乾燥機では、回転ドラムの奥側の端面に、排出口を覆うような円環形状のフィルタを取り付けておき、排出口から流出しようとする糸屑などの埃をフィルタで捕捉するようになっている。また、乾燥中の衣類がフィルタに接触すると、フィルタで捕捉された埃で衣類が汚れたり、フィルタが破損したりする虞があるので、フィルタの手前側には、フィルタを保護するために、円板形状のフィルタカバーも取り付けられている。
【0004】
更には、このフィルタが糸屑などの埃で目詰まりすると、衣類から水分を奪った加熱空気が回転ドラム内から流出しにくくなるため、衣類の乾燥に支障を来たす虞がある。そこで、こうした虞を回避するために、次のような技術も提案されている。先ず、円環形状のフィルタと円板形状のフィルタカバーとを同軸状に配置しておき、フィルタは回転ドラムと一緒に回転させられるが、フィルタカバーはフィルタに対して回転自在としておく。そして、回転ドラムを回転させると、回転ドラム内で撹拌される衣類に接触して、フィルタカバーがフィルタに対して回転するようにしておく。更に、フィルタカバーのフィルタ側の面からは、フィルタに溜まった糸屑などの埃を掻き取るスクレーパを突設させておく。こうすれば、フィルタカバーがフィルタに対して回転することによって、フィルタ上の糸屑などの埃をスクレーパで掻き取ることができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-236796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、提案されている従来の技術では、フィルタ上に溜まった糸屑などの埃を掻き残してしまうため、フィルタの目詰まりを十分に抑制することが難しいという問題があった。この理由は以下のようなものである。先ず、フィルタは通気抵抗を小さくする必要があるため、十分な強度を持たせることができず、表面に溜まった糸屑などをスクレーパで掻き取ろうとした時に、フィルタに撓みが生じ易い。加えて、フィルタ自体は強度が不十分でフィルタの円環形状を保つことができないため、円環形状の外枠部分や内枠部分は、硬質樹脂や金属などの強度部材で形成されるが、フィルタ自体と強度部材とは熱膨張率が違うので、温度条件が変化するとフィルタに撓みが生じる。そして、これらの理由でフィルタに撓みが生じると、スクレーパで糸屑などの埃を掻き取ろうとしても、撓んだ部分で掻き残しが発生してしまうため、フィルタの目詰まりを十分に抑制することが難しいという問題があった。
【0007】
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するために成されたものであり、フィルタ上に溜まった糸屑などの埃を、スクレーパを用いて確実に掻き取ることが可能な衣類乾燥機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の衣類乾燥機は次の構成を採用した。すなわち、
衣類が収容された回転ドラムを回転させながら、前記回転ドラム内に加熱空気を供給することによって前記衣類を乾燥させる衣類乾燥機であって、
前記回転ドラムの回転軸上から外部に向けて突設されて、前記回転ドラムを軸支する支持軸と、
前記回転ドラム内に前記加熱空気を導入する導入口と、
前記回転ドラムに前記支持軸が取り付けられた箇所の周囲に形成されて、前記回転ドラム内に導入された前記加熱空気を前記回転ドラム外に排出する排出口と、
前記排出口を覆って設けられて、前記回転ドラム内の前記衣類から発生した糸屑を捕捉する円環形状のフィルタ部と、
前記フィルタ部よりも大径の円板形状に形成されて、前記回転ドラムの内側から前記フィルタ部を覆い、前記フィルタ部に対して回転移動可能に設けられたフィルタカバーと
を備えた衣類乾燥機において、
前記フィルタカバーの前記フィルタ部に面する側には、前記フィルタカバーの前記回転移動と共に前記フィルタ部の表面に沿って移動することにより、前記フィルタ部に捕捉された前記糸屑を掻き取るスクレーパが突設されており、
前記スクレーパの形状は、前記円環形状のフィルタ部の内径側および外径側よりも、中間位置の方が前記フィルタ部に向かって膨出した形状となっており、
前記フィルタ部は、円環形状の外枠と、前記外枠よりも小径で前記外枠と同軸に配置された円環形状の内枠との間に張設されており、
前記内枠は、前記フィルタカバーの回転軸上で前記フィルタカバーに取り付けられており、
前記外枠は、前記フィルタカバーの半径方向には前記内枠に対して移動しないが、前記フィルタカバーの回転軸方向には前記内枠に対して移動し得る態様で、前記フィルタカバーの外縁部分に取り付けられている
ことを特徴とする。
【0009】
かかる本発明の衣類乾燥機においては、衣類を投入した回転ドラムを回転させながら、回転ドラム内に加熱空気を供給することによって衣類を乾燥させる。回転ドラムの回転軸上には、回転ドラムを軸支するための支持軸が突設されており、回転ドラムに支持軸が取り付けられた箇所の周囲には、回転ドラム内に供給された加熱空気を排出するための排出口が形成されている。そして、回転ドラム内には、衣類から発生した糸屑を捕捉する円環形状のフィルタ部が排出口を覆うようにして取り付けられると共に、フィルタ部を覆うようにして、フィルタ部よりも大径で円板形状のフィルタカバーが取り付けられている。このフィルタカバーは、フィルタ部に対して回転移動可能となっているため、回転ドラムを回転させると、回転ドラム内で撹拌された衣類に押されて、フィルタカバーがフィルタ部に対して回転移動する。更に、フィルタ部に面する側のフィルタカバーには、フィルタ部に向けてスクレーパが突設されており、フィルタカバーが回転移動するとスクレーパがフィルタ部の表面に沿って移動することによって、フィルタ部に捕捉された糸屑を掻き取るようになっている。そして、このスクレーパの形状は、円環形状のフィルタ部の内径側および外径側よりも、中間位置の方がフィルタ部に向かって膨出した形状となっている。更に、フィルタ部は、円環形状の外枠と、外枠よりも小径の円環形状の内枠との間に張設されている。そして、内枠はフィルタカバーの回転軸上でフィルタカバーに取り付けられているが、外枠は、フィルタカバーの半径方向には内枠に対して移動しないがフィルタカバーの回転軸方向には内枠に対して移動し得る態様で、フィルタカバーの外縁部分に取り付けられている。
【0010】
フィルタ部は通気抵抗を小さくする必要があるため、十分な強度を持たせることが難しく、撓みが生じ易い。このため、円環形状の外枠と円環形状の内枠との間にフィルタ部を張設することで、全体としての強度を持たせているが、この場合でも、円環形状のフィルタ部の内径側および外径側に比べて、その間の中間位置ではフィルタ部の撓みが生じ易いので、中間位置では糸屑の掻き残しが生じ易い。加えて、外枠および内枠と、フィルタ部とでは材質が異なるので、熱膨張率も異なった値となり、その結果、外枠と内枠との間に張設したフィルタ部に弛みが発生することがあり、このフィルタ部の弛みは、外枠あるいは内枠から離れるほど大きくなるため、外枠と内枠との中間付近では糸屑の掻き残しが生じ易い。これに対して、本願発明の衣類乾燥機では、スクレーパの形状を、フィルタ部の内径側および外径側に対応する位置よりも、中間位置の方がフィルタ部に向かって膨出した形状としている。このため、中間位置でも糸屑を掻き残すことがなく、フィルタ部の目詰まりを十分に抑制することが可能となる。加えて、フィルタ部の外枠は、内枠に対して、フィルタカバーの回転軸方向に移動し得る態様で取り付けられているので、フィルタカバーから突設されたスクレーパのフィルタ部に対する押付力が過大となった場合でも、その押付力によって、フィルタ部の外枠がフィルタカバーおよび内枠から離れる方向に移動して、過大な押付力を低下させることができる。このように、スクレーパの押付力が過大となる虞がないので、スクレーパのフィルタ部に対する押付力を高めに設定しておくことが可能となる。その結果、フィルタ部を損傷させることなく、スクレーパを用いてフィルタ部の糸屑を確実に掻き取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の衣類乾燥機1の大まかな内部構造を示す説明図である。
図2】本実施例の衣類乾燥機1に搭載された回転ドラム100の構造、およびフィルタユニット200の構造についての説明図である。
図3】メインフィルタ220に対してフィルタカバー210およびサブフィルタ230を取り付ける方法を示した説明図である。
図4】本実施例のフィルタカバー210のカバー本体210aから突設されたスクレーパ214についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.本実施例 :
A-1.本実施例の装置構成 :
図1は、本実施例の衣類乾燥機1の大まかな内部構造を示す説明図である。本実施例の衣類乾燥機1は、直方体形状の本体ケース10の内部に、円筒形状の回転ドラム100が搭載された構造となっている。回転ドラム100は、両端が開口した円筒形状の胴部101に対して、奥側の端面を塞いで円板形状の奥板102が嵌め込まれた形状となっており、胴部101の手前側の端面には、円環形状のリング板12が嵌め込まれている。また、リング板12の内周側は曲げ加工されることによってバーリング形状に形成されており、バーリング形状の内周面には、一端側がフランジ状に拡径した大径の円筒パイプ13が組み付けられている。
【0017】
円筒パイプ13は、拡径したフランジ部分で本体ケース10に組み付けられている。リング板12は円筒パイプ13を介して本体ケース10に固定されているが、回転ドラム100はリング板12に対して回転可能となっている。更に、回転ドラム100の奥側の端面に嵌め込まれた奥板102の中心位置には、回転ドラム100の外側に向かって支持軸14が取り付けられている。このため回転ドラム100は、手前側がリング板12によって支えられ、奥側が支持軸14で軸支されることによって、回転可能となっている。
【0018】
円筒パイプ13の内側は衣類投入口11iを形成しており、通常状態では衣類投入口11iは開閉扉15によって塞がれているが、開閉扉15を開くと衣類投入口11iから回転ドラム100内に衣類を投入可能となる。回転ドラム100の下方には電動モータ20が搭載されており、電動モータ20を回転させると、その回転トルクが伝動ベルト21によって回転ドラム100に伝わり、支持軸14で軸支された回転ドラム100が回転するようになっている。
【0019】
また、回転ドラム100の奥板102には、支持軸14が取り付けられた中心位置を取り囲むようにして、複数の排出口104(図2参照)が形成されており、複数の排出口104を、回転ドラム100の内側から覆うようにして、フィルタユニット200が取り付けられている。複数の排出口やフィルタユニット200については、後ほど詳しく説明する。更に、回転ドラム100の内側から見て、奥板102の向こう側には排気ダクト16が形成されている。排気ダクト16内には送風ファン17が収納されており、この送風ファン17は、伝動ベルト22を介して電動モータ20によって回転するようになっている。また、排気ダクト16は、本体ケース10の上面に開口することによって、放出口18を形成している。
【0020】
回転ドラム100の下方には、燃料ガスを燃焼させるガスバーナ30や、ガスバーナ30に燃料ガスを供給するためのガスパイプ31も搭載されている。ガスパイプ31の先端には噴射ノズル32が取り付けられると共に、噴射ノズル32は、ガスバーナ30の混合通路の開口端を臨む位置に設けられている。更に、ガスパイプ31の途中には、ガス流量制御弁33が搭載されている。また、ガスバーナ30の上方には温風通路34が形成されており、温風通路34はリング板12に形成された導入口35に接続されている。
【0021】
このような衣類乾燥機1で衣類を乾燥させる際には、開閉扉15を開いて、衣類投入口11iから回転ドラム100内に衣類を投入した後、開閉扉15を閉じる。そして、電動モータ20を回転させると、その回転トルクが伝動ベルト21によって回転ドラム100に伝わり、伝動ベルト22によって送風ファン17に伝わって、回転ドラム100および送風ファン17が回転し始める。すると、回転ドラム100の奥板102に形成された複数の排出口104(図2参照)から回転ドラム100内の空気が吸い出され、これに伴って、導入口35からは、回転ドラム100内に空気が流入する。また、本体ケース10の底面には複数の空気取入口10iが形成されており、空気取入口10iから本体ケース10内に流入した空気が、温風通路34を通って導入口35から回転ドラム100内に供給される。
【0022】
このように送風ファン17を回転させた状態で、噴射ノズル32から燃料ガスを噴射すると、噴射された燃料ガスは周囲の空気と一緒にガスバーナ30の混合通路に流入して、燃料ガスと空気との混合ガスを形成し、その混合ガスに図示しない点火プラグで点火することによって、ガスバーナ30での燃焼が開始される。そして、ガスバーナ30で生じた燃焼ガスは、本体ケース10の底面の空気取入口10iから流入した空気と共に温風通路34内に流入し、温風通路34内で空気と混合して加熱空気を生成した後、導入口35から回転ドラム100内に流入する。そして回転ドラム100内を旋回した後、回転ドラム100の奥側に形成された通風口112から流出して、排気ダクト16を通過し、放出口18から排出される。このため、衣類投入口11iから回転ドラム100内に衣類を投入しておき、送風ファン17および回転ドラム100を回転させながら、ガスバーナ30で燃料ガスを燃焼させれば、回転ドラム100内の衣類を乾燥させることが可能となる。
【0023】
また、本体ケース10内にはコントローラ50も搭載されている。コントローラ50は、主にマイクロコンピュータによって構成されており、電動モータ20やガス流量制御弁33の動作はコントローラ50によって制御されている。
【0024】
図2は、本実施例の衣類乾燥機1に搭載された回転ドラム100の構造、およびフィルタユニット200の構造についての説明図である。回転ドラム100は、円筒形状の胴部101の一端側に円板形状の奥板102が嵌め込まれることによって、胴部101の一端側の端面が塞がれた形状となっており、奥板102には、前述した支持軸14(図1参照)が、円板形状の取付具103によって取り付けられている。更に、この取付具103の中心位置には、円筒形状の凸部103cが、回転ドラム100の内側に向かって突設されている。この凸部103cは、フィルタユニット200が取り付けられる部分であり、円筒形状の外周側面には、円筒形状の軸方向に向かって複数本の突条103dが延設されると共に、円筒形状の凸部103cの内周面には、円周方向に1本の係合溝103eが形成されている。また、奥板102には、取付具103が取り付けられている中央部分を取り囲むようにして、複数の排出口104が形成されている。更に、回転ドラム100の胴部101の内周面には、内側に向かって突出した形状の撹拌部105a、105b、105cが取り付けられている。このため、回転ドラム100を回転させた時に、撹拌部105a、105b、105cによって回転ドラム100内の衣類を撹拌することが可能となっている。
【0025】
フィルタユニット200は、フィルタカバー210と、メインフィルタ220と、サブフィルタ230とを備えている。メインフィルタ220は、硬質樹脂によって形成された円環形状の内枠221と、同じく硬質樹脂によって形成された円環形状の外枠223とを備えており、内枠221と外枠223との間に形成された円環形状の隙間には、薄い布状のフィルタ部222が、緩く張設されている。
【0026】
また、内枠221の中央には、円筒形状の中央取付部221cが突設されている。この中央取付部221cは、円環形状の内枠221に対して両側(図2の紙面上では、左斜め手前側および右斜め奥側)に向かって突設されており、左斜め手前側に突出した部分には後述するフィルタカバー210から突出された取付部212が挿入され、右斜め奥側に突出した部分の外周面には、後述するサブフィルタ230が取り付けられる。メインフィルタ220に対してフィルタカバー210およびサブフィルタ230を取り付ける方法については、後ほど詳しく説明する。そして、メインフィルタ220にフィルタカバー210とサブフィルタ230とを取り付けた後、メインフィルタ220の内枠221から右斜め奥側に突出した中央取付部221cを、回転ドラム100側の取付具103から突出した円筒形状の凸部103cに外嵌めする。この時、後述するフィルタカバー210に形成された取付部212の先端が、凸部103cの内周面に形成された係合溝103eに係合することによって、フィルタユニット200を回転ドラム100に取り付けることが可能となる。
【0027】
フィルタカバー210は、硬質樹脂で形成された円板形状の部材であり、円板形状のカバー本体210aの外周部分が垂直に折り曲げられることによって外周壁210bが形成されている。カバー本体210aの中央には、フィルタカバー210を取付具103に取り付けるための取付部212が形成されており、取付部212はカバー本体210aから裏面側(図2の紙面上では、右斜め奥側)に突出している。取付部212を掴んで、裏面側に突出した部分を、メインフィルタ220から突出した中央取付部221cの内側に挿入した後、更に、取付具103から突出した円筒形状の凸部103cの内側に挿入する。すると、取付部212の先端に外側に向けて形成された爪部(図示は省略)が、凸部103cの内周面に形成された円環状の係合溝103eに嵌まり込んで、フィルタカバー210がメインフィルタ220に対して回転自在な状態で取り付けられる。尚、メインフィルタ220は、後述するように取付具103に対して回転不能な状態で取り付けられる。
【0028】
また、フィルタカバー210のカバー本体210aには、取付部212が形成されている中央部分から片側に偏らせた半分強の領域が透かし窓状に形成されており、複数の透かし窓に相当する部分が通気口211となっている。更に、カバー本体210aの外縁部分には、2か所に凸部213が突設されている。上述したように、フィルタカバー210はメインフィルタ220に対して回転自在に取り付けられているので、回転ドラム100を回転させて回転ドラム100内の衣類を撹拌すると、衣類がフィルタカバー210の凸部213に接触する。その結果、フィルタカバー210が押されて、メインフィルタ220に対して回転するようになっている。
【0029】
サブフィルタ230は、前述したメインフィルタ220と同様に、硬質樹脂によって形成された円環形状の内枠231と、同じく硬質樹脂によって形成された円環形状の外枠233とを備えている。そして、内枠231と外枠233との間に形成された円環形状の隙間には、薄い布状のフィルタ部232が緩く張設されている。
【0030】
ここで、メインフィルタ220の内枠221と外枠223との間には布状のフィルタ部222が張設されているので、内枠221または外枠223の一方を持ち上げても他方が離れることは無い。しかし、布状のフィルタ部222で繋がっているだけでは、内枠221に対して外枠223を半径方向に適切に位置決めすることは困難である。通常であれば、このような場合には、内枠221に対して外枠223を固定するために、内枠221と外枠223との間に複数本の細い支柱を渡すことが一般的である。これに対して本実施例では、以下に説明するように、メインフィルタ220にフィルタカバー210を取り付けることによって、メインフィルタ220の内枠221に対して外枠223が半径方向に位置決めされるようになっている。
【0031】
サブフィルタ230についても同様に、内枠231と外枠233との間には布状のフィルタ部232が張設されているので、内枠231または外枠233の一方を持ち上げても他方が離れることは無い。しかし、布状のフィルタ部232で繋がっているだけでは、内枠231に対して外枠233を半径方向に適切に位置決めすることは困難である。通常であれば、このような場合には、内枠231と外枠233との間に複数本の細い支柱を渡すことによって、内枠231に対して外枠233を固定することが一般的である。しかし本実施例では、以下に説明するように、メインフィルタ220にサブフィルタ230を取り付けることによって、サブフィルタ230の内枠231に対して外枠233が半径方向に位置決めされるようになっている。
【0032】
図3は、メインフィルタ220に対してフィルタカバー210およびサブフィルタ230を取り付ける方法を示した説明図である。前述したようにメインフィルタ220は、略円環形状の内枠221と、布状のフィルタ部222と、略円環形状の外枠223とを備えている。内枠221の中央には、円環形状の内枠221の内径と同じ内径を有する円筒形状の中央取付部221cが突設されており、この中央取付部221cは内枠221を貫通して向こう側にも突設されている。また、中央取付部221cの内周面の奥側(フィルタカバー210から遠い側)の位置には、内側に向かって突出した複数の凸部221bが、円周方向に向かって一列に形成されている。
【0033】
メインフィルタ220を回転ドラム100の取付具103に取り付ける際には、メインフィルタ220の内枠221から向こう側に突出した中央取付部221cを、取付具103から突設された円筒形状の凸部103cに外嵌めするが(図2参照)、この時に、凸部103cの外周面に形成された複数本の突条103dと、中央取付部221cの内周面に形成された複数の凸部221bとが噛み合うことによって、メインフィルタ220が凸部103cに対して回転不能に取り付けられる。そして、凸部103cが突設された取付具103は回転ドラム100に取り付けられているから、メインフィルタ220は回転ドラム100に対しても回転不能となっている。
【0034】
また、メインフィルタ220の外枠223は、円環形状の本体部223aと、本体部223aの外周に、本体部223aに対して垂直に形成された円筒形状の外壁223bと、外壁223bよりも小径で本体部223aから垂直に形成された円筒形状の内壁223cとを備えている。図3では、外枠223が備える外壁223bや内壁223cの形状が分かり易いように、外枠223の一部の断面を取ると共に、その断面部分を拡大して表示している。図示されるように、外枠223の外壁223bと内壁223cとの間には、円環状の嵌合溝223dが形成されている。
【0035】
更に、フィルタカバー210は、前述したように全体が円板形状となっており、カバー本体210aの中央には取付部212が設けられると共に、カバー本体210aの外縁部分が曲げられることによって、フィルタカバー210の外周部分を形成する外周壁210bとなっている。図3では、フィルタカバー210の外周壁210bの形状が分かり易いように、フィルタカバー210の外周部分の一部の断面を取って表示している。
【0036】
図2を用いて前述したように、フィルタカバー210の取付部212は、カバー本体210aから裏面側(図3の紙面上では、右斜め奥側)に突出しており、取付部212の先端には図示しない爪部が外向きに形成されている。そして、取付部212を掴んで、裏面側に突出した部分を、メインフィルタ220から突出した円筒形状の中央取付部221cの内側に挿入すると、フィルタカバー210の外周壁210bが、外枠223の外壁223bと内壁223cとの間に形成された嵌合溝223dに嵌まり込む。また、メインフィルタ220の中央取付部221cは、取付具103から突設された円筒形状の凸部103cに外嵌めされているため、円筒形状の中央取付部221cの内側には、円筒形状の凸部103cが存在している。そして、凸部103cの内周面の手前側の位置には、円周方向に向かって、一本の係合溝103e(図2参照)が形成されている。このため、フィルタカバー210の取付部212を掴んだ状態で、フィルタカバー210の外周壁210bをメインフィルタ220の嵌合溝223dに嵌め込むと、取付部212のカバー本体210aから裏面側に突出した部分が、凸部103cの内側に挿入されることになる。この時、取付部212の先端に形成された図示しない爪部が、凸部103cの内周面に形成された係合溝103e(図2参照)に嵌まり込むことによって、フィルタカバー210が凸部103cに取り付けられる。その結果、フィルタユニット200が回転ドラム100の取付具103に取り付けられることになる。
【0037】
このように、メインフィルタ220にフィルタカバー210を取り付けると、フィルタカバー210の外周壁210bが、メインフィルタ220の外枠223の嵌合溝223dに嵌まり込む。更に、フィルタカバー210の取付部212の先端が、メインフィルタ220の内枠221から突設された中央取付部221cの内側に挿入される結果、その内側に嵌め込まれた凸部103cに取り付けられる。この結果、メインフィルタ220の外枠223は、フィルタカバー210を介して、メインフィルタ220の内枠221に対して半径方向に位置決めされていることになる。
【0038】
また、サブフィルタ230についても、ほぼ同様なことが当て嵌まる。すなわち、図2を用いて前述したように、サブフィルタ230は、円環形状の内枠231と、布状のフィルタ部232と、円環形状の外枠233とを備えている。内枠231の内周面231aの内径は、メインフィルタ220の内枠221から向こう側(サブフィルタ230の側)に突出した中央取付部221cの外径に合わせた大きさに設定されており、このため、サブフィルタ230の内枠231を、メインフィルタ220から突出した中央取付部221cに外嵌め可能となっている。また、サブフィルタ230の外枠233の外周面233aの外径は、メインフィルタ220の外枠223の外壁223bに、サブフィルタ230の外枠233を内嵌め可能な大きさに設定されている。
【0039】
そして、サブフィルタ230をメインフィルタ220に取り付ける際には、メインフィルタ220の内枠221から突出した中央取付部221cの外周に、サブフィルタ230の内枠231を外嵌めすると共に、メインフィルタ220の外枠223の外壁223bの内周に、サブフィルタ230の外枠233を内嵌めすることによって取り付ける。前述したように、メインフィルタ220の内枠221と外枠223とは、フィルタカバー210を介して半径方向に位置決めされている。従って、内枠221の中央取付部221cに外嵌めしたサブフィルタ230の内枠231と、外枠223の外壁223bに内嵌めしたサブフィルタ230の外枠233とも、フィルタカバー210を介して半径方向に位置決めされることになる。
【0040】
このように、本実施例のフィルタユニット200は、メインフィルタ220をフィルタカバー210に取り付けると、メインフィルタ220の外枠223が内枠221に対して半径方向に位置決めされるようになっている。同様に、サブフィルタ230をメインフィルタ220に取り付けると、サブフィルタ230の外枠233が内枠231に対して位置決めされるようになっている。このような構造となっている理由については後述する。
【0041】
本実施例の衣類乾燥機1には、以上のようなフィルタユニット200が、回転ドラム100の奥板102に取り付けられている(図1参照)。このため、回転ドラム100を回転させて衣類を乾燥させる時に、回転ドラム100内の衣類から出た糸屑や繊維屑などの埃は、フィルタユニット200のメインフィルタ220のフィルタ部222で捕捉される。また、仮にメインフィルタ220のフィルタ部222を通り抜ける糸屑などがあっても、サブフィルタ230のフィルタ部232で捕捉されるので、糸屑などの埃が排気ダクト16内に溜まることがない。もっとも、フィルタユニット200に糸屑などの埃が溜まって行くと、フィルタユニット200(特にメインフィルタ220のフィルタ部222)の通気抵抗が増加するので、回転ドラム100内の加熱空気が排出されにくくなる。そこで、本実施例のフィルタユニット200では、フィルタカバー210のカバー本体210aからメインフィルタ220に向かってスクレーパ214を突設させておき、メインフィルタ220のフィルタ部222で捕捉された糸屑などをスクレーパ214で掻き取るようになっている。
【0042】
図4は、本実施例のフィルタカバー210のカバー本体210aから突設されたスクレーパ214についての説明図である。図4(a)に示したように、スクレーパ214は湾曲した板状の部材であり、カバー本体210aの裏面側(メインフィルタ220に面する側)に突設されている。図4(a)に示したように、スクレーパ214は全体が湾曲しているだけでなく、フィルタカバー210の半径方向に対して斜めに配置されている。そして、スクレーパ214の両端の位置、すなわち、フィルタカバー210の半径方向に最も内側の端部(以下、内端部214a)および最も外側の端部(以下、外端部214b)は、次のような位置となっている。先ず、スクレーパ214の内端部214aは、フィルタカバー210をメインフィルタ220に取り付けた時に、フィルタ部222の内径側の部分と向き合う位置となっている。また、スクレーパ214の外端部214bは、フィルタカバー210をメインフィルタ220に取り付けた時に、フィルタ部222の外径側の部分と向き合う位置となっている。
【0043】
更に、スクレーパ214が湾曲する方向は、図4(a)中に破線の矢印で示したフィルタカバー210の回転方向に向かって、スクレーパ214の外端部214bが内端部214aよりも遅れる方向となっている。加えて、カバー本体210aの裏面側(メインフィルタ220のフィルタ部222に面する側)から突設されたスクレーパ214は、内端部214aおよび外端部214bに比べて、中央部分がフィルタ部222に向かって膨出した形状となっている。図4(b)には、図4(a)中に示した矢印Pの方向から見たスクレーパ214の形状が示されている。
【0044】
更に、スクレーパ214がフィルタ部222に面した側の端面には、フィルタ部222で捕捉された糸屑などの埃を掻き取るために、複数の掻取歯214cが形成されている(図4(b)参照)。また、図4(c)には、掻取歯214cの拡大図が示されている。図4(b)および図4(c)に示されるように、掻取歯214cは、メインフィルタ220のフィルタ部222に面する側が平坦に形成された略矩形形状となっているが、角の部分はR形状に形成されている。
【0045】
本実施例の衣類乾燥機1では、フィルタカバー210から突設させたスクレーパ214を以上のような形状としているので、スクレーパ214を用いて、メインフィルタ220のフィルタ部222上の糸屑などを掻き取る際に、掻き残しが発生する事態を抑制することができる。これは次のような理由による。
【0046】
先ず、メインフィルタ220のフィルタ部222は、通気抵抗を小さくする必要があり、それと同時に、小さな糸屑や埃なども捕捉可能とする必要があるから、目の細かい布状の部材によって形成されている。このため、フィルタ部222の強度が小さくなってしまうので、スクレーパ214を用いて、フィルタ部222の表面の糸屑などを掻き取ろうとした時に、フィルタ部222が容易に撓んでしまう。そして、この撓み量は、外枠223で支えられたフィルタ部222の外径側や、内枠221で支えられたフィルタ部222の内径側では小さいが、その中間部分では大きくなる。
【0047】
しかし、本実施例のスクレーパ214は、図4(b)に示したように、内端部214aや外端部214bに対して、中央部分が膨出した形状となっている。このため、フィルタ部222の中間部分が、内径側や外径側に比べて大きく撓んでも、フィルタ部222の上面の糸屑などを掻き取ることができる。また、フィルタ部222の内径側および外径側は中間部分に比べて撓みが少ないので、フィルタ部222の中間部分の糸屑などを掻き取ろうとすると、フィルタ部222の内径側および外径側ではスクレーパ214が強く押し付けられて、フィルタ部222が破損する虞がある。しかし、本実施例のスクレーパ214は、内端部214aおよび外端部214bでは中央部分に比べて高さが低くなっているので、フィルタ部222の内径側および外径側にスクレーパ214が強く押し付けられることがなく、フィルタ部222が破損する虞も生じない。
【0048】
また、内枠221および外枠223は、フィルタ部222とは異なる材料で形成されており、フィルタ部222とは熱膨張率が違っている。このため、熱膨張率の違いによって、内枠221と外枠223との間に張られたフィルタ部222が、強く張られた状態となったり、弛んだ状態となったりする。当然ながら、フィルタ部222が弛んだ状態では、フィルタ部222の中間部分に溜まった糸屑などを掻き取りにくくなる。
【0049】
しかし、本実施例のスクレーパ214は、中央部分が膨出した形状となっているので、弛みによってフィルタ部222が撓んだ状態になっても、中央の膨出した部分で糸屑などを掻き取ることができる。また、フィルタ部222が弛んだ状態から強く張られた状態になると、フィルタ部222がスクレーパ214を押し返す状態となるため、スクレーパ214のフィルタ部222に対する押付力が増加する。しかし、図4(b)に示したように、本実施例のスクレーパ214は中央部分が膨出した形状となっているため、スクレーパ214のフィルタ部222に対する押付力は、中央の膨出した部分に分散されるので、押付力が増加してもフィルタ部222が損傷することがない。加えて、図4(c)に示したように、スクレーパ214の掻取歯214cは、フィルタ部222に接触する角部がR形状に形成されているので、掻取歯214cの角部が引っ掛かってフィルタ部222を損傷する虞も生じない。
【0050】
また、フィルタ部222が弛むことで撓みが大きくなって、スクレーパ214の掻取歯214cとフィルタ部222との間に隙間が生じた場合でも、掻取歯214cに引っ掛かった糸屑などが隙間を埋めて行くので、やがてはフィルタ部222上の糸屑などを掻き取ることができる。その状態で、今度はフィルタ部222が張って、撓みが小さくなると、スクレーパ214のフィルタ部222に対する押付力が過大となって、フィルタ部222を損傷させる虞が生じる。しかし、本実施例では、このような場合にはフィルタ部222がスクレーパ214から遠ざかる方向に移動することによって、損傷を回避する構造となっている。以下では、この点について説明する。
【0051】
図3を用いて詳しく説明したように、本実施例のメインフィルタ220は、内枠221と外枠223との間には布状のフィルタ部222が張設されているだけで、内枠221と外枠223とは固定されていない。そして、内枠221に対して外枠223は、フィルタカバー210を介して半径方向に位置決めされているが、外枠223は、嵌合溝223dにフィルタカバー210の外周壁210bが嵌め込まれているだけなので(図3参照)、フィルタカバー210から離れる方向には移動し得るようになっている。このため、スクレーパ214のフィルタ部222に対する押付力が過大となった場合には、スクレーパ214のフィルタ部222に対する押付力で、外枠223がフィルタカバー210から遠ざかる方向に移動する。その結果、フィルタ部222に対する押付力を軽減されるので、フィルタ部222の損傷を回避することが可能となる。
【0052】
このように、本実施例のフィルタユニット200は、スクレーパ214のフィルタ部222に対する押付力が過大となった場合には、フィルタ部222がスクレーパ214から遠ざかって押付力を低減される構造となっている。このため、フィルタ部222の損傷を回避することができるので、その分だけ、スクレーパ214のフィルタ部222に対する押付力を高めに設定しておくことも可能となる。その結果、フィルタ部222上の糸屑などを、スクレーパ214を用いて確実に掻き取ることが可能となる。
【0053】
以上、本実施例の衣類乾燥機1について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0054】
例えば、上述した実施例では、メインフィルタ220の外枠223に形成された嵌合溝223dに、フィルタカバー210の外周壁210bが嵌め込まれるものとして説明した。しかし、フィルタカバー210に嵌合溝を設けると共に、メインフィルタ220の外枠223には円筒壁を突設させておき、フィルタカバー210の嵌合溝に、外枠223から突設させた円筒壁を嵌め込むようにしても良い。このようにしても、メインフィルタ220の内枠221に対して、外枠223を半径方向に位置決めすると共に、スクレーパ214のフィルタ部222に対する押付力が過大となった場合には、外枠223およびフィルタ部222がフィルタカバー210から離れる方向に移動して、フィルタ部222の損傷を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1…衣類乾燥機、 10…本体ケース、 10i…空気取入口、
11i…衣類投入口、 12…リング板、 13…円筒パイプ、
14…支持軸、 15…開閉扉、 16…排気ダクト、 17…送風ファン、
18…放出口、 20…電動モータ、 21…伝動ベルト、
22…伝動ベルト、 30…ガスバーナ、 31…ガスパイプ、
32…噴射ノズル、 33…ガス流量制御弁、 34…温風通路、
35…導入口、 50…コントローラ、 100…回転ドラム、
101…胴部、 102…奥板、 103…取付具、 103c…凸部、
103d…突条、 104…排出口、 105a…撹拌部、
112…通風口、 200…フィルタユニット、 210…フィルタカバー、
210a…カバー本体、 210b…外周壁、 211…通気口、
212…取付部、 213…凸部、 214…スクレーパ、
214a…内端部、 214b…外端部、 214c…掻取歯、
220…メインフィルタ、 221…内枠、 221b…凸部、
221c…中央取付部、 222…フィルタ部、 223…外枠、
223a…本体部、 223b…外壁、 223c…内壁、
223d…嵌合溝、 230…サブフィルタ、 231…内枠、
231a…内周面、 232…フィルタ部、 233…外枠、
233a…外周面。
図1
図2
図3
図4