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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240112BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20240112BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20240112BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65D1/02 212
B65D41/04 300
B65D47/20 111
B65D47/32 210
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020077273
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021172373
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-081591(JP,A)
【文献】特開2015-227169(JP,A)
【文献】特開2020-055562(JP,A)
【文献】国際公開第2019/067663(WO,A1)
【文献】特開2019-116313(JP,A)
【文献】特開2011-067640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 41/04
B65D 47/20
B65D 47/32
B65D 77/04
B65D 83/00
B65D 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されると共に前記内容物の減少に伴い減容変形する内容器、及び前記内容器が内装される外容器を備える容器本体と、
前記容器本体の口部に螺着され、且つ前記内容物の吐出孔が形成された天壁部を有する吐出キャップと、を備え、
前記容器本体の口部は、前記内容器の口部と前記外容器の口部とで構成され、
前記内容器の口部の上端部には、前記外容器の口部における上端開口端を上方側から塞ぐ鍔部が設けられ、
前記外容器の口部には、第1ねじ部が形成されていると共に、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入させる吸気孔が形成され、
前記吐出キャップは、前記外容器の口部を径方向の外側から囲むと共に前記第1ねじ部に螺着する第2ねじ部が形成された装着筒部と、前記吐出孔と前記容器本体内との連通、遮断を切替える吐出弁と、を備え、
前記外容器の口部には、前記吸気孔よりも下方に位置し、且つ前記装着筒部との間をシールするシール部が設けられ、
前記装着筒部には、径方向の内側に向けて突出すると共に、前記第2ねじ部よりも上方に位置する突出壁部が形成され、
前記鍔部の上面は、前記突出壁部に対して下方から接触して、前記容器本体の口部に対する前記吐出キャップの上下位置を位置決めする接触面として機能し
前記鍔部には、前記突出壁部と前記接触面との間を通じて前記吸気孔側への外気の流入を許容する通気路が形成されていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器において、
前記容器本体内と前記吐出孔とを連通する流通孔が形成され、前記容器本体の口部を閉塞する中栓部を備え、
前記中栓部は、前記突出壁部の内側に嵌合されることで、前記吐出キャップに一体に組み合わされ、
前記吐出弁は、前記中栓部と前記天壁部との間に配置されている、二重容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の二重容器において、
前記容器本体の口部の剛性は、前記装着筒部の剛性よりも高い、二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物が収容されると共に内容物の減少に伴い減容変形する内容器、及び内容器が内装される外容器を備える容器本体と、容器本体の口部に螺着され、且つ内容物の吐出孔が形成された吐出キャップと、を備えた二重容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
上記吐出キャップには、外部と、内容器と外容器との間とを連通する外気導入孔(通気口)が形成されると共に、吐出孔と容器本体内との連通、遮断を切替える吐出弁(逆止弁)が設けられている。
【0003】
この二重容器では、外容器を径方向の内側に向けて押圧すると吐出弁が開弁して吐出孔と容器本体内とが連通するので、内容物を吐出孔から外部に吐出することが可能となる。また、内容物の吐出に伴って内容器が減容変形すると、外容器の復元変形時に内容器と外容器との間が負圧になることにより、外気導入孔を通じて内容器と外容器との間に外気を導入することができる。これにより、外容器を復元変形させつつ、内容器を減容変形させたままの状態に維持することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-151404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の二重容器では、製造時において、容器本体の口部に対して吐出キャップを強く締込み過ぎてしまうと、合成樹脂製の吐出キャップ及び容器本体のうちの少なくともいずれか一方が変形してしまい、吐出機能を発揮できなくなるおそれがあった。
具体的には、容器本体の口部に対して吐出キャップを強く締込み過ぎてしまうと、吐出キャップにおける装着筒部(側壁部)の下端部側が径方向の外側に拡がるように変形してしまい、容器本体の口部の外周面との間に隙間があいてしまうおそれがあった。この場合には、外気導入孔を通じた外気の取り込み自体を適切に行うことが難しくなるうえ、上記隙間を通じて、内容器と外容器との間に取り込んだ空気(外気)が外部に漏れ易くなってしまう。
そのため、使用途中において、外容器を径方向の内側に押圧したときに、内容器と外容器との間に存在する空気が外部に排出されてしまい、外容器に加えた押圧力が内容器に伝わり難くなってしまう。つまり、外容器に加えた押圧力を、内容器と外容器との間に存在する空気層を介して内容器に伝えることが難しくなってしまう。従って、外容器を径方向の内側に押圧したとしても、外容器自身が内容器に直接的に接触するまで内容器を押圧することができなくなってしまい、それによって吐出弁を開弁させることができず、内容物の吐出に繋げることができなくなってしまう。
【0006】
このように従来の二重容器では、吐出キャップにおける装着筒部と容器本体の口部の外周面との間に隙間があいてしまうことによって、吐出時に、内容器と外容器との間に取り込んだ空気が外部に漏れるというシール性の低下を招き易かった。これにより、内容物を安定して吐出できなくなるおそれがあった。さらに、シール性が悪いことによって、先に述べたように外容器を径方向の内側に押圧したとしても、外容器自身が内容器に直接的に接触するまで吐出弁を開弁できなくなる場合があり、吐出操作が難しくなってしまう。特に内容物の残量が少なくなるほど内容器が減容変形した状態になるので、より大きな押圧力で外容器を押圧することが必要となってしまい、吐出操作がより一層難しくなってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容器と外容器との間に取り込んだ空気(外気)が外部に漏れてしまうことを抑制することができ、安定した吐出機能を発揮させることができると共に、吐出操作性が向上した二重容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る二重容器は、内容物が収容されると共に前記内容物の減少に伴い減容変形する内容器、及び前記内容器が内装される外容器を備える容器本体と、前記容器本体の口部に螺着され、且つ前記内容物の吐出孔が形成された天壁部を有する吐出キャップと、を備え、前記容器本体の口部は、前記内容器の口部と前記外容器の口部とで構成され、前記内容器の口部の上端部には、前記外容器の口部における上端開口端を上方側から塞ぐ鍔部が設けられ、前記外容器の口部には、第1ねじ部が形成されていると共に、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入させる吸気孔が形成され、前記吐出キャップは、前記外容器の口部を径方向の外側から囲むと共に前記第1ねじ部に螺着する第2ねじ部が形成された装着筒部と、前記吐出孔と前記容器本体内との連通、遮断を切替える吐出弁と、を備え、前記外容器の口部には、前記吸気孔よりも下方に位置し、且つ前記装着筒部との間をシールするシール部が設けられ、前記装着筒部には、径方向の内側に向けて突出すると共に、前記第2ねじ部よりも上方に位置する突出壁部が形成され、前記鍔部の上面は、前記突出壁部に対して下方から接触して、前記容器本体の口部に対する前記吐出キャップの上下位置を位置決めする接触面として機能し、前記鍔部には、前記突出壁部と前記接触面との間を通じて前記吸気孔側への外気の流入を許容する通気路が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る二重容器によれば、例えば外容器を径方向の内側に向けて押圧させて、外容器と共に内容器を減容変形させることで、内容器の内圧を上昇させて吐出弁を開弁させることができる。これにより、吐出孔と容器本体内とを連通させることができ、内容物を吐出孔から外部に吐出することができる。また、内容物の吐出に伴って内容器が減容変形すると、外容器の復元変形時に内容器と外容器との間が負圧になる。これにより、通気路及び吸気孔を通じて内容器と外容器との間に外気を導入することができ、外容器を復元変形させつつ、内容器を減容変形させたままの状態に維持することが可能となる。このように、内容器を徐々に減容変形させながら、内容物を吐出することができる。
【0010】
特に二重容器の製造時、容器本体の口部に吐出キャップを締込むだけの簡便な作業で、容器本体の口部に吐出キャップを容易に装着することができる。この際、吐出キャップの締終わりに達すると、装着筒部に形成された突出壁部が容器本体の口部の上端部に形成された接触面に対して上方から接触する。これにより、容器本体の口部に対する吐出キャップの上下位置を位置決めすることができると共に、それ以上の締込み操作を抑制して、吐出キャップの締込み位置を位置決めすることができる。
従って、過度な締込みに伴う変形等を容器本体の口部或いは装着筒部に生じさせることがないので、シール部を利用して装着筒部との間を確実にシールすることができ、吸気孔が意図しない箇所で外部に連通してしまうことを防止することができる。そのため、内容物の吐出後に、吸気孔を通じて内容器と外容器との間に外気を確実に導入することができる。
【0011】
それに加え、吸気孔が意図しない箇所で外部に連通してしまうことを防止できるので、使用途中において、内容器と外容器との間に取り込んだ空気(外気)が外部に漏れてしまうことを抑制することができる。そのため、内容器と外容器との間に取り込んだ空気を適切に存在させることができ、外容器を径方向の内側に押圧したときに、外容器に加えた押圧力を、空気層を介して内容器に適切に伝えることができる。これにより、内容器を押圧することができ、吐出弁を反応良くスムーズに開弁させることができる。その結果、安定した吐出機能を発揮する二重容器とすることができる。
さらに、内容物の残量が少なくなったとしても、内容器と外容器との間に存在する空気層を介して外容器に加えた押圧力を内容器に効率良く伝えることができるので、大きな押圧力で外容器を押圧する必要がなく、吐出操作性を向上することができる。
【0012】
(2)前記容器本体内と前記吐出孔とを連通する流通孔が形成され、前記容器本体の口部を閉塞する中栓部を備え、前記中栓部は、前記突出壁部の内側に嵌合されることで、前記吐出キャップに一体に組み合わされ、前記吐出弁は、前記中栓部と前記天壁部との間に配置されても構わない。
【0013】
この場合には、二重容器の製造時、容器本体の口部に対して吐出キャップを螺着する前に、天壁部との間に吐出弁を配置させた状態で突出壁部の内側に中栓部を嵌合させることで、吐出弁、中栓部及び吐出キャップを一体に組み合わせることができ、1つのユニットとして取り扱うことができる。そのため、容器本体の口部に吐出キャップを螺着させることで、二重容器を効率良く製造することが可能である。
【0014】
(3)前記容器本体の口部の剛性は、前記装着筒部の剛性よりも高くても良い。
【0015】
この場合には、容器本体の口部に対して吐出キャップを装着し易く、製造効率を向上することができる。なお、容器本体の口部の剛性が装着筒部よりも高い場合には、吐出キャップを過度に締込み過ぎた際、例えば装着筒部の下端部が径方向の外側に拡がってしまうような変形を誘発し易い。しかしながら、先に述べたように、突出壁部及び接触面を利用して、吐出キャップの過度の締込み操作を抑制できるので、装着筒部等の変形を抑制しながら吐出キャップを適切に装着することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る二重容器によれば、過度な締込みを抑制しながら、容器本体に対して吐出キャップを適切な位置関係で装着させることができる。従って、内容器と外容器との間に取り込んだ空気(外気)が外部に漏れてしまうことを抑制することができ、安定した吐出機能を発揮させることができると共に、吐出操作性が向上した二重容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る二重容器の第1実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示す状態から、蓋部をあけて吐出孔を開放させた状態を示す二重容器の縦断面図である。
図3】本発明に係る二重容器の第2実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の二重容器1は、図示しない内容物が収容されると共に内容物の減少に伴い減容変形(しぼみ変形)する可撓性に富む内容器(内層)2、及び内容器2が内装される外容器(外層)3を有する容器本体4と、容器本体4の口部4aに離脱可能に装着された吐出キャップ5と、を備えている。
【0019】
なお、内容器2及び外容器3は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。そして、共通軸と同軸に吐出キャップ5が配置されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿った吐出キャップ5側を上側、その反対側を下側という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
容器本体4は、ブロー成形により形成され、外容器3の内面に内容器2が剥離可能に積層された積層剥離型容器(デラミボトル)とされている。
具体的には、射出成形等によって外容器3用のプリフォーム及び内容器2用のプリフォームを形成し、これらを二重(内外)に組み合わせた後、二軸延伸ブロー成形することで容器本体4が形成されている。
なお、外容器3用のプリフォームを先に二軸延伸ブロー成形して外容器3を形成した後、内容器2用のプリフォームを内部に配置し、その後、内容器2用のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することで容器本体4を形成しても構わない。
【0021】
内容器2及び外容器3の材質は、特に限定されるものではないが、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂とされている。ただし、内容器2及び外容器3の材質は、剥離可能な組み合わせであれば互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。
【0022】
容器本体4は、口部4a、肩部(不図示)、胴部(不図示)及び底部(不図示)が上側から順に連設された有底筒状に形成されている。なお、容器本体4を構成する外容器3はスクイズ変形可能とされ、外容器3のスクイズ変形に伴って内容器2は減容変形する。よって、外容器3のうち少なくとも胴部に位置する部分は、径方向の内側(容器内側)に向けて弾性変形可能とされている。
【0023】
容器本体4の口部4aは、肩部の上端開口部から上方に向けて延びるように形成されている。容器本体4の口部4aは、内容器2の口部2aと外容器3の口部3aとによって構成されている。外容器3の口部3aには、外容器3と内容器2との間に、後述する外気導入孔47を経由して外気を導入させる吸気孔6が形成されている。
【0024】
内容器2の口部2aの上端部には、外容器3の口部3aにおける上端開口端を上方側から塞ぐ鍔部2bが設けられている。そして内容器2は、鍔部2bを利用して外容器3の口部3aを塞いだ状態で、外容器3の口部3aの上端部に対して積層されている。
なお、内容器2の口部2aは、上端部を除いた部分が外容器3の口部3aとの間に隙間を開けた状態で外容器3の口部3aの内側に配置されている。そして、容器本体4の肩部及び胴部においては、先に述べたように内容器2と外容器3とは剥離可能に積層されている。
【0025】
鍔部2bは、後述する中栓部20の支持筒部30よりも径方向の外側に突出するように形成されている。鍔部2bの上面は、支持筒部30の外側において、後述する突出壁部48に対して下方から向かい合うと共に、突出壁部48に対して下方から接触する接触面2cとして機能する。そして、突出壁部48と接触面2cとの接触によって、容器本体4の口部4aに対する吐出キャップ5の上下位置を位置決めすることが可能とされている。
【0026】
さらに鍔部2bには、該鍔部2bを上下方向に貫通し、且つ鍔部2bの外周縁部側に開口する通気路8が周方向に間隔をあけて複数形成されている。ただし、通気路8は複数形成されている必要はなく、例えば1箇所だけ形成されていても構わない。
また通気路8は、鍔部2bを上下方向に貫通している必要はなく、例えば接触面2cから下方に凹んだ状態で径方向に沿って延びる横溝状に形成されていても構わない。
横溝状に通気路を形成する場合には、突出壁部48よりも径方向の内側に延び、且つ鍔部2bの外周縁部側に開口するように形成すれば良い。
【0027】
上述した通気路8によって、突出壁部48と内容器2の鍔部2bにおける接触面2cとの間を通じて、吸気孔6側に外気の流入を許容することが可能とされている。
【0028】
外容器3の外周面には、雄ねじ部(第1ねじ部)10が形成されていると共に、吸気孔6よりも下方に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出した環状のシール突部7が形成されている。シール突部7は、雄ねじ部10よりも径方向の外側に向けて突出している。
なお、外容器3の外周面には、主に吸気孔6よりも上側に位置する部分に上下方向に延びる通気溝12が形成されている。通気溝12は、雄ねじ部10を縦断するように形成され、吸気孔6に連通している。これにより、通気溝12を通じて吸気孔6に外気を導くことが可能とされている。図示の例では、通気溝12は、周方向に間隔をあけて複数形成されているが、この場合に限定されるものではない。
【0029】
吐出キャップ5は、中栓部20、キャップ本体40及び蓋部50を備えている。
中栓部20は、容器本体4の口部4aの上端開口端上に配置されたベース部21と、ベース部21を上下方向に貫通する収容筒部22と、収容筒部22内に収容された弁体部23と、を備えている。なお、図示の例では、ベース部21及び収容筒部22は一体に形成されているが、別体に形成しても構わない。
【0030】
ベース部21は、容器本体4の口部4aの上端開口端上に位置する環状の外ベース部25と、外ベース部25よりも径方向内側に位置する平面視円形状の内ベース部26と、外ベース部25の内周縁部から下方に向けて延びた外側筒部27と、内ベース部26の外周縁部から下方に向けて延びた内側筒部28と、外側筒部27の下端部と内側筒部28の下端部とを径方向に接続する環状の連結フランジ部29と、を備えている。
外ベース部25及び内ベース部26は、互いに同等の高さ位置に配置されている。また外側筒部27は、内側筒部28との間に間隔をあけた状態で内側筒部28を径方向の外側から囲んでいる。これにより、外側筒部27、内側筒部28及び連結フランジ部29で囲まれた部分は、上方に向けて開口した環状空間とされている。
【0031】
さらに外ベース部25の外周縁部には、上方に向けて突出すると共に、キャップ本体40を下方から支持する支持筒部30が形成されている。なお、支持筒部30は、外径が内容器2の鍔部2bの外径よりも小さく形成されている。これにより、鍔部2bは、先に述べたように支持筒部30よりも径方向の外側に突出している。
外ベース部25と支持筒部30との接続部分には、外ベース部25を上下方向に貫通し、且つ支持筒部30を径方向に貫通する空気孔31が周方向に間隔をあけて複数形成されている。この際、空気孔31は、内容器2の鍔部2bに形成された通気路8に対して周方向の位置が一致するように形成され、通気路8に連通している。なお、空気孔31は通気路8に連通されていれば、形成位置や個数等は適宜変更して構わない。
さらに外ベース部25には、下方に向けて突出したシール筒部32が形成されている。シール筒部32は、容器本体4の口部4aの内側に密に嵌合して、容器本体4の口部4aをシールしている。
【0032】
内ベース部26には、内容物を流通させる流通孔33が容器軸Oに対して径方向にずれた位置に形成されていると共に、容器軸Oを挟んで流通孔33とは反対側に位置するように上記収容筒部22が形成されている。
【0033】
収容筒部22は、内ベース部26のうち流通孔33に隣接した部分から下方に突出するように形成されている。図示の例では、収容筒部22は、容器軸Oに対して径方向にずれて配置されていると共に、その一部は内側筒部28と一体化している。
収容筒部22の内部は、残留した内容物を収容する収容空間とされ、上下に開口している。収容筒部22の下側部分には、下端部に向かうにしたがい漸次縮径する縮径部(弁座部)22aが形成されている。
【0034】
なお、収容筒部22の上側部分における内面に、弁体部23の上方への抜けを規制する図示しない規制突起を径方向の内側に向けて突出するように形成しても構わない。
規制突起を形成する場合には、例えば収容筒部22の内面の全周に亘って環状に形成しても構わないし、収容筒部22の内面の1箇所に凸状に突起するように形成しても構わないし、さらに凸状の突起を内面の周方向に沿って間隔をあけて複数形成しても構わない。
【0035】
弁体部23は、収容筒部22内に上下方向に移動自在に収容され、縮径部22aの内周面上に上方に向けて離反可能に着座している。なお、図示の例では、弁体部23は、球状に形成されたいわゆるボール弁とされている。
弁体部23は、内容物を吐出するにあたって容器本体4を例えば傾倒又は上下反転させたときに縮径部22aとは反対側に移動し、容器本体4を元の正立姿勢に戻したときに、自重又は内容器2の復元力によって生じる負圧によって縮径部22a側に移動する。これにより、ベース部21の上側に存在する残留内容物を収容筒部22の内部に引き込むことができ、いわゆるサックバック効果により液だれを回避することが可能とされている。
【0036】
なお、弁体部23は、合成樹脂製又は金属製のいずれでも構わないが、金属製とした場合には、自重によるスムーズな移動が可能となるので、上記サックバック効果をより一層高めることができる。
【0037】
なお、弁体部23を合成樹脂製とした場合には、二重容器1を構成する部材の全てを合成樹脂製とすることが可能になり、低コスト化を図ることができると共に、各部材を異種材料ごとに分別する作業を行うことなく、二重容器1を廃棄することができる。
さらに、合成樹脂製の弁体部23とした場合には、金属製にした場合に比べて質量や内容物に対する比重を軽くすることができるので、例えば二重容器1を、後述する吐出孔44を下方に向けた吐出姿勢にした状態で、外容器3に対する径方向の内側に向けてのスクイズ変形を解除したときに、弁体部23を縮径部22aの内周面上にスムーズに着座させ易くなる。従って、弁体部23を利用して、外気が収容筒部22内を通して内容器2内に進入することを抑制することができる。
【0038】
キャップ本体40は、容器本体4の口部4aに螺着された装着筒部41と、装着筒部41の上端部に連設され、容器本体4の口部4aの上方を覆う天壁部42と、を備えた有頂筒状に形成されている。従って、吐出キャップ5は、キャップ本体40を介して容器本体4の口部4aに離脱可能に装着されている。
【0039】
装着筒部41は、容器本体4の口部4aのうち主に吸気孔6よりも上方に位置する部分を径方向の外側から囲む上側筒部41aと、上側筒部41aの下方に配置され、シール突部7を径方向の外側から囲む下側筒部41bと、を備えている。
【0040】
上側筒部41aは、容器本体4の口部4aよりも上方に突出している。そして上側筒部41aのうち容器本体4の口部4aよりも上方に位置する部分には、径方向の内側に向けて突出した突出壁部48が形成されている。図示の例では、突出壁部48は、後述する雌ねじ部11よりも上方に配置され、上側筒部41aの全周に亘って環状に形成されている。従って、突出壁部48の下面は、内容器2の鍔部2bに対して上方から向かい合うと共に、鍔部2bにおける接触面2cに対して上方から接触する環状の被接触面48aとされている。
なお、突出壁部48は、環状に形成されている必要はなく、例えば周方向に間隔をあけて複数配置され、且つ径方向の内側に向けて突出した複数の突リブ状に形成されていても構わない。
【0041】
これにより、吐出キャップ5は、容器本体4の口部4aに対する上下位置が位置決めされると共に、容器本体4の口部4aに対する過度な締込みが抑制され、適切な締込み位置に位置決めされた状態で螺着されている。
【0042】
そして、突出壁部48の内側に中栓部20における外ベース部25の外周縁部が嵌合している。また上側筒部41aのうち容器本体4の口部4aを囲む部分の内周面には、外容器3の雄ねじ部10に螺合する雌ねじ部(第2ねじ部)11が形成されている。
なお、上側筒部41aの内周面に、雌ねじ部11を縦断するように上下方向に延びる図示しない通気溝を形成し、該通気溝を通じて吸気孔6に外気を導くように構成しても構わない。
【0043】
下側筒部41bは、シール突部7の外周面に対して密に外嵌されている。これにより、シール突部7と下側筒部41bとの間は、密にシールされている。そのため、吸気孔6は、シール突部7と装着筒部41との間を通じて、二重容器1の外部に連通することが防止されている。従って、シール突部7は、吸気孔6よりも下方に位置し、且つ装着筒部41との間をシールするシール部として機能する。
【0044】
天壁部42における中央部分には、上方に向けて突出した吐出筒部43が容器軸Oと同軸に形成されている。吐出筒部43の内側は、天壁部42を上下に貫くと共に、流通孔33を通して内容器2の内部に連通可能とされた吐出孔44とされている。なお、吐出筒部43は、上端部側が上方に向かうにしたがい漸次拡径するように形成されている。
【0045】
また、天壁部42には、下方に向けて突出するように形成された内側垂下筒部45と、内側垂下筒部45との間に隙間をあけた状態で内側垂下筒部45を径方向の外側から囲む外側垂下筒部46と、が形成されている。
内側垂下筒部45は、中栓部20における内側筒部28の上方に位置するように形成され、外側垂下筒部46は、中栓部20における外側筒部27の上方に位置するように形成されている。内側垂下筒部45と外側垂下筒部46によって囲まれる部分は、下方に向けて開口した環状空間とされている。
【0046】
さらに、天壁部42のうち外側垂下筒部46よりも径方向の外側に位置する部分には、天壁部42を上下に貫通する外気導入孔47が形成されている。なお、外気導入孔47は、1箇所に限定されるものではなく、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
【0047】
上述したように構成された中栓部20とキャップ本体40の天壁部42との間には、吐出弁70及び外気導入弁(空気弁)80が配置されている。
【0048】
吐出弁70は、吐出孔44と容器本体4内との連通、遮断を切替える弁であり、内ベース部26の上面に離反可能に載置された弁本体71と、弁本体71と外気導入弁80の後述する筒体部81とを一体に繋ぐ複数(例えば3本)の弾性アーム72と、を備えた多点弁(例えば3点弁)とされている。
【0049】
弁本体71は、例えば平面視円形状に形成されており、内ベース部26に形成された流通孔33を開放可能に閉塞している。なお、弁本体71は収容筒部22の上部開口を完全に閉塞していない。そのため、収容筒部22の内部は常時上方に向けて開放されている。
【0050】
弾性アーム72は、例えば周方向に延びるように形成されることで適度なばね性が確保されていると共に、内端部が弁本体71の外縁部に接続され、且つ外端部が筒体部81に接続されている。そして、弾性アーム72は、外容器3のスクイズ変形によって内容器2の内圧が上昇した際に、弁本体71を上方に移動させるように弾性変形して、弁本体71を内ベース部26の上面から離反させる。これにより、外容器3のスクイズ変形時、流通孔33を開放させて、吐出孔44と容器本体4内とを連通させると共に、内容物を吐出孔44側に流通させることが可能とされている。
【0051】
なお、吐出弁70としては、外容器3のスクイズ変形時に流通孔33を開放できれば良く、上記構成以外の弁構造としても良い。
【0052】
外気導入弁80は、下端部がベース部21に形成された外側筒部27と内側筒部28との間に形成された環状空間内に嵌合し、上端部が天壁部42に形成された内側垂下筒部45と外側垂下筒部46との間に形成された環状空間内に嵌合された筒体部81と、筒体部81の外周面から径方向の外側に向けて環状に突設され、外端部が自由端とされた弾性変形可能な弁体82と、を備えている。
【0053】
弁体82は、全周に亘って外端部が天壁部42の下面に下方から離反可能に当接している。これにより、外気導入弁80は、キャップ本体40の内側から外気導入孔47を開放可能に閉塞している。つまり弁体82は、外気導入孔47を通じた外部からの外気の流入を許容し、且つ外容器3のスクイズ変形時には、外気導入孔47を通じた外部への外気の流出を規制する逆止弁として機能する。
なお、外気導入孔47を通じて外部から流入した外気は、図2に示す矢印のように、空気孔31及び通気路8を通過した後、外容器3に形成された吸気孔6を通じて内容器2と外容器3との間に流入する。
【0054】
蓋部50は、周壁部51と頂壁部52とで有頂筒状に形成され、キャップ本体40における装着筒部41の上端部に着脱可能に外嵌されている。
頂壁部52には、下方に向けて突出した栓体53が容器軸Oと同軸に形成されている。栓体53は、吐出筒部43内に上方から挿入されることで、吐出筒部43の内側に着脱可能に嵌合されている。これにより、栓体53は吐出孔44を通じた内容物の吐出を規制している。
【0055】
周壁部51は、ヒンジ部54を介して装着筒部41に連結されている。これにより、蓋部50はヒンジ部54回りに回動可能とされており、回動に伴って栓体53を吐出筒部43から挿抜させて、吐出孔44を開閉することが可能とされている。
なお、周壁部51には、容器軸Oを挟んでヒンジ部54とは反対側に位置する部分から径方向の外側に突出するように操作突片55が形成されている。これにより、操作突片55を利用して、蓋部50の回動操作を容易に行うことが可能とされている。
【0056】
(二重容器の作用)
このように構成された二重容器1を使用する場合について説明する。
内容物を吐出する場合には、図1に示す吐出キャップ5の蓋部50をヒンジ部54回りに回動させて、図2に示すように吐出孔44を開放させた後、例えば容器本体4を傾倒又は上下反転させ、容器本体4の外容器3を径方向の内側にスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器2が外容器3と共に径方向の内側に変形して減容するので、内容器2の内圧が上昇する。
【0057】
すると、吐出弁70における弁本体71が内ベース部26の上面から上方に向けて離反するので、吐出孔44と内容器2の内部とが流通孔33を通じて連通する。これにより、吐出孔44を通じて、内容器2の内部に収容された内容物を外部に吐出することができる。なお、このとき収容筒部22内の弁体部23は、図2に示す点線のように弁本体71側に移動する。
【0058】
その後、容器本体4のスクイズ変形を停止又は解除することで、内容器2の内圧の上昇が停止又は低下すると、吐出弁70の弁本体71が弾性アーム72の復元変形によって元の状態に戻り、内ベース部26の上面に着座する。これにより、流通孔33を再び閉塞することができ、吐出孔44と内容器2の内部との連通を遮断する。このため、内容物の吐出を停止することができる。
【0059】
また、容器本体4のスクイズ変形を解除することで、内容器2の減容状態を維持したまま外容器3が復元変形し始めるので、外容器3と内容器2との間に負圧が生じる。すると、この負圧が吸気孔6を通じて外気導入弁80に作用するので、弁体82の外端部が天壁部42の下面から下方に向けて離間し、外気導入孔47を開放する。これにより、外気導入孔47、空気孔31及び通気路8を通じて外部から外気が流入し、吸気孔6を通じて内容器2と外容器3との間に流入する。
その結果、外容器3が復元変形したとしても、内容器2を外容器3の内面から離間させ、減容変形させたままの状態にしておくことができる。従って、内容器2を徐々に減容変形させながら、内容物を吐出することができる。
【0060】
また、容器本体4のスクイズ変形の解除にあわせて容器本体4を正立姿勢に戻すことで、収容筒部22内の弁体部23を自重により縮径部22a側に移動させて、該縮径部22aに着座させることができる。なお、自重だけでなく、内容器2の復元力によって生じる負圧化によっても、弁体部23を縮径部22a側に移動させることが可能である。
そして、弁体部23の移動に伴うサックバック効果によって、吐出筒部43と内ベース部26との間に内容物が残留したとしても、その残留した内容物を収容筒部22内に引き込むことができる。従って、残留内容物が吐出孔44を通じて外部に漏れ難く、液だれを防止することができる。
【0061】
なお、内容器2の内圧上昇を利用して、収容筒部22内の弁体部23を弁本体71側に移動させることも可能であるので、内容物の吐出時に必ずしも容器本体4を傾倒又は上下反転させる必要はない。
【0062】
特に本実施形態の二重容器1によれば、製造時、容器本体4の口部4aに吐出キャップ5を締込むだけの簡便な作業で、容器本体4の口部4aに吐出キャップ5を容易に装着することができる。
この際、吐出キャップ5の締終わりに達すると、装着筒部41における突出壁部48の被接触面48aが、内容器2の鍔部2bにおける接触面2cに対して上方から接触する。これにより、容器本体4の口部4aに対する吐出キャップ5の上下位置を位置決めすることができると共に、それ以上の締込み操作を抑制して、吐出キャップ5の締込み位置を位置決めすることができる。
【0063】
従って、過度な締込みに伴う変形等を容器本体4の口部4a或いは装着筒部41に生じさせることがないので、シール突部7を利用して装着筒部41との間を確実にシールすることができ、吸気孔6が意図しない箇所で外部に連通してしまうことを防止することができる。そのため、先に述べたように、内容物の吐出後に、通気路8及び吸気孔6を通じて内容器2と外容器3との間に外気を確実に導入することができる。
【0064】
それに加え、吸気孔6が意図しない箇所で外部に連通してしまうことを防止できるので、使用途中において、内容器2と外容器3との間に取り込んだ空気(外気)が外部に漏れてしまうことを抑制することができる。そのため、内容器2と外容器3との間に取り込んだ空気を適切に存在させることができ、外容器3を径方向の内側に押圧したときに、外容器3に加えた押圧力を、空気層を介して内容器2に適切に伝えることができる。これにより、内容器2を押圧することができ、吐出弁70を反応良くスムーズに開弁させることができる。その結果、安定した吐出機能を発揮する二重容器1とすることができる。
【0065】
さらに、内容物の残量が少なくなったとしても、内容器2と外容器3との間に存在する空気層を介して外容器3に加えた押圧力を内容器2に効率良く伝えることができるので、大きな押圧力で外容器3を押圧する必要がなく、吐出操作性を向上することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の二重容器1によれば、過度な締込みを抑制しながら、容器本体4に対して吐出キャップ5を適切な位置関係で装着させることができる。従って、内容器2と外容器3との間に取り込んだ空気(外気)が外部に漏れてしまうことを抑制することができ、安定した吐出機能を発揮させることができると共に、吐出操作性が向上した二重容器1とすることができる。
【0067】
さらに、二重容器1の製造時、容器本体4の口部4aに対して吐出キャップ5を螺着する前に、天壁部42との間に吐出弁70を配置させた状態で突出壁部48の内側に中栓部20を嵌合させることで、吐出弁70、中栓部20及び吐出キャップ5を一体に組み合わせることができ、1つのユニットとして取り扱うことができる。そのため、容器本体4の口部4aに吐出キャップ5を螺着させることで、二重容器1を効率良く製造することが可能である。
なお、吐出弁70と外気導入弁80とを一体に形成したが、これらを別部材としても構わない。
【0068】
また本実施形態の容器本体4は、先に述べたように、射出成形によって形成した外容器3用のプリフォーム及び内容器2用のプリフォームを二重に組み合わせた後、二軸延伸ブロー成形することで形成されているうえ、外容器3用のプリフォーム及び内容器2用のプリフォームは共にPET樹脂とされている。
そのため、容器本体4の口部4aの剛性は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等で成形された吐出キャップ5における装着筒部41の剛性よりも高く設定されている。
【0069】
特に、雄ねじ部10が形成されている外容器3の口部3aは、外容器3用のプリフォームを利用した二軸延伸ブロー成形によって形成されているので、図1に示すように、外容器3の口部3aの内面は雄ねじ部10の形状に対応して凹凸となる凹凸面ではなく、平坦なフラット面とされている。従って、外容器3の口部3aの厚みを十分に確保して一定の剛性を得ることができ、座屈等の変形が生じ難い。
【0070】
このように容器本体4の口部4aの剛性が高いことで、容器本体4の口部4aに対して吐出キャップ5を装着し易く、製造効率を向上することができる。
なお、容器本体4の口部4aの剛性が装着筒部41よりも高い場合には、吐出キャップ5を過度に締込み過ぎたときに、例えば装着筒部41の下端部が径方向の外側に拡がってしまうような変形を誘発し易い。
しかしながら、本実施形態の二重容器1では、突出壁部48及び接触面2cを利用して、吐出キャップ5の過度の締込み操作を抑制できるので、装着筒部41等の変形を抑制しながら吐出キャップ5を適切に装着することが可能となる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る二重容器の第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、突出壁部48を内容器2の鍔部2bの上面に対して接触させたが、本実施形態では、突出壁部48を外容器3の上端部に接触させるように構成している。
【0072】
図3に示すように、本実施形態の二重容器90は、内容器2の鍔部2bが外容器3の口部3aにおける上端開口端の一部を上方側から塞いでいる。これにより、外容器3の口部3aの上端開口端は、少なくとも鍔部2bよりも径方向の外側に位置する部分が突出壁部48の被接触面48aに対して下方から向かい合うと共に、該被接触面48aに対して下方から接触する接触面3bとして機能する。
これにより、突出壁部48と外容器3の接触面3bとの接触によって、容器本体4の口部4aに対する吐出キャップ5の上下位置を位置決めすることが可能とされている。
【0073】
さらに、本実施形態の内容器2の鍔部2bには、該鍔部2bを上下方向に貫通し、且つ鍔部2bの外周縁部側に開口する縦溝状の第1通気路91が周方向に間隔をあけて複数形成されている。第1通気路91は、空気孔31に対して周方向の位置が一致するように形成され、空気孔31に連通している。
【0074】
さらに外容器3の上端部には、接触面3bから下方に凹んだ状態で径方向に沿って延びる横溝状の第2通気路92が周方向に間隔をあけて複数形成されている。第2通気路92は、外容器3の口部3aを径方向に貫通するように形成されていると共に、第1通気路91に対して周方向の位置が一致するように形成されて第1通気路91に連通している。
そして、外容器3の上端部における外周面には、第2通気路92に対して連通する縦溝状の第3通気路93が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
なお、内容器2は、上端部が外容器3の上端部に内装されている。そのため、外容器3側に形成された第2通気路92は、径方向の内側に向けた開口が内容器2の上端部によって塞がれている。
【0075】
上述した第1通気路91、第2通気路92及び第3通気路93は、突出壁部48と外容器3の口部3aの接触面3bとの間を通じて、吸気孔6側に外気の流入を許容する通気路94として機能する。
【0076】
上述のように構成された二重容器90であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0078】
例えば、上記各実施形態では、二重容器として、内容器が外容器の内面に剥離可能に積層された積層剥離型容器としたが、これに限定されるものではなく、内容器と外容器との間に隙間が確保された二重容器としても構わない。
【0079】
また、上記各実施形態において外気導入弁は必須なものではなく、具備しなくても構わない。この場合には、例えば外気導入孔、空気孔又は吸気孔の開口サイズを小さくして、外容器をスクイズ変形させたときに、外容器と内容器との間の空気が、外部に流出し難くなるように構成すれば良い。
【0080】
また、上記各実施形態では、外容器の口部に吸気孔を形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば内容器の口部と外容器の口部との間に縦溝を形成すると共に、外容器の口部の上端開口端と内容器の口部の鍔部との間に、縦溝と外部とを連通させる横溝を形成することで、吸気孔として機能させても構わない。
いずれにしても、容器本体の口部に吸気孔が形成されていれば良い。
【0081】
また、上記各実施形態では、通気路を容器本体の口部側に形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば容器本体の口部側ではなく、突出壁部側に通気路を形成しても構わないし、容器本体の口部及び突出壁部の両方に通気路を形成しても構わない。突出壁部に通気路を形成する場合には、例えば突出壁部の内周面或いは下面である被接触面に形成することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1、90…二重容器
2…内容器
2c、3b…接触面
3…外容器
4…容器本体
4a…容器本体の口部
5…吐出キャップ
6…吸気孔
7…シール突部(シール部)
8、94…通気路
10…雄ねじ部(第1ねじ部)
11…雌ねじ部(第2ねじ部)
20…中栓部
33…流通孔
41…装着筒部
42…天壁部
44…吐出孔
48…突出壁部
70…吐出弁
図1
図2
図3