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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】塗布具付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/32 20060101AFI20240112BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240112BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65D51/32
B65D83/00 J
A45D34/04 515Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020080569
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021172425
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 翔平
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-001612(JP,U)
【文献】特開平11-253228(JP,A)
【文献】特開2008-056306(JP,A)
【文献】特開2002-112832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/32
B65D 83/00
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に着脱可能に装着されたキャップと、
前記キャップに装着されるとともに、前記容器本体の底部側の下方に向けて延び、下端部に塗布部が設けられた塗布具と、
前記容器本体内に上下動可能に設けられた摺動部材と、を備え、
前記容器本体に、上昇端位置に到達した前記摺動部材を係止し、前記摺動部材のこれ以上の上昇を規制する規制部が設けられ、
前記摺動部材は、
前記塗布具が着脱可能に嵌合された装着筒と、
前記容器本体内に上下摺動可能に設けられ、前記容器本体内の底面に沿って弾性変形した状態で前記底面に当接した第1集液部と、を備え
前記塗布具を前記容器本体内に下方に向けて挿入しつつ、前記キャップを前記口部に装着するときに、復元変形して前記容器本体の内周面に当接、若しくは近接している前記第1集液部が、前記容器本体の底部に到達したときに、前記容器本体内の底面に沿って弾性変形しつつ、この底面を摺動する、塗布具付き容器。
【請求項2】
前記摺動部材は、
前記装着筒と前記第1集液部とを連結する連結部と、
前記連結部から上方に向けて延び、前記容器本体内に上下摺動可能に設けられた第2集液部と、を備え、
前記第1集液部は、前記連結部から下方に向けて延び、
前記連結部は、周方向に間隔をあけて複数設けられている、請求項1に記載の塗布具付き容器。
【請求項3】
前記規制部は、環状に形成されるとともに、内側が前記口部内に連通し、
前記摺動部材が上昇端位置に位置したときに、前記装着筒の上端部が前記規制部に当接する、請求項1または2に記載の塗布具付き容器。
【請求項4】
前記装着筒の上端部は、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている、請求項1から3のいずれか1項に記載の塗布具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される容器本体と、容器本体の口部に着脱可能に装着されたキャップと、キャップに装着されるとともに、容器本体の底部側の下方に向けて延び、下端部に塗布部が設けられた塗布具と、を備えた塗布具付き容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-205679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような塗布具付き容器では、容器本体内の内容物が減少すると、塗布部に内容物を付着させにくくなり、容器本体内の内容物の残量を少なくすることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、容器本体内の内容物の残量を低減することができる塗布具付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の塗布具付き容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に着脱可能に装着されたキャップと、前記キャップに装着されるとともに、前記容器本体の底部側の下方に向けて延び、下端部に塗布部が設けられた塗布具と、前記容器本体内に上下動可能に設けられた摺動部材と、を備え、前記容器本体に、上昇端位置に到達した前記摺動部材を係止し、前記摺動部材のこれ以上の上昇を規制する規制部が設けられ、前記摺動部材は、前記塗布具が着脱可能に嵌合された装着筒と、前記容器本体内に上下摺動可能に設けられ、前記容器本体内の底面に沿って弾性変形した状態で前記底面に当接した第1集液部と、を備え、前記塗布具を前記容器本体内に下方に向けて挿入しつつ、前記キャップを前記口部に装着するときに、復元変形して前記容器本体の内周面に当接、若しくは近接している前記第1集液部が、前記容器本体の底部に到達したときに、前記容器本体内の底面に沿って弾性変形しつつ、この底面を摺動する
【0007】
本発明によれば、摺動部材が第1集液部を備えているので、塗布具を容器本体内に下方に向けて挿入しつつ、キャップを口部に装着するときに、復元変形して容器本体の内周面に当接、若しくは近接している第1集液部が、容器本体の底部に到達したときに、容器本体内の底面に沿って弾性変形しつつ、この底面を摺動することとなる。これにより、容器本体内の内容物が減少しても、容器本体の内周面、あるいは容器本体内の底面に残存した内容物を、第1集液部により、この底面にかき集めて嵩上げして塗布部に付着させやすくすることが可能になり、容器本体内の内容物の残量を低減することができる。
容器本体に規制部が設けられているので、摺動部材の装着筒内に嵌合された塗布具とともに、キャップを引き上げて、摺動部材を上昇端位置に到達させたときに、摺動部材が規制部に係止されることとなり、塗布具を装着筒内から上方に引き抜くことができる。これにより、塗布部および塗布具に付着していた余分の内容物が、装着筒によってしごき落されることとなり、操作性を向上させることができる。
【0008】
前記摺動部材は、前記装着筒と前記第1集液部とを連結する連結部と、前記連結部から上方に向けて延び、前記容器本体内に上下摺動可能に設けられた第2集液部と、を備え、前記第1集液部は、前記連結部から下方に向けて延び、前記連結部は、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0009】
この場合、摺動部材が、連結部および第2集液部を備えているので、キャップを引き上げたときに、連結部の上面と、装着筒の外周面と、第2集液部の内周面と、に囲まれた空間に溜められた内容物を、周方向で互いに隣り合う連結部同士の間から垂れ落とし、塗布部に導いて付着させることができる。
また、キャップの引き上げ時に、第2集液部が容器本体内を上方に向けて摺動することから、第2集液部が、容器本体の内周面のうち、内容物の液面より上方に位置する部分に付着している内容物を剥がすことで、この内容物が前記空間に導入されることとなり、容器本体内の内容物の残量を確実に低減することができる。
【0010】
前記規制部は、環状に形成されるとともに、内側が前記口部内に連通し、前記摺動部材が上昇端位置に位置したときに、前記装着筒の上端部が前記規制部に当接してもよい。
【0011】
この場合、摺動部材が上昇端位置に位置したときに、装着筒の上端部が、環状の規制部に当接するので、塗布具を容器本体内に下方に向けて挿入するときに、規制部内を通して装着筒内に塗布部を容易に挿入することができる。
【0012】
前記装着筒の上端部は、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びてもよい。
【0013】
この場合、装着筒の上端部が、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びているので、塗布具を容器本体内に下方に向けて挿入するときに、塗布部を装着筒内に容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、容器本体内の内容物の残量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る第1実施形態として示した塗布具付き容器の縦断面図である。
図2図1に示す塗布具付き容器において、キャップを塗布具とともに引き上げ、摺動部材を上昇端位置に位置させた状態の要部を示す図である。
図3図1に示す塗布具付き容器において、内容物の残量が少なくなった状態で、キャップを口部に装着している途中の要部を示す図である。
図4図3に示す塗布具付き容器において、キャップの口部への装着が完了した状態の要部を示す図である。
図5】本発明に係る第2実施形態として示した塗布具付き容器において、内容物の残量が少なくなった状態の要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態に係る塗布具付き容器1は、図1に示されるように、容器本体11、キャップ12、塗布具13および摺動部材14を備えている。容器本体11は有底筒状に形成され、キャップ12は有頂筒状に形成され、塗布具13は棒状に形成され、摺動部材14は筒状に形成されている。容器本体11、キャップ12、塗布具13および摺動部材14は、共通軸Oと同軸に配設されている。
以下、共通軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って、キャップ12側を上側といい、容器本体11の底部15側を下側という。上下方向から見て、共通軸Oに交差する方向を径方向といい、共通軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
容器本体11内に内容物が収容される。内容物としては、例えばリップグロス、若しくは接着剤等が挙げられる。
容器本体11は、口部19、肩部21、胴部16、および底部15を備え、これらが上方から下方に向けてこの順に連設されて構成されている。
【0018】
容器本体11内の底面11a、つまり底部15の内面は、下方に向かうに従い径方向の内側に向けて延び、径方向の外側に向けて窪む曲面状に形成されている。底面11aの上端は、胴部16の内周面と上下方向に段差なく連なっている。
口部19と肩部21との接続部分に、径方向の内側に向けて突出した環状の規制部22が形成されている。規制部22の内側は、口部19内と胴部16内とを連通している。規制部22は、共通軸Oと同軸に配設されている。規制部22において、下面の内周縁部22a、および上面は、径方向の外側から内側に向かうに従い下方に向けて延びている。
【0019】
容器本体11は、底部15および胴部16を有する有底筒状の本体筒17と、本体筒17の上端部に装着されるとともに、肩部21および口部19を有する筒状の口部材18と、を備えている。なお、本体筒17および口部材18は一体に形成されてもよい。この場合、例えば規制部22を口部材18と別体にしてもよい。
口部材18は、小径の上部および大径の下部により構成され、上部が、外周面に雄ねじ部が形成された口部19とされ、下部が、本体筒17の上端部に嵌合されて固定された肩部21となっている。
【0020】
キャップ12は、口部19に着脱可能に装着されている。キャップ12の内周面に、口部19の雄ねじ部に螺合した雌ねじ部が形成されている。
【0021】
塗布具13は、キャップ12に装着されるとともに、下方に向けて延びている。塗布具13の下端部に塗布部23が設けられている。
塗布具13は、本体軸24および固定部25を備えている。
【0022】
本体軸24は、キャップ12内および容器本体11内に、上下方向のほぼ全長にわたって一体に設けられている。本体軸24の下部の外周面に、引き上げ突起26および位置決め突起27が、上下方向に間隔をあけて形成されている。引き上げ突起26および位置決め突起27は、本体軸24の外周面から径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって延びている。引き上げ突起26および位置決め突起27は、本体軸24のうち、胴部16内の下端部から底部15内にわたって位置する部分の外周面に形成されている。引き上げ突起26は、位置決め突起27より下方に位置している。
【0023】
固定部25は、本体軸24から径方向の外側に向けて突出した底壁、および底壁の外周縁から上方に向けて延びる周壁を有する有底筒状に形成されている。固定部25は、本体軸24の上部を径方向の外側から囲っている。固定部25は、キャップ12の上部内に嵌合されて固定されている。キャップ12の下部の内周面に、前述の雌ねじ部が形成されている。
本体軸24において、固定部25の底壁の下面に連なる部分に、パッキンPが嵌合されて固定されている。パッキンPは、固定部25の底壁の下面と、口部19の上端開口縁と、により上下方向に挟まれて、口部19内を密封している。
【0024】
摺動部材14は、容器本体11内に上下動可能に設けられている。摺動部材14は、装着筒31、第1集液部32、連結部33、および第2集液部34を備えている。
【0025】
装着筒31は、共通軸Oと同軸に配設されている。装着筒31内に、塗布具13が着脱可能に嵌合されている。装着筒31は、塗布具13の本体軸24において、引き上げ突起26と位置決め突起27との間に位置する部分に嵌合されている。装着筒31の下端開口縁に、引き上げ突起26が当接、若しくは近接し、装着筒31の上端部31aの内周面に、位置決め突起27が当接、若しくは近接している。装着筒31の上端部31aは、内周面および外周面ともに上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。装着筒31の上端部31aの内周面における下端部に、位置決め突起27が当接、若しくは近接している。図2に示されるように、装着筒31の上端部31aの内周面は、摺動部材14が上昇端位置に位置したときに、規制部22の下面の内周縁部22aに当接する。これにより、上昇端位置に到達した摺動部材14が規制部22に係止され、摺動部材14の、これ以上の上昇が規制される。
【0026】
第1集液部32は、容器本体11内に上下摺動可能に設けられ、図1に示されるように、容器本体11内の底面11aに沿って弾性変形した状態で底面11aに当接している。第1集液部32の下端部は、装着筒31の下端部より下方に位置している。第1集液部32は、上下方向に延び、かつ周方向に湾曲した板状に形成され、周方向に間隔をあけて複数設けられている。キャップ12が、容器本体11の口部19に装着され、第1集液部32が、容器本体11内の底面11aに沿って弾性変形して底面11aに当接した待機状態で、複数の第1集液部32それぞれの先端縁32aは、周方向および径方向に互いに離間している。容器本体11内の底面11aにおいて、複数の第1集液部32の各先端縁32aに囲まれた集液部分Aに、塗布具13の下端部に設けられた塗布部23が、底面11aの上方から近接している。集液部分Aは、容器本体11内の底面11aにおける中央部に位置している。
【0027】
連結部33は、周方向に間隔をあけて複数設けられ、装着筒31と第1集液部32とを連結している。連結部33における径方向の内端部から装着筒31が上方に向けて延び、連結部33における径方向の外端部から第1集液部32が下方に向けて延びている。
第2集液部34は、連結部33から上方に向けて延び、容器本体11内に上下摺動可能に設けられている。第2集液部34は、連結部33における径方向の外端部から上方に向けて延びている。第2集液部34は、筒状に形成され、共通軸Oと同軸に配設されている。第2集液部34は、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0028】
次に、以上のように構成された塗布具付き容器1の作用について説明する。
【0029】
まず、容器本体11およびキャップ12を、周方向に沿う緩み側に相対回転させ、キャップ12を、塗布具13とともに口部19に対して上昇させる。この際、装着筒31内に塗布具13の本体軸24が嵌合され、かつ装着筒31の下端開口縁に引き上げ突起26が当接しているので、塗布具13の上昇に伴い、摺動部材14も上昇する。
この上昇の過程において、図2に示されるように、第1集液部32が、径方向の外側に向けて復元変形し、容器本体11の内周面に当接、若しくは近接し、第2集液部34が、容器本体11内を上方に向けて摺動する。この際、第2集液部34が、容器本体11の内周面のうち、内容物の液面Lより上方に位置する部分に付着している内容物を剥がし、この内容物が、連結部33の上面と、装着筒31の外周面と、第2集液部34の内周面と、に囲まれた空間Bに導入される。この空間Bに溜められた内容物は、周方向で互いに隣り合う連結部33同士の間から垂れ落ち、塗布部23に導かれて付着する。
【0030】
そして、摺動部材14が上昇端位置に到達すると、装着筒31の上端部31aの内周面が、規制部22の下面の内周縁部22aに当接し、摺動部材14の、これ以上の上昇が規制される。この際、第2集液部34の上端開口縁は、容器本体11の内面のうち、下方を向く面に当接、若しくは近接する。
この状態で、キャップ12および塗布具13を、容器本体11および摺動部材14に対して引き上げると、引き上げ突起26が装着筒31内に引き込まれ、塗布具13の本体軸24の下部が、装着筒31の内周面を上方に向けて摺動し、塗布部23および本体軸24の下部が、装着筒31内および規制部22内から抜き出される。この際、塗布部23および本体軸24の下部に付着していた余分の内容物が、装着筒31によってしごき落される。
【0031】
塗布部23から被塗布部に内容物を塗布した後に、塗布部23および塗布具13を、規制部22内および装着筒31内に挿入すると、図3に示されるように、引き上げ突起26が、装着筒31内に所定量だけ押し込まれた後に、摺動部材14が、塗布具13とともに下方に向けて移動し始める。そして、摺動部材14の下降移動に伴い、第2集液部34が容器本体11内を下方に向けて摺動しつつ、第1集液部32が底部15に到達すると、第1集液部32は、容器本体11内の底面11aに沿って弾性変形しながら、底面11aを摺動する。これにより、容器本体11内の内容物が減少しても、容器本体11の内周面、あるいは容器本体11内の底面11aに残存した内容物が、図4に示されるように、複数の第1集液部32の先端縁32aによって、底面11aの集液部分Aにかき集められて嵩上げされる。この際、引き上げ突起26が、装着筒31を下方に通過して、装着筒31の下端開口縁に当接、若しくは近接し、位置決め突起27が、装着筒31の上端部31aの内周面に当接、若しくは近接する。これにより、摺動部材14が下降端位置に到達し、キャップ12の口部19への装着が完了する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態による塗布具付き容器1によれば、摺動部材14が第1集液部32を備えているので、塗布具13を容器本体11内に下方に向けて挿入しつつ、キャップ12を口部19に装着するときに、図2および図3に示されるように、復元変形して容器本体11の内周面に当接、若しくは近接している第1集液部32が、容器本体11の底部15に到達したときに、容器本体11内の底面11aに沿って弾性変形しつつ、この底面11aを摺動することとなる。これにより、容器本体11内の内容物が減少しても、容器本体11の内周面、あるいは容器本体11内の底面11aに残存した内容物を、図4に示されるように、第1集液部32により、底面11aの集液部分Aにかき集めて嵩上げして塗布部23に付着させやすくすることが可能になり、容器本体11内の内容物の残量を低減することができる。
【0033】
容器本体11に規制部22が設けられているので、摺動部材14の装着筒31内に嵌合された塗布具13とともに、キャップ12を引き上げて、摺動部材14を上昇端位置に到達させたときに、摺動部材14が規制部22に係止されることとなり、塗布具13の下部を装着筒31内から上方に引き抜くことができる。これにより、塗布部23および塗布具13の下部に付着していた余分の内容物が、装着筒31によってしごき落されることとなり、操作性を向上させることができる。
【0034】
摺動部材14が、連結部33および第2集液部34を備えているので、キャップ12を引き上げたときに、連結部33の上面と、装着筒31の外周面と、第2集液部34の内周面と、に囲まれた空間Bに溜められた内容物を、周方向で互いに隣り合う連結部33同士の間から垂れ落とし、塗布部23に導いて付着させることができる。
また、キャップ12の引き上げ時に、第2集液部34が容器本体11内を上方に向けて摺動することから、第2集液部34が、容器本体11の内周面のうち、内容物の液面Lより上方に位置する部分に付着している内容物を剥がすことで、この内容物が前記空間Bに導入されることとなり、容器本体11内の内容物の残量を確実に低減することができる。
【0035】
摺動部材14が上昇端位置に位置したときに、装着筒31の上端部31aが、環状の規制部22に当接するので、塗布具13を容器本体11内に下方に向けて挿入するときに、規制部22内を通して装着筒31内に塗布部23を容易に挿入することができる。
【0036】
装着筒31の上端部31aが、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びているので、塗布具13を容器本体11内に下方に向けて挿入するときに、塗布部23を装着筒31内に容易に挿入することができる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態に係る塗布具付き容器2を、図5を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0038】
本実施形態では、容器本体11内の底面11aが、上下方向に真直ぐ延びる周面部分と、この周面部分の下端に連なり上方を向く平坦面部分と、により構成されている。そして、第1集液部32は、容器本体11内の底面11aに沿って屈曲し、前記第1実施形態と同様に、弾性変形した状態で底面11aに当接している。
本実施形態による塗布具付き容器2においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を有する。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
規制部22は、環状に限らず例えば、容器本体11の内周面から径方向の内側に向けて突出した突起等であってもよい。
規制部22は、容器本体11と別体であってもよい。
装着筒31の上端部31aは、例えば上下方向に真直ぐ延びていてもよい。
【0041】
前記実施形態では、塗布部23から被塗布部に内容物を塗布した後に、塗布部23および塗布具13を、規制部22内および装着筒31内に挿入すると、図3に示されるように、引き上げ突起26が、装着筒31内に所定量だけ押し込まれた後に、摺動部材14が、塗布具13とともに下方に向けて移動し始める構成を示したが、これに限らず例えば、引き上げ突起26が、装着筒31の上端部31aに当接、若しくは近接して、装着筒31内に押し込まれる前から、摺動部材14が、塗布具13とともに下方に向けて移動し始める構成を採用してもよい。
【0042】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、2 塗布具付き容器
11 容器本体
11a 底面
12 キャップ
13 塗布具
14 摺動部材
15 底部
19 口部
22 規制部
23 塗布部
31 装着筒
31a 上端部
32 第1集液部
33 連結部
34 第2集液部
図1
図2
図3
図4
図5