(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】群センサ制御システム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/87 20060101AFI20240112BHJP
G01S 13/66 20060101ALI20240112BHJP
G01S 13/933 20200101ALI20240112BHJP
G01S 17/933 20200101ALI20240112BHJP
【FI】
G01S13/87
G01S13/66
G01S13/933
G01S17/933
(21)【出願番号】P 2020087450
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 駿
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0114324(US,A1)
【文献】特開2000-292533(JP,A)
【文献】特開2012-230098(JP,A)
【文献】特開2011-075300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/51,
G01S 13/00-13/95,
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の航空機のそれぞれに設けられる複数のセンサ
からなる群センサ
により検出対象物を検出するための群センサ制御システムであって、
複数の前記航空機のそれぞれに搭載され
、前記検出対象物を検出する前記センサと、
複数の前記航空機のそれぞれに搭載され
、前記群センサの制御方針を指示する指示情報に基づいて前記センサを制御するセンサ制御部と、
複数の前記航空機のそれぞれに搭載される通信部と、を有し、
前記通信部は、他の前記航空機の前記通信部と相互に通信可能であり、通信により複数の前記航空機の前記通信部の間で通信ネットワークを形成し、
複数の前記センサ制御部は、前記通信ネットワークを介して、複数の前記航空機のうちの主となるマスター権限を設定されたマスター航空機と、前記マスター航空機に対して従となるスレーブ航空機と、の設定情報を共有し、
前記マスター航空機の前記センサ制御部は、前
記指示情報を、前記通信ネットワークを介して前記スレーブ航空機の前記センサ制御部に送信し、前記スレーブ航空機の前記センサ制御部は、前記通信ネットワークを介して受信した前記指示情報に基づ
く前記群センサの制御方針に従って、前記センサで取得したセンサ情報に基づいて、前記センサの制御を実行
し、
複数の前記航空機には、予め優先順位が付されており、
複数の前記センサ制御部は、前記通信ネットワークを介して前記優先順位の情報を共有し、それぞれが、前記優先順位が最も高い前記航空機を前記マスター航空機として設定し、前記マスター航空機以外の前記航空機をスレーブ航空機として設定することで前記設定情報を共有する、群センサ制御システム。
【請求項2】
前記マスター航空機の前記センサ制御部は、前記指示情報を発信するためのマスター権限を有し、前記マスター権限をスレーブ航空機のいずれか1つに譲渡するべき条件を満たすと判断した場合に、前記マスター権限を予め定めた譲渡ルールに従って、前記スレーブ航空機へ前記マスター権限を譲渡する請求項
1に記載の群センサ制御システム。
【請求項3】
前記譲渡ルールは、前記優先順位である請求項
2に記載の群センサ制御システム。
【請求項4】
複数の航空機のそれぞれに設けられる複数のセンサからなる群センサにより検出対象物を検出するための群センサ制御システムであって、
複数の前記航空機のそれぞれに搭載され、前記検出対象物を検出する前記センサと、
複数の前記航空機のそれぞれに搭載され、前記群センサの制御方針を指示する指示情報に基づいて前記センサを制御するセンサ制御部と、
複数の前記航空機のそれぞれに搭載される通信部と、を有し、
前記通信部は、他の前記航空機の前記通信部と相互に通信可能であり、通信により複数の前記航空機の前記通信部の間で通信ネットワークを形成し、
複数の前記センサ制御部は、前記通信ネットワークを介して、複数の前記航空機のうちの主となるマスター権限を設定されたマスター航空機と、前記マスター航空機に対して従となるスレーブ航空機と、の設定情報を共有し、
前記マスター航空機の前記センサ制御部は、前記指示情報を、前記通信ネットワークを介して前記スレーブ航空機の前記センサ制御部に送信し、前記スレーブ航空機の前記センサ制御部は、前記通信ネットワークを介して受信した前記指示情報に基づく前記群センサの制御方針に従って、前記センサで取得したセンサ情報に基づいて、前記センサの制御を実行し、
前記マスター航空機の前記センサ制御部は、前記指示情報を発信するためのマスター権限を有し、前記マスター権限をスレーブ航空機のいずれか1つに譲渡するべき条件を満たすと判断した場合に、前記マスター権限を予め定めた譲渡ルールに従って、前記スレーブ航空機へ前記マスター権限を譲渡す
る群センサ制御システム。
【請求項5】
複数の前記航空機には、予め優先順位が付されており、
前記譲渡ルールは、前記優先順位である請求項
4に記載の群センサ制御システム。
【請求項6】
前記通信ネットワーク内から前記マスター航空機が離脱する場合、離脱する前に、前記通信ネットワークに残存する前記スレーブ航空機の中から、前記優先順位が最も高い前記スレーブ航空機に、前記マスター権限が譲渡される請求項
3または
5に記載の群センサ制御システム。
【請求項7】
前記マスター航空機の前記センサ制御部は、前記通信ネットワーク内に前記航空機が加入する場合、加入した前記航空機の前記優先順位が最も高いと判断すると、加入した前記航空機に、前記マスター権限を譲渡する請求項
3、
5または
6に記載の群センサ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、群センサ制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のセンサから構成されるセンサ群を管理して複数の目標を観測するセンサ群管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、複数のセンサをセンサ群管理装置で管理していることから、センサ群管理装置が故障等により機能が停止してしまうと、複数のセンサの群制御も停止してしまう。
【0005】
そこで、本開示は、冗長性の高い群センサ制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の群センサ制御システムは、複数の航空機のそれぞれに設けられる複数のセンサを、群センサとして制御する群センサ制御システムであって、複数の前記航空機のそれぞれに搭載され検出対象物を検出する前記センサと、複数の前記航空機のそれぞれに搭載され前記センサを制御するセンサ制御部と、複数の前記航空機のそれぞれに搭載される通信部と、を有し、前記通信部は、他の前記航空機の前記通信部と相互に通信可能であり、これにより複数の前記航空機の前記通信部の間で通信ネットワークを形成し、複数の前記センサ制御部は、前記通信ネットワークを介して、複数の前記航空機のうちの主となるマスター権限を設定されたマスター航空機と、前記マスター航空機に対して従となるスレーブ航空機と、の設定情報を共有し、前記マスター航空機の前記センサ制御部は、前記群センサの制御方針を指示する指示情報を、前記通信ネットワークを介して前記スレーブ航空機の前記センサ制御部に送信し、前記スレーブ航空機の前記センサ制御部は、前記通信ネットワークを介して受信した前記指示情報に基づいて、前記センサの制御を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、冗長性の高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る群センサ制御システムを模式的に示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る群センサ制御システムの群センサ制御に関するフローチャートである。
【
図3】
図3は、航空機間における群センサ制御権の譲渡に関する一例の説明図である。
【
図4】
図4は、航空機間における群センサ制御権の譲渡に関する一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0010】
[本実施形態]
図1は、本実施形態に係る群センサ制御システムを模式的に示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る群センサ制御システム1は、複数のセンサ21からなる群センサを制御するシステムである。群センサ制御システム1は、例えば、複数の航空機のそれぞれに搭載された複数のセンサ21を制御している。
【0011】
(群センサ制御システム)
群センサ制御システム1は、複数の航空機10のそれぞれに搭載されている複数のセンサ装置11を備えている。群センサ制御システム1は、検出対象物としての複数の目標物4からなる目標群5を検出するための探索を実行したり、検出した目標物4の追尾を実行したりするための制御を行っている。
【0012】
センサ装置11は、センサ21と、信号処理器22と、センサ制御器(センサ制御部)23と、送受信器(通信部)24と、を有している。
【0013】
センサ21は、例えば、レーダまたは赤外線センサ等のセンサが適用されており、目標物4を検出するセンサとなっている。
【0014】
信号処理器22は、センサ21及び送受信器24から入力される検出信号を処理したり、処理した検出信号をセンサ制御器23及び送受信器24へ出力したりする。信号処理器22は、例えば、トランスデューサ、集積回路を含む信号処理デバイス等を含む構成であってもよい。
【0015】
センサ制御器23は、信号処理器22から入力される検出信号に基づいて、センサ21を制御する。また、センサ制御器23は、群センサの制御方針を指示する指示情報であるルール28に基づいて、センサ21を制御する。センサ制御器23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路を含んでいる。センサ制御器23は、センサ21のセンサ制御を決定するアルゴリズムに基づいてセンサ制御を独立して実行する。一方で、センサ制御器23は、ルール28に基づいて、他の航空機10のセンサ装置11との間における協調制御を実行している。
【0016】
送受信器24は、他の航空機10のセンサ装置11における送受信器24との間で、センサ装置11において取得したセンサ情報等の各種データを送受信している。送受信器24は、例えば、通信モジュールが適用される。複数の航空機10における複数の送受信器24は、通信ネットワークを構築している。各航空機10のセンサ装置11は、通信ネットワーク内における他の航空機10のセンサ装置11において取得したセンサ情報を共有している。センサ情報としては、例えば、目標物4の位置情報、目標物4の速度情報を含む。また、送受信器24は、センサ情報の他、航空機10の位置情報、航空機10の速度情報、航空機10の識別情報を送受信する。
【0017】
上記の群センサ制御システム1は、
図1に示すように、例えば、3つの目標物4a,4b,4cからなる目標群5を検出するための群センサ制御が実行される。群センサ制御システム1は、例えば、3機の航空機10に搭載された3つのセンサ装置11a,11b,11cを含んでいる。3つのセンサ装置11a,11b,11cのそれぞれは、ルール28に基づく群センサの制御方針に従って、アルゴリズムに基づくセンサ制御を実行する。
【0018】
次に、
図2を参照して群センサ制御システム1の群センサ制御について説明する。
図2は、本実施形態に係る群センサ制御システムの群センサ制御に関するフローチャートである。群制御システム1は、
図2に示す制御を周期的に繰り返し実行する。本実施形態の群センサ制御システム1において、複数の航空機10は、通信ネットワーク内において、主となるマスター航空機と、マスター航空機に対して従となるスレーブ航空機と、に分かれている。マスター航空機とスレーブ航空機とは、予め付された優先順位に基づいて各航空機10に設定される。マスター航空機は、ルール28をスレーブ航空機に提供する航空機10となっており、スレーブ航空機は、マスター航空機から提供されたルール28に基づいてセンサ制御を行っている。
【0019】
複数の航空機10のそれぞれにおけるセンサ装置11は、通信ネットワークに参加しているか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1では、各センサ装置11が、複数のセンサ装置11によって構築された通信ネットワーク内に接続されているか否かによって、参加の有無を判定している。
【0020】
センサ装置11は、通信ネットワークに参加していると判定する(ステップS1:Yes)と、通信ネットワーク内において共有される自機及び他の航空機(他機)10からのセンサ情報を取得する(ステップS2)。なお、ステップS2では、自機及び他機からセンサ情報を取得したが、他機のみからセンサ情報を取得してもよい。一方で、センサ装置11は、通信ネットワークに参加していないと判定する(ステップS1:No)と、自機のセンサ21からのセンサ情報を取得する(ステップS3)。
【0021】
また、センサ装置11は、通信ネットワークに参加していると判定する(ステップS1:Yes)と、ステップS2の実行と共に、群センサ制御を実行するか否かの判定を行う(ステップS4)。センサ装置11は、群センサ制御を実行すると判定する(ステップS4:Yes)と、マスター航空機10とスレーブ航空機10とを分ける下記のステップを実行する。なお、ステップS4において、群センサ制御の実行の有無は、例えば、航空機10の操縦者による操作に基づいて決定される。
【0022】
センサ装置11は、ステップS1において、通信ネットワークに参加していないと判定した場合(ステップS1:No)、又は、ステップS4において、群センサ制御を実行しないと判定した場合(ステップS4:No)、自機単独で、アルゴリズムに基づくセンサ制御を実行する群センサの制御方針となるように指示をする(ステップS5)。つまり、群センサの制御方針には、自機単独によるセンサ制御が含まれており、センサ装置11は、群センサ制御を実行しない場合、自機単独によるセンサ制御を実行する。具体的に、ステップS5では、ルール28として、群センサ制御を実行しない航空機10は、自機単独でのセンサ制御を行う、単独のマスター航空機として設定するルールとなっている。このため、ステップS5では、自機が単独のマスター航空機10であるとする制御方針に従って、アルゴリズムに基づくセンサ制御を実行する指示となっている。また、ステップS5では、ステップS1において、通信ネットワークに参加していないと判定した場合(ステップS1:No)、ステップS3において、自機で取得したセンサ情報に基づくセンサ制御を実行するように指示をする。一方で、ステップS5では、ステップS4において、群センサ制御を実行しないと判定した場合(ステップS4:No)、ステップS2において、自機及び他機から取得したセンサ情報に基づくセンサ制御を実行するように指示をする。
【0023】
センサ装置11は、ステップS4において、群センサ制御を実行すると判定した場合(ステップS4:Yes)、通信ネットワークにおいて、自機の優先順位が最も高いか否かを判定する(ステップS6)。センサ装置11は、自機の優先順位が最も高いと判定する(ステップS6:Yes)と、ルール28を設定するための権限、つまり、群センサの制御方針を指示するための権限となる、群センサ制御権(マスター権限)を獲得する(ステップS7)。つまり、ステップS7では、群センサ制御権を獲得することで、自機の航空機10がマスター航空機として設定される。
【0024】
センサ装置11は、ステップS7の実行後、マスター航空機として群センサ制御権を行使するか否かを判定する(ステップS8)。センサ装置11は、マスター航空機として群センサ制御権を行使すると判定した場合(ステップS8:Yes)、自機をマスター航空機として、アルゴリズムに基づくセンサ制御を実行する群センサの制御方針となるように指示をする(ステップS9)。
【0025】
一方で、センサ装置11は、ステップS6において、自機の優先順位が最も高くないと判定する(ステップS6:No)と、自機が群センサ制御権を保有しているか否かを判定する(ステップS10)。センサ装置11は、自機が群センサ制御権を保有していると判定する(ステップS10:Yes)と、ステップS8に進む。一方で、センサ装置11は、自機が群センサ制御権を保有していないと判定する(ステップS10:No)と、他機をマスター航空機として、アルゴリズムに基づくセンサ制御を実行するための群センサの制御方針の指示を受ける(ステップS11)。つまり、ステップS11では、群センサ制御権を有していない自機の航空機10がスレーブ航空機として設定される。
【0026】
また、センサ装置11は、ステップS8において、マスター航空機として群センサ制御権を行使しないと判定した場合(ステップS8:No)、群センサ制御権を、次の優先順位となる航空機10へ譲渡する(ステップS12)。つまり、ステップS12では、通信ネットワークに残存するスレーブ航空機の中から、優先順位が最も高いスレーブ航空機に、群センサ制御権を譲渡する。センサ装置11は、ステップS12の実行後、ステップS11に進む。
【0027】
センサ装置11は、ステップS5、ステップS9またはステップS11において指示された制御方針となるルール28に従って、アルゴリズムに基づく群センサ制御を実行する(ステップS13)。ステップS13の実行後、複数の航空機10は、群センサ制御に基づくセンサ制御を実行する。
【0028】
以上の群センサ制御により、複数の航空機10は、単独でセンサ制御を実行するマスター航空機と、群センサにおいてセンサ制御を実行するマスター航空機と、群センサにおいてセンサ制御を実行するスレーブ航空機と、のいずれかに分けられる。
【0029】
次に、
図3及び
図4を参照して、航空機10間における群センサ制御権の譲渡について説明する。
図3及び
図4は、航空機間における群センサ制御権の譲渡に関する一例の説明図である。なお、
図3及び
図4では、航空機A,B,C,Dの4つの航空機10による群センサ制御を例にして説明する。このとき、優先順位は、高い順から、航空機A,B,C,Dとなっている。
【0030】
図3において、航空機A,B,C,Dは、
図2におけるステップS1、ステップS4、ステップS6、ステップS8、ステップS10の判定結果に基づくセンサ制御を実行している。
図3は、左側から順に、航空機、ステップS1、ステップS4、ステップS6、ステップS8、ステップS10における判定結果、群センサ制御の結果、役割の項目となっている。また、
図3は、その上側が、マスター航空機の離脱前の状態であり、その下側が、マスター航空機の離脱後の状態を示す。
【0031】
図3に示すように、航空機Aは、ステップS1においてNoであるため、単独でのセンサ制御を実行するマスター航空機となっている。このため、航空機Aは、自機の位置情報等、自機のセンサ情報等に基づいて、自機での群センサ制御の指示に従って、アルゴリズムに基づく自機のセンサ制御を実行する。
【0032】
航空機Bは、ステップS1においてYes、ステップS4においてYes、ステップS6においてYes、ステップS8においてYesであるため、群センサでのセンサ制御を実行するマスター航空機となっている。このため、航空機Bは、共有された航空機10の位置情報等、共有されたセンサ情報等に基づいて、自機での群センサ制御の指示に従って、アルゴリズムに基づく自機のセンサ制御を実行する。
【0033】
航空機Cは、ステップS1においてYes、ステップS4においてYes、ステップS6においてNo、ステップS10においてNoであるため、群センサでのセンサ制御を実行するスレーブ航空機となっている。このため、航空機Cは、共有された航空機10の位置情報等、共有されたセンサ情報等に基づいて、他機での群センサ制御の指示に従って、アルゴリズムに基づく自機のセンサ制御を実行する。
【0034】
航空機Dは、ステップS1においてYes、ステップS4においてNoであるため、単独でのセンサ制御を実行するマスター航空機となっている。このため、航空機Dは、共有された航空機10の位置情報等、共有されたセンサ情報等に基づいて、自機での群センサ制御の指示に従って、アルゴリズムに基づく自機のセンサ制御を実行する。
【0035】
以上から、航空機Aは、航空機Aのマスター航空機として機能する。航空機Bは、航空機B及び航空機Cのマスター航空機として機能する。航空機Cは、航空機B及び航空機Cのスレーブ航空機として機能する。航空機Dは、航空機Dのマスター航空機として機能する。
【0036】
ここで、
図3の下側に示すように、航空機Bが、航空機Cに群センサ制御権を譲渡すると、航空機Bは、ステップS8においてNoとなり、航空機Cは、ステップS10においてYesとなる。つまり、航空機Bから航空機Cに群センサ制御権が譲渡されたことで、航空機Cは、群センサでのセンサ制御を実行するマスター航空機となる。また、航空機Bは、群センサでのセンサ制御を実行するスレーブ航空機となる。つまり、航空機B及び航空機Cの制御結果及び役割が入れ替わる。
【0037】
以上から、航空機Aは、航空機Aのマスター航空機として機能する。航空機Bは、航空機B及び航空機Cのスレーブ航空機として機能する。航空機Cは、航空機B及び航空機Cのマスター航空機として機能する。航空機Dは、航空機Dのマスター航空機として機能する。
【0038】
次に、
図4の上側に示すように、
図3の下側に示す状態から、航空機Cが、通信ネットワークから離脱すると、航空機Cは、ステップS1においてNoとなり、航空機Bは、ステップS8においてYesとなる。つまり、航空機Cから航空機Bに群センサ制御権が譲渡されたことで、航空機Bは、群センサでのセンサ制御を実行するマスター航空機として復帰する。一方で、航空機Cは、通信ネットワークから離脱することで、航空機Aと同様に、単独でのセンサ制御を実行するマスター航空機となる。
【0039】
以上から、航空機Aは、航空機Aのマスター航空機として機能する。航空機Bは、航空機Bのマスター航空機として機能する。航空機Cは、航空機Cのマスター航空機として機能する。航空機Dは、航空機Dのマスター航空機として機能する。
【0040】
次に、
図4の下側に示すように、
図4の上側に示す状態から、航空機Aが通信ネットワークに参加すると、航空機Aは、航空機Bよりも優先順位が高いことから、航空機Bから航空機Aに群センサ制御権が譲渡される。つまり、航空機Aは、ステップS1においてYes、ステップS4においてYes、ステップS6においてYes、ステップS8においてYesとなる。このため、航空機Aは、群センサでのセンサ制御を実行するマスター航空機となる。一方で、航空機Bは、群センサでのセンサ制御を実行するスレーブ航空機となる。
【0041】
以上から、航空機Aは、航空機A及び航空機Bのマスター航空機として機能する。航空機Bは、航空機A及び航空機Bのスレーブ航空機として機能する。航空機Cは、航空機Cのマスター航空機として機能する。航空機Dは、航空機Dのマスター航空機として機能する。
【0042】
このように、航空機10は、予め定めた優先順位を譲渡ルールとし、この譲渡ルールに従って、航空機間で群センサ制御権を譲渡する。
【0043】
以上のように、本実施形態に記載の群センサ制御システム1は、例えば、以下のように把握される。
【0044】
第1の態様に係る群センサ制御システム1は、複数の航空機10のそれぞれに設けられる複数のセンサ21を、群センサとして制御する群センサ制御システム1であって、複数の前記航空機10のそれぞれに搭載され検出対象物を検出する前記センサ21と、複数の前記航空機10のそれぞれに搭載され前記センサ21を制御するセンサ制御部(センサ制御器)23と、複数の前記航空機10のそれぞれに搭載される通信部(送受信器)24と、を有し、前記通信部24は、他の前記航空機10の前記通信部24と相互に通信可能であり、通信により、複数の前記航空機10の前記通信部24の間で通信ネットワークを形成し、複数の前記センサ制御部23は、前記通信ネットワークを介して、複数の前記航空機10のうちの主となるマスター権限を設定されたマスター航空機と、前記マスター航空機に対して従となるスレーブ航空機と、の設定情報を共有し、前記マスター航空機の前記センサ制御部23は、前記群センサの制御方針を指示する指示情報を、前記通信ネットワークを介して前記スレーブ航空機の前記センサ制御部23に送信し、前記スレーブ航空機の前記センサ制御部23は、前記通信ネットワークを介して受信した前記指示情報に基づいて、前記センサ21の制御を実行する。
【0045】
この構成によれば、指示情報28に基づいて、複数の航空機10のセンサ制御部23がセンサ21を制御することができる。このため、いずれかの航空機10が通信ネットワークから離脱する場合であっても、センサ制御部23は、指示情報28に基づくセンサ21の制御を継続して実行することができる。このため、冗長性の高い群センサ制御システム1とすることができる。
【0046】
第2の態様として、複数の前記航空機10には、予め優先順位が付されており、複数の前記センサ制御部23は、前記通信ネットワークを介して前記優先順位の情報を共有し、それぞれが、前記優先順位が最も高い前記航空機10を前記マスター航空機として設定し、前記マスター航空機以外の前記航空機10をスレーブ航空機として設定することで前記設定情報を共有する。
【0047】
この構成によれば、マスター航空機とスレーブ航空機とを優先順位に基づき簡易に設定することができる。
【0048】
第3の態様及び第5の態様として、前記マスター航空機の前記センサ制御部23は、前記指示情報28を発信するためのマスター権限(群センサ制御権)を有し、前記マスター権限をスレーブ航空機のいずれか1つに譲渡するべき条件を満たすと判断した場合に、前記マスター権限を予め定めた譲渡ルールに従って、前記スレーブ航空機へ前記マスター権限を譲渡する。
【0049】
この構成によれば、譲渡ルールに従って、マスター航空機とスレーブ航空機との入れ替えを行うことができる。このため、航空機10が通信ネットワークから離脱したり、参加したりする場合であっても、マスター航空機とスレーブ航空機とを適切に設定することができる。
【0050】
第4の態様及び第6の態様として、複数の前記航空機10には、予め優先順位が付されており、前記譲渡ルールは、前記優先順位である。
【0051】
この構成によれば、優先順位に基づく簡易な譲渡ルールとすることができる。
【0052】
第7の態様として、群センサ制御システム1は、前記通信ネットワーク内から前記マスター航空機が離脱する場合、離脱する前に、前記通信ネットワークに残存する前記スレーブ航空機の中から、前記優先順位が最も高い前記スレーブ航空機に、前記マスター権限が譲渡される。
【0053】
この構成によれば、マスター航空機が通信ネットワークから離脱する場合であっても、スレーブ航空機にマスター権限を譲渡することで、通信ネットワーク内にマスター航空機を残存させることができる。
【0054】
第8の態様として、前記マスター航空機の前記センサ制御部23は、前記通信ネットワーク内に前記航空機10が加入する場合、加入した前記航空機10の前記優先順位が最も高いと判断すると、加入した前記航空機に、前記マスター権限を譲渡する。
【0055】
この構成によれば、航空機10が通信ネットワークに参加する場合であっても、優先順位に基づいて、参加した航空機10にマスター権限を譲渡することができるため、復帰を適切に果たすことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 群センサ制御システム
4 目標物
5 目標群
10 航空機
11 センサ装置
21 センサ
22 信号処理器
23 センサ制御器
24 送受信器
28 ルール