(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ヨウ素挙動確認装置、ヨウ素挙動確認システムおよびヨウ素挙動確認方法
(51)【国際特許分類】
G21C 17/003 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
G21C17/003
(21)【出願番号】P 2020121554
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 貴司
(72)【発明者】
【氏名】吉迫 公一
(72)【発明者】
【氏名】平野 良太
(72)【発明者】
【氏名】山口 理恵
(72)【発明者】
【氏名】甲川 憲隆
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-220285(JP,A)
【文献】古橋 幸子、滝口 剛司、大森 修一,照射下におけるガス状無機/有機ヨウ素発生挙動のpH依存性評価,日本機械学会論文集,2020年05月19日,Vol.86, No.886, 19-00357,p.1-10
【文献】Kiyofumi MORIYAMA et al.,Experiment on the Gaseous Iodine Release from Irradiated Cesium Iodide Solutions (Contract Research),JAEA-Research,2011年,2011-016,p.1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/00-17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ素が溶解した溶液を入れる容器と、
前記容器中の前記溶液に放射線を照射する放射線源と、
前記放射線源からの照射により前記溶液から放出されたガス状の前記ヨウ素が流通する連結管と、
前記連結管に接続されて、前記ヨウ素を捕集する捕集部と、
を有
し、
前記放射線源は、前記容器、前記連結管、及び前記捕集部を含むガス回収部に対して放射線を照射するヨウ素挙動確認装置。
【請求項2】
ヨウ素が溶解した溶液を入れる容器と、
前記容器中の前記溶液に放射線を照射する放射線源と、
前記放射線源からの照射により前記溶液から放出されたガス状の前記ヨウ素が流通する連結管と、
前記連結管に接続されて、前記ヨウ素を捕集する捕集部と、
を有
し、
前記容器と前記放射線源とを相対移動させることにより、前記放射線源から所定の線量の放射線が前記容器中の前記溶液に対して照射される第1の状態と、前記放射線源から第1の状態よりも低い線量の放射線が前記容器中の前記溶液に対して照射される第2の状態とを切り替えが可能であるヨウ素挙動確認装置。
【請求項3】
前記容器と前記放射線源との相対移動の移動速度を調整可能である請求項
2に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項4】
前記連結管は、前記捕集部から前記容器への流通を閉止する弁を有する請求項1
から請求項3のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項5】
前記弁は、前記容器から前記捕集部への流通に対して所定のクラッキング圧を有する逆止弁である請求項
4に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項6】
前記捕集部は、前記連結管と接続されてガス状の前記ヨウ素と共に前記連結管を流通する液体成分を捕集する第1の捕集部と、
前記第1の捕集部に接続されて内部に強塩基性溶液が貯留される第2の捕集部とを備える請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項7】
前記強塩基性溶液は、水酸化カリウムを含む溶液である請求項
6に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項8】
前記放射線源から照射される放射線は、ガンマ線である請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項9】
前記連結管は、前記連結管の内部をパージするための不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を有する請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項10】
前記容器中の前記溶液の温度を調整する温度調整器を備える請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項11】
前記容器中の前記溶液の酸性度を測定するpH測定器を備える請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項12】
前記容器、前記連結管および前記捕集部の前記ヨウ素と接する部分は、ガラス系材料により構成される請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置。
【請求項13】
請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置と、前記ヨウ素挙動確認装置で捕集された前記ヨウ素を測定する測定装置と、を含むヨウ素挙動確認システム。
【請求項14】
請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載のヨウ素挙動確認装置を用いて、前記放射線源から前記容器中の前記溶液に対して放射線を照射して前記容器中の前記容器からガス状の前記ヨウ素を放出させるステップと、
所定の時間、前記容器中の前記溶液への前記放射線の照射を所定の閾値以下とするステップと、
前記溶液から放出された前記ヨウ素を前記捕集部にて捕集するステップと、を有するヨウ素挙動確認方法。
【請求項15】
前記捕集部で捕集された前記ヨウ素を測定する請求項
14に記載のヨウ素挙動確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヨウ素が溶解した溶液に対して放射線を照射してヨウ素を回収するヨウ素挙動確認装置、ヨウ素挙動確認システムおよびヨウ素挙動確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済み燃料が安置される使用済み燃料プール(以下SFP;Spent Fuel Pool)中のプール水(以下プール水)は、ヨウ素を含むことがある。プール水にガンマ線が照射されると、プール水中のヨウ素の一部が反応し、ガス状のヨウ素分子I2(gas)となって放出される場合がある。
【0003】
特許文献1には、ヨウ素を含む処理流体の流通経路に設けられる主系統活性炭吸着筒と、主系統活性炭吸着筒と並行に設けられるバイパスライン吸着筒と、主系統活性炭吸着筒およびバイパスライン吸着筒の入口側配管に接続された主系統入口サンプリング装置と、主系統活性炭吸着筒の出口側配管に接続された主系統出口サンプリング装置と、バイパスライン吸着筒の出口側配管に接続されたバイパスライン吸着筒の出口側サンプリング装置とを有するヨウ素吸着・除去効率確認試験装置において、処理流量を急激に変化させた場合の活性炭吸着筒のヨウ素吸着・除去効率を、それぞれのサンプリング装置におけるヨウ素の放射能濃度の比によりを求めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SFP内のヨウ素が溶解したプール水から、ガンマ線が照射されて放出されるガス状のヨウ素を適切に評価することが求められる。
【0006】
本開示は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ヨウ素を適切に評価するためのヨウ素挙動確認装置、ヨウ素挙動確認システムおよびヨウ素挙動確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのヨウ素挙動確認装置は、ヨウ素が溶解した溶液を入れる容器と、前記容器中の前記溶液に放射線を照射する放射線源と、前記放射線源からの照射により前記溶液から放出されたガス状の前記ヨウ素が流通する連結管と、前記連結管に接続されて、前記ヨウ素を捕集する捕集部と、を有する。
【0008】
上記課題を解決するためのヨウ素挙動確認システムは、前記ヨウ素挙動確認装置と、前記ヨウ素挙動確認装置で捕集されたヨウ素を測定する測定装置と、を含む。
【0009】
上記課題を解決するためのヨウ素挙動確認方法は、前記ヨウ素挙動確認装置を用いて、前記放射線源から前記容器中の前記溶液に対して放射線を照射して前記容器中の前記容器からガス状のヨウ素を放出させるステップと、所定の時間、前記容器中の前記溶液への前記放射線の照射を所定の閾値以下とするステップと、前記溶液から放出されたヨウ素を前記捕集部にて捕集するステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施例に係るヨウ素挙動確認システムを示した概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る測定装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るヨウ素挙動確認方法を示したフローチャートである。
【
図4】
図4は、本開示に係るSFPにおけるヨウ素の挙動を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本開示に係るヨウ素挙動確認システム10の実施形態について、
図1から
図3を用いて説明する。
図1は、本実施例に係るヨウ素挙動確認システムを示した概略図である。
図2は、本実施形態に係る測定装置のブロック図である。
図3は、本実施形態に係るヨウ素挙動確認方法を示したフローチャートである。なお、本開示で説明するのは、本発明の一実施例であり、これにより本発明が限定されない。
【0012】
<ヨウ素挙動確認システム>
本開示に係るヨウ素挙動確認システム10は、
図1に示すように、ヨウ素挙動確認装置20と測定装置30とを含む。測定装置30は、ヨウ素挙動確認装置20とは異なる空間に設置されてもよい。また、ヨウ素挙動確認装置20と、測定装置30とは一体に構成されてもよい。
【0013】
<ヨウ素挙動確認装置>
ヨウ素挙動確認装置20は、放射線源100から放射線が照射されて容器150中の溶液Mから放出されるガス状のヨウ素を捕集する。ヨウ素挙動確認装置20は、
図1に示すように、放射線源100、ガス回収部110、駆動部120、制御部130および不活性ガス供給部140を有する。放射線源100は、駆動部120によりガス回収部110に対して相対移動が可能となっている。また、ヨウ素挙動確認装置20は、図示しない表示部および出力部を含んでもよい。
【0014】
<放射線源>
放射線源100は、容器150中の溶液Mに放射線を照射する。放射線源100から照射される放射線は、例えば10pmよりも短い波長を有するガンマ線である。以下の説明では、放射線源100から照射される放射線はガンマ線として説明する。なお、放射線源100は、容器150、放射線源100、連結管160および捕集部170を含むガス回収部110に対してガンマ線を照射してもよい。
【0015】
<ガス回収部>
ガス回収部110は、容器150から放出されたヨウ素を回収する。ガス回収部110は、
図1に示すように、容器150、連結管160、逆止弁162、温度調整部152、pH測定器154および捕集部170を含む。
【0016】
<容器>
容器150は、溶液Mを貯留する。容器150は、所定の容量の溶液Mを貯留する。容器150は、天面に連結管160と接続する接続口を有する。容器150は、ガンマ線を透過させる材料で構成されている。また、容器150は、耐腐食性材料により構成される。容器150は、ヨウ素と接する部分が、ガラス系材料により構成される。容器150は、ガラス系材料により構成されてもよい。
【0017】
溶液Mは、水(H2O)にヨウ素が溶解する。ヨウ素は、水に対して主にヨウ素イオンI-の状態で溶解する。溶液Mにガンマ線が照射されると、一部のヨウ素イオンI-が反応してガス状のヨウ素分子I2(gas)となる。ガス状のヨウ素分子I2(gas)の一部は、溶液Mから放出される。溶液Mは、実際のSFP内のプール水が用いられる。また、溶液Mは、プール水のホウ素濃度および酸性度その他を模擬して生成された溶液であってもよい。
【0018】
<連結管>
連結管160は、容器150と捕集部170とを接続する。具体的には、連結管160は、
図1に示すように、一端が容器150と接続し、他端が捕集部170と接続する。連結管160は、気体および液体が流通可能である。連結管160は、逆止弁162を有する。連結管160は、例えば一端と他端とが同じ方向を向くよう湾曲した形状を有する。また、連結管160は、耐腐食性材料により構成される。連結管160は、ヨウ素と接する部分が、ガラス系材料により構成される。連結管160は、ガラス系材料により構成されてもよい。
【0019】
<逆止弁>
逆止弁162は、連結管160内を、捕集部170から容器150の方向へ流通する流体を閉止する。また、逆止弁162は、さらに所定の圧力(クラッキング圧)以上の流体を容器150から捕集部170の方向へ流通させる。ここで、逆止弁162のクラッキング圧は、溶液Mから放出されたガス状のヨウ素の圧力よりも十分大きい。逆止弁162は、
図1に示すように、連結管160の、容器150と捕集部170との間に設置される。逆止弁162は、より望ましくは容器150と連結管160とが接続する部分に設置される。逆止弁162は、ヨウ素と接する部分は、例えばガラス系材料により構成される。なお、逆止弁162は、通常の開閉弁により構成されてもよい。この場合において、弁(162)を操作することにより連結管160の内部を流体が流通可能の開状態と、連結管160の内部を流体が流通を閉止する閉状態との切り替えを行う。
【0020】
<捕集部>
捕集部170は、容器150中の溶液Mから放出されたヨウ素を捕集する。捕集部170は、連結管160の他端に接続される。捕集部170は、耐腐食性を有する材料により構成される。捕集部170は、ヨウ素と接する部分が、ガラス系材料により構成される。捕集部170は、ガラス系材料により構成されてもよい。
【0021】
捕集部170は、連結管160の他端から排出されたガス状のヨウ素を捕集する。ガス状のヨウ素は、捕集液体Wと反応させる、いわゆる液体捕集法により捕集される。捕集液体Wは、強塩基性溶液である。捕集液体Wは、望ましくは水酸化カリウム溶液KOH(aq)である。捕集液体Wは、その他、ヨウ素を捕集できガンマ線が照射される環境でも捕集したヨウ素の気相放出を抑えることができる溶液を用いることができる。なお、捕集部170によるヨウ素の捕集方法は、液体捕集法に限られない。捕集部170によるヨウ素の捕集方法は、例えば固体捕集法であってもよい。
【0022】
捕集部170は、例えば
図1に示すような構成をとることができる。
図1によると捕集部170は、第1の捕集部170Aと、第2の捕集部170Bと、通気管170C、排気管170Dとを備える。第1の捕集部170Aは、ガス状のヨウ素と共に連結管160を流通する液体成分を捕集する。第2の捕集部170Bは、ガス状のヨウ素を捕集する。第2の捕集部170Bの内部には、捕集液体Wである水酸化カリウム溶液KOH(aq)が貯留される。第1の捕集部170Aおよび第2の捕集部170Bは、例えば天面に開口を有するビーカであり、開口はキャップで閉塞される。また、通気管170Cおよび排気管170Dは、ガラス管である。第1の捕集部170Aは、連結管160と接続される。具体的には、連結管160は、第1の捕集部170Aのキャップを挿通し、連結管160の他端が第1の捕集部170A内に配置される。通気管170Cは、第1の捕集部170Aと第2の捕集部170Bとを接続する。具体的には、通気管170Cの一端が第1の捕集部170A内に配置され、第1の捕集部170Aのキャップを挿通して外に出た後、第2の捕集部170Bのキャップを挿通し、通気管170Cの他端が第2の捕集部170B内の捕集液体Wの水面の近くに配置される。排気管170Dは、第2の捕集部170B内の不活性ガス等を第2の捕集部170Bの外へ流通させる。
【0023】
<温度調整部>
温度調整部152は、容器150中の溶液Mを所定の温度に調整する。温度調整部152は、
図1に示すように、溶液Mの温度を測定する温度計152Aと、溶液Mを加熱するヒータ152Bとを含む。ヒータ152Bは温度計152Aの測定結果に応じて、溶液Mを加熱する。ヒータ152Bは、例えばマントルヒータにより構成され、容器150の外周に巻き付けて使用される。
【0024】
<pH測定器>
pH測定器154は、容器150中の溶液Mの酸性度を測定する。pH測定器154は、容器150中の溶液Mの酸性度を測定することにより、溶液Mに含まれるヨウ素イオン濃度を測定する。
【0025】
<駆動部>
駆動部120は、放射線源100を容器150に対して相対移動させる。駆動部120が放射線源100を相対移動させる方向は、
図1に示すように、水平方向であるが、これに限られず垂直方向でもよい。駆動部120は、放射線源100と容器150との離間距離Dを任意にとることができる。また、駆動部120は、相対移動の移動速度を調整可能である。駆動部120は、制御部130からの指示に基づき駆動する。駆動部120は、例えばモータ駆動により構成される。なお、駆動部120は、ガス回収部110が放射線源100に対して相対移動するよう構成されてもよい。
【0026】
駆動部120は、放射線源100を、容器150に対して相対移動させることにより、放射線源100から容器150に対して所定の線量のガンマ線が照射される第1の状態と、第1の状態より低い線量が照射される第2の状態とを切り替える。第1の状態は、離間距離D1において放射線源100から所定の線量γ1のガンマ線が容器150中の溶液Mに対して照射される。第1の状態における所定の線量は、任意に設定されてよく、例えば、模擬対象である実際のSFP内に安置される使用済み燃料から照射される線量などに基づき決定されてよい。第2の状態は、離間距離D2において放射線源100から第1の状態よりも低い線量γ2のガンマ線が容器150中の溶液Mに対して照射される。例えば、第2の状態における溶液Mが照射されるガンマ線の線量γ2は、γ2=(離間距離D1/離間距離D2)2・γ1以下となる。ここで、放射線源100と容器150との離間距離は、離間距離D1<離間距離D2であり、第2の状態における溶液Mが照射されるガンマ線の線量γ2は、第1の状態における溶液Mが照射されるガンマ線の線量γ1よりも低い。第2の状態における所定の線量γ2は、任意に設定されてよく、例えば、模擬対象である実際のSFP内に安置される使用済み燃料から照射される線量と、プール水の水位とにより決定されてよい。
【0027】
<制御部>
制御部130は、駆動部120を制御する。制御部130は、所定の離間距離Dおよび移動速度となるよう駆動部120を制御する。制御部130は、予め設定される移動パターンに従って、駆動部120を制御してもよい。
【0028】
<不活性ガス供給部>
不活性ガス供給部140は、連結管160の内部をパージする不活性ガスを供給する。不活性ガス供給部140は、連結管160の容器150側に接続される。具体的には、不活性ガス供給部140は、連結管160の容器150に接続する一端と、逆止弁162との間に接続される。不活性ガス供給部140は、逆止弁等を介して連結管160と接続してもよい。不活性ガス供給部140は、元栓142を有しており、元栓142の操作を行うことにより不活性ガスを供給する。また、不活性ガス供給部140は、図示しない減圧弁を有し、減圧弁により所定の圧力に調整された不活性ガスが供給される。不活性ガス供給部140からの不活性ガスの供給圧は、逆止弁162のクラッキング圧よりも高い圧力とすることが望ましい。不活性ガス供給部140で使用される不活性ガスは、例えば窒素ガスである。なお、不活性ガスは、窒素ガスに限られない。
【0029】
<測定装置>
測定装置30は、ヨウ素挙動確認装置20で捕集されたヨウ素を測定する。測定装置30は、
図2に示すように、測定部180、制御部182、表示部184、出力部186および記録部188を有する。なお、測定装置30は、ヨウ素挙動確認装置20の一部として構成されてもよい。
【0030】
測定部180は、捕集液体Wに含まれるヨウ素を測定する。測定部180は、捕集部170で捕集されたヨウ素を含む捕集液体Wについて、電極法により濃度を測定する。捕集液体Wは、溶液M中に含まれるヨウ素を捕集可能である。この場合において、測定部180は、捕集部170で捕集された捕集液体Wに含まれるヨウ素について、例えばヨウ化物イオン電極により電位差を測定し、濃度を算出する。なお、測定部180におけるヨウ素の測定は、電極法に限られず任意であってよい。測定部180での測定結果は、制御部182により、記録部188に記録される。また、測定装置30は、測定結果について、表示部184により表示または出力部186に出力してもよい。
【0031】
制御部182は、測定装置30全体を制御する。制御部182は、測定部180、表示部184、出力部186および記録部188と接続される。制御部182は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0032】
表示部184は、情報を画面上に表示する。表示部184は、制御部182が取得した各種情報について、例えば時系列のグラフで表示する。表示部184は、例えばモニタである。
【0033】
出力部186は、制御部182が取得した情報を出力する。出力部186は、例えばプリンタである。
【0034】
記録部188は、データおよびプログラムを記録する。記録部188は、制御部182が取得した情報を、例えば時系列ごとのデータとして記録する。記録部188は、HDD(Hard Disk Drive)等である。また、記録部188は、持ち運び可能の記録媒体であってもよい。
【0035】
<ヨウ素挙動確認方法>
以下に、本実施形態に係るヨウ素挙動確認方法について、
図1から
図3を参照して説明する。ヨウ素挙動確認方法は、ヨウ素挙動確認システム10を用いて行う。なお、ヨウ素挙動確認方法は、S10からS16までが、ヨウ素挙動確認装置20を用いて行われるヨウ素挙動確認方法であり、S18は、測定装置30を用いて行われるヨウ素挙動確認方法である。以下に説明するヨウ素挙動確認方法は、便宜的に連続したヨウ素挙動確認方法として説明するが、S10からS16までに係るヨウ素挙動確認方法と、S18に係るヨウ素挙動確認方法とは、それぞれ独立したヨウ素挙動確認方法として実施することができる。以下ステップごとに説明する。
【0036】
S10において、制御部130は、容器150中のヨウ素が溶解する溶液Mに対して、所定の時間、放射線源100からガンマ線を照射させる。S10は、第1の状態である。S10では、溶液Mは、放射線源100に対して所定の離間距離D1に配置されている。溶液Mは、温度調整部152により所定の温度に調整されている。溶液Mの酸性度は、pH測定器154により取得される。また、不活性ガス供給部140からの不活性ガスの供給は行われておらず、連結管160の逆止弁162は閉じた状態となっている。ガンマ線が照射されることにより、容器150内における溶液Mのヨウ素イオンI-は、一部が反応し、ガス状のヨウ素分子I2(gas)となって溶液Mから放出される。ここで、ガス状のヨウ素分子I2(gas)とともに、水蒸気等の液体成分もまた溶液Mから放出される。液体成分は、不活性ガスをパージした際に容器150から飛散する溶液Mの飛沫を含んでもよい。
【0037】
放射線源100からのガンマ線の照射により溶液Mから放出されたガス状のヨウ素分子I2(gas)は、所定の線量のガンマ線が照射される第1の状態下において、容器150と連結管160の逆止弁162との間(160A)に存在する。
【0038】
S12において、溶液Mに照射されるガンマ線の線量が所定の閾値以下の状態(上述の「第2の状態」)で、所定の時間、養生させる。具体的には、放射線源100を容器150から遠ざかる方向に相対移動させて離間距離D2とすることにより、第1の状態から、第2の状態とし、所定の時間、第2の状態を保つ。ここで、放射線源100の相対移動は、駆動部120により行われる。また、容器150の水面と連結管160の逆止弁162は閉じた状態である。すなわち、溶液Mから放出されたガス状のヨウ素は、容器150内の溶液Mの水面と逆止弁162との間(160A)に存在する。容器150と連結管160の逆止弁162との間(160A)に存在するガス状のヨウ素分子I2(gas)は、第2の状態下において、平衡状態となる。すなわち、第2の状態において、溶液Mから放出されたガス状のヨウ素分子I2(gas)の一部が、再び溶液Mに溶存または溶液Mに再溶解してヨウ素イオンI-となる。
【0039】
なお、本実施形態では離間距離Dを変えることで容器150中の溶液Mに照射されるガンマ線の線量を変化させたが、それに限られず、放射線源100側で照射するガンマ線の線量を変えてもよい。また、放射線源100から溶液Mへ照射されるガンマ線の線量を所定の閾値以下とするのは、例えば鉛板を放射線源100と容器150との間に設置して、ガンマ線を遮蔽することにより行われてもよい。S12以降は、すべて第2の状態で行われる。
【0040】
S14において、制御部130は、不活性ガス供給部140の元栓142を開いた状態とすることにより、連結管160内部に所定のクラッキング圧より高い圧力の不活性ガスを流通させ、逆止弁162を開いた状態にする。これにより、ガス状のヨウ素は、溶液Mの水面と連結管160の逆止弁162との間(160A)から連結管160の逆止弁162から捕集部170の間(160B)に向かって流通し、捕集部170に送られる。ここで、ガス状のヨウ素とともに溶液Mから放出された液体成分についても、捕集部170に送られる。なお、逆止弁162ではなく通常の開閉弁により構成される場合には、不活性ガス供給部140の元栓142を開いた後、弁(162)を開いた状態としてもよい。
【0041】
S16において、捕集部170は、ヨウ素を捕集する。具体的には、捕集部170は、第1の捕集部170Aにおいて、連結管160から排出されたガス状のヨウ素とともに送られる液体成分を捕集した後、第2の捕集部170Bにおいて、第1の捕集部170Aから送られたヨウ素を捕集する。第2の捕集部170Bは、ガス状のヨウ素を液体捕集法により捕集する。すなわち、第2の捕集部170Bに送られたガス状のヨウ素は、捕集液体Wである水酸化カリウム溶液と反応し、捕集される。不活性ガス供給部140から供給された不活性ガスは、捕集液体Wと反応せず、排気管170Dから排気される。
【0042】
ガス状のヨウ素と水酸化カリウム溶液との反応式を以下式1、2に示す。
I2(gas)+KOH(aq)→KIO3+KI+H2O・・・(式1)
KI(aq)+I2(gas)→I3
-+K+・・・(式2)
式1は、ガス状のヨウ素分子I2(gas)が水酸カリウム溶液KOH(aq)との反応によりヨウ素酸カリウムKIO3およびヨウ化カリウムKIとなることを示す。また、式2は、ガス状のヨウ素分子I2(gas)が、ヨウ化カリウム溶液KI(aq)との反応により三ヨウ化物イオンI3
-となることを示す。
【0043】
S18において、測定装置30は、捕集部170で捕集された捕集液体W中のヨウ素を測定する。ヨウ素の測定は、測定部180により、例えば電極法により捕集液体W中のヨウ化物イオン(I3
-)の電位差を測定し、濃度を算出して行われる。測定結果は、例えば記録部188に記録される。
【0044】
<SFP内におけるヨウ素の状態>
以下に、SFP(容器150に相当)内におけるヨウ素の状態の変化について、
図4を参照して説明する。
図4に示すように、使用済み燃料(放射線源100に相当)が底部に安置されるSFP150内に、ヨウ素が溶解したプール水(溶液Mに相当)が貯留されている。ここで、使用済み燃料が安置されるSFP底部の領域150Aでは、使用済み燃料100から高い線量のガンマ線γ1が照射される。また、SFP水面側の領域150Bでは、使用済み燃料100からの距離の二乗に反比例して低下した線量のガンマ線γ2が照射される。
【0045】
前述のとおり、プール水M中のヨウ素は、ヨウ素イオンI-、ガス状のヨウ素分子I2(gas)およびプール水に溶解したヨウ素分子I2(aq)が平衡状態で存在する。ヨウ素の平衡状態は、使用済み燃料100から照射されるガンマ線の線量、プール水の温度、圧力および酸性度等により決定される。すなわち、SFP底部の領域150Aのプール水M1におけるヨウ素の平衡状態と、SFP水面側の領域150Bのプール水M2におけるヨウ素の平衡状態は異なる。SFP底部の領域150Aのプール水M1中に溶解するヨウ素イオンI-は、使用済み燃料からの高い線量のガンマ線が照射されることにより一部が反応し、ガス状のヨウ素分子I2(gas)となる。
【0046】
SFP底部の領域150Aは、使用済み燃料100から近く、照射されるガンマ線の線量が高い領域である。ここで、SFP底部の領域150Aに存在するプール水M1は、温度T1、圧力P1を有し、使用済み燃料100からガンマ線γ1が照射される。SFP底部の領域150Aに存在するプール水M1中のヨウ素イオンI-は、高い線量のガンマ線γ1が照射されることにより一部が反応してガス状のヨウ素分子I2(gas)となり、浮力を生じてプール水中を上昇する。
【0047】
プール水中を上昇したガス状のヨウ素分子I2(gas)は、SFP水面側の領域150Bに到達する。SFP水面側の領域150Bのプール水M2は、温度T2、圧力P2を有し、ガンマ線γ2が照射される。ここで、温度T2<T1であり、圧力P2<P1である。また、ガンマ線γ2の線量はガンマ線γ1の線量より十分低くなっている。プール水M2中のガス状のヨウ素は、プール水Mから放出されるほか、一部はそのままプール水M2にヨウ素分子I2(aq)として溶存またはプール水に再溶解してヨウ素イオンI-となり平衡状態を形成する。
【0048】
このように、SFP150内のヨウ素が溶解したプール水M中のヨウ素は、SFP底部の領域150Aの使用済み燃料に近い領域150A下で平衡状態を形成しており、高い線量のガンマ線γ1を照射されて一部がガス状のヨウ素分子I2(gas)となった後、SFP水面側の領域150Bに移動して、使用済み燃料100から比較的遠い環境下で再び平衡状態を形成し、そのうちの一部がガス状のヨウ素分子I2(gas)としてプール水Mから放出される。
【0049】
本実施形態に係るヨウ素挙動確認装置20は、上述のSFPを模擬した環境を構成することができる。すなわち、ヨウ素挙動確認装置20の容器150および連結管160はSFPを、溶液Mはプール水を、放射線源100は使用済み燃料を、それぞれ模擬する。また、放射線源100を容器150に対して相対移動させることにより、照射されるガンマ線の線量を所定の閾値以下とし、線量の高いSFP底部の領域150Aと、SFP水面側の低い線量の領域150Bとを模擬する。ここで、SFP底部の領域150Aは第1の状態として模擬され、SFP水面側の領域150Bは第2の状態として模擬される。これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、溶液Mに対して放射線源100から放射線を照射して溶液Mから放出されたガス状のヨウ素を、捕集することできる。これにより、実際のSFPプール水にガンマ線が照射されてから、ガス状のヨウ素分子I2(gas)がプール水から放出されるまでのヨウ素の挙動の模擬を経て放出されるガス状のヨウ素分子I2(gas)を捕集することができるため、SFPプール水から放出されるガス状のヨウ素分子I2(gas)を適切に評価することが可能となる。また、SPF内におけるヨウ素の挙動を解析することが可能となる。
【0050】
<態様ごとの効果>
以下に本開示の効果について態様ごとに説明する。本開示の第1の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、ヨウ素が溶解した溶液Mを入れる容器150と、容器150中の溶液Mにガンマ線を照射する放射線源100と、放射線源100からの照射により溶液Mから放出されたガス状のヨウ素が流通する連結管160と、連結管160に接続されて、ヨウ素を捕集する捕集部170とを有する。
【0051】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、容器150中のヨウ素が溶解した溶液Mに対して放射線源100から放射線を照射して溶液Mから放出されたガス状のヨウ素を、連結管160を流通させた捕集部170で捕集することができ、溶液Mから放出されたガス状のヨウ素の量を適切に評価できる。
【0052】
本開示の第2の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様に記載のヨウ素挙動確認装置20において、連結管160は、捕集部170から容器150への流通を閉止する弁162を有する。
【0053】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、連結管160の捕集部170側から容器150側への流通が弁162により閉止されるので、連結管160の捕集部170側から容器150側へ流通することがない。また、弁162により連結管160を閉止した閉じた状態と、開いた状態とを容易に切り替えることが可能となる。
【0054】
本開示の第3の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第2の態様に記載のヨウ素挙動確認装置20において、弁162は、容器150から捕集部170への流通に対して所定のクラッキング圧を有する逆止弁162である。
【0055】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、連結管160の内部に不活性ガス供給部140から不活性ガスが供給された場合に、クラッキング圧以上の不活性ガスにより逆止弁162を開放させ、連結管160内を容器150から捕集部170への方向へ流通させることができる。
【0056】
本開示の第4の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第3の態様のうちいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20において、捕集部170は、連結管160と接続されてガス状のヨウ素と共に連結管160を流通する液体成分を捕集する第1の捕集部170Aと、第1の捕集部170Aに接続されて内部に捕集液体である強塩基性溶液が貯留される第2の捕集部170Bとを備える。
【0057】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、容器150中の溶液Mから放出された液体成分が、第2の捕集部170Bに貯留される捕集液体Wである強塩基性溶液中に混入することがないため、ヨウ素挙動確認装置20は、ヨウ素の測定を適切に行うことができる。
【0058】
本開示の第5の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第4の態様のうちいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20において、強塩基性溶液は水酸化カリウムを含む溶液である。
【0059】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、捕集液体Wである強塩基性溶液が水酸化カリウムを含む溶液であるため、ガス状のヨウ素を水酸化カリウムによく溶解させて捕集することができる。これにより、捕集液体Wを測定することで、溶液Mから放出されるガス状のヨウ素の測定を適切に行うことが可能となる。
【0060】
本開示の第6の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第5の態様のいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20おいて、放射線源100は、容器150、連結管160、及び捕集部170を含むガス回収部110に対して放射線を照射する。
【0061】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、ガス回収部110を構成する容器150、連結管160、及び捕集部170に存在するヨウ素に対して、放射線源100から放射線を照射させることができる。これにより、連結管160内のヨウ素が容器150中の溶液Mに再溶解するのを防ぐことができる。
【0062】
本開示の第7の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第6の態様のいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20おいて、放射線源100から照射される放射線は、ガンマ線である。
【0063】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、容器150中のヨウ素が溶解した溶液Mに対して放射線源100からガンマ線を照射させることができる。
【0064】
本開示の第8の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第7の態様のうちいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20において、容器150と放射線源100とを相対移動させることにより、放射線源100から所定の線量の放射線が容器150中の溶液Mに対して照射される第1の状態と、放射線源100から第1の状態よりも低い線量の放射線が容器150中の溶液Mに対して照射される第2の状態とを切り替えが可能である。
【0065】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、容器150と放射線源100とが相対移動して離間距離Dを変化させることにより、放射線源100から所定の線量の放射線が容器150中の溶液Mに対して照射される第1の状態と、放射線源100から第1の状態よりも低い線量の放射線が容器150中の溶液Mに対して照射される第2の状態とを切り替えができるので、容器150中の溶液Mに照射される放射線の線量を変化させるこができる。これにより、実際のSFP内の、使用済み燃料から高い線量のガンマ線が照射されるSFP底部の領域150Aの状態と、低い線量のガンマ線が照射されるSFP水面側の領域150Bの状態とを再現することが可能となる。
【0066】
本開示の第9の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第8の態様に記載のヨウ素挙動確認装置20において、駆動部120は、容器150と放射線源100との相対移動の移動速度を調整可能である。
【0067】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、容器150と放射線源100とが相対移動する場合の移動速度を変化させることができる。これにより、実際のSFP内の、使用済み燃料が安置されるSFP底部の領域150Aでガンマ線を照射されてガス状となったヨウ素がプール水M中を上昇してSFP水面側の領域150Bに移動する状況を再現することが可能となる。
【0068】
本開示の第10の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第9の態様のうちいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20において、容器150内の溶液Mの温度を調整する温度調整部152を備える。
【0069】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、容器150内の溶液Mの温度を調整することができる。
【0070】
本開示の第11の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第10の態様のうちいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20において、容器150中の溶液Mの酸性度を測定するpH測定器154を備える。
【0071】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、容器150内の溶液Mの酸性度を取得することができる。
【0072】
本開示の第12の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第11の態様のうちいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20において、連結管160は、連結管160の内部をパージするための不活性ガスを供給する不活性ガス供給部140を有する。
【0073】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20は、不活性ガス供給部140から供給された不活性ガスにより連結管160の内部をパージして、連結管160の内部ガス状のヨウ素を捕集部170に捕集させることができるため、ヨウ素の捕集を適切に行うことができる。
【0074】
本開示の第13の態様に係るヨウ素挙動確認装置20は、第1の態様から第12の態様のうちいずれか一に記載のヨウ素挙動確認装置20おいて、容器150、連結管160および捕集部170のヨウ素と接する部分は、ガラス系材料である。
【0075】
これにより、ヨウ素挙動確認装置20の各部が、ヨウ素により腐食することがないため、溶液Mから放出されたガス状のヨウ素を適切に捕集することができる。
【0076】
本開示の第14の態様に係るヨウ素挙動確認システム10は、第1の態様から第13の態様のいずれか一の態様に記載のヨウ素挙動確認装置20と、ヨウ素挙動確認装置20で捕集されたヨウ素を測定する測定装置30と、を含む。
【0077】
これにより、ヨウ素挙動確認システム10は、ヨウ素挙動確認装置20で捕集されたヨウ素を、測定装置30で測定することができる。
【0078】
本開示の第15の態様に係るヨウ素挙動確認方法は、第1の態様から第13の態様のうちいずれか一の態様に記載のヨウ素挙動確認装置20を用いて、放射線源100から容器150中の溶液Mに対して放射線を照射して容器150中の容器150からガス状のヨウ素を放出させるステップ(S10)と、所定の時間、容器150中の溶液Mへの放射線の照射の線量を所定の閾値以下とするステップ(S12)と、溶液Mから放出されたヨウ素を捕集部170にて捕集するステップ(S16)と、を有する。
【0079】
これにより、ヨウ素挙動確認方法は、第1の態様と同様の効果を奏することができる。
【0080】
本開示の第16の態様に係るヨウ素挙動確認方法は、第15の態様に記載のヨウ素挙動確認方法において、捕集部170で捕集されたヨウ素を測定する(S18)。
【0081】
これにより、ヨウ素挙動確認方法は、第14の態様と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 ヨウ素挙動確認システム
20 ヨウ素挙動確認装置
30 測定装置
100 放射線源
110 ガス回収部
120 駆動部
130、182 制御部
140 不活性ガス供給部
150 容器
152 温度調整部
152A 温度計
152B ヒータ
154 pH測定器
160 連結管
160A 溶液の水面から連結管の逆止弁までの間
160B 連結管の逆止弁から捕集部内の他端までの間
162 逆止弁、弁
170 捕集部
170A 第1の捕集部
170B 第2の捕集部
170C 通気管
170D 排気管
180 測定部
184 表示部
186 出力部
D 離間距離
M 溶液
P1、P2 プール水の圧力
T1、T2 プール水の温度
W 捕集液体
γ1、γ2 ガンマ線の線量