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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】放電判定装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/12 20200101AFI20240112BHJP
   G01R 31/72 20200101ALI20240112BHJP
【FI】
G01R31/12 A
G01R31/72
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020126092
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023274
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000219820
【氏名又は名称】株式会社トーエネック
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】中村 久栄
(72)【発明者】
【氏名】伏見 文弥
(72)【発明者】
【氏名】木村 英明
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033521(JP,A)
【文献】特開2008-039606(JP,A)
【文献】特開2011-169694(JP,A)
【文献】特開昭60-069570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12-31/20
G01R 31/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の巻線に放電が発生しているか否かを判定する放電判定装置であって、
前記巻線の両端にインパルス電圧またはパルス電圧を印加可能に該巻線の両端に接続される印加電圧発生回路と、
前記巻線の両端で観測される第1時系列電圧データ、または、前記巻線および前記印加電圧発生回路を含む判定用回路に流れる第1時系列電流データを検出するために該判定用回路に接続された検出器と、
該検出器によって検出された前記第1時系列電圧データまたは前記第1時系列電流データに基づき、前記インパルス電圧またはパルス電圧が印加されたときから電圧または電流が増加後に減少してゼロになるまでの第1時間帯を計測する時間帯計測部と、
前記検出器によって検出された前記第1時系列電圧データまたは前記第1時系列電流データをフーリエ変換することにより周波数スペクトルを求めるフーリエ変換部と、
前記周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出する周波数成分抽出部と、
抽出した前記放電特有の周波数成分における前記周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データを求める逆フーリエ変換部と、
前記第2時系列電圧データまたは前記第2時系列電流データの前記第1時間帯において観測される第1最大電圧値または第1最大電流値と、前記インパルス電圧または前記パルス電圧を印加したときから該第1最大電圧値または該第1最大電流値が観測されるまでの第1時間と、を求める特徴量抽出部と、
前記インパルス電圧または前記パルス電圧と、放電発生時間と、の関係を予め定めた第1放電推定マップに、印加した前記インパルス電圧または前記パルス電圧を適用して第1閾値範囲を設定する閾値範囲設定部と、
前記第1時間が前記第1閾値範囲内であれば前記巻線に放電が発生していると推定し、前記第1時間が前記第1閾値範囲外であれば前記巻線に放電が発生していないと判定する推定部と、
該推定部によって前記巻線に放電が発生していると推定されたときに、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値と第1閾値とを比較して、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値が前記第1閾値より大きいときに前記巻線に放電が発生していると判定し、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値が前記第1閾値以下のときに前記巻線に放電は発生していないと判定する判定部と、
を備える放電判定装置。
【請求項2】
前記第1時間と前記第1閾値との関係を予め定めた第1放電判定マップに、前記第1時間を適用して前記第1閾値を設定する閾値設定部をさらに備える
請求項1に記載の放電判定装置。
【請求項3】
前記時間帯計測部は、前記検出器によって検出された前記第1時系列電圧データまたは前記第1時系列電流データに基づき、前記電圧または前記電流がゼロになったときから前記電圧または前記電流が増加または減少後に減少または増加して再びゼロになるまでの第2時間帯を計測し、
前記特徴量抽出部は、前記第2時系列電圧データまたは前記第2時系列電流データにおいて、前記第1時間帯経過後の前記第2時間帯における第2最大電圧値または第2最大電流値と、前記インパルス電圧または前記パルス電圧を印加したときから該第2最大電圧値または該第2最大電流値を示すまでの第2時間と、を求め、
前記閾値範囲設定部は、前記インパルス電圧または前記パルス電圧と、前記放電発生時間と、の関係を予め定めた第2放電推定マップに、印加した前記インパルス電圧または前記パルス電圧を適用して第2閾値範囲を設定し、
前記推定部は、前記第1および/または第2時間が前記第1および/または第2閾値範囲内であれば前記巻線に放電が発生していると推定し、前記第1および/または第2時間が前記第1および/または第2閾値範囲外であれば前記巻線に放電が発生していないと判定し、
前記判定部は、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値、および/または、前記第2最大電圧値または前記第2最大電流値が、前記第1および/または第2閾値より大きいときに前記巻線に放電が発生していると判定し、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値、および/または、前記第2最大電圧値または前記第2最大電流値が、前記第1および/または第2閾値以下のときに前記巻線に放電は発生していないと判定する
請求項1または2に記載の放電判定装置。
【請求項4】
前記閾値設定部は、前記第2時間と前記第2閾値との関係を予め定めた第2放電判定マップに、前記第2時間を適用して前記第2閾値を設定する
請求項2に従属する請求項3に記載の放電判定装置。
【請求項5】
前記特徴量抽出部は、前記第2時間帯毎に前記第2最大電圧値または第2最大電流値と、前記第2時間と、を求める請求項3または4に記載の放電判定装置。
【請求項6】
前記周波数成分抽出部は、前記放電特有の周波数成分として5MHzより大きく30MHz未満の周波数成分を前記周波数スペクトルから抽出する
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の放電判定装置。
【請求項7】
電気機器の巻線に放電が発生しているか否かを判定する放電判定方法であって、
(a)前記巻線の両端にインパルス電圧またはパルス電圧を印加し、
(b)前記巻線の両端で観測される第1時系列電圧データ、または、前記巻線を含む判定用回路に流れる第1時系列電流データを検出し、
(c)検出した前記第1時系列電圧データまたは前記第1時系列電流データに基づき、前記インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから電圧または電流が増加後に減少してゼロになるまでの第1時間帯を計測し、
(d)検出した前記第1時系列電圧データまたは前記第1時系列電流データをフーリエ変換することにより周波数スペクトルを求め、
(e)前記周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出し、
(f)抽出した前記放電特有の周波数成分における前記周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データを求め、
(g)前記第2時系列電圧データまたは前記第2時系列電流データの前記第1時間帯において観測される第1最大電圧値または第1最大電流値と、前記インパルス電圧または前記パルス電圧を印加したときから該第1最大電圧値または該第1最大電流値が観測されるまでの第1時間と、を求め、
(h)前記インパルス電圧または前記パルス電圧と、放電発生時間との関係を予め定めた第1放電推定マップに、印加した前記インパルス電圧または前記パルス電圧を適用して第1閾値範囲を設定し、
(i)前記第1時間が前記第1閾値範囲内であれば前記巻線に放電が発生していると推定し、前記第1時間が前記第1閾値範囲外であれば前記巻線に放電が発生していないと判定し、
(j)前記ステップ(i)によって、前記巻線に放電が発生していると推定されたときに、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値と第1閾値とを比較して、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値が前記第1閾値より大きいときに前記巻線に放電が発生していると判定し、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値が前記第1閾値以下のときに前記巻線に放電は発生していないと判定する
放電判定方法。
【請求項8】
前記第1時間と前記第1閾値との関係を予め定めた第1放電判定マップに、前記第1時間を適用して前記第1閾値を設定するステップ(k)をさらに備える
請求項7に記載の放電判定方法。
【請求項9】
前記ステップ(c)は、検出した前記第1時系列電圧データまたは前記第1時系列電流データに基づき、前記電圧または前記電流がゼロになったときから前記電圧または前記電流が増加または減少後に減少または増加して再びゼロになるまでの第2時間帯を計測するステップをさらに含んでおり、
前記ステップ(g)は、前記第2時系列電圧データまたは前記第2時系列電流データにおいて、前記第1時間帯経過後の前記第2時間帯における第2最大電圧値または第2最大電流値と、前記インパルス電圧または前記パルス電圧を印加したときから該第2最大電圧値または該第2最大電流値を示すまでの第2時間と、を求めるステップを含んでおり、
前記ステップ(h)は、前記インパルス電圧または前記パルス電圧と、前記放電発生時間との関係を予め定めた第2放電推定マップに、印加した前記インパルス電圧または前記パルス電圧を適用して第2閾値範囲を設定し、
前記ステップ(i)は、前記第1および/または第2時間が前記第1および/または第2閾値範囲内であれば前記巻線に放電が発生していると推定し、前記第1および/または第2時間が前記第1および/または第2閾値範囲外であれば前記巻線に放電が発生していないと判定するステップであり、
前記ステップ(j)は、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値、および/または、前記第2最大電圧値または前記第2最大電流値が、前記第1および/または第2閾値より大きいときに前記巻線に放電が発生していると判定し、前記第1最大電圧値または前記第1最大電流値、および/または、前記第2最大電圧値または前記第2最大電流値が、前記第1および/または第2閾値以下のときに前記巻線に放電は発生していないと判定するステップである
請求項7または8に記載の放電判定方法。
【請求項10】
前記ステップ(k)は、前記第2時間と前記第2閾値との関係を予め定めた第2放電判定マップに、前記第2時間を適用して前記第2閾値を設定するステップを含んでいる
請求項8に従属する請求項9に記載の放電判定方法
【請求項11】
前記ステップ()は、前記第2時間帯毎に前記第2最大電圧値または前記第2最大電流値と、前記第2時間と、を求めるステップをさらに含んでいる
請求項9または10に記載の放電判定方法。
【請求項12】
前記ステップ(e)は、前記放電特有の周波数成分として5MHzより大きく30MHz未満の周波数成分を前記周波数スペクトルから抽出するステップである
請求項7ないし11のいずれか1項に記載の放電判定方法。
【請求項13】
電気機器の巻線に放電が発生しているか否かを判定するためのプログラムであって、
請求項7ないし12のいずれか1項に記載の放電判定方法の各ステップを1または複数のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の巻線に放電が発生しているか否かを判定する放電判定装置および放電判定方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平7-260868号公報(特許文献1)には、電気機器に部分放電が発生しているか否かを判定する放電判定装置が記載されている。当該放電判定装置は、まず、電気機器から発生した電流や電磁波などの波形を1周期毎に区分して複数のサンプリングデータを作成する。次に、これら複数のサンプリングデータの波形の同期をとった上で平均化した平均化データを作成する。続いて、当該平均化データと、複数のサンプリングデータのうちの任意の1つのサンプリングデータと、の差分をとることでノイズ信号を除去する。こうしてノイズ信号が除去された最終データ中に部分放電信号のみを取出す。こうして、部分放電の発生の有無を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-260868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した公報に記載の放電判定装置は、放電発生の有無の判定のために多くのデータ数が必要であると共に演算も複雑であるため、なお改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、放電が発生しているか否かをより簡易に判定することができる技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る放電判定装置の好ましい形態によれば、電気機器の巻線に放電が発生しているか否かを判定する放電判定装置が構成される。当該放電判定装置は、印加電圧発生回路と、検出器と、時間帯計測部と、フーリエ変換部と、周波数成分抽出部と、逆フーリエ変換部と、特徴量抽出部と、閾値範囲設定部と、推定部と、判定部と、を備えている。印加電圧発生回路は、巻線の両端にインパルス電圧またはパルス電圧を印加可能に当該巻線の両端に接続される。時間帯計測部は、検出器によって検出された第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データに基づき、インパルス電圧またはパルス電圧が印加されたときから電圧または電流が増加後に減少してゼロになるまでの第1時間帯を計測する。検出器は、巻線の両端で観測される第1時系列電圧データ、または、巻線および印加電圧発生回路を含む判定用回路に流れる第1時系列電流データを検出するために当該判定用回路に接続される。フーリエ変換部は、検出器によって検出された第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データをフーリエ変換することにより周波数スペクトルを求める。周波数成分抽出部は、周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出する。逆フーリエ変換部は、抽出した放電特有の周波数成分における周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データを求める。特徴量抽出部は、第1最大電圧値または第1最大電流値と、第1時間と、を求める。第1最大電圧値または第1最大電流値は、第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データの第1時間帯において観測される電圧または電流の最大値である。第1時間は、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから当該第1最大電圧値または第1最大電流値が観測されるまでの時間である。閾値範囲設定部は、インパルス電圧またはパルス電圧と、放電発生時間と、の関係を予め定めた第1放電推定マップに、印加したインパルス電圧またはパルス電圧を適用して第1閾値範囲を設定する。推定部は、第1時間が第1閾値範囲内であれば巻線に放電が発生していると推定し、第1時間が第1閾値範囲外であれば巻線に放電が発生していないと判定する。そして、判定部は、推定部によって巻線に放電が発生していると推定されたときに、第1最大電圧値または第1最大電流値と第1閾値とを比較して、第1最大電圧値または第1最大電流値が第1閾値より大きいときに巻線に放電が発生していると判定し、第1最大電圧値または第1最大電流値が第1閾値以下のときに巻線に放電は発生していないと判定する。ここで、本発明における「放電特有の周波数成分」とは、巻線において放電が観測される特定の周波数成分として規定される。また、本発明における「第1時間帯を計測する」とは、電圧または電流が増加後に減少してゼロになった時間と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加した時間と、の差を演算することにより求める態様の他、タイマなどを用いて測定する態様を好適に包含する。
【0007】
本発明者は、鋭意研究の結果、巻線の両端で観測される第1時系列電圧データ、または、判定用回路に流れる第1時系列電流データをフーリエ変換することにより得られる周波数スペクトルのうち特定の周波数成分において放電が観測されること、また、インパルス電圧またはパルス電圧と放電発生時間との間に所定の関係があることを見出した。この研究結果を踏まえて、本発明では、検出器によって検出された第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データに基づき、インパルス電圧またはパルス電圧が印加されたときから電圧または電流が増加後に減少してゼロになるまでの第1時間帯を計測すると共に、当該第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データの周波数スペクトルのうち放電特有の周波数成分における周波数スペクトルを逆フーリエ変換して第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データを取得し、当該第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データの第1時間帯における第1最大電圧値または第1最大電流値と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから第1最大電圧値または第1最大電流値が観測されるまでの第1時間と、を求める。そして、インパルス電圧またはパルス電圧と放電発生時間との関係を予め定めた第1放電推定マップに、印加したインパルス電圧またはパルス電圧を適用して第1閾値範囲を設定して、第1時間が当該第1閾値範囲内であれば、巻線に放電が発生していると推定し、第1最大電圧値または第1最大電流値と第1閾値を比較する。そして、第1最大電圧値または第1最大電流値が第1閾値より大きければ巻線に放電が発生していると判定し、第1最大電圧値または第1最大電流値が第1閾値以下であれば巻線に放電は発生していないと判定する。なお、第1時間が当該第1閾値範囲外であれば、巻線に放電は発生していないと判定する。
【0008】
即ち、巻線に印加するインパルス電圧またはパルス電圧の大きさと、第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データにおける第1最大電圧値または第1最大電流値と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから当該第1最大電圧値または第1最大電流値が観測されるまでの第1時間と、が分かれば、第1放電推定マップを用いて巻線に放電が発生しているか否かの推定と判定とを行うことができる。これにより、巻線に放電が発生しているか否かをより簡易に判定することができる。また、逆フーリエ変換する前に、周波数成分抽出部によって、周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出する、即ち、放電に関係ない周波数成分の周波数スペクトルを全てゼロにするため、特殊なフィルタの設計が不要となり、演算も極めて単純になる。これにより、演算時間の短縮を図ることができる。さらに、巻線に放電が発生している可能性がある場合にのみ、放電発生の有無判定を行う構成であるため、効率的に判定を行うことができる。
【0009】
本発明に係る放電判定装置の更なる形態によれば、第1時間と第1閾値との関係を予め定めた第1放電判定マップに、第1時間を適用して第1閾値を設定する閾値設定部をさらに備えている。
【0010】
本形態によれば、第1閾値が第1時間に応じて変化する場合にも良好に対応することができる。
【0011】
本発明に係る放電判定装置の更なる形態によれば、時間帯計測部は、検出器によって検出された第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データに基づき、電圧または電流がゼロになったときから電圧または電流が増加または減少後に減少または増加して再びゼロとなるまでの第2時間帯を計測する。特徴量抽出部は、第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データにおいて、前記第1時間帯経過後の前記第2時間帯における第2最大電圧値または最大電流値と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから当該第2最大電圧値または第2最大電流値が観測されるまでの第2時間を求める。また、推定部は、第1および/または第2時間が第1および/または第2閾値範囲内であれば巻線に放電が発生していると推定し、第1および/または第2時間が第1および/または第2閾値範囲外であれば巻線に放電が発生していないと判定する。そして、判定部は、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値が、第1および/または第2閾値より大きいときに巻線に放電が発生していると判定し、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値が第1および/または第2閾値以下のときに巻線に放電は発生していないと判定する。
【0012】
本発明者は、鋭意研究の結果、第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データの第2時間帯においても放電が発生することを見出した。この研究結果を踏まえて、本形態では、第1最大電圧値または第1最大電流値と第1時間に加えて、第2最大電圧値または第2最大電流値と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから当該第2最大電圧値または第2最大電流値が観測されるまでの第2時間と、を求め、第1時間および/または第2時間が第1および/または第2閾値範囲内であれば巻線に放電が発生していると推定し、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値と、第1および/または第2閾値と、を比較する。そして、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値が第1および/または第2閾値より大きいときに巻線に放電が発生していると判定し、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値が第1および/または第2閾値以下のときに巻線に放電は発生していないと判定する。なお、第1時間および/または第2時間が第1および/または第2閾値範囲外であれば、巻線に放電は発生していないと判定する。このように、本実施の形態によれば、第1時間帯に加えて第2時間帯においても、放電発生の有無を判定するため、巻線に放電が発生しているか否かをより確実に判定することができる。
【0013】
本発明に係る放電判定装置の更なる形態によれば、閾値設定部は、第2時間と第2閾値との関係を予め定めた第2放電判定マップに、第2時間を適用して第2閾値を設定する。
【0014】
本形態によれば、第2閾値が第2時間に応じて変化する場合にも良好に対応することができる。
【0015】
本発明に係る放電判定装置の更なる形態によれば、特徴量抽出部は、第2時間帯毎に第2最大電圧値または第2最大電流値と、第2時間と、を求める。
【0016】
本形態によれば、第1時間帯および当該第1時間帯直後の第2時間帯に加えて、その後の第2時間帯毎においても、第2最大電圧値または第2最大電流値と、第2時間と、を求めると共に、第1放電推定マップを用いて、巻線に放電が発生しているか否かの推定と判定とを行うため、巻線に放電が発生しているか否かをより一層確実に判定することができる。
【0017】
本発明に係る放電判定装置の更なる形態によれば、周波数成分抽出部は、放電特有の周波数成分として5MHzより大きく30MHz未満の周波数成分を周波数スペクトルから抽出する。
【0018】
本発明者は、鋭意研究の結果、周波数スペクトルにおいて、5MHzから30MHzの周波数成分のみを抽出して逆フーリエ変換を行うと、放電信号を良好に検出できることを見出した。この研究結果を踏まえて、本形態では、放電特有の周波数成分を5MHzより大きく30MHz未満に設定する構成とした。これにより、放電信号を確実に抽出することができる。
【0019】
本発明に係る放電判定方法の好ましい形態によれば、電気機器の巻線に放電が発生しているか否かを判定する放電判定方法が構成される。当該放電判定方法は、(a)巻線の両端にインパルス電圧またはパルス電圧を印加し、(b)巻線の両端で観測される第1時系列電圧データ、または、巻線を含む判定用回路に流れる第1時系列電流データを検出し、(c)検出した第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データに基づき、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから電圧または電流が増加後に減少してゼロになるまでの第1時間帯を計測し、(d)検出した第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データをフーリエ変換することにより周波数スペクトルを求め、(e)周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出し、(f)抽出した放電特有の周波数成分における周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データを求め、(g)第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データの第1時間帯において観測される第1最大電圧値または第1最大電流値と、インパルス電圧を印加してから当該最大電圧値または第1最大電流値が観測されるまでの第1時間と、を求め、(h)インパルス電圧またはパルス電圧と放電発生時間との関係を予め定めた第1放電推定マップに、印加したインパルス電圧またはパルス電圧を適用して第1閾値範囲を設定し、(i)第1時間が第1閾値範囲内であれば巻線に放電が発生していると推定し、第1時間が第1閾値範囲外であれば巻線に放電が発生していないと判定し、(j)ステップ(i)によって、巻線に放電が発生していると推定されたときに、第1最大電圧値または第1最大電流値と第1閾値とを比較して、第1最大電圧値または第1最大電流値が第1閾値より大きいときに巻線に放電が発生していると判定し、第1最大電圧値または第1最大電流値が第1閾値以下のときに巻線に放電は発生していないと判定する。ここで、本発明における「放電特有の周波数成分」とは、巻線において放電が観測される特定の周波数成分として規定される。また、本発明における「第1時間帯を計測する」とは、電圧または電流が増加後に減少してゼロになった時間と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加した時間と、の差を演算することにより求める態様の他、タイマなどを用いて測定する態様を好適に包含する。
【0020】
本発明者は、鋭意研究の結果、巻線の両端で観測される第1時系列電圧データ、または、判定用回路に流れる第1時系列電流データをフーリエ変換することにより得られる周波数スペクトルのうち特定の周波数成分において放電が観測されること、また、インパルス電圧またはパルス電圧と放電発生時間との間に所定の関係があることを見出した。この研究結果を踏まえて、本発明では、検出器によって検出された第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データに基づき、インパルス電圧またはパルス電圧が印加されたときから電圧または電流が増加後に減少してゼロになるまでの第1時間帯を計測すると共に、当該第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データの周波数スペクトルのうち放電特有の周波数成分における周波数スペクトルを逆フーリエ変換して第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データを取得し、当該第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データの第1時間帯における第1最大電圧値または第1最大電流値と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから第1最大電圧値または第1最大電流値が観測されるまでの第1時間と、を求める。そして、インパルス電圧またはパルス電圧と放電発生時間との関係を予め定めた第1放電推定マップに、印加したインパルス電圧またはパルス電圧を適用して第1閾値範囲を設定して、第1時間が当該第1閾値範囲内であれば、巻線に放電が発生していると推定し、第1最大電圧値または第1最大電流値と第1閾値を比較する。そして、第1最大電圧値または第1最大電流値が第1閾値より大きければ巻線に放電が発生していると判定し、第1最大電圧値または第1最大電流値が第1閾値以下であれば巻線に放電は発生していないと判定する。なお、第1時間が当該第1閾値範囲外であれば、巻線に放電は発生していないと判定する。
【0021】
即ち、巻線に印加するインパルス電圧またはパルス電圧の大きさと、第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データにおける第1最大電圧値または第1最大電流値と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから当該第1最大電圧値または第1最大電流値が観測されるまでの第1時間と、が分かれば、第1放電推定マップを用いて巻線に放電が発生しているか否かの推定と判定とを行うことができる。これにより、巻線に放電が発生しているか否かをより簡易に判定することができる。また、逆フーリエ変換する前に、周波数成分抽出部によって、周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出する、即ち、放電に関係ない周波数成分の周波数スペクトルを全てゼロにするため、特殊なフィルタの設計が不要となり、演算も極めて単純になる。これにより、演算時間の短縮を図ることができる。さらに、巻線に放電が発生している可能性がある場合にのみ、放電発生の有無判定を行う構成であるため、効率的に判定を行うことができる。
【0022】
本発明に係る放電判定方法の更なる形態によれば、第1時間と第1閾値との関係を予め定めた第1放電判定マップに、第1時間を適用して第1閾値を設定するステップ(k)をさらに備えている。
【0023】
本形態によれば、第1閾値が第1時間に応じて変化する場合にも良好に対応することができる。
【0024】
本発明に係る放電判定方法の更なる形態によれば、ステップ(c)は、検出した第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データに基づき、電圧または前記電流がゼロになったときから電圧または電流が増加または減少後に減少または増加して再びゼロとなるまでの第2時間帯を計測するステップをさらに含んでいる。また、ステップ(g)は、第2時系列電圧データまたは第2時系列電流データにおいて、第1時間帯経過後の第2時間帯における第2最大電圧値または第2最大電流値と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから当該第2最大電圧値または第2最大電流値が観測されるまでの第2時間と、を求めるステップを含んでいる。さらに、ステップ(i)は、第1および/または第2時間が第1および/または第2閾値範囲内であれば巻線に放電が発生していると推定し、第1および/または第2時間が第1および/または第2閾値範囲外であれば巻線に放電が発生していないと判定するステップである。そして、ステップ(j)は、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値が、第1および/または第2閾値より大きいときに巻線に放電が発生していると判定し、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値が、第1および/または第2閾値以下のときに巻線に放電は発生していないと判定するステップである。
【0025】
本発明者は、鋭意研究の結果、第1時系列電圧データまたは第1時系列電流データの第2時間帯においても放電が発生することを見出した。この研究結果を踏まえて、本形態では、第1最大電圧値または第1最大電流値と第1時間に加えて、第2最大電圧値または第2最大電流値と、インパルス電圧またはパルス電圧を印加したときから当該第2最大電圧値または第2最大電流値が観測されるまでの第2時間と、を求め、第1時間および/または第2時間が第1および/または第2閾値範囲内であれば巻線に放電が発生していると推定し、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値と、第1および/または第2閾値と、を比較する。そして、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値が第1および/または第2閾値より大きいときに巻線に放電が発生していると判定し、第1最大電圧値または第1最大電流値、および/または、第2最大電圧値または第2最大電流値が第1および/または第2閾値以下のときに巻線に放電は発生していないと判定する。なお、第1時間および/または第2時間が第1および/または第2閾値範囲外であれば、巻線に放電は発生していないと判定する。このように、本実施の形態によれば、第1時間帯に加えて第2時間帯においても、放電発生の有無を判定するため、巻線に放電が発生しているか否かをより確実に判定することができる。
【0026】
本発明に係る放電判定装置の更なる形態によれば、ステップ(k)は、第2時間と第2閾値との関係を予め定めた第2放電判定マップに、第2時間を適用して第2閾値を設定する。
【0027】
本形態によれば、第2閾値が第2時間に応じて変化する場合にも良好に対応することができる。
【0028】
本発明に係る放電判定方法の更なる形態によれば、ステップ()は、第2時間帯毎に第2最大電圧値または第2最大電流値と、第2時間と、を求めるステップをさらに含んでいる。
【0029】
本形態によれば、第1時間帯および当該第1時間帯直後の第2時間帯に加えて、その後の第2時間帯毎においても、第2最大電圧値または第2最大電流値と、第2時間と、を求めると共に、第2放電推定マップを用いて、巻線に放電が発生しているか否かの推定と判定とを行うため、巻線に放電が発生しているか否かをより一層確実に判定することができる。
【0030】
本発明に係る放電判定方法の更なる形態によれば、ステップ(e)は、放電特有の周波数成分として5MHzより大きく30MHz未満の周波数成分を周波数スペクトルから抽出するステップである。
【0031】
本発明者は、鋭意研究の結果、周波数スペクトルにおいて、5MHzから30MHzの周波数成分のみを抽出して逆フーリエ変換を行うと、放電信号を良好に検出できることを見出した。この研究結果を踏まえて、本形態では、放電特有の周波数成分を5MHzより大きく30MHz未満に設定する構成とした。これにより、放電信号を確実に抽出することができる。
【0032】
本発明に係るプログラムの好ましい形態によれば、電気機器の巻線に放電が発生しているか否かを判定するためのプログラムが構成される。当該プログラムは、上述したいずれかの態様の本発明に係る放電判定方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実行させるためものである。当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、ハードディスクやROM、SSD、フラッシュメモリ(USBメモリ、SDカードなど)、フロッピーディスク、CD、DVDなどに記録されていても良いし、伝送媒体、例えば、インターネットやLANなどの通信網を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されても良いし、あるいは、その他如何なる態様で授受されても良い。
【0033】
本発明によれば、プログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させることによって、上述したいずれかの態様の本発明に係る放電判定方法の各ステップが実行されるため、上述した本発明に係る放電判定方法と同様の作用効果、例えば、巻線に放電が発生しているか否かをより簡易に判定することができるといった効果や、演算時間の短縮を図ることができるといった効果、効率的に判定を行うことができるといった効果などを得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、放電が発生しているか否かをより簡易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の形態に係る放電判定装置1の構成の概略を示す構成図である。
図2】放電判定装置1によって実行される放電発生判定処理の一例を示すフローチャートである。
図3】第1時系列電圧データをフーリエ変換することによって周波数スペクトルに変換した後、放電特有の周波数成分のみを抽出して逆フーリエ変換することによって第2時系列電圧データを取得した結果を示す説明図である。
図4】放電特有の周波数成分を決定するために周波数帯域を振って第2時系列電圧データを取得した実験結果である。
図5】第2時系列電圧データから最大電圧値Vmax1および第1時間T1を計測する様子を示す説明図である。
図6】第1放電推定マップの一例を示す説明図である。
図7】第1時系列電圧データをフーリエ変換することによって周波数スペクトルに変換した後、放電特有の周波数成分のみを抽出して逆フーリエ変換することによって第2時系列電圧データを取得した結果を示す説明図である。
図8】放電判定装置1によって実行される放電発生判定処理の別例を示すフローチャートである。
図9】第2時系列電圧データから最大電圧値Vmax1,Vmax2、第1および第2時間T1,T2を計測する様子を示す説明図である。
図10】第2放電推定マップの一例を示す説明図である。
図11】第1閾値Vth1を設定するための閾値設定マップの一例を示す説明図である。
図12】第2閾値Vth2を設定するための閾値設定マップの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例
【0037】
本発明の実施の形態に係る放電判定装置1は、電動機や発電機等の回転機や変圧器等の電気機器が有する巻線20に放電が発生しているか否かを診断する装置として構成されている。放電判定装置1は、図1に示すように、巻線20が接続される端子Te1,Te2と、当該端子Te1,Te2に電力ラインL1,L2を介して電気的に接続されたインパルス電圧発生回路2と、電力ラインL1,L2に電気的に接続された電圧測定部4および電流測定部5と、当該電圧測定部4および電流測定部5に電気的に接続されたA/D変換回路6と、診断結果を表示する表示部8と、装置全体を制御する電子制御部10と、を備えている。
【0038】
インパルス電圧発生回路2は、巻線20に所定特性のインパルス電圧Viを印加可能な回路である。電圧測定部4は、端子Te1,Te2に接続された巻線20にインパルス電圧Viが印加された際に、当該巻線20の両端で観測される電圧Vを計測する。また、電流測定部5は、端子Te1,Te2に接続された巻線20にインパルス電圧Viが印加された際に、測定回路30に流れる電流Iを計測する。A/D変換回路6は、電圧測定部4によって計測される電圧Vや電流測定部5によって計測される電流Iのアナログ信号をデジタル信号に変換して、電子制御部10に出力する。電圧測定部4は、本発明における「検出器」に対応し、測定回路30は、本発明における「判定用回路」に対応する実施構成の一例である。
【0039】
電子制御部10は、図1に示すように、CPU12を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU12の他に処理プログラムを記憶するROM14と、データを一時的に記憶するRAM16と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートと、を備えている。電子制御部10には、A/D変換回路6からの電圧Vや電流Iなどが図示しない入力ポートを介して入力される。また、電子制御部10からは、インパルス電圧発生回路2へのインパルス電圧印加信号や、表示部8への診断結果表示信号などが図示しない出力ポートを介して出力されている。
【0040】
次に、こうして構成された本発明の実施の形態に係る放電判定装置1の動作、特に、巻線20に放電が発生しているか否かを診断する際の動作について説明する。図2は、放電判定装置1によって実行される放電発生判定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、端子Te1,Te2に診断対象の巻線20が接続されて、判定開始が指示されたとき(例えば、判定スタートボタンが押下されたとき)に実行される。放電発生判定処理は、本発明における「プログラム」に対応する実施構成の一例である。
【0041】
放電発生判定処理が実行されると、放電判定装置1のCPU12は、まず、巻線20にインパルス電圧Viaを印加するように、インパルス電圧発生回路2にインパルス電圧印加信号を出力する(ステップS100)。続いて、印加したインパルス電圧Via、および、電圧測定部4によって計測される巻線20の両端の電圧Vに関する第1時系列電圧データ(図3(a))を読み込む処理を実行すると共に(ステップS102)、読み込んだ第1時系列電圧データに基づき、第1放電発生推定時間帯Rt1を計測する処理を実行する(ステップS104)。ここで、本発明者の鋭意研究の結果、巻線20にインパルス電圧Viaを印加したときから、電圧測定部4によって計測される巻線20の両端の電圧Vが増加後に減少して値がゼロになるまでの時間帯である第1放電発生推定時間帯Rt1内に放電が発生することを見出した。本研究結果を踏まえ、本実施の形態では、第1放電発生推定時間帯Rt1は、巻線20の両端の電圧Vが増加後に減少して値がゼロになったときの時間とインパルス電圧Viaを印加したときの時間と、の差により求める構成とした。第1放電発生推定時間帯Rt1は、本発明における「第1時間帯」に対応し、ステップS104において、放電発生推定時間Rt1を計測する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「時間帯計測部」に対応する実施構成の一例である。
【0042】
続いて、第1時系列電圧データをフーリエ変換によって、時系列信号である第1時系列電圧データを周波数スペクトル(図3(b))に変換する処理を実行する(ステップS106)。なお、図3(a)は、電圧測定部4によって計測された第1時系列電圧データを示す図であり、図3(b)は、当該第1時系列電圧データをフーリエ変換することによって得られた周波数スペクトルを示す図である。ここで、ステップS106において、第1時系列電圧データをフーリエ変換によって、時系列信号である第1時系列電圧データを周波数スペクトルに変換する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「フーリエ変換部」に対応する実施構成の一例である。
【0043】
そして、変換した周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出し(ステップS108)、抽出した周波数成分(図3(c))の周波数スペクトルを逆フーリエ変換によって、時系列信号である第2時系列電圧データ(図3(d))に変換する処理を実行する(ステップS110)。ここで、放電特有の周波数としては、本実施の形態では、5~30MHzの周波数とした。これは、本発明者の鋭意研究の結果、5~30MHzの帯域の周波数成分が放電信号を良好に検出することを見出したことに起因する。5~30MHzの帯域の周波数成分を抽出して逆フーリエ変換を行った第2時系列電圧データにおいては、図4(c)から(g)に示すように、放電信号を含む波形が観測されたのに対して、5~30MHz以外の帯域の周波数成分を抽出して逆フーリエ変換を行った第2時系列電圧データにおいては、図4(a)、(b)、(h)に示すように、放電信号を含む波形が明確に観測されなかった。当該結果を踏まえて、放電に関係ない周波数成分の周波数スペクトルを全てゼロにするのである。なお、図3(c)は、第1時系列電圧データの周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出した図であり、図3(d)は、図3(c)のデータを逆フーリエ変換することによって得られた第2時系列電圧データを示す図である。ここで、ステップS108において、周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「周波数抽出部」に対応し、ステップS110において、抽出した周波数成分の周波数スペクトルを逆フーリエ変換によって、第2時系列電圧データに変換する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「逆フーリエ変換部」に対応する実施構成の一例である。
【0044】
こうして第2時系列電圧データが得られると、放電判定装置1のCPU12は、図5に示すように、当該第2時系列電圧データの第1放電発生推定時間帯Rt1で観測される最大電圧値Vmax1、および、インパルス電圧Viaを印加したときから当該最大電圧値Vmax1が観測されるまでの第1時間T1と、を計測する処理を実行し(ステップS112)、第1時間T1が第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)内であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS114)。ステップS112において、第2時系列電圧データから最大電圧値Vmax1、および、第1時間T1を計測する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「特徴量抽出部」に対応する実施構成の一例である。
【0045】
ここで、第1閾値範囲は、本実施の形態では、図6に示すように、インパルス電圧Viと、放電発生時間T*と、の関係を予め実験により求めて第1放電推定マップとしてROM14に記憶しておき、印加されたインパルス電圧Viaおよび第1時間T1が与えられると、インパルス電圧Viaに対応する第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)が設定される構成とした。第1放電推定マップは、インパルス電圧Viが増加するに伴って、放電発生時間T*が減少する傾向を有している。ステップS114において、印加されたインパルス電圧Viaおよび第1時間T1が与えられたときに、インパルス電圧Viaに対応する第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)を設定する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「閾値範囲設定部」に対応する実施構成の一例である。
【0046】
なお、本実施の形態では、第1時間T1が第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)内であれば、巻線20に放電が発生していると推定する一方、第1時間T1が第1閾値範囲外(Tth1≧T1、T1≧Tth2)のときに、巻線20に放電は発生していないと判定する。第1時間T1が第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)内であるか否か、即ち、巻線20に放電が発生しているか否かの推定を行う処理を実行する電子制御部10は、本発明における「推定部」に対応する実施構成の一例である。
【0047】
ステップS114において、第1時間T1が第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)内である、即ち、巻線20に放電が発生していると推定されたときは、続いて、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1より大きいか否かを判定する(ステップS116)。当該判定において、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1より大きいと判定されたときには、巻線20に放電が発生していると判定して、放電が発生している旨を示す「放電発生」を出力して(ステップS118)、本ルーチンを終了する。なお、本実施の形態では、第1閾値Vth1は、最大電圧値Vmax1と放電の発生との関係を予め実験により求めてROM14に記憶しておく構成とした。
【0048】
一方、ステップS114において、第1時間T1が第1閾値範囲外(Tth1≧T1、T1≧Tth2)であると判定されたとき、または、ステップS116において、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1以下であると判定されたとき、には、巻線20に放電は発生していないと判定して、「放電なし」を出力して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。即ち、本実施の形態では、まず、巻線20に放電が発生しているか否かの推定を行い(ステップS114)、巻線20に放電が発生していると推定した場合にのみ(巻線20に放電が発生している可能性がある場合にのみ)、当該推定が正しいか否かを判定するのである。これにより、巻線20に放電が発生しているか否かの判定を効率的に行うことができる。巻線20に放電が発生しているか否かの判定を行う処理を実行する電子制御部10は、本発明における「判定部」に対応する実施構成の一例である。
【0049】
以上説明した本実施の形態に係る本発明の放電判定装置1によれば、巻線20の両端にインパルス電圧Viaを印加し(ステップS100)、巻線20の両端で観測される第1時系列電圧データに基づき第1放電発生推定時間帯Rt1を計測すると共に(ステップS104)、当該第1時系列電圧データをフーリエ変換することにより周波数スペクトルを求め(ステップS104~S106)、当該周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出して(ステップS108)、抽出した放電特有の周波数成分における周波数スペクトルを逆フーリエ変換することにより第2時系列電圧データを求める(ステップS110)。続いて、当該第2時系列電圧データの第1放電発生推定時間帯Rt1から、最大電圧値Vmax1と、インパルス電圧Viaを印加したときから当該最大電圧値Vmax1を示すまでの第1時間T1を求める(ステップS112)。そして、当該第1時間T1が、第1放電推定マップを用いて設定した第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)内であれば巻線20に放電が発生していると推定し(ステップS114)、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1より大きいときに、巻線20に放電が発生していると判定する(ステップS116~S118)。一方、第1時間T1が、第1閾値範囲外(Tth1≧T1、T1≧Tth2)であるとき、または、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1以下であるときに、巻線20に放電は発生していないと判定する(ステップS120)。
【0050】
即ち、本実施の形態に係る本発明の放電判定装置1によれば、巻線20に印加するインパルス電圧Viaの大きさと、第2時系列電圧データにおける最大電圧値Vmax1と、インパルス電圧Viaを印加したときから当該最大電圧値Vmax1を示すまでの第1時間T1と、が分かれば、巻線20に放電が発生しているか否かの推定および判定を行うことができる。これにより、巻線20に放電が発生しているか否かをより簡易に判定することができる。
【0051】
また、逆フーリエ変換する前に、放電に関係ない周波数成分の周波数スペクトルを全てゼロにするため、特殊なフィルタの設計が不要となり、演算も極めて単純になる。これにより、演算時間の短縮を図ることができる。さらに、まず、巻線20に放電が発生している可能性があるか否かを推測し、巻線20に放電が発生している可能性があると推定した場合にのみ、放電発生の有無判定を行うため、効率的に判定を行うことができる。
【0052】
本実施の形態では、最大電圧値Vmax1および第1時間T1を用いて、放電発生の有無の推定および判定を行ったが、これに限らない。例えば、最大電圧値Vmax1および第1時間T1に加えて、第2放電発生推定時間帯Rt2において観測される第2最大電圧値Vmax2と、当該第2最大電圧値Vmax2を示すまでの時間である第2時間T2と、を用いて、放電発生の有無の推定および判定を行っても良い。
【0053】
ここで、第2放電発生推定時間帯Rt2は、図7(a)に示すように、第1放電発生推定時間帯Rt1の直後に発生する時間帯であって、電圧測定部4によって計測される巻線20の両端の電圧Vが値ゼロになってから、減少した後に増加して再び値ゼロになるまでの時間帯として規定される。本発明者は、鋭意研究の結果、当該第2放電発生推定時間帯Rt2内においても、放電が発生することを見出した。第2放電発生推定時間帯Rt2は、本発明における「第2時間帯」に対応する実施構成の一例である。
【0054】
この場合、図2に示す放電発生判定処理の一例を示すフローチャートに替えて図8に示す放電発生判定処理を実行することができる。図8に示す放電発生判定処理は、図2に示す放電発生判定処理のステップS104、S112、S114、S116をそれぞれステップS204、S212、S214、S216に替えただけである。
【0055】
即ち、図8に示す放電発生判定処理では、放電判定装置1のCPU12は、まず、巻線20にインパルス電圧Viaを印加するように、インパルス電圧発生回路2にインパルス電圧印加信号を出力し(ステップS100)、印加したインパルス電圧Viaおよび電圧測定部4によって計測される巻線20の両端の電圧Vに関する第1時系列電圧データ(図7(a))を読み込み(ステップS102)、読み込んだ第1時系列電圧データに基づき、第1および第2放電発生推定時間帯Rt1,Rt2を計測する処理を実行する(ステップS204)。
【0056】
続いて、第1時系列電圧データをフーリエ変換によって、時系列信号である第1時系列電圧データを周波数スペクトル(図7(b))に変換し(ステップS106)、変換した周波数スペクトルから放電特有の周波数成分のみを抽出し(ステップS108)、抽出した周波数成分(図7(c))の周波数スペクトルを逆フーリエ変換によって当該周波数スペクトルを時系列信号である第2時系列電圧データ(図7(d))に変換する処理を実行する(ステップS110)。
【0057】
そして、図9に示すように、当該第2時系列電圧データの第1,2放電発生推定時間帯Rt1,Rt2内それぞれにおける最大電圧値Vmax1,Vmax2、および、インパルス電圧Viaを印加したときから最大電圧値Vmax1,Vmax2が観測されるまでの第1および第2時間T1,T2と、を計測する処理を実行し(ステップS212)、第1時間T1が第1閾値範囲内(Tth1≦T1≦Tth2)であるか否か、および、第2時間T2が第2閾値範囲内(Tth3≦T2≦Tth4)であるか否か、を判定する処理を実行する(ステップS214)。
【0058】
ここで、第2閾値範囲は、当該変形例では、図10に示すように、第1放電推定マップの設定と同様、インパルス電圧Viと、放電発生時間T*と、の関係を予め実験により求めて第2放電推定マップとしてROM14に記憶しておき、印加されたインパルス電圧Viaおよび第2時間T2が与えられると、インパルス電圧Viaに対応する第2閾値範囲(Tth3≦T2≦Tth4)が設定される構成とした。第2放電推定マップは、第1放電推定マップと同様、インパルス電圧Viが増加するに伴って、放電発生時間T*が減少する傾向を有している。ステップS212において、第2時系列電圧データの第1,2放電発生推定時間帯Rt1,Rt2内それぞれにおける最大電圧値Vmax1,Vmax2と、第1および第2時間T1,T2と、を計測する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「特徴量抽出部」に対応する実施構成の一例である。また、ステップS214において、印加されたインパルス電圧Viaと、第1および第2時間T1,T2が与えられたときに、インパルス電圧Viaに対応する第1および第2閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2、Tth3≦T2≦Tth4)を設定する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「閾値範囲設定部」に対応する実施構成の一例である。
【0059】
当該判定において、第1時間T1が第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)内、または、第2時間T2が第2閾値範囲(Tth3≦T2≦Tth4)内であれば、巻線20に放電が発生していると推定する一方、第1時間T1が閾値範囲外(Tth1≧T1、T1≧Tth2)、かつ、第2時間T2が閾値範囲外(Tth3≧T2,T2≧Tth4)であれば、巻線20に放電は発生していないと判定する。
【0060】
そして、ステップS214において、第1時間T1が第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)内、または、第2時間T2が第2閾値範囲(Tth3≦T2≦Tth4)内である、即ち、巻線20に放電が発生していると推定されたときは、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1より大きいか否か、および、最大電圧値Vmax2が第2閾値Vth2より大きいか否かを判定し(ステップS216)、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1より大きい、または、最大電圧値Vmax2が第2閾値Vth2より大きいと判定されたときには、巻線20に放電が発生していると判定して、放電が発生している旨を示す「放電発生」を出力して(ステップS118)、本ルーチンを終了する。なお、当該変形例では、第2閾値Vth2は、最大電圧値Vmax2と放電の発生との関係を予め実験により求めてROM14に記憶しておく構成とした。
【0061】
一方、ステップS214において、第1時間T1が第1閾値範囲外(Tth1≧T1,T2、T1,T2≧Tth2)、かつ、第2時間T2が第2閾値範囲外(Tth3≧T2、T2≧Tth4)である、または、ステップS216において、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1以下、かつ、最大電圧値Vmax2が第2閾値Vth2以下である、と判定されたときには、巻線20に放電は発生していないと判定して、「放電なし」を出力して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。
【0062】
以上説明した当該変形例によれば、上述した本実施の形態に係る放電判定装置1の作用効果と同様の作用効果を奏すると共に、第1放電発生推定時間帯Rt1に加えて第2放電発生推定時間帯Rt2においても、放電発生の有無を判定するため、巻線20に放電が発生しているか否かをより確実に判定することができる。
【0063】
上述した変形例では、第1放電発生推定時間帯Rt1と、当該、第1放電発生推定時間帯Rt1の直後に発生する第2放電発生推定時間帯Rt2のみにおいて、放電発生の有無を判定したが、これに限らない。例えば、以降の第2放電発生推定時間帯Rt2毎、即ち、第1時系列電圧データの波形において、山および谷が発生する時間帯毎に放電発生の有無を判定する構成としても良い。この場合、第2放電発生推定時間帯Rt2毎に、放電推定マップを準備することが望ましい。
【0064】
本実施の形態および上述した変形例では、電圧Vに関する第1時系列電圧データおよび第2時系列電圧データを用いたが、電流Iに関する第1時系列電流データおよび第2時系列電流データを用いても良い。この場合、放電発生有無の判定には、最大電圧値Vmax1,Vmax2に替えて最大電流値Imax1,Imax2を用いればよい。
【0065】
本実施の形態および上述した変形例では、第1時間T1が第1閾値範囲(Tth1≦T1≦Tth2)内、または、第2時間T2が第2閾値範囲(Tth3≦T2≦Tth4)内であれば巻線20に放電が発生していると推定したが、これに限らない。例えば、第1時間T1が第1閾値範囲内(Tth1≦T1≦Tth2)、かつ、第2時間T2が第2閾値範囲内(Tth3≦T2≦Tth4)のときに、巻線20に放電が発生していると推定しても良い。
【0066】
本実施の形態および上述した変形例では、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1より大きいとき、または、最大電圧値Vmax2が第2閾値Vth2より大きいときに、巻線20に放電が発生していると判定したが、これに限らない。例えば、最大電圧値Vmax1が第1閾値Vth1より大きいとき、かつ、最大電圧値Vmax2が第2閾値Vth2より大きいときに、巻線20に放電が発生していると判定しても良い。
【0067】
本実施の形態および上述した変形例では、第1および第2閾値Vth1,Vth2は一定値としたが、これに限らない。例えば、図11おおび図12に示すように、第1および第2閾値Vth1,Vth2は、放電発生時間T*に応じて変化する構成としても良い。この場合、図11および図12に示すマップを用いて、放電発生時間T*に応じた第1および第2閾値Vth1,Vth2を設定することができる。ここで、第1および第2閾値Vth1,Vth2を設定する処理を実行する電子制御部10は、本発明における「閾値設定部」に対応する実施構成の一例である。
【0068】
本実施の形態および上述した変形例では、巻線20にインパルス電圧Viaを印加する構成としたが、これに限らない。例えば、巻線20にパルス電圧や交流電圧を印加する構成としても良い。
【0069】
本実施の形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 放電判定装置(放電判定装置)
2 印加電圧発生回路(印加電圧発生回路)
4 電圧測定部(検出器)
5 電流測定部(検出器)
6 A/D変換回路
8 表示部
10 電子制御部
12 CPU
14 ROM
16 RAM
20 巻線(巻線)
30 測定回路(判定用回路)
V 電圧(巻線の両端で観測される電圧)
Vi インパルス電圧(インパルス電圧)
Via 印加したインパルス電圧(インパルス電圧)
Vmax1 最大電圧値(第1最大電圧値)
Vmax2 最大電圧値(第2最大電圧値)
Imax1 最大電流値(第1最大電流値)
Imax 最大電流値(第2最大電流値)
Rt1 第1放電発生推定時間帯(第1時間帯)
Rt2 第2放電発生推定時間帯(第2時間帯)
Te1 端子
Te2 端子
L1 電力ライン
L2 電力ライン
T1 第1時間(第1時間)
T2 第2時間(第2時間)
Tth1 第1閾値範囲の下限(第1閾値範囲)
Tth2 第1閾値範囲の上限(第1閾値範囲)
Vth1 第1閾値(第1閾値)
Tth3 第2閾値範囲の下限(第2閾値範囲)
Tth4 第2閾値範囲の上限(第2閾値範囲)
Vth2 第2閾値(第2閾値)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12