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特許7418307計量制御装置、計量コンテナシステム、計量制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】計量制御装置、計量コンテナシステム、計量制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/62 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B65D90/62 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020140613
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036415
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504298291
【氏名又は名称】月島機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】新田 博文
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006438(JP,A)
【文献】特開2018-177293(JP,A)
【文献】特開2000-272679(JP,A)
【文献】特開2000-247443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量対象の原料が収容されるコンテナから排出された原料の計量値を取得する計量値取得部と、
コンテナの排出口から排出される原料の計量値に、垂直方向へ上下動することによって前記排出口を開閉するコーン型のバルブの開き度合が対応づけられたデータを含む制御データを記憶する制御データ記憶部と、
前記計量値取得部によって取得された計量値と、前記制御データ記憶部に記憶された前記制御データとに基づいて、前記バルブの開き度合を決定する開度決定部と、
前記バルブが所定の開き度合に設定されてから所定の監視時間が経過した後に前記計量値取得部によって取得された計量値に基づいて、前記バルブを上下方向に往復運動させることによって揺動させるか否かを判定する揺動判定部と、
前記開度決定部によって決定された結果、及び前記揺動判定部によって判定された結果を、前記バルブの上部側から垂直方向に延びるように長尺状に形成されているロッドを上下動させることによって前記バルブを揺動させる駆動制御部に出力する出力部と、
を有する計量制御装置。
【請求項2】
前記制御データは、前記原料における目標値までの複数の計量値が段階的に設定され、前記複数の計量値のそれぞれの前記バルブの開き度合に応じた監視時間が対応づけられたデータを含む、
請求項1に記載の計量制御装置。
【請求項3】
前記制御データは、前記原料における目標値までの複数の計量値が段階的に設定され、前記複数の計量値のそれぞれの前記バルブの開き度合に応じた揺動条件が対応づけられたデータを含み、前記揺動条件は、前記バルブの開き度合が閉鎖に最も近い開き度合における揺動の幅が最も小さくなるように設定される、
請求項1又は請求項2に記載の計量制御装置。
【請求項4】
前記揺動判定部は、前記制御データに示される複数の計量値のうちの第1計量値に対応して前記バルブが所定の開き度合に設定されてから前記第1計量値に対応する前記監視時間が経過した時点における計量値が、前記第1計量値に到達していない場合、前記バルブを揺動させると判定する、
請求項2又は請求項3に記載の計量制御装置。
【請求項5】
前記揺動判定部は、前記制御データに示される複数の計量値のうちの第1計量値に対応して前記バルブが所定の開き度合に設定されてから前記第1計量値に対応する前記監視時間が経過した時点における計量値の単位時間当たりの変化量が、所定の閾値未満である場合、前記バルブを揺動させると判定する、
請求項2又は請求項3に記載の計量制御装置。
【請求項6】
前記制御データは、前記コンテナから排出される原料の計量値と当該原料の目標値の量との差に応じて設定された計量値に、前記バルブを垂直方向へ上下動させる場合における、上方向への移動量を示す上限値、又は下方向への移動量を示す下限値の少なくとも一方が対応づけられたデータを含む、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の計量制御装置。
【請求項7】
前記コンテナに取り付けられたコンテナ識別情報を取得するコンテナ識別情報取得部を更に有し、
前記開度決定部は、前記コンテナ識別情報に応じた前記制御データを用いて、前記バルブの開き度合を決定する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の計量制御装置。
【請求項8】
計量対象の原料が収容されるコンテナと、前記コンテナから排出される原料を受け入れる計量容器と、前記計量容器の重量を計量する計量器と、請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の計量制御装置とを有し、前記コンテナから排出される原料の排出量を制御する、計量コンテナシステム。
【請求項9】
コンテナの排出口から排出される原料の計量値に、垂直方向へ上下動することによって前記排出口を開閉するコーン型のバルブの開き度合が対応づけられたデータを含む制御データを記憶する制御データ記憶部を備える計量制御装置における計量制御方法であって、
計量値取得部が、計量対象の原料が収容されるコンテナから排出された原料の計量値を取得し、
開度決定部が、前記計量値取得部によって取得された計量値と、前記制御データ記憶部に記憶された前記制御データとに基づいて、前記バルブの開き度合を決定し、
揺動判定部が、前記バルブが所定の開き度合に設定されてから所定の監視時間が経過した後に前記計量値取得部によって取得された計量値に基づいて、前記バルブを上下方向に往復運動させることによって揺動させるか否かを判定し、
出力部が、前記開度決定部によって決定された結果、及び前記揺動判定部によって判定された結果を、前記バルブの上部側から垂直方向に延びるように長尺状に形成されているロッドを上下動させることによって前記バルブを揺動させる駆動制御部に出力する、
計量制御方法。
【請求項10】
コンテナの排出口から排出される原料の計量値に、垂直方向へ上下動することによって前記排出口を開閉するコーン型のバルブの開き度合が対応づけられたデータを含む制御データを記憶する制御データ記憶部を備える計量制御装置であるコンピュータに、
計量対象の原料が収容されるコンテナから排出された原料の計量値を取得させ、
前記取得された計量値と、前記制御データ記憶部に記憶された前記制御データとに基づいて、前記バルブの開き度合を決定させ、
前記バルブが所定の開き度合に設定されてから所定の監視時間が経過した後に取得された計量値に基づいて、前記バルブを上下方向に往復運動させることによって揺動させるか否かを判定させ、
前記決定された前記バルブの開き度合、及び前記バルブを上下方向に往復運動させることによって揺動させるか否かの判定結果を、前記バルブの上部側から垂直方向に延びるように長尺状に形成されているロッドを上下動させることによって前記バルブを揺動させる駆動制御部に出力させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量制御装置、計量コンテナシステム、計量制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、フレキシブルコンテナバックや紙袋等に入れられた粉体を計量装置にて所定量となるように計量していた。例えば、コンテナが計量装置まで搬送されて計量装置にセットされ、コンテナに設けられたバルブが上方に引き上げられることでコンテナの排出口が開放され、解放された排出口から計量容器内に粉体を排出させることによって計量が行われる。例えば、特許文献1では、排出口を開放させた当初には排出口を全開状態として排出を促進させることによって計量時間を短縮させ、計量値が予め決められた量に達するとバルブを下げて排出口の排出空間を狭め、排出量が微量となるように制御することによって計量を微調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-231587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、計量の過程においてコンテナ内部の粉体にブリッジ現象が生じると粉体が排出され難くなる。一般にブリッジ現象を解消するためにバイブレータやノッカーのような振動装置を用いて外部から振動を与える技術があるが、粉体の種類によっては振動装置を用いても粉体の排出が困難となる場合がある。特に、排出口の排出空間が狭められていくと粉体が排出され難くなる事態が顕著となる。粉体が排出され難くなると、粉体が排出されるまで待つしか手立てがなく、排出時間が非常に長くなるという事態が発生していた。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、計量に要する時間を長引かせないようにすることができる計量制御装置、計量制御方法、計量コンテナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上述した課題を解決するために、本発明は、計量対象の原料が収容されるコンテナから排出された原料の計量値を取得する計量値取得部と、コンテナの排出口から排出される原料の計量値に、垂直方向へ上下動することによって前記排出口を開閉するコーン型のバルブの開き度合が対応づけられたデータを含む制御データを記憶する制御データ記憶部と、前記計量値取得部によって取得された計量値と、前記制御データ記憶部に記憶された前記制御データとに基づいて、前記バルブの開き度合を決定する開度決定部と、前記バルブが所定の開き度合に設定されてから所定の監視時間が経過した後に前記計量値取得部によって取得された計量値に基づいて、前記バルブを上下方向に往復運動させることによって揺動させるか否かを判定する揺動判定部と、前記開度決定部によって決定された結果、及び前記揺動判定部によって判定された結果を、前記バルブの上部側から垂直方向に延びるように長尺状に形成されているロッドを上下動させることによって前記バルブを揺動させる駆動制御部に出力する出力部と、を有する計量制御装置である。
【0007】
また、本発明は、計量対象の原料が収容されるコンテナと、前記コンテナから排出される原料を受け入れる計量容器と、前記計量容器の重量を計量する計量器と、上記に記載の計量制御装置とを有し、前記コンテナから排出される原料の排出量を制御する、計量コンテナシステムである。
【0008】
また、本発明は、コンテナの排出口から排出される原料の計量値に、垂直方向へ上下動することによって前記排出口を開閉するコーン型のバルブの開き度合が対応づけられたデータを含む制御データを記憶する制御データ記憶部を備える計量制御装置における計量制御方法であって、計量値取得部が、計量対象の原料が収容されるコンテナから排出された原料の計量値を取得し、開度決定部が、前記計量値取得部によって取得された計量値と、前記制御データ記憶部に記憶された前記制御データとに基づいて、前記バルブの開き度合を決定し、揺動判定部が、前記バルブが所定の開き度合に設定されてから所定の監視時間が経過した後に前記計量値取得部によって取得された計量値に基づいて、前記バルブを上下方向に往復運動させることによって揺動させるか否かを判定し、出力部が、前記開度決定部によって決定された結果、及び前記揺動判定部によって判定された結果を、前記バルブの上部側から垂直方向に延びるように長尺状に形成されているロッドを上下動させることによって前記バルブを揺動させる駆動制御部に出力する、計量制御方法である。
【0009】
また、本発明は、コンテナの排出口から排出される原料の計量値に、垂直方向へ上下動することによって前記排出口を開閉するコーン型のバルブの開き度合が対応づけられたデータを含む制御データを記憶する制御データ記憶部を備える計量制御装置であるコンピュータに、計量対象の原料が収容されるコンテナから排出された原料の計量値を取得させ、前記取得された計量値と、前記制御データ記憶部に記憶された前記制御データとに基づいて、前記バルブの開き度合を決定させ、前記バルブが所定の開き度合に設定されてから所定の監視時間が経過した後に取得された計量値に基づいて、前記バルブを上下方向に往復運動させることによって揺動させるか否かを判定させ、前記決定された前記バルブの開き度合、及び前記バルブを上下方向に往復運動させることによって揺動させるか否かの判定結果を、前記バルブの上部側から垂直方向に延びるように長尺状に形成されているロッドを上下動させることによって前記バルブを揺動させる駆動制御部に出力させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計量に要する時間を長引かせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る計量制御装置30を用いた排出装置の構成を示す概略構成図である。
図2】実施形態に係る計量制御装置30の構成を示す機能ブロック図である。
図3】実施形態に係る制御データの一例を示す図である。
図4】実施形態に係る表示部309に表示される画面の例を示す図である。
図5】実施形態に係る表示部309に表示される画面の例を示す図である。
図6】実施形態に係る表示部309に表示される画面の例を示す図である。
図7】実施形態に係る排出装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る計量制御装置30を用いた排出装置(計量コンテナシステム)の構成を示す概略構成図である。
ホッパー1は、粉状物質あるいは粒状物質等の流動性物質2(原料)を収容可能なホッパーである。このホッパー1は、立設可能であり、ホッパー1の下部円錐部の中央には排出口3が形成されている。このホッパー1内には、コーン型のバルブ4が垂直方向へ上下動可能に収容されており、バルブ4は、排出口3を開閉可能となっている。
【0013】
ロッド5は、バルブ4の上部側からホッパー1の上面側に対して垂直方向に延びるように長尺状に形成されている。ロッド5は、一端側がバルブに連結され、他端側がコンテナの上面側に向かって延びており、そのホッパー1の外部に貫通して突出するように設けられる。ロッド5の突出した先端部には、フランジ(大径頭部)6が設けられる。計量制御装置30による制御を行なわない状態(例えば、ホッパー1が排出装置にセットされていない状態)においては、バルブ4が最下点位置に到達するようになっており、このバルブ4が排出口3を密に閉じた状態を維持する。排出口3の内周面には、このバルブ4と対応する位置にOリングがはめ込んである。バルブ4は、このOリングの内周面に圧接することで排出口3を密に閉じることが可能である。
【0014】
また、フランジ6の少なくとも一部は磁性体から構成されており、電磁石17に電磁的に結合することが可能である。なお、フランジ6と昇降部材8との結合はこれに限られず、例えば、クランプシリンダにてフランジ6と結合するようにしてもよい。
脚部1a、脚部1bは、ホッパー1の下面(排出口3が設けられる面)側に延びるように設けられている。この脚部1aと脚部1bによって、ホッパー1を立設させることが可能である。
【0015】
記録媒体1cは、ホッパー1の外周面に取り付けられており、コンテナ40を識別するコンテナID(コンテナ識別情報)を記憶している。この記録媒体1cは、コンテナIDが読み出しあるいは読み取り可能に記録されていればよい。例えば、記録媒体1cは、バーコードが印字されたラベルであってもよいし、コンテナIDを記憶するRFID(radio frequency identifier)タグであってもよい。バーコードは、一次元のバーコードであってもよいし二次元バーコードであってもよい。
【0016】
このようなホッパー1、バルブ4、ロッド5、フランジ6、脚部1a、脚部1b、記録媒体1cを含んで1つのコンテナ40が形成されている。このようなコンテナ40は、排出口3を下向きにして立設可能であり、流動性物質2を収容した状態で、例えば、倉庫のような場所に保管されている。このようなホッパー1は、内容成分を異にする種々の流動性物質2を収容することができる。例えば、ホッパー1は、収容する流動性物質2の種類に応じて、複数が用意される。そして、このホッパー1の排出口3は、複数のサイズがあり、ホッパー1によっては排出口3のサイズが異なる。
【0017】
バルブ4は、排出口3に対して上下方向への相対位置関係が変動可能となっている。このために、基台10に定置されたホッパー1の上方にはバルブ4を上下方向に可動させるための昇降装置7が設けられる。この昇降装置7は、昇降部材8と昇降機構9とからなっており、昇降装置7は、基台10上に立設した固定フレーム11に設置されている。
【0018】
昇降装置7における昇降部材8は、上下に相対向して水平状に配設した一対の支持板12、13について伸弾性を有する複数のスプリングによって連結する。また、昇降部材8は、スプリング内を通って上方の支持板12を貫通するリニアシャフト15、リニアシャフト15の下端を支持板13に連結する。また、リニアシャフト15の上端部は、固定フレーム11を通って固定フレーム11の上方に突出している。
【0019】
支持板13の下面には電磁石17が設けられている。
昇降機構9は、例えば、スプラインボールネジ構造を有する昇降軸23が備えられている。この昇降軸23は、一端側が駆動部22と固定フレーム11とを貫通して支持板12に連結され、他端側が駆動部22に対して垂直方向上方に突出している。また、昇降軸23において、駆動部22と昇降軸23の他端側との間にはプーリが設けられている。駆動部22は、固定フレーム11に取り付けられている。
また、昇降機構9にはモータ25が設けられている。モータ25は、計量制御装置30からの駆動信号に基づいて駆動する。モータ25の駆動軸と昇降軸23に取り付けられたプーリとは循環ベルトによって連結されている。プーリは、駆動部22内のボールねじナットに設けられている。モータ25によってプーリを回転させると駆動部22に対して昇降軸23が相対的に垂直方向に上下動することが可能になっている。
【0020】
昇降軸23は、コンテナ40が排出装置に取り付けられていない状態においては、固定フレーム11に対して上方側に位置している。これにより、昇降軸23の一端側に連結された昇降部材8は、常態ではホッパー1の上方において固定フレーム11との中空部に吊り下げた状態で保持される。
【0021】
計量容器28は、排出口3の下方側において計量器29の上に載置され、排出口3から排出される流動性物質2を受け入れる容器である。計量器29は、計量容器28を載置可能であり、計量容器28の重さを計量し、計量結果を計量制御装置30に出力する。計量容器28は、例えば、一定時間毎に計量する機能を有し、計量容器28に流動性物質2が投入されると、流動性物質2が入れられた計量容器28全体の重さを計量しつつ計量結果をリアルタイムに計量制御装置30に出力する。
【0022】
次に、計量制御装置30について説明する。図2は、計量制御装置30の構成を表す機能ブロック図である。計量制御装置30は、例えば、コンテナ識別情報取得部301と、制御データ記憶部302と、計量値取得部303と、時間計測部304と、開度決定部305と、揺動判定部306と、出力部307と、駆動制御部308と、表示部309とを備える。
【0023】
コンテナ識別情報取得部301は、コンテナ40に取り付けられた記録媒体1cから、コンテナIDを読み取る。コンテナ識別情報取得部301は、例えば、RFIDタグとの間で情報を送受信するリーダライタであり、RFIDタグから情報を読み取る読み取り機能やRFIDタグに情報を書き込む書き込み機能を有している。また、コンテナ識別情報取得部301は、記録媒体1cがラベルである場合には、そのラベルに印字されたバーコードを読み取るバーコードリーダを用いることができる。
【0024】
制御データ記憶部302は、制御データを記憶する。制御データは、バルブ4を制御するために用いられる情報である。計量値取得部303は、計量器29が計量した計量結果(計量値)を取得し、取得した計量結果を開度決定部305及び揺動判定部306に出力する。時間計測部304は、開度レベル(排出口3に対するバルブ4の開き度合)が設定されてからの経過した時間を計測し、計測した時間を揺動判定部306に出力する。
【0025】
開度決定部305は、コンテナID、計量値、及び制御データに基づいて、排出口3に対するバルブ4の開き度合を決定する。コンテナIDは、コンテナ識別情報取得部301によって取得され、開度決定部305に通知される。計量値は、計量値取得部303によって取得され、開度決定部305に通知される。制御データは、制御データ記憶部302に記憶され、開度決定部305が制御データ記憶部302を参照することによって取得される。制御データには、計量値に開度レベル(排出口3に対するバルブ4の開き度合)が対応づけられている。
【0026】
開度決定部305は、コンテナIDに基づいて、制御データ記憶部302を参照することによって、コンテナIDに応じた制御データを取得する。開度決定部305は、取得した制御データにおいて、計量値に対応づけられた開度レベルを抽出する。開度決定部305は、抽出した開度レベルに応じて、排出口3に対するバルブ4の開き度合を取得決定する。
【0027】
揺動判定部306は、コンテナID、計量値、及び制御データに基づいて、流動性物質2の排出を促進するべく、バルブ4を揺動させるか否かを判定する。
【0028】
ここでいう「揺動」は、ホッパー1の排出口3と、ホッパー1の上部投入口とが並ぶ方向(上部投入口が設けられている面)に対する往復運動である。排出口3と上部投入口が鉛直方向に沿うようにホッパー1が設けられている場合には、揺動は鉛直方向(上下方向ともいえる)に対する往復運動である。揺動は、排出口3と上部投入口とが並ぶ方向に対して往復運動するものであればよく、その軌道は、直線軌道に沿っていてもよいし、回転軌道に沿っていてもよい。また、後述する駆動制御部308により制御される振動装置(例えば、バイブレータ)による「振動」は、流動性物質2が集まることで形成されるアーチ形状の径方向に対して力が印加されるものとは限らない。このため、流動性物質2の排出が円滑でない場合が生じ得る。このため、ブリッジ現象を解消させるためには揺動の方が好ましい。
【0029】
コンテナIDは、コンテナ識別情報取得部301によって取得され、揺動判定部306に通知される。計量値は、計量値取得部303によって取得され、揺動判定部306に通知される。制御データは、制御データ記憶部302に記憶され、揺動判定部306が制御データ記憶部302を参照することによって取得される。制御データには、開度レベルに監視時間が対応づけられている。
【0030】
揺動判定部306は、コンテナIDに基づいて、制御データ記憶部302を参照することによって、コンテナIDに応じた制御データを取得する。揺動判定部306は、取得した制御データにおいて、開度レベルに対応づけられた監視時間を抽出する。揺動判定部306は、所定の開度レベルに設定されてから監視時間が経過した時点において、計量値が所定の値に到達していない場合にバルブ4を揺動させると判定する。揺動判定部306は、バルブ4を揺動させた場合、計量値が所定の値に到達した時点で、バルブ4の揺動を終了させると判定する。また、揺動判定部306は、所定の開度レベルに設定されてから監視時間が経過した時点において、計量値が所定の値に到達している、或いは次の開度レベルに設定されている場合、バルブ4を揺動させないと判定する。
【0031】
出力部307は、開度決定部305によって決定された結果、及び揺動判定部306によって判定された結果を、駆動制御部308、及び表示部309に出力する。表示部309は、ディスプレイなどの表示装置を含み、出力部307から出力された情報を表示装置に表示する。
【0032】
駆動制御部308は、出力部307から得られる情報に基づいて、コンテナ40のバルブ4の開き度合を制御するバルブ制御機能を有する。駆動制御部308は、例えば、出力部307から得られる情報に応じた駆動信号をモータ25に出力することによってモータ25を駆動させる。モータ25が駆動されることにより、結果としてバルブ4が上下動して、排出口3に対するバルブ4の開き度合が設定される。計量制御装置30の外部にバルブ制御機能(バルブ制御部)が設けられる場合には、駆動制御部308は、出力部307から得られる情報をバルブ制御部に出力する。
【0033】
また、駆動制御部308は、出力部307から得られる情報に基づいて、バルブ4やコンテナ40を振動させる排出促進機能を駆動させる。計量制御装置30の外部に排出促進機能(振動装置)が設けられる場合には、駆動制御部308は、出力部307から得られる情報に基づいて振動装置をオンまたはオフにする制御信号を振動装置に出力する。これによってバルブ4やコンテナ40に振動を加えたり振動を停止させたりする。振動装置としては、例えば、バルブ4やコンテナ40に振動を加えるバイブレータ装置であってもよい。
【0034】
さらに、駆動制御部308は、出力部307から得られる情報に応じた駆動信号をモータ25に出力することによってモータ25を駆動させる。モータ25が駆動されることにより、結果としてバルブ4が上下動する。これに伴い、バルブ4やバルブ4に接続されるロッド5が連なって上下動する。そして、この上下動が、コンテナ40に収容された流動性物質2に伝搬する。また、例えば、ロッド5の外周面やバルブ4の上部に流動性物質2が当接した状態でロッド5が上下動した場合には、流動性物質2のうちロッド5やバルブ4の上部に当接している部位に対して直接的に排出口3又はホッパー1の上部に向かう方向に力を印加することができブリッジ現象等を解消しやすい。すなわち、上記の振動装置による振動を与えた場合と比較して流動性物質2の排出方向に沿った力が印加されることとなるため、流動性物質2の排出を促すことができ、コンテナ40内に生じた流動性物質2のブリッジ現象が解消できる。例えば、仮にブリッジ現象が発生しそうになっても、アーチ形状の径方向に対して往復する方向に力を印加することができるので、ブリッジ現象を発生し難くすることができ、仮にブリッジ現象が発生したとしても解消しやすい。
【0035】
制御データ記憶部302は、制御データを記憶する。制御データは、バルブ4を制御するために用いられる情報である。ここで、図3は、制御データの一例を示す図である。図3に示すように、制御データは、例えば、開度レベルと、バルブ位置と、計量値と、監視時間と、揺動条件などの項目を備える。
【0036】
開度レベルは、排出口3に対するバルブ4の開き度合を示す情報である。この図において、開度レベルは、00から10までの11レベルに段階的に設定されている。開度レベル00は排出口3の閉鎖に相当する。開度レベル10は排出口3の全開に相当する。このように、例えば、開度レベルは、レベル値が小さいほど閉鎖に近づき、レベル値が大きいほど全開に近づくように段階的に設定される。
【0037】
バルブ位置は、開度レベルに応じたバルブ4の位置を示す情報である。開度レベル00に対応するバルブ位置は、バルブ4が排出口3を密に閉じた状態となる位置であり、バルブ4の最下点位置である。開度レベル10に対応するバルブ位置は、バルブ4が排出口3を全開にした状態となる位置であり、バルブ4の下端が排出口3よりも上部となる位置である。
【0038】
計量値は、開度レベルを変更する閾値となる計量値を示す情報である。例えば、まず計量開始時点において開度レベル10に設定される。開度レベル10で排出が開始され、ある計量値(第1計量値)に到達するとバルブ4の位置が移動されて開度レベル09に変更される。開度レベル09で排出を行い、別の計量値(第2計量値)に到達するとバルブ4の位置が移動されて開度レベル08に変更される。このように、コンテナ40から排出される流動性物質2が所定の計量値に達すると、排出口3に対するバルブ4の開き度合が次段階の開度レベルに変更される。ここで、第1計量値は、第2計量値よりも小さい値である。
【0039】
このように、流動性物質2の計量値と当該流動性物質2の目標値との差に応じて、すなわち計量値が目標値に近づくにしたがって、例えば、排出口3の排出空間が狭められるように、開度レベルに応じたバルブ位置が設定される。目標値は、混合物の配合情報毎に決められており、目的の混合物の種別に応じて決められた原料とその原料の設定排出量(目標値)である。たとえば、混合物Aは、原料aをa1kg、原料bをb1kg、原料cをc1kg混合することを表す配合情報を、制御データ記憶部302などに予め記憶しておき、混合物の種別に応じて、計量する対象の原料と設定排出量を読み出すようにしてもよい。
【0040】
監視時間は、開度レベルに設定されてから経過した時間であり、バルブ4を揺動させるか否かを判定するタイミングを示す情報である。例えば、開度レベル07で排出を行い、ある監視時間(第1監視時間)が経過しても開度レベル06に変更する計量値に到達していない場合、流動性物質2の排出を促進させる処理を行う。その結果、開度レベル06に変更する計量値に到達したら、流動性物質2の排出を促進させる処理を終了させる。
【0041】
排出を促進させる処理として、本実施形態では、計量制御装置30がバルブ4を上下方向に移動させる。これによってバルブ4やロッド5を上下動させることができ、この上下動を流動性物質2に伝搬させることによって排出を妨げているブリッジ現象を解消させ、排出を促進させることが可能となる。
【0042】
揺動条件は、バルブ4を上下動させる場合における条件を示す情報である。揺動条件は、例えば、上限値と、下限値と、揺動種別などの項目が含まれる。上限値は、バルブ4を上下方向に移動させる際の上方向の移動量の上限を示す情報である。上限値は、相対値、或いは絶対値の何れで設定されてもよい。相対値で示される場合、上限値は、例えば、開度レベルを基準として、開度レベルに対応するバルブ位置からの相対値で示される。或いは絶対値で示される場合、上限値は、バルブ位置(開度レベルに対応するバルブ位置よりやや高い位置)で示される。下限値は、バルブ4を上下方向に揺動させる際の下方向の移動量の下限を示す情報である。下限値は、開度レベルを基準とした相対値、或いは絶対値の何れで設定されてもよい。なお、上下動には、上方向のみ、或いは下方向のみに移動させるものを含む。この場合、例えば上方向のみに移動させる場合には、下限値に0(ゼロ)が設定される。下方向のみに移動させる場合には、上限値に0(ゼロ)が設定される。
【0043】
例えば、制御データでは、計量の精度に応じた揺動条件が設定される。例えば、計量値に高い精度が要求される最終段階の開度レベル(例えば、開度レベル01)においては、上限値や下限値が、他の開度レベルで設定された値よりも(絶対値が)小さい値に設定される。すなわち、制御データは、閉塞に近い開度レベルであるほど、バルブ4の揺動幅が小さくなるように設定される。例えば、制御データは、閉塞に最も近い開き度合い(開度レベル)における揺動の幅(バルブ4の揺動幅)が最も小さくなるように設定される。これにより、計量値に高い精度が要求される最終段階では、1回の上下動によって、ごく少量の流動性物質2を落下させることができ、計量の精度を劣化させないようにすることが可能である。
【0044】
このような制御データは、コンテナIDに対応するコンテナ40のバルブ4と排出口3との関係に応じた状況(例えば、クリアランスの状態など)、コンテナに収容される原料の性状、コンテナの排出口のサイズ、原料を排出する速度のうち少なくともいずれか1つに基づいて差に応じて開き度合が決められている。また、このような制御データは、原料毎に決められていてもよいし、同じ原料であっても混合物の種別に応じた配合情報毎に異なる制御データを記憶しておくようにしてもよい。
【0045】
図4から図6は、実施形態に係る表示部309に表示される画面の例を示す図である。図4には、運転画面の例が示されている。運転画面は、計量が実行されている状態において表示される画面である。運転画面には、例えば、画像G1~G8が表示される。画像G1は、開度レベルと、開度レベルに応じたバルブ位置が示された画像である。画像G2は、開度レベルに応じた計量値が示された画像である。画像G1、G2は、例えば、制御データ記憶部302に記憶された制御データに基づく表示である。或いは、運転画面を視認した作業者によって、開度レベルに応じたバルブ位置や、計量値が変更されて再設定されるようにしてもよい。
【0046】
画像G3は、開度レベルと計量時間との関係を可視化したグラフである。このように、計量が行われる過程において、開度レベルと計量時間との関係を可視化して示すようにしてもよい。これにより、作業者が、開度レベルによって計量時間に差があるか否かを確認することができる。例えば、計量時間に差がある場合には、計量時間が長引いている開度レベルが、より大きな排出空間となるようにバルブ位置を変更することにより、計量時間を短縮させることが可能である。
【0047】
画像G4は、開度レベルとバルブ位置との関係を可視化したグラフである。このように、計量が行われる過程において、開度レベルとバルブ位置との関係を可視化して示すようにしてもよい。これにより、作業者が、設定どおりにバルブ位置が変更されているか確認することができる。また、開度レベルとバルブ位置との関係をリアルタイムに示すことにより、排出がスムーズに行われているか、排出の効率が低下していないかを作業者が確認することもできる。
【0048】
画像G5は、計量を開始させる操作ボタンである。このような操作ボタンを設けることによって、作業者が、開度レベルに応じたバルブ位置などを確認したうえで、計量を開始させることが可能である。画像G6は、計量を停止させる操作ボタンである。このような操作ボタンを設けることによって、作業者が、計量時間が長引いている場合などに計量を一旦停止させ、バルブ位置などを再設定することが可能である。画像G7は、揺動(往復動作)条件を設定する操作ボタンである。このような操作ボタンを設けることによって、作業者が、揺動条件を設定することが可能である。
【0049】
図5には、設定画面の例が示されている。設定画面は、開度レベルに応じたバルブ位置や計量値、及び監視時間や揺動条件などを作業者が設定する画面である。作業者が設定画面を操作することによって設定された内容が、制御データとして制御データ記憶部302に記憶されるようにしてもよい。設定画面には、例えば、画像G1、G2、及びG9が表示される。画像G1、G2は、図4における画像G1、G2と同様である。画像G9は、開度レベルに応じた揺動条件(上限値と下限値)、及び監視時間が示された画像である。
【0050】
図6には、揺動設定の画面例が示されている。揺動設定の画面は、開度レベルに応じた監視時間や揺動条件(往復動作条件)、つまり上限値と下限値、及び監視時間などが設定される画面である。揺動設定の画面は、例えば、図5の設定画面の画像G9が拡大されて表示された画面である。揺動設定の画面には、例えば、画像G10が表示される。
【0051】
図7は、排出装置が行う処理の流れを説明するフローチャートである。
まず、計量制御装置30は、配合情報を取得する(ステップS101)。配合情報は、目的の混合物の種別に応じて決められた原料とその原料の設定排出量(目標値)が対応づけられた情報である。計量制御装置30は、例えば、作業者によって操作入力されることにより、計量制御装置30の入力部(不図示)から配合情報を取得する。
【0052】
ここで、計量制御装置30は、配合情報に対応する制御データを制御データ記憶部302から読み出す。ここで、計量制御装置30は、この配合情報に従い、混合物として混合させる原料を計量する順序に従い、最初に計量する原料の種類を表示部309あるいは排出装置に設けられた表示パネルに表示させることができる。作業者は、この表示パネルに表示された原料が入れられたコンテナ40を倉庫から搬送し、排出装置にセットする。
【0053】
コンテナ40が排出装置にセットされた後、コンテナ40がセットされたことが計量制御装置30の入力部から入力されると、計量制御装置30は、コンテナ40がセットされたことを検出する(ステップS102)。計量制御装置30は、コンテナ識別情報取得部301によって、コンテナ40に取り付けられたコンテナIDを取得する(ステップS103)。
【0054】
計量制御装置30は、得られたコンテナIDに対応する制御データを制御データ記憶部302から取得する(ステップS104)。計量制御装置30は、制御データに基づいて、排出口3に対するバルブ4の開き度合(開度レベル)を決定し、その内容示す情報(結果)を駆動制御部308に出力する。駆動制御部308が取得した情報に基づいてモータ25を駆動することにより、バルブ位置が移動し、流動性物質2の排出が開始される。
【0055】
計量制御装置30は、コンテナ40から排出された流動性物質2の計量値が所定の値に達したか否かを判定する(ステップS106)。計量制御装置30は、コンテナ40から排出された流動性物質2の計量値が所定の値に達していない場合、監視時間が経過したか否かを判定する(ステップS109)。計量制御装置30は、監視時間が経過した場合、バルブ4の揺動を開始させる(ステップS110)。計量制御装置30は、バルブ4を揺動させた後、流動性物質2の計量値が所定の値に達したか否かを判定する(ステップS111)。計量制御装置30は、流動性物質2の計量値が所定の値に達した場合、バルブ4の揺動を終了させる(ステップS112)。
【0056】
計量制御装置30は、流動性物質2の計量が終了したか否かを判定する(ステップS107)。計量制御装置30は、流動性物質2の計量が終了していない場合には、ステップS105に戻って、バルブの開度を、次の開度レベルに設定して計量を続ける。
【0057】
計量制御装置30は、流動性物質2の計量が終了した場合には、配合情報に基づく混合が終了したか否かを判定する。計量制御装置30は、配合情報に基づく混合が終了していない場合、ステップS102に戻って、次に混合する流動性物質2を収容した別のコンテナがセットされるのを待つ。計量制御装置30は、配合情報に基づく混合が終了した場合処理を終了させる。
【0058】
一方、ステップS106において、計量制御装置30は、コンテナ40から排出された流動性物質2の計量値が所定の値に達した場合、ステップS107に示す処理に進む。
【0059】
以上、説明したとおり、実施形態の計量制御装置30は、制御データ記憶部302と、計量値取得部303と、開度決定部305と、揺動判定部306と、出力部307とを備える。制御データ記憶部302は、コンテナ40の排出口3から排出される原料の計量値に、排出口3に対応するバルブ4の開き度合が対応づけられたデータを含む制御データを記憶する。計量値取得部303は、計量対象の原料が収容されるコンテナから排出された原料の計量値を取得する。開度決定部305は、計量値取得部303によって取得された計量値と、制御データ記憶部302に記憶された制御データとに基づいて、バルブ4の開き度合を決定する。揺動判定部306は、バルブ4が所定の開き度合に設定されてから所定の監視時間が経過した後に計量値取得部303によって取得された計量値に基づいて、バルブ4を揺動させるか否かを判定する。出力部307は、開度決定部305によって決定された結果、及び揺動判定部306によって判定された結果を、バルブ4を制御する駆動制御部308に出力する。
【0060】
これにより、実施形態の計量制御装置30は、監視時間が経過した時点の状況に応じてバルブ4を揺動させるか否かを判定することができる。すなわち、計量が長引いて監視時間が経過した場合に、排出を促進させることが可能である。したがって、計量に要する時間を長引かせないようにすることができる。
【0061】
ここで比較例について検討する。計量中に生じるブリッジ現象を解消させる構成として、常時、バルブ4を揺動させる構成が比較例として考えられる。この比較例の場合、排出口3の排出空間が比較的大きな開度に設定されている場合にもバルブ4が揺動することとなる。この場合、コンテナ40に収容されている流動性物質2が一気に排出されてしまうことが考えられる。流動性物質2が一気に排出されると、バルブ4を閉じていっても流動性物質2が排出されるスピードに追い付かず、設定重量を超えてしまう、いわゆるオーバーシュートが生じ易くなる。オーバーシュートが生じると、精度よく計量することが困難となる。さらに、一旦オーバーシュートしてしまうと、計量容器28から設定重量を超えた重量(超過量)を抜き出す作業が別途必要となる。手作業により超過量の抜き出しする場合には、計量制御装置30による制御を停止させて、作業を行う必要がある。さらに、複数の原料を混合する混合物を生成する場合には、計量した全量を抜き出す作業を行わなくてはならない。このため計量に係る対象設備の稼働率を低下させてしまう要因となる。
【0062】
また、別の比較例として、ある開度レベルに設定されてから所定の時間が経過したら、その時点の計量値に関わらず、バルブ4を揺動させる構成が考えられる。この場合、バルブ4を揺動させるタイミングをうまく設定することで、効率よく計量を行うことが可能になるとも考えられる。しかしながら、原料によっては、季節によって性状が異なる場合がある。例えば、湿度が高い時期については、流動する度合が低くなりブリッジ現象が生じ易くなる場合もあり得る。この場合、ある季節(或いはある天候の日)には、バルブ4を揺動させるタイミングがよく効率よく計量を行うことができるが、別の季節等には、オーバーシュート等が発生して、稼働率を低下させてしまう可能性がある。
【0063】
これに対し、本実施形態では、バルブ4のバルブ位置が、ある開度レベルに設定されてから所定の監視時間が経過した時点において、計量値が所定の値に達していない場合に、バルブ4を揺動させる。このため、計量が長引いている場合に限り、揺動によって排出を促進させることが可能である。したがって、計量が想定通りに進んでいる場合には、排出を促進させることがない。したがって、排出の不良を解消させつつ、オーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0064】
また、オーバーシュートを生じさせることなく計量することができるため、計量の精度が安定するという効果を奏する。特に、計量の最終段階で設定される開度レベル(例えば、開度レベル01)においては、排出口3がほとんど閉塞された状態でバルブ4を小さく上下動させることにより流動性物質2にバルブ4の上下動に伴う微小なエネルギを伝搬させて衝撃を与え、排出を促進させることとなる。これによって、1回ごとの上下動によって、例えばごく少量の流動性物質2が排出される。この場合、排出量の微調整ができる。したがって、計量時間を短くでき、かつ、計量精度が安定する。
【0065】
また、実施形態の計量制御装置30では、制御データは、流動性物質2における目標値までの複数の計量値が段階的に設定され、その複数の計量値のそれぞれの開度レベル(バルブの開き度合)に応じた監視時間が対応づけられたデータを含む。これによって、実施形態の計量制御装置30では、開度レベルに応じた監視時間を設定することができる。このため、例えば、ブリッジ現象が発生することによって排出不良が生じやすい開度レベル(例えば、開度レベル01~03など)は、比較的早めにバルブ4を揺動させるか否かを判定するようにして、計量が長引かないように制御することが可能となる。
【0066】
また、実施形態の計量制御装置30では、揺動判定部306は、開度レベル10に対応する計量値(制御データに示される複数の計量値のうちの第1計量値)に対応してバルブ4が所定の開き度合に設定されてから、開度レベル10に対応する監視時間(第1計量値に対応する監視時間)が経過した時点における計量値が、開度レベル10から開度レベル09に変更する計量値第1計量値に到達していない場合、バルブ4を揺動させると判定する。これにより、実施形態の計量制御装置30では、計量値を比較するという簡単な処理で、計量が長引いているか否かを判定することができる。
【0067】
また、実施形態の計量制御装置30では、計量制御装置30は、開度レベル10に対応する計量値に対応してバルブ4が所定の開き度合に設定されてから、開度レベル10に対応する監視時間が経過した時点における計量値の単位時間当たりの変化量が、所定の閾値未満である場合、バルブ4を揺動させると判定する。これにより、実施形態の計量制御装置30では、計量値の変化量を閾値と比較するという簡単な処理で、計量が長引いているか否かを判定することができる。
【0068】
また、実施形態の計量制御装置30では、バルブ4は、コンテナ40において垂直方向へ上下動可能に設置され、駆動制御部308は、バルブ4を垂直方向へ上下動させる。これにより、実施形態の計量制御装置30では、既存のバルブ4の開閉機構(バルブ4を上下動させる昇降装置7)を利用して、流動性物質2の排出を促進させることが可能である。したがって、バルブ4に、振動させる特別な装置(例えば、バイブレータなどの振動装置)を設ける必要がない。
【0069】
また、実施形態の計量制御装置30では、制御データは、コンテナ40から排出される流動性物質2の計量値と、流動性物質2の目標値の量との差に応じて設定された計量値に、バルブ4を垂直方向へ上下動させる場合における、上方向への移動量を示す上限値又は下方向への移動量を示す下限値の少なくとも一方が対応づけられたデータを含む。これにより、実施形態の計量制御装置30では、開度レベルに応じた移動幅でバルブ4を上下動させることができる。
【0070】
また、実施形態の計量制御装置30は、コンテナ識別情報取得部301を更に有する。コンテナ識別情報取得部301は、コンテナ40に取り付けられたコンテナID(コンテナ識別情報)を取得する。これにより、実施形態の計量制御装置30は、コンテナ40に収容された流動性物質2の性状や計量の目標値に応じた制御データを用いて計量を制御することができる。
【0071】
また、実施形態の排出装置(計量コンテナシステム)は、コンテナ40と、計量容器28と、計量器29と、計量制御装置30とを備える。コンテナ40は、計量対象の原料が収容される。計量容器28は、コンテナ40から排出される原料を受け入れる。計量器29は、計量容器28の重量を計量する。計量制御装置30は、コンテナ40から排出される流動性物質2の排出量を制御する。これにより、実施形態の排出装置は、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0072】
(実施形態の変形例1)
実施形態の変形例1について説明する。本変形例では、単位時間当たりの重量(計量値)の変化量に基づいて、バルブ4を揺動させるか否かを判定する点において、上述した実施形態と相違する。
本変形例では、計量値取得部303は、定期的に流動性物質2の計量値を取得し、取得した計量値を揺動判定部306に出力する。揺動判定部306は、監視時間が経過した時点において、今回取得した計量値と、前回取得した計量値とに基づいて、単位時間当たりの計量値の変化量を算出する。揺動判定部306は、算出した変化量が所定の閾値未満である場合、排出が進んでいない、つまり計量が長引いているとして、排出を促進させるべく、バルブ4を揺動させると判定する。
【0073】
(実施形態の変形例2)
実施形態の変形例2について説明する。本変形例では、想定重量と実際の計量値との差分量に基づいて、バルブ4を揺動させるか否かを判定する点において、上述した実施形態と相違する。想定重量は、監視時間が経過した時点において想定される計量値である。
本変形例では、制御データ記憶部302に、予め想定重量が記憶される。この場合、例えば、制御データは、監視時間に対応づけられた想定重量を示す情報が含まれる。揺動判定部306は、監視時間が経過した時点において、計量値取得部303から取得した計量値と、制御データに示される想定重量との差分量を算出する。揺動判定部306は、算出した差分量が所定の閾値以上である場合、想定された量の排出が進んでいない、つまり計量が長引いているとして、排出を促進させるべく、バルブ4を揺動させると判定する。
【0074】
また、上記では、バルブ4が、コンテナ40の上方から支持される場合を例に説明した。しかしながらこれに限定されることはない。バルブ4は、少なくとも揺動可能であればよく、望ましくは上下動可能であればよい。例えば、コンテナ40の下方からバルブ4が支持される構成であってもよい。
【0075】
また、上記では、バルブ4がコンテナ40の内部に収容される場合を例に説明した。しかしながらこれに限定されることはない。コンテナ40の外部にバルブ4が設けられた構成であってもよい。
【0076】
また、バルブ4の形状がコーン形状に限定されることはない。バルブ4が揺動可能であれば、任意の形状であってよい。例えば、バルブ4が、バタフライバルブやチョークバルブなどであってもよい。
【0077】
上述した実施形態における計量制御装置30の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0078】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1c 記録媒体、3 排出口、4 バルブ、40 コンテナ、28 計量容器、29 計量器、30 計量制御装置、301 コンテナ識別情報取得部、302 制御データ記憶部、303 計量値取得部、304 時間計測部、305 開度決定部、306 揺動判定部、307 出力部、308 駆動制御部、309 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7