(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】車両電源システム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/033 20060101AFI20240112BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20240112BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240112BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240112BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B60R16/033 B
B60R16/03 V
H02J7/00 P
H01M10/48 P
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2020150194
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】杉村 一男
(72)【発明者】
【氏名】重實 泰行
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-232724(JP,A)
【文献】特開2019-190104(JP,A)
【文献】特開2016-134952(JP,A)
【文献】特開2014-171311(JP,A)
【文献】国際公開第2015/159951(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104161(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/03 ; 16/033
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、当該車両の外部に設けられる外部電源に接続可能な電源接続部と、
前記車両に設けられ電力を充放電可能なバッテリと、
前記バッテリと負荷部との間を電力伝送可能に接続するバッテリ電力伝送経路と、
前記電源接続部を介して前記外部電源と前記負荷部との間を電力伝送可能に接続する外部電力伝送経路と、
前記負荷部への電力伝送経路を前記バッテリ電力伝送経路又は前記外部電力伝送経路に切り替え可能な電源切替部と、
情報を受信可能な通信部と、
前記通信部により受信した情報に基づいて前記電源切替部を制御する制御部と、を備え、
前記通信部は、前記車両の外部から、前記外部電源によって供給される電力に関する外部電力関連情報を受信し、
前記制御部は、前記通信部により受信した前記外部電力関連情報、及び、前記バッテリの充電量に基づいて前記電源切替部を制御し、前記外部電源よりも前記バッテリを優先して当該バッテリから前記バッテリ電力伝送経路を介して前記負荷部に電力を供給するバッテリ優先モード、又は、前記バッテリよりも前記外部電源を優先して当該外部電源から前記外部電力伝送経路を介して前記負荷部に電力を供給する外部電源優先モードに切り替えて前記負荷部に電力を供給することを特徴とする車両電源システム。
【請求項2】
前記外部電力関連情報は、少なくとも、前記外部電源から供給される商用電力の需給状況を表す需給情報、前記商用電力の電気料金を表す料金情報、及び、前記商用電力の発電に用いられる資源を表す資源情報の1つを含む請求項1に記載の車両電源システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記需給情報が、供給電力量に対する需要電力量の比率が相対的に高いことを表す場合には前記バッテリ優先モードを優先する傾向とし、前記需給情報が、前記比率が相対的に低いことを表す場合には前記外部電源優先モードを優先する傾向とし、
前記料金情報が、前記電気料金が相対的に高いことを表す場合には前記バッテリ優先モードを優先する傾向とし、前記料金情報が、前記電気料金が相対的に安いことを表す場合には前記外部電源優先モードを優先する傾向とし、
前記資源情報が、前記発電に用いられる資源が化石燃料を表す場合には前記バッテリ優先モードを優先する傾向とし、前記資源情報が、前記発電に用いられる資源が再生可能エネルギーを表す場合には前記外部電源優先モードを優先する傾向とした上で、
前記需給情報、前記料金情報、及び、前記資源情報を組み合わせて、前記バッテリ優先モード又は前記外部電源優先モードに切り替える請求項2に記載の車両電源システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信部により受信した前記外部電力関連情報、前記バッテリの充電量に加えて、さらに前記負荷部の要求電力に基づいて前記電源切替部を制御し、前記バッテリ優先モード又は前記外部電源優先モードに切り替える請求項1~3のいずれか1項に記載の車両電源システム。
【請求項5】
前記バッテリ及び前記外部電源からの電力を前記負荷部へ供給する供給状態と当該電力の供給を遮断した遮断状態とを切替可能な給電遮断部をさらに備え、
前記負荷部は、相対的に優先度が高い高優先度負荷部、及び、相対的に優先度が低い低優先度負荷部を含み、
前記給電遮断部は、前記高優先度負荷部及び前記低優先度負荷部に対して個別に前記供給状態と前記遮断状態とを切り替え可能であり、
前記制御部は、前記外部電源優先モードの場合、前記給電遮断部を制御し、前記高優先度負荷部及び前記低優先度負荷部の双方に電力を供給し、
前記バッテリ優先モードの場合、前記給電遮断部を制御し、前記高優先度負荷部に電力を供給し、かつ、前記低優先度負荷部に電力を供給しない請求項1~4のいずれか1項に記載の車両電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両電源システムとして、例えば、特許文献1には、外部電源に接続される充電コネクタと、車両に設けられ負荷部に電力を供給するメインバッテリと、外部電源から負荷部に供給される第1供給経路又はメインバッテリから負荷部に供給される第2供給経路に切り替えるリレーとを備える電動車両が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の電動車両は、例えば、外部電源及びメインバッテリの状況に応じて、それぞれを最適に使い分けて負荷部に電力を供給することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、負荷部に電力を適正に供給することができる車両電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両電源システムは、車両に設けられ、当該車両の外部に設けられる外部電源に接続可能な電源接続部と、前記車両に設けられ電力を充放電可能なバッテリと、前記バッテリと負荷部との間を電力伝送可能に接続するバッテリ電力伝送経路と、前記電源接続部を介して前記外部電源と前記負荷部との間を電力伝送可能に接続する外部電力伝送経路と、前記負荷部への電力伝送経路を前記バッテリ電力伝送経路又は前記外部電力伝送経路に切り替え可能な電源切替部と、情報を受信可能な通信部と、前記通信部により受信した情報に基づいて前記電源切替部を制御する制御部と、を備え、前記通信部は、前記車両の外部から、前記外部電源によって供給される電力に関する外部電力関連情報を受信し、前記制御部は、前記通信部により受信した前記外部電力関連情報、及び、前記バッテリの充電量に基づいて前記電源切替部を制御し、前記外部電源よりも前記バッテリを優先して当該バッテリから前記バッテリ電力伝送経路を介して前記負荷部に電力を供給するバッテリ優先モード、又は、前記バッテリよりも前記外部電源を優先して当該外部電源から前記外部電力伝送経路を介して前記負荷部に電力を供給する外部電源優先モードに切り替えて前記負荷部に電力を供給することを特徴とする。
【0007】
上記車両電源システムにおいて、前記外部電力関連情報は、少なくとも、前記外部電源から供給される商用電力の需給状況を表す需給情報、前記商用電力の電気料金を表す料金情報、及び、前記商用電力の発電に用いられる資源を表す資源情報の1つを含むことが好ましい。
【0008】
上記車両電源システムにおいて、前記制御部は、前記需給情報が、供給電力量に対する需要電力量の比率が相対的に高いことを表す場合には前記バッテリ優先モードを優先する傾向とし、前記需給情報が、前記比率が相対的に低いことを表す場合には前記外部電源優先モードを優先する傾向とし、前記料金情報が、前記電気料金が相対的に高いことを表す場合には前記バッテリ優先モードを優先する傾向とし、前記料金情報が、前記電気料金が相対的に安いことを表す場合には前記外部電源優先モードを優先する傾向とし、前記資源情報が、前記発電に用いられる資源が化石燃料を表す場合には前記バッテリ優先モードを優先する傾向とし、前記資源情報が、前記発電に用いられる資源が再生可能エネルギーを表す場合には前記外部電源優先モードを優先する傾向とした上で、前記需給情報、前記料金情報、及び、前記資源情報を組み合わせて、前記バッテリ優先モード又は前記外部電源優先モードに切り替えることが好ましい。
【0009】
上記車両電源システムにおいて、前記制御部は、前記通信部により受信した前記外部電力関連情報、前記バッテリの充電量に加えて、さらに前記負荷部の要求電力に基づいて前記電源切替部を制御し、前記バッテリ優先モード又は前記外部電源優先モードに切り替えることが好ましい。
【0010】
上記車両電源システムにおいて、前記バッテリ及び前記外部電源からの電力を前記負荷部へ供給する供給状態と当該電力の供給を遮断した遮断状態とを切替可能な給電遮断部をさらに備え、前記負荷部は、相対的に優先度が高い高優先度負荷部、及び、相対的に優先度が低い低優先度負荷部を含み、前記給電遮断部は、前記高優先度負荷部及び前記低優先度負荷部に対して個別に前記供給状態と前記遮断状態とを切り替え可能であり、前記制御部は、前記外部電源優先モードの場合、前記給電遮断部を制御し、前記高優先度負荷部及び前記低優先度負荷部の双方に電力を供給し、前記バッテリ優先モードの場合、前記給電遮断部を制御し、前記高優先度負荷部に電力を供給し、かつ、前記低優先度負荷部に電力を供給しないことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両電源システムは、外部電力関連情報及びバッテリの充電量に基づいてバッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替えることにより、負荷部に電力を適正に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両電源システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電源切替部の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る各リレーのON/OFFのパターンを示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る外部電源又はバッテリを優先する判断基準を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電源切替部の切替例(異常電流発生)を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電源切替部の切替例(バッテリ充電)を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電源切替部の切替例(外部電源優先モード)を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る電源切替部の切替例(バッテリ優先モード)を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る車両電源システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係る車両電源システム1について説明する。
図1は、実施形態に係る車両電源システム1の構成例を示すブロック図である。
図2は、実施形態に係る電源切替部81の構成例を示すブロック図である。
図3は、実施形態に係る各リレーのON/OFFのパターンを示す図である。
図4は、実施形態に係る外部電源P又はバッテリ20を優先する判断基準を示す図である。
図5は、実施形態に係る電源切替部81の切替例(異常電流発生)を示すブロック図である。
図6は、実施形態に係る電源切替部81の切替例(バッテリ充電)を示すブロック図である。
図7は、実施形態に係る電源切替部81の切替例(外部電源優先モード)を示すブロック図である。
図8は、実施形態に係る電源切替部81の切替例(バッテリ優先モード)を示すブロック図である。
【0015】
車両電源システム1は、外部電源P又はバッテリ20から供給される電力を電気機器(負荷部)LDに供給するものである。車両電源システム1は、例えば、冷蔵機器等を備えたキッチンカー(フードトラック)、照明等の家電機器を備えたキャンピングカー、広告用ディスプレイ等を備えた物品の販売車両、キャンプ場等で使用される一般車両、リビングやオフィスとして使用される車両等に搭載され、各車両に搭載された電気機器に電力を供給する。以下、車両電源システム1について詳細に説明する。
【0016】
車両電源システム1は、
図1に示すように、電源接続部としての外部電源インレット10と、バッテリ20と、バッテリ監視ユニット30と、AC/DCコンバータ40と、電力伝送路50と、交流電源分岐ボックスBXとを備える。
【0017】
外部電源インレット10は、外部電源Pから供給される電力を入力する給電ポートである。外部電源インレット10は、車両Vに設けられ、当該車両Vの外部に設けられる外部電源Pに接続可能である。ここで、外部電源Pは、例えば、電力会社(発電所)に設けられた発電システムであり、各地の充電ステーションに設置された充電器を介して充電対象に電力を供給する。外部電源インレット10は、充電器のコネクタが挿し込まれることで当該外部電源Pに電気的に接続され、当該外部電源Pから供給される交流電力(単に、「電力」とも称する。)が入力される。外部電源インレット10は、交流電源分岐ボックスBXに接続され、外部電源Pから入力された交流電力を交流電源分岐ボックスBXに供給する。
【0018】
バッテリ20は、直流電力を充放電可能な蓄電池であり、車両Vに設けられている。バッテリ20は、例えば、リチウムイオン電池であり、複数の電池セルを含んで構成される。バッテリ20は、AC/DCコンバータ40を介して交流電源分岐ボックスBXに接続されている。バッテリ20は、交流電源分岐ボックスBX、AC/DCコンバータ40を介して供給される外部電源Pからの電力を充電する。また、バッテリ20は、充電した電力をAC/DCコンバータ40、交流電源分岐ボックスBXを介して電気機器LDに供給する。
【0019】
バッテリ監視ユニット30は、バッテリ20の状態を監視するものである。バッテリ監視ユニット30は、例えば、バッテリマネージメントシステム(BMS;Battery Management System)と称されるものであり、バッテリ20の電圧、電流、温度、充電量(充電状態:SOC)を監視し、さらに複数の電池セルのセルバランシングを行う。バッテリ監視ユニット30は、交流電源分岐ボックスBXに接続され、監視結果を表す情報を交流電源分岐ボックスBXに出力する。
【0020】
AC/DCコンバータ40は、交流電力を直流電力に変換可能であり、かつ、直流電力を交流電力に変換可能な変換器である。AC/DCコンバータ40は、バッテリ20と交流電源分岐ボックスBXとの間に設けられ、バッテリ20及び交流電源分岐ボックスBXに接続されている。AC/DCコンバータ40は、外部電源Pから交流電源分岐ボックスBXを介して供給される交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力をバッテリ20に供給する。また、AC/DCコンバータ40は、バッテリ20から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を交流電源分岐ボックスBXを介して電気機器LDに供給する。
【0021】
電力伝送路50は、電力を伝送可能な経路である。電力伝送路50は、充電電力伝送経路51と、外部電力伝送経路52と、バッテリ電力伝送経路53とを含んで構成される。
【0022】
充電電力伝送経路51は、バッテリ20を充電する際の電力伝送経路である。充電電力伝送経路51は、外部電源Pとバッテリ20との間を電力伝送可能に接続する経路であり、例えば、外部電源Pから、外部電源インレット10、交流電源分岐ボックスBX、及び、AC/DCコンバータ40を経てバッテリ20に至るまでの経路である。充電電力伝送経路51は、外部電源Pから供給された電力をバッテリ20まで伝送する。
【0023】
外部電力伝送経路52は、外部電源Pから供給される電力を電気機器LDに供給する際の電力伝送経路である。外部電力伝送経路52は、外部電源インレット10を介して外部電源Pと電気機器LDとの間を電力伝送可能に接続する経路であり、例えば、外部電源Pから、外部電源インレット10、及び、交流電源分岐ボックスBXを経て電気機器LDに至るまでの経路である。外部電力伝送経路52は、外部電源Pから供給された電力を電気機器LDまで伝送する。
【0024】
バッテリ電力伝送経路53は、バッテリ20から供給される電力を電気機器LDに供給する際の電力伝送経路である。バッテリ電力伝送経路53は、バッテリ20と電気機器LDとの間を電力伝送可能に接続する経路であり、例えば、バッテリ20から、AC/DCコンバータ40、及び、交流電源分岐ボックスBXを経て電気機器LDに至るまでの経路である。バッテリ電力伝送経路53は、バッテリ20から供給された電力を電気機器LDまで伝送する。
【0025】
交流電源分岐ボックスBXは、交流電力の供給経路を切り替えるものである。交流電源分岐ボックスBXは、計測部60と、通信I/F70と、切替部80とを含んで構成される。計測部60は、電流及び電圧を計測するものである。計測部60は、電流計測部61と、電圧計測部62とを含んで構成される。
【0026】
電流計測部61は、電流を計測するものである。電流計測部61は、外部電源インレット10と切替部80との間に設けられ、外部電源インレット10と切替部80との間に流れる交流電流を計測する。つまり、電流計測部61は、外部電源Pから切替部80に供給される交流電力の交流電流を計測する。また、電流計測部61は、バッテリ20と切替部80との間に設けられ、バッテリ20と切替部80との間に流れる交流電流を計測する。つまり、電流計測部61は、AC/DCコンバータ40によりバッテリ20から供給される直流電力を交流電力に変換した後、切替部80に供給される当該交流電力の交流電流を計測する。電流計測部61は、制御部90に接続され、計測した交流電流の電流値を制御部90に出力する。
【0027】
電圧計測部62は、電圧を計測するものである。電圧計測部62は、外部電源インレット10と切替部80との間に設けられ、外部電源インレット10と切替部80との間に印加される電圧を計測する。つまり、電圧計測部62は、外部電源Pから切替部80に供給される交流電力の交流電圧を計測する。また、電圧計測部62は、バッテリ20と切替部80との間に設けられ、バッテリ20と切替部80との間に印加される電圧を計測する。つまり、電圧計測部62は、AC/DCコンバータ40によりバッテリ20から供給される直流電力を交流電力に変換した後、切替部80に供給される当該交流電力の交流電圧を計測する。電圧計測部62は、制御部90に接続され、計測した交流電圧の電圧値を制御部90に出力する。
【0028】
通信I/F70は、情報を送受信するものである。通信I/F70は、車内通信I/F71と、通信部としての外部通信I/F72とを含んで構成される。
【0029】
車内通信I/F71は、車両V内で通信を行うものである。車内通信I/F71は、バッテリ監視ユニット30及び制御部90に接続され、バッテリ監視ユニット30から出力される監視結果を表す情報を制御部90に出力する。また、車内通信I/F71は、車載ECU101に接続され、制御部90と車載ECU101との間で通信を行う。車内通信I/F71は、例えば、車両V内で消費した電力、バッテリ20の状態、切替部80の制御等について、制御部90と車載ECU101との間で通信を行う。
【0030】
外部通信I/F72は、車両Vの外部と通信を行うものである。外部通信I/F72は、例えば、制御部90に接続され、当該制御部90との間で通信すると共に、車両Vの外部装置(例えば、管理装置M)との間で無線通信する。ここで、外部装置としての管理装置Mは、例えば、外部電源Pから供給される電力(商用電力)を管理する電力会社に設置されている。管理装置Mは、例えば、外部電源Pによって供給される電力に関する外部電力関連情報(例えば、電力のひっ迫を含む情報)を送信する。外部通信I/F72は、この外部電力関連情報を管理装置Mから受信し、受信した外部電力関連情報を制御部90に出力する。なお、外部通信I/F72は、車両V内で消費した消費電力を表す消費電力情報を電力会社や車両Vを管理する事業者等に送信してもよい。事業者は、この消費電力情報に基づいて車両Vの消費電力を管理し、それぞれの車両Vのバッテリ20を効率的に使用することができる。
【0031】
切替部80は、電力伝送経路の切り替えや、電気機器LDへ供給される電力を給電又は遮断するものである。切替部80は、
図2に示すように、電源切替部81と、給電遮断部82と、電流計測部83とを含んで構成される。電源切替部81は、電気機器LDへの電力伝送経路を切り替えるものである。電源切替部81は、第1リレーユニット81Aと、第2リレーユニット81Bとを含んで構成される。
【0032】
第1リレーユニット81Aは、電力を供給する供給状態又は電力を遮断する遮断状態に切り替えるものであり、リレー81aと、リレー81bとを含んで構成される。リレー81aは、外部電源Pと電気機器LDとの間を接続する外部電力伝送経路52において、当該外部電力伝送経路52の上流側に設けられている。リレー81bは、外部電力伝送経路52の下流側に設けられている。リレー81a、81bは、制御部90に接続され、当該制御部90から出力される制御信号に基づいてON/OFFする。リレー81a、81bは、ONすることで外部電力伝送経路52を供給状態とし、OFFすることで外部電力伝送経路52を遮断状態とする。
【0033】
第2リレーユニット81Bは、電力を供給する供給状態又は電力を遮断する遮断状態に切り替えるものであり、リレー81cと、リレー81dとを含んで構成される。リレー81cは、バッテリ20と電気機器LDとの間を接続するバッテリ電力伝送経路53において、当該バッテリ電力伝送経路53の上流側に設けられている。リレー81dは、バッテリ電力伝送経路53の下流側に設けられている。リレー81c、81dは、制御部90に接続され、当該制御部90から出力される制御信号に基づいてON/OFFする。リレー81c、81dは、ONすることでバッテリ電力伝送経路53を供給状態とし、OFFすることでバッテリ電力伝送経路53を遮断状態とする。
【0034】
そして、電源切替部81は、第1リレーユニット81A及び第2リレーユニット81BをON/OFFことで、電気機器LDへの電力伝送経路をバッテリ電力伝送経路53又は外部電力伝送経路52に切り替える。電源切替部81は、例えば、第1リレーユニット81AをONしかつ第2リレーユニット81BをOFFすることで、電気機器LDへの電力伝送経路を外部電力伝送経路52に切り替える。一方で、電源切替部81は、第1リレーユニット81AをOFFしかつ第2リレーユニット81BをONすることで、電気機器LDへの電力伝送経路をバッテリ電力伝送経路53に切り替える。
【0035】
給電遮断部82は、電気機器LDへ供給される電力を給電又は遮断するものである。給電遮断部82は、複数のリレーユニット82A、82Bを含んで構成されている。複数のリレーユニット82A、82Bは、それぞれ電気機器LDに対応して設けられている。
【0036】
リレーユニット82Aは、リレー82aと、リレー82bとを含んで構成される。リレー82aは、バッテリ20及び外部電源Pと電気機器LD1とを接続する電力伝送経路において、当該電力伝送経路の上流側に設けられている。リレー82bは、当該電力伝送経路の下流側に設けられている。リレー82a、82bは、制御部90に接続され、当該制御部90から出力される制御信号に基づいてON/OFFする。リレー82a、82bは、ONすることでバッテリ20及び外部電源Pからの電力を電気機器LD1へ供給する供給状態とし、OFFすることで当該電力の供給を遮断した遮断状態とする。ここで、電気機器LD1は、相対的に優先度が高い高優先度電気機器であり、例えば、車両Vがフードトラックのように冷蔵機器を搭載する車両の場合、冷蔵機器への電源が喪失すると食材を保管することができないため、当該冷蔵機器が高優先度電気機器に相当する。なお、電気機器LD1は、高優先度電気機器LD1とも称する場合がある。
【0037】
リレーユニット82Bは、リレー82cと、リレー82dとを含んで構成される。リレー82cは、バッテリ20及び外部電源Pと電気機器LD2とを接続する電力伝送経路において、当該電力伝送経路の上流側に設けられている。リレー82dは、当該電力伝送経路の下流側に設けられている。リレー82c、82dは、制御部90に接続され、当該制御部90から出力される制御信号に基づいてON/OFFする。リレー82c、82dは、ONすることでバッテリ20及び外部電源Pからの電力を電気機器LD2へ供給する供給状態とし、OFFすることで当該電力の供給を遮断した遮断状態とする。ここで、電気機器LD2は、相対的に優先度が低い低優先度電気機器であり、例えば、車両Vが広告用ディスプレイ等を備えた物品の販売車両の場合、広告用ディスプレイへの電源が喪失しても物品の販売を継続することができるため、当該広告用ディスプレイが低優先度電気機器に相当する。なお、電気機器LD2は、低優先度電気機器LD2とも称する場合がある。
【0038】
このように、給電遮断部82は、リレーユニット82A、82BのON/OFFを切り替えることで、バッテリ20及び外部電源Pからの電力を高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2に供給し、又は、当該電力を遮断して高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2に供給しない。そして、給電遮断部82は、高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2に対して個別に供給状態と遮断状態とを切り替え可能である。つまり、給電遮断部82は、電源の状況に応じて、高優先度電気機器LD1に電力を供給し、かつ、低優先度電気機器LD2に供給する電力を遮断することができる。
【0039】
電流計測部83は、電流を計測するものである。電流計測部83は、給電遮断部82と電気機器LDとの間に設けられ、給電遮断部82と電気機器LDとの間に流れる交流電流を計測する。つまり、電流計測部83は、外部電源Pから電気機器LDに供給される交流電力の交流電流を計測する。電流計測部83は、制御部90に接続され、計測した交流電流の電流値を制御部90に出力する。
【0040】
制御部90は、各種情報に基づいて切替部80を制御するものである。制御部90は、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御部90は、電流計測部61から出力された電流値及び電圧計測部62から出力された電圧値に基づいて消費電力を演算し、当該消費電力を表す消費電力情報を外部通信I/F72を介して電力会社や車両Vを管理する事業者等に送信する。
【0041】
制御部90は、バッテリ監視ユニット30や車載ECU101、電流計測部83から取得した情報に基づいて切替部80を制御する。制御部90は、例えば、電流計測部83から取得した電気機器LDの電流値に基づいて切替部80を制御する。制御部90は、電流計測部83から取得した電気機器LDの電流値が異常である場合、給電遮断部82を制御し、異常を表す電気機器LDへの電力供給を遮断する。制御部90は、例えば、
図5に示すように、電気機器LD1の電流値が異常である場合、リレーユニット82AをOFFし、電気機器LD1への電力供給を遮断する。このとき、制御部90は、リレーユニット82BのONを維持し、正常な電気機器LD2に電力を供給している。これにより、制御部90は、異常な電気機器LD1を回路から電気的に切り離した上で、正常な電気機器LD2に電力を継続して供給することができる。
【0042】
制御部90は、バッテリ20の充電量が相対的に少ない場合、つまり、バッテリ20の充電量が予め定められた基準充電量未満の場合、外部電源Pから供給される電力をバッテリ20に充電する。制御部90は、例えば、
図6に示すように、第1、第2リレーユニット81A及び81BをONし、充電電力伝送経路51を介して外部電源Pから供給される電力をバッテリ20に充電する。このとき、制御部90は、リレーユニット82AをONし且つリレーユニット82BをOFFすることで、高優先度電気機器LD1に電力を供給し、低優先度電気機器D2に電力を供給しない。これにより、制御部90は、低優先度電気機器D2に電力を供給しないので、バッテリ20への充電効率の低下を抑制できる。
【0043】
制御部90は、バッテリ監視ユニット30からバッテリ20の充電量を取得し、さらに管理装置Mから外部通信I/F72を介して外部電力関連情報を受信する。ここで、外部電力関連情報は、外部電源Pによって供給される電力に関する情報である。具体的には、外部電力関連情報は、
図4に示すように、少なくとも、外部電源Pから供給される商用電力の需給状況(ひっ迫状況)を表す需給情報、商用電力の電気料金を表す料金情報、及び、商用電力の発電に用いられる資源を表す資源情報の1つを含む。ここで、商用電力の需給状況は、電力会社による供給電力量に対する需要電力量の比率に基づいて定められる。商用電力の電気料金は、商用電力の単価(例えば、1kWh当たりの料金)に基づいて定められる。商用電力の発電に用いられる資源は、再生可能エネルギー又は化石燃料に分類される。再生可能エネルギーは、例えば、太陽光、風力、地熱等のエネルギーである。化石燃料は、例えば、石油、石炭、天然ガス等の燃料である。
【0044】
制御部90は、外部通信I/F72により受信した外部電力関連情報、バッテリ20の充電量、及び、電気機器LDから要求される要求電力を表す要求情報に基づいて電源切替部81を制御する。ここで、電気機器LDからの要求電力は、例えば、電流計測部61及び電圧計測部62の測定結果に基づいて求められる。制御部90は、上記各情報に基づいて、バッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替えて電気機器LDに電力を供給する。ここで、バッテリ優先モードとは、外部電源Pよりもバッテリ20を優先して当該バッテリ20からバッテリ電力伝送経路53を介して電気機器LDに電力を供給するモードである。ここでは、バッテリ優先モードでは、バッテリ20から電気機器LDに電力を供給し、かつ、外部電源Pから電気機器LDに電力を供給しない。外部電源優先モードとは、バッテリ20よりも外部電源Pを優先して当該外部電源Pから外部電力伝送経路52を介して電気機器LDに電力を供給するモードである。ここでは、外部電源優先モードでは、外部電源Pから電気機器LDに電力を供給し、かつ、バッテリ20から電気機器LDに電力を供給しない。
【0045】
制御部90は、
図4に示すように、需給情報が、供給電力量に対する需要電力量の比率が相対的に高いことを表す場合(つまり商用電力がひっ迫している場合)にはバッテリ優先モードを優先する傾向とし、需給情報が、当該比率が相対的に低いことを表す場合(つまり商用電力がひっ迫していない場合)には外部電源優先モードを優先する傾向とする。制御部90は、料金情報が、電気料金が相対的に高いことを表す場合にはバッテリ優先モードを優先する傾向とし、料金情報が、電気料金が相対的に安いことを表す場合には外部電源優先モードを優先する傾向とする。制御部90は、資源情報が、発電に用いられる資源が化石燃料を表す場合にはバッテリ優先モードを優先する傾向とし、資源情報が、発電に用いられる資源が再生可能エネルギーを表す場合には外部電源優先モードを優先する傾向とする。制御部90は、電気機器LDの要求電力を表す要求情報が、当該電気機器LDの要求電力が相対的に少ないことを表す場合にはバッテリ優先モードを優先する傾向とし、電気機器LDの要求電力を表す要求情報が、当該電気機器LDの要求電力が相対的に多いことを表す場合には外部電源優先モードを優先する傾向とする。そして、制御部90は、上記のように各モードを優先する傾向とした上で、需給情報、料金情報、資源情報、及び、要求情報を組み合わせて、バッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替える。制御部90は、例えば、外部電源優先モードに切り替える場合、
図3、
図7に示すように、第1リレーユニット81AをONし且つ第2リレーユニット81BをOFFすることで、バッテリ20よりも外部電源Pを優先して当該外部電源Pから外部電力伝送経路52を介して電気機器LDに電力を供給する。このとき、制御部90は、リレーユニット82A及びリレーユニット82BをONすることで高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2の双方に電力を供給する。一方で、制御部90は、バッテリ優先モードに切り替える場合、
図3、
図8に示すように、第1リレーユニット81AをOFFし且つ第2リレーユニット81BをONすることで、外部電源Pよりもバッテリ20を優先して当該バッテリ20からバッテリ電力伝送経路53を介して電気機器LDに電力を供給する。このとき、制御部90は、リレーユニット82AをONしかつリレーユニット82BをOFFすることで高優先度電気機器LD1に電力を供給し、低優先度電気機器LD2に電力を供給しない。
【0046】
制御部90は、上述のように、需給情報、料金情報、資源情報、及び、要求情報を組み合わせて、バッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替えるが、切り替え方法としては2つある。第1の方法は、各情報の評価値に基づいて各モードを切り替える方法である。制御部90は、例えば、需給情報、料金情報、資源情報、及び、要求情報にそれぞれ評価値を予め設定しておき、当該評価値の合計値と予め定められた基準値とを比較した結果に基づいてバッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替える。この評価値は、例えば、それぞれの情報において、外部電源優先モードを使用することが適切である場合、相対的に高く設定されている。そして、制御部90は、各情報の評価値の合計値と予め定められた基準値とを比較し、評価値の合計値が基準値以上の場合、外部電源優先モードに切り替え、評価値の合計値が基準値未満の場合、バッテリ優先モードに切り替える。なお、評価値は、各情報の重要度に応じた重みづけがなされていてもよい。
【0047】
第2の方法は、各情報の優先度に基づいて各モードを切り替える方法である。制御部90は、各情報に予め優先度を設定しておき、優先度の高い順番に各モードを判定する。制御部90は、例えば、要求情報、需給情報、料金情報、資源情報の順番で、要求情報が最も優先順位が高く、資源情報が最も優先順位が低くなるように予め優先順位を設定しておく。制御部90は、優先順位が相対的に高い情報(例えば、要求情報)が外部電源Pを優先することを表す場合、外部電源優先モードに切り替える。つまり、制御部90は、優先順位が相対的に低い情報(例えば、資源情報)がバッテリ20を優先することを表しても、優先順位が相対的に高い情報(例えば、要求情報)が外部電源Pを優先することを表す場合、外部電源優先モードに切り替える。なお、優先順位は、ユーザにより適宜、変更可能である。
【0048】
次に、車両電源システム1の動作例について説明する。
図9は、実施形態に係る車両電源システム1の動作例を示すフローチャートである。車両電源システム1において、制御部90は、バッテリ20の充電量が基準充電量以上であるか否かを判定する(ステップS1)。制御部90は、バッテリ20の充電量が基準充電量以上である場合(ステップS1;Yes)、動作モードを判定する処理を行う(ステップS2)。制御部90は、例えば、需給情報、料金情報、資源情報、及び、要求情報を組み合わせて、バッテリ優先モード又は外部電源優先モードを判定する。制御部90は、外部電源優先モードであると判定した場合(ステップS3;Yes)、外部電源優先モードに切り替える(ステップS4)。制御部90は、例えば、第1リレーユニット81AをONし且つ第2リレーユニット81BをOFFすることで、外部電源優先モードに切り替える。次に、制御部90は、リレーユニット82A及びリレーユニット82BをONすることで高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2の双方に電力を供給し(ステップS5)、切り替え処理を終了する。上述のステップS3で、制御部90は、バッテリ優先モードであると判定した場合(ステップS3;No)、バッテリ優先モードに切り替える(ステップS6)。制御部90は、例えば、第1リレーユニット81AをOFFし且つ第2リレーユニット81BをONすることで、バッテリ優先モードに切り替える。次に、制御部90は、リレーユニット82AをONしかつリレーユニット82BをOFFすることで高優先度電気機器LD1に電力を供給し、低優先度電気機器LD2に供給する電力を遮断し、切り替え処理を終了する。なお、上述のステップS1で、制御部90は、バッテリ20の充電量が基準充電量未満である場合(ステップS1;No)、ステップS4に移行し、外部電源優先モードに切り替える。
【0049】
以上のように、実施形態に係る車両電源システム1は、外部電源インレット10と、バッテリ20と、バッテリ電力伝送経路53と、外部電力伝送経路52と、電源切替部81と、外部通信I/F72と、制御部90とを備える。外部電源インレット10は、車両Vに設けられ、当該車両Vの外部に設けられる外部電源Pに接続可能な給電ポートである。バッテリ20は、車両Vに設けられ、電力を充放電可能な蓄電池である。バッテリ電力伝送経路53は、バッテリ20と電気機器LDとの間を電力伝送可能に接続する。外部電力伝送経路52は、外部電源インレット10を介して外部電源Pと電気機器LDとの間を電力伝送可能に接続する。電源切替部81は、電気機器LDへの電力伝送経路をバッテリ電力伝送経路53又は外部電力伝送経路52に切り替える。外部通信I/F72は、情報を受信可能な通信機器である。制御部90は、外部通信I/F72により受信した情報に基づいて電源切替部81を制御する。上記構成において、外部通信I/F72は、車両Vの外部から、外部電源Pによって供給される電力に関する外部電力関連情報を受信する。制御部90は、外部通信I/F72により受信した外部電力関連情報、及び、バッテリ20の充電量に基づいて電源切替部81を制御し、外部電源Pよりもバッテリ20を優先して当該バッテリ20からバッテリ電力伝送経路53を介して電気機器LDに電力を供給するバッテリ優先モード、又は、バッテリ20よりも外部電源Pを優先して当該外部電源Pから外部電力伝送経路52を介して電気機器LDに電力を供給する外部電源優先モードに切り替えて電気機器LDに電力を供給する。
【0050】
この構成により、車両電源システム1は、外部電力関連情報が外部電源Pを使用することが適切であることを表す場合、外部電源優先モードに切り替え、一方で、外部電力関連情報が外部電源Pを使用することが適切ではないことを表す場合、バッテリ優先モードに切り替えて電気機器LDに電力を供給することができる。これにより、車両電源システム1は、外部電源P及びバッテリ20を最適に使い分けることができる。つまり、車両電源システム1は、外部電源Pから供給される電力とバッテリ20から供給される電力とを的確に分配することができる。この結果、車両電源システム1は、電気機器LDに電力を適正に供給することができる。
【0051】
上記車両電源システム1において、外部電力関連情報は、少なくとも、外部電源Pから供給される商用電力の需給状況を表す需給情報、商用電力の電気料金を表す料金情報、及び、商用電力の発電に用いられる資源を表す資源情報の1つを含む。この構成により、車両電源システム1は、例えば、バッテリ20の充電量が十分でありかつ需給情報が外部電源Pによる電力供給がひっ迫していることを表す場合、外部電源優先モードからバッテリ優先モードに切り替えることにより、外部電源Pによる電力供給がひっ迫した場合でも、電気機器LDに電力を継続して供給することができる。一方で、車両電源システム1は、バッテリ20の充電量が十分でありかつ外部電力関連情報が外部電源Pによる電力供給がひっ迫していないことを表す場合、外部電源優先モードを維持することにより、バッテリ20の充電量を温存した状態で、電気機器LDに電力を供給することができる。
【0052】
上記車両電源システム1において、制御部90は、需給情報が、供給電力量に対する需要電力量の比率が相対的に高いことを表す場合にはバッテリ優先モードを優先する傾向とし、需給情報が、比率が相対的に低いことを表す場合には外部電源優先モードを優先する傾向とし、料金情報が、電気料金が相対的に高いことを表す場合にはバッテリ優先モードを優先する傾向とし、料金情報が、電気料金が相対的に安いことを表す場合には外部電源優先モードを優先する傾向とし、資源情報が、発電に用いられる資源が化石燃料を表す場合にはバッテリ優先モードを優先する傾向とし、資源情報が、発電に用いられる資源が再生可能エネルギーを表す場合には外部電源優先モードを優先する傾向とし、電気機器LDの要求電力を表す要求情報が、当該電気機器LDの要求電力が相対的に少ないことを表す場合にはバッテリ優先モードを優先する傾向とし、電気機器LDの要求電力を表す要求情報が、当該電気機器LDの要求電力が相対的に多いことを表す場合には外部電源優先モードを優先する傾向とした上で、需給情報、料金情報、資源情報、及び、要求情報を組み合わせて、バッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替える。この構成により、車両電源システム1は、各情報を総合的に判断して各モードを切り替えることができる。
【0053】
上記車両電源システム1において、バッテリ20及び外部電源Pからの電力を電気機器LDへ供給する供給状態と当該電力の供給を遮断した遮断状態とを切替可能な給電遮断部82をさらに備える。電気機器LDは、相対的に優先度が高い高優先度電気機器LD1、及び、相対的に優先度が低い低優先度電気機器LD2を含む。給電遮断部82は、高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2に対して個別に供給状態と遮断状態とを切り替え可能である。制御部90は、外部電源優先モードの場合、給電遮断部82を制御し、高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2の双方に電力を供給し、バッテリ優先モードの場合、給電遮断部82を制御し、高優先度電気機器LD1に電力を供給し、かつ、低優先度電気機器LD2に電力を供給しない。この構成により、車両電源システム1は、バッテリ優先モードの場合には低優先度電気機器LD2に電力を供給しないので、限られたバッテリ20の電力を有効活用することができる。
【0054】
〔変形例〕
なお、上記説明では、外部通信I/F72は、交流電源分岐ボックスBX内に設けられる例について説明したが、交流電源分岐ボックスBXの外に設けられても良い。
【0055】
制御部90は、外部通信I/F72を介して外部と通信する例について説明したが、これに限定されず、車両Vに搭載されている他の無線通信機器を介して外部と通信してもよい。この場合、交流電源分岐ボックスBXは、外部通信I/F72を省略することができる。
【0056】
車両電源システム1は、バッテリ優先モードでは、バッテリ20から電気機器LDに電力を供給し、かつ、外部電源Pから電気機器LDに電力を供給しない例について説明したが、これに限定されない。例えば、車両電源システム1は、バッテリ優先モードにおいて、バッテリ20から供給する電力と外部電源Pから供給する電力とのバランスを調整し、バッテリ20及び外部電源Pの両方から電気機器LDに電力を供給するようにしてもよい。この場合、車両電源システム1は、バッテリ優先モードでは、外部電源Pから供給される電力よりもバッテリ20から供給される電力を多くして電気機器LDに電力を供給する。
【0057】
車両電源システム1は、外部電源優先モードでは、外部電源Pから電気機器LDに電力を供給し、かつ、バッテリ20から電気機器LDに電力を供給しない例について説明したが、これに限定されない。例えば、車両電源システム1は、外部電源優先モードにおいて、外部電源Pから供給する電力とバッテリ20から供給する電力とのバランスを調整し、外部電源P及びバッテリ20の両方から電気機器LDに電力を供給するようにしてもよい。この場合、車両電源システム1は、外部電源優先モードでは、バッテリ20から供給される電力よりも外部電源Pから供給される電力を多くして電気機器LDに電力を供給する。
【0058】
制御部90は、外部電力関連情報、バッテリ20の充電量、及び、電気機器LDの要求情報に基づいてバッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替える例について説明したが、これに限定されない。制御部90は、例えば、電気機器LDの要求情報を用いずに、外部電力関連情報及びバッテリ20の充電量に基づいてバッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替えてもよい。この場合、制御部90は、需給情報、料金情報、及び、資源情報を組み合わせて、バッテリ優先モード又は外部電源優先モードに切り替える。
【0059】
商用電力の発電に用いられる資源は、再生可能エネルギー又は化石燃料に分類される例について説明したが、これに限定されない。例えば、商用電力の発電に用いられる資源は、化石燃料又は化石燃料以外と分類してもよい。この場合、化石燃料以外には、再生可能エネルギーや原子力等が含まれる。
【0060】
外部電力関連情報は、少なくとも、需給情報、料金情報、及び、資源情報の1つを含む例について説明したが、これに限定されず、その他の情報を含んでもよい。
【0061】
制御部90は、外部電源優先モードの場合、高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2の双方に電力を供給し、バッテリ優先モードの場合、高優先度電気機器LD1に電力を供給し、かつ、低優先度電気機器LD2に電力を供給しない例について説明したが、これに限定されない。制御部90は、例えば、外部電源優先モードの場合、高優先度電気機器LD1又は低優先度電気機器LD2の一方に電力を供給してもよいし、バッテリ優先モードの場合、高優先度電気機器LD1及び低優先度電気機器LD2の双方に電力を供給してもよい。
【0062】
外部電源Pは、電力会社(発電所)に設けられた発電システムである例について説明したが、これに限定されず、ガソリンや天然ガス等を燃料としたポータブル発電機等であってもよい。この場合、ポータブル発電機等は、供給する電力に関する外部電力関連情報(例えば、燃料の残量等の情報)を送信する。
【符号の説明】
【0063】
1 車両電源システム
10 外部電源インレット(電源接続部)
20 バッテリ
52 外部電力伝送経路
53 バッテリ電力伝送経路
72 外部通信I/F(通信部)
81 電源切替部
82 給電遮断部
90 制御部
V 車両
P 外部電源
LD 電気機器(負荷部)