(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】X線イメージングのためのディテクター
(51)【国際特許分類】
A61B 6/42 20240101AFI20240112BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240112BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61B6/00 300Q
A61B6/00 333
A61B6/03 320S
G01T1/20 B
G01T1/20 E
G01T1/20 G
G01T1/20 F
(21)【出願番号】P 2020536837
(86)(22)【出願日】2018-12-31
(86)【国際出願番号】 EP2018086898
(87)【国際公開番号】W WO2019134882
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-12-27
(32)【優先日】2018-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ハール ペーター ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ルッテン ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】スタインハウザー ヘイドラン
(72)【発明者】
【氏名】ステージフース ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィンマース オノ ヤン
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011089595(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/067846(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/066469(WO,A1)
【文献】特開2006-113061(JP,A)
【文献】CHAN Jer Wang et al.,Wire transfer function analysis for castellated dual-energy X-ray detectors,Applied Optics,2004年12月10日,Vol.43, No.35,pp.6413-6420
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00,6/03
G01T 1/161-1/166,1/20,
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシンチレーターと第2のシンチレーターと第1のセンサーアレイと第2のセンサーアレイと
を備えるX線イメージングのためのディテクターであって、
前記第1のセンサーアレイが前記第1のシンチレーターに関連し、前記第1のセンサーアレイが前記第1のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するセンサー要素のアレイを備え、
前記第2のセンサーアレイが前記第2のシンチレーターに関連し、前記第2のセンサーアレイが前記第2のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するセンサー要素のアレイを備え、
X線源から出射されたX線が、まず前記第1のシンチレーターに行き着き、次に前記第2のシンチレーターに行き着くように、前記第1のシンチレーターは前記第2のシンチレーターに重なって位置しており、
前記第1のシンチレーターが0.6mm以上の厚さをもち、且つ、前記第1のシンチレーターの厚さが1mm未満であり、
前記第2のシンチレーターが1.1mm以上の厚さをもち、
前記ディテクターは、第1、第2及び第3のイメージング動作モードのそれぞれの動作モードで動作可能であるように構成され、
前記ディテクターは、前記第1のイメージング動作モード
で動作する場合、前記第1のシンチレーター及び前記第1のセンサーアレイが、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供
するように構成され、
前記ディテクターは、前記第2のイメージング動作モード
で動作する場合、前記第2のシンチレーター及び前記第2のセンサーアレイが、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供
するように構成されるとともに、ビニング工程として、前記第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせ
て検出するように構成され、
前記ディテクターは、前記第3のイメージング動作モード
で動作する場合、前記第1のシンチレーター、前記第1のセンサーアレイ、前記第2のシンチレーター、及び前記第2のセンサーアレイが、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供する
ように構成される、
ディテクター。
【請求項2】
前記第1のシンチレーターがCsIシンチレーターである、
請求項1に記載のディテクター。
【請求項3】
前記第1のシンチレーターが針構造を備える、
請求項1又は2に記載のディテクター。
【請求項4】
前記第2のシンチレーターがCsIシンチレーターである、
請求項1から3のいずれか一項に記載のディテクター。
【請求項5】
前記第2のシンチレーターが針構造を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載のディテクター。
【請求項6】
前記第2のシンチレーターがガドリニウム酸硫化物シンチレーターである、
請求項1から3のいずれか一項に記載のディテクター。
【請求項7】
前記ディテクターは、前記第1のイメージング動作モード
で動作する場合、
ビニング工程として、前記第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせ
て検出するように構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のディテクター。
【請求項8】
前記ディテクターは、前記第3のイメージング動作モード
で動作する場合、
ビニング工程として、前記第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせ
て検出するように構成されるとともに、第2のビニング工程として、前記第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせ
て検出するように構成される、
請求項1から7のいずれか一項に記載のディテクター。
【請求項9】
前記第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法が、前記第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法と同じである、
請求項1から8のいずれか一項に記載のディテクター。
【請求項10】
前記第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法が、前記第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法より小さい、
請求項1から
8のいずれか一項に記載のディテクター。
【請求項11】
GOSシンチレーターを使用したX線イメージングのためのディテクターであって、前記ディテクターが、
第1のシンチレーターと第2のシンチレーターと第1のセンサーアレイと第2のセンサーアレイとを備え、
前記第1のセンサーアレイが前記第1のシンチレーターに関連し、前記第1のセンサーアレイが前記第1のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するセンサー要素のアレイを備え、
前記第2のセンサーアレイが前記第2のシンチレーターに関連し、前記第2のセンサーアレイが前記第2のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するセンサー要素のアレイを備え、
X線源から出射されたX線が、まず前記第1のシンチレーターに行き着き、次に前記第2のシンチレーターに行き着くように、前記第1のシンチレーターは前記第2のシンチレーターに重なって位置しており、
前記第1のシンチレーターが0.6mm以上の厚さをもち、前記第1のシンチレーターの厚さが1mm未満であり、
前記第2のシンチレーターが0.6mm以上の厚さをもち、
前記第2のシンチレーターがガドリニウム酸硫化物シンチレーターであり、
前記ディテクターは、第1、第2及び第3のイメージング動作モードのそれぞれの動作モードで動作可能であるように構成され、
前記ディテクターは、前記第1のイメージング動作モード
で動作する場合、前記第1のシンチレーター及び前記第1のセンサーアレイが、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供
するように構成され、
前記ディテクターは、前記第2のイメージング動作モード
で動作する場合、前記第2のシンチレーター及び前記第2のセンサーアレイが、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供
するように構成されるとともに、ビニング工程として、前記第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせ
て検出するように構成され、
前記ディテクターは、前記第3のイメージング動作モード
で動作する場合、前記第1のシンチレーター、前記第1のセンサーアレイ、前記第2のシンチレーター、及び前記第2のセンサーアレイが、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供する
ように構成される、
ディテクター。
【請求項12】
X線源と、請求項1から11のいずれか一項に記載
のディテクターと、処理ユニットとを備えるX線イメージングシステムであって、
前記X線源と前
記ディテクターとの間の領域の少なくとも一部が物体を収容するための検査領域であるように、前
記ディテクターが前記X線源に対して配置されており、
前記処理ユニットが、
前記第1のイメージング動作モード、
前記第2のイメージング動作モード
及び前記第3のイメージング動作モードにおいて
、前記X線源と前
記ディテクターとを制御する、
X線イメージングシステム。
【請求項13】
X線イメージングのための方法であって、前記方法が、
X線源とディテクターとの間の領域の少なくとも一部が物体を収容するための検査領域であるように、前記X線源に対して前記ディテクターを配置するステップと、
処理ユニットにより前記ディテクターと前記X線源とを制御するステップとを有し、
前記ディテクターが、第1のシンチレーターと第2のシンチレーターと第1のセンサーアレイ
と第2のセンサーアレイとを備え、
前記第1のセンサーアレイが前記第1のシンチレーターに関連し、前記第1のセンサーアレイが前記第1のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するセンサー要素のアレイを備え、
前記第2のセンサーアレイが前記第2のシンチレーターに関連し、前記第2のセンサーアレイが前記第2のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するセンサー要素のアレイを備え、
前記X線源から出射されたX線が、まず前記第1のシンチレーターに行き着き、次に前記第2のシンチレーターに行き着くように、前記第1のシンチレーターは前記第2のシンチレーターに重なって位置しており、
前記第1のシンチレーターが0.6mm以上の厚さをもち、前記第1のシンチレーターの厚さが1mm未満であり、
前記第2のシンチレーターが1.1mm以上の厚さをもち、
前記ディテクターは、第1、第2及び第3のイメージング動作モードのそれぞれの動作モードで動作可能であるように構成され、
前記処理ユニットにより前記ディテクターと前記X線源とを制御するステップは、
前記第1のイメージング動作モードにおいて、前記第1のシンチレーター及び前記第1のセンサーアレイが、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように制御し、
前記第2のイメージング動作モードにおいて、前記第2のシンチレーター及び前記第2のセンサーアレイが、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように、及び前記第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせて検出するように制御し、
前記第3のイメージング動作モードにおいて、前記第1のシンチレーター、前記第1のセンサーアレイ、前記第2のシンチレーター、及び前記第2のセンサーアレイが、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように制御する、
X線イメージングのための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線イメージングのためのディテクター、X線イメージングのためのシステム、及びX線イメージングのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なるX線イメージングモダリティが、異なるX線ディテクター技術の使用を必要とする。例えば、2D高分解能イメージングのために使用されるX線ディテクターは、X線光子を吸収して、センサーアレイにより検出される光の光子を生成するシンチレーターを使用し得る。高い空間分解能を提供するために、シンチレーターは、横方向光拡散が大き過ぎないように比較的薄い。これは、比較的低エネルギーのX線光子のみがシンチレーターにおいて吸収されることを意味する。逆に、高コントラストを要求する3Dイメージング目的のために使用されるX線ディテクターは、このような2Dディテクターより多くのX線光子を吸収することを必要とし、シンチレーターは空間分解能を犠牲にして、より厚く作られる。さらに、イメージングモダリティ、例えばデュアルエネルギー獲得は、デュアルソース高速kVpスイッチング又はデュアルレイヤーディテクター構成を必要とする。
【0003】
EP2640270A1は、第1のディテクター層と第2のディテクター層とを含む放射線ディテクターが検査領域を取り囲むことを説明している。第1の層のディテクターは、例えばアバランシェフォトダイオードといった、シンチレーター及び光ディテクターを含む。第2のディテクター層のディテクターは、シンチレーター及び光学ディテクターを含む。第1の層のシンチレーターは、第2の層のシンチレーターより小さい断面をもつ。グループの、例えば9つの第1の層のシンチレーターが、第2のグループのシンチレーターの各々に重なる。CTモードでは、第1の層のディテクターは、比較的高い分解能をもつCT画像を生成するために透過放射を検出し、第2の層のディテクターは、より低い分解能の出射画像への再構成のために核データを生成するためにPET又はSPECT放射を検出する。第1の層及び第2の層のディテクターが位置合わせされるので、透過画像と出射画像とが本質的に位置合わせされる。
【0004】
WO2008/067846(A1)は、低エネルギー放射量子及び高エネルギー放射量子の組み合わされた検出のための放射線ディテクターを説明しており、多層構造物を含む放射線ディテクターは、高エネルギー放射量子が後部シンチレーター層により吸収されたことに応答して、シンチレーション光子のバーストを出射するように構成された後部シンチレーター層と、後部シンチレーター層の後側に装着された後部光センサー層であって、後部光センサー層が、後部シンチレーター層において生成されたシンチレーション光子を検出するように構成された、後部光センサー層と、後部光センサー層とは反対に後部シンチレーター層の前側に配置された前部シンチレーター層であって、前部シンチレーター層が、低エネルギー放射量子が前部シンチレーター層により吸収されたことに応答してシンチレーション光子のバーストを出射するように構成された、前部シンチレーター層と、後部シンチレーター層とは反対に前部シンチレーター層の前側に装着された前部光センサー層であって、前部光センサー層が、前部シンチレーター層において生成されたシンチレーション光子を検出するように構成された、前部光センサー層とを備え、高エネルギー放射量子がガンマ線であり、低エネルギー放射量子がX線である。
【0005】
米国特許出願公開第2008/315106号(A1)は、放射線を吸収してそれぞれ第1の波長及び第2の波長における光を生成する少なくとも第1のシンチレーター及び第2のシンチレーターを含む放射線ディテクターを説明している。ディテクターは、少なくとも第1の光ディテクター及び第2の光ディテクターをさらに含む。第1の光ディテクターは、第2のシンチレーターにより生成された波長の光に実質的に応答しない。3つ以上のシンチレーター及び光ディテクターを含むディテクターが実現されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
X線イメージングのための改善されたディテクターを提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
X線イメージングのための改善されたディテクター、X線イメージングのためのシステム及びX線イメージングのための方法を有することが有益である。
【0008】
本発明の目的は独立請求項の主題により解決され、さらなる実施形態が従属請求項に組み込まれる。本発明の後述の態様及び例が、X線イメージングのためのディテクター、X線イメージングのためのシステム、及びX線イメージングのための方法にも適用されることに留意されなければならない。第1の態様によると、第1のシンチレーターと第2のシンチレーターと第1のセンサーアレイと第2のセンサーアレイとを備える、X線イメージングのためのディテクターが提供される。
【0009】
第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターに関連している。第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターに関連している。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。X線源から出射されたX線が、まず第1のシンチレーターに行き着き、次に第2のシンチレーターに行き着くように、第1のシンチレーターが第2のシンチレーターに重なって位置している。第1のシンチレーターは0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーターは1.1mm以上の厚さをもつ。第1のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター及び第1のセンサーアレイが、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第2のイメージング動作モードにおいて、第2のシンチレーター及び第2のセンサーアレイが、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第3のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター、第1のセンサーアレイ、第2のシンチレーター、及び第2のセンサーアレイが、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。
【0010】
この手法により、第1のシンチレーターが薄いことが、第1の動作モードにおいて高分解能2Dイメージングを提供する。さらに、デュアルエネルギーイメージングは、別々に処置されたデータを使用した第1のモードにおける、及び、第2のモードにおける動作を通して、より高いエネルギーのX線を検出する、より薄いシンチレーターの下方に位置するより厚いシンチレーターを含むことを通して提供される。さらに、実際に、より高い検出量子効率DQE(0)をさらに提供する第3のモードにおいて両方のシンチレーターからのデータを組み合わせることを通して、例えばCアームシステムにおける3Dイメージングシステムに適した、非常に高いコントラストのイメージングが提供される。さらに、より高いkVp(例えば、120kVpの代わりに140kVp)が使用されてもよい。第3のモードのより大きいシンチレーター厚が、第1のモードに比べて特別に高いエネルギーのX線量子が吸収されることを確実なものとする。140kVpの利点は、1)より高いエネルギーのX線が肥満患者により透過される十分なエネルギーをもつこと、及び、2)それがスペクトル性能を高めることである。
【0011】
ディテクターを利用する別の例は、底層がより大きいコントラスト(だがより低い空間分解能)をもち、上層がより高い空間分解能(だがより低いコントラスト)をもつ場合、高い分解能へと補間するために、第1の層からの情報に基づいて「超分解能」アルゴリズムが適用され得る。
【0012】
第1の態様において、第1のシンチレーターの厚さは、1mm未満である。
【0013】
一例において、第1のシンチレーターは、CsIシンチレーターである。
【0014】
一例において、第1のシンチレーターは、針構造を備える。
【0015】
したがって、第1のシンチレーターは、シンチレーターの一部を形成する光学的画像センサーまでの導波を提供する針構造を使用することを通して、さらに高い分解能の性能を提供する。
【0016】
例えば、熱蒸着工程は、針構造を含むシンチレーター材料を堆積させるために使用され得る。したがって、熱蒸着により堆積させられた任意のシンチレーター材料は、(基材上へのできる限り小さい入射角を使用することにより)針構造を与えられ得る。
【0017】
一例において、第2のシンチレーターはCsIシンチレーターである。
【0018】
一例において、第2のシンチレーターは針構造を備える。
【0019】
さらに、第2のシンチレーターに対して針様構造物を提供することにより、高いX線吸収を提供するのと同時により高い分解能が提供される。
【0020】
したがって、針構造をもつシンチレーターの導波機能は、ビニングを伴わなくても、分解能を犠牲にすることなく(針構造を含まないシンチレーターが使用される状況と比べて)より厚い材料層が使用され得ることを意味する。
【0021】
一例において、第2のシンチレーターは、ガドリニウム酸硫化物シンチレーターである。一例において、第2のシンチレーターは、(CT様の)ピクセル式ガドリニウム酸硫化物シンチレーターである。第2のシンチレーターは、GOSと同様の他の材料から形成され得る。一例において、シンチレーターは、Gd2O2S:Tb、Gd2Q2S:Eu、Gd2O3:Eu、La2O2S:Tb、La2O2S、Y2O2S:Tb、CsI:Tl、CsI:Na、CsBr:Tl、NaI:Tl、CaWO4、CaWO4:Tb、BaFBr:Eu、BaFCl:Eu、BaSO4:Eu、BaSrSO4、BaPbSO4、BaAl12O19:Mn、BaMgAl10O17:Eu、Zn2SiO4:Mn、(Zn、Cd)S:Ag、LaOBr、LaOBr:Tm、Lu2O2S:Eu、Lu2O2S:Tb、LuTaO4、HfO2:Ti、HfGeO4:Ti、YTaO4、YTaO4:Gd、YTaO4:Nb、Y2O3:Eu、YBO3:Eu、YBO3:Tb、又は(Y、Gd)BO3:Eu又はそれらの組合せから作られ得る。
【0022】
一例において、第1のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0023】
言い換えると、ビニングは、分解能の低下を伴って、ノイズに対して信号を大きくし、読み取り速度を上げるために使用され得る。これは、低エネルギーX線領域における画像が高エネルギーX線領域において同じ分解能をもつことをさらに可能にする。
【0024】
ビニングは、CsI(又は他の材料)シンチレーターであるシンチレーターが0.8mmより大きい厚さをもつこと、及び、より速いモードにおいて動作することをさらに可能にする。したがって、0.8mmより大きい厚さをもつCsIシンチレーターの場合、シンチレーターにおいて生成された可視光子がより多数の近接したピクセルに拡散するので、厚さを大きくすることに伴って分解能の損失が増加する。したがって、シンチレーターが0.8mmより大きい厚さをもつ場合、近接したピクセルのビニングが分解能の損失につながるとは限らないが、動作速度を上げる。シンチレーターに関連したセンサーアレイは、シンチレーターのより大きい厚さに適合するように、より大きいピクセル寸法をもち得るが、固定のピクセル寸法をもつ標準的なセンサーアレイをビニングすることにより、すべてのシンチレーター厚に対して使用され得、そのシンチレーター厚の本来的な分解能に整合したビニング工程が使用される。したがって、シンチレーター厚は、例えば、より薄いシンチレーターに対して最適化され得る標準的なセンサーアレイの1つより多いピクセルにわたって信号が広がるようにされ得る。したがって、ビニングは、このような標準的なセンサーアレイに対する分解能の低下を実際にもたらさずに、動作速度を上げるために使用され得る。しかし、ビニングは、シンチレーターの本来的な厚さに関連した分解能未満に分解能をさらに下げるために、速度をさらに上げるために、ノイズに対して信号を大きくするために、及び、さらには、より厚い第2のシンチレーターからのものに適合した分解能をもつ画像データを提供するためにも使用され得、この場合、このような適合は、デュアルエネルギー分析に役立ち、及び、組み合わされた画像を提供することにおいて第1のセンサーアレイ及び第2のセンサーアレイからの出力を組み合わせることに役立ち得る。
【0025】
第1の態様において、第2のイメージングモードにおける動作は、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0026】
この手法により、第2のイメージングモードの動作速度が上げられ得る。さらに、第1のシンチレーターに関連してここまでに説明されているように、ビニング工程は、標準的なセンサーアレイが使用されることを可能にし得、この場合、1つのピクセルに関連したX線から生成された可視光子が、シンチレーターの厚さに起因して近接したピクセルに拡散し、返された画像データの本来的な分解能の低下を実際に伴わずに、速度の改善が達成されながら速度を上げる。
【0027】
一例において、第3のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第1のビニング工程を有し、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第2のビニング工程を有する。
【0028】
一例において、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法と同じである。
【0029】
一例において、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法より小さい。
【0030】
したがって、例えば、ビニング工程を伴わずに動作し得る第2のシンチレーターに対するものと同じ効果的なピクセル寸法を提供するように、第1のシンチレーターに関連してビニングが使用され得るが、この場合、両方のシンチレーターからのデータが、例えばコーンビームコンピュータ断層撮影CBCTシステムにおける3Dイメージングに適した高コントラスト画像を提供するために効率的に組み合わされ得る。
【0031】
第2の態様によると、GOSシンチレーターを使用したX線イメージングのためのディテクターであって、第1のシンチレーターと第2のシンチレーターと第1のセンサーアレイと第2のセンサーアレイとを備える、ディテクターが提供される。
【0032】
第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターに関連している。第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターに関連している。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。X線源から出射されたX線が、まず第1のシンチレーターに行き着き、次に第2のシンチレーターに行き着くように、第1のシンチレーターが第2のシンチレーターに重なって位置している。第1のシンチレーターは0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーターは0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーターは、ガドリニウム酸硫化物シンチレーターである。第1のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター及び第1のセンサーアレイが、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第2のイメージング動作モードにおいて、第2のシンチレーター及び第2のセンサーアレイが、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第3のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター、第1のセンサーアレイ、第2のシンチレーター、及び第2のセンサーアレイが、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。
【0033】
第2の態様において、第1のシンチレーターの厚さは、1mm未満である。
【0034】
第2の態様において、第2のイメージングモードにおける動作は、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0035】
この手法により、GOSシンチレーターの使用は、より少ない残光及びより少ないゴースト発生をもたらし得、このことは、GOSが(Tbの代わりに)Prによってドープされた場合に当てはまる。残光(又はラグ)は、追加的な時間的影響に関連して使用される用語であり、ゴースト発生(又はブライトバーン)は、乗算的な時間的影響に関連して使用される用語である。両方の影響がシンチレーターに存在し、X線ディテクター画像にアーチファクトを与え得るが、GOSシンチレーターの使用は、このような影響を軽減し得る(又は、少なくとも、CT様イメージングに近づくようにこのような影響を小さくする)。
【0036】
針構造をもたないシンチレーターが使用される場合、例えばGdOS:TbといったGOSシンチレーターにより得られる利点が存在する。
【0037】
第3の態様によると、
X線源と、
第1の態様又は第2の態様によるX線ディテクターと、
処理ユニットと
を備える、X線イメージングシステムが提供される。
【0038】
X線源とX線ディテクターとの間の領域の少なくとも一部が物体を収容するための検査領域であるように、X線ディテクターがX線源に対して配置される。処理ユニットは、第1のイメージング動作モードにおいて動作するように、第2のイメージング動作モードにおいて動作するように、及び、第3のイメージング動作モードにおいて動作するように、X線源とX線ディテクターとを制御するように構成される。
【0039】
第4の態様によると、X線イメージングのための方法であって、方法が、
a)X線源とX線ディテクターとの間の領域の少なくとも一部が物体を収容するための検査領域であるように、X線源に対してX線ディテクターを配置することと、
b)処理ユニットによりX線源とX線ディテクターとを制御することと、
c)第1のイメージング動作モードにおいて動作すること、d)第2のイメージング動作モードにおいて動作すること、e)第1のイメージングモードにおいて、及び、第2のイメージングモードにおいて動作すること、又は、f)第3のイメージング動作モードにおいて動作することと
を有し、ディテクターが、第1のシンチレーター、第2のシンチレーター、第1のセンサーアレイ、及び第2のセンサーアレイを備える、X線イメージングのための方法が提供される。第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターに関連している。第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターに関連している。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。X線源から出射されたX線が、まず第1のシンチレーターに行き着き、次に第2のシンチレーターに行き着くように、第1のシンチレーターが第2のシンチレーターに重なって位置している。第1のシンチレーターは0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーターは1.1mm以上の厚さをもつ。第1のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター及び第1のセンサーアレイが、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第2のイメージング動作モードにおいて、第2のシンチレーター及び第2のセンサーアレイが、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第3のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター、第1のセンサーアレイ、第2のシンチレーター、及び第2のセンサーアレイが、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。
【0040】
第4の態様において、第1のシンチレーターの厚さは1mm未満である。
【0041】
第4の態様において、第2のイメージングモードにおける動作は、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0042】
別の一態様によると、コンピュータプログラム要素が処理ユニットにより実行されたとき、上述のように方法ステップを実施するように適応される、上述のように装置を制御するコンピュータプログラム要素が提供される。
【0043】
別の一態様によると、上述のように記憶されたコンピュータ要素を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0044】
有益には、上述の態様のうちの任意の態様により提供される利点は、他の態様のすべてに同様に適用され、逆も同様である。
【0045】
上述の態様及び例は、以下で説明される実施形態から明らかとなり、以下で説明される実施形態を参照しながら説明される。
【0046】
以下の図面を参照しながら、例示的な実施形態が以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】X線イメージングのためのディテクターの一例の概略構成を示す図である。
【
図2】X線イメージングのためのシステムの一例の概略構成を示す図である。
【
図3】X線イメージングのための方法の一例を示す図である。
【
図4】2D及び3Dイメージングのための従来のディテクターの例を示す図である。
【
図5】
図1に関連して説明されるX線イメージングのためのディテクターの詳細な例を示す図である。
【
図6】
図1に関連して説明されるX線イメージングのためのディテクターの詳細な例を示す図である。
【
図7】140kVにおける、総CsI厚の関数としての、2つのCsIシンチレーターを含む
図1に関連して説明されるディテクターの総X線吸収を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、X線イメージングのためのディテクター10の一例を示す。ディテクター10は、第1のシンチレーター20、第2のシンチレーター30、第1のセンサーアレイ40、及び第2のセンサーアレイ50を備える。第1のセンサーアレイ40は、第1のシンチレーター20に関連している。第1のセンサーアレイ40は、第1のシンチレーター20において生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。第2のセンサーアレイ50は、第2のシンチレーター30に関連している。第2のセンサーアレイ50は、第2のシンチレーター30において生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。X線源から出射されたX線が、まず第1のシンチレーター20に行き着き、次に第2のシンチレーター30に行き着くように、第1のシンチレーター20が第2のシンチレーター30に重なって位置している。第1のシンチレーター20は0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーター30は1.1mm以上の厚さをもつ。第1のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター20及び第1のセンサーアレイ40が、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第2のイメージング動作モードにおいて、第2のシンチレーター30及び第2のセンサーアレイ50が、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第3のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター20、第1のセンサーアレイ40、第2のシンチレーター30、及び第2のセンサーアレイ50が、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。
【0049】
一例によると、第1のシンチレーターの厚さは1mm未満である。
【0050】
一例において、第1のシンチレーターの厚さは0.8mm以下である。この手法により、ビニングを使用しないとき、この最大厚さが、CsIシンチレーターに対するMTF(空間分解能又は鮮明さ)の過度に大きい低減を避ける。
【0051】
一例において、第2のシンチレーターの厚さは1.8mm未満である。
【0052】
一例において、第2のシンチレーターの厚さは1.2mm以上である。一例において、第2のシンチレーターの厚さは1.3mm以上である。一例において、第2のシンチレーターの厚さは1.4mm以上である。一例において、第2のシンチレーターの厚さは1.5mm以上である。一例において、第2のシンチレーターの厚さは1.6mm以上である。一例において、第2のシンチレーターの厚さは1.7mm以上である。この手法により、ビニングを使用しないとき、この最大厚さは、高分解能データが第2のシンチレーターから返されることが必要とされる場合、CsIシンチレーターに対するMTF(鮮明さ)の過度に大きい低減を避ける。
【0053】
一例によると、第1のシンチレーターはCsIシンチレーターである。
【0054】
一例によると、第1のシンチレーターは針構造を備える。
【0055】
一例によると、第2のシンチレーターはCsIシンチレーターである。
【0056】
一例において、CsIは、例えば時間的影響を小さくするために、Tlに加えて他の共ドーピング物も含む。
【0057】
一例によると、第2のシンチレーターは針構造を備える。
【0058】
一例によると、第2のシンチレーターはガドリニウム酸硫化物シンチレーターである。
【0059】
一例によると、第1のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0060】
一例によると、第2のイメージングモードにおける動作は、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0061】
一例によると、第3のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第1のビニング工程を有し、及び、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第2のビニング工程を有する。
【0062】
一例において、第1のビニング工程は、第2のビニング工程と同じである。
【0063】
したがって、ビニング工程自体は、組み合わされた画像を生成するために低エネルギーデータと高エネルギーデータとを組み合わせる工程の一部として使用され得る。
【0064】
一例において、第1のセンサーアレイの近接したセンサー要素であって、その近接したセンサー要素の信号が組み合わされる、近接したセンサー要素の空間的広がりは、第2のセンサーアレイの近接したセンサー要素であって、その近接したセンサー要素の信号が組み合わされる、近接したセンサー要素の空間的な広がりと同じである。
【0065】
一例によると、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法と同じである。
【0066】
一例によると、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法より小さい。
【0067】
一例において、第1のシンチレーターのセンサー要素のピクセル寸法は、150μmである。
【0068】
図1は、X線イメージングのための異なるディテクター10aをさらに表し得る。このディテクター10aは、GOSシンチレーターを使用し、第1のシンチレーター20、第2のシンチレーター30a、第1のセンサーアレイ40、及び第2のセンサーアレイ50を備える。第1のセンサーアレイ40は、第1のシンチレーター20に関連している。第1のセンサーアレイ40は、第1のシンチレーター20において生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。第2のセンサーアレイ50は、第2のシンチレーター30aに関連している。第2のセンサーアレイ50は、第2のシンチレーター30aにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。X線源から出射されたX線が、まず第1のシンチレーター20に行き着き、次に第2のシンチレーター30aに行き着くように、第1のシンチレーター20が第2のシンチレーター30aに重なって位置している。第1のシンチレーター20は0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーター30aは0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーター30aはガドリニウム酸硫化物シンチレーターである。第1のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター20及び第1のセンサーアレイ40が、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第2のイメージング動作モードにおいて、第2のシンチレーター30a及び第2のセンサーアレイ50が高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第3のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター20、第1のセンサーアレイ40、第2のシンチレーター30a、及び第2のセンサーアレイ50が、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。
【0069】
一例において、第2のシンチレーターは0.8mm以上の厚さをもつ。一例において、第2のシンチレーターは1.0mm以上の厚さをもつ。一例において、第2のシンチレーターは1.2mm以上の厚さをもつ。一例において、第2のシンチレーターは1.3mm以上の厚さをもつ。
【0070】
一例において、第1のシンチレーターの厚さは1mm未満である。一例において、第1のシンチレーターはCsIシンチレーターである。一例において、第1のシンチレーターは針構造を備える。
【0071】
一例において、第1のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0072】
一例において、第2のイメージングモードにおける動作は、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0073】
一例において、第3のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第1のビニング工程を有し、及び、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第2のビニング工程を有する。
【0074】
一例において、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法と同じである。
【0075】
一例において、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法より小さい。
【0076】
図2は、X線イメージングシステム100の一例を示す。システム100は、X線源110、
図1に関連して説明されるX線ディテクター10、又はX線ディテクター10aを備える。システム100は、処理ユニット120をさらに備える。X線源110とX線ディテクター10、10aとの間の領域の少なくとも一部が物体を収容するための検査領域であるように、X線ディテクター10、10aがX線源110に対して配置されている。処理ユニット120は、第1のイメージング動作モードにおいて動作するように、第2のイメージング動作モードにおいて動作するように、及び、第3のイメージング動作モードにおいて動作するように、X線源110及びX線ディテクター10、10aを制御するように構成される。
【0077】
図3は、その基本ステップにおけるX線イメージングのための方法200を示す。方法200は、
ステップa)とも呼ばれる配置するステップ210において、X線源とX線ディテクターとの間の領域の少なくとも一部が物体を収容するための検査領域であるように、X線源に対してX線ディテクターを配置することと、
ステップb)とも呼ばれる制御するステップ220において、処理ユニットによりX線源とX線ディテクターとを制御することと、
ステップc)とも呼ばれる動作するステップ230において、第1のイメージング動作モードにおいて動作すること、ステップd)とも呼ばれる動作するステップ240において、第2のイメージング動作モードにおいて動作すること、ステップe)とも呼ばれる動作するステップ250において、第1のイメージングモードにおいて、及び、第2のイメージングモードにおいて動作すること、又は、ステップf)とも呼ばれる動作するステップ260において、第3のイメージング動作モードにおいて動作することとを有し、
ディテクターが、第1のシンチレーター、第2のシンチレーター、第1のセンサーアレイ、及び第2のセンサーアレイを備える。
【0078】
第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターに関連している。第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターに関連している。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。X線源から出射されたX線が、まず第1のシンチレーターに行き着き、次に第2のシンチレーターに行き着くように、第1のシンチレーターは第2のシンチレーターに重なって位置している。第1のシンチレーターは0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーターは1.1mm以上の厚さをもつ。第1のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター及び第1のセンサーアレイは、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第2のイメージング動作モードにおいて、第2のシンチレーター及び第2のセンサーアレイは、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第3のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター、第1のセンサーアレイ、第2のシンチレーター、及び第2のセンサーアレイは、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。
【0079】
一例において、第1のシンチレーターの厚さは1mm未満である。一例において、第1のシンチレーターはCsIシンチレーターである。一例において、第1のシンチレーターは針構造を備える。
【0080】
一例において、第2のシンチレーターはCsIシンチレーターである。一例において、第2のシンチレーターは針構造を備える。一例において、第2のシンチレーターは、ガドリニウム酸硫化物シンチレーターである。
【0081】
一例において、第1のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0082】
一例において、第2のイメージングモードにおける動作は、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0083】
一例において、第3のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第1のビニング工程を有し、及び、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第2のビニング工程を有する。
【0084】
一例において、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法と同じである。
【0085】
一例において、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法より小さい。
【0086】
一例において、ステップa)とも呼ばれる配置するステップにおいて、X線源とX線ディテクターとの間の領域の少なくとも一部が物体を収容するための検査領域であるように、X線源に対してX線ディテクターを配置することと、
ステップb)とも呼ばれる制御するステップにおいて、処理ユニットによりX線源とX線ディテクターとを制御することと、
ステップc)とも呼ばれる動作するステップにおいて、第1のイメージング動作モードにおいて動作すること、ステップd)とも呼ばれる動作するステップにおいて、第2のイメージング動作モードにおいて動作すること、ステップe)とも呼ばれる動作するステップにおいて、第1のイメージングモードにおいて、及び、第2のイメージングモードにおいて動作すること、又は、ステップf)とも呼ばれる動作するステップにおいて、第3のイメージング動作モードにおいて動作することとを有し、
ディテクターが、GOSシンチレーターを使用し、第1のシンチレーター、第2のシンチレーター、第1のセンサーアレイ、及び第2のセンサーアレイを備える、X線イメージングのための方法がさらに提供される。
【0087】
第1のセンサーアレイは、第1のシンチレーターに関連している。第1のセンサーアレイが、第1のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターに関連している。第2のセンサーアレイは、第2のシンチレーターにおいて生成された光学的な光子を検出するように構成されたセンサー要素のアレイを備える。X線源から出射されたX線が、まず第1のシンチレーターに行き着き、次に第2のシンチレーターに行き着くように、第1のシンチレーターは第2のシンチレーターに重なって位置している。第1のシンチレーターは0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーターは0.6mm以上の厚さをもつ。第2のシンチレーターは、ガドリニウム酸硫化物シンチレーターである。第1のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター及び第1のセンサーアレイは、低エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第2のイメージング動作モードにおいて、第2のシンチレーター及び第2のセンサーアレイは、高エネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。第3のイメージング動作モードにおいて、第1のシンチレーター、第1のセンサーアレイ、第2のシンチレーター、及び第2のセンサーアレイは、組合せエネルギーX線画像を生成するために使用可能なデータを提供するように構成される。
【0088】
一例において、第2のシンチレーターは0.8mm以上の厚さをもつ。一例において、第2のシンチレーターは1.0mm以上の厚さをもつ。一例において、第2のシンチレーターは1.2mm以上の厚さをもつ。一例において、第2のシンチレーターは1.3mm以上の厚さをもつ。
【0089】
一例において、第1のシンチレーターの厚さは1mm未満である。一例において、第1のシンチレーターはCsIシンチレーターである。一例において、第1のシンチレーターは針構造を備える。
【0090】
一例において、第1のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0091】
一例において、第2のイメージングモードにおける動作は、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせるビニング工程を有する。
【0092】
一例において、第3のイメージングモードにおける動作は、第1のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第1のビニング工程を有し、及び、第2のセンサーアレイの複数の近接したセンサー要素からの信号を組み合わせる第2のビニング工程を有する。
【0093】
一例において、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法と同じである。
【0094】
一例において、第1のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法は、第2のセンサーアレイのセンサー要素のピクセル寸法より小さい。
【0095】
図4は、X線イメージングのための従来の2D及び3Dディテクターを示す。
図4の左側の図は介入型スイートにおける最適な2D画像ガイダンスのために設計された従来のX線ディテクターを示す。小さいピクセル寸法(例えば150μm)により、及び、シンチレーターにより生成された可視光の広がりを制限することにより、高い空間分解能が達成される。例えば、CsIシンチレーターは限られた厚さ(<800μm)をもち、CsIは、光学的画像センサーまでの光の導波を可能にする針構造をもつ。したがって、このようなディテクターは、最適な処置のための、及び、最適な空間分解能のためのものである。
図4の右側の図は、最大1mmのはるかに大きいピクセル寸法をもち、及び、高いX線吸収(約1.5mmの厚さのピクセル式シンチレーター)のために最適化され、結果として、最小化された散乱とともに、診断のための高コントラスト画像が達成される3Dイメージングのために使用される従来のCTディテクターを示す。したがって、このようなディテクターは、最適な診断及び最適なX線吸収のためのものである。
【0096】
図1~
図3に関連して説明されるX線イメージングのためのディテクター、システム及び方法が、以下で
図5~
図7に関連してより詳細に説明される。
【0097】
図5は、X線イメージングのためのディテクターの詳細な例を示す。ディテクターは、最適な空間分解能、及び、より大きいX線吸収を提供するデュアルレイヤーX線ディテクターである。第1の層は反射体を含み、反射体の後にシンチレーターが続き、シンチレーターの下方に光学的放射線ディテクターアレイがある。シンチレーターはCsIから作られ、検出アレイまで放射光を導波する針構造をもつ。低エネルギーX線はシンチレーターにおいて吸収され、ディテクターアレイの読み取りは、画像の獲得及び表示を可能にする。高分解能X線イメージングが可能にされるように、第1の層は非常に薄く維持される。第2の層は第1の層の下方に位置する。第2の層は反射体を含み、反射体の後に第2のシンチレーターが続き、第2のシンチレーターの下方に第2の光学的放射線ディテクターアレイがある。第2のシンチレーターはCsIから作られ、検出アレイまで放射光を導波する針構造をさらにもつ。第1のシンチレーターにおいて吸収されたものより高いエネルギーのX線が第2のシンチレーターにおいて吸収され、ディテクターアレイの読み取りが画像の獲得及び表示を可能にする。より多くのX線吸収が達成されるように、第2の層は十分に厚い。低エネルギーバンドと高エネルギーバンドとの両方にわたって広がる組み合わされた画像を提供するために、第1のディテクターアレイからの読み取りと、第2のディテクターアレイから読み取りとが組み合わされる。第2のシンチレーターは第1のシンチレーターより厚いので、この画像は、第1の層だけの働きにより達成される空間分解能より低い空間分解能をもつが、3D画像における使用にふさわしい高コントラスト画像を提供する。必要な場合、第1のディテクターアレイからの読み取りは、第2の層から返される空間分解能に適合するように、ビニングされ得る。これはさらに読み取りを高速化する。第2のディテクターアレイからの読み取りも、読み取りを高速化するために、ビニングされ得る。ビニング工程は、1つ又は複数の近接したピクセルからの信号を組み合わせる。さらに、第1の層からの読み取りが低エネルギーX線に関連しており、高エネルギーX線からの読み取りが高エネルギーX線に関連しているので、2つの読み取り結果が、デュアルエネルギー検出システムの一部として使用され得る。第1のシンチレーターは、その厚さに対する分解能に本来的に適合したピクセル寸法をもつ関連するセンサーアレイを含み得、したがって、この場合、動作を高速化するためにビニングが使用される。第1のシンチレーターは、より大きい厚さをもち得、及び、その厚さにおける本来的な分解能より小さいピクセル寸法をもつ標準的な(したがって、費用効果の高い)センサーアレイを使用して動作し得る。ビニング工程は、次に、分解能を下げずに読み取り速度の上昇をもたらすように、近接したピクセルからの信号を組み合わせるために使用され得る。同様に、第2のシンチレーターは、本来的な分解能に適合したピクセル寸法をもつ関連するセンサーアレイを含み得、したがって、速度を改善するためにビニングが使用される。しかし、第1のシンチレーターに対して使用されるものと同じであり得る標準的なセンサーアレイが使用され得、信号は、1つより多いピクセルにわたって広げられ得、この場合も、ビニングが分解能の損失をもたらさずに速度の上昇をもたらす。ビニング工程は、ビニングモードにおいて動作しているか否かに関わらず、第2のシンチレーターから返された分解能に適合するように、第1のシンチレーターに対しても使用され得る。シンチレーター厚は、X線線量が低エネルギー画像データと高エネルギー画像データとの間において一様に拡散されるようにされ得る。
【0098】
図6は、
図1に関連して説明されるディテクターとして、2つの詳細なバージョンのディテクターを示す。左側の図に示されているのは
図5に関連して説明されるディテクターであるのに対し、右側の図では高速CT様材料(例えばGOS)が底部シンチレーターに対して使用されており、介入型X線イメージング用途において並外れて少ないゴースト発生をもたらすディテクターを提供する。したがって、ディテクターは、最適な処置及び最適な診断を提供し、2Dのための最適な空間分解能を提供し、及び、3Dのためのより大きいX線吸収を提供するハイブリッドX線ディテクターである。
【0099】
しかし、両方のバージョンに対して、高分解能2Dイメージングのために、ディテクターは適切な厚さの上部シンチレーターを備え、及び、このディテクターからの画像はすべての2D用途に対して単独で使用され得る(画像1)。この上部シンチレーターは、従来のX線ディテクターにおける厚さと同じ厚さであり得る。ディテクターのこの上部シンチレーターは、画像ガイダンス(及び高分解能3D用途)のために最適な画像品質が確実なものとされ得るビニングされない3D用途にも使用され得る。しかし、画像1と画像2との組合せを使用して、組み合わされた画像が(ビニングが適用され得る)3Dイメージングのために生成され得る。これを達成するために、底部シンチレーターが上部シンチレーターより厚く作られ得る。実現され得る、主に高kVp設定(例えば120kVp又は140kVp)に対する結果として得られる総X線吸収は、X線ディテクターに対して並外れて高く、CT様イメージングを実現し、
図7が、CsIから作られたときの、及び、140kVにおける動作のための、及びCuを0.4mmとし、H
2Oを300mmとし、CsI充填密度を75%とした、両方のシンチレーターに対する総シンチレーター厚の関数として総X線吸収に関連した詳細を提供している。右側の図における底部シンチレーターは3Dのための4×4ビニングの一例を示す。
【0100】
高度な画像処理は、画像1及び画像2に適用され得る。この手法により、超分解能が達成され得、したがって、画像2(より高いコントラスト)が画像1(より良い空間分解能)を改善するために、又はその逆のために使用され得る。この場合において、画像2は、2D用途のために使用され得る。さらに、2つの画像が異なる散乱情報を使用して獲得されたという事実を利用することにより、散乱修正が改善され得る。さらに、説明されているように、画像1及び画像2は異なるエネルギーのX線の獲得に関連しているので、ディテクターはデュアルエネルギー画像獲得をさらに提供した。
【0101】
ピクセルのビニング
ピクセルのビニングは、多くの近接したピクセルからの信号を加算又は平均化することを表す。このようなビニングは、多くの場合、ピクセルの長方形又は正方形の配置にわたって行われるが、それらの形状に限定されない。ビニング工程は、
専用ビニングスイッチを使用してピクセルを互いに直接接続することにより、
近接した行の(同時)読み取りであって、信号が読み取り列において加算される、近接した行の(同時)読み取り(「縦ビニング」)により、
読み取り中に読み取り列を相互接続し、したがって、近接した列の信号を加算又は平均化すること(「横ビニング」)により、
ディテクターパネルの縁部における読み取りASICにおいて近接した読み取り列からの信号を加算又は平均化すること(「横ビニング」)により、
個々の(又は、1次元的にビニングされた)ピクセルを読み取った後のデジタルドメインにおける信号の加算又は平均化により、又は、
上記の工程の組合せにより
行われ得る。
【0102】
別の例示的な実施形態において、適切なシステムにおいて、先行する実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを実行するように構成されていることを特徴とする、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0103】
したがって、コンピュータプログラム要素がコンピュータユニットに記憶されてよく、これも一実施形態の一部であってよい。この演算ユニットは、上述の方法のステップを実施するように、又は実施することを誘起するように構成されてよい。さらに、この演算ユニットは、上述の装置及び/又はシステムのコンポーネントを動作させるように構成されてよい。演算ユニットは、自動的に動作するように、及び/又はユーザーの命令を実行するように構成され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされてよい。したがって、データプロセッサは、先行する実施形態のうちの1つによる方法を実施するように具備されてよい。
【0104】
本発明のこの例示的な実施形態は、まさに最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、更新により既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変換するコンピュータプログラムとの両方をカバーする。
【0105】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上述のような方法の例示的な実施形態の手順を満たすすべての必要なステップを提供することが可能であってよい。
【0106】
本発明のさらなる例示的な実施形態によると、CD-ROMなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム要素を含み、このコンピュータプログラム要素はこれまでのセクションにより説明される。
【0107】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一体的に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶されてよく、及び/又は、適切な媒体にのせて配布されてよいが、例えばインターネット又は他の有線又は無線電気通信システムを介してなど他の形態で配布されてもよい。
【0108】
しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブといったネットワークを通じて提示されてもよく、このようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされ得る。本発明のさらなる例示的な実施形態によると、ダウンロードのためにコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素が本発明の上述の実施形態のうちの1つによる方法を実施するように構成される。
【0109】
本発明の実施形態が異なる主題に関連して説明されることに注意が必要である。特に、いくつかの実施形態が方法形態の請求項に関連して説明されるのに対し、他の実施形態はデバイス形態の請求項に関連して説明される。しかし、当業者は、上述の内容と以下の説明とを参照して、別段の記載がない限り、1つの形態の主題に属する特徴の任意の組合せに加えて、異なる主題に関連した特徴間の任意の組合せも本出願において開示されているとみなされることを理解する。しかし、すべての特徴が、組み合わされることにより、特徴の単なる足し合わせを上回る相乗効果を提供し得る。
【0110】
図面及び上述の説明に本発明が例示され、詳細に説明されているが、このような例示及び説明は例示又は一例とみなされ、限定とはみなされない。本発明は開示されている実施形態に限定されない。開示されている実施形態に対する他の変形例が、図面、本開示、及び従属請求項の考察により、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実現され得る。
【0111】
特許請求の範囲において、「備える(含む、有する、もつ)」という用語は、他の要素もステップも排除せず、単数形は複数を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかの項目の機能を実現してよい。単に特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実が、利点を得るためにこれらの手段の組合せが使用不可能なことを示すわけではない。特許請求の範囲における参照符号は、いずれも特許請求の範囲を限定するように解釈されてはならない。