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  • 特許-シクロペンタン化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】シクロペンタン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/56 20060101AFI20240112BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240112BHJP
   C07D 401/08 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 31/451 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C07D211/56 CSP
C07D401/12
C07D401/08
A61K31/454
A61K31/501
A61K31/506
A61K31/497
A61P13/12
A61P43/00 111
A61K31/451
A61K31/4545
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020563695
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019061888
(87)【国際公開番号】W WO2019215268
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/086503
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518099859
【氏名又は名称】ディザル(ジァンスー)ファーマシューティカル・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオリン
(72)【発明者】
【氏名】パン,ウェイタオ
(72)【発明者】
【氏名】ニキティディス,グリゴリアス
(72)【発明者】
【氏名】リンハーゲン,ジェニー・スザンナ・マリカ
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521250(JP,A)
【文献】特表2007-532596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 211/56
C07D 401/12
C07D 401/08
A61K 31/454
A61K 31/501
A61K 31/4462
C07D 213/64
A61K 31/506
A61K 31/497
A61P 13/12
A61P 43/00
A61K 31/451
A61K 31/4545
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
(式中:
Xは、a)Oであり、Rは、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニルおよびピリダジルから選択される6員の芳香族またはヘテロ芳香族環であり、ここで、Rは、F、Cl、Br、CN、OH、OC1~3アルキル、OCF、C1~3アルキル、C(O)NH、CFおよびシクロプロピルから独立して選択される1個または2個の置換基Yで任意選択により置換されているか;またはb)NRであり、N、RおよびRは、F、Cl、CNおよびメチル(Me)から独立して選択される1個または2個の置換基Yで任意選択により置換されている5員芳香族複素環を一緒に形成し;
は、F、Cl、CN、メチル、メトキシ、ヒドロキシおよびエチニルから独立して選択され;
は、ピペリジン環のC2、C4またはC5に結合するFおよびClから独立して選択され;
整数aおよびbは、0、1および2から独立して選択される)
の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
ピペリジン基およびXR基が、トランス配置である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ピペリジン基およびフェニル基が、シス配置である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
置換基Rが、シクロペンタン環への結合に対してパラ位にある、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
置換基RがFであり、a=1である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
XがOである、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
6員の芳香族またはヘテロ芳香族環Rが、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニルおよびピリダジルから選択され、Rが、Me、Cl、FおよびCNから選択される少なくとも1個の置換基Yで置換されている、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
XがNRである、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
NRを含む5員芳香族複素環が、非置換である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
NRを含む5員芳香族複素環が、ピロール、イミダゾール、ピラゾールおよび1,2,4-トリアゾールから選択される、請求項8または9に記載の化合物。
【請求項11】
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(トリアゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-3-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピロール-3-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]トリアゾール-4-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル;
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピラゾール-1-イル-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピラゾール-1-イル-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(テトラゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(テトラゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]-1,2,4-トリアゾール-3-カルボニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(3-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-3-クロロ-ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(5-アミノ-3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-2-フルオロ-ベンゾニトリル;
2-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-フェニル-シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-フェニル-シクロペントキシ]-3-クロロ-ベンゾニトリル;
6-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-5-メチル-ピリダジン-3-カルボニトリル;
1-[2-(4-クロロピリダジン-3-イル)オキシ-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
6-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリダジン-3-カルボニトリル;
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(5-フルオロピリダジン-3-イル)オキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
6-(2-((R)-3-アミノピペリジン-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチルオキシ)ニコチノニトリル;
6-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリジン-3-カルボニトリル;
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピリダジン-3-イルオキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピリミジン-4-イルオキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
2-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリミジン-5-カルボニトリル;
5-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピラジン-2-カルボニトリル;および
5-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリミジン-2-カルボニトリル;
並びに薬学的に許容されるその塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミン、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
シータ=17.1±0.5°、20.2±0.5°、および22.2±0.5°の特定のピークを有するX線粉末回折パターンを示す、(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの結晶。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩又は請求項13記載の結晶、および少なくとも1種の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または不活性担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
腎臓疾患の処置のための医薬の製造における使用のためである、請求項1から12のいずれかに記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩又は請求項13記載の結晶
【請求項16】
腎臓疾患の処置における使用のための、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項16記載の医薬組成物であって、前記疾患は、TRPC6機能獲得型突然変異を有する巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である、前記医薬組成物。
【請求項18】
下に示す式IIの構造を有する化合物を式IIIの構造を有する化合物と反応させて、式IV-1の構造を有する化合物および式IV-2の構造を有する化合物を得る工程を含む、式IV-1の構造を有する化合物および式IV-2の構造を有する化合物を調製する方法:
【化2】
(式中、Rは、独立して、F、Cl、CN、メチル、メトキシ、ヒドロキシおよびエチニルから選択され、
は、ピペリジン環のC2、C4またはC5に結合したFおよびClから独立して選択され、
整数aおよびbは、独立して、0、1および2から選択され、および、
Pは保護基である)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、標準的な一過性受容体電位チャネルTRPC6およびTRPC3を阻害する置換シクロペンタン化合物および薬学的に許容されるその塩に関する。本開示は、医薬における、例えばTRPC6またはTRPC3機能の阻害が治療的に有意である疾患の処置における、これらの化合物および薬学的に許容されるその塩の使用にも関する。本開示は、本開示による化合物を使用する処置の方法および医薬の製造の方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
一過性受容体電位チャネル(TRPチャネル)は、ある特定の哺乳動物細胞の形質膜上に大部分が位置されるイオンチャネルのグループである。TRPチャネルは、一般的に、形質膜におけるイオン進入駆動力ならびにCa2+およびMg2+輸送機構をモジュレートする。7つの標準的な一過性受容体電位チャネル(TRPCチャネル)は、ホスホリパーゼC(PLC)共役型受容体によって活性化される電位カチオンチャネルであり、4つのサブグループ:グループ1(TRPC1)、グループ2(TRPC2)、グループ3(TRPC3、TRPC6およびTRPC7)およびグループ4(TRPC4およびTRPC5)に細分することができる。これらのうち、グループ3のTRPC、即ちTRPC3、TRPC6およびTRPC7は、物理的に相互作用し、共発現で、再構築することで機能的四量体チャネルを形成する。TRPC3、6および7の間の配列相同性は、ほぼ75%である。
【0003】
標準的な一過性受容体電位(TRPC)サブファミリーのメンバーであるTRPC6は、糸球体障壁機能の維持に重要な役割を有する糸球体上皮細胞上で発現される非選択的Ca2+チャネルである。TRPC6の活性化は、Ca2+流入をもたらし、糸球体上皮細胞形態および運動性を調節する。TRPC6シグナル伝達の上方調節は、糸球体上皮細胞の損傷を引き起し、重度タンパク尿をもたらすことが観察された。
【0004】
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は、小児および成人の両方においてステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の最も共通の原因である。FSGSを有する未処置患者の予後は不良であり、60%超の未処置患者が、腎不全ともしばしば称される末期腎疾患(ESRD)に進行し、これが順じて、慢性腎臓疾患の最終段階になる。典型的に、FSGS診断からESRDの時間は、およそ10年である。しかしながら、ESRDへの進行は、ずっと急速であり、例えば6カ月以内である。文献報告は、20%もの多くのESRD患者が初期にFSGSを呈することを示唆する。
【0005】
TRPC6機能獲得型突然変異は、タンパク尿およびFSGSについての標準治療であるステロイド処置に対する抵抗性の表現型とともに、FSGSの家族型または孤発型において同定される。ステロイド処置に対する抵抗性の発生は、順じて、慢性腎臓疾患(CKD)に最終的に至ることがある。FSGSを有する著しい数の患者は、機能獲得を引き起こす標準的な一過性受容体電位チャネル(Transient receptor potential canonical)6(TRPC6)の突然変異を呈する(Winnら、Science.2005、308(5729):1801~4)。FSGSにおけるTRPC6機能獲得型突然変異の存在は、そのため、予後的に有意である。したがって、TRPC6の阻害は、FSGSの処置のための、特に、TRPC6機能獲得型突然変異を有するような患者のための治療的介入の新たな機会を潜在的に提供する。
【0006】
TRPCチャネル機能は多数の他の障害とも関連しており、TRPC3上方調節は筋ジストロフィーにおいて観察されているとともに筋線維変性と関連している(Millayら、PNAS、2009、106(45):19023~19028)。TRPC3と関連する他の状態としては、心臓肥大が挙げられる(Kiyonakaら、PNAS 2009 106(13)5400~5405)。FSGSに加えて、TRPC6は、心筋梗塞など、ある範囲の状態と関連し(Varga-Szaboら、J.Thromb.およびHaemost.2009、7、1057~1066)、ここで、TRPC6機能の損失は、インビボモデルにおける心筋梗塞後の心臓における心臓機能不全および心臓リモデリング(Grossら、Circulation Research 2016、119:A296);肺高血圧症(Yuら、Circulation 2009、119、2313~22);骨格筋機能不全(Millayら、ibid);およびがん細胞増殖(Dingら、J Natl Cancer Inst(2010)102(14):1052~1068)の進行の減速との関連が示されている。TRPC6およびTRPC3阻害剤は、そのため、潜在的に広い治療用途を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らの知る限り、現在までに、臨床的使用について承認されたTRPC6またはTRPC3の阻害剤も、TRPC6およびTRPC3のデュアル阻害剤もない。それゆえに、臨床的使用に適切な薬理学的および薬学的プロファイリングを有するTRPC6および/またはTRPC3の新たな阻害剤の必要がある。治療剤としての使用に適切である、TRPC6およびTRPC3を阻害する新たな化合物を提供することが、本明細書の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで驚くべきことに、本発明者らは、本明細書に記載されているシクロペンタン誘導体が、TRPC6およびTRPC3を阻害でき、そのため、TRPC6およびTRPC3機能が薬理学的有意性を有する状態の処置に有用であり得ることを発見した。
【0009】
一態様において、式I、
【0010】
【化1】
【0011】
(式中:
Xは、a)Oであり、Rは、F、Cl、Br、CN、OH、OC1~3アルキル、OCF、C1~3アルキル、C(O)NH、CFまたはシクロプロピルから独立して選択される1個または2個の置換基Yで任意選択により置換されている、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニルまたはピリダジルから選択される6員の芳香族またはヘテロ芳香族環であるか;またはb)NRであり、ここで、N、RおよびRは、F、Cl、CNまたはMeから独立して選択される1個または2個の置換基Yで任意選択により置換されている5員芳香族複素環を一緒に形成し;
は、F、Cl、CN、メチル、メトキシ、ヒドロキシおよびエチニルから独立して選択され;
は、ピペリジン環のC2、C4またはC5に結合するFまたはClから独立して選択され;
整数aおよびbは、0、1または2から独立して選択される)
の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0012】
さらなる態様において、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量、および少なくとも1種の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または不活性担体を含む医薬組成物が提供される。
【0013】
さらなる態様において、TRPC6および/またはTRPC3の阻害が有益である疾患および状態の処置または予防における使用のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。実施形態において、本明細書は、腎臓疾患の処置における使用のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。実施形態において、腎臓疾患は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。実施形態において、腎臓疾患は、TRPC6機能獲得型突然変異を有する巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。
【0014】
さらなる態様において、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、TRPC6および/またはTRPC3の阻害が有益である疾患または状態を処置する方法が提供される。一実施形態において、前記疾患または状態は、腎臓疾患である。実施形態において、腎臓疾患は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。実施形態において、腎臓疾患は、TRPC6機能獲得型突然変異を有する巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。
【0015】
さらなる態様において、TRPC6および/またはTRPC3の阻害が有益である疾患または状態の処置のための薬の調製における使用のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。一実施形態において、前記疾患または状態は、腎臓疾患である。別の実施形態において、腎臓疾患は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。実施形態において、腎臓疾患は、TRPC6機能獲得型突然変異を有する巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。
【0016】
さらなる態様において、薬における使用のための式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
さらなる態様において、式Iの化合物の調製のためのプロセスおよびその調製において使用される中間体が提供される。
【0017】
さらなる態様において、式Iの化合物は、(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンである。実施形態において、(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンは、結晶性形態、例えば、本明細書にさらに記載されている通りの単結晶多形形態Aで提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願のこれらのおよび他の態様は、本明細書において下記に、より詳細に記載される。
式Iの化合物は多数の不斉炭素を有し、例えば、b=1である場合、ピペリジン環上でC3およびC5に2つの不斉炭素、ならびにシクロペンタン環上でC1、C2およびC4に3つある。本記載は、式Iの化合物の可能なエナンチオマーおよびジアステレオ異性体の全てを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】化合物10形態Aは、実質的に図1に示されている通りのX線粉末回折パターンを提供する。
【0020】
この明細書の目的のため、「5員芳香族複素環」という用語は、1個から4個の窒素原子を含む5員芳香族環を意味する。適切な5員芳香族複素環の例としては、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリルおよびテトラゾリルが挙げられる。
【0021】
誤解を避けるために、ピペリジン環上の位置C2からC5が、この明細書で言及される場合、それは、下記に標記されている通りピペリジン環上の位置に関する;
【0022】
【化2】
【0023】
実施形態において、式Iの化合物は、式Iaの化合物であり、式中、ピペリジン基のC3の不斉炭素は、(R)-配置である。
【0024】
【化3】
【0025】
例えば、式Iaの化合物は、式Iaiの化合物であってよく、式中、ピペリジン基のC3およびC5の不斉炭素は、(R)-配置であり、即ち、式Iaの化合物は、下記に示されている通りの(3R,5R)-5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンである。
【0026】
【化4】
【0027】
式IおよびIaの化合物の実施形態は、XR基およびピペリジン基が互いにトランスである式Ibの化合物を含む。
【0028】
【化5】
【0029】
したがって、ピペリジン環の基の立体化学が特定されていない場合において、化合物は、式Ibiの化合物、即ち、下記に示されている通りの5-フルオロ-1-[(1R,2R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンまたは5-フルオロ-1-[(1S,2S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンであり得る。
【0030】
【化6】
【0031】
式I、IaおよびIbの化合物の実施形態は、式Icの化合物を含み、ここで、ピペリジン基およびフェニル基は、互いにシスである。
【0032】
【化7】
【0033】
したがって、ピペリジン環上の基の立体化学が特定されていない場合において、式Icの化合物は、式Iciの化合物、即ち、下記に示されている通りの5-フルオロ-1-[(1R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンまたは5-フルオロ-1-[(1S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンであり得る。
【0034】
【化8】
【0035】
式I、Ia、IbおよびIcの化合物の実施形態は、式Idの化合物を含み、式中、ピペリジン基およびフェニル基が互いにシスであり、ピペリジン基およびXR基が互いにトランスである。
【0036】
【化9】
【0037】
したがって、ピペリジン環上の基の立体化学が特定されていない場合において、式Idの化合物は、式Idiの化合物、即ち、5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンまたは5-フルオロ-1-[(1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンであり得る。
【0038】
【化10】
【0039】
ピペリジン基が5-フルオロ-(3R,5R)-ピペリジン-3-アミン基である式Idの実施形態において、式Idの化合物は、下記に示されている通りの(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンまたは(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンであり得る。
【0040】
【化11】
【0041】
一実施形態において、式Iの化合物は、(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンである。
【0042】
【化12】
【0043】
実施形態において、式I、Ia、Ib、IcまたはIdの化合物は、式Ieの化合物であり、ここで、X基はOであり、Rは、F、Cl、Br、CN、OH、OC1~3アルキル、OCF、C1~3アルキル、C(O)NH、CFまたはシクロプロピルから独立して選択される1個または2個の置換基Yで任意選択により置換されている、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニルまたはピリダジルから選択される6員の芳香族またはヘテロ芳香族環である。
【0044】
実施形態において、式Ieの化合物は、式Ifの化合物であり、ここで、6員の芳香族またはヘテロ芳香族環R上の少なくとも1個の置換基は、Me、Cl、FおよびCNから選択される。
【0045】
実施形態において、式I、Ia、Ib、IcまたはIdの化合物は、式Igの化合物であり、ここで、XR基はNRであり、ここで、N、RおよびRは、F、Cl、CNまたはMeから独立して選択される1個または2個の置換基Yで任意選択により置換されている5員芳香族複素環を一緒に形成する。
【0046】
実施形態において、式Igの化合物は、式Ihの化合物であり、ここで、5員芳香族複素環上の少なくとも1個の置換基は、Me、Cl、FおよびCNから選択される。
実施形態において、式Igの化合物は、式Iiの化合物であり、ここで、5員芳香族複素環は非置換である。
【0047】
実施形態において、式I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhまたはIiの化合物は、式Ijの化合物であり、ここで、少なくとも1個の置換基Rは、シクロペンタン環への結合に対してパラである。
【0048】
実施形態において、式Ijの化合物は、式Ikの化合物であり、ここで、置換基RはFであり、a=1である。
実施形態において、式I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、Ih、Ii、IjまたはIkの化合物は、式Ilの化合物であり、ここで、少なくとも1つの基RはFである。
【0049】
実施形態において、式Ilの化合物は、式Imの化合物であり、ここで、b=1である。
実施形態において、式I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、Ih、Ii、Ij、Ik、Ilまたはlmの化合物は、式Inの化合物であり、ここで、Rは、ピペリジン環のC4またはC5に結合するFまたはClから独立して選択される。
【0050】
実施形態において、式I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、Ih、Ii、Ij、Ik、Ilまたはlmの化合物は、式Ioの化合物であり、ここで、Rは、ピペリジン環のC4またはC5に結合するFである。
【0051】
実施形態において、式I、Ia、Ib、IcまたはIdの化合物は、以下から選択される:
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(トリアゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-3-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピロール-3-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]トリアゾール-4-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル;
1-[2-(3-アミノ-4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル;
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピラゾール-1-イル-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピラゾール-1-イル-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(テトラゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(テトラゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]-1,2,4-トリアゾール-3-カルボニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(3-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-3-クロロ-ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(5-アミノ-3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-2-フルオロ-ベンゾニトリル;
2-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-フェニル-シクロペントキシ]ベンゾニトリル;
4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-フェニル-シクロペントキシ]-3-クロロ-ベンゾニトリル;
6-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-5-メチル-ピリダジン-3-カルボニトリル;
1-[2-(4-クロロピリダジン-3-イル)オキシ-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
6-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリダジン-3-カルボニトリル;
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(5-フルオロピリダジン-3-イル)オキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
6-(2-((R)-3-アミノピペリジン-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチルオキシ)ニコチノニトリル;
6-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリジン-3-カルボニトリル;
1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピリダジン-3-イルオキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピリミジン-4-イルオキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン;
2-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリミジン-5-カルボニトリル;
5-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピラジン-2-カルボニトリル;および
5-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリミジン-2-カルボニトリル;
または薬学的に許容されるその塩。
【0052】
一実施形態において、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量、および少なくとも1種の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または不活性担体を含む医薬組成物が提供される。一実施形態において、医薬組成物は、遊離塩基形態での式Iの化合物を含む。
【0053】
一実施形態において、TRPC6および/またはTRPC3の阻害が有益である疾患および状態の処置または予防における使用のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。一実施形態において、該使用は、腎臓疾患の処置のためである。一実施形態において、腎臓疾患は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。一実施形態において、腎臓疾患は、Winnら、Science.2005、308(5729):1801~4に記載されている通りの、TRPC6機能獲得型突然変異を有する巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。
【0054】
一実施形態において、TRPC6および/またはTRPC3の阻害が有益である疾患または状態の処置のための薬の調製における使用のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。一実施形態において、前記疾患または状態は、腎臓疾患である。一実施形態において、腎臓疾患は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、例えば、TRPC6機能獲得型突然変異を有するFSGSである。
【0055】
一実施形態において、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、TRPC6および/またはTRPC3の阻害が有益である疾患または状態を処置する方法が提供される。一実施形態において、前記疾患または状態は、腎臓疾患である。一実施形態において、腎臓疾患は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、例えば、機能獲得型突然変異を有するFSGSである。
【0056】
一実施形態において、医薬としての使用のための式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
一実施形態において、式Iの化合物の調製のためのプロセスおよびその調製において使用される中間体が提供される。
【0057】
一実施形態において、式Iの化合物の調製ためのプロセスは、ステップ
【0058】
【化13】
【0059】
を伴い、式中、Pは、適切な窒素保護基である。Pは、カルバメート保護基、例えば、tert-ブトキシカルボニル基またはBoc基であり得る。アミノピペリジン基は、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマー形態で提供することができる。アミノピペリジン基は、>95%のe.e.、>95%のd.e.、または>95%のe.e.および>95%のd.e.で提供され得る。
【0060】
本明細書において化合物10とも称される(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンは、結晶性形態、「化合物10形態A」、または単純に「形態A」として存在することができることが見出された。(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの1つの結晶性形態、即ち化合物10形態Aは、実質的に図1に示されている通りのX線粉末回折パターンを提供する。
【0061】
一態様は、(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの結晶性形態を提供する。
【0062】
別の態様は、(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミン、形態Aを提供し、これは、CuKα放射線を使用して、下記に表1に示されている通りの特徴X線粉末回折ピーク(角度2θで表される)を呈する。
【0063】
(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミン、形態Aは、CuKα放射線を使用して測定された以下の2θ値の少なくとも1つを提供することにおいて特徴付けられる:17.1°および20.2°。(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミン、形態Aは、実質的に図Aに示されている通りのX線粉末回折パターンを提供することにおいて特徴付けられる。13個の最も顕著なピークは、以下の表1に示されている:
【0064】
【表1】
【0065】
本明細書の実施形態によると、約2シータ=17.1°で少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有する(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの結晶性形態、形態Aが提供される。
【0066】
本明細書の実施形態によると、約2シータ=20.2°で少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有する(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの結晶性形態、形態Aが提供される。
【0067】
本明細書の実施形態によると、約2シータ=17.1°および20.2°で少なくとも2つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有する(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの結晶性形態、形態Aが提供される。
【0068】
本明細書の実施形態によると、約2シータ=12.3°、13.4°、13.6°、17.1°、18.9°、20.2°、20.9°、21.3°、21.8°、22.2°、24.5°、25.3°および27.0°で特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有する(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの結晶性形態、形態Aが提供される。
【0069】
本明細書の実施形態によると、図1に示されているX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミン、形態Aの結晶性形態が提供される。
【0070】
本明細書の実施形態によると、(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミン、形態Aの結晶性形態が提供され、ここで、前記形態は、2シータ=17.1°プラスまたはマイナス0.5°2シータで少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
【0071】
本明細書の実施形態によると、結晶性形態、形態Aが提供され、ここで、前記形態は、2シータ=20.2°プラスまたはマイナス0.5°2シータで少なくとも1つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
【0072】
本明細書の実施形態によると、結晶性形態、形態Aが提供され、ここで、前記形態は、2シータ=17.1°および20.2°で少なくとも2つの特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有し、ここで、前記値は、プラスまたはマイナス0.5°2シータであり得る。
【0073】
本明細書の実施形態によると、結晶性形態、形態Aが提供され、ここで、前記形態は、2シータ=12.3°、13.4°、13.6°、17.1°、18.9°、20.2°、20.9°、21.3°、21.8°、22.2°、24.5°、25.3°および27.0°で特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有し、ここで、前記値は、プラスまたはマイナス0.5°2シータであり得る。
【0074】
本明細書の実施形態が(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの結晶性形態に関すると明記されている場合、結晶化度は、好都合には、約60%超、より好都合には約80%超、好ましくは約90%超、より好ましくは約95%超である。最も好ましくは、結晶化度は約98%超である。
【0075】
(3R,5R)-5-フルオロ-1-((1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミンの結晶性形態、形態Aは、図1に示されているX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンを提供し、表1に示されている13個の最も顕著なピーク(角度2シータ値)を実質的に有する。X線粉末回折パターンの2シータ値は、機械毎にまたは試料毎にわずかに変動することができると理解され、そのため、引用された値は、絶対と解釈されるべきでない。
【0076】
この明細書において、別段に明記されていない限り、「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、健全な医学的判断の範疇内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症なく、妥当な利益/リスク比に相応する、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適切であるような化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
【0077】
この明細書において、別段に明記されていない限り、「有効量」という成句は、処置されるべき症状および/または状態を著しく正に改変する(例えば、正の臨床応答を提供する)のに足るほど十分である化合物または組成物の量を意味する。医薬組成物における使用のための活性成分の有効量は、処置されている特別な状態、状態の重症度、処置の持続期間、併用治療の性質、用いられている特別な活性成分、利用された特別な薬学的に許容される賦形剤/担体、ならびに主治医の知識および専門知識内の同様の因子とともに変動する。
【0078】
「処置すること」という用語は、本明細書で使用される場合、別段に表示されていない限り、こうした用語が当てはまる障害もしくは状態またはこうした障害もしくは状態の1つまたは複数の症状を反転させること、軽減すること、それらの進行を阻害すること、それらの進行を遅延させること、それらの発生を遅延させること、またはそれらを防止することを意味する。「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、別段に表示されていない限り、「処置すること」が直前に定義されている通りに処置するという行為を指す。「処置すること」という用語は、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置も含む。誤解を避けるために、「処置」への本明細書における言及は、治癒的、対症的および予防的処置ならびにこうした処置における使用のための医薬の投与への言及を含む。
【0079】
式Iの化合物は、安定な薬学的に許容される酸または塩基塩を形成することができ、こうした場合において、塩としての化合物の投与が適切であり得る。酸付加塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、コリン、クエン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、ジエチレンジアミン、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、半硫酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホネート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メグルミン、2-ナフタレンスルホネート、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシレート(p-トルエンスルホネート)、トリフルオロ酢酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。非毒性の生理学的に許容される塩が好ましいが、他の塩は、生成物を単離または精製する際などに有用であり得る。
【0080】
該塩は、従来の手段によって、例えば、生成物の遊離塩基形態を、1つもしくは複数の当量の適切な酸と、塩が不溶性である溶媒もしくは媒体中で、または真空中でもしくは凍結乾燥することによって除去される水などの溶媒中で反応させることによって、あるいは既存の塩のアニオンを、適切なイオン交換樹脂上の別のアニオンと交換することによって形成することができる。
【0081】
式Iの化合物は、1つ超のキラル中心を有し、本願は、全ての個々の立体異性体、エナンチオマーおよびジアステレオ異性体ならびにその混合物を包含すると理解されるべきである。したがって、式Iの化合物が、1個または複数の不斉炭素原子により光学活性またはラセミ形態で存在することができる限り、本願は、その定義に、上述されている活性を所有する任意のこうした光学活性またはラセミ形態を含むと理解されるべきである。本出願は、本明細書において定義されている通りの活性を有する全てのこうした立体異性体を包含する。
【0082】
光学活性形態の合成は、当技術分野においてよく知られている有機化学の標準的技術によって、例えば、光学活性出発材料からの合成によってまたはラセミ体形態の分割によって実施することができる。ラセミ体は、公知の手順を使用して個々のエナンチオマーに分離することができる(例えば、Advanced Organic Chemistry:第3版:著者J.March、104~107ページを参照されたい)。適切な手順は、ラセミ材料とキラル補助剤との反応、続いて、例えばクロマトグラフィーによるジアステレオマーの分離、および次いで助剤種の切断による、ジアステレオマー誘導体の形成を伴う。同様に、上述されている活性は、後文に言及されている標準的な実験室技法を使用して評価することができる。
【0083】
したがって、本明細書の全体にわたって、式Iの化合物が言及されている場合、化合物という用語は、TRPC6およびTRCP3阻害剤であるジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物およびエナンチオマーを含むと理解されるべきである。
【0084】
立体異性体は、従来技術、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶を使用して分離することができる。エナンチオマーは、ラセミ体の分離によって、例えば分別結晶、分割またはHPLCもしくはSFCによって単離することができる。ジアステレオ異性体は、ジアステレオ異性体の異なる物理的特性による分離によって、例えば、分別結晶、HPLCまたはフラッシュクロマトグラフィーによって単離することができる。代替として、特別な立体異性体は、ラセミ化もしくはエピマー化を引き起こさない条件下でキラル出発材料からキラル合成によって、またはキラル試薬を用いる誘導体化によって作製することができる。
【0085】
特定の立体異性体が提供される(分離によって、キラル合成によってまたは他の方法によって提供される)場合、それは、好ましくは、同じ化合物の他の立体異性体から実質的に単離されて提供される。一態様において、式Iの化合物の特別な立体異性体を含有する混合物は、同じ化合物の他の立体異性体30重量%未満、特に20重量%未満、さらに特に10重量%未満を含有することができる。別の態様において、式Iの化合物の特別な立体異性体を含有する混合物は、該化合物の他の立体異性体6重量%未満、特に3重量%未満、さらに特に2重量%未満を含有することができる。別の態様において、式Iの化合物の特別な立体異性体を含有する混合物は、該化合物の他の立体異性体1重量%未満、特に0.5重量%未満、さらに特に0.3重量%未満、いっそう特に0.1重量%未満を含有することができる。
【0086】
式Iのある特定の化合物および薬学的に許容されるその塩は、溶媒和ならびに非溶媒和形態、例えば水和および無水形態などで存在することができるとも理解されるべきである。本明細書における化合物は、全てのこうした溶媒和形態を包含すると理解されるべきである。明確にするため、これは、該化合物の遊離形態の溶媒和(例えば、水和)形態、ならびに該化合物の塩の溶媒和(例えば、水和)形態の両方を含む。
【0087】
本明細書に記載されている通りの式Iは、それの構成原子の全ての同位体を包含すると意図される。例えば、H(または水素)は、H、H(D)およびH(T)を含めて水素の任意の同位体形態を含み;Cは、12C、13Cおよび14Cを含めて炭素の任意の同位体形態を含み;Oは、16O、17Oおよび18Oを含めて酸素の任意の同位体形態を含み;Nは、13N、14Nおよび15Nを含めて窒素の任意の同位体形態を含み;Fは、19Fおよび18Fを含めてフッ素の任意の同位体形態を含む;などである。一態様において、式Iの化合物は、そこに包含される原子の同位体を、それらの天然の存在度に対応する量で含む。しかしながら、ある特定の例において、より低い存在度で通常存在する、特別な同位体における1個または複数の原子を富化することが望ましいことがある。例えば、Hは通常、99.98%超の存在度で存在するが;しかしながら、一態様において、本明細書において表される任意の式の化合物は、Hが存在する1つまたは複数の位置でHまたはHを富化することができる。別の態様において、本明細書において表されている任意の式の化合物が、放射性同位元素、例えばHおよび14Cを富化された場合、化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用であり得る。本出願は、全てのこうした同位体形態を包含すると理解されるべきである。
【0088】
TRPC6および/またはTRPC3の阻害が必要とされる状態の処置の方法が提供され、この方法は、こうした状態を患う人またはそれに感受性の人への、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量の投与を含む。
【0089】
式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩は、通常、薬学的に許容される剤形において、該活性成分あるいは薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物またはこうした塩の溶媒和物を含む医薬品調製物の形態で、経口経路を介して投与される。処置されるべき障害および患者に依存して、該組成物は、変動する用量として投与することができる。
【0090】
上に記載されている式Iの化合物の医薬製剤は、経口投与のために、特に錠剤またはカプセルの形態、および特に結腸標的化薬物放出を提供することを目的とした科学技術に関する形態で調製することができる(Patel、M.M.Expert Opin.Drug Deliv.2011、8(10)、1247~1258)。
【0091】
上に記載されている式Iの化合物の医薬製剤は、好都合には、単位剤形で投与することができ、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、Easton、PA.、(1985)に記載されている通り、医薬技術分野においてよく知られている方法のいずれかによって調製することができる。
【0092】
経口投与に適切な医薬製剤は、1種または複数の生理学的に適合性のある担体および/または賦形剤を含むことができ、固体または液状形態であってよい。錠剤およびカプセルは、結合剤、充填剤、滑沢剤および/または界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを用いて調製することができる。液体組成物は、懸濁剤、乳化剤および/または保存料などの従来の添加剤を含有することができる。液体組成物は、例えばゼラチン中にカプセル化されることで、単位剤形を提供することができる。固体経口剤形としては、錠剤、2部からなるハードシェルカプセルおよび軟弾性ゼラチン(SEG)カプセルが挙げられる。こうした2部からなるハードシェルカプセルは、例えば、式(I)の化合物をゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)シェルに充填することによって作製することができる。
【0093】
ドライシェル製剤は、典型的に、約40%w/wから60%w/w濃度のゼラチン、約20%から30%濃度の可塑剤(グリセリン、ソルビトールまたはプロピレングリコールなど)、および約30%から40%濃度の水を含む。保存料、染料、乳白剤および香味剤などの他の材料も存在することができる。液体充填材料は、溶解、可溶化もしくは分散させてある(蜜ワックス、水添ヒマシ油またはポリエチレングリコール4000などの懸濁剤を用いる)固体薬物、または鉱物油、植物油、トリグリセリド、グリコール、ポリオールおよび表面活性薬剤などビヒクルもしくはビヒクルの組合せ中の液体薬物を含む。
【0094】
ヒトの治療的処置における式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の適切な日用量は、約0.0001~100mg/kg体重である。
経口製剤、特に、0.1mgから1000mgの範囲における活性化合物の用量を提供するために当業者に知られている方法によって製剤化することができる錠剤またはカプセルが好ましい。
【0095】
さらなる態様によると、したがって、少なくとも1種の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体との添加混合物中に式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。
生物学的アッセイ
以下の試験手順は、本明細書に記載されている化合物の阻害特性を決定するために用いることができる。
【0096】
TRPC3およびTRPC6チャネル開口は、優勢にカルシウムおよびナトリウムカチオンの流入を引き起こし、これが細胞膜を横切る電位の変化をもたらす。膜電位のこの変化は、以下のFLIPR(商標)(蛍光イメージングプレートリーダー)アッセイにおける膜電位染料を使用してモニタリングすることができる。
TRPC6の阻害-FLIPR(商標)アッセイ
TRPC6-HEK293をPerkinElmer(PerkinElmer、製品番号:AX-012-C)から購入し、ヒトTRPC6イオンチャネルのコード配列を含有するpcDNA3.1(+)発現ベクターを使用してHEK293細胞をトランスフェクトした。使用されたコード配列は、2つの同義変動(t1683cおよびc2529t)を除いて、GenBank NM_004621のコード配列と同一である。培養培地としてDMEM+10%ウシ胎児血清(FBS)+0.5mg/mLジェネテシン(イオンチャネル発現選択)中で、細胞を成長させた。
【0097】
TRPC6細胞を10K細胞/ウェルで384ウェルポリスチレンプレートにプレーティングし、次いで、37℃プラス5%のCOで24時間成長させた。この時間の後、Tecanプレート洗浄器を使用して培地を吸引し、次いで、40μLの染料負荷緩衝液(130mMのNaCl、5mMのKCl、0.15mMのCaCl、1mMのMgCl、20mMのHEPES((4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸))、5mMのNaHCO)と置き換えた。TRPC6については、0.5×の最終濃度が使用される。膜電位染料を有する細胞を次いで室温で30分間インキュベートした後に、実験を開始した。
【0098】
TRPC6活性に対する化合物の効果を試験するために、化合物を最初に100%DMSO中で3×最終濃度に希釈して、実験で使用した。典型的な用量応答実験は、10μΜ(最高濃度)から0.5nM(最低濃度)を範囲とした。0.5%DMSOにおける5×化合物10マイクロリットルを、膜電位染料でインキュベートされた細胞40μLに添加した。化合物添加をFLIPRTetraまたはFLIPR 384(MDS Analytical Technologies、Molecular Devices、Sunnyvale、CA、94089、USA)上で行った。化合物を用いた400秒のインキュベーション後、12.5μLのOAG(1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(OAG)、Sigma、Gillingham、Dorset、SP8 4XT、カタログ番号O6754-10MG)を、5×EC80(TRPC6についての典型的EC80=3μM最終)で添加した。OAG負荷(OAG challenge)は、受容体作動性TRPC6活性化に対する化合物の阻害活性を測定するように設計されている。
【0099】
全てのデータを低対照(緩衝液単独で)または高対照(OAGEC100)に正規化した。XC50曲線フィッティングモジュールを使用してデータを分析し、plC50値またはIC50値として報告した。値は、最低2回の実験についての平均値を決定するために平均される。
TRPC3の阻害-FLIPR(商標)アッセイ
ヒトTRPC3イオンチャネルのコード配列を含有するPLVX-puroレンチウイルスベクターを使用して、AD293細胞をトランスフェクトした。2mg/mLのピューロマイシンで2週間処置することによって、ピューロマイシン抵抗性細胞を選択した。希釈を制限することによってモノクローナル細胞を得、膜電位アッセイにおいてOAGと、それらの応答について比較した。培養培地としてDMEM+10%ウシ胎児血清(FBS)+1mg/mLピューロマイシン中で、細胞を成長させた。
【0100】
TRPC3細胞を9K/ウェルで384ウェルポリスチレンプレートにプレーティングした。細胞を37℃プラス5%C0で24時間成長させ、この後、Tecanプレート洗浄器を使用して培地を吸引し、40μLの染料負荷緩衝液(130mMのNaCl、5mMのKCl、0.15mMのCaCl、1mMのMgCl、20mMのHEPES((4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸))、5mMのNaHCO3)と置き換えた。TRPC3については、0.5×膜電位染料(Molecular Devices Membrane Blue、FLIPR Membrane Potential Assay Kit(バルク)、製品番号R8034(BLUE)、Molecular Devices、Sunnyvale、CA、94089、USA)の最終濃度を使用した。膜電位染料を有する細胞を次いで室温で30分間インキュベートした後に、実験を開始した。
【0101】
TRPC3活性に対する化合物の効果を試験するために、化合物を最初に100%DMSO中で3×最終濃度に希釈して、実験で使用した。典型的な用量応答実験は、10μΜ(最高濃度)から0.5nM(最低濃度)を範囲とした。0.5%DMSOにおける5×化合物10マイクロリットルを、膜電位染料でインキュベートされた細胞40μLに添加した。化合物添加をFLIPRTetraまたはFLIPR 384(MDS Analytical Technologies)上で行った。化合物を用いた400秒のインキュベーション後、12.5μLのOAGを5×EC80(TRPC3についての典型的EC80=2μM最終)で添加した。OAG負荷は、受容体作動性TRPC3活性化に対する化合物の阻害活性を測定するように設計されている。
【0102】
全てのデータを低対照(緩衝液単独で)または高対照(OAGEC100)に正規化した。XC50曲線フィッティングモジュールを使用してデータを分析し、plC50値またはIC50値として報告した。値は、最低2回の実験についての平均値を決定するために平均される。
TRPC6およびTRPC3活性化の電気生理アッセイ
TRPC6およびTRPC3チャネル活性化は、ホールセルパッチクランプ技法を使用して測定することができるイオン電流をもたらす(Estacionら、J Physiol.2006 Apr 15;572(Pt 2):359~377、およびWashburnら、Bioorg Med Chem Lett.2013年9月1日;23(17):4979~84を参照されたい)。10μMのOAG(OAGは、TRPC6およびTRPC3チャネルの直接的アクチベーターである)を使用して、それぞれTRPC6形質導入HEK293細胞またはTRPC3形質導入AD293細胞におけるヒトTRPC6またはTRPC3電流を活性化した。TRPC6またはTRPC3形質導入細胞を37℃および5%のCOでインキュベートした。形質導入細胞を次いで、トリプシン溶液(0.25%トリプシン+0.1%EDTA(エチレンジアミン四酢酸))を使用してフラスコから剥離し、次いで、培養培地中にてパッチクランプ実験のために5時間以内で貯蔵した。細胞を小さいチャンバーに入れ、RSC-200灌流システム(Science Instruments、BioLogic)を使用して外液(約3mL/min)で連続的に灌流した。全ての電流記録は、室温(約22℃)で行われる。電極をガラス毛細管チューブから、およびそれぞれの内液で充填された場合に2~4ΜΩの抵抗を与えるように作製した。
【0103】
TRPC6電流記録のため、細胞内液は以下を含有していた(mMで):120のCsOH、120のアスパルテート、20のCsCl、2のMgCl、0.4のCaCl、10のHEPES、2のNaATP、0.1のNaGTP、10のグルコース、1のEGTA(CsOHで調整してpH7.2~7.25)。細胞外液は以下を含有していた(mMで):145のNaCl、5のKCl、1のCaCl、1のMgCl、10のHEPES、10のグルコース(NaOHで調整してpH7.4)。
【0104】
TRPC3電流記録のため、細胞内液は以下を含有していた(mMで):130のCsCl、5のHEPES、5のEGTA、5のNaATP、0.1のNaGTP、5.5のMgCl(CsOHで調整してpH7.2~7.25)。細胞外液は以下を含有していた(mMで):140のNaCl、4のKCl、1のMgCl、10のHEPES、0.2のCaCl、10のグルコース、2のNaEDTA(NaOHで調整してpH7.4)。
【0105】
細胞膜と電極との間のシールを作製した。全細胞配置を確立した後、細胞膜静電容量は電子工学的にキャンセルされ、直列抵抗を約70%補償した。TRPC6またはTRPC3電流は、300msの電圧ランププロトコール(+100mVから-100mV)によって5秒毎に-60mVの保持電位で誘発される。一旦制御電流を安定化させて、試験化合物を含有する外液で記録チャンバーを灌流した。各薬物濃度で、薬物効果が定常状態に達するのに十分な時間をおいた。
【0106】
TRPC6またはTRPC3電流を+100mVで平均電流として測定した。電流の時間経過を全体の実験についてプロットした。TRPC6またはTRPC3のパーセント阻害(I%)を式%I=100×(1-I/I)から算出した(ここで、Iは、特別な薬物濃度の終わりに測定された電流振幅であり、Icは、薬物適用前に測定された制御電流振幅である)。ゼロ電流(バックグラウンド)レベルは、OAG活性化TRPC6またはTRPC3電流の前のまさに開始時に設定される。Digidata 1440インターフェイスを有するMultiClamp 700B増幅器およびpCLAMPソフトウェア(AXON Instruments、Molecular Devices、Sunnyvale、CA、94089、USA)は、データ獲得および分析に使用される。各薬物濃度での平均パーセント阻害が最初に算出される。次いで、平均データは、プリズム6ソフトウェアを使用してロジスティック関数にフィットさせることでIC50値を算出する。
【0107】
【表2-1】
【0108】
【表2-2】
【0109】
【表2-3】
【0110】
上記の表から見ることができる通り、本開示の化合物は、sub-30nM範囲で使用されるアッセイにおいて阻害活性を有する、TRPC6およびTRPC3の両方の高活性阻害剤である。TRPC6およびTRPC3の両方を阻害するこの能力は、治療的重要性を有することができ、というのは、選択度が、これらのグループ3の標準的な一過性受容体電位チャネルのいずれかの選択的阻害剤に相対して増強された治療的有効性を提供することができるからである。上で注記されている通り、TRPC3およびTRPC6は高い配列相同性を有し、グループ3の標準的な一過性受容体電位チャネルグループ化に属する。本開示の化合物は、したがって、TRPC6および/またはTRPC3の阻害が有益である疾患および状態、例えば腎臓疾患、特に、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の処置または予防のための治療剤として有望である。
化合物の調製のためのプロセス
本明細書の化合物は、下に記載されている通りに調製することができる。例えば、化合物10は、1-フルオロ-4-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)ベンゼンのオレフィンメタセシスからそれ自体利用可能な1-(シクロペンタ-3-エニル)-4-フルオロベンゼン出発材料から調製することができる。任意の適切な酸化体、例えばm-CPBAまたは過酸化水素をギ酸中で用いるシクロペンテンの酸化は、エポキシド中間体を提供し、これは、ピペリジン求核試薬を用いる求核開環を受けることでシクロペンタノール誘導体を提供することができる。シクロペンタノール誘導体は次いで、光延反応によって転換されることで、1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル誘導体を与えることができる。次いで、最終生成物が、酸性条件下でBoc脱保護によって得られる。最終化合物の1つの合成の完全な詳細は、下記に提供されている。各合成ステップにおいて得られる様々な可能な異性体生成物は、クロマトグラフィー、例えば分取HPLC、例えば分取キラルHPLCまたはSFCによって分離することができる。これらの標準的技術および対応する溶離液系における使用のための適切なカラムは、下記に提供されている。
【実施例
【0111】
ここで、本出願の化合物を、以下の非限定的な実施例を参照することによりさらに説明する。
1H NMR測定は、それぞれ300および400MHzのH周波数で作動するBruker Avance分光計上で実施した。実験は、典型的には、25℃で記録した。化学シフトは、内部標準として溶媒を用いてppmで示される。HPLCは、DAD検出器、ELSD検出器および2020EV MSと結合させたShimadzu UHPLC、またはDAD検出器、ELSD検出器および2020EV MSと結合させたShimadzu UFLC上で一般に実施した。フラッシュクロマトグラフィーは、C18-フラッシュカラムまたは標準的なフラッシュクロマトグラフィーを用いる、順相シリカFLASH+(商標)(40M、25Mまたは12M)またはSNAP(商標)KP-Silカートリッジ(340、100、50または10)を使用するBiotage(商標)からのSP1(商標)精製システム上での順相(straight phase)フラッシュクロマトグラフィーを使用して実施した。一般に、使用されるすべての溶媒は、市販されており、分析グレードであった。無水溶媒を慣例的に反応に使用した。実施例において使用される相分離器は、ISOLUTE(登録商標)相分離器カラムである。下記で命名される中間体および実施例は、Advanced Chemistry Development,Inc.(ACD/Labs)からのACD/Name 12.01を使用して命名した。出発物質は、商業的供給源から入手するか、または文献の経路により作製した。例えば、tert-ブチル((3R,5R)-5-フルオロピペリジン-3-イル)カルバメートは、PharmaBlock Inc、10 Xuefu Road、Nanjing Hi-Tech Zone、Chinaから購入した。
【0112】
以下の略語が使用される:AcOH=酢酸;aq=水性;BocO=二炭酸ジ-tert-ブチル(di-tert-butyl decarbonate);Boc=t-ブチルオキシカルボニル;br=幅広;CDCl=重水素化クロロホルム;CDOD=重水素化メタノール;CHNO=ニトロメタン;d=二重線;δ=テトラメチルシランに対するNMRにおける化学シフト;DCE=1,2-ジクロロエタン;DCM=ジクロロメタン;DEA=ジエチルアミン;DEAD=アゾジカルボン酸ジエチル;DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMAP=2,6-ジメチルアミノピリジン;DMF=N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;DMSO-d=重水素化ジメチルスルホキシド;DPPA=ジフェニルホスホルアジデート;dppf=1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;DIAD=ジ-イソプロピル(E)-ジアゼン-1,2-ジカルボキシレート;DSC=示差走査熱量測定;DTAD=ジ-tert-ブチル(E)-ジアゼン-1,2-ジカルボキシレート;ee=鏡像異性体過剰率;eq.=当量;ESI=エレクトロスプレーイオン化;EtO=ジエチルエーテル;EtOAcまたはEA=酢酸エチル;EtOH=エタノール;FA=ギ酸;Grubbs触媒 (1,3-ジメシチルイミダゾリン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド;h=時間;HATU=(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチル(3-オキシド-1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジニル)メタンイミニウムヘキサフルオロホスフェート;HCl=塩酸;H=過酸化水素;HP=高圧;IPA=イソプロピルアルコール;LC=液体クロマトグラフィー;LiClO=過塩素酸リチウム;m=多重線;mmol=ミリモル;mCPBA=メタクロロ過安息香酸;MeOH=メタノール;min=分;MeCN=アセトニトリル;MeNO=ニトロメタン;MS=質量分析(mass=spectrometery);NMP=N-メチル-2-ピロリドン;NMR=核磁気共鳴;Pddba=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);Pd(dppf)Cl=1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド;PE=石油エーテル;PPh=トリフェニルホスフィン;q=四重線;rt=室温;RtまたはRT=保持時間;s=一重線;sat=飽和;SFC=超臨界流体クロマトグラフィー;t=三重線;T3P=2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド;TBTU=2-(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムテトラフルオロボレート;TFA=トリフルオロ酢酸;THF=テトラヒドロフラン;TLC=薄層クロマトグラフィー;TMS=トリメチルシリル;キサントホス=4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン。
出発物質および中間体の合成
ヘプタ-1,6-ジエン-4-イルベンゼン D1
【0113】
【化14】
【0114】
DCM(400mL)中のCHNO(25.8g)の溶液を、-60℃にてTiCl溶液(151mL、151mmol、DCM中1.0M)で処理し、次いでDCM(50mL)中のベンズアルデヒド(10g、94.2mmol)で処理した。反応物を-60℃で0.5時間撹拌し、次いで-78℃に冷却した後、DCM(50mL)中のアリルトリメチルシラン(32g、282mmolを滴下添加した。反応混合物を-78℃で2時間、-60℃で6時間撹拌し、次いで飽和NHCl溶液(500mL)に注ぎ入れ、ジクロロメタン(300mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル)により精製して、ヘプタ-1,6-ジエン-4-イルベンゼン D1(13.7g、収率84%)を無色油状物として得た。
1-フルオロ-4-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)ベンゼン D2
TiCl(56.9mL、0.516mol)を、DCM(1.5L)中のMeNO(69.5mL、1.29mol)にN雰囲気下、-78℃で20分間かけて添加した。得られた混合物を20分間撹拌し、次いで20分間にわたって4-フルオロベンズアルデヒド(40g、0.322mol)で滴下して処理した。得られた混合物を-70℃で1時間撹拌し、次いで0.5時間にわたってアリルトリメチルシラン(110g、0.967mol)で処理した。得られた混合物を-70℃で3時間撹拌し、次いで25℃に加温した。反応混合物を氷/水(1L)でクエンチし、DCM(3×400mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて、淡黄色油状物を得た。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ペンタン中0~5%EtOAc)により、1-フルオロ-4-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)ベンゼン(55.0g、90%)を無色油状物として得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.14 (2H, m), 6.98 (2H, m), 5.65 (2H, ddt), 5.01 - 4.83 (4H, m), 2.72 (1H, tt), 2.51 - 2.18 (4H,m).
1-フルオロ-3-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)ベンゼン D3
DCM(1500mL)中のTiCl(56.9mL、515.65mmol)、MeNO(69.5mL、1289.13mmol)を、D1の合成について記載した通りに-78℃にて3-フルオロベンズアルデヒド(40g、322.28mmol)およびアリルトリメチルシラン(110g、966.85mmol)と反応させた。後処理後、クロマトグラフィー(シリカ、ペンタン中0~5%EtOAc)により、1-フルオロ-3-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)ベンゼン D3を無色油状物として得、これをさらに精製することなく使用した。
1-フルオロ-4-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)-2-メトキシベンゼン D4
DCM(80mL)およびTiCl(33.3mL、1.6当量、DCM中1M)中のニトロメタン(5.7g、4.5当量)の溶液を、D1の合成について記載した通りに20mLのDCM中の4-フルオロ-3-メトキシベンズアルデヒド(3.5g、1.0当量)、次いでアリルトリメチルシラン(7.2g、3.0当量)と反応させた。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル)により、1-フルオロ-4-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)-2-メトキシベンゼン D4(6.5g、収率98%)を黄色油状物として得た。1H NMR (CDCl3 400MHz) δ 7.00 (1H, dd), 6.76 (1H, dd), 6.73-6.67 (1H, m), 5.71-5.65 (2H, m), 5.02-4.95 (4H, m), 3.91 (3H, s), 2.72-2.67 (1H, m), 2.44-2.33 (4H, m).
シクロペンタ-3-エニルベンゼン C1
【0115】
【化15】
【0116】
DCM(100mL)中のD1(13.7g)の溶液に、Grubbs触媒(1.0g、0.015当量)を添加した。混合物を窒素下、室温で終夜撹拌し、この段階で、TLCは、出発物質が残っていないことを示した。次いで、反応混合物を水(200mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、次いで乾燥させ、蒸発させた。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン)により、シクロペンタ-3-エニルベンゼン C1(6.1g、収率55%)を無色油状物として得た。
1-(シクロペンタ-3-エニル)-4-フルオロベンゼン C2
Grubbs触媒(2.68g、3.15mmol)を、DCM(500mL)中の1-フルオロ-4-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)ベンゼン(50g、0.263mol)に窒素下、0℃で20分間かけて添加した。得られた混合物を25℃で15時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中0~5%EtOAc)により精製して、1-(シクロペンタ-3-エン-1-イル)-4-フルオロベンゼン C2(30.0g、70.4%)を無色液体として得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.24 (2 H, m), 6.97 (2 H, m), 5.78 (2 H, d), 3.46 (1 H, tt), 2.81 (2 H, m), 2.40 (2 H, m).
1-(シクロペンタ-3-エニル)-3-フルオロベンゼン C3
DCM(40mL)中の1-フルオロ-3-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)ベンゼン(3.5g)を、C1の合成について記載した通りにGrubbs触媒(230mg、0.015当量)と反応させた。カラムクロマトグラフィー(n-ヘプタン)により、C3(2.1g、70%)を無色油状物として得る。1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ7.26-7.24 (1H, m), 7.04-6.88 (3H, m), 5.80-5.75 (2H, m), 3.49-3.45 (1H, m), 2.87-2.81 (2H, m), 2.48-2.41 (2H, m).
4-(シクロペンタ-3-エニル)-1-フルオロ-2-メトキシベンゼン C4
50mLのDCM中の1-フルオロ-4-(ヘプタ-1,6-ジエン-4-イル)-2-メトキシベンゼン D4(4.5g、1.0当量)に、C1の合成について記載した通りにGrubbs触媒(450mg、0.025当量)を添加して反応させた。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル)により、4-(シクロペンタ-3-エニル)-1-フルオロ-2-メトキシベンゼン(3.1g、収率79%)を褐色油状物として得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ6.99-6.94 (1H, m), 6.85 (1H, dd), 6.76-6.62 (1H, m), 5.78 (2H, s), 3.88 (3H, s), 3.44-3.38 (1H, m), 2.82 (2H, dd), 2.45-2.38 (2H, m).
3-フェニル-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E1
【0117】
【化16】
【0118】
DCM(80mL)中のシクロペンタ-3-エニルベンゼン C1(6.1g、42.3mmol)の溶液に、mCPBA(12.8g、1.5当量、85%)を0℃で少量ずつ添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、飽和NaHSO溶液(400mL)を添加し、懸濁液を室温で30分間撹拌した。次いで、懸濁液を水(200mL)で希釈し、ジクロロメタン(200mL)で抽出し、有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc 20:1)により精製して、3-フェニル-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E1(4.9g、収率73%)を無色油状物として得た。
trans-3-(4-フルオロフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E2
【0119】
【化17】
【0120】
ギ酸(88%)(392mL、9.15mol)を、空気下で1時間かけて、0℃に冷却したH(30%)(262mL、2.62mol)に滴下添加した。次いで、DCM(250mL)中の1-(シクロペンタ-3-エン-1-イル)-4-フルオロベンゼン C2(20g、0.123mol)を、空気下、0℃で3時間かけて添加した。次いで、得られた混合物を周囲温度で12時間撹拌し、その後、次いで溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をフラッシュシリカクロマトグラフィー(石油エーテル中0~10%EtOAc)により精製して、trans-3-(4-フルオロフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E2(12.00g、54.6%)を無色油状物として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.15 (2H, m), 6.99 (2 H, m), 3.60 (2H, s), 2.98 (1H, tt), 2.46 (2H, dd), 1.71 (2H, dd).
3-(3-フルオロフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E3
DCM(50mL)中の1-(シクロペンタ-3-エニル)-3-フルオロベンゼン C2(2.1g)と、mCPBA(3.3g、1.5当量、85%)とを、E1の合成について記載した通りに反応させた。シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=20:1)により、E3(1.1g、47%)を無色油状物として得た。
3-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E4
mCPBA(5.57g、2.0当量)と、50mLのジクロロメタン中の4-(シクロペンタ-3-エニル)-1-フルオロ-2-メトキシベンゼン C4(3.1g、1.0当量)とを、E1の合成について記載した通りに反応させた。カラムクロマトグラフィーにより、トランス異性体(1.3g、収率47%)およびシス異性体(300mg、収率9%)としてのE4を無色油状物として得た。trans-E4 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ7.00-6.95 (1H, m), 6.77 (1H, dd), 6.72-6.66 (1H, m), 3.87 (3H, s), 3.58 (2H, s), 2.98-2.91 (1H, m), 2.47-2.41 (2H, m), 1.71 (2H, dd).cis-E4 1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 6.99 (1H, dd), 6.92 (1H, dd), 6.75-6.73 (1H, m), 3.89 (3H, s), 3.57 (2H, s), 3.45-3.39 (1H, s), 2.33 (2H, dd), 2.08 (2H, dd).tert-ブチル(3R)-1-(2-ヒドロキシ-4-フェニルシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F1
【0121】
【化18】
【0122】
CHCN(20mL)中の3-フェニル-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E1(1.5g)の溶液に、(R)-tert-ブチルピペリジン-3-イルカルバメート(2.2g、1.2当量)およびLiCIO(2.0g、2.0当量)を添加した。得られた懸濁液を終夜還流させ、次いで冷却し、濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc 1:1)により精製して、tert-ブチル(3R)-1-(2-ヒドロキシ-4-フェニルシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F1(1.97g、59%)を黄色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。
tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2a
トルエン(50mL)中の(R)-1,1’-ビ-2-ナフトール(1.607g、5.61mmol)を、25℃にてジブチルマグネシウム(7.29mL、1.0M、n-ヘプタン中7.29mmol)で処理した。0.5時間撹拌した後、反応物を0℃に冷却し、次いでトルエン(150mL)中のtrans-3-(4-フルオロフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E2(10g、56.11mmol)およびtert-ブチル(R)-ピペリジン-3-イルカルバメート(11.24g、56.11mmol)を添加した。終夜撹拌した後、反応混合物を砕氷に注ぎ入れ、混合物をDCMと水との間で分配した。水層をDCMで再度抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、次いで乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させた。フラッシュシリカクロマトグラフィー(DCM中0~10%MeOH)により、tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2b(12.00g、56.5%)を黄色油状物として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.20 (2H, ddt), 6.94 - 7.07 (2H, m), 4.94 (1H, s), 4.32 (1H, t), 3.78 (1H, s), 3.31 (1H, dtd), 2.72 (2H, dd), 2.53 (2H, s), 2.24 (1H, dt), 1.96 - 2.10 (2H, m), 1.52 - 1.86 (4H, m), 1.47 (10H, d).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=379。
tert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメートおよびtert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメート F2b
【0123】
【化19】
【0124】
trans-3-(4-フルオロフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E2(1.225g、6.87mmol)を、EtOH(10mL)中のtert-ブチル((3R,5R)-5-フルオロピペリジン-3-イル)カルバメート(1g、4.58mmol)、およびNaCO(1.457g、13.74mmol)に室温で添加した。得られた混合物を90℃で12時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中0~10%MeOH)により精製して、上記の立体異性体の混合物、F2b(1.030g、56.7%)を黄色油状物として得た。LCMS:m/z(ES+)、[M+H]+=397。
tert-ブチル4,4-ジフルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2c
エタノール(8mL)中のtrans3-(4-フルオロフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E2(450mg、1.2当量)、tert-ブチル4,4-ジフルオロピペリジン-3-イルカルバメート(500mg、1.0当量)およびNaCO(450mg、2.0当量)の混合物を、マイクロ波条件下で:130℃、16時間撹拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、濾過し、濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc 90:10~60:40)により精製して、tert-ブチル4,4-ジフルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2c(250mg、収率28%)を薄黄色濃厚油状物として得た。
tert-ブチル(3R)-5,5-ジフルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2d
10mLの無水エタノール中の(1R,3S,5S)-3-(4-フルオロフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン(トランスエポキシド) E2(300mg、1.0当量)の溶液に、(R)-tert-ブチル5,5-ジフルオロピペリジン-3-イルカルバメート(398mg、1.0当量)および炭酸ナトリウム(357mg、2.0当量)を密封バイアル内で添加した。懸濁液に、130℃にて7時間、マイクロ波で照射した。懸濁液を濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラム(石油エーテル/EtOAc、0~10%勾配、次いでDCM中20%EtOAc)により精製して、化合物tert-ブチル(3R)-5,5-ジフルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2d(290mg、収率42%)を白色固体として得た。
tert-ブチル(3R)-1-(4-(3-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F3
CHCN(10mL)中の3-(3-フルオロフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E3(300mg)の溶液に、(R)-tert-ブチルピペリジン-3-イルカルバメート(404mg、1.2当量)、LiClO(358mg、2.0当量)を添加した。反応混合物を終夜還流させた。TLCは、出発材料が完全に消費されたことを示した。混合物を濃縮し、残留物に、酢酸エチル(50mL)および水(50mL)を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮し、酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(3R)-1-(4-(3-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F3(580mg、90%)を得た。
tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F4
3mLの無水エタノール中の3-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)-6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン E4(100mg、1.0当量)の溶液に、(R)-tert-ブチルピペリジン-3-イルカルバメート(115mg、1.2当量)および炭酸ナトリウム(101mg、2.0当量)を密封バイアル内で添加した。懸濁液に、130℃にて6時間、マイクロ波で照射した。懸濁液を濾過し、濃縮した。残留物上でのカラムクロマトグラフィー(シリカゲル DCM/メタノール、0~3%メタノール)により、F4(140mg、収率71%)を無色固体として得た。1H NMR (CDCl3 400MHz) δ 6.99 (1H, dd), 6.86 (1H, dd), 6.75-6.71 (1H, m), 4.92 (1H, br s), 4.27-4.21 (1H, m), 3.89 (3H, s), 3.75 (1H, br s), 3.10-3.06 (2H, m), 2.88-2.75 (2H, m), 2.53 (2H, m), 2.41-2.35 (2H, m), 2.15-2.05 (1H, m), 1.90-1.66 (6H, m), 1.40 (9H, d).
化合物1
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DCM(20mL)中のtrans tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2a(600mg、1.59mmol)、1H-1,2,3-トリアゾール(219mg、3.17mmol)、DIAD(0.401mL、2.06mmol)およびPPh(541mg、2.06mmol)の溶液を、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(水中10~50%MeCN)により精製して、表題化合物(450mg、66.1%)を白色固体として得た。粗生成物を、Waters SFC 350分取システム[カラム:CHIRALART Amylose-SA、2×25cm、5μm;移動相A:CO:80、移動相B:MeOH(2mM NH-MeOH):20;流速:40mL/分;220nm]上で分離した。2つの画分を白色固体として得た:画分1(300mg、66.7%、RT1:3.03)および画分2(100mg、22.22%、RT2:4.58)。
【0125】
画分1を、Waters SFC 350分取システム、カラム:(R,R)-WHELK-O1-Kromasil、5cm×25cm(5μm);移動相A:CO:85、移動相B:MeOH(2mM NH-MeOH):15;流速:40mL/分;220nm;RT1:2.31;RT2:2.71上でさらに分離した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、異性体1(120mg、40%、100%ee)および異性体2(120mg、40%、98.4%ee)を白色固体として得た。LCMSm/z(ESI)、[M+H]=430。
ステップ2. 1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(トリアゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物1
【0126】
【化20】
【0127】
TFA(1mL)およびDCM(5mL)中のステップ1で得られた異性体1(120mg、0.28mmol)の溶液を、室温で1時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、分取HPLC[カラム:XBridge Prep OBD C18カラム 30×150mm 5μm;移動相A:水(10mmol/L NHHCO+0.1%NH水溶液を含有)、移動相B:MeCN;流速:60mL/分;勾配:8分で25%B~54%B;254/220nm;Rt:6.87分]により精製して、化合物1(70.0mg、76%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=330;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.71 (2H, s), 7.31 (2H, ddd), 7.10 - 6.96 (m, 2H), 5.23 (1H, ddd), 3.58 (2H, ddt), 3.08 - 2.72 (3H, m), 2.52 - 2.17 (3H, m), 1.86 (4H, ddd), 1.75 - 1.45 (2H, m), 1.11 (1H, qd). 19F NMR (300MHz, CD3OD, 24℃) δ -118.73 (s, 1F).
化合物2
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DCM(100mL)中のtert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2a(5g、13.21mmol)、1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(1.230g、13.21mmol)、PPh(5.20g、19.82mmol)の混合物に、DTAD(4.56g、19.82mmol)を添加した。反応物を25℃で16時間撹拌した。得られた溶液を飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、次いで濃縮乾固した。残留物をC18フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出勾配 水(0.2%アンモニア含有)中40~55%MeCNにより精製して、所望の生成物を黄色油状物として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=454。分取キラルHPLC[Chiralpak IA、2×25cm、5μm;移動相A:ヘキサン-HPLC、移動相B:IPA-HPLC;流速:20mL/分;勾配:A:B=70:30、17.5分]により分離して、表題化合物(異性体1、2.60g、47.3%)を黄色油状物として得た。
ステップ2. 1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル 化合物2
【0128】
【化21】
【0129】
ステップ1で得られた異性体1(2.6g、5.73mmol)に、ジオキサン中HCl(50mL、200mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で4時間撹拌し、次いで濃縮乾固した。残留物をEtO/MeOH(10/1)で処理し、得られた固体を収集し、次いで飽和NaCOで処理し、希釈し、次いでEtOAc中に抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮乾固して、化合物2(1.358g、67.0%)を薄黄色固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.74 (1 H, s), 8.11 (1 H, s), 7.30 - 7.43 (2 H, m), 7.05 - 7.20 (2 H, m), 4.87 - 5.00 (1 H, m), 3.26 - 3.41 (2 H, m), 2.79 (1 H, d), 2.50 - 2.72 (2 H, m), 2.09 - 2.32 (3 H, m), 1.96 (1 H, dd), 1.50 - 1.79 (4 H, m), 1.37 (3 H, d), 0.83 - 1.02 (1 H, m).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=354。
化合物3
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DTAD(243mg、1.06mmol)を、DCM(15mL)中のF2a(200mg、0.53mmol)、1H-ピラゾール-3-カルボニトリル(49.2mg、0.53mmol)およびPPh(277mg、1.06mmol)に、窒素下、0℃で滴下添加した。得られた混合物を25℃で3時間撹拌した。有機層をNaHCO水溶液で洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離液として水(0.1%NHを含有)およびMeCNの漸減極性混合物を使用する逆相クロマトグラフィー(C18カラム)により精製した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、tert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(240mg、100%)を白色固体として得た。この固体を分取TLC(DCM:MeOH=40:1)により精製して、tert-ブチル((3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート 画分1(90mg、37.5%)を黄色固体として、tert-ブチル((3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート 画分2(70.0mg、29.2%)を黄色固体として得た。両方の画分についてのLCMS:m/z(ESI)、[M+H]=454;画分1(90mg、0.20mmol)を、分取キラルHPLC[溶離液としてのヘキサン(0.1%DEAで修飾)中5%IPAで定組成溶出するChiralpak IEカラムにより精製して、tert-ブチル((3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート 異性体1(35.0mg、38.9%、異性体1、99.3%ee)を黄色固体として、異性体2(30.0mg、33.3%、異性体2、99%ee)を黄色固体として得た。LCMS:(異性体1)m/z(ESI)、[M+H]=454;(異性体2)m/z(ESI)、[M+H]=454。
ステップ2. 1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-3-カルボニトリル 化合物3
【0130】
【化22】
【0131】
TFA(0.5mL、6.49mmol)を、DCM(3mL)中の上記tert-ブチル((3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート 異性体1(20mg、0.04mmol)に添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。分取HPLCカラム[X Select CSH Prep C18 OBDカラム、5μm、19×150mm;移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:7分で12%B~32%B;254;220nm]により、化合物3、異性体1(17.00mg、51.8%)を白色固体として得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.75 (dd, 1H), 7.28 - 7.42 (m, 2H), 6.96 - 7.14 (m, 3H), 5.17 (ddd, 1H), 3.81 (dt, 1H), 3.60 (s, 1H), 3.41 (dt, 2H), 3.14 (d, 1H), 2.67 (s, 1H), 2.29 - 2.63 (m, 5H), 1.90 (dt, 2H), 1.44 - 1.74 (m, 2H). 19F NMR (300 MHz, CD3OD) δ - 77.287(m, 10F), -118.609 (s, 1F).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=354。
化合物4
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピロール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DCM(15mL)中のtert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2a(250mg、0.66mmol)、1H-ピロール-3-カルボニトリル(60.8mg、0.66mmol)、PPh(346mg、1.32mmol)の溶液を、上記化合物3の合成について記載した通りにDTAD(304mg、1.32mmol)と反応させた。C18フラッシュカラムクロマトグラフィー、溶出勾配 水(0.3%NHO含有)中20~60%MeCNにより、tert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピロール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(180mg、60.2%)を無色油状物として得た。分取キラルHPLC[Phenomenex Lux 5u Cellulose-4、AXIA Packed、250×21.2mm、5μm;移動相A:ヘキサン--HPLC、移動相B:IPA--HPLC;流速:20mL/分;勾配:21分でA:B=80:20;254/220nm;RT1:12.5;RT2:17.2により、tert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピロール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(70.0mg、38.9%,異性体1)を黄色油状物として、tert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピロール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体2(70.0mg、38.9%、異性体2)を黄色油状物として得た。両方の異性体についてのLCMS:m/z(ESI)、[M+H]=453。
ステップ2. 1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピロール-3-カルボニトリル 化合物4
【0132】
【化23】
【0133】
TFA(1mL、12.98mmol)を、DCM(5mL)中の上記tert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-ピロール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体2(70mg、0.18mmol)に添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。標準的な後処理、次いで分取HPLC[XBridge Prep OBD C18カラム 30×150mm 5μm;移動相A:水(10mmoL/L NHHCO)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:35分で35%B~39%B;254/220nm)により、化合物4、異性体2(20.00mg、24.25%)を白色固体として得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.36 (dtd, 2H), 1.50 - 1.93 (m, 3H), 2.13 - 2.45 (m, 5H), 2.63 (dt, 1H), 2.86 - 2.97 (m, 1H), 3.05 (dq, 1H), 3.33 - 3.56 (m, 2H), 4.71 (ddt, 1H), 6.48 (dd, 1H), 6.98 - 7.12 (m, 3H), 7.27 - 7.40 (m, 2H), 7.66 (t, 1H). 19F NMR (300 MHz, CD3OD) δ -76.962 (m, 3F), -119.017 (s, 1F).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=353。
化合物5
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(4-シアノ-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DCM(15mL)中のF2a(350mg、0.92mmol)、1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボニトリル(87mg、0.92mmol)、PPh(485mg、1.85mmol)と、DTAD(426mg、1.85mmol)との光延反応を、上記化合物3の合成について記載した通りに実施した。フラッシュC18カラムクロマトグラフィー[溶出勾配 水(0.3%NH水溶液含有)中20~60%MeCN]により、無色油状物(220mg、52.3%)を得た。
【0134】
この油状物上での分取キラルHPLC[Phenomenex Lux 5u Cellulose-4、AXIA Packed、250×21.2mm、5μm;移動相A:ヘキサン--HPLC、移動相B:IPA--HPLC;流速:20mL/分;勾配:12分で30B~30B;254/220nm;RT1:6.2;RT2:8.4]により、tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(95mg、43.2%、画分1)を無色油状物として、tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(95mg、43.2%、画分2)を無色油状物として得た。両方の異性体についてのLCMS:m/z(ESI)、[M+H]=455。
ステップ2. 1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]トリアゾール-4-カルボニトリル 化合物5
【0135】
【化24】
【0136】
TFA(1mL、12.98mmol)を、DCM(5mL)中のtert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 画分1(60mg、0.13mmol)に添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。分取HPLCカラム:XBridge Shield RP18 OBDカラム、5μm、19×150mm;移動相A:水(0.05%NH水溶液)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:7分で20%B~47%B;254/220nmにより精製して、化合物5、異性体1(73.0mg、56.4%)を白色固体として得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.58 - 1.71 (m, 1H), 1.75 (s, 1H), 1.97 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 2.74 (br s, 2H), 2.95 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 3.46 (m, 1H), 3.61 - 3.72 (m, 1H), 3.92 (br.s, 1H), 5.53 (s, 1H), 7.01 - 7.15 (m, 2H), 7.31 - 7.42 (m, 2H), 8.34 (dd, 1H). 19F NMR (300 MHz, CD3OD) δ -77.222 (m, 16F), -118.395 (s, 1F),LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=355。
化合物6
ステップ1. tert-ブチル(3R,5R)-1-(2-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5-フルオロピペリジン-3-イルカルバメートの合成
DCM(20mL)中のDIAD(235mg、1.16mmol)、PPh(305mg、1.16mmol)、1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(64.9mg、0.70mmol)およびF2b(220mg、0.58mmol)の光延反応を、室温で実施した。後処理からの粗生成物を、C18フラッシュカラムクロマトグラフィー、溶出勾配 水(0.3%NHHCOを含有)中0~48%MeCNにより精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、淡黄色固体(220mg、80%)を得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=472。粗生成物を、分取キラルHPLC[溶離液としてのヘキサン(0.1%DEAで修飾)中30%EtOHで定組成溶出するChiralpak IAカラムによりさらに精製して、tert-ブチル(3R,5R)-1-(2-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5-フルオロピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(100mg、45.5%、100%ee)を淡黄色固体として、tert-ブチル(3R,5R)-1-(2-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5-フルオロピペリジン-3-イルカルバメート 異性体2(98mg、44.5%、異性体2、100%ee)を白色固体として得た。両方の異性体についてのLCMS:m/z(ESI)、[M+H]=472。
ステップ2. 1-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル 化合物6
【0137】
【化25】
【0138】
tert-ブチル(3R,5R)-1-(2-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5-フルオロピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(100mg、0.21mmol)のBoc脱保護を、0℃にてDCM(20mL)中のTFA(3mL、38.94mmol)で行った。標準的な後処理後、粗生成物を、分取HPLC[(XBridge Prep C18 OBDカラム、5μmのシリカ、直径19mm、長さ150mm)、溶離液として水(0.05%TFAを含有)およびMeCNの漸減極性混合物を使用]により精製した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、TFA塩としての化合物6、異性体1(68.0mg、37.1%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=372。1H NMR (400 MHz, CD3OD) 8.52 - 8.44 (1 H, d), 8.03 - 7.96 (1 H, s), 7.41 - 7.29 (2 H, m), 7.13 - 7.00 (2 H, m), 5.06 - 4.95 (1.5 H, m),4.81 (0.5H, s) 3.79 - 3.64 (1 H, dt), 3.66 - 3.49 (2 H, m), 3.14 - 3.03 (1 H, d), 3.03 - 2.89 (1 H, q), 2.79 - 2.60 (1 H, dd), 2.49 - 2.29 (4 H, ddd), 2.26 - 2.15 (1 H, d), 1.97 - 1.74 (2 H, m). 19F NMR (282 MHz, CD3OD) δ -77.36, -118.84, -185.37.
化合物7
ステップ1. tert-ブチル1-(2-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-4,4-ジフルオロピペリジン-3-イルカルバメート
窒素下、5℃でのDCM(10mL)中のジ-tert-ブチル(E)-ジアゼン-1,2-ジカルボキシレート(220mg、0.21mmol)、F2c(220mg、0.53mmol)、1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(10mg、0.11mmol)およびPPh(56.4mg、0.21mmol)の光延反応により、標準的な後処理およびフラッシュアルミナクロマトグラフィー(溶出勾配 水中0~60%MeCN)の後に、tert-ブチル1-(2-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-4,4-ジフルオロピペリジン-3-イルカルバメート(120mg、46%)を無色油状物として得た。粗生成物を、分取キラルHPLC[(カラム:Phenomenex Lux 5u Cellulose-4、AXIA Packed、2.12×25cm、5μm;移動相A:ヘキサン-HPLC、移動相B:EtOH-HPLC;流速:20mL/分;勾配:40分でA:B=80:20;254/220nm;RT1:10.664;RT2:13.923)]によりさらに精製して、3つの異性体を得た(すべて白色固体およびm/z(ESI)、[M+H]=490.4):異性体1(50.0mg、41.7%、98%ee)、異性体2(40.0mg、33.3%、98%ee)および異性体3(30.0mg、25.00%、100%ee;すべての異性体についてのLCMS:m/z(ESI)、[M+H]=490。
EA
ステップ2. 1-[2-(3-アミノ-4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピラゾール-4-カルボニトリル 化合物7
【0139】
【化26】
【0140】
DCM(3mL)中のtert-ブチル1-(2-(4-シアノ-1H-ピラゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-4,4-ジフルオロピペリジン-3-イルカルバメート 異性体2(40mg、0.08mmol)を25℃にてTFA(47.5mg、0.49mmol)でBoc脱保護して、分取HPLC(カラム:XBridge Prep C18 OBDカラム 19×150mm 5μm;移動相A:水(10mmol/L NHHCO)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:7分で46%B~47%B;254/220nm;Rt:6.05分)後に、化合物7(15.00mg、47.1%)を黄色固体として得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.70 - 2.03 (2 H, m), 2.05 - 2.24 (1 H, m), 2.25 - 2.45 (4 H, m), 2.61 (2 H, dddd), 2.80 - 3.11 (2 H, m), 3.45 - 3.87 (2 H, m), 4.94 - 5.03 (1 H, m), 6.97 - 7.16 (2 H, m), 7.26 - 7.45 (2 H, m), 7.97 (1 H, s), 8.46 (1 H, s). 19F NMR (282 MHz, CD3OD) δ -119.11 - -118.71 (m), -107.36, -106.52.LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=390。
化合物8
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-ピラゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DCM(1.5L)中のF2a(10g、26.42mmol)、1H-ピラゾール(18g、264.40mmol)、PPh(14g、53.38mmol)およびDTAD(12g、52.11mmol)の光延反応を、窒素下、0℃で実施した。標準的な後処理後、C18フラッシュカラムクロマトグラフィー(水中0~100%MeCN)により、粗生成物(9.80g、87%)を黄色油状物として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=429;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.47 (9 H, d), 1.52 - 1.82 (6 H, m), 2.20 - 2.55 (6 H, m), 2.66 (1 H, d), 3.53 - 3.81 (2 H, m), 4.75 (2 H, s), 6.27 (1 H, dt), 7.01 (2 H, t), 7.23 (2 H, td), 7.48 - 7.59 (2 H, m).
粗生成物(4.5g)を、Waters SFC 350分取システム[Phenomenex Lux 5u Cellulose-3、5cm×25cm、5μm;移動相A:CO:80%、移動相B:MeOH(0.1%イソプロピルアミン):20%;流速:160mL/分;220nm;RT1:3.93;RT2:4.58]により精製して、tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-ピラゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(2.000g、44.4%、98.7%ee、異性体1)を黄色固体として得た。
ステップ2. 1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピラゾール-1-イル-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物8
【0141】
【化27】
【0142】
TFA(6.0mL)による、DCM(30.0mL)中のtert-ブチル((R)-1-((1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-ピラゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート 異性体1(2.0g、4.667mmol)のBoc脱保護を、上記の通りに実施した。フラッシュシリカクロマトグラフィー(DCM中0~10%MeOH、DCM中2%水酸化アンモニウムを使用してシリカカラムを塩基性化した)により、化合物8(1.400g、91%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=329;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.10 (1 H, dtd), 1.48 - 2.08 (6 H, m), 2.13 - 2.49 (3 H, m), 2.77 (2 H, ddt), 2.89 - 3.02 (1 H, m), 3.54 (2 H, ddt), 4.91 (1 H, td), 6.31 (1 H, t), 7.03 (2 H, ddt), 7.28 - 7.39 (2 H, m), 7.53 (1 H, d), 7.79 (1 H, dd). 19F NMR (376 MHz, CD3OD) δ -119.16.
化合物9
ステップ1. tert-ブチル(3R,5R)-5-フルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-ピラゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DTAD(1.742g、7.57mmol)を、窒素下で5分間かけて、0℃に冷却したDCM(50mL)中のF2b(1.0g、2.52mmol)、1H-ピラゾール(0.859g、12.61mmol)およびPPh(1.985g、7.57mmol)に添加した。得られた混合物を室温で3時間撹拌した。粗生成物を、分取HPLC[XBridge Prep OBD C18カラム 19×250mm、5μm;移動相A:水(0.05%NH水溶液)、移動相B:MeCN;流速:60mL/分;勾配:7分で40%B~50%B;220、254nm;RT:6.48分]により精製して、tert-ブチル(3R,5R)-5-フルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-ピラゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(0.700g、62.2%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]+=447.3;1H NMR (CDCl3) δ 7.58 (d, 1H), 7.51 (t, 1H), 7.24 (ddd, 2H), 7.11 - 6.94 (m, 2H), 6.29 (q, 1H), 4.73 (d, 2H), 3.68 - 3.46 (m, 3H), 2.83 (s, 1H), 2.74 - 2.52 (m, 2H), 2.39 (t, 3H), 2.34 - 2.19 (m, 1H), 2.00 (s, 1H), 1.78 (dt, 2H), 1.63 (s, 1H), 1.48 (d, 9H).Waters SFC 350分取システム[Chiralpak AS-H、5×25cm、5μm;移動相A:CO:70%、移動相B:MeOH-分取:30%;流速:150mL/分;220nm;RT1:4.2;RT2:5.31]上での分取SFCにより、所望の生成物を異性体1(330mg、47.1%)白色固体および異性体2(335mg、47.9%)黄色ガム状物として得た。
ステップ2. 5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピラゾール-1-イル-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物9
【0143】
【化28】
【0144】
TFA(2.0mL)を、DCM(8mL)中のtert-ブチル((3R,5S)-5-フルオロ-1-((1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1H-ピラゾール-1-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート 異性体1(328mg、0.73mmol)に添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。分取HPLC[XBridge Prep OBD C18カラム 30×150mm、5μm;移動相A:水(0.05%NHO)、移動相B:MeCN;流速:60mL/分;勾配:7分で25%B~50%B;254/220nm;Rt:5.40分]により、化合物9(120mg、47.2%、異性体1)を白色固体として得た。m/z(ESI)、[M+H]=347.1;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.81 (d, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.43 - 7.25 (m, 2H), 7.12 - 6.97 (m, 2H), 6.32 (t, 1H), 5.01 - 4.88 (m, 1H), 4.75 - 4.64 (m, 1H), 3.67 - 3.45 (m, 2H), 3.17 - 2.83 (m, 3H), 2.49 - 2.15 (m, 4H), 2.14 - 1.74 (m, 3H), 1.43 (dddd, 1H). 19F NMR (282 MHz, CD3OD) δ -119.15, -183.33.
化合物10
ステップ1. tert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメートおよびtert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメート
【0145】
【化29】
【0146】
THF(150mL)中のtert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメートおよびtert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメートの1:1混合物(F2b)(12g、30.27mmol)、1H-1,2,4-トリアゾール(3.14g、45.40mmol)およびPPh(11.91g、45.40mmol)の0℃溶液を、アゾジカルボン酸ジ-イソプロピル(9.18g、45.40mmol)で処理した。25℃で3時間後、溶媒を減圧下で除去した。残留物のC18フラッシュカラムクロマトグラフィー(水(0.2%TFA含有)中10~28%MeCN)により、所望の光延生成物(12.00g、89%)を薄黄色油状物として得た。
【0147】
【化30】
【0148】
上記の一連の反応からのジアステレオマー(すなわちtert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメートおよびtert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメート)の混合物(694g、1.55mol)を、キラルSFC[カラム:CelluCoat、50×250mm、10μm;移動相:CO中17%MeOH;流速:450mL/分;260nm;RT1:2.25分;RT2:2.88分]により分離して、tert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメート(異性体1)(335.3g、48.3%、99.8%ee/de)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.44 (9 H, s), 1.73 - 1.93 (3 H, m), 2.17 - 2.44 (4 H, m), 2.55 (1 H, s), 2.62 - 2.9 (2 H, m), 3.54 (2 H, dt), 3.94 (1 H, s), 4.79 (3 H, ddd), 6.9 - 7.07 (2 H, m), 7.20 (2 H, ddd), 7.97 (1 H, s), 8.19 (1 H, s);LCMS:m/z(ES+)、[M+H]+=448;tert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメート(異性体2)(343g、49.4%、98.1%ee/de)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.45 (9 H, s), 1.74 (3 H, q), 2.18 - 2.46 (4 H, m), 2.56 - 2.82 (3 H, m), 3.53 (2 H, dtd), 3.97 (1 H, s), 4.80 (3 H, ddd), 6.93 - 7.06 (2 H, m), 7.20 (2 H, ddd), 7.97 (1 H, s), 8.16 (1 H, s);LCMS:m/z(ES+)、[M+H]+=448。
ステップ2. (3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物10
【0149】
【化31】
【0150】
イソプロパノール(1.32L)中のtert-ブチルN-[(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]-3-ピペリジル]カルバメート 異性体1(335g、0.75mol)のBoc脱保護(depotection)を、3.8M HCl(水溶液1.18L、4.5mol、6当量)を20℃で添加し、次いで50℃で15時間撹拌することにより、窒素雰囲気下で行った。溶媒を真空により除去し、残留物をDCM(2.5L)で希釈し、約10℃に冷却し、1.5M NaCO(約2.5Lが必要であった)でpH10~11に塩基性化した。有機層を分離し、水層をDCM(1.5L)で逆抽出した。合わせた有機層を水(1L)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。仕上げの濾過および溶媒の蒸発後に、260gの(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミンを白色非晶質固体(定量的収率)として得た。
【0151】
化合物10形態Aまたは形態Aと上記で称される所望の多形体への結晶化を、酢酸イソプロピル(450mL)を(3R,5R)-5-フルオロ-1-[(1R,2R,4S)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン(280g、804mmol)に添加し、70℃で30分間(均一な溶液が生成されるまで)加熱することにより実施した。次いで、ヘプタン(450mL)を20~30分間少量ずつ添加した。70℃で30分間撹拌した後、温度を段階的に下げ、撹拌を約20℃で終夜(約16時間)続けた。XRPD分析のために、得られた固体である形態Aを濾過により単離し、次いで冷ヘプタン(150~200mL)で洗浄した。真空中にて40℃で終夜乾燥させて、269g(収率96.4%、>99.9%ee/de)の化合物10形態Aを白色結晶性固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 1.31 (1 H, m), 1.71 (1 H, q), 1.85 (2 H, m), 1.91 (1H, d), 2.20 (2 H, d), 2.24 (2 H, m), 2.33 (1 H, dd), 2.81 (1 H, d), 2.84 (1H, s), 2.89 (1 H, s), 3.38 (1 H, m), 3.49 (1 H, m), 4.78 (1 H, d), 5.01 (1 H, s), 7.12 (2 H, t), 7.37 (2 H, dd), 8.01 (1 H, s), 8.67 (1 H, s);LCMS:m/z(ES+)、[M+H]+=348。結晶学データについては、上記の例えば表1および図1を参照されたい。
化合物11
ステップ1. tert-ブチル(3R,5R)-5-フルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(2H-テトラゾール-2-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
アゾジカルボン酸ジ-tert-ブチル(437mg、1.90mmol)を、DCM(30mL)中のF2b(376mg、0.95mmol)、2H-テトラゾール(100mg、1.42mmol)およびPhP(497mg、1.90mmol)に、窒素下、0℃で添加した。得られた混合物を25℃で8時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、フラッシュC18-フラッシュクロマトグラフィー(水中0~40%MeCN)により精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、trans tert-ブチル(3R,5R)-5-フルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(2H-テトラゾール-2-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(253mg、59.5%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=449.5。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.78 (s, 1H), 7.38 (dd, 2H), 7.06 (t, 2H), 5.68 - 5.55 (m, 1H), 4.74 (s, 1H), 3.85 (s, 1H), 3.73 - 3.57 (m, 2H), 3.10 - 2.92 (m, 2H), 2.51 - 2.35 (m, 4H), 2.12 - 1.86 (m, 4H), 1.45 (d, 9H).
粗生成物を、溶離液としてのヘキサン(0.1%DEA)中20%EtOHで定組成溶出するChiralpak IAカラム上での分取キラルHPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、異性体1(114mg、45.1%、異性体1、100%ee)および画分2(18.00mg、7.11%、混合物(異性体2および異性体3)および異性体4(89mg、35.2%、95.5%ee)を白色固体として得た。
ステップ2. 5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(テトラゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物11
【0152】
【化32】
【0153】
TFA(1mL、12.98mmol)を、DCM(4mL)中の前述の異性体1(112mg、0.25mmol)に25℃で添加して、Boc基を除去した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、分取HPLC[(XBridge Prep C18 OBDカラム、5μmのシリカ、直径19mm、長さ150mm)、溶離液として水(0.05%NHOを含有)およびMeCNの漸減極性混合物を使用]により精製した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、化合物11(40.0mg、46.0%、異性体1)を白色固体として得た。これは最も強力な異性体であることが判明した。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=349.5。DSC:温度:272.86℃;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.79 (s, 1H), 7.52 - 7.31 (m, 2H), 7.18 - 6.98 (m, 2H), 5.59 (ddd, 1H), 4.75 (s, 1H), 3.66 (ddt, 2H), 3.20 - 2.94 (m, 3H), 2.59 - 2.26 (m, 4H), 2.28 - 1.86 (m, 3H), 1.62 - 1.23 (m, 1H). 19F NMR (300 MHz, CD3OD) δ -118.88-118.76 (1F, s), 184.37-183.48 (1F, s).
化合物12
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(2H-テトラゾール-2-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
ジ-tert-ブチル(E)-ジアゼン-1,2-ジカルボキシレート(122mg、0.53mmol)を、DCM(10mL)中のF2a(200mg、0.53mmol)、2H-テトラゾール(37.0mg、0.53mmol)およびトリフェニルホスフィン(139mg、0.53mmol)に、窒素下、0℃で5分間かけて添加した。得られた混合物を室温で15時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。アルミナフラッシュカラムクロマトグラフィー(水中0~70%MeCN)により、白色固体(155mg、68%)を得た(LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=431.15;TFA、HPLC Rt=0.729分)。分取キラルHPLC[(カラム:CHIRAL ART Cellulose-SB、2×25cm、5μm;移動相A:ヘキサン(0.1%TFA)、移動相B:EtOH;流速:20mL/分;勾配:15分でA:B=85:15;254/220nm;RT1:11.2;RT2:13.32]により、tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(2H-テトラゾール-2-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(70.0mg、45.1%、100%ee)を無色油状物として、異性体2(70.0mg、45.1%、100%ee)を無色油状物として得た。
ステップ2. 1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(テトラゾール-2-イル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物12
【0154】
【化33】
【0155】
TFA(96mg、0.98mmol)を、DCM(5mL)中のtert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(2H-テトラゾール-2-イル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(70mg、0.16mmol)に室温で添加した。室温で1時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、分取HPLC[(カラム:XBridge Prep OBD C18カラム 19×250mm、5μm;移動相A:水(0.05%NH水溶液)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:7分で36%B~46%B;220、254nm;Rt:5.79分により精製して、化合物12(25.00mg、46.5%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=331.5;TFA、HPLC Rt=1.129分;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.17 (1 H, dtd), 1.50 - 1.64 (1 H, m), 1.73 (1 H, ddd), 1.83 - 2.19 (4 H, m), 2.34 - 2.56 (3 H, m), 2.77 - 3.02 (3 H, m), 3.50 - 3.80 (2 H, m), 5.59 (1 H, ddd), 7.00 - 7.13 (2 H, m), 7.31 - 7.43 (2 H, m), 8.77 (1 H, s). 19F NMR (282 MHz, CD3OD) δ -118.65, -76.86.DSC:温度:281.89℃。
化合物13
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
アゾジカルボン酸ジ-tert-ブチル(426mg、1.85mmol)を、DCM(10mL)中のF2a(350mg、0.92mmol)、1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボニトリル(104mg、1.11mmol)およびPhP(485mg、1.85mmol)に、窒素下、25℃で添加し、次いで25℃で3時間撹拌した。標準的な後処理後、C18フラッシュカラムクロマトグラフィー(水(0.3%NHOHを含有)中0~40%MeCN)により、白色固体(350mg)を得た。分取TLC(石油エーテル:EtOAc=2:1)により、画分1(110mg、26%)および画分2(230mg、55%)を白色固体として得た。画分1を、溶離液としてのEtOH中ヘキサンで定組成溶出するChiralpak IAカラム上での分取キラルHPLCによりさらに分離して、異性体1であるtert-ブチル(3R)-1-(2-(3-シアノ-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(31.0mg、28%、100%ee)および異性体2(37.0mg、34%、100%ee)を白色固体として得た。
ステップ2. 1-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]-1,2,4-トリアゾール-3-カルボニトリル 化合物13
【0156】
【化34】
【0157】
TFA(1.0mL)を、DCM(5mL)中のステップ1で得られた異性体1(31mg、0.07mmol)に25℃で添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌し、濃縮し、次いで、溶離液として水(0.05%TFAを含有)およびMeCNの漸減極性混合物を使用する分取HPLC(XBridge Prep C18 OBDカラム、5μシリカ、直径19mm、長さ150mm)により精製して、化合物13(24.3mg、46%)を白色固体として得た;LCMS:m/z(ESI)[M+H]=355.5;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.27 (s, 1H), 7.35 (dd, 2H), 7.06 (t, 2H), 5.44 (q, 1H), 4.04 (dt, 1H), 3.72-3.37 (m, 3H), 3.03-2.87 (m, 1H), 2.82 - 2.67 (m, 2H), 2.50 (ddd, 3H), 2.13-1.87 (m, 3H), 1.85-1.48 (m, 2H).
化合物14および化合物15
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
3mLの無水エタノール中のF4(100mg、1.0当量)の溶液に、(R)-tert-ブチルピペリジン-3-イルカルバメート(115mg、1.2当量)および炭酸ナトリウム(101mg、2.0当量)を密封バイアル内で添加した。懸濁液に、130℃にて6時間、マイクロ波で照射し、次いで濾過し、濃縮した。(シリカゲル DCM中0~3%メタノール)上でのカラムクロマトグラフィーにより、tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(140mg、収率71%)を無色固体として得た。1H NMR (CDCl3 400MHz) δ 6.99 (dd, 1H), 3.86 (dd, 1H), 6.75-6.71 (m, 1H), 4.92 (br. s, 1H), 4.27-4.21 (m, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.75 (br. s, 1H), 3.10-3.06 (m, 2H), 2.88-2.75 (m, 2H), 2.53 (br. s, 2H), 2.41-2.35 (m, 2H), 2.15-2.05 (m, 1H), 1.90-1.66 (m, 6H), 1.40 (d, 9H).
ステップ2. tert-ブチル(3R)-1-(2-(4-シアノフェノキシ)-4-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
3mLの無水THF中のtert-ブチル(3R)-1-(2-(4-シアノフェノキシ)-4-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(140mg、1.0当量)の溶液を撹拌し、NaH(35mg、2.5当量)で処理した。0.5時間後、4-フルオロベンゾニトリル(50mg、1.2当量)を反応物に添加し、次いでこれを室温で18時間、次いで45℃で18時間撹拌した。次いで、反応混合物をNHClの5mL飽和溶液に注ぎ入れ、EtOAc(5mL×3)で抽出し、乾燥させ、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=20/1)により精製して、所望の4-シアノフェノキシ化合物(80mg、収率46%)を得た。Waters SFC 350分取システム[カラム:AS(250mm×30mm×5μm)、条件:NH水溶液中25%IPA 60mL/分]を使用して精製して、tert-ブチル(3R)-1-(2-(4-シアノフェノキシ)-4-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(30mg、収率37%)および異性体2(35mg、収率43%)を得た;異性体1は、5-95AB_1.5分クロマトグラフィーにおいてLCMS Rt=0.892分を示し、MS(ESI)m/z=510.3[M+H]。1H NMR (CDCl3 400MHz) δ 7.84 (dd, 1H), 7.60 (dd, 2H) 7.16-7.11 (m, 1H), 6.99-6.96 (m, 1H), 6.84-6.82 (m, 1H), 6.77-6.73 (m, 1H), 4.79-4.77 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.73 (br. s, 1H), 3.25-3.19 (m, 2H), 2.69-2.63 (m, 2H), 2.47-2.19 (m, 4H), 2.04-1.95 (m, 1H), 1.88-1.82 (m, 2H), 1.68-1.64 (m, 3H), 1.43 (d, 9H).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=510。
ステップ3. 4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロ-3-ヒドロキシ-フェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル(化合物14)および4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル(化合物15)
【0158】
【化35】
【0159】
DCM(2mL)中の上記カルバメートの異性体1(30mg)の溶液に、BBr(0.5mL)を-78℃で添加した。混合物を-78℃で1時間撹拌した。混合物をNHCl水溶液(20mL)に注ぎ入れ、NaHCO水溶液を使用することによりpH=10に調整し、次いでDCM(2×20mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、分取HPLC[(方法:カラム:Durashell C18 150×25mm×5μm、勾配:43~73%B(A=水/0.05%アンモニア、B=アセトニトリル)、流速:25mL/分)]により精製して、化合物14(1.3mg、収率5.6%)および化合物15(1.0mg、収率4.1%)を得た。
【0160】
化合物14:LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=396。1H NMR (CD3OD 400MHz) δ 7.65 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 6.93 (dd, 1H), 6.82 (d, 1H), 6.70-6.64 (m, 1H), 5.00-4.98 (m, 1H), 3.26-3.18 (m, 2H), 3.05 -2.95 (m, 1H), 2.93-2.63 (m, 3H), 2.30-2.14 (m, 2H), 2.10-1.95 (m, 2H), 1.90-1.65 (m, 3H), 1.63-1.49 (m, 1H), 1.24-1.10 (m, 1H).
化合物15:LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=410。1H NMR (CD3OD 400MHz) δ 7.66 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 7.00-6.96 (m, 2H), 6.83-6.75 (m, 1H), 4.72-4.65 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.42-3.35 (m, 1H), 3.30-3.23 (m, 1H), 3.05-2.95 (m, 1H), 2.90-2.65 (m, 3H), 2.35-2.15 (m, 2H), 2.14-1.95 (m, 2H), 1.91-1.68 (m, 3H), 1.62 -1.49 (m, 1H), 1.25-1.13 (m, 1H).
化合物16
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(2-クロロ-4-シアノフェノキシ)-4-(3-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
THF(8mL)中のF3(580mg)の溶液に、NaH(184mg、3.0当量)を0℃で少量ずつ添加した。同じ温度で30分間撹拌した後、THF(2mL)に溶解した3-クロロ-4-フルオロベンゾニトリル(285mg、1.2当量)を少量ずつ添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌し、次いでNHCl水溶液(20mL)でクエンチし、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、NaSOで乾燥させた。合わせた有機層を濃縮して、所望のエーテル(920mg)を黄色油状物として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=514。
ステップ2. 4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(3-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-3-クロロ-ベンゾニトリル 化合物16
【0161】
【化36】
【0162】
HCl/ジオキサン(10mL)中の上記Boc保護化合物(920mg)の溶液を、室温で2時間撹拌し、次いで濃縮して、固体を得た。固体を酢酸エチル(3×20mL)で洗浄し、次いで乾燥させて、残留物(350mg、47%)を得、これをWaters SFC 350分取システム[カラム:AD(250×30mm、5μm)、条件:30%エタノール/アンモニア 流速:60mL/分]により分離して、異性体1である化合物16(95.7mg)および同じ化合物の第2の異性体2(125.1mg)を得た。
【0163】
異性体1(化合物16):LCMS:m/z(ESI)[M+H]=414。最も強力な異性体:1H NMR (CD3OD 400MHz) δ 7.81-7.80 (1H, m), 7.68-7.65 (1H, m), 7.31-7.28 (2H, m), 7.15-6.94 (3H, m), 5.06-4.92 (1H, m), 3.40-3.25 (2H, m), 3.05-2.95 (1H, m), 2.92-2.72 (2H, m), 2.45-2.36 (1H, m), 2.32-2.00 (4H, m), 1.90-1.51 (4H, m), 1.24-1.19 (1H, m).
異性体2:LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=414。1H NMR (CD3OD 400MHz) δ 7.83-7.82 (1H, m), 7.68-7.67 (1H, m), 7.32-7.27 (3H, m), 7.05-7.01 (2H, m), 5.05-4.97 (1H, m), 3.43-3.35 (2H, m), 3.10-2.95 (1H, m), 2.95-2.75 (2H, m), 2.47-2.39 (1H, m), 2.35-2.05 (4H, m), 1.95-1.56 (4H, m), 1.28-1.22 (1H, m).
化合物17
ステップ1. tert-ブチル1-(2-(4-シアノフェノキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-4,4-ジフルオロピペリジン-3-イルカルバメート
無水THF(10mL)中のtert-ブチル4,4-ジフルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート F2c(250mg、1.0当量)、4-ヒドロキシベンゾニトリル(86mg、1.2当量)およびPhP(470mg、3.0当量)の溶液に、DIAD(485mg、4.0当量)を窒素下、0℃で滴下添加した。得られた混合物を14~22℃で20時間撹拌した。標準的な後処理後、フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EA=90/10~80/20)により、異性体生成物の混合物(220mg、収率71%)を黄色濃厚油状物として得た。Waters SFC 350分取システム(カラム:OJ 250mm×30mm×5μm、条件:ベース-メタノール、流速:60mL/分)により分離して、純粋な異性体1(20mg、ピーク1)および異性体2(15mg、ピーク2)、ならびに2つの異性体の混合物(50mg、ピーク3+4)を得、これをWaters SFC 350分取システム(カラム:IC 250mm×30mm×10um、条件:ベース-メタノール、流速:70mL/分)によりさらに分離して、異性体3(15mg、第2の分離におけるピーク1)および異性体4(10mg、第2の分離におけるピーク2)を得た。すべての異性体を無色油状物として得た。異性体1についてのLCMS:m/z(ESI)[M+H]=516。
ステップ2. 4-[2-(3-アミノ-4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル 化合物17
【0164】
【化37】
【0165】
無水ジクロロメタン(5mL)中の上記異性体1(20mg、1.0当量)の溶液に、TFA(1mL)を添加した。得られた混合物を16~23℃で1時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO溶液(50mL)に注ぎ入れ、DCM(30mL×3)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残留物を、分取HPLC(カラム:Durashell 150×25mm×5μm、勾配:70%~95%B(A=0.05%アンモニア/水、B=メタノール、流速:25mL/分)により精製して、凍結乾燥後に化合物17(2.9mg、収率18%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=416。1H NMR (CD3OD 400MHz) δ 7.68 (d, 2H), 7.33-7.29 (dd, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.03 (t, 2H), 4.90-4.85 (m, 1H), 3.35-3.32 (m, 1H), 3.30-3.28 (m, 1H), 3.15-3.05 (m, 1H), 2.98-2.87 (m, 1H), 2.82-2.71 (m, 1H), 2.66-2.55 (m, 1H), 2.52-2.32 (m, 2H), 2.27-2.08 (m, 3H), 2.07-1.92 (m, 1H), 1.81-1.75 (m, 1H).
化合物18
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(4-シアノフェノキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5,5-ジフルオロピペリジン-3-イルカルバメート
PPh(569mg、3.0当量)および4-ヒドロキシベンゾニトリル(129mg、1.5当量)の混合物に、3mLの無水THF中のF2d(290mg、1.0当量)およびDIAD(439mg、3.0当量)の溶液を窒素下で添加した。黄色溶液を17~27℃で18時間撹拌した。溶液を濃縮し、シリカゲル上でのカラム(石油エーテル/EtOAc、0~20%EA)により精製し、炭酸カリウムの飽和溶液(3×10mL)で洗浄し、濃縮して、tert-ブチル(3R)-1-(2-(4-シアノフェノキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5,5-ジフルオロピペリジン-3-イルカルバメート(328mg、収率88%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=516。
ステップ2. 4-[2-(5-アミノ-3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ベンゾニトリル 化合物18
【0166】
【化38】
【0167】
5mLのDCM中の上記Boc保護化合物(328mg、1.0当量)の溶液に、2mLのTFAを添加した。溶液を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮した。残留物をHCl水溶液で希釈し、石油エーテル/EtOAc(1:1)(20mL×3)で抽出して、不純物を除去した。水層を重炭酸ナトリウムで塩基性化し、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色固体(50mg、収率19%)を得、これをBerger MG-II SFC分取システム[ChiralPak AD 250×30mm I.D.、5um;移動相:60mL/分でCO/MeOH(0.1%NH水溶液)=70/30)]により分離して、化合物18(5.2mg、10%)を白色固体として得た。ここではデータが報告されていない第2の異性体も単離した。
【0168】
化合物18は以下を示した:LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=416。1H NMR (CD3OD 400MHz) δ 7.68 (d, 2H), 7.32 (dd, 2H), 7.15 (d, 2H), 7.04 (t, 2H), 4.89-4.84 (m, 1H), 3.38-3.36 (m, 1H), 3.18 (br. s, 1H), 2.96-2.92 (m, 2H), 2.79-2.73 (m, 1H), 2.39-2.15 (m, 6H), 1.84-1.78 (m, 2H).
化合物19
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(4-シアノ-3-フルオロフェノキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
THF(4mL)中のF2a(200mg)、2-フルオロ-4-ヒドロキシベンゾニトリル(108mg、1.5当量)およびPPh(272mg、2.0当量)の溶液に、THF(1mL)中のDIAD(180mg、2.0当量)を0℃で添加した。混合物を25℃で3日間撹拌した。混合物を水(20mL)で希釈し、EA(2×20mL)で抽出した。有機層をナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーカラム(石油エーテル/EA=5/1)により精製して、生成物(200mg、収率76%)を得、これをWaters SFC 350分取システム[カラム:AD(300mm×50mm、10μm)、条件:35%IPA+NH水溶液 80mL/分]により分離して、異性体1(77mg、収率38%、Rt=8.21分)および異性体2(76mg、収率38%、Rt=9.64分)を得た。両方の異性体についてのLCMS、m/z(ESI)、[M+Na]=520。
ステップ2. 4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-2-フルオロ-ベンゾニトリル 化合物19
【0169】
【化39】
【0170】
DCM(2mL)およびTFA(1mL)中のすぐ上記で得られた異性体1(77mg)の溶液を、27℃で30分間撹拌した。混合物を濃縮し、分取HPLC(方法:カラム:Waters Xbridge C18 150×20mm×5μm、勾配:65~95%B(A=水/0.05%アンモニア、B=メタノール)、流速:25mL/分)により精製して、化合物19(13.5mg、収率20%)を得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=398。1H NMR (CD3OD 400MHz) δ 7.65 (t, 1H), 7.32-7.25 (m, 2H), 7.07-6.98 (m, 3H), 6.94 (dd, 1H), 4.84-4.80 (m, 1H), 3.30-3.24 (m, 1H), 3.20-3.14 (m, 1H), 3.03-2.94 (m, 1H), 2.89-2.73 (m, 2H), 2.38-2.32 (m, 1H), 2.25-2.07 (m, 3H), 1.99 (t, 1H), 1.92-1.84 (m, 1H), 1.81-1.66 (m, 2H), 1.64-1.48 (m, 1H), 1.21-1.11 (m, 1H).
化合物20
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(2-シアノフェノキシ)-4-フェニルシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DMF(3mL)中のF1(400mg)の撹拌溶液に、NaH(133mg、3.0当量)を0℃で少量ずつ添加し、次いで30分後、DMF(2mL)に溶解した2-フルオロベンゾニトリル(148mg、1.1当量)を滴下導入し、反応物を室温で終夜撹拌した。標準的な後処理後、反応物をクロマトグラフィーカラム(石油エーテル/EtOAc 1:1)により精製して、粗製のtert-ブチル(3R)-1-(2-(2-シアノフェノキシ)-4-フェニルシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(210mg、収率41%)を得た。LCMS:m/z(ESI)[M+H]=462。
ステップ2. 2-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-フェニル-シクロペントキシ]ベンゾニトリル 化合物20
【0171】
【化40】
【0172】
ジクロロメタン(3mL)中の先の実験の生成物(210mg)の撹拌溶液に、HCl/ジオキサン(2mL、4M)を室温で添加した。次いで、混合物を室温で2時間撹拌し、次いでジクロロメタン(15mL×3)で抽出し、次いで水性物を、NaHCOの飽和溶液を添加することによりpH8に調整した。水層をジクロロメタン(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗製の2-(2-((R)-3-アミノピペリジン-1-イル)-4-フェニルシクロペンチルオキシ)ベンゾニトリル(93mg、収率56%)を得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=362。この粗生成物上でWaters SFC 350分取システムを使用して[カラム:OJ(250nm×30nm×5μm)、条件:30%エタノール/アンモニア 流速:60ml/分]精製して、化合物20(23.2mg、異性体1)および第2のより強力でない異性体(10.5mg、異性体2)を得た。
【0173】
化合物20(異性体1):LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=361。1H NMR (CD3OD, 400MHz) δ7.64-7.60 (m, 2H), 7.30-7.28 (m, 4H), 7.20-7.18 (m, 2H), 7.10-7.06 (m, 1H), 3,38-3.35 (m, 1H), 3.35-3.33 (m, 1H), 2.86-2.81 (m, 3H), 2.40-1.60 (m, 9H), 1.22-1.16 (m, 1H).
異性体2 LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=362。1H NMR (CD3OD, 400MHz) δ 7.64-7.60 (m, 2H), 7.30-7.28 (m, 4H), 7.21-7.17 (m, 2H), 7.10-7.07 (m, 1H), 3,37-3.34 (m, 1H), 3.25-3.23 (m, 1H), 3.01-2.81 (m, 3H), 2.41-1.63 (m, 9H), 1.21-1.13 (m, 1H).
化合物21
1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(2-クロロ-4-シアノフェノキシ)-4-フェニルシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
無水THF(20mL)中のNaH(1.1g、2.5当量)の混合物に、THF(30mL)中のF1(4.0g、1.0当量、11.1mmol)の溶液を窒素下、0℃で滴下添加した。0.5時間撹拌した後、THF(10mL)中の3-クロロ-4-フルオロベンゾニトリル(2.0g、1.2当量)の溶液を反応物に添加した。17~21℃でさらに18時間撹拌した後、混合物を水(200mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中0~30%酢酸エチル)により、tert-ブチル(3R)-1-(2-(2-クロロ-4-シアノフェノキシ)-4-フェニルシクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(460mg、収率8.3%)、および他の生成物の混合物を得た。異性体1は、TLCから観察された最も極性が低い生成物であった。1H NMR (CDCl3 400MHz) δ 1.45 (9H, s), 1.61-1.85 (4H, m), 2.05-2.46 (4H, m), 2.48 (2H, br. s), 2.73 (1H, br. s), 3.15-3.25 (1H, m), 3.34-3.42 (1H, m), 3.75 (1H, br. s), 4.75 (1H, br. s), 4.85 (1H, br. s), 7.08-7.15 (1H, m), 7.23-7.26 (3H, m), 7.29-7.32 (2H, m), 7.52-7.55 (1H, m), 7.66-7.67 (1H, m).
ステップ2. 4-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-フェニル-シクロペントキシ]-3-クロロ-ベンゾニトリル 化合物21
【0174】
【化41】
【0175】
ジクロロメタン(5mL)中の先の実験で得られた異性体1(610mg、1.0当量、1.23mmol)の溶液に、TFA(3mL)を添加した。得られた溶液を7~17℃で0.5時間撹拌した。次いで、溶液を濃縮し、水(10mL)で希釈し、アンモニアで塩基性化し、DCM(15mL×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を水で希釈し、次いで乾燥させて(凍結乾燥)、最終生成物である化合物21(348.6mg、収率71%)を白色固体として得た。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてRt=1.633、LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=396。1H NMR (CD3OD 400MHz) δ 1.13-1.26 (1H, m), 1.53-1.66 (1H, m), 1.70-1.77 (1H, m), 1.77-1.85 (1H, m), 1.86-1.94 (1H, m), 2.01-2.07 (1H, m), 2.09-2.17 (1H, m), 2.18-2.29 (2H, m), 2.36-2.45 (1H, m), 2.76-2.83 (1H, m), 2.84-2.92 (1H, m), 2.98-3.05 (1H, m), 3.22-3.39 (2H, m), 4.91-4.95 (1H, m), 7.16-7.22 (1H, m), 7.24-7.33 (5H, m), 7.66 (1H, dd), 7.80 (1H, d).
化合物22
ステップ1. tert-ブチル(3R,5R)-1-(2-(6-クロロ-4-メチルピリダジン-3-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5-フルオロピペリジン-3-イルカルバメート
F2b(950mg、2.40mmol)を、窒素下で5分間かけて、0℃に冷却したDMF(8mL)中のNaH(115mg、4.79mmol)、3,6-ジクロロ-4-メチルピリダジン(586mg、3.59mmol)に添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。残留物を分取TLC(石油エーテル:EtOAc=2:1)により精製して、生成物を黄色油状物(450mg、35.9%)として得た;LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=523;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.89 - 7.58 (m, 1H), 7.35 (t, 2H), 7.11 (td, 2H), 6.79 (dd, 1H), 5.48 (t, 1H), 4.85 (d, 1H), 3.67 (s, 1H), 3.34 (s, 2H), 3.17 (d, 1H), 2.51 (m, 4H), 2.36 - 2.08 (m, 4H), 2.13 - 1.79 (m, 2H), 1.76 - 1.47 (m, 2H), 1.43 - 1.26 (m, 21H).
ステップ2. tert-ブチル(3R,5R)-1-(2-(6-シアノ-4-メチルピリダジン-3-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5-フルオロピペリジン-3-イルカルバメート
上記で得られた6-クロロ-4-メチルピリダジン-3-イルオキシ化合物(150mg、0.29mmol)を、THF(5mL)中のシアン化亜鉛(67.3mg、0.57mmol)および2-ジ-t-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル(18.27mg、0.04mmol)に窒素下で添加した。得られた混合物を80℃で1時間撹拌し、次いで蒸発させた。残留物を分取TLC(石油エーテル:EtOAc=2:1)により精製して、粗生成物(120mg、81%)を黄色油状物として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=514;塩基性、HPLC Rt=1.371分。分取キラルHPLC[CHIRALPAK IE、2cm×25cm、5μm;移動相A:ヘキサン(0.1%DE)-HPLC、移動相B:EtOH-HPLC;流速:20mL/分;勾配:31分でA:B=70:30;220/254nm]により、それぞれが>98%のeeを有する8つの画分を得た;白色固体として画分1(RT1:9.37分、10.00mg、6.67%)。白色固体として異性体2(RT2:12.16分;15.00mg、10.00%)。白色固体として異性体3(RT3:14.92分;10.00mg、6.67%)。白色固体として異性体4(RT4:17.38分;10.00mg、6.67%)。白色固体として異性体5(RT5:18.6分;5.00mg、3.33%)。白色固体として異性体6(RT6:21.8分;20.00mg、13.33%)。白色固体として異性体7(RT7:23.6分;15.00mg、10.00%)。白色固体として異性体8(RT8:28分;10.00mg、6.67%)。
ステップ3. 6-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]-5-メチル-ピリダジン-3-カルボニトリル 化合物22
【0176】
【化42】
【0177】
TFA(0.1mL、0.02mmol)を、DCM(1mL)中の上記で得られた異性体4(8mg、0.02mmol)に添加した。得られた溶液を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。混合物をNH水溶液でpH=8に調整した。粗生成物を、分取HPLC[(XBridge Prep OBD C18カラム 30×150mm 5μm;移動相A:水(0.05%NH水溶液)、移動相B:MeCN;流速:55mL/分;勾配:7分で35%B~55%B;254/220nm;Rt:6.15分)]により精製した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、化合物22(4.40mg、68.3%)を白色固体として得、これは強力な異性体であることが判明した。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=414;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.89 (s, 1H), 7.30 - 7.30 (m, 2H), 7.07 - 7.0 (m, 2H), 5.82 (br s, 1H), 5.02 (br s, 1H), 3.58 (br s, 2H), 3.34 (m, 1H), 3.18 (m, 2H), 2.90 (m, 2H), 2.47 (m, 1H), 2.38 - 2.13 (m, 6H), 1.85 (m, 2H). 19F NMR (282 MHz, CD3OD) δ -118.834, -185.169.
化合物23
ステップ1. ((3R)-1-(2-((4-クロロピリダジン-3-イル)オキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート
F2(500mg、1.32mmol)を、DCM(8mL)中のPPh(520mg、1.98mmol)および4-クロロピリダジン-3(2H)-オン(207mg、1.59mmol)に、窒素下、0℃で5分間かけて添加した。次いで、DEAD(0.314mL、1.98mmol)を滴下して導入した。得られた溶液を室温に加温し、2時間にわたって撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残留物を、溶出勾配 石油エーテル中0~50%EtOAcを用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色油状物(1000.0mg、154%)を得た。粗生成物を、Waters SFC 350分取システム[(カラム:(R,R)WHELK-01 5/100 Kromasil、2.11cm×25cm(5μm);移動相A:CO:65%、移動相B:EtOH-HPLC:35%;流速:45mL/分;220nm;RT1:4.06;RT2:4.85)]により精製して、tert-ブチル((3R)-1-(2-((4-クロロピリダジン-3-イル)オキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート 異性体1(220mg、36.7%、100%ee)を黄色固体として、異性体2(240mg、40.0%、96.1%ee)を黄色固体として得た。
【0178】
異性体1 LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=491;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.03 (d, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.40 - 7.31 (m, 2H), 7.17 - 7.07 (m, 2H), 6.59 (d, 1H), 3.47 (dq, 1H), 3.33 (s, 3H), 3.17 (d, 1H), 2.75 (d, 1H), 2.62 (s, 1H), 2.25 - 2.14 (m, 2H), 2.03 (d, 2H), 1.94 (d, 2H), 1.82 - 1.71 (m, 1H), 1.62 (s, 1H), 1.53 (s, 1H), 1.37 (s, 9H).
異性体2 LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=491;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.04 (d, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.40 - 7.32 (m, 1H), 7.11 (t, 2H), 6.60 (d, 1H), 3.44 (d3H), 3.17 (m, 1H), 2.52 (s, 5H), 2.36 - 2.14 (m, 2H), 2.00 (s, 1H), 1.89 (s, 1H), 1.84 - 1.70 (m, 2H), 1.67 (d, 1H), 1.55 (s, 1H), 1.36 (s, 9H).
ステップ2. 1-[2-(4-クロロピリダジン-3-イル)オキシ-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物23
【0179】
【化43】
【0180】
DCM(10mL)中の異性体2(240mg、0.49mmol)の溶液に、TFA(1mL、0.49mmol)を添加した。得られた溶液を室温で30分間撹拌し、次いで溶媒を蒸発させた。混合物をNH.HOでpH=8に調整した。分取HPLC[(XBridge Prep OBD C18 カラム 30×150mm 5μm;移動相A:水(0.05%NH水溶液)、移動相B:MeCN;流速:55mL/分;勾配:7分で35%B~40%B;254/220nm;Rt:5.53分)により、化合物23(128mg、67.0%)を白色固体として得、これはより強力な異性体であることが判明した。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=391;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.00 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.38 - 7.24 (m, 2H), 7.10 - 6.95 (m, 2H), 5.71 (ddd, 1H), 3.56 (dt, 2H), 2.98 (d, 1H), 2.81 (t, 2H), 2.47 - 2.00 (m, 4H), 1.94 - 1.34 (m, 5H), 1.11 (d, 1H). 19F NMR (282 MHz, CD3OD) δ -119.158.
化合物24
ステップ1. tert-ブチル(3R,5R)-1-(2-(6-シアノピリダジン-3-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5-フルオロピペリジン-3-イルカルバメート
THF(300mL)中のF2b(26g、65.58mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いで水素化ナトリウム(4.72g、196.73mmol)で処理し、10分後、6-クロロピリダジン-3-カルボニトリル(10.98g、78.69mmol)で処理した。得られた混合物を0℃で30分間、室温で30分間撹拌した。標準的な後処理後、粗生成物をフラッシュC18-フラッシュクロマトグラフィー(水(0.5%TFA)中0~40%MeCN)により精製した。tert-ブチル(3R,5R)-1-(2-(6-シアノピリダジン-3-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)-5-フルオロピペリジン-3-イルカルバメート(20.00g、61.1%)を白色固体として得た。生成物を、Waters SFC 350分取システム[(カラム:Lux 5um Cellulose-4、5×25cm、5μm;移動相A:CO:60%、移動相B:MeOH:40%;流速:150mL/分;230nm;RT1:6.52;RT2:7.27)]によりさらに精製して、異性体1:(7.00g、96.8%ee)および異性体2:(10.00g、95.5%ee)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=500。
ステップ2. 6-[2-(3-アミノ-5-フルオロ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリダジン-3-カルボニトリル 化合物24
【0181】
【化44】
【0182】
ジメチルスルファン(30mL、391.94mmol)およびTFA(30mL、392.03mmol)を、DCM(100mL)中の先の実験で得られた異性体2(10g、20.02mmol)にバッチにて25℃で滴下添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。C18-フラッシュクロマトグラフィー(水(0.05%TFA)中10~30%MeCN)により、化合物24(9.00g、82%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=400;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.03 (d, 1H), 7.46 - 7.23 (m, 3H), 7.14 - 6.97 (m, 2H), 5.87 (d, 1H), 5.07 (s, 1H), 3.65 (s, 2H), 3.51 - 3.36 (m, 1H), 3.31 (d, 2H), 3.08 - 2.83 (m, 1H), 2.73 (d, 1H), 2.50 (s, 1H), 2.29 (tt, 3H), 1.93 (dq, 2H). 19F NMR (376 MHz, CD3OD) δ -77.3, -118.76, -185.06.
化合物25
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(5-クロロピリダジン-3-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DTAD(487mg、2.11mmol)を、DCM(20mL)中の5-クロロピリダジン-3(2H)-オン(207mg、1.59mmol)、F2a(400mg、1.06mmol)およびPPh(554mg、2.11mmol)に添加した。得られた混合物を30℃で2時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。C18フラッシュカラムクロマトグラフィー(水(0.1%NH水溶液で修飾)中40~42%MeCNにより、所望の生成物(450mg、87%)を黄色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=492;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.20 - 1.32 (m, 1H), 1.44 (d, 10H), 1.49 (d, 1H), 1.62 - 1.94 (m, 4H), 1.95 - 2.17 (m, 3H), 2.16 - 2.46 (m, 2H), 2.68 - 2.98 (m, 2H), 3.55 (dt, 3H), 5.64 (tt, 1H), 6.97 - 7.15 (m, 3H), 7.26 - 7.37 (m, 2H), 8.12 (t, 1H).
ステップ2. tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(5-フルオロピリダジン-3-イルオキシ)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
KF(237mg、4.07mmol)を、DMSO(10mL)中の前述のピペリジン-3-イルカルバメート化合物(400mg、0.81mmol)に添加した。得られた混合物を100℃で72時間撹拌し、次いでDCM(20mL)で希釈し、水(25mL×3)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を得た。分取HPLC[XBridge Prep OBD C18カラム 19×250mm、5μm;移動相A:水(0.05%NH水溶液)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:8分で66%B~66%B;220、254nm;Rt:6.57~7.18分]により、tert-ブチル(3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(5-フルオロピリダジン-3-イルオキシ)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(60.0mg、15.52%)を黄色固体として得た。
【0183】
LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=475。
ステップ3. 1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(5-フルオロピリダジン-3-イル)オキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物25
【0184】
【化45】
【0185】
TFA(3mL、0.13mmol)を、DCM(15mL)中の上記で得られたカルバメート(60mg、0.13mmol)に添加した。得られた溶液を25℃で2時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。分取HPLC[カラム XSelect CSH Prep C18 OBDカラム、5μm、19×150mm;移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:MeCN;流速:25mL/分;勾配:7分で15%B~25%B;254;220nm;Rt:4.42分]により、化合物25、(R)-1-((1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(5-フルオロピリダジン-3-イルオキシ)シクロペンチル)ピペリジン-3-アミン(20.00mg、42.2%)を無色油状物として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=375;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.23 (d, 1H), 7.30-7.34 (m, 2H), 7.01-7.07 (m, 2H), 6.77 (d, 1H), 5.86 (s, 1H), 4.11 (s, 1H), 3.08-3.58 (m, 4H), 2.89-2.91 (m, 2H), 2.59 (s, 1H), 2.32-2.36 (m, 1H), 2.17-2.27 (m, 1H), 1.85-2.03 (m, 3H), 1.79-1.82 (m, 1H), 1.63-1.66 (m, 1H). 19F NMR (300 MHz, CD3OD) δ -77.16, -111.97.
化合物26
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(5-シアノピリジン-2-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
THF(25mL)中のF2a(360mg、0.95mmol)、6-ヒドロキシニコチノニトリル(114mg、0.95mmol)、PPh(499mg、1.90mmol)の混合物に、DTAD(438mg、1.90mmol)を添加した。16時間撹拌した後、溶媒を蒸発させた。残留物を分取TLC(EtOAc:石油エーテル=1:2)により精製して、tert-ブチル生成物(280mg、61.3%)を黄色油状物として得た。分取HPLCにより、画分1(120mg、33.8%)を白色固体として、画分2(70.0mg、19.69%)を白色固体として得た。
【0186】
画分1:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.67 - 8.76, 8.13 (1 H, s), 7.61 - 7.71 (1 H, m), 7.28 - 7.40 (2 H, m), 7.12 (2 H, t), 6.61 (1 H, s), 6.48 (1 H, dd), 5.33 (1 H, s), 3.54 (2 H, d), 3.26 (2 H, s), 2.77 (1 H, s), 2.15 (4 H, s), 1.61 (7 H, s), 1.35 (9 H, s), 1.20(1 H, m).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=481。
【0187】
画分2:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.33 (9 H, d), 1.75 (4 H, s), 2.13 (3 H, s), 5.69 (1 H, s), 6.99 - 7.19 (3 H, m), 7.29 - 7.40 (2 H, m), 8.17 (2 H, d), 8.72 (1 H, s);LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=481。
ステップ2. 6-(2-((R)-3-アミノピペリジン-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチルオキシ)ニコチノニトリル 化合物26
【0188】
【化46】
【0189】
DCM(15mL)中の上記画分2(70mg、0.15mmol)の溶液に、TFA(0.15mL、1.95mmol)を添加した。反応混合物を25℃で1時間撹拌し、濃縮乾固した。残留物を、分取HPLC[水(0.05%NHを含有)およびMeCNの勾配)により精製して、白色固体(50.0mg、90%)を得、これを分取キラルHPLCによりさらに精製して、6-(2-((R)-3-アミノピペリジン-1-イル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチルオキシ)ニコチノニトリル 異性体1、化合物26(22.70mg、32.4%)を白色固体として得、異性体2(15.50mg、22.14%)を得た。化合物26は以下を示した:1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.24 (1 H, t), 1.49 - 1.81 (3 H, m), 1.89 (1 H, dq), 2.02 - 2.29 (4 H, m), 2.34 - 2.49 (1 H, m), 2.79 - 2.93 (2 H, m), 3.01 (1 H, d), 3.11 - 3.41 (2 H, m), 5.60 (1 H, ddd), 6.88 - 7.09 (3 H, m), 7.22 - 7.36 (2 H, m), 7.98 (1 H, dd), 8.56 (1 H, dd).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=381。
【0190】
異性体2:1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.17 (1 H, td), 1.53 - 2.28 (9 H, m), 2.32 - 2.47 (1 H, m), 2.78 - 2.93 (2 H, m), 3.01 (1 H, d), 3.09 - 3.39 (1 H, m), 5.58 (1 H, d), 6.89 - 7.07 (3 H, m), 7.28 (2 H, dd), 7.97 (1 H, dt), 8.55 (1 H, d).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=381。
化合物27
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(6-シアノピリジン-3-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DCM(10mL)中のF2a(226.8mg、0.60mmol)、5-ヒドロキシピコリノニトリル(86mg、0.72mmol)およびPhP(393mg、1.50mmol)を、0℃でDTAD(276mg、1.20mmol)と反応させた。反応物を2時間かけて室温に加温した。標準的な後処理後、C18フラッシュカラムクロマトグラフィー(水(0.1M NH水溶液)中0~45%MeCN)により、tert-ブチル(3R)-1-(2-(6-シアノピリジン-3-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート(160mg、55.6%)を薄赤色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=481.30。分取キラルHPLC[(カラム:Chiralpak IA、2×25cm、5μm;移動相:相A:ヘキサン-HPLC 相B:EtOH-HPLC 勾配;流速:20mL/分;勾配:12.5分でA:B=90:10;254/220nm;RT1:11.13;RT2:14.44)]により、異性体1(30mg、0.06mmol)および異性体2(30mg、0.06mmol)を含有する2つの画分を白色固体として得た。
ステップ2. 6-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリジン-3-カルボニトリル 化合物27
【0191】
【化47】
【0192】
DCM(2mL)中の異性体1(30mg、0.06mmol)の撹拌溶液に、TFA(0.66mL)を室温で16時間添加した。分取HPLC(XBridge Prep C18 OBDカラム、5μシリカ、直径19mm、長さ150mm、水(0.05%TFAを含有)/MeCN勾配)により精製して、化合物27(24.00mg、90%)を白色固体として得、これは最も強力な異性体であることが判明した。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=381;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.43 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.32 (dd, 2H), 7.16 - 6.97 (m, 2H), 4.92 (s, 2H), 3.38 (s, 2H), 2.93 (d, 1H), 2.61 (d, 3H), 2.38 (dt, 1H), 2.21 (t, 2H), 2.05 - 1.76 (m, 3H), 1.77 - 1.48 (m, 2H).
化合物28
ステップ1. tert-ブチル1-((1R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(ピリダジン-3-イルオキシ)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DCM(10mL)中のDIAD(427mg、2.11mmol)、PPh(554mg、2.11mmol)、ピリダジン-3(2H)-オン(152mg、1.59mmol)およびF2a(400mg、1.06mmol)を、標準的な光延条件下で反応させた。室温で2時間後、溶媒を減圧下で除去した。C18フラッシュカラムクロマトグラフィー(水(0.1 NH水溶液で修飾)中45~50%MeCNにより、tert-ブチル((3R)-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(ピリダジン-3-イルオキシ)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート(400mg、83%)を黄色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=457;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.17 - 1.33 (m, 1H), 1.45 (d, 9H), 1.51 - 2.14 (m, 4H), 2.18 - 2.50 (m, 2H), 2.66 - 2.90 (m, 1H), 2.94 (d, 1H), 3.38 (s, 2H), 3.49 - 3.66 (m, 3H), 5.64 - 5.79 (m, 1H), 6.93 - 7.12 (m, 3H), 7.26 - 7.49 (m, 3H), 8.09 (ddd, 1H).
分取キラルHPLC[溶離液としてのヘキサン(0.1%DEAで修飾)中40%IPAで定組成溶出するChiralpak IB]により、tert-ブチル1-((1R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(ピリダジン-3-イルオキシ)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(180mg、45.0%、99.5%ee)を黄色固体として、異性体2(180mg、45.0%、99.5%ee)を黄色固体として得た。LCMS(両方の異性体についての) m/z(ESI)、[M+H]=457。
ステップ2. 1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピリダジン-3-イルオキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物28
【0193】
【化48】
【0194】
TFA(2mL、25.96mmol)を、DCM(10mL)中の上記で得られた異性体1(180mg、0.39mmol)に添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、分取HPLC[X select CSH OBDカラム 30×150mm 5μm;移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:MeCN;流速:60mL/分;勾配:7分で11%B~21%B;254;220nm;Rt:5.57分]により精製して、化合物28(240mg、70.7%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=357;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.56 - 1.75 (m, 1H), 1.82 - 2.31 (m, 5H), 2.47 (ddd, 1H), 2.65 - 2.80 (m, 1H), 2.93 (t, 1H), 3.08 (t, 1H), 3.66 (dtd, 4H), 4.32 (dt, 1H), 5.99 (ddd, 1H), 6.99 - 7.14 (m, 3H), 7.29 - 7.42 (m, 2H), 7.48 (dd, 1H), 8.14 (dd, 1H). 19F NMR (300 MHz, CD3OD) δ -77.173 (m, 13F), -118.211 (s, 1F).
化合物29
ステップ1. tert-ブチル(3R,5R)-5-フルオロ-1-(4-(4-フルオロフェニル)-2-(ピリミジン-4-イルオキシ)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DTAD(581mg、2,52mmol)を、DCM(15mL)中のF2b(500mg、1,26mmol)、ピリミジン-4-オール(145mg、1.51mmol)およびPPh(827mg、3.15mmol)に5分間かけて0℃で添加した。得られた溶液を25℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。C18フラッシュカラムクロマトグラフィー(MeCN中40~50%水)により、画分1(先のピーク:200mg、33.4%)を無色油状物として、画分2(後のピーク:300mg、50.1%)を白色固体として得た。画分2を、溶離液としての石油エーテル(ジエチルアミンで修飾)中50%IPAで定組成溶出するCHIRALPAK IA-3カラム上での分取キラルHPLCによりさらに分離および精製した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、異性体1であるtert-ブチル((3S,5R)-5-フルオロ-1-((1S,2S,4R)-4-(4-フルオロフェニル)-2-(ピリミジン-4-イルオキシ)シクロペンチル)ピペリジン-3-イル)カルバメート(160mg、41%、100%ee)を白色固体として、異性体2(110mg、28.2%、99.6%ee)を白色固体として得た。両方の異性体についてのLCMS:m/z(ESI)、[M+H]=475。
ステップ2. 5-フルオロ-1-[4-(4-フルオロフェニル)-2-ピリミジン-4-イルオキシ-シクロペンチル]ピペリジン-3-アミン 化合物29
【0195】
【化49】
【0196】
TFA(3mL、0.34mmol)を、DCM(15mL)中の上記異性体1(160mg、0.34mmol)に添加した。得られた溶液を25℃で2時間撹拌した。分取HPLC[XBridge Prep OBD C18カラム 30×150mm 5um;移動相A:水(0.05%NH水溶液)、移動相B:MeCN;流速:60mL/分;勾配:7分で28%B~40%B;254/220nm;Rt:5.95分]により、化合物29を白色固体(75.0mg、59.0%)として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=375;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.75 (dd, 1H), 8.46 (dd, 1H), 7.38 - 7.24 (m, 2H), 7.09 - 6.89 (m, 3H), 5.62 (ddd, 1H), 4.90 (d, 0.5H), 4.76 (s, 0.5H), 3.35 (s, 1H), 3.30 - 3.01 (m, 4H), 2.51 - 1.96 (m, 6H), 1.77 (td, 1H), 1.44 (dt, 1H). 19F NMR (300 MHz, CD3OD) δ -183.07, -119.12
化合物30
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(5-ブロモピリミジン-2-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DMF(6mL)中のF2a(900mg、2.38mmol)の溶液に、NaH(190mg、4.76mmol)を室温で添加した。混合物を3分間撹拌し、次いで5-ブロモ-2-クロロピリミジン(690mg、3.57mmol)。8時間後、反応混合物を飽和NHCl(水溶液)(30mL)でクエンチし、DCM(2×20mL)で抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を得た。分取TLC(EtOAc:石油エーテル=1:2)により、生成物(500mg、39.3%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=379。
ステップ2. tert-ブチル(3R)-1-(2-(5-シアノピリミジン-2-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DMF(5mL)中の上記カルバメート(330mg、0.62mmol)の溶液に、Zn(CN)(145mg、1.23mmol)および亜鉛(4.03mg、0.06mmol)を室温で添加した。次いで、Pddba(106.8mg、0.12mmol)およびdppf(137mg、0.25mmol)を添加し、反応物を120℃で3時間撹拌した。EtOAc(20mL)で希釈し、洗浄(水(10mL×2)、飽和ブライン(10mL))した後、合わせた有機物を乾燥させ、蒸発させた。残留物を分取TLC(DCM:MeOH=50:1)により精製して、粗生成物(200mg、67.4%)を黄色固体として得た。分取キラルHPLC(カラム:CHIRAL Cellulose-SB サイズ:0.46×15cm;3μm.移動相:ヘキサン(0.1%DEA):IPA=80:20;流速:1.0mL/分;検出器:UV-254nm;RT1:7.353;RT2:8.710)により、tert-ブチル(R)-1-((1S,2S,4R)-2-(5-シアノピリミジン-2-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(120mg、57.1%、100%ee)、および異性体2(50.0mg、23.81%、98.7%ee)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=482。
ステップ3. 2-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリミジン-5-カルボニトリル 化合物30
【0197】
【化50】
【0198】
DCM(2mL)中の上記異性体1(120mg、0.25mmol)の溶液に、TFA(0.66mL)を室温で添加した。16時間の撹拌および標準的な後処理後、粗生成物を、分取HPLC(カラム:XSelect CSH Prep C18 OBDカラム、5μm、19×150mm;移動相A:水(0.1%FA)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:7分で2%B~27%B;220、254nm)により精製して、化合物30(100mg、93%)を白色固体として得、これは強力な異性体であることが判明した。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.98 (s, 2H), 8.31 (s, 1H), 7.32 (d, 2H), 7.04 (t, 2H), 5.59 (d, 1H), 3.42 (br s, 1H), 3.26 (s, 1H), 2.96 (d, 1H), 2.85 - 2.67 (m, 1H), 2.67 - 2.51 (m, 2H), 2.43 (d, 1H), 2.23 (d, 2H), 2.05 - 1.46 (m, 5H).LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=382。
化合物31
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(5-ブロモピリミジン-2-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
DMF(6mL)中のF2a(900mg、2.38mmol)の溶液に、NaH(190mg、4.76mmol)を室温で添加した。混合物を3分間撹拌し、次いで5-ブロモ-2-クロロピリミジン(690mg、3.57mmol)を導入した。8時間撹拌した後、反応物を後処理した。分取TLCにより精製して、生成物(500mg、39.3%)を白色固体として得た。この粗生成物を、分取キラルHPLC[(CHIRALPAK IC-3 サイズ:0.46×10cm;3μm.移動相:ヘキサン(0.1%DEA):EtOH=80:20;流速:1mL/分;検出器:254nm;RT1:4.759;RT2:5.595)によりさらに精製して、tert-ブチル(3R)-1-(2-(5-シアノピラジン-2-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(100mg、55.6%、99.9%ee)、および異性体2(50.0mg、27.8%、100%ee)を白色固体として得た。
ステップ2. 5-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピラジン-2-カルボニトリル 化合物31
【0199】
【化51】
【0200】
DCM(2mL)中の上記で得られた異性体2(50mg、0.10mmol)の溶液に、TFA(0.5mL、6.5mmol)を室温で添加した。反応物を2時間撹拌し、次いで標準的な後処理に供した。粗生成物を、分取HPLC[XBridge Prep C18 OBDカラム、5μm、19×150mm;移動相A:水(10mmol/L NHHCO)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:20分で20%B~33%B;254/220nmにより精製して、化合物31(30.0mg、76%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=382.4;1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.64 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.30 (dd, 2H), 7.04 (t, 2H), 5.65 - 5.53 (m, 1H), 3.51 - 3.35 (m, 3H), 2.93 (d, 1H), 2.71 (d, 1H), 2.57 (d, 2H), 2.42 (s, 1H), 2.20 (dd, 2H), 2.02 - 1.89 (m, 1H), 1.89 - 1.72 (m, 2H), 1.65 (d, 2H).
化合物32
ステップ1. tert-ブチル(3R)-1-(2-(2-シアノピリミジン-5-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート
0℃のDCM(10mL)中のF2a(260mg、0.69mmol)、5-ヒドロキシピリミジン-2-カルボニトリル(100mg、0.82mmol)およびPhP(270mg、1.03mmol)の溶液に、DTAD(237mg、1.03mmol)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO(100mL)でクエンチし、DCM(2×50mL)で抽出し、次いで乾燥させ、蒸発させて、橙色ガム状物を得た。分取HPLC(XBridge Prep C18 OBDカラム、5μmのシリカ、直径19mm、長さ150mm、水(0.05%NHを含有)/MeCN勾配)により、生成物(190mg、57.4%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=482。分取キラルHPLC[カラム:CHIRALPAK IC、2.0cm I.D×25cm L;移動相A:ヘキサン-HPLC、移動相B:EtOH-HPLC;流速:20mL/分;勾配:24分でA:B=85:15;により、tert-ブチル(3R)-1-(2-(2-シアノピリミジン-5-イルオキシ)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンチル)ピペリジン-3-イルカルバメート 異性体1(第1の画分;95mg、50.0%、100%ee)および異性体2(第2の画分;100mg、52.6%、88.6%ee)を得た。
ステップ2. 5-[2-(3-アミノ-1-ピペリジル)-4-(4-フルオロフェニル)シクロペントキシ]ピリミジン-2-カルボニトリル 化合物32
【0201】
【化52】
【0202】
DCM(10mL)中の上記で得られた異性体2(100mg、0.21mmol)の溶液に、TFA(0.66mL)を25℃で添加した。反応混合物を16時間撹拌し、次いで後処理した。粗生成物を、分取HPLC(カラム:XSelect CSH Prep C18 OBDカラム、5μm、19mm×150mm;移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:MeCN;流速:20mL/分;勾配:7分で10%B~32%B;254;220nm)により精製して、化合物32(80mg、51.6%)を白色固体として得た。LCMS:m/z(ESI)、[M+H]=382;1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.63 (s, 2H), 7.42 - 7.26 (m, 2H), 7.13 - 6.97 (m, 2H), 5.57 - 5.40 (m, 1H), 4.08 (ddd, 1H), 3.76 - 3.36 (m, 5H), 3.11 (q, 2H), 2.63 (ddd, 1H), 2.35 (dtd, 2H), 2.23 - 2.01 (m, 3H), 2.01 - 1.81 (m, 1H), 1.70 (dd, 1H). 19F NMR (282 MHz, CD3OD) δ -77.14, -118.01.
化合物10、形態AのX線結晶学的研究。
【0203】
上記の通りに得られた化合物10の試料を、単シリコン結晶(SSC)ウエハーマウント上に載せ、粉末X線回折を、Theta-Theta PANalytical X’Pert PRO(X線の波長1.5418Å ニッケルフィルター処理Cu放射線、電圧45kV、フィラメント放出40mA)で記録した。自動可変発散および散乱防止スリットを使用し、試料を、測定中に回転させた。試料を、PIXCEL検出器(有効長3.35°2シータ)を使用し、0.013°のステップ幅および233秒のステップ測定時間を使用して、2~50°2シータから走査した。
【0204】
化合物10、形態Aについての13個の最も顕著なX線粉末回折ピークを、上記表1に報告する。表1の相対強度値は、下記表3の定義に従って割り当てられる。
【0205】
【表3】
図1