(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】睡眠障害呼吸のためのスクリーナー
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A61B5/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021088458
(22)【出願日】2021-05-26
(62)【分割の表示】P 2018508171の分割
【原出願日】2016-08-17
【審査請求日】2021-06-18
(32)【優先日】2015-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508354647
【氏名又は名称】レスメッド センサー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン,スティーヴン
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-024684(JP,A)
【文献】特開2007-289660(JP,A)
【文献】特開2005-065904(JP,A)
【文献】国際公開第2011/010384(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0004749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06- 5/22
A61B 5/00- 5/01
A61B 9/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの睡眠障害呼吸事象を検出する方法であって、
プロセッサにおいて、睡眠期間中のユーザの音を表す入力音声信号を受信するステップと、
前記プロセッサにおいて、受信した前記入力音声信号の1つ以上のフレームの音声周波数特性を分析することを含む、少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するステップであって、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するステップは、受信した前記入力音声信号の1つ以上のフレームから決定される呼吸信号の呼吸速度を分析することをさらに含む、ステップと、
前記プロセッサから、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類の検出に基づいて、睡眠障害呼吸事象のインジケータを出力するステップと
を含んでなる、ユーザの睡眠障害呼吸事象を検出する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するステップは、受信した前記入力音声信号の1つ以上のフレームから決定された音声レベルを分析することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するステップは、回復呼吸として事象を分類することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するステップは、前記入力音声信号の複数の周波数成分を、音声周波数帯における信号エネルギーに基づいて前記音声周波数帯のカテゴリーにグループ分けするフレームフィルタリングを実施することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記音声周波数帯のそれぞれについて音声信号レベルを合計することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類は、100~4000ヘルツの周波数帯の周波数成分であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するステップは、平均呼吸速度よりも高速な呼吸速度を検出することを含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
検出された前記呼吸速度は20~30bpmの範囲にある、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの回復呼吸を検出することは、いびきの平均周波数よりも高い音声周波数を検出することを含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの回復呼吸を検出することは、呼吸の平均周波数よりも高い音声周波数を検出することを含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するステップは、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類の確率値を提供することを含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記確率値は、異なる信号種類のグループに対して決定された複数の確率値のうち最も高い確率値である、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの回復呼吸は無呼吸終了と関連付けられるものである、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの回復呼吸はいびきを伴う息切れである、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセッサにおいて、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す検出された信号種類に基づいて、少なくとも1つの回復呼吸を表す検出された信号種類に先行する静寂期間を検出することによって、無呼吸の存在を検出することを更に含む、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータに読出可能な媒体であって、該媒体から取り出し可能なプロセッサ制御命令を有しており、該プロセッサ制御命令が処理デバイスによって実行されると、請求項1~
15のいずれか一項に記載の睡眠障害呼吸事象を検出する方法を前記処理デバイスに実行させるものである、コンピュータに読出可能な媒体。
【請求項17】
ユーザの睡眠障害呼吸を検出する装置であって、
音センサーであって、該音センサーの近隣の音を検出し、検出した音を表す音信号を生成するように構成された音センサーと、
プロセッサであって、睡眠期間中のユーザの音を表す、検出された前記音を表す入力音声信号を受信し、少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出し、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するために、受信した前記入力音声信号の1つ以上のフレームの音声周波数特性を分析し、検出された前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類に基づいて、睡眠障害呼吸事象のインジケータを出力する、プロセッサであって、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するために、前記プロセッサは、受信した前記入力音声信号の1つ以上のフレームから決定された呼吸信号の呼吸速度を分析するように更に構成されている、プロセッサと
を含んでなる、ユーザの睡眠障害呼吸を検出する装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するために、前記プロセッサは、受信した前記入力音声信号の1つ以上のフレームから決定された音声レベルを分析するように更に構成されている、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するために、前記プロセッサは、回復呼吸として事象を分類するように構成されている、請求項
17または
18に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するために、前記プロセッサは、前記入力音声信号の複数の周波数成分を、音声周波数帯における信号エネルギーに基づいて前記音声周波数帯のカテゴリーにグループ分けするフレームフィルタリングを実施するように更に構成されている、請求項
17~
19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記音声周波数帯のそれぞれについて音声信号レベルを合計するように更に構成されている、請求項
20に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサは、100~400ヘルツの周波数帯域の周波数成分によって、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を特徴付けるように構成されている、請求項
17~
21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するために、前記プロセッサは、平均呼吸速度よりも高速な呼吸速度を検出するように更に構成されている、請求項
17~
22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
検出された前記呼吸速度は20~30bpmの範囲である、請求項
23に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの回復呼吸を検出するために、前記プロセッサは、いびきの平均周波数よりも高い音声周波数を検出するように更に構成される、請求項
17~
24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの回復呼吸を検出するために、前記プロセッサは、呼吸の平均周波数よりも高い音声周波数を検出するように更に構成される、請求項
17~
25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類を検出するために、前記プロセッサは、少なくとも1つの回復呼吸を表す信号種類の確率値を提供するように更に構成されている、請求項
17~
26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記確率値は、異なる信号種類のグループに対して決定された複数の確率値のうち最も高い確率値である、請求項
27に記載の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの回復呼吸は無呼吸終了に関連付けられるものである、請求項
17~
28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つの回復呼吸は、いびきを伴う息切れである、請求項
17~
29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す検出された信号種類に基づいて、前記少なくとも1つの回復呼吸を表す検出された信号種類に先行する静寂期間を検出することによって、無呼吸の存在を検出するように更に構成されている、請求項
17~
30のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第62/205,823号(出願日:2015年8月17日
)の出願日の恩恵を主張する。本明細書中、同文献の開示内容を参考のため援用する。
【0002】
1. 技術の背景
1.1 技術分野
本技術は、呼吸関連疾患の検出、診断および予防のうち1つ以上に関する。本技術はま
た、医療装置、デバイス、システムおよびその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
1.2 関連技術の説明
1.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形
成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く
、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取
り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これら
の主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気
道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気
管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域
を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiol
ogy」, by John B. West, Lippincott Willia
ms & Wilkins, 9th edition published 2011
。
【0005】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の事象(例えば、いびき、
無呼吸、呼吸低下および過呼吸など)によって特徴付けられ得る。これらの呼吸器疾患の
うちいくつかは、睡眠障害呼吸(SDB)と呼ばれる場合がある。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠時の上部気道の閉鎖または閉塞などの事象によ
って特徴付けられる。これは睡眠時の異常に小さな上気道および舌領域における筋緊張の
正常欠損、軟口蓋および後口咽頭壁の組み合わせに起因する。このような状態に起因して
、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~3
00回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷
の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、
患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照さ
れたい。
【0007】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイ
クルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱
酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有
害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負
荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(
Berthon-Jones)を参照されたい。
【0008】
肥満過換気症候群(OHS)は、過換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥
満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難
、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループ
のうちのいずれも包含する。そのような特性を挙げると、気動に対する抵抗増加、呼吸の
呼気フェーズの延長、および肺の通常の弾性の喪失がある。COPDの例として、気腫お
よび慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被
ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳およ
び痰生成がある。
【0010】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋
肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には
、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への
束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経
筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る。
(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に
死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およ
びデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD))
(ii)可変性障害または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付
けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強
直性筋ジストロフィー)。
NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる。全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および
安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難であ
る。
【0011】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性
の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰
性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または後側弯症は、重篤な呼吸不全
を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げると、労作時の呼吸困難、末梢浮腫
、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振
である。
【0012】
1.2.2 治療用システムおよびデバイス
診断が下された後は、上記症状を治療するかまたは改善させるために、一定範囲の治療
が用いられる。これらの治療は、例えば呼吸圧治療デバイス(RPTデバイス)、空気回
路、加湿器、患者インターフェースおよびデータ管理デバイスを含むシステムまたはデバ
イスにより、提供され得る。
【0013】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、例えば、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療に
おいて用いられている。その前提としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ
前進または後退させることにより、持続的気道陽圧治療が空気スプリントとして機能し、
これにより上気道の閉鎖を回避する。別の例として、非侵襲的換気(NIV)は、換気補
助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の
呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助は、マ
スクなどの患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、N
MD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。重篤
な場合においては、侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった
患者に対して換気補助を提供し、気管開口チューブを用いて提供され得る。
【0014】
治療的恩恵に加えて、その他の点では健常人も、呼吸器疾患のこのような予防治療を有
利に利用することができる。OSAの可能性のある場合におけるCPAP治療による治療
として、例えば自発的治療があり得る。もちろん、このような任意の予防的治療を開始す
る前には、診断が必要になる。
【0015】
1.2.3 診断および監視システム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、上記したような心肺疾患の診断および予後のための従来
のシステムである。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、
心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG))を記録するために、典型的には15
~20個の接触覚センサーを人体上に配置する。これらのセンサーは、臨床設定における
睡眠研究に用いられることが多い。しかし、PSGシステムの場合、臨床設定用途には適
しているものの、自宅におけるスクリーニングツール用途には非実際的であることが多い
。
【0016】
PSGに代替するものを提供するには、患者が自宅において流量センサー付きモニター
などの特殊なモニターを睡眠時に装着する必要がある。このようなセンサーは、睡眠障害
呼吸の事象の検出のための呼吸流れ情報を受信するように、適合される。このデータは、
さらなる再調査のために医師などのサードパーティへ送られることが多い。これらの代替
的監視法の場合、コストおよび複雑性に起因して、広範な利用が限られる場合がある。例
えば、患者が医師と連絡をとった後にしか診断が得られないため、コストの大幅増加に繋
がり得る。さらに、特殊な監視デバイスに関連して装置コストも必要になるため、広範な
利用が制限され得る。そのため、公衆へのSDBの周知を支援するために、よりコスト効
果の高いスクリーナーを提供するための向上が所望され得る。
【0017】
いびき検出システムが利用可能である。例えば、「SnoreLab」(右記から利用
可能:http://www.snorelab.com)として知られるアプリケーシ
ョンの場合、一晩分の睡眠時における患者の寝室音を記録し、いびき音を他の背景音から
抽出し、いびき音データからいびき音強度のグラフを生成するために用いられ得る。別の
可能な例として、「SnoreClock」(右記から利用可能:http://www
.ralphsapps.com/index.jsp)があり、これは、一晩分の睡眠
時における患者の寝室音を記録し、いびき音を他の背景音から抽出し、いびきデータから
グラフおよび統計を生成するために用いられ得る。
【0018】
これらの種類のシステムの場合、いびきデータに無差別に依存するため、スクリーニン
グ能力が不十分である可能性がある。このデータセットそのものは、高精度かつ信頼でき
るSDBスクリーニングツール内における用途においては不十分である可能性がある。そ
の上、これらのアプリケーションの場合、全てのいびき音に焦点を合わせているため、他
の形態のより信頼性の高い入力信号が除外される。
【0019】
そのため、公衆におけるSDB治療促進のためにSDB症状の認識向上を支援するため
の、コスト効果のあるスクリーニングツールを提供するための向上が望まれている。この
ようなスクリーナーの実現は、技術的にかなり困難なままになっている。
【発明の概要】
【0020】
2. 技術の簡単な説明
本技術は、ユーザフレンドリーなコスト効果のあるSDBスクリーニングツールに関す
る。このようなスクリーニングツールは、ユーザからの入力信号に基づいて、症状(例え
ば、いびき、無呼吸、呼吸低下、チェーン・ストークス呼吸および/または他のSDB事
象)の検出を支援し得る。典型的には、入力信号は、ユーザからの音をキャプチャする音
声信号であり得る。
【0021】
いくつかのバージョンにおいて、スクリーニングツールは、プロセッサおよびセンサー
(例えば、マイクロフォン)を含む装置を備えて具現され得る。いくつかのこのようなバ
ージョンにおいて、この装置は、プログラムされたアプリケーション(モバイルデバイス
(例えば、一体型マイクロフォンまたはマイクロフォンアクセサリを有するスマートフォ
ンまたはタブレット)中において動作し得る汎用プロセッサ用のアプリケーション)によ
って達成され得る。
【0022】
いくつかの場合において、患者のいびき音は、夜通しで間欠的に測定可能である。いび
き音が存在しない場合であっても、患者の呼吸が長時間にわたって苦しく、大きな音を伴
う場合がある。特定の長期間のいびきまたは呼吸を有する高信頼性呼吸エポック(RRE
)は、例えば特徴的に一貫した呼吸(いびきまたは呼吸)成分を含む入力信号を有するも
のであるかのように、分離または決定され得る。RRE中に含まれるいくつかの入力信号
には一貫性があるため、これらの入力信号は、SDB事象などの特定の症状を診断するの
に特に有用である。本技術は、事象検出のためのこのようなRREの決定に適合される。
【0023】
よって、本技術の第1の態様は、SDBなどの標的症状のスクリーニングに用いられる
装置、方法およびシステムに関連する。
【0024】
本技術の別の態様は、患者睡眠と関連付けられた入力信号を入手し、入力信号の一部中
の症状を診断する。
【0025】
本技術の別の態様は、一晩以上の睡眠時における患者睡眠と関連付けられた入力信号を
用いる。
【0026】
本技術の別の態様は、入力信号の受信と、信号の分析と、部分信号に基づいた症状の検
出とを医師または技術者の支援無く行うように構成されたプロセッサである。
【0027】
本技術の別の態様は、入力信号中のRREを検出し、RRE中に症状が存在するかを決
定する方法である。
【0028】
本技術の別の態様は、入力信号の特定の部分(例えば、RRE)に基づいて複数のSD
Bインジケータを決定する方法である。
【0029】
本技術のいくつかのバージョンは、ユーザの睡眠障害呼吸の事象を検出する方法を含む
。本方法は、睡眠期間においてユーザの音を示す入力音声信号をプロセッサ中に受信する
ことを含み得る。本方法は、プロセッサにおいて受信された入力音声信号から少なくとも
1つの高信頼性呼吸エポック(RRE)を決定することを含み得る。エポックは、少なく
ともいびきを含み得るかまたは含み得ない可聴呼吸と関連付けられた期間を含む。本方法
は、プロセッサにおいてかつ少なくとも1つの決定されたRRE中のデータに基づいて睡
眠障害呼吸事象の存在を検出することを含み得る。本方法は、検出された睡眠障害呼吸事
象のインジケータをプロセッサから出力することを含み得る。
【0030】
いくつかのバージョンにおいて、各RREは、開始フェーズおよび事象検出フェーズを
含み得る。開始フェーズは、開始フェーズとしての判定などのための少なくとも1つの所
定の判定基準に適合する一定期間の一貫した可聴呼吸を含み得る。事象検出フェーズは、
a.可聴呼吸が無くかつ長さが無呼吸事象よりも短い1つ以上の静寂期間と、b.可聴呼
吸が無い1つ以上の静寂期間であって、この期間は、無呼吸として分類されるほど充分に
長いが、可聴信号状態の喪失として分類できないほど充分に短い、期間と、c.可聴信号
状態の喪失として分類できるほど充分に長い、可聴呼吸が無い静寂期間とうちの少なくと
も1つを含み得る一定期間の一貫した可聴呼吸を含み得る。最後の場合、このような期間
の検出は、RREの終了のマーク付けに用いられ得る。事象検出フェーズからの事象は、
無呼吸事象、呼吸低下事象および周期性呼吸事象のうち1つとして分類され得る。いびき
は一種の可聴呼吸であるため、任意の期間において可聴音が聞こえた場合、いびきが含ま
れるかまたは含まれない。
【0031】
いくつかのバージョンにおいて、本方法は、いびき信号の音声周波数特性、音声レベル
およびタイミング特性のうち少なくとも1つを分析することと、無呼吸いびき特性を検出
することとにより、事象を無呼吸いびきとして分類することを含み得る。本方法は、呼吸
信号の音声周波数特性、音声レベルおよび呼吸速度のうち少なくとも1つを分析すること
と、回復呼吸特性を検出することとにより、回復呼吸を分類することを含み得る。本方法
は、入力音声信号を分析して、検出された静寂期間の後の回復呼吸を検出して、無呼吸事
象を確認することを含み得る。本方法は、可聴呼吸およびいびきのうち1つまたは双方か
ら呼吸速度を決定することを含み得る。本方法は、入力音声信号を分析して、検出された
静寂期間後の呼吸速度の増加を検出して無呼吸事象を確認することを含み得る。本方法は
、信号のデジタル信号処理のための所望の信号対ノイズ比が得られるように、プロセッサ
によって入力音声信号に対する利得調整を調節することを含み得る。
【0032】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、音声信号を一定の時間間隔で処理して、複数
の周波数ビン中の信号の周波数成分をこの時間間隔について生成することを含み得る。本
方法は、周波数ビンを分析して、発声音、空気処理装置音、往来音および天候音のうちの
少なくとも1つを含む背景音に起因し得る任意の1つ以上の周波数ビンを除去することを
含み得る。本方法は、プロセッサにより入力音声信号の背景ノイズレベルを確立すること
と、残りの周波数ビンについて、この背景ノイズについてのノイズフロア閾値レベルを確
立することとを含み得る。
【0033】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、プロセッサにより1つ以上の静寂周波数ビン
を特定することによりノイズフロア閾値を決定することと、ノイズフロア閾値を残りの静
寂周波数ビン中の信号の振幅の関数として設定することとを含み得る。ここで、方法は、
これらの残りの静寂周波数帯のみを用いて信号を検出することをさらに含み得る。
【0034】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、入力音声信号のフレームを入力音声信号の1
つ以上の信号種類との対応関係に基づいて特徴付けることにより、少なくとも1つの高信
頼性呼吸エポックを決定することを含み得る。これら1つ以上の信号種類は、可聴呼吸、
いびき、咳、ノイズ妨害、発声、静寂および未知のものを含み得る。本方法は、決定され
た少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックについて呼吸速度を決定することを含み得る。
【0035】
いくつかの場合において、可聴信号事象の喪失は、RREの終了のマーク付けに用いら
れ得る。可聴信号状態の喪失は、所定の時間よりも長い、可聴呼吸の無い期間である。本
方法は、1つ以上の特定されたSDB事象と、測定指標および統計と、履歴データと、い
びき時間と、他の関連付けられた詳細と以下のうち少なくとも1つの通知を提供すること
を含み得る。
【0036】
いくつかのバージョンにおいて、少なくとも1つのRREの開始フェーズは、以下の判
定基準である、RREが少なくとも所定の時間長さにわたって延長されること、RREが
少なくとも所定の時間長さにおける少なくとも所定の数の呼吸サイクルを含むこと、RR
Eが少なくとも所定の時間長さにおいて少なくとも所定の数の連続する呼吸事象を含むこ
とのうちの少なくとも2つまたは全てに適合し得る。所定の時間長さは、2分であり得る
。この所定の時間長さが2分であるとき、所定の数の呼吸サイクルは6であり得る。所定
の時間長さが2分であるとき、所定の数の連続する呼吸事象は3であり得る。いくつかの
場合において、RREの終了をマーク付けするために、可聴信号事象の喪失が用いられる
。可聴信号事象の喪失は、所定の時間よりも長い、可聴呼吸の無い期間である。
【0037】
本技術のいくつかのバージョンは、ユーザの睡眠障害呼吸の事象を検出する装置を含み
得る。本装置は、センサーの近隣の音を検出するように構成された音センサーを含み得る
。本装置は、音センサーへ結合されたプロセッサを含み得る。プロセッサは、睡眠期間に
おいてユーザの音を示す入力音声信号を音センサーから受信するように、構成され得る。
プロセッサは、受信された入力音声信号から少なくとも1つの高信頼性呼吸エポック(R
RE)を決定するように構成され得、エポックは、可聴呼吸およびいびきのうち1つまた
は双方と関連付けられた期間を少なくとも含む。プロセッサは、少なくとも1つの決定さ
れたRRE中のデータに基づいて睡眠障害呼吸事象の存在を検出するように、構成され得
る。プロセッサは、検出された睡眠障害呼吸事象のインジケータを出力するように、構成
され得る。
【0038】
いくつかのバージョンにおいて、各/任意のRREは、開始フェーズおよび事象検出フ
ェーズを含み得る。開始フェーズは、開始フェーズとしての判定などのための少なくとも
1つの所定の判定基準に適合する一定期間の一貫した可聴呼吸を含み得る。事象検出フェ
ーズは、a.可聴呼吸が無くかつ長さが無呼吸事象よりも短い1つ以上の静寂期間と、b
.可聴呼吸が無い1つ以上の静寂期間であって、この期間は、無呼吸として分類されるほ
ど充分に長くかつ可聴信号状態の喪失として分類できないほど充分に短い、期間と、c.
可聴信号状態の喪失として分類できるほど充分に長い、可聴呼吸が無い静寂期間(例えば
、このような期間の検出は、RREの終了をマーク付けするために用いられ得る)とのう
ちの少なくとも1つを含む一定期間の一貫した可聴呼吸を含み得る。
【0039】
いくつかのバージョンにおいて、事象検出フェーズからの事象は、無呼吸事象、呼吸低
下事象および周期性呼吸事象のうち1つとして分類される。プロセッサは、いびき信号の
音声周波数特性、音声レベルおよびタイミング特性のうち少なくとも1つを分析すること
、ならびに無呼吸いびき特性を検出することにより、1つの事象を無呼吸いびきとして分
類するように、さらに構成され得る。プロセッサは、呼吸信号の音声周波数特性、音声レ
ベルおよび呼吸速度のうち少なくとも1つを分析することと、回復呼吸特性を検出するこ
ととにより、回復呼吸を分類するようにさらに構成され得る。プロセッサは、入力音声信
号を分析し、検出された静寂期間の後の回復呼吸を検出して、無呼吸事象を確認するよう
に、さらに構成され得る。プロセッサは、可聴呼吸およびいびきのうち1つまたは双方か
ら呼吸速度を決定するように、さらに構成され得る。プロセッサは、入力音声信号を分析
し、検出された静寂期間後の呼吸速度の増加を検出して、無呼吸事象を確認するように、
さらに構成され得る。
【0040】
いくつかのバージョンにおいて、プロセッサは、信号のデジタル信号処理のための所望
の信号対ノイズ比が得られるように、入力音声信号に対する利得調整を調節するように、
さらに構成され得る。プロセッサは、音声信号を一定の時間間隔で処理して、この時間間
隔について複数の周波数ビン中の信号の周波数成分を生成するように、さらに構成され得
る。プロセッサは、周波数ビンを分析して、発声音、空気処理装置音、往来音および天候
音のうちの少なくとも1つを含む背景音に起因し得る任意の1つ以上の周波数ビンを除去
するように、さらに構成され得る。プロセッサは、入力音声信号の背景ノイズレベルを確
立することと、残りの周波数ビンについて、この背景ノイズについてのノイズフロア閾値
レベルを確立することとを行うように、さらに構成され得る。いくつかの場合において、
ノイズフロア閾値を決定するために、プロセッサは、1つ以上の静寂周波数ビンを特定す
ること、ノイズフロア閾値を残りの静寂周波数ビン中の信号の振幅の関数として設定する
こととを行うように構成され得る。プロセッサは、信号検出のためにこれらの残りの静寂
周波数帯のみを用いるように、さらに構成され得る。
【0041】
いくつかのバージョンにおいて、少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決定するた
めに、プロセッサは、入力音声信号のフレームを入力音声信号の1つ以上の信号種類との
対応関係に基づいて特徴付けるように、構成され得る。これら1つ以上の信号種類は、可
聴呼吸、いびき、咳、ノイズ妨害、発声、静寂および未知のものを含む。プロセッサは、
決定された少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックについて呼吸速度を決定するように、
さらに構成され得る。いくつかの場合において、少なくとも1つのRREの開始フェーズ
は、プロセッサによって評価され得る以下の判定基準である、RREが少なくとも所定の
時間長さにわたって延長されることと、RREが少なくとも所定の時間長さにおける少な
くとも所定の数の呼吸サイクルを含むことと、RREが少なくとも所定の時間長さにおい
て少なくとも所定の数の連続する呼吸事象を含むこととのうち少なくとも1つに適合する
。所定の時間長さは2分であり得る。この所定の時間長さが2分であるとき、所定の数の
呼吸サイクルは6であり得る。所定の時間長さが2分であるとき、所定の数の連続する呼
吸事象は3であり得る。
【0042】
プロセッサは、可聴信号事象の喪失の検出時にRREの終了をマーク付けするように構
成され得、用いられる。可聴信号状態の喪失は、所定の時間よりも長い、可聴呼吸の無い
期間である。プロセッサは、1つ以上の特定されたSDB事象と、測定指標および統計と
、履歴データと、いびき時間と、他の関連付けられた詳細とのうち少なくとも1つの出力
通知(例えば、電子通信、レポートおよび/またはメッセージ表示)を生成するようにさ
らに構成され得る。
【0043】
本技術のいくつかのバージョンは、非一時的な、コンピュータにより読出可能な媒体で
あって、媒体からプロセッサ制御命令が取り出し可能であり、プロセッサ制御命令が処理
デバイスによって実行されると、本明細書中に記載の方法のうち任意の1つ以上を含む睡
眠障害呼吸の事象を検出する方法処理デバイスに行わせる。
【0044】
本技術は、睡眠障害呼吸の事象を検出する方法を含み得る。本方法は、睡眠期間におい
てユーザの音を示す入力音声信号をプロセッサ中において受信することを含み得る。本方
法は、入力音声信号からの少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックをプロセッサにおいて
決定することを含み得る。このエポックは、苦しい呼吸および/またはいびきの期間を睡
眠期間から示し得る。本方法は、少なくとも1つのエポック中の睡眠障害呼吸事象の存在
をプロセッサにおいて検出することを含み得る。本方法は、決定された睡眠障害呼吸事象
のインジケータをプロセッサから出力することを含み得る。
【0045】
いくつかの場合において、事象は、無呼吸事象、呼吸低下事象および呼吸変調事象のう
ちいずれかであり得る。呼吸変調は、チェーン・ストークス呼吸と通常関連する変調振幅
を示す呼吸信号として理解され得る。事象は、いびきによって区切られた静寂期間を含む
無呼吸いびきであり得る。本方法は、検出されたいびきから呼吸速度を決定することを含
み得る。本方法は、いびきの存在を決定することを含み得る。
【0046】
いくつかの場合において、本方法は、検出された静寂期間後に音声レベル、速度および
/または周波数の分析を行うことにより、入力音声信号を分析して回復呼吸を検出するこ
とを含み得る。本方法は、入力音声信号を分析して、検出された静寂期間後の呼吸速度を
検出して、無呼吸事象を確認することを含み得る。本方法は、入力音声信号をフィルタリ
ングして、発声音、空気処理装置音、往来音、天候音に起因し得る任意の1つ以上の周波
数成分を除去することを含み得る。本方法は、入力音声信号に対する利得調整をプロセッ
サにより調節することを含み得る。本方法は、入力音声信号に対するノイズフロアおよび
ノイズフロア閾値をプロセッサによって確立することを含み得る。ノイズフロアを決定す
ることは、1つ以上の静寂周波数帯をプロセッサによって特定することと、ノイズフロア
閾値を特定された静寂周波数帯の関数として設定することとを含み得る。いくつかの場合
において、少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決定することは、入力音声信号のフ
レームを入力音声信号の1つ以上の呼吸信号種類との対応関係に基づいて特徴付けること
を含み得る。これら1つ以上の呼吸信号種類は、呼吸、無呼吸いびき、非無呼吸いびき、
咳、ノイズ妨害、静寂および未知のものを含み得る。少なくとも1つの高信頼性呼吸エポ
ックを決定することは、プロセッサ、各エポックからの呼吸速度をプロセッサによって決
定することも含み得る。いくつかの場合において、少なくとも1つの高信頼性呼吸エポッ
クを決定することは、エポックが所定の期間の呼吸およびいびきの後に開始した場合、エ
ポックは、長時間継続する呼吸の継続およびいびきの一部であり、少なくとも3つの連続
する呼吸事象を2分毎に含み、3つの呼吸事象の1分あたりの平均を含むことをプロセッ
サによって決定することを含み得る。
【0047】
本技術のいくつかのバージョンは、睡眠障害呼吸の事象を検出する装置。本装置は、セ
ンサーの近隣の音を検出するように構成された音センサーを含み得る。本装置は、音セン
サーへ結合されたプロセッサを含み得る。プロセッサは、睡眠期間におけるユーザの音を
示す入力音声信号を受信するように構成され得、入力音声信号は、音センサーによって生
成される。プロセッサは、入力音声信号から少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決
定するように構成され得、エポックは、睡眠期間からの苦しい呼吸および/またはいびき
の期間を示す。プロセッサは、少なくとも1つのエポック中の睡眠障害呼吸事象の存在を
検出するように構成され得る。プロセッサは、決定された睡眠障害呼吸事象のインジケー
タを出力するように構成され得る。
【0048】
いくつかの場合において、事象は、無呼吸事象、呼吸低下事象および呼吸変調事象のう
ちいずれかであり得る。事象は、いびきによって区切られた静寂期間を含む無呼吸いびき
であり得る。
【0049】
任意選択的に、プロセッサは、検出されたいびきから呼吸速度を決定するように、さら
に構成され得る。プロセッサは、いびきの存在を決定するように、さらに構成され得る。
プロセッサは、検出された静寂期間後の音声レベル、速度および/または周波数の分析に
よって入力音声信号を分析して回復呼吸を検出するように、さらに構成され得る。プロセ
ッサは、入力音声信号を分析して、検出された静寂期間後の呼吸速度のうち無呼吸事象に
適合するものを検出するように、さらに構成され得る。プロセッサは、入力音声信号をフ
ィルタリングして、発声音、空気処理装置音、往来音、天候音に起因し得る任意の1つ以
上の周波数成分を除去するように、さらに構成され得る。プロセッサは、入力音声信号に
対する利得調整を調節するように、さらに構成され得る。プロセッサは、入力音声信号に
対するノイズフロアおよびノイズフロア閾値を確立するように、さらに構成され得る。
【0050】
いくつかのバージョンにおいて、プロセッサは、1つ以上の静寂周波数帯を特定するこ
とと、ノイズフロア閾値を特定された静寂周波数帯の関数として設定することとを行うよ
うに、構成され得る。いくつかの場合において、少なくとも1つの高信頼性呼吸エポック
を決定するために、プロセッサは、入力音声信号の1つ以上の呼吸信号種類との対応関係
に基づいて入力音声信号のフレームを特徴付けるように、構成され得る。これら1つ以上
の呼吸信号種類は、呼吸、無呼吸いびき、非無呼吸いびき、咳、ノイズ妨害、静寂および
未知のものを含み得る。いくつかのバージョンにおいて、少なくとも1つの高信頼性呼吸
エポックを決定するために、プロセッサは、各エポックからの呼吸速度を決定するように
構成され得る。少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決定するために、プロセッサは
、エポックが所定の期間の呼吸およびいびきの後に開始した場合、そのエポックが長時間
継続する呼吸の継続およびいびきの一部であり、少なくとも3つの連続する呼吸事象を2
分毎に含み、3つの呼吸事象の1分あたりの平均を含むことを決定するように、構成され
得る。
【0051】
本技術のいくつかのバージョンは、非一時的な、コンピュータにより読出可能な媒体で
あって、媒体からプロセッサ制御命令が取り出し可能であり、プロセッサ制御命令が処理
デバイスによって実行されると、睡眠障害呼吸の事象を検出するための本明細書中に記載
の方法のうちいずれかを処理デバイスに行わせる。
【0052】
もちろん、各態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/
または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様ま
たは下位態様も構成し得る。
【0053】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲を鑑みれば
明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号
は、以下の類似の要素を含む。
【0055】
【
図1A】
図1Aは、本技術のプロセスの具現に適し得る、睡眠者からの音声情報を受信する例示的処理デバイスを示す。
【
図1B】
図1Bは、本技術のいくつかの形態に適した例示的プロセスを示す例示的フローチャートである。
【
図2A】
図2Aは、本技術の一実施例によるシステムの模式図である。
【
図2B】
図2Bは、本技術のいくつかの形態に従って構成された処理装置の概念図である。
【
図3】
図3は、人間の睡眠時における典型的な呼吸波形の音声信号を示す。上部Aは、マイクロフォンによって受信される経時的な呼吸信号振幅を示す。この呼吸信号振幅は、入力信号として機能し得る。下部Bは、上記入力信号の0ヘルツ~4kヘルツの経時的な呼吸信号周波数成分を示す。
【
図4】
図4は、別個の帯またはフレームへの変換後の
図3の信号の周波数成分分離を示す。上部Aは、経時的な呼吸信号振幅(入力信号)を示す。下部Bは、適切な期間(例えば、各約250ms)のフレーム期間(FF1..FF6)における上記入力信号の0ヘルツ~4kヘルツの経時的な呼吸信号周波数成分を示す。
【
図5】
図5は、
図4の信号中のノイズフロア検出のプロセスを示す。上部Aは、経時的な呼吸信号低信号振幅(入力信号)を示す。下部Bは、上記入力信号の0ヘルツ~4kヘルツの経時的低周波数成分を示す。
【
図6A】
図6Aは、いびき期間におけるいびき事象を含む音声信号および周波数スペクトル写真を示す。
【
図6B】
図6Bは、いびき時における例示的な無呼吸事象を含む音声信号および周波数スペクトル写真を示す。
【
図6C】
図6Cは、無呼吸を持つ可能性のある人間と関連付けられた無呼吸いびきの信号特性を示す。
【
図6D】
図6Dは、咳事象を含む音声信号および周波数スペクトル写真を示す。
【
図6E】
図6Eは、入力音声信号のフレームフィルタリング部位を示す。フレーム期間FF1~FF6は、持続期間(例えば、250ms)を有し、検出のためのフィルタ帯MB1~MB4は、多様な範囲にある。
【
図6G】
図6Gは、回復呼吸を含む音声信号および周波数スペクトル写真を示す。本実施例において、30秒の無呼吸の後に5回の回復呼吸が続く様子が音声信号によって示される。第1の呼吸は、振幅が大きく、多数の周波数成分を有する。呼吸速度は、20呼吸/分と高速である。
【
図6H】
図6Hは、静寂呼吸時の音声信号および周波数スペクトル写真を示す。音レベルが低いため、入力信号振幅および周波数成分はどちらも低い。
【
図6I】
図6Iは、無呼吸反復時の音声信号および周波数スペクトル写真を示す。信号グラフは、持続期間が異なる(30~50秒)の無呼吸事象それぞれに続いて数回の回復呼吸が発生したことを示す。
【
図7A】
図7Aは、音声出力レベル信号のフレームからの呼吸速度検出を示す。対象となる各周波数帯中の信号電力が計算および分析され得る。信号電力は、フレーム毎に計算され得る。
【
図7B】
図7Bは、フィルタリングおよび分析が施された後の出力信号の周波数成分を示す。
【
図8A】
図8Aは、高信頼性呼吸エポックエポックへの特徴付けを有する音声信号を示す。
【
図9A】
図9Aは、高信頼性呼吸エポックからの無呼吸の事象検出を示す。
【
図9B】
図9Bは、高信頼性呼吸エポックからのチェーン・ストークス呼吸の事象検出を示す。
【
図9C】
図9Cは、異常な呼吸変調またはチェーン・ストークス呼吸の事象検出を示す。
【
図10】
図10は、システムを用いた複数の睡眠セッションからの経時的な検出睡眠パラメータの例示的出力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
4. 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり
得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用い
られる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり
、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0057】
以下の記載は、共通の特性または特徴を共有し得る本技術の多様な形態に関連して提供
される。任意の一形態の1つ以上の特徴は、別の形態または他の形態の1つ以上の特徴と
組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの形態のう
ちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる例示的形態
を構成し得る。
【0058】
4.1 スクリーニングおよび診断
本技術は、状態(例えば、睡眠障害呼吸(SDB)状態)の予備的特定を支援するため
に具現され得るスクリーニングツールに関する。急性の閉塞性睡眠時無呼吸の患者の場合
、例えば、毎晩において大音響かつ持続的ないびき音または他の苦しい呼吸が高パーセン
テージ(>50%)にて発生する傾向がある。本技術のスクリーニングツールは、例えば
マイクロフォンの音声信号から1つ以上の高信頼性呼吸エポック(RRE)の決定により
、入力センサー信号の一部におけるこのような状態を示す事象の存在を決定するプロセス
を含み得る。
【0059】
RRE期間を利用する際の基本として、いびきおよび他の可聴呼吸(すなわち、例えば
(正常、苦しいまたは他の状態の呼吸を問わず)マイクロフォンによって可聴である任意
の呼吸)は、SDBまたはCSR関連の(中枢性)無呼吸または呼吸低下を持つ人の呼吸
に存在する傾向がある点がある。中枢性無呼吸または呼吸低下に関連する呼吸信号には特
定の形態があるため、これらの呼吸信号は、「周期性呼吸」事象または「呼吸変調」事象
とも呼ばれる。そのため、無呼吸事象の検出をより信頼性高くするためには、処理におい
て、(無呼吸が疑われる)静寂期間について分析する。この静寂期間は、明確な可聴呼吸
またはいびきの期間によって部分的にまたは完全に(すなわち、前方および/または後方
に)包囲され得る。そのため、RREは、無呼吸事象となるほど充分に長い無音期間を包
囲するかまたは隣接する1つ以上の期間の明確に検出された可聴呼吸を示し得る。無音期
間がこのようなRREの一部であるか、または複数の無音期間が回復呼吸およびいびきと
共に散在する場合、無呼吸事象が存在する/発生した可能性が高い。
【0060】
検出された無音期間がRREの一部ではない(すなわち、可聴呼吸の期間(複数)によ
って包囲されているかまたは可聴呼吸の期間(複数)に隣接していない)場合、この無音
は、正常な非可聴呼吸を示す可能性がより高い。
【0061】
RREの存在は、入力信号の特性に基づいて入力信号において検出され得る。本技術の
いくつかの形態において、RREは、入力信号中の呼吸速度および呼吸(例えば、呼吸、
いびきまたは静寂)に対応する入力信号の一部に基づいて検出され得る。ほとんどの場合
、各RREは、いびきを含む一定期間の一貫した可聴呼吸と共に開始し、最後の反復的か
つ途切れのない呼吸またはいびき信号と共に終了した後、長期間の無音、ノイズ、非頻発
の呼吸または非頻発のいびきが続く。中間セクションである事象検出フェーズにおいて、
事象検出は、a/一貫したまたは一貫していないいびきを含み得るかまたは含み得ない可
聴呼吸の期間であって、無呼吸を含まない期間と、b/一貫したまたは一貫していない可
聴呼吸(いびきを含む)の期間であって、無呼吸事象を含み得るかまたは含み得ない期間
と、c/無呼吸とみなすのに充分なくらいに長く(例えば、約10~120秒の範囲)か
つ「可聴信号の喪失」とみなせないほど充分に短い期間(例えば、約120秒を優に上回
る期間)である無呼吸/無音の期間とのうちの1つの検出を含み得る。信号が長過ぎかつ
可聴信号の喪失としてみなせる場合、RREは終了したものとしてマーク付けされ得る。
【0062】
本技術のいくつかの形態は、状態の決定についてRREに排他的に依存し、他の形態は
、多様なSDBインジケータに依存する。これらの補助的インジケータは、入力信号の任
意の部位(任意のRREまたは非RRE部位を含む)に基づき得る。
【0063】
換言すれば、RREは、入力音声信号から決定された高信頼性呼吸エポックとみなされ
得る。RREは、丸ごと一晩の非可聴呼吸においてちょうど10分間継続する完全に正常
な可聴呼吸の期間から、丸ごと一晩の無呼吸事象の前に発生する短期間にわたる一貫した
いびき期間のうちの任意の期間であり得る。
【0064】
重要な考慮事項を以下に挙げる。
1.呼吸検出を維持できるくらいの可聴信号(一貫していない/一貫した)(正常/苦
しい-可聴)(呼吸/いびき)の充分な発生源(複数)が存在する。
2.この発生源に埋没している無呼吸事象を、信頼性を以て検出することができる、お
よび/または
3.非可聴呼吸は、検出器の障害になる。非可聴呼吸が存在する場合、無呼吸検出がで
きなくなる。
【0065】
いくつかの場合において、RREは、以下の判定基準のうち1つ以上に従って決定され
得る。
(a)一定期間の一貫した(いびきを含み得る)可聴呼吸を含む開始セクションまたは
フェーズ、
(b)一定期間の一貫した(いびきを含み得る)可聴呼吸を同様に含む終了セクション
またはフェーズ、
(c)以下のうち1つ以上を含む中間セクションまたはフェーズ
1.一定期間の一貫した(いびきを含む)可聴呼吸であって、無呼吸を含まない可
聴呼吸。
2.一定期間の一貫した(いびきを含む)可聴呼吸であって、無呼吸事象を含み得
ない可聴呼吸。
3.無呼吸/無音の期間であって、
i)無呼吸とみなせるほど充分に長いが、
ii)「可聴信号の喪失」とみなせないほど充分に短い、期間。
「可聴信号の喪失」とみなせるほど充分に長い期間は、RREを終結させることと
、RREを検出期間の可能性があるものとして無効および使用不可能として分類すること
のために用いられ得る。
【0066】
典型的には、このような開始セクションおよび中間セクションが検出された場合、RR
Eの通知/発生に繋がり得る。終了セクションがさらに検出された場合、RREの終了を
示し得る。
【0067】
4.2 スクリーニング、監視、診断システム
本発明による例示的システムを
図1Aおよび
図2Aに示す。図示のように、ユーザ10
は、マイクロフォンおよび1つ以上のプロセッサを有するスクリーニングデバイス20(
例えば、携帯電話またはタブレット)の近隣にいる。プロセッサ(複数)は、入力信号1
2(例えば、スクリーニングデバイスのマイクロフォンからの音または音声レベル信号)
を受信することと、スクリーニングプロセス100を実行することと、SDBに関連する
多様な事象の検出を支援する証印を出力することとを行うように、構成される。
【0068】
4.2.1 スクリーニングデバイス20
デバイス20は、入力信号12中のSDBの可能性を評価するためのコスト効果のある
およびユーザフレンドリーな選択肢を提供するように適合され得、これを
図2に示す。本
技術のいくつかの形態において、信号12は、音声レベル信号(例えば、マイクロフォン
によって生成され得る音声記録からのもの)である。よって、スクリーニングデバイス2
0は、例えばスマートフォンまたはタブレットであり得る。スクリーニングプロセス10
0は、プロセッサ制御アプリケーションまたはプログラム(すなわち、スクリーニングデ
バイス20内において実行するもの)による影響を受ける場合がある。しかし、これらの
プロセスは、他の処理デバイスによって具現され得る。例えば、プロセス100は、1つ
以上の医療デバイス(例えば、RPTデバイス、汎用コンピュータまたは特定用途用コン
ピュータ)の要素によって実行され得る。
【0069】
よって、処理デバイスまたは装置は、一体型チップ、メモリおよび/または他の制御命
令、データまたは情報記憶媒体を含み得る。例えば、本明細書中に記載のアセスメント/
信号処理方法を包含するプログラムされた命令は、特定用途向け一体型チップ(ASIC
)を形成するデバイスまたは装置のメモリ中の一体型チップ上にコーディングされ得る。
このような命令は、追加的にまたは代替的に適切なデータ記憶媒体を用いてソフトウェア
またはファームウェアとしてロードしてもよい。任意選択的に、このような処理命令は、
例えばネットワークを介したサーバ(例えば、インターネット)から処理デバイスへダウ
ンロードされ得、これにより、これらの命令が実行されると、処理デバイスはスクリーニ
ングデバイスとして機能する。
【0070】
スクリーニング/処理デバイス20は、
図2に示すような複数の成分を含み得る。デバ
イス20は典型的には、マイクロフォンまたは音センサー30、プロセッサ40およびメ
モリ/データ記憶装置50を含み得る。他の成分を設けてもよい(例えば、ディスプレイ
または表示インターフェースおよびユーザ制御/入力インターフェース(例えば、タッチ
スクリーンまたはキーボード))。
【0071】
デバイス20のうちこれらの下位要素のいずれかは、デバイス20と一体化してもよい
し、あるいはデバイス20へ動作可能に結合してもよい。例えば、マイクロフォンまたは
音センサー30は、デバイス20と一体化させてもよいし、あるいは例えば有線リンクま
たは無線リンク(例えば、ブルートゥース(登録商標))を通じてデバイス20と結合さ
せてもよい。
【0072】
4.2.2 スクリーニングプロセス100
本技術の実施例において、1つ以上のアルゴリズム/プロセスがスクリーニングプロセ
ス100内において用いられて、入力音声信号内のRREを検出すること、ならびにスク
リーニングデバイスを用いて1つ以上の睡眠セッションにおけるRRE(複数)からSD
B事象を決定することが行われる。例示的プロセスについては、
図1Bおよび
図2Aを参
照されたい。このようなプロセスは、スクリーニングデバイス20上および/または外部
処理デバイス上において実行され得る
【0073】
例えば、スクリーニングプロセス100は、いくつかのサブプロセスによって特徴付け
られ得る。
図2Bに示すように、スクリーニングデバイスは、RRE決定のための1つ以
上の入力信号(例えば、110~150における1つ以上の睡眠セッションからのもの)
を受信する。その後、デバイスは、160~170における入力信号(複数)において1
つ以上のRREを決定し得る。次に、デバイスは、180においてRRE中のSDB関連
事象を検出し得る。次に、デバイスは、190において検出された事象を示す出力(例え
ば、
図1または
図2Aのユーザ10の結果を示すためのもの)を生成し得る。
【0074】
4.2.2.1 入力信号の受信(110~150)
4.2.2.1.1 信号取得110
図1Bのフローチャートに示すように、スクリーニングプロセス100の信号取得プロ
セス110において、入力音声信号を入手する。この信号は、マイクロフォンまたはマイ
クロフォン音声信号からサンプリングされた記録データであり得、睡眠期間T(
図3)に
関連してユーザ10の音を示す。
図2Aにおいて、デバイス20へ動作可能に結合された
音センサー30またはマイクロフォンにより、入力信号12がデバイス20において受信
される。
【0075】
入力信号12は、ユーザの呼吸信号およびいびき信号を示す音を少なくとも示す音声信
号ならびに睡眠セッションの他の記録音(例えば、環境ノイズ)であり得る。典型的な苦
しい呼吸は、期間Tにおいて睡眠しているユーザ10を形成するはずであるため、例示的
な信号12を
図3中に示す。睡眠期間Tは、一晩分の睡眠の一部を少なくとも含み得る。
RREは、任意の睡眠期間Tのほんの一部を示し得るため、以下に述べるように、入力信
号12は、複数の睡眠期間T(例えば、睡眠セッション)から受信され得る。よって、い
くつかの場合において、後続処理(例えば、RREの検出)を行うための充分な量の音声
呼吸データが存在するということが検証された後、さらなる分析が進行し得る。
【0076】
一般的に、音センサーは、センサーの近隣の音に応答し、音信号を生成する。この音信
号は、スクリーニングデバイス20によってサンプリングおよび記録され得る。任意選択
的に、110における信号取得は、入力信号12の質を高めるための自動化利得調整を含
み得る。例えば、デバイス20のプロセッサ40は、マイクロフォンからの信号12の感
知された音声レベルの利得を調節するように、構成され得る。例えば、クリッピングが発
生した場合または(本明細書中より詳細に説明する)ノイズフロアが高すぎる場合、利得
を低減すればよい。逆に、音声レベルが低すぎる場合、ノイズフロア閾値に到達するまで
音声レベルを増加させることにより、利得を増加させて信号12の質を高めることができ
る。
【0077】
4.2.2.1.2 信号分離120
その後、入力信号12の質をさらに高めるために、信号分離プロセス120が行われ得
る。望ましくは、このプロセスを具現することにより、持続的かつ不要な音声ノイズ成分
を全てRRE検出の前に信号12から除去することができる。
【0078】
本技術のいくつかのバージョンにおいて、プロセス120は、入力音声信号を分離して
フレームにすることを含む。例えば、入力信号12のサンプリングは、8kHz以上にお
いて例えば解像度8ビットリニアPCM以上で行われ得る。音声信号は、フレームファイ
ル毎の分析のための1組の持続期間フレームファイル(またはフレーム)として、デバイ
ス20のメモリ記憶装置50上に保存され得る。各持続期間フレームファイルは、約0.
1~0.25秒の入力信号12または他の適切な期間を含み得る。これらのファイルは、
以下に説明するマーカのうちいずれかと共にメモリ記憶装置50上に保存され得る。
【0079】
図4に示すように、高速フーリエ変換などの変換を通じて、各フレームファイルをその
周波数成分に分離する。
図4の実施例は、6個の0.25秒フレームがそれぞれ、各フレ
ームの周波数成分を含む矩形箱FF
1FF
2、FF
3、FF
4、FF
5、FF
6のうちの
1つの中に図示されている。例えば、その結果得られたFFTは、成分を典型的には10
24個の周波数成分へ分離され得、各周波数成分の帯域幅は4Hzである。これらは、ビ
ンまたは周波数ビンと呼ばれることが多い。これらの周波数成分のうちいくつかは、SD
B診断に用いられ得る一方、他の成分は用いることができない。そのため、呼吸およびい
びき以外の周波数と関連付けられた周波数成分/ビンは除去してよい。
【0080】
4.2.2.1.3 ノイズフロア確立130
任意選択的に、各フレームについて背景ノイズフロアおよびノイズフロア閾値を確立す
るために、ノイズフロア確立プロセス130が実行され得る。このようなプロセスにより
、マイクロフォンの種別および/または部屋の背景ノイズ状態の変動を考慮するように、
信号12の質を向上させることができる。ノイズフロア閾値は、静寂間隔14(
図5)を
参照して確立され得る。静寂間隔14は、入力信号12の期間であり、音声ノイズの長時
間の不在を含む。その後、静寂間隔と関連付けられた音声レベルを用いて、ノイズフロア
閾値が設定され得る。
【0081】
例えば、プロセス130は、所定の数のフレームの周波数成分の大きさを統合して、複
数の静寂周波数帯を特定し得る。
図5に示すように、静寂間隔14の周波数成分を統合し
て、静寂周波数帯15を特定する。
図5において、上部Aは、静寂期間における時間に対
する音声信号振幅を示す。下部Bにおいて、経時的な周波数成分強度が図示されている。
周波数成分強度は、用いられる色の強度によって表される。すなわち、薄い色は、この周
波数および時間の領域には成分が無いことを示し、濃い色は、この周波数および時間にお
いて成分が存在することを示す。
【0082】
持続的高ノイズ(帯域共用の複数のフレーム中の高ノイズ)を含む周波数帯は、捨象さ
れ得る。例えば、80Hz未満の周波数成分は、ノイズフロアおよび1/fノイズの主因
であり得る。例を挙げると、背景音(例えば、空調、ファン、および低周波数の音響ノイ
ズ成分を有する他の主電力装置)があり、周囲音声ノイズレベルは、ローパスフィルタリ
ングに起因して強い低周波数成分を有する。低周波数ノイズは、都市環境中の背景ノイズ
として一般的であり、また、多数の人工的発生源(例えば、路上走行車、飛行機、産業機
械、および空気流動機械(例えば、風力タービン、コンプレッサ、および換気または空調
ユニット))からの発生物として一般的である。低周波数ノイズによる影響は、低周波数
ノイズは空気中を効率的に伝搬することと、多数の構造/住居の壁はより高い周波数ノイ
ズと比較して低周波数ノイズの減衰の有効性が低いこととに起因して、さらに悪化する。
加えて、音響ノイズの検出および検出可能かつ有用な電気信号の生成に用いられる測定シ
ステム増幅器は、1/fノイズ特性(ピンク)ノイズを持ち得る。そのため、プロセス1
30において、80Hz未満の帯は捨象され得る。
【0083】
しかし、80Hz未満の周波数成分は、無呼吸いびきなどの特定の種類のいびきと関連
付けられ得る。ハム音などの連続ノイズフロア成分はフィルタリング除去され得、いびき
などの可変ノイズ成分は保持される。
【0084】
4.2.2.1.4 信号種類/音の認識140
信号種類プロセス140は、入力信号12のうちさらなる処理のために1つ以上の例示
的な信号種類に対応する部位を特徴付けるために、適用され得る。例えば、プロセス14
0は、その検出された特性に基づいて、入力信号12のフレームを特徴付け得る。
図6A~6Dに示すように、静寂呼吸(
図6H)、いびき(
図6A、6C)、無呼吸いび
き(
図6B)および咳(
図6D)それぞれと関連付けられた信号12の部位は、周波数、
時間および振幅において相互に区別することができる。
【0085】
例えば、
図6Aのいびき信号は、約12回の呼吸/分の呼吸速度と関連付けられ、約1
.5秒の音、高信号振幅、および3.5秒の静寂、低信号振幅、およびいびきの周波数成
分(低周波数、200~500Hz)からなる交互のパターンを含む。いびきは、数個の
異なる発生源(すなわち、喉、口、鼻)による複数の周波数成分を持ち得、人間およびい
びき種類に依存し得る。詳細には、約2~4kHzの極めて高い成分は、鼻呼吸または口
呼吸によって発生するヒューという音/シューという音に起因する傾向があり、その高調
波いびきは大音響である場合がある(すなわち、音声レベルと関連付けられた高入力信号
振幅)。
【0086】
一方、
図6Hの音響的に静寂な呼吸は、約1.5秒の音および約3.5秒の静寂を有す
る、高周波数(500Hz~4kHz)および静寂(低入力信号振幅)を持ち得る。この
点について、
図6Hは、約12回の呼吸/分の速度の入力信号であり、およそ1/3のい
びきおよび2/3の静寂が存在する。
【0087】
さらなる実施例を提供するために、
図6Cの無呼吸いびき信号は、いびき信号または苦
しい呼吸において視認することができ得る。この無呼吸いびき信号が正常ないびきと異な
る点としては、無呼吸いびき信号の場合、低周波数成分をより多く含み、信号レベルがよ
り高くなる(より大音響になる)傾向になる点がある。無呼吸いびきは、いびきをかいて
いる人間が睡眠無呼吸になり易いことを示す兆候である。そのため、いくつかの場合にお
いて本明細書中に述べるように、無呼吸いびきは、静寂/無呼吸期間に特定に関連するか
または静寂/無呼吸期間によって区切られた任意の種類のいびき検出として検出され得、
いくつかの場合において無呼吸いびきは、正常いびきと異なる無呼吸いびき音特性(複数
)の特定の性質のみから検出され得る。いくつかのさらなる場合において、双方の分析が
、無呼吸いびき事象(複数)の検出のために適用され得る。
【0088】
比較として、
図6Dの咳信号は、いびきよりも周波数エネルギーが高い、約0.5秒の
音および0.5秒以上の100~4kHzの静寂成分および周波数成分からなるランダム
なパターンと関連付けられる。
【0089】
部分A中に入力信号振幅対時間(分/秒)を示し、部分B中に周波数成分を示す
図6G
に示すように、無呼吸終了と関連付けられることの多い回復呼吸は、いびきのみではなく
、いびきを伴う息切れであり得る。これらの回復呼吸は、高音声レベルおよび高周波数に
よって特徴付けられ得る(例えば、上記陳述は、平均いびきまたは呼吸時の音響レベルお
よび周波数に対して相対的なものである)。いびきの振幅は、エポック内において通常は
合理的に一貫しており、回復呼吸は通常は、無呼吸期間と共に開始した後、平均よりも高
い第1の呼吸/いびき[例えば、平均振幅の2倍]が続く。回復呼吸は、より高調波の成
分も含み得るため、より高周波の成分(例えば、平均基本波が300~500Hzにあり
、高調波成分が800Hz、1200Hzなどにあるもの))を持ち得、正常速度よりも
高速であり得る(例えば、同様に例えば12bpm平均呼吸速度と比較して、回復呼吸は
20~30bpmにあり得る)。回復呼吸/回復いびきの音響指紋は、終夜試験における
ユーザの平均呼吸またはいびき音声特性を確認することにより、検出することができる。
【0090】
信号種類およびその特性の例示的なリストを下記に表として示す。他のノイズもリスト
に記載する。
【表1】
【0091】
これらの例示的な信号種類を区別するために、プロセス140は、フレームフィルタリ
ングおよびフレーム分析を含み得る。
【0092】
例えば、フレームフィルタリングは、入力信号の周波数成分を帯中の信号エネルギーに
基づいて音声周波数帯のカテゴリーにグループ分けするために、具現され得る。次に、音
声信号レベルが、各このような帯について合計され得る。例えば、入力信号のフレームは
、以下の帯に特徴付けられ得る。
(MB1)主要な無呼吸いびき信号エネルギー(例えば、0Hz~160Hzの40個
の周波数成分(それぞれ4hz))、
(MB2)主要な非無呼吸いびき信号エネルギー(例えば、100Hz~500Hzの
100周波数成分(それぞれ4hz))、
(MB3)低周波数呼吸エネルギー(例えば、500Hz~1500Hzの250個の
周波数成分(それぞれ4hz))、および
(MB4)高周波数呼吸エネルギー(例えば、1500Hz~4000Hzの625個
の周波数成分(それぞれ4hz))。
【0093】
(MB1~MB4としてマーク付けされる)これらの主要な帯をそれぞれ、
図4に示す
6個の0.25秒のフレームファイル(FF1~FF6)を参照して
図6Eに示す。
【0094】
フレーム分析において、上記した主要な音声周波数帯のうち1つ以上において選択され
た数のフレームを、上記した例示的な信号種類のうち1つ以上との対応関係について分析
する。一定期間の無呼吸の後に、大きないびきを伴う一連の回復呼吸が続く典型例を
図6
Gに示す。これは、上記の典型的信号表の規則をこれらの選択されたフレーム時において
見受けられる実際の信号特性へ適用することにより、自動化システムにおいて決定され得
る。この分析により、各信号種類についての確率を表に基づいて得ることができる。信号
の状態は、分析からの最も可能性の高い信号種類に基づいて選択され得る。自動化アセス
メントの精度は、音声信号を聞くことにより、確認することができる。このようなフィー
ドバックがあると、検出システムのパラメータの微調整において実に有用であり得る。
【0095】
上記実施例と同様に、処理においては、(それぞれ持続期間が例えば0.25秒である
)フレームのグループを(例えば、5秒の間隔の)スライディングウィンドウについて分
析して、その特性(例えば、周波数、持続期間、期間および/または音声レベル)が上記
表中に記載の信号種類のうち1つ以上の特性に対応するかを決定する。対応関係が見つか
った場合、当該グループは、指定された種類によってマーク付けされ得る。例えば、プロ
セッサ40は、呼吸、いびき、無呼吸いびき、咳、静寂間隔、ノイズ妨害(例えば、発声
ノイズ、エアハンドラ/空調ACノイズ、往来ノイズ)および未知のもののうちいずれか
1つの信号種類に対応する任意のフレームを保存するように、構成され得る。
【0096】
4.2.2.1.5 呼吸速度の検出
任意選択的に、プロセス100は、呼吸速度検出プロセス150を含み得る。呼吸およ
びいびきの一貫したエポックが有る場合、システムは、呼吸速度を決定することができる
。例えば、呼吸またはいびきによって特徴付けられたフレームにより、呼吸速度が決定さ
れ得る。
図7Aに示すように、信号151は、周波数帯それぞれについての特徴付けられ
たフレーム中の音声出力レベルから生成され得る。生成後、生成された信号の周波数成分
についてFFTを用いてフィルタリングおよび分析を行って、呼吸周波数成分の存在(例
えば、呼吸またはいびきなどの呼吸周波数中の呼吸速度)を決定する。この周波数分析の
例示を
図7Bに示す。
図7Bは、呼吸信号152、いびき信号153および呼吸速度15
4を示す。
【0097】
任意選択的に、呼吸速度の検出により、本文において後述するように、フレームがRR
Eの一部であることの検証を支援することができる。
【0098】
4.2.2.2 入力信号中のRREの検出(ステップ160~170)
上記したように、RREは、有意な特性を有するいびきまたは呼吸信号の長期のエポッ
クである。RREのいくつかの暗示的特性として、以下のものがあり得る。
(1)複数の秒(典型的には60秒)の反復的かつ途切れない呼吸またはいびき信号の
後の可聴呼吸またはいびき信号の開始、
(2)上記信号の長時間(例えば、10分以上の)継続、および/または、
(3)(i)少なくとも3つの連続する呼吸事象が2分毎に維持されることと、(ii
)3つの呼吸事象の1分あたりの平均が維持されること。
【0099】
図8Aは、これら3つのRRE特性をそれぞれ有する入力信号12の部位16中のRR
Eの決定を示す。信号12の部位16そのものが、2つの部位16Aおよび16Bを有す
るものとして図示されている。各部位16Aは、検出された呼吸信号またはいびき信号の
うちRREの要求を満たすものを示す。各部位16Bは、検出された静寂間隔を示す。例
えば、これらの部位16Aは、RREの開始判定基準、中間判定基準および終了判定基準
を満たし得る。これら2つの部位16A~16Bはそれぞれ、RREの決定において検出
され得る。
【0100】
4.2.2.2.1 RRE検出160
一般的に、フレームをRREの部分として特徴付けることは、特定のフレーム中の呼吸
速度(例えば、呼吸および/またはいびきに起因し得る範囲内の速度)の検出に基づき得
る。本技術のいくつかのバージョンにおいて、RRE検出プロセス160において、各可
能なフレームを入力信号のフレーム毎に分析して、現在のフレームの信号レベルが例えば
図7Bに示すような所定の数の秒の反復的および途切れない「呼吸」信号または「いびき
」信号の後に開始したかを決定する。この分析は、信号特性表を再度参照し、2つの周波
数帯中の信号レベルならびに信号特性(いびき、呼吸などを規定するカデンツ(存在/不
在の比)および周期性に基づく。ここで「途切れない」という表現は、無呼吸または信号
喪失としてみなされる長い途切れ無しの呼吸を指す。
【0101】
これは、先行フレーム(複数)の信号レベルの評価から決定され得る。所定の数の秒が
約60秒以上のオーダーである場合、現在のフレーム中にRREが存在する可能性が高く
、このフレームはRREとしてマーク付けされ得る。本技術のいくつかのバージョンにお
いて、この状態は、RRE検出に充分であり得る。他の形態において、さらなる条件が具
現され得る。
【0102】
例えば、RREは、入力信号の各潜在的フレームを分析して、その信号レベルが呼吸、
苦しい呼吸またはいびきの一定期間にわたる継続を示すかを決定することにより、決定さ
れ得る。例えば、RREは、(後続フレームおよび/または先行フレームの分析から決定
されるように)現在のフレームについて呼吸またはいびきが長時間にわたって(例えば、
分のオーダー(例えば、10分間)以上で)存在するかについて決定され得る。さらなる
実施例として、一連のフレームの呼吸周波数成分は、(i)少なくとも3つの連続する呼
吸事象にわたって2分毎にかつ(ii)3つの呼吸事象の1分あたりの平均において維持
される。この実施例において、呼吸速度の持続期間および一貫性を用いて、一連のフレー
ムにおけるRREの存在をさらに確認する。
【0103】
フレーム中に含まれる呼吸成分(
図7B)が(例えば後続フレームの考慮により)最後
の反復的呼吸またはいびき信号に続いて長期間の無音、ノイズ、非頻発呼吸または非頻発
いびきを含む場合、当該フレームは、RREの終了としてマーク付けされ得る。ここで、
「無音」または「無音期間」とは、音声信号が信号閾値よりも低くかつ表中に記載される
いびきまたは可聴呼吸検出要求を満たす可聴信号が存在しない場合、期間を意味するもの
を意図する。
【0104】
これら3つの特性を満たす各フレームは、デバイス20のメモリ記憶装置50中のRR
Eフレームとしてマーク付けされ得る。逆に、これら特性のうち1つが満たされない場合
、当該フレームは無視されるか、または非RREとしてマーク付けされ得る。
【0105】
4.2.2.2.2 ノイズ干渉の低減170
不要なノイズが有る場合、RREの診断能力の妨げになる可能性がある。そのため、信
号の質を高めるために、RREとしてマーク付けされたフレームのうち1つ以上に対し、
ノイズ干渉低減プロセス170が行われ得る。プロセス170を
図8Bに示す。
図8Bは
、RREの入力信号12の部位18中の不要のノイズ171を示す。プロセス170は、
任意の不要なノイズ干渉の少なくとも一部を部位18から除去する。例えば、低周波数ノ
イズ(例えば、往来または高周波数のノイズ(例えば、風))を信号のFFTから少なく
とも部分的に除去することができ(すなわち、フィルタリング除去することができ)、連
続する音を完全に除去することができる。
【0106】
プロセス170は、異なる種類のノイズを除去し得る。例えば、プロセス170は、連
続するノイズ(例えば、空調装置または穏やかな風に起因して発生するもの)を除去し得
る。例えば、プロセス170は、静寂呼吸間隔におけるノイズ周波数を検出し得る。その
後、検出されたノイズの周波数をFFTによりRREからフィルタリング除去することが
できる。
【0107】
さらなる実施例として、プロセス170は、周期的ノイズ(例えば、往来ノイズ)を除
去し得る。例えば、周期的ノイズは、ノイズフロアの増加(例えば、先行して決定された
ノイズフロア閾値との比較によるもの)を検出することにより、検出され得る。次に、周
期的ノイズの周波数は、フィルタリング(例えば、FFTフィルタリングを用いたもの)
により、RREのフレームから検出および除去され得る。いくつかのバージョンにおいて
、検出された周期的ノイズまたは短期間の検出されたノイズを含むRREのフレームをR
REから排除するためにマーク付けするか、またはRREのノイズ部位(例えば、約2~
10秒未満の周期的ノイズ)としてマーク付けすることができる。
【0108】
さらなる実施例として、プロセス170は、ランダムなノイズ(例えば、発声または突
風に起因するもの)を除去し得る。検出されたランダムなノイズの持続期間が短い(例え
ば、約1~10秒)場合、RREのフレームをフィルタリングすることにより、このノイ
ズをRREから除去することができる。あるいは、RREのフレームをノイズを含むもの
としてマーク付けし、RREから除去することができる。RRE全体の例えば約25%を
超える持続期間のRRE内においてランダムなノイズが検出された場合、RRE信号対ノ
イズ比に妥協が生じ得る場合があり、その場合、RREは非RREとしてマーク付けされ
得る。
【0109】
4.2.2.3 事象検出180
各RRE中に含まれる高信頼性呼吸またはいびき信号の持続期間が長い場合、特定の状
態の決定において良好な候補となる。そのため、RREとしてマーク付けされたフレーム
へプロセス180を付加して、睡眠障害呼吸(SDB)の事象などの呼吸事象を検出する
ことができる。
【0110】
任意選択的に、分析に利用可能な充分なデータを確保するために、例えば検出時間閾値
を適切なRREの時間と共に考慮することによるRREの存在の確認の上で、プロセス1
80が開始され得る。よって、RREの持続期間合計を評価して、所定のRRE閾時間(
例えば、約2分間)を超えるかを決定する。例えば、RREが1,000個の持続期間フ
レームファイルを有する場合、各フレームの持続期間は0.25秒となり、各RRE中の
検出時間は4.167分になる。検出閾時間に応じて、RREを内部の事象の検出につい
て評価することができる。
【0111】
少なくとも1つのRREがRRE検出閾値を満たす場合、プロセス180は進行して各
確認されたRREの音声信号を分析(例えば、その周波数成分の分析を分析)して、特定
の事象と関連する特性が存在するかを決定し得る。例えば、無呼吸いびきの存在の決定は
、例えば苦しい呼吸またはいびき間の一定期間内の無音期間の検出に基づいて行われ得る
。例えば、
図6Bを参照されたい。すなわち、例えば60秒のいびき期間に続いて、例え
ば10~60秒の1つまたは複数の無音期間が続き、両者の間に例えば15秒~60秒の
短期間のいびきが挟まれ、その後連続するいびき期間が続く。
【0112】
無呼吸の存在の決定は、例えば静寂呼吸間の期間などの無音期間の検出に基づいて行っ
てもよい。例えば、
図6Iおよび
図9Aを参照されたい。これは、上記と同様であり、い
びきではなく呼吸が検出可能となっている。 任意選択的に、このような無呼吸事象は、
例えば
図6Gに示すような無呼吸後の回復呼吸の検出によって決定され得る。このような
事象の検出は、検出された無呼吸事象または無音期間後の回復呼吸の音声レベル、速度お
よび/または周波数の分析により、行われ得る。回復呼吸は、音響音声レベル、速度およ
び/または周波数指紋を有する。この指紋は、先行して無呼吸事象が存在していることを
示す強力なインジケータである。さらなる実施例として、
図9Bの信号12は無呼吸を含
んでいないが、反復的な一連のクレッシェンドに基づいて、いくつかの種類の呼吸変調(
すなわち、CSR)の存在を決定することができる。各クレッシェンドを、
図9B中の信
号12内においてクレッシェンド185として示す。図示していないが、呼吸低下などの
他の状態も検出され得る。呼吸変調は、振幅変調音響指紋を有する。この指紋は、呼吸変
調事象の存在を示す強力なインジケータである。いくつかの場合において、いびきは、国
際特許出願PCT/US2014/059311(出願日:2014年10月6日)に記
載の方法のうちいずれかによって決定され得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援
用する。
【0113】
次に、プロセス180は、例えば時間および/またはカウントによってこのような事象
を定量化することにより、これらの事象のインジケータを生成し得る。例えば、無呼吸/
呼吸低下カウントが生成され得る。
【0114】
いくつかのバージョンにおいて、各RREの呼吸速度(例えば、呼吸から生成された速
度から検出された速度またはRRE中のいびきから検出された速度)が決定され得、呼吸
速度間の変動(例えば、任意の2つ以上のRRE間の変動)が計算され得る。睡眠パラメ
ータは、例えば睡眠時間、いびき時間、AHIおよびいびきスコア(例えば、いびき時間
全体の睡眠時間全体に対する比)(例えば、決定されたRREに基づいたもの)に基づき
得る。
【0115】
さらに他のインジケータが、RREの事象に基づき得る。
【0116】
4.2.2.4 出力報告190
スクリーニングデバイス20は、事象検出プロセスおよびRRE検出プロセスに基づい
た報告プロセス190をさらに含み得る。本技術のいくつかの実施形態において、プロセ
ス190は、検出されたインジケータをユーザ支援のために報告し得る(例えば、スクリ
ーニングデバイスのディスプレイ上の出力またはスクリーニングデバイス20からの情報
送信)。証印は、プロセス180において行われた決定の要旨および任意のSDBインジ
ケータデータ(例えば、上記したスコアのうち1つ以上)を含み得る。この要旨は、単一
のセッションまたは複数のセッションの表示を経時的に行うことが可能なように、セッシ
ョン毎に提供され得る。
【0117】
例えば、
図10に示すように、診断詳細のレポート191が生成および出力され得る。
レポート191は、デバイス20の表示画面上に提示され得る。このようなレポート中に
含まれ得る例示的な種類の証印を以下に示す。
(A)任意のSDB事象(例えば、無呼吸、呼吸低下、いびきおよびCSR)の存在、
(B)測定指標および統計(例えば、AHIなどの事象カウントまたは期間に基づいた
もの(例えば、睡眠スコア))、
(C)表および図表フォーマットで表された履歴データ(例えば、利用時間、セッショ
ン時間)、
(D)いびき時間、および
(E)任意の関連付けられた詳細(例えば、検出期間において発生した任意の故障状態
の存在またはRREの不在)。
【0118】
これらの証印に基づいて、ユーザ10は、自身の睡眠呼吸状態を認識して、さらなる診
断または治療を検討することができる。例えば、SDB状態についてのさらなる検査の必
要性をSDB治療選択肢についての情報と共にユーザへ提示することができる。
【0119】
本技術の他の形態において、プロセス190からの証印を、例えばスクリーニングデバ
イス20への無線通信リンクまたは無線通信リンクを介して1つ以上のサードパーティへ
任意選択的に出力してもよい。証印は、後続分析または他の使用の代替のために、例えば
入力信号12の一部と共にデバイス20の送信器を介してデータベースへ送られ得る。あ
るいは、証印の一部を後続分析または利用のために信号12で同時にユーザおよび多様な
データベースへ送信してもよい。
【0120】
4.3 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が
適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0121】
4.3.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態におい
て、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味
し得る。
【0122】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システム
または患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味す
るものとしてとられるべきである。
【0123】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る
(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者
が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0124】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0125】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発
生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居
る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生
源から発生し得る。
【0126】
持続的気道陽圧(CPAP)治療:CPAP治療は、空気供給を雰囲気に対して連続的
に正である圧力において気道入口へ付加することを意味するものとしてとられる。圧力は
、患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定であり得る。いくつかの形態において、気道への
入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつ
かの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部
分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時
において低減される)。
【0127】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0128】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例
えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なC
PAP療法。
【0129】
4.3.2 呼吸サイクルの態様
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば1
0秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患
者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生す
ると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下また
は呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは
、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0130】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0131】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0132】
努力(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動き
を指すと言われる。
【0133】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0134】
流量制限:流量制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない
患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限
が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼
気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することがで
きる。
【0135】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所
的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生し
た後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが
立ち下がり部分に発生する。
【0136】
呼吸低下:好適には、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形
態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が
発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸
低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、
呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽
和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0137】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0138】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイ
クルの吸気部分としてとられる。
【0139】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性と
は、開口である。気道開通性の定量化は、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す
値(0)で行われ得る。
【0140】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0141】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0142】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの同義語は
、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分
で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対
照的に用いられる。
【0143】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出
された空気の量である。
【0144】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0145】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0146】
((合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の
次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0147】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる直近値が密集する傾向となる換気値
(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0148】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。これは
、上気道中の圧力差が増加(スターリングレジスタ挙動)するにつれて流量がわずかに増
加するかまたは低下し得る流量制限の状態と関連し得る。
【0149】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換の総量の測定。換気の測
定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたり
の体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単
に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0150】
他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者
かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイル
または記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的に
ついては全ての著作権を保持する。
【0151】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の
単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値ま
たは介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立
的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた
場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場
合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0152】
さらに、本明細書中に値(複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き
限り、このような値が近似され得、実際的な技術的具現が許容または要求する範囲まで任
意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0153】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する
分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法
および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験に
おいて用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記
載される。
【0154】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が
類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き
限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解
されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0155】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」
、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、そ
の複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0156】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/
または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は
、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいず
れの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるも
のと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付
と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0157】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要
素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の
要素、構成要素たはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共
に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0158】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示また
は特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではな
い。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈におい
て用いられるべきではない。
【0159】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は
本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつ
かの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例
えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用
いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず
、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップに
ついての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である
。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまた
はさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0160】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置が考案され得ることが理解されるべきである。例えば、本技術において、睡眠障害呼吸事象の検出について特に重点的に説明してきたが、記載の表中に示される種類の音のうち任意の音(例えば、咳または他の音)の検出に同じ原理を適用することができる点に留意されたい。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1~45の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
ユーザの睡眠障害呼吸の事象を検出する方法であって、
睡眠期間において前記ユーザの音を示す入力音声信号をプロセッサ中に受信することと、
前記プロセッサにおいて前記受信された入力音声信号から少なくとも1つの高信頼性呼吸エポック(RRE)を決定することであって、前記エポックは、可聴呼吸およびいびきのうち1つまたは双方と関連付けられた期間を少なくとも含む、決定することと、
前記プロセッサにおいてかつ少なくとも1つの決定されたRRE中のデータに基づいて、睡眠障害呼吸事象の存在を検出することと、
前記検出された睡眠障害呼吸事象のインジケータを前記プロセッサから出力することと
を含んでなる方法。
(請求項2)
各RREは、開始フェーズおよび事象検出フェーズを含む、請求項1の方法。
(請求項3)
前記開始フェーズは、少なくとも1つの所定の判定基準に適合する一定期間の一貫した可聴呼吸を含む、請求項2の方法。
(請求項4)
前記少なくとも1つのRREの前記開始フェーズは、以下の判定基準である
前記RREが、少なくとも所定の時間長さにわたって延長されることと、
前記RREが、前記少なくとも所定の時間長さにおける少なくとも所定の数の呼吸サイクルを含むことと、
前記RREが、前記少なくとも所定の時間長さにおける少なくとも所定の数の連続する呼吸事象を含むことと
のうちの少なくとも2つに適合する、請求項2~3のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項5)
前記所定の時間長さは2分であり、
前記所定の時間長さが2分であるとき、前記所定の数の呼吸サイクルは6であり、
前記所定の時間長さが2分であるとき、前記所定の数の連続する呼吸事象は3である、
請求項4の方法。
(請求項6)
前記事象検出フェーズは、
a.可聴呼吸が無くかつ長さが無呼吸事象よりも短い1つ以上の静寂期間と、
b.可聴呼吸が無い1つ以上の静寂期間であって、前記期間は、無呼吸として分類されるほど充分に長いが、可聴信号事象の喪失として分類できないほど充分に短い、1つ以上の静寂期間と、
c.可聴信号事象の喪失として分類できるほど充分に長い、可聴呼吸が無い静寂期間と のうちの少なくとも1つを含む一定期間の一貫した可聴呼吸を含む、請求項2~5のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項7)
前記事象検出フェーズからの事象は、無呼吸事象、呼吸低下事象および周期性呼吸事象のうち1つとして分類される、請求項2~6のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項8)
いびき信号の音声周波数特性、音声レベルおよびタイミング特性のうち少なくとも1つを分析すること、ならびに無呼吸いびき特性を検出することにより、事象を無呼吸いびきとして分類することをさらに含む、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項9)
呼吸信号の音声周波数特性、音声レベルおよび呼吸速度のうち少なくとも1つを分析すること、ならびに回復呼吸特性を検出することにより、事象を回復呼吸として分類することをさらに含む、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項10)
前記入力音声信号を分析して、検出された静寂期間の後の回復呼吸を検出して、無呼吸事象を確認することをさらに含む、請求項1~9のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項11)
検出された可聴呼吸から呼吸速度を決定することをさらに含む、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項12)
前記入力音声信号を分析して、検出された静寂期間後の呼吸速度の増加を検出して無呼吸事象を確認することをさらに含む、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項13)
前記信号のデジタル信号処理のための所望の信号対ノイズ比が得られるように、前記プロセッサによって前記入力音声信号に対する利得調整を調節することをさらに含む、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項14)
前記音声信号を一定の時間間隔で処理して、複数の周波数ビン中の信号の周波数成分をこの時間間隔について生成することをさらに含む、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項15)
前記周波数ビンを分析して、発声音、空気処理装置音、往来音、天候音または他の背景音のうちの少なくとも1つを含む背景音に起因し得る任意の1つ以上の周波数ビンを除去することをさらに含む、請求項14の方法。
(請求項16)
前記プロセッサにより前記入力音声信号の背景ノイズレベルを確立することと、残りの周波数ビンについて、この背景ノイズについてのノイズフロア閾値レベルを確立することとをさらに含む、請求項15の方法。
(請求項17)
ノイズフロア閾値を決定することは、
1つ以上の静寂周波数ビンを前記プロセッサにより特定することと、
前記ノイズフロア閾値を残りの静寂周波数ビン中の信号の振幅の関数として設定することと、を含み、
前記方法は、これらの残りの静寂周波数帯のみを用いて信号を検出することをさらに含む、請求項16の方法。
(請求項18)
少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決定することは、前記入力音声信号のフレームを前記入力音声信号の1つ以上の信号種類との対応関係に基づいて特徴付けることを含む、請求項1~17のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項19)
前記1つ以上の信号種類は、可聴呼吸、いびき、咳、ノイズ妨害、発声、静寂および未知のものを含む、請求項18の方法。
(請求項20)
前記決定された少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックについて呼吸速度を決定することをさらに含む、請求項1~19のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項21)
可聴信号事象の喪失は、前記RREの終了をマーク付けするために用いられ、前記可聴信号状態の喪失は、所定の時間よりも長い、可聴呼吸の無い期間である、請求項1~20のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項22)
1つ以上の特定されたSDB事象と、
測定指標および統計と、
履歴データと、
いびき時間と、
他の関連付けられた詳細と
のうちの少なくとも1つの通知を提供することをさらに含む、請求項1~21のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項23)
ユーザの睡眠障害呼吸の事象を検出する装置であって、
そのセンサーの近隣の音を検出するように構成された音センサーと、
前記音センサーへ結合されたプロセッサと
を含んでなり、
前記プロセッサは、
前記睡眠期間におけるユーザの音を示す入力音声信号を前記音センサーから受信することと、
前記受信された入力音声信号から少なくとも1つの高信頼性呼吸エポック(RRE)を決定することであって、前記エポックは、可聴呼吸およびいびきのうち1つまたは双方と関連付けられた期間を少なくとも含む、決定することと、
少なくとも1つの決定されたRRE中のデータに基づいて、睡眠障害呼吸事象の存在を検出することと、
前記検出された睡眠障害呼吸事象のインジケータを出力することと
を行うように構成される、装置。
(請求項24)
各RREは、開始フェーズおよび事象検出フェーズを含む、請求項23の装置。
(請求項25)
前記開始フェーズは、少なくとも1つの所定の判定基準に適合する一定期間の一貫した可聴呼吸を含む、請求項24の装置。
(請求項26)
前記少なくとも1つのRREの前記開始フェーズは、前記プロセッサによって評価される以下の判定基準である
前記RREが、少なくとも所定の時間長さにわたって延長されることと、
前記RREが、前記少なくとも所定の時間長さにおける少なくとも所定の数の呼吸サイクルを含むことと、
前記RREが、前記少なくとも所定の時間長さにおける少なくとも所定の数の連続する呼吸事象を含むことと
のうちの少なくとも2つに適合する、請求項24~25のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項27)
前記所定の時間長さは2分であり、
前記所定の時間長さが2分であるとき、前記所定の数の呼吸サイクルは6であり、
前記所定の時間長さが2分である場合、前記所定の数の連続する呼吸事象は3である、請求項26の装置。
(請求項28)
前記事象検出フェーズは、
a.可聴呼吸が無くかつ長さが無呼吸事象よりも短い1つ以上の静寂期間と、
b.可聴呼吸が無い1つ以上の静寂期間であって、前記期間は、無呼吸として分類されるほど充分に長いが、可聴信号事象の喪失として分類できないほど充分に短い、1つ以上の静寂期間と、
c.可聴信号事象の喪失として分類できるほど充分に長い、可聴呼吸が無い静寂期間と
のうちの少なくとも1つを含む、一定期間の一貫した可聴呼吸を含む、請求項24~27のうちいずれか一項に記載の方法。
(請求項29)
前記事象検出フェーズからの事象は、無呼吸事象、呼吸低下事象および周期性呼吸事象のうちの1つとして分類される、請求項24~28のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項30)
前記プロセッサは、いびき信号の音声周波数特性、音声レベルおよびタイミング特性のうち少なくとも1つを分析すること、ならびに無呼吸いびき特性を検出することにより、事象を無呼吸いびきとして分類するようにさらに構成される、請求項23~29のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項31)
前記プロセッサは、呼吸信号の音声周波数特性、音声レベルおよび呼吸速度のうち少なくとも1つを分析すること、ならびに回復呼吸特性を検出することにより、事象を回復呼吸として分類するようにさらに構成される、請求項23~30のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項32)
前記プロセッサは、前記入力音声信号を分析して、検出された静寂期間の後の回復呼吸を検出して、無呼吸事象を確認するように、さらに構成される、請求項23~31のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項33)
前記プロセッサは、検出された可聴呼吸から呼吸速度を決定するように、さらに構成される、請求項23~32のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項34)
前記プロセッサは、前記入力音声信号を分析して、検出された静寂期間後の呼吸速度の増加を検出して、無呼吸事象を確認するように、さらに構成される、請求項23~33のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項35)
前記プロセッサは、前記信号のデジタル信号処理のための所望の信号対ノイズ比が得られるように、前記入力音声信号に対する利得調整を調節するようにさらに構成される、請求項23~34のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項36)
前記プロセッサは、前記音声信号を一定の時間間隔で処理して、この時間間隔について複数の周波数ビン中の信号の周波数成分を生成するように、さらに構成される、請求項23~35のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項37)
前記プロセッサは、前記周波数ビンを分析して、発声音、空気処理装置音、往来音、天候音または他の背景音のうちの少なくとも1つを含む背景音に起因し得る任意の1つ以上の周波数ビンを除去するように、さらに構成される、請求項36の装置。
(請求項38)
前記プロセッサは、前記入力音声信号の背景ノイズレベルを確立することと、残りの周波数ビンについて、この背景ノイズについてのノイズフロア閾値レベルを確立することとを行うように、さらに構成される、請求項37の装置。
(請求項39)
ノイズフロア閾値を決定するために、前記プロセッサは、
1つ以上の静寂周波数ビンを特定することと、
前記ノイズフロア閾値を残りの静寂周波数ビン中の信号の振幅の関数として設定することと
を行うように構成され、
前記プロセッサは、信号検出のためにこれらの残りの静寂周波数帯のみを利用するように、さらに構成される、請求項38の装置。
(請求項40)
少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決定するために、前記プロセッサは、前記入力音声信号の1つ以上の信号種類との対応関係に基づいて前記入力音声信号のフレームを特徴付けるように構成される、請求項23~39のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項41)
前記1つ以上の信号種類は、可聴呼吸、いびき、咳、ノイズ妨害、発声、静寂および未知のものを含む、請求項40の装置。
(請求項42)
前記プロセッサは、前記決定された少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックについて呼吸速度を決定するように、さらに構成される、請求項23~41のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項43)
前記プロセッサは、可聴信号事象の喪失の検出時に前記RREの終了をマーク付けするように構成され、前記可聴信号状態の喪失は、所定の時間よりも長い、可聴呼吸の無い期間である、請求項23~42のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項44)
前記プロセッサは、
1つ以上の特定されたSDB事象と、
測定指標および統計と、
履歴データと、
いびき時間と、
他の関連付けられた詳細と
のうちの少なくとも1つの出力通知を生成するようにさらに構成される、請求項23~43のうちいずれか一項に記載の装置。
(請求項45)
非一時的な、コンピュータにより読出可能な媒体であって、前記媒体からプロセッサ制御命令が取り出し可能であり、前記プロセッサ制御命令が処理デバイスによって実行されると、請求項1~22のうちいずれか一項に記載の睡眠障害呼吸の事象を検出する方法を前記処理デバイスに行わせる、媒体。
【0161】
さらなる実施例において、いくつかの改変例は、以下の段落の技術例を含み得る。
【0162】
実施例1.
睡眠障害呼吸の事象を検出する方法であって、
睡眠期間においてユーザの音を示す入力音声信号をプロセッサ中において受信すること
と、
プロセッサにおいて少なくとも1つの高信頼性呼吸エポック(RRE)を入力音声信号
から決定することであって、エポックは、少なくとも可聴呼吸および/またはいびきと関
連付けられた期間を含む、決定することと、
プロセッサにおいてかつ少なくとも1つの決定されたRRE中のデータに基づいて、少
なくとも1つの決定されたRRE中の睡眠障害呼吸事象の存在を検出することと、
検出された睡眠障害呼吸事象のインジケータをプロセッサから出力することと
を含んでなる、睡眠障害呼吸の事象を検出する方法。
【0163】
実施例2.
RREは、無呼吸または呼吸低下と関連付けられたさらなる期間を含み得、検出された
睡眠障害呼吸事象は、いびき、無呼吸事象、呼吸低下事象および呼吸変調事象のうちいず
れか1つであり得る実施例1の方法。
【0164】
実施例3.
検出された睡眠障害呼吸事象は、いびきによって区切られた静寂期間を含む無呼吸いび
きである、実施例1または実施例2の方法。
【0165】
実施例4.
いびきの存在を決定することをさらに含む、実施例1~3のうちいずれかの方法。
【0166】
実施例5.
検出されたいびきまたは可聴呼吸から呼吸速度を決定することをさらに含む、実施例1
~4のうちいずれかの方法。
【0167】
実施例6.
検出された静寂期間後に音声レベル、速度および/または周波数の分析を行うことによ
り、入力音声信号を分析して回復呼吸を検出することをさらに含む、実施例1~5のうち
いずれかの方法。
【0168】
実施例7.
入力音声信号を分析して、検出された静寂期間後の呼吸速度を検出して、無呼吸事象を
確認することをさらに含む、実施例1~6のうちいずれかの方法。
【0169】
実施例8.
入力音声信号をフィルタリングして、発声音、空気処理装置音、往来音および天候音の
うちの少なくとも1つを含む背景音に起因し得る任意の1つ以上の周波数成分を除去する
ことをさらに含む、実施例1~7のうちいずれかの方法。
【0170】
実施例9.
入力音声信号に対する利得調整をプロセッサによって調節することをさらに含む、実施
例1~8のうちいずれかの方法。
【0171】
実施例10.
入力音声信号に対するノイズフロアおよびノイズフロア閾値をプロセッサによって確立
することをさらに含む、実施例1~9うちいずれかの方法。
【0172】
実施例11.
ノイズフロアを決定することは、
プロセッサにより1つ以上の静寂周波数帯を特定することと、
特定された静寂周波数帯に対応する信号の振幅の関数としてノイズフロア閾値を設定す
ることと
を含む、実施例10の方法。
【0173】
実施例12.
少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決定することは、
入力音声信号のフレームを入力音声信号の1つ以上の呼吸信号種類との対応関係に基づ
いて特徴付けることを含む、実施例1~11のうちいずれかの方法。
【0174】
実施例13.
1つ以上の呼吸信号種類は、呼吸、無呼吸いびき、非無呼吸いびき、咳、ノイズ妨害、
静寂および未知のものを含む、実施例12の方法。
【0175】
実施例14.
少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決定することは、各エポックからの呼吸速度
をプロセッサにより決定することをさらに含む、実施例12の方法。
【0176】
実施例15.
少なくとも1つの高信頼性呼吸エポックを決定することは、エポックが、
呼吸およびいびきのうち一方または双方の所定の期間後に開始することと、
長時間継続する連続する呼吸およびいびきの一部であることと、
少なくとも3つの連続する呼吸事象を2分毎に含み、3つの呼吸事象の1分あたりの平
均を含む
状態であることをプロセッサにより決定することをさらに含む、実施例10の方法。
【0177】
実施例16.
睡眠障害呼吸の事象を検出する装置であって、
センサーの近隣の音を検出するように構成された音センサーと、
音センサーへ結合されたプロセッサと
を含んでなり、
プロセッサは、上記実施例の方法のうち任意の1つ以上を行うように構成される装置。
【0178】
実施例17.
非一時的な、コンピュータにより読出可能な媒体であって、媒体からプロセッサ制御命
令が取り出し可能であり、プロセッサ制御命令が処理デバイスによって実行されると、実
施例1~15のうちいずれか1つを含む、睡眠障害呼吸の事象を検出する方法を処理デバ
イスに行わせる媒体。