(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20240112BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02G11/00
B60R16/02 620A
B60R16/02 623T
(21)【出願番号】P 2021202238
(22)【出願日】2021-12-14
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸次
(72)【発明者】
【氏名】土田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】井口 杉之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓将
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陸哉
(72)【発明者】
【氏名】柴田 友容
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-1492(JP,A)
【文献】特開2014-15108(JP,A)
【文献】特開平11-263178(JP,A)
【文献】特開2016-155412(JP,A)
【文献】特開2004-104948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の一部を折り曲げて形成された折り曲げ部を少なくとも収容し、かつ、当該折り曲げ部が移動方向に沿って移動可能な収容空間が形成されたケース本体部を有するケースと、
前記収容空間を閉塞するカバーと、
を備え、
前記ケースは、
前記折り曲げ部から延在する電線の一方側を案内し、前記収容空間に連通する第1電線案内空間を有する第1電線案内部と、
前記折り曲げ部から延在する電線の他方側を案内し、前記収容空間に連通する第2電線案内空間を有する第2電線案内部と、
を備え、
前記第1電線案内部および前記第2電線案内部は、前記ケース本体部の前記移動方向における一方側に配置され、
前記第1電線案内部は、前記ケースに対する前記カバーの閉塞方向から視た場合、前記第2電線案内部に対して交差し、
前記第2電線案内部によって案内される前記電線の一方側は、前記閉塞方向から視た場合、前記第1電線案内部によって案内される前記電線の他方側に対して交差
し、
前記第1電線案内部は、前記移動方向に沿って延在する電線の一方側を、前記移動方向とは異なる方向に案内し、前記電線を挟んで対向し、かつ、前記第1電線案内空間を構成する一対の案内部対向側壁を備え、
前記ケースは、前記収容空間と前記第1電線案内空間とを連通する連通開口部を備え、
一対の前記案内部対向側壁は、前記移動方向から視た場合、前記連通開口部に少なくとも一部が重なる第1対向側壁を有し、
前記第1対向側壁は、前記移動方向から視た場合、前記連通開口部に重なり、前記電線を外部に導出可能な案内切欠き部を有する、
ことを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
前記第1電線案内部で案内される前記電線の少なくとも連通開口部側には、当該電線の外周面を覆う外装部材を設け、
前記第1対向側壁は、前記案内切欠き部に対して、前記収容空間から前記第1電線案内部へ向かう下流側に位置し、前記外装部材の一部が外部に露出する外装部材露出切欠き部を有し、
前記外装部材露出切欠き部は、前記閉塞方向から視た場合において、前記第1電線案内部と前記第2電線案内部とが交差する交差部位の上流側に位置する、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記第1電線案内部の一方側の端部は、前記交差部位の上流側に位置する、
請求項2に記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両は、レール部材の延在方向に沿ってスライド移動可能に支持されるスライドシートが搭載される。当該車両は、スライドシートに電装部品が設けられる場合、車両に搭載されたバッテリー等の電源から電装部品に電力を供給する給電装置が設けられる。給電装置は、電源とスライドシートに設けられた電装部品とを電気的に接続する電線と、電線を保護するプロテクタとを含む(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そのようなプロテクタは、電線の折り曲げ部を収容する収容空間を有するケースと、収容空間を閉塞するカバーと、を備える。
【0004】
また、プロテクタの中には、電線を所望の経路に配索するため、折り曲げ部から延在する電線の一方側を案内する第1電線案内部をケースに備え、かつ、折り曲げ部から延在する電線の他方側を案内する第2電線案内部をカバーに備えるものがある。そして、ケースに対するカバーの閉塞方向から視た場合、上記のプロテクタは、全体としてケースで案内する電線とカバーで案内する電線とを交差させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように構成されるプロテクタは、ケースにカバーを取り付ける際において、カバーに電線を通す作業が必要となるため、組み立て時における作業性向上の点で更なる改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、組み立て時における作業性を向上することができるプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為、本発明に係るプロテクタは、電線の一部を折り曲げて形成された折り曲げ部を少なくとも収容し、かつ、当該折り曲げ部が移動方向に沿って移動可能な収容空間が形成されたケース本体部を有するケースと、前記収容空間を閉塞するカバーと、を備え、前記ケースは、前記折り曲げ部から延在する電線の一方側を案内し、前記収容空間に連通する第1電線案内空間を有する第1電線案内部と、前記折り曲げ部から延在する電線の他方側を案内し、前記収容空間に連通する第2電線案内空間を有する第2電線案内部と、を備え、前記第1電線案内部および前記第2電線案内部は、前記ケース本体部の前記移動方向における一方側に配置され、前記第1電線案内部は、前記ケースに対する前記カバーの閉塞方向から視た場合、前記第2電線案内部に対して交差し、前記第2電線案内部によって案内される前記電線の一方側は、前記閉塞方向から視た場合、前記第1電線案内部によって案内される前記電線の他方側に対して交差し、前記第1電線案内部は、前記移動方向に沿って延在する電線の一方側を、前記移動方向とは異なる方向に案内し、前記電線を挟んで対向し、かつ、前記第1電線案内空間を構成する一対の案内部対向側壁を備え、前記ケースは、前記収容空間と前記第1電線案内空間とを連通する連通開口部を備え、一対の前記案内部対向側壁は、前記移動方向から視た場合、前記連通開口部に少なくとも一部が重なる第1対向側壁を有し、前記第1対向側壁は、前記移動方向から視た場合、前記連通開口部に重なり、前記電線を外部に導出可能な案内切欠き部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るプロテクタは、上記構成を有するため、組み立て時における作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るプロテクタを備える給電装置の側面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るプロテクタの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るプロテクタのケースに形成された第1電線案内部の斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るプロテクタを幅方向の一方側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るプロテクタ1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[実施形態]
本実施形態に係るプロテクタ1について、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本実施形態に係るプロテクタ1を備える給電装置100の側面図である。
図2は、本実施形態に係るプロテクタ1の分解斜視図である。
図3は、本実施形態に係るプロテクタ1のケース2に形成された第1電線案内部21の斜視図である。
図4は、本実施形態に係るプロテクタ1を幅方向Yの一方側から視た斜視図である。なお、
図2において、説明の便宜のため、電線Wの折り曲げ部Wrにおける外装部材5を破断して示してある。また、
図3において、第2電線案内部22の先端部を破断し、第1電線案内部21を外部に露出させてある。
【0013】
図1から
図4において、Xは、プロテクタ1における電線Wの折り曲げ部Wrの移動方向Xである。Yは、プロテクタ1の幅方向Yであって、移動方向Xと直交する。Y1は、幅方向Yの一方向であって、ケース2に対するカバー3の閉塞方向Y1である。Y2は、幅方向Yの他方向であって、閉塞方向Y1の反対方向である。Zは、プロテクタ1の上下方向である。プロテクタ1は、移動方向Xと、幅方向Yと、上下方向Zとが相互に直交する。
【0014】
本実施形態に係るプロテクタ1は、
図1に示すように、車両に搭載された電源103から、スライドシート101に設けられた電装部品104に電力を供給する給電装置100に用いられる。給電装置100は、スライドシート101と、スライド機構102と、電源103と、電装部品104と、電線Wと、プロテクタ1とを備える。
【0015】
プロテクタ1における移動方向Xは、給電装置100におけるスライドシート101のスライド方向に一致する。また、プロテクタ1における幅方向Yは、給電装置100の幅方向Yに一致する。さらに、プロテクタ1における上下方向Zは、給電装置100の上下方向に一致する。なお、スライド方向である移動方向Xは、例えば、給電装置100が車体に固定された状態で、車両の前後方向に沿う。また、上下方向Zは、例えば、給電装置100が車体に固定された状態で、鉛直方向に沿う。
【0016】
スライドシート101は、車両の搭乗者がすわる席である。スライドシート101は、スライド機構102を介して車体に取り付けてあり、かつ、スライド機構102によって、スライド方向(移動方向X)に沿って移動可能である。
【0017】
スライド機構102は、車体に固定されるレール部材102aと、レール部材102aに対してスライド方向へ移動可能なスライド部材102bと、を有し、車体に対してスライドシート101をスライド方向(移動方向X)へ移動させるための機構である。また、スライド機構102は、スライドシート101がスライド方向と直交する幅方向Yへ移動することを規制する。
【0018】
レール部材102aは、例えば、鉄、ステンレス等の金属材料により形成され、車体に固定され、スライド方向に沿って延在する。レール部材102aは、スライド方向から視た場合、断面形状が略C字状でレール形成空間102sが形成されるスライドレール102a1を一対有する。一対のスライドレール102a1は、幅方向Yに対して並列に配置される。そして、各スライドレール102a1は、スライド方向の両端に開口部をそれぞれ有し、いずれか一方の開口部を介してスライド部材102bの後述するローラがレール形成空間102sに挿入される。
【0019】
スライド部材102bは、スライドシート101に固定され、幅方向Yに対向して配置された一対のローラ(不図示)をスライド方向に2組有する。そして、スライド部材102bは、複数のローラがスライドレール102a1のレール形成空間102sで回転することによって、レール部材102aに対してスライド方向へ移動可能である。
【0020】
電源103は、例えば、バッテリーまたはオルタネータ等であって、電線Wを介して電装部品104に電力を供給する。
【0021】
電装部品104は、例えば、シートヒータ、スピーカ、液晶モニタ等である。電装部品104は、スライドシート101に設けられたコネクタ104aを介して電源103に対して電気的に接続される。
【0022】
電線Wは、コネクタ104aを介して電源103と電装部品104とを電気的に接続する。電線Wは、導電性の芯材と、芯材を被覆する絶縁性の被覆部とを備える。電線Wの両端は、プロテクタ1に形成された一対の挿通開口部から外部に導出される。そして、本実施形態に係る電線Wは、当該電線Wの一部を折り曲げて形成した折り曲げ部Wrと、折り曲げ部Wrから延在する一方側と、折り曲げ部Wrから延在する他方側とを有する。電線Wは、少なくとも折り曲げ部Wrを含む一部が、プロテクタ1の収容空間20sに収容される。電線Wの一方側は、車両に搭載された電源103に対して電気的に接続される。電線Wの他方側は、コネクタ104aを介して電装部品104に対して電気的に接続される。
【0023】
電線Wは、当該電線Wの外周面を覆う外装部材5が設けられる。外装部材5は、いわゆるコルゲートチューブであって、例えば、絶縁性の合成樹脂材料によって可撓性を有する筒状(管状)に形成される。より具体的に説明すると、外装部材5は、電線Wの外周面に設けられ、電線Wを覆う円筒状に形成される。外装部材5は、図示省略するが周方向に沿って延在する外装部材凹部を複数有し、当該外装部材凹部を延在方向に間隔をあけて配置する蛇腹形状に構成され、内側に電線Wが挿入される。
【0024】
外装部材5は、後述する収容空間20sを形成する本体底壁201、本体外側壁202および本体内側壁203に形成された複数の壁凸部209(
図2、
図3参照)に、上述した各外装部材凹部が嵌合することによって、電線Wと共にケース2に固定される。
【0025】
プロテクタ1は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂によって形成され、
図2、
図3に示すように、ケース2とカバー3とを有し、車体に固定される。そして、プロテクタ1は、電線Wの一部を内部に収容して当該電線Wを保護する。より具体的に説明すると、プロテクタ1は、スライドシート101に設けられた電装部品104に電力を供給する給電装置100に用いられ、電源103と電装部品104とを電気的に接続する電線Wを保護する。また、プロテクタ1は、ケース2にカバー3を固定する係止構造4をさらに備える。係止構造4は、ケース2の外縁およびカバー3の外縁に沿って間隔をあけて配置される。そして、係止構造4は、ケース2またはカバー3のいずれか一方に設けられる係止爪41と、係止爪41に対して係止可能な係止受け部42とで構成される。本実施形態に係るプロテクタ1は、係止爪41をカバー3に設ける一方、係止受け部42をケース2に設ける。
【0026】
ケース2は、移動方向Xに延在して形成される。ケース2は、ケース本体部20と、第1電線案内部21と、第2電線案内部22と、を備える。本実施形態に係るケース2は、ケース本体部20と、第1電線案内部21と、第2電線案内部22と、が一体的に形成される。また、ケース2は、収容空間20sと、後述する第1電線案内空間21sとを連通する第1連通開口部(連通開口部)204と、収容空間20sと、後述する第2電線案内空間22sとを連通する第2連通開口部205と、を備える。
【0027】
ケース本体部20は、電線Wの一部を折り曲げて形成された折り曲げ部Wrを少なくとも収容し、かつ、当該折り曲げ部Wrが移動方向Xに沿って移動可能な収容空間20sが形成される。また、ケース本体部20は、収容空間20sに連通し、かつ、外部に連通する開閉開口部20aを有する。開閉開口部20aは、収容空間20sの幅方向Yにおける反対方向Y2側の端部に形成される。収容空間20sは、ケース2に対してカバー3を閉塞方向Y1へ移動させ、係止爪41と係止受け部42とを係止させることによって閉塞される。
【0028】
ケース本体部20は、平板状に形成された本体底壁201と、本体底壁201の周縁から幅方向Yの他方側へ向けて突出する本体外側壁202と、本体底壁201から幅方向Yの他方側へ向けて突出し、本体外側壁202に対向する本体内側壁203と、を有する。そして、ケース本体部20は、本体底壁201と、本体外側壁202と、本体内側壁203とによって収容空間20sが形成される。
【0029】
第1電線案内部21は、閉塞方向Y1から視た場合、
図2、
図3に示すように、ケース本体部20に対して移動方向Xにおける前方側へ突出した後、下方へ向けて折れ曲がる。また、第1電線案内部21は、
図4に示すように、移動方向Xにおいて、ケース本体部20に隣接して配置される。第1電線案内部21は、ケース本体部20の移動方向Xにおける一方側に配置される。より具体的に説明するとプロテクタ1が車両に搭載された状態において、第1電線案内部21は、ケース本体部20の移動方向Xにおける前方側に配置される。さらに、第1電線案内部21は、電線Wを挟んで対向する一対の第1電線案内部対向側壁211(案内部対向側壁)と、各第1電線案内部対向側壁211の幅方向Yにおける一方側の端部を連結する第1電線案内部底壁212と、を備える。このような構成を有する第1電線案内部21は、折り曲げ部Wrから延在する電線Wの一方側を案内し、収容空間20sに連通する第1電線案内空間21sを有する。また、第1電線案内部21は、移動方向Xに沿って延在する電線Wの一方側を、移動方向Xとは異なる方向に案内する。第1電線案内部21は、ケース2に対するカバー3の閉塞方向Y1から視た場合、第2電線案内部22に対して交差する。また、第1電線案内部21は、幅方向Yにおいて、第2電線案内部22に対して閉塞方向Y1側に配置される。
【0030】
第1電線案内部21は、閉塞方向Y1から視た場合において、第2電線案内部22と交差する交差部位2Xを有する。そして、第1電線案内部21の一方側の端部は、交差部位2Xの上流側に位置する。より具体的に説明すると、第1電線案内部21の一方側の端部は、閉塞方向Y1から視た場合、
図4に示すように交差部位2Xに重なる。また、第1電線案内空間21sを形成する第1電線案内部底壁212の一方側の端部は、交差部位2Xの上流側に位置する。より具体的に説明すると、第1電線案内部底壁212の一方側の端部は、閉塞方向Y1から視た場合、
図4に示すように交差部位2Xに重なる。そして、交差部位2Xの下流側には、第1電線案内部底壁212および後述する第1対向側壁211aが存在しない。第1電線案内部21の他方側の端部は、
図3に示すように、第1連通開口部204の下流側に位置する。
【0031】
第1電線案内空間21sは、一対の第1電線案内部対向側壁211と、第1電線案内部底壁212とによって形成される。換言すると、第1電線案内空間21sは、少なくとも一対の第1電線案内部対向側壁211によって構成される。
【0032】
一対の第1電線案内部対向側壁211(案内部対向側壁)は、移動方向Xから視た場合、第1連通開口部204に少なくとも一部が重なる第1対向側壁211aと、移動方向Xから視た場合、第1連通開口部204に重ならない第2対向側壁211bとを有する。第1対向側壁211aは、本体外側壁202に連続する。第2対向側壁211bは、本体内側壁203に連続する。本実施形態に係る第2対向側壁211bは、第1対向側壁211aと異なり、幅方向Yにおいて、開閉開口部20aから閉塞方向Y1へ延在する切欠き部を有さない。
【0033】
第1対向側壁211aは、移動方向Xから視た場合、
図2、
図3に示すように、第1連通開口部204に重なり、電線Wを外部に導出可能な案内切欠き部214を有する。案内切欠き部214は、
図4に示すように、開閉開口部20aから幅方向Yの閉塞方向Y1側へ向けて延在する。また、第1対向側壁211aは、案内切欠き部214に対して、収容空間20sから第1電線案内部21へ向かう下流側に位置し、外装部材5の一部が外部に露出する外装部材露出切欠き部215を有する。
【0034】
外装部材露出切欠き部215は、開閉開口部20aから幅方向Yの閉塞方向Y1側へ向けて延在する。外装部材露出切欠き部215は、閉塞方向Y1から視た場合において、第1電線案内部21と第2電線案内部22とが交差する交差部位2Xの上流側に位置する。
【0035】
第2電線案内部22は、閉塞方向Y1から視た場合、ケース本体部20に対して移動方向Xにおける前方側へ突出した後、上下方向Zにおける上方へ向けて折れ曲がり、その後、移動方向Xにおける後方側へ向けて折れ曲がる。また、第2電線案内部22は、
図1に示すように、移動方向Xにおいて、第1電線案内部21に対して間隔をあけて配置される。第2電線案内部22は、ケース本体部20の移動方向Xにおける一方側に配置される。より具体的に説明するとプロテクタ1が車両に搭載された状態において、第2電線案内部22は、ケース本体部20の移動方向Xにおける前方側に配置される。このような構成を有する第2電線案内部22は、幅方向Yから視た場合、第1電線案内部21の閉塞方向Y1側に位置する。
【0036】
第2電線案内部22は、電線Wを挟んで対向する一対の第2電線案内部対向側壁221と、各第2電線案内部対向側壁221の幅方向Yにおける他方側の端部を連結する第2電線案内部底壁222と、を備える。このような構成を有する第2電線案内部22は、折り曲げ部Wrから延在する電線Wの他方側を案内し、収容空間20sに連通する第2電線案内空間22sを有する。また、第2電線案内部22は、移動方向Xに沿って延在する電線Wの他方側を、移動方向Xとは異なる方向に案内する。
【0037】
第2電線案内空間22sは、一対の第2電線案内部対向側壁221と、第2電線案内部底壁222とによって形成される。換言すると、第2電線案内空間22sは、少なくとも一対の第2電線案内部対向側壁221によって構成される。
【0038】
一対の第2電線案内部対向側壁221は、本体外側壁202に連続する第3対向側壁221aと、本体内側壁203に連続する第4対向側壁221bと、を備える。本実施形態に係る第3対向側壁221aおよび第4対向側壁221bは、第1対向側壁211aと異なり、幅方向Yにおいて、開閉開口部20aから閉塞方向Y1へ延在する切欠き部を有さない。
【0039】
第2電線案内部底壁222は、幅方向Yから視た場合、交差部位2Xにおいて第1電線案内部21によって案内される電線Wの一方側と、第2電線案内部22によって案内される電線Wの他方側との間に位置する。このため、第2電線案内部底壁222によって、交差部位2Xにおいて第1電線案内部21によって案内される電線Wの一方側と、第2電線案内部22によって案内される電線Wの他方側とが接触することを防止する。
【0040】
カバー3は、
図2に示すように、移動方向Xに延在して形成される。そして、カバー3は、ケース2に対してプロテクタ1における幅方向Yの他方側に配置され、ケース2の収容空間20sを閉塞する。そして、カバー3は、カバー本体天壁30と、第1カバー天壁31と、第2カバー天壁32と、カバーリブ33と、を備える。本実施形態に係るカバー3は、カバー本体天壁30と、第1カバー天壁31と、第2カバー天壁32と、カバーリブ33と、が一体的に形成される。
【0041】
カバー本体天壁30は、ケース2に組み付けられた状態において、幅方向Yにおいて本体底壁201に対向する。第1カバー天壁31は、ケース2に組み付けられた状態において、幅方向Yにおいて第1電線案内部底壁212に対向する。第2カバー天壁32は、ケース2に組み付けられた状態において、幅方向Yにおいて第2電線案内部底壁222に対向する。
【0042】
第1カバー天壁31は、当該第1カバー天壁31から閉塞方向Y1へ向けて突出するカバー被覆部311を有する。カバー被覆部311は、ケース2に対してカバー3が取り付けられた状態で、案内切欠き部214および外装部材露出切欠き部215を閉塞する。
【0043】
カバーリブ33は、カバー本体天壁30における移動方向Xの一方の端部と、第2カバー天壁32における移動方向Xの他方の端部とを連結する。そして、カバーリブ33における第2カバー天壁32に連結される一方の端部は、2つの係止爪41の間に配置される。
【0044】
次に、上記したプロテクタ1の組み立てについて説明する。作業者は、最初に、電線Wの外周面に外装部材5を取り付ける。
【0045】
次に、作業者は、電線Wの一部を折り曲げて折り曲げ部Wrを形成し、当該折り曲げ部Wrを閉鎖方向へ移動することで、開閉開口部20aを通じて当該折り曲げ部Wrをケース本体部20に挿入し、ケース本体部20に外装部材5が設けられた電線Wを収容する。
【0046】
この際、作業者は、外装部材5の外装部材凹部を、ケース本体部20における複数の壁凸部209に係合させ、外装部材5が設けられた電線Wが移動方向Xへ移動することを規制する。
【0047】
次に、作業者は、外装部材5が設けられ、かつ、折り曲げ部Wrから延在する他方側の電線Wを閉塞方向Y1へ移動させ、ケース2の第2電線案内部22に外装部材5が設けられた電線Wの一部を収容する。
【0048】
次いで、作業者は、外装部材5が設けられ、かつ、折り曲げ部Wrから延在する一方側の電線Wを閉塞方向Y1へ移動させ、ケース2の第1電線案内部21に外装部材5が設けられた電線Wの一部を収容する。
【0049】
その際、作業者は、ケース2の収容空間20sおよび第1電線案内部21に電線Wの一方側を配索する場合において、収容空間20sに配索された電線Wの延在方向に沿って案内切欠き部214から電線Wの一方側(
図2、
図3において仮想線で示す)を外部に導出することができる。つまり、プロテクタ1において、外装部材5が設けられた電線Wを環状に配索して交差させなければならないところ、一度の作業において、直線状の電線Wを環状に変形させるためには、作業者は大きな力が必要となる。一方、本実施形態に係るプロテクタ1においては、作業者は、折り曲げ部Wrの端部から移動方向Xに沿って直線状に延在する電線Wを、当該電線Wの延在方向に沿って案内切欠き部214から外部に導出することができる。その後、作業者は、改めて、折り曲げ部Wrの一方側の電線Wを上下方向Zの下向きへ折り曲げ、折り曲げ部Wrの一方側の電線Wを外装部材5と共に第1電線案内空間21sに収容する。このため、作業者は、上記と比べて比較的に小さな力で、案内切欠き部214から外部に出ている電線Wの一部を第1電線案内部21において所望の形状に容易に配索することができる。
【0050】
また、外装部材露出切欠き部215は、閉塞方向Y1から視た場合において、第1電線案内部21と第2電線案内部22とが交差する交差部位2Xの上流側に位置する。そのため、作業者は、外周面に外装部材5が設けられた電線Wの一方側を第1電線案内部21に配索する際において、外装部材露出切欠き部215から外装部材5の一部を第1電線案内空間21sに押し込むことができる。
【0051】
さらに、第1電線案内部21の一方側の端部は、交差部位2Xの上流側に位置する。このため、交差部位2Xにおいて、
図4に示すように、第1電線案内部21を形成する壁がないため、外装部材5が設けられた電線Wの一方側を作業者が交差部位2Xに配置することを容易にすることができる。
【0052】
最後に、作業者は、ケース2に対してカバー3部材を閉塞方向Y1へ移動させて、収容空間20sをカバー3で閉塞し、かつ、係止構造4によってケース2にカバー3を組み付けてプロテクタ1を組み立てる。
【0053】
本実施形態に係るプロテクタ1は、以下の構成を有する。ケース2は、折り曲げ部Wrから延在する電線Wの一方側を案内し、収容空間20sに連通する第1電線案内空間21sを有する第1電線案内部21と、折り曲げ部Wrから延在する電線Wの他方側を案内し、収容空間20sに連通する第2電線案内空間22sを有する第2電線案内部22と、を備える。また、第1電線案内部21は、ケース2に対するカバー3の閉塞方向Y1から視た場合、第2電線案内部22に対して交差する。そのため、本実施形態に係るプロテクタ1は、当該プロテクタ1に対する電線Wの配索をケース2のみで行うことができる。その結果、本実施形態に係るプロテクタ1は、ケース2にカバー3を取り付ける際に、カバー3に電線Wを通す作業を必要としないため、組み立て作業時における作業性を向上することができる。
【0054】
本実施形態に係るプロテクタ1は、以下の構成を有する。第1対向側壁211aは、移動方向Xから視た場合、第1連通開口部204に重なり、電線Wを挿抜可能な案内切欠き部214を有する。そのため、本実施形態に係るプロテクタ1は、ケース2の収容空間20sおよび第1電線案内部21に電線Wの一方側を配索する際において、収容空間20sに配索された電線Wの延在方向に沿って案内切欠き部214から電線Wの一方側を外部に出すことができる。その後、本実施形態に係るプロテクタ1は、改めて案内切欠き部214から外部に出ている電線Wの一部を第1電線案内部21において所望の形状に配索することができる。その結果、本実施形態に係るプロテクタ1は、収容空間20sおよび第1電線案内部21に電線Wを配索する際において、1度の作業において、電線Wを所望の経路に沿った形状に変形させる必要をなくすことができ、複数の作業において、電線Wを所望の経路に沿った形状に変形させることができる。従って、本実施形態に係るプロテクタ1は、第1電線案内部21に電線Wを配索する際の作業性を一層向上することができる。
【0055】
本実施形態に係るプロテクタ1は、以下の構成を有する。外装部材露出切欠き部215は、閉塞方向Y1から視た場合において、第1電線案内部21と第2電線案内部22とが交差する交差部位2Xの上流側に位置する。そのため、本実施形態に係るプロテクタ1は、外周面に外装部材5が設けられた電線Wの一方側を第1電線案内部21に配索する際において、外装部材露出切欠き部215から外装部材5の一部を第1電線案内空間21sに押し込むことができる。その結果、本実施形態に係るプロテクタ1は、第1電線案内部21に外装部材5が設けられた電線Wの一方側を配索する際の作業性を一層向上することができる。
【0056】
本実施形態に係るプロテクタ1は、以下の構成を有する。第1電線案内部21の端部は、交差部位2Xの上流側に位置する。そのため、本実施形態に係るプロテクタ1は、交差部位2Xにおいて、第1電線案内部21を形成する壁が存在しないため、外装部材5が設けられた電線Wの一方側を交差部位2Xに配置することを容易にすることができる。その結果、本実施形態に係るプロテクタ1は、第1電線案内部21に外装部材5が設けられた電線Wの一方側を配索する際の作業性を一層向上することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態に係るプロテクタ1は、第1電線案内部21の一方側の端部が、交差部位2Xの上流側に位置するものを説明した。しかし、本実施形態に係るプロテクタ1はそれに限られず、第1電線案内部21の一方側の端部が交差部位2Xを超えて位置することによって、第1電線案内部21の一方側の端部が、交差部位2Xの下流側に位置してもよい。
【0058】
また、上述した実施形態に係る第1電線案内部21は、案内切欠き部214および外装部材露出切欠き部215を有するものを説明した。しかし、本実施形態に係る第1電線案内部21はそれに限られず、第1電線案内部21は、案内切欠き部214および外装部材露出切欠き部215を有さなくてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 プロテクタ
2 ケース
2X 交差部位
20 ケース本体部
20s 収容空間
204 第1連通開口部(連通開口部)
21 第1電線案内部
21s 第1電線案内空間
211 第1電線案内部対向側壁(案内部対向側壁)
211a 第1対向側壁
214 案内切欠き部
215 外装部材露出切欠き部
22 第2電線案内部
22s 第2電線案内空間
3 カバー
X 移動方向
Y1 閉塞方向
W 電線
Wr 折り曲げ部